JP6531453B2 - はんだ付け装置およびそれを用いた被はんだ付け対象物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、噴流はんだ付けにおけるはんだ付け装置に関する。
はんだ付けの方法として、はんだ付けする対象物を溶融はんだに浸漬させる噴流はんだ付け工法がある。この噴流はんだ工法は、はんだ付けノズルから溶融はんだを噴流させて、例えばプリント配線基板のスルーホールに挿入された電子部品に噴流はんだを接触させることではんだ付けが行われる。ここで、噴流はんだ付け工法においては、噴流はんだが暴れる(液面高さが不均一になる)ことなどの原因で発生するはんだブリッジ不良の抑制のために噴流はんだの整流を行う必要がある。特許文献1に記載のはんだ付け工法は、はんだ付けノズルのノズル壁の外方に外枠を設け、はんだ付けノズルの中央部から噴き出す溶融はんだを、ノズル壁と外枠の間に形成された流路に流すように構成することで、噴流はんだが整流化され、はんだブリッジ不良を抑制できる。
特開2010−269341号公報
ここで、プリント配線基板には、はんだ付けが必要な電子部品以外にも、複数の電子部品が密集して実装されている。はんだ付けが不要な電子部品にまではんだが付着すると、そのプリント配線基板は不良品となるため、はんだ付け時において、はんだ付けが必要な第1電子部品のみに溶融はんだを接触させる必要がある。そして、そのためにははんだ付けノズルの形状を、はんだ付け部品の配置に合わせて加工する必要がある。そのため、プリント配線基板上におけるはんだ付け部品の配置が複雑である場合には、はんだ付けノズルの形状も複雑化し、同時に外枠の形状も複雑化する。加えて、はんだ付けノズルは金属製であるため、そのような複雑な形状に加工するための加工コストが嵩むという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、コスト低減を図りつつ、噴流はんだの整流化が可能なはんだ付け装置を提供することを目的とする。
本発明のひとつであるはんだ付け装置は、
はんだ槽内の溶融はんだを、自身に形成されたノズル壁(121)の内側の領域である内部流路(T)を通らせ噴流させる金属製のはんだ付けノズル(120)と、
複数の電子部品が搭載された配線基板(10)が載置される樹脂製のプレート部材(200)と、を備えるはんだ付け装置において、
プレート部材は、自身の厚み方向に開口する開口部(206、207と、厚み方向に延びたプレート壁部(202、208、210)と、厚み方向に対して垂直な方向に延びた平面部(205、209、211)と、を有し、
開口部にはんだ付けノズルが挿入された状態において、溶融はんだが、内部流路を通ってノズル壁とプレート壁部の間に形成される領域である整流領域(U)に流れ込むように構成されており、
開口部は、電子部品の端子の位置に対応する第1開口領域(206)と、厚み方向に対して垂直な方向の一方側において第1開口領域に隣接する第2開口領域(207)と、を有し、
プレート壁部は、
厚み方向において配線基板と当接する当接部(203)を有するとともに、第2開口領域が隣接する一方側と同じ側において第1開口領域に隣接する第1プレート壁部(208)と、
第1開口領域が隣接する側とは逆側において第2開口領域に隣接する第2プレート壁部(210)と、
厚み方向において配線基板と当接する当接部(203)を有するとともに、一方側とは反対側の他方側において第1開口領域に隣接する他方側プレート壁部(202)と、を有し、
平面部は、
第1プレート壁部および第2プレート壁部を連結する第1平面部(209)と、
第1平面部よりも当接部から離れて配置されるように、第2プレート壁部に対して第1平面部が連結される側の反対側に連結される第2平面部(211)と、
他方側プレート壁部に連結される他方側平面部(205)と、を有し、
第1平面部および第2プレート壁部によって、他方側平面部が位置する面から配線基板の側に後退した後退部(212)が構成されており、
第2開口領域を含む開口部にノズル壁が挿入された状態で、整流領域は、ノズル壁の全周に亘って形成され、流れ込んできた溶融はんだを整流する機能を発揮することを特徴とする。
本発明によれば、配線基板に搭載されたはんだ付けを要する第1電子部品を、プレート部材の開口部に対向させるように配線基板をプレート部材に載置し、配線基板を載置させる方向と反対の方向からはんだ付けノズルを開口部に挿入させ、第1電子部品に噴流はんだを接触させる場合、本発明においては、内部流路を通った溶融はんだが、整流領域に流れ込むようになっている。そのため、プレート部材に形成されたプレート壁部が、内部流路から噴き出した溶融はんだの整流機能を担うこととなる。したがって、はんだ付けノズルに整流用の外枠を形成する必要がなく、外枠形成分のコスト低減を図ることができる。したがって、本発明によれば、コスト低減を図りつつ、噴流はんだの整流化が可能なはんだ付け装置を提供できる。
プリント配線基板の平面図 はんだ付け設備の全体概略図 第1実施形態におけるはんだ付け装置の一部拡大図 第1実施形態におけるはんだ付け工法の工程概略図 第2実施形態におけるはんだ付け装置の一部拡大図 他の実施形態におけるはんだ付け装置の一部拡大図 従来技術の説明図
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について、図に基づき説明する。
図1はプリント配線基板10の上面図を示している。プリント配線基板10のスルーホール(図示せず)に第1電子部品11a〜11eの端子が挿入された状態である。後に詳述するが、このスルーホールから露出する端子と、プリント配線基板表面のスルーホール周囲に設けられたランドを少なくとも含むはんだ付け部11に、溶融はんだSを噴流させてはんだ付けを行う。つまり、第1電子部品11a〜11eが、はんだ付けを要する電子部品である。第2電子部品12は、第1電子部品11a〜11eが搭載されている側とは反対側のプリント配線基板10の面に搭載されている。第2電子部品12は、はんだ付けを必要としない電子部品である。なお、図1においては、第1電子部品11a〜11eの搭載されている面と同一面に搭載されている他の電子部品は省略している。また、プリント配線基板10が特許請求の範囲における「被はんだ付け対象物」に相当する。
図2は本実施形態のはんだ付け工法に用いるはんだ付け設備100であり、図1のII−II線に対応する位置における全体概略図を示す。はんだ付け設備100は、溶融はんだSを収容するはんだ槽110と、はんだ槽110に設置され、溶融はんだSを噴流するためのはんだ付けノズル120と、はんだ槽110に設置され、溶融はんだSをはんだ付けノズル120へ圧送する非容積式のポンプ130を備えている。
はんだ槽110は耐熱性を有し、溶融はんだSが付着しない材料(たとえばステンレス等)から構成されている。はんだ槽110には、溶融はんだSをはんだ付けノズル120まで圧送できるようにダクト111が配置されている。
ダクト111は、耐熱性を有し、溶融はんだSが付着しない材料(たとえばステンレス等)によって構成されている。ダクト111は、その内部にポンプ130の少なくとも一部が配置されており、ポンプ130の動作状態において、ダクト111外のはんだ槽110の部位から溶融はんだSを吸い込めるように、吸込口112が設けられている。なお、はんだ槽110には、溶融はんだSの溶融状態を少なくとも保持するために、ダクト111と干渉しない部位にヒータ(図示せず)が設置されている。
ダクト111として、図1における第1電子部品11a〜11eに対応する2つのダクト111aおよび111がはんだ槽110内に配置されている。また、ダクト111の上部には、はんだ付けノズル120を固定するための固定部材113が配置され、固定されている。固定部材113は、耐熱性を有し、溶融はんだSが付着しない材料(たとえばステンレス等)によって構成されている。
固定部材113には、プリント配線基板10のはんだ付け部11に対応して筒状のはんだ付けノズル120が固定されている。はんだ付けノズル120は、一方向に延びたノズル壁121によって構成されており、ノズル壁121によって囲まれた領域が、噴流する溶融はんだSの通過する内部流路Tとなる。プリント配線基板10上の第1電子部品11a、11c、11dにそれぞれ対応してはんだ付けノズル120a、120c、120dが配置されている。各はんだ付けノズル間の距離は、対応する第1電子部品間の距離よりも狭い。第1電子部品11eに対応したはんだ付けノズル120は、固定部材113を貫通している。ポンプ130の動作状態において、吸込口112からダクト111内に流入された溶融はんだSは、ダクト111内を圧送されて、はんだ付けノズル120から噴流されるように構成されている。はんだ付けノズル120は、耐熱性を有し、溶融はんだSが付着しない材料(たとえばステンレス等)によって構成されている。
また、各はんだ付けノズル120a、120c、120dは、固定部材113からの高さが略等しい。また、各はんだ付けノズルの開口面積は、対応する第1電子部品の大きさと略等しくなるようにしている。ただし、少なくとも各はんだ付けノズルの開口面積は、対応する第1電子部品から露出する端子の外形よりも大きい。これは後述するはんだ付け工程の際、はんだ付けノズル120を各第1電子部品の端子に近接させたときに、端子とはんだ付けノズル120との干渉を避けるためである。
ポンプ130は、例えば遠心ポンプ等の非容積式のポンプを採用することができる。言い換えれば、モータ134(134a、134b)によってはんだ槽内で羽根(プロペラ)131a、131bを回転させることにより、溶融はんだSにエネルギを与えて送り出す役割を担うポンプであればよい。また、本実施形態においては、ダクト111a、111bのそれぞれに対応してポンプ130a、130bが配置されている。なお、プロペラはシロッコファンなどでもよい。また、モータ134としては、インバータモータやACサーボモータなどを用いることができる。
図3はマスクプレート200を示す。マスクプレート200は、プリント配線基板10を載置して安定させる役割を担う樹脂製の部材である。マスクプレート200は、その外形がプリント配線基板10の外形よりも大きく設定されている。マスクプレート200は、第1電子部品11a〜11eに対応する箇所に、開口部201が形成されている。開口部201は、マスクプレート200の厚み方向に開口するように形成されている。開口部の開口面積は、対応する第1電子部品11aないし11eから露出する端子の外形の面積よりも大きく、かつはんだ付けノズル120の開口面積よりも大きい。
マスクプレート200の開口部201に隣接する箇所に、厚み方向Wに延びるプレート壁部202が形成されており、プレート壁部202の反開口部側には、プレート壁部202の一端から連続して形成され、プレート壁部202の延設方向と略直角に延びる平面部205が形成されている。
平面部205における、第2電子部品12と対向する位置には中空部204が形成されている。プレート壁部202の、厚み方向の一端には、プリント配線基板10が載置される当接部203が形成されている。
プレート壁部202は、マスクプレート200にプリント配線基板10を載置した状態において、プリント配線基板10のランドに対応する箇所に形成されており、厚み方向Wの高さは、マスクプレート200にプリント配線基板10を載置した状態における露出している端子の厚み方向Wの長さよりも長く設定されている。
中空部204は、中抜きの空間であり、マスクプレート200にプリント配線基板10を載置した状態において、中空部に第1電子部品以外の電子部品が収容される。
平面部205は、プレート壁部202の反当接部203側の端部から連続して形成されている。平面部205は、中空部204に対向する部分、つまりプリント配線基板10におけるはんだ付け領域11以外の領域に対応した部分に形成されており、はんだ付け領域11以外の領域を覆うように形成されている。
当接部203は、プレート壁部202と連続して形成されており、安定してプリント配線基板10を載置できるように、厚み方向Wと直交する方向に所定の幅をもって構成されている。
次に、はんだ付け工法の工程について図4に基づいて説明する。以下説明するはんだ付け工法の工程が、特許請求の範囲における「被はんだ付け対象物の製造方法」に相当する。
まず、図示しない準備工程において、マスクプレート200にセットされたプリント配線基板10(以下、この状態をワークと呼ぶ)を図示しないフラックス塗布装置に投入し、プリント配線基板10にフラックスを塗布する作業を行う。また、フラックスが塗布されたプリント配線基板10を図示しないプリヒート装置に投入し、プリント配線基板10をプリヒートする作業を行う。なお、この段階でマスクプレート200の当接部203はプリント配線基板10と当接している。
その間、はんだ付けノズル120から噴流するはんだは、待機噴流状態にある(待機噴流工程S1)。
ここで、はんだ付けノズル120から噴流した溶融はんだSは、略240℃と高温であり、大気中の酸素により酸化され、噴流した溶融はんだSの表面にはんだ酸化物の酸化膜を形成する。このはんだ酸化物が浮遊した溶融はんだSに、ワークの被はんだ付け箇所が浸漬されると、はんだ酸化物が被はんだ付け箇所に付着し、ブリッジ等のはんだ付け不良を引き起こす可能性がある。そこで、はんだ付けを実施する前に、オーバーライド工程S2を挟む。具体的には、モータ134の駆動周波数をはんだ付けする際(はんだ接触工程S4)よりも高くし、それにより羽根131を高回転にて回転させる。そうすることで、はんだ付け工程中においてはんだ付けノズル120に供給されるはんだ量よりも多くのはんだをはんだ付けノズル120の開口から噴流させることができ、表面に発生したはんだ酸化物をはんだ付けノズル120の外側へ放出させて除去することができる。なお、オーバーライド工程は、はんだ付け工程前であればどのタイミングでもよい。
次に、ロボットアームによる挟持やチェーン等の駆動レール上の移動によってワークが、はんだ槽110上に搬送される。その際、はんだ付けノズル120から噴流する溶融はんだSの波高は、はんだ付けノズル120の開口面とワークとの間の距離、およびワークの被はんだ付け箇所の面積等に基づいて所定の高さに設定される。なお、本実施形態において、溶融はんだSの波高とは、はんだ付けノズル120の反はんだ槽側の端面から突出した部分の高さをいう。
次に、はんだ付けノズル120がその噴流方向において、マスクプレート200の開口部201に対向するようにワークが配置され、開口部201にはんだ付けノズル120の一部、少なくとも先端部分が挿入されるように、ワークを動かす(ワーク配置工程S3)。
開口部201にはんだ付けノズル120の一部が挿入された状態において(はんだ接触工程S4)、はんだ付けノズル120から噴流する溶融はんだSは、はんだ付けノズル120のノズル壁121とプレート壁部202との間に形成される整流領域Uを通過して、はんだ槽101に還流する。つまり、プレート壁部202が噴流した溶融はんだSの整流機能を担っている。はんだ接触工程中、はんだ付けノズル120の一部が開口部201に挿入されることで、開口部201は噴流した溶融はんだSによって満たされる、つまり第1電子部品11aないし11eの端子はいずれも溶融はんだSと接触していることとなる。さらにいうと、開口部201に対向するプリント配線基板10の部分的な表面は、全面にて溶融はんだSと接触している。
次に、ノズル引離し工程S5において、まずモータ134の駆動周波数を低下させて、噴流している溶融はんだSの波高を下げていく。そして、所定位置まで波高が下降したら、所定のスピードでワークをはんだ付けノズル120から引離す方向へ上昇させる。ここで、所定スピードは、所定の箇所以外にはんだが付着されるブリッジ不良を発生させないような値に適宜設定される。
はんだ付けノズル120がワークから十分離れたら、ワークを設備排出位置(図示せず)へ移動させ、マスクプレート200からはんだ済みのプリント配線基板10を取り外す(基板取り出し工程S6)。
なお、本実施形態において、はんだ付けノズル120およびマスクプレート200が特許請求の範囲における「はんだ付け装置」を構成する。また、「厚み方向W」が特許請求の範囲における「厚み方向」に、「マスクプレート200」が「プレート部材」にそれぞれ相当する。
次に、本実施形態により得られる効果について説明する。
(1)プリント配線基板10に搭載されたはんだ付けを要する第1電子部品11a〜11eを、マスクプレート200の開口部201に対向させるようにプリント配線基板10をマスクプレート200に載置する。そして、プリント配線基板10を載置させる方向と反対の方向からはんだ付けノズル120を開口部201に挿入させ、第1電子部品11a〜11eに溶融はんだSを接触させる。また、本実施形態においては、内部流路Tを通った溶融はんだSが、ノズル壁121とプレート壁部202との間に形成された整流領域Uに流れ込むようになっている。そのため、マスクプレート200に形成されたプレート壁部202が、内部流路Tから噴き出した溶融はんだSの整流機能を担うこととなる。したがって、従来のように、はんだ付けノズル120に整流用の外枠を形成する必要がなく、外枠形成分のコスト低減を図ることができる。したがって、本実施形態によれば、コスト低減を図りつつ、噴流はんだの整流化が可能なはんだ付け装置を提供できる。
(2)溶融はんだSが整流領域Uを通ってはんだ槽101に還流するとき、はんだ槽101の液面からはんだボールが飛散する可能性があり、そのはんだボールがはんだ付けを要しない電子部品である第2電子部品12に付着すると、プリント配線基板10として不良品となる虞がある。しかし、本実施形態では、平面部205は、中空部204に対向する部分、つまりプリント配線基板10におけるはんだ付け領域11以外の領域に対応した部分に形成されており、はんだ付け領域11以外の領域を覆うように形成されている。そのため、平面部205が飛散したはんだボールを阻むことで第2電子部品12にはんだボールが付着することを抑制できる。
(3)当接部203においてマスクプレート200がプリント配線基板10と当接することによって、内部流路Tから噴き出した溶融はんだSがプレート壁部202より反開口部側へ浸入することを抑制できる。また、プレート壁部202は樹脂製であるため、プリント配線基板10と当接したとしてもプリント配線基板10にキズ等がつきにくい。ここで、はんだ付けノズル120は金属製であるためにプリント配線基板10との間に所定間隔をあけた状態で溶融はんだSを第1電子部品11a〜11eに接触させる。しかし、はんだ付けノズル120とプリント配線基板10間に所定距離を確保する必要がある。一方で、噴流するはんだの波高を高くして溶融はんだSと端子との接触面積を増やすことも考えうるが、噴流が暴れやすくなることに起因してはんだブリッジ不良が発生したり、はんだ付けを要さない他の電子部品に溶融はんだSが飛散する虞を考慮すると適切ではない。したがって、従来技術のはんだ付け装置によってはんだ付けをする場合、図7のように、溶融はんだSの表面張力によって、はんだ付けノズル120の端部において溶融はんだSがプリント配線基板10に接触しない領域Oが生まれる。これによりノズル120の開口面積に対して溶融はんだSとプリント配線基板10の接触面積が小さくなる。その結果、はんだ付けに必要な十分な熱量が伝導されにくくなり、プリント配線基板10としてはんだ上がり不良となる虞がある。しかし、本実施形態では当接部203によって、プレート壁部202がプリント配線基板10と当接した状態で溶融はんだSを端子に接触させることができるため、図4のはんだ接触工程の図に示すように開口部201の隅にまで溶融はんだSを接触させることができる。したがって、溶融はんだSとプリント配線基板10との接触面積を十分確保することができ、はんだ上がり不良を低減することができる。
(4)本実施形態では、平面部205における、第2電子部品12と対向する位置には中空部204が形成されている。そのため、プリント配線基板10の、第1電子部品11a〜11eが搭載されている面とは逆の面に第2電子部品12が搭載されていたとしても、マスクプレート200と第2電子部品12が干渉することを抑制できる。また、樹脂性のマスクプレート200よりも空気のほうが熱伝達率は低い。そして、プレート壁部202と第2電子部品12との間には中空空間、つまり空気が介在している。そのため、はんだ接触工程において、高温の溶融はんだSの熱がプレート壁部202内を熱伝達して第2電子部品12に伝達することを抑制でき、溶融はんだSからの受熱を抑制できる。
(5)マスクプレート200にプリント配線基板10を載置した状態において、プレート壁部202の厚み方向Wの高さがプリント配線基板10から露出している端子の厚み方向Wの長さよりも短い場合、溶融はんだSを整流領域Uにて十分整流させるために、はんだ付けノズル120をプリント配線基板10に近接させる必要がある。しかし、本実施形態では、プレート壁部202の厚み方向Wの高さがプリント配線基板10から露出している端子の厚み方向Wの長さよりも長く設定されている。そのため、プリント配線基板10とはんだ付けノズル120間の距離を十分確保した状態で、溶融はんだSを整流領域Uにて整流させることができ、プリント配線基板10とはんだ付けノズル120の干渉を抑制しつつ、ブリッジ不良の発生を抑制できる。
(6)マスクプレート200の当接部203をプリント配線基板10に当接させた状態で、マスクプレート200の開口部201にはんだ付けノズル120が挿入される。そして、内部流路Tを通った溶融はんだSは整流領域Uに流れ込んではんだ槽101に還流する。つまり、本実施形態のはんだ付け工法において、内部流路Tを通った溶融はんだSが整流領域Uに流れ込むようにはんだ付けノズル120が開口部201に挿入される工程が含まれる。ノズル壁121とプレート壁部202とで整流機能を担うことで噴流が安定し、端子の未はんだ不良を抑制したプリント配線基板(被はんだ付け対象物)を製造することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について図5に基づいて説明する。なお、第1実施形態と重複する部分については説明を簡略化または省略する。
本実施形態においては、開口部201は第1開口領域206および第2開口領域207を有する。第1開口領域206は、プリント配線基板10をマスクプレート200に載置した状態における第1電子部品11a〜11eの端子の位置に対応する領域である。第2開口領域207は、第1開口領域206に隣接し、厚み方向Wにおいて第1平面部209に臨む領域を含む領域である。
マスクプレート200は、第1開口領域206からみて一方側に、第1プレート壁部208、第1プレート壁部208から連続して形成された第1平面部209、第1平面部209から連続して形成された第2プレート壁部210および第2平面部211を備えている。第1プレート壁部208は、第1開口領域206に隣接した位置に形成され、厚み方向Wに延びる。また、第1プレート壁部208の厚み方向Wにおける一端に当接部203を備える。そして、第1平面部209は、当接部203が形成された側と厚み方向Wにおいて反対側の他端から連続して形成されている。
第1平面部209は、厚み方向Wにおいて第2平面部211よりも当接部203側に配置されている。第2プレート壁部210は、第2開口領域207に隣接して厚み方向Wに延びるように形成されている。第2平面部211は、第2プレート壁部210の、第1平面部209が形成されている側とは反対側の一端から連続して形成されている。第1開口領域206からみて第1平面部209が形成されている側ではない他方側における平面部205よりも第1平面部209は、当接部203側に配置されている。第1プレート壁部208の厚み方向Wの長さは、プリント配線基板10をマスクプレート200に載置した状態において第1電子部品11a〜11eから露出する端子の厚み方向Wの長さと略同等もしくは長い。第1平面部209および第2プレート壁部210によって後退部212が構成されており、特許請求の範囲における「後退部」に相当する。後退部212は、開口部201からみて後退部212が形成された側とは反対側における平面部205より厚み方向Wに後退した形状をなす。
本実施形態において、開口部201からみて一方側に形成されたプレート壁部202、平面部205、第1プレート壁部208、第1平面部209、第2プレート壁部210、第2平面部211によって、第1電子部品11a〜11eの端子をはんだ付けする領域(第1開口領域206および第2開口領域207)とその他の領域(はんだ付けを要しない領域)とが区画されている。
なお、本実施形態において、特許請求の範囲の「開口部」は、第1開口領域206および第2開口領域207を指す。また、特許請求の範囲の「プレート壁部」は、第1プレート壁部208および第2プレート壁部210を指す。つまり、整流機能は、プレート壁部202および第2プレート壁部210が担うこととなる。
次に、本実施形態により得られる効果について説明する。
本実施形態では、開口部201からみて一方側に形成されたプレート壁部202、平面部205、第1プレート壁部208、第1平面部209、第2プレート壁部210、第2平面部211によって、第1電子部品11a〜11eの端子をはんだ付けする領域(第1開口領域206および第2開口領域207)とその他の領域(はんだ付けを要しない領域)とが区画されている。そのため、第1実施形態と同様に、はんだ槽101から飛散したはんだボールが第2電子部品12に付着することを抑制できる。
ここで、プリント配線基板10上の各電子部品の搭載パターンは複数通りあるため、各パターンに合致したマスクプレート200が必要になり、開口部201の開口面積も各パターンに対応して複数考えられる。そのため、はんだ付けノズル120を複数パターンで共有化してその開口面積を一定とした場合に、はんだ付けノズル120の開口面積と開口部201の開口面積が合致しないことがありうる。その場合、第1実施形態における平面部205とノズル壁121が干渉する可能性がある。そのため、平面部205より当接部203側、つまりプリント配線基板20へはんだ付けノズル120を近づけることができず、溶融はんだSを第1電子部品11a〜11eに十分接触させることが困難となる虞がある。
しかし、本実施形態ではマスクプレート200は、平面部205より厚み方向Wに後退した後退部212を有する。そのため、図5のように、はんだ付けノズル120の開口面積のほうが、厚み方向Wからみた第1開口領域206の開口面積よりも大きくなる場合であっても、ノズル壁121と平面部205の干渉を抑制し、後退部212が形成されていない場合よりもはんだ付けノズル120をプリント配線基板10に近接させることができ、溶融はんだSを第1電子部品11a〜11eに十分接触させることが可能となる。
ひいては、はんだ付けノズル120をプリント配線基板10の複数パターンに対して共有化しやすくなり、複数パターンのはんだ付けノズル120を用意する場合と比較してコスト低減が可能となる。また、特に、金属製でマスクプレート200よりも大型化しやすく、はんだ槽101に一部浸漬した状態で用いるはんだ付けノズル120を共有化することにより、マスクプレート200を共有化する場合よりも顕著な効果が得られる。つまり、はんだ付けノズル120を共有化することができれば、一つのはんだ付け設備内で複数のプリント配線基板10を製造する場合、それぞれに適したはんだ付けノズル120を逐一交換する手間が不要となり、製造簡易化も可能となる。
その他、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り、以下のように変形させてもよい。
・後退部212は、第1開口領域206に隣接しているが、図6のように、第1開口領域206から離間した位置において、平面部205に凹状に形成されている後退部212であってもよい。
・上記実施形態においては、噴流はんだ付けされるワークとして、プリント配線基板10を用いたが、それに限定されるものではない。
・上記実施形態に記載したもののほか、はんだ付けノズル120から噴流する溶融はんだS以外のはんだ槽110内の溶融はんだSの酸化を抑制するため、はんだ槽110のはんだ液面から所定距離離れた位置にカバーを設けて、そのカバー内に窒素、あるいはアルゴン等の不活性ガスを充満させる構成を採用することもできる。
・上記実施形態においては、ダクト111a、111bのそれぞれに対応してポンプ130a、130bが配置されるようにしたが、一つのダクトに対して複数のポンプが対応付けられて配置されるようにしてもよい。
・上記実施形態に記載されたはんだ付け工法の工程に加え、はんだ付け後のプリント配線基板10を冷却する工程を含むようにしてもよい。なお、冷却工程においては、プリント配線基板10はマスクプレート200に載置された状態で冷却される。そして、冷却後、つまり端子に付着したはんだがある程度硬化してからマスクプレート200からプリント配線基板10を取り外す。
10 プリント配線基板、11 はんだ付け部、11a、11b、11c、11d、11e 第1電子部品、12 第2電子部品、100 はんだ付け設備、110 はんだ槽、120 はんだ付けノズル、130 ポンプ、111 ダクト、112 吸込口、113 固定部材、121 ノズル壁、T 内部流路、200 マスクプレート、201 開口部、202 プレート壁部、203 当接部、204 中空部、205 平面部、206 第1開口領域、207 第2開口領域、208 第1プレート壁部、209 第1平面部、210 第2プレート壁部、211 第2平面部、212 後退部

Claims (3)

  1. はんだ槽内の溶融はんだを、自身に形成されたノズル壁(121)の内側の領域である内部流路(T)を通らせ噴流させるはんだ付けノズル(120)と、
    複数の電子部品が搭載された配線基板(10)が載置されるプレート部材(200)と、を備えるはんだ付け装置において、
    前記プレート部材は、自身の厚み方向に開口する開口部(206、207と、前記厚み方向に延びたプレート壁部(202、208、210)と、前記厚み方向に対して垂直な方向に延びた平面部(205、209、211)と、を有し、
    前記開口部に前記はんだ付けノズルが挿入された状態において、前記溶融はんだが、前記内部流路を通って前記ノズル壁と前記プレート壁部の間に形成される領域である整流領域(U)に流れ込むように構成されており、
    前記開口部は、前記電子部品の端子の位置に対応する第1開口領域(206)と、前記厚み方向に対して垂直な方向の一方側において前記第1開口領域に隣接する第2開口領域(207)と、を有し、
    前記プレート壁部は、
    前記厚み方向において前記配線基板と当接する当接部(203)を有するとともに、前記第2開口領域が隣接する前記一方側と同じ側において前記第1開口領域に隣接する第1プレート壁部(208)と、
    前記第1開口領域が隣接する側とは逆側において前記第2開口領域に隣接する第2プレート壁部(210)と、
    前記厚み方向において前記配線基板と当接する当接部(203)を有するとともに、前記一方側とは反対側の他方側において前記第1開口領域に隣接する他方側プレート壁部(202)と、を有し、
    前記平面部は、
    前記第1プレート壁部および前記第2プレート壁部を連結する第1平面部(209)と、
    前記第1平面部よりも前記当接部から離れて配置されるように、前記第2プレート壁部に対して前記第1平面部が連結される側の反対側に連結される第2平面部(211)と、
    前記他方側プレート壁部に連結される他方側平面部(205)と、を有し、
    前記第1平面部および前記第2プレート壁部によって、前記他方側平面部が位置する面から前記配線基板の側に後退した後退部(212)が構成されており、
    前記第2開口領域を含む前記開口部に前記ノズル壁が挿入された状態で、前記整流領域は、前記ノズル壁の全周に亘って形成され、流れ込んできた前記溶融はんだを整流する機能を発揮することを特徴とするはんだ付け装置。
  2. 前記第1プレート壁部の前記厚み方向の長さは、前記当接部に前記配線基板を当接させた状態における、前記電子部品の前記配線基板からの突出長さより長くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
  3. 請求項1または2に記載のはんだ付け装置を用いた被はんだ付け対象物の製造方法であって、
    前記プレート部材を前記配線基板に当接させた状態で、前記内部流路を通った前記溶融はんだが前記整流領域を通って前記はんだ槽へ還流するように、前記はんだ付けノズルが前記第2開口領域を含む前記開口部に挿入されるワーク配置工程(S3)を含む被はんだ付け対象物の製造方法。
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