次に、本発明の実施形態について説明する。
(A)本発明の第1実施形態の構成の説明
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る延長吹口の構成例について説明する。ここで、図1は第1実施形態の構成例を示す正面図であり、図2は第1実施形態の内部構造を示す図であり、図3は第1実施形態の展開図である。
図1〜図3に示すように、第1実施形態の延長吹口20は、吹口21、管状部材22、調整部材23、および、管状部材24を有し、管状部材24の一端がオカリナ10の笛口12に着脱自在に接続される。
ここで、吹口21は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等の空気を通しにくい部材によって構成され、一端が扁平な形状を有し、他端が円形の断面形状を有している。吹口21の扁平な一端は奏者の口唇によって咥えられ、呼気を吹き込まれる。また、他端は管状部材22の一端の内側に挿入される。
管状部材22は、伸縮性を有する部材によって構成される。具体的には、例えば、ゴムまたは樹脂等の部材によって構成される。管状部材22は、例えば、5〜20cm程度の長さを有し、一端の内部に吹口21が挿入され、他端の内部に調整部材23が挿入される。
調整部材23は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等によって構成される。なお、調整部材23は、空気を通しにくいとともに、吸収性を有する陶器または樹脂等によって構成することが望ましく、吸水性を有するとともに耐熱性を有する素焼きの陶器によって構成されることがさらに望ましい。
管状部材24は、空気を通しにくく、可撓性を有する部材によって構成される。具体的には、例えば、ゴムまたは樹脂等によって構成される。管状部材24は、例えば、2〜5cm程度の長さを有し、一端の内部に調整部材23が挿入され、他端の内部にオカリナ10の笛口12が挿入される。
オカリナ10は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等によって構成され、共鳴部および指孔を有する本体部11および笛口12を有している。
図4は、吹口21と調整部材23の構成例を示す図である。より詳細には、図4(A)は、吹口21の詳細な構成例を示している。図4(A)の中央は、吹口21の平面図であり、右側は右側面図であり、左側は左側面図である。この図に示すように、吹口21は、略厚みを有する三角形状の部分と、円柱形状を有する部分とから構成される。なお、吹口21がこのような形状を有するのは、三角形状の部分については、奏者が口を大きく開けることなく容易に咥えることができるようにするためであり、また、円柱形状を有するのは管状部材22との接続を容易にするためである。
図4(A)の右側面図に示すように、三角形状を有する部分には断面がW1×W2の矩形形状を有する気道が形成されている。また、左側面図に示すように、円柱形状を有する部分には、直径がR1の気道が形成されている。なお、W1,W2,R1の具体的な寸法としては、一例として、W1=1mm,W2=9mm,R1=7mmとすることができる。また、肉厚としては、数ミリ程度とすることができる。もちろん、これ以外の寸法でもよい。
図4(B)は、調整部材23の構成例を示している。図4(B)の中央は、調整部材23の平面図であり、右側は右側面図であり、左側は左側面図である。この図に示すように、調整部材23は、直径が小さい円柱と、直径が大きい円柱がなだらかに接続された瓶型の形状を有している。調整部材23の内部には、外形形状と略同じ形状(瓶型形状)を有する気道が形成されている。すなわち、調整部材23は、略一定の肉厚となるように、気道が形成されている。また、調整部材23の右側には直径R2の入口が形成され、底部(図の左側の部分)には直径R3の出口が形成されている。なお、R2,R3の具体的な寸法としては、一例として、R2=3mm,R3=1mmとすることができる。また、肉厚としては、数ミリ程度とすることができる。もちろん、これ以外の寸法でもよい。
(B)本発明の第1実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第1実施形態の動作について説明する。奏者がオカリナ10を手に把持して本体部11の指孔に指を配置し、吹口21を口に咥えることで、演奏の準備が完了する。
このような状態において、奏者が吹口21に対して呼気を吹き込むと、吹き込まれた呼気は、図4(A)の右側に示す、W1×W2の矩形形状を有する気道から流入し、直径がR1の円形形状を有する出口から流出する。吹口21が有する気道によって、呼気の流通が制限されるので、口腔内に蓄えられた呼気が一気に抜けてしまうことを防止できる。
吹口21から流出した呼気は、管状部材22内に送られる。管状部材22は、前述したように、伸縮性を有する部材で構成されているので、呼気の圧力が急に高くなった場合には、管状部材22が長さ方向または太さ方向に伸張し、逆に、呼気の圧力が急に低くなった場合には、管状部材22が長さ方向または太さ方向に収縮することで、呼気の圧力の急激な変化を緩和する。
管状部材22を通過した呼気は、調整部材23に供給される。調整部材23内に形成される気道は、図4(B)に示すように、一定の容積を有している。また、気道の入口よりも出口の直径が小さくなるように設定されている(R3<R2に設定されている)。このため、調整部材23に供給される空気の圧力が断続的に変化した場合であっても、調整部材23の気道によって変化を吸収することができる。また、気道の出口の大きさを、奏者の肺活量や体力等に応じて適切に設定することで、オカリナ10に対して適切な量の空気を継続的に供給することができる。
調整部材23を通過した呼気は、管状部材24に供給される。管状部材24の断面積は、調整部材23の出口の面積よりも大きいので、ベンチュリー効果によって、流速が減少する代わりに、圧力が高くなる。管状部材24を通過した圧力が高められた呼気は、オカリナ10の笛口12に供給される。
笛口12に供給された呼気は、笛口12の内部に形成されている気道を経由し、図示しないエッジに対して吹き当てられて分岐し、一部は本体部11の共鳴部に流入し、一部は図示しない歌口から外部へ流出する。奏者が、指を操って、押さえる指孔の位置を変えることで音高を変え、楽曲を奏でることが出来る。
なお、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合、呼気が断続的になったり、一定の流量を保ったりすることが困難な場合がある。そのような場合であっても、第1実施形態では、調整部材23によって呼気の流量をコントロールするとともに、調整部材23内に設けられた一定の容積を有する気道と、伸縮自在な管状部材22とによって、断続する呼気を平滑化するとともに、流量を一定に保つことができる。このため、安定した音を発することが可能になる。
図5は、管状部材22の素材、太さ、および、長さを変えた場合の音の良否に関する実験結果を示す図である。この例では、管状部材22の素材として、シリコンチューブ、アメゴム、燃料チューブ、および、ストレッチゴムを用い、太さを変えるとともに、長さを5cm〜20cmの間で5cm刻みにより変化させた場合の音の良否を、悪い方から順に×、△、〇、◎で示している。なお、シリコンチューブは、例えば、シリコーン生ゴムとヒュームドシリカを主成分としたゴムによって形成されるチューブである。アメゴムは、例えば、生ゴムを60%以上含む素材によって形成されるチューブである。燃料チューブは、耐油性の高い合成ゴムによって形成されるチューブである。また、ストレッチゴムは、エクササイズに使用するチューブであり、例えば、熱可塑性エラストマまたは合成ゴム等によって構成される伸縮性が高いチューブである。
実験結果から、ストレッチゴムやアメゴム等の伸縮性が高い素材の方が、燃料チューブやシリコンチューブ等のように伸縮性があまり高くない素材に比べて良好な結果が得られている。また、太さは、内径が6〜10cm程度で、外径が8〜14cm程度が良好な結果に繋がっている。さらに、長さは、5〜15cm程度が良好な結果に繋がっている。このため、管状部材22としては、ストレッチゴムやアメゴム等の伸縮性が高い素材で、内径が6〜10cm程度で、外径が8〜14cm程度であって、長さが5〜15cm程度であることが望ましい。このように、管状部材22の素材および形状を選択することで、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合でも、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
以上に説明したように、本発明の第1実施形態によれば、管状部材22の素材および形状を選択することで、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合でも、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
また、管状部材22を、可撓性を有する部材とすることで、オカリナ10を上下および左右方向に自在に移動させることができるので、奏者の好みの位置でオカリナ10を把持して演奏することができる。
また、調整部材23として、吸水性を有する部材を選択することで、管状部材22内に生じた結露による水分を吸収することができる。これにより、例えば、エッジに水分が付着して音が出にくくなることを防止できる。
また、調整部材23の気道を、図4(B)に示すように、外形と略同じに構成することで(略一定の肉厚になるように構成することで)、気道の表面積を広くすることができ、水分の吸収を迅速化することができる。また、このような構成によれば、気道の容積を大きくすることができるので、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
また、調整部材23として、耐熱性を有する部材(例えば、素焼きの陶器)を用いることで、調整部材23を取り外して、例えば、オーブン等で100℃前後に加熱して乾燥させるとともに、殺菌することで、結露した水分によってカビ等が発生することを防止できる。特に、呼吸器疾患を有する奏者に対しては、カビは症状を悪化させる原因にもなるので、加熱による殺菌を可能とすることで、症状を悪化させずに、音楽を楽しむことができる。
(C)本発明の第2実施形態の構成の説明
つぎに、図6〜図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る延長吹口の構成例について説明する。ここで、図6は第2実施形態の構成例を示す正面図であり、図7は第2実施形態の内部構造を示す図であり、図8は第2実施形態の展開図であり、図9は第2実施形態の吹口21および調整部材23,27の詳細な構成を説明するための図である。
図6〜図8に示すように、第2実施形態の延長吹口20は、吹口21、管状部材22、管状部材24、調整部材25、管状部材26、および、調整部材27を有し、管状部材24の一端がオカリナ10の笛口12に着脱自在に接続される。なお、図1と対応する部分には同一の符号を付している。
ここで、吹口21は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等の空気を通しにくい部材によって構成され、一端が扁平な形状を有し、他端が円形の断面形状を有している。吹口21の扁平な一端は奏者の口唇によって咥えられ、呼気を吹き込まれる。また、他端は管状部材22の一端の内側に挿入される。
管状部材22は、伸縮性を有する部材によって構成される。具体的には、例えば、ゴムまたは樹脂等の部材によって構成される。管状部材22は、例えば、5〜20cm程度の長さを有し、一端の内部に吹口21が挿入され、他端の内部に調整部材25が挿入される。なお、この管状部材22の素材としては、図5に示すように、ストレッチゴムやアメゴム等の伸縮性が高い素材で、内径が6〜10cm程度で、外径が8〜14cm程度であって、長さが5〜15cm程度であることが望ましい。
調整部材25は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等の空気を通しにくい部材によって構成される。なお、吸収性を有する陶器または樹脂等によって構成することが望ましく、吸水性を有するとともに耐熱性を有する素焼きの陶器によって構成されることがさらに望ましい。
管状部材26は、空気を通しにくく、可撓性を有する部材によって構成される。具体的には、例えば、ゴムまたは樹脂等によって構成される。管状部材26は、例えば、2〜5cm程度の長さを有し、一端の内部に調整部材25が挿入され、他端の内部に調整部材27が挿入される。
調整部材27は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等によって構成される。なお、調整部材23は、空気を通しにくいとともに、吸収性を有する陶器または樹脂等によって構成することが望ましく、吸水性を有するとともに耐熱性を有する素焼きの陶器によって構成されることがさらに望ましい。
管状部材24は、空気を通しにくく、可撓性を有する部材によって構成される。具体的には、例えば、ゴムまたは樹脂等によって構成される。管状部材24は、例えば、2〜5cm程度の長さを有し、一端の内部に調整部材27が挿入され、他端の内部にオカリナ10の笛口12が挿入される。
オカリナ10は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等によって構成され、共鳴部および指孔を有する本体部11および笛口12を有している。
図9は、吹口21、調整部材25、および、調整部材27の構成例を示す図である。より詳細には、図9(A)は、吹口21の詳細な構成例を示している。図9(A)の中央は、吹口21の平面図であり、右側は右側面図であり、左側は左側面図である。この図に示すように、吹口21は、略厚みを有する三角形状の部分と、円柱形状を有する部分とから構成される。なお、吹口21がこのような形状を有するのは、三角形状の部分については、奏者が口を大きく開けることなく容易に咥えることができるようにするためであり、また、円柱形状を有するのは管状部材22との接続を容易にするためである。
図9(A)の右側面図に示すように、三角形状を有する部分には断面がW1×W2の矩形形状を有する気道形成されている。また、左側面図に示すように、円柱形状を有する部分には、直径がR1の気道が形成されている。なお、W1,W2,R1の具体的な寸法としては、一例として、W1=1mm,W2=9mm,R1=7mmとすることができる。また、肉厚としては、数ミリ程度とすることができる。もちろん、これ以外の寸法でもよい。
図9(B)は、調整部材25の構成例を示している。図9(B)の中央は、調整部材25の平面図であり、右側は右側面図であり、左側は左側面図である。この図に示すように、調整部材25は、直径が小さい円柱と、直径が大きい円柱がなだらかに接続された瓶型の形状を有している。調整部材25の内部には、外形形状と略同じ形状(瓶型形状)を有する気道が形成されている。すなわち、調整部材25は、略一定の肉厚となるように、気道が形成されている。また、調整部材25の右側には直径R4の入口が形成され、底部(図の左側の部分)には直径R5の出口が形成されている。なお、R4,R5の具体的な寸法としては、一例として、R4=3mm,R5=10mmとすることができる。また、肉厚としては、数ミリ程度とすることができる。もちろん、これ以外の寸法でもよい。
図9(C)は、調整部材27の構成例を示している。図9(C)の中央は、調整部材27の平面図であり、右側は右側面図であり、左側は左側面図である。この図に示すように、調整部材27は、円柱形状を有している。調整部材27の内部には、外形形状と略同じ形状(円柱形状)を有する気道が形成されている。すなわち、調整部材27は、略一定の肉厚となるように、気道が形成されている。また、調整部材25の右側には直径R6の入口が形成され、底部(図の左側の部分)には直径R7の出口が形成されている。なお、R6,R7の具体的な寸法としては、一例として、R6=11mm,R7=1mmとすることができる。また、肉厚としては、数ミリ程度とすることができる。もちろん、これ以外の寸法でもよい。
(D)本発明の第2実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第2実施形態の動作について説明する。奏者がオカリナ10を手に把持して本体部11の指孔に指を配置し、吹口21を口に咥えることで、演奏の準備が完了する。
このような状態において、奏者が吹口21に対して呼気を吹き込むと、吹き込まれた呼気は、図9(A)の右側に示す、W1×W2の矩形形状を有する気道から流入し、直径がR1の円形形状を有する出口から流出する。吹口21が有する気道によって、呼気の流通が制限されるので、口腔内に蓄えられた呼気が一気に抜けてしまうことを防止できる。
吹口21から流出した呼気は、管状部材22内に送られる。管状部材22は、前述したように、伸縮性を有する部材で構成されているので、呼気の圧力が急に高くなった場合には、管状部材22が長さ方向または太さ方向に伸張し、逆に、呼気の圧力が急に低くなった場合には、管状部材22が長さ方向または太さ方向に収縮することで、呼気の圧力の急激な変化を緩和する。
管状部材22を通過した呼気は、調整部材25に供給される。調整部材25の入口の直径は、図9(B)に示すように、管状部材22の内径よりも若干小さくなっている。このため、管状部材22によって呼気の流量が若干制限される。
また、調整部材25の気道は、図9(B)に示すように、入口に比べて断面積が広くなっているので、断熱膨張によって気体が膨張して温度が低下する。この結果、調整部材25の気道内に結露が生じるが、調整部材25が吸水性を有する場合には当該結露は調整部材25によって吸着される。
調整部材25の出口を通過した呼気は、管状部材26に供給される。管状部材26は一定の内径を有しており、調整部材25の出口から排出された呼気は、圧力変化等を受けずに調整部材27に供給される。
調整部材27は、図9(C)に示す構造を有し、調整部材27の気道は、一定の容積を有している。また、気道の入口よりも出口の直径が小さくなるように設定されている(R7<R6に設定されている)。このため、調整部材27に供給される空気の圧力が断続的に変化した場合であっても、調整部材27の気道によって変化を吸収することができる。また、気道の出口の大きさを、奏者の肺活量や体力等に応じて適切に設定することで、オカリナ10に対して適切な量の空気を供給することができる。
また、調整部材27の気道は、図9(C)に示すように、調整部材27の外形と略同じ形状を有することから、表面積が広く、調整部材25によって吸収されなかった結露による水分を十分に吸収することができる。
調整部材27を通過した呼気は、管状部材24に供給される。管状部材24の断面積は、調整部材27の出口の面積よりも大きいので、ベンチュリー効果によって、流速が減少する代わりに、圧力が高くなる。管状部材26を通過した圧力が高められた呼気は、オカリナ10の笛口12に供給される。
笛口12に供給された呼気は、笛口12の内部に形成されている気道を経由し、図示しないエッジに対して吹き当てられて分岐し、一部は本体部11の共鳴部に流入し、一部は図示しない歌口から外部へ流出する。奏者が、指を操って、押さえる指孔の位置を変えることで音高を変え、楽曲を奏でることが出来る。
奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合、呼気が断続的になったり、一定の流量を保ったりすることが困難な場合がある。そのような場合であっても、第2実施形態では、調整部材25および調整部材27によって呼気の流量をコントロールするとともに、調整部材25,27および管状部材26によって構成される一定の容積を有する気道と、伸縮自在な管状部材22とによって、断続する呼気を平滑化するとともに、流量を一定に保つことができる。このため、安定した音を発することが可能になる。
なお、第2実施形態の場合も、図5に示すように管状部材22の素材、太さ、および、長さを変えることにより、音の良否が変化する。実験結果から、第2実施形態の場合も、ストレッチゴムやアメゴム等の伸縮性が高い素材の方が、燃料チューブやシリコンチューブ等のように伸縮性があまり高くない素材に比べて良好な結果に繋がっている。また、太さは内径が6〜10cm程度で、外径が8〜14cm程度が良好な結果に繋がっている。さらに、長さは、5〜15cm程度が良好な結果に繋がっている。このため、管状部材22としては、ストレッチゴムやアメゴム等の伸縮性が高い素材で、内径が6〜10cm程度で、外径が8〜14cm程度であって、長さが5〜15cm程度であることが望ましい。このように、管状部材22の素材および形状を選択することで、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合でも、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
以上に説明したように、本発明の第2実施形態によれば、管状部材22の素材および形状を選択することで、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合でも、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
また、第2実施形態では、2つの調整部材25を設けるようにしたので、吹口21と調整部材25の間に形成される第1気道と、調整部材25と調整部材27の間に形成される第2気道とによって、呼気の平滑化をより確実に行うことができる。
また、管状部材22を、可撓性を有する部材とすることで、オカリナ10を上下および左右方向に自在に移動させることができるので、奏者の好みの位置でオカリナ10を把持して演奏することができる。
また、調整部材25,27として、吸水性を有する部材を選択することで、管状部材22,26内に生じた結露による水分を吸収することができる。これにより、例えば、エッジに水分が付着して音が出にくくなることを防止できる。
また、調整部材25,27の気道を、図9(B),(C)に示すように、外形と略同じに構成することで(略一定の肉厚になるように構成することで)、気道の表面積を広くすることができ、水分の吸収を迅速化することができる。また、このような構成によれば、気道の容積を大きくすることができるので、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
また、調整部材25,27として、耐熱性を有する部材(例えば、素焼きの陶器)を用いることで、調整部材25,27を取り外して、例えば、オーブン等で100℃前後に加熱して乾燥するとともに、殺菌することで、結露した水分によってカビ等が発生することを防止できる。特に、呼吸器疾患を有する奏者に対しては、カビは症状を悪化させる原因にもなるので、加熱による殺菌を可能とすることで、症状を悪化させないで、音楽を楽しむことができる。
また、第2実施形態では、調整部材25,27として、図9(B),(C)に示すように、一方の気道が開放している構造を有するようにした。これにより、調整部材25,27の内部の洗浄が容易になる。
(E)本発明の第3実施形態の構成の説明
つぎに、図10〜図13を参照して、本発明の第3実施形態に係る延長吹口の構成例について説明する。ここで、図10は第3実施形態の構成例を示す正面図であり、図11は第3実施形態の内部構造を示す図であり、図12は第3実施形態の展開図であり、図13は第3実施形態の吹口31および調整部材23の詳細な構成を説明するための図である。
図10〜図13に示すように、第3実施形態の延長吹口20は、吹口31、管状部材22、調整部材23、および、管状部材24を有し、管状部材24の一端がオカリナ10の笛口12に着脱自在に接続される。なお、図1と対応する部分には同一の符号を付している。
ここで、吹口31は、例えば、陶器、樹脂、木材、金属、ゴム等の空気を通しにくい部材によって構成され、一端が楕円形状を有し、他端が円形の断面形状を有している。吹口31の扁平な一端は奏者の口唇に当接され、呼気が吹き込まれる。また、他端は管状部材22の一端の内側に挿入される。
なお、管状部材22、調整部材23、および、管状部材24は、図1に示す第1実施形態の場合と同様である。
図13は、吹口31、および、調整部材23の構成例を示す図である。より詳細には、図13(A)は、吹口31の詳細な構成例を示している。図13(A)の中央は、吹口31の平面図であり、右側は右側面図であり、左側は左側面図である。この図に示すように、吹口31は、断面が円柱形状を有する部分と、断面が楕円形状を有する部分とから構成される。なお、吹口31がこのような形状を有するのは、楕円形状を有する部分については、奏者の口唇に当接されて呼気をスムーズに吹き込むためであり、また、円柱形状を有するのは管状部材22との接続を容易にするためである。
図13(A)の右側面図に示すように、断面が楕円形状を有する部分には直径がR8の円形形状を有する気道が形成されている。また、左側面図に示すように、円柱形状を有する部分には、直径がR8の気道が形成されている。さらに、断面が楕円形状を有する部分には、図13(A)の右側面図に破線の楕円で示すように、楕円形状を有する凹部が形成され、この凹部に奏者の口唇が当接されることで、呼気の漏洩を少なくするとともに、口唇との摩擦を増加することで、奏者が歯で噛むことなく、吹口31の移動を規制することができる。
なお、W3,W4,W5,R8,R9の具体的な寸法としては、一例として、W3=35mm,W4=31mm,W5=16mm,R8=4mm,R9=20mmとすることができる。また、肉厚としては、数ミリ程度とすることができる。もちろん、これ以外の寸法でもよい。
図13(B)は、調整部材23の構成例を示している。なお、調整部材23は、図9(B)と同様であるので、その説明は省略する。
(F)本発明の第3実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の第3実施形態の動作について説明する。奏者がオカリナ10を手に把持して本体部11の指孔に指を配置し、吹口31に口唇を当接することで、演奏の準備が完了する。
このとき、奏者の口唇は、吹口31の凹部に当接される。このため、口唇と凹部との摩擦によって、吹口31が移動することを規制できる。また、凹部の内部に口唇が押圧されることで、口唇と凹部の間の隙間が塞がれて、呼気が漏洩することを防止できる。
このような状態において、奏者が吹口31に対して呼気を吹き込むと、吹き込まれた呼気は、図13(A)の右側に示す、凹部を介して直径がR8の気道から流入し、直径がR8の円形形状を有する出口から流出する。吹口31が有する気道によって、呼気の流通が制限されるので、口腔内に蓄えられた呼気が一気に抜けてしまうことを防止できる。
吹口31から流出した呼気は、管状部材22内に送られる。管状部材22は、前述したように、伸縮性を有する部材で構成されているので、呼気の圧力が急に高くなった場合には、管状部材22が長さ方向または太さ方向に伸張し、逆に、呼気の圧力が急に低くなった場合には、管状部材22が長さ方向または太さ方向に収縮することで、呼気の圧力の急激な変化を緩和する。
管状部材22を通過した呼気は、調整部材23に供給される。調整部材23内に形成される気道は、図13(B)に示すように、一定の容積を有している。また、気道の入口よりも出口の直径が小さくなるように設定されている(R3<R2に設定されている)。このため、調整部材23に供給される空気の圧力が断続的に変化した場合であっても、調整部材23の気道によって変化を吸収することができる。また、気道の出口の大きさを、奏者の肺活量や体力等に応じて適切に設定することで、オカリナ10に対して適切な量の空気を継続的に供給することができる。
調整部材23を通過した呼気は、管状部材24に供給される。管状部材24の断面積は、調整部材23の出口の面積よりも大きいので、ベンチュリー効果によって、流速が減少する代わりに、圧力が高くなる。管状部材24を通過した圧力が高められた呼気は、オカリナ10の笛口12に供給される。
笛口12に供給された呼気は、笛口12の内部に形成されている気道を経由し、図示しないエッジに対して吹き当てられて分岐し、一部は本体部11の共鳴部に流入し、一部は図示しない歌口から外部へ流出する。奏者が、指を操って、押さえる指孔の位置を変えることで音高を変え、楽曲を奏でることが出来る。
なお、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合、呼気が断続的になったり、一定の流量を保ったりすることが困難な場合がある。そのような場合であっても、第3実施形態では、調整部材23によって呼気の流量をコントロールするとともに、調整部材23内に設けられた一定の容積を有する気道と、伸縮自在な管状部材22とによって、断続する呼気を平滑化するとともに、流量を一定に保つことができる。このため、安定した音を発することが可能になる
なお、第3実施形態の場合も、図5に示すように管状部材22の素材、太さ、および、長さを変えることにより、音の良否が変化する。実験結果から、第3実施形態の場合も、ストレッチゴムやアメゴム等の伸縮性が高い素材の方が、燃料チューブやシリコンチューブ等のように伸縮性があまり高くない素材に比べて良好な結果に繋がっている。また、太さは内径が6〜10cm程度で、外径が8〜14cm程度が良好な結果に繋がっている。さらに、長さは、5〜15cm程度が良好な結果に繋がっている。このため、管状部材22としては、ストレッチゴムやアメゴム等の伸縮性が高い素材で、内径が6〜10cm程度で、外径が8〜14cm程度であって、長さが5〜15cm程度であることが望ましい。このように、管状部材22の素材および形状を選択することで、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合でも、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
以上に説明したように、本発明の第3実施形態によれば、管状部材22の素材および形状を選択することで、奏者が呼吸器疾患を有する場合や、高齢者の場合でも、呼気を平滑化するとともに流量を一定に保つことで、安定した音を得ることができる。
また、第3実施形態では、吹口31の口唇に当接される部分が楕円形状とするとともに、凹部を有するようにしたので、奏者の口唇が凹部内に挿入されることで、口唇と凹部との間の摩擦が増加して、吹口31が移動することを規制できる。また、奏者の口唇が凹部内に挿入されることで、呼気が漏れることを防止できる。さらに、吹口21の場合、奏者が歯で噛むことで固定するため歯に負担がかかるが、吹口31の場合には歯で噛む必要がない。このため、リラックスして演奏を行うことができる。
また、管状部材22を、可撓性を有する部材とすることで、オカリナ10を上下および左右方向に自在に移動させることができるので、奏者の好みの位置でオカリナ10を把持して演奏することができる。
また、調整部材23として、吸水性を有する部材を選択することで、管状部材22,24内に生じた結露による水分を吸収することができる。これにより、例えば、エッジに水分が付着して音が出にくくなることを防止できる。
また、調整部材23として、耐熱性を有する部材(例えば、素焼きの陶器)を用いることで、調整部材23を取り外して、例えば、オーブン等で100℃前後に加熱して乾燥するとともに、殺菌することで、結露した水分によってカビ等が発生することを防止できる。特に、呼吸器疾患を有する奏者に対しては、カビは症状を悪化させる原因にもなるので、加熱による殺菌を可能とすることで、症状を悪化させないで、音楽を楽しむことができる。
なお、第3実施形態では、吹口31以外は第1実施形態と同様の構成としたが、吹口31以外を第2実施形態と同様の構成としてもよい。
また、吹口31は、例えば、釉薬を塗布して硝子質が表面に形成された構成としてもよい。もちろん、吹口31の凹部にも釉薬を塗布して硝子質が表面に形成された構成としてもよい。そのような構成によれば、素焼きの陶器の場合には、吸湿性があることから、吹口31が口唇に吸着する場合があるが、釉薬を施すことで、吸着を防止することができる。また、陶器ではなく、例えば、シリコンゴムや樹脂等によって構成するようにしてもよい。このような構成によれば、吹口31を軽量化することができる。
(G)変形実施形態の説明
以上の各実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の各実施形態では、吹奏楽器として、オカリナを例に挙げて説明したが、オカリナ以外の吹奏楽器、例えば、鍵盤ハーモニカや、縦笛等に本発明を適用することができる。
また、以上の各実施形態では、伸縮性を有する管状部材22として、アメゴムまたはストレッチゴム等のゴム部材を用いるようにしたが、例えば、蛇腹構造を有する、塩化ビニール等の樹脂によって構成される部材を用いるようにしてもよい。
また、出口の直径が異なる調整部材23,27を複数準備し、オカリナ10の種類や、奏者の好み等に応じて、取り替えるようにしてもよい。そのような構成によれば、様々な種類のオカリナに対応するとともに、奏者の好みにも細かく対応することができる。
また、調整部材23,27の内部を流れる呼気の流量を制御できるようにしてもよい。例えば、調整部材23,27の内部に流量制御弁を設け、当該流量制御弁によって、呼気の流量を連続的に制御できるようにしてもよい。そのような構成によれば、奏者にあった流量を簡単に見つけることができる。
また、吹口21および調整部材23,25,27の形状は一例であって、本発明が図示した形状に限定されるものではないことはいうまでもない。
最後に、本願発明者は、喘息を持病として有しており、幼少時から喘息の発作で入院したり、酸素が脳に回らずに気を失ったりする経験を繰り返してきた。一般的な気管支喘息は、閉塞性換気障害と呼ばれ、気管が狭くなって息を吐けない状態となり、結果的に、肺が膨張したまま息を吐き出せずに吸うことができなくなる。このような症状を改善するためには、少しずつ息を吐き出す訓練が有効である。前述した各実施形態に係る延長吹口を装着したオカリナは、調整部材23,27によって呼気を制限するとともに、発生する音の強弱等によってフィードバックを得ることができるので、このような少しずつ息を吐き出す訓練に非常に有効である。また、発作には、精神的なストレスが大きく影響することから、このような音によるフィードバックによって自分自身と対峙して自己の状態を把握するとともに、より精神的に安定した状態で自分自身を導くことで、症状を沈静化することができる。