JP6524503B2 - 段ボールシート給紙装置 - Google Patents

Description

本発明は、段ボールシート給紙装置に係わり、特に、積層された段ボールシートを１枚ずつ送り出すための段ボールシート給紙装置に関する。

従来から、段ボールシートの送り出し方向に沿って回転する複数の給紙ローラと、給紙ローラに対して昇降することで給紙ローラと段ボールシートとの接離を調整するグレイトとを用いて、積層された段ボールシートを１枚ずつ印刷装置に向けて送り出す段ボールシート給紙装置（いわゆるロータリーフィーダー）が、段ボールシートの製函機に適用されている。

この種の段ボールシート給紙装置が、例えば特許文献１乃至３に開示されている。特許文献１には、駆動シャフト（５８）の回転運動が機械的なトランスミッション（５６）を介して、各構成要素の動作に変換される段ボールシート給紙装置が開示されている。これに対して、特許文献２には、駆動モータを所定の速度制御パターンに基づいて制御（電子カム制御）して各構成要素を動作させることで、特許文献１に記載されたような機械的なトランスミッションを不要とした段ボールシート給紙装置が開示されている。

米国特許第４６１４３３５号公報 特許第４９７６３６２号公報

一般的な段ボールシート給紙装置では、グレイトが給紙ローラを跨いで昇降動作を行えるように、複数の給紙ローラを受け入れる複数の開口部がグレイトに形成されているが、段ボールシート給紙装置の運転中に作業者が給紙ローラ及びグレイトを含む給紙部での作業（例えば、給紙部に載置された段ボールシートの端を揃える作業や、給紙部に載置された段ボールシートの引っ掛かりを直す作業など）を行うと、このようなグレイトの開口部と給紙ローラとの隙間に指が入り込んで、給紙ローラとグレイトとの間に指が挟まれる恐れがある。より詳しくは、給紙ローラとグレイトの開口部との隙間は、グレイトが下降位置にあるときにグレイトが上昇位置にあるときよりも小さくなるため、グレイトが上昇位置にあるときに隙間に指が入り込み、こうして隙間に指が入り込んだ状態でグレイトが下降すると、指が給紙ローラとグレイトとの間に挟まれて負傷する可能性がある。したがって、従来の段ボールシート給紙装置では、安全性を確保すべく、給紙ローラとグレイトの開口部との隙間を十分に大きく形成することで、給紙ローラとグレイトとの間に指が挟まれないようにして負傷することを確実に防止するようにしていた。
なお、本明細書では、上記したグレイトの「開口部」は、給紙ローラを受け入れる貫通孔（開口）自体を意味するのではなく、貫通孔を含むグレイトの部分を意味するものとする、つまり貫通孔だけでなく貫通孔を形成する縁端部も含む部分を意味するものとする。

ところで、一般的な段ボールシート給紙装置では、複数の給紙ローラ及びグレイトを筐体としてのサクションボックスの上部に設け、このサクションボックスに取り付けた吸引装置によって吸引することで、主に給紙ローラとグレイトの開口部との隙間を介して最下層の段ボールシートを下方に吸引するようにしている。このように段ボールシートに下方への吸引力を付与して、段ボールシートを給紙ローラの方向へ付勢することで、給紙ローラによるグリップ力が段ボールシートに適切に付与されるようにして、給紙ローラによる段ボールシートの送り出し精度が確保されるようにしている。

ここで、給紙ローラ及びグレイトのほぼ全体に段ボールシートが載っている状態（つまり最下層の１枚の段ボールシートの送り出し初期の段階）では、給紙ローラとグレイトの開口部との隙間のほぼ全体が段ボールシートで塞がれているため、吸引装置によりサクションボックスにおいて発生する負圧が大きくなる。しかし、最下層の１枚の段ボールシートが送り出されていくと、給紙ローラ及びグレイトにおいて段ボールシートが載っていない部分が生じ、この部分にある給紙ローラとグレイトの開口部との隙間から空気がサクションボックス内に流入することで、吸引装置によりサクションボックスにおいて発生する負圧が小さくなっていく。このようなことから、段ボールシート給紙装置による段ボールシートの送り出し中に、吸引装置によりサクションボックスにおいて発生する負圧が変動するのである。この負圧の変動が大きいと（特に負圧が大きく減少したとき）、上記した給紙ローラによる適切なグリップ力が段ボールシートに付与されずに、給紙ローラによる段ボールシートの送り出し精度が低下して、段ボールシート給紙装置による給紙ずれが生じる。

このようなサクションボックスにおいて発生する負圧の変動を小さくするには、給紙ローラとグレイトの開口部との隙間の大きさを小さく形成することが考えられる。給紙ローラとグレイトの開口部との隙間の大きさを小さくすれば、この隙間からサクションボックス内に流入する空気の量が減り、その結果、負圧の変動が小さくなる。しかしながら、給紙ローラとグレイトの開口部との隙間を小さくすると、上記したように、給紙ローラとグレイトとの間に指が挟まれて作業者が負傷する可能性が高まり、段ボールシート給紙装置の安全性が低下する。

従って、本発明は、安全性を適切に確保しつつ、吸引により筐体において発生する負圧の変動を小さくして、段ボールシートの送り出し時における給紙ずれを抑制することができる段ボールシート給紙装置を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するために、本発明は、積層された段ボールシートを１枚ずつ送り出すための段ボールシート給紙装置であって、段ボールシートの送り出し方向に沿って回転して、積層された段ボールシートのうちの最下層の段ボールシートを送り出す複数の給紙ローラと、段ボールシートが載置されるよう板状に形成されると共に、複数の給紙ローラのそれぞれを受け入れる複数の開口部が形成され、給紙ローラに対して昇降して、給紙ローラと最下層の段ボールシートとの接触状態と非接触状態とを切り替える昇降部材と、複数の給紙ローラ及び昇降部材が上部に設けられ、これらによって上面の一部分が形成された筐体であって、この筐体には吸引装置が更に取り付けられ、この吸引装置による吸引によって、給紙ローラと昇降部材の開口部との隙間を介して最下層の段ボールシートを下方に吸引する、筐体と、を有し、段ボールシート給紙装置は、給紙ローラと昇降部材の開口部との隙間寸法が１０ｍｍ以下に形成され、更に、段ボールシートを送り出している間に、給紙ローラ及び昇降部材を含む給紙部での作業を行うためのエリアへの人の進入を検知する人検知装置と、人検知装置が人の進入を検知したときに、給紙ローラ及び昇降部材の少なくとも一方の動作を停止させる制御装置と、を有することを特徴とする。

このように構成された本発明によれば、吸引装置により筐体において発生する負圧の変動が小さくなり、段ボールシートの送り出し中に給紙ローラによるグリップ力を段ボールシートに適切に付与し続けることができる。よって、段ボールシートの送り出し精度を確保することができる、つまり、段ボールシート給紙装置による送り出し時における給紙ずれを改善することができる。
また、本発明による段ボールシート給紙装置では、人検知装置を用いて、給紙部での作業を行うためのエリアへの人の進入を検知して、人検知装置が人の進入を検知したときに、制御装置が給紙ローラ及び／又は昇降部材の動作を停止させるので、給紙ローラと昇降部材との間に指が挟まれて負傷することを確実に防止することができる。よって、段ボールシート給紙装置の安全性を適切に確保することができる。

本発明において、好ましくは、制御装置は、最下層の１枚の段ボールシートを送り出すための給紙ローラ及び昇降部材の１サイクルの動作が完了したタイミングで、給紙ローラ及び昇降部材の少なくとも一方の動作を停止させる。
このように構成された本発明によれば、人検知装置が人の進入を検知した場合において、給紙ローラ及び昇降部材の１サイクルの動作が完了したタイミングで、給紙ローラ及び／又は昇降部材の動作を停止させるので、１サイクルの途中で動作が停止されることがなく、段ボールシートの送り出しの不良や段ボールシート給紙装置の下流側での処理の不良（印刷不良など）を抑制することができる。

本発明において、好ましくは、制御装置による給紙ローラ及び昇降部材の少なくとも一方の停止状態を解除するための解除ボタンを更に有し、制御装置は、人検知装置が人を検知しなくなり、且つ、解除ボタンがオンになったときに、給紙ローラ及び昇降部材の少なくとも一方の停止状態を解除して、その動作を開始させる。
このように構成された本発明によれば、給紙ローラ及び／又は昇降部材の動作を停止している間に、人検知装置が人を検知しなくなり、且つ、解除ボタンがオンになったときに、給紙ローラ及び／又は昇降部材の停止状態を解除して、それらの動作を開始させるので、段ボールシート給紙装置の安全性が確実に担保された状態において給紙ローラ及び／又は昇降部材の動作を再開させることができる。

本発明において、好ましくは、制御装置は、給紙ローラ及び昇降部材の両方の動作を停止させる。
このように構成された本発明によれば、給紙ローラと昇降部材との間に指が挟まれて負傷することを、より確実に防止することができる。

本発明において、好ましくは、制御装置は、給紙ローラの動作を停止させずに、昇降部材の動作のみを停止させる。
給紙ローラと昇降部材との間に指が挟まれる事象は昇降部材の動作に主に起因するものなので、上記の本発明では、昇降部材の動作のみを停止させることとし、給紙ローラの動作を維持する。これにより、安全性を担保しつつ、停止させる装置を最小限に止めることで、停止状態からの再開動作を容易に行うことが可能となる。

本発明において、好ましくは、給紙ローラと昇降部材の開口部との隙間寸法が５ｍｍ以下に形成されている。
このように構成された本発明によれば、給紙ローラと昇降部材の開口部との隙間寸法を５ｍｍ以下に形成することで、吸引装置により筐体において発生する負圧の変動をより効果的に小さくすることができ、段ボールシート給紙装置による送り出し時における給紙ずれを大幅に改善することができる。

本発明において、好ましくは、人検知装置は、給紙部での作業を行うためのエリアの床面に設けられたマットスイッチである。
このように構成された本発明によれば、簡易な構成にて、このエリアへの人の進入を確実に検知することができる。

本発明において、好ましくは、給紙ローラ及び昇降部材は、段ボールシート給紙装置が送り出した段ボールシートに対する処理を行う下流側の装置と独立して駆動されるように構成されている。
このように構成された本発明によれば、給紙ローラ及び／又はグレイトの動作を停止させても、段ボールシート給紙装置の下流側の装置の動作を適切に継続させることができる。そのため、給紙ローラ及び／又はグレイトを停止させても、段ボールシート給紙装置から既に送り出された段ボールシートに対する処理を、段ボールシート給紙装置の下流側の装置で適切に行わせることができる。

本発明による段ボールシート給紙装置によれば、安全性を適切に確保しつつ、吸引により筐体において発生する負圧の変動を小さくして、段ボールシートの送り出し時における給紙ずれを抑制することができる。

本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置が適用された製函機の全体を示す概略側面図である。 本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置の外観を概略的に示した斜視図である。 本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置の給紙部などの斜視図である。 本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置の給紙部を、図３中のIV−IV線に沿って見た断面図である。 本発明の実施形態による給紙ローラとグレイトの開口部との隙間寸法の説明図である。 本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置が適用された製函機の電気的構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態において制御装置が給紙ローラ及びグレイトに対して実行する基本制御を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態による給紙ローラ及びグレイトの停止制御を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置及び比較例による段ボールシート給紙装置を示す断面図である。 本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置と比較例による段ボールシート給紙装置から得られた負圧変動を示す図である。

以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置について説明する。

＜全体構成＞
まず、図１を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置が適用された製函機の全体構成について説明する。図１は、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置が適用された製函機の全体を示す概略側面図である。

図１に示すように、製函機１００は、上下方向に積層された段ボールシートＳＨを１枚ずつ送り出す段ボールシート給紙装置ＰＦ（以下では適宜「段ボールシート給紙装置１」と表記する。）と、この段ボールシート給紙装置１によって送り出された段ボールシートＳＨに印刷を施す印刷装置ＰＲと、この印刷装置ＰＲによって印刷が施された段ボールシートＳＨに対して罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成する加工を施すクリーザスロッタＣＳと、このクリーザスロッタＣＳによって加工が施された段ボールシートＳＨに所定形状の打ち抜き部分を形成するダイカッタＤＣと、を有する。

段ボールシート給紙装置１は、筐体としてのサクションボックス２を有し、このサクションボックス２の上面を形成するテーブル２ｂ上には、コルゲーター（図示せず）により製造された複数の段ボールシートＳＨが、フロントゲート１３とバックガイド１４との間に積載される。フロントゲート１３は、テーブル２ｂとフロントゲート１３との間隙から１枚ずつ段ボールシートＳＨが送り出されるように配置される。バックガイド１４は、フロントゲート１３に対して、送り出し方向ＦＤと平行な方向に移動可能に構成され、送り出し方向ＦＤに沿った長さが異なる段ボールシートＳＨを収容できるようになっている。また、サクションボックス２の下部には、吸引装置１７（図１では一部分のみを図示）が取り付けられており、サクションボックス２の内部の空気が吸引装置１７によって吸引されるようになっている。

更に、段ボールシート給紙装置１は、送り出し方向ＦＤ及びこれに直交する方向のそれぞれに沿って配置された複数の給紙ローラ３と、送り出し方向ＦＤ及びこれに直交する方向のそれぞれに沿って延在する板状部材により形成され、給紙ローラ３に対して昇降可能な昇降部材としてのグレイト４と、を有する。これら複数の給紙ローラ３及びグレイト４は、サクションボックス２の上部に設けられ、サクションボックス２の上面の一部分を構成する。グレイト４が給紙ローラ３よりも下降したときには、給紙ローラ４が複数の段ボールシートＳＨのうちで最も下側にある段ボールシートＳＨに接触することで、給紙ローラ４の回転がこの段ボールシートＳＨに伝達されて、段ボールシートＳＨが前方のフィードローラ１０に向けて送り出される。この場合、給紙ローラ４によって送り出された段ボールシートＳＨがフィードローラ１０に到達すると、フィードローラ１０によって段ボールシートＳＨが更に前方の印刷装置ＰＲへと送り出される。他方で、グレイト４が給紙ローラ３よりも上昇したときには、給紙ローラ３が段ボールシートＳＨと非接触になり、給紙ローラ４の回転が段ボールシートＳＨに伝達されなくなる。なお、フィードローラ１０は、主駆動モータＭＴ（図示せず）によって駆動される。

印刷装置ＰＲは、２つの印刷ユニット４０、４１を有する。各印刷ユニット４０、４１は、版胴と呼ばれる印刷シリンダ４０Ａ、４１Ａと、印版部材と、インキ塗布装置と、プレスロールと、を有する。印版部材は、印刷シリンダ４０Ａ、４１Ａの外周面に取り付けられる。インキ塗布装置は、印刷ユニット４０、４１ごとに異なる色のインキングロールを備える。印刷装置ＰＲは、印刷ユニット４０、４１により、段ボールシートＳＨに２色の印刷を施して、この印刷された段ボールシートＳＨをクリーザスロッタＣＳに供給する。印刷ユニット４０、４１は、主駆動モータＭＴ（図示せず）によって駆動される。

クリーザスロッタＣＳは、クリーザユニット６０と、２つのスロッタユニット６１、６２とを有する。クリーザユニット６０は、罫線加工を施すために、上下に配置される一対の罫線ローラを備える。各スロッタユニット６１、６２は、溝切り加工を施すために、スロッタ刃が取り付けられる上部スロッタと、スロッタ刃と嵌合可能な溝が形成される下部スロッタとを備える。クリーザスロッタＣＳは、クリーザユニット６０及びスロッタユニット６１、６２により、段ボールシートＳＨに罫線及び溝切り加工を施し、継ぎ代を形成し、これらの加工が施された段ボールシートＳＨをダイカッタＤＣに供給する。クリーザユニット６０及びスロッタユニット６１、６２は、主駆動モータＭＴ（図示せず）によって駆動される。

ダイカッタＤＣは、搬送経路を挟んで、ダイシリンダ８０とアンビルシリンダ８１とを有する。段ボールシートＳＨを打ち抜くための打ち抜きダイ８２が合板ベニヤなどの板状体に取り付けられ、この板状体が、ダイシリンダ８０の外周面に巻装される。打ち抜きダイ８２は、連続して搬送される段ボールシートＳＨの所望の位置に打ち抜き加工を施す。打ち抜きダイ８２は、オーダー変更の際に、オーダーに応じた打ち抜きパターンの打ち抜きダイと交換可能である。ダイシリンダ８０及びアンビルシリンダ８１は、主駆動モータＭＴ（図示せず）によって駆動される。

＜段ボールシート給紙装置の構成＞
次に、図２乃至図４を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１の具体的な構成について説明する。

図２は、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１の外観を概略的に示した斜視図である。図２に示すように、段ボールシート給紙装置１は、サクションボックス２の上部に設けられた複数の給紙ローラ３及びグレイト４を含み、段ボールシートＳＨを給紙する部分である給紙部３１を有している。段ボールシート給紙装置１では、作業者はステップ３４を上がって、この給紙部３１において段ボールシートＳＨに対する作業を行えるようになっている。例えば、作業者は、給紙部３１に載置された段ボールシートＳＨの端を揃える作業や、給紙部３１に載置された段ボールシートＳＨの引っ掛かりを直す作業などを行う。なお、図２に示す段ボールシート給紙装置１では、ステップ３４を上がったエリアが、給紙部３１での作業を行うためのエリアの一例に相当する。

また、段ボールシート給紙装置１は、上記したステップ３４の最上段の床面に、つまり作業者が給紙部３１での作業を行うときに立つ箇所に、人検知装置としてのマットスイッチ３６が設けられている。マットスイッチ３６は、テープスイッチが複数配列されて構成されたものである。より具体的には、マットスイッチ３６は、上部のゴム板に荷重が付与されると、このゴム板を介して内部のスイッチ素子が加圧されて、接点がオンになる。詳細は後述するが、段ボールシート給紙装置１では、運転中にマットスイッチ３６がオンとなった場合に、給紙ローラ３及びグレイト４の動作が停止されるようになっている。

また、段ボールシート給紙装置１は、当該段ボールシート給紙装置１の設定や動作状態などを表示する表示部３２と、当該段ボールシート給紙装置１に対する操作などを行うための複数の操作ボタン３３と、を有する。具体的には、この操作ボタン３３は、上記したようにマットスイッチ３６がオンとなって給紙ローラ３及びグレイト４の動作が停止された場合に、この給紙ローラ３及びグレイト４の停止状態を解除するための解除ボタン３３Ａを含む。好適には、作業者が給紙部３１付近から離れないと給紙ローラ３及びグレイト４の動作を再開できないようにすべく、ステップ３４の最上段に立つ作業者から手が届かない箇所、つまり作業者がステップ３４から降りないと届かない箇所に、解除ボタン３３Ａを設けるのがよい。
なお、表示部３２をタッチパネルにて構成して、そのような表示部３２に解除ボタンを表示させてもよい。換言すると、タッチパネルとしての表示部３２に、上記したような解除ボタンとして機能するボタンを表示させてもよい。

次に、図３及び図４を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１の給紙部３１（サクションボックス２、給紙ローラ３及びグレイト４を含む部分）の詳細な構成について説明する。

図３は、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１の給紙部３１などの斜視図である。この図では、部分的に透視して構成要素を示している。図４（ａ）及び（ｂ）は、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１の給紙部３１を、図３中のIV−IV線（送り出し方向ＦＤに直交する線）に沿って見た断面図である。具体的には、図４（ａ）は、グレイト４が上昇位置（グレイト４が最も上昇した位置を意味する。以下同様とする。）にある状態を示しており、図４（ｂ）は、グレイト４が下降位置（最も下降した位置を意味する。以下同様とする。）にある状態を示している。ここでは、主として図３を参照しつつ、図４（ａ）及び（ｂ）を補助的に参照しながら、本実施形態による給紙部３１について説明する。

図３に示すように、サクションボックス２は、左右の側壁２ｃ及び上面のテーブル（載置面）２ｂなどによって筐体を形成しており、その下部に吸引装置１７（図３では一部分のみを図示）が取り付けられ、テーブル２ｂに載置された段ボールシートＳＨ（図１参照）を下方へと吸引するようになっている。このサクションボックス２の下流側には、上方に垂直に延びるようにフロントゲート１３が配置されている。フロントゲート１３は、上下方向に位置調整可能であり、段ボールシートＳＨの厚みに合わせて、フロントゲート１３下端とサクションボックス２のテーブル２ｂとの間の距離を調整できるようになっている。また、サクションボックス２の下流側には、サクションボックス２の上面の高さに沿って上下１対のフィードローラ１０が設けられている。段ボールシートＳＨは、サクションボックス２のテーブル２ｂ上に積み重ねた状態でセットされ（図１参照）、最下層のものから順に１枚ずつ下流側に送り出されて、同期駆動される１対のフィードローラ１０の間に取り込まれる。

なお、サクションボックス２内の空間を、複数の仕切りによって、幅方向（送り出し方向ＦＤに直交する方向）に並ぶ複数の空間へと分割できるように構成し、サクションボックス２内の一部の空間のみに吸引装置１７による吸引が作用するようにし、サクションボックス２内の残りの空間には吸引装置１７による吸引が作用しないように構成してもよい。比較的幅の短い段ボールシートＳＨを送り出すような場合に、このようにして、サクションボックス２内の空間に仕切りを適用して、段ボールシートＳＨが載置された部分に対応するサクションボックス２内の空間のみに吸引装置１７による吸引が作用するようにし、段ボールシートＳＨが載置されていない部分に対応するサクションボックス２内の空間には吸引装置１７による吸引が作用しないようにするのがよい。

また、サクションボックス２の上部には、積層された段ボールシートＳＨのうちの最下層の段ボールシートＳＨをフィードローラ１０側に送り出す複数の給紙ローラ３（３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ）と、複数の給紙ローラ３に対する突出量をその昇降動により調整することにより、複数の給紙ローラ３と最下層の段ボールシートＳＨとの接離を調整するグレイト４と、が設けられている。具体的には、サクションボックス２は、テーブル２ｂ上に開口部２ａが設けられており、この開口部２ａに複数の給紙ローラ３及びグレイト４が配置される。また、サクションボックス２の側方には、複数の給紙ローラ３をそれぞれ駆動する複数のサーボモータ（以下では適宜「給紙ローラ用サーボモータ」と呼ぶ。）Ｍ１、及び、グレイト４を駆動するサーボモータ（以下では適宜「グレイト用サーボモータ」と呼ぶ。）Ｍ２が配置されている。

複数の給紙ローラ３は、サクションボックス２の側壁２ｃに掛け渡された複数の駆動軸８に取り付けられている。具体的には、複数の駆動軸８は、等間隔で取り付けられており、同一の直径を有する複数の給紙ローラ３が、これらの駆動軸８のそれぞれに等間隔で配置される。また、給紙ローラ３が取り付けられた各駆動軸８には、その端部に給紙ローラ用サーボモータＭ１が連結されている。図３に示す例では、段ボールシート給紙装置１は、４本の駆動軸８を有し、これらの４本の駆動軸８のそれぞれに対して給紙ローラ用サーボモータＭ１が連結されており、４本の駆動軸８のそれぞれを独立して回転駆動できるようになっている。つまり、４本の駆動軸８のそれぞれに取り付けられた給紙ローラ３（３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ）を独立して回転駆動できるようになっている。また、給紙ローラ３は、グレイト４の昇降動により、グレイト４の開口部４ａを介して、グレイト４より上方に突出してサクションボックス２の開口部２ａに現れたり（図４（ｂ）参照）、グレイト４より下方側に位置したりする（図４（ａ）参照）。

グレイト４は、サクションボックス２の開口部２ａに配置された板状の部材である。このグレイト４には、その昇降の際に給紙ローラ３と接触しないように、各給紙ローラ３（３ａ、３ｂ、３ｃ、３ｄ）を受け入れるための複数の開口部４ａが板状の部材を貫通して形成されている。グレイト４は、板状の四隅付近に配されたＬ字型部材１５、１５やアーム１６等を介して揺動軸２８に連結されている。具体的には、板状のグレイト４の前後方向の両端に、コの字状の爪部４ｂが形成されており、この爪部４ｂを介してグレイト４の昇降を担うＬ字型部材１５やアーム１６等が連結される。
なお、グレイト４において板状の部分を１つの部材のみによって形成することに限定はされずに、段ボールシートＳＨが接触する側の面を別の部材（例えばウェアプレート）によって形成してもよい。そのような別の部材を適用した場合、当該別の部材も含めた板状の部分全体が、グレイト４を形成する。

グレイト４の揺動軸２８の端部には揺動部材２５が取り付けられ、この揺動部材２５に偏心カム２６が取り付けられ、この偏心カム２６にグレイト用サーボモータＭ２が取り付けられている。偏心カム２６は、円形形状に形成され、グレイト用サーボモータＭ２の回転軸線から偏心した回転軸線にて回転するようになっており、揺動部材２５は、このような偏心カム２６の動作によって、揺動軸２８を中心にして揺動するようになっている。そして、揺動部材２５の揺動運動が揺動軸２８に伝達される。揺動軸２８は、連結具２９を介してグレイト４の下方に配されたアーム１６と連結され、このアーム１６は、グレイト４の下方に段ボールシートＳＨの送り出し方向ＦＤと平行になるように配され、グレイト４の四隅付近に配されたＬ字型部材１５を介してグレイト４と連結される。揺動軸２８の回転によりアーム１６が送り出し方向ＦＤに移動すると、Ｌ字型部材１５においてグレイト４に連結された側が持ち上がることで、グレイト４が上昇することとなる（図４（ａ）参照）。これに対して、揺動軸２８の回転によりアーム１６が送り出し方向ＦＤと逆方向に移動すると、Ｌ字型部材１５においてグレイト４に連結された側が押し下がることで、グレイト４が下降することとなる（図４（ｂ）参照）。

ここで、図４（ａ）及び（ｂ）に加えて、図５を参照して、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間について説明する。図５は、図４（ａ）と同様の図であり、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法の説明図である。

図４（ａ）中の符号Ｇ１１は、グレイト４が上昇位置にあるときの給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間を示しており、図４（ｂ）中の符号Ｇ１２は、グレイト４が下降位置にあるときの給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間を示している。本明細書では、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間を、給紙ローラ３の縁端とグレイト４の開口部４ａの縁端との間隙として定義する。また、図５に示すように、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法Ｄを、送り出し方向ＦＤに沿った断面で見たときの給紙ローラ３の縁端とグレイト４の開口部４ａの縁端との距離として定義する。より詳しくは、給紙ローラ３の円形断面の中心点を通る直線Ｌ１上にそれぞれ位置する、給紙ローラ３の縁端部上の点とグレイト４の開口部４ａの縁端部上の点との距離と定義する。グレイト４が上昇していくと、グレイト４が給紙ローラ３から離れていき（図４（ａ）参照）、グレイト４が下降していくと、グレイト４が給紙ローラ３に近付いていくため（図４（ｂ）参照）、隙間寸法Ｄはグレイト４の昇降位置によって変化する。具体的には、図４（ｂ）に示すグレイト４が下降位置にあるときの隙間Ｇ１２の隙間寸法Ｄは、図４（ａ）に示すグレイト４が上昇位置にあるときの隙間Ｇ１１の隙間寸法Ｄよりも短くなる。なお、グレイト４の開口部４ａの送り出し方向に平行する縁端と、給紙ローラ３の側面との間には、段ボールシートに下方への吸引力を付与するための３ｍｍ程度の間隙が存在するが、この間隙の大きさはグレイト４の昇降位置に係らず一定である。

上述したように、グレイト４が昇降しているときに給紙ローラ３がグレイト４と接触せずにグレイト４の開口部４ａを通過するように、グレイト４に開口部４ａを形成している。そういった観点より、基本的には、グレイト４の昇降中に給紙ローラ３の縁端と開口部４ａの縁端とが離間しているような大きさ、特にグレイト４が最も下降した位置において給紙ローラ３の縁端と開口部４ａの縁端との非接触状態が確保されているような大きさが、グレイト４の開口部４ａに適用される。本実施形態では、このようなグレイト４の開口部４ａの大きさに関する制限を遵守しつつ、グレイト４の開口部４ａにおける送り出し方向ＦＤに沿った長さをできるだけ短く形成する。こうすることで、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法Ｄができるだけ短くなるようにしている。

具体的には、本実施形態では、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法Ｄを１０ｍｍ以下に形成している。好適には、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法Ｄを５ｍｍ以下に形成する。１つの例では、グレイト４が４ｍｍ程度昇降する場合、グレイト４が上昇位置にあるときの給紙ローラ３と開口部４ａとの隙間Ｇ１１における隙間寸法Ｄが５ｍｍ程度になるようにし、グレイト４が下降位置にあるときの給紙ローラ３と開口部４ａとの隙間Ｇ１２における隙間寸法Ｄが２．５ｍｍ程度になるようにしている。

＜制御装置の構成＞
次に、図６を参照して、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１が適用された製函機１００（図１参照）の制御構成について説明する。図６は、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１が適用された製函機１００の電気的構成を示すブロック図である。

図６に示すように、製函機１００は制御装置１０１によって制御される。具体的には、制御装置１０１は、駆動制御ユニット１０２を介して、段ボールシート給紙装置１のフィードローラ１０と、印刷装置ＰＲの印刷ユニット４０、４１と、クリーザスロッタＣＳのクリーザユニット６０及びスロッタユニット６１、６２と、ダイカッタＤＣのダイシリンダ８０及びアンビルシリンダ８１と（図１参照）、に接続された主駆動モータＭＴを制御する。加えて、制御装置１０１は、印刷制御ユニット１０４を介して、印刷装置ＰＲの印刷ユニット４０、４１の動作を制御し、クリーザスロッタ制御ユニット１０６を介して、クリーザスロッタＣＳのクリーザユニット６０及びスロッタユニット６１、６２の動作を制御し、ダイカッタ制御ユニット１０８を介して、ダイカッタＤＣの動作を制御する（図１参照）。

また、制御装置１０１は、段ボールシート給紙装置１に関して、給紙ローラ用サーボ駆動ユニット１１０を介して給紙ローラ用サーボモータＭ１を制御することで、この給紙ローラ用サーボモータＭ１に駆動軸８を介して接続された給紙ローラ３の回転動作を制御する。より具体的には、給紙ローラ用サーボモータＭ１は複数の給紙ローラ３ごとに設けられており（図３参照）、制御装置１０１は、給紙ローラ用サーボ駆動ユニット１１０を介して複数の給紙ローラ用サーボモータＭ１の各々を制御することで、複数の給紙ローラ３の各々の回転動作を独立して制御する。また、制御装置１０１は、段ボールシート給紙装置１に関して、グレイト用サーボ駆動ユニット１１２を介してグレイト用サーボモータＭ２を制御することで、このグレイト用サーボモータＭ２に偏心カム２６、揺動部材２５、揺動軸２８、アーム１６及びＬ字型部材１５などを介して接続されたグレイト４の昇降動作を制御する（図３参照）。更に、制御装置１０１には、主に、段ボールシート給紙装置１のマットスイッチ３６及び解除ボタン３３Ａからの信号が入力される。

制御装置１０１は、これらのマットスイッチ３６及び解除ボタン３３Ａからの信号に基づき、給紙ローラ用サーボ駆動ユニット１１０を介した給紙ローラ用サーボモータＭ１の制御、及びグレイト用サーボ駆動ユニット１１２を介したグレイト用サーボモータＭ２の制御を行う。特に、本実施形態では、制御装置１０１は、段ボールシート給紙装置１の運転中にマットスイッチ３６がオンとなった場合に、給紙ローラ用サーボモータＭ１及びグレイト用サーボモータＭ２の駆動を停止することで、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させる。この場合、制御装置１０１は、駆動制御ユニット１０２、印刷制御ユニット１０４、クリーザスロッタ制御ユニット１０６及びダイカッタ制御ユニット１０８の駆動を維持する。つまり、制御装置１０１は、段ボールシート給紙装置１の動作を停止させるが、段ボールシート給紙装置１の下流側の印刷装置ＰＲ、クリーザスロッタＣＳ及びダイカッタＤＣを動作させ続けることで、段ボールシート給紙装置１から既に送り出された段ボールシートＳＨに対する処理が行われるようにする。そして、本実施形態では、このようにして段ボールシート給紙装置１の給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止している間に、マットスイッチ３６がオンからオフに切り替わり、且つ、解除ボタン３３Ａがオンになったときに、制御装置１０１は、給紙ローラ３及びグレイト４の停止状態を解除して、それらの動作を開始すべく、給紙ローラ用サーボ駆動ユニット１１０及びグレイト用サーボ駆動ユニット１１２を介して給紙ローラ用サーボモータＭ１及びグレイト用サーボモータＭ２のそれぞれの駆動を再開する。

ここで、図７を参照して、本発明の実施形態において制御装置１０１が給紙ローラ３及びグレイト４に対して実行する基本制御について説明する。図７は、上側に、給紙ローラ３の回転速度の時間変化を示しており、下側に、グレイト４の昇降位置の時間変化を示している。なお、上記したように、制御装置１０１は、給紙ローラ用サーボ駆動ユニット１１０及び給紙ローラ用サーボモータＭ１を介して給紙ローラ３の回転速度を制御し、グレイト用サーボ駆動ユニット１１２及びグレイト用サーボモータＭ２を介してグレイト４の昇降位置を制御する（図６参照）。

まず、時刻ｔ０では、給紙ローラ３が所定の回転速度Ｖで回転し、且つ、グレイト４が上昇位置にある。制御装置１０１は、この時刻ｔ０より、積層された段ボールシートＳＨのうちの最下層の段ボールシートＳＨを送り出すための制御を開始する。具体的には、制御装置１０１は、時刻ｔ０より、グレイト４を上昇位置に維持したまま、給紙ローラ３の回転速度を徐々に低下させていく、つまり給紙ローラ３の回転を減速させていく。この後、給紙ローラ３の回転速度がかなり低下した時刻ｔ１より、制御装置１０１は、上昇位置にあるグレイト４を下降させ始める。そして、時刻ｔ２において、グレイト４が基準位置（上昇位置と下降位置との中間位置であり、図７ではこの位置を「０」としている）に到達すると共に、給紙ローラ３の回転速度がほぼ０になる。制御装置１０１は、この時刻ｔ２より、給紙ローラ３の回転速度を徐々に増加させていく、つまり給紙ローラ３の回転を加速させていく。

次に、時刻ｔ３において、グレイト４が下降位置に到達し、制御装置１０１は、この時刻ｔ３より、グレイト４を下降位置に維持する。このようにグレイト４が下降位置にあるときには、給紙ローラ３が開口部４ａを介してグレイト４よりも上方に突出して、積層された段ボールシートＳＨのうちの最下層の段ボールシートＳＨに給紙ローラ３が接触することで、この段ボールシートＳＨが給紙ローラ３によって送り出されていく。そして、時刻ｔ４において、給紙ローラ３が所定の回転速度Ｖに到達し、この時刻ｔ４より、制御装置１０１は、給紙ローラ３の加速を停止して、給紙ローラ３を所定の回転速度Ｖに維持する。この所定の回転速度Ｖは、フィードローラ１０の回転速度にほぼ一致する速度である。したがって、給紙ローラ３及びフィードローラ１０が同期して回転することとなり、時刻ｔ４以降において、給紙ローラ３の回転により送り出された段ボールシートＳＨが下流側のフィードローラ１０に到達したときに、これらの給紙ローラ３及びフィードローラ１０が協調して段ボールシートＳＨを更なる下流側（具体的には印刷装置ＰＲ側）へと送り出していくこととなる。

次に、時刻ｔ５において、制御装置１０１は、下降位置にあるグレイト４を上昇させ始める。そして、時刻ｔ６において、グレイト４が上昇位置に到達し、制御装置１０１は、この時刻ｔ６より、グレイト４を上昇位置に維持する。このようにグレイト４が上昇位置にあるときには、給紙ローラ３がグレイト４よりも下方に位置することで、給紙ローラ３が段ボールシートＳＨと非接触になる。こうすることで、段ボールシート給紙装置１から今回送り出すべき最下層の１枚の段ボールシートＳＨの送り出しが完了するまで、この段ボールシートＳＨの上にある段ボールシートＳＨ（次に送り出すべき段ボールシートＳＨ）が給紙ローラ３に接触して移動してしまうことを抑制している。この後、時刻ｔ７において、制御装置１０１は、上記した時刻ｔ０と同様に、給紙ローラ３の回転速度を徐々に低下させていく。つまり、制御装置１０１は、時刻ｔ７より、次の段ボールシートＳＨを送り出すための制御を開始する。

ここで、図７に示す時刻ｔ０から時刻ｔ７までの期間は、給紙ローラ３及びグレイト４の動作によって最下層の１枚の段ボールシートＳＨ（積層された段ボールシートＳＨのうちの最下層の段ボールシートＳＨ）を送り出すための１サイクルに相当する。本実施形態では、制御装置１０１は、上記したように、段ボールシート給紙装置１の運転中にマットスイッチ３６がオンとなったときに、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させるが、マットスイッチ３６がオンとなったときに直ぐに給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させずに、このような給紙ローラ３及びグレイト４の１サイクルの動作が完了したタイミングで、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させるようにする。つまり、給紙ローラ３及びグレイト４の１サイクルの動作が完了するまで、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させないようにする。こうすることで、段ボールシートＳＨの送り出しの不良や段ボールシート給紙装置１の下流側での処理の不良（印刷不良など）の発生を防止している。

＜制御フロー＞
次に、図８を参照して、本発明の実施形態において制御装置１０１が給紙ローラ３及びグレイト４に対して実行する停止制御について説明する。図８は、本発明の実施形態による給紙ローラ３及びグレイト４の停止制御を示すフローチャートである。このフローは、段ボールシート給紙装置１の運転中において制御装置１０１によって所定の周期で繰り返し実行される。

まず、ステップＳ１では、制御装置１０１は、段ボールシート給紙装置１のステップ３４に設けられたマットスイッチ３６（図２参照）がオンになったか否かを判定する。換言すると、制御装置１０１は、マットスイッチ３６からの出力に基づき、給紙部３１での作業を行うためのエリアに人が進入したか否かを判定する。ステップＳ１の判定の結果、マットスイッチ３６がオンになったと判定された場合（ステップＳ１：Ｙｅｓ）、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させるべく、処理はステップＳ２に進み、マットスイッチ３６がオンになったと判定されなかった場合（ステップＳ１：Ｎｏ）、処理は終了する。

ステップＳ２では、制御装置１０１は、給紙ローラ３及びグレイト４の１サイクルの動作が完了したか否かを判定する。その結果、１サイクルの動作が完了したと判定された場合（ステップＳ２：Ｙｅｓ）、処理はステップＳ３に進む。

ステップＳ３では、制御装置１０１は、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させる。具体的には、制御装置１０１は、給紙ローラ用サーボ駆動ユニット１１０及びグレイト用サーボ駆動ユニット１１２を介して給紙ローラ用サーボモータＭ１及びグレイト用サーボモータＭ２のそれぞれの駆動を停止することで、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させる（詳しくは複数の給紙ローラ３の全てを停止させる）。この場合、制御装置１０１は、駆動制御ユニット１０２、印刷制御ユニット１０４、クリーザスロッタ制御ユニット１０６及びダイカッタ制御ユニット１０８の駆動を維持する。つまり、制御装置１０１は、段ボールシート給紙装置１の動作を停止させるが、段ボールシート給紙装置１の下流側の印刷装置ＰＲ、クリーザスロッタＣＳ及びダイカッタＤＣを動作させ続ける。このようなステップＳ３の後、処理はステップＳ４に進む。

一方で、１サイクルの動作が完了したと判定されなかった場合（ステップＳ２：Ｎｏ）、処理はステップＳ２に戻る。この場合、制御装置１０１は、１サイクルの動作が完了するまで、ステップＳ２の判定を繰り返すことで、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を継続する。

ステップＳ４では、制御装置１０１は、マットスイッチ３６がオンからオフに切り替わり、且つ、解除ボタン３３Ａがオンになったか否かを判定する。その結果、マットスイッチ３６がオンからオフに切り替わり、且つ、解除ボタン３３Ａがオンになったと判定された場合（ステップＳ４：Ｙｅｓ）、処理はステップＳ５に進む。

ステップＳ５では、制御装置１０１は、給紙ローラ３及びグレイト４の停止状態を解除して、それらの動作を開始すべく、給紙ローラ用サーボ駆動ユニット１１０及びグレイト用サーボ駆動ユニット１１２を介して給紙ローラ用サーボモータＭ１及びグレイト用サーボモータＭ２のそれぞれの駆動を再開する。これにより、段ボールシート給紙装置１による段ボールシートＳＨの送り出しが再開される。

一方で、マットスイッチ３６がオンからオフに切り替わり、且つ、解除ボタン３３Ａがオンになったと判定されなかった場合（ステップＳ４：Ｎｏ）、処理はステップＳ４に戻る。この場合、マットスイッチ３６がオンからオフに切り替わり、且つ、解除ボタン３３Ａがオンになるまで、ステップＳ４の判定を繰り返すことで、給紙ローラ３及びグレイト４の停止状態を継続する。

＜作用効果＞
次に、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置の作用効果について説明する。

本実施形態による段ボールシート給紙装置１では、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間の大きさを小さくするよう形成しているので、具体的には給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法Ｄを１０ｍｍ以下に形成しているので、吸引装置１７によりサクションボックス２において発生する負圧の変動を小さくすることができる。これについて、図９及び図１０を参照して具体的に説明する。

図９（ａ）〜（ｄ）は、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１及び比較例による段ボールシート給紙装置１ａについて、図４と同様の断面図（送り出し方向ＦＤに直交する線に沿って見た断面図）を示している。具体的には、図９（ａ）及び（ｂ）は、本実施形態による段ボールシート給紙装置１について、グレイト４が上昇位置にある状態及び下降位置にある状態をそれぞれ示している。他方で、図９（ｃ）及び（ｄ）は、比較例による段ボールシート給紙装置１ａについて、グレイト４Ｘが上昇位置にある状態及び下降位置にある状態をそれぞれ示している。なお、比較例による段ボールシート給紙装置１ａは従来の装置に相当する。

図９（ａ）〜（ｄ）に示すように、比較例による段ボールシート給紙装置１ａは、給紙ローラ３とグレイト４Ｘの開口部４Ｘａとの隙間が、本実施形態による段ボールシート給紙装置１における給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間よりも大きく形成されている。具体的には、比較例による段ボールシート給紙装置１ａでは、グレイト４Ｘが上昇位置にあるときの隙間Ｇ２１（図９（ｃ）参照）が、本実施形態による段ボールシート給紙装置１においてグレイト４が上昇位置にあるときの隙間Ｇ１１（図９（ａ）参照）よりも大きく、また、グレイト４Ｘが下降位置にあるときの隙間Ｇ２２（図９（ｄ）参照）が、本実施形態による段ボールシート給紙装置１においてグレイト４が下降位置にあるときの隙間Ｇ１２（図９（ｂ）参照）よりも大きい。例えば、本実施形態による段ボールシート給紙装置１では、グレイト４が上昇位置にあるときの隙間寸法Ｄが５ｍｍ程度で、グレイト４が下降位置にあるときの隙間寸法Ｄが２．５ｍｍ程度であるのに対して、比較例による段ボールシート給紙装置１ａでは、グレイト４が上昇位置にあるときの隙間寸法Ｄが１８ｍｍ程度で、グレイト４が下降位置にあるときの隙間寸法Ｄが１５ｍｍ程度である。

図１０は、本発明の実施形態による段ボールシート給紙装置１と比較例による段ボールシート給紙装置１ａから得られた負圧変動を示している。図１０では、グラフＧｒ１は、給紙ローラ３の回転速度の時間変化（速度制御パターンに相当する）を示しており、グラフＧｒ２、Ｇｒ３は、グラフＧｒ１に示すように給紙ローラ３を駆動したときの、吸引装置１７によりサクションボックス２において発生する負圧の変動（時間変化）を示している。具体的には、グラフＧｒ２は、本実施形態による段ボールシート給紙装置１における負圧の変動を示しており、グラフＧｒ３は、比較例による段ボールシート給紙装置１ａにおける負圧の変動を示している。グラフＧｒ２、Ｇｒ３は、実験やシミュレーションにより得られたものである。グラフＧｒ２、Ｇｒ３より、本実施形態による段ボールシート給紙装置１によれば、比較例による段ボールシート給紙装置１ａと比べて、吸引装置１７によりサクションボックス２において発生する負圧の変動が小さいことがわかる。

このように本実施形態と比較例とで負圧の変動の大きさに差が生じた理由は、以下の通りである。まず、１枚の段ボールシートＳＨが送り出されていくと、給紙部３１において段ボールシートＳＨが載っていない部分が徐々に広がっていき、この段ボールシートＳＨが載っていない部分にある給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間から空気がサクションボックス内に流入することで、吸引装置１７によりサクションボックス２において発生する負圧が徐々に小さくなっていく。そのため、段ボールシートＳＨを送り出している間に、吸引装置１７によりサクションボックス２において発生する負圧の大きさが変動するのである。
本実施形態による段ボールシート給紙装置１では、比較例による段ボールシート給紙装置１ａと比べて、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間の大きさを小さく形成したので、上記のように隙間からサクションボックス内に流入する空気の量が減り、その結果、段ボールシートＳＨの送り出し中に吸引装置１７によりサクションボックス２において発生する負圧の変動が小さくなったのである。

したがって、本実施形態による段ボールシート給紙装置１によれば、吸引装置１７によりサクションボックス２において発生する負圧の変動が小さくなるので、段ボールシートＳＨの送り出し中に給紙ローラ３によるグリップ力を段ボールシートＳＨに適切に付与し続けることができる。よって、給紙ローラ３による段ボールシートＳＨの送り出し精度を確保することができる、つまり、段ボールシートＳＨの送り出し時における給紙ずれを抑制することができる。
なお、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法Ｄを１０ｍｍ以下にすれば、このような給紙ずれを適切に抑制できる程度に負圧の変動を抑えることができる。好適には、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間寸法Ｄを５ｍｍ以下にすれば、負圧の変動をより小さくすることができ、段ボールシートの送り出し時における給紙ずれを効果的に抑制することが可能となる。

ここで、本実施形態のように、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間の大きさを小さく形成すると、「発明が解決しようとする課題」のセクションで述べたように、段ボールシート給紙装置１の運転中に作業者が給紙部３１での作業を行うと、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間に指が入り込んで、給紙ローラ３とグレイト４との間に指が挟まれたときに、負傷する可能性がある。このような問題に対して、本実施形態による段ボールシート給紙装置１では、マットスイッチ３６を用いて給紙部３１での作業を行うためのエリアへの人の進入を検知して、マットスイッチ３６がオンとなった場合に給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させることで対処している。したがって、本実施形態によれば、給紙ローラ３とグレイト４との間に指が挟まれて負傷することを確実に防止することができる。つまり、段ボールシート給紙装置１の安全性を適切に確保することができる。

また、本実施形態によれば、マットスイッチ３６がオンとなった場合において、給紙ローラ３及びグレイト４の１サイクルの動作が完了したタイミングで（図７及び図８参照）、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させるので、１サイクルの途中で動作が停止されることなく、段ボールシートＳＨの送り出しの不良や段ボールシート給紙装置１の下流側での処理の不良（印刷不良など）を抑制することができる。

また、本実施形態によれば、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止している間に、マットスイッチ３６がオンからオフに切り替わり、且つ、解除ボタン３３Ａがオンになったときに、給紙ローラ３及びグレイト４の停止状態を解除して、それらの動作を開始させるので、段ボールシート給紙装置１の安全性が確実に担保された状態において給紙ローラ３及びグレイト４の動作を再開させることができる。

また、本実施形態によれば、段ボールシート給紙装置１の給紙ローラ３及びグレイト４を、段ボールシート給紙装置１下流側の装置（印刷装置ＰＲ、クリーザスロッタＣＳ、ダイカッタＤＣ）と独立して駆動されるように構成しているので（図６参照）、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させても、段ボールシート給紙装置１下流側の装置の動作を適切に継続させることができる。そのため、段ボールシート給紙装置１の動作を停止させても、段ボールシート給紙装置１から既に送り出された段ボールシートＳＨに対する処理を、段ボールシート給紙装置１の下流側の装置において適切に行わせることができる。

なお、給紙ローラ３とグレイト４の開口部４ａとの隙間を小さく形成した段ボールシート給紙装置１において、安全性を確保するための別の方法として、段ボールシートＳＨが載っていない給紙部３１上の箇所（比較的幅の短い段ボールシートＳＨを適用した場合に、このような箇所が給紙部３１の幅方向における両側に生じる）に、この箇所を覆うカバーを適用する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、段ボールシートＳＨの後部をガイドするバックガイド１４の送り出し方向ＦＤへの移動を当該カバーが阻害するため、適切な方法とは言えない。

なお、上記した特許文献１に記載されたような機械的なトランスミッションを用いる段ボールシート給紙装置では、慣性モーメントがあるため、速やかに装置を停止させることが困難であり、また、速やかに装置を停止させようとすると装置の内部に悪影響を与えてしまうが、本実施形態による段ボールシート給紙装置１では、そのような機械的なトランスミッションを用いずに、各構成要素（給紙ローラ３及びグレイト４）のそれぞれを別々のモータによって制御するので、特許文献１に記載された段ボールシート給紙装置のような問題は生じない。

＜変形例＞
以下では、上記した実施形態の変形例について述べる。

上記した実施形態では、マットスイッチ３６がオンになった場合において、給紙ローラ３及びグレイト４の１サイクルの動作が完了したタイミングで、給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させていたが、他の例では、段ボールシート給紙装置１の安全性をより確実に担保すべく、給紙ローラ３及びグレイト４の１サイクルの動作の完了を待たずに、マットスイッチ３６がオンになったときに速やかに給紙ローラ３及びグレイト４の動作を停止させてもよい。

また、上記した実施形態では、段ボールシート給紙装置１の給紙ローラ３及びグレイト４の両方の動作を停止させていたが、他の例では、給紙ローラ３の動作を停止させずに、グレイト４の動作のみを停止させてもよい。グレイト４が下降したときに給紙ローラ３とグレイト４との間に指が挟まれる可能性があるので、つまり、給紙ローラ３とグレイト４との間に指が挟まれる事象はグレイト４の動作に主に起因するものなので、他の例では、グレイト４の動作のみを停止させることとし、給紙ローラ３の動作を維持する。これにより、安全性を適切に担保しつつ、停止させる装置を最小限に止めることで、停止状態からの再開動作を容易に行うことが可能となる。

また、上記した実施形態では、マットスイッチ３６を用いて給紙部３１での作業を行うためのエリアへの人の進入を検知していたが、他の例では、マットスイッチ３６の代わりに、レーザを利用したセンサや、カメラなどを用いて、給紙部３１での作業を行うためのエリアへの人の進入を検知してもよい。

１（ＰＦ） 段ボールシート給紙装置
２ サクションボックス
３ 給紙ローラ
４ グレイト
４ａ 開口部
８ 駆動軸
１０ フィードローラ
１７ 吸引装置
２５ 揺動部材
２８ 揺動軸
３３ 操作ボタン
３３Ａ 解除ボタン
３４ ステップ
３６ マットスイッチ
１００ 製函機
１０１ 制御装置
ＦＤ 送り出し方向
ＳＨ 段ボールシート
Ｍ１ 給紙ローラ用サーボモータ
Ｍ２ グレイト用サーボモータ
ＰＲ 印刷装置

Claims (8)

1. 積層された段ボールシートを１枚ずつ送り出すための段ボールシート給紙装置であって、
   段ボールシートの送り出し方向に沿って回転して、積層された段ボールシートのうちの最下層の段ボールシートを送り出す複数の給紙ローラと、
   段ボールシートが載置されるよう板状に形成されると共に、上記複数の給紙ローラのそれぞれを受け入れる複数の開口部が形成され、給紙ローラに対して昇降して、給紙ローラと最下層の段ボールシートとの接触状態と非接触状態とを切り替える昇降部材と、
   上記複数の給紙ローラ及び上記昇降部材が上部に設けられ、これらによって上面の一部分が形成された筐体であって、この筐体には吸引装置が更に取り付けられ、この吸引装置による吸引によって、上記給紙ローラと上記昇降部材の開口部との隙間を介して最下層の段ボールシートを下方に吸引する、上記筐体と、
   を有し、
   上記段ボールシート給紙装置は、
   上記給紙ローラと上記昇降部材の開口部との隙間寸法が１０ｍｍ以下に形成され、
   更に、
   段ボールシートを送り出している間に、上記給紙ローラ及び上記昇降部材を含む給紙部での作業を行うためのエリアへの人の進入を検知する人検知装置と、
   上記人検知装置が人の進入を検知したときに、上記給紙ローラ及び上記昇降部材の少なくとも一方の動作を停止させる制御装置と、
   を有する、ことを特徴とする段ボールシート給紙装置。
2. 上記制御装置は、最下層の１枚の段ボールシートを送り出すための上記給紙ローラ及び上記昇降部材の１サイクルの動作が完了したタイミングで、上記給紙ローラ及び上記昇降部材の少なくとも一方の動作を停止させる、請求項１に記載の段ボールシート給紙装置。
3. 上記制御装置による上記給紙ローラ及び上記昇降部材の少なくとも一方の停止状態を解除するための解除ボタンを更に有し、
   上記制御装置は、上記人検知装置が人を検知しなくなり、且つ、上記解除ボタンがオンになったときに、上記給紙ローラ及び上記昇降部材の少なくとも一方の停止状態を解除して、その動作を開始させる、請求項１又は２に記載の段ボールシート給紙装置。
4. 上記制御装置は、上記給紙ローラ及び上記昇降部材の両方の動作を停止させる、請求項１乃至３のいずれか一項に記載の段ボールシート給紙装置。
5. 上記制御装置は、上記給紙ローラの動作を停止させずに、上記昇降部材の動作のみを停止させる、請求項１乃至３のいずれか一項に記載の段ボールシート給紙装置。
6. 上記給紙ローラと上記昇降部材の開口部との隙間寸法が５ｍｍ以下に形成されている、請求項１乃至５のいずれか一項に記載の段ボールシート給紙装置。
7. 上記人検知装置は、上記給紙部での作業を行うためのエリアの床面に設けられたマットスイッチである、請求項１乃至６のいずれか一項に記載の段ボールシート給紙装置。
8. 上記給紙ローラ及び上記昇降部材は、上記段ボールシート給紙装置が送り出した段ボールシートに対する処理を行う下流側の装置と独立して駆動されるように構成されている、請求項１乃至７のいずれか一項に記載の段ボールシート給紙装置。

Images