以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
まず、図1乃至図4を参照しながら、第1実施形態に係る冷媒蒸発器1の構成について説明する。冷媒蒸発器1は、空気を被冷却流体とする熱交換器である。冷媒蒸発器1は、風上側蒸発部10と、風下側蒸発部20と、中間タンク部33と、を備えている。図1及び図2では、後述するパッキン61,62を破線で示している。
風上側蒸発部10は、風上側コア部11と、風上側分配タンク部13と、風上側集合タンク部12と、を有している。
図1に示されるように、風上側コア部11は、複数の風上側チューブ11cと、複数のフィン11dとが水平方向に交互に積層された積層体によって構成されている。風上側チューブ11cは、その断面が扁平状で鉛直方向に延びており、冷媒を流すための流路が内部に形成されている。フィン11dは、コルゲートフィンであり、薄い金属板を屈曲させることで形成されている。フィン11dは、隣り合う風上側チューブ11cの間に配置され、風上側チューブ11cの外側面のうち平坦な面に接合されている。また、複数の風上側チューブ11c及び複数のフィン11dから構成される積層体の積層方向の両端部には、サイドプレート11eが配置され、風上側コア部11を補強している。図2及び図3では、風上側コア部11を構成する風上側チューブ11c、フィン11d及びサイドプレート11eの図示が省略されている。
尚、理解を容易にするため、図1に示されるように、風上側コア部11の複数の風上側チューブ11cと複数のフィン11dとが積層される方向をX方向とし、風上側チューブ11cが延びる鉛直上方向をZ方向とし、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする直交座標を用いて説明する。図2以降においても、当該直交座標と対応する座標が用いられる。
図3に示されるように、風上側コア部11は、第3コア部11a及び第4コア部11bを有している。第3コア部11aは、複数の風上側チューブ11cの一部で、一つの列を成すように配列された一群の風上側チューブ11cによって構成されている。第4コア部11bは、複数の風上側チューブ11cの残部で、一つの列を成すように配列された一群の風上側チューブ11cによって構成されている。第3コア部11a及び第4コア部11bは、X方向に隣り合うように配置されている。空気が流れる方向である−Y方向に沿って冷媒蒸発器1を見た場合に、第3コア部11aは右側に配置されたチューブ群で構成され、第4コア部11bは左側に配置されたチューブ群で構成されている。すなわち、−Y方向に流れる空気は、その一部が第3コア部11aを通過し、他の一部が第4コア部を通過する。第3コア部11a及び第4コア部11bは、いずれも、Y方向の寸法に比べてX方向の寸法が大きい幅広形状となっている。
風上側分配タンク部13は、風上側コア部11の下方に配置されている。風上側分配タンク部13は、両端が閉塞された筒状体であり、冷媒を流す流路が内部に形成されている。風上側分配タンク部13は、X方向に沿って延びるように形成されおり、そのX方向寸法はL1である。風上側分配タンク部13の上部には、不図示の貫通孔が複数形成されている。当該貫通孔には、風上側コア部11を構成する複数の風上側チューブ11cの下端部が挿入され接合されている。つまり、風上側分配タンク部13は、その内部の流路が風上側コア部11の複数の風上側チューブ11cに連通するように構成されている。これにより、風上側分配タンク部13は、風上側コア部11を構成する複数の風上側チューブ11cへ冷媒を分配するための分配部として機能する。
図3に示されるように、風上側分配タンク部13の内部であって、X方向の中央位置には、仕切板13cが配置されている。仕切板13cは、風上側分配タンク部13の内部流路を、第1分配部13aと第2分配部13bとに区画している。第1分配部13aは、第3コア部11aを構成する複数の風上側チューブ11cに連通する空間である。第1分配部13aは、第3コア部11aを構成する複数の風上側チューブ11cに冷媒を分配する。第2分配部13bは、第4コア部11bを構成する複数の風上側チューブ11cに連通する空間である。第2分配部13bは、第4コア部11bを構成する複数の風上側チューブ11cに冷媒を分配する。風上側分配タンク部13の側面であって中間タンク部33側の部分には、第1分配部連通口131及び第2分配部連通口132が形成されている。第1分配部連通口131は、風上側分配タンク部13の管壁を貫通し、第1分配部13aの内外を連通している。第2分配部連通口132は、風上側分配タンク部13の管壁を貫通し、第2分配部13bの内外を連通している。
風上側集合タンク部12は、風上側コア部11の上方に配置されている。風上側集合タンク部12は、筒状体であり、冷媒を流す流路が内部に形成されている。風上側集合タンク部12は、−Y方向に沿って見た場合に、左端が閉塞され、右端に冷媒出口12aが形成されている。冷媒出口12aは、風上側集合タンク部12の内部から、不図示の圧縮機の吸入側に冷媒を導出する。風上側集合タンク部12の底部には、不図示の貫通孔が複数形成されている。当該貫通孔には、風上側コア部11を構成する複数の風上側チューブ11cの上端部が挿入され接合される。つまり、風上側集合タンク部12は、その内部の流路が風上側コア部11の複数の風上側チューブ11cに連通するように構成されている。これにより、風上側集合タンク部12は、風上側コア部11の複数の風上側チューブ11cから流出した冷媒を集めるための集合部として機能する。
風下側蒸発部20は、−Y方向に沿って見た場合に風上側蒸発部10と重合するように配置されている。風下側蒸発部20は、風下側コア部21と、風下側分配タンク部22と、風下側集合タンク部23と、を有している。
図1に示されるように、風下側コア部21は、複数の風下側チューブ21cと、複数のフィン21dとがX方向に交互に積層された積層体によって構成されている。風下側チューブ21cは、その断面が扁平状でZ方向に延びており、冷媒を流すための流路が内部に形成されている。フィン21dは、コルゲートフィンであり、薄い金属板を屈曲させることで形成されている。フィン21dは、隣り合う風下側チューブ21cの間に配置され、風下側チューブ21cの外側面のうち平坦な面に接合されている。また、複数の風下側チューブ21c及び複数のフィン21dから構成される積層体のX方向における両端部には、サイドプレート21eが配置され、風下側コア部21を補強している。図2及び図3では、風下側コア部21を構成する風下側チューブ21c、フィン21d及びサイドプレート21eの図示が省略されている。
図3に示されるように、風下側コア部21は、第1コア部21a及び第2コア部21bを有している。第1コア部21aは、複数の風下側チューブ21cの一部で、一つの列を成すように配列された一群の風下側チューブ21cによって構成されている。第2コア部21bは、複数の風下側チューブ21cの残部で、一つの列を成すように配列された一群の風下側チューブ21cによって構成されている。第1コア部21a及び第2コア部21bは、X方向に隣り合うように配置されている。空気が流れる−Y方向に沿って冷媒蒸発器1を見た場合に、第1コア部21aは右側に配置されたチューブ群で構成され、第2コア部21bは左側に配置されたチューブ群で構成されている。また、−Y方向に沿って冷媒蒸発器1を見た場合に、第1コア部21aは第3コア部11aと重複し、第2コア部21bは第4コア部11bと重複するように配置されている。これにより、−Y方向に流れる空気は、その一部が第3コア部11aを通過した後に第1コア部21aを通過する一方で、他の一部が第4コア部11bを通過した後に第2コア部21bを通過する。第1コア部21a及び第2コア部21bは、いずれも、Y方向の寸法に比べてX方向の寸法が大きい幅広形状となっている。
風下側分配タンク部22は、風下側コア部21の上方に配置されている。風下側分配タンク部22は、筒状体であり、冷媒を流す流路が内部に形成されている。風下側分配タンク部22は、−Y方向に沿って見た場合に、左端が閉塞され、右端に冷媒入口22aが形成されている。冷媒入口22aは、不図示の膨張弁によって減圧された低圧冷媒を導入する。風下側分配タンク部22の底部には、不図示の貫通孔が複数形成されている。当該貫通孔には、風下側コア部21を構成する複数の風下側チューブ21cの上端部が挿入され接合されている。つまり、風下側分配タンク部22は、その内部の流路が風下側コア部21の複数の風下側チューブ21cに連通するように構成されている。これにより、風下側分配タンク部22は、風下側コア部21を構成する複数の風下側チューブ21cへ冷媒を分配するための分配部として機能する。
風下側集合タンク部23は、風下側コア部21の下方に配置されている。風下側集合タンク部23は、両端が閉塞された筒状体であり、冷媒を流す流路が内部に形成されている。風下側集合タンク部23は、X方向に沿って延びるように形成されおり、そのX方向寸法はL2である。当該寸法L2は、前述した風上側分配タンク部13のX方向寸法L1と同程度である。風下側集合タンク部23の上部には、不図示の貫通孔が複数形成されている。当該貫通孔には、風下側コア部21を構成する複数の風下側チューブ21cの下端部が挿入され接合されている。つまり、風下側集合タンク部23は、その内部の流路が複数の風下側チューブ21cに連通するように構成されている。
風下側集合タンク部23の内部であって、X方向の中央位置には、仕切板23cが配置されている。仕切板23cは、風下側集合タンク部23の内部流路を、第1集合部23aと、第2集合部23bとに区画している。第1集合部23aは、第1コア部21aを構成する複数の風下側チューブ21cに連通する空間である。第1集合部23aは、第1コア部21aを構成する複数の風下側チューブ21cから流出した冷媒を集める。第2集合部23bは、第2コア部21bを構成する複数の風下側チューブ21cに連通する空間である。第2集合部23bは、第2コア部21bを構成する複数の風下側チューブ21cから流出した冷媒を集める。すなわち、風下側集合タンク部23は、第1コア部21aから流出する冷媒と、第2コア部21bから流出する冷媒とを別々に集める集合部として機能する。
風下側集合タンク部23の側面であって中間タンク部33側の部分には、第1集合部連通口231及び第2集合部連通口232が形成されている。第1集合部連通口231は、風下側集合タンク部23の管壁を貫通し、第1集合部23aの内外を連通している。また、第2集合部連通口232は、風下側集合タンク部23の管壁を貫通し、第2集合部23bの内外を連通している。
中間タンク部33は、風上側蒸発部10の風上側分配タンク部13と、風下側蒸発部20の風下側集合タンク部23との間に設けられている。中間タンク部33は、冷媒が流れる流路が内部に形成された筒状体である。中間タンク部33は、X方向に沿って延びるように形成されおり、そのX方向寸法はL3である。当該寸法L3は、前述した風上側分配タンク部13のX方向寸法L1、及び、風下側集合タンク部23のX方向寸法L2よりも小さい。中間タンク部33は、X方向において、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の中央部寄りの位置に配置されている。
図3に示されるように、中間タンク部33の内部には仕切部材34が設けられている。図4に示されるように、仕切部材34は、いずれも所定の厚みを有する板状の側板34a,34b及び底板34cを有している。側板34a,34bは、互いに間隔を空けて配置されるとともに、その一端が中間タンク部33の内壁面に沿うように湾曲形成されている。底板34cは、側板34a,34bの他端を連結するように延びている。
仕切部材34は、中間タンク部33内の上部寄りの部位に設けられている。図3に示されるように、中間タンク部33内は、この仕切部材34によって第1通路33aと第2通路33bとに区画されている。
第1通路33aは、中間タンク部33の上部の管壁と、仕切部材34の側板34a,34b及び底板34cによって囲まれる空間である。第1通路33aの容積は、第2通路33bの容積よりも小さい。
第2通路33bは、中間タンク部33内の空間のうち、第1通路33aの周囲に形成される部分である。第2通路33bは、絞り流路33kを有する。絞り流路33kは、仕切部材34によって中間タンク部33の下部に形成されている。また、絞り流路33kの上流側には端部流路33mが形成され、下流側には端部流路33nが形成されている。端部流路33m,33nは、いずれも絞り流路33kよりも流路断面積が大きい。
図3に示されるように、中間タンク部33の側面であって風下側集合タンク部23側の部分には、第1連通口331及び第2連通口332が形成されている。第1連通口331は、中間タンク部33の管壁を貫通し、第1通路33aの内外を連通している。また、第2連通口332は、中間タンク部33の管壁を貫通し、第2通路33bの内外を連通している。
また、中間タンク部33の側面であって風上側分配タンク部13側の部分には、第3連通口333及び第4連通口334が形成されている。第3連通口333は、中間タンク部33の管壁を貫通し、第2通路33bの内外を連通している。また、第4連通口334は、中間タンク部33の管壁を貫通し、第1通路33aの内外を連通している。
図2に示されるように、中間タンク部33は、風上側蒸発部10の風上側分配タンク部13、及び、風下側蒸発部20の風下側集合タンク部23と接続されている。これにより、中間タンク部33の第1連通口331は、風下側集合タンク部23の第1集合部連通口231と接続され、中間タンク部33の第2連通口332は、風下側集合タンク部23の第2集合部連通口232と接続される。また、中間タンク部33の第3連通口333は、風上側分配タンク部13の第1分配部連通口131と接続され、中間タンク部33の第4連通口334は、風上側分配タンク部13の第2分配部連通口132と接続される。
以上説明したように構成された冷媒蒸発器1は、X方向における両端部をパッキン61,62に当接させることによって固定され、不図示の冷凍サイクルに用いられる。パッキン61,62は、風上側蒸発部10及び風下側蒸発部20の外側面と当接し、両者の間に形成される隙間をシールするように設けられる。このパッキン61,62により、風上側蒸発部10の風上側コア部11を−Y方向に通過した空気が、風下側蒸発部20の風下側コア部21を通過することなく外部に漏出してしまうことを抑制できる。
次に、図3を参照しながら、冷媒蒸発器1における冷媒の流れと、それによる空気の冷却について説明する。
不図示の冷凍サイクルの圧縮機が駆動すると、不図示の膨張弁によって減圧された低圧冷媒が、液相の状態で冷媒蒸発器1に供給される。冷媒は、矢印Aで示されるように、冷媒入口22aから風下側分配タンク部22の内部に導入される。この冷媒は、風下側分配タンク部22の内部において分配され、矢印B及び矢印Cで示されるように、風下側コア部21の第1コア部21a及び第2コア部21bに流入する。
第1コア部21a及び第2コア部21bに流入した冷媒は、それぞれを構成する複数の風下側チューブ21cの内部を下方に流れる。このとき、複数の風下側チューブ21cの内部を流れる冷媒が、複数の風下側チューブ21cの間を−Y方向に通過する空気と熱交換を行う。これにより、液相の冷媒の一部が蒸発して空気から吸熱し、空気の冷却が行われる。
第1コア部21aの下端部から流出した冷媒は、矢印Dで示されるように、風下側集合タンク部23の第1集合部23aに流入して集められる。また、第2コア部21bの下端部から流出した冷媒は、矢印Eで示されるように、風下側集合タンク部23の第2集合部23bに流入して集められる。
第1集合部23aに集められた冷媒は、矢印Fで示されるように、第1集合部連通口231を介して第1集合部23aから排出される。この冷媒は、第1連通口331を介して第1通路33aに流入する。また、第2集合部23bに集められた冷媒は、矢印Gで示されるように、第2集合部連通口232を介して第2集合部23bから排出される。この冷媒は、第2連通口332を介して第2通路33bの端部流路33mに流入する。
第2通路33bの端部流路33mに流入した冷媒は、第1通路33aの下方に回り込むようにして絞り流路33kに流入する。絞り流路33kは端部流路33mよりも流路断面積が小さいため、絞り流路33kに流入した冷媒は流速が増加する。絞り流路33kを高速で流れた冷媒は、その下流側の端部流路33nに流入する。この冷媒は、第3連通口333に向かって流れる。
中間タンク部33の第1通路33aを通過した冷媒は、矢印Hで示されるように、第4連通口334を介して第1通路33aから排出される。この冷媒は、風上側分配タンク部13に向かって流れ、第2分配部連通口132を介して第2分配部13bに流入する。
一方、中間タンク部33の第2通路33bを通過した冷媒は、矢印Iで示されるように第3連通口333を介して第2通路33bから排出される。この冷媒は、風上側分配タンク部13に向かって流れ、第1分配部連通口131を介して第1分配部13aに流入する。
第1分配部13aに流入した冷媒は、矢印Kで示されるように、第3コア部11aの下端部から流入する。詳細には、第1分配部13aの冷媒は、第3コア部11aを構成する複数の風上側チューブ11cに分配される。
第2分配部13bに流入した冷媒は、矢印Jで示されるように、第4コア部11bの下端部から流入する。詳細には、第2分配部13bの冷媒は、第4コア部11bを構成する複数の風上側チューブ11cに分配される。
第3コア部11a及び第4コア部11bに流入した冷媒は、それぞれを構成する複数の風上側チューブ11cの内部を上方に流れる。このとき、複数の風上側チューブ11cの内部を流れる冷媒が、複数の風上側チューブ11cの間を−Y方向に通過する空気と熱交換を行う。これにより、液相の冷媒の一部が蒸発して空気から吸熱し、空気の冷却が行われる。
第3コア部11a及び第4コア部11bの上端部から流出した冷媒は、矢印M及び矢印Lで示されるように、いずれも風上側集合タンク部12の内部に流入して合流する。この冷媒は、矢印Nで示されるように、風上側集合タンク部12の内部を流れ、冷媒出口12aから冷媒蒸発器1の外部に流出する。この後、冷媒は、不図示の圧縮機の吸入側に供給される。
このように、第1コア部21aの近傍の冷媒入口22aから風下側分配タンク部22内に冷媒を流入させる構成では、第1コア部21aと第2コア部21bとに分配される冷媒の流量に差異が生じる。すなわち、冷媒入口22aに近く冷媒が流入し易い第1コア部21aには、冷媒入口22aから遠い第2コア部21bと比べて、大きな流量の冷媒が供給される傾向がある。
このような冷媒の流量の差異が生じると、第1コア部21aを通過する空気は、第2コア部21bを通過する空気と比べて、冷媒との間の熱交換を活発に行う。このため、−Y方向に通過する空気において温度分布の偏りが生じるおそれがある。
そこで、冷媒蒸発器1は、上記のように、風下側集合タンク部23から風上側分配タンク部13へ向かう冷媒を、−Y方向に対して交差させるように構成されている。つまり、風下側集合タンク部23の第1集合部23a内の冷媒は、中間タンク部33を介して風上側分配タンク部13の第2分配部13bに導かれる。さらに、風下側集合タンク部23の第2集合部23b内の冷媒は、中間タンク部33を介して風上側分配タンク部13の第1分配部13aに導かれる。
このように、冷媒を−Y方向に対して交差するように入れ替えることにより、第1コア部21a及び第3コア部11aを通過する一部の空気が熱交換を行う冷媒の流量と、第2コア部21b及び第4コア部11bを通過する他の一部の空気が熱交換を行う冷媒の流量と、の差異を小さくすることが可能となる。この結果、−Y方向に通過する空気において温度分布の偏りを抑制することが可能となる。
ところで、風上側コア部11及び風下側コア部21の外側面では、冷媒と空気との熱交換に基づいて凝縮水が発生することがある。当該凝縮水は、図2に矢印W1,W2で示されるように、風上側コア部11及び風下側コア部21の外側面を伝って下方に流れる。この凝縮水が、風上側分配タンク部13、風下側集合タンク部23、及び中間タンク部33の間の隙間CLに流入して滞留すると、種々の不具合を招来するおそれがある。具体的には、この隙間CLに滞留する凝縮水が、空気の通過を阻害したり、凍結して体積が膨張し、風上側分配タンク部13、風下側集合タンク部23、及び中間タンク部33を破損させたりするおそれがあった。
そこで、冷媒蒸発器1には、隙間CLに流入する凝縮水を外部に排出するための構成が設けられている。次に、図5を参照しながら、この構成の詳細について説明する。図5では、風下側蒸発部20の図示を省略している。
前述したように、中間タンク部33のX方向寸法L3は、風上側分配タンク部13のX方向寸法L1、及び、風下側集合タンク部23のX方向寸法L2よりも小さい。中間タンク部33の端部は、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の端部よりも、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の中央部側に配置される。
さらに、中間タンク部33は、X方向において、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の中央部寄りの位置に配置されている。このため、中間タンク部33の端部とパッキン61,62との間に隙間が形成される。当該隙間が、排水路40a,40bとなる。
風上側コア部11及び風下側コア部21の外側面で発生した凝縮水は、矢印W3,W4で示されるように、風上側コア部11及び風下側コア部21の外側面を伝って下方に流れる。当該凝縮水は、隙間CLに流入するとともに、中間タンク部33の上面に至る。
凝縮水は、さらに、中間タンク部33の上面を伝ってX方向の両端部に流れ、排水路40a,40bに至る。凝縮水は、両端部から落下することで排水路40a,40bを通過し、隙間CLの外部に排出される。
すなわち、この構成によれば、風上側蒸発部10及び風下側蒸発部20の外側面で発生した凝縮水が、風上側分配タンク部13、風下側集合タンク部23及び中間タンク部33の間の隙間CLに流入した場合でも、当該凝縮水は排水路40a,40bを介して外部に排出される。
また、中間タンク部33は、X方向における寸法L3が、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23のX方向における寸法L1,L2よりも小さく形成されている。排水路40a,40bは、この中間タンク部33の端部が、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の端部よりも、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の中央部側に配置されることによって形成されている。したがって、X方向における冷媒蒸発器1の端部をパッキン61,62に当接させた場合であっても、パッキン61,62と中間タンク部33の端部との間に排水路40a,40bを確保し、凝縮水を確実に排出することが可能になる。
また、中間タンク部33は、X方向において、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の中央部寄りの位置に配置されている。これにより、中間タンク部33のX方向側端部に排水路40aを形成し、中間タンク部33の−X方向側端部に排水路40bを形成することが可能になる。このように2つの排水路を形成することにより、隙間CLから確実に凝縮水を排出することが可能になる。
次に、第2実施形態に係る冷媒蒸発器1Aについて、図6及び図7を参照しながら説明する。この冷媒蒸発器1Aは、第1実施形態と同様に、不図示の冷凍サイクルに用いられる。冷媒蒸発器1Aは、中間タンク部33Aの両端部に当接補助部50a,50bが固定されている点で、第1実施形態と異なる。冷媒蒸発器1Aのうち、冷媒蒸発器1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
当接補助部50a,50bは、パッキン61,62と当接し、冷媒蒸発器1Aの風上側蒸発部10と風下側蒸発部20との間に形成される隙間を、より確実にシールすることを目的として設けられる。当接補助部50a,50bは、互いに略同一形状を呈している。したがって、ここでは主に当接補助部50aについて説明し、当接補助部50bの説明を適宜省略する。
図6に示されるように、当接補助部50aは、第1通路33a及び第2通路33bを構成する中間タンク部33の壁体330をX方向に延伸させることによって形成されている。当接補助部50aのX方向側の端部には、当接板52aが形成されている。当接板52aは、X方向において風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の端部と対応する位置に配置されている。
また、当接補助部50aの上部と下部には、延伸した壁体330を貫通する第1開口53aと第2開口54aとが形成されている。第1開口53a及び第2開口54aは、鉛直方向に互いに対向する位置に形成されている。このように形成された当接補助部50aは、中間タンク部33Aの端部33x1からX方向に延びる一対の支持部51a,51aが、当接板52aを支持する構成を呈している。
同様に、当接補助部50bにおいても、第1開口53b及び第2開口54bが形成されている。当接補助部50bは、中間タンク部33Aの−X方向側の端部33x2から−X方向に延びる一対の支持部51b,51bが、当接板52bを支持する構成を呈している。当接板52bは、X方向において風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の端部と対応する位置に配置されている。
このような当接補助部50a,50bが中間タンク部33に対して固定されると、図7に示されるように、当接補助部50aの当接板52aがパッキン61と当接し、当接補助部50bの当接板52bがパッキン62と当接する。これにより、風上側蒸発部10と風下側蒸発部20との間に形成される隙間は、風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の両端に加え、当接補助部50a,50bにおいてもシールされる。
風上側コア部11及び風下側コア部21の外側面で発生した凝縮水は、矢印W5,W6で示されるように、風上側コア部11及び風下側コア部21の外側面を伝って下方に流れる。当該凝縮水は、隙間CLに流入するとともに、中間タンク部33Aの上面に至る。
凝縮水は、さらに、中間タンク部33Aの上面を伝ってX方向の両端部に流れて第1開口53a,53bに流入する。当該凝縮水は、落下し、第1開口53a,53bと対向する位置に形成された第2開口54a,54bを介して外部に排出される。すなわち、第1開口53a,53bから第2開口54a,54bに通じる空間が、排水路55a,55bとなる。
この第2実施形態に係る冷媒蒸発器1Aは、当接補助部50a,50bを備えている。当接補助部50a,50bは、中間タンク部33Aに対して固定されているとともに、X方向において風上側分配タンク部13及び風下側集合タンク部23の端部と対応する位置に配置される。この構成によれば、排水路55a,55bによって凝縮水を外部に排出しながらも、当接補助部50a,50bをパッキン61,パッキン62に当接させ、風上側蒸発部10と風下側蒸発部20との間に形成される隙間を、より確実にシールすることが可能になる。
また、当接補助部50a,50bは、第1通路33a及び第2通路33bを構成する壁体330をX方向に沿って延伸させることによって形成されている。排水路55a,55bは、該壁体330に第1開口53a,53b及び第2開口54a,54bを形成することによって形成されている。この構成によれば、当接補助部50a,50bや排水路55a,55bを形成することが可能になる。
排水路55a,55bは、壁体330に形成された第1開口53a,53bと、第1開口53a,53bと対向する位置に形成された第2開口54a,54bと、の間に形成されている。この構成によれば、第1開口53a,53bに流入した凝縮水を落下させ、第2開口54a,54bを介して外部に排出することが可能になる。すなわち、排水路55a,55bを複雑な形状とすることなく、凝縮水を確実に外部に排出することが可能になる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。