JP6528586B2 - フィルタ組立体及びツールホルダ - Google Patents

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本発明は、例えば工作機械の工具本体を交換可能に保持するためのツールホルダに関し、特にツールホルダに用いられるフィルタ組立体に関する。
従来、各種の部品の製造工程等において、マシニングセンタ等の工具交換を自動化した工作機械が広く使用されている。このような工作機械では、交換可能な工具のホルダ側から工具本体側に潤滑及び冷却のためにクーラントを供給するクーラント供給装置が普及している。クーラントの供給により、加工時間の短縮や、製造品の精度を確保している。クーラントには工具本体の使用により発生した切屑が混入し、クーラントを工具本体側に供給する供給口に切屑が詰まってしまうと、クーラントが供給されなくなり、製造品の精度不良や、工具本体の劣化という問題を発生する虞がある。
これを解決するために、クーラントに混入した切屑を除去すべく、クーラントタンクにフィルタを設け、クーラント中の切屑を濾過する技術が普及しているが、切屑の除去率は不十分であった、そこで、工具本体を交換可能に保持するホルダのクーラントの流路に略直交する円板状のフィルタを介在させ、該フィルタによりクーラントの濾過を行う技術が開発されている(特許文献1参照)。
特開平6−320385号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたフィルタでは、ホルダの内部で流路に介在されるフィルタは流路に略直交する円板状であるため、濾過された切屑がフィルタに対して流路の上流側に堆積してしまい、目詰まりが発生しやすいという問題があった。このため、例えば加工の繰り返しによる工具本体の摩耗に対して工具本体を交換するときにフィルタを交換するのではなく、工具本体を交換する前にフィルタを交換する必要が生じてしまい、そのたびにマシンングセンタを止めてマシニングセンタから工具を取り外さなければならず、生産性が悪かった。
そこで、目詰まりを発生しにくくして、交換の頻度を低減できるフィルタ組立体及びツールホルダを提供することを目的とする。
本開示に係るフィルタ組立体は、工具本体を保持可能で工作機械に着脱可能なツールホルダに取り付けられ、クーラントを流通させるクーラント油路と、前記クーラント油路の内周部に形成された雌ねじ部と、を有するプルスタッドと、前記ツールホルダ及び前記プルスタッドを有するホルダ組立体の内部に配置されると共に前記クーラント油路を介してクーラントを前記工具本体に供給する流路に介在され、前記プルスタッドに対して着脱可能に設けられ、筒形状に形成された周壁部と、前記周壁部の外周部に形成され、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、前記周壁部の前記プルスタッド側に開口した開口部と、前記周壁部の前記開口部より前記工具本体側に設けられた底部と、少なくとも前記周壁部において、前記開口部から前記底部への方向に沿って複数配置され、前記開口部に供給されたクーラントを濾過して通過させる小孔と、を有するフィルタと、を備える
本フィルタ組立体によると、多数の小孔が形成された筒形状の周壁部に底部を有するので、流路に略直交する円板状のフィルタに比べて目詰まりを発生しにくくして、目詰まりするまでの使用期間を長期化するので交換の頻度を低減することができる。

本実施の形態のホルダ組立体を示す概略の側面図である。 本実施の形態のフィルタ及びプルスタッドを示す概略図であり、(a)はフィルタをプルスタッドに組み付けた状態、(b)はフィルタをプルスタッドから取り外した状態である。 本実施の形態のフィルタを示す概略図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は斜視図である。
以下、本実施の形態に係るフィルタ10を、図1〜図3に沿って説明する。本実施の形態では、フィルタ10を組み付けたプルスタッド20をツールホルダ30に組み付けてなるホルダ組立体40について説明する。
本実施の形態のホルダ組立体40について、図1に沿って説明する。ホルダ組立体40は、ツールホルダ30と、プルスタッド20と、フィルタ10とを有している。ツールホルダ30は、テーパ状のシャンク部31と、フランジ部32と、装着孔(流路)33とを有し、ドリル等の工具本体50を保持して工作機械に着脱可能である。シャンク部31は、マシニングセンタ等の工作機械に装着される。フランジ部32は、シャンク部31の大径側に一体的に設けられ、工作機械で工具本体50をホルダ組立体40ごと交換する際に、把持される。装着孔33は、シャンク部31の小径側からフランジ部32まで、中心軸に沿って設けられている。装着孔33は、プルスタッド20が装着されると共に、フィルタ10の外径よりも大きい内径を有している。装着孔33の内部には、プルスタッド20が螺合される雄ねじ部34が形成されている。尚、ツールホルダ30に対して、例えばコレットを介して工具本体50を装着する構成については、既存の構成と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図2に示すように、プルスタッド20は、チャック部21と、シール部22と、外ねじ部23と、内ねじ部24と、流通孔(流路)25と、を有し、ツールホルダ30のシャンク部31の小径側から装着孔33に着脱可能に取り付けられる。チャック部21は、プルスタッド20の基端側に設けられ、ツールホルダ30から外部に突出し、ホルダ組立体40が工作機械に保持される際に使用される。シール部22は、装着孔33に挿入され、不図示のOリング等を利用してクーラントを密封する。外ねじ部23は、装着孔33の内部に形成された雌ねじ部34に螺合される。内ねじ部24は、プルスタッド20の先端側に形成され、フィルタ10が螺合可能である。流通孔25は、チャック部21から内ねじ部24まで、中心軸に沿って貫通して設けられている。
プルスタッド20をツールホルダ30に組み付けた状態では、プルスタッド20の流通孔25とツールホルダ30の装着孔33とが、流路として連通する。即ち、流通孔25及び装着孔33は、ホルダ組立体40の内部に形成されると共に、クーラントを工具本体50に供給する流路として機能する。
図3に示すように、フィルタ10は、流通孔25及び装着孔33のいずれかに介在され、周壁部11と、開口部11aと、底部12と、複数の小孔13とを有している。周壁部11は、筒形状に形成されている。開口部11aは、周壁部11の一方側に開口している。底部12は、周壁部11の他方側、即ち開口部11aの反対側に設けられている。小孔13は、周壁部11において、開口部11aから底部12への方向に沿って複数配置され、フィルタ10の内外を連通して配置されている。即ち、小孔13は、流路におけるクーラントの流通方向に沿って複数配置されている。小孔13は、多数形成されており、開口部11aに供給されたクーラントを濾過して通過させる。このため、小孔13の直径は、切屑を通過させない程度にする。小孔13としては、比較的広い間隔を有する配置としたり、あるいはメッシュ状に形成してもよい。尚、本実施の形態では、小孔13は周壁部11のみに形成されているが、周壁部11の他に底部12に形成されていてもよい。
周壁部11は、筒形状の中心軸を中心とする回転によりホルダ組立体40に対して螺合されるねじ部11bと、外周側で中心軸に沿って平面状に形成された複数の平面部11cと、を有する。本実施の形態では、周壁部11は、例えば断面六角形の筒形状としている。但し、筒形状の断面形状は六角形には限られず、例えば、四角形等の他の多角形や、円形や楕円形としてもよい。
ここで、装着孔33はフィルタ10の外径よりも大きい内径を有しているが、例えば、フィルタ10が断面多角形状である場合は、フィルタ10の最大径を装着孔33の内径と同等にしても、装着孔33の内面と平面部11cとの間の空間を確保でき、小孔13が閉塞されることを抑制できる。
周壁部11のねじ部11bは、プルスタッド20の内ねじ部24に螺合可能になっており、螺合によりプルスタッド20に対してフィルタ10が装着される。即ち、プルスタッド20は、フィルタ10を着脱可能であり、フィルタ10の装着時にはフィルタ10と一体的にツールホルダ30に着脱可能である。フィルタ10が装着されたプルスタッド20は、ツールホルダ30に対して離脱可能に装着される。このため、フィルタ10は、ホルダ組立体40に対して着脱可能である。また、フィルタ10は、シャンク部31の内部に配置されている。
上述したホルダ組立体40を組み立てる際は、フィルタ10のねじ部11bをプルスタッド20の内ねじ部24に螺合する。そして、フィルタ10が組み付けられたプルスタッド20をツールホルダ30の装着孔33に挿入し、プルスタッド20の外ねじ部23をツールホルダ30の雌ねじ部34に螺合する。この時、フィルタ10の周壁部11に複数の平面部11cが形成されているので、例えばペンチ等の工具を使用して容易に螺合することができる。これにより、プルスタッド20のシール部22が装着孔33との間でシールを行い、クーラントの漏れを防止する。また、装着孔33は、フィルタ10の外径よりも大きい内径を有しているので、フィルタ10は装着孔33の内面に当接することなく設置され、小孔13は塞がれることなくクーラントの濾過を行うことができる。
上述したホルダ組立体40を工作機械に装着して使用する際は、工作機械からプルスタッド20の流通孔25にクーラントが供給され、クーラントは流通孔25を流通してフィルタ10の内部に流入される。クーラントは、フィルタ10の多数の小孔13により濾過されてフィルタ10の外部に流出し、装着孔33を流通して工具本体50に供給される。ここで、小孔13は、周壁部11の軸方向に沿って配置されているので、切屑は周壁部11の内側で底部12の方から溜まっていく。切屑が蓄積することで底部12の方から小孔13の目詰まりが発生しても、開口部11aの方の小孔13は目詰まりしていないため、フィルタ10としての機能は継続される。即ち、周壁部11は有底の筒形状であるので、フィルタ機能を維持しながらも多量の切屑を蓄積することができる。切屑が蓄積したフィルタ10は、ホルダ組立体40から離脱して、クリーニングして再び使用したり、他のフィルタと交換することができる。
以上説明したように、本実施の形態のフィルタ10によると、多数の小孔13が形成された筒形状の周壁部11に底部12を有するので、流路に略直交する円板状のフィルタに比べて目詰まりを発生しにくくして、目詰まりするまでの使用期間を長期化するので交換の頻度を低減することができる。
また、本実施の形態のフィルタ10によれば、シャンク部31の内部に配置されているので、流路の上流部に配置される。このため、クーラントに混入した切屑を早期に除去することができる。
尚、上述した実施の形態では、フィルタ10をプルスタッド20に装着する場合について説明したが、これには限られず、フィルタ10をツールホルダ30に直接装着してもよい。あるいは、フィルタ10をプルスタッド20及びツールホルダ30のいずれにも固定せず、例えば、プルスタッド20及びツールホルダに挟持されるように保持してもよい。即ち、フィルタ10は、ホルダ組立体40のいずれかの部分に対して着脱可能であればよい。
また、本実施の形態では、フィルタ10をシャンク部31の内部に配置する場合について説明したが、これには限られず、他の部位に配置してもよい。
尚、本実施の形態は、以下の構成を少なくとも備える。本実施の形態のフィルタ(10)は、工具本体(50)を保持可能で工作機械に着脱可能なツールホルダ(30)と、前記ツールホルダ(30)に取り付けられるプルスタッド(20)と、を有するホルダ組立体(40)の内部に形成されると共にクーラントを前記工具本体(50)に供給する流路(25,33)に介在され、前記ホルダ組立体(40)に対して着脱可能に設けられ、筒形状に形成された周壁部(11)と、前記周壁部(11)の一方側に開口した開口部(11a)と、前記周壁部(11)の他方側に設けられた底部(12)と、少なくとも前記周壁部(11)において、前記開口部(11a)から前記底部(12)への方向に沿って複数配置され、前記開口部(11a)に供給されたクーラントを濾過して通過させる小孔(13)と、を有する。この構成によれば、多数の小孔(13)が形成された筒形状の周壁部(11)の他方側に底部(12)を有するので、流路に略直交する円板状のフィルタに比べて目詰まりを発生しにくくして、目詰まりするまでの使用期間を長期化するので交換の頻度を低減することができる。
また、本実施の形態のフィルタ(10)では、前記周壁部(11)は、筒形状の中心軸を中心とする回転により前記ホルダ組立体(40)に対して螺合されるねじ部(11b)と、外周側で前記中心軸に沿って平面状に形成された複数の平面部(11c)と、を有する。この構成によれば、フィルタ(10)をホルダ組立体(40)に螺合する際に、例えばペンチ等の工具を使用して平面部(11c)を把持することにより、容易に螺合することができる。
また、本実施の形態のプルスタッド(20)では、上記のフィルタ(10)を着脱可能であり、装着時には前記フィルタ(10)と一体的に前記ツールホルダ(30)に着脱可能になる。この構成によれば、フィルタ(10)をプルスタッド(20)と共にツールホルダ(30)に組み付けることができるので、組み立て時の作業性を向上することができる。
また、本実施の形態のツールホルダ(30)では、前記フィルタ(10)が装着された上記のプルスタッド(20)が離脱可能に装着される。この構成によれば、フィルタ(10)をプルスタッド(20)と共にツールホルダ(30)に組み付けることができるので、組み立て時の作業性を向上することができる。
また、本実施の形態のツールホルダ(30)では、前記プルスタッド(20)が装着されると共に、前記フィルタ(10)の外径よりも大きい内径である装着孔(33)を有する。この構成によれば、フィルタ(10)の小孔(13)と装着孔(33)の内壁との間で隙間が確保されるので、小孔(13)が閉塞されることを抑制できる。
また、本実施の形態のツールホルダ(30)では、前記工作機械に装着されると共に、前記フィルタ(10)が内部に配置されるシャンク部(31)を有する。この構成によれば、フィルタ(10)は、ホルダ組立体(40)の内部で流路(25,33)の上流部に配置されるので、クーラントに混入した切屑を早期に除去することができる。
10 フィルタ
11 周壁部
11a 開口部
11b ねじ部
11c 平面部
12 底部
13 小孔
20 プルスタッド
25 流通孔(流路)
30 ツールホルダ
31 シャンク部
33 装着孔(流路)
40 ホルダ組立体
50 工具本体

Claims (5)

  1. 工具本体を保持可能で工作機械に着脱可能なツールホルダに取り付けられ、クーラントを流通させるクーラント油路と、前記クーラント油路の内周部に形成された雌ねじ部と、を有するプルスタッドと、
    前記ツールホルダ及び前記プルスタッドを有するホルダ組立体の内部に配置されると共に前記クーラント油路を介してクーラントを前記工具本体に供給する流路に介在され、前記プルスタッドに対して着脱可能に設けられ、
    筒形状に形成された周壁部と、
    前記周壁部の外周部に形成され、前記雌ねじ部に螺合する雄ねじ部と、
    前記周壁部の前記プルスタッド側に開口した開口部と、
    前記周壁部の前記開口部より前記工具本体側に設けられた底部と、
    少なくとも前記周壁部において、前記開口部から前記底部への方向に沿って複数配置され、前記開口部に供給されたクーラントを濾過して通過させる小孔と、を有するフィルタと、を備えるフィルタ組立体
  2. 前記周壁部は、外周側で筒形状の中心軸に沿って平面状に形成された複数の平面部を有する請求項1に記載のフィルタ組立体
  3. 前記フィルタが装着された請求項1又は2に記載のプルスタッドが離脱可能に装着されるツールホルダ。
  4. 前記プルスタッドが装着されると共に、前記フィルタの外径よりも大きい内径である装着孔を有する請求項3に記載のツールホルダ。
  5. 前記工作機械に装着されると共に、前記フィルタが内部に配置されるシャンク部を有する請求項3又は4に記載のツールホルダ。
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