JP6520076B2 - 乾燥システム - Google Patents

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Description

本発明は、乾燥システムに関するものである。
従来から、褐炭、バイオマス及びパームかす等の水分を多く含む固体の燃料は、そのまま使用すると含有する水分の影響により着火性や燃焼性が悪いため、天日干し等により乾燥させている。しかしながら、天日干しでは、燃料を載置する広いスペースが必要となると共に、乾燥中における燃料の温度を管理することが困難である。このため、日射による加熱に加えて、空気に触れることにより、酸化して変質するほか、日射の熱に、酸化による発熱が加わり、異常に温度が上昇して自然発火に至る可能性もある。
一方で、人工的に熱風を作り出し、この熱風を用いて燃料の乾燥を行うことが考えられるが、このような熱風の生成には多くの燃料を消費する必要があり、また多くの二酸化炭素を排出する。このため、例えば、特許文献1に示すガス化設備を応用し、太陽光を集光することによって得られた熱で燃料を加熱することにより、燃料を消費することなく乾燥を行うことが考えられる。
特開2001−123183号公報
ところが、特許文献1に開示されたガス化設備では、集光した太陽光を直接燃料に照射することから、燃料が1000℃近くまで加熱されてしまう。このような温度は、燃料のガス化を行うガス化設備であれば何ら問題はないが、燃料の乾燥を行うためには高温に過ぎる。
また、特許文献1に開示されたガス化設備では、燃料を1000℃近くまで加熱するため、複数のヘリオスタットで集光した太陽光を大型のタワーで上方に支持される反射ミラーに集光し、さらにガス化炉に導光している。このため、多数のヘリオスタットや大型のタワー等が必要となり、設備が大型化する。また、広範囲に設置された多数のヘリオスタットから集めた太陽光を、限られた範囲に集光するため、複雑な制御が必要となり、設備コストが嵩むという課題がある。燃料を乾燥させる乾燥システムでは、燃料の温度を1000℃近くまで加熱する必要がないことから、特許文献1に示すような大型の設備を設置する必要はなく、設備を小型化することが望ましい。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、被乾燥物を乾燥する乾燥システムにおいて、太陽熱を利用することで乾燥に用いられる燃料の消費量を抑制し、また設備の大型化を抑制し、かつ、乾燥に適した温度に被乾燥物の温度を調整可能とすることを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、乾燥システムであって、太陽熱により熱伝達媒体を加熱すると共に複数設けられる太陽集熱器と、上記太陽集熱器により加熱された上記熱伝達媒体と被乾燥物とを熱交換することによって上記被乾燥物を乾燥させる乾燥炉とを備えるという構成を採用する。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記太陽集熱器と上記乾燥炉との間に配置され、上記太陽集熱器によって加熱されることにより蒸気化された上記熱伝達媒体を一時的に貯留する蒸気ドラムを備えるという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記太陽集熱器によって加熱された上記熱伝達媒体をさらに昇温する過熱器を備えるという構成を採用する。
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記乾燥炉に流動化ガスを供給することにより上記乾燥炉において上記被乾燥物を流動化させる流動化ガス供給手段を備えるという構成を採用する。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記流動化ガス供給手段として、過熱された蒸気を上記流動化ガスとして上記乾燥炉に供給する過熱蒸気供給部を備えるという構成を採用する。
第6の発明は、上記第4または第5の発明において、上記流動化ガス供給手段として、不活性ガスを上記流動化ガスとして上記乾燥炉に供給する不活性ガス供給部を備えるという構成を採用する。
第7の発明は、上記第1〜第6いずれかの発明において、上記太陽集熱器とは別に上記熱伝達媒体を加熱する補助ボイラを備えるという構成を採用する。
第8の発明は、上記第7の発明において、日の出時刻及日没時刻の少なくともいずれかに合わせて上記補助ボイラを稼働させる制御装置を備えるという構成を採用する。
本発明によれば、熱伝達媒体を加熱する太陽集熱器を複数備える構成を採用している。このため、被乾燥物を乾燥させるために必要なエネルギを集められるだけの数の太陽集熱器を設置することで、被乾燥物の乾燥を行うことができ、巨大なタワーや反射ミラーを設置することなく太陽熱を利用した乾燥を行うことができる。また、石炭等の固体の燃料をガス化させるために必要な熱量と比較すれば、乾燥に要する熱量が少なくて済むことから、本発明においては上述のガス化設備のように多数のヘリオスタットを設置する必要がないだけでなく、広範囲に設置されたヘリオスタットから、限られた範囲へ集光する複雑な制御システムも必要ない。したがって、本発明によれば、設備の大型化や、制御システムの複雑化を抑止することができる。さらに、本発明によれば、太陽集熱器で集められた太陽熱によって被乾燥物を直接加熱するのではなく、当該太陽熱によって熱伝達媒体を加熱し、この熱伝達媒体によって被乾燥物を加熱する構成を採用している。このため、熱伝達媒体の物性(例えば飽和蒸気温度)や熱交換時の熱伝達媒体の流速等を調整することによって、被乾燥物の温度を容易に調整することができる。したがって、本発明によれば、乾燥に適した温度に被乾燥物の温度を調整することが可能となる。
本発明の第1実施形態における乾燥システムの概略構成を示すフロー図である。 本発明の第1実施形態における乾燥システムが備える太陽集熱器の概略構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態における乾燥システムにおいて、補助ボイラを日の出時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。 本発明の第1実施形態における乾燥システムにおいて、補助ボイラを日没時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。 本発明の第1実施形態における乾燥システムにおいて、補助ボイラを日の出時刻の前後と日没時刻の前後とで運転させる場合の説明図である。 本発明の第2実施形態における乾燥システムの概略構成を示すフロー図である。 本発明の第2実施形態における乾燥システムにおいて、補助ボイラを日の出時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。 本発明の第2実施形態における乾燥システムにおいて、補助ボイラを日没時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。 本発明の第2実施形態における乾燥システムにおいて、補助ボイラを日の出時刻の前後と日没時刻の前後とで運転させる場合の説明図である。 本発明の第3実施形態における乾燥システムの概略構成を示すフロー図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る乾燥システムの一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の乾燥システム1の概略構成を示すフロー図である。この図に示すように、本実施形態の乾燥システム1は、複数の太陽集熱器2と、蒸気ドラム3と、補助ボイラ4と、乾燥炉5と、流動化ガス供給装置6(流動化ガス供給手段、不活性ガス供給部)と、熱伝達媒体循環部7と、制御装置8とを備えている。
図2は、太陽集熱器2の概略構成を示す模式図であり、(a)が斜視図であり、(b)が断面図である。これらの図に示すように、太陽集熱器2は、第1反射板2aと、第2反射板2bと、伝熱管2cと、駆動装置2dとを備えている。
第1反射板2aは、反射面となる内面が上空に向けられた略半円筒形の反射板であり、第2反射板2bに集光するように太陽光を反射する。第2反射板2bは、第1反射板2aに固定された支持部2eに支持されており、反射面となる内面が第1反射板2bに向けられた略半円筒形の反射板である。伝熱管2cは、第2反射板2bの集光位置に配置された直線状の配管であり、内部に熱伝達媒体Xが流される。この伝熱管2cは、支持部2eに設けられた貫通孔を通過するように、外部に設けられた支持機構によって固定されている。駆動装置2dは、第1反射板2a及び第2反射板2bを伝熱管2c周りに移動可能に支持しており、例えば制御装置8の制御の下、第1反射板2aの反射面が太陽に向くように第1反射板2a及び第2反射板2bを移動させる。なお、第2反射板2bは、集光効率を向上させるとともに、伝熱管2cの外面のうち、第1反射板2aから見て裏側になる面も加熱して、集熱を向上する効果を得るためのものであり、省略することも可能である。
この太陽集熱器2では、第1反射板2a及び第2反射板2bによって反射された太陽光が伝熱管2cにおいて集光され、これによって得られる太陽熱によって伝熱管2c内部の熱伝達媒体Xが加熱される。本実施形態においては熱伝達媒体Xとして水を用いており、太陽集熱器2において加熱された熱伝達媒体Xは、一部あるいは全部が蒸気化する程度に加熱される。なお、熱伝達媒体Xとしては、水に限られるものではなく、例えば有機溶媒、無機塩類、あるいは金属を用いることも可能である。例えば、有機溶媒を用いる場合には、アルコール類や、沸点が比較的高くかつ常温で液体の油脂類等を用いることができる。また、無機塩類や金属を用いる場合には、流動性を確保するため比較的低温で液体となるものが選択される。
このような太陽熱により熱伝達媒体Xを加熱する太陽集熱器2は、図1に示すように、複数設けられており、集合管2fを介して各々が蒸気ドラム3と接続されている。この太陽集熱器2の設置数は、乾燥炉5において被乾燥物Yを乾燥させるのに必要とされる蒸気量に基づいて定められている。例えば、晴天時の日中において、稼働中の太陽集熱器2で生成される蒸気量が、乾燥炉5で必要とされる蒸気量を上回るように太陽集熱器2の設置数が定められる。
蒸気ドラム3は、太陽集熱器2によって加熱されることによって一部あるいは全部が蒸気化された熱伝達媒体Xを一時的に貯留するための容器であり、太陽集熱器2と乾燥炉5との間に配置されている。また、この蒸気ドラム3は、上部が乾燥炉5と接続されており、底部が熱伝達媒体循環部7と接続されている。このような蒸気ドラム3に熱伝達媒体Xが供給されると、蒸気状態の熱伝達媒体Xは蒸気ドラム3の上部に溜り、乾燥炉5に向けて送り出される。また、液体状態の熱伝達媒体Xは蒸気ドラム3の底部に溜り、熱伝達媒体循環部7に送り出される。
補助ボイラ4は、例えば起動や停止が容易な汎用ボイラであり、蒸気ドラム3と接続されている。この補助ボイラ4は、日の出時刻や日没時刻近く等において太陽集熱器2における蒸気の生成量が減少した場合に、補助的に熱伝達媒体Xを加熱して蒸気を生成し、この蒸気を蒸気ドラム3に供給する。本実施形態においては、補助ボイラ4は、制御装置8と接続されており、制御装置8の制御の下に、蒸気を生成する。
乾燥炉5は、チャンバ5aと、チャンバ5aの内部を水平方向に複数の領域に分割する分割壁5bと、チャンバ5aの内部に挿通される伝熱管5cとを備えている。チャンバ5aは、被乾燥物Yが内部に貯留される容器である。このチャンバ5aでは、外部から被乾燥物Yが供給されることにより先に貯留された被乾燥物Yの一部が押し出されて排出される。分割壁5bは、チャンバ5aの底部に立設されると共に、壁面同士が対向するように複数設けられている。この分割壁5bとして、下部に開口が設けられた第1分割壁5b1と、開口が設けられずかつ第1分割壁5b1よりも背丈の低い第2分割壁5b2とが設けられており、これらが交互にチャンバ5a内で配列されている。このような複数の分割壁5bによってチャンバ5aの内部が分割されることにより、被乾燥物Yは、図1の矢印に示すように、チャンバ5a内を上下に蛇行しながら進行する。伝熱管5cは、入口端が蒸気ドラム3と接続され、出口端が熱伝達媒体循環部7と接続されている。この伝熱管5cには、チャンバ5a内において被乾燥物Yと熱交換が行われる熱伝達媒体Xが流される。この乾燥炉5では、流動化ガス供給装置6から供給される流動化ガスZによって流動する被乾燥物Yと、伝熱管5cを流れる熱伝達媒体Xとを熱交換することによって被乾燥物Yを乾燥させる。
このような乾燥炉5によって乾燥される被乾燥物Yは、不図示の微粉炭ボイラ等の燃料として用いられる固体の燃料であり、水分を多く含んでいる(例えば含水率が20%以上)。このような被乾燥物Yとしては、例えば粉体化された褐炭やバイオマスである。なお、チャンバ5aにおける流動性を高めるため、チャンバ5aの内部には、このような被乾燥物Yの他に砂等の流動媒体を貯留しても良い。この流動媒体は、チャンバ5aから排出された後に被乾燥物Yから分離され、再びチャンバ5a内に戻される。
流動化ガス供給装置6は、循環配管6aと、不活性ガス発生器6bと、ブロワ6cと、熱交換器6dと、冷却器6eとを備えている。循環配管6aは、一端側が多数に分岐されてチャンバ5aの底部と接続され、他端側がチャンバ5aの天井部に接続された配管であり、流動化ガスZの流路となる。なお、循環配管6aの一端側は、分割壁5bによって分割されたチャンバ5aの各領域に対して各分岐端が接続されるようにチャンバ5aの底部と接続されている。不活性ガス発生器6bは、例えば大気から、流動性ガスとして用いられる窒素ガス(不活性ガス)を生成するものであり、循環配管6aと接続されている。ブロワ6cは循環配管6aの途中部位に設けられており、流動化ガスZを圧送する。このブロワ6cは、チャンバ5aの底部から上方に向けて流動化ガスZが供給されるよう、循環配管6aの一端側(チャンバ5aの底部と接続される側)に向けて流動化ガスZを圧送する。これによって、循環配管6aの一端側(チャンバ5aの底部に接続された側)からチャンバ5a内に流動化ガスZが供給され、循環配管6aの他端側(チャンバ5aの天井部に接続された側)からチャンバ5aの内部の流動化ガスZが回収される。
熱交換器6dは、循環配管6aの途中部位であって、ブロワ6cの下流側に配置されている。この熱交換器6dは、熱伝達媒体循環部7が備える後述する返流配管7aを流れる熱伝達媒体Xと、循環配管6aを流れる流動化ガスZとを熱交換するものである。この熱交換器6dにおいて、熱伝達媒体Xと流動化ガスZとが熱交換されることによって、乾燥炉5に供給される前に流動化ガスZが加熱され、流動化ガスZによってチャンバ5aの内部の温度が低下することを防止することができる。
冷却器6eは、循環配管6aの途中部位であって、ブロワ6cの上流側に配置されている。この冷却器6eは、チャンバ5aの内部を通過することにより加熱された流動化ガスZに含まれる水分を凝縮して分離するため、流動化ガスZを冷却する。これによって、ブロワ6c等に乾燥した流動化ガスZが供給され、ブロワ6c等において結露が発生することを防止することができる。
このような流動化ガス供給装置6によって、チャンバ5aの底部から上方に向けて流動化ガスZが供給されることで、チャンバ5a内に貯留された被乾燥物Yが流動される。これによって、被乾燥物Yと熱伝達媒体Xとの熱交換が促進され、短時間で被乾燥物Yを乾燥することが可能となる。
熱伝達媒体循環部7は、返流配管7aと、復水器7bと、給水ポンプ7cと、給水予熱器7dと、蒸気ドラム接続配管7eとを備えている。返流配管7aは、乾燥炉5と太陽集熱器2とを接続し、乾燥炉5から排出された熱伝達媒体Xを再び太陽集熱器2に返流する配管である。この返流配管7aは、図1に示すように、熱交換器6dを通過しており、これによって返流配管7aを流れる熱伝達媒体Xと、循環配管6aを流れる流動化ガスZとが熱交換され、熱伝達媒体Xの熱量が流動化ガスZに伝達される。
復水器7bは、返流配管7aの途中部位であって熱交換器6dの下流に配置されており、蒸気である熱伝達媒体Xを例えば大気との熱交換により冷却して液化する。給水ポンプ7cは、復水器7bのさらに下流に配置されており、復水器7bによって液化された熱伝達媒体Xを太陽集熱器2に向けて圧送する。給水予熱器7dは、給水ポンプ7cのさらに下流側に配置されており、給水ポンプ7cから吐出された熱伝達媒体Xと復水器7bの上流側における熱伝達媒体Xとを熱交換することにより、太陽集熱器2に供給される熱伝達媒体Xを予熱する。蒸気ドラム接続配管7eは、蒸気ドラム3の底部と返流配管7aとを接続する配管であり、乾燥炉5を通すことなく、蒸気ドラム3の底部に溜った液体の熱伝達媒体Xを復水器7bの上流側に案内する。なお、給水ポンプ7cの上流側には返流配管7aへ熱伝達媒体Xを追加供給するための不図示のポートが設けられており、例えば熱伝達媒体Xの減少分を補う等の必要に応じて当該ポートから返流配管7aに熱伝達媒体Xが追加供給される。
制御装置8は、本実施形態の乾燥システム1の全体の制御を行い、例えば、補助ボイラ4、不活性ガス発生器6b、ブロワ6c及び給水ポンプ7cの制御を行う。本実施形態の乾燥システム1においては、このような制御装置8の制御の下に、補助ボイラ4の運転期間が定められている。例えば、制御装置8の制御の下、補助ボイラ4は、日の出時刻の前後のみ運転されたり、日没時刻の前後のみ運転されたり、日の出時刻の前後及び日没時刻の前後で運転されたりする。また、図1においては省略しているが、本実施形態の乾燥システム1においては、適所にバルブが設けられている。これらのバルブの開度が制御装置8の制御等により調整されることによって、熱伝達媒体Xや流動化ガスZの流量が調整される。
続いて、このように構成された本実施形態の乾燥システム1の動作について説明を行う。なお、以下の動作説明においては、乾燥炉5のチャンバ5aに対しては被乾燥物Yが連続的に一定量で供給されているものとする。
太陽集熱器2の第1反射板2a及び第2反射板2bによって太陽光が集められ、太陽熱によって伝熱管5cを流れる熱伝達媒体Xが加熱されると、熱伝達媒体Xの一部が蒸気化して気液混合状態の熱伝達媒体Xが生成される。複数の太陽集熱器2で生成された熱伝達媒体Xは、集合管2fによって集められ、蒸気ドラム3に供給される。熱伝達媒体Xは、蒸気ドラム3において気液分離され、蒸気の熱伝達媒体Xが乾燥炉5の伝熱管5cに供給される。一方、液体の熱伝達媒体Xは、蒸気ドラム接続配管7eから熱伝達媒体循環部7に供給され、再び太陽集熱器2に供給される。
また、流動化ガス供給装置6においては、不活性ガス発生器6bから循環配管6aに流動化ガスZ(不活性ガス)が供給され、ブロワ6cが駆動されることによって循環配管6a内の流動化ガスZが乾燥炉5に向けて圧送される。乾燥炉5に供給される流動化ガスZは、予め熱交換器6dにおいて温められた上で、チャンバ5aの底部からチャンバ5aの内部に供給される。このようなチャンバ5aの底部から流動化ガスZが供給されることにより、チャンバ5a内の被乾燥物Yが流動化される。なお、チャンバ5a内の流動化ガスZは、チャンバ5aの上部から循環配管6aに回収され、冷却器6eにおいて水分が除去された後、再びブロワ6cによって圧送される。
上述のようにチャンバ5a内に挿通された伝熱管5cに供給された熱伝達媒体Xが供給されると、伝熱管5cの内部の熱伝達媒体Xと伝熱管5cの外部の被乾燥物Yとが熱交換されることによって、被乾燥物Yが加熱される。この結果、被乾燥物Yに含まれる水分が蒸発し、被乾燥物Yが乾燥される。乾燥された被乾燥物Yは、連続的にチャンバ5aに供給される新たな被乾燥物Yに押されることによってチャンバ5aの外部に排出される。なお、被乾燥物Yから蒸発した水分は、流動化ガスZと共に循環配管6aに回収される。
伝熱管5cを通過してチャンバ5aの外部に排出された熱伝達媒体Xは、熱伝達媒体循環部7の返流配管7aに流れ込む。返流配管7aに流れ込んだ熱伝達媒体Xは、熱交換器6dを通り、給水予熱器7dを通り、復水器7bで冷却されることによって液体に戻される。液体となった熱伝達媒体Xは、給水ポンプ7cによって太陽集熱器2に向けて圧送される。給水ポンプ7cによって圧送される熱伝達媒体Xは、給水予熱器7dにおいて予熱された後、再び太陽集熱器2に供給される。
また、補助ボイラ4は、日の出時刻の前後のみ、日没時刻の前後のみ、あるいは日の出時刻の前後及び日没時刻の前後で運転される。補助ボイラ4が運転されると、蒸気(熱伝達媒体X)が生成されて蒸気ドラム3に供給される。このように補助ボイラ4から蒸気ドラム3に供給された蒸気は、太陽集熱器2から蒸気ドラム3に供給された蒸気(熱伝達媒体X)と混合されて使用される。
続いて、本実施形態の乾燥システム1の補助ボイラ4を使用する運転パターンの例について、図3〜図5を参照して説明する。
図3は、本実施形態の乾燥システム1において補助ボイラ4を日の出時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。また、図4は、本実施形態の乾燥システム1において補助ボイラ4を日没時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。図5は、本実施形態の乾燥システム1において補助ボイラ4を日の出時刻の前後と日没時刻の前後とで運転させる場合の説明図である。これらの図においては、上部に時刻と蒸気ドラム3における熱伝達媒体Xの温度との関係を示すグラフが示されているが、このグラフには参考として時刻と太陽から得られるエネルギとの関係を示すグラフを重ねて示している。
図3に示すように、補助ボイラ4を日の出時刻の前後に運転させる場合には、日の出前から補助ボイラ4の運転を開始する。日の出前の時刻では太陽集熱器2によって熱伝達媒体Xを加熱することができないため、補助ボイラ4から補助的に蒸気を蒸気ドラム3に供給した場合であっても、太陽集熱器2側から集合管2fを介して蒸気ドラム3に供給される熱伝達媒体Xの温度が低く、蒸気ドラム3の全体における熱伝達媒体Xの温度は沸点に到達しない。
なお、蒸気ドラム3における熱伝達媒体Xの温度が沸点に到達するまでは、本実施形態の乾燥システム1は予熱運転を行う。この予熱運転は、乾燥炉5への被乾燥物Yを供給しない状態で行う運転であり、熱伝達媒体Xの温度を沸点に向けて徐々に昇温させるための運転である。なお、予熱運転は、乾燥炉5に被乾燥物Yが貯留されていない状態と乾燥炉5に前日において乾燥が完了していない被乾燥物Yが貯留されたいずれかの状態で行われる。このような予熱運転では、補助ボイラ4の運転(日の出後は太陽集熱器2による加熱を含む)により熱伝達媒体Xが徐々に昇温する。また、予熱運転では、流動化ガス供給装置6によって流動化ガスZを乾燥炉5に供給する。これによって、熱伝達媒体Xの昇温に伴って流動化ガスZも昇温し、乾燥運転の開始後に流動化ガスZによって被乾燥物Yが冷却されてしまうことを防止することができる。
日の出時刻となると、太陽から得られるエネルギは正午前後と比較すると低いものの、太陽集熱器2によって熱伝達媒体Xが加熱され、蒸気ドラム3における熱伝達媒体Xの温度が沸点まで急激に上昇する。蒸気ドラム3における熱伝達媒体Xの温度が沸点に到達すると、補助ボイラ4を停止し、乾燥炉5に被乾燥物Yを投入し、被乾燥物Yを乾燥する乾燥運転を行う。そして、日没時刻が近づき、太陽から得られるエネルギが小さくなると、熱伝達媒体Xの温度が沸点を下回るため、この時点で被乾燥物Yの乾燥炉への供給を停止し、乾燥運転を停止する。
その後、日没時刻まで冷却運転を行う。この冷却運転では、例えば太陽集熱器2を太陽と異なる方向に向けることで太陽集熱器2によって熱伝達媒体Xが加熱されない状態とすると共に、流動化ガス供給装置6による乾燥炉5への流動化ガスZの供給を継続する。これによって、被乾燥物Yが加熱されることなく撹拌され、乾燥炉5内部の温度が急速に下げられることになる。そして、乾燥炉5の内部の温度が自然発火等のおそれがない温度まで冷却された後、冷却運転が終了し、本実施形態の乾燥システム1が翌日の運転再開まで停止される。
なお、補助ボイラ4を日の出時刻の前後に運転させない場合には、日の出以降に太陽集熱器2によって熱伝達媒体Xが加熱されるため、図3の一点鎖線で示すように、蒸気ドラム3において熱伝達媒体Xが沸点に到達する時刻が遅くなる。したがって、補助ボイラ4を日の出時刻の前後に運転させることによって、乾燥運転可能期間の開始タイミングを早めることが可能となり、より長い期間において被乾燥物Yを乾燥させることが可能となる。
また、図4に示すように、補助ボイラ4を日没時刻の前後に運転させる場合には、日没前から補助ボイラ4の運転を開始する。日没が近づくと太陽から得られるエネルギが減少するため、太陽集熱器2において熱伝達媒体Xを加熱するエネルギが減少し、太陽集熱器2のみで熱伝達媒体Xの温度を沸点で維持することができなくなる。ただし、熱伝達媒体Xの温度は、日没が近づき、さらに日没時刻を過ぎても直ぐに常温に低下するものではなく、徐々に低下する(図3参照)。ここで、図4に示すように、日没時刻の前後に補助ボイラ4が運転されていると、補助ボイラ4から蒸気ドラム3に新たな蒸気が供給されることによって、日没時刻の前後において、熱伝達媒体Xの温度の低下を抑制することができる。このため、日没時刻が過ぎても暫くの間、熱伝達媒体Xの温度を沸点に維持することができ、被乾燥物Yの乾燥を継続することができる。このように、補助ボイラ4を日没時刻の前後に運転させることによって、図4に示すように乾燥運転可能期間を日没時刻後まで延長することが可能となり、より長い期間において被乾燥物Yを乾燥させることが可能となる。
また、上述のように、日没時刻の前後においては太陽集熱器2のみでは熱伝達媒体Xの温度を沸点に維持することはできないが、日中の運転によって熱伝達媒体Xが温められている。このため、補助ボイラ4を用いて熱伝達媒体Xの温度を沸点に維持するための投入エネルギは、日の出前後において補助ボイラ4を運転させる場合と比較して少なく済む。したがって、補助ボイラ4を日没時刻の前後に運転させる場合には、日の出前後において補助ボイラ4を運転させる場合よりも少ない燃料で乾燥運転可能期間を延長することが可能となる。
また、図5に示すように、補助ボイラ4を日の出時刻の前後と日没時刻の前後とで運転させる場合には、乾燥運転可能期間の開始タイミングを早め、さらには乾燥運転可能期間を日没時刻後まで延長することが可能となる。このような場合には、補助ボイラ4を日の出時刻の前後のみ運転させる場合と、補助ボイラ4を日没時刻の前後のみ運転させる場合と比較して、多くの燃料が必要になるが、最も長い乾燥運転可能期間を確保することができる。このため、例えば、本実施形態の乾燥システム1が設置される工場の操業時間が長く、この操業時間に合わせて乾燥システム1を長時間運転させたいような場合に有用な運転パターンである。
以上のような本実施形態の乾燥システム1によれば、熱伝達媒体Xを加熱する太陽集熱器2を複数備える構成を採用している。このため、被乾燥物Yを乾燥させるために必要なエネルギを集められるだけの数の太陽集熱器を設置することで、被乾燥物Yの乾燥を行うことができ、巨大なタワーや反射ミラーを設置することなく太陽熱を利用した乾燥を行うことができる。また、石炭等の固体の燃料をガス化させるために必要な熱量と比較すれば、乾燥に要する熱量が少なくて済むことから、本実施形態の乾燥システム1においてはガス化設備のように多数のヘリオスタットを設置する必要がないだけでなく、広範囲に設置されたヘリオスタットから、限られた範囲へ集光する複雑な制御システムも必要ない。したがって、本実施形態の乾燥システム1によれば、設備の大型化や、制御システムの複雑化を抑止することができる。
さらに、本実施形態の乾燥システム1によれば、太陽集熱器2で集められた太陽熱によって被乾燥物Yを直接加熱するのではなく、太陽熱によって熱伝達媒体Xを加熱し、この熱伝達媒体Xによって被乾燥物Yを加熱する構成を採用している。このため、熱伝達媒体Xの物性(例えば飽和蒸気温度)や熱交換時の熱伝達媒体Xの流速等を調整することによって、被乾燥物Yの温度を容易に調整することができる。例えば、本実施形態の乾燥システム1においては、熱伝達媒体Xとして水を用いているため、被乾燥物Yの温度が水の飽和温度以上になることを防止することができる。なお、熱伝達媒体Xが流れる配管等は閉空間とされており、熱伝達媒体Xが蒸気化することにより、この空間内が昇圧される。このため、本実施形態の乾燥システム1では、熱伝達媒体Xの飽和温度は例えば160℃〜170℃程度となる。
したがって、以上のような本実施形態の乾燥システム1によれば、太陽熱を利用することで乾燥に用いられる燃料の消費量を抑制することができ、また設備の大型化を抑制することができ、さらには、乾燥に適した温度に被乾燥物Yの温度を調整することが可能となる。
また、本実施形態の乾燥システム1においては、太陽集熱器2と乾燥炉5との間に配置され、太陽集熱器2によって加熱されることにより蒸気化された熱伝達媒体Xを一時的に貯留する蒸気ドラム3を備える。このため、例えば配置や個体差によって各太陽集熱器2における加熱性能にばらつきがあり蒸気の生成能力に差があるような場合であっても、全ての蒸気が蒸気ドラム3に一度集められ、この蒸気ドラム3から乾燥炉5に供給されるため、乾燥炉5に対して常に安定的に熱伝達媒体Xを供給することができる。また、蒸気ドラム3の内部に一定量の蒸気が溜まることによって、例えば太陽が雲に一時的に隠れて太陽集熱器2にて蒸気が十分に生成できない場合であっても、乾燥炉5に対する蒸気の供給を継続することができる。
また、本実施形態の乾燥システム1においては、また、流動化ガス供給装置6から流動化ガスZがチャンバ5a内に供給されることにより、チャンバ5a内において被乾燥物Yが流動する。このため、被乾燥物Yと熱伝達媒体Xとの熱交換が促進され、より短時間で被乾燥物Yの乾燥を行うことが可能となる。また、流動化ガス供給装置6が、不活性ガスを流動化ガスZとして乾燥炉5に供給する。このため、乾燥炉5のチャンバ5a内に酸素が入り込まず、被乾燥物Yが万が一にも乾燥炉5内で燃焼することを防止することができる。
また、本実施形態の乾燥システム1においては、太陽集熱器2とは別に熱伝達媒体Xを加熱する補助ボイラ4を備える。このため、太陽集熱器2において乾燥炉5が必要とする蒸気が生成できない場合に、補助ボイラ4によって蒸気を生成することによって、被乾燥物Yの乾燥を行うことができる。例えば、日の出時刻の前後や日没時刻の前後において補助ボイラ4を運転することによって、上述のように乾燥運転可能期間(被乾燥物Yの乾燥を行うことができる期間)を延長することが可能となる。
また、本実施形態の乾燥システム1においては、制御装置8が日の出時刻及日没時刻の少なくともいずれかに合わせて補助ボイラ4を稼働させる。このため、図4〜図6を用いた上記説明のように、補助ボイラ4を用いない場合と比較して乾燥運転可能期間を長く確保することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図6〜図9を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図6は、本実施形態の乾燥システム1Aの概略構成を示すフロー図である。この図に示すように、本実施形態の乾燥システム1Aは、上記第1実施形態の乾燥システム1に対して、太陽過熱器10(過熱器)と、流動化蒸気供給部11(流動化ガス供給手段、過熱蒸気供給部)とを備える構成を有している。
太陽過熱器10は、蒸気ドラム3と乾燥炉5との間に配置されている。この太陽過熱器10は、太陽集熱器2と同様の構成を有しており、蒸気ドラム3から乾燥炉5の伝熱管5cに供給される熱伝達媒体Xを太陽熱によって飽和温度以上(例えば200℃程度)に昇温する。なお、本実施形態の乾燥システム1Aでは、太陽過熱器10が1つのみ設けられている構成を採用しているが、さらに複数の太陽過熱器10を備える構成を採用することも可能である。
流動化蒸気供給部11は、過熱蒸気供給配管11aと、開閉バルブ11bとを備えている。過熱蒸気供給配管11aは、太陽過熱器10とチャンバ5aの底部とを繋ぐ配管であり、太陽過熱器10によって過熱された熱伝達媒体Xを流動化ガスとしてチャンバ5a内に供給する。開閉バルブ11bは、過熱蒸気供給配管11aの途中部位に配置されており、過熱蒸気供給配管11aによって形成される流路の開閉を行う。この開閉バルブ11bは、例えば制御装置8によって制御される。
このような構成の本実施形態の乾燥システム1Aにおいては、蒸気ドラム3から排出された蒸気の熱伝達媒体Xが太陽過熱器10によって飽和温度以上の温度まで過熱されてから、乾燥炉5の伝熱管5cに供給される。したがって、上記第1実施形態の乾燥システム1と比較して高温の熱伝達媒体Xが乾燥炉5の伝熱管5cに供給されることになる。よって、乾燥炉5における乾燥温度をより高めることができ、短時間で被乾燥物Yの乾燥を行うことが可能となる。
また、本実施形態の乾燥システム1Aにおいて制御装置8は、太陽過熱器10で熱伝達媒体Xが過熱されている期間中、必要に応じて開閉バルブ11bを開ける。このように開閉バルブ11bが開けられることによって、過熱蒸気供給配管11aを通じて熱伝達媒体Xが流動化ガスとしてチャンバ5a内に供給される。なお、例えば乾燥システム1Aの運転開始時等のチャンバ5a内の温度が低い場合に熱伝達媒体Xを被乾燥物Yに直接触れさせると、熱伝達媒体Xが凝縮して被乾燥物Yの表面が濡れ、被乾燥物Yの流動を阻害する。このため、チャンバ5a内の温度が低い場合には、上記第1実施形態の乾燥システム1と同様に、流動化ガス供給装置6によって不活性ガスからなる流動化ガスZをチャンバ5aに供給する。
続いて、本実施形態の乾燥システム1Aにおける運転パターンの例について、図7〜図9を参照して説明する。
図7は、本実施形態の乾燥システム1Aにおいて補助ボイラ4を日の出時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。また、図8は、本実施形態の乾燥システム1Aにおいて補助ボイラ4を日没時刻の前後のみ運転させる場合の説明図である。図9は、本実施形態の乾燥システム1Aにおいて補助ボイラ4を日の出時刻の前後と日没時刻の前後とで運転させる場合の説明図である。
図7に示すように、補助ボイラ4を日の出時刻の前後に運転させる場合には、日の出前から補助ボイラ4の運転を開始する。運転開始時には、上記第1実施形態の乾燥システム1と同様に予熱運転が行われる。ただし、この間は熱伝達媒体Xの温度が沸点にも達しておらず、太陽過熱器10において過熱された熱伝達媒体X(過熱蒸気)が生成されないため、流動化ガス供給装置6によって不活性ガスからなる流動化ガスZをチャンバ5aに供給し、前日の運転においてチャンバ5a内に残った被乾燥物Yを流動させる。
日の出時刻が過ぎて熱伝達媒体Xの温度が沸点に達すると、新たな被乾燥物Yがチャンバ5aに供給されて乾燥運転が開始される。さらに、太陽過熱器10によって過熱された熱伝達媒体Xが生成されると、流動化ガス供給装置6による不活性ガスのチャンバ5aの供給を停止し、太陽過熱器10で過熱された熱伝達媒体Xを流動化ガスとしてチャンバ5a供給する。不活性ガスは循環させる場合であっても一定量が漏れて補充が必要となることから、不活性ガスの供給を停止して過熱された熱伝達媒体Xを流動化ガスとして供給することによって不活性ガスの使用量を削減することができ、運転コストが削減される。
日没時刻が近づき、太陽過熱器10による過熱のエネルギが得られなくなると、流動化蒸気供給部11からチャンバ5aへの熱伝達媒体Xの供給を停止し、流動化ガス供給装置6からチャンバ5aへの不活性ガスの供給を再開する。そして、さらに日没時刻に近付き、熱伝達媒体Xの温度が飽和温度を下回ったタイミングで冷却運転に切り替え、その後運転を停止する。
このように補助ボイラ4を日の出時刻の前後に運転させることによって、乾燥運転可能期間の開始タイミングを早めることが可能となり、より長い期間において被乾燥物Yを乾燥させることが可能となる。
図8に示すように、補助ボイラ4を日没時刻の前後に運転させる場合には、日没前から補助ボイラ4の運転を開始する。これによって日没時刻の前後において、熱伝達媒体Xの温度の低下を抑制することができる。このため、日没時刻が過ぎても暫くの間、熱伝達媒体Xの温度を沸点に維持することができ、被乾燥物Yの乾燥を継続することができる。ただし、補助ボイラ4を運転させている間は、太陽から得られるエネルギが少ない期間であるため、太陽過熱器10によって熱伝達媒体Xを過熱することはできない。したがって、この間は、流動化蒸気供給部11からチャンバ5aへの熱伝達媒体Xの供給を停止し、流動化ガス供給装置6からチャンバ5aへ不活性ガスからなる流動化ガスZを供給する。このように、補助ボイラ4を日没時刻の前後に運転させることによって、図8に示すように乾燥運転可能期間を日没時刻後まで延長することが可能となり、より長い期間において被乾燥物Yを乾燥させることが可能となる。
また、図9に示すように、補助ボイラ4を日の出時刻の前後と日没時刻の前後とで運転させる場合には、乾燥運転可能期間の開始タイミングを早め、さらには乾燥運転可能期間を日没時刻後まで延長することが可能となる。
以上のような本実施形態の乾燥システム1Aによれば、 太陽集熱器2によって加熱された熱伝達媒体Xをさらに昇温する太陽過熱器10を備える。このため、乾燥炉5における乾燥温度をより高めることができ、短時間で被乾燥物Yの乾燥を行うことが可能となる。さらには、飽和温度以上に過熱された熱伝達媒体Xによれば、十分に温度が高いことから、乾燥中の被乾燥物Yに接触した場合であっても凝集しない。このため、熱伝達媒体Xを流動化ガスとして使用することが可能となり、不活性ガスの使用量を削減することが可能となる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態あるいは第2実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図10は、本実施形態の乾燥システム1Bの概略構成を示すフロー図である。この図に示すように、本実施形態の乾燥システム1Bは、本実施形態の乾燥システム1Bで乾燥した被乾燥物Y(褐炭)を燃料とするボイラ発電システム100に併設されており、上記第2実施形態の乾燥システム1Aに対して、中圧タービン抽気部12と、乾燥用蒸気過熱器13(過熱器)と、低圧タービン抽気部14とを備える構成を採用している。
ボイラ発電システム100は、構成が特に限定されるものではないが、被乾燥物Yを燃焼して蒸気を生成するボイラ101と、ボイラ101で得られた蒸気を用いて回転動力を生成するタービン102とを備えている。また、図10では省略しているが、ボイラ発電システム100は、タービン102で生成された回転動力を用いて発電を行う発電機等を備えている。なお、本実施形態においては、タービン102は、高圧タービン102aと、中圧タービン102bと、低圧タービン102cとを備える三段式のタービンである。また、ボイラ101は、高圧タービン102aから排出された蒸気を再加熱して中圧タービン102bに供給する再熱器101aを備えている。
中圧タービン抽気部12は、抽気配管12aと、開閉バルブ12bとを備えている。抽気配管12aは、乾燥用蒸気過熱器13を通過して中圧タービン102bと低圧タービン102cとを接続する配管である。開閉バルブ12bは、抽気配管12aの途中部位に配置されており、抽気配管12aによって形成される流路の開閉を行う。この開閉バルブ12bは、例えば制御装置8によって制御される。このような中圧タービン抽気部12は、中圧タービン102bから蒸気を抽気し、抽気した蒸気が乾燥用蒸気過熱器13を通過するように案内して低圧タービン102cに供給する。
乾燥用蒸気過熱器13は、蒸気ドラム3と乾燥と5との間において、太陽過熱器10と並列して設けられている。この乾燥用蒸気過熱器13は、中圧タービン抽気部12によって中圧タービン102bから抽気された蒸気と、蒸気ドラム3から配置された熱伝達媒体Xとを熱交換することによって、熱伝達媒体Xをさらに昇温させるものである。
低圧タービン抽気部14は、抽気配管14aと、開閉バルブ12bとを備えている。抽気配管12aは、低圧タービン102cと接続され、低圧タービン102cから抽気した蒸気を乾燥炉5の伝熱管5cに向けて案内する。開閉バルブ14bは、抽気配管14aの途中部位に配置されており、抽気配管14aによって形成される流路の開閉を行う。この開閉バルブ14bは、例えば制御装置8によって制御される。このような低圧タービン抽気部14は、低圧タービン102cから蒸気を抽気し、乾燥炉5の伝熱管5cに供給する。
以上のような本実施形態の乾燥システム1Bによれば、太陽集熱器2によって加熱された熱伝達媒体Xをさらに昇温する乾燥用蒸気過熱器13を備える。このため、乾燥炉5における乾燥温度をより高めることができ、短時間で被乾燥物Yの乾燥を行うことが可能となる。さらには、飽和温度以上に過熱された熱伝達媒体Xによれば、十分に温度が高いことから、乾燥中の被乾燥物Yに接触した場合であっても凝集しない。このため、熱伝達媒体Xを流動化ガスとして使用することが可能となり、不活性ガスの使用量を削減することが可能となる。
また、本実施形態の乾燥システム1Bにおいては、低圧タービン102cから抽気された蒸気の一部を乾燥炉5の伝熱管5cに供給可能とされている。このため、蒸気ドラム3から排出される熱伝達媒体Xの流量が少ない場合には、低圧タービン102cからの蒸気で補うことができる。このため、乾燥運転可能期間を延長することができ、例えば24時間、乾燥システム1Bを運転することも可能となる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、乾燥炉5として、被乾燥物Yを流動化しながら乾燥を行ういわゆる流動層式のものを用いる構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の乾燥炉を使用することも可能である。例えば、傾斜面に被乾燥物Yを供給し、被乾燥物Yを重量により移動させながら乾燥を行う移動層式の乾燥炉を用いる構成を採用することも可能である。ただし、上記実施形態で説明した流動層式の乾燥炉5は、分割壁5bの配置間隔等によって容易に被乾燥物Yの移動距離を変更することができ、被乾燥物Yの乾燥時間を任意に調整できる点において有利である。
また、上記実施形態においては、日の出時刻及び日没時刻のいずれかあるいは両方において補助ボイラ4を運転する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、曇天や雨天のときに補助ボイラ4を運転するようにしても良い。このような場合には、例えば、制御装置8は、気象を検知するセンサや外部から入力される気象情報に基づいて補助ボイラ4を運転するか否かを判断する。
1……乾燥システム、1A……乾燥システム、1B……乾燥システム、2……太陽集熱器、2a……第1反射板、2b……第2反射板、2c……伝熱管、2d……駆動装置、2e……支持部、2f……集合管、3……蒸気ドラム、4……補助ボイラ、5……乾燥炉、5a……チャンバ、5b……分割壁、5b1……第1分割壁、5b2……第2分割壁、5c……伝熱管、6……流動化ガス供給装置(流動化ガス供給手段、不活性ガス供給部)、6a……循環配管、6b……不活性ガス発生器、6c……ブロワ、6d……熱交換器、6e……冷却器、7……熱伝達媒体循環部、7a……返流配管、7b……復水器、7c……給水ポンプ、7d……給水予熱器、7e……蒸気ドラム接続配管、8……制御装置、10……太陽過熱器、11……流動化蒸気供給部(流動化ガス供給手段、過熱蒸気供給部)、11a……過熱蒸気供給配管、11b……開閉バルブ、12……中圧タービン抽気部、12a……抽気配管、12b……開閉バルブ、13……乾燥用蒸気過熱器(過熱器)、14……低圧タービン抽気部、14a……抽気配管、14b……開閉バルブ、100……ボイラ発電システム、101……ボイラ、101a……再熱器、102……タービン、102a……高圧タービン、102b……中圧タービン、102c……低圧タービン、X……熱伝達媒体、Y……被乾燥物、Z……流動化ガス

Claims (6)

  1. 太陽熱により熱伝達媒体を加熱すると共に複数設けられる太陽集熱器と、
    前記太陽集熱器により加熱された前記熱伝達媒体と被乾燥物とを熱交換することによって前記被乾燥物を乾燥させる乾燥炉と、
    前記乾燥炉に流動化ガスを供給することにより前記乾燥炉において前記被乾燥物を流動化させる流動化ガス供給手段と、
    前記太陽集熱器と前記乾燥炉との間に配置され、前記太陽集熱器によって加熱されることにより蒸気化された前記熱伝達媒体を一時的に貯留する蒸気ドラムと
    を備え、
    日の出後、前記太陽集熱器によって加熱された前記熱伝達媒体の温度が上昇して前記蒸気ドラムにおける前記熱伝達媒体の温度が沸点に到達してから乾燥運転を開始し、
    日没が近づき、前記熱伝達媒体の温度が沸点を下回った時点で乾燥運転を停止する
    ことを特徴とする乾燥システム。
  2. 前記太陽集熱器によって加熱された前記熱伝達媒体をさらに昇温する過熱器を備えることを特徴とする請求項記載の乾燥システム。
  3. 前記流動化ガス供給手段として、過熱された蒸気を前記流動化ガスとして前記乾燥炉に供給する過熱蒸気供給部を備えることを特徴とする請求項1または2記載の乾燥システム。
  4. 前記流動化ガス供給手段として、不活性ガスを前記流動化ガスとして前記乾燥炉に供給する不活性ガス供給部を備えることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の乾燥システム。
  5. 前記太陽集熱器とは別に前記熱伝達媒体を加熱する補助ボイラを備えることを特徴とする請求項1〜いずれか一項に記載の乾燥システム。
  6. 日の出時刻及日没時刻の少なくともいずれかに合わせて前記補助ボイラを稼働させる制御装置を備えることを特徴とする請求項記載の乾燥システム。
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