下水、河川水、湖沼水、又は、海水等の被処理水を処理する水処理装置の一つとして、上向流式の水処理装置が知られている。該上向流式の水処理装置は、被処理水が供給されて被処理水の水処理が行われる水処理空間を形成する処理槽本体と、各種の濾材によって形成されて水処理空間内に配置される濾材層とを備える。また、上向流式の水処理装置は、水処理空間における濾材層よりも下方の位置へ被処理水を供給可能に構成される。
上記のような上向流式の水処理装置を用いて被処理水の水処理を行う際には、水処理空間における濾材層よりも下方の位置へ被処理水を継続的に供給し、被処理水を下方から上方へ向かって濾材層に通過させることで、被処理水がろ過される。そして、ろ過された被処理水は、水処理空間における濾材層よりも上方の領域に貯水された後、処理槽本体から集水トラフへ流出するように構成されている。
ところで、上記のような上向流式の水処理装置のように、濾材層を備えた水処理装置では、継続的な使用によって、濾材層に夾雑物や懸濁物が付着し、濾材層が目詰まりする。このため、定期的に濾材層を洗浄することが必要となる。濾材層を洗浄する方法としては、気泡を含んだ水(以下、洗浄水とも記す)を下方から上方へ向かって濾材層に通過させることで、夾雑物等を濾材層から分離させる気水洗浄工程を行うものが提案されている(特許文献1,2参照)。
ところで、上記のような上向流式の水処理装置は、処理槽本体内の水を処理槽本体の外側へ抜き出す水抜装置を更に備える。該水抜装置は、濾材層から上方へ離間した位置に配置される。また、水抜装置は、水処理空間内に配置されて水処理空間内の水を吸い込む吸込管状部と、該吸込管状部と流体的に連結されて処理槽本体の外側へ水処理空間内の水を抜き出す水抜管状部とを備える。
吸込管状部は、上下方向に延びるように配置され、水処理空間内の水を内側へ流入させる吸込部を下端部に備える。また、吸込管状部は、吸込部よりも上方の位置で水抜管状部と流体的に連結されている。一方、水抜管状部は、略水平に延びるように配置され、吸込管状部から流入する水を処理槽本体の外側へ抜き出すように構成されている。
そして、上記のような水抜装置を備える水処理装置において、濾材層を洗浄するべく、気水洗浄工程を行う際には、水処理空間内の水位を所定の範囲に調節する。具体的には、吸込管状部内の水位は、水処理空間内の水位の上下に伴って上下し、水処理空間内の水位と略同一の高さ位置になる。このため、水処理空間内の水位が吸込管状部と水抜管状部との接続部分(以下、管状部接続部とも記す)よりも高い水位になると、吸込部から吸込管状部内へ流入した水処理空間内の水が管状部接続部を超えて水抜管状部へ流入し易くなる。
ここで、気水洗浄工程を行うことによって洗浄水が下方から上方へ向かって濾材層を通過するため、濾材層を構成する濾材が水処理空間内の水中で飛散することとなる。このため、水処理空間内の水位が管状部接続部よりも高い水位になった状態で、気水洗浄工程を行うと、飛散した濾材を含んだ水が吸込管状部内に流入し、管状部接続部を超えて水抜管状部内に流入する虞がある。このように、飛散した濾材を含んだ水が水抜管状部内に流入すると、濾材が処理槽本体の外側へ流出してしまう虞がある。
また、水抜管状部が鋼管やSUS管である場合、気水洗浄工程を行った際に、濾材や泥が水抜管状部内に流入すると、水抜管状部内に溜まった濾材や泥の下が酸素濃淡電池となり、水抜管状部が腐食しやすい環境になる。
そこで、管状部接続部よりも水処理空間内の水位が低くなるように水処理空間内の水位を調節した状態で気水洗浄工程を開始し(具体的には、水処理空間への洗浄水の供給を開始し)、洗浄水の供給によって上昇する水位が管状部接続部に達する前に気水洗浄工程を終了する(具体的には、水処理空間への洗浄水の供給を停止する)ことで、濾材を含んだ水が吸込管状部から水抜管状部へ流入するのを防止し、これによって、濾材が処理槽本体の外側へ流出するのが防止される。
ところで、上記のような気水洗浄工程では、濾材層と洗浄水との接触時間を長くする方が濾材の洗浄効果が高まる。このため、気水洗浄工程は、水処理空間内の水位が管状部接続部の高さ位置の近傍に達するまで行われる(水処理空間への洗浄水の供給を停止しない)場合がある。斯かる場合には、吸込管状部内に流入した濾材を含んだ水が、意図せずに管状部接続部を超えて水抜管状部内に流入する虞があるため、濾材が処理槽本体の外側へ流出する虞がある。
以下、本発明の一実施形態について図1,2を参照しながら説明する。なお、以下の図面において同一又は相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
本実施形態に係る水処理装置1は、図1に示すように、濾材が収容されると共に被処理水の水処理が行われる水処理空間R1を形成する処理槽本体2と、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ抜き出す水抜装置3と、各種の濾材を用いて水処理空間R1内に形成された濾材層4と、該濾材層4を通過した被処理水(以下、処理水とも記す)が流入することで該処理水を処理槽本体2の外側へ排出する集水トラフ5とを備える。
また、水処理装置1は、水処理空間R1における濾材層4よりも下方の領域(以下、水供給空間R2とも記す)に被処理水を供給する水供給装置6を備える。そして、水処理装置1は、水供給装置6から水供給空間R2へ被処理水が継続的に供給されることで、水処理空間R1内の水位が上昇し、被処理水が下方から上方へ向かって濾材層4を通過するように構成される。つまり、本実施形態では、水処理装置1は、所謂、上向流式の水処理装置である。
また、水処理装置1は、水処理空間R1における濾材層4よりも下方の位置に気泡を供給する気泡供給装置7を備える。該気泡供給装置7は、水処理空間R1における濾材層4よりも下方の位置へ空気を供給する空気供給装置7aと、該空気供給装置7aから供給される気体(気泡)を洗浄用の水(本実施形態では、被処理水)と共に水処理空間R1内に供給する配水装置7bとを備える。また、水処理装置1は、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ排出する排水装置8を備える。該排水装置8は、水処理空間R1における濾材層4よりも下方の位置から水処理空間R1内の水を排出するように構成される。
前記水抜装置3は、水処理空間R1内に配置される部分が濾材層4よりも上方に位置するように構成される。具体的には、水抜装置3は、水処理空間R1内に配置されて水処理空間R1内の水を吸い込む吸込管状部3aと、水処理空間R1内に配置されると共に吸込管状部3aと流体的に連結されて吸込管状部3aから流入する水を処理槽本体2の外側へ抜き出す水抜管状部3bとを備える。そして、吸込管状部3a及び水抜管状部3bが濾材層4よりも上方に配置される。そして、水抜装置3は、サイフォンの原理によって、水処理空間R1内の水を吸込管状部3a内に吸い込み、吸込管状部3aに吸い込まれた水が水抜管状部3bを通って処理槽本体2の外側へ流出するように構成される。なお、水処理空間R1における偏在した位置から水を抜き出すのではなく、水処理空間R1の広い領域において水の抜き出しを行うことが好ましい。このため、水抜装置3を複数設置したり、吸込管状部3aを複数備える水抜装置3を設置したりすることで、水処理空間R1からの水の抜き出し位置が偏在しないように構成することが好ましい。
吸込管状部3aは、上下方向に延びるように形成される。また、吸込管状部3aは、水処理空間R1内の水を吸い込む吸込部3cを下端部に備える。該吸込部3cは、下方へ向かって開口する開口端部3dを備え、該開口端部3dの内側に想定される開口面が上下方向に対して略直交するように構成される。換言すれば、開口端部3dは、開口方向が垂直方向下方となるように形成される。
水抜管状部3bは、上下方向に対して交差する方向に延びるように形成される。また、水抜管状部3bは、吸込部3cよりも上方の位置で吸込管状部3aと流体的に連結される。また、水抜管状部3bは、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ抜き出す際に水抜管状部3b内を流れる水の流通方向(以下、流出方向とも記す)の上流側から下流側へ向かって上方へ傾斜するように配置される。具体的には、水抜管状部3bは、吸込管状部3aとの連結位置から前記流出方向の下流側へ向かうに従って上方へ傾斜するように配置される。
より詳しくは、水抜管状部3bは、図2に示すように、水処理空間R1内の水を流通させる内部空間R3を形成しており、該内部空間R3は、前記流出方向の上流側から下流側へ向かって上方へ傾斜するように形成される。水抜管状部3bの傾斜角度θとしては、特に限定されるものではなく、例えば、1°以上45°以下であることが好ましく、10°以上30°以下であることがより好ましい。なお、傾斜角度θは、水抜管状部3b(具体的には、内部空間R3)の軸線L2と水平線L1との間の角度である。
図1に戻り、前記集水トラフ5は、水抜装置3における水処理空間R1内に配置される部分(具体的には、吸込管状部3a及び水抜管状部3b)よりも上方に配置される。また、集水トラフ5は、水処理空間R1内の水位が集水トラフ5よりも高くなった際に、水処理空間R1内の水が流入するように構成される。これにより、濾材層4を下方から上方へ向かって通過した被処理水(処理水)が集水トラフ5へ流入することで、処理槽本体2の外側へ排出される。
次に、上記のように構成される水処理装置1の使用方法の概要について説明する。該水処理装置1を用いて、被処理水を処理する際には、水供給装置6の弁(以下では、原水弁とも記す)(図示せず)を開き、水供給装置6から水供給空間R2へ被処理水を継続的に供給する。これにより、被処理水は、水処理空間R1内を下方から上方へ向かって上昇しつつ濾材層4を通過する。そして、濾材層4を通過した被処理水(以下、処理水とも記す)が集水トラフ5に流入することで処理水が処理槽本体2の外側へ排出される(通水工程)。つまり、通水工程では、水処理空間R1内の水位が集水トラフ5よりも高くなることで、集水トラフ5へ処理水が流入する。このため、通水工程では、水処理空間R1内の水位は、吸込管状部3a及び水抜管状部3bよりも高くなっている。
上記のような通水工程を継続的に行うと、濾材層4(例えば、活性炭層やその支持層である砂利層など)や配水装置7bに夾雑物等が溜まり通水の抵抗が高くなるため、定期的に洗浄を行う必要がある。具体的には、まず初めに、水供給装置6の原水弁を閉じ、排水装置8の弁(以下では、排水弁とも記す)(図示せず)を開いて水処理空間R1内の水を排出する(具体的には、例えば、水を排出した後においても水抜装置3が完全に浸水した状態になる程度に水を排出する)(排水工程)。これにより、水処理空間R1内の水位を所定の水位まで低下させる。
次に、排水装置8の排水弁を閉じ、水処理空間R1内で浮遊している活性炭を沈降させる(第一沈静工程)。
そして、水抜装置3の弁(以下では、中間排水弁とも記す)(図示せず)を開き、水処理空間R1内の水位を所定の水位まで更に低下させる(第一水抜工程)。
第一水抜工程(水位調節工程)では、水処理空間R1内の水位を所定の水位に調節する。具体的には、第一水抜工程(水位調節工程)では、図2に示すように、吸込管状部3aと水抜管状部3bとが流体的に連結された部分(以下、連結部分とも記す)3eと、吸込管状部3aの下端(具体的には、吸込部3c)との間の高さ位置h1に水処理空間R1内の水位を調節する。なお、以下の説明では、第一水抜工程(水位調節工程)によって前記高さ位置h1に調節された水位を洗浄開始水位h1とも記す。
第一水抜工程(水位調節工程)では、水抜装置3のサイフォンの原理によって、水処理空間R1内の水が吸込部3c(開口端部3d)から吸込管状部3a内に吸い込まれ、吸込管状部3aから水抜管状部3bを通って処理槽本体2の外側へ抜き出されることで、水処理空間R1内の水位が調節される。
そして、第一水抜工程(水位調節工程)によって水処理空間R1内の水位が洗浄開始水位h1になった状態において、水抜装置3の中間排水弁を閉じ、空気供給装置7aの弁(以下では、空気弁とも記す)(図示せず)を開いて空気を水処理空間R1内へ供給する。これにより、濾材層4に溜まっている夾雑物等を濾材から分離させる(空気洗浄工程)。
次に、濾材層4を構成する濾材と気泡を含んだ水(洗浄水)とを接触させて濾材を洗浄する(気水洗浄工程)。具体的には、気水洗浄工程は、空気洗浄工程を行いつつ、水供給装置6の原水弁を開いて被処理水を水処理空間R1内へ供給することで行われる。これにより、濾材層4内の夾雑物等が濾材から剥離されながら濾材層4の上側へ押し出される。
より詳しくは、気水洗浄工程では、水処理空間R1内の水位が前記洗浄開始水位h1になった状態で、水処理空間R1における濾材(濾材層4)よりも下方の位置(水供給空間R2)へ、洗浄水の継続的な供給を開始する。本実施形態では、洗浄水は、水供給装置6から水供給空間R2へ供給される気泡を含まない洗浄用の水(被処理水)と、空気供給装置7aから配水装置7bを介して水処理空間R1に供給された空気(気泡)とが混ざり合うことで形成される。配水装置7bとしては、例えば、多孔板式、ノズル式のものが用いられる。
そして、洗浄水が水処理空間R1へ供給されることで、水処理空間R1内の水位が上昇すると共に、濾材層4を構成する濾材と洗浄水とが接触して濾材が洗浄される。この際、濾材は、洗浄水中に飛散した状態となる。そして、吸込管状部3aと水抜管状部3bとの連結部分3eの高さ位置を超える高さ位置(以下では、気水洗浄停止水位とも記す)h2に水処理空間R1内の水位が達した際に、洗浄水の供給を停止する(換言すれば、気水洗浄工程を停止する)。具体的には、気水洗浄停止水位h2は、連結部分3eの高さ位置を超え、集水トラフ5の高さ位置(集水トラフ5への水の流入が生じる高さ位置)h3よりも低い水位である。気水洗浄停止水位h2としては、特に限定されるものではなく、例えば、集水トラフ5の高さ位置h3から下方へ30cm以上50cm以下に設定することができる。
気水洗浄工程後、水供給装置6の原水弁、及び、空気供給装置7aの空気弁を閉じ、気水洗浄工程によって流動した濾材を沈降させる(第二沈静工程)。
第二沈静工程後、水処理空間R1へ気泡を含まない非気泡水(前記洗浄水を形成する水であってもよく、別途準備した他の水であってもよい)を水処理空間R1における濾材(濾材層4)よりも下方の位置(水供給空間R2)へ供給する(水洗浄工程)。具体的には、水供給装置6の原水弁を開け、水処理空間R1内に被処理水(非気泡水)を供給し、水処理空間R1内の水位を所定の水位まで上昇させる。これにより、濾材層4内の夾雑物等が濾材層4の上側へ押し出される。なお、「非気泡水」とは、気泡を意図的に含ませていない水であって、不可避的な気泡を含有した水を含むものである。
そして、水処理空間R1内の水位が前記集水トラフ5の高さ位置(集水トラフ5への水の流入が生じる高さ位置)h3に達する前に水処理空間R1(水供給空間R2)への非気泡水の供給を停止する(換言すれば、水洗浄工程を停止する)。具体的には、水処理空間R1内の水位が気水洗浄停止水位h2を超えて集水トラフ5の高さ位置h3よりも低い高さ位置(以下では、水洗浄停止水位とも記す)h4に達した際に水洗浄工程を停止する。
水洗浄工程によって水処理空間R1内の水位が水洗浄停止水位h4に達した状態で、水供給装置6の原水弁を閉じ、水洗浄工程によって流動した濾材を沈降させる(第三沈静工程)。
その後、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ排出する(第二水抜工程)。具体的には、水抜装置3の中間排水弁を開き、水処理空間R1内の水を水抜装置3のサイフォンの原理によって、処理槽本体2の外側へ抜き出す。これにより、濾材から分離された夾雑物等を含んだ水が処理槽本体2の外側へ排出される。なお、第二水抜工程は、水抜装置3のサイフォンの原理による排水が停止することで終了してもよく、サイフォンの原理による排水が停止する直前に中間排水弁を閉じることで終了してもよい。
この際、水抜管状部3b内に侵入した濾材(気水洗浄工程や非気泡水供給工程を行うことで水処理空間R1内の水に飛散して水抜管状部3b内に流入した濾材)Xは、処理槽本体2の外側へ流出するのが抑制される。具体的には、水抜管状部3bは、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ抜き出す際に水抜管状部3b内を流れる水の流通方向の上流側から下流側へ向かって上方へ傾斜している。このため、水抜管状部3b内で沈降して堆積した濾材Xが処理槽本体2の外側へ向かって移動するためには、水抜管状部3b内の傾斜を登るように移動することが必要になる。これにより、水抜管状部3b内に侵入した濾材Xが処理槽本体2の外側へ向かって水抜管状部3b内を移動し難くなるため、水処理空間R1から処理槽本体2の外側へ濾材Xが流出するのが抑制される。
第二水抜工程後、処理槽本体2の外側から水処理空間R1側へ向かって水抜管状部3b内に水を流す逆流工程を行う。具体的には、水抜装置3がサイフォンの原理によって水処理空間R1内の水を抜き出す際には、吸込管状部3a及び水抜管状部3bは、水で満たされた状態となっている。このため、水処理空間R1内の水位を吸込部3cの高さ位置以下の高さ位置に調節することで、吸込部3cから吸込管状部3a内及び水抜管状部3b内に空気が流入し、吸込管状部3a内及び水抜管状部3b内を満たしていた水が下流側から上流側へ逆流して、水処理空間R1へ排出されることになる。これにより、処理槽本体2の外側から水処理空間R1側へ向かう水流が水抜管状部3b内に形成される。そして、水抜管状部内に堆積した濾材が水抜管状部内の前記水流と水抜管状部の傾斜とによって水処理空間R1側へ強制的に移動される(換言するれば、水処理空間R1内へ回収される)ため、水処理空間R1から処理槽本体2の外側へ濾材Xが流出するのが抑制される。
その後、水抜装置3の中間排水弁を閉じ、水供給装置6の原水弁を開いて被処理水を水供給空間R2へ供給し、被処理水を下方から上方へ向かって濾材層4に通過させることで、被処理水の水処理が再開される。このように、通水工程から第二水抜工程までの流れを定期的に繰り返すことで、被処理水の処理と濾材層4の洗浄とを継続して行うことができる。
なお、水供給装置6の原水弁、排水装置8の排水弁、水抜装置3の中間排水弁、及び、空気供給装置7aの空気弁としては、特に限定されるものではなく、例えば、電磁弁等を用いることができる。
以上のように、本発明に係る水処理装置、及び、濾材の流出抑制方法によれば、水抜管状部に濾材を含む水が流入した際にも、処理槽本体の外側へ濾材が流出するのを抑制することができる。
即ち、水抜管状部3bは、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ抜き出す際に水抜管状部3b内を流れる水の流通方向の上流側から下流側へ向かって上方へ傾斜するように配置される。これにより、濾材Xを含んだ水処理空間R1内の水(以下、濾材含有水とも記す)が水抜管状部3b内に流入して濾材Xが水抜管状部3b内に堆積した際にも、水抜管状部3bから処理槽本体2の外側へ濾材Xが流出するのを抑制することができる。
具体的には、水抜管状部3bが上記のように傾斜するように配置されることで、水抜管状部3b内に堆積した濾材Xは、処理槽本体2の外側へ移動するために、水抜管状部3b内の傾斜を登るように移動することになるため、水抜管状部3b内に堆積した濾材Xが水抜管状部3bから処理槽本体2の外側へ移動し難くなる。これにより、処理槽本体2の外側へ濾材Xが流出してしまうのを抑制することができる。
また、前記水抜装置3は、水処理空間R1内に配置されると共に上下方向に延びるように形成されて水処理空間R1内の水を吸い込む吸込管状部3aを備えており、吸込管状部3aは、水処理空間R1内の水を吸い込む吸込部3cを下端部に備え、該吸込部3cよりも上方の位置で水抜管状部3bと流体的に連結される。これにより、水処理空間R1内の水位によっては、水処理空間R1内の水が吸込管状部3aを介して水抜管状部3b内へ流入し易くなるが、上記のように、水抜管状部3bが傾斜するように配置されることで、処理槽本体2の外側へ濾材Xが流出してしまうのを抑制することができる。
また、処理槽本体2の外側から水処理空間R1側へ向かって水抜管状部3b内に水を流す逆流工程を備える。該逆流工程を行うことによって、上記のように水抜管状部3b内に堆積した濾材Xが水抜管状部3b内の水流と水抜管状部3bの傾斜とによって水処理空間R1側へ強制的に移動される。これにより、処理槽本体2の外側へ濾材Xが流出してしまうのをより効果的に抑制することができる。
また、水抜装置3がサイフォンの原理によって水処理空間R1内の水を抜き出す際には、吸込管状部3a及び水抜管状部3bは、水で満たされた状態となっている。そして、水処理空間R1内の水位を吸込部3cの高さ位置以下の高さ位置に調節することで、吸込部3cから吸込管状部3a内及び水抜管状部3b内に空気が流入すると、吸込管状部3a内及び水抜管状部3b内を満たしていた水が水処理空間R1へ排出されることになる。これにより、処理槽本体2の外側から水処理空間R1側へ向かって水抜管状部3b内に水が流れることになる。つまり、水処理空間R1内の水位の調節によって、水処理空間R1へ向かう水流を水抜管状部3b内に容易に形成することができる。このため、上記のように水抜管状部3b内に堆積した濾材Xが水抜管状部3b内の水流と水抜管状部3bの傾斜とによって水処理空間R1側へ強制的に移動されるため、処理槽本体2の外側へ濾材Xが流出してしまうのをより効果的に抑制することができる。
なお、本発明に係る水処理装置、及び、濾材の流出抑制方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
例えば、上記実施形態では、水抜装置3は、サイフォンの原理によって、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ抜き出すように構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、水抜装置3にサイフォンの原理が働かない場合(具体的には、水処理空間R1内の水位よりも高い位置へ水処理空間R1内の水を引き抜く場合)には、電動ポンプ等を備えた水抜装置を使用し、該電動ポンプによって、水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ抜き出すように構成してもよい。
また、上記実施形態では、水抜装置3がサイフォンの原理によって水処理空間R1内の水を処理槽本体2の外側へ抜き出すように構成されているため、水処理空間R1内の水位の調節によって逆流工程が行われるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、水抜管状部3b内にポンプ等を用いて水を供給することで、処理槽本体2の外側から水処理空間R1側へ向かう水流を水抜管状部3b内に形成するように逆流工程が構成されてもよい。
また、上記実施形態では、開口端部3dの内側に想定される開口面が上下方向に対して略直交する(開口方向が垂直方向下方になる)ように構成されているが、これに限定されるものではなく、下方へ向かって開口していれば、開口面が上下方向に対して傾斜するように構成されてもよい。
また、上記実施形態では、上向流式の水処理装置が洗浄の対象となっているが、気水洗浄工程で使用する洗浄水を濾材層4よりも下方の位置へ供給可能であり、洗浄水が下方から上方へ向かって濾材層4を通過するように構成されていれば、特に限定されるものではなく、例えば、上方から下方へ向かって被処理水が濾材層4を通過する水処理装置を洗浄の対象にしてもよい。