JP6530306B2 - 二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラム - Google Patents

二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP6530306B2
JP6530306B2 JP2015231679A JP2015231679A JP6530306B2 JP 6530306 B2 JP6530306 B2 JP 6530306B2 JP 2015231679 A JP2015231679 A JP 2015231679A JP 2015231679 A JP2015231679 A JP 2015231679A JP 6530306 B2 JP6530306 B2 JP 6530306B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
induction motor
speed
phase
phase induction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015231679A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017099212A (ja
Inventor
佑樹 伊藤
佑樹 伊藤
英樹 寺内
英樹 寺内
哲成 中川
哲成 中川
亨 北山
亨 北山
スワパン ビスワス
スワパン ビスワス
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Original Assignee
Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc filed Critical Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Priority to JP2015231679A priority Critical patent/JP6530306B2/ja
Priority to MYPI2016702598A priority patent/MY178174A/en
Priority to CN201610596077.9A priority patent/CN106817065B/zh
Publication of JP2017099212A publication Critical patent/JP2017099212A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6530306B2 publication Critical patent/JP6530306B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P27/00Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of supply voltage
    • H02P27/04Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of supply voltage using variable-frequency supply voltage, e.g. inverter or converter supply voltage
    • H02P27/06Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of supply voltage using variable-frequency supply voltage, e.g. inverter or converter supply voltage using dc to ac converters or inverters
    • H02P27/08Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of supply voltage using variable-frequency supply voltage, e.g. inverter or converter supply voltage using dc to ac converters or inverters with pulse width modulation
    • H02P27/085Arrangements or methods for the control of AC motors characterised by the kind of supply voltage using variable-frequency supply voltage, e.g. inverter or converter supply voltage using dc to ac converters or inverters with pulse width modulation wherein the PWM mode is adapted on the running conditions of the motor, e.g. the switching frequency
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02PCONTROL OR REGULATION OF ELECTRIC MOTORS, ELECTRIC GENERATORS OR DYNAMO-ELECTRIC CONVERTERS; CONTROLLING TRANSFORMERS, REACTORS OR CHOKE COILS
    • H02P1/00Arrangements for starting electric motors or dynamo-electric converters
    • H02P1/16Arrangements for starting electric motors or dynamo-electric converters for starting dynamo-electric motors or dynamo-electric converters
    • H02P1/46Arrangements for starting electric motors or dynamo-electric converters for starting dynamo-electric motors or dynamo-electric converters for starting an individual synchronous motor

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Description

本発明は、二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラムに関する。
本技術分野の背景技術として、下記特許文献1の要約書には、「進相用コンデンサを用いることなく容易に単相誘導電動機を始動できる単相誘導電動機の速度制御装置を提供する。」、「三相インバータ4を用いて単相誘導電動機5に可変周波数、可変電圧を供給する。この三相インバータ4のスイッチング素子Q11〜Q32を、電動機5の各巻線5a,5bに印加される電圧の位相がずれるように制御することで、単相誘導電動機5を始動できる。」と記載されている。
また、下記特許文献2の要約書には、「インバータ装置1は、インバータ回路3の各相出力端子を誘導電動機4の主巻線4b,補助巻線4a,中性線にそれぞれ接続し、直流電源2より供給される直流電圧を2相の概略正弦波PWM電圧に変換し、電流検出部5により検出される直流電源電流から主巻線4b及び補助巻線4aの電流を検出すると、主巻線4b,補助巻線4aのインダクタンス値及び抵抗値を平衡化し、ベクトル制御演算部6は、ベクトル制御演算により誘導電動機4への2相電圧を決定する。そして、PWM信号形成部5は、前記2相電圧に応じてインバータ回路3を制御するPWM信号を形成する。」と記載されている。
特開平7−46872号公報 特開2010−57216号公報
しかし、進相用コンデンサとともに用いることを前提とした二相誘導電動機を通常のインバータによって駆動すると、進相用コンデンサで駆動する場合と比べ二相誘導電動機の出力トルクが低くなってしまう事から、進相コンデンサによって使用する場合と同等の最高回転速度、出力トルクを得ることができない。また、損失による発熱によって、誘導電動機が破損する等の不具合が発生する。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、高効率で運転できる二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の二相誘導電動機は、
主巻線と、補助巻線とを有し、
商用交流電源の交流電圧を整流する整流回路と、前記整流回路から出力される直流電圧をスイッチングし、それぞれ位相の異なる第1の電圧と第2の電圧と第3の電圧とを出力する誘導電動機駆動回路と、駆動対象となる送風ファンと、を備える空気調和機に適用され、
最高回転速度が現れるときの出力トルクを定格出力トルクとしたとき、前記主巻線および前記補助巻線に対して前記商用交流電源が出力する前記交流電圧の√2/2倍以下の電圧が印加された状態で前記最高回転速度および前記定格出力トルクが得られるように、前記主巻線および前記補助巻線のインピーダンス値が設定されている
ことを特徴とする。
本発明によれば、高効率で運転できる二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラムを実現できる。
本発明の第1実施形態による空気調和機の要部のブロック図である。 (a)〜(f)は、第1実施形態の空気調和機の要部における各部の波形図である。 (a),(b)は、時刻t1,t2における電流の方向を示す図である。 (a),(b)は、時刻t3,t4における電流の方向を示す図である。 モータのトルク特性図である。 モータの他のトルク特性図である。 第1実施形態における制御プログラムのフローチャートである。 (a),(b)は始動時におけるモータのトルク特性図である。 (a)〜(c)は始動後におけるモータのトルク特性図である。 比較例のモータの電流等の波形図である。 比較例のモータの電流等の他の波形図である。 第1実施形態におけるモータの電流等の波形図である。 第1実施形態におけるモータの電流等の他の波形図である。 本発明の第2実施形態による空気調和機の要部のブロック図である。 (a)〜(e)は、第2実施形態の空気調和機の要部における各部の波形図である。 本発明の第3実施形態による空気調和機の正面図である。 第3実施形態における空気調和機の室内機の側断面図である。 第3実施形態における要部のブロック図である。
[第1実施形態]
<実施形態の構成>
以下、図1に示すブロック図を参照し、本発明の第1実施形態による空気調和機の要部であるモータ駆動装置A1の構成を説明する。
図1において、二相誘導電動機(以下、モータと呼ぶ)10は、主巻線12と補助巻線14とを有し、負荷装置40に結合され、負荷装置40を回転駆動する。主巻線12と補助巻線14とは、二相交流電流が供給されると、回転磁界を発生するように配置されている。回転速度センサ16は、ホールセンサ等を有し、モータ10の回転子の回転速度(以下、実回転速度N[rpm]という)を検出する。
本実施形態において、主巻線12および補助巻線14のインピーダンスは略同一である。なお、以下の説明において、二つの値について「略同一」とは、例えば、高い側の値が低い側の値の1.05倍以下であることをいう。また、一つの値Xについて「略X」とは、例えば、「X±5%」の範囲をいう。主巻線12および補助巻線14のインピーダンスは必ずしも略同一にする必要はないが、高い側のインピーダンスを低い側のインピーダンスの1.25倍以下にすることが望ましい。これは、モータにおける巻線インピーダンスのバラつきが最大で±10%程度と考えられるためである。例えば、主巻線のインピーダンスが+10%、補助巻線のインピーダンスが−10%である場合、主巻線のインピーダンスは補助巻線の1.22倍程度となるためである。
整流回路26は、商用電源30から供給される交流電圧を整流し、平滑コンデンサ28は、整流回路26の出力電圧を平滑化し、直流電圧Edcを出力する。商用電源30の交流電圧の実効値をEとすると、直流電圧Edcは、約√2Eになる。この直流電圧Edcはインバータ20に入力される。但し、整流回路26の後段に、一般に用いられる昇圧回路等を挿入し、直流電圧Edcを√2Eよりも高くしてもよい。これにより、回転速度を高めることができ、より大きな出力トルクが得られる。インバータ20は、スイッチング素子22a〜22f(例えば、IGBTやMOS−FET等の半導体スイッチング素子)と、これらに並列に接続された還流用ダイオードとを有している。なお、スイッチング素子22a〜22fを総称して「スイッチング素子22」と呼ぶ。
これらのスイッチング素子22は、2組のスイッチング素子22が直列に接続されることにより、各相の上下アームを構成している。図1の例においては、スイッチング素子22a,22bによりU相、スイッチング素子22c,22dによりV相、スイッチング素子22e,22fによりW相の上下アームが構成されている。各相の上下アームの接続点は、モータ10に接続されている。スイッチング素子22a〜22fは、制御回路24から供給されたドライブ信号によってオン/オフ制御される。これにより、インバータ20は、該ドライブ信号に基づいて、直流電圧EdcをPWM(Pulse Width Modulation)変調する。電源回路25は、直流電圧Edcから制御回路24用の電源電圧を生成する。なお、スイッチング素子22をPWM変調する際の変調周波数は、可聴周波数よりも高い周波数(例えば15kHz以上)にすることが望ましい。
制御回路24は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等、一般的なコンピュータとしてのハードウエアを備えており、ROMには、CPUによって実行される制御プログラムや、各種データ等が格納されている。図1において、制御回路24の内部は、制御プログラム等によって実現される機能を、ブロックとして示している。
制御回路24の内部において、目標速度設定部58は、モータ10の同期速度NSの目標値である目標同期速度NXを出力する。同期速度設定部56は、同期速度NSを目標同期速度NXに近づけ、または一致させるように同期速度NSを設定する。滑り量算出部54は、同期速度NSと実回転速度Nとに基づいて、モータ10の滑り量s(=(NS−N)/NS)を算出する。ドライバ部52は、同期速度設定部56が出力した同期速度NSに基づいて上述したドライブ信号を生成し、スイッチング素子22に供給する。
インバータ20から出力されるU相,V相,W相の電圧は略正弦波であり、これらをVU,VV,VWと呼ぶ。なお、これらを総称して「電圧V」と呼ぶことがある。また、電圧Vの周波数を「駆動周波数f」と呼ぶ。モータ10の極数をpとすると、同期速度NSと駆動周波数fには、「NS=120f/p」の関係がある。従って、ドライバ部52は、かかる駆動周波数fを実現するPWM信号をドライブ信号として出力する。
本実施形態においては、U相電圧VUに対してV相電圧VVの位相は90°進み、V相電圧VVに対してW相電圧VWの位相はさらに90°進むようにドライブ信号が設定される。U相,V相間の線間電圧VU-Vは主巻線12に印加され、W相,V相間の線間電圧VW-Vは補助巻線14に印加される。図2(a)〜(c)に、電圧VU,VV,VWの波形を示す。商用電源30の交流電圧の実効値Eに対して、電圧VU,VV,VWの極大値は√2・Eになり、極小値は零値である。従って、電圧VU,VV,VWの振幅は、(√2/2)・Eになり、これらの実効値は(1/2)Eになる。
二相誘導電動機では、主巻線および補助巻線に流れる電流の位相差は、90°、つまり1/4周期の周期差があるとき、最も効率が良い事が知られている。これは、モータの構造的に得られるものであり、2極、4極、8極のときでも同様である。
しかしながら、誘導電動機の巻線のインピーダンスは、巻線のインダクタンスおよび巻線の導線抵抗によるものであるが、主巻線と補助巻線のインピーダンスが異なる場合、印加された電圧に対し、流れる電流の位相遅れが主巻線と補助巻線で異なってしまう。そのため、各巻線に流れる電流の位相差が90°、つまり1/4周期違いとならないため、効率が落ちてしまう。そのため、この場合はこの遅れ分の位相を加味して印加する電圧の位相差を調整しても良い。
本実施形態に係る二相誘導電動機において、主巻線および補助巻線のインピーダンスが同一となるよう設定している場合であれば、入力電圧をそれぞれ1/4周期、とすることで、各巻線に流れる電流も90°、つまり1/4周期ずれることとなるため、使用する誘導電動機ごとに印加する電圧の位相差を調整する必要が無いという利点がある。
また、図2(d)〜(f)に、線間電圧VU-V,VW-V,VU-Wの波形を示す。線間電圧VU-VおよびVW-Vは、それぞれ主巻線12および補助巻線14に印加される。電圧VU,VV,VWが正弦波であるとき、線間電圧VU-VおよびVW-Vの振幅は、√2・(√2/2)・E=Eになり、これらの実効値は(√2/2)Eになる。
換言すると、モータ10の最高回転速度における出力トルクを定格出力トルクとしたとき、主巻線12および補助巻線14のインピーダンスは、実効値が(√2/2)E以下の交流電圧の入力により定格出力トルクが得られる値であることになる。
ここで、「最高回転速度」とは、実効値が(√2/2)Eである交流電圧を主巻線12に入力し、主巻線12に入力される交流電圧に対して所定の進み位相の交流電圧を補助巻線14に入力し、モータ10に接続された負荷装置40の駆動(例えば送風ファンから送風)を行う場合において、主巻線12および補助巻線14への交流電圧の入力周波数を可変した際に得られる回転速度のうち最も高い回転速度である。
上述した例は過変調を行わない場合の例であるが、電圧VU,VV,VWに奇数次の高調波成分を混入することにより、これらの振幅を1.25・(√2/2)・Eまで上昇させることができる。なお、過変調は、インバータ制御に用いられる技術の一例であって、過変調を行ってもよいし、行わなくてもよい。
主巻線12に印加される線間電圧VU-Vと、補助巻線14に印加される線間電圧VW-Vとは、位相は異なるものの電圧値は略同一になる。このため、主巻線12に流れる電流と、補助巻線14に流れる電流とは略同一になる。また、図2(a)〜(f)の時刻t1,t2,t3,t4における電流の流れを、図3(a),(b)および図4(a),(b)の太実線によって示す。
次に、図5を参照し、モータ10のトルク特性について説明する。図5において、横軸はモータ10の回転子の実回転速度N[rpm]を示し、縦軸はトルク[N・m]を示す。実線で示すモータトルクTMは、誘導電動機であるモータ10においては、図示のように略三角形の形状を有する。また、破線で示すTL1,TL2は、負荷装置40の負荷トルクの特性例である。負荷トルクTL1またはTL2に対する実回転速度Nは、負荷トルクTL1またはTL2の特性と、モータトルクTMの特性とが交差する点の速度になる。
モータトルクTMが最大になる実回転速度Nをトルクピーク回転速度Npと呼ぶ。モータ10の構造や運転状態によっても異なるが、トルクピーク回転速度Npは、滑り量sが「0.2」の付近の速度になる。実回転速度Nがトルクピーク回転速度Npを超える領域を「安定領域」と呼び、実回転速度Nがトルクピーク回転速度Np以下になる領域を「不安定領域」と呼ぶ。不安定領域においては、負荷トルクTL2の僅かな変動によって実回転速度Nが大きく変化する。また、滑り量sが大きくなるため、モータ10の電力損失や温度上昇も大きくなる。そこで、本実施形態の制御回路24は、不安定領域の動作を回避するように同期速度NSを制御する。なお、その詳細については後述する。
次に、駆動周波数がf1,f2,f3であるとき(但し、f1<f2<f3)のモータトルクTM1,TM2,TM3の特性例と、実回転速度N1,N2,N3とを図6に示す。制御回路24は、電圧Vと駆動周波数fとの比がほぼ一定になるように、電圧Vを設定する。このような電圧Vの設定方法は「V/F一定制御」と呼ばれている。図示のように、実回転速度Nが大きくなるほど負荷トルクTLが大きくなる場合は、実回転速度Nの増加に伴って滑り量sが大きくなってゆく。
<実施形態の動作>
次に、図7を参照し、本実施形態の動作を説明する。なお、図7は、制御回路24にて実行される制御プログラムのフローチャートであり、この制御プログラムはモータ10を起動する際に実行される。
図7において処理がステップS2に進むと、同期速度設定部56によって、モータ10が、逆回転中であるか否かが判定される。ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS3に進み、回転速度は所定速度以上であるか否かが判定される。ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS2に戻る。以後、モータ10が所定速度以上で逆回転中である限り、ステップS2,S3のループが繰り返される。例えば負荷装置40がファンである場合、外気の流れによって、該所定速度以上でファンが逆回転している可能性がある。このような場合にインバータ20を動作させると、インバータ20が過負荷状態になるため、本実施形態ではインバータ20を動作させないようにしている。但し、モータ10が室内機器で使用される場合等、モータ10が逆回転する可能性が小さい場合、ステップS2,S3の処理を省略してもよい。
ステップS2,S3の何れかにおいて「No」と判定されると、処理はステップS4に進み、同期速度設定部56によって始動処理が実行される。以下、図8(a),(b)を参照し、この始動処理の内容を説明する。図8(a)におけるモータトルクTMの特性は、ステップS4が開始された時点のものを示している。図示のように、ステップS4の開始時においては、同期速度NSは、目標同期速度NXよりも低い値に設定される。
より具体的には、ステップS4の開始時点の同期速度NSは、目標同期速度NXの0.01倍〜0.3倍程度にすると好適である。その後、ステップS4においては、同期速度NSが徐々に上昇される。そして、同期速度NSが目標同期速度NXの所定値倍(例えば、0.3倍〜0.8倍)に達すると、ステップS4は終了する。ステップS4の終了時におけるモータトルクTMの特性の一例を図8(b)に示す。
ところで、本実施形態において始動処理(ステップS4)を実行する理由を説明しておく。一般的に、モータ10等の誘導電動機は、停止状態において目標同期速度NXを同期速度NSに設定しても、充分な始動トルクが得られる場合が多い。しかし、始動初期においては滑り量sが大きくなり、モータ10の損失や発熱が大きくなる。そこで、本実施形態においては、同期速度NSを目標同期速度NXよりも低い速度から開始するようにしている。
次に、図7において処理がステップS6に進むと、同期速度設定部56によって、滑り量sが所定値smax未満であるか否かが判定される。ここで、図5に示すように、所定値smaxは、実回転速度Nが不安定領域に入る範囲(実回転速度Nがトルクピーク回転速度Np未満になる範囲)の中から選択するとよい。ここで、所定値smaxは、同期速度NSに対応して設定してもよく、同期速度NSにかかわらず同一の値にしてもよい。同期速度NSに対応して所定値smaxを設定すると、同期速度NSに応じて最適な所定値smaxを適用することができるという効果を奏する。一方、所定値smaxを同期速度NSにかかららず一定値にすると、制御プログラムのステップ数を小さくすることができるという効果を奏する。
ステップS6において「Yes」と判定されると、処理はステップS8に進み、同期速度設定部56によって同期速度NSが目標同期速度NXに近づけられる。例えば、同期速度NSが所定のステップ量ΔNだけ増減される。但し、現在の同期速度NSが既に目標同期速度NXに達している場合には、現在の同期速度NSがそのまま維持される。
一方、ステップS6において「No」と判定されると、処理はステップS10に進み、同期速度設定部56によって同期速度NSが低下される。例えば、同期速度NSが上記ステップ量ΔNだけ減少される。同期速度NSを減少させることにより、不安定領域(図5参照)の動作を脱し、安定領域の動作に遷移できる可能性が高まる。以後、ステップS6〜S10のループが繰り返される。
ここで、具体例を参照しつつ、ステップS6〜S10の動作を説明する。最初にステップS6が実行されるタイミング(ステップS4が終了したタイミング)において、モータトルクTMおよび負荷トルクTLが図8(b)に示す通りであったとすると、滑り量sは所定値smax(図5参照)未満であるため、ステップS6にて「Yes」と判定され、ステップS8にて同期速度NSが目標同期速度NXに近づくように増加される。
このようにしてステップS8が繰り返し実行され、同期速度NSが目標同期速度NXに一致すると、モータトルクTMおよび負荷トルクTLは、図9(a)に示すようになる。以降、負荷トルクTLに特段の変化が現れない限り、同期速度NSは一定に保たれる。
ここで、何らかの理由により、負荷トルクTLが増加したとすると、実回転速度Nがトルクピーク回転速度Np未満になることがある。その一例を図9(b)に示す。図9(b)に示す負荷トルクTL1の特性は、図9(a)に示した負荷トルクTLの特性と同様であり、負荷トルクTL2の特性は、何らかの理由によって増加した後の特性である。負荷トルクTL2における滑り量sは所定値smax以上であるため、次にステップS6が実行されると、「No」と判定され、ステップS10にて同期速度NSが低下される。
ステップS10が繰り返し実行されると、同期速度NSが徐々に低下してゆく。そして、負荷トルクTL2においても滑り量sが所定値smax未満になると、再びステップS6にて「Yes」と判定されるようになる。その際の、モータトルクTMの特性例を図9(c)に示す。その後、負荷トルクを増加させていた要因が除去され、負荷トルクの特性が再びTL1に戻ると、ステップS8が繰り返し実行され、同期速度NSが目標同期速度NXに等しい状態(図9(a))に戻る。
<モータ10を適用した意義>
上述したように、本実施形態においては、モータ10として二相誘導電動機を適用し、主巻線12および補助巻線14のインピーダンスを略同一にしたが、その意義について説明する。
空気調和機においては、小型の筐体で大きい部屋全体を空調できることが望ましいため、風量が多いことが望ましく、ファンを回転させるモータの最高回転速度も高い方が望ましい。一方、静音性や各種機能の面から、より低速で回転する場合もあることから、任意に回転速度を変更できるモータが求められている。
二相誘導電動機の固定子の磁極には、主巻線と補助巻線とが巻回され、両者に位相の異なる入力電圧が印加されることにより、回転子が回転する。二相誘導電動機は、一般的に、主巻線に入力される交流電圧を、進相用コンデンサを通して位相を変更したものを補助巻線に入力することを前提として設計されている。これにより、元々の電源としては、単相の交流電源のみを用いて駆動できる事から、この進相用コンデンサによって駆動される誘導電動機を「単相誘導電動機」とも呼ぶ。
二相誘導電動機に進相用コンデンサを追加して単相誘導電動機として使用する上述の方法では、多くの場合、電源として商用電源等が用いられる。単一周波数の電源で単相誘導電動機を駆動する場合、タップ式のモータ巻線を使用し、これを切り替えることで回転速度を変更することができる。しかし、この方式では、駆動したい回転速度の分だけタップを備える必要があるため、多段階に回転速度を切り替えることが困難になる。
また、位相制御方式によって回転速度を変更することも可能であるが、電源周波数自体は変動しないため、回転速度の変動幅に限界があるだけでなく、コギングトルクによる振動またはそれによる音の発生、また高調波が出やすいという問題点もあり、回転速度を変えるにあたり、制約が大きい。
二相誘導電動機にポールチェンジモータを適用し、極数を切り替えることで回転速度を変更する方法もある。電源周波数が50Hzであった場合、同期速度は2極なら3000rpm、4極なら1500rpm、6極なら1000rpm、8極なら750rpmと可変することが可能であるが、原理的に同期速度はこれら速度の固定で、細かく設定することができない。また、モータの構造も複雑で、価格も高くなってしまうという問題がある。
二相誘導電動機は、他の3相モータ等と比較して効率の面で劣り、実仕様面で発熱を考慮することが望ましいものの、構成が簡潔であり安価であるという点で優れている。
そこで、インバータによって入力の周波数自体を変動させ、各巻線へ位相をずらした電圧を入力し、これによって二相誘導電動機を駆動する方式の検討を行った。インバータであれば、二相誘導電動機に入力する周波数を任意に設定できることから、空気調和機等の製品ニーズに合う、回転速度を実現できる。
進相用コンデンサを用いて二相誘導電動機を駆動する場合、進相用コンデンサの容量は、モータの補助巻線のインピーダンス(インダクタL、抵抗R)に応じて決定することが望ましい。適正なコンデンサ容量は、下式となるよう設定される。
(主巻線電圧)2+(補助巻線電圧)2=(コンデンサ両端電圧)2
一方、インバータによる駆動を行う場合、入力の位相は任意に調整できるという利点もある。二相誘導電動機を使用して安価な構成としつつ、DCモータの様に多段階に回転速度を切り替える構成とするため、二相誘導電動機をインバータによって駆動する方式を採用した。インバータ回路については、IGBT、MOS-FET、GaN等の素子を使用し、SIC等で駆動する構成としても良いし、市販のインバータIC等を使用してもよい。
進相用コンデンサとともに用いることを前提とした二相誘導電動機に対して、主巻線、補助巻線にインバータから同一の振幅の交流電圧を印加した場合を検討する。この種の二相誘導電動機においては、主巻線よりも補助巻線のインピーダンスが高いため、入力電流が主巻線に比べ小さくなってしまう。これにより、モータの出力が低下し、トルクアップのための変更が望まれる。トルクアップの方法としては、主巻線、補助巻線の入力を合わせる方法が考えられる。これには方法が二種類あり、主巻線、補助巻線のインピーダンスのバラつきを加味し、インバータからの出力を調整する方法と、主巻線、補助巻線のインピーダンスが同一であるモータを使用する方法の二種類が考えられる。
前者のメリットは、既製品の二相誘導電動機をそのまま使用できることであるが、デメリットは使用する二相誘導電動機の主巻線、補助巻線のインピーダンスごとにインバータからの出力をチューニングし、各入力電流が同等とする必要があることと、上述した通り、商用電源を整流し、インバータから出力する場合に得られる線間電圧は、実効値で商用電源の「√2/2」倍となるため、進相用コンデンサによって駆動する場合と比較して、得られる出力が小さくなってしまうという問題がある。主巻線、補助巻線への出力の調整を行う際は、電流検出回路により出力電流の監視を行うか、使用する製品の仕様ごとにモータごとにインバータの駆動ソフトを作成する必要がある。更に、入力が低くなってしまう補助巻線に合わせて主巻線の入力を制限するという調整となる為、トルクを増やしたい場合では返ってトルクが落ちる可能性がある。
後者では、主巻線と補助巻線のインピーダンスが略同一である二相誘導電動機であれば、全て同じ回路で駆動できる為、製品や機種ごとに使用する二相誘導電動機とのチューニングの必要が生じないというメリットがある。また、後述する通り、前者に対しより大きい出力トルクを得ることが可能である。どちらを選択するかは、適用する製品群の仕様に応じて選択すれば良いが、後者の方式の方がより多くの出力トルクを得ることが可能で、モータの定格も必要最小限で良い為、総じて安価に構成ができるため、上記実施形態では、主巻線12、補助巻線14のインピーダンスを略同一にすることとした。
更に、入力電流を増やしてトルクを上げる為、巻線インピーダンスを下げることで、トルクを上げることが可能である。このとき、進相コンデンサによって駆動される二相誘導電動機の出力トルクと同等のトルクを、3相インバータによって駆動される誘導電動機から享受するためには、誘導電動機の主巻線および補助巻線のインピーダンスを少なくとも70%以下とする必要があることが分かった。
モータについては、主巻線、補助巻線の仕様を同一とするだけで良い為、試作の難易度も低い。また、モータ巻線のインダクタは、鉄芯にコイル状に導線を巻き込むことによりインダクタンスLを得ている。その為、インダクタンスLは巻線のターン数に依存する。モータ巻線の抵抗成分Rは、線材の抵抗に依存しているため、線径を太くする変更によって調整可能であるが、線径を太くしたことでコイルの外径が大きくなってしまうため、モータ自体の大型化を招いてしまう場合がある。一般家庭用の壁掛け式の空気調和機の室内機の場合、取り付け箇所に制約があることから、製品の外形サイズが決まっており、モータの外形が大きくなってしまった場合、熱交換器等の他部品を小さくすることが望ましい。しかし、熱交換器を小さくしてしまった場合、熱交換効率が低下してしまう等の弊害が出てしまう。
モータ巻線への通電によって発生する磁界は、モータ巻線のターン数、芯材の透磁率によって決まるため、モータ巻線の巻き数を減らし、インダクタを下げた場合であっても、芯材の積厚を増やす事で出力トルクが落ちるのを抑えることも可能である。しかしながら、積厚を大きくする場合、巻線線径を大きいものに変更する場合に比べて、モータの外形が極端に大きくなるため、段落0045に述べた弊害が生じる可能性がある。そのため、可能な限り小型にできる構成とする方が有利であることから、積厚の変更によるトルクアップより、巻線の変更によるトルクアップの方が有利である。
ここで、図10〜図13に示す電流波形図を参照し、二種類のモータ(サンプル1,サンプル2)について検証を行った結果を説明する。サンプル1の二相誘導電動機は、比較例であり、進相用コンデンサにより駆動する方式で、単相AC230Vの入力にて目標回転速度を達成可能であった二相誘導電動機である。また、サンプル2の二相誘導電動機は、本実施形態に適用されるモータ10であり、3相のインバータ20によって駆動する方式で、電源単相AC230Vの入力にて、目標回転速度を達成可能であった二相誘導電動機である。検証では、実機組み込み状態で負荷2.2N・mにて1200rpmで安定して動作することを目標とする。
図10は、サンプル1の二相誘導電動機(進相用コンデンサ用)を、進相用コンデンサを用いて駆動した場合の各巻線の電流波形を示す。
この場合の同期速度は1500rpm、実回転速度は1295.4rpm、滑り量は0.136、主巻線電流振幅は0.8A、補助巻線電流振幅は0.62A、モータ温度上昇(ケース部分)は62.7℃であった。この例では、実回転速度は目標値(1200rpm)に達している。温度上昇も許容範囲内であった。
また、図11は、サンプル1の二相誘導電動機(進相用コンデンサ用)を3相のインバータ20によって駆動した場合の各巻線の電流波形を示す。
この場合の同期速度は1364rpm、実回転速度は1095rpm、滑り量は0.197、主巻線電流振幅は0.8A、補助巻線電流振幅は0.55A、モータ温度上昇(ケース部分)は26℃であった。図11の例では、モータ出力が不足しており、実回転速度(1095rpm)が目標値(1200rpm)に達していない。
また、図12は、サンプル2の二相誘導電動機(インバータ用)を3相のインバータ20によって駆動した場合の各巻線の電流波形を示す。
この場合の同期速度は1395rpm、実回転速度は1234.56rpm、滑り量は0.115、主巻線電流振幅は0.8A、補助巻線電流振幅は0.8A、モータ温度上昇(ケース部分)は47℃であった。図12の例では、実回転速度が目標値(1200rpm)に達しており、温度上昇も許容範囲内であった。
また、図13は、サンプル2の二相誘導電動機(インバータ用)を、進相用コンデンサを用いて駆動した場合の、各巻線の電流波形を示す。
この場合の同期速度は1500rpm、実回転速度は1371rpm、滑り量は0.086、主巻線電流振幅は1.2A、補助巻線電流振幅は1.2Aである。但し、モータ温度が100℃以上まで上昇し、温度保護が作動した。図13の例では、回転速度の目標値(1200rpm)は達しているが、発熱が激しく、安定して動作できているとは言い難い。
以上の検討結果より、一般に二相誘導電動機を駆動する方式である進相用コンデンサを使用する場合と、インバータにより二相誘導電動機を駆動する場合で、同等の出力を得るために必要となる主巻線および補助巻線の仕様が異なる事が分かる。これは、後述する通り、商用電源を直接入力する場合と比較し、印加電圧の実効値が低くなってしまう為である。
また、以上の検討結果より、二相誘導電動機を進相用コンデンサによって駆動する場合に享受できる出力トルクを、同一電源で使用するインバータ駆動により享受する為には、使用する二相誘導電動機の主巻線および補助巻線のインピーダンスを、進相用コンデンサで駆動される場合の二相誘導電動機のそれぞれ下記の値となるよう調整することが有効である事が実証された。
インダクタンスL: 主巻線で約70%以下、補助巻線で約50%以下
抵抗値R : 主巻線で約85%以下、補助巻線で約60%以下
インピーダンスZ: 主巻線約50%以下、補助巻線で約35%以下
先述の通り、補助巻線は主巻線の仕様と合わせることとなるため、主巻線の結果を基に考察を加える。なお、誘導電動機の巻線のインピーダンスは、巻線の線径および巻線のターン数、積厚によって決まるため、インダクタンスが同一で抵抗値が異なる誘導電動機等、任意にインピーダンスを調整可能である。しかしながら現実的には、積厚の変更は、誘導電動機の形状に大きくかかわるため、極端な変更はできない。これは、本電動誘導機が壁掛け式の空気調和機に用いられるためである。
今日、空気調和機の外形サイズは一般的な家庭の壁への取り付けスペースが限られる関係上、極端に大きくすることができない。そのため、インバータ駆動方式でコンデンサ進相方式と同等となるよう、トルクの不足分を積圧の変更だけで対応することは現実的に不可能である。また、積厚の変更によるトルクアップは、20%程度である。これを加味すると、二相誘導電動機を進相用コンデンサによって駆動する場合に享受できる出力トルクを、同一電源で使用するインバータ駆動により享受する為には、モータ積厚によるトルクアップ20%を加味した場合であっても、巻線のインピーダンスを70%以下とする必要があることが以上の検討結果から導き出せる。
また同様に、二相誘導電動機をインバータ駆動する場合に享受できる出力トルクを、同一電源で使用する進相用コンデンサによる駆動により享受する為には、使用する二相誘導電動機の主巻線および補助巻線のインピーダンスを、インバータにより駆動される場合の二相誘導電動機のそれぞれ下記の値となるよう調整することが有効であることが実証された。
インダクタンスL : 主巻線で約150%以上、補助巻線で約200%以上
抵抗値R : 主巻線で約120%以上、補助巻線で約180%以上
インピーダンスZ : 主巻線約210%以上、補助巻線で約300%以上
上記では、インバータから正弦波出力をされる場合について記載しているが、実機にて温度上昇や高周波のノイズ等問題ない場合であれば、一般に公知の技術である、過変調により入力電圧のピーク値を増大させる制御を追加しても良い。
<適用例>
(適用例1)
次に、本実施形態のモータ駆動装置A1を、様々な機器に適用した例を説明する。
まず、電源電圧AC200Vで使用する空気調和機の室内機の送風用のファンに本実施形態に掛かる二相誘導電動機が適用される場合を示す。
製品仕様上必要となる空気調和機の室内機の最大風量から、二相誘導電動機の必要回転速度が1500rpmであり、このとき必要となる二相誘導電動機の出力トルクが2.2N・mであったとする。
通常の進相用コンデンサで駆動する方式であれば、既知の通り極数を変更することで、同期速度を段階的に変更することが可能である。例えば、電源周波数が50Hzの場合、同期速度は、3000rpm、1500rpm、750rpmのように段階的に変更することができる。今回の目標回転速度は1500rpmであるが、誘導電動機は負荷による滑りが発生するため、同期速度1500rpmで駆動しても滑りにより1500rpmには到達しない。また、同期速度が3000rpmとなる2極の誘導電動機を使用した場合を検討する。この場合、実機において1500rpmで動作するよう動作点を調整した場合、滑り量が0.5になるので、効率悪化による発熱等の問題が起こる。さらに電源周波数が60Hzの環境で使用された場合、回転速度の設計が変わってしまうという問題がある。以上の検討結果により、安定した出力を得るために、二相誘導電動機をインバータ駆動する方式を採用すると、高い効率を実現できる。
その際、インバータ出力による二相誘導電動機の巻線への出力電圧は、AC200×√2/2 = AC141.42[V]である。また、整流回路およびインバータ回路における損失が10%であったとすると、これを補完するため141.42[V]×0.1=14.142[v]を減算し、AC127.278V以上の入力により、負荷トルク2.2N・m、回転速度1500rpmの出力が可能なモータを適用し、本実施形態が適用されるインバータへ接続する。
このとき、負荷トルク2.2N・mで回転速度1500rpmが本空気調和機に搭載されているインバータでの最大出力時に二相誘導電動機が出力できる最大出力に略等しい。そのため、安価な二相誘導電動機を使用して、回転速度を任意に変更できる構成を実現できるだけでなく、必要以上に出力の大きい誘導電動機や必要以上に効率の良いインバータ等を適用することによる価格の上昇等も抑える構成が可能である。
(適用例2)
次に、電源電圧AC200V、50Hzで使用する空気調和機室外機の送風ファンに使用されている進相用コンデンサ方式で駆動される二相誘導電動機を、インバータおよびこれによって駆動される二相誘導電動機に置き換える場合の例を示す。
進相用コンデンサ方式で駆動している二相誘導電動機の回転速度は、900rpmで、この時の負荷が3.5N・mであるとする。そのため、インバータによって駆動される二相誘導電動機の必要出力は、必要最大回転速度900rpm、3.5N・mの最大出力トルクとする。
このとき、前述の通り、進相用コンデンサ方式で用いられる二相誘導電動機は、主巻線より補助巻線のインピーダンスが高くなっているため、インバータ駆動に用いる二相誘導電動機は、主巻線および補助巻線のインピーダンスを略同一となるように設定する。
尚、本例ではモータ積厚の変更は行わない場合について示す。また、平滑回路およびインバータ回路における損失は十分に小さいとする。前述の通り、インバータによって二相誘導電動機を駆動する場合、二相誘導電動機に入力される電圧は、進相コンデンサによって駆動する場合の√2/2である。入力インピーダンスが同一のばあい、オームの法則より、巻線電流も√2/2倍となってしまう。
前述の通り、インダクタLおよびRが同一である場合、モータ磁極の起磁力は電流値に依存する。そのため、インバータ駆動とした場合に同一の出力を得る為には、同等の電流の入力が得られるように巻線インピーダンスを調整する必要がある。そこで、インバータによって駆動される二相誘導電動機の主巻線および補助巻線のインピーダンスをオームの法則より、√2/2倍とすることで、同等の入力電流が得られることが分かる。そこでインバータによって駆動される二相誘導電動機の巻線の線形を太くすることで導通抵抗を低減し、主巻線および補助巻線のインピーダンスが、√2/2倍に調整し、適用する。これにより、インバータ駆動とした場合であっても、進相用コンデンサ方式で二相誘導電動機を使用した場合の最大出力と同等のインバータ駆動方式の二相誘導電動機を有する空気調和機を実現できる。
(適用例3)
次に、進相用コンデンサおよび二相誘導電動機による構成を、インバータ回路および二相誘導電動機に置き換えるにあたり、誘導電動機の積厚も併せて変更する場合を検討する。そこで、上記適用例2と同じ条件にて、誘導電動機の積圧も併せて変更する場合の例を検討する。
進相用コンデンサ方式で駆動している二相誘導電動機の回転速度は、900rpmで、この時の負荷が3.5N・mであるとする。そのため、インバータによって駆動される二相誘導電動機の必要出力は、必要最大回転速度900rpm、3.5N・mの最大出力トルクとする。
進相用コンデンサで使用している誘導電動機から、インバータ回路で駆動する二相誘導電動機の積厚を増す。この変更による出力トルクが15%見込める場合について考える。
インバータで駆動するため、同様にインバータ駆動に用いる二相誘導電動機は、主巻線および補助巻線のインピーダンスを略同一となるように設定する。同様に、インバータによって二相誘導電動機を駆動する場合、二相誘導電動機に入力される電圧は、進相コンデンサによって駆動する場合の√2/2である。入力インピーダンスが同一のばあい、オームの法則より、巻線電流も√2/2倍となってしまう。
前述の通り、インダクタLおよびRが同一である場合、モータ磁極の起磁力は電流値に依存する。そのため、上記例2ではインバータ駆動とした場合にコンデンサ進相方式で駆動する場合と同一の出力を得る為に、同等の電流の入力が得られるように巻線インピーダンスを調整しているが、本例では積圧の変更により出力トルクが15%増大しているため、これを加味し、電流値の調整は、下記式より、0.601倍とすれば良い。√2/2 × 0.85 =0.601
つまり、インバータ駆動の場合に用いる二相誘導電動機の巻線はオームの法則より、進相用コンデンサ駆動方式の場合の二相誘導電動機のインピーダンスを0.601倍となるよう設定するとよい。
(適用例4)
さらに、上記適用例1で示した構成にて、滑りリミッタを使用して動作させる場合の例を検討する。
適用例1の通り、目標値に対し、インバータ駆動方式で二相誘導電動機を動作させる場合、適用したインバータおよび二相誘導電動機が上記定格条件でのインバータ入力の同期速度および実回転速度から滑り量を確認しておく。
先述の通り、本実施形態に掛かる二相誘導電動機は、回転速度に応じて出力を行う、例えばホールセンサ等が内蔵されており、制御マイコンにて実回転速度を確認することが可能である。この時、制御マイコンのソフト上で滑り量のリミッタを追加する場合、定格負荷で動作している状態での滑り値および、動作時の負荷変動を確認し、リミッタ値を設定する。
実際の動作時、先述の通り目標回転速度より低い同期速度の駆動電流をモータへ印加する。誘導電動機は停止しているので、電流印加時点ではすべりが1であるが、始動時は滑り量のリミッタはかからない。誘導電動機の始動時の制御については、各種方法があるため、任意に設定する。実回転速度を確認しつつ、実回転速度が目標回転速度に達する、又は滑り量がリミッタ値に達するまで同期速度を上げていく。誘導電動機の加速中に滑り量がリミッタ値に達した場合、または実回転速度が目標回転速度に達した後、負荷の変動等により回転速度が落ち、滑りがリミッタ値に達した場合、滑り量がリミッタ値を超えない様、入力される同期速度を滑り量に合わせて落とすことで、滑り量がリミッタ値を超えない状態で安定して動作させる。
空気調和機に使用される誘導電動機の定格出力、つまり最高回転速度及びこのときの出力トルクの考え方について明らかにしておく。負荷が接続された誘導電動機では、既知の通り、負荷の重さに応じて入力の同期速度に対し滑りが発生するため、最高回転速度は負荷によって決まる。本実施形態に掛かる二相誘導電動機は、空気調和機室内機の送風用ファンに適用されているため、所定の回転速度で回転しているときの送風ファンの負荷トルクは、二相誘導電動機の出力トルクと同意である。空気調和機で使用される環流ファンは、図6のTLに示すような負荷トルクとなる。尚、本実施形態では、送風ファンとして環流ファンを使用した場合を取り上げて示しているが、本実施形態に掛かる二相誘導電動機が接続される負荷に応じて最高回転速度および出力トルクが得られるだけであるので、二相誘導電動機の負荷としてプロペラファンや、圧縮機駆動用の誘導電動機など、あらゆる負荷に対応可能である。
本実施形態で示す、空気調和機の室内機の還流ファンに接続された二相誘導電動機の最高回転速度を実測する際は、当該二相誘導電動機が適用される空気調和機に搭載し、実際に空調を行う条件、つまり風向板の位置や空気の吸い込み口の負荷や吹き出し口の負荷等、実際の製品上で使用される条件で誘導電動機を任意の駆動方法で動作させる。これにより、任意の駆動方法で誘導電動機を駆動した場合の最高回転速度および出力トルクを明らかにすることが可能である。
尚、ここで言う任意の駆動方法とは、電圧や周波数を任意に設定できる電圧源や電流源を用いる方法であってもよく、出力を監視しつつ位相制御などの制御が可能なインバータを用いる方法であってもよく、測定の意図に合ったものを使用するとよい。
本実施形態では例えば、電源として商用電源のAC200Vを使用する空気調和機の場合を考える。このときモータの主巻線へ200×√2÷2である、141.4Vの交流電源を用意する。この時、141.4Vの電源は、スライダックからの出力や、インバータ電源など、各種電源を用いる。このAC141.4Vの電源をを主巻線へ接続し、位相を90℃変更するためにこのAC141.4Vの電源からキャパシタを介して補助巻線へ接続して誘導電動機を回転させる。尚、このときの回転方向は、空気調和機が通常の運転時に送風を行う方向となるようにする。この状態で、空気調和機の運転状態となるよう、風向板及び設置場所を設定し、誘導電動機最高回転速度及びこの時の負荷トルクから、誘導電動機の出力トルクを測定する。また、このAC141.4Vの交流電源は、周波数を任意に変更し、誘導電動機の回転速度が最も高くなる点を探す。このときの回転速度を最高回転速度および定格出力トルクとして置く。
<実施形態の効果>
以上のように、本実施形態における二相誘導電動機(10)は、
主巻線(12)と、補助巻線(14)とを有し、
商用交流電源(30)の交流電圧を整流する整流回路(26)と、前記整流回路(26)から出力される直流電圧(Edc)をスイッチングし、それぞれ位相の異なる第1の電圧(VU)と第2の電圧(VV)と第3の電圧(VW)とを出力する誘導電動機駆動回路(20)と、駆動対象となる送風ファン(40,103)と、を備える空気調和機に適用され、
最高回転速度が現れるときの出力トルクを定格出力トルクとしたとき、前記主巻線(12)および前記補助巻線(14)に対して前記商用交流電源(30)が出力する前記交流電圧の√2/2倍以下の電圧が印加された状態で前記最高回転速度および前記定格出力トルクが得られるように、前記主巻線(12)および前記補助巻線(14)のインピーダンス値が設定されている
ことを特徴とする。
また、前記最高回転速度は、
前記商用交流電源(30)の実効値の√2/2倍の実効値を有する主巻線印加電圧(VU-V)を前記主巻線に印加し、前記主巻線印加電圧(VU-V)に対して所定の進み位相の補助巻線印加電圧(VW-V)を前記補助巻線に印加し、前記二相誘導電動機に結合された前記送風ファン(40,103)から送風を行う場合において、前記主巻線印加電圧(VU-V)および前記補助巻線印加電圧(VW-V)の周波数を可変した際に得られる回転速度のうち最も高い回転速度である
ことを特徴とする。
また、二相誘導電動機(10)は、
前記主巻線(12)のインピーダンスおよび前記補助巻線(14)のインピーダンスのうち、高い側のインピーダンスが低い側のインピーダンスの1.25倍以下である
ことを特徴とし、より望ましくは
前記主巻線(12)のインピーダンスおよび前記補助巻線(14)のインピーダンスは、略同一である
ことを特徴とする。
これらより、インバータ(20)による駆動に適した二相誘導電動機が実現できる。
また、本実施形態の空気調和機は、
二相誘導電動機(10)を有し、
前記誘導電動機駆動回路(20)は、三相出力が可能なインバータを有し、
前記第1の電圧(VU)は前記主巻線(12)の一端に印加され、
前記第3の電圧(VW)は前記補助巻線(14)の一端に印加され、
前記第2の電圧(VV)は前記主巻線(12)の他端と前記補助巻線(14)の他端とに印加され、
前記第2の電圧(VV)は、前記第1の電圧(VU)よりも第1の周期だけ遅れ、前記第3の電圧(VW)は、前記第2の電圧(VV)よりも第2の周期だけ遅れる
ことを特徴とする。
また、本実施形態の空気調和機は、
商用交流電源(30)の交流電圧を整流し直流電圧(Edc)を出力する整流回路(26)と、
前記直流電圧(Edc)をスイッチングし、第1の電圧(VU)と第2の電圧(VV)と第3の電圧(VW)とを出力するインバータ(20)と、
主巻線(12)と補助巻線(14)とを有する二相誘導電動機(10)と、
前記二相誘導電動機(10)に結合された送風ファン(40,103)と、
を備え、
前記第1の電圧(VU)は前記主巻線(12)の一端に印加され、
前記第3の電圧(VW)は前記補助巻線(14)の一端に印加され、
前記第2の電圧(VV)は前記主巻線(12)の他端と前記補助巻線(14)の他端とに印加され、
前記第2の電圧(VV)は、前記第1の電圧(VU)よりも第1の周期だけ遅れ、前記第3の電圧(VW)は、前記第2の電圧(VV)よりも第2の周期だけ遅れ、
前記補助巻線(14)に流れる電流の実効値は、前記主巻線(12)に流れる電流の実効値と略同一である
ことを特徴とする。
これらの特徴により、空気調和機を高効率で運転することができる。
また、本実施形態の空気調和機は、
前記インバータ(20)を制御する制御回路(24)と、
前記二相誘導電動機(10)の実回転速度(N)を測定する回転速度センサ(16)と、を備え、
前記制御回路(24)は、前記実回転速度(N)に応じて前記二相誘導電動機(10)の同期速度(NS)を増減させる
ことを特徴とする。
これにより、実回転速度(N)に応じた制御を実現できる。
また、前記インバータ(20)は、過変調制御により、前記商用交流電源(30)が出力する前記交流電圧のピーク値の√2/2倍以上のピーク値の電圧を出力することを特徴とする。
これにより、必要に応じて、二相誘導電動機(10)を高速に運転することができる。
また、前記第1の周期および前記第2の周期は略「1/4」周期である
ことを特徴とする。
これにより、空気調和機を一層高効率に運転することができる。
また、前記インバータ(20)は、15kHz以上のスイッチングを行う
ことを特徴とする。
これにより、耳障りな雑音を低減できる。
また、前記制御回路(24)は、前記実回転速度(N)と前記同期速度(NS)とに基づいて前記二相誘導電動機(10)の滑り量(s)を算出する滑り量算出部(54)と、
前記滑り量(s)が所定値(smax)以上である場合に前記同期速度(NS)を低下させる同期速度設定部(56)と、
を有することを特徴とする。
これにより、滑り量sが大きくなると、同期速度NSを低下させ、損失および発熱を抑制できる。
また、前記制御回路(24)は、前記二相誘導電動機(10)の目標同期速度(NX)を設定する目標速度設定部(58)を有し、
前記同期速度設定部(56)は、前記二相誘導電動機(10)の始動時において前記目標同期速度(NX)よりも低くなるように前記同期速度(NS)を設定する機能と、前記同期速度(NS)が前記目標同期速度(NX)に達し、または前記滑り量(s)が前記所定値(smax)以上になるまで、前記同期速度(NS)を増加させる機能と、を有する
ことを特徴とする。
これにより、始動時における損失や発熱を低減することができる。
また、前記二相誘導電動機(10)は、前記実回転速度(N)が零値から前記同期速度(NS)に至る途中のトルクピーク回転速度(Np)においてモータトルク(TM)にピークが現れるトルク特性を有し、前記所定値(smax)は、前記トルクピーク回転速度(Np)における滑り量(s)以上の値である
ことを特徴とする。
これにより、モータ10をなるべく安定領域で動作させることができ、モータ10の損失や発熱を抑制しつつ、モータ10を継続して駆動し続けることができる。
[第2実施形態]
次に、図14に示すブロック図を参照し、本発明の第2実施形態による空気調和機の要部であるモータ駆動装置A2の構成を説明する。
本実施形態のモータ駆動装置A2は、第1実施形態のモータ駆動装置A1(図1参照)と比較すると、整流回路26の出力端子には、1個の平滑コンデンサ28に代えて、直列接続された2個の平滑コンデンサ28a,28bが接続されている。平滑コンデンサ28a,28bの接続点の電圧は、そのままV相電圧VVとしてモータ10に印加される。
また、本実施形態では、第1実施形態におけるインバータ20に代えて、インバータ21が適用される。インバータ21は、U相,W相の電圧VU,VWを出力するために、スイッチング素子22a,22b,22e,22fを有しているが、V相に対応するスイッチング素子は有していない。上述した以外のモータ駆動装置A2の構成は、第1実施形態のモータ駆動装置A1のものと同様である。本実施形態における電圧VU,VV,VWおよび線間電圧VU-V,VW-Vの波形を図15(a)〜(e)に示す。図示のように、本実施形態においては、U相電圧VUに対してW相電圧VWの位相は90°進んでいる。
本実施形態のモータ駆動装置A2によれば、線間電圧VU-V,VW-Vの振幅は第1実施形態のモータ駆動装置A1よりも小さくなる。しかし、インバータ21内に設けるスイッチング素子22の数(4個)を、第1実施形態のインバータ20における数(6個)よりも少なくすることができるという効果があり、所要のモータトルクが小さい場合に特に有利である。
[第3実施形態]
次に、図16を参照し、本発明の第3実施形態による空気調和機Aの構成を説明する。なお、図16は、本実施形態に係る空気調和機Aの正面図である。
本実施形態は、上述した第1,第2実施形態におけるモータ駆動装置A1,A2を空気調和機Aに適用した例である。
図16に示すように、空気調和機Aは、室内機100と、室外機200と、リモコンReと、を備えている。室内機100と室外機200とは冷媒配管(図示せず)で接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機100が設置されている室内を空調する。また、室内機100と室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信するようになっている。
リモコンReはユーザによって操作され、室内機100のリモコン送受信部Qに対して赤外線信号を送信する。当該信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマー、運転モードの変更、停止要求等の指令である。空気調和機Aは、これらの信号に基づいて、冷房モード、暖房モード、除湿モード等の空調運転を行う。また、室内機100のリモコン送受信部Qから、室温情報、湿度情報、電気代情報等のデータをリモコンReへ送信する。
図17は、室内機100の側断面図である。筐体ベース101は、熱交換器102、送風ファン103、フィルタ108等の内部構造体を収容している。
熱交換器102は複数本の伝熱管102aを有し、送風ファン103により室内機100内に取り込まれた空気を、伝熱管102aを通流する冷媒と熱交換させ、前記空気を加熱又は冷却するように構成されている。なお、伝熱管102aは、前記した冷媒配管(図示せず)に連通し、周知の冷媒サイクル(図示せず)の一部を構成している。
左右風向板104は、室内機マイコン(図示せず)からの指示に従い、下部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして左右風向板用モータ(図示せず)により回動される。
上下風向板105は、室内機マイコンからの指示に従い、両端部に設けた回動軸(図示せず)を支点にして上下風向板用モータ(図示せず)により回動される。
前面パネル106は、室内機100の前面を覆うように設置されており、下端を軸として前面パネル用モータ(図示せず)により回動可能な構成となっている。ちなみに、前面パネル106を、下端に固定されるものとして構成してもよい。
図17に示す送風ファン103が回転する事によって、空気吸込み口107およびフィルタ108を介して室内空気を取り込み、熱交換器102で熱交換された空気が吹出し風路109aに導かれる。さらに、吹出し風路109aに導かれた空気は、左右風向板104および上下風向板105によって風向きを調整され、空気吹出し口109bから外部に送り出されて室内を空調する。
なお、図16、図17に示す空気調和機100の構成は、あくまで本実施形態に係る一例であり、あらゆる空気調和機の形態についても適用可能出る事は、言うまでもない。
図18は、制御部140を含む、空気調和機Aの要部の構成を示すブロック図である。
制御部140は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等含んで構成される。記憶手段150は各種情報を記憶する。そして、ROMに記憶されたプログラムが制御部140の演算処理部145内のCPU(Central Processing Unit)によって読み出されて、RAMに展開され、実行される。センサ170は室内外の温度等を測定する。
負荷160は、例えば、室内機100が備える室内用の送風ファンモータ161、室外機200が備える圧縮機モータ162、上下風向板105に設置される風向板用モータ163(上述した上下風向板用モータおよび左右風向板用モータ)を含んでいる。これらの負荷160は、制御部130の駆動制御部146から入力される駆動信号に従って駆動する。
この駆動制御部146および負荷160が、上述した第1,第2実施形態におけるモータ駆動装置A1,A2に対応する。従って、本実施形態によれば、発熱等を抑制しつつ高効率で負荷160を駆動することができる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記第1,第2実施形態においては、制御回路24は目標速度設定部58を含んでいた。しかし、目標速度設定部58を別体の上位装置(図示せず)に含ませてもよい。これにより、制御回路24は、外部から受信した目標同期速度NXに応じてモータ10を駆動する装置となり、汎用集積回路によって実現しやすくなる。
(2)上記各実施形態においては、モータ10として二相誘導電動機を適用した例を説明したが、モータ10として三相誘導電動機等、他の誘導電動機を使用してもよい。また、モータ駆動装置A1,A2の回路構成は例示であり、整流回路26、インバータ20,21を他の構成に置き換えてもよいことは言うまでもない。
(3)上記各実施形態においては、滑り量sの算出を行うため、ホールセンサ等の回転速度センサ16を用いてモータ10の実回転速度Nを検出した。しかし、誘導電動機の回転速度を検出する方法には様々なものが知られており、どのような方法で実回転速度Nを検出してもよい。また、モータ10の内部にホールセンサ等の回転速度センサ16を内蔵することを限定するものではなく、モータ10の外部に回転速度センサ16を設けてもよい。
(4)上記第1,第2実施形態における制御回路24のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、図7に示したフローチャートに係るプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
(5)図7に示した処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(field-programmable gate array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
(6)また、第1,第2実施形態のモータ駆動装置A1,A2は、第3実施形態の空気調和機Aのみならず、換気扇、冷凍機、洗濯機、掃除機、工業機械、電気自動車、鉄道車両、船舶、エレベータ、エスカレータ等、種々の電気機器に適用することができる。これにより、これらの電気機器においては、その用途に応じて優れた性能を発揮できる。
10 二相誘導電動機(モータ、誘導電動機)
12 主巻線
14 補助巻線
16 回転速度センサ
20,21 インバータ
24 制御回路(コンピュータ)
26 整流回路
54 滑り量算出部
56 同期速度設定部
58 目標速度設定部
A 空気調和機
A1,A2 モータ駆動装置
Edc 直流電圧
N,N1,N2,N3 実回転速度
S 同期速度
X 目標同期速度
p トルクピーク回転速度
s 滑り量
max 所定値
L,TL1,TL2 負荷トルク
M,TM1,TM2,TM3 モータトルク
U-V 線間電圧(主巻線印加電圧)
W-V 線間電圧(補助巻線印加電圧)
U 電圧(第1の電圧)
V 電圧(第2の電圧)
W 電圧(第3の電圧)

Claims (15)

  1. 主巻線と、補助巻線とを有し、
    商用交流電源の交流電圧を整流する整流回路と、前記整流回路から出力される直流電圧をスイッチングし、それぞれ位相の異なる第1の電圧と第2の電圧と第3の電圧とを出力する誘導電動機駆動回路と、駆動対象となる送風ファンと、を備える空気調和機に適用され、
    最高回転速度が現れるときの出力トルクを定格出力トルクとしたとき、前記主巻線および前記補助巻線に対して前記商用交流電源が出力する前記交流電圧の√2/2倍以下の電圧が印加された状態で前記最高回転速度および前記定格出力トルクが得られるように、前記主巻線および前記補助巻線のインピーダンス値が設定されている
    ことを特徴とする二相誘導電動機。
  2. 前記最高回転速度は、
    前記商用交流電源の実効値の√2/2倍の実効値を有する主巻線印加電圧を前記主巻線に印加し、前記主巻線印加電圧に対して所定の進み位相の補助巻線印加電圧を前記補助巻線に印加し、前記二相誘導電動機に結合された前記送風ファンから送風を行う場合において、前記主巻線印加電圧および前記補助巻線印加電圧の周波数を可変した際に得られる回転速度のうち最も高い回転速度である
    ことを特徴とする請求項1に記載の二相誘導電動機。
  3. 前記主巻線のインピーダンスおよび前記補助巻線のインピーダンスのうち、高い側のインピーダンスが低い側のインピーダンスの1.25倍 以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の二相誘導電動機
  4. 前記主巻線のインピーダンスおよび前記補助巻線のインピーダンスは、略同一である
    ことを特徴とする請求項3に記載の二相誘導電動機。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載の二相誘導電動機を有し、
    前記誘導電動機駆動回路は、三相出力が可能なインバータを有し、
    前記第1の電圧は前記主巻線の一端に印加され、
    前記第3の電圧は前記補助巻線の一端に印加され、
    前記第2の電圧は前記主巻線の他端と前記補助巻線の他端とに印加され、
    前記第2の電圧は、前記第1の電圧よりも第1の周期だけ遅れ、前記第3の電圧は、前記第2の電圧よりも第2の周期だけ遅れる
    ことを特徴とする空気調和機。
  6. 商用交流電源の交流電圧を整流し直流電圧を出力する整流回路と、
    前記直流電圧をスイッチングし、第1の電圧と第2の電圧と第3の電圧とを出力するインバータと、
    主巻線と補助巻線とを有する二相誘導電動機と、
    前記二相誘導電動機に結合された送風ファンと、
    を備え、
    前記第1の電圧は前記主巻線の一端に印加され、
    前記第3の電圧は前記補助巻線の一端に印加され、
    前記第2の電圧は前記主巻線の他端と前記補助巻線の他端とに印加され、
    前記第2の電圧は、前記第1の電圧よりも第1の周期だけ遅れ、前記第3の電圧は、前記第2の電圧よりも第2の周期だけ遅れ、
    前記補助巻線に流れる電流の実効値は、前記主巻線に流れる電流の実効値と略同一である
    ことを特徴とする空気調和機。
  7. 前記インバータを制御する制御回路と、
    前記二相誘導電動機の実回転速度を測定する回転速度センサと、を備え、
    前記制御回路は、前記実回転速度に応じて前記二相誘導電動機の同期速度を増減させる
    ことを特徴とする請求項5または6に記載の空気調和機。
  8. 前記制御回路は、前記実回転速度と前記同期速度とに基づいて前記二相誘導電動機の滑り量を算出する滑り量算出部と、
    前記滑り量が所定値以上である場合に前記同期速度を低下させる同期速度設定部と、
    を有することを特徴とする請求項7に記載の空気調和機。
  9. 前記制御回路は、前記二相誘導電動機の目標同期速度を設定する目標速度設定部を有し、
    前記同期速度設定部は、前記二相誘導電動機の始動時において前記目標同期速度よりも低くなるように前記同期速度を設定する機能と、前記同期速度が前記目標同期速度に達し、または前記滑り量が前記所定値以上になるまで、前記同期速度を増加させる機能と、を有する
    ことを特徴とする請求項8に記載の空気調和機。
  10. 前記二相誘導電動機は、前記実回転速度が零値から前記同期速度に至る途中のトルクピーク回転速度においてモータトルクにピークが現れるトルク特性を有し、前記所定値は、前記トルクピーク回転速度における滑り量以上の値である
    ことを特徴とする請求項9に記載の空気調和機。
  11. 実回転速度が零値から同期速度に至る途中のトルクピーク回転速度においてモータトルクにピークが現れるトルク特性を有する誘導電動機の滑り量が、所定値以上であるか否かを判定する機能と、
    前記滑り量が前記所定値未満である場合に前記同期速度を、指定された目標同期速度に近づける機能と、
    前記滑り量が前記所定値以上である場合に前記同期速度を低下させる機能と、
    を有し、前記所定値は、前記トルクピーク回転速度における滑り量以上の値である
    ことを特徴とする請求項5乃至10の何れか一項に記載の空気調和機。
  12. 前記インバータは、過変調制御により、前記商用交流電源が出力する前記交流電圧のピーク値の√2/2倍以上のピーク値の電圧を出力することを特徴とする、
    請求項5乃至11のいずれか一項に記載の空気調和機。
  13. 前記第1の周期および前記第2の周期は略「1/4」周期である
    ことを特徴とする請求項5乃至12のいずれか一項に記載の空気調和機。
  14. 前記インバータは、15kHz以上のスイッチングを行う
    ことを特徴とする請求項5乃至13のいずれか一項に記載の空気調和機。
  15. 実回転速度が零値から同期速度に至る途中のトルクピーク回転速度においてモータトルクにピークが現れるトルク特性を有する誘導電動機を制御するコンピュータに適用されるプログラムであって、前記コンピュータを、
    前記誘導電動機の滑り量が、前記トルクピーク回転速度における滑り量以上の値である、所定値以上であるか否かを判定する手段、
    前記滑り量が前記所定値未満である場合に前記同期速度を指定された目標同期速度に近づける手段、
    前記滑り量が前記所定値以上である場合に前記同期速度を低下させる手段、
    として機能させるためのプログラム。
JP2015231679A 2015-11-27 2015-11-27 二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラム Active JP6530306B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015231679A JP6530306B2 (ja) 2015-11-27 2015-11-27 二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラム
MYPI2016702598A MY178174A (en) 2015-11-27 2016-07-18 Two-phase induction motor, air conditioner with same, and program for same
CN201610596077.9A CN106817065B (zh) 2015-11-27 2016-07-27 二相感应电动机、具备二相感应电动机的空调机

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015231679A JP6530306B2 (ja) 2015-11-27 2015-11-27 二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017099212A JP2017099212A (ja) 2017-06-01
JP6530306B2 true JP6530306B2 (ja) 2019-06-12

Family

ID=58817582

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015231679A Active JP6530306B2 (ja) 2015-11-27 2015-11-27 二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラム

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6530306B2 (ja)
CN (1) CN106817065B (ja)
MY (1) MY178174A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6822430B2 (ja) * 2018-02-19 2021-01-27 株式会社デンソー 極数切替電動機の制御装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR9100477A (pt) * 1991-01-30 1992-09-22 Brasil Compressores Sa Dispositivo de partida para motor a inducao monofasico
JP2002112588A (ja) * 2000-10-02 2002-04-12 Matsushita Refrig Co Ltd 冷凍システムの制御装置
JP3951759B2 (ja) * 2002-03-14 2007-08-01 サンケン電気株式会社 インバータ装置及びその制御方法
JP2005184885A (ja) * 2003-12-16 2005-07-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd モータの駆動制御装置
JP2009261212A (ja) * 2008-03-17 2009-11-05 Toshiba Corp インバータ装置およびインバータシステム
JP5259303B2 (ja) * 2008-08-26 2013-08-07 株式会社東芝 インバータ装置
WO2014115498A1 (ja) * 2013-01-25 2014-07-31 パナソニック株式会社 電力変換装置、電力変換方法、モータシステム

Also Published As

Publication number Publication date
CN106817065A (zh) 2017-06-09
JP2017099212A (ja) 2017-06-01
MY178174A (en) 2020-10-06
CN106817065B (zh) 2019-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10483893B2 (en) Motor driving apparatus and home appliance including the same
JP4615008B2 (ja) 電動機の出力馬力と効率を上げるためのシステムと方法
US8120299B2 (en) Motor controller of air conditioner
US9899945B2 (en) Motor driving apparatus and home appliance including the same
JP4818145B2 (ja) モータ駆動制御装置並びに換気扇、液体用ポンプ、冷媒圧縮機、送風機、空気調和機及び冷蔵庫
JP6689464B2 (ja) 駆動装置、圧縮機、及び空気調和機、並びに永久磁石埋込型電動機の駆動方法
WO2019102611A1 (ja) 空気調和機およびモータ制御装置
US20170047876A1 (en) Motor driving apparatus and home appliance including the same
JP2012135161A (ja) 空気調和機
EP2073373A2 (en) Method for controlling motor of air conditioner
WO2017216959A1 (ja) モータシステム、モータ駆動装置、冷凍サイクル装置および空気調和機
JP6235381B2 (ja) 圧縮機
WO2016006613A1 (ja) モータ制御装置及び冷凍・空調装置
JP4744505B2 (ja) モータ駆動制御装置、モータ駆動制御方法及び座標変換方法、並びに換気扇、液体用ポンプ、送風機、冷媒圧縮機、空気調和機及び冷蔵庫
JP6530306B2 (ja) 二相誘導電動機、二相誘導電動機を備える空気調和機およびプログラム
JP2005265220A (ja) ガスヒートポンプ式空気調和装置
KR20190076669A (ko) 전력변환장치 및 이를 구비하는 공기조화기
KR102010388B1 (ko) 모터 구동장치 및 이를 구비하는 공기조화기
KR20210108251A (ko) 모터 구동 장치 및 이를 구비하는 공기조화기
JP2018107994A (ja) 空気調和機の制御方法、及び空気調和機
KR20190108000A (ko) 전력변환장치 및 이를 구비하는 공기조화기
KR20200007417A (ko) 전력 변환 장치 및 이를 구비하는 홈 어플라이언스
WO2023105570A1 (ja) 電力変換装置、モータ駆動装置及び冷凍サイクル適用機器
WO2023007619A1 (ja) 電力変換装置および空気調和機
KR102080519B1 (ko) 모터 구동장치 및 이를 구비하는 공기조화기

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181031

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20181031

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190227

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190516

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6530306

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150