以下に、本願の開示する算出方法、算出プログラムおよび算出装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本実施例1に係るシステムの構成について説明する。図1は、本実施例1に係るシステムの構成を示す図である。図1に示すように、このシステムは、分電盤20と、ノートPC(Personal Computer)30a,30b,30cと、照明50aと、複合機50bと、制御サーバ100とを有する。分電盤20、ノートPC30a,30b,30c、制御サーバ100は、ネットワーク10を介して相互に接続される。また、分電盤20、ノートPC30a,30b,30c、照明50a、複合機50bは、電源線40に接続される。制御サーバ100は、算出装置の一例である。
ネットワーク10は、例えば、社内LAN(Local Area Network)に対応する。社内LANとしては、有線LANや無線LANなどの任意の種類の通信網が採用され、インターネットやLANなどの他のネットワークに接続されても良い。
図1に示す例では、制御サーバ100にノートPC30a,30b,30cが接続される場合を示したが、図示の構成に限定されない。例えば、制御サーバ100には任意の数のノートPCが接続されて良い。
図1に示す例では、電源線40にノートPC30a,30b,30cや、照明50a、複合機50bが接続される場合を示したが、図示の構成に限定されない。つまり、電源線40には任意の電気製品が接続されて良い。例えば、電源線40にはテレビ、冷蔵庫、電子レンジ、などの電気製品が接続される。また、以下では、照明50a、複合機50b及び他の電気製品を区別無く総称する場合には、電気製品50と記載する。電気製品50は、例えば、社内で電力を消費するあらゆる製品を含む。
制御サーバ100は、社内に設置されたサーバ装置であり、複数のノートPCのバッテリの充放電を規定する充放電計画を作成する。
分電盤20は、電源線40を介してノートPC30a,30b,30cや、照明50a、複合機50bに電源を供給する。
ノートPC30a,30b,30cは、社内の利用者が利用するノート型パーソナルコンピュータである。以下の説明では、ノートPC30a,30b,30cを適宜、「ノートPC30」あるいは単に「PC」と記載する。
ノートPC30には、自装置に搭載された蓄電池の充放電を制御するクライアント用アプリケーションがインストールされる。例えば、ノートPC30は、自装置の蓄電池の充放電に関する状態を規定した充放電計画を制御サーバ100から受け付けて、受け付けた制御ポリシーにしたがって自装置の蓄電池の充放電に関する状態を切り替える。また、ノートPC30は、装置の一例である。また、ノートPCの蓄電池を適宜「バッテリ」とも記載する。
ここで、ノートPC30の蓄電池の充放電に関する状態について説明する。図2は、ノートPCの蓄電池の充放電に関する状態について説明するための図である。図2の横軸は時間を示し、縦軸は電力値[W]を示す。例えば、時間帯2a及び2dには、蓄電池は充放電を行わずノートPC30がAC(Alternate Current)電源で稼働している状態を示す。この状態を「AC」とも記載する。また、例えば、時間帯2bには、蓄電池が放電することでノートPC30が稼働している状態を示す。この状態を「BA」とも記載する。また、例えば、時間帯2cには、蓄電池が充電しつつノートPC30がAC電源で稼働している状態を示す。この状態を「CH」とも記載する。図2に示すように、ノートPC30は、「AC」、「BA」又は「CH」のいずれかの状態で稼働する。例えば、ノートPC30は、「9:00〜9:30」の時間帯に「BA」で稼働する旨の充放電計画を制御サーバ100から受け付けると、指定された時間帯に「BA」で稼働する。
次に、図1に示した制御サーバ100の構成について説明する。図3は、本実施例1に係る制御サーバの構成を示す図である。図3に示すように、この制御サーバ100は、通信制御部110、記憶部120、制御部130を有する。
通信制御部110は、分電盤20、ノートPC30との間でデータを送受信する処理部である。通信制御部110は、例えば、ネットワークインターフェースカード(NIC:Network Interface Card)等に対応する。後述する制御部130は、通信制御部110を介して、分電盤20、ノートPC30とデータをやり取りする。
記憶部120は、需要予測データ121、PC情報テーブル122、充電データ123、放電データ124、スケジュールデータ125、充放電計画テーブル126を有する。記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子などの記憶装置に対応する。
需要予測データ121は、システム内の予測される需要電力の時系列データである。例えば、需要予測データ121は、一日における各時間帯と需要電力値とを対応づけたデータである。この需要電力値は、例えば、過去の消費電力値の統計データから算出される。
図4は、需要予測データの一例を示す図である。図4の横軸は時間を示し、縦軸は電力値[kW]を示す。図4は、社内における一日の需要予測データ121を例示したものである。例えば、需要予測データ121は、社内で電力を消費するあらゆる製品によって消費された過去の消費電力値の統計データから算出される。図4では、需要予測データ121が1パターンである場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、需要予測データ121は、曜日や時期に違いがあり、複数の推移の仕方が予想されるような場合には、複数パターン存在する場合もある。
PC情報テーブル122は、例えば、ノートPC30に関する各種の情報を保持する。図5は、PC情報テーブルの一例を示す図である。図5に示すように、PC情報テーブル122は、「ID」と、「観測可否」と、「制御可否」と、「状態」と、「バッテリ容量」と、「充電率」とを対応づけて記憶する。
図5において、このうち、IDは、社内のノートPC30を一意に識別するID(Identification)を示す。観測可否は、制御サーバ100が該当するノートPC30を観測できているか否かを示す。例えば、観測可否「○」は、制御サーバ100が該当するノートPC30を観測できている、つまり、該当するノートPC30が社内LAN5に接続されていることを示す。また、例えば、観測可否「×」は、制御サーバ100が該当するノートPC30を観測できていない、つまり、該当するノートPC30が社内LAN5に接続されていないことを示す。
図5において、制御可否は、該当するノートPC30が電源線40に接続されているか否かを示す。例えば、制御可否「○」は、該当するノートPC30が電源線40に接続されていることを示す。また、例えば、制御可否「×」は、該当するノートPC30が電源線40に接続されていないことを示す。
状態は、該当するノートPC30の現在の状態を示す。例えば、状態「AC」は、蓄電池が充放電を行わず、ノートPCがAC電源で稼働している状態を示す。また、例えば、状態「BA」は、蓄電池が放電することでノートPCが稼働している状態を示す。また、例えば、状態「CH」は、蓄電池が充電しつつノートPCがAC電源で稼働している状態を示す。バッテリ容量は、該当するノートPC30のバッテリの仕様として定められた電力の容量[Wh]を示す。充電率は、該当するノートPC30の現在の充電率[%]を示す。なお、PC情報テーブル122には、例えば、社内で利用されるノートPC30により、予め登録されるものとする。また、図中の「−」は、該当するデータが存在しないことを示す。
図5に示すように、例えば、PC情報テーブル122は、ID「PC1」と、観測可否「○」と、制御可否「○」と、状態「AC」と、バッテリ容量「65」と、充電率「80」とを対応づけて記憶する。つまり、PC1がネットワーク10及び電源線40に接続され、AC電源で稼働している状態であり、バッテリ容量が65[Wh]であり、現在の充電率が80%であることを示す。また、PC情報テーブル122は、他のノートPC30についても同様に、情報を記憶する。
図3の説明に戻る。充電データ123は、例えば、バッテリを充電する際の充電率の変化を示すデータである。例えば、充電データ123は、ノートPC30のバッテリを充電する際の充電率と時間とを対応づけたデータである。充電データ123は、バッテリの仕様として定められたものである。また、充電データ123は、ノートPC30のバッテリを充電する際の時間ごとの充電率を記憶しておき、記憶したデータから算出しても良い。
図6は、充電データの一例を示す図である。図6の横軸は時間[秒]を示し、縦軸は充電率[%]を示す。図6には、ノートPC30のバッテリを充電する際の充電率を例示する。なお、ここでは、説明の都合上、あるノートPC30に搭載されたバッテリの充電データ123を示したが、充電データ123は、ノートPC30ごとに記憶されるものである。例えば、充電データ123は、ノートPC30のIDごとに対応づけて記憶される。
図3の説明に戻る。放電データ124は、例えば、バッテリを放電する際の充電率の変化を示すデータである。例えば、放電データ124は、ノートPC30のバッテリを放電する際の充電率と時間とを対応づけたデータである。放電データ124は、バッテリの仕様として定められたものである。放電データ124は、ノートPC30のバッテリを放電する際の時間ごとの充電率を記憶しておき、記憶したデータから算出しても良い。
図7は、放電データの一例を示す図である。図7の横軸は時間[秒]を示し、縦軸は充電率[%]を示す。図7には、ノートPC30のバッテリを放電する際の充電率を例示する。なお、ここでは、説明の都合上、あるノートPC30に搭載されたバッテリの放電データ124を示したが、放電データ124は、ノートPC30ごとに記憶されるものである。例えば、放電データ124は、ノートPC30のIDごとに対応づけて記憶される。
図3の説明に戻る。スケジュールデータ125は、利用者がノートPC30を持って離席するイベントの情報を保持する。図8は、スケジュールデータの一例を示す図である。例えば、利用者がノートPCを持って離席する時間には「×」が設定される。ID「PC11」について、「10:00〜11:30」の間に「×」が設定されている。このため、利用者は、ID「PC11」のノートPCを、「10:00〜12:00」の間持ち出すことを示す。つまり、利用者は、ID「PC11」のノートPC30を持って「10:00」に離席し、ネットワーク10、分電盤20からノートPC30を切断する。そして、利用者は、ID「PC11」のノートPC30を持って「12:00」に着席し、ノートPCをネットワーク10、分電盤20に接続する。
図3の説明に戻る。充放電計画テーブル126は、蓄電池それぞれの充放電を時間帯ごとに規定する充放電計画の情報を保持する。図9は、充放電計画テーブルの一例を示す図である。図9に示すように、充放電計画テーブル126は、IDと、30分ごとの時間帯とを対応づけて記憶する。例えば、時間帯「9:00」は、9時から9時半までの時間帯に対応する。また、充放電計画テーブル126の1レコードは、該当するノートPC30の制御ポリシーに対応する。
制御部130は、取得部131と、測定部132と、特定部133と、算出部134と、出力部135とを有する。制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積装置に対応する。また、制御部130は、例えば、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路に対応する。
取得部131は、ノートPC30の各種情報を取得し、取得した情報をPC情報テーブル122に登録する処理部である。なお、取得部131が情報を取得するタイミングは、制御サーバ100を利用する者が任意のタイミングを設定して良い。例えば、取得部131は、後述する算出部134が充放電計画を作成する直前に情報を取得しても良い。
図5を用いて、取得部131の処理を説明する。例えば、取得部131は、ID「PC2」の状態が「CH」であり、充電率が「50%」であり、電源線40に接続されている旨の情報をID「PC2」のノートPC30から取得する。取得部131は、取得した情報を図5のPC情報テーブル122に記録する。例えば、取得部131は、ID「PC2」に対応づけて、制御可否「○」と、状態「CH」と、充電率「50」とをPC情報テーブル122に記録する。また、取得部131は、ID「PC2」のノートPC30から情報を取得したので、「PC2」が社内LAN5に接続されているものと判定し、観測可否「○」をPC情報テーブル122に記録する。
また、例えば、取得部131は、情報を取得できないノートPC30については、社内LAN5に接続されていないものと判定し、観測可否「×」をPC情報テーブル122に記録する。例えば、取得部131は、他のノートPC30について情報を取得するタイミングでID「PC3」の情報を取得できない場合には、ID「PC3」のノートPC30が社内LAN5に接続されていないものと判定し、観測可否「×」をPC情報テーブル122に記録する。
例えば、ID「PC3」のノートPC30の利用者が離席し、ノートPC30を持ち出した場合には、取得部131は、IC「PC3」のノートPC30について、情報を取得できなくなる。この場合には、取得部131は、ID「PC3」に対する観測可否を「×」に設定する。
測定部132は、図1のシステム内で消費された電力を測定する処理部である。例えば、測定部132は、電源線40に接続された電気製品により社内で消費された総電力量を測定する。測定部132は、測定した電力量の情報を記憶部120に記録する。記憶部120に記憶される電力の情報の図示は省略する。測定部132が社内で消費された電力を測定する方法は、従来のいかなる技術でも適用することができる。例えば、測定部132は、分電盤20に電源線40を介して供給された電力量を測定し、測定された電力量を分電盤20から取得しても良い。また、例えば、測定部132は、社内の全てのコンセントから供給された電力量を測定し、その総和を算出しても良い。
特定部133は、スケジュールデータ125に基づいて、利用者が離席するイベントを検出し、検出した離席するイベントの開始時刻を特定する処理部である。特定部133は、検出結果の情報を、算出部134に出力する。例えば、検出結果の情報には、離席する場合に持ち出されるノートPC30のIDと、開始時刻とが含まれる。
例えば、図8に示す例では、特定部133は、ID「PC11」のノートPC30から離席するイベントを検出し、離席するイベントの開始時刻を「10:00」とする。また、特定部133は、ID「PC13」のノートPC30から離席するイベントを検出し、離席するイベントの開始時刻を「11:00」とする。
算出部134は、各ノートPC30の充電池の状態の一部を変更して最適解を探索する処理を繰り返し行う局所探索法を実行して、充放電計画テーブル126を作成する処理部である。また、算出部134は、局所探索法を用いて最適解を求める場合に、利用者がノートPC30を持ち出す時刻において、持ち出されるノートPC30の蓄電池の充電量が、所定量以上となる制約条件を設定し、この制約条件のもと、最適解を求める。例えば、算出部134は、電力算出部134a、生成部134b、シミュレート部134c、更新部134d、実行部134eを有する。
電力算出部134aは、各ノートPC30に割り当てる電力を算出する処理部である。例えば、電力算出部134aは、式(1)に基づいて、各ノートPC30に割り当てる電力の値を算出する。式(1)に示すピーク電力予測値は、ノートPC30の消費電力を除いた、システム全体のピーク電力予測値である。現在の消費電力は、ノートPC30の消費電力を除いた、システム全体の現在の消費電力である。電力算出部134aは、各ノートPC30に割り当てる電力の情報を、シミュレート部134cに出力する。
各ノートPC30に割り当てる電力=(ピーク電力予測値−現在の消費電力)/ノートPC30の数・・・(1)
電力算出部134aの処理をより詳細に説明する。電力算出部134aは、より具体的には、式(2)に示す最適化問題を解くことで、各時間帯でノートPC30が使用可能な電力を計算する。ただし、式(3)、(4)、(5)の条件を満たすものとする。式(2)〜(5)において「k」は、各時間帯を示す変数である。図10は、本実施例1に係る電力算出部の処理を説明するための図である。図10において、横軸は、時間を示し、縦軸は電力値を示す。線分5aは、ノートPC30の電力を除いた各時間帯の需要電力値の予測値を示す。線分5bは、ノートPC30の電力を除いた需要電力値の予測値の最大値であり、Dmaxに対応する。u[k]は、時間帯kにおいて、全ノートPC30に割り当てる電力の合計値である。D[k]は、時間帯kにおける、全ノートPC30の電力を除いた需要電力値の予測値である。なお、需要電力値の予測値が最大値となる時間帯をk’とする。
minΣu[k]・・・(2)
u[k]≦Dmax−D[k]・・・(3)
D[k−1]+u[k−1]・・・(4)
ここで、式(2)は、図10の網掛け部分の面積を最小化するという最適化問題である。式(3)は、ある時間帯kの一つ前の時間帯にノートPC30に割り当てる電力が、需要電力の最大値を超えないようにするための条件式である。式(4)は、u[k]とD[k]とを合計した値が、徐々に大きくなるという条件である。なお、式(5)は、時間帯k’の一つ前の時間帯にノートPC30の蓄電池の平均残量が、所定値τ以上であることを示す。これにより、ノートPC30の電力を除いた需要電力値の予測値の最大値となる前に、ノートPC30の蓄電池の平均残量を所定値τ以上にすることができる。
電力算出部134aは、式(2)の最適化問題を解いて、各時間帯のu[k]を算出し、u[k]をノートPC30の数で除算することで、各時間帯において各ノートPC30に割り当てる電力を算出し、算出した電力の情報を、シミュレート部134cに出力する。
生成部134bは、充放電計画を生成する処理部である。まず、生成部134bは、充放電計画テーブル126のそれぞれのノートPC30に対して、時間帯毎の状態を初期状態に設定することで、初期の充放電計画を生成する。図11は、本実施例1に係る生成部の処理を説明するための図(1)である。例えば、生成部134bは、PC情報テーブル122を参照し、制御可能なPCの全ての時間帯に対して、状態「AC」を設定する。また、生成部134bは、PC情報テーブル122を参照し、観測不能なPCの全ての時間帯に対して、状態「UN1」を設定する。
生成部134bは、PC情報テーブル122を参照し、観測可能であるが制御不能なPCの全ての時間帯に対して、状態「UN2」を設定する。なお、ここでは、制御可能なPCの全ての時間帯に対して状態「AC」が設定される場合を説明したが、これに限定されない。例えば、制御可能なPCの全ての時間帯に対して状態「BA」が設定されても良い。また、例えば、既に作成済みの制御計画のノートPC30の各時間帯の状態が、対応するノートPC30の各時間帯に設定されても良い。
ここで、「UN1」及び「UN2」について説明する。「UN1」は、観測不能なPCに対して想定される状態を示す。例えば、「UN1」は、蓄電池の充電率に関しては放電した状態で減少し、充電している状態の電力を使用する架空の状態として設定される。これは、観測不能なノートPC30の蓄電池が、観測されない間に放電されてしまうことを考慮したものである。また、観測不能なノートPC30が社内の電源線40に接続され、需要電力を増やしてしまうことを考慮したものでる。また、「UN2」は、制御不能なPCに対して想定される状態を示す。例えば、「UN2」は、蓄電池の充電率に関しては放電した状態で減少し、AC電源で稼働している状態の電力を使用する架空の状態として設定される。これは、制御不能なノートPC30が社内の電源線40に接続され、需要電力を増やしてしまうことを考慮したものである。
生成部134bは、生成した充放電計画の制御可能なノートPC30の任意の時間帯を選択し、「AC」「BA」「CH」のいずれかの状態に切り替える。例えば、生成部134bは、「切り替え指示」を受け付けた場合に、状態の切替を行ってもよい。図12は、本実施例1に係る生成部の処理を説明するための図(2)である。説明の便宜上、切り替え前の充放電計画テーブル126を126aとし、切り替え後の充放電計画テーブル126を126bとする。図12に示すように、例えば、生成部134bは、PC2の「9:30」を選択する。生成部134bは、選択した時間帯と、それ以降の時間帯の状態を「BA」に切り替える。なお、図12の網掛け領域は、切り替え指示が出されたPCの時間帯を示す。また、生成部134bは、切り替え指示が出されたPCの時間帯を充放電計画テーブル126に記録する。
生成部134bは、後述するシミュレート部134cから切り替え指示を受け付けた場合や、実行部134eから再度の処理実行を指示された場合に、上記状態を切り替えて充放電計画を生成する処理を繰り返し実行する。生成部134bは、生成した充放電計画の情報を、シミュレート部134cに出力する。
図3の説明に戻る。シミュレート部134cは、充放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートする処理部である。例えば、シミュレート部134cは、需要予測データ121からノートPC30による電力使用量を減算し、各ノートPC30が充放電計画通りに稼働した場合の電力使用量を加算することで、需要電力をシミュレートする。シミュレート部134cは、シミュレート結果を、更新部134dに出力する。
図13は、本実施例1に係るシミュレート部の処理を説明するための図である。図13の横軸は時間を示し、縦軸は電力値[kW]を示す。図13には、8時から20時まで10分間隔で充放電計画が作成された場合のシミュレートの結果を示す。図13に示すように、例えば、シミュレート部134cは、充放電計画に基づいて、10分間ごとの需要電力をシミュレートし、10分間ごとの制御後ピーク11aを算出する。例えば、シミュレート部134cは、下記の式(6)を用いて、時間帯ごとの制御後ピークmaxjを算出する。なお、11bは、図4の需要予測データ121に対応する。
maxj(需要予測[j]−ΣiEAi+ΣiEsi[j])・・・(6)
式(6)において、iは、ノートPC30のインデックスを示す。jは、時間帯のインデックスを示す。例えば、j=1は、9時から9時半までの時間帯に対応する。需要予測[j]は、j番目の時間帯の需要予測値を示し、例えば、需要予測データ121から与えられる値である。Esi[j]は、i番目のノートPC30のj番目の時間帯における各状態の電力値を示す。例えば、状態「AC」の電力使用量EAは、例えば、10[W]である。また、状態「BA」の電力値EBは、例えば、0[W]である。また、状態「CH」の電力値ECは、例えば、60[W]である。また、状態「UN1」の電力使用量EU1は、状態「CH」時の電力を使用するのでEC[W]である。また、状態「UN2」の電力使用量EU2は、状態「AC」時の電力を使用するのでEA[W]である。また、EAiは、i番目のノートPC30の状態「AC」の電力使用量を示す。なお、上記の式(6)は一例であり、これに限定されるものではない。例えば、より余裕をもって制御する場合にはΣiEAiを減算しなくても良い。
更に、シミュレート部134cは、充放電計画に制約条件を追加して時間帯ごとの需要電力をシミュレートする。例えば、シミュレート部134cは、ノートPC30の各時間帯における蓄電池の充電率を算出する。例えば、シミュレート部134cは、PC情報テーブル122を参照し、ノートPC30の充電率を取得する。ノートPC30の蓄電池をある時間分充電する場合には、シミュレート部134cは、図6の充電データ123を参照し、上記時間経過後の充電率を推定する。ノートPC30の蓄電池からある時間分放電する場合には、シミュレート部134cは、図7の放電データ124を参照し、上記時間経過後の充電率を推定する。
続いて、シミュレート部134cは、推定した充電率が式(7)および式(8)の条件を満たすか否かを判定する。式(7)の制約条件は「時刻tにおいて、i番目のノートPC30の蓄電池の容量がS%以上である」というものである。式(7)において、i番目のノートPC30は、特定部133から通知される、離席する利用者に持ち出されるノートPCに対応する。式(7)において、時刻tは、特定部133から通知される、離席の開始時間に対応する。
Ci[t]=ノートPCiの蓄電池の容量×S/100・・・(7)
式(8)の制約条件は「時刻kのノートPC30の消費電力が、割り当てられた電力値以下である」というものである。式(8)のNは、ノートPC30の数に対応する。
時間帯kでのノートPC30の消費電力≦u[k]/N・・・(8)
シミュレート部134cは、式(7)、(8)を満たさないと判定した場合には、切り替え指示を生成部134bに出力して、充放電計画を変更させ、変更された充放電計画を用いて、制約条件を満たすまで再びシミュレートする。シミュレート部134cは、充放電計画が制約条件を満たす場合に、係る充放電計画のシミュレート結果を更新部134dに出力する。
更新部134dは、シミュレートされた結果が、切り替え前の充放電計画のシミュレート結果よりも改善している場合には、充放電計画テーブル126について、充放電計画を切り替え後の制御計画に更新する処理部である。
例えば、更新部134dは、シミュレート結果からピーク電力を求める。更新部134dは、一日のうちで、現在時刻までの各時間帯における電力使用量を実測値として取得する。更新部134dは、一日のうちで、現在時刻以降の各時間帯における電力使用量をシミュレート結果から取得する。更新部134dは、取得した使用電力量のうちの最大値をピーク電力として算出する。更新部134dは、算出したピーク電力と、切り替え前の充放電計画のシミュレート結果から算出したピーク電力とを比較する。更新部134dは、切り替え前の充放電計画のシミュレート結果から算出したピーク電力よりもピーク電力が低下している場合に、充放電計画を切り替え後の充放電計画に更新する。
なお、ここでは、更新部134dが評価値としてピーク電力を用いる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、更新部134dは、現在時刻以降の電力使用量や蓄電池の充電量(充電率とバッテリ容量の積の和)、状態の切り替え回数、最小使用電力量などのうち、一つ又は複数を組み合わせて評価値として用いても良い。複数を組み合わせる場合にはそれぞれの評価関数に重みをつけて足すなどして単一の評価関数にすれば一つの評価関数として処理することができる。例えば、更新部134dは、切り替え前の充放電計画のシミュレート結果から算出した評価値よりも今回算出した評価値の方が大きい場合に、充放電計画を切り替え後の充放電計画に更新する。
実行部134eは、所定の終了条件を満たすか否かを判定する。例えば、実行部134eは、算出部134が処理を開始してから5分経過したか否かを判定する。実行部134eは、5分経過していない場合には、生成部134b、シミュレート部134c及び更新部134dの処理を繰り返し実行させる。なお、ここでは、終了条件が5分経過である場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、終了条件は任意の時間であっても良く、また、任意の繰り返し回数であっても良い。
一方、5分経過した場合には、実行部134eは、更新された充放電計画テーブル126を出力部135に出力する。
出力部135は、充放電計画を出力する処理部である。例えば、出力部135は、充放電計画テーブル126を実行部134eから受け付ける。出力部135は、受け付けた充放電計画テーブル126の各レコードを、対応するノートPC30に出力する。
次に、本実施例1に係る制御サーバ100の処理手順の一例について説明する。図14は、本実施例1に係る制御サーバの処理手順を示すフローチャートである。例えば、図14に示す処理は、所定の時間間隔で実行される。
図14に示すように、制御サーバ100の取得部131は、ノートPC30からPC情報テーブル122に関する各種のデータを取得する(ステップS101)。制御サーバ100の特定部133は、離席を伴うイベントの開始時刻を特定する(ステップS102)。制御サーバ100の算出部134は、充放電計画を生成する(ステップS103)。
算出部134は、充放電計画の状態を切り替え(ステップS104)、需要曲線をシミュレートする(ステップS105)。算出部134は、制約条件を満たすか否かを判定する(ステップS106)。算出部134は、充放電計画が制約条件を満たさない場合には(ステップS106,No)、ステップS109に移行する。
算出部134は、充放電計画が制約条件を満たす場合には(ステップS106,Yes)、充放電計画が改善したか否かを判定する(ステップS107)。算出部134は、充放電計画が改善していない場合には(ステップS108)、ステップS109に移行する。
算出部134は、充放電計画が改善した場合には(ステップS107,Yes)、切り替え後の充放電計画に更新する(ステップS108)。算出部134は、終了タイミングであるか否かを判定する(ステップS109)。算出部134は、終了タイミングでない場合には(ステップS109,No)、ステップS104に移行する。
一方、算出部134は、終了タイミングである場合には(ステップS109,Yes)、充放電計画を各ノートPC30に出力する(ステップS110)。
次に、本実施例1に係る制御サーバ100の効果について説明する。制御サーバ100は、スケジュールデータ125を基にして、利用者が離席するイベントを検出し、検出した離席するイベントの開始時刻を特定する。また、制御サーバ100は、特定した開始時刻にノートPCの蓄電池の充電量が所定量以上となることを制約条件として設定して、所定の蓄電池の充放電計画を算出する。このため、利用者が離席してノートPCを持ち出す場合に、ノートPCの充電量が不足するという事態を抑止することができる。
次に、本実施例2に係るシステムの構成について説明する。図15は、本実施例2に係るシステムの構成を示す図である。図15に示すように、このシステムは、分電盤20と、ノートPC30a,30b,30cと、照明50aと、複合機50bと、制御サーバ200とを有する。分電盤20、ノートPC30a,30b,30c、制御サーバ200は、ネットワーク10を介して相互に接続される。また、分電盤20、ノートPC30a,30b,30c、照明50a、複合機50bは、電源線40に接続される。制御サーバ200は、算出装置の一例である。
分電盤20、ノートPC30a,30b,30c、分電盤20、複合機50bに関する説明は、実施例1と同様であるため、ここでは同一の符号を付して説明を省略する。
制御サーバ200は、社内に設置されたサーバ装置であり、複数のノートPCのバッテリの充放電を規定する充放電計画を生成する。本実施例2に係る制御サーバ200は、スケジュールデータに基づいて、離席イベントと離席イベント後の帰着イベントを検出し、離席イベントの開始時刻から帰着イベントの開始時刻までの時間を特定する。そして、制御サーバ200は、特定した時間に対する予測消費電力が、離席イベントの開始時刻に確保されることを制約条件として、最適な充放電計画を生成する。
図16は、本実施例2に係る制御サーバの構成を示す図である。図16に示すように、この制御サーバ200は、通信制御部210、記憶部220、制御部230を有する。
通信制御部210は、分電盤20、ノートPC30との間でデータを送受信する処理部である。通信制御部210は、例えば、ネットワークインターフェースカード等に対応する。後述する制御部230は、通信制御部210を介して、分電盤20、ノートPC30とデータをやり取りする。
記憶部220は、需要予測データ221、PC情報テーブル222、充電データ223、放電データ224、スケジュールデータ225、充放電計画テーブル226を有する。記憶部220は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などの記憶装置に対応する。
需要予測データ221は、システム内の予測される需要電力の時系列データである。例えば、需要予測データ221は、一日における各時間帯と需要電力値とを対応づけたデータである。需要予測データ221は、実施例1に示した需要予測データ121に対応する。
PC情報テーブル222は、例えば、ノートPC30に関する各種の情報を保持する。PC情報テーブル222は、実施例1に示したPC情報テーブル122に対応する。
充電データ223は、バッテリを充電する際の充電率の変化を示すデータである。充電データ223は、実施例1に示した充電データ123に対応する。
放電データ224は、バッテリを放電する際の充電率の変化を示すデータである。放電データ224は、実施例1に示した放電データ124に対応する。
スケジュールデータ225は、利用者がノートPC30を持って離席するイベントおよび帰着するイベントの情報を保持する。スケジュールデータ255のデータ構造は、図8に示したものと同様である。図8を用いて離席するイベントおよび帰着するイベントを説明すると、ID「PC11」について、「10:00〜11:30」の間に「×」が設定されている。このため、利用者は、ID「PC11」のノートPCを、「10:00〜12:00」の間持ち出すことを示す。つまり、利用者は、ID「PC11」のノートPC30を持って「10:00」に離席し、ネットワーク10、分電盤20からノートPC30を切断する。そして、利用者は、ID「PC11」のノートPC30を持って「12:00」に帰着し、ノートPCをネットワーク10、分電盤20に接続する。このため、ID「PC11」の離席するイベントの開始時刻は「10:00」となり、帰着するイベントの開始時刻は「12:00」となる。
充放電計画テーブル226は、蓄電池それぞれの充放電を時間帯ごとに規定する充放電計画の情報を保持する。充放電計画テーブル226のデータ構造は、実施例1に示した充放電計画テーブル126に対応する。
制御部230は、取得部231と、測定部232と、特定部233と、算出部234と、出力部235とを有する。制御部230は、例えば、ASICや、FPGAなどの集積装置に対応する。また、制御部230は、例えば、CPUやMPU等の電子回路に対応する。
取得部231は、ノートPC30の各種情報を取得し、取得した情報をPC情報テーブル222に登録する処理部である。なお、取得部131が情報を取得するタイミングは、制御サーバ200を利用する者が任意のタイミングを設定して良い。例えば、取得部231は、後述する算出部234が制御計画を作成する直前に情報を取得しても良い。取得部231に関するその他の説明は、実施例1の取得部131に対応する。
測定部232は、図15のシステム内で消費された電力を測定する処理部である。例えば、測定部232は、電源線40に接続された電気製品により社内で消費された総電力量を測定する。測定部232は、測定した電力量の情報を記憶部220に記録する。記憶部220に記憶される電力の情報の図示は省略する。
特定部233は、スケジュールデータ225に基づいて、利用者が離席するイベント及び帰着するイベントを検出し、離席イベントの開始時刻から帰着イベントの開始時刻までの時間を算出する処理部である。以下の説明では、離席イベントの開始時刻から帰着イベントの開始時刻までの時間を適時、離席時間と表記する。特定部233は、算出結果の情報を、算出部234に出力する。例えば、算出結果の情報には、離席する場合に持ち出されるノートPC30のIDと、離席時間とが含まれる。
例えば、図8に示す例では、ID「PC11」について、「10:00〜11:30」の間に「×」が設定されている。このため、ID「PC11」の離席するイベントの開始時刻は「10:00」となり、帰着するイベントの開始時刻は「12:00」となる。この場合には、特定部233は、離席時間を「2時間」として算出する。
算出部234は、各ノートPC30の充電池の状態の一部を変更して最適解を探索する処理を繰り返し行う局所探索法を実行して、充放電計画テーブル226を作成する処理部である。また、算出部234は、局所探索法を用いて最適解を求める場合に、利用者が持ち出したノートPC30について、離席時間に消費される予測消費電力が、離席イベントの開始時刻に確保されることを制約条件として、最適な充放電計画を生成する。例えば、算出部234は、電力算出部234a、生成部234b、シミュレート部234c、更新部234d、実行部234eを有する。
電力算出部234aは、各ノートPC30に割り当てる電力を算出する処理部である。電力算出部234aの処理は、実施例1に示した電力算出部134aの処理に対応する。
生成部234bは、充放電計画を生成する処理部である。まず、生成部234bは、充放電計画テーブル226のそれぞれのノートPC30に対して、時間帯毎の状態を初期状態に設定することで、初期の充放電計画を生成する。生成部234bが、初期の充放電計画を生成する処理は、実施例1の図11を用いて説明した生成部134bの処理と同様である。
生成部234bは、生成した充放電計画の制御可能なノートPC30の任意の時間帯を選択し、「AC」「BA」「CH」のいずれかの状態に切り替える。例えば、生成部234bは、「切り替え指示」を受け付けた場合に、状態の切り替を行ってもよい。生成部234bがPCの状態を切り替える処理は、実施例1の図12を用いて説明した生成部134bの処理と同様である。
生成部234bは、後述するシミュレート部234cから切り替え指示を受け付けた場合や、実行部134eから再度の処理実行を指示された場合に、上記状態を切り替えて充放電計画を生成する処理を繰り返し実行する。生成部234bは、生成した充放電計画の情報を、シミュレート部234cに出力する。
シミュレート部234cは、充放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートする処理部である。例えば、シミュレート部234cは、需要予測データ221からノートPC30による電力使用量を減算し、各ノートPC30が充放電計画通りに稼働した場合の電力使用量を加算することで、需要電力をシミュレートする。以下において、シミュレート部234cの処理について具体的に説明する。
シミュレート部234cは、各ノートPC30の蓄電池について、現在の仮想残量を算出する。現在の仮想残量は、ノートPC30が持ち出されて利用者に使用された場合に減少する蓄電池の充電量を鑑みて補正された蓄電池の充電率である。シミュレート部234cは、式(9)に基づいて、現在の仮想残量を算出する。式(9)において、現在の蓄電池の充電率は、PC情報テーブル222の充電率に対応する。みなし減少充電率は、式(10)に基づき算出される。
現在の仮想残量=現在の蓄電池の充電率(%)−みなし減少充電率(%)・・・(9)
みなし減少充電率(%)=離席時間×ノートPCがバッテリ駆動した場合に減る単位時間あたりの充電率・・・(10)
式(10)において、離席時間は、特定部233から通知される離席時間に対応する。離席時間の代わりに、離席している区間数の情報であってもよい。ノートPCがバッテリ駆動した場合に減る単位時間あたりの充電率の情報は、ノートPC毎に記憶部220に格納されているものとする。
シミュレート部234cは、各ノートPC30の蓄電池について現在の仮想残量を算出する。シミュレート部234cは、各ノートPC30の蓄電池について、現在の仮想残量を算出した後に、充放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートする。例えば、シミュレート部234cは、シミュレート部134cと同様にして、式(6)を用いて、時間帯ごとの制御後ピークmaxjを算出する。
更に、シミュレート部234cは、充放電計画に制約条件を追加して時間帯ごとの需要電力をシミュレートする。例えば、シミュレート部234cは、各ノートPC30の現在の蓄電池の残量を、仮想残量とし、充放電計画通りに動作した場合に、蓄電池の充電量が0以下にならないという制約条件を設ける。かかる制約条件を満たす場合には、離席時間に対応する予測消費電力量が離席イベントの開始時刻に確保されることを意味する。
シミュレート部234cは、制約条件を満たさないと判定した場合には、切り替え指示を生成部234bに出力して、充放電計画を変更させ、変更された充放電計画を用いて、制約条件を満たすまで再びシミュレートする。シミュレート部234cは、仮想残量に基づいて、充放電計画が制約条件を満たす場合には、係る充放電計画が、ノートPC30の実際のバッテリ残量を用いた場合にでも制約条件を満たすか否かを判定する。すなわち、シミュレート部234cは、PC情報テーブル222の充電率を用いて、充放電計画通りにノートPC30が動作した場合に、蓄電池の充電量が0以下にならないという制約条件を満たすか否かを判定する。
シミュレート部234cは、仮想残量および実際のバッテリ残量について、充放電計画が制約条件を満たす場合には、係る充放電計画のシミュレート結果を更新部234dに出力する。
これに対して、シミュレート部234cは、仮想残量については制約条件を満たすが、実際のバッテリ残量については制約条件を満たさない場合には、再度、切り替え指示を生成部234bに出力して、充放電計画を変更させる。シミュレート部234cは、変更された充放電計画を用いて、制約条件を満たすまで再びシミュレートする。すなわち、シミュレート部234cは、仮想残量を用いた仮の充放電計画と、実際のバッテリ残量とを照合して、仮の充放電計画を補正する。
更新部234dは、シミュレートされた結果が、切り替え前の充放電計画のシミュレート結果よりも改善している場合には、充放電計画テーブル226について、充放電計画を切り替え後の制御計画に更新する処理部である。更新部234dの処理は、実施例1に示した更新部134dの処理に対応する。
実行部234eは、所定の終了条件を満たすか否かを判定し、判定結果に応じて、生成部234b、シミュレート部234c、更新部234dに処理を継続させる処理部である。実行部234eの処理は、実施例1に示した実行部134eの処理に対応する。
出力部235は、充放電計画を出力する処理部である。例えば、出力部235は、充放電計画テーブル226を実行部234eから受け付ける。出力部235は、受け付けた充放電計画テーブル226の各レコードを、対応するノートPC30に出力する。
次に、本実施例2に係る制御サーバ200の処理手順の一例について説明する。図17は、本実施例2に係る制御サーバの処理手順を示すフローチャートである。例えば、図17に示す処理は、所定の時間間隔で実行される。
図17に示すように、制御サーバ200の取得部231は、ノートPC30からPC情報テーブル222に関する各種のデータを取得する(ステップS201)。制御サーバ200の特定部233は、スケジュールデータ225に基づいて、離席時間を算出する(ステップS202)。特定部233は、離席時間に基づいて、現在の仮想残量を計算する(ステップS203)。
制御サーバ200の算出部234は、現在の仮想残量を基にして、仮の充放電計画を生成する(ステップS204)。算出部234は、仮の充放電計画と実際のバッテリ残量とを照合して、仮の充放電計画を補正する(ステップS205)。
算出部234は、各ノートPC30に充放電計画を通知する(ステップS206)。制御サーバ200は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS207)。制御サーバ200は、処理を終了しない場合には(ステップS207,No)、ステップS201に移行する。制御サーバ200は、処理を終了する場合には(ステップS207,Yes)、充放電計画を生成する処理を終了する。
次に、本実施例2に係る制御サーバ200の効果について説明する。制御サーバ200は、スケジュールデータ225を基にして、利用者が離席してから帰着するまでの離席時間を特定する。また、制御サーバ200は、離席時間に対応する予測消費電力量が離席イベントの開始時刻に確保されることを制約条件として設定して、充放電計画を生成する。このため、利用者が離席してノートPCを持ち出す場合に、ノートPCの充電量が不足するという事態を抑止することができる。
図18および図19は、本実施例2に係る制御サーバの効果を説明するための図である。図18および図19の横軸は時間を示し、縦軸は電力を示す。図18は、仮想残量による調整を行っていない場合の時間と電力の関係を示し、図19は、仮想残量による調整を行った場合の時間と電力の関係を示す。
図18において、線分1aは、各ノートPC30が充電を行った場合のシステム全体の電力と時間との関係を示すものである。線分1bは、システム全体の電力と時間との関係を示すものである。線分1cは、仮想残量による調整を行わずに、充放電計画を作成し、係る充放電計画に従ってシステムが動作した場合の電力と時間との関係を示すものである。線分1dは、各ノートPCによる電力を除いたシステム全体の電力と時間との関係を示すものである。線分1bを参照すると、制御前のピーク電力は、9920Wとなる。また、線分1cを参照すると、制御後のピーク電力は、9277Wとなり、制御前のピーク電力よりも6.48%ピーク電力を削減することができる。
図19において、線分1aは、各ノートPC30が充電を行った場合のシステム全体の電力と時間との関係を示すものである。線分1bは、システム全体の電力と時間との関係を示すものである。線分1cは、仮想残量による調整を行って、充放電計画を作成し、係る充放電計画に従ってシステムが動作した場合の電力と時間との関係を示すものである。線分1dは、各ノートPCによる電力を除いたシステム全体の電力と時間との関係を示すものである。線分1bを参照すると、制御前のピーク電力は、9920Wとなる。また、線分1cを参照すると、制御後のピーク電力は、9341Wとなり、制御前のピーク電力よりも5.84%ピーク電力を削減することができる。
図20は、離席直前の残量分布の一例を示す図である。図20の網掛けの棒グラフは、仮想残量計算を行った場合における離席時のノートPCの台数と蓄電池の残量との関係を示す。図20の網掛けでない棒グラフは、仮想残量計算を行っていない場合における離席時のノートPCの台数と蓄電池の残量との関係を示す。仮想残量計算を行った場合には、離席時のノートPCの蓄電池の残量は、平均で「62.6%」となる。これに対して、仮想残量計算を行っていない場合には、離席時のノートPCの蓄電池の残量は、平均で「46.3%」となる。
ところで、上述した制御サーバ100,200の処理は一例である。例えば、制御サーバ100,200は、各ノートPC30をグループ化し、グループに含まれる複数のノートPC30を単一のノートPC30と見なして充放電計画を生成してもよい。このような処理を行うことで、制御計画を生成する場合の局所探索法を行う対処を、グループを単一の装置とみなして実行でき、少ない処理でも最適に近い計画を作成することができる。
制御サーバ100,200は、各ノートPC30の蓄電池の残量に基づいて、各ノートPC30を分類してもよい。例えば、あるグループに含まれるノートPC30の蓄電池の残量の合計値(または分布)が、他のグループに含まれる複数のノートPC30の蓄電池の残量の合計値と類似する値となるように、複数の装置を複数のグループに分類する。
または、制御サーバ100,200は、蓄電池の残量が類似するノートPC30同士をグループ化することで、複数のノートPC30を複数のグループに分類してもよい。
次に、上記の実施例に示した制御サーバ100、200と同様の機能を実現する算出プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図21は、算出プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
図21に示すように、コンピュータ300は、各種演算処理を実行するCPU301と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置302と、ディスプレイ303を有する。また、コンピュータ300は、記憶媒体からプログラム等を読取る読み取り装置304と、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行うインターフェース装置305とを有する。また、コンピュータ300は、各種情報を一時記憶するRAM306と、ハードディスク装置307を有する。そして、各装置301〜307は、バス308に接続される。
ハードディスク装置307は、例えば、特定プログラム307a、算出プログラム307bを有する。CPU301は、各プログラム307a,307bを読み出してRAM306に展開する。
特定プログラム307aは、特定プロセス306aとして機能する。算出プログラム307bは、算出プロセス306bとして機能する。例えば、特定プロセス306aは、特定部133,233に対応する。算出プロセス306bは、算出部134,234に対応する。
なお、各プログラム307a,307bについては、必ずしも最初からハードディスク装置307に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ300に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ300がこれらから各プログラム307a,307bを読み出して実行するようにしてもよい。
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)記憶部に記憶されたスケジュールに基づいて離席を伴う所定のイベントを検出し、
検出した前記離席を伴う所定のイベントの開始時刻を特定し、
特定した前記開始時刻に所定の蓄電池の充電量が所定量以上となることを制約条件として設定して、前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する
ことを特徴とするコンピュータを用いた充電及び/又は放電計画の算出方法。
(付記2)前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する処理は、前記所定の蓄電池を有する複数の装置のうち、一部の装置の状態を切り替えた仮想の充電及び/又は放電計画を生成し、前記仮想の充電及び/又は放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートし、シミュレートした結果が前記所定の充電及び/又は放電計画よりも改善している場合に、前記所定の充電及び/又は放電計画を、前記仮想の充電及び/又は放電計画に更新することを特徴とする付記1に記載の算出方法。
(付記3)記憶部に記憶されたスケジュールに基づいて離席イベントと該離席イベント後の帰着イベントを検出し、
前記離席イベント開始時刻から前記帰着イベント開始時刻までの時間を算出し、
算出した前記時間に対応する予測消費電力量が前記離席イベントの開始時刻に確保されることを制約条件として設定して、前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する
ことを特徴とするコンピュータを用いた充電及び/又は放電計画の算出方法。
(付記4)前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する処理は、前記所定の蓄電池を有する複数の装置のうち、一部の装置の状態を切り替えた仮想の充電及び/又は放電計画を生成し、前記仮想の充電及び/又は放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートし、シミュレートした結果が前記所定の充電及び/又は放電計画よりも改善している場合に、前記所定の充電及び/又は放電計画を、前記仮想の充電及び/又は放電計画に更新することを特徴とする付記3に記載の算出方法。
(付記5)コンピュータに、
記憶部に記憶されたスケジュールに基づいて離席を伴う所定のイベントを検出し、
検出した前記離席を伴う所定のイベントの開始時刻を特定し、
特定した前記開始時刻に所定の蓄電池の充電量が所定量以上となることを制約条件として設定して、前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する
処理を実行させることを特徴とする算出プログラム。
(付記6)前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する処理は、前記所定の蓄電池を有する複数の装置のうち、一部の装置の状態を切り替えた仮想の充電及び/又は放電計画を生成し、前記仮想の充電及び/又は放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートし、シミュレートした結果が前記所定の充電及び/又は放電計画よりも改善している場合に、前記所定の充電及び/又は放電計画を、前記仮想の充電及び/又は放電計画に更新することを特徴とする付記5に記載の算出プログラム。
(付記7)コンピュータに、
記憶部に記憶されたスケジュールに基づいて離席イベントと該離席イベント後の帰着イベントを検出し、
前記離席イベント開始時刻から前記帰着イベント開始時刻までの時間を算出し、
算出した前記時間に対応する予測消費電力量が前記離席イベントの開始時刻に確保されることを制約条件として設定して、前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する
処理を実行させることを特徴とする算出プログラム。
(付記8)前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する処理は、前記所定の蓄電池を有する複数の装置のうち、一部の装置の状態を切り替えた仮想の充電及び/又は放電計画を生成し、前記仮想の充電及び/又は放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートし、シミュレートした結果が前記所定の充電及び/又は放電計画よりも改善している場合に、前記所定の充電及び/又は放電計画を、前記仮想の充電及び/又は放電計画に更新することを特徴とする付記7に記載の算出プログラム。
(付記9)記憶部に記憶されたスケジュールに基づいて離席を伴う所定のイベントを検出し、検出した前記離席を伴う所定のイベントの開始時刻を特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記開始時刻に所定の蓄電池の充電量が所定量以上となることを制約条件として設定して、前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する算出部と
を有することを特徴とする算出装置。
(付記10)前記算出部は、前記所定の蓄電池を有する複数の装置のうち、一部の装置の状態を切り替えた仮想の充電及び/又は放電計画を生成し、前記仮想の充電及び/又は放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートし、シミュレートした結果が前記所定の充電及び/又は放電計画よりも改善している場合に、前記所定の充電及び/又は放電計画を、前記仮想の充電及び/又は放電計画に更新することを特徴とする付記9に記載の算出装置。
(付記11)記憶部に記憶されたスケジュールに基づいて離席イベントと該離席イベント後の帰着イベントを検出し、前記離席イベント開始時刻から前記帰着イベント開始時刻までの時間を算出する特定部と、
前記特定部によって算出された前記時間に対応する予測消費電力量が前記離席イベントの開始時刻に確保されることを制約条件として設定して、前記所定の蓄電池の充電及び/又は放電計画を算出する算出部と
を有することを特徴とする算出装置。
(付記12)前記算出部は、前記所定の蓄電池を有する複数の装置のうち、一部の装置の状態を切り替えた仮想の充電及び/又は放電計画を生成し、前記仮想の充電及び/又は放電計画を用いて、時間帯毎の需要電力をシミュレートし、シミュレートした結果が前記所定の充電及び/又は放電計画よりも改善している場合に、前記所定の充電及び/又は放電計画を、前記仮想の充電及び/又は放電計画に更新することを特徴とする付記11に記載の算出装置。