以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る冷蔵庫1の正面図である。
まず、図1における左右方向X、前後方向Yおよび上下方向Zを基準として冷蔵庫1の概要について説明する。左右方向Xのうち、左方を左方X1と称し、右方を右方X2と称する。前後方向Yは、図1の紙面に直交する方向であり、前後方向Yのうち、紙面手前側の前方を前方Y1と称し、紙面奥側の後方を後方Y2と称する。上下方向Zのうち、上方を上方Z1と称し、下方を下方Z2と称する。左右方向Xおよび前後方向Yは、上下方向Zに対して交差する交差方向であり、水平方向Hに含まれる。
冷蔵庫1は、本体2と扉3とを含む。図2は、扉3を省略した状態における本体2を前方Y1から見た斜視図である。図2を参照して、本体2は、上下方向Zに長手のボックス状に形成され、前後方向Yに奥行きを有する。本体2内には、冷却保存される食品などの物品を収納する直方体状の収納室4が複数形成される。これらの収納室4は、本体2の内部空間の略上半分を占める冷蔵室4Aと、冷蔵室4Aの下方Z2で左右方向Xに並ぶ製氷室4Bおよび変温室4Cと、製氷室4Bおよび変温室4Cの下方Z2に位置する第1冷凍室4Dと、第1冷凍室4Dの下方Z2に位置する第2冷凍室4Eとに区別される。
冷蔵室4Aには、冷蔵保存される物品が収納される。冷蔵室4A内には、水平方向Hに沿う板状に形成された棚5が配置される。棚5は、たとえば3つ存在し、上下方向Zに間隔を隔てて配置される。これらの棚5によって、冷蔵室4Aは、上下方向Zに並ぶ複数の領域に仕切られる。たとえば上方Z1から2番目の棚5は、前方Y1に配置される前棚5Aと、後方Y2に配置される後棚5Bとに分割される。前棚5Aは、左右方向Xに長手の長方形状のガラス板によって構成され、その前後の2辺だけは樹脂などで被覆されるが、残りの左右の2辺ではガラスの地肌を露出させることによって、見栄えの向上が図られる。一方、後棚5Bは、4辺の全てが樹脂などで被覆された左右方向Xに長手の長方形状のガラス板である。前棚5Aを折り畳んで後方Y2へ移動させることによって、前棚5Aを後棚5Bの下方Y2に収納することができる。冷蔵室4Aの下部において最下位の棚5よりも下方Z2には、野菜などが収納されるボックス状の野菜収納庫6が設けられる。
製氷室4Bは、変温室4Cよりも左方X1に配置される。製氷室4B内では、氷が作られたり、保存されたりする。氷用の水を製氷室4Bに供給する給水タンク7が、たとえば、野菜収納庫6における左方X1の下端部に配置される。変温室4Cは、その室温を任意に変更することによって、冷蔵室や冷凍室のバックアップとして用いることができる。また、変温室4Cでは、冷蔵温度と冷凍温度との間の任意の温度で物品を冷却保存できる。第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eには、冷凍保存される物品が収納される。
本体2における前方Y1の側面部2Aには、収納室4と同数の開口部8が形成される。各開口部8は、対応する収納室4に前方Y1から連通し、対応する収納室4を側面部2Aから前方Y1へ露出させる。
扉3は、側面部2Aにおいて、収納室4毎に設けられる。冷蔵室4A用の扉3は、観音開きできるように左右に一対設けられ、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eについては、扉3が1つずつ設けられ、いずれの扉3も前方Y1へ引き出し可能である(図1参照)。これらの扉3は、対応する収納室4を前方Y1から開閉する。
冷蔵庫1を後方Y2から見た図3を参照して、本体2における後方Y2の外側面部2Bは、上下方向Zに延びる。外側面部2Bの上端部において左右方向Xにおける略中央の領域には、基板ボックス10が設けられる。基板ボックス10は、左右方向Xに長手で前後方向Yに扁平なボックス状に形成される。基板ボックス10には、本体2内の電気部品(後述する)に対して電気的に接続される制御部11が収納される。制御部11は、CPUやROMやRAMなどが実装された基板である。
図4および図5は、いずれも冷蔵庫1のA−A矢視断面の右側面図であるが、図4は、模式的な図であり、図5は、写実的な図である。図4を参照して、本体2は、その外殻を構成する外箱12と、外箱12内に収納される複数の内箱13と、外箱12と内箱13との間に配置される断熱部材14とを含む。
外箱12は、金属製であり、上下方向Zに長手のボックス状に形成され、その前面の全域は、外箱12の内部空間を前方Y1に露出させる開口部12Aである。外箱12は、本体2の外壁として上下方向Zに延びる側板12B、側板12Cおよび側板12Dを有する(図2および図3も参照)。側板12Bは、本体2における左方X1の外壁であり、側板12Cは、本体2における右方X2の外壁であり、側板12Dは、本体2における後方Y2の外壁であり、側板12Dの後側面部が、前述した外側面部2Bである。側板12Bおよび側板12Cのそれぞれの下端部の後端部には、これらの側板を左右方向Xに貫通する略矩形の通気孔12Eが形成される(図2および図3参照)。通気孔12Eは、たとえば格子状のカバー22によって覆われる。
内箱13は、樹脂製のボックス状に形成され、その前面の全域は、内箱13の内部空間を前方Y1に露出させる開口部13Aである。内箱13は、全部で2つ存在し、これらの内箱13は、外箱12の内部空間の略上半分に位置する冷蔵内箱15と、外箱12の内部空間の略下半分に位置する冷凍内箱16とに区別される。冷蔵内箱15内には、冷蔵室4Aが形成される。冷蔵内箱15の開口部13Aは、冷蔵室4Aの開口部8である。冷凍内箱16には、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eが形成される。冷凍内箱16の開口部13Aは、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eのそれぞれの開口部8に区切られる。
冷凍内箱16内には、上下方向Zに薄く水平方向Hに沿う板状の仕切部材17と、左右方向Xに薄く前後上下に延びる板状の仕切部材18とが設けられる。仕切部材17は、冷凍内箱16の左右方向Xにおける両側壁の間に架設された状態で、製氷室4Bおよび変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間に配置される。これにより、仕切部材17は、上下方向Zに隣り合う製氷室4Bと第1冷凍室4Dとの間を仕切り、かつ、上下方向Zに隣り合う変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間を仕切る(図2参照)。仕切部材18は、仕切部材17の左右方向Xにおける略中央部と冷凍内箱16の上壁16Aとの間に架設された状態で、製氷室4Bと変温室4Cとの間に配置される。これにより、仕切部材18は、左右方向Xに隣り合う製氷室4Bと変温室4Cとの間を仕切る(図2参照)。また、冷凍内箱16内には、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとの間を仕切る仕切部材19が設けられてもよい。ただし、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとの間は仕切部材19によって完全に遮断された訳ではなく、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとは互いに連通した状態にある。
冷蔵内箱15および冷凍内箱16は、外箱12内で上下方向Zに隣り合って配置される。冷蔵内箱15の下壁15Aは、冷凍内箱16の上壁16Aに対して隙間を隔てて上方Z1に配置される。下壁15Aおよび上壁16Aの互いの前端部の間には、左右方向Xに延びる板状の連結部20が架設される。これにより、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とは、互いに連結された状態にある。
断熱部材14は、たとえばウレタンで構成される。本体2の製造の際、発泡性ウレタンが、外箱12と内箱13との隙間や、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との隙間に注入された後に発泡し、これらの隙間に充填されて断熱部材14となる。断熱部材14により、外箱12と内箱13との間が断熱され、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との間が断熱される。また、断熱部材14は、仕切部材17および18のそれぞれが本体2に組み込まれる前の部品の状態のときに、それぞれの内部空間に予め配置される。これにより、製氷室4Bおよび変温室4Cのそれぞれと第1冷凍室4Dとの間が仕切部材17によって断熱され、製氷室4Bと変温室4Cとの間が仕切部材18によって断熱される。なお、仕切部材17および18のそれぞれにおける断熱部材14として、発泡性ウレタンではなく、発泡スチロールの成形品を用いることができる。また、断熱部材14の断面を示すハッチング(図5参照)は、説明の便宜上、図4では省略される。
冷蔵庫1は、イソブタンなどの冷媒を用いた蒸気圧縮式の冷凍回路によって、各収納室4内の物品を冷却するための冷気を発生させる。冷蔵庫1は、この冷凍回路を構成する圧縮機25、流路26、冷却器27、凝縮器29および乾燥器30などを含む。
圧縮機25には、冷媒を圧縮する部品として公知のものが用いられる。圧縮機25は、本体2の後方Y2の下端部に設けられる。流路26は、たとえば金属製のパイプによって構成され、圧縮機25から冷媒を取り出した後に再び圧縮機25に戻す循環流路である。流路26は、図4において点線で示すように本体2および仕切部材17を巡るように配置される。具体的に、流路26は、本体2の断熱部材14の全域や仕切部材17にわたって張り巡らされる。流路26内における冷媒の流れる方向は、点線矢印で示される。
冷却器27は、エバポレータとも呼ばれ、冷却器27には、冷媒を蒸発させる部品として公知のものが用いられる。冷却器27は、本体2内において、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とで1つずつ設けられる。冷蔵内箱15の冷却器27を、以下では第1冷却器27Aと呼び、冷凍内箱16の冷却器27を、以下では第2冷却器27Bと呼ぶことにする。第1冷却器27Aおよび第2冷却器27Bは、流路26の途中に設けられる。第1冷却器27Aは、たとえばボックス状の第1冷却室31に収容され、第2冷却器27Bは、たとえばボックス状の第2冷却室32に収容される。第1冷却室31は、冷蔵内箱15内に配置される。第1冷却室31には、出口31Aおよび入口31Bが形成され、出口31Aには、回転駆動されるファン33が設けられる。第2冷却室32は、冷凍内箱16内に配置される。第2冷却室32には、出口32Aおよび入口32Bが形成され、出口32Aには、回転駆動されるファン34が設けられる。
凝縮器29は、冷媒を凝縮する部品であって、流路26において圧縮機25と冷却器27と間に設けられる。乾燥器30は、冷媒を乾燥させる部品であって、流路26において凝縮器29と冷却器27との間に設けられる。乾燥器30と冷却器27との間における流路26の一部は、キャピラリチューブとして構成される。
冷媒は、圧縮機25によって圧縮されることで、高温高圧のガス冷媒に変化し、その後、凝縮器29を通過する際に放熱しながら液化する。液化した冷媒は、乾燥器30を通過してからキャピラリチューブを通過する際に減圧され、その後、第1冷却器27Aや第2冷却器27Bにおいて蒸発する。ちなみに、流路26には、第1冷却器27Aを経由せずに第2冷却器27Bにショートカットさせる分岐路26Aが設けられる。そのため、キャピラリチューブで減圧された冷媒の一部は、点線矢印A1で示すように、分岐路26Aを通って第2冷却器27Bに直接向かう。
第1冷却器27Aにおいて冷媒が蒸発する際に、第1冷却室31内における第1冷却器27Aの周囲の空気が冷却されて冷気となる。第1冷却室31内の冷気は、回転するファン33によって出口31Aから第1冷却室31の外に押し出され、実線矢印で示すように、冷蔵内箱15の冷蔵室4A内を流れた後に入口31Bから第1冷却室31内に戻り、第1冷却器27Aによって再び冷却される。冷気は、ファン33の回転中は常に冷蔵室4Aと第1冷却室31との間で循環し、冷蔵室4A内の物品を冷却する。
第2冷却器27Bにおいて冷媒が蒸発する際に、第2冷却室32内における第2冷却器27Bの周囲の空気が冷却されて冷気となる。第2冷却室32内の冷気は、回転するファン34によって出口32Aから第2冷却室32の外に押し出され、1点鎖線の矢印で示すように、冷凍内箱16の第1冷凍室4D内および第2冷凍室4E内を流れた後に入口32Bから第2冷却室32内に戻り、第2冷却器27Bによって再び冷却される。冷気は、ファン34の回転中は常に第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eと第2冷却室32との間で循環し、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4E内の物品を冷却する。冷凍内箱16内における冷気の流量は、冷蔵内箱15内における冷気の流量よりも多くなるように設定されるので、冷凍内箱16内の物品は冷凍保存される。
製氷室4B(図2参照)と第1冷凍室4Dとは常に連通した状態にあるので、第1冷凍室4D内の冷気は、ファン34の回転中は常に製氷室4B内にも流れ込む。これにより、製氷室4Bにおける氷の生成や保存が実現される。
一方、変温室4Cと第1冷凍室4Dとは、仕切部材17の後端部を上下方向Zに貫通した貫通穴17Aを介して連通した状態にあるが、貫通穴17Aは、ダンパと呼ばれる回動可能な板状の開閉部材35によって開閉される。そのため、実線で示すように開閉部材35が水平方向Hに沿った姿勢で貫通穴17Aを閉じた状態では、変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間が遮断されるので、第1冷凍室4D内の冷気が変温室4C内に流れ込むことはない。一方、点線で示すように開閉部材35が上方Z1へ回動して貫通穴17Aを開いた状態では、変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間が連通するので、第1冷凍室4D内の冷気は、2点鎖線の矢印で示すように、貫通穴17Aを通過して変温室4C内に流れ込み、変温室4C内の物品を冷却する。開閉部材35の開閉時間を変化させて貫通穴17Aの開き具合を調整すると、貫通穴17Aから変温室4Cへ向かう冷気の流量が調整される。これにより、変温室4Cの室温を任意に設定できる。
以上のように第1冷却器27Aや第2冷却器27Bにおいて蒸発した冷媒は、流路26を引き続き流れて圧縮機25に戻り、圧縮機25によって再び圧縮される。つまり、冷媒は、流路26内を流れることによって圧縮機25と冷却器27との間で循環しながら、圧縮、放熱、減圧および蒸発を繰り返す。
第2冷却室32の第2冷却器27Bは、冷凍用の冷気を生成することから、第2冷凍器28の表面には霜が発生し得る。そこで、第2冷却室32には、除霜ヒータ36が設けられる。除霜ヒータ36が通電されて発熱することによって、第2冷却器27Bの表面の霜が溶けて水となって流れ落ちる。たとえば、本体2の下端部には、内部が上方Z1へ開放された蒸発皿37が設けられる。第2冷却器27Bの表面から流れ落ちた水は、第2冷却室32から下方Z2へ延びて蒸発皿37につながった水路38(図5参照)を通って、蒸発皿37に溜まる。蒸発皿37に溜まった水は、圧縮機25によって高温となった冷媒や流路26の熱によって蒸発する。なお、除霜ヒータ36と同様の機能を有する除霜ヒータ39が第1冷却室31にも設けられる。そのため、除霜ヒータ39が発熱すると、第1冷却室31の第1冷却器27Aの表面の霜が溶けて水となって流れ落ち、図示しない水路を通って、蒸発皿37に溜まり、その後に蒸発する。このように、蒸発皿37は、本体2内の霜が溶けることによって発生した水を溜めて蒸発させるために設けられる。
冷蔵庫1の電気的構成を示すブロック図である図6を参照して、冷蔵庫1は、前述した電気部品として、前述した圧縮機25、除霜ヒータ36および除霜ヒータ39の他に、ファン駆動モータ41と、ダンパ切換モータ42と、温度センサ43とを主に含む。ファン駆動モータ41は、ファン33および34のそれぞれに設けられ、対応するファンを回転駆動させる。ダンパ切換モータ42は、開閉部材35を開閉させる。温度センサ43は、各収納室4に設けられ、対応する収納室4の室温を検知する。制御部11は、これらの電気部品に電気的に接続され、圧縮機25、除霜ヒータ36、除霜ヒータ39、ファン駆動モータ41およびダンパ切換モータ42の動作を制御したり、温度センサ43の検知結果の入力を受け付けたりする。
以上が冷蔵庫1の概要であり、以下では、冷蔵庫1の下部の構成について詳しく説明する。冷蔵庫1の下部の縦断面後側面図である図7を参照して、冷蔵庫1の本体2内の下部の後端部には、側板12Bおよび側板12Cによって左右方向Xから挟まれた空間51が形成される。空間51は、左右方向Xに長手であり、左右方向Xから見て、側板12Bの通気孔12Eと側板12Cの通気孔12Eとに重なり、これらの通気孔12Eと連通した状態にある。空間51は、本体2の底をなす外箱12の底板12Fによって下方Z2から塞がれた状態にある。なお、図3では、説明の便宜上、空間51が後方Y2に露出された状態が図示されるが、実際には、空間51は、側板12Dの下端部(図示せず)によって後方Y2から塞がれた状態にある。空間51には、断熱部材14が存在しない(図5参照)。
図7を参照して、冷蔵庫1は、下部ユニット52を含み、下部ユニット52が空間51に配置される。下部ユニット52は、圧縮機25と、流路26の一部と、蒸発皿37と、ファンユニット53とを含む。
圧縮機25は、空間51において右方X2に偏った位置に配置され、底板12Fに対して上方Z1から固定される。空間51に配置される流路26は、圧縮機25によって圧縮されることで加熱された高温の冷媒が流れる部分であり、以下では、高温部分26Bと呼ばれる。高温部分26Bは、流路26全体の中で最も高温である。高温部分26Bは、圧縮機25から左方X1に延びた後に下方Z2へ延びる第1部分26Cと、第1部分26Cの下端から連続して水平方向Hに沿って蛇行しながら延びる第2部分26D(後述する図11も参照)と、第2部分26Dから連続し、前後や左右にジグザグしながら上方Z2へ延びる第3部分26E(図3も参照)とを含む。圧縮機25によって圧縮された直後の冷媒は、第1部分26C、第2部分26Dおよび第3部分26Eを、この順番で流れる。
蒸発皿37は、その内部が上方Z1に向けて開放された上下方向Zに扁平なトレイ状に形成される。蒸発皿37は、左右方向Xに長手であり、空間51の略左半分を占めるように底板12Fに対して上方Z1から固定される。上下方向Zから見て、蒸発皿37は、左方X1の側板12Bと圧縮機25との間に配置される。流路26の高温部分26Bの一部である第2部分26Dが、蒸発皿37の内部に収容され、蒸発皿37の底37Aから若干浮いた状態で底37Aに沿って配置される。高温部分26Bの第3部分26Eは、蒸発皿37の上方Z1に配置される。
蒸発皿37の斜視図である図8を参照して、蒸発皿37は、上下方向Zから見て、左右方向Xに長手の長方形状に形成される。蒸発皿37の底37Aも、左右方向Xに長手の長方形状に形成され、蒸発皿37は、底37Aの四辺から上方Zへ延びる前壁37B、後壁37C、左壁37Dおよび右壁37Eを一体的に含む。前壁37Bおよび後壁37Cの左端部同士の間に左壁37Dが架設され、前壁37Bおよび後壁37Cの右端部同士の間に右壁37Eが架設される。底37A、前壁37B、後壁37C、左壁37Dおよび右壁37Eによって囲まれた空間が、蒸発皿37において水が溜められる内部である。
蒸発皿37は、仕切部材60を含む。仕切部材60は、底37Aから上方Z1に延びる板である。仕切部材60は、左壁37Dの前後方向Yにおける略中央から右方X2に延び、後方Y2へ折れ曲がった後に右方X2へ湾曲し、右壁37Eの手前まで右方X2へ直線状に延びた後に後方Y2へ折れ曲がって後壁37Cの右端部に接続される。仕切部材60には、溢水口60Aが設けられる。溢水口60Aは、たとえば、仕切部材60の上端部を上方Z1から切り欠く切欠きである。溢水口60Aは、仕切部材60において左壁37Dから右方X2に延びる部分と、この部分から後方Y2へ折れ曲がる部分とに跨って設けられる。仕切部材60は、上方Z1から見て、蒸発皿37の内部を、仕切部材60よりも後方Y2の第1領域37Fと、仕切部材60よりも前方Y1の第2領域37Gとに仕切る。
第2領域37Gにおける底37Aにおいて右方X2に偏った位置には、複数(ここでは2つ)の受け部61が前後方向Yに並んで設けられる。それぞれの受け部61は、左右方向Xに長手の直方体状に形成され、受け部61には、その上面から下方Z2へ窪む凹部61Aが形成される。それぞれの受け部61の前後の両側面の下端には、位置決め部62が設けられる(後述する図9も参照)。位置決め部62は、左右方向Xに薄い小片状のリブであり、受け部61の前後の両側面のそれぞれにおいて左右方向Xに並んで複数(ここでは3つ)設けられる。それぞれの位置決め部62は、底37Aにも接続される。
第2領域37Gにおける底37Aにおいて左方X1に偏った位置には、上方Z1へ突出する複数(ここでは3つ)の係合部63が設けられる。3つの係合部63のうち、2つの係合部63は、左右方向Xに並んで設けられ、残り1つの係合部63は、当該2つの係合部63の間の隙間に対して後方Y2から対向配置される。当該2つの係合部63の上端部には、後方Y2へ突出する爪63Aが設けられ、残り1つの係合部63の上端部には、前方Y1へ突出する爪63Aが設けられる。
図8のB−B矢視断面を含む図9を参照して、ファンユニット53は、ファン65と支持部66とを有する。ファン65は、放射状に配置される複数(ここでは3つ)の羽根65Aを有する。支持部66は、ファンユニット53のケーシングであり、左右方向Xから見て略矩形の額縁状に形成され、左右方向Xに薄い(図7参照)。支持部66の内側にファン65が配置される。支持部66において、ファン65に右方X2から対向する位置には、ファン65を回転駆動させるファン駆動モータ67が取り付けられ(図11参照)、ファン65は、ファン駆動モータ67を介して、支持部66によって支持される。ファン駆動モータ67は、制御部11に電気的に接続され、制御部11は、ファン駆動モータ67の動作を制御する(図6参照)。
支持部66の下端部66Aには、押付部70、差込部71、押付部72、差込部73、押付部74および差込部75が、前方Y1からこの順番で設けられる。押付部70、差込部71、押付部72、差込部73、押付部74および差込部75は、いずれも、下方Z2へ突出する凸部であり、それぞれの下端は、水平方向Hに沿って平坦である。押付部70、差込部71、押付部72、差込部73および押付部74のそれぞれの下端は、上下方向Zにおいてほぼ同じであるが、差込部75の下端は、一段下方Z2にずれて配置される。差込部71と、その両側の押付部70および押付部72のそれぞれとの間には、溝76が1つずつ形成される。差込部73と、その両側の押付部72および押付部74のそれぞれとの間には、溝77が1つずつ形成される。溝76および溝77は、支持部66の下端部66Aを下方Z1から切り欠きつつ左右方向Xに貫通する。押付部74と差込部75とは連続して形成される。
流路26の高温部分26Bにおいて蒸発皿37に収容された第2部分26Dは、蒸発皿37の第2領域37Gに配置される(図11も参照)。第2部分26Dの一部は、前方Y1の受け部61と前壁37Bとの間の第1空間81に配置され、隣り合う受け部61の間の第2空間82に配置され、仕切部材60と後方Y2の受け部61との間の第3空間83に配置される。第2部分26Dにおいて第1空間81、第2空間82および第3空間83のそれぞれに配置された部分は、流路26の振動が蒸発皿37に伝わることを抑制するためのゴムなどの弾性部材84によって被覆される。なお、以下では、弾性部材84を第2部分26Dの一部とみなす。第1空間81、第2空間82および第3空間83のそれぞれでは、位置決め部62が前後の少なくとも一方から第2部分26Dに接触することによって、第2部分26Dを前後方向Yにおいて位置決めする。
また、第2部分26Dの一部は、係合部63の近傍を通過するように配置され、それぞれの係合部63の爪63Aは、前後方向Yのいずれかから第2部分26Dに係合することによって、第2部分26Dを前後方向Yにおいて位置決めする(図11参照)。第2部分26Dにおいて係合部63に係合した部分は、弾性部材84によって被覆された状態にある。
ファンユニット53は、第1空間81、第2空間82および第3空間83の上方Z1から、図9の白抜き矢印で示すように、蒸発皿37に装着される。図10に示すようにファンユニット53の装着が完了した状態では、押付部70が、第1空間81に上方Z1から嵌め込まれ、差込部71が、前方Y1の受け部61の凹部61Aに上方Z1から嵌め込まれた状態にある。前方Y1の受け部61の前後の側壁は、差込部71の両側の溝76に対して1つずつ下方Z2から差し込まれた状態にある。また、押付部72が第2空間82に上方Z1から嵌め込まれ、差込部73が後方Y2の受け部61の凹部61Aに上方Z1から嵌め込まれた状態にある。後方Y2の受け部61の前後の側壁は、差込部73の両側の溝77に対して1つずつ下方Z2から差し込まれた状態にある。また、押付部74が第3空間83に上方Z1から嵌め込まれ、差込部75が第1領域37Fに上方Z1から嵌め込まれた状態にある。仕切部材60は、押付部74の下端の後端部に下方Z2から接触した状態にある。
この状態において、押付部70は、第1空間81における高温部分26Bの第2部分26Dを蒸発皿37の底37Aへ向けて上方Z1から押さえ付け、押付部72は、第2空間82における第2部分26Dを底37Aへ向けて上方Z1から押さえ付け、押付部74は、第3空間83における第2部分26Dを底37Aへ向けて上方Z1から押さえ付けた状態にある。これにより、蒸発皿37に収容された第2部分26Dは、押付部70、72および74によって底37Aへ向けて押さえ付けられることにより、これらの押圧部と底37Aとの間に挟み込まれ、蒸発皿37の水に常に浸かるように強固に位置決めされる。つまり、第2部分26Dが蒸発皿37の水面から浮き上がらないように、第2部分26Dの固定位置および形状が安定する。そのため、蒸発皿37に溜まった水の蒸発が、第2部分26Dの熱に安定して補助されることによって促進される。この結果、蒸発皿37に溜まった水を、自然蒸発だけの場合よりも効率的に蒸発させることができる。
ちなみに、比較例として、蒸発皿37にアーム状の保持部(図示せず)をねじなどの締結部材で取り付けて、この保持部の先端で第2部分26Dを保持する構成が考えられるが、この構成では、第2部分26Dの固定が弱く、第2部分26Dが蒸発皿37の水面から浮き上がってしまう虞がある。さらに、比較例の構成では、保持部を締結部材で蒸発皿37に取り付ける作業が必要である。しかし、本実施形態のようにファンユニット53の支持部66を蒸発皿37に差し込む構成では、前述したように第2部分26Dを強固に位置決めできるし、比較例における締結部材を用いた保持部の取り付け作業を省略できるし、この締結部材や保持部を廃止できる。
第1領域37Fに上方Z1から差し込まれた差込部75の下端は、第1領域37Fにおける底37Aから上方Z1へ浮いた状態にあり、差込部75の下端と底37Aとの間には、隙間85が存在する。
完成した下部ユニット52の斜視図である図11を参照して、蒸発皿37に装着されたファンユニット53は、上下方向Zから見て、蒸発皿37の右寄りの部分を前後に横切るように、蒸発皿37と重なって配置される。この場合、上下方向Zから見て、蒸発皿37は、本体2の外箱12の左方X1の側板12Bと圧縮機25との間においてファンユニット53と並んで配置されないので、蒸発皿37を大きくすることができる。これにより、蒸発皿37では、溜まった水を蒸発させる領域、具体的には蒸発皿37において内部を区画する部分の表面積が増えるので、蒸発皿37に溜まった水を効率的に蒸発させることができる。
図7を参照して、ファンユニット53の左方X1には、流路26の高温部分26Bの第3部分26Eが配置される。ファンユニット53のファン65が回転駆動されると、機外の空気が、太い破線矢印で示すように、ファン65によって本体2の外箱12の左方X1の側板12Bの通気孔12Eから空間51内に吸い込まれ、ファン65の左方X1の第3部分26Eを冷却する。この空気は、太い破線矢印で示すように、引き続き空間51を流れてファン65の右方X2に吐き出され、外箱12の右方X2の側板12Cの通気孔12Eを通って機外に排出される。このように、ファン65よりも左方X1の領域は、ファン65の吸込側であり、ファン65よりも右方X2の領域は、ファン65の吐出側である。
蒸発皿37およびファンユニット53の平面図である図12を参照して、蒸発皿37の第1領域37Fは、ファンユニット53の差込部75の下端と底37Aとの隙間85(図10参照)を通って、ファン65の吸込側および吐出側の両方に跨って設けられる。そのため、第1領域37Fにおいてファン65よりも左方X1の吸込側部分と、第1領域37Fにおいてファン65よりも右方X2の吐出側部分とは、隙間85を介して連通した状態にある。
第2冷却器27Bの表面の霜から発生した水を蒸発皿37まで流す水路38(図5参照)の下端部は、第1領域37Fの右端部37Hに上方Z1から接続される。第1冷却器27Aの表面の霜から発生した水を蒸発皿37まで流す水路(図示せず)の下端部は、第1領域37Fの左端部37Iに上方Z1から接続される。そのため、本体2内の霜が溶けることによって発生した水は、蒸発皿37において、破線のハッチングで示すように、最初に第1領域37Fに溜められる。第1領域37Fにおける水面が仕切部材60の溢水口60Aまで到達すると、第1領域37Fに目一杯水が溜まった状態にある。この状態において、第1領域37Fに溜まった水の水位は、ファンユニット53の差込部75の下端よりも高いので、この水によって、ファンユニット53と蒸発皿37の底37Aとの隙間85(図10参照)が塞がれる。これにより、ファンユニット53の周囲が密閉されるので、ファン65によって吸い込まれた後に吐出された空気が隙間85を通って吸込側に戻ることを抑制できる。その結果、ファン65による高温部分26Bの冷却効率を向上させることができる。
溢水口60Aを上回る水は、第1領域37Fから溢水口60Aを通って第2領域37Gに溢れ、第2領域37Gに溜められる。つまり、仕切部材60に設けた溢水口60Aによって、第1領域37Fの水を確実に第2領域37Gに溢れさせることができる。蒸発皿37およびファンユニット53の輪郭の平面図である図13を参照して、蒸発皿37では、破線のハッチングで示す領域が、蒸発皿37において水が溜められる内部の全領域である。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。