JP6528701B2 - 製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の装置は、複数の板状の金型片を板厚方向に並べて金型を構成している。この装置は、板厚方向に並ぶ複数の金型片のうち、中央部に位置する金型片のワーク側の端部を、外側に位置する金型片のワーク側の端部よりも突出させ、金型をアーチ状にしている。この装置は、その金型からワークに荷重を印加し、ワークをアーチ状に曲げることが可能である。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、三次元の凹凸形状を自在に設定することが可能な加工装置、およびその加工装置を用いた製造方法を提供することを目的とする。
第1加工部および第2加工部が有する複数のピンは、ワークの成形加工後の形状に応じて、ワークの成形加工後の形状における底部に位置し加工工程の際に動作する動作部のピンと、ワークの成形加工後の形状において底部よりも外縁に位置し加工工程の際にワークを挟んで固定するか又はワークの変形を抑制するように支持する支持部のピンと、ワークの成形加工後の形状において底部よりも外縁に位置し加工工程の際に支持部のピンと動作部のピンとの間でワークに曲面を形成する曲面支持部のピンとに区分け可能であり、加工工程の際、支持部のピンおよび曲面支持部のピンからワークに印加する荷重より、動作部のピンからワークに印加する荷重が大きいものである。
これにより、ワークが徐々に成形加工されてゆくため、ワークの肉のひけを抑制することが可能である。
これにより、配置工程において第1加工部または第2加工部が有する複数のピンを、ワークを加工した後の製品形状に対応する形状に配置した後に、加工工程を行うので、成形加工の加工速度を高めることができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による加工装置は、プレス成形加工の一つである絞り加工を行うものである。
図1および図2に示すように、加工装置100は、互いに向き合うように配置された複数の加工部1,2を備えている。以下、説明の便宜上、図1の上側に記載された加工部を第1加工部1と称し、図1の下側に記載された加工部を第2加工部2と称することとする。なお、第1加工部1と第2加工部2との配置は、図に示したものに限定するものではない。
ここで、第1加工部1と第2加工部2とが互いに向き合う方向をZ軸とし、そのZ軸に垂直かつ互いに垂直に交わるX軸及びY軸として、X軸、Y軸およびZ軸による三次元直交座標を定義する。
本実施形態では、説明の便宜上、プレス成形加工における第1加工部1または第2加工部2の型閉じ又は型開き方向を、Z軸の方向とする。
第1加工部1が有する複数のピン4は、一本一本のピン4が全てZ軸に平行に延びている。複数のピン4は、ワーク6側の先端部40がドーム状または半球状に形成されている。
図1−3、5−9、11、12では、第1加工部1が有するピン4に、説明の便宜上、AからKの符号を付している。図1−3、5−9、11、12では、AからKの符号を付したピン4の紙面奥側に配置される複数のピン4は省略している。なお、ピン4の個数は図面に示した数に限らず、ワーク6を絞り加工した後の製品の目標とする表面粗さ、または、加工部1,2の大きさなどに応じて、適宜設定することが可能である。
また、押圧部17は、複数のピン4に対して印加した荷重を解除又は調整することが可能である。これにより、絞り加工を行う際、又は、絞り加工を行う前に、複数のピン4を構成するそれぞれのピン4の位置をZ軸の方向に移動し、複数のピン4の先端部40によって形成される加工面を種々の形状にすることができる。
ガイド部材8は、複数のピン4が挿通する孔を有している。その孔の内壁には、めねじ81が設けられている。複数のピン4には、ガイド部材8の孔を挿通する箇所の外壁に、ねじ部7が設けられている。ガイド部材8のめねじ81と、複数のピン4の外壁に設けられたねじ部7とは、螺合している。
ガイド部材8のめねじ81と複数のピン4のねじ部7とは、後述するモータ5の回転によりピン4をZ軸方向に移動させ、または、所定位置で位置決めするためのねじ機構を構成するものである。
トルク伝達ロッド9およびモータ5は、全てのピン4に設けられている。モータ5は、例えばサーボモータである。なお、図1、5−7では、第1加工部1側のA、E、G、Kのピン4と第2加工部2側のL、P、R、Vのピン4を駆動する8本のトルク伝達ロッド9と8個のモータ5のみを示し、それ以外のトルク伝達ロッドとモータの図示を省略している。
制御部10に指令により、モータ5が正回転または逆回転すると、そのモータ5に対応するピン4は、ピン4のねじ部7とガイド部材8のめねじ81との噛合いにより、ガイド部材8に対しZ軸の一方または他方に移動可能である。また、モータ5が停止すると、そのモータ5に対応するピン4は所定の位置で固定される。これにより、複数のモータ5は、複数のピン4をピン毎に、Z軸の方向に移動可能、且つ、所定位置において位置決め可能である。すなわち、複数のモータ5、トルク伝達ロッド9、ガイド部材8、ねじ部7および制御部10は、複数のピン4の位置を決める「位置決め部」として機能する。
なお、二重の円11,12の内側はいずれも、任意に囲まれた閉領域といえる。
複数のピン4は、ワーク6を成形加工した後の製品形状又は大きさ等に応じて、その製品形状の底部に位置する「加工部のピン」と、その製品形状の開口側の曲面部に位置する「曲面支持部のピン」と、その製品形状の開口側の曲面部よりも外縁に位置する「支持部のピン」とに区分けすることが可能である。
また、図2の外側の円12より径外側に位置するピン4を「支持部のピン」と称する。支持部のピンは、ワーク6の成形加工の際にワークを支持するピンである。本明細書において、「ワークを支持する」とは、ワーク6を第1加工部1のピン4と第2加工部2のピン4とで挟んで固定するか、又は、ワーク6の変形を抑制するように支持することをいう。
なお、加工部1,2が有する複数のピン4は、ワーク6を成形加工した後の製品形状又は大きさ等に応じて、上述した支持部のピン、曲面支持部のピン、及び動作部のピンのいずれにもなり得るものである。
なお、図1および図5−9では、A、B、J−M、U、Vのピン4が「支持部のピン」に相当し、D−H、O−Sのピン4が「動作部のピン」に相当し、C、I、N、Tのピン4が「曲面支持部のピン」に相当する。
以上、第1加工部1の構成について説明した。第2加工部2の構成は、第1加工部1の構成と実質的に同一の構成であるので、説明を省略する。
ベッド21に固定された台座22に下型23が取り付けられる。上下方向に移動可能なスライド24に上型25が取り付けられる。下型23と上型25とは、ガイドポスト26によりXY平面上の位置ずれが防がれている。
ワーク6は、複数の加工装置100が備える第2加工部2と第1加工部1との間を、例えば図4の破線矢印Wに示すように左から右へ移動しつつ、複数の加工装置100により順に絞り率の大きい加工がされることにより、次第に目的とする形状に変わってゆく。
プレス加工機20は、前半のラフ絞りを行う複数の加工装置100を本実施形態のものとし、後半の抜きまたは成形絞りを行う加工装置を金属ブロックにより形成された従来の加工装置としてもよい。これにより、ラフ絞りを行う複数の加工装置100を共通のものにすることが可能である。したがって、絞り工程の数に対し、加工装置100の種類を少なくすることができる。
先ず、図1および図8(A)に示すように、第2加工部2が有するピンL−Vの上に、ワーク6が載置される。なお、このワーク6は、アルミまたは冷間圧延鋼板などの金属板が所定の大きさに裁断されたブランク材である。
次に、当接工程として、図5および図8(B)に示すように、第1加工部1が有するピンA−Kを第2加工部2側へ移動し、それらのピンA−Kの先端部40をワーク6の上面に接触させる。これにより、加工前のワーク6に対し、第1加工部1が有するピンA−Kの先端部40と、第2加工部2が有するピンL−Vの先端部40とがワーク6に当接する。
これにより、加工装置100は、ワーク6を絞り加工することが可能である。
なお、上述した加工工程の際、第1加工部1及び第2加工部2が有するピン4からワーク6に圧力が印加されることにより、そのピン4の先端部40の形状がワーク6の表面に転写される。これにより、絞り加工後の製品の表面に細かな凹凸形状が付されることとなる。
(1)第1実施形態では、第1加工部1および第2加工部2が備える複数のピン4は、Z軸方向に対し交差する任意の面における複数の方向に並べて配置される。位置決め部としての複数のモータ5は、複数のピン4をピン毎に、Z軸方向に移動可能、且つ、所定位置において位置決め可能である。
これにより、第1加工部1および第2加工部2は、複数のピン4の先端部40により形成される加工面において、任意の凹凸形状等を自在に設定することが可能である。したがって、加工装置100は、例えばカップ状など、三次元に凹凸を有する形状にワーク6を成形することができる。
その結果、加工装置100は、ワーク6を加工した種々の製品形状に応じて異なる形状のものを用意することなく、種々の製品形状に対応することが可能である。また、加工装置100は、ラフ絞りを行う複数の工程を共通のものとすることが可能である。したがって、この加工装置100は、製造コストを低減することができる。
これにより、加工装置100は、ワーク6の板厚または加工後の形状などに応じて、それぞれのピン4からワーク6に対して印加する荷重を変えることが可能である。したがって、加工装置100は、複数のピン4を、支持部のピン、曲面支持部のピンまたは動作部のピンに区分けして使用することが可能となるので、ワーク6を加工した種々の製品形状に対応することが可能である。また、加工装置100は、従来の絞り加工装置が備えていたブランクホルダを廃止することが可能である。
これにより、加工装置100は、絞り加工において、ワーク6にしわが寄ること、および、ワーク6の破断を防ぐことが可能である。
これにより、加工装置100は、絞り加工等を行う際、ピン4の先端部40とワーク6との摩擦力を低減することが可能である。したがって、加工装置100は、ワーク6にしわが寄ること、および、ワーク6の破断を防ぐことができる。
(5)第1実施形態では、当接工程において、加工前のワーク6に対し、第1加工部1のピン4の先端部40と第2加工部2のピン4の先端部40とを当接させる。加工工程において、第2加工部2が有する複数のピン4の一部を第1加工部1側に相対的に移動すると共に、第1加工部1側に移動する第2加工部2のピン4に対応する第1加工部1が有する複数のピン4を第2加工部2とは反対側に相対的に移動する。
これにより、ワーク6が徐々に成形されてゆくため、ワーク6の肉のひけを抑制することが可能である。
これにより、絞り加工を行う際、支持部のピンおよび曲面支持部のピンに対応する位置にあるワーク6の部分の肉が、動作部のピンに対応する位置にあるワーク6の部分へ流れるので、ワーク6の肉のひけ(肉厚が薄くなること)を抑制することが可能である。
これにより、ワーク6を成形加工した製品の表面に細かな凹凸形状を付けることが可能である。そのため、絞り加工の後工程において、その製品をインサート成形して樹脂と結合する際、製品表面の凹凸に樹脂が入り込んで接着力が高まるというアンカー効果により、製品が樹脂から抜けることを防ぐことができる。
本発明の第2実施形態について説明する。以下、複数の実施形態において、上述した第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、絞り加工の方法が第1実施形態のものと異なっている。第2実施形態の説明においても、適宜、ピンに対し、符号4の代わりにAからVの符号を付すが、実際の加工装置100はAからV以外のピン4も、それと同じ領域のピンは同時に動作している。
その後、第2加工部2が有するピンL−Vの上に、ワーク6を載置する。
次に、図9(B)に示すように、第1加工部1を第2加工部2側へ移動し、第1加工部1の支持部のピンA、B、J、Kをワーク6の上面に接触させる。
これにより、加工装置100は、ワーク6を絞り加工することが可能である。
なお、上述した加工工程の際、第1加工部1及び第2加工部2が有するピン4からワーク6に圧力が印加されることにより、そのピン4の先端部40の形状がワーク6の表面に転写される。これにより、絞り加工後の製品の表面に細かな凹凸形状が付されることとなる。
第2実施形態では、配置工程において、第1加工部1が有するピン4を、ワーク6を加工した後の製品形状に対応する形状に配置した後に、加工工程を行うので、絞り加工の加工速度を高めることができる。
本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、図10に示すように、ピン4の構成が第1、第2実施形態のものと異なっている。
第3実施形態のピン4は、ピン本体41および摺動部材42を有する。
ピン本体41には、軸方向に延びる液体通路43が形成されている。液体通路43は、ピン本体41のワーク6側に開口している。
摺動部材42は、球体であり、ピン本体41のワーク6側に回転可能に設けられる。なお、摺動部材42は、球体に限らず、例えば両端をドーム型とした円柱状など、種々の形状としてもよい。
液体通路43に所定の圧力で潤滑液が供給されると、その潤滑液は、液体通路43の開口部と摺動部材42との隙間を通り、ワーク6側へ供給される。これにより、ワーク6と摺動部材42との焼き付き、または、かじり等を防ぐことが可能である。
(1)第3実施形態では、ピン4は、ワーク6側へ潤滑液を供給可能な液体通路43を有する。
これにより、加工装置100は、絞り加工等を行う際、ピン4のワーク6側に設けた摺動部材42とワーク6との摩擦力を低減することが可能である。
これにより、摺動部材42とワーク6とが摺動することで、摺動部材42およびピン本体41の摩耗を防ぐことができる。
これにより、加工装置100は、摺動部材42とワーク6との摩擦力を、球体による転がり摩擦により低減することが可能である。
本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、図11に示すように、複数のピン4は、シリンダ14に挿入されている。シリンダ14は、油圧ホース15を経由して油圧ポンプ部16に接続している。この油圧ホース15および油圧ポンプ部16は、全てのピン4に1個ずつ設けられている。なお、図11では、8本の油圧ホース15と8個の油圧ポンプ部16のみを示し、それ以外の油圧ホース15と油圧ポンプ部16の図示を省略している。
第4実施形態においても、複数の油圧ポンプ部16および制御部10は、複数のピン4の位置を決める「位置決め部」として機能し、また、複数のピン4からワーク6に印加する荷重を調整する「荷重調整部」としても機能する。
本発明の第5実施形態の製造方法について、図12を参照して説明する。第5実施形態の製造方法は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した製造方法で1回または数回の絞り加工を行ったワークを、さらに深絞り加工するものである。
第5実施形態の説明においても、適宜、ピンに対し、符号4の代わりにAからVの符号を付すが、実際の加工装置100はAからV以外のピン4も、それと同じ領域のピンは同時に動作している。
先ず、配置工程として、図12(A)に示すように、第1加工部1および第2加工部2が有する複数のピン4の先端部40により形成される加工面が、いずれもワーク6を加工した後の製品形状に対応したものとなるように、第1加工部1および第2加工部2が有する複数のピン4を配置する。
或いは、加工工程として、第1加工部1の位置を固定した状態で、第2加工部2が有するピンL−Vを第1加工部1側へ移動してもよい。
第5実施形態では、加工装置100は、ワーク6をさらに深絞り加工することが可能である。
また、加工装置100は、同一の加工部1,2を使用して、ワーク6に対し複数回の絞り加工を行い、深絞り加工することが可能である。
(1)上述した実施形態では、プレス成形加工のうち絞り加工を行う加工装置100について説明した。これに対し、他の実施形態では、加工装置100は、例えばワーク6のフランジをクランプして張り出し加工を行うなど、種々のプレス成形加工を行うことが可能である。
このように、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
1 ・・・第1加工部(加工部)
2 ・・・第2加工部(加工部)
4 ・・・ピン
40・・・先端部
5 ・・・モータ(位置決め部、荷重調整部)
7 ・・・ねじ部(位置決め部、荷重調整部)
8 ・・・ガイド部材(位置決め部、荷重調整部)
9 ・・・トルク伝達ロッド(位置決め部、荷重調整部)
10・・・制御部(位置決め部、荷重調整部)
Claims (3)
- プレス成形加工における型閉じ又は型開き方向に対し交差する任意の面における複数の方向に並んだ複数のピンを有する第1加工部(1)と、複数の前記ピンを有し、前記第1加工部に向き合う位置に設けられた第2加工部(2)と、複数の前記ピンを前記ピン毎に、型閉じ又は型開き方向に移動可能、且つ、所定位置において位置決め可能な位置決め部と、を備える加工装置を用いた製造方法であって、
加工前のワークに対し、前記第1加工部が有する複数の前記ピンの先端部、および前記第2加工部が有する複数の前記ピンの先端部を当接させる当接工程と、
前記第1加工部が有する複数の前記ピンに対し前記第2加工部が有する複数の前記ピンの一部を前記第1加工部側に相対的に移動すると共に、前記第1加工部側に相対的に移動する前記第2加工部の前記ピンに対応する前記第1加工部が有する複数の前記ピンを前記第2加工部とは反対側に相対的に移動することで、前記ワークを成形加工する加工工程と、を含み、
前記第1加工部および前記第2加工部が有する複数の前記ピンは、前記ワークの成形加工後の形状に応じて、前記ワークの成形加工後の形状における底部に位置し前記加工工程の際に動作する動作部のピンと、前記ワークの成形加工後の形状において前記底部よりも外縁に位置し前記加工工程の際に前記ワークを挟んで固定するか又は前記ワークの変形を抑制するように支持する支持部のピンと、前記ワークの成形加工後の形状において前記底部よりも外縁に位置し前記加工工程の際に前記支持部のピンと前記動作部のピンとの間で前記ワークに曲面を形成する曲面支持部のピンとに区分け可能であり、
前記加工工程の際、前記支持部のピンおよび前記曲面支持部のピンから前記ワークに印加する荷重より、前記動作部のピンから前記ワークに印加する荷重が大きいものである製造方法。 - 前記加工工程の際、前記第1加工部及び前記第2加工部が有する前記ピンの先端部の形状が前記ワークの表面に転写されるものである請求項1に記載の製造方法。
- 前記ピンは、前記ワークへ潤滑液を供給可能な液体通路(43)を有し、
前記液体通路から前記ワーク側へ前記潤滑液を供給しながら前記ワークを加工する請求項1または請求項2に記載の製造方法。
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