以下、本発明の詳細を説明する。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、複数の第1の導電性粒子と、複数の第2の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。本発明に係る導電材料では、上記第1の導電性粒子と上記第2の導電性粒子との複数の種類の導電性粒子を用いている。上記第1の導電性粒子は、導電性の外表面に複数の突起を有し、かつ、導電性の外表面の材料がニッケルを含む導電性粒子である。上記第2の導電性粒子は、導電性の外表面の材料が金を含む導電性粒子である。本発明に係る導電材料では、特定の上記第1の導電性粒子と特定の上記第2の導電性粒子とを用いている。
本発明に係る導電材料における上述した構成の採用により、特定の導電性粒子を含む導電材料を用いて、電極間を電気的に接続した場合に、接続抵抗を低くすることができる。さらに、高温高湿下での接続信頼性を高めることができる。さらに、接続抵抗のばらつきを低減し、接続信頼性を高めることができる。
本発明では、高温高湿下などに長期間保管された導電性粒子を用いて、接続構造体を作製したときに、接続抵抗の上昇を抑えることができる。また、接続構造体が高温高湿下などで長期間保管された場合でも、接続抵抗の上昇を抑えることができる。
ニッケルを用いた特定の上記第1の導電性粒子は、比較的硬質であるため、初期の接続抵抗を低くすることに大きく寄与する。また、ニッケルを用いた特定の上記第1の導電性粒子が導電性の外表面に複数の突起を有することも、初期の接続抵抗を低くすることに大きく寄与する。なお、特定の上記第1の導電性粒子を用いただけでは、高温高湿下での電極間の接続信頼性が低くなることがある。これに対して、特定の上記第1の導電性粒子とともに特定の上記第2の導電性粒子を用いることによって、高温高湿下での電極間の接続信頼性が高くなる。
金を用いた特定の上記第2の導電性粒子は、比較的軟質であるため、高温高湿下での電極間の接続信頼性の向上に大きく寄与する。なお、特定の上記第2の導電性粒子を用いただけでは、初期の接続抵抗を十分に低くすることが困難なことがある。これに対して、特定の上記第2の導電性粒子とともに特定の上記第1の導電性粒子を用いることによって、初期の接続抵抗を低くすることができる。
なお、従来、ニッケルを用いた導電性粒子と、金を用いた導電性粒子とは知られている。しかし、これらの2種の導電性粒子を併用すること、しかもニッケルを用いた導電性粒子の導電性の外表面に複数の突起を形成して、この導電性粒子と金を用いた導電性粒子とを併用することは行われていなかった。本発明では、従来採用されていなかった全く新しい導電性粒子の組み合わせを採用して、導電材料を得ている。
初期の接続抵抗を効果的に低くし、更に高温高湿下での電極間の接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記導電材料において、上記第1の導電性粒子の含有量(重量%)の上記第2の導電性粒子の含有量(重量%)に対する比(第1の導電性粒子の含有量/第2の導電性粒子の含有量)は好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、より一層好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは0.99以下、より一層好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.7以下である。上記比(第1の導電性粒子の含有量/第2の導電性粒子の含有量)は、0.2以上、0.8以下であることが特に好ましい。上記第1,第2の導電性粒子の各含有量は、導電材料100重量%中での含有量(重量%)を示す。
初期の接続抵抗を効果的に低くし、更に高温高湿下での電極間の接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記第2の導電性粒子を20%圧縮したときの圧縮弾性率(N/mm2)(20%K値)の上記第1の導電性粒子を20%圧縮したときの圧縮弾性率(N/mm2)(20%K値)に対する比(第2の導電性粒子の20%K値/第1の導電性粒子の20%K値)は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.5以上であり、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.85以下、更に好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.75以下、最も好ましくは0.7以下である。上記比(第2の導電性粒子の20%K値/第1の導電性粒子の20%K値)は、0.25以上、0.85以下であることが特に好ましい。
初期の接続抵抗を効果的に低くし、更に高温高湿下での電極間の接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記第1の導電性粒子の20%K値は、好ましくは5000N/mm2以上、より好ましくは7000N/mm2以上であり、好ましくは15000N/mm2以下、より好ましくは13000N/mm2以下である。
上記導電性粒子の上記20%K値は、以下のようにして測定できる。
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、最大試験荷重90mNを30秒かけて負荷する条件下で導電性粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH−100」等が用いられる。
K値(N/mm2)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:導電性粒子が20%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:導電性粒子が20%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:導電性粒子の半径(mm)
上記圧縮弾性率は、導電性粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、導電性粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
初期の接続抵抗をより効果的に低くし、更に高温高湿下での電極間の接続信頼性をより効果的に高める観点からは、上記比(第1の導電性粒子の含有量/第2の導電性粒子の含有量)は、0.1以上、10以下であり、かつ上記比(第2の導電性粒子の20%K値/第1の導電性粒子の20%K値)は、0.25以上、0.85以下であることが好ましく、上記比(第1の導電性粒子の含有量/第2の導電性粒子の含有量)は、0.2以上、0.8以下であり、かつ上記比(第2の導電性粒子の20%K値/第1の導電性粒子の20%K値)は、0.25以上、0.85以下であることがより好ましく、上記比(第1の導電性粒子の含有量/第2の導電性粒子の含有量)は、0.2以上、0.8以下であり、かつ上記比(第2の導電性粒子の20%K値/第1の導電性粒子の20%K値)は、0.25以上、0.8以下であることが特に好ましい。
初期の接続抵抗を効果的に低くし、更に高温高湿下での電極間の接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記第2の導電性粒子の平均粒子径(μm)の上記第1の導電性粒子の平均粒子径(μm)に対する比(第2の導電性粒子の平均粒子径/第1の導電性粒子の平均粒子径)は好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.2以上、最も好ましくは1.5以上であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。上記比(第2の導電性粒子の平均粒子径/第1の導電性粒子の平均粒子径)は、1.0以上、2.5以下であることが特に好ましい。
上記第1の導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。上記第1の導電性粒子の粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記第1,第2の導電性粒子の平均粒子径は、数平均粒子径を示す。上記平均粒子径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
上記第2の導電性粒子は、導電性の外表面に突起を有していてもよく、導電性の外表面に突起を有していなくてもよい。初期の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記第2の導電性粒子は、導電性の外表面に複数の突起を有することが好ましい。高温高湿下での電極間の接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記第2の導電性粒子は、導電性の外表面に突起を有さないことが好ましい。
上記第1の導電性粒子は、導電性の外表面が防錆処理されていることが好ましい。上記第2の導電性粒子は、導電性の外表面が防錆処理されていることが好ましい。防錆処理によって、高温高湿下などに長期間保管された導電性粒子を用いて、接続構造体を作製したときに、接続抵抗の上昇を効果的に抑えることができる。
初期の接続抵抗をより一層高めるために、上記第2の導電性粒子は、ニッケルを含む第1の導電部と、第1の導電部の外表面上に配置された金を含む第2の導電部とを備えることが好ましい。すなわち、上記第2の導電性粒子では、金を含む第2の導電部の内側に、ニッケルを含む第2の導電部が配置されていることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る導電材料に用いることができる導電性粒子の具体例について説明する。
図2は、本発明に係る導電材料に使用可能な導電性粒子の第1の例を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子1は、基材粒子11と、第1の導電部12と、第2の導電部13と、複数の芯物質14と、複数の絶縁物質15とを備える。導電性粒子1では、多層の導電部が形成されている。
導電性粒子1が上記第1の導電性粒子として用いられる場合に、第2の導電部13は、ニッケルを含む。導電性粒子1が上記第2の導電性粒子として用いられる場合に、第2の導電部13は、金を含む。導電性粒子1が上記第2の導電性粒子として用いられる場合に、第1の導電部12は、ニッケルを含むことが好ましい。
第1の導電部12は、基材粒子11の表面上に配置されている。基材粒子11と第2の導電部13との間に、第1の導電部12が配置されている。第2の導電部13は、第1の導電部12の外表面上に配置されている。第2の導電部13は、第1の導電部12と接している。導電性粒子1は、基材粒子11の表面が第1の導電部12及び第2の導電部13により被覆された被覆粒子である。
導電性粒子1は、導電性の外表面に複数の突起1aを有する。第1の導電部12及び第2の導電部13は外表面に、複数の突起12a,13aを有する。複数の芯物質14が、基材粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質14は、第1の導電部12及び第2の導電部13内に埋め込まれている。芯物質14は、突起1a,12a,13aの内側に配置されている。第1の導電部12及び第2の導電部13は、複数の芯物質14を被覆している。複数の芯物質14により第1の導電部12及び第2の導電部13の外表面が隆起されており、突起1a,12a,13aが形成されている。
導電性粒子1は、導電性の外表面上に配置された絶縁物質15を有する。導電性粒子1は、第2の導電部13の外表面上に配置された絶縁物質15を有する。第2の導電部13の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁物質15により被覆されている。絶縁物質15は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。
図3は、導電性粒子の第2の例を示す断面図である。
図3に示す導電性粒子1Aは、基材粒子11と、第1の導電部12Aと、第2の導電部13と、複数の絶縁物質15とを備える。
導電性粒子1Aが上記第1の導電性粒子として用いられる場合に、第2の導電部13は、ニッケルを含む。導電性粒子1Aが上記第2の導電性粒子として用いられる場合に、第2の導電部13は、金を含む。導電性粒子1Aが上記第2の導電性粒子として用いられる場合に、第1の導電部12Aは、ニッケルを含むことが好ましい。
導電性粒子1Aは、導電性の外表面に複数の突起1Aaを有する。第1の導電部12A及び第2の導電部13は外表面に、複数の突起12Aa,13aを有する。導電性粒子1Aは、芯物質を有さない。第1の導電部12Aは、第1の部分と、該第1の部分よりも厚みが厚い第2の部分とを有する。複数の突起1Aa,12Aaを除く部分が、第1の導電部12Aの上記第1の部分である。複数の突起1Aa,12Aaは、第1の導電部12Aの厚みが厚い上記第2の部分である。
導電性粒子1Aのように、導電性粒子は、第2の導電部の外表面に複数の突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
図4は、導電性粒子の第3の例を示す断面図である。
図4に示す導電性粒子1Bは、基材粒子11と、第1の導電部12Bと、第2の導電部13Bと、複数の芯物質14とを備える。
導電性粒子1Bが上記第1の導電性粒子として用いられる場合に、第2の導電部13Bは、ニッケルを含む。導電性粒子1Bが上記第2の導電性粒子として用いられる場合に、第2の導電部13Bは、金を含む。導電性粒子1Bが上記第2の導電性粒子として用いられる場合に、第1の導電部12Bは、ニッケルを含むことが好ましい。
導電性粒子1Bは、導電性の外表面に複数の突起1Baを有する。第1の導電部12Bは外表面に、突起を有さない。第1の導電部12Bの外形は球状である。第2の導電部13Bは外表面に、複数の突起13Baを有する。複数の芯物質14が、第1の導電部12Bの外表面上に配置されている。複数の芯物質14は第2の導電部13B内に埋め込まれている。芯物質14は、突起1Ba,13Baの内側に配置されている。第2の導電部13Bは、複数の芯物質14を被覆している。複数の芯物質14により第2の導電部13Bの外表面が隆起されており、突起1Ba,13Baが形成されている。
導電性粒子1Bのように、導電性粒子は、第1の導電部の外表面に突起を有していなくてもよい。上記芯物質は、第1の導電部の内側に位置していてもよく、第1の導電部の外側に位置していてもよい。
導電性粒子1Bは、第2の導電部13Bの外表面上に絶縁物質を有さない。導電性粒子は、第2の導電部などの導電部の外表面上に配置された絶縁物質を必ずしも有していなくてもよい。
図5は、導電性粒子の第4の例を示す断面図である。
図5に示す導電性粒子1Cは、基材粒子11と、導電部12Cと、複数の芯物質14と、複数の絶縁物質15とを備える。導電性粒子1Cは、導電性の表面に複数の突起1Caを有する。導電部12Cは、外表面に複数の突起12Caを有する。
導電性粒子1Cが上記第1の導電性粒子として用いられる場合に、導電部12Cは、ニッケルを含む。導電性粒子1Cが上記第2の導電性粒子として用いられる場合に、導電部12Cは、金を含む。
導電性粒子1Cのように、導電性粒子は、単層の構造を有する導電部を有していてもよい。導電性粒子1,1A,1Bのように、導電性粒子は、2層以上の構造を有する導電部を有していてもよい。
図6は、導電性粒子の第5の例を示す断面図である。
図6に示す導電性粒子1Dは、基材粒子11と、第1の導電部12Dと、第2の導電部13Dと、複数の絶縁物質15とを備える。第2の導電部13Dは、金を含む。第1の導電部12Dは、ニッケルを含むことが好ましい。
導電性粒子1Dは、導電性の外表面に突起を有さない。導電性粒子1Dは、第2の導電部13Dの外表面に突起を有さない。従って、導電性粒子1Dは、第2の導電性粒子としてのみ用いることができる。また、第2の導電部13Dの外形は球状である。
図7は、導電性粒子の第6の例を示す断面図である。
図7に示す導電性粒子1Eは、基材粒子11と、導電部12Eとを備える。導電部12Eは、金を含む。
導電性粒子1Eは、導電性の外表面に突起を有さない。導電性粒子1Eは、導電部12Eの外表面に突起を有さない。従って、導電性粒子1Eは、第2の導電性粒子としてのみ用いることができる。また、導電部12Eの外形は球状である。
導電性粒子1Dのように、導電性粒子が導電性の外表面に突起を有さない場合にも、導電性粒子は、2層以上の構造を有する導電部を有していてもよい。導電性粒子1Eのように、導電性粒子が導電性の外表面に突起を有さない場合にも、導電性粒子は、単層の構造を有する導電部を有していてもよい。
導電性粒子1Eは、導電部12Eの外表面上に絶縁物質を有さない。導電性粒子1Eのように、導電性粒子が導電性の外表面に突起を有さない場合にも、導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁物質を必ずしも有していなくてもよい。
次に、基材粒子及び導電部(導電層など)の詳細を説明する。なお、以下の説明において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」と「メタクリレート」との一方又は双方を意味する。
[基材粒子]
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることがより好ましい。上記基材粒子は、コアシェル粒子であってもよい。なお、基材粒子は必ずしも用いなくてもよい。導電性粒子全体が導電部であってもよい。
上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが更に好ましく、樹脂粒子であってもよく、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。これらの好ましい基材粒子の使用により、電極間の電気的な接続により一層適した導電性粒子が得られる。
上記導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、上記導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより上記導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であると、上記圧着の際に上記導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、及び、エチレン性不飽和基を有する種々の重合性単量体を1種もしくは2種以上重合させて得られる重合体等が挙げられる。導電材料に適した任意の圧縮時の物性を有する樹脂粒子を設計及び合成することができ、かつ基材粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を複数有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。この無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。電極間の接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアを形成するための材料としては、上述した樹脂粒子を形成するための樹脂等が挙げられる。
上記無機シェルを形成するための材料としては、上述した基材粒子を形成するための無機物が挙げられる。上記無機シェルを形成するための材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
[導電部]
上記第1の導電性粒子は、導電性の外表面の材料がニッケルを含む。上記第2の導電性粒子は、導電性の外表面の材料が金を含む。上記第1の導電性粒子では、最も外側に位置する導電部が、ニッケルを含む導電部である。上記第2の導電性粒子では、最も外側に位置する導電部が、金を含む導電部である。
ニッケルを含む導電部には、金属として、ニッケルのみを用いた場合だけでなく、ニッケルと他の金属とを用いた場合も含まれる。上記ニッケルを含む導電部は、ニッケル合金を含む導電部であってもよい。金を含む導電部には、金属として、金のみを用いた場合だけでなく、金と他の金属とを用いた場合も含まれる。上記金を含む導電部は、金合金を含む導電部であってもよい。
上記導電部におけるニッケル及び金以外の金属としては、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、パラジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、上記第1,第2の導電性粒子は、最も外側に位置していない導電部を有していてもよい。最も外側に位置していない導電部における金属としては、ニッケル、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、パラジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及び錫ドープ酸化インジウム(ITO)等が挙げられる。これらの金属は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ニッケルを含む導電部は、ニッケルを主金属として含むことが好ましい。上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、ニッケルの含有量は50重量%以上であることが好ましい。上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、ニッケルの含有量は好ましくは65重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。ニッケルの含有量が上記下限以上であると、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
電極間の接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記ニッケルを含む導電部はリン又はボロンを含むことが好ましく、リンを含むことがより好ましい。上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、リンの含有量及びボロンの含有量は好ましくは0重量%を超え、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。リンの含有量及びボロンの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続抵抗がより一層低くなる。
電極間の接続抵抗をより一層低くし、かつ高温高湿下での電極間の接続信頼性をより一層高めるために、上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、リンの含有量は5重量%未満であることがより好ましい。電極間の低い接続抵抗と、高温高湿下での電極間の高い接続信頼性との双方を効果的に発現させる観点からは、上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、リンの含有量は0重量%を超え、より好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上である。リンの含有量が上記下限以上であると、接続抵抗がより一層低くなる。接続抵抗をより一層低くする観点からは、上記ニッケルを含む導電部全体100重量%中、リンの含有量は好ましくは4.9重量%以下、より好ましくは4重量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。
上記ニッケルを含む導電部の厚みは、好ましくは30nm以上、より好ましくは60nm以上であり、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下である。上記ニッケルを含む導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極の表面の酸化被膜がより一層効果的に除去され、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。上記ニッケルを含む導電部の厚みは、導電性粒子におけるニッケルを含む導電部の平均厚みを示す。
なお、上記ニッケルを含む導電部における上記の好ましい形態は、上記第1の導電性粒子におけるニッケルを含む導電部における好ましい形態であり、更に上記第2の導電性粒子が金を含む導電部の内側にニッケルを含む導電部を有する場合に、上記第2の導電性粒子におけるニッケルを含む導電部における好ましい形態である。
上記金を含む導電部は金を主金属として含むことが好ましい。上記金を含む導電部全体100重量%中、金の含有量は50重量%以上であることが好ましい。上記金を含む導電部全体100重量%中、金の含有量は好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、更に好ましくは99.9重量%以上である。金の含有量が上記下限以上であると、電極と導電性粒子とがより一層適度に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記金を含む導電部の厚みは、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下、より一層好ましくは15nm未満、更に好ましくは10nm以下、特に好ましくは10nm未満であり、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上である。上記金を含む導電部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、接続抵抗の上昇が効果的に抑えられる。また、上記金を含む導電部の厚みがかなり薄くても、上記金を含む導電部の外表面が防錆処理されている場合には、上記金を含む導電部の厚みが薄くても、接続抵抗の上昇を効果的に抑えることができる。
上記導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、上記導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電部におけるニッケル、及びリンの含有量を制御する方法としては、例えば、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、ニッケルめっき液のpHを制御する方法、無電解ニッケルめっきにより導電部を形成する際に、リン含有還元剤の濃度を調整する方法、並びにニッケルめっき液中のニッケル濃度を調整する方法等が挙げられる。
無電解めっきにより形成する方法では、一般的に、触媒化工程と、無電解めっき工程とが行われる。以下、無電解めっきにより、樹脂粒子の表面に、ニッケルとリンとを含む合金めっき層を形成する方法の一例を説明する。
上記触媒化工程では、無電解めっきによりめっき部を形成するための起点となる触媒を、樹脂粒子の表面に形成させる。
上記触媒を樹脂粒子の表面に形成させる方法としては、例えば、塩化パラジウムと塩化スズとを含む溶液に、樹脂粒子を添加した後、酸溶液又はアルカリ溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法、並びに硫酸パラジウムとアミノピリジンとを含有する溶液に、樹脂粒子を添加した後、還元剤を含む溶液により樹脂粒子の表面を活性化させて、樹脂粒子の表面にパラジウムを析出させる方法等が挙げられる。上記還元剤として、リン含有還元剤が好適に用いられる。
上記無電解めっき工程では、ニッケル含有化合物及び上記リン含有還元剤を含むニッケルめっき浴が好適に用いられる。ニッケルめっき浴中に樹脂粒子を浸漬することにより、触媒が表面に形成された樹脂粒子の表面に、ニッケルを析出させることができ、ニッケルとリンとを含む導電部を形成できる。
上記ニッケル含有化合物としては、硫酸ニッケル及び塩化ニッケル等が挙げられる。上記ニッケル含有化合物は、ニッケル塩であることが好ましい。上記リン含有還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム等が挙げられる。また、ボロン含有還元剤を用いてもよい。上記ボロン含有還元剤としては、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム等が挙げられる。
上記第1の導電性粒子は、導電性の外表面に複数の突起を有する。上記第2の導電性粒子は、導電性の外表面に複数の突起を有することが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電性の突起を有する導電性粒子の使用により、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。さらに、導電性粒子が表面に絶縁物質を有する場合、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁物質を効果的に排除でき、更にバインダー樹脂を効果的に排除できる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。
上記導電性粒子1個当たりの突起の数は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。
複数の上記突起の平均高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の平均高さが上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記突起の高さは、導電性粒子の中心と突起の先端とを結ぶ線(図2に示す破線L1)上における、突起が無いと想定した場合の導電部の仮想線(図2に示す破線L2)上(突起が無いと想定した場合の球状の導電性粒子の外表面上)から突起の先端までの距離を示す。すなわち、図2においては、破線L1と破線L2との交点から突起の先端までの距離を示す。
接続抵抗を効果的に低くし、高温高湿下での電極間の接続信頼性を効果的に高める観点からは、上記導電性の外表面の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積は好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上である。上記導電性の外表面の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積の占める割合の上限は特に限定されないが、通常100%以下、好ましくは99%以下である。
上記突起がある部分の表面積の比率は、以下の方法で算出できる。本発明の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、正投影面において突起として現れている部分の面積の比率を測定し、平均値を算出することにより求められる。
[芯物質]
上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部が外表面に複数の突起を有するようにすることが容易である。但し、導電性粒子の表面及び導電部の外表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、更に無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に、第1の導電部を形成した後、該第1の導電部上に芯物質を配置し、次に第2の導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。
上記基材粒子の表面上に芯物質を配置する方法としては、例えば、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、例えば、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。なかでも、付着させる芯物質の量を制御しやすいため、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法が好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、例えば、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。なかでも、導電性を高めることができ、更に接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。
上記金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。なかでも、ニッケル、銅、銀又は金が好ましい。上記芯物質を形成するための金属は、上記導電部を形成するための金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。上記芯物質を形成するための金属は、上記導電部を形成するための金属を含むことが好ましい。上記芯物質を形成するための金属は、ニッケルを含むことが好ましい。上記芯物質を形成するための金属は、ニッケルを含むことが好ましい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、例えば、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の平均径(平均粒子径)は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の平均径が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗が効果的に低くなる。
上記芯物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。芯物質の平均径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
[絶縁物質]
上記導電性粒子は、導電性の外表面上に配置された絶縁物質を備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁物質を容易に排除できる。
電極間の圧着時に上記絶縁物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁物質の材料である絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記導電部の外表面上に絶縁物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁物質が脱離し難いことから、上記導電部の外表面に、化学結合を介して上記絶縁物質を配置する方法が好ましい。
上記導電層(上記金層)の外表面、及び絶縁性粒子の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電層の外表面と絶縁性粒子の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電層の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミンなどの高分子電解質を介して絶縁性粒子の表面の官能基と化学結合していてもよい。
上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁物質の平均径(平均粒子径)は好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。絶縁物質の平均径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の平均径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁物質を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁物質の「平均径(平均粒子径)」は、数平均径(数平均粒子径)を示す。絶縁物質の平均径は、粒度分布測定装置等を用いて求められる。
[防錆処理]
導電性粒子の腐食を抑え、電極間の接続抵抗を低くするために、上記導電性粒子における導電性の外表面は防錆処理されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子における導電性の外表面は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物により、防錆処理されていることが好ましい。上記導電性粒子における導電性の表面は、リンを含まない化合物により防錆処理されていてもよく、炭素数6〜22のアルキル基を有しかつリンを含まない化合物により防錆処理されていてもよい。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子における導電性の外表面は、アルキルリン酸化合物又はアルキルチオールにより、防錆処理されていることが好ましい。防錆処理により、上記導電性粒子における導電性の外表面に、防錆膜を形成できる。
上記防錆膜は、炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物(以下、化合物Aともいう)により形成されていることが好ましい。上記導電性粒子における導電性の外表面は、上記化合物Aにより表面処理されていることが好ましい。上記アルキル基の炭素数が6以上であると、導電部全体で錆がより一層生じ難くなり、特にニッケルを含む導電部に錆がより一層生じ難くなる。上記アルキル基の炭素数が22以下であると、導電性粒子の導電性が高くなる。導電性粒子の導電性をより一層高める観点からは、上記化合物Aにおける上記アルキル基の炭素数は16以下であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖構造を有していてもよく、分岐構造を有していてもよい。上記アルキル基は、直鎖構造を有することが好ましい。
上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有していれば特に限定されない。上記化合物Aは、炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシラン、炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオール、及び炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。すなわち、上記炭素数6〜22のアルキル基を有する化合物Aは、リン酸エステル又はその塩、亜リン酸エステル又はその塩、アルコキシシラン、アルキルチオール及びジアルキルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの好ましい化合物Aの使用により、導電部に錆をより一層生じ難くすることができる。錆をより一層生じ難くする観点からは、上記化合物Aは、上記リン酸エステルもしくはその塩、亜リン酸エステルもしくはその塩、又は、アルキルチオールであることが好ましく、上記リン酸エステルもしくはその塩、又は、亜リン酸エステルもしくはその塩であることがより好ましい。上記化合物Aは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記化合物Aは、ニッケルを含む導電部の外表面と反応可能な反応性官能基を有することが好ましく、上記導電性粒子における導電性の外表面と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記化合物Aは、上記絶縁物質と反応可能な反応性官能基を有することが好ましい。上記防錆膜は、上記導電性粒子における導電性の外表面と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記絶縁物質と化学結合していることが好ましい。上記防錆膜は、上記導電性粒子における導電性の外表面及び上記絶縁物質の双方と化学結合していることがより好ましい。上記反応性官能基の存在により、及び上記化学結合により、上記防錆膜の剥離が生じ難くなり、この結果、上記導電性粒子における導電性の外表面に錆がより一層生じ難くなり、かつ導電性粒子の表面から絶縁物質が意図せずにより一層脱離し難くなる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するリン酸エステル又はその塩としては、例えば、リン酸ヘキシルエステル、リン酸ヘプチルエステル、リン酸モノオクチルエステル、リン酸モノノニルエステル、リン酸モノデシルエステル、リン酸モノウンデシルエステル、リン酸モノドデシルエステル、リン酸モノトリデシルエステル、リン酸モノテトラデシルエステル、リン酸モノペンタデシルエステル、リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及びリン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有する亜リン酸エステル又はその塩としては、例えば、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸ヘプチルエステル、亜リン酸モノオクチルエステル、亜リン酸モノノニルエステル、亜リン酸モノデシルエステル、亜リン酸モノウンデシルエステル、亜リン酸モノドデシルエステル、亜リン酸モノトリデシルエステル、亜リン酸モノテトラデシルエステル、亜リン酸モノペンタデシルエステル、亜リン酸モノヘキシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノヘプチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノオクチルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノノニルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノウンデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノドデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノトリデシルエステルモノナトリウム塩、亜リン酸モノテトラデシルエステルモノナトリウム塩及び亜リン酸モノペンタデシルエステルモノナトリウム塩等が挙げられる。上記亜リン酸エステルのカリウム塩を用いてもよい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルコキシシランとしては、例えば、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン及びペンタデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するアルキルチオールとしては、例えば、ヘキシルチオール、ヘプチルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール、ウンデシルチオール、ドデシルチオール、トリデシルチオール、テトラデシルチオール、ペンタデシルチオール及びヘキサデシルチオール等が挙げられる。上記アルキルチオールは、アルキル鎖の末端にチオール基を有することが好ましい。
上記炭素数6〜22のアルキル基を有するジアルキルジスルフィドとしては、例えば、ジヘキシルジスルフィド、ジヘプチルジスルフィド、ジオクチルジスルフィド、ジノニルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジウンデシルジスルフィド、ジドデシルジスルフィド、ジトリデシルジスルフィド、ジテトラデシルジスルフィド、ジペンタデシルジスルフィド及びジヘキサデシルジスルフィド等が挙げられる。
[導電材料の他の詳細]
本発明に係る導電材料は、複数の上記第1の導電性粒子と、複数の上記第2の導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記第1,第2の導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されている。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。
上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
上記導電材料100重量%中、上記第1の導電性粒子と上記第2の導電性粒子との合計の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記第1の導電性粒子と上記第2の導電性粒子との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
(接続構造体)
上記導電性粒子を用いて、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、第1,第2の接続対象部材を接続している接続部とを備え、該接続部が上述した第1,第2の導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている接続構造体であることが好ましい。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電材料を用いた接続構造体を模式的に断面図で示す。
図1に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、第1の導電性粒子に相当する導電性粒子1と、第2の導電性粒子に相当する導電性粒子1Dとを含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図1では、導電性粒子1,1Dは、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1,1Dにかえて、他の導電性粒子等を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1,1Dにより電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1,1Dにより電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記接続対象部材は電子部品であることが好ましい。上記導電性粒子は、電子部品における電極の電気的な接続に用いられることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、銀電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
以下の導電性粒子を用意した。
(1)第1の導電性粒子
導電性粒子1(20%K値8000N/mm2、平均粒子径3μm):
樹脂粒子(粒子径が3μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)の表面に、ニッケル層(厚み9nm)が形成された導電性粒子。ニッケル層の外表面に複数の突起が形成されている。ニッケル層の外表面に、複数の絶縁性粒子(平均粒子径220nm)が付着している。ニッケル層の外表面が、2−エチルヘキシルアジッドホスフェイトにより防錆処理されている。
導電性粒子2(20%K値6000N/mm2、平均粒子径3μm):
重合形態が異なるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子が用いられていることで導電性粒子の20%K値が異なることを除いて、導電性粒子1と同様に形成されている。
導電性粒子3(20%K値10000N/mm2、平均粒子径3μm):
攪拌機及び温度計が取り付けられた500mLの反応容器内に、0.20重量%のアンモニア水溶液300gを入れた。次に、反応容器内のアンモニア水溶液中に、メチルトリメトキシシラン5.0gと、ビニルトリメトキシシラン20.0gと、シリコーンアルコキシオリゴマー(信越化学工業社製「X−41−1053」)0.5gとの混合物をゆっくりと添加した。撹拌しながら、加水分解及び縮合反応を進行させた後、25重量%アンモニア水溶液3.0mL添加した後、アンモニア水溶液中から粒子を単離した。単離された粒子を酸素分圧10−17atm、350℃で2時間焼成して、平均粒子径3μmである有機無機ハイブリッド粒子を得た。この有機無機ハイブリッドが用いられていることで導電性粒子の20%K値が異なることを除いて、導電性粒子1と同様に形成されている。
導電性粒子4(20%K値8000N/mm2、平均粒子径2μm):
樹脂粒子(粒子径が2μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)が用いられていることで導電性粒子の平均粒子径が異なることを除いて、導電性粒子1と同様に形成されている。
導電性粒子5(20%K値8000N/mm2、平均粒子径5μm):
樹脂粒子(粒子径が5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)が用いられていることで導電性粒子の平均粒子径が異なることを除いて、導電性粒子1と同様に形成されている。
導電性粒子6(20%K値8000N/mm2、平均粒子径3μm):
ニッケル層の外表面に絶縁性粒子が付着していないことを除いて、導電性粒子1と同様に形成されている。
導電性粒子7(20%K値8000N/mm2、平均粒子径3.5μm):
樹脂粒子(粒子径が3.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)が用いられていることで導電性粒子の平均粒子径が異なること、並びにニッケル層の外表面に絶縁性粒子が付着していないことを除いて、導電性粒子1と同様に形成されている。
(2)第1の導電性粒子に類似した導電性粒子
導電性粒子X(20%K値8000N/mm2、平均粒子径3μm):
ニッケル層の外表面に突起が形成されていないことを除いて、導電性粒子1と同様に形成されている。
(3)第2の導電性粒子
導電性粒子1A(20%K値5000N/mm2、平均粒子径5μm):
樹脂粒子(粒子径が5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)の表面に、ニッケル層(厚み9nm)が形成されており、ニッケル層の外表面に金層(厚み10nm)が形成されている。金層の外表面に複数の突起が形成されている。金層の外表面に、複数の絶縁性粒子(平均粒子径220nm)が付着している。金層の外表面が、2−エチルヘキシルアジッドホスフェイトにより防錆処理されている。
導電性粒子2A(20%K値3000N/mm2、平均粒子径5μm):
重合形態が異なるジビニルベンゼン―アクリル共重合体樹脂粒子が用いられていることで導電性粒子の20%K値が異なることを除いて、導電性粒子1Aと同様に形成されている。
導電性粒子3A(20%K値6500N/mm2、平均粒子径5μm):
重合形態が異なるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子が用いられていることで導電性粒子の20%K値が異なることを除いて、導電性粒子1Aと同様に形成されている。
導電性粒子4A(20%K値6000N/mm2、平均粒子径3μm):
樹脂粒子(粒子径が3μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)が用いられていることで導電性粒子の平均粒子径が異なることを除いて、導電性粒子1Aと同様に形成されている。
導電性粒子5A(20%K値6000N/mm2、平均粒子径7μm):
樹脂粒子(粒子径が7μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)が用いられていることで導電性粒子の平均粒子径が異なることを除いて、導電性粒子1Aと同様に形成されている。
導電性粒子6A(20%K値6000N/mm2、平均粒子径5μm):
金層の外表面に絶縁性粒子が付着していないことを除いて、導電性粒子1Aと同様に形成されている。
導電性粒子7A(20%K値6000N/mm2、平均粒子径5μm):
金層の外表面に突起が形成されていないことを除いて、導電性粒子1Aと同様に形成されている。
導電性粒子8A(20%K値5000N/mm2、平均粒子径2.5μm):
樹脂粒子(粒子径が2.5μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子)が用いられていることで導電性粒子の平均粒子径が異なること、並びに金層の外表面に突起が形成されていないことを除いて、導電性粒子1Aと同様に形成されている。
(実施例1)
(1)導電材料(異方性導電ペースト)の調製
熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP−3300P」)20重量部と、熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP−4032D」)15重量部と、熱硬化剤である熱カチオン発生剤(三新化学社製 サンエイド「SI−60」)5重量部と、フィラーであるシリカ(平均粒子径0.25μm)20重量部とを配合し、さらに導電性粒子1を配合物100重量%中での含有量が3重量%となるように、かつ導電性粒子1Aを配合物100重量%中での含有量が7重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。
(2)接続構造体の作製
L/Sが20μm/20μmであるITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが20μm/20μmである金電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板上に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ30μmとなるように塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて異方性導電ペースト層を185℃で硬化させて、接続構造体を得た。
(実施例2〜18及び比較例1〜3)
導電性粒子の種類及び導電材料100重量%中での導電性粒子の配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。
(評価)
(1)初期の接続抵抗
得られた接続構造体の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。初期の接続抵抗を下記の基準で判定した。
[初期の接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗が2.0Ω以下
○:接続抵抗が2.0Ωを超え、3.0Ω以下
△:接続抵抗が3.0Ωを超え、5.0Ω以下
×:接続抵抗が5.0Ωを超える
(2)信頼性試験後の接続抵抗(導通信頼性)
上記(1)初期の接続抵抗の評価で得られた接続構造体を、温度90℃及び相対湿度85%の条件で放置した。放置開始から150時間後に、上記(1)初期の接続抵抗の評価と同様に電極間の接続抵抗を4端子法により測定した。信頼性試験後の接続抵抗を下記の基準で判定した。
[信頼性試験後の接続抵抗の判定基準]
○○:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が125%未満
○:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が125%以上、150%未満
△:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が150%以上、200%未満
×:接続抵抗(放置前)の平均値に比べ、接続抵抗(放置後)の平均値が200%以上
結果を下記の表1に示す。
なお、上記(2)信頼性試験後の接続抵抗の評価では、得られた接続構造体を90℃及び相対湿度85%の条件で放置した。接続構造体を得る前の導電性粒子を90℃及び相対湿度85%の条件で放置した後に、接続構造体を得た場合にも、接続抵抗の上昇傾向について、上記(2)信頼性試験後の接続抵抗の評価結果と同様の傾向が見られた。また、実施例1,6では、初期の接続抵抗の評価結果は「○」であるが、実施例1の方が実施例6よりも接続抵抗は低かった。一方で、実施例7では、ニッケル層の外表面上に絶縁物質が配置されているために、絶縁信頼性に優れていた。また、実施例1,11,12では、初期の接続抵抗の評価結果は「○」であるが、実施例1の方が実施例11,12よりも接続抵抗は低かった。一方で、実施例11では、ニッケル層の外表面に絶縁物質が配置されているために、絶縁信頼性に優れていた。