以下に添付図面を参照して、本発明に係る放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグ及び放射性物質収納方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の蓋ボルト穴プラグが適用される放射性物質収納容器としてのキャスクを表す縦断面図、図2は、キャスクの水平断面図、図3は、キャスクの上部を表す縦断面図である。
第1実施形態において、図1から図3に示すように、放射性物質収納容器としてのキャスク111は、胴部112と蓋部113とバスケット114とを有する。胴部112は、胴本体121の一方である上部に開口部(収納開口部)122が形成され、他方である下部に底部(閉塞部)123が形成された円筒形状をなしている。胴本体121は、内部にキャビティ124が設けられ、このキャビティ124は、その内面がバスケット114の外周形状に合わせた形状となっている。バスケット114は、例えば、使用済燃料集合体である放射性物質(図示略)を個々に収納するセルを複数有している。バスケット114は、バスケット本体114Aを有する。バスケット本体114Aは、互いに平行かつ所定間隔で配置されるセルとしての放射性物質収納部114Bが上下方向で連続して形成されている。ここで、上下方向とは、キャスク111において胴本体121の円筒形状の中心軸の延在方向である長手方向Xに対して沿う方向であり、胴本体121の上下方向に相当する。
そして、胴本体121は、下部に底部123が溶接結合または一体成形されており、この胴本体121および底部123は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっている。胴本体121および底部123は、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。また、胴本体121および底部123は、球状黒鉛鋳鉄または炭素鋼鋳鋼などの鋳造品を用いることもできる。
胴部112は、胴本体121の外周側に所定の隙間を空けて外筒125が配設されており、胴本体121の外周面と外筒125の内周面との間に、熱伝導を行う銅や鋼製の伝熱フィン125Aが周方向に等間隔で複数溶接されている。そして、胴部112は、胴本体121と外筒125との空間部に、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するボロンまたはボロン化合物を含有したレジン(中性子遮蔽体)126が流動状態で図示しないパイプ等を介して注入され、固化されている。
また、胴部112は、底部123の下側に複数の連結板127により所定の隙間を空けて底板128が連結されていてもよく、この連結板127と底板128との空間部にレジン(中性子遮蔽体)129が設けられている。なお、連結板127を設けないこともある。また、胴部112は、側面135にトラニオン130が固定されている。トラニオン130は、キャスク111において径方向の相反する側に突出して対をなし、かつ上下方向の2箇所に配置されて、少なくとも計4箇所に設けられている。
蓋部113は、図1に示すように、一次蓋131と、二次蓋132と、三次蓋133と、を有する。一次蓋131は、胴部112における胴本体121の開口部122に対して着脱可能に取り付けられる。二次蓋132は、一次蓋131の外側で開口部122に対して着脱可能に取り付けられる。三次蓋133は、二次蓋132の外側で開口部122に対して着脱可能に取り付けられる。一次蓋131は、キャビティ124側の負圧を維持してキャビティ124内に充填されたガスの漏洩を防ぐと共に、キャビティ124内に収納された放射性物質から出る放射線(γ線)を遮蔽する。また、一次蓋131は、二次蓋132側にレジン(中性子遮蔽体)134が設けられている。二次蓋132は、一次蓋131との間に大気に対して加圧された圧力監視境界を有する。なお、図には明示しないが、一次蓋131と二次蓋132との間に、二次蓋132の衝撃を吸収する緩衝部が設けられていてもよい。
ここで、一次蓋131、二次蓋132、三次蓋133の開口部122への取り付けについて説明する。図3に示すように、胴部112は、胴本体121の開口部122の内周部に段付部が形成されている。段付部は、開口部122の内側から、第一段部141と、第二段部142と、第三段部143とを有する。
第一段部141は、第一内周部141Aと第一座面部141Bとを有する。第一内周部141Aは、胴本体121の内周をなしており、長手方向Xにおいて開口部122の外側に延伸している。第一座面部141Bは、第一内周部141Aの延端から胴本体121の径方向外側に延伸して開口部122の外側に向く面をなす。第一座面部141Bは、第一蓋ボルト穴141Cが胴本体121の周りに沿って複数設けられている。この第一段部141において、一次蓋131が胴本体121と固定される。
第二段部142は、長手方向Xにおいて第一段部141よりも開口部122の外側に位置する。第二段部142は、第二内周部142Aと第二座面部142Bとを有する。第二内周部142Aは、胴本体121の内周をなしており、第一段部141の第一座面部141Bの外周端から長手方向Xにおいて開口部122の外側に延伸している。第二座面部142Bは、第二内周部142Aの延端から胴本体121の径方向外側に延伸して開口部122の外側に向く面をなす。第二座面部142Bは、第二蓋ボルト穴142Cが胴本体121の周りに沿って複数設けられている。この第二段部142において、二次蓋132が胴本体121と固定される。
第三段部143は、長手方向Xにおいて第二段部142よりも開口部122の外側に位置する。第三段部143は、第三内周部143Aと第三座面部143Bとを有する。第三内周部143Aは、胴本体121の内周をなしており、第二段部142の第二座面部142Bの外周端から長手方向Xにおいて開口部122の外側に延伸している。第三座面部143Bは、第三内周部143Aの延端である開口部122の開口縁から胴本体121の径方向外側に延伸して開口部122の外側に向く面をなす。この第三座面部143Bは、胴本体121における開口部122の外側の端面をなす。第三座面部143Bは、第三蓋ボルト穴143Cが胴本体121の周りに沿って複数設けられている。この第三段部143において、三次蓋133が胴本体121と固定される。
一次蓋131は、円板部131Aと突起部131Bとを有する。円板部131Aは、第二段部142の第二内周部142Aの内側に挿入可能な大きさで円板状に形成されている。突起部131Bは、円板部131Aの中央部において一側面131Aaから突出して設けられ、第一段部141の第一内周部141Aの内側に挿入可能な大きさで円柱状に形成されている。円板部131Aの一側面131Aaは、円板部131Aの外周部に配置されることになる。また、一次蓋131は、円板部131Aの一側面131Aaに、シール溝131Cが形成されている。シール溝131Cは、シール部材(例えば、金属製ガスケット)131Dが挿入される。また、一次蓋131は、円板部131Aの外周部であってシール溝131Cを避ける位置に、周方向に沿って複数の貫通穴131Eが設けられている。貫通穴131Eは、第一段部141の第一座面部141Bに設けられた第一蓋ボルト穴141Cに対応して設けられている。この一次蓋131は、円板部131Aの一側面131Aaを第一段部141の第一座面部141Bと対面させた状態で、貫通穴131Eに挿通したボルト151を第一蓋ボルト穴141Cに螺合させることで、一側面131Aaが第一座面部141Bに押圧されるように締め付けられ、シール部材131Dが一側面131Aa側と第一座面部141B側との間で挟み込まれることで、胴本体121の開口部122における第一段部141の位置を密封する。
二次蓋132は、円板部132Aと突起部132Bとを有する。円板部132Aは、第三段部143の第三内周部143Aの内側に挿入可能な大きさで円板状に形成されている。突起部132Bは、円板部132Aの中央部において一側面132Aaから突出して設けられ、第二段部142の第二内周部142Aの内側に挿入可能な大きさで円柱状に形成されている。円板部132Aの一側面132Aaは、円板部132Aの外周部に配置されることになる。また、二次蓋132は、円板部132Aの一側面132Aaに、シール溝132Cが形成されている。シール溝132Cは、シール部材(例えば、金属製ガスケット)132Dが挿入される。また、二次蓋132は、円板部132Aの外周部であってシール溝132Cを避ける位置に、周方向に沿って複数の貫通穴132Eが設けられている。貫通穴132Eは、第二段部142の第二座面部142Bに設けられた第二蓋ボルト穴142Cに対応して設けられている。この二次蓋132は、円板部132Aの一側面132Aaを第二段部142の第二座面部142Bと対面させた状態で、貫通穴132Eに挿通したボルト152を第二蓋ボルト穴142Cに螺合させることで、一側面132Aaが第二座面部142Bに押圧されるように締め付けられ、シール部材132Dが一側面132Aa側と第二座面部142B側との間で挟み込まれることで、胴本体121の開口部122における第二段部142の位置を密封する。
三次蓋133は、円板部133Aと突起部133Bとを有する。円板部133Aは、第三座面部143Bを覆う大きさで円板状に形成されている。突起部133Bは、円板部133Aの中央部において一側面133Aaから突出して設けられ、第三段部143の第三内周部143Aの内側に挿入可能な大きさで円柱状に形成されている。円板部133Aの一側面133Aaは、円板部133Aの外周部に配置されることになる。また、三次蓋133は、円板部133Aの一側面133Aaに、シール溝133Cが形成されている。シール溝133Cは、シール部材(例えば、ゴム製Oリング)133Dが挿入される。また、三次蓋133は、円板部133Aの外周部であってシール溝133Cを避ける位置に、周方向に沿って複数の貫通穴133Eが設けられている。貫通穴133Eは、第三段部143の第三座面部143Bに設けられた第三蓋ボルト穴143Cに対応して設けられている。この三次蓋133は、円板部133Aの一側面133Aaを第三段部143の第三座面部143Bと対面させた状態で、貫通穴133Eに挿通したボルト153を第三蓋ボルト穴143Cに螺合させることで、一側面133Aaが第三座面部143Bに押圧されるように締め付けられ、シール部材133Dが一側面133Aa側と第三座面部143B側との間で挟み込まれることで、胴本体121の開口部122における第三段部143の位置を密封する。
そして、放射性物質は、水中において胴部112におけるキャビティ124のバスケット114に挿入され、一次蓋131が配置される。その後、胴部112は、水中から引き上げられ、一次蓋131に設けられた排水口(図示せず)から排水および吸引が行われ、一次蓋131がボルト151で取り付けられた後、真空乾燥および一次蓋131に設けられた封入口(図示せず)からガス(例えば、不活性ガス)が注入されることで、一次蓋131により密封された内部が負圧とされてガスで満たされる。その後、二次蓋132および三次蓋133がボルト152およびボルト153により取り付けられる。このように、放射性物質は、一次蓋131、二次蓋132および三次蓋133を胴本体121に取り付けることによりキャスク111に収納される。なお、図には明示しないが、キャスク111は、一次蓋131および二次蓋132のみを有する構成や、一次蓋131および三次蓋133のみを有する構成がある。
ここで、第1実施形態の蓋ボルト穴プラグについて説明する。なお、以下の説明では、一次蓋131を胴部112の第一段部141に締結するための複数の第一蓋ボルト穴141Cに対して装着される蓋ボルト穴プラグについてのみ説明する。但し、本実施形態の蓋ボルト穴プラグは、二次蓋132を胴部112の第二段部142に締結するための複数の第二蓋ボルト穴142Cや三次蓋133を胴部112の第三段部143に締結するための複数の第三蓋ボルト穴143Cに対しも適用することができる。
図4は、第1実施形態の蓋ボルト穴プラグを表す正面図である。
図4に示すように、蓋ボルト穴プラグ10は、胴部112の開口部122から内部に放射性物質を収納して一次蓋131により閉塞可能なキャスク111において、胴部112における開口部122の周囲に形成された複数の第一蓋ボルト穴141Cに着脱自在なものである。そして、この蓋ボルト穴プラグ10は、キャスク111(図3参照)に放射性物質を収納する場合、胴部112を水中に沈めたときに、第一蓋ボルト穴141Cの防水のため、この第一蓋ボルト穴141Cへの水の浸入を防止するためのものである。
蓋ボルト穴プラグ10は、挿入部11と、シール部12と、第1拘束部材13とを有している。
挿入部11は、円柱形状をなし、第一蓋ボルト穴141Cに挿入可能となっている。シール部12は、挿入部11の外周部に周方向に沿って設けられている。本実施形態にて、シール部12は、挿入部11における軸方向の一端部、図4にて、上端部に設けられている。このシール部12は、外周部が挿入部11より径方向の外側に突出し、第一蓋ボルト穴141Cの入口部に形成された皿部161に接触可能となっている。
第一蓋ボルト穴141Cは、前述したように、第一段部141の第一座面部141Bから胴部112の軸方向に所定深さをもって形成された穴であり、入口部に皿部161が形成されると共に、内周面にめねじ162が形成されている。皿部161は、第一蓋ボルト穴141Cの軸心方向及び径方向に対して所定の角度で傾斜した傾斜面161aが形成されたリング形状をなしている。めねじ162は、この皿部161から第一蓋ボルト穴141Cの奥部側に向けて螺旋をなすように形成されたねじ部である。
シール部12は、外形寸法D2が挿入部11の外径寸法D1より大きく設定されている。また、シール部12は、外径寸法D2が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径寸法D3より大きく設定されている。
上述した挿入部11とシール部12は、一体に形成されている。挿入部11とシール部12は、弾性変形できるように、弾性部材(高分子材料)として、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ニトリルゴム、シリコン系ゴムなどにより形成される。
即ち、蓋ボルト穴プラグ10は、円柱形状をなす挿入部11の軸方向(挿入方向)の一端部側の外周部にリング形状をなすシール部12が設けられた形状となっている。そして、シール部12は、上方に突出した半球形状をなす球面部21と、球面部21の外周部側に設けられるリング形状をなす鍔部22とから構成され、鍔部22が挿入部11に連結されている。この鍔部22は、第一蓋ボルト穴141C
の皿部161に嵌合できるように、径方向の外方に向けて先細形状であり、外形寸法(D2)が皿部161の外径寸法より小さく設定されている。
挿入部11は、縮径位置と拡径位置との間で弾性変形することができ、第1拘束部材13は、この挿入部11を縮径位置に拘束することができる。この第1拘束部材13は、シール部12における球面部21の中心位置から挿入部11側の下端外周部側へ延出する複数の芯材(鋼線など)により構成される。即ち、第1芯材23aは、外部からシール部12の球面部21内に進入し、挿入部11における軸方向の中間位置まで延出されている。複数の第2芯材23bは、基端部がシール部12内における第1芯材23aの中途部に連結され、先端部が放射方向に延出し、シール部12における鍔部22の下部外周部に固定されている。また、複数の第3芯材23cは、基端部が挿入部11内における第1芯材23aの先端部に連結され、先端部が放射方向に延出し、挿入部11の下部外周部に固定されている。この場合、複数の第2、第3芯材23b,23cは、周方向に均等間隔で配置され、シール部12側から挿入部11側へ向けて延出されている。そして、第1芯材23aは、外部に露出した端部に操作部23dが設けられている。
そのため、蓋ボルト穴プラグ10(挿入部11及びシール部12)は、外力がない状態で、拡径した拡径位置にあり、挿入部11は、外周面が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162を押圧し、シール部12は、外周面が皿部161の傾斜面161aに密着している。この状態から、作業者がシール部12の球面部21を手または治具で押え、操作部23dにより第1芯材23aを上部に引くと、複数の第2、第3芯材23b,23cを介して挿入部11及びシール部12の外周部が中心側に引かれて縮径するように変形し、縮径位置に移動して拘束される。このとき、挿入部11は、外周面が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162から離間する。
上述した蓋ボルト穴プラグ10は、挿入部11が第一蓋ボルト穴141Cのめねじ162に押圧することで保持され、シール部12が第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に密着することで第一蓋ボルト穴141Cの内部への水の浸入が防止される。
本実施形態の放射性物質収納方法は、胴部112における開口部122の周囲に形成された複数の蓋ボルト穴141C(142C,143C)に蓋ボルト穴プラグ10をそれぞれ装着する工程と、胴部112をプールの水中に沈める工程と、プールの水中で胴部112内に放射性物質を収納する工程と、プールの水中で胴部112に蓋131(132,133)を配置して内部を閉塞する工程と、胴部122を前記プールから引き上げる工程と、蓋ボルト穴プラグ10を蓋131(132,133)の貫通穴131E(132E,133E)から取り外す工程と、胴部122内を水抜きする工程と、一次蓋131をボルト締めして固定する工程と、一次蓋131の内側である胴部122内を真空乾燥して不活性ガスを充填する工程と、二次蓋132及び三次蓋133をボルト締めして固定する工程とを有している。
ここで、胴部112の第一蓋ボルト穴141Cに蓋ボルト穴プラグ10を装着する方法、並びに、蓋ボルト穴プラグ10を一次蓋131の貫通穴131Eから取り外す方法について説明する。図5は、蓋ボルト穴プラグの取付方法を表す概略図、図6は、蓋ボルト穴プラグの装着状態を表す概略図、図7は、蓋ボルト穴プラグの使用状態を表す概略図、図8は、蓋ボルト穴プラグの取外方法を表す概略図である。
図5に示すように、蓋ボルト穴プラグ10は、外力がない状態で、拡径した拡径位置にあり、挿入部11を第一蓋ボルト穴141Cに挿入することは困難である。そのため、作業者は、シール部12の球面部21を手または治具で押え、操作部23dを矢印A方向に引く。すると、蓋ボルト穴プラグ10は、第1芯材23aが上方に引かれることで、複数の第2、第3芯材23b,23cを介して挿入部11及びシール部12の外周部が中心側に引かれて変形し、縮径位置に拘束される。このとき、挿入部11の外径が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径より小さくなっており、蓋ボルト穴プラグ10を矢印B方向に移動して挿入部11を第一蓋ボルト穴141Cに挿入する。
ここで、作業者は、操作部23dを矢印A方向に引くのをやめると、蓋ボルト穴プラグ10は、図6に示すように、第1芯材23aが下方に戻ることで、複数の第2、第3芯材23b,23cへのけん引力がなくなり、拡径した拡径位置となる。このとき、蓋ボルト穴プラグ10は、挿入部11が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162を押圧し、シール部12が皿部161に密着する。
複数の第一蓋ボルト穴141Cに蓋ボルト穴プラグ10が装着されると、図7に示すように、胴部112がプールの水中に沈められて内部に放射性物質が収納された後、胴部112の第一段部141に一次蓋131が配置されて内部が閉塞される。この作業中、複数の第一蓋ボルト穴141Cに装着された蓋ボルト穴プラグ10は、一次蓋131の貫通穴131Eを通して水圧Cが作用するが、この水圧Cは、蓋ボルト穴プラグ10を拡径する方向に作用することから、挿入部11とめねじ162の密着力、シール部12と皿部161の密着力が増加し、第一蓋ボルト穴141C内に水が浸入することはない。また、挿入部11より大径のシール部12が皿部161に密着していることから、蓋ボルト穴プラグ10が第一蓋ボルト穴141C内に陥没することもない。
その後、胴部112をプールから引き上げ、一次蓋131の各貫通孔131Eに溜まっている水を吸引除去した後、蓋ボルト穴プラグ10を一次蓋131の貫通孔131Eから取り外す。即ち、図8に示すように、作業者は、シール部12の球面部21を手または治具で押え、操作部23dを上方に引き、蓋ボルト穴プラグ10を縮径位置に移動して拘束する。このとき、挿入部11の外径が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径より小さくなっており、蓋ボルト穴プラグ10を矢印D方向に移動することで、挿入部11を第一蓋ボルト穴141Cから抜き取る。そのため、第一蓋ボルト穴141C内に水が浸入することはない。なお、蓋ボルト穴プラグ10におけるシール部12の外径寸法は、一次蓋131の貫通孔131Eの内径寸法より小さいことが好ましいが、シール部12が弾性変形可能であれば、若干大きくてもよい。
なお、上述した実施形態では、複数のボルト151が各貫通孔131Eを通して胴部112の各第一蓋ボルト穴141Cに螺合することで、一次蓋131を胴部112に固定可能とし、蓋ボルト穴プラグ10を第一蓋ボルト穴141Cに装着して防水可能としたが、この構成に限定されるものではない。図9は、第1実施形態の蓋ボルト穴プラグの変形実施形態を表す正面図である。
第1実施形態の蓋ボルト穴プラグの変形実施形態において、図9に示すように、胴部112の第一段部141は、第一座面部141Bに開口するように第一蓋ボルト穴141Cが設けられている。第一蓋ボルト穴141Cは、入口部に皿部161が形成されると共に、内周面にめねじ162が形成されており、内周面にめねじ162にヘリサート163が装着されている。ボルト151を第一蓋ボルト穴141Cに対して繰り返し着脱すると、第一蓋ボルト穴141Cのめねじ162が損傷することから、このめねじ162にヘリサート163を挿入することで、めねじ162の損傷を防止するものである。この場合、ボルト151が貫通孔131Eを通して第一蓋ボルト穴141Cのヘリサート163に螺合することで、一次蓋131が胴部112に固定される。
そして、第一蓋ボルト穴141Cにヘリサート163が装着されているとき、蓋ボルト穴プラグ10は、挿入部11の外周面が第一蓋ボルト穴141Cにおけるヘリサート163に押圧し、シール部12の外周面が皿部161の傾斜面161aに密着することで、第一蓋ボルト穴141Cを防水することとなる。
このように第1実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグにあっては、第一蓋ボルト穴141C(142C,143C)内に挿入される挿入部11と、挿入部11の外周部に周方向に沿って設けられて第一蓋ボルト穴141C(142C,143C)の入口部に形成された皿部161に接触するシール部12とを設けている。
従って、挿入部11が第一蓋ボルト穴141C内に挿入されることで蓋ボルト穴プラグ10が保持され、シール部12が第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に接触することで第一蓋ボルト穴141Cが防水される。そのため、第一蓋ボルト穴141Cに対する蓋ボルト穴プラグ10の着脱性を良くすることで、防水機能を短時間で確保することができ、作業性の向上を図ることができる。
第1実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、シール部12は、外径寸法が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径寸法より大きく設定される。従って、シール部12が第一蓋ボルト穴141C内に陥没することが防止され、シール部12を第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に適正に接触させて第一蓋ボルト穴141Cの防水性能を向上することができる。
第1実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、挿入部11は、径方向に沿って弾性変形可能である。従って、挿入部11が第一蓋ボルト穴141Cのめねじ162に対して容易に密着または離脱させることができ、装着性を向上することができる。
第1実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、挿入部11は、縮径位置と拡径位置との間で弾性変形可能であり、挿入部11を縮径位置に拘束する第1拘束部材13を設けている。従って、挿入部11が第1拘束部材13により縮径位置に拘束可能であることから、第1拘束部材13により縮径位置に拘束された挿入部11を容易に第一蓋ボルト穴141Cに挿入することができ、第1拘束部材13の拘束を解除することで、容易に挿入部11を拡径して第一蓋ボルト穴141Cに保持させることができる。
第1実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、第1拘束部材13は、挿入部11における挿入方向の一端部の中心部側から他端部側の外周部へ延出する複数の芯材23a,23b,23cである。従って、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
第1実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、挿入部11は、拡径位置にあるとき、外周面が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162に押圧する。従って、蓋ボルト穴プラグ10を容易に第一蓋ボルト穴141Cに装着することができる。
また、本実施形態の放射性物質収納方法にあっては、胴部112における開口部122の周囲に形成された複数の第一蓋ボルト穴141C(142C,143C)に蓋ボルト穴プラグ10をそれぞれ装着する工程と、胴部112をプールの水中に沈める工程と、プールの水中で胴部112内に放射性物質を収納する工程と、プールの水中で胴部112に蓋131(132,133)を配置して内部を閉塞する工程と、胴部112を前記プールから引き上げる工程と、蓋ボルト穴プラグ10を蓋131(132,133)の貫通孔131E(132E,133E)から取り外す工程と、胴部112内を水抜きする工程と、一次蓋131をボルト締めして固定する工程とを有している。
従って、胴部112における各第一蓋ボルト穴141Cに蓋ボルト穴プラグ10をそれぞれ装着するとき、挿入部11が第一蓋ボルト穴141C内に挿入されることで蓋ボルト穴プラグ10が保持され、シール部12が第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に接触することで第一蓋ボルト穴141Cが防水される。そのため、第一蓋ボルト穴141Cに対する蓋ボルト穴プラグ10の装着性が良くなって防水機能を短時間で確保することができる。また、蓋ボルト穴プラグ10を取り外すとき、第一蓋ボルト穴141Cから挿入部11を抜き取ればよく、第一蓋ボルト穴141Cに対する蓋ボルト穴プラグ10の取外性が良くなる。その結果、放射性物質の収納作業の作業性の向上を図ることができる。
[第2実施形態]
図10は、第2実施形態の蓋ボルト穴プラグの取付方法を表す概略図、図11は、蓋ボルト穴プラグの装着状態を表す概略図、図12は、蓋ボルト穴プラグの使用状態を表す概略図、図13は、蓋ボルト穴プラグの取外方法を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図10に示すように、蓋ボルト穴プラグ30は、挿入部31と、シール部32と、第2拘束部材33とを有している。
挿入部31は、底部が閉塞した円筒形状をなし、第一蓋ボルト穴141Cに挿入可能となっている。シール部32は、挿入部31の外周部に周方向に沿って設けられている。このシール部32は、外周部が挿入部31より径方向の外側に突出し、第一蓋ボルト穴141Cの入口部に形成された皿部161に接触可能となっている。そして、シール部32は、外形寸法が挿入部31の外径寸法より大きく設定されている。また、シール部32は、外径寸法が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径寸法より大きく設定されている。
上述した挿入部31とシール部32は、一体に形成されている。挿入部31とシール部32は、弾性変形できるように、弾性部材(高分子材料)により形成される。即ち、蓋ボルト穴プラグ30は、円筒部41と底部42とが一体に形成されて形成され、円筒部41の軸方向(挿入方向)の一端部側の外周部にリング形状をなすシール部32が設けられた形状となっている。そして、挿入部31は、円筒部41が下部側に向けて若干先細となっており、底部42に給水部材34が設けられている。この給水部材34は、水分を吸収することのできる材質により形成されている。シール部32は、円筒部41における上部の外周面に設けられており、第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に嵌合できるように、径方向の外方に向けて先細形状であり、外形寸法が皿部161の外径寸法より小さく設定されている。
挿入部31は、縮径位置と拡径位置との間で弾性変形することができ、第2拘束部材33は、拡径部材であって、この挿入部31を拡径位置に拘束することができる。挿入部31は、軸方向に沿うと共に上方に開口する拡径穴(円形孔または多角形孔)43が形成されると共に、この拡径穴43の内周面にシール部32に径方向に対向してリング形状をなす突起部44が設けられている。拡径穴43は、挿入部31の外形と同様に、下部に向けて先細形状をなしている。一方、第2拘束部材33は、長さが拡径穴43の深さより長く、且つ、外径寸法が拡径穴43の内径寸法より大きく設定されている。この第2拘束部材33は、拡径穴43に挿入されて挿入部31を拡径させることができる。
ここで、胴部112の第一蓋ボルト穴141Cに蓋ボルト穴プラグ30を装着する方法、並びに、蓋ボルト穴プラグ10を一次蓋131の貫通孔131Eから取り外す方法について説明する。
図10に示すように、蓋ボルト穴プラグ30は、挿入部31に第2拘束部材33が挿入されていない状態で、縮径した縮径位置にあり、挿入部31の外径が第一蓋ボルト穴141Cのめねじ162の内径より小径であることから、挿入部31を第一蓋ボルト穴141Cに挿入することができる。そのため、作業者は、まず、手または治具により給水部材34が取付けられた蓋ボルト穴プラグ30を矢印B1方向に移動して挿入部31を第一蓋ボルト穴141Cに挿入する。
作業者は、次に、手または治具により第2拘束部材33を矢印B2方向に移動し、蓋ボルト穴プラグ30における挿入部31の拡径穴43に挿入する。すると、蓋ボルト穴プラグ30は、図11に示すように、挿入部31が第2拘束部材33による外側に膨張するように変形することで拡径した拡径位置となる。また、第2拘束部材33が突起部44を介して挿入部31を押圧することで、シール部32も外側に膨張するように変形して拡径する。このとき、蓋ボルト穴プラグ30は、挿入部31が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162を押圧し、シール部32が皿部161に密着する。
ここで、第2拘束部材33は、上部に着脱自在な牽引部45が設けられており、この牽引部により第2拘束部材33の下方への移動を阻止しながら、第2拘束部材33を挿入部31の拡径穴43に挿入する。その後、第2拘束部材33から牽引部45を取り外す。なお、第2拘束部材33に牽引部45を設けずに、第2拘束部材33の全長を長くし、下端部がめねじ162の底部に接触させるようにしてもよい。
複数の第一蓋ボルト穴141Cに蓋ボルト穴プラグ30が装着されると、図12に示すように、胴部112がプールの水中に沈められて内部に放射性物質が収納された後、胴部112の第一段部141に一次蓋131が配置されて内部が閉塞される。この作業中、複数の第一蓋ボルト穴141Cに装着された蓋ボルト穴プラグ30は、一次蓋131の貫通孔131Eを通して水圧Cが作用するが、この水圧Cは、蓋ボルト穴プラグ30を拡径する方向に作用することから、挿入部31とめねじ162の密着力、シール部32と皿部161の密着力が増加し、第一蓋ボルト穴141C内に水が浸入することはない。また、挿入部31より大径のシール部32が皿部161に密着していることから、蓋ボルト穴プラグ30が第一蓋ボルト穴141C内に陥没することもない。
その後、胴部112をプールから引き上げ、一次蓋131の各貫通孔131Eに溜まっている水を吸引除去した後、蓋ボルト穴プラグ30を一次蓋131の貫通孔131Eから取り外す。即ち、図13に示すように、作業者は、第2拘束部材33を手または治具で挿入部31の拡径穴43から引き抜き、蓋ボルト穴プラグ30を縮径位置に移動して拘束を解除する。このとき、挿入部31の外径が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径より小さくなっており、蓋ボルト穴プラグ30を矢印D方向に移動することで、挿入部31を第一蓋ボルト穴141Cから抜き取る。そのため、第一蓋ボルト穴141C内に水が浸入することはない。
このように第2実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグにあっては、第一蓋ボルト穴141C(142C,143C)内に挿入される挿入部31と、挿入部31の外周部に周方向に沿って設けられて第一蓋ボルト穴141C(142C,143C)の入口部に形成された皿部161に接触するシール部32とを設けている。
従って、挿入部31が第一蓋ボルト穴141C内に挿入されることで蓋ボルト穴プラグ30が保持され、シール部32が第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に接触することで第一蓋ボルト穴141Cが防水される。そのため、第一蓋ボルト穴141Cに対する蓋ボルト穴プラグ30の着脱性を良くすることで、防水機能を短時間で確保することができ、作業性の向上を図ることができる。
第2実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、挿入部31は、縮径位置と拡径位置との間で弾性変形可能であり、挿入部31を拡径位置に拘束する第2拘束部材33を設けている。従って、挿入部31が第2拘束部材33により拡径位置に拘束可能であることから、第2拘束部材33により拘束を解除して縮径位置にある挿入部31を容易に第一蓋ボルト穴141Cに挿入することができ、第2拘束部材33により挿入部31を拡径位置に拘束することで、容易に挿入部31拡径して第一蓋ボルト穴141Cに保持させることができる。
第2実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、挿入部31に挿入方向の一端部から他端部側へ延出する拡径穴43を設け、第2拘束部材33を拡径穴43に挿入して挿入部31を拡径させるようにしている。従って、第2拘束部材33を挿入部31の拡径穴43に挿入することで、この挿入部31を拡径させることができ、操作性を向上することができる。
[第3実施形態]
図14は、第3実施形態の蓋ボルト穴プラグの取付方法を表す概略図、図15は、蓋ボルト穴プラグの装着状態を表す概略図、図16は、蓋ボルト穴プラグの使用状態を表す概略図、図17は、蓋ボルト穴プラグの取外方法を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態において、図14に示すように、蓋ボルト穴プラグ50は、挿入部51と、シール部52と、第2拘束部材53とを有している。
挿入部51は、風船形状をなし、第一蓋ボルト穴141Cに挿入可能となっている。シール部52は、挿入部51の外周部に周方向に沿って設けられている。このシール部52は、外周部が挿入部51より径方向の外側に突出し、第一蓋ボルト穴141Cの入口部に形成された皿部161に接触可能となっている。そして、シール部52は、外形寸法が挿入部51の外径寸法より大きく設定されている。また、シール部52は、外径寸法が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径寸法より大きく設定されている。
上述した挿入部51とシール部52は、一体に形成されている。挿入部51とシール部52は、弾性変形できるように、弾性部材(高分子材料)により形成される。即ち、蓋ボルト穴プラグ50は、ノズル部61と風船部62とが一体に形成されて形成され、ノズル部61と風船部62との連結部の外周部にリング形状をなすシール部52が設けられた形状となっている。そして、シール部52は、第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に嵌合できるように、径方向の外方に向けて先細形状であることが好ましく、外形寸法が皿部161の外径寸法より小さく設定されている。
挿入部51は、縮径位置と拡径位置との間で弾性変形することができ、第2拘束部材53は、この挿入部51を拡径位置に拘束することができる。挿入部51は、ノズル部61と風船部62からなり、内部に中空部63が形成されている。ポンプ(図示略)により外部からノズル部61を通して風船部62の中空部63に流体(例えば、空気や不活性ガスなど)を供給することで、風船部62を膨張して拡径させることができる。第2拘束部材53は、中空部63からの流体の排出を防止する栓であり、この栓は、例えば、閉止栓、逆止弁、クリップなどであり、溶着によりノズル部61の通路を閉止してもよい。
ここで、胴部112の第一蓋ボルト穴141Cに蓋ボルト穴プラグ50を装着する方法、並びに、蓋ボルト穴プラグ50を一次蓋131の貫通穴131Eから取り外す方法について説明する。
図14に示すように、蓋ボルト穴プラグ50は、挿入部51の中空部63に流体が供給されていない状態で、縮径した縮径位置にあり、挿入部51の外径が第一蓋ボルト穴141Cのめねじ162の内径より小径であることから、挿入部51を第一蓋ボルト穴141Cに挿入することができる。そのため、作業者は、まず、手または治具により蓋ボルト穴プラグ50を矢印B方向に移動して挿入部51を第一蓋ボルト穴141Cに挿入する。
作業者は、次に、蓋ボルト穴プラグ50における挿入部51のノズル部61に流体供給配管(図示略)を連結し、挿入部51の中空部63に流体を供給する。すると、蓋ボルト穴プラグ50は、図15に示すように、中空部63内の流体により挿入部51が外側に膨張するように変形することで拡径した拡径位置となる。このとき、蓋ボルト穴プラグ50は、挿入部51が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162を押圧し、シール部52が皿部161に密着する。この状態で、第2拘束部材53が挿入部51のノズル部61の通路を閉止することで、蓋ボルト穴プラグ50は、第一蓋ボルト穴141Cを防水した状態で拘束される。
複数の第一蓋ボルト穴141Cに蓋ボルト穴プラグ50が装着されると、図16に示すように、胴部112がプールの水中に沈められて内部に放射性物質が収納された後、胴部112の第一段部141に一次蓋131が配置されて内部が閉塞される。この作業中、複数の第一蓋ボルト穴141Cに装着された蓋ボルト穴プラグ50は、一次蓋131の貫通孔131Eを通して水圧Cが作用するが、この水圧Cは、蓋ボルト穴プラグ50を拡径する方向に作用することから、挿入部51とめねじ162の密着力、シール部52と皿部161の密着力が増加し、第一蓋ボルト穴141C内に水が浸入することはない。また、挿入部51より大径のシール部52が皿部161に密着していることから、蓋ボルト穴プラグ50が第一蓋ボルト穴141C内に陥没することもない。
その後、胴部112をプールから引き上げ、一次蓋131の各貫通孔131Eに溜まっている水を吸引除去した後、蓋ボルト穴プラグ50を一次蓋131の貫通孔131Eから取り外す。即ち、図17に示すように、作業者は、第2拘束部材53による挿入部51のノズル部61の通路閉止を解除し、蓋ボルト穴プラグ50を縮径位置に移動する。このとき、挿入部51の外径が第一蓋ボルト穴141Cにおけるめねじ162の内径より小さくなっており、蓋ボルト穴プラグ50を矢印D方向に移動することで、挿入部51を第一蓋ボルト穴141Cから抜き取る。そのため、第一蓋ボルト穴141C内に水が浸入することはない。
このように第3実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグにあっては、第一蓋ボルト穴141C(142C,143C)内に挿入される挿入部51と、挿入部51の外周部に周方向に沿って設けられて第一蓋ボルト穴141C(142C,143C)の入口部に形成された皿部161に接触するシール部52とを設けている。
従って、挿入部51が第一蓋ボルト穴141C内に挿入されることで蓋ボルト穴プラグ50が保持され、シール部52が第一蓋ボルト穴141Cの皿部161に接触することで第一蓋ボルト穴141Cが防水される。そのため、第一蓋ボルト穴141Cに対する蓋ボルト穴プラグ50の着脱性を良くすることで、防水機能を短時間で確保することができ、作業性の向上を図ることができる。
第3実施形態の放射性物質収納容器の蓋ボルト穴プラグでは、挿入部51の内部に流体が充填して膨張可能とし、第2拘束部材53は、挿入部51の内部からの流体の排出を防止する栓である。従って、挿入部51内に流体を充填して膨張させた後、第2拘束部材53により内部からの流体の排出を防止することで、挿入部51を容易に拡径状態に維持することができ、操作性を向上することができる。
なお、上述した第2、第3実施形態にて、蓋ボルト穴プラグ30,50を挿入部31,51とシール部32,52とから構成したが、シール部32,52内にリンク形状をなす補強プレートを設けて剛性を上げるようにしてもよい。