図1は、本発明の第1実施形態である映像処理装置12を含む映像システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態の映像システム10は、映像信号供給装置11と、映像処理装置12と、映像表示装置13とを含む。
映像信号供給装置11は、1以上の映像25,26をそれぞれ示す1以上の映像信号を供給する。映像表示装置13は、1以上の複数の系統から入力される各映像信号の映像25,26を表示するための単一の表示面21を有する。映像処理装置12は、映像信号供給装置11から供給された1以上の映像信号をそれぞれ処理して、該1以上の映像信号をそれぞれ再生し、該1以上の各映像信号の再生結果である1以上の映像25,26を映像表示装置13の単一の表示面21に並べて同時に表示させる。
本明細書において、「映像」とは、静止画および動画の両方を含む。また本明細書の詳細説明では、映像信号の系統が2つである場合を例としているが、映像信号の系統が3つ以上であっても構わない。
映像処理装置12は、基本的には、映像信号入力部15と、表示条件計算部16と、映像出力部17とを含む。複数系統の映像信号は、外部の映像信号供給装置11から、映像信号入力部15に入力される。表示条件計算部16は、入力された複数系統の映像信号の解像度を相互に比較し、各映像信号の解像度の差に応じて、各映像信号の表示条件値を、映像信号毎にそれぞれ計算する。各映像信号の表示条件値とは、各映像信号を最適な表示態様でそれぞれ再生するための最適な表示条件を設定するための値であり、たとえば映像信号に拡大処理を施すための拡大率、縮小処理を施すための縮小率などである。表示条件計算部16と映像出力部17とが、画像処理部を構成する。映像出力部17は、映像信号毎に計算された表示条件値が示す表示条件で各映像信号をそれぞれ再生し、各映像信号の再生結果である複数の映像25,26を映像表示装置13の単一の表示面21に同時に並べて表示させる。この結果、本実施形態の映像処理装置12は、各映像信号の解像度の差に応じて、各映像信号の映像25,26をそれぞれ最適な表示態様で同時に表示させることができる。
このように、複数系統の映像信号を供給する映像信号供給装置11と本実施形態の映像処理装置12と表示面21を有する映像表示装置13とからなる本実施形態の映像システム10において、各映像信号の最適な表示条件を示す表示条件値は、映像処理装置12が計算する。これによって、本実施形態の映像システム10において、映像信号供給装置11は、最適表示のために映像表示装置13への供給前に各映像信号の解像度を調整する必要がなく、各映像信号をそのまま供給すればよい。また、映像信号供給装置11は、特許文献1のテレビ受像機向けのランク信号等のような快適表示に係る他の信号を映像信号に重畳させる必要がなく、各映像信号をそのまま供給すればよい。
これらによって、本実施形態の映像処理装置12を含む映像システム10は、映像信号供給装置11および映像表示装置13の負荷の増加を防ぎつつ、映像表示装置13の単一の表示面21に、各映像信号の映像25,26を、視聴者に対して見やすく快適に表示させることができる。したがって、本実施形態の映像処理装置12を含む映像システム10の使い勝手が向上する。また本実施形態の映像システム10は、最適な表示条件の設定を映像処理装置12単体で行うため、映像信号供給装置11および映像表示装置13が特別な構成を必要とせず、既存構成の装置でそれぞれ実現可能である。したがって、本実施形態の映像システム10の実現が容易である。
各映像信号の映像25,26が映像表示装置13の単一の表示面21に並べて表示される場合、一例として、映像信号の映像25,26を表示すべき領域である表示エリア23,24が、映像信号毎に映像信号に対応付けられて、映像表示装置13の単一の表示面21内にそれぞれ予め設定される。各映像信号の映像25,26は、具体的には、映像表示装置13の単一の表示面21内の該各映像信号用の表示エリア23,24に、それぞれ表示される。
図1(B)は、2つの映像信号が映像処理装置12に与えられる構成における映像表示装置の表示面21の一例を示す模式図である。2つの各映像信号用の表示エリア23,24は、図1(B)に示すように、単一の表示面21内に重なることなく並んで配置されている。これに限らず、全映像信号用の表示エリア23,24のうちの少なくとも2つ以上の表示エリア23,24の少なくとも一部分が、お互いに重なるように配置されていてもよい。
本実施形態の映像処理装置12において、詳しくは、表示条件計算部16が、各映像信号の表示条件を示す表示条件値として、映像信号入力部への入力時の映像信号の映像25,26の大きさに対する表示時の該映像25,26の大きさの比である拡縮率比を、映像信号毎に個別に計算する。この場合、映像出力部17は、映像信号毎に、各映像信号の映像25,26を計算された拡縮率比で拡大処理または縮小処理して、拡大処理または縮小処理された映像25,26を映像表示装置13の表示面21の各表示エリア23,24にそれぞれ表示させる。
なお、本明細書における「映像信号の拡縮率比」は、スケーリング比に相当する。スケーリング比とは、各映像信号の拡縮前の映像25,26の大きさに対する拡縮後の映像25,26の大きさの比である。アスペクト比とは、単体の映像25,26の縦と横の大きさとの比である。本明細書では、表示面21、表示エリア23,24、および映像25,26などの略矩形の要素に関し、該要素の高さを「縦」と称し、該要素の幅を「横」と称することがある。
拡縮前の映像25,26のアスペクト比と拡縮後の映像25,26とのアスペクト比が等しいならば、拡縮前の映像25,26の縦の大きさに対する拡縮後の映像25,26の縦の大きさの比と拡縮前の映像25,26の横の大きさに対する拡縮後の映像25,26の横の比は、相互に等しい。映像25,26の拡縮時に映像25,26の大きさだけでなく映像25,26のアスペクト比も同時に変更する場合、拡縮前の映像25,26の縦の大きさに対する拡縮後の映像25,26の縦の大きさの比と拡縮前の映像25,26の横の大きさに対する拡縮後の映像25,26の横の大きさの比とが、相互に異なる。
本実施形態の映像処理装置12において、入力された複数の映像信号のうち、解像度が他とは異なる映像信号が含まれている場合、複数の映像信号のうちの解像度の最も低い映像信号の拡縮率比は、映像表示装置13の表示面21内の該解像度が最も低い映像信号の映像25の表示エリア23内に該解像度が最も低い映像信号の映像25が表示可能な大きさに拡大縮小可能な拡縮率比であって、かつ拡縮後の映像25が粗くならないような拡縮比率に定められる。解像度が低い映像信号については、表示エリアの大きさに映像の大きさを合わせようとすると、拡大処理を施す場合が多い。表示エリアの大きさに合わせることを最優先に拡大処理を施すと、拡大率が大きくなり、表示される映像が粗くなって表示画質が大きく低下してしまう。映像信号に拡大処理を施すと、表示される映像の解像度が低くなるので、拡大処理後の映像の解像度に対して下限値を設定しておき、表示エリアの大きさに合わせて拡大処理を施したときの拡大処理後の映像の解像度を予め算出し、算出した解像度が下限値以上であれば、表示エリアの大きさに合うような拡大率で拡大処理を行い、下限値を下回る場合は、解像度が下限値となる拡大率で拡大処理を行う。これにより、表示画質を確保したままで拡大可能な大きさにまで拡大した映像を表示させることができる。
再び図1を参照する。本実施形態の映像処理装置12において、映像信号入力部15は、いわゆる入力インターフェイス回路であり、映像信号供給装置11から入力された映像信号を受付け、入力された映像信号を映像処理装置12の後段の処理部に与える。映像処理装置12は、好ましくは、映像信号入力部15と表示条件計算部16と映像出力部17の他に、入力信号判別部31と入力解像度判別部32とをさらに含む。入力信号判別部31は、映像処理装置12に入力された映像信号が、複数の映像信号が重畳された規格の信号であるか否かを判断する。たとえば、映像信号入力部15は、供給された映像信号が、ディスプレイポート(Display Port)規格のマルチストリーム対応の映像信号であるか否かを判断する。入力解像度判別部32は、映像処理装置12に入力された映像信号の映像25,26の解像度を、それぞれ判別する。なお、入力信号判別部31と入力解像度判別部32と表示条件計算部16と映像出力部17とは、たとえば、個別の処理部として物理的に実現されてもよく、単一の中央演算処理回路の演算処理によって実現される機能的な処理部として実現されてもよい。
再び図1を参照する。本実施形態の映像システム10において、映像信号供給装置11は、たとえば、パーソナルコンピュータ等で実現される。映像表示装置13は、液晶表示装置等で実現される。映像表示装置13は、表示部35と表示駆動部34とを含む。表示部35は、液晶表示素子等で実現され、映像を再生して表示するための表示面21を備えている。表示駆動部34は、いわゆるドライバ回路であり、表示部35の表示面21に映像25,26を再生して表示させるために、映像処理装置12から与えられた信号に基づいて表示部を駆動させる。
図1の例において、映像表示装置13と映像処理装置12とは、たとえば一体化されて、ディスプレイ装置40を構成する。ディスプレイ装置40は、映像表示装置13と映像処理装置12とのほかに、操作部38を含む。操作部38は、映像システム10の利用者からの操作を受付ける機構である。操作部38は、たとえば、リモコンや本体キーによって実現される。利用者は、映像表示装置13の表示面21の設定変更等の指示を、操作部38への操作によって映像処理装置12に与える。映像処理装置12は、操作部38を用いた利用者からの指示に応答して、供給された映像信号に各種の処理を施して、処理後の映像信号を映像表示装置13に再生して表示させる。
本実施形態の映像システム10における映像25,26の基本的な表示手順を、図2を参照して以下に説明する。
本実施形態の映像システム10において、映像信号供給装置11から映像処理装置12に入力される複数の映像信号の解像度が、相互に異なることがある。解像度が相互に異なる映像信号の映像25,26がそのまま再生されて映像表示装置13の複数の表示エリア23,24に表示された場合、図2(A)に示すように、複数の表示エリア23,24にそれぞれ表示された映像25,26の大きさが相互に異なることになる。
そこで本実施形態の映像表示装置13において、同時に表示すべき複数の映像信号が与えられた場合、複数の映像信号の解像度と複数の表示エリア23,24のサイズとが取得され、各映像信号の解像度と各映像信号用の表示エリア23,24のサイズとに基づいて、各映像信号の適切な表示条件を示す表示条件値が算出される。表示条件の表示条件値は、たとえば、映像信号の拡縮率比(スケーリング比)および表示座標位置で実現される。
続いて、本実施形態の映像処理装置12は、算出された表示条件値が示す表示条件に応じて各映像信号の映像25,26を再生して、再生後の映像25,26を映像表示装置13の表示面21内に表示させる。具体的には、算出された拡縮率比(スケーリング比)に応じて各映像信号の映像25,26が拡大縮小(スケーリング)され、スケーリング後の映像25,26が映像表示装置13の表示面21内の各表示エリア23,24内の算出された表示座標位置に表示される。この結果、図2(B)に示すように、解像度の異なる複数の映像信号の映像25,26が、適切な表示条件に応じて拡縮された状態で映像表示装置13の表示面21内の複数の表示エリア23,24に表示される。この結果、表示面21全体から見て、複数の映像25,26がバランスよく表示される。
一般的な表示システムにおいてマルチディスプレイ環境を構築可能な映像出力インターフェイス規格の一規格として、ディスプレイポート(Display Port)規格が策定されている。ディスプレイポート規格におけるマルチディスプレイ環境のための規格が、ディスプレイポートマルチストリーム転送(Multi-Stream Transport)規格である。なお、ディスプレイポート規格には、ディスプレイポートマルチストリーム転送に対して、ディスプレイポート単独ストリーム転送(Single-Stream Transport:SST)規格が用意されている。
ディスプレイポート規格は、コンピュータ等の映像信号供給装置11を「ソース機器」と定義し、液晶ディスプレイ装置等の映像表示装置13を「シンク機器」と定義し、映像信号を「ストリームソース」と定義している。本実施形態の映像システム10においては、映像信号供給装置11がソース機器に相当し、映像表示装置13がシンク機器に相当する。ディスプレイポート規格対応のシンク機器13は、たとえば、複数のシンク機器13と数珠繋ぎにして、いずれかのシンク機器13とソース機器11とを接続することで、ソース機器11からの多重化された複数のストリームソースを全てのシンク機器13に伝達することが可能に構成されている。
ディスプレイポート規格のマルチストリーム転送に基づく表示システムにおいて、図3に示すように、1または複数のソース機器11から出力された複数のストリームソースがミキサーにおいて多重化され、多重化された複数のストリームソースが、1または複数のシンク機器13に転送されて、各シンク機器13で表示される。シンク機器13は、1または複数のストリームソースが入力され、入力された複数のストリームソースをそれぞれ自己の表示面21に同時に表示する。
ディスプレイポート規格対応の映像システム10は、一般的に、マルチストリーム転送設定とシングルストリーム転送設定とを切換えることが可能になるように構成されている。ディスプレイポート規格対応の映像システム10は、また一般的に、複数のシンク機器13または単一のシンク機器13内の複数の表示エリア23,24をメインモニタおよび拡張モニタの組合せとして利用する設定と、複数のシンク機器13または単一のシンク機器13内の複数の表示エリア23,24を映像統合して使用する設定とを切換えることが可能になるように構成される。映像統合する後者の設定は、たとえば、映像信号供給装置11に備えられるビデオカードの映像統合機能を利用して実現されることが多い。
図4(A)〜図4(D)および図5(A)〜図5(B)は、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、解像度の異なる複数のストリームソースが単一または複数のシンク機器13に入力された場合の映像の表示状態を説明するための模式図である。
図4(A)は、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、単一のシンク機器13を利用する構成であって、かつシンク機器13内の複数の表示エリア23,24をメインモニタおよび拡張モニタの組合せとして利用する設定時に、マルチストリーム転送設定が選択された場合の表示例を示す。図4(A)の例では、解像度の差に応じて大きさの異なる複数の映像25,26が、単一のシンク機器13の表示面21に同時に表示される。
図4(B)は、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、単一のシンク機器13を利用する構成であって、かつシンク機器13内の複数の表示エリア23,24をメインモニタおよび拡張モニタの組合せとして利用する設定時に、シングルストリーム転送設定が選択された場合の表示例を示す。図4(B)の例では、複数のストリームソースのうちのいずれか1つのストリームソースの単一の映像25が、単一のシンク機器13の表示面21に表示される。
図4(C)は、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、単一のシンク機器13を利用する構成であって、かつ複数の表示エリア23,24を映像統合して使用する設定時に、マルチストリーム転送設定が選択された場合の表示例を示す。図4(C)の例では、複数のストリームソースの映像25,26が統合され、統合された単一の映像が単一のシンク機器13の表示面21に表示される。
図4(D)は、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、単一のシンク機器13を利用する構成であって、かつ複数の表示エリア23,24を映像統合して使用する設定時に、シングルストリーム転送設定が選択された場合の表示例を示す。図4(B)の例と同様に、図4(D)の例では、複数のストリームソースのうちのいずれか1つのストリームソースの単一の映像25が、単一のシンク機器13の表示面21に表示される。
図5(A)は、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、デイジーチェーン接続された複数のシンク機器13を利用する構成であって、かつ複数のシンク機器13をメインモニタおよび拡張モニタの組合せとして利用する設定時に、マルチストリーム転送設定が選択された場合の表示例を示す。図5(A)の例では、解像度の差に応じて大きさの異なる複数の各映像25,26が、複数の各シンク機器13の表示面21に、個別かつ同時に表示される。
図5(B)は、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、デイジーチェーン接続された複数のシンク機器13を利用する構成であって、かつ複数のシンク機器13を映像統合して使用する設定時に、マルチストリーム転送設定が選択された場合の表示例を示す。図5(B)の例では、シンク機器13毎に、各ストリームソースの映像25,26が解像度に応じて拡大縮小され、拡大縮小された映像25,26が、該各シンク機器13の表示面21に表示される。
以上説明したように、ディスプレイポート規格対応の映像システム10において、解像度が異なる複数のストリームソースをシンク機器13に表示される場合、シンク機器13が複数台あれば、シンク機器13毎に解像度に応じて映像25,26を拡大縮小することが可能だが、シンク機器13が1台であれば、解像度の異なるストリームソースの映像25,26を同じ大きさで表示することは難しい。
4(C)の例では、解像度の異なる複数のストリームソースの示す映像25,26を統合することによって、両ストリームソースの映像25,26を同等の大きさで表示していたが、ストリームソースの映像25,26の統合は、一般的には、ソース機器11に備えられるビデオカードの機能を利用することになるため、ソース機器11の構成を複雑化することになる。またソース機器11からの出力時点でストリームソースに加工が加えられているので、ソース機器11の負荷が高くなる。
本実施形態の映像システム10は、これらの一般的なディスプレイポート規格対応の映像システムを改良して、ソース機器11の負荷を増やすことなく、単一のシンク機器13において解像度の差に基づく映像25,26の大きさの差を無くし、視聴者に対して映像25,26を見やすく提供することを目的とする。
また本発明の第2実施形態では、映像処理装置12において、複数の映像信号のうち解像度が最も低い映像信号を除いた残余の映像信号の拡縮率比は、該残余の映像信号の映像26を前記解像度が最も低い映像信号の拡大縮小後の映像25の大きさに合わせた大きさに拡大縮小可能な拡縮率比に定められる。この拡縮率比以外の構成は第1実施形態と同様であるので説明は省略する。本実施形態では、各映像信号の解像度が異なる場合には、前述の基準で計算された前記拡縮率比で拡大縮小された前記各映像信号の映像25,26が、前記映像表示装置13の表示面21の各映像信号用の表示エリア23,24内に表示される。解像度が比較的低いが最も低い解像度ではない映像信号の場合、表示エリアの大きさに合わせて拡大処理しても、解像度の下限値を下回らなければ、表示エリアの大きさにまで拡大処理を施して画質の低下は生じない。しかしながら、表示エリアの大きさに合わせて最大限拡大した場合、解像度が最も低い映像信号の拡大処理後の映像の大きさが、表示エリアの大きさよりも小さいと、拡大処理後のそれぞれの映像の大きさが異なってしまう。したがって、残余の映像信号については、解像度が最も低い映像信号の拡大処理後の映像の大きさに合うように拡縮率比とすることが好ましい。
これらによって、本実施形態の映像表示装置13の単一表示面21には、解像度が異なる映像信号の映像25,26がバランス良く同時に表示される。たとえば、複数の表示エリア23,24の大きさが相互に等しければ、解像度が異なる映像信号の映像25,26が、ほぼ同じ大きさで並んで表示される。以上の結果、本実施形態の映像処理装置12を含む映像システム10において、映像表示装置13に表示される複数の映像25,26がバランスよくかつ見易くなる。したがって、本発明の映像システム10の使い勝手がさらに向上する。
また本発明の第3実施形態では、映像処理装置12において、入力された各映像信号の解像度が相互に一致する場合、各映像信号の拡縮率比は、映像表示装置13の表示面21内の各表示エリア23,24内に該各映像信号の映像25,26が表示可能な大きさに拡大縮小可能な拡縮率比に定められる。この拡縮率比以外の構成は第1実施形態と同様であるので説明は省略する。本実施形態では、各映像信号の解像度が一致する場合には、映像表示装置13の単一表示面21に、解像度が等しい映像信号の映像25,26が同時に表示される。
このように、本実施形態の映像処理装置12を含む映像システム10において、各映像信号の表示条件値は、各映像信号の解像度の一致不一致に応じた基準でそれぞれ自動的に計算される。この結果、本実施形態の映像システム10において、各映像信号の解像度の一致不一致を視聴者や映像信号供給装置11が気に掛ける必要はなく、映像処理装置12が解像度の一致不一致に応じて自動的に表示条件の算出基準を切換えて、どちらの場合であっても各映像信号の映像25,26が常にバランスよくかつ見やすく表示させる。以上の結果、本実施形態の映像システム10の使い勝手がさらに向上する。
また本発明の第4実施形態では、映像処理装置12において、表示条件計算部16は、各映像信号の表示条件の表示条件値として、各映像信号の拡縮率比の他に、各映像信号の表示座標位置を、さらに計算する。この条件計算部16以外の構成は第1実施形態と同様であるので説明は省略する。各映像信号の表示座標位置とは、映像表示装置13の表示面21内において前述の拡縮率比に応じた大きさの各映像信号の映像25,26を表示すべき基準の位置を示す座標値である。たとえば、映像表示装置13の表示面21内において各映像25,26の拡縮率比に応じて拡大縮小された表示像がバランスよく並ぶように、各映像信号の表示座標位置が計算される。映像出力部17は、計算された拡縮率比で拡大縮小された各映像信号の映像25,26を、映像表示装置13の表示面21内の計算された各映像信号の表示座標位置に、それぞれ表示させる。
これらの結果、計算された拡縮率比で拡大縮小された各映像信号の映像25,26が、映像表示装置13の表示面21内の計算された各映像信号の表示座標位置に表示される。これらによって、映像表示装置13の単一表示面21には、解像度が異なる映像信号の映像25,26が、各表示エリア23,24の大きさに応じた大きさで、かつバランス良く表示される。以上の結果、本実施形態の映像処理装置12を含む映像システム10において、映像信号の映像25,26がより見易く表示される。したがって、本実施形態の映像システム10の使い勝手がさらに向上する。
図6は、本発明の実施形態である映像処理装置12を含む映像システム10における複数の映像信号の表示手順を示すフローチャートである。図6の具体例は、映像処理装置12にディスプレイポート規格マルチストリーム転送に対応した映像信号が与えられている場合を例としている。
処理開始後、ステップA0からステップA1に進む。ステップA1において、映像処理装置12の入力信号判別部31が、外部から映像信号入力部15に複数の映像信号(本例では、Display Portマルチストリーム)が入力されているか否かを判断する。複数の映像信号が入力されていない場合、たとえば単一の映像信号が入力された場合や映像信号が入力されていない場合、ステップA1からステップA12に進んで処理が終了する。この場合、たとえば、映像信号の単一入力に対応した処理や、映像信号の未入力に対応した処理が実行される。複数映像信号が入力されている場合だけ、ステップA1からステップA2以後の処理に移行する。
ステップA1において、図6の具体例では、相互に重畳された複数のディスプレイポート規格のマルチストリーム対応のストリームソースが入力されたか否かが判断される。複数のストリームソースが与えられていない場合や映像信号の規格がディスプレイポート規格マルチストリーム対応ではない場合、ステップA1からステップA12に進んで処理が終了する。複数のストリームソースが与えられている場合だけ、ステップA2以後の処理が実行される。
ステップA2において、映像処理装置12の表示条件計算部16は、映像表示装置13の表示面21内の複数の表示エリア23,24のサイズ情報をそれぞれ取得する。各表示エリア23,24のサイズ情報は、たとえば、各表示エリア23,24の縦横の大きさ、すなわち各表示エリア23,24の高さおよび幅を含む。次いで、ステップA3において,映像処理装置12の入力解像度判別部32は、入力された複数の各映像信号の解像度を、それぞれ取得する。
ステップA4において、表示条件計算部16は、ステップA3で取得された複数の各映像信号の解像度が相互に一致するか否かを判断する。複数の各映像信号の解像度が相互に不一致である場合、ステップA4からステップA5に進む。複数の各映像信号の解像度が相互に一致する場合、ステップA4からステップA8に進む。
ステップA5において、表示条件計算部16は、複数の映像信号の解像度の差が予め定める基準差よりも大きすぎるか否かを判断する。複数の映像信号の解像度の差が所定の基準差以上である場合、ステップA5からステップA8に進む。複数の映像信号の解像度の差が所定の基準差未満である場合、ステップA5からステップA6に進む。
ステップA6〜ステップA7は、複数の映像信号の解像度が相互に異なる場合の映像信号の調整処理である。ステップA6において、表示条件計算部16は、複数の映像信号の解像度の差に基づき、各映像信号の映像25,26の拡縮率比を算出する。この際、複数の映像信号のうちの最低解像度の映像信号の拡縮率比は、映像表示装置13の表示面21内の該最低解像度の映像信号の表示エリア23内に該最低解像度の映像信号の映像25が表示可能な大きさに拡大縮小可能な拡縮率比であって、かつ拡大縮小後の該映像25が粗くならないような拡縮比率に定められる。また、複数の映像信号のうちの最低解像度の映像信号以外の残余の映像信号の拡縮率比は、該残余の映像信号の映像26を前記最低解像度の映像信号の拡大縮小後の映像25の大きさに合わせた大きさに拡大縮小可能な拡縮率比に定められる。
具体的には、各表示エリア23,24の解像度が相互に所定値に定められていれば、映像信号の解像度が低いほど、表示エリア23,24への表示時の映像25,26の大きさが小さくなる。したがって、複数の映像信号のうちの最低解像度の映像信号の映像25の拡大縮小前の大きさが表示エリア23以下であれば、該最低解像度の映像信号の拡縮率比は、該映像信号の映像を拡大させ得る値に定められる場合が多い。
また、前記最低解像度の映像信号の映像25の拡大縮小前の大きさが表示エリア23の大きさを超えていれば、該映像信号の拡縮率比は、該映像信号の映像25を縮小させ得る値に定められる。
さらにまた、複数の映像信号のうちの残余の映像信号の拡縮率比は、該残余の映像信号の映像26の大きさが前記最低解像度の映像信号の拡大縮小後の映像25の大きさ以上であれば、該残余の映像信号の映像26を縮小させ得る値に定められ、該残余の映像信号の映像26の大きさが前記最低解像度の映像信号の拡大縮小後の映像25の大きさ未満であれば、該残余の映像信号の映像26を拡大させ得る値に定められる。
なお、ステップA6において算出される映像信号の拡縮率比は、映像25,26の縦の拡縮率比と映像25,26の横の拡縮率比が相互に等しい。ステップA6において、映像信号の映像25,26を拡大縮小するだけでなく、該映像25,26のアスペクト比をも変更してもよい。この場合、映像信号の拡縮率比は、映像25,26の縦の拡縮率比と映像25,26の横の拡縮率比が変更されたアスペクト比に応じて相互に異なる値になる。
ステップA7において、表示条件計算部16は、算出後の各映像信号の拡縮率比に応じて、映像表示装置13の表示面21内の各映像信号の映像25,26の表示位置座標を算出する。映像25,26の表示位置座標は、たとえば、映像表示装置13の表示面21への映像表示時に、映像25,26内の予め定める基準点が映像表示装置13の表示面21内のどの位置に位置するかを定めるものである。映像25,26の基準点は、たとえば映像25,26の四隅の頂点および映像25,26の中心点等の予め定める1以上の点で実現される。各映像25,26の表示位置座標は、たとえば、各映像信号用の表示エリア内に定められる。
各映像信号の映像25,26の表示位置座標は、たとえば、映像表示装置13の表示面21内において各映像25,26の縦横の拡縮率比に応じて拡大縮小された表示像がバランスよく並ぶように定められる。図2の例のように、複数の映像信号の表示エリア23,24が並べられている場合、各表示エリア23,24に表示された映像25,26が表示面21全体で規則正しく並ぶように、各映像25,26の表示位置座標が定められる。ステップA6およびステップA7の処理終了後、ステップA11に進む。
ステップA8〜ステップA10は、複数の映像信号の解像度が相互に一致する場合および複数の映像信号の解像度の差が基準差以上の場合の映像信号の調整処理である。ステップA8において、表示条件計算部16は、映像信号毎に、各映像信号の拡縮前の映像25,26の大きさが、各映像信号の表示エリア23,24以上であるか否かを判断する。
映像信号の拡縮前の映像25,26の大きさが表示エリア23,24以上である場合、ステップA8からステップA9に進む。映像信号の拡縮前の映像25,26の大きさが表示エリア23,24未満である場合、ステップA8からステップA10に進む。ステップA9において、表示条件計算部16は、映像表示装置13の表示面21内の各表示エリア23,24の大きさに応じて、各映像信号の拡縮率比を算出する。好ましくは、各映像信号の拡縮率比は、該各映像信号の映像25,26が各表示エリア23,24内に表示可能な大きさに縮小可能な値に定められる。
なお、図6の例では、ステップA8の判定で各映像25,26の大きさが表示エリア23,24以上であるか否かが判断され、映像25,26を縮小可能な拡縮率比が定められている。これに限らず、ステップA8の判定において、各映像25,26の大きさが表示エリア23,24と一致するか否かが判定され、ステップA9で各映像25,26を拡大縮小され得る値に定められてもよい。
ステップA10において、ステップA7と同様に、表示条件計算部16は、算出後の各映像信号の映像25,26の拡縮率比に応じて、映像表示装置13の表示面21内における各映像信号の映像25,26の表示位置座標を算出する。ステップA8〜ステップA10の処理終了後、ステップA11に進む。
ステップA11において、映像出力部17は、ステップA6〜ステップA7の処理、またはステップA8〜ステップA10の処理において定められた各映像信号の拡縮率比および表示位置座標に基づいて、各映像信号の映像25,26の拡大縮小処理を行い、映像表示装置13の表示面21内の表示位置座標に応じた位置に拡縮後の映像25,26を表示させる。映像表示後、ステップA12で処理を終了する。
以上の処理の結果、本実施形態の映像処理装置12は、複数の映像信号の解像度に関わらず、映像表示装置13の単一の表示面21内に複数の映像信号の映像25,26を適切かつ見易く表示させることができる。
以上説明したように、本実施形態の映像処理装置12および映像システム10は、本発明の映像処理装置および映像システムの最良の実施形態の1つである。本実施形態の映像処理装置12および映像システム10の構成要素の詳細構成は、上述の作用効果が発揮可能な構成であれば、上述した構成に限らず、他の様々な構成が用いられても良い。