JP2018107994A - 空気調和機の制御方法、及び空気調和機 - Google Patents

空気調和機の制御方法、及び空気調和機 Download PDF

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Abstract

【課題】負荷条件や環境の変化があっても、その条件、時点における最も適切に低消費電力化を図る空気調和機の制御方法を提供する。【解決手段】空気調和機が、二相誘導電動機13と、二相誘導電動機に駆動電力を供給するインバータ12と、インバータを制御するインバータ制御装置14と、インバータに流れる電流を検知する電流センサと、二相誘導電動機の回転速度を検知する回転速度センサ133と、を備え、空気調和機の試験運転時に、インバータ制御装置が、インバータを制御することによって、二相誘導電動機を所定の回転速度で動作させ、併せて滑り量を変化させ、インバータの電流値が最も小さい時の滑り量を記憶し、空気調和機の実運転時に、インバータ制御装置が、インバータを制御することによって、試験運転時のインバータの電流値が最も小さい時の滑り量近傍の滑り量で二相誘導電動機が動作するように制御する。【選択図】 図1

Description

本発明は、空気調和機の制御方法、及び空気調和機に関する。
産業用機器や家電用機器の負荷の駆動に使用されるモータとしては、永久磁石型電動機や、単相または二相誘導電動機がある。また、前記の機器のモータには、一般的に低コスト、低消費電力が求められる。永久磁石型電動機は、一般に高価であり、特に家電用機器としては、広く普及しにくい。家電用機器の負荷の駆動に使用されるモータとしては、誘導電動機が有望である。
モータに単相誘導電動機を用いたものとしては、特許文献1がある。
特許文献1の要約書の解決手段には、「三相インバータ4を用いて単相誘導電動機5に可変周波数、可変電圧を供給する。この三相インバータ4のスイッチング素子Q11〜Q32を、電動機5の各巻線5a,5bに印加される電圧の位相がずれるように制御することで、単相誘導電動機5を始動できる。」と記載され、単相誘導電動機の速度制御装置に関する技術が開示されている。
また、モータに二相誘導電動機を用いたものとしては、特許文献2がある。
特許文献2の要約書の解決手段には、「インバータ装置1は、インバータ回路3の各相出力端子を誘導電動機4の主巻線4b,補助巻線4a,中性線にそれぞれ接続し、直流電源2より供給される直流電圧を2相の概略正弦波PWM電圧に変換し、電流検出部5により検出される直流電源電流から主巻線4b及び補助巻線4aの電流を検出すると、主巻線4b,補助巻線4aのインダクタンス値及び抵抗値を平衡化し、ベクトル制御演算部6は、ベクトル制御演算により誘導電動機4への2相電圧を決定する。そして、PWM信号形成部5は、前記2相電圧に応じてインバータ回路3を制御するPWM信号を形成する。」と記載され、インバータ装置に関する技術が開示されている。
特開平7−46872号公報 特開2010−57216号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された技術においては、誘導電動機の望ましいとされる動作点が決定されていて、環境の変化に対応していないという課題がある。
誘導電動機(モータ)は、入力電圧の同期速度(入力電圧の周波数)と実際の回転速度は異なり「滑り量」がある。この滑り量は、誘導電動機としてのモータ効率に大きく影響する。モータ温度の上昇の低減や、モータの動作効率を改善して省エネルギーを図るには、効率の良い滑り量の範囲で動作させる必要がある。
効率が良い滑り量の範囲は、使用するモータ、実際のモータ負荷、使用する回転数によって異なる。通常は、実機を使用して実際のモータ負荷と使用する回転数にて効率測定を行い、実際の製品では求めた効率点で動作するように制御を行う。
しかし、実際の使用環境では、負荷条件が変わってしまう場合がある。例えば、モータを備えた空気調和機においては、吸気フィルタへ埃が付着して目詰まりしたり、ファンにゴミが絡まったりすることがある。
また、季節変動や長期の使用で効率点が変化する可能性もある。また、複数のモータにおいて、モータ毎にモータ常数(定数)のバラツキがある。
このような変化、変動、バラツキに対して、前記の特許文献1および特許文献2に開示された技術では、対策が考慮されておらず、低消費電力化が不十分である。
本発明の課題は、負荷条件や環境の変化があっても、その条件、時点における最も適切に低消費電力化を図る空気調和機の制御方法を提供することである。
また、前記空気調和機の制御方法を適用した空気調和機を提供することである。
前記の課題を解決するために、以下のように構成した。
本発明の空気調和機の制御方法は、空気調和機が、二相誘導電動機と、直流電力を可変電圧と可変周波数の交流電力に変換して前記二相誘導電動機に駆動電力を供給するインバータと、該インバータを制御するインバータ制御装置と、前記インバータに流れる電流を検知する電流センサと、前記二相誘導電動機の回転速度を検知する回転速度センサと、を備え、前記空気調和機の試験運転時に、前記インバータ制御装置が、前記インバータを制御することによって、前記二相誘導電動機を所定の回転速度で動作させ、併せて滑り量を変化させ、前記インバータの電流値が最も小さい時の滑り量を記憶し、前記空気調和機の実運転時に、前記インバータ制御装置が、前記インバータを制御することによって、前記試験運転時の前記インバータの電流値が最も小さい時の滑り量近傍の滑り量で前記二相誘導電動機が動作するように制御する、ことを特徴とする。
また、本発明の空気調和機は、前記空気調和機の制御方法を適用したことを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、負荷条件や環境の変化があっても、その条件、時点における最も適切に低消費電力化を図る空気調和機の制御方法を提供できる。
また、前記空気調和機の制御方法を適用した空気調和機を提供できる。
本発明の実施形態に係る空気調和機に備えられた二相誘導電動機と、この二相誘導電動機を駆動、制御する各装置の回路構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る空気調和機の外観の一例を示す図であり、(a)は室内機の外観を示し、(b)は室外機の外観とリモコンを示している。 本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機の構造例の概略を示す図である。 本発明の実施形態に係るインバータの出力電圧波形の一例を示す図であり、(a)はU相、V相,W相のそれぞれの相電圧を示し、(b)はU相、V相,W相の間のそれぞれの線間電圧を示している。 本発明の実施形態に係るモータのトルク特性の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係るモータの同期速度が一定でインバータ出力が異なる場合の特性について、説明する図であり、(a)は同期速度が一定でインバータ出力が異なるときのインバータ出力を示しており、(b)は同期速度が一定でインバータ出力が異なるときのモータトルクと負荷トルクの関係を示している。 本発明の実施形態に係るインバータ出力が一定で、モータの同期速度が異なる場合の特性について、説明する図であり、(a)はインバータ出力が一定で同期速度が異なるときのインバータ出力を示しており、(b)はインバータ出力が一定で、モータの同期速度が異なる場合のモータトルクと負荷トルクの関係の一例を示している。 本発明の実施形態に係るモータのモータ損失とモータの滑り量との関係を示す図である。 本発明の実施形態のモータの試験運転におけるモータ損失によって変化するモータ温度と、滑り量を測定する測定時間との関係の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る空気調和機の試験運転モードで滑り量の効率点を求めるフローチャートの一例である。 本発明の実施形態に係る二相誘導電動機の主巻線と補助巻線と結線の構造の一例を示す図である。 本発明の実施形態に係る送風ファンの回転羽根Fの回転方向によって、送風量と負荷トルクが異なることを示す図であり、(a)は送風ファンが正回転の場合であり、(b)は送風ファンが逆回転の場合である。 本発明の実施形態に係る空気調和機の始動時運転モードでモータの巻線構成の検出のフローチャートの一例である。 本発明の実施形態に係る空気調和機の始動時運転モードで送風ファンの回転方向の検出のフローチャートの一例である。
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
≪実施形態≫
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機に備えられた二相誘導電動機と、この二相誘導電動機を駆動、制御する各装置の回路構成例を示す図である。
<図1における概略の構成>
図1における概略の構成について説明する。二相誘導電動機13は、インバータ(インバータ回路)12に駆動される。インバータ12は、インバータ制御回路(インバータ制御装置)14によって制御される。交流電源20は、整流平滑回路11に交流電圧(電力)を供給する。整流平滑回路11は、交流電圧(電力)を整流、平滑化して直流電圧(電力)を生成し、インバータ12に供給する。
<図1における各回路、装置の詳細な説明>
次に、図1における各回路、装置の詳細な説明を順にする。
《二相誘導電動機13》
二相誘導電動機(適宜、「モータ」とも表記する)13は、主巻線131と補助巻線132を備え、負荷装置(不図示)に結合され、負荷装置を回転駆動する。
二相誘導電動機13は、インバータ12から端子127,128,129を介して、U,V,Wと表記した三本の配線から後記する二相交流電圧(電流、電力)を供給される。
また、主巻線131の一端と補助巻線132の一端とは、互いに接続されている。主巻線131の他端は、端子127に接続されている。補助巻線132の他端は、端子129に接続されている。主巻線131と補助巻線132との接続点は、端子128に接続されている。なお、端子128を「コレクタ端子」と適宜、表記する。
二相誘導電動機13をインバータ12で駆動する場合、主巻線131と補助巻線132とに、それぞれ位相が90度、異なる電流が流れるように端子(U)127,端子(V)128,端子(W)129へ電圧を印加する。
このように、主巻線131と補助巻線132とに二相交流電圧(電流)が供給されると、主巻線131と補助巻線132とによって、回転磁界を発生する。
また、二相誘導電動機13には、回転速度センサ(FG:Fluxgate Sensor)133が備えられている。回転速度センサ133は、モータ13の回転子の回転速度を計測する。なお、回転速度は、「回転数/単位時間」であって、その単位は[rpm]とする。
《整流平滑回路11》
整流平滑回路11は、整流回路111と平滑コンデンサ112とを有して構成されている。
整流回路111は、交流電源(商用電源)20から交流電圧(電力)を入力して、整流する。平滑コンデンサ112は、整流回路111の出力電圧を平滑化し、直流電圧Edcを出力する。
この直流電圧Edcは、インバータ12と、インバータ制御回路14の直流電源15とに供給される。
《インバータ12》
インバータ12は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor-Field-Effect-Transistor)などのスイッチング素子121,122,123,124,125,126を備えて構成されている。なお、スイッチング素子(121〜126)は、それぞれに逆並列に還流用ダイオード(不図示)を有している。
スイッチング素子121とスイッチング素子122とは直列に接続され、整流平滑回路11の生成した直流電圧Edcの両端に配置されることによって、U相の上下アーム(レッグ)を構成している。スイッチング素子121とスイッチング素子122との接続点は、端子127に接続されている。
スイッチング素子123とスイッチング素子124とは直列に接続され、整流平滑回路11の生成した直流電圧Edcの両端に配置されることによって、V相の上下アーム(レッグ)を構成している。スイッチング素子123とスイッチング素子124との接続点は、端子128に接続されている。
スイッチング素子125とスイッチング素子126とは直列に接続され、整流平滑回路11の生成した直流電圧Edcの両端に配置されることによって、W相の上下アーム(レッグ)を構成している。スイッチング素子125とスイッチング素子126との接続点は、端子129に接続されている。
複数のスイッチング素子(121〜126)は、インバータ制御回路14から供給される制御信号GCによって、統括的にそれぞれオン/オフ制御される。
このインバータ制御回路14の制御信号GCによって、インバータ12は、直流電圧EdcをPWM(Pulse Width Modulation)変調する。
インバータ12から出力されるU相,V相,W相の電圧は略正弦波である。これらの電圧を、それぞれV、V,Vと呼称する。これらを総称して適宜、「電圧V」と表記する。なお、U相,V相,W相の出力線の線間の線間電圧は、それぞれVU−V,VV−W,VW−Uと表記する。
また、電圧Vの周波数を「駆動周波数f」と呼ぶ。
インバータ12の端子127,128,129から出力されるU相,V相,W相の出力電圧(電流)によって、二相誘導電動機(モータ)13は、駆動、制御される。
《インバータ制御回路14》
インバータ制御回路(インバータ制御装置)14は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等、一般的なコンピュータとしてのハードウエアを備えており、ROMには、CPUによって実行される制御プログラムや、各種データ等が格納されている。
図1において、インバータ制御回路14の内部は、制御プログラム等によって実現される機能を、ブロックとして示している。
インバータ制御回路14は、目標速度設定部141、同期速度設定部142、滑り量演算部143,ドライバ部144を有して構成されている。
インバータ制御回路14は、直流電源15が生成した電源電圧(電力)を電源として用いている。
また、インバータ制御回路14には、回転速度センサ133からモータ13の回転子の実回転速度Nの信号が信号線133Aによって入力している。また後記する電流検出回路から、主巻線131に流れる電流の電流検出値Ic、補助巻線132に流れる電流の電流検出値Icの信号が入力している。
また、インバータ制御回路14には、後記する電圧検出回路と電流検出回路によって、インバータに入力する電圧Edc,インバータに入力する電流Iの信号が入力している。
目標速度設定部141は、モータ13の同期速度Nの目標値である目標同期速度Nを出力する。
同期速度設定部142は、同期速度Nを目標同期速度Nに近づける、または一致させるように同期速度Nを設定する。
滑り量演算部143は、同期速度Nsと実回転速度Nとに基づいて、モータ13の滑り量S(=(N−N)/N)を算出する。なお、算出した滑り量Sは、同期速度設定部142に入力される。
ドライバ部144は、同期速度設定部142が出力した同期速度Nに基づいて、前記したドライブ信号を生成し、制御信号GCとして、インバータ12のスイッチング素子(121〜126)に供給する。
また、前記したように、インバータ12の出力の電圧Vの周波数を「駆動周波数f」と表記するが、モータ13の極数をpとすると、同期速度Nと駆動周波数fには、「N=120f/p」の関係がある。
すなわち、ドライバ部144は、前記の駆動周波数fを実現するPWM信号をドライブ信号(制御信号GC)として出力する。
《直流電源15》
直流電源15は、前記したように、整流回路111から直流電圧Edcを入力している。
そして、電圧変換や電圧安定化などの処理をして、インバータ制御回路14に直流電力(電圧)を供給している。
《電流検出回路と電圧検出回路》
インバータ12の入力電圧Edcと入力電流Iは、計測点PI1,PI2で計測される。電圧検出器(不図示)によって、計測点PI1,PI2間で入力電圧Edcが検出される。インバータ12の入力電流Iは、電流検出器(不図示)によって、計測点PI1,もしくは計測点PI2のいずれかで検出される。
モータ13の巻線電流を測定する場合は、電流検出器(不図示)によって、計測点Pcと計測点Pcの2ヶ所で巻線電流Ic,Icを測定する。
なお、モータ13の巻線間電圧間の測定を行う場合は、主巻線、補助巻線間の電圧を測定する。
インバータ12の入力電圧Edcと入力電流I、およびモータ13の巻線電流Ic,Icの測定結果(検出結果)は、前記したように、インバータ制御回路14に送られ、入力される。
なお、電流検出の方式はシャント抵抗を測定ラインに挿入し、その両端の電圧差から電流を検出する等、既存の各方式を用いてよい。
また、電圧検出の方式については、電圧を検出することが可能であれば、一般的に用いられるあらゆる電圧検出方式が適用可能である。
また、電源電圧の変動を検出する場合においては、図示した箇所の電圧以外にも、電源電圧の変動の影響を受けるあらゆる箇所の電圧検出結果で代用することも可能である。
<空気調和機A>
空気調和機Aの概要を図2と図3を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る空気調和機Aの外観の一例を示す図であり、(a)は室内機100の外観を示し、(b)は室外機200の外観とリモコン(空調制御端末器)Reを示している。
図2(a)において、室内機100は、前面パネル106とリモコン送受信部Qとを備えている。前面パネル106は、室内機100の内部の機器、部品を保護している。室内機100の内部の機器、部品の概要については、後記する図3で説明する。
また、リモコン送受信部Qは、図2(b)に示すリモコンReと空気調和機Aを操作するための命令やデータの送受信を行う。
また、図2(b)において、室外機200は、室外に設置され、室内機100と配管(不図示)により接続されている。この配管を通じて冷媒を移動させることで熱交換を行う。
なお、リモコンReは、図2(b)に記載されているが、これは表記上の都合により、表記したものであって、一般的には、室内で操作される。前記したように、リモコンReは、室内機100のリモコン送受信部Qと、空気調和機Aを操作するための命令やデータの送受信を行う。空気調和機Aは、リモコンReからの運転信号に従って運転される。
図3は、本発明の実施形態に係る空気調和機Aの室内機100の構造例の概略を示す図である。
図3において、室内機100は、筺体ベース101、室内熱交換器102、伝熱管102a、送風ファン103、左右風向板104、上下風向板105、前面パネル106、空気吸込み口107、フィルタ108、吹出し風路109a、空気吸出し口109bを備えている。
伝熱管102aを有する室内熱交換器102は、室外機200(図2)と熱交換を行う。伝熱管102aに冷媒を通すことにより、室内熱交換器102を加熱、または冷却することで、ここを通過する空気の温度を変える。
また、送風ファン(還流ファン)103、左右風向板104、上下風向板105、空気吸込み口107、フィルタ108、吹出し風路109a、空気吸出し口109bを用いて、室内の空調を行う。なお、送風ファン(還流ファン)103は、室内機100に備えるモータ13(図1)により駆動される。
送風ファン(還流ファン)103が回転することにより、上面側のフィルタ108から空気を室内機100内に取り込み、通風経路は、送風効率がよくなるように、送風ファン(還流ファン)103の周囲をケーシングする。
<インバータ12の出力電圧波形>
図4は、本発明の実施形態に係るインバータ12の出力電圧波形の一例を示す図であり、(a)はU相、V相,W相のそれぞれの相電圧を示し、(b)はU相、V相,W相の間のそれぞれの線間電圧を示している。
図4(a)では、U相、V相,W相の各相電圧V,V,Vのそれぞれの電圧波形(略正弦波)が示されている。なお、横軸は時間、または時間の推移である。
図4(a)において、U相電圧Vに対して、V相電圧Vの位相は90度進み、V相電圧Vに対してW相電圧Vの位相はさらに90度進むようにドライブ信号が設定される。なお、W相電圧Vの位相は、U相電圧Vに対して位相が180度(90度+90度)進んでいるので、反転した波形となっている。
図4(b)では、U−V、W−V,U−W間のそれぞれの線間電圧VU-V,VW−V,VU−Wのそれぞれの電圧波形(略正弦波)が示されている。なお、横軸は時間、または時間の推移である。
また、線間電圧VU-Vが主巻線131に印加される電圧であり、線間電圧VW−Vが補助巻線132に印加される電圧である。
<モータ13のトルク特性>
図5は、本発明の実施形態に係るモータ13のトルク特性の一例を示す図である。
図5において、横軸はモータ13の回転子の1分間あたりの回転数[rpm]を示し、縦軸はトルク[N・m]を示している。なお、前記したように、回転速度は回転数/単位時間であるので、単位時間を1分とすれば、図5の横軸の回転数は回転速度を意味している。以下において、回転数[rpm]を回転速度と同義語として、適宜、表記する。
特性線1001で示すモータトルクTは、誘導電動機であるモータ13においては、図5に示すように、最大のピーク値を有し、その前後で低いトルクを示す形状を有している。なお、負荷が殆ど無くなり、モータトルクTを必要とされなくなる(T≒0)と回転数は上昇し、同期速度(回転数)Nとなる。
また、特性線1002で示す負荷トルクTは、負荷装置(不図示)の負荷トルクTの特性例を示している。
負荷トルクTに対する実回転速度(実回転数)Nは、負荷トルクTの特性(特性線1002)と、モータトルクTの特性(特性線1001)とが交差する点(T=T)の回転速度(回転数)になる。
モータトルクTが最大になる実回転速度Nをトルクピーク回転速度Nと呼ぶ。モータ13の構造や運転状態によっても異なるが、トルクピーク回転速度Nは、滑り量Sが「0.2」の付近の速度になる。なお、図5においては、滑り量Sは図示していない。
実回転速度Nがトルクピーク回転速度Nを超える領域を「安定領域」と呼び、実回転速度Nがトルクピーク回転速度N以下になる領域を「不安定領域」と呼ぶ。
不安定領域においては、負荷トルクTの僅かな変動によって実回転速度Nが大きく変化する。また、滑り量Sが大きくなるため、モータ13の電力損失や温度上昇も大きくなる。
そのため、本発明の実施形態に係るインバータ制御回路14は、不安定領域の動作を回避するように同期速度Nsを制御する。
<トルク曲線>
次に、モータ13の動作を、図6、図7を参照して、トルク曲線を示しながら説明する。
《同期速度が一定でインバータ出力が異なる場合》
図6は、モータ13の同期速度Nが一定でインバータ出力が異なる場合の特性について、説明する図であり、(a)は同期速度Nが一定でインバータ出力が異なるときのインバータ出力を示しており、(b)は同期速度Nが一定でインバータ出力が異なるときのモータトルクTと負荷トルクTの関係を示している。
図6(a)における特性図を示す三つのブロックにおいて、左側のブロック1011Bは、相電圧V,V,Vの出力を相対的に大きくした場合の電圧波形を示している。また、中央のブロック1012Bは、相電圧V,V,Vの出力を相対的に中間とした場合の電圧波形を示している。また、右側のブロック1013Bは、相電圧V,V,Vの出力を相対的に小さくした場合の電圧波形を示している。
ただし、ブロック1011B、ブロック1012B、ブロック1013Bにおいて、相電圧V,V,Vの電圧波形の同期速度Nsは一定である。
図6(b)において、特性線1011,1012,1013は、図6(a)で示したブロック1011B,1012B,1013Bのそれぞれの相電圧V,V,Vの出力におけるモータトルクTを示している。
また、特性線1002は、負荷装置(不図示)の負荷トルクTの特性例を示している。なお、図6(b)において、縦軸はトルク[N・m]であり、横軸は回転速度(回転数/単位時間)に相当する回転数[rpm]である。
負荷トルクTの特性線1002と、モータトルクTの特性線1011,1012,1013のそれぞれの交点において、実回転数(実回転速度)N11,N12,N13としてモータ13が回転する。
なお、図6(a)に示すように、同期速度Nsは一定であるので、滑り量Sが異なることによって、実回転数(実回転速度)がN11,N12,N13の異なる値をとる。
《インバータ出力が一定で同期速度が異なる場合》
図7は、本発明の実施形態に係るインバータ12の出力が一定で、モータ13の同期速度Nが異なる場合の特性について、説明する図であり、(a)はインバータ12の出力が一定で同期速度Nが異なるときのインバータ出力を示しており、(b)はインバータ12の出力が一定で、モータ13の同期速度Nsが異なる場合のモータトルクTと負荷トルクTの関係を示している。
図7(a)における特性図を示す三つのブロックにおいて、左側のブロック1021Bは、相電圧V,V,Vの同期速度Nを相対的に低くした場合の電圧波形を示している。また、中央のブロック1022Bは、相電圧V,V,Vの同期速度Nsを相対的に中間とした場合の電圧波形を示している。また、右側のブロック1023Bは、相電圧V,V,Vの同期速度Nsを相対的に高くした場合の電圧波形を示している。
ただし、ブロック1021B、ブロック1022B、ブロック1023Bにおいて、相電圧V,V,Vの電圧波形の出力(電圧の波高値)は一定である。
図7(b)において、特性線1021,1022,1023は、図7(a)で示したブロック1021B,1022B,1023Bのそれぞれの相電圧V,V,Vの出力におけるモータトルクTを示している。
また、特性線1002は、負荷装置(不図示)の負荷トルクTの特性例を示している。なお、図7(b)において、縦軸はトルク[N・m]であり、横軸は回転速度(回転数/単位時間)に相当する回転数[rpm]である。
負荷トルクTの特性線1002と、モータトルクTの特性線1021,1022,1023のそれぞれの交点において、実回転数(実回転速度)N21,N22,N23としてモータ13が回転する。
<インバータ出力の出力レベル及び周波数の調整>
インバータ出力の出力レベル及び周波数の調整は、ロバスト制御をはじめ、任意の制御方法行い、より短時間で目標値となるよう設計する。
前記したように、インバータ出力電圧レベル(V)、および周波数(同期速度N)を可変できるため、滑り量Sを算出しながらモータ13を駆動することで、任意の滑り量Sとなるよう駆動することが可能である。
ただし、インバータ出力レベル(V)は最大値が決まっている為、モータの回転数Nや、負荷の重さによっては実現できない滑り量もある。
<滑り量Sの効率点>
次に、滑り量Sの効率点について説明する。
図8は、本発明の実施形態に係るモータ13のモータ損失Wとモータの滑り量Sとの関係の一例を示す図である。
図8において、縦軸はモータ損失Wであり、横軸はモータの滑り量Sである。
誘導電動機(モータ)13の滑り量Sは、安定領域内であっても、滑り量Sが大きすぎても小さすぎても損失が増大してしまう。
モータ損失とモータの滑り量Sとの関係は、一般に図8における特性線1101示すようなバスタブ曲線となる。特性線1101の領域1102に示すように、モータ損失が少なくなる領域が広がっており、この領域1102を外れると、滑り量Sが小さくても大きくてもモータ損失が増加する。そのため、滑り量Sを検出し、これが効率の良い点で動作するよう調整しながら動作させる。
ただし、図8に示すように、モータ損失とモータの滑り量Sとの関係を示す特性線1101は、モータ損失Wが最低となる近傍において、滑り量Sの変化によるモータ損失Wの増加は緩やかであるので、最適な滑り量Sには、実用上、許容される範囲がある。例えば滑り量Sの10%程度の変動は、一般的には許容範囲である。
モータ13に流れる電流の検出結果から滑り量Sの効率点を求めることが出来る理由について、次に説明する。
モータ13においては、以下の関係がある。
=EI
=Tn
=ηP
ただし、n:回転数[rpm]、P:モータ仕事量[W]、T:還流ファントルク[N・m]、η:モータ効率、E:モータ入力電圧[V]、I:モータ入力電流[A]、P:モータ入力電力、
とする。
試験運転モードの際、回転数は一定であるので、モータ仕事量Pは固定値となる。電源電圧も大きく変動しないと考え、モータ入力電圧Eは固定値とすると、次の関係が成立する。
=ηP
=ηEI
よって、
η=P/EI
前記のように、モータ仕事量P、モータ入力電圧Eを固定値と置いた場合、モータ入力電流Iは、効率ηに依存する事がわかる。
このことから、試験運転モード時に検出した各滑り量Sごとのモータ入力電流Iの比較から、滑り量Sの効率点を求めることができる。
<空気調和機Aの試験運転>
空気調和機Aにおいて、モータ13を動作させる場合に、はじめは負荷や環境条件が不明であるために、まず試験運転を行い、そのときの負荷や環境条件におけるモータ13の滑り量Sを含めた最適な駆動条件を把握する。そして、次に、試験運転で求められた最適条件のもとに通常の空調の運転(通常運転)を行う。
次に、空調機の試験運転について詳しく説明する。まず、試験運転の手順(フロー)の詳細を説明する前に、試験運転を実施するタイミングや条件について説明する。
《試験運転を実施するタイミング》
試験運転を実施するタイミングは、通常運転になるべく支障が起きないように、適用する製品の仕様に合わせて設定する。例えば、以下の例のようなタイミングで実施する。
〈1〉日付情報を参照し30日置き。
〈2〉運転時間が200時間置き。
〈3〉運転終了時。
〈4〉空調運転中(冷房、暖房、除湿、送風など通常運転時)。
〈5〉使用者(サービスマン)などにより試験運転を行うように指令が入った場合。
以上の〈1〉〜〈5〉の例のタイミングを選択する理由について、次に説明する。
滑り量Sを含めて、効率の悪い点で動作させているとモータの発熱が大きい。長時間の停止時等ではモータ温度が常温となっており、動作直後に急激にモータ温度が変動するため、試験運転で滑り量を変更している間に温度が大きく変動し、測定結果に誤差が生じる可能性がある。
したがって、前記の「〈1〉日付情報を参照し30日置き。」や、「〈2〉運転時間が200時間置き。」に試験運転して、モータが最適条件で動作をしているか否かを定期的にチェックする。
また、図9を参照して後記するように、モータ温度がある程度、高い(サチュレーション温度に近い)方が、時間単位の変動が少なく、測定誤差が低減されるので、前記の「〈3〉運転終了時。」など、モータ温度がある程度高くなっている条件で試験運転を行うのが有利となる。
また、前記の「〈4〉空調運転中(冷房、暖房、除湿、送風など通常運転時)。」において試験運転を行っても、試験運転中は回転数が一定、かつ、試験運転時の温度変化の影響が少ないので、実際には使用者に迷惑が掛からないことが多い。したがって、「〈4〉空調運転中(冷房、暖房、除湿、送風など通常運転時)。」に試験運転を実施する方法もある。
さらに、仮に試験運転時の温度上昇を気にするのであれば、所定の時間を置いて、複数回に分けて動作させてもよい。
また、前記の「〈5〉使用者(サービスマン)などにより試験運転を行う様指令が入った場合。」に試験運転を実施するのがよい場合もある。
空調機のオプションとして、アレルギー物質を吸着可能なフィルタや、防カビ成分を放出できるようなフィルタを空調機のフィルタ部分に付加する場合がある。これらを設置、または排除した場合などに空調機の負荷が変動することとなる。
この場合には、負荷が明らかに変動したタイミングで任意に調整するため、設置したサービスマンや使用者が任意のタイミングで変更できるよう、リモコンReや空気調和機A本体に設置のスイッチで試験運転を行えるよう設定してもよい。
《試験運転を実施する時間や方法》
試験運転時間は短い方が良い。
効率の悪い点で動作させていると、モータ発熱により効率が悪化するため、測定中に正確に効率点を検出するのが難しくなる。そのため、試験運転時間は、極力、短い方が良い。
また、試験運転の効率点が初期値Sから大きく変動していないことが想定される場合、試験運転時の滑り量Sは、すべての範囲を測定する必要はない。
測定する滑り量Sを「初期値S→プラス方向」と「初期値S→マイナス方向」の限定された領域のみを測定し、試験運転時間を短縮する方法もある。
《試験運転のモータの設定された所定の回転数》
前記したように、試験運転が行われるのは、モータの最適動作条件を把握して、モータや周辺回路の温度上昇や消費電力を抑えるためである。
これらの温度上昇や消費電力が問題となるのは、負荷が重い場合、回転数(回転速度)が高い場合である。
また、送風ファン(還流ファン)のトルク負荷は、回転数が多くなるほど高くなる。そのため、試験運転モード時のモータ回転数は、通常の運転時に使用される最高回転数に近いほど有利である。
すなわち、試験運転モード時のモータ回転数を、通常の運転時に使用される最高回転数に近く設定する。なお、「最高回転数に近く」とは、例えば最高回転数(最高回転速度)の90%程度である。
ただし、製品の仕様上、試験運転時に回転数を上げられない場合、低めの回転数で効率点を測定する方法はある。
《その他の試験運転の滑り量の測定に関する補足事項》
〈a〉試験運転時、滑り量を可変していったとき、特定の滑り量のときに所定の回転数(回転速度)に満たなくなる箇所が出てくることが予想される。このとき、回転数が不足しているときは、モータの仕事量(モータ負荷×回転数)が他に比べ不足しているので比較にならないため、データとして不使用とする。
〈b〉モータ損失Wとモータの滑り量Sとの関係は、図8で前記したように、バスタブ曲線となる。そのため、ある滑り量で所定の回転数(回転速度)に達している状態から滑り量を小さくして行き、回転数が不足した時点で滑り量を小さくしていく測定は終了する。
あるいは、所定の滑り量Sで所定の回転数Nに達している状態から滑り量Sを大きくして行き、回転数が不足した時点で測定を終了する。
以上の方法をとることで、試験運転の時間を短縮することが可能となる。
〈c〉負荷が増大している場合、インバータの出力が不足して予め設定された試験運転の回転数(回転速度)に満たない場合がある。
この場合には、試験運転の回転数を下げて測定する。回転数の下げ幅は任意で良い。例えば動作できない場合、−100rpmおきに回転数を下げて測定する。
〈d〉試験運転の回転数(回転速度)で動作する滑り範囲が狭く、効率点の測定が上手くいかない場合に、試験運転の回転数を下げて測定してもよい。
〈e〉試験運転時の電圧変動を検出するための電圧測定は、前記したように、インバータ12の入力で測定する。
ただし、電源電圧の変動が起こっているのか判別できれば良いため、交流電源20の電源入力端で測定してもよい。
〈f〉試験運転動作時のモータ13を駆動するインバータ12のインバータ制御回路14による制御は、滑り量Sに対するモータ13の特性をより正確に検出するため、インバータ制御回路14のPWMによる可変調制御は、通常の運転モードと異なる方式としてもよい。
例えば、試験運転モード時は、可変調を最大1.0倍(=過変調制御無し)として測定することで、より正確に滑りの効率点を検出できる。
〈g〉試験運転時に変動させる滑り量の検出範囲である上限と下限、またはその両方を予め設定しておいてもよい。一般的な誘導電動機の効率の良い動作範囲は、ある程度決まっている。
また、試験運転中に負荷が変動するなどの外的な要因を排除するため、ある程度想定される範囲を設定し、その範囲で試験運転を再度行う。または、一度、初期値で動作し、その後で、再度、試験運転を行ってもよい。
〈h〉二相誘導電動機の滑り量Sの効率点は一般的に0.15〜0.3程度である。そのため、滑り量Sがこの範囲から極端に効率点が外れている場合、誤検出の可能性が高い。
例えば、所定の滑り量Sの範囲を0.1〜0.35程度として、検出範囲を設定しておき、効率点がこの中にないという検出結果が出た場合、誤検出であると判定する。そして、再測定を行う仕様としてもよい。
または、試験運転の際の滑り量Sの範囲を予め絞っておいてもよい。例えば0.05〜0.35程度に動作範囲を絞る。この絞られた動作範囲で測定することにより、測定時間の短縮が可能となる。
《試験運転での滑り量Sの効率点の測定》
前記したように、試験運転で滑り量Sを変更している間にモータ温度Tが大きく変動し、測定結果に誤差が生じる可能性がある。次に、試験運転におけるモータ損失Wによって変化するモータ温度Tと、滑り量Sを測定する測定時間tとの関係について、詳しく説明する。
図9は、本発明の実施形態のモータ13の試験運転におけるモータ損失Wによって変化するモータ温度Tと、滑り量Sを測定する測定時間tとの関係を示す図である。
図9において、縦軸は試験運転におけるモータ温度Tであり、横軸は試験運転の滑り量Sを測定する際の測定時間tである。
測定時間tは、滑り量Sを測定しているときの測定時間(測定時刻)である。また、測定時間tは、滑り量Sを測定しているときの測定時間(測定時刻)である。
滑り量Sから滑り量Sにおける測定が、効率の悪い点で動作させての測定であるとモータの発熱が大きくなる。すなわち、滑り量Sから滑り量Sの測定において、常温(T≒T)で開始した場合に、測定時間(測定時刻)tから測定時間(測定時刻)tまで要したとする。このときモータ温度Tは、TからTまで上昇する(ΔT)。
このように、効率の悪い点で動作させているとモータの発熱が大きい。長時間の停止時等ではモータ温度Tが常温となっているため、動作直後に急激にモータ温度Tが変動するので、試験運転で滑り量Sを変更している間にモータ温度Tが大きく変動し、測定結果に誤差がでる可能性がある。
それに対して、試験運転における滑り量Sの測定が、モータ温度Tがある程度高くなっている場合、例えば運転終了時で試験運転を行うのが有利である。
すなわち図9において、モータの運転終了直後において、モータ温度TがTであったとする。このとき滑り量Sから滑り量Sの測定を、測定時間tから測定時間tの間で行ったとして、このときの温度上昇はTからTのΔTである。
図9に示すように、ΔT≫ΔTであって、運転終了時等のモータ温度Tがモータの最終到達温度(サチュレーション温度)に近付いている状態で、試験運転を行った方が温度変化が少なく、測定誤差が少なくなる。
以上より、運転終了時等のモータ温度T高い(サチュレーション温度に近い)方が、時間単位の変動が少ないので、測定のタイミングとしては望ましい。
以上、試験運転における滑り量Sの測定について説明したが、次に、以上の滑り量Sの効率点を求める方法について、フローチャートで説明する。
<試験運転モードで滑り量Sの効率点を求めるフローチャート>
試験運転モードで滑り量Sの効率点を求める方法についてフローチャートの一例を用いて説明する。
図10は、本発明の実施形態に係る空気調和機Aの試験運転モードで滑り量Sの効率点を求めるフローチャートの一例である。
《ステップS201》
試験運転を「開始」すると、ステップS201において、モータ13を所定の回転速度(回転数/単位時間)Nを目標として動作させる。なお、「所定の回転速度N」とは、諸条件が不明であって、モータ13の滑り量Sの効率点が把握されていないときに、大きくは外れないであろうと推定される回転速度をあらかじめ暫定的に決めておいた回転速度である。
そして、ステップS202に進む。
《ステップS202》
ステップS202では、実回転速度Nが所定の誤差範囲εで「所定の回転速度N」であるか否かを判定する。すなわち、(N−N)の絶対値が誤差範囲εより小さいか否か演算する。
なお、所定の誤差範囲εは、状況によって異なるが、例えば「所定の回転速度N」の10%程度である。
実回転速度Nが所定の誤差範囲εで「所定の回転速度N」であれば(Yes)、次のステップS204に進む。
実回転速度Nが所定の誤差範囲εで「所定の回転速度N」でなければ(No)、ステップS203に移行する。
《ステップS203》
ステップS203においては、実回転速度Nが所定の回転速度Nより低ければ、同期速度Nを例えば100rpm増加する。また、実回転速度Nが所定の回転速度Nより高ければ、同期速度Nを例えば100rpm低減する。
そして、ステップS202に戻り、再度ステップS202を実施する。
《ステップS204》
ステップS204においては、インバータ12の入力電圧Edc1を検出し、この入力電圧Edc1の電圧検出値を一時保管する。
なお、この一時保管された電圧検出値は、後の工程において、インバータ12の入力電圧Edc1が変化しているか、保たれているかを判定する根拠に用いられるものである。
そして、ステップS205に進む。
《ステップS205》
ステップS205においては、滑り量Sの目標値を初期値の0.05に設定する。
そして、ステップS206に進む。
《ステップS206》
ステップS206においては、インバータ出力(PWM)を所定のパラメータに従って変更する。
そして、ステップS207に進む。
《ステップS207》
ステップS207においては、実際の滑り量Sと実回転速度Nを測定する。
そして、ステップS208に進む。
《ステップS208》
ステップS208においては、測定した滑り量Sと実回転速度Nがいずれも、それぞれの所定の誤差範囲ε,εで目標値に達しているか否かを判定する。
測定した滑り量Sと実回転速度Nがいずれもそれぞれの所定の誤差範囲(ε,ε)でそれぞれの目標値(S,N)に達していれば(Yes)、ステップS209に進む。
測定した滑り量Sと実回転数Nのいずれかが所定の誤差範囲(ε,ε)で目標値に達していなければ(No)、ステップS211に移行する。
なお、所定の誤差範囲εは、例えば、0.02である。
《ステップS209》
ステップS209においては、まず、インバータ12の入力電圧Edc2を測定(検出)する。
そして、このステップS209における入力電圧Edc2の測定値と、ステップS204において測定し、一時保管していた入力電圧Edc1の電圧検出値とを比較する。この比較した電圧検出値の差が所定の範囲εに入っているか否かを判定する。
所定の範囲εに入っていれば(Yes)、測定中に入力電圧Edcの電圧変動がなく、測定値が信頼できるものとして、次のステップS210に進む。
所定の範囲εに入っていなければ(No)、測定中に入力電圧Edcの電圧変動があって、測定値は信頼できないとして、ステップS204に戻り、ステップS204から再度、やり直す。
なお、所定の範囲εは、状況によって異なるが、例えば入力電圧Edc2の測定値の10%程度である。
《ステップS210》
ステップS210においては、インバータ12の入力の電流値Iを測定(検出)する。この電流値の検出結果を、滑り量Sの目標値Sと関連付けて保管する。
そして、ステップS212に進む。
《ステップS211》
ステップS208から移行したステップS211においては、インバータ出力レベルVと周波数f(同期速度N)を検出する。
そして、インバータ出力レベルVと周波数f(同期速度N)のいずれかがそれぞれの所定の最大値(Vmax,fmax)になっているかを判定する。
インバータ出力レベルVと周波数f(同期速度N)のいずれもがそれぞれの所定の最大値(Vmax,fmax)に達していなければ(No)、インバータ出力(PWM)のパラメータを変更すれば、最適値の探索はまだ可能であるとして、ステップS206に戻り、再度、ステップS206からやり直す。
また、インバータ出力レベルVと周波数f(同期速度Ns)のいずれかがそれぞれの所定の最大値(Vmax,fmax)に達している場合(Yes)には、それ以上にインバータ出力レベルVを大きく、もしくは周波数f(同期速度N)を高くすることは無理であるとして、滑り量Sの目標値Sを変更するステップS212に進む。
《ステップS212》
ステップS212においては、まず滑り量Sが目標値の最大値である0.35に達しているかを判定する。
0.35に達していない(No)場合には、ステップS213に移行する。
0.35に達している(Yes)場合には、ステップS214に進む。
《ステップS213》
ステップS213においては、滑り量Sの目標値Sを+0.02増加させる。そして、ステップS206に戻り、変更した滑り量Sを基に再度、ステップS206からやり直す。
《ステップS214》
ステップS214においては、滑り量Sが0.05〜0.35(0.02刻み)についてのすべての場合のインバータ12の入力の電流値(モータ損失、消費電流に対応)を滑り量Sと関連つけたデータが保管されている。
これらのデータの中から最も低い電流値に関連つけて保存された滑り量Sを最適滑り量Sとして保持する。
また、その他の取得データは破棄する。
以上でフローを「終了」する。
この最適滑り量Sをモータ13の通常運転時(実運転時)に用いる。この最適滑り量Sを用いることによって、低消費電力のモータ13の通常運転が可能となる。
<運転開始時の試験運転モード>
次に、運転開始時の試験運転モードについて説明する。
まず、二相誘導電動機13をインバータ12で駆動する場合の特徴について整理する。
〈1〉主巻線、補助巻線の巻線電流が90度位相ずれとなるとき、動作する。
〈2〉モータの回転方向は、インバータ出力により、主巻線、補助巻線の巻線電流、どちら位相が進んでいるかで正方向回転、逆方向回転が決まる。
〈3〉モータ軸方向から見て、時計まわり/反時計まわり、どちらが正回転と置くかは、モータ巻線の構造で決まる。
〈4〉本実施形態に係るモータ負荷は、還流ファン(貫流ファン、横流ファン、クロスフローファン等とも呼称される)が使用される。逆回転の場合、送風が行えないため、負荷が軽く電力消費が少ない。
〈5〉二相誘導電動機は、U,V,W相の三端子の出力となっているが、そのうち巻線が接続されているのは二相のみである。
〈6〉二相誘導電動機は、主巻線及び補助巻線電流の位相が90度ずれている電流を流すことで動作するが、二相誘導電動機の回転方向は、主巻線、補助巻線電流の位相が、どちらが進んでいるかで決まる。
〈7〉二相誘導電動機のU,V,W相への主巻線、補助巻線の割り当てが、インバータ出力端子と合っていない場合、主巻線、補助巻線電流の位相差が90度とならず、正しく動作しない、またはファンが逆回転してしまうなどの現象が発生する。
<巻線の検出>
二相誘導電動機13のU,V,W相への主巻線131、補助巻線132の割り当てが、インバータ出力端子(127,128,129)と合っていない場合、主巻線131、補助巻線132にそれぞれ流れる電流の位相差が90度とならず、正しく動作しない。
したがって、始動時に二相誘導電動機13の内部構造と出力端子との結線の接続関係が不明な場合には、検査で確認する必要がある。
図11は、本発明の実施形態に係る二相誘導電動機13の主巻線131と補助巻線132と結線の構造の一例を示す図である。
図11において、端子T,T,Tのうちのいずれかの2端子間に同じ電圧を印加したときに電流の流れ方が異なる。
例えば、T端子とT端子との間に電圧Vtを印加したときに200mAが流れたとする。また、T端子とT端子との間に電圧Vtを印加したときに200mAが流れたとする。そして、T端子とT端子との間に電圧Vtを印加したときに100mAが流れたとする。
このとき、T端子とT端子との間で、インピーダンスが大きくなっていることが分かるので、T端子とT端子との間に主巻線131と補助巻線132が配置されていることになる。
また、T端子は、コレクタ端子(端子128:図1)であることが分かる。
このように、インバータ12から各相間に通電した際、主巻線、補助巻線の両方へ通電される箇所がある。このとき通電していない端子がコレクタ端子であると置き、それ以外の端子が主巻線、補助巻線であると推測する
なお、以上は、後記する始動時試験運転モードのフローチャートを示した図13のステップS303、ステップS306、ステップS309、ステップS312に対応している。
また、試験運転後、モータを駆動する際は、結果に応じてU,V,W相の出力を制御する。すなわち、出力する疑似正弦波のPWM変調の位相を、巻線の検出結果に応じて変更する。
<回転方向の検出>
前記の<巻線の検出>の方法によって、二相誘導電動機(モータ)13の主巻線、補助巻線が接続されている相を検出することは可能であるが、これだけでは回転方向が不明である。次に、二相誘導電動機13の回転方向の検出の仕方について説明する。
図12は、本発明の実施形態に係る送風ファン103の回転羽根Fの回転方向によって、送風量と負荷トルクが異なることを示す図であり、(a)は送風ファンが正回転の場合であり、(b)は送風ファンが逆回転の場合である。
図12(a),(b)に示すように、送風ファン103として還流ファン(貫流ファン、横流ファン、クロスフローファン)を例にあげている。
図12(a)に示すように、送風ファン103の回転羽根Fが正回転(紙面上から見て右回転)の場合には、送風ファン103として正常に機能するので、大きな送風量Wdが生成される。
また、図12(b)に示すように、送風ファン103が逆回転(紙面上から見て左回転)の場合には、送風ファン103として正常に機能していないので、送風量Wdは小さく生成される。
このように、図12(a)に示すような正回転の場合には、図12(b)に示すような逆回転に比較して、送風量が多くなるとともに、負荷トルクも大となり、モータ13に流れる電流も大きくなる。すなわち、電流量を測定することによって、送風ファン103の回転羽根Fの回転方向が正回転か逆回転かの判定が可能である。
試験運転として、モータ13の印加電圧の位相を、主巻線131→補助巻線132、補助巻線132→主巻線131となるよう、それぞれ一回ずつ電圧を印加してその時の電流値を測定する。
このとき、送風を行う方向に回転(正回転)しているとき、前記したように、電流値が大きくなるため、このときの通電方法を正回転方向として記憶する。
以降の運転時においては、この正回転方向となるよう、インバータ出力をする。
《試験運転の開始に関する補足事項》
始動時の試験運転は、サービス時にリモコンなどで試験運転を設定できるようにしておく。または、電源投入後、初回の風向板の位置合わせ時、初期化(イニシャル)と同時に行う。
<始動時運転モードで巻線構成の検出と回転方向の検出を行う際のフローチャート>
次に、始動時運転モードで巻線構成の検出と回転方向の検出を行う方法についてフローチャートの一例を用いて説明する。
図13と図14は、本発明の実施形態に係る空気調和機Aの始動時運転モードで巻線構成の検出と回転方向の検出を行う際のフローチャートの一例である。なお、工程数(フロー)が長いので、図13と図14の2枚の図に分けている。図13は始動時運転モードでモータ13の「巻線構成の検出」をするフローであり、図14は始動時運転モードで送風ファン103の「回転方向の検出」をするフローである。また、図13と図14において途中のステップ(中継点)である「H」を便宜的に表記している。このステップ(H)を介して、図13のフローと図14のフローが接続されている。
まず、図13におけるモータ13の「巻線構成の検出」のフローから説明する。
《ステップS301》
始動時運転モードで巻線構成の検出と回転方向の検出を「開始」すると、ステップS301において、インバータ12の入力電圧Edcを検出する。
そして、ステップS302に進む。
《ステップS302》
ステップS302においては、ステップS301で検出したインバータ12の入力電圧Edcの値を一時保管する。
なお、ステップS301とステップS302とで、インバータ12の入力電圧Edcを検出し、一時保管するのは、以下のステップの動作を行っている間に、インバータ12に入力する電圧が変化しているか否かを検出、判定する際に用いるためのものである。
そして、ステップS303に進む。
《ステップS303》
ステップS303においては、インバータ出力のU−V相間に、PWM出力による疑似正弦波を出力し、そのときのインバータ12の入力電流I1(I)、入力電圧Edcを測定する。
そして、ステップS304に進む。
《ステップS304》
ステップS304においては、インバータ12の入力電圧EdcのステップS303における電圧検出結果が、ステップS302で一次保存されていた電圧検出結果に対し、所定の範囲内となっているかを判定する。
所定の範囲に入っていない場合(No)には、測定中にインバータの入力電圧Edcの電圧変動があって、測定は信頼できないとして、ステップS301に戻り、ステップS301からやり直す。
また、所定の範囲に入っている場合(Yes)には、ここまでのステップにおいて、インバータの入力電圧Edcの電圧変動が所定の範囲であって、測定に問題はないとして、次のステップS305に進む。
《ステップS305》
ステップS305においては、ステップS303で測定したインバータ12の入力電流I1の測定結果を一時保管する。
そして、ステップS306に進む。
《ステップS306》
ステップS306においては、V−W相間に、PWM出力による疑似正弦波を出力する。そして、そのときのインバータ12の入力電流I2(I)、入力電圧Edcを測定する。
そして、ステップS307に進む。
《ステップS307》
ステップS307においては、入力電圧EdcのステップS306における電圧検出結果が、一次保存されている電圧検出結果に対し、所定の範囲内となっているかを判定する。
所定の範囲に入っていない場合(No)には、測定中にインバータの入力電圧Edcの電圧変動があって、測定は信頼できないとして、ステップS301に戻り、ステップS301からやり直す。
また、所定の範囲に入っている場合(Yes)には、ここまでのステップにおいて、インバータの入力電圧Edcの電圧変動が所定の範囲で測定に問題はないとして、次のステップS308に進む。
《ステップS308》
ステップS308においては、ステップS306で測定したインバータ12の入力電流I2の測定結果を一時保管する。
なお、ステップS308において一時保管するインバータ12の入力電流I2は、ステップS305において一時保管したインバータ12の入力電流I1とは、別々に保管する。
そして、ステップS309に進む。
《ステップS309》
ステップS309においては、W−U相間に、PWM出力による疑似正弦波を出力する。そして、そのときのインバータ12の入力電流I3(I)、入力電圧Edcを測定する。
そして、ステップS310に進む。
《ステップS310》
ステップS307においては、入力電圧EdcのステップS309における電圧検出結果が、一次保存されている電圧検出結果に対し、所定の範囲内となっているかを判定する。
所定の範囲に入っていない場合(No)には、測定中にインバータの入力電圧Edcの電圧変動があって、測定は信頼できないとして、ステップS301に戻り、ステップS301からやり直す。
また、所定の範囲に入っている場合(Yes)には、ここまでのステップにおいて、インバータの入力電圧Edcの電圧変動が所定の範囲で測定に問題はないとして、次のステップS311に進む。
《ステップS311》
ステップS311においては、ステップS309で測定したインバータ12の入力電流I3の測定結果を一時保管する。
なお、ステップS311において一時保管するインバータ12の入力電流I3は、ステップS305、およびステップS308において一時保管したインバータ12の入力電流(I1,I2)とは、別々に保管する。
そして、ステップS312に進む。
《ステップS312》
ステップS312においては、一時保管されている電流検出結果(I1,I2,I3)の内、電流値が最も小さくなった際に通電していた端子を「第一の端子」「第二の端子」、通電していない残りの1端子を「第三の端子(コレクタ端子)」とおく。
以上のステップが、モータ13の巻線構造(主巻線、補助巻線、コレクタ端子間の構成)を把握する工程(ステップ)である。
そして、ステップS313に進む。
《ステップS313》
ステップS313においては、一時保管していたインバータ12の入力電圧・入力電流の検出結果のデータを破棄する。
そして、図13と図14の中継点である「H」を経由してステップS314に進む。
ステップS314以降は、図14に記載されている。図14は、送風ファン103の「回転方向の検出」のフローである。
《ステップS314》
ステップS314においては、インバータ12の入力電圧Edcを検出する。
そして、ステップS315に進む。
《ステップS315》
ステップS315においては、ステップS314で検出したインバータ12の入力電圧Edcの値を一時保管する。
そして、ステップS316に進む。
《ステップS316》
ステップS316においては、「回転方向の確認1」として、ステップS312で定めた「第一の端子」、「第二の端子」、「第三の端子(コレクタ端子)」を基に、「第一の端子」→「第三の端子(コレクタ端子)」→「第二の端子」の順に、90度(90°)ずつ、位相遅れとなるよう、インバータU,V,W出力にPWM変調による疑似正弦波を出力してモータを駆動する。
モータ13を所定の回転速度(回転数/単位時間)で、所定の滑り量Sとなるよう駆動し、この時のインバータの入力電圧Edc、入力電流Ir1を測定する。
そして、ステップS317に進む。
なお、モータ13を所定の回転速度と所定の滑り量Sで駆動するときに、最適な滑り量Sが計測されていない場合には、例えば、滑り量S=0.2としてモータ13を駆動する。
この理由は、前記したように誘導電動機のトルクピーク回転速度Nとなる滑り量Sが一般的には0.2程度であるからである。また、図14に示したフローは、回転方向の確認をするためであるので、滑り量Sに関しては、高い精度は必要としない。
《ステップS317》
ステップS317においては、ステップS316で測定した入力電圧が、ステップS315で一次保存されている電圧検出結果に対し、所定の範囲内となっているかを判定する。
所定の範囲に入っていない場合(No)には、測定中にインバータの入力電圧Edcの電圧変動があって、測定は信頼できないとして、ステップS315に戻り、ステップS315からやり直す。
また、所定の範囲に入っている場合(Yes)には、ここまでのステップにおいて、インバータの入力電圧Edcの電圧変動が所定の範囲で測定に問題はないとして、次のステップS318に進む。
《ステップS318》
ステップS318においては、ステップS316で検出したインバータ12の入力電流Ir1の測定値を一時保管する。
そして、ステップS319に進む。
《ステップS319》
ステップS319においては、ステップS312で定めた「第一の端子」、「第二の端子」、「第三の端子(コレクタ端子)」を基に、「第二の端子」→「第三の端子(コレクタ端子)」→「第一の端子」の順に、90度(90°)ずつ、位相遅れとなるよう、インバータU,V,W出力にPWM変調による疑似正弦波を出力してモータを駆動する。
モータ13を所定の回転速度(回転数/単位時間)で、所定の滑り量Sとなるよう駆動し、この時のインバータ12の入力電圧Edc、入力電流Ir2を測定する。
そして、ステップS320に進む。
《ステップS320》
ステップS320においては、インバータ12の入力電圧EdcのステップS319における電圧検出結果が、ステップS318で一次保存されていた電圧検出結果に対し、所定の範囲内となっているかを判定する。
所定の範囲に入っていない場合(No)には、測定中にインバータの入力電圧Edcの電圧変動があって、測定は信頼できないとして、ステップS315に戻り、ステップS315からやり直す。
また、所定の範囲に入っている場合(Yes)には、ここまでのステップにおいて、インバータの入力電圧Edcの電圧変動が所定の範囲で測定に問題はないとして、次のステップS321に進む。
《ステップS321》
ステップS321においては、ステップ319で測定したインバータ12の入力電流Ir2の測定値を一時保管する。
そして、ステップS322に進む。
《ステップS322》
ステップS322においては、ステップS316とステップS319で、それぞれ測定したインバータ12の入力電流の電流検出結果(Ir1,Ir2)を比較し、電流検出結果が大かった方の通電方法を、モータを駆動する際の「正回転」方向として記憶する。
そして、ステップS323に進む。
《ステップS323》
ステップS323においては、一時保管していたインバータ12の入力電圧・入力電流の検出結果のデータを破棄する。
以上でフローを「終了」する。
ステップS322で把握し、記憶したモータを駆動する際の「正回転」方向を基に、モータ13の通常運転時(実運転時)を行う。
≪その他の実施形態、変形例≫
以上、本発明は、前記した実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
《電源》
図1において、交流電源20を商用電源と表記したが、商用電源に限定されるわけではない。自家発電の非常用電源等であってもよい。
また、図1では、交流電源20を整流平滑回路11で、直流電圧(電力)に変換してインバータ12に供給する例で説明した。しかし、電源としては交流電源に限定されない。
直流電圧(電力)が電源として供給される場合には、電源の直流電圧(電力)を直接または間接にインバータ12に供給してもよい。この場合には、整流平滑回路11が不要となる。
《三相誘導電動機の場合》
図1、図11において、モータ13は、二相誘導電動機の場合で説明したが、始動時運転モードで巻線構成の検出する際にモータの構造が不明であって、三相誘導電動機を扱う場合がある。
この場合には、各相へ通電したときの電流値が略同一となる。この場合には、接続されているモータが二相誘導電動機ではなく、三相誘導電動機であることが分かる。
三相誘導電動機であることを把握した場合には、以後、モータを駆動する際に、U,V,W相の出力電圧を、三相誘導電動機を駆動する場合の一般的な通電パターン(それぞれ120度の位相ずれ)となるよう通電することで、正常に動作させることが可能である。
すなわち、本実施形態に係る始動時運転モードの駆動方法は、三相誘導電動機でも用いることができる。
なお、回転方向の検出については、前記したように、三相誘導電動機であっても同様に行うことができる。
《始動時運転モードで巻線構成の検出をする通電パターン》
始動時運転モードで巻線構成の検出をする際の相関の電圧については、直流でも交流でもよい。
巻線構成の検出をする際の通電パターンは、インバータ12のPWMチョッパ出力により、直流電流が流れるようにしてもよいが、巻線はインダクタ成分を含んでいることから、交流を印加して電流を検出してもよい。
直流でも交流でも各相に印加される電圧が同一であれば、同様の結果が得られる。
《ファンの種類》
回転方向の検出において、還流ファンの例をあげて、正回転と逆回転における送風量と負荷トルクの相違を説明したが、還流ファンに限定されない。
一般に、正回転と逆回転で負荷が異なる負荷を使用している方式で有れば、前記した本発明の回転方向の検出方法の適用が可能である。
《滑り量S、回転速度Nの精度》
試験運転で測定した最もモータの効率のよい滑り量Sや、実運転で使用される最高回転速度での測定においては、実際には誤差がある。したがって、実用的に許容される範囲において、測定誤差や適用値にずれがあっても、本発明の実施形態で説明した方法は、有用な方法である。
《滑り量Sの計測ステップ》
図10で示した滑り量SのステップS213において、試験運転時に変化させる滑り量は、「S=S+0.02」として0.02を例にあげたが、この変化量には限定されない。例えば、0.01ずつ滑り量を変化させてもよい。
《試験運転時のインバータ電流計測》
図13で示したステップS303、S306、S309におけるインバータ入力電流I1,I2,I3の測定において、インバータの出力の周期は、モータ13の同期速度Nの1/2以下の周期(回転速度)で実行してもよい。
また、図14で示したステップS316、S319におけるインバータ入力電流Ir1,Ir2の測定において、インバータの出力の周期は、モータ13の同期速度Nの1/2以下の周期(回転速度)で実行してもよい。
その理由は、図13で示したフローは、試験運転(始動時運転モード)における巻線構成の検出フローであり、図14で示したフローは、試験運転(始動時運転モード)における回転方向の検出フローである。すなわち、高い精度を必要としないので、インバータの出力の周期は、モータ13の同期速度Nの1/2以下の周期(回転速度)で実行しても差し支えないからである。
11 整流平滑回路
12 インバータ
13 二相誘導電動機、モータ
14 インバータ制御回路(インバータ制御装置)
15 直流電源
20 交流電源(商用電源)
100 室内機
103 送風ファン(還流ファン)
111 整流回路
112 平滑コンデンサ
121,122,123,124,125,126 スイッチング素子、IGBT
131 主巻線
132 補助巻線
133 回転速度センサ(FG)
200 室外機
A 空気調和機
F 回転羽根
Re リモコン(空調制御端末器)

Claims (12)

  1. 空気調和機が、
    二相誘導電動機と、
    直流電力を可変電圧と可変周波数の交流電力に変換して前記二相誘導電動機に駆動電力を供給するインバータと、
    該インバータを制御するインバータ制御装置と、
    前記インバータに流れる電流を検知する電流センサと、
    前記二相誘導電動機の回転速度を検知する回転速度センサと、
    を備え、
    前記空気調和機の試験運転時に、前記インバータ制御装置が、前記インバータを制御することによって、前記二相誘導電動機を所定の回転速度で動作させ、併せて滑り量を変化させ、前記インバータの電流値が最も小さい時の滑り量を記憶し、
    前記空気調和機の実運転時に、前記インバータ制御装置が、前記インバータを制御することによって、前記試験運転時の前記インバータの電流値が最も小さい時の滑り量近傍の滑り量で前記二相誘導電動機が動作するように制御する、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  2. 請求項1において、
    前記空気調和機の試験運転は、前記二相誘導電動機が実運転で使用される最高回転速度または最高回転速度に近い回転速度で行う、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  3. 請求項1において、
    前記空気調和機は、前記インバータの入力電圧を検知する電圧センサを備え、
    前記空気調和機の試験運転時に、前記インバータの入力電圧を検出し、該入力電圧の変動が所定の値以上となった場合、試験運転を再試行する、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  4. 請求項1において、
    前記空気調和機の試験運転における前記インバータの電流値が最も小さい時の滑り量が計測されていない場合は、予め設定された滑り量の設定に基づき、この滑り量となるよう二相誘導電動機を駆動する、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  5. 請求項1において、
    前記空気調和機の試験運転時に、所定の回転速度で動作させ、併せて滑り量を変化させ、前記インバータの電流値が最も小さくなる点が所定の範囲内でなかった場合に、再測定を行う、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  6. 請求項1において、
    前記空気調和機の試験運転時に変化させる滑り量は、予め設定された所定の範囲である、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  7. 請求項1において、
    前記空気調和機の試験運転は、前記空気調和機の実運転の合間に行う、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  8. 請求項1において、
    前記空気調和機を制御するリモコンを備え、
    前記空気調和機の試験運転は、前記リモコンからの信号入力で行う、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  9. 請求項1において、
    前記空気調和機の試験運転時に用いられる前記インバータの電流値の検出は、前記二相誘導電動機の同期速度が最も高いときの前記インバータの出力の周期の少なくとも1/2以下の周期で電流値の検出をする、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  10. 請求項1において、
    前記空気調和機の試験運転時に、
    前記インバータの出力端子をU−V間、V−W間、W−U間に順にそれぞれ通電したときの前記インバータの電流値を検出して比較し、
    前記電流値が最も少なくなる通電パターンにおいて、通電されていない端子を第一の端子とし、
    該第一の端子以外の他の端子を第二の端子、第三の端子とし、
    前記空気調和機の試験運転時および実運転時に、前記インバータからの出力を、第二の端子、第一の端子、第三の端子の順に90度位相遅れ、または90度位相進みとなるよう、交流出力を行う、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  11. 請求項10において、
    前記空気調和機の試験運転時に、前記インバータからの出力を第二の端子、第一の端子、第三の端子の順に90度位相遅れとなるよう交流出力を行った際の前記インバータの電流値の測定結果と、第二の端子、第一の端子、第三の端子の順に90度位相進みとなるよう交流出力を行った際の前記インバータの電流値の測定結果とを比較し、
    前記空気調和機の試験運転時および実運転時に、検出した電流値が大きかった通電方法でモータに通電する、
    ことを特徴とする空気調和機の制御方法。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の空気調和機の制御方法を適用することを特徴とする空気調和機。
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