JP6534914B2 - 防火構造、防火構造の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、区画部への配管の貫通部の防火性能を確保するための防火構造等に関するものである。
建造物等の各部屋にケーブル等が敷設される場合がある。この場合、例えば、天井に配管を埋設し、配管にケーブルを敷設する場合がある。しかし、一方の部屋で火災が発生すると、当該配管を伝わって火災が他方の部屋に広がり、甚大な被害をもたらすおそれがある。
このような区画部を貫通する配管の防火構造としては、例えば区画部に凹部を形成し、当該部位に熱膨張部材を保持する保持部材を配置する方法がある(例えば特許文献1)。
特開平10−137353号公報
図8は、従来の防火構造100を示す図である。区画部103は、例えば天井であり、配管107が埋設される。配管107は、可撓管であり、区画部103の内部で緩やかに屈曲されて、隣り合う部屋同士に貫通する。したがって、配管107は、区画部103の表面に対して、斜めに突出する。
区画部103の下面であって、配管107が突出する部位には、凹部109が設けられる。すなわち、配管107は、凹部109から各部屋に露出する。また、凹部109は、配管107の方向に向けて区画部103の下面に対して斜めに形成される。したがって、凹部109の内面の一部は、配管107の軸方向に対して略垂直な面を有する。
凹部109に露出する配管107の外周には、金属製の筒部材105が配置される。筒部材105の内面には、熱膨張部材が配置される。すなわち、筒部材105と配管107の間には、熱膨張部材が配置される。したがって、火災等の際には、熱膨張部材が筒部材105の内部で膨張し、軟化した配管107を押しつぶして空間を塞ぎ、炎が区画部103内部を伝って、他の部屋に広がることが防止される。
ここで、筒部材105は、熱膨張部材を保持するための部材である。また、配管107の外周の全周にわたって熱膨張部材を保持するためには、筒部材105は、配管107と同軸の部材とする必要がある。すなわち、区画部103から斜めに突出する配管107に対しては、同じく区画部103に対して斜めに筒部材105を配置する必要がある。このため、筒部材105を配置するスペースとして、区画部103に筒部材105に応じた凹部109を形成する必要がある。
しかし、このような構造は、部品点数が多く、構造が複雑である。特に、区画部103に下面に凹部109を形成し、筒部材105を配管107の外周に配置する必要があることから、施工も容易ではない。
これに対し、区画部103と配管107とが斜めである場合に、筒部材105等を配置するための斜めの凹部109を形成せずに防火構造を得ようとすると、特殊な部材が必要である。例えば、配管107の軸方向に略垂直な方向(周方向)に熱膨張部材を保持するためには、区画部103に固定可能な固定部と、固定部に対して斜め方向に配管107を覆う保持部とを有する部材が必要である。しかし、この場合、特殊な部材であるためコスト増となり、また、配管107の突出角度によって、異なる部材が必要となる。
また、このような部材を用いずに、単に配管107の外周をパテで埋めるのでは、作業性が悪く、パテの脱落のおそれがある。また、パテの膨張方向を規制することができず、効率よく配管107を潰す方向へパテを膨張させることが困難である。さらに、確実に配管107の全周をパテで埋める必要があることから、パテの使用量が多くなり、コスト増ともなる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な方法で、区画部から斜めに突出する配管の防火性能を確保することが可能な防火構造等を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するため、第1の発明は、区画部に埋設された配管と、前記区画部から露出する前記配管に設けられる防火部材と、を具備し、前記配管は、前記区画部の表面に対して斜めに突出し、前記防火部材は、支持層と熱膨張層の複層構造であり、前記防火部材の幅方向の端部が前記区画部の表面位置に位置し、前記防火部材の長手方向が前記区画部の表面に略平行になるように前記防火部材が配置され、前記防火部材が、前記支持層を外方に向けて、前記配管の外周の全周にわたって、前記配管に対して斜めに貼り付けられていることを特徴とする防火構造である。
前記熱膨張層は、非硬化性の自己融着型のパテ部材からなることが望ましい。
前記防火部材の端部には切れ込みが形成され、前記防火部材の幅方向の端部が、前記区画部に密着することが望ましい。
前記配管の両端部は、区画されたそれぞれの室内に突出し、前記防火部材は、一方の室内に突出する前記配管の一方の端部側にのみ配置されてもよい。
第1の発明によれば、防火部材の幅方向の端部を区画部の表面位置に位置させ、防火部材の長手方向が区画部の表面に略平行になるように、防火部材を配置することで、区画部に対して斜めに突出した配管に対しても、確実に防火性能を確保することができる。この際、区画部に凹部などを形成する必要がなく、また、熱膨張部材を保持する金属製の部材などを用いる必要がない。
また、防火部材の外面には、支持層が設けられるため、熱膨張層を確実に内面方向に膨張させることができる。
また、熱膨張層がブチルゴムなどからなる非硬化性の自己融着型であれば、接着剤などが不要であり、自己の粘着力によって脱落を防止することができる。このため、防火部材を保持するためのバンド等の部材が不要である。また、自己融着型であるため、一度融着すると、融着面で熱膨張層同士が略一体化し、接着力の低下などによる防火部材の脱落のおそれがない。
また、防火部材の一部に切れ込みを入れ、切れ込みによって防火部材の端部を開くことで、防火部材の一部を区画部の表面に密着させることもできる。このため、防火部材と区画部の隙間を確実に塞ぐとともに、防火部材の脱落を防止することができる。
また、このような防火部材は、区画部から露出する少なくとも一方に形成すればよく、作業性にも優れる。
第2の発明は、区画部に埋設された配管への防火構造の施工方法であって、前記配管は、前記区画部の表面に対して斜めに突出し、支持層と熱膨張層の複層構造の防火部材を用い、前記区画部から露出する前記配管に対し、前記防火部材の幅方向の端部を前記区画部の表面位置とし、前記防火部材の長手方向を前記区画部の表面に略平行に前記防火部材を配置して、前記防火部材を、前記支持層を外方に向けて、前記配管の外周の全周にわたって、前記配管に対して斜めに貼り付けることを特徴とする防火構造の施工方法である。
第2の発明によれば、簡易な方法で区画部から斜めに突出する配管に対して防火構造を構築することができる。
本発明によれば、簡易な方法で、区画部から斜めに突出する配管の防火性能を確保することが可能な防火構造等を提供することができる。
防火構造1を示す図。 防火部材5を示す斜視図。 防火部材5を示す図。 (a)は図1のA−A線断面図、(b)は(a)のB部拡大図。 防火構造1を施工する手順を示す図。 (a)は熱膨張前の状態の断面図、(b)は熱膨張後の状態の断面図。 他の実施形態を示す図。 従来の防火構造100を示す図。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明にかかる防火構造1を示す図である。防火構造1は、主に配管7および防火部材5等から構成される。
区画部3は、例えば天井や壁などである。なお、以下の説明では、区画部3が天井であるとして説明する。区画部3には、配管7が埋設される。配管7は、区画部3内において緩やかに屈曲する。なお、配管7には、電線が挿通される。
区画部3の下面からは、他の区画部(例えば壁)を挟んで、それぞれの側に、配管7が露出する。すなわち、配管7は、区画部3の表面に対して斜めに突出する。なお、配管7が突出する部位の区画部3には、凹部等は設けられず、他の部位に対して略フラットである。
配管7の、区画部3から露出する部位には、防火部材5が設けられる。なお、配管7の両端部は、区画されたそれぞれの室内に突出するが、図示した例では、防火部材5は、一方の室内に突出する一方の配管7の側にのみ配置される。すなわち、本発明は、防火部材5は、配管7の一方の露出部にのみ形成すればよい。なお、防火部材5を配管7の両方の露出部に配置してもよい。
図2は、防火部材5を示す斜視図であり、配管7の透視図である。防火部材5は、配管7の外周に貼り付けられる。この際、防火部材5の幅方向(図1の上下方向)の一方の端部が区画部3の表面位置に位置する(区画部3に対して少なくとも一部が接するように位置する)ように、防火部材5が配置される。
また、防火部材5の長手方向が区画部3の表面に略平行、かつ、配管7の長手方向に沿うように(図1の左右方向)防火部材5が配置される。ここで、配管7の長手方向に沿うように区画部3の表面に略平行に配置するとは、配管7の屈曲面内であって、区画部3に対して配管7が突出する最も内側の位置(図1のX点)と最も外側の位置(図1のY点)を通過するように、防火部材5が配置されることをいう。すなわち、防火部材5の長手方向が、区画部3の表面に沿って配置され、かつ、配管7の軸方向に対して垂直な向きではなく斜めになるように、防火部材5が配置される。
図3は、防火部材5を展開した状態を示す斜視図である。防火部材5は、テープ状の部材である。防火部材5は、熱膨張層5aと支持層5bとの複層構造である。
支持層5bは、例えばガラスクロスなどの耐火性の部材であって、伸縮性の小さな部材で構成される。熱膨張層5aは、熱によって膨張する熱膨張部材によって構成される。例えば、火災時の熱によって、熱膨張層5aは、通常時の数倍から数十倍程度に体積が膨張する。この際、支持層5bは、熱によって膨張や伸縮がほとんどない。なお、熱膨張層5aの表面には、剥離シートが設けられ、使用時には剥離シートを剥離して使用される。
図4(a)は、図1のA−A線断面図であり、図4(b)は、図4(a)のB部拡大図である。なお、図示した例では、配管7内に電線9が1本収容される例を示すが、電線9の形態や本数は図示した例には限られない。
前述した様に、防火部材5は、配管7の外周に貼り付けられる。この際、防火部材5は、支持層5bを外方に向けて、配管7の外周の全周にわたって配管7に対して斜めに貼り付けられる。すなわち、防火部材5は、熱膨張層5aと配管7とが接触するように、配管7の外周に貼り付けられる。
また、防火部材5は、配管7の両側から挟み込むようにして配管7の外周に貼り付けられ、その両側では、対向する熱膨張層5a同士が接着される。すなわち、防火部材5は、配管7を斜めに配置した際にも、配管7の全体を覆い、さらに防火部材5同士が接触可能な程度の長さが必要である。
ここで、熱膨張層5aは、特定のバインダー樹脂と、樹脂バルーンと、膨張性黒鉛とを少なくとも含有する。本発明の熱膨張層5aは硬化性成分を含有せず、その物性は非硬化性であり、自己融着型のパテ部材からなる。
[バインダー樹脂]
熱膨張層5aに用いるバインダー樹脂は、組成物をパテ状にまとめることが可能な性状の樹脂であれば特に制限はなく、通常用いられる樹脂を採用することができる。例えば、バインダー樹脂は、ポリブテン、ポリブタジエン、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレン(EP)ゴム、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム、クロロプレンゴム、及びイソプレンゴムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の樹脂を含む構成とすることができる。
バインダー樹脂は、より好ましくはポリブテン、ポリブタジエン、ブチルゴム、及びイソプレンゴムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、より好ましくはポリブテン、ポリブタジエン、及びブチルゴムからなる群から選ばれる1種又は2種以上の樹脂からなる。
熱膨張層5a中、バインダー樹脂の含有量は、組成物をパテ状にまとめる観点、良好な固さのパテとする観点から、15.0〜50.0質量%が好ましく、18.0〜45.0質量%がより好ましく、20.0〜40.0質量%がさらに好ましい。バインダー樹脂は常法により合成して得ることができる。また、市販品を用いてもよい。
[樹脂製マイクロバルーン]
熱膨張層5aに用いる樹脂バルーンは、球状の樹脂製の殻をもつ中空、軽量の粒子である。一般的に液状ガスを内包した状態で樹脂を成形し、これを加熱処理することにより、体積で数十倍に膨張させ、所望の粒径の中空球状の粒子とすることで製造される。樹脂バルーンは適度な弾性を有し、圧力や機械的ストレスによっても破壊されにくい。
樹脂バルーンはパテ組成物製造時の混練工程時に、せん断応力に対してクッションのような役割を果たし、後述する膨張性黒鉛の破壊(潰れ)を効果的に抑える作用を示す。これにより、膨張性黒鉛が本来的に有する熱膨張性能を良好に維持した状態で混入してパテ組成物を調製することができる。
また、樹脂バルーンを配合することにより、上記混練工程において、膨張性黒鉛が潰れて熱膨張性能の低下を招くまでの時間を長く取れることから、加圧混練時間が変化しても、得られるパテ組成物の品質のバラツキを抑えることができる。
また、火災時に樹脂バルーンの殻が破れると、バルーン中の液状ガス(炭化水素等)が燃焼し、近傍に存在する膨張性黒鉛の熱膨張を効果的に促進しうる。
樹脂バルーンの殻を構成する樹脂は樹脂バルーンを形成可能な樹脂であれば特に制限はない。例えば、樹脂バルーンの殻を構成する樹脂をアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、及び塩化ビニリデン樹脂からなる群から選ばれる樹脂を含む構成とすることができる。なかでも、樹脂バルーンの殻を構成する樹脂がアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、及び塩化ビニリデン樹脂からなる群から選ばれる樹脂からなることが好ましい。本明細書において、アクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、及び塩化ビニリデン樹脂からなる群から選ばれる樹脂とは、本発明の効果を損なわない範囲でアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、及び塩化ビニリデン樹脂からなる群から選ばれる樹脂を変性させたもの、例えば共重合体としたものも含まれる意味である。
樹脂バルーンの殻がアクリロニトリル樹脂、フェノール樹脂、及び塩化ビニリデン樹脂からなる群から選ばれる樹脂を含むことにより、加圧混練時における膨張性黒鉛の潰れを効果的に抑制することができる。また、燃焼時においては殻が不完全燃焼を起こしやすく、生じたすすがバインダーの役割をし、熱膨張後のパテの型崩れを抑える方向に働くと考えられる。
熱膨張層5aに用いる樹脂バルーンの平均粒子径は、通常は10〜150μmであり、50〜80μmであることがより好ましい。当該平均粒子径は、レーザー回折法(測定器:SALD−2000/島津製作所)により、粒度分布を測定し、累積体積が50%となるときの粒子径とした。
熱膨張層5aに用いる樹脂バルーンの真比重は、好ましくは0.02〜0.07である。そのため、樹脂バルーンを用いることによりパテ組成物を軽量化し、搬送性ないし施工性を高めることができる。
樹脂バルーンはそのまま使用してもよく、また、取り扱いやすいように無機粉体と複合化して真比重0.1〜0.3程度とした製品を用いてもよい。
上記の作用を効果的に発現させるために、熱膨張層5a中、樹脂バルーンの含有量は、0.4〜15.0質量%が好ましく、2.0〜14.0質量%がより好ましく、2.5〜13.0質量%がさらに好ましい。
熱膨張層5aに用いる樹脂バルーンは常法により製造することができ、市販品を用いることもできる。樹脂バルーンの市販品として、例えば、EMC40(商品名、日本フィライト社製)、フェノセット・マイクロスフィア BJO−930(商品名、Malayan Adhesive&Chemicals社製)、マツモトマイクロスフェアー(商品名、松本油脂製薬社製)等を挙げることができる。
[膨張性黒鉛]
熱膨張層5aに用いる膨張性黒鉛は、二次元的に広がる六員環構造の網平面の層同士がC軸方向に積層している六方晶結晶の各層間に、熱分解性の物質を挿入した層間化合物である。例えば発煙硫酸や硫酸と濃硝酸、各種の硝酸塩、過塩素酸、各種の過塩素酸塩、クロム酸、各種のクロム酸塩、重クロム酸などを含む酸化性溶液に黒鉛を浸漬した後、水洗、乾燥して製造される。
膨張性黒鉛は、急激に加熱されると、層間に挿入されている化合物や結晶粒界に挿入された化合物が熱分解し、そのときに発生する分解ガスの圧力で各層の間が押し広げられ、膨張する。
膨張性黒鉛は粉末状のものを使用することが好ましい。熱膨張性黒鉛の熱膨張性を効果的に発現させる観点から、熱膨張層5a中、膨張性黒鉛の含有量は、5.0〜40.0質量%が好ましく、6.0〜35.0質量%がより好ましく、7.0〜30.0質量%がさらに好ましい。
熱膨張層5aにおいて、膨張性黒鉛の含有量に対する樹脂バルーンの含有量の比(樹脂バルーンの含有量/膨張性黒鉛の含有量(体積比))は、0.2〜14.0が好ましく、2.0〜13.0がより好ましく、2.1〜12.0がより好ましく、2.3〜10.0がさらに好ましい。
膨張性黒鉛と樹脂バルーンの含有量の比を上記好ましい範囲とすることにより、製造時における膨張性黒鉛の破壊をより効果的に抑制でき、パテ組成物の熱膨張性能をより高めることができる。
膨張性黒鉛は商業的に入手可能であり、例えば、SS−3(商品名、エアー・ウォーター社製)、955025L (商品名、伊藤黒鉛工業社製)等を用いることができる。
[無機充填材]
熱膨張層5aは、無機充填剤として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、無機バルーン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びシリカからなる群から選ばれる1種又は2種類以上を含んでもよく、この場合、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましい。
熱膨張層5aの比重をあまり上げずに、且つ、熱膨張層5aが火災時に、形状を良好に保持できるようにするために、熱膨張層5a中、無機充填剤の含有量は50.0質量%以下が好ましく、40.0質量%以下がより好ましい。また、熱膨張層5aは無機充填剤を含有しなくてもよいが、熱膨張層5a中に無機充填剤を5質量%以上含有することが好ましく、10質量%以上含有することがより好ましく、15質量%以上含有することがさらに好ましい。
[難燃剤(型崩れ抑制剤)]
熱膨張層5aは難燃剤を含有することが好ましい。難燃剤には火災時におけるパテ組成物の型崩れを抑制する作用がある。難燃剤は、好ましくは、ポリフェニレンエーテル、リン酸エステル、赤燐、及びポリリン酸アンモニウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ポリリン酸アンモニウム及びポリフェニレンエーテルから選ばれる1種又は2種が好ましい。
熱膨張層5a中、難燃剤の含有量は、40.0質量%以下が好ましく、5.0〜35.0質量%がより好ましく、10.0〜35.0質量%がさらに好ましい。なお、難燃剤の含有量は多いほど型崩れ抑制効果は高まるが、前記好ましい範囲であれば十分に型崩れを抑制できる。
[可塑剤]
熱膨張層5aには、組成物の柔らかさ、接着性、手触りなどを改善するために可塑剤を使用することができる。また可塑剤を使用した場合、熱膨張層5aの接触する対象が可塑剤入りのPVCシースなどの場合、相互における可塑剤の移行を防ぎ、可塑剤の移行による影響を抑えることができる。可塑剤としては安息香酸エステル化合物、エポキシ化合物、リン酸エステル化合物、塩素化パラフィン化合物、アジピン酸化合物、フタル酸エステル化合物などが好適である。
熱膨張層5aが可塑剤を含有する場合、熱膨張層5a中の可塑剤の含有量は5.0〜20.0質量%が好ましく、7.0〜16.0質量%がより好ましい。
熱膨張層5aでは、上記した成分の他に、製造を容易にするための加工補助剤として界面活性剤や滑材等を添加してもよい。また保管性・耐候性改善のための老化防止剤や、施工時の形状保持性改善のための繊維チップなどを適量配合してもよい。
[熱膨張層5aの製造方法]
本実施の形態に係る熱膨張層5aは、各原料を公知のニーダーミキサー、バンバリーミキサーなどを用いて、常法により混練し、均質なパテ状の組成物とすることにより得ることができる。
混練時の温度は60〜70℃とすることが好ましい。また、混練時間は、5〜20分とすることが好ましい。
このように、熱膨張層5aを、ブチルゴムなどからなる非硬化性の自己融着型とすることで、熱膨張層5aを配管7の外周に容易に接着することができるとともに、熱膨張層5a同士を容易に接着することができる。また、熱膨張層5aは、極めて強い接着力を有し、劣化による接着力の低下などがない。なお、熱膨張層5aが自己融着型ではない場合には、熱膨張層5aの表面に、別途接着層を設けてもよい。
次に、防火構造1の施工方法について説明する。図5に示すように、区画部3から突出する配管7の外周に、前述した防火部材5を、熱膨張層5aが配管7側になるように配置する。この際、防火部材5の長手方向が区画部3の表面と略平行になるように配置する。
望ましくは、防火部材5の長辺側が、区画部3の表面に、全長にわたって接触するように配置する。なお、この際、区画部3の凹凸(例えば、配管7が突出する部位近傍における部分的な欠け等がある場合)には、必ずしも、全長の全てが区画部3に接触する必要はない。すなわち、防火部材5の幅方向の端部を、区画部3の表面位置(の延長線上)に位置させる。
次に、防火部材5を折り曲げて(図中矢印C)、防火部材5を配管7の外周に貼り付ける。また、防火部材5の熱膨張層5a同士の対向面は、熱膨張層5a同士を密着させる。この際、防火部材5の先端同士は、防火部材5の幅方向の全体が密着するようにする。すなわち、防火部材5の幅に対応する部位において、配管7が露出しないように、防火部材5を配置する。また、防火部材5の幅を所定以上とすることで、配管7の長手方向に垂直な方向の周方向の少なくとも一部が、全周にわたって防火部材5により覆われる。以上により、防火構造1が形成される。
次に、防火構造1の機能について説明する。図6(a)は、通常時における防火構造1の断面図であり、図4(a)に対応する。火災が発生すると、配管7は軟化する。また、防火部材5の熱膨張層5aが膨張を開始する。この際、防火部材5の外面側には、支持層5bが設けられる。支持層5bは、ほとんど伸縮性を有さないため、熱膨張層5aは、内側に向かって膨張する(図中矢印D)。
熱膨張層5aが膨張すると、膨張力によって軟化した配管7は押しつぶされる。このため、配管7と電線9との隙間が埋まり、炎や熱が配管7を伝うことを抑制することができる。なお、配管7および電線9の被覆部が燃焼した際には、さらに熱膨張層5aの膨張によって、隙間が塞がれるため、火災の延焼を防止することができる。
なお、図1に示すように、防火部材5を配管7の一方の側にのみ配置しておけば、例えば、図中右側の空間で火災が生じた際には、火災が区画部3の内部へ延焼することを防止することができ、図中左側の空間で火災が生じた際には、火災は区画部3の内部を伝わる恐れがあるが、区画部3の出側で、右側空間への延焼を防止することができる。
以上、本実施の形態によれば、区画部3から斜めに突出する配管7に対して、特殊な固定具や区画部3への凹部加工などを必要としない。このため、区画部3をコンクリートなどで施工した後にも容易に防火構造1を施工することができる。また、防火部材5を配管7に巻き付けるのみであるため、施工時間も短い。このため、簡易な構造で容易に防火構造1を形成することができる。
また、配管7の突出角度によらず、同一の部材および方法によって、確実に防火構造1を形成することができる。このため、設置場所ごとに異なる部材を使用する必要がなく、省コストである。
また、防火部材5の熱膨張層5aは自己融着型であるため、防火部材5を配管7の外周に貼り付けるのみで、防火部材5を固定することができる。このため、バンドなどの部材が不要であり、固定も容易である。また、接着剤などを用いないため、劣化による接着力の低下などがなく、防火部材5の脱落を防止することができる。
また、防火部材5はテープ状の部材であるため、取扱い性が良好である。また、パテを用いる場合などと比較して、必要最低限の熱膨張部材の使用量で防火性能を確保することができる。
また、防火部材5が、熱膨張層5aと支持層5bとの積層構造であるため、熱膨張層5aの膨張方向を内側に規制することができる。このため、効率よく、熱膨張層5aの膨張により配管7によって生じる隙間を塞ぐことができる。
このように、従来、防火部材を用いて防火構造を形成する場合には、配管7の軸方向に垂直な方向に防火部材を巻き付ける必要があると考えられていたため、区画部3との隙間が生じないように、区画部3に凹部を形成したり、別途の保持部材を用いていたが、本発明では、防火部材5の巻き付け方法を、発想の転換によって従来とは異なるようにすることで、簡易な構造で容易に防火性能を確保することができるものである。
次に、第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施の形態にかかる防火部材5の巻き付け方法を示す図である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同様の機能を奏する構成については、図1から図6と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
第2の実施形態は、第1の実施形態とほぼ同様であるが、防火部材5の一部に切れ込み11が形成される点で異なる。切れ込み11は、防火部材5の長手方向の略中央部であって、幅方向の一部に形成される。防火部材5は、切れ込み11の位置で折り返されて、配管7の外周に貼り付けられる。
防火部材5は、幅方向における切れ込み11が形成される範囲が、外側に開かれる。すなわち、防火部材5の広げられた部位は、区画部3の表面に対して略平行な面となる。したがって、防火部材5は、折り返されて互いに対向する面同士で配管7を挟み込むようにして配管7の外周部を覆うとともに、防火部材5の幅方向の端部の一部を区画部3の表面に密着させることができる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、防火部材5の端部に切れ込み11が形成され、防火部材5の幅方向の端部が、区画部3に密着するため、防火部材5の一部を区画部3の表面に接着することができる。このため、防火部材5の脱落をより確実に防止するとともに、区画部3と防火部材5との隙間を埋めることができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………防火構造
3………区画部
5………防火部材
5a………熱膨張層
5b………支持層
7………配管
9………電線
11………切れ込み
100………防火構造
103………区画部
105………筒部材
107………配管
109………凹部

Claims (5)

  1. 区画部に埋設された配管と、
    前記区画部から露出する前記配管に設けられる防火部材と、
    を具備し、
    前記配管は、前記区画部の表面に対して斜めに突出し、
    前記防火部材は、支持層と熱膨張層の複層構造であり、
    前記防火部材の幅方向の端部が前記区画部の表面位置に位置し、前記防火部材の長手方向が前記区画部の表面に略平行になるように前記防火部材が配置され、
    前記防火部材が、前記支持層を外方に向けて、前記配管の外周の全周にわたって、前記配管に対して斜めに貼り付けられていることを特徴とする防火構造。
  2. 前記熱膨張層は、非硬化性の自己融着型のパテ部材からなることを特徴とする請求項1記載の防火構造。
  3. 前記防火部材の端部には切れ込みが形成され、前記防火部材の幅方向の端部が、前記区画部に密着することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防火構造。
  4. 前記配管の両端部は、区画されたそれぞれの室内に突出し、
    前記防火部材は、一方の室内に突出する前記配管の一方の端部側にのみ配置されることを特徴とする請求項1か請求項3のいずれかに記載の防火構造。
  5. 区画部に埋設された配管への防火構造の施工方法であって、
    前記配管は、前記区画部の表面に対して斜めに突出し、
    支持層と熱膨張層の複層構造の防火部材を用い、
    前記区画部から露出する前記配管に対し、前記防火部材の幅方向の端部を前記区画部の表面位置とし、前記防火部材の長手方向を前記区画部の表面に略平行に前記防火部材を配置して、前記防火部材を、前記支持層を外方に向けて、前記配管の外周の全周にわたって、前記配管に対して斜めに貼り付けることを特徴とする防火構造の施工方法。
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