JP6525818B2 - 液体吐出装置 - Google Patents
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Description
このような凹部に付着した付着物を除去するために、特許文献1には、溶剤を含浸させた織布を用いて付着物を除去するクリーニング機構を備えた印刷装置が記載されている。厚みのある織布を用いることで、織布が凹部に入り込んで、凹部に付着した付着物を除去することができる。
また、液体吐出装置の分野では、吐出する液体中の水分が蒸発することによって液体の粘度が上昇し、吐出不良が発生するという問題がある。この問題に対して、従来は、画像を形成する直前に、増粘した液体を排出して、吐出口内部の液体をリフレッシュする予備の液体吐出が行われている。
本願発明者はこのような問題に対して、溶剤を含浸させた布などによって吐出口形成面を拭いて吐出口形成面に溶剤の膜を形成すると、液体中の水分の蒸発を抑制して吐出不良の発生を抑制することができることを見出した。また、吐出口形成面を拭く動作の頻度を増やすことによって、吐出口形成面に付着したミスト状の液体が固化して付着物になる前の状態で、吐出口形成面上の液体を除去すれば、吐出不良を抑制することができる。このような吐出口形成面を拭くメンテナンス動作は、例えば特許文献1に記載のクリーニング機構を用いることで実現することができる。
しかしながら、特許文献1に記載のクリーニング機構は、吐出口形成面に付着した付着物を除去するメンテナンス動作を行うことを目的としている。このため、付着物を除去する際と同じ動作条件で、このクリーニング機構を用いると、吐出不良を十分に抑制することができない場合があるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み、吐出不良の発生を抑制することを目的とする。
液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口形成面を有する液体吐出ヘッドと、
溶剤が含浸されたメンテナンス部材と、
前記メンテナンス部材が前記吐出口形成面に第1の当接力で当接した状態で前記メンテナンス部材によって前記吐出口形成面を払拭する第1の動作と、前記メンテナンス部材が前記吐出口形成面に前記第1の当接力よりも小さい第2の当接力で当接した状態で前記メンテナンス部材によって前記吐出口形成面を払拭する第2の動作と、を行わせる制御部と、を備える液体吐出装置において、
前記制御部は、前記吐出口から液体が吐出されない非吐出時間が第1の閾値以上のときに前記第2の動作を行わせることを特徴とする。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体吐出装置100の物理構成を示す図である。液体吐出装置100は、液体吐出ヘッド401と、メンテナンスユニット402と、加熱ヒータ403と、搬送ローラ404と、補助ローラ405と、給紙ローラ406とを有する。
液体吐出ヘッド401は、記録用の液体を貯蔵する液体タンク(図示せず)と、液体タンクに貯蔵された液体を吐出する吐出口(図示せず)とを有している。以下、液体吐出ヘッド401の吐出口が形成された面であって外側に露出している面を吐出口形成面と称する。吐出口形成面には、複数の吐出口が列状に並設されており、吐出口列が形成されている。液体タンクには、複数の種類の液体、例えばそれぞれ異なる複数の色の液体が封入されている。これらの液体は、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)の6色の液体であってよい。液体吐出ヘッド401は、図示しないキャリッジに支持されて移動することができ、矢印X方向に走査しながら液体を記録媒体407上に吐出する。
搬送ローラ404は、補助ローラ405との間に記録媒体407を挟み、矢印方向に回転することで、記録媒体407をY方向に搬送する。また給紙ローラ406は、記録媒体407の給紙を行うと共に、搬送ローラ404および補助ローラ405と同様に記録媒体407を挟んで押さえる。搬送ローラ404、補助ローラ405、および給紙ローラ406は、液体吐出ヘッド401が1回分の走査による画像を形成すると、記録媒体407を所定量搬送する。液体吐出ヘッド401は、記録媒体407が所定量搬送されると、次の走査による記録を開始する。液体吐出装置は、この記録の走査と記録媒体407の搬送とを繰り返すことによって、所望の画像を形成する。
加熱ヒータ403は、記録媒体407上の液体吐出ヘッド401から液滴が着弾される付近を加熱するように配置されている。加熱ヒータ403は、記録媒体407上に着弾した液滴を乾燥させて液滴中の水分を蒸発させる。これにより、記録媒体407上に着弾した液滴同士が寄り集まって印字不良が生じることを抑制することができる。
メンテナンスユニット402は、液体吐出ヘッド401の吐出口形成面をクリーニングする清掃動作である第1動作と、第1動作と異なる動作条件で行われる第2動作とを行う。
図2(a)は、このメンテナンスユニット402の断面構成を模式的に示す図である。メンテナンスユニット402は、メンテナンス部材408、メンテナンス部材巻取りローラ409、メンテナンス部材搬送ローラ410、当接部材411、およびバネ412をガイド413内に有している。
メンテナンス部材408は、水分を保持する機能を有する布状の部材であって、例えば溶剤が含浸された不織布である。溶剤は、保湿機能およびインクの固着物を溶解する機能を有する。溶剤は、例えばポリエチレングリコールと水とを9対1の割合で混合したものである。メンテナンス部材408の幅は、液体吐出ヘッド401の吐出口列の長さよりも例えば5mm広い。またメンテナンス部材408の厚みは、吐出口形成面の孔に付着した付着物を除去することができるように、例えば0.36mmである。
メンテナンス部材408は、メンテナンス部材巻取りローラ409およびメンテナンス部材搬送ローラ410に巻かれている。メンテナンス部材408は、メンテナンス部材巻取りローラ409が図の矢印方向に回転することによって搬送される。メンテナンス部材搬送ローラ410にはトルクリミッター(不図示)が内蔵されており、メンテナンス部材巻取りローラ409の回転方向に対してテンションが掛る構成となっている。この構成によりメンテナンス部材408は弛みない状態を維持している。
またメンテナンスユニット402は、ゴムなどの弾性体からなる当接部材411と、当接部材411にかかる衝撃を吸収するバネ412とをさらに有する。当接部材411およびバネ412は、図示しないリフト機構によって図の矢印方向(メンテナンス部材408の面に対して概ね垂直方向)に任意の距離移動することができる。
ガイド413は、メンテナンス部材408の露出している部分以外を密閉するようにメンテナンスユニット402の各部品を収容している。これによって、メンテナンス部材408に含浸された溶剤の乾燥や、ゴミの侵入を防止することができる。
図2は、メンテナンスユニット402によるメンテナンス動作の概要を説明するための図である。図2(b)に示したように、本実施形態では、メンテナンスユニット402のメンテナンス部材408が露出した面と液体吐出ヘッド401の吐出口形成面401aとが対向した状態で、液体吐出ヘッド401をメンテナンスユニット402上で移動させる。このとき、当接部材411およびバネ412をリフト機構によって移動させて、メンテナンス部材408が当接部材411によって持ち上げられた部分が、液体吐出ヘッド402の吐出口形成面401aよりも上方に突出するようにする。この状態で図2(c)に示したように液体吐出ヘッド401を矢印の方向に移動させると、メンテナンス部材408が当接部材411によって持ち上げられた部分が、吐出口形成面401aに当接した状態で吐出口形成面401a上を移動することになる。このとき当接部材411は弾性部材からなるため、メンテナンス部材408を介して吐出口形成面401aと接触したときに当接力により反った形状となる。ここで吐出口形成面401aとメンテナンス部材408とがメンテナンス部材408を持ち上げた方向で重なり合うオーバーラップ量によって、当接部材411が吐出口形成面401aに当接する当接力が変化する。オーバーラップ量が大きいほど、当接力も大きくなる。また液体吐出ヘッド401がメンテナンスユニット402上を移動するスピードは、変更することが可能である。オーバーラップ量と液体吐出ヘッド401の移動スピードとを制御することで、メンテナンスユニット402は、複数種類のメンテナンス動作を行うことができる。
続いて、上記のメンテナンス動作を行うための液体吐出装置100の機能構成について説明する。図3は、液体吐出装置100の機能構成を概略的に示すブロック図である。液体吐出装置100は、入出力インタフェース301と、CPU(Central Processing Unit)302と、ROM(Read Only Memory)303と、RAM(Random Access Memory)304とを有する。また液体吐出装置100は、モータドライバ305と、駆動用モータ306と、ヘッドドライバ307と、第1液体吐出ヘッド401とをさらに有する。
入出力インタフェース301は、液体吐出装置100と外部装置との接続インタフェースである。入出力インタフェース301は、例えばホストコンピュータ300と接続することができる。液体吐出装置100は、ホストコンピュータ300から記録情報を制御信号として受信する。入出力インタフェース301は、制御情報を一時的に記憶すると同時に、制御情報を液体吐出装置100内部で処理することが可能なデータ形式に変換する。入出力インタフェース301は、データ形式を変換した制御情報をCPU302に入力する。
CPU302は、ROM303に保存されている制御プログラムを読み込み、この制御プログラムを実行することで、液体吐出装置100の動作を制御する制御部である。CPU302は例えば、CPU302に入力された制御情報をRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、記録するデータ(記録データ)に変換する。またCPU302は、記録媒体407および液体吐出ヘッド401を移動させる駆動用モータ306を駆動するための駆動データを生成する。駆動データは、記録データを記録媒体407上の適切な位置に記録するために、記録データに同期して記録媒体407および液体吐出ヘッド401を移動させるためのデータである。記録データおよび駆動データは、それぞれヘッドドライバ307およびモータドライバ305を介して液体吐出ヘッド401、駆動モータ306に伝達される。この構成により、記録データおよび駆動データにより制御されたタイミングで記録が行われる。またここでは図示していないが、CPU302はメンテナンスユニット402が当接部材411を移動させるタイミングを制御することもできる。CPU302は、メンテナンスユニット402および駆動用モータ306を制御することで、メンテナンスユニット402によって液体吐出ヘッド401の吐出口形成面401aを拭くメンテナンス動作を実施させる制御部として機能することができる。またCPU302は、記録を開始する前に次の記録中に吐出口から液体の吐出が行われない非吐出時間を予測する非吐出時間予測部として機能することもできる。CPU302は、例えば記録データに基づいて非吐出時間を予測する。
図4A〜Cは、メンテナンスユニット402によるメンテナンス動作の一連の動きを説明するための図である。まず、図4A(a)に示すように、メンテナンス動作の開始前には、当接部材411がメンテナンス部材408を持ち上げた状態で待機している。液体吐出ヘッド401の走査位置は、エンコーダ414によってモニタされており、図4A(b)に示すように液体吐出ヘッド401が所定の位置(図のA地点)を通過するときにタイマーの作動が開始される。図4A(c)に示すように、吐出口形成面401aに付着物415が付着した液体吐出ヘッド401が当接部材411の頂点を通過する際に、付着物415はメンテナンス部材408によって吐出口形成面401aから除去される。液体吐出ヘッド401がA地点を通過して所定時間が経過した後(例えば0.5秒後)、当接部材411は降下される。当接部材411を降下した後、図4B(d)に示したように、メンテナンス部材408には、吐出口形成面401aに付着していた付着物415が残される。
液体吐出ヘッド401は、走査の反転位置まで到達すると反転して、メンテナンスユニット402の上部を逆方向に走査して通過する。このとき当接部材411は降下しているので、図4B(e)に示すように、当接部材411は吐出口形成面401aに接触しない。当接部材411が降下されるまでの時間は、液体吐出ヘッド401の移動スピードに応じて設定される。このとき当接部材411は、液体吐出ヘッド401が当接部材411上を通過してから、液体吐出ヘッド401が反転してメンテナンスユニット402の上方を通過するまでの間に降下される。続いて図4B(f)に示すように、メンテナンス部材巻取りローラ409を矢印方向に所定量送ることで、メンテナンス部材408を所定量搬送する。これによって、液体吐出ヘッド401の吐出口形成面401aからメンテナンス部材408上に移された付着物415は当接部材411上からずれた位置に移動される。したがって、再び当接部材411が持ち上げられた際には、メンテナンス部材408のうち付着物415のないきれいな部分が吐出口形成面401aと当接する。付着物415の量によってメンテナンス部材408上の汚れた部分の面積が変わるため、メンテナンス部材408を巻き取る量は汚れ方に応じて調整される。メンテナンス部材408を巻き取った後、当接部材411が再び持ち上げられて、図4C(g)に示す状態となる。
CPU302が各種周辺ユニットを制御することで、上記のメンテナンス動作は繰り返される。また上述の通り、液体吐出ヘッド401の移動スピードおよびメンテナンス部材408が吐出口形成面401aと当接する当接力などのメンテナンス動作の動作条件を変えることで、液体吐出装置100は、様々なメンテナンス動作を行うことができる。
上記の例では、液体吐出ヘッド401を移動させることで当接部材411と吐出口形成面401aとの相対的な位置を変化させて、当接部材411が吐出口形成面401a上を相対的に移動することとした。しかしながら、本発明はかかる例に限定されない。例えば、当接部材411を移動させることで当接部材411と吐出口形成面401aとの相対的な位置を変化させて、当接部材411が吐出口形成面401aに当接した状態で当接部材411が吐出口形成面401a上を相対的に移動することとしてもよい。
続いて、本発明の第1の実施例について説明する。下記の表1は、本発明の第1の実施例におけるメンテナンス動作の動作条件の一例を示している。
まず本実施例では、第1動作を実施してからの液体吐出ヘッドの走査回数をカウントする構成となっている。CPU302は、印字(画像形成)が開始されると、前回第1動作を実施してからの走査回数を取得する(ステップS100)。
CPU302は、STEP1で取得した走査回数を用いて、付着物除去の実施判定を行う(ステップS101)。具体的にはCPU302は、液体吐出ヘッド401の吐出口形成面401aの温度(以下、ヘッド温度と称する)、液体の種類、および走査回数に基づいて、付着物除去を実施するタイミングであるか否かを判定する。このとき、ヘッド温度および液体の種類によって、付着物除去を実施する間隔は異なる。下記の表2は、付着物除去の実施タイミングを判定する条件の一例を示している。表2では、ヘッド温度と液体の種類ごとに、第1動作の実施間隔を示している。この例では、吐出口形成面401aの黒色の液体を吐出する部分に対しては、ヘッド温度が50℃未満の場合12走査毎に第1動作を実施し、ヘッド温度が50〜60℃の場合4走査毎に第1動作を実施する。またヘッド温度が60℃以上の場合2走査毎に第1動作を実施する。また吐出口形成面401aの黒色以外の液体を吐出する部分に対しては、ヘッド温度が50℃未満の場合12走査毎に第1動作を実施し、ヘッド温度が50℃以上の場合4走査毎に第1動作を実施する。
付着物除去を実施する頻度が高いほど、吐出不良を防ぐことができる可能性が高くなるが、付着物除去を実施すると、液体吐出ヘッド401の走査距離が長くなるため、画像形成の時間がより長く必要となる。吐出口形成面401aに付着する付着物の量や付着力は、吐出する液体の種類やヘッド温度によって異なる。このため本実施例では、上記の通り液体の種類およびヘッド温度に応じて付着物除去の実施間隔を変えている。
判定結果が「付着物除去を実施する」である場合、CPU302は、メンテナンスユニット402および駆動用モータ306を制御して、第1動作を実施させる(ステップS103)。第1動作を実施させると、CPU302は、走査回数をリセットする(ステップS104)。そしてCPU302は、次走査の印字を開始する(ステップS105)。
一方、判定結果が「付着物除去を実施しない」である場合、CPU302は、第1動作を実施せずに、走査回数をインクリメントする(ステップS106)。
そして、次走査で吐出不良が発生するか否かを判定する吐出不良判定を行う(ステップS107)。下記の表3は、液体吐出装置100の内部の温度および湿度と、吐出不良が発生するまでの閾値との対応関係の一例を示している。本実施例において、吐出不良が発生するまでの間隔を示す閾値である第1閾値は、吐出口から液体の吐出が行われない非吐出時間をこの吐出していない時間に液体吐出ヘッド401が進む距離(以下、非吐出距離と称する)で示している。
本実施例ではCPU302は、非吐出距離を記録データの空白領域から予測する。図6は、非吐出距離の予測方法の一例について説明するための図である。この例において、記録媒体は図中の矢印Y方向に搬送されながら画像が形成される。60インチ(152.4cm)幅の記録媒体に対して、画像としてタイプ1とタイプ2の2つのタイプがある。印字前に予備吐出が実施される予備吐出位置415と記録媒体の端部との間の距離は4インチ(10.16cm)である。まずタイプ1に示すように画像の中間部に36インチ(91.44cm)の空白データがある場合、非吐出距離は空白データ部分の距離36インチとなる。またタイプ2に示すように画像の端部に32インチ(81.28cm)の空白データがある場合、非吐出距離は画像端部からの距離32インチに予備吐出位置から画像端部までの距離4インチを加えた36インチとなる。このように空白領域の走査方向の場所によって算出方法が異なる。
この例では、次の走査で吐出不良が発生すると判断される閾値は、液体吐出装置100内部の湿度が20%未満の場合、温度が30℃未満で36インチ(91.44cm)であり、30℃以上で24インチ(60.96cm)である。また閾値は、湿度が20〜80%の場合、温度によらず60インチ(152.4cm)であり、湿度が80%以上の場合、温度によらず100インチ(254cm)である。
例を挙げて説明すると、図6に示したように非吐出距離が36インチの場合、例えば湿度が20%未満で温度が30℃以上であると、閾値は24インチであるため、非吐出距離が閾値以上となり、吐出不良が発生すると判断される。また湿度が50%であって温度が25℃である場合、閾値は60インチであるため、非吐出距離は閾値未満となり、吐出不良は発生しないと判断される。
ここでは簡単のため液体吐出装置100内部の温度および湿度毎に閾値を設定したが、液体の種類によって液体が乾燥する速度は異なるため、閾値は、液体の種類毎に設定することが好ましい。また液体吐出ヘッド401の走査速度によっても液体が乾燥する速度が異なるため、液体吐出ヘッド401の走査速度に応じて閾値を設定することがより好ましい。閾値を適切に設定することで、より適切なタイミングで第2動作が行われることになる。第2動作を行う頻度が高まると、記録にかかる時間が長くなり、第2動作を行う頻度が低すぎると吐出不良が発生してしまう。このため、記録にかかる時間を抑えつつ吐出不良が発生しないタイミングで第2動作を行うことが好ましい。
ステップS105で印字を開始すると、CPU302は印字が終了したか否かの判断を行う(ステップS110)。印字が終了した場合、当該動作を終了し、印字が終了していない場合、CPU302は、ステップS100の動作に戻る。
また、本実施例では、CPU302は、第1動作の実施間隔を吐出する液体の種類およびヘッド温度によって変更している。これにより、画像形成にかかる時間を抑制しつつ、吐出口の周辺の付着物を除去して吐出不良を低減することが可能になる。
また、本実施例では、CPU302は、記録を開始する前に、次の記録中に吐出口から液体の吐出が行われない非吐出時間を予測し、予測した非吐出時間が第1閾値以上である場合、第2動作を行わせる。これにより、非吐出時間に基づいて第2動作を行うか否かが判断され、記録にかかる時間を抑えつつ吐出不良を抑制することができるような、適切なタイミングで第2動作が行われるようになる。
また、本実施例では、CPU302は、液体の種類、環境温度、および環境湿度の少なくとも1つに基づいて第1閾値を決定する。これにより、液体の種類、環境温度、および環境湿度の少なくとも1つに依存して第2動作の行われるタイミングが決定されるため、より適切なタイミングで第2動作が行われるようになる。
また、本実施例では、CPU302は、液体吐出ヘッド401の走査速度に基づいて第1閾値を決定することもできる。これにより、より適切なタイミングで第2動作が行われるようになる。
本発明の第2の実施例について説明する。下記の表2は、本発明の第2の実施例におけるメンテナンス動作の動作条件の一例を示している。
第1の実施例では、第1動作と第2動作とで当接力を異ならせたが、本実施例では、液体吐出ヘッド401の走査速度を変えることで、メンテナンス部材408と吐出口形成面401aとの相対的な移動速度を異ならせている。
液体吐出ヘッド401が画像形成を行うときの走査速度を45ips(inch per second)(114.3cm/s)とする。このとき、CPU302は、第1動作における液体吐出ヘッド401の走査速度を45ipsとし、第2動作における液体吐出ヘッド401の走査速度を25ips(63.5cm/s)とする。
溶剤塗布を主目的とした第2動作では、液体吐出ヘッド401の走査速度が遅い方が、均一な膜を形成しやすいため、第1動作よりも液体吐出ヘッド401の走査速度を落として25ipsとしている。第2動作を実施する場合、CPU302は、液体吐出ヘッド401がメンテナンスユニット402上を通過する直前に走査速度を落として第2動作を実施し、第2動作が終了すると、再び走査速度を上げて印字を開始する。なお、表4の動作条件は一例であり、溶剤を塗布して膜を形成するために好適な条件は、例えば溶剤の種類やメンテナンス部材408の種類などによって異なるため、それぞれの構成に応じて走査速度を変えることが好ましい。
メンテナンス動作の詳細については、動作条件が異なるだけで第1の実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本発明の第3の実施例について説明する。下記の表5は、本発明の第3の実施例におけるメンテナンス動作の動作条件の一例を示している。
第1の実施例では、第1動作と第2動作とで当接力を異ならせ、第2の実施例では液体吐出ヘッド401の移動速度を異ならせた。本実施例では、第1動作と第2動作とで、当接力および液体吐出ヘッド401の移動速度の両方を異ならせる。
付着物除去を主目的としている第1動作では、CPU302は、オーバーラップ量を1.6mmとすることで、当接力を500gとしている。またCPU302は、第1動作では、液体吐出ヘッド401の走査速度を45ipsに設定している。一方、保湿剤を吐出口形成面401aに塗布して膜を形成することを主目的としている第2動作では、CPU302は、オーバーラップ量を0.8mmとすることで、当接力を250gとしている。またCPU302は、第2動作では、液体吐出ヘッド401の走査速度を25ipsに設定している。なお、表5の動作条件は一例であり、付着物を除去するために好適な条件や、溶剤を塗布して膜を形成するために好適な条件は、例えば溶剤の種類やメンテナンス部材408の種類などによって異なる。このため、それぞれの構成に応じて走査速度を変えることが好ましい。
メンテナンス動作の詳細については、動作条件が異なるだけで第1の実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本発明の第4の実施例について説明する。図7は、本発明の第4の実施例の印字動作を説明するためのフローチャートである。ステップS100〜ステップS106は図5で説明した第1の実施例と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施例では、CPU302は、吐出口形成面401aにミスト状の液滴が付着して固化する前のヌレの状態で吐出口形成面を拭いてヌレを除去する。これにより、液滴を付着物となる前に除去することができるため、吐出不良の抑制を容易にすることができる。ヌレの除去を目的とする場合、付着物の除去よりも頻繁に吐出口形成面401aを拭く動作が行われるため、付着物の除去を目的とする第1動作と同じ動作条件で行うと、吐出口形成面401aが摩耗してしまう。このため、本実施例では、ヌレの払拭を目的とするメンテナンス動作を、第1動作よりも当接力が弱い第2動作とする。
具体的には、ステップS106で走査回数をインクリメントした後に、CPU302はヌレ払拭を実施するか否かを判定するヌレ払拭実施判定を行う(ステップS200)。ヌレ払拭実施判定においてCPU302は、吐出口から液体を吐出した回数(以下、吐出数と称する)をカウントする吐出数カウンタとして機能することができる。またCPU302は、吐出数をカウントする際に、記録データに基づいて、吐出数に重み付けを行うことができる。またこの重み付けの係数は、吐出する液体の種類によって異ならせてもよい。下記の表6は、吐出数の重み付け係数を画像DUTYごとに示している。
重み付係数は、液体の色が黒色である場合、画像DUTYが50%より大きい場合には1であり、40〜50%では0.7であり、30〜40%では0.4であり、30%未満では0.1である。また黒色以外の液体では、ミスト状となる液体の量が少ないため、同じ画像DUTYに対応する重み付け係数は黒色に比べて小さい。
CPU302は、カウントした吐出数とヌレ払拭を実施するか否か判定するための第2閾値とを比較して、ヌレ払拭の実施判定を行う。具体的にはCPU302は、カウントした吐出数が2×108以上となった場合、吐出口形成面401aのヌレによって吐出不良が発生する可能性があると判断して、「ヌレ払拭を実施する」と判定する。またCPU302は、カウントした吐出数が2×108未満である場合、吐出不良が発生する可能性がないと判断して、「ヌレ払拭を実施しない」と判定する。
CPU302は、ヌレ払拭実施判定を行うと、続いて、判定結果が「ヌレ払拭を実施する」であるか否かを判断する(ステップS201)。判定結果が「ヌレ払拭を実施する」である場合、CPU302は、第2動作を実施する(ステップS109)。判定結果が「ヌレ払拭を実施する」でない場合、すなわち、判定結果が「ヌレ払拭を実施しない」である場合、CPU302は、第2動作を実施せずに次の印字を開始する(ステップS105)。ステップS105およびステップS109以降の処理については、第1の実施例と同様であるためここでは説明を省略する。第1動作および第2動作の動作条件は、第1の実施例と同様である。
本実施例では、CPU302は、吐出口形成面401aの液体によるヌレを払しょくすることを目的として第2の動作を行わせる。ヌレ払拭を目的とする場合にも、溶剤の塗布を目的とする場合と同様に、吐出口形成面401aに対するメンテナンス部材408の当接力は、付着物の除去を目的とする場合ほど強い必要はない。このため、当接力の弱い第2動作を実施ることによって、強い当接力で第1動作を繰り返すことによる吐出口形成面401aの摩耗を抑制することができる。
本実施例では、ヌレ払拭実施を判定するための第2閾値を2×108としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、第2閾値は、吐出する液体の種類などの条件に応じた値とすることが好ましい。
例えば、上記第1〜第3の実施例では吐出口形成面401aに溶剤の膜を形成することを目的とし、第4の実施例では吐出口形成面401aのヌレを払しょくすることを目的として、それぞれ異なる条件で第2動作を行うか否かを判断している。具体的には、第1〜第3の実施例では、非吐出時間が所定の条件を満たした場合に第2動作を行い、第4の実施例では、吐出数が所定の条件を満たした場合に第2動作を行っている。しかしながら、本発明はかかる例に限定されず、第2動作は、非吐出時間が所定の条件を満たした場合と、吐出数が所定の条件を満たした場合の両方とも行うこととしてもよい。
401 液体吐出ヘッド
402 メンテナンスユニット
408 メンテナンス部材
Claims (7)
- 液体を吐出する吐出口が設けられた吐出口形成面を有する液体吐出ヘッドと、
溶剤が含浸されたメンテナンス部材と、
前記メンテナンス部材が前記吐出口形成面に第1の当接力で当接した状態で前記メンテナンス部材によって前記吐出口形成面を払拭する第1の動作と、前記メンテナンス部材が前記吐出口形成面に前記第1の当接力よりも小さい第2の当接力で当接した状態で前記メンテナンス部材によって前記吐出口形成面を払拭する第2の動作と、を行わせる制御部と、を備える液体吐出装置において、
前記制御部は、前記吐出口から液体が吐出されない非吐出時間が第1の閾値以上のときに前記第2の動作を行わせることを特徴とする液体吐出装置。 - 前記制御部は、非吐出距離に基づいて前記非吐出時間を予測することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
- 前記制御部は、記録データに基づいて前記非吐出距離を予測することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
- 前記第2の動作のときの前記メンテナンス部材と前記吐出口形成面とのオーバーラップ量は、前記第1の動作のときの前記メンテンス部材と前記吐出口形成面とのオーバーラップ量よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記第2の動作のときの前記メンテナンス部材に対する前記液体吐出ヘッドの相対移動速度は、前記第1の動作のときの前記メンテナンス部材に対する前記液体吐出ヘッドの相対移動速度よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記制御部は、前記液体吐出ヘッドの走査回数が所定回数以上になると前記第1の動作を行わせることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
- 前記制御部は、前記吐出口から液滴を吐出した吐出数が第2の閾値以上のときに前記第2の動作を行わせることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
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