JP6533324B2 - 熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラム - Google Patents

熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラム Download PDF

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Description

本発明は、熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラムに関する。
膜タンパク質は、ゲノムにコードされる全タンパク質の30%を占め、シグナル伝達、物質輸送、生体エネルギー産生・変換などの細胞機能において重要な役割を果たしている。また同時に、市販の医薬品の60%程度が膜タンパク質に作用することから、創薬においても重要なターゲットである。特に、ホルモンや神経伝達物質など受容体であるGタンパク共役型受容体(GPCR)は、約800種のファミリーを形成し、280種程度が創薬標的であると見積もられている。
近年、副作用が少なく効果の高い薬剤の設計・改良のために、医薬標的となるタンパク質の立体構造に基づいた医薬分子設計(SBDD)が有効であると示されている。しかしながら、GPCRは、(1)熱安定性が低く大量生産が難しい、(2)結晶化のための親水性表面が少なく結晶化が難しい、という問題点があり、2007年までヒトGPCRの詳細構造は得られていなかった。
2007年、非特許文献1に記載のように、B.KobilkaとR.Stevensらは、ヒト・アドレナリン受容体の細胞内第3ループにT4リゾチーム(T4L)を融合することにより、受容体を熱安定化させるのと同時に親水性表面を拡張し、脂質メソフェーズ法と呼ばれる方法で結晶化し、X線結晶構造解析に成功した。このように、GPCRの(2)結晶化が難しいという問題はT4L融合や抗体を用いることにより克服できるものの、(1)熱安定性が低く大量生産が難しい問題に関しては十分ではなくGPCRの9割以上は未だ大量生産ができていない。
ここで、特許文献1等では、熱安定性を高めるため、GPCRの各アミノ酸を網羅的にアラニンへ置換し、熱安定性の向上をもたらす変異箇所を実験的に調べ、それらの変異箇所の組み合わせによって熱安定性を大きく向上させて結晶構造解析をおこない、GPCRの構造が互いに似ていることを利用して他の種類のGPCRについても熱安定性を向上させるStaR(登録商標)技術が開示されている。
特表2011−505800号公報
Vadim Cherezov, Daniel M. Rosenbaum, Michael A. Hanson, Soren G. F. Rasmussen, Foon Sun Thian, Tong Sun Kobilka, Hee−Jung Choi, Peter Kuhn, William I. Weis, Brian K. Kobilka, Raymond C. Stevens, "High−Resolution Crystal Structure of an Engineered Human β2−Adrenergic G Protein−Coupled Receptor", Science 2007, Vol.318 no.5854 pp. 1258−1265
しかしながら、StaR(登録商標)技術では、実験的な網羅的解析を要するためアラニン以外の他のアミノ酸置換の効果は不明であり、また、新たにGPCRなど他の膜タンパク質についての同様の解析を行うには、かなりの時間と労力を必要とするという問題点を有していた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、膜タンパク質において熱安定化させるアミノ酸変異をコンピュータにて予測することができる、熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、本発明の熱安定化変異体予測装置は、膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測する、記憶部と制御部とを備えた熱安定化変異体予測装置において、上記記憶部は、上記膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶し、上記制御部は、上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入手段と、上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を計算する計算手段と、上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、更に、上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて上記構造最適化を伴った上記膜貫通部位における、上記一次構造から上記三次構造形成まで或いは上記二次構造から上記三次構造形成までのエネルギー変化を計算し、上記候補抽出手段は、上記膜タンパク質における上記エネルギー変化と上記アミノ酸変異体における上記エネルギー変化との差分、ならびに、上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に絶対温度を乗じた値、の和である変化量に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出することを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論の統合型方法論を用いて、上記溶媒和エントロピー変化を計算することを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記記憶部は、更に、上記膜タンパク質の構造データを記憶し、上記計算手段は、上記アミノ酸配列および上記構造データに基づいて構造最適化を行うことを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、まず、上記膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、つぎに、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、最後に、固定なしでミニマイズすることにより、段階的に拘束を外しながら上記構造最適化を行うことを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、当該三次構造を引き離した上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、上記膜貫通部位を取り出してから上記構造最適化を行った上記三次構造の溶媒和エントロピーと、取り出した当該膜貫通部位を引き離したのち上記構造最適化を行った上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離したのち上記構造最適化を行った上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を伸ばしたのち上記構造最適化を行った上記一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする。
また、本発明の熱安定化変異体予測装置は、上記記載の熱安定化変異体予測装置において、上記計算手段は、上記膜貫通部位を取り出してから上記構造最適化を行った上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離して伸ばしたのち上記構造最適化を行った上記一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする。
また、本発明は、熱安定化変異体予測方法に関するものであり、膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶する記憶部と制御部とを備えたコンピュータにおいて実行される、上記膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測する熱安定化変異体予測方法であって、上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入ステップと、上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を計算する計算ステップと、上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明は、プログラムに関するものであり、膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測するため、上記膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶する記憶部と制御部とを備えたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入ステップと、上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を計算する計算ステップと、上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と、上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出ステップと、を実行させることを特徴とする。
また、本発明は記録媒体に関するものであり、上記記載のプログラムを記録したことを特徴とする。
この発明によれば、膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶し、膜タンパク質のアミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成し、膜タンパク質および各アミノ酸変異体について、アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を計算し、膜タンパク質における溶媒和エントロピー変化と、アミノ酸変異体における溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出するので、膜タンパク質において熱安定化させるアミノ酸変異をコンピュータにて(in silico)予測することができるという効果を奏する。
また、本発明は、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論の統合型方法論を用いて、溶媒和エントロピー変化を計算するので、形態計測学的に溶質の形態を簡素化して取り扱うことにより高速に溶媒和エントロピーを計算することができるという効果を奏する。
また、本発明は、更に、膜タンパク質の構造データを記憶し、アミノ酸配列および構造データに基づいて構造最適化を行うので、既知の構造データを利用して的確に構造の最適化を図ることができるという効果を奏する。
また、本発明は、まず、膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、つぎに、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、最後に、固定なしでミニマイズすることにより、段階的に拘束を外しながら構造最適化を行うので、より精度のよい予測構造を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明は、構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーと、当該三次構造を引き離した二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を溶媒和エントロピー変化として計算するので、比較的予測的中率の高い結果(一実施例として5/11)を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明は、膜貫通部位を取り出してから構造最適化を行った三次構造の溶媒和エントロピーと、取り出した当該膜貫通部位を引き離したのち構造最適化を行った二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を溶媒和エントロピー変化として計算するので、予測的中率の高い結果(一実施例として1/4)を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明は、構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離したのち構造最適化を行った二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を溶媒和エントロピー変化として計算するので、予測的中率の高い結果(一実施例として3/11)を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明は、構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を伸ばしたのち構造最適化を行った一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を溶媒和エントロピー変化として計算するので、予測的中率の高い結果(一実施例として5/11)を得ることができるという効果を奏する。
また、本発明は、膜貫通部位を取り出してから構造最適化を行った三次構造の溶媒和エントロピーと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離して伸ばしたのち構造最適化を行った一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を溶媒和エントロピー変化として計算するので、予測的中率の高い結果(一実施例として2/4)を得ることができるという効果を奏する。
図1は、熱力学サイクル(T=298K)におけるN原子がドナー、O原子がアクセプターの場合の図である。 図2は、熱力学サイクル(T=298K)におけるN原子がドナー、O原子がアクセプターの場合の図である。 図3は、脂質二重膜層におけるリン脂質分子の回転、拡散、反転、屈曲の運動を模式的に示した図である。 図4は、炭化水素基と球状溶質の半径の和Rを模式的に示す図である。15通りの直径を有する球状溶質の挿入に伴って、(R,S)のセットが15通り得られる。 図5は、膜タンパク質の立体構造形成に対する2ステージモデルを示す図である。 図6は、2個の構造ユニットからなるGlycophorinA(GpA)の天然構造(NS)と、レプリカ交換モンテカルロシミュレーションにて発生させた偽者構造を示した図である。 図7は、GpAの天然構造(NS)と15000個の偽者構造について、横軸に正解構造との最小二乗偏差、縦軸に無次元化した自由エネルギー差をプロットした図である。 図8は、GpAの天然構造(NS)と15000個の偽者構造について、横軸に正解構造との最小二乗偏差、縦軸に無次元化したエネルギー成分差をプロットした図である。 図9は、GpAの天然構造(NS)と15000個の偽者構造について、横軸に正解構造との最小二乗偏差、縦軸にエントロピー成分(溶媒和エントロピー)差をプロットした図である。 図10は、本実施形態が適用される本熱安定化変異体予測装置100の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施形態に関係する部分のみを概念的に示している。 図11は、熱安定化変異体予測装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、本実施形態の熱安定化変異体予測装置100における、膜タンパク質における溶媒和エントロピー変化−ΔSと、アミノ酸変異体における溶媒和エントロピー変化−ΔSとの計算方法を模式的に示した図である。 図13は、方式2,3におけるヘリックスを引き離したのち構造最適化する様子を示す図である。 図14は、方式4,5における、ヘリックスを一次構造まで伸ばした構造の例を示す図である。 図15は、本実施形態の方式1〜5に共通する手順を示すフロー図である。 図16は、方式1の処理例を示すフロー図である。 図17は、方式2の処理例を示すフロー図である。 図18は、方式3の処理例を示すフロー図である。 図19は、方式4の処理例を示すフロー図である。 図20は、方式5の処理例を示すフロー図である。 図21は、実験では安定化する88残基目のスレオニンをグルタミン酸に置換した変異体についての方式1〜5による計算結果(−ΔΔS)を示す図である。 図22は、実験では安定化(熱変性温度が8℃上昇)する91残基目のセリンをアルギニンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。 図23は、実験では不安定化する245残基目のシステインをトリプトファンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。 図24は、実験では不安定化する51残基目のアラニンをトリプトファンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。 図25は、実験では不安定化する239残基目のバリンをアルギニンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。 図26は、アミノ酸変異5種について、方式1〜5による熱安定化変異体の予測結果の表である。 図27は、方式1における−ΔΔSの計算結果を示すグラフ図である。 図28は、方式2における−ΔΔSの計算結果を示すグラフ図である。 図29は、方式3における−ΔΔSの計算結果を示すグラフ図である。 図30は、方式4における−ΔΔSの計算結果を示すグラフ図である。 図31は、方式5における−ΔΔSの計算結果を示すグラフ図である。 図32は、各アミノ酸変異について、方式1〜5による熱安定化変異体の予測結果の表である。 図33は、熱安定化変異体予測装置により実行される処理の一例を示すフローチャートである。 図34は、分子内水素結合を一つ形成した時のエネルギー低下の値を表した図である。 図35は、Λの処理例を示すフロー図である。 図36は、予測結果の一例を示す図である。 図37は、S91Rに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。 図38は、S91Kに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。 図39は、L85Rに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。 図40は、N280Rに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。 図41は、N181Kに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。 図42は、予測結果の一例を示す図である。 図43は、S91Rに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。 図44は、S91Kに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。 図45は、L85Rに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。 図46は、N280Rに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。 図47は、N181Kに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。
以下に、本発明にかかる、熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[本実施形態の概要]
以下、本発明の実施形態の概要を説明するために、まず本願発明者らにより開発された形態計測学的表現と積分方程式論の統合型方法論について説明し、その後、本実施形態の概要、構成および処理等について詳細に説明する。
[統合型方法論]
本願発明者らは、水分子の並進移動に起因したエントロピー効果に主眼を置き、独自に開発した液体の統計力学理論と形態計測学的アプローチの統合型方法論により、水溶液中におけるタンパク質の熱変性の描像を与えることに成功した。
本実施の形態では、これを応用し、リン脂質分子の疎水鎖を構成するCH,CH,CHグループ(これらの集まりを溶媒と見立てる)の並進移動に起因したエントロピー効果に主眼を置き、アミノ酸置換による膜タンパク質の溶媒和エントロピーの変化を理論的に予測することを目的とする。ここで、膜タンパク質用の自由エネルギー関数Fは、以下の式で表される。
F=−TS+Λ
(T:絶対温度、S:エントロピー成分、Λ:エネルギー成分)
上記の式を、k(k:ボルツマン定数,T=298K)で割って無次元化し、T=Tと設定すると下記の式となる。
F/(k)=−S/k+Λ/(k
ここで、図1および図2は、熱力学サイクル(T=298K)におけるN原子がドナー、O原子がアクセプターの場合の図である。図1に示すように、完全に伸びた構造(分子内水素結合を全く持たない)を基準にして、「分子内水素結合形成に伴うエネルギー低下=分子内水素結合数*D」を計算する。
ここで、Dは、分子内水素結合を1つ形成したときのエネルギー低下の値である。また、Dは、ホルムアミドが無極性溶媒中で水素結合を1本形成した場合に生じるエネルギー低下値(例えば、−14k等)であってもよい。
例えば、図2に示すように、完全に伸びた構造(分子内水素結合を全く持たない)を基準にして、「分子内水素結合形成に伴うエネルギー低下=分子内水素結合数*(−14k)」を計算してもよい。ここで、−14kは、ホルムアミドが無極性溶媒中で水素結合を1本形成した場合に生じるエネルギー低下値である。
そして、主鎖−主鎖,主鎖−側鎖,側鎖−側鎖間のあらゆるドナーとアクセプターを調べ、分子内水素結合数をカウントし、「Λ=分子内水素結合形成に伴うエネルギー低下(負)」を計算する。なお、タンパク質分子内のファン・デル・ワールス引力相互作用の獲得は、タンパク質−リン脂質間のファン・デル・ワールス引力相互作用の喪失と相殺し合うと仮定している。ここで、図3は、脂質二重膜層におけるリン脂質分子の回転、拡散、反転、屈曲の運動を模式的に示した図である(参考:東京大学 生命科学構造化センター/生命科学ネットワーク LS−EDI生命科学教育用画像集「脂質二重層の性質」 URL:http://csls−db.c.u−tokyo.ac.jp/search/detail?image_repository_id=696)。
図3に示すように、リン脂質の激しい熱運動から、膜内へのタンパク質の挿入が起きると、エントロピーの損失が発生する。なお、エントロピーは、リン脂質分子の炭化水素基集団の並進配置エントロピーで代表している。損失の大きさは立体構造の関数で表され、損失がなるべく小さくなる立体構造が安定化する。ここで、Sを、挿入に伴う炭化水素基集団の並進配置エントロピー損失(負)とする。
リン脂質分子の炭化水素基集団を溶媒と見立てた場合、Sは溶媒和エントロピー(ある立体構造に固定された溶質を溶媒中に挿入した場合に生じる溶媒のエントロピー損失:負の量)となる。
本実施の形態では、溶媒和エントロピーSを計算する場合に、本願発明者らが考案した形態計測学的表現と積分方程式論の統合型方法論を用いて、高速な演算を実現してもよい。
形態計測学的表現では、溶質の立体構造を、4つの幾何学的指標(排除容積V、露出表面積A、露出表面の平均曲率の積分値X、および、露出表面のガウス曲率の積分値Y)に基づいて、溶媒和エントロピーを計算することができる。すなわち、溶媒和エントロピーSの表現式は以下の線形結合で表される。
S/k=CV+CA+CX+C
ここで、排除空間は、「溶媒分子の中心が入れない空間」であり、排除空間の容積が排除容積V、排除空間の表面積が露出表面積Aである。排除空間も種々の半径を有する球の結合体となり、半径rの球からのX,Yへの寄与は次の通りである。
「Xへの寄与=平均曲率1/rにその球の露出表面積ξを乗じたもの;
Yへの寄与=ガウス曲率1/rにξを乗じたもの」である。
なお、形態計測学によれば、4つの形態指標の係数C,C,C,Cは、溶質の幾何学的特性には依存しないので、単純化した形態(例えば球)にて扱うことができる。そのため、形態を単純化した球としてとらえ、種々の直径を有する球状溶質の挿入に伴うエントロピー損失を計算する。本実施の形態では、積分方程式論を用いて、炭化水素基集団は、剛体球溶媒としてモデル化して計算する。球状溶質に対する形態計測学的表現によれば、以下の式となる。
S/k=C(4πR/3)+C(4πR)+C(4πR)+C(4π),
R=(d+d)/2
ここで、dは溶媒分子直径,dは球状(剛体球)溶質直径である。複数の異なる直径(0<d≦30dの範囲内で15通り程度)を有する孤立剛体球溶質のSを積分方程式論を用いて計算し、上記の式を適用して最小2乗法によってC〜Cを決定する。一旦C〜Cが決まると、それらを任意の立体構造を持つタンパク質に対しても使用する。すなわち、V,A,X,Yを計算するだけで直ちに式からSが得られる。ただし、C〜Cは溶媒の種類や熱力学条件(温度,圧力など)には大きく依存する。
ここで、図4は、炭化水素基と球状溶質の半径の和Rを模式的に示す図である。例えば、15通りの直径を有する球状溶質の挿入に伴って、(R,S)のセットが15通り得られる。
溶質をタンパク質とし、あらゆる構成原子(H,C,N,O,S)の直径とx,y,z−座標について、上述の4つの幾何学的指標を用いた計算を行うとすると、上述した統計力学理論と形態計測学的アプローチの統合型方法論により、1つの立体構造当たり標準的なワークステーションでも高速に(1秒以内で)Sが計算可能となる。複雑な多原子構造を考慮した3次元積分方程式論で計算した場合と比べると、計算時間は約1万分の1、誤差は±5%未満であり、Λの計算も含めても自由エネルギー関数Fの計算自体が1秒以内で終了する。
以上のように、水溶液中のタンパク質に対して開発された統合型方法論を、膜タンパク質に応用することにより、処理負荷の小さい高速な演算が可能となる。ここで、積分方程式論について概説する。
積分方程式論では、システムの分配関数から出発し、種々の分布関数(相関関数)を定義しつつ、それらの間に成立する関係式を導く。平衡構造・物性に関する限り、計算機シミュレーションと同レベルの解析が可能な手法である。無限に大きなシステムを対象とし、無限個の微視的状態に対して物理量の平均を取るので、「システムサイズが小さ過ぎる可能性がある;統計誤差が避けられない」などの問題とは無縁である。
単一成分から成るバルク溶媒の場合、温度,数密度,溶媒分子間の相互作用ポテンシャルを入力データとして、分布関数間に成立する関係式を数値的に解くと、溶媒の微視的構造、巨視的性質を表す種々の熱力学量を得ることができる(多成分から成る溶媒にも拡張可能)。
溶質の溶媒和特性(溶質近傍における溶媒の微視的構造;溶媒和の熱力学量)をも解析できる。ここで、溶媒和の熱力学量とは、溶質(立体構造を固定)を溶媒中に挿入した場合に生じる熱力学量の変化のことである。剛体球系やレナード・ジョーンズ流体のような単純な溶媒の場合、任意の形状・多原子構造を有する溶質を直接扱うことができる(3次元積分方程式論)。溶媒和の熱力学量の計算では、計算機シミュレーションよりも積分方程式論の方が優位であるが、基本式を解く場合に数学的・数値解析学的な取り扱いが相当要求されるため、本実施の形態では、上述の形態計測学的指標との統合により、これを解決する。
[本実施の形態の概要]
つづいて、本実施の形態の概要について説明する。
まず、本実施の形態は、膜タンパク質の各アミノ酸残基をGlyとPro以外のすべてのアミノ酸に置換したアミノ酸変異体のアミノ酸配列を作成する。例えば、野生型の膜タンパク質にアミノ酸変異を導入することにより、変異体の膜タンパク質を得ることができる。なお、アミノ酸変異は、元のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が、欠失、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列であってもよい。
また、本実施の形態は、膜タンパク質の各アミノ酸残基をGlyとProを含むすべてのアミノ酸に置換したアミノ酸変異体のアミノ酸配列を作成してもよい。
つぎに、本実施の形態は、各アミノ酸変異体のそれぞれについて、アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化−ΔSを計算する。ここで、図5は、膜タンパク質の立体構造形成に対する2ステージモデルを示す図である(参考:curr. opin. struct. biol. 2011, 21:460−466)。
ステージ1は、膜タンパク質が一次構造から二次構造を形成する段階に関する。より具体的には、αへリックスの構造ユニットが、膜内で個別に安定化され、分子内水素構造をできるだけ多く形成する(ステップ1)。なお、脂質二重膜層では、βシートよりもαヘリックスの方が有利である。
ステージ2は、膜タンパク質が膜内で二次構造から三次構造を形成する段階に関する。より具体的には、αへリックスなどの構造ユニット間の側鎖の充填が行われる(ステップ2)。本実施の形態は、一次構造からステージ1,2を経て三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を求めてもよく、二次構造からステージ2を経て三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を求めてもよい。ここで、図6は、2個の構造ユニットからなるGlycophorinA(GpA)の天然構造(NS)と、レプリカ交換モンテカルロシミュレーションにて発生させた偽者構造を示した図である。下段の構造は、上段の構造を図示の視点から見た場合の図である。図6に示すように、二次構造であるαへリックス構造自体は同じであるものの、三次構造におけるαへリックス同士の位置関係は異なっている。
そして、膜タンパク質野生型における溶媒和エントロピー変化−ΔSと、アミノ酸変異体における溶媒和エントロピー変化−ΔSとの差分−ΔΔSに基づいて、熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する。ここで、図7は、GpAの天然構造(NS)と15000個の偽者構造について、横軸に正解構造との最小二乗偏差、縦軸に無次元化した自由エネルギー差をプロットした図である。
図7に示すように、天然構造で自由エネルギーFは最小値をとる。図8は、GpAの天然構造(NS)と15000個の偽者構造について、横軸に正解構造との最小二乗偏差、縦軸に無次元化したエネルギー成分差をプロットした図である。
図8に示すように、天然構造では、構造ユニット間で分子内水素結合が形成されていないので、天然構造よりも有利な偽者構造(破線長方形内の点)が偽陽性として多数存在してしまう。ここで、図9は、GpAの天然構造(NS)と15000個の偽者構造について、横軸に正解構造との最小二乗偏差、縦軸にエントロピー成分(溶媒和エントロピー)差をプロットした図である。
図9に示すように、本実施の形態における指標である、溶媒和エントロピー変化の差分に基づけば、偽陽性を検出してしまうことなく、正しく正解構造を抽出することができることがわかる。これは、天然構造では、炭化水素基集団のエントロピーが最大になるように構造ユニット間の側鎖の充填が行われているからである。
以上が本実施形態の概要である。つづいて、上述した本発明の実施形態をコンピュータにて実現するための装置構成や処理の詳細な例について、以下に詳しく説明する。
[熱安定化変異体予測装置の構成]
次に、本実施形態における熱安定化変異体予測装置100の構成について図10を参照して説明する。図10は、本実施形態が適用される本熱安定化変異体予測装置100の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本実施形態に関係する部分のみを概念的に示している。
図10に示すように、本実施形態における熱安定化変異体予測装置100は、概略的に、制御部102と記憶部106を少なくとも備え、本実施形態において、更に、入出力制御インターフェース部108と通信制御インターフェース部104を備える。ここで、制御部102は、熱安定化変異体予測装置100の全体を統括的に制御するCPU等である。また、通信制御インターフェース部104は、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置(図示せず)に接続されるインターフェースであり、入出力制御インターフェース部108は、入力部114や出力部116に接続されるインターフェースである。また、記憶部106は、各種のデータベースやテーブルなどを格納する装置である。これら熱安定化変異体予測装置100の各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。更に、この熱安定化変異体予測装置100は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワーク300に通信可能に接続されている。
記憶部106に格納される各種のデータベースやテーブル(構造ファイル106a、配列ファイル106b等)は、固定ディスク装置等のストレージ手段である。例えば、記憶部106は、各種処理に用いる各種のプログラム、テーブル、ファイル、データベース、および、ウェブページ等を格納する。
これら記憶部106の各構成要素のうち、構造ファイル106aは、膜タンパク質の構造データを記憶する構造データ記憶手段である。構造ファイル106aは、入力部114を介して入力された、結晶構造解析がなされた膜タンパク質の構造データ等を記憶してもよい。なお、構造ファイル106aにおける構造データは、2次元空間や3次元空間における各原子の座標等を含んでもよい。
また、配列ファイル106bは、膜タンパク質の配列データを記憶する配列データ記憶手段である。配列ファイル106bは、入力部114を介して入力された、膜タンパク質の配列データ等を記憶してもよい。
図10において、入出力制御インターフェース部108は、入力部114や出力部116の制御を行う。ここで、出力部116としては、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカを用いることができる(なお、以下においては出力部116をモニタとして記載する場合がある)。また、入力部114としては、キーボード、マウス、およびマイク等を用いることができる。
また、図10において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラムや、各種の処理手順等を規定したプログラム、および、所要データを格納するための内部メモリを有する。そして、制御部102は、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、変異導入部102a、計算部102b、および、候補抽出部102cを備える。
このうち、図10に示すように、変異導入部102aは、膜タンパク質の各アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、アミノ酸変異体(以下、単に「変異体」と称する)のアミノ酸配列を生成する変異導入手段である。ここで、変異導入部102aは、変異体として、元のアミノ酸配列に対して、1もしくは数個のアミノ酸が、欠失、置換、もしくは付加されたアミノ酸配列を生成してもよい。
また、計算部102bは、膜タンパク質野生型および各変異体について、アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化−ΔS,−ΔSを計算する計算手段である。また、計算部102bは、排除容積V、露出表面積A、露出表面の平均曲率の積分値X、および、露出表面のガウス曲率の積分値Yの4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論の統合型方法論を用いて、溶媒和エントロピーを計算してもよい。
ここで、構造最適化について、計算部102bは、配列ファイル106bに記憶されたアミノ酸配列のみならず、構造ファイル106aに記憶された構造データに基づいて構造最適化を行ってもよい。また、計算部102bは、まず、膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、つぎに、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、最後に、固定なしでミニマイズすることにより、段階的に拘束を外しながら構造最適化を行ってもよい。このほか、計算部102bは、Modeller等のように、他の構造最適化法を用いて、構造最適化を行ってもよい。
ここで、計算部102bは、以下の方式1〜方式5のうち、いずれかの方式にて溶媒和エントロピー変化を計算してもよい。
方式1:構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーと、三次構造を引き離した二次構造の溶媒和エントロピーとの変化
方式2:膜貫通部位を取り出してから構造最適化を行った三次構造の溶媒和エントロピーと、取り出した当該膜貫通部位を引き離したのち構造最適化を行った二次構造の溶媒和エントロピーとの変化
方式3:構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離したのち構造最適化を行った二次構造の溶媒和エントロピーとの変化
方式4:構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を伸ばしたのち構造最適化を行った一次構造の溶媒和エントロピーとの変化
方式5:膜貫通部位を取り出してから構造最適化を行った三次構造の溶媒和エントロピーと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離して伸ばしたのち構造最適化を行った一次構造の溶媒和エントロピーとの変化
また、候補抽出部102cは、膜タンパク質野生型における溶媒和エントロピー変化−ΔSと、変異体における溶媒和エントロピー変化−ΔSとの差分−ΔΔS(=−ΔS−(−ΔS))に基づいて、熱安定化させる変異体の候補を抽出する候補抽出手段である。例えば、候補抽出部102cは、−ΔΔSが負の値のときに熱安定化し、−ΔΔSが正のときに熱不安定化すると判定してもよい。一例として、候補抽出部102cは、−ΔΔSが所定値以下である変異体を、熱安定化させる変異体の候補として抽出してもよい。なお、以下に、各記号とその意味の対応関係を列挙する。
S:(ある構造の)溶媒和エントロピー
−ΔS:(ある構造から他の構造への)溶媒和エントロピー変化
−ΔΔS:(変異前のタンパク質と変異体との間の)溶媒和エントロピー変化の差分
以上が、本実施形態における熱安定化変異体予測装置100の構成の一例である。なお、熱安定化変異体予測装置100は、ネットワーク300を介して外部システム200に接続されてもよい。この場合、通信制御インターフェース部104は、熱安定化変異体予測装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信制御を行う。すなわち、通信制御インターフェース部104は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。また、ネットワーク300は、熱安定化変異体予測装置100と外部システム200とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット等である。
また、外部システム200は、ネットワーク300を介して、熱安定化変異体予測装置100と相互に接続され、構造データや配列データ、パラメータや、シミュレーション結果データ等の各種データに関する外部データベースや、接続された情報処理装置に熱安定化変異体予測方法を実行させるためのプログラム等を提供する機能を有する。
ここで、外部システム200は、WEBサーバやASPサーバ等として構成していてもよい。また、外部システム200のハードウェア構成は、一般に市販されるワークステーション、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置により構成していてもよい。また、外部システム200の各機能は、外部システム200のハードウェア構成中のCPU、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。
以上で、本実施形態の構成の説明を終える。
[熱安定化変異体予測装置100の処理]
次に、このように構成された本実施形態における熱安定化変異体予測装置100の処理の一例について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
まず、熱安定化変異体予測装置100により実行される処理の一例について、図11を参照して説明する。図11は、熱安定化変異体予測装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、変異導入部102aは、配列ファイル106bに記憶された膜タンパク質のアミノ酸配列に対して、アミノ酸変異を導入することにより、変異体Mtのアミノ酸配列を生成する(ステップSA−1)。例えば、変異導入部102aは、1アミノ酸欠失、1アミノ酸置換、1アミノ酸付加等のアミノ酸変異を導入した変異体Mtを生成してもよい。
そして、計算部102bは、膜タンパク質野生型Wtおよび各変異体Mtについて、アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化−ΔS,−ΔSを計算する(ステップSA−2)。なお、計算部102bは、後述する方式1〜5のうち、いずれかの方式にて溶媒和エントロピーの変化を計算してもよい。また、計算部102bは、排除容積V、露出表面積A、露出表面の平均曲率の積分値X、および、露出表面のガウス曲率の積分値Yの4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論の統合型方法論を用いて、溶媒和エントロピーを計算してもよい。ここで、構造最適化について、計算部102bは、配列ファイル106bに記憶されたアミノ酸配列のみならず、構造ファイル106aに記憶された構造データに基づいて構造最適化を行ってもよい。また、計算部102bは、まず、膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、つぎに、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、最後に、固定なしでミニマイズすることにより、段階的に拘束を外しながら構造最適化を行ってもよい。
そして、候補抽出部102cは、膜タンパク質野生型Wtにおける溶媒和エントロピー変化−ΔSと、変異体Mtにおける溶媒和エントロピー変化−ΔSとの差分−ΔΔS(=−ΔS−(−ΔS))を計算する(ステップSA−3)。
そして、候補抽出部102cは、計算した差分−ΔΔSに基づいて、熱安定化させる変異体Mtの候補を抽出する(ステップSA−4)。例えば、候補抽出部102cは、−ΔΔSが負の値のときに熱安定化し、−ΔΔSが正のときに熱不安定化すると判定してもよい。一例として、候補抽出部102cは、−ΔΔSが所定の閾値以下である変異体Mtを、熱安定化させる変異体Mtの候補として抽出してもよい。
以上が、本実施形態における熱安定化変異体予測装置100の処理の一例である。
[5種類の方式]
つづいて、上述した処理を基礎として、具体的な5種類の方式1〜5の処理の詳細について、以下に図12〜図32を参照して説明する。図12は、本実施形態の熱安定化変異体予測装置100における、膜タンパク質野生型Wtにおける溶媒和エントロピー変化−ΔSと、変異体Mtにおける溶媒和エントロピー変化−ΔSとの計算方法を模式的に示した図である。
代表例として、図12に示すように、膜タンパク質野生型Wtと変異体Mtそれぞれについて、αへリックス同士を引き離した状態とパッキングした状態との間の溶媒和エントロピーの差−ΔSを、溶媒和エントロピー変化として求める。これら膜タンパク質野生型Wtの溶媒和エントロピー変化−ΔSと、変異体Mtの溶媒和エントロピー変化−ΔSとの差分−ΔΔS(=−ΔS−(−ΔS))を求める。
具体的には、計算部102bは、以下の方式1〜5のうち、いずれかの方式にて溶媒和エントロピーの変化を計算してもよい。
方式1は、構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーSと、三次構造を引き離した二次構造の溶媒和エントロピーSとの変化−ΔSを求める方法である。このように、方式1では、引き離したヘリックスの側鎖の再充填は考慮しない。
方式2は、膜貫通部位を取り出してから構造最適化を行った三次構造の溶媒和エントロピーSと、取り出した当該膜貫通部位を引き離したのち構造最適化を行った二次構造の溶媒和エントロピーSとの変化−ΔSを求める方法である。図13は、方式2,3におけるヘリックスを引き離したのち構造最適化する様子を示す図である。
方式3は、構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーSと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離したのち構造最適化を行った二次構造の溶媒和エントロピーSとの変化−ΔSを求める方法である。図13に示すように、方式2,3は、引き離したヘリックス各々の構造最適化を行い、側鎖の再充填を考慮している。
方式4は、構造最適化を行ってから膜貫通部位を取り出した三次構造の溶媒和エントロピーSと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を伸ばしたのち構造最適化を行った一次構造の溶媒和エントロピーSとの変化−ΔSを求める方法である。図14は、方式4,5における、ヘリックスを一次構造まで伸ばした構造の例を示す図である。
方式5は、膜貫通部位を取り出してから構造最適化を行った三次構造の溶媒和エントロピーSと、膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離して伸ばしたのち構造最適化を行った一次構造の溶媒和エントロピーSとの変化−ΔSを求める方法である。図14に示すように、方式4,5では、2ステージモデルにおけるステージ1のヘリックス形成に伴うエントロピー変化も考慮する。また、方式1,3,4ではパッキングした構造をミニマイズするときに、ループ構造も考慮する。以下に、方式1〜5のより具体的なフロー例について詳細に説明する。
ここで、図15は、本実施形態の方式1〜5に共通する手順を示すフロー図である。なお、本実施例では、ヒト由来アデノシンA2a受容体の結晶構造(PDB code; 3vg9)を野生型Wtとして用いた。のちに詳述する方式1〜5に共通する処理として、図15に示すように、計算部102bは、一例としてCHARMMプログラム及びMMTSBプログラムを用いて、A2aRの結晶構造に水素付加を行う(以後、この構造を構造<1>と呼ぶ)。以下に方式1〜5の個別フローについて説明する。図16は、方式1の処理例を示すフロー図である。
[方式1]
図16に示すように、まず、野生型Wtの構造<1>について、計算部102bは、CHARMMプログラムを用いて、膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、固定なしでミニマイズする順で、段階的に拘束を外しながら構造最適化を行う(ステップS1−1)。なお、この処理を以下、単に「構造の最適化」と呼ぶ。
つぎに、計算部102bは、膜貫通部位のみを取り出し、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS1−2)。
そして、計算部102bは、それぞれのヘリックスを引き離した構造の溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS1−3)。
そして、計算部102bは、ヘリックスのパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS1−4)。
一方、変異体Mtについては、変異導入部102aは、配列ファイル106bに記憶された配列データに基づいて、構造<1>のアミノ酸残基を置換する(ステップS1−a)。
そして、計算部102bは、構造の最適化を行う(ステップS1−b)。
そして、計算部102bは、膜貫通部位のみを取り出し、溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS1−c)。
そして、計算部102bは、それぞれのヘリックスを引き離した構造の溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS1−d)。
そして、計算部102bは、ヘリックスのパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS1−e)。
以上の結果から、計算部102bは、野生型Wtのエントロピー変化−ΔSと変異型のエントロピー変化−ΔSの差分である、アミノ酸置換に伴うエントロピー変化−ΔΔS=−ΔS−(−ΔS)を計算することができる。
[方式2]
図17は、方式2の処理例を示すフロー図である。図17に示すように、まず、野生型Wtの構造<1>について、計算部102bは、構造<1>の膜貫通部位のみ(構造<2>と呼ぶ)を取り出す(ステップS2−1)。
つぎに、計算部102bは、構造の最適化を行い、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS2−2)。
そして、計算部102bは、構造<2>のヘリックスを引き離す(ステップS2−3)。
そして、計算部102bは、それぞれのヘリックスの構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS2−4)。
そして、計算部102bは、ヘリックスのパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS2−5)。
一方、変異体Mtについては、変異導入部102aは、構造<2>のアミノ酸残基を置換する(この構造を構造<3>とする)(ステップS2−a)。
そして、計算部102bは、構造の最適化を行い、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS2−b)。
そして、計算部102bは、構造<3>のヘリックスを引き離す(ステップS2−c)。
そして、計算部102bは、それぞれのヘリックスの構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS2−d)。
そして、計算部102bは、ヘリックスのパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS2−e)。
以上の結果から、計算部102bは、野生型Wtのエントロピー変化−ΔSと変異型のエントロピー変化−ΔSの差分である、アミノ酸置換に伴うエントロピー変化−ΔΔS=−ΔS−(−ΔS)を計算することができる。
[方式3]
図18は、方式3の処理例を示すフロー図である。図18に示すように、まず、野生型Wtの構造<1>について、計算部102bは、構造<1>の構造の最適化を行う(ステップS3−1)。
つぎに、計算部102bは、膜貫通部位のみを取り出し、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS3−2)。
そして、計算部102bは、構造<1>の膜貫通部位を取り出し、ヘリックス構造を引き離す(ステップS3−3)。
そして、計算部102bは、それぞれのヘリックスの構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS3−4)。
そして、ヘリックスのパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS3−5)。
一方、変異体Mtについては、変異導入部102aは、構造<1>のアミノ酸残基を置換する(この構造を構造<4>とする)(ステップS3−a)。
そして、計算部102bは、構造<4>の構造の最適化を行う(ステップS3−b)。
そして、計算部102bは、膜貫通部位のみを取り出し、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS3−c)。
そして、計算部102bは、構造<4>の膜貫通部位のみを取り出し、ヘリックス構造を引き離す(ステップS3−d)。
そして、計算部102bは、それぞれのヘリックスの構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS3−e)。
そして、計算部102bは、ヘリックスのパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS3−f)。
以上の結果から、計算部102bは、野生型Wtのエントロピー変化−ΔSと変異型のエントロピー変化−ΔSの差分である、アミノ酸置換に伴うエントロピー変化−ΔΔS=−ΔS−(−ΔS)を計算することができる。
[方式4]
図19は、方式4の処理例を示すフロー図である。図19に示すように、まず、野生型Wtの構造<1>について、計算部102bは、構造<1>の構造の最適化を行う(ステップS4−1)。
つぎに、計算部102bは、膜貫通部位のみを取り出し、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS4−2)。
そして、計算部102bは、構造<1>の膜貫通部位を取り出し、完全に伸ばした構造を作成する(ステップS4−3)。
そして、計算部102bは、それぞれの伸ばした構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS4−4)。
そして、計算部102bは、伸びた構造からのヘリックス形成及びパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS4−5)。
一方、変異体Mtについては、変異導入部102aは、構造<1>のアミノ酸残基を置換する(この構造を構造<4>とする)(ステップS4−a)。
そして、計算部102bは、構造<4>の構造の最適化を行う(ステップS4−b)。
そして、計算部102bは、膜貫通部位のみを取り出し、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS4−c)。
そして、計算部102bは、構造<4>の膜貫通部位のみを取り出し、完全に伸ばした構造を作成する(ステップS4−d)。
そして、計算部102bは、それぞれ伸ばした構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS4−e)。
そして、計算部102bは、伸びた構造からヘリックス形成およびパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS4−f)。
以上の結果から、計算部102bは、野生型Wtのエントロピー変化−ΔSと変異型のエントロピー変化−ΔSの差分である、アミノ酸置換に伴うエントロピー変化−ΔΔS=−ΔS−(−ΔS)を計算することができる。
[方式5]
図20は、方式5の処理例を示すフロー図である。図20に示すように、まず、野生型Wtの構造<1>について、計算部102bは、構造<1>の膜貫通部位のみ(構造<2>と呼ぶ)を取り出す(ステップS5−1)。
つぎに、計算部102bは、構造の最適化を行い、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS5−2)。
そして、計算部102bは、構造<2>のヘリックスを引き離し、完全に伸ばした構造を作成する(ステップS5−3)。
そして、計算部102bは、それぞれ伸ばした構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS5−4)。
そして、計算部102bは、伸びた構造からヘリックス形成およびパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS5−5)。
一方、変異体Mtについては、変異導入部102aは、構造<2>のアミノ酸残基を置換する(ステップS5−a)。
そして、計算部102bは、構造<3>の構造の最適化を行い、その溶媒和エントロピー(−S)を計算する(ステップS5−b)。
そして、計算部102bは、構造<3>のヘリックスを引き離し、完全に伸ばした構造を作成する(ステップS5−c)。
そして、計算部102bは、それぞれ伸ばした構造の最適化を行い、溶媒和エントロピーの総和(−S’)を計算する(ステップS5−d)。
そして、計算部102bは、伸びた構造からヘリックス形成およびパッキングに伴うエントロピー変化−ΔS=−S−(−S’)を計算する(ステップS5−e)。
以上の結果から、計算部102bは、野生型Wtのエントロピー変化−ΔSと変異型のエントロピー変化−ΔSの差分である、アミノ酸置換に伴うエントロピー変化−ΔΔS=−ΔS−(−ΔS)を計算することができる。
[実験結果との比較]
置換により安定化または不安定化することが既知のアミノ酸変異5種について、方式1〜5による熱安定化変異体の予測結果を検討した。図21は、実験では安定化する88残基目のスレオニンをグルタミン酸に置換した変異体についての方式1〜5による計算結果(−ΔΔS)を示す図である。
図21に示すように、方式1,2,5では、負の数となり予測に成功している。図22は、実験では安定化(熱変性温度が8℃上昇)する91残基目のセリンをアルギニンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。
図22に示すように、全て負の数となり、すべての方式で予測に成功した。他のアミノ酸への置換でも安定化することが期待される。図23は、実験では不安定化する245残基目のシステインをトリプトファンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。
図23に示すように、方式1では、安定化と予測してしまう。他の方式では、不安定化されることが予測された。図24は、実験では不安定化する51残基目のアラニンをトリプトファンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。
図24に示すように、方式1では安定化と予測してしまう。ただし、この置換により、受容体の折り畳み過程に問題が生じ、予測した折り畳み後の構造になることができないことが原因と考えられる。図25は、実験では不安定化する239残基目のバリンをアルギニンに置換した変異体についての方式1〜5による計算結果−ΔΔSを示す図である。
図25に示すように、すべての方式で予測に失敗している。図26は、アミノ酸変異5種について、方式1〜5による熱安定化変異体の予測結果の表である。○印は、予測成功、×印は予測失敗を示す。また、マイナス記号は安定化を示し、プラス記号は不安定化を示す。
図26に示すように、アミノ酸変異5種については、方式5の予測成功率が高かった。また、例えば、方式1と2を組み合わせ、両者で安定(負の数)との結果が出た場合に、安定化変異体候補として予測してもよい。
つづいて、StaR(登録商標)技術のTateらの実験結果により熱安定効果が既知の変異体群について方式1〜5の予測結果を検討した。Tateらは、アラニンスキャニングの実験結果から、17箇所の安定化するアミノ酸置換を報告している。この結果と、方式1〜5で計算した−ΔΔSの値を比較した。図27〜図31は、それぞれ方式1〜5における−ΔΔSの計算結果を示すグラフ図である。図32は、各アミノ酸変異について、方式1〜5による熱安定化変異体の予測結果の表である。○印は、予測成功、×印は予測失敗、空欄は計算から外したことを示すものである。また、マイナス記号は安定化を示し、プラス記号は不安定化を示す。なお、G114A,G118A,G123A,G152Aなどのグリシンをアラニンに置換したものは構造の自由度が大きく変わるため、膜のエントロピー効果以外の影響、すなわち、構造エントロピーの影響が大きいと考えられるため、計算から外し、空欄とした。また、P149A,E151A残基は結晶構造が得られていないループ部分であるため計算から外し、空欄とした。H075A,T119A,K122A,A203L,A204L,A231L,L235Aは、膜の外のアミノ酸残基であるため、膜貫通部位を取り出してから置換を行う方式2と5では計算外となるため、空欄とした。
図27〜図32に示すように、方式1または方式4を用いるのがよいと考えられる。また、T088Aは、実験結果から、安定性が大きく向上する置換であるが、方式1〜5のどの計算方式でも安定化すると予測できた。したがって、方式1〜5のどの計算方式でも安定化すると予測される置換を選べば、安定性が大きく向上する変異体を予測できると期待できる。
[実施例]
また、本実施形態における熱安定化変異体予測装置100の実施例について図1、および、図33乃至図47を参照して説明する。図33は、熱安定化変異体予測装置100により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図33に示すように、まず、変異導入部102aは、配列ファイル106bに記憶された膜タンパク質野生型Wtのアミノ酸配列に対して、アミノ酸変異を導入することにより、変異体Mtのアミノ酸配列を生成する(ステップSB−1)。例えば、変異導入部102aは、1アミノ酸欠失、1アミノ酸置換、1アミノ酸付加等のアミノ酸変異を導入した変異体Mtを生成してもよい。
そして、計算部102bは、膜タンパク質野生型Wtおよび各変異体Mtについて、アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化−ΔSw,−ΔSmを計算し、膜タンパク質野生型Wtおよび各変異体Mtについて、アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までのエネルギー変化ΔΛ,ΔΛを計算する(ステップSB−2)。
なお、計算部102bは、前述の方式1〜5のうち、いずれかの方式にて溶媒和エントロピーの変化を計算してもよい。また、計算部102bは、排除容積V、露出表面積A、露出表面の平均曲率の積分値X、および、露出表面のガウス曲率の積分値Yの4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論の統合型方法論を用いて、溶媒和エントロピーを計算してもよい。
ここで、構造最適化について、計算部102bは、配列ファイル106bに記憶されたアミノ酸配列のみならず、構造ファイル106aに記憶された構造データに基づいて構造最適化を行ってもよい。また、計算部102bは、まず、膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、つぎに、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、最後に、固定なしでミニマイズすることにより、段階的に拘束を外しながら構造最適化を行ってもよい。
ここで、本実施例におけるエネルギー計算の一例について図1、図34、および、図35を参照して説明する。図34は、分子内水素結合を一つ形成した時のエネルギー低下の値を表した図である。
本実施例では、膜タンパク質用の自由エネルギー関数Fは、以下の式で表される。
F=−TS+Λ
(T:絶対温度、S:エントロピー成分、Λ:エネルギー成分)
上記の式を、k(k:ボルツマン定数,T=298K)で割って無次元化し、T=Tと設定すると下記の式となる。
F/(k)=−S/k+Λ/(k
ここで、図1に示すように、本実施例においては、完全に伸びた構造(分子内水素結合を全く持たない)を基準にして、「分子内水素結合形成に伴うエネルギー低下=分子内水素結合数*D」を計算する。ここで、Dは、分子内水素結合を1つ形成したときのエネルギー低下の値である。
また、図34に示すように、Dは、ドナーとアクセプターとの原子の中心間距離が1.5Å未満の場合、Dとし(すなわち、Dのエネルギー低下を与え)、中心間距離が1.5Å以上且つ3.0Å未満の場合、0からDまで直線的に減少する値とし(すなわち、直線的に減少させたエネルギー低下を与え)、中心間距離が3.0Å以上の場合、0とする(すなわち、エネルギー低下を与えない)。ここで、本実施例において、Dは、−4kTであってもよい。
そして、主鎖−主鎖,主鎖−側鎖,側鎖−側鎖間のあらゆるドナーとアクセプターを調べ、それぞれに対しDを計算し、その総和をとることで、「Λ=分子内水素結合形成に伴うエネルギー低下(負)」を計算する。なお、タンパク質分子内のファン・デル・ワールス引力相互作用の獲得は、蛋白質−リン脂質間のファン・デル・ワールス引力相互作用の喪失と相殺し合うと仮定している。
ここで、図35を参照して、本実施例におけるΛの計算手順の一例について説明する。図35は、Λの処理例を示すフロー図である。
図35に示すように、まず、計算部102bは、膜タンパク質野生型Wtの構造<1>の構造の最適化を行う(ステップS6−1)。
つぎに、計算部102bは、膜貫通(間入)部位のみを取り出し、そのエネルギー(Λ)を計算する(ステップS6−2)。
そして、計算部102bは、構造<1>の膜貫通部位を取り出し、仮想的に考えた完全に伸びた構造(Λ’=0)を取得する(ステップS6−3)。
そして、計算部102bは、仮想的に考えた完全に伸びた構造(Λ’=0)からのヘリックス形成およびパッキングに伴うエネルギー変化ΔΛ=Λ−Λ’を計算する(ステップS6−4)。
一方、変異体Mtについては、変異導入部102aは、構造<1>のアミノ酸残基を置換する(この構造を構造<4>とする)(ステップS6−a)。
そして、計算部102bは、構造<4>の構造の最適化を行う(ステップS6−b)。
そして、計算部102bは、膜貫通部位のみを取り出し、そのエネルギー(Λ)を計算する(ステップS6−c)。
そして、計算部102bは、構造<4>の膜貫通部位を取り出し、仮想的に考えた完全に伸びた構造(Λ’=0)を取得する(ステップS6−d)。
そして、計算部102bは、仮想的に考えた完全に伸びた構造(Λ’=0)からのヘリックス形成およびパッキングに伴うエネルギー変化ΔΛ=Λ−Λ’を計算する(ステップS6−e)。
以上の結果から、計算部102bは、膜タンパク質野生型Wtのエネルギー変化ΔΛと変異型のエネルギー変化ΔΛとの差分である、折り畳みによるエネルギー低下のアミノ酸置換に伴うエネルギー変化量ΔΔΛ=ΔΛ−ΔΛを計算することができる。
図33に戻り、候補抽出部102cは、膜タンパク質野生型Wtにおける溶媒和エントロピー変化−ΔSと、変異体Mtにおける溶媒和エントロピー変化−ΔSとの差分−ΔΔS(=−ΔS−(−ΔS))を計算し、膜タンパク質野生型Wtにおけるエネルギー変化ΔΛと、変異体Mtにおけるエネルギー変化ΔΛとの差分ΔΔΛ(=ΔΛ−ΔΛ)を計算する(ステップSB−3)。
そして、候補抽出部102cは、計算したΔΔΛと−TΔΔSとの和であるΔΔFに基づいて、熱安定化させる変異体Mtの候補を抽出する(ステップSB−4)。例えば、候補抽出部102cは、ΔΔF(折り畳みによる系の自由エネルギー低下のアミノ酸置換に伴う変化量)が負の値の場合に熱安定化し、ΔΔFが正の場合に熱不安定化すると判定してもよい。一例として、候補抽出部102cは、ΔΔFが所定の閾値以下である変異体Mtを、熱安定化させる変異体Mtの候補として抽出してもよい。
ここで、図36乃至図47を参照して、本実施における予測結果の一例について説明する。図36は、予測結果の一例を示す図である。図37はS91Rに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。図38は、S91Kに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。図39は、L85Rに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。図40は、N280Rに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。図41は、N181Kに対する方式1〜5のΔΔFの値を示す図である。図42は、予測結果の一例を示す図である。図43は、S91Rに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。図44は、S91Kに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。図45は、L85Rに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。図46は、N280Rに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。図47は、N181Kに対する方式1〜5の−ΔΔSの値を示す図である。
まず、Modellerを用いて行われた全アミノ酸置換の中で、方式1に基づいて計算されたΔΔFの値において、小さいものから順に5つのアミノ酸置換(S91R、S91K、L85R、N280R、N181K)を、安定化が予測されるアミノ酸置換として選び出した。
そして、図36に示すように、本実施例においては、本熱安定化変異体予測方法を用いて、これら5つのアミノ酸置換に対してΔΔFの値(図37〜図41)を計算し、方式1から方式5のいずれかの方式を用いた場合における予測結果(安定化(−)または不安定化(+))を取得した。
すなわち、図36に示すように、本実施例においては、方式1から方式5のいずれの方式を用いた場合であっても、これら5つのアミノ酸置換に対するΔΔFの値は負の値であり、安定化させる変異体であると予測された(図36の方式1から方式5の列に示す(−))。
そして、これら5つのアミノ酸置換に対して、検証実験を行い、実験的に安定化するか否かの確認を行ったところ、図36に示すように、これら5つのアミノ酸置換のうち3つのアミノ酸置換において実際に安定化が確認され(図36の左端の列に示す(−))、方式1から方式5のいずれの方式を用いても、予測成功率60%の結果が得られた。
さらに、図42に示すように、本実施例においては、本熱安定化変異体予測方法を用いて、これら5つのアミノ酸置換に対して−ΔΔSの値(図43〜図47)を計算した所、方式1から方式5のいずれかの方式を用いた場合における予測結果(安定化(−)または不安定化(+))を取得した。
すなわち、図42に示すように、本実施例においては、方式1から方式5のいずれの方式を用いた場合であっても、これら5つのアミノ酸置換に対するΔΔFの値は負の値であり、安定化させる変異体であると予測された(図42の方式1から方式5の列に示す(−))。
そして、これら5つのアミノ酸置換に対して、検証実験を行い、実験的に安定化するか否かの確認を行ったところ、図42に示すように、これら5つのアミノ酸置換のうち3つのアミノ酸置換において実際に安定化が確認され(図42の左端の列に示す(−))、エントロピーのみの観点で、方式1から方式5のいずれの方式を用いても、予測成功率60%の結果が得られた。
このように、本実施例においては、−ΔΔSを用いた熱安定化変異体予測を行っても、ΔΔFを用いた熱安定化変異体予測を行っても、いずれも高い予測成功率が得られることが分かった。
[他の実施形態]
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
例えば、熱安定化変異体予測装置100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、熱安定化変異体予測装置100は、クライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するようにしてもよい。
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、熱安定化変異体予測装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、熱安定化変異体予測装置100の各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じて熱安定化変異体予測装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部106などには、OS(Operating System)として協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
また、このコンピュータプログラムは、熱安定化変異体予測装置100に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM(登録商標)、CD−ROM、MO、DVD、および、Blu−ray(登録商標)Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
記憶部106に格納される各種のデータベース等(構造ファイル106a、配列ファイル106b等)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
また、熱安定化変異体予測装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、熱安定化変異体予測装置100は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
以上詳述に説明したように、本発明によれば、エロンゲーション法を2次元系や3次元系に適用する場合であっても、計算時間の増大化を抑制することができる、熱安定化変異体予測装置、熱安定化変異体予測方法、および、プログラムを提供することができるので、新規物質探索や医療や製薬や創薬や化学的研究や生物学研究や臨床検査など様々な分野において極めて有用である。
100 熱安定化変異体予測装置
102 制御部
102a 変異導入部
102b 計算部
102c 候補抽出部
104 通信制御インターフェース部
106 記憶部
106a 構造ファイル
106b 配列ファイル
108 入出力制御インターフェース部
114 入力部
116 出力部
200 外部システム
300 ネットワーク

Claims (12)

  1. 膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測する、記憶部と制御部とを備えた熱安定化変異体予測装置において、
    上記記憶部は、
    上記膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶し、
    上記制御部は、
    上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入手段と、
    上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論との統合型方法論を用いて計算する計算手段と、
    上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出手段と、
    を備えたことを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  2. 請求項1に記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    更に、上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて上記構造最適化を伴った上記膜貫通部位における、上記一次構造から上記三次構造形成まで或いは上記二次構造から上記三次構造形成までのエネルギー変化を計算し、
    上記候補抽出手段は、
    上記膜タンパク質における上記エネルギー変化と上記アミノ酸変異体における上記エネルギー変化との差分、ならびに、上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に絶対温度を乗じた値、の和である変化量に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  3. 請求項1または2に記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて上記構造最適化を伴った上記膜貫通部位における、上記一次構造から上記三次構造形成まで或いは上記二次構造から上記三次構造形成までの上記溶媒和エントロピー変化(S)を、以下の数式1を用いて計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
    S/k =C V+C A+C X+C Y・・・(数式1)
    (ここで、k :ボルツマン定数、V:排除容積、A:露出表面積、X:露出表面の平均曲率の積分値、Y:露出表面のガウス曲率の積分値、ならびに、
    、C 、C およびC :複数の異なる球状(剛体球)溶質直径(d )を有する孤立剛体球溶質の溶媒和エントロピー変化(S sphere )を積分方程式論を用いて計算し、S sphere /k =C (4πR /3)+C (4πR )+C (4πR)+C (4π),R=(d +d )/2(ここで、d :溶媒分子直径)を適用して最小二乗法によって決定した係数)
  4. 請求項1乃至3のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記記憶部は、更に、
    上記膜タンパク質の構造データを記憶し、
    上記計算手段は、
    上記アミノ酸配列および上記構造データに基づいて構造最適化を行うことを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    まず、上記膜タンパク質の重原子を固定してミニマイズし、つぎに、Cα炭素およびCβ炭素を固定してミニマイズし、最後に、固定なしでミニマイズすることにより、段階的に拘束を外しながら上記構造最適化を行うことを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、当該三次構造を引き離した上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    上記膜貫通部位を取り出してから上記構造最適化を行った上記三次構造の溶媒和エントロピーと、取り出した当該膜貫通部位を引き離したのち上記構造最適化を行った上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  8. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離したのち上記構造最適化を行った上記二次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  9. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    上記構造最適化を行ってから上記膜貫通部位を取り出した上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を伸ばしたのち上記構造最適化を行った上記一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  10. 請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熱安定化変異体予測装置において、
    上記計算手段は、
    上記膜貫通部位を取り出してから上記構造最適化を行った上記三次構造の溶媒和エントロピーと、上記膜貫通部位を取り出し当該膜貫通部位を引き離して伸ばしたのち上記構造最適化を行った上記一次構造の溶媒和エントロピーとの変化を上記溶媒和エントロピー変化として計算することを特徴とする熱安定化変異体予測装置。
  11. 膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶する記憶部と制御部とを備えたコンピュータにおいて実行される、上記膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測する熱安定化変異体予測方法であって、
    上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入ステップと、
    上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論との統合型方法論を用いて計算する計算ステップと、
    上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出ステップと、
    を含むことを特徴とする熱安定化変異体予測方法。
  12. 膜タンパク質を熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を予測するため、上記膜タンパク質のアミノ酸配列を記憶する記憶部と制御部とを備えたコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    上記膜タンパク質の上記アミノ酸配列にアミノ酸変異を導入することにより、上記アミノ酸変異体のアミノ酸配列を生成する変異導入ステップと、
    上記膜タンパク質および上記各アミノ酸変異体について、上記アミノ酸配列に基づいて構造最適化を伴った膜貫通部位における、一次構造から三次構造形成まで或いは二次構造から三次構造形成までの溶媒和エントロピー変化を、排除容積、露出表面積、露出表面の平均曲率の積分値、および、露出表面のガウス曲率の積分値の4つの幾何学的指標に基づく形態計測学的表現と積分方程式論との統合型方法論を用いて計算する計算ステップと、
    上記膜タンパク質における上記溶媒和エントロピー変化と上記アミノ酸変異体における上記溶媒和エントロピー変化との差分に基づいて、上記熱安定化させるアミノ酸変異体の候補を抽出する候補抽出ステップと、
    を実行させるためのプログラム。
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