以下に添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、以下に示す項目順序に従って当該「発明を実施するための形態」を説明する。
1.通信システムの概略的な構成
2.各実施形態の詳細な説明
2−1.第1の実施形態
2−2.第2の実施形態
2−3.第3の実施形態
2−4.第4の実施形態
2−5.第5の実施形態
3.変形例
<<1.通信システムの概略的な構成>>
まず、図1を参照して、本発明の各実施形態に共通する通信システム1の概略的な構成を説明する。図1は、本実施形態に係る通信システム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。図1を参照すると、通信システム1は、構内交換機100(以下、PBX(Private Branch eXchange)100)及び端末装置200を含む。
<1−1.PBX100>
PBX100は、所定の区域90(以下、区域90)内に位置する端末装置200とネットワーク20を介して通信する交換機である。図1を参照すると、当該区域90は、例えばショッピングモールの敷地である。また、区域90には、端末装置200のユーザ10が位置する。例えば、ユーザ10は、ショッピングモールに来た顧客、又はショッピングモールのスタッフである。なお、ネットワーク20は、例えば、LAN(Local Area Network)であり、端末装置により、有線で接続され、または無線LANアクセスポイントを介して無線で接続される。
PBX100は、区域90内に位置する端末装置200に、当該区域90内で使用される識別情報(以下、区域内IDと呼ぶ)を用いた通信を可能にする。当該区域内IDは、一例として内線電話番号である。ここで、区域90内おけるサービスが、公衆交換電話網(以下、PSTN(Public Switched Telephone Networks))のサービスに対応する場合、区域内IDが電話番号であってもよい。なお、本願でいう当該PSTNは、有線網であっても、無線網(携帯電話網等)であってもよい。さらに、当該PSTNは、旧来の電話サービスの網に加え、例えばインターネット等の公の網を含んでもよい。
より具体的な例として、PBX100は、区域内IDとIPアドレス(Internet Protocol address)とを対応して記憶する。そして、PBX100は、要求に応じて、当該区域内IDをIPアドレスに変換し、区域内IDに対応するIPアドレスを端末装置200に提供する。したがって、端末装置200は、PBX100への要求により、別の端末装置200が有する区域内IDからIPアドレスを取得し、当該IPアドレスを用いて、当該別の端末装置200にデータを送信することができる。一例として、ショッピングモールのスタッフの端末装置200は、別のスタッフの端末装置200の区域内ID(例えば、内線電話番号)からIPアドレスを取得し、当該IPアドレスを用いて、上記別のスタッフの端末装置20にデータを送信する。また、端末装置200は、自装置が有する区域内IDを知るPBX100、端末装置200等の別の通信装置からデータを受信することが可能となる。一例として、ショッピングモールのスタッフの端末装置200は、自装置の区域内ID(例えば、内線電話番号)を知る別の端末装置200から、データを受信する。なお、このような区域内IDと当該IPアドレスとの変換機能は、ゲートキーパ機能と呼ばれる。
また、PBX100は、端末装置200間の呼制御、及び端末装置200と別の区域に位置する通信装置との間の呼制御を行う。例えば、ショッピングモールのスタッフの端末装置200が、区域内ID(例えば、内線電話番号)を有する別のスタッフの端末装置200への通話を要求する場合に、PBX100は、上記区域内IDをIPアドレスに変換し、これらの端末装置200間のセッションを確立する。このように、端末装置200間の呼制御は、ゲートキーパ機能の処理、即ち、区域内IDとIPアドレスとの変換処理を含む。
また、本実施形態では、区域90内でアプリケーションサービス(以下、「APサービス」と呼ぶ)が提供される。例えば、PBX100が、上記APサービスを提供する。一例として、当該APサービスは、区域内通話サービスである。当該APサービスにより、ショッピングモールの顧客は、所望の店員と通話することができる。
また、本実施形態では、とりわけ、区域90内で提供されるAPサービスの通信のための識別情報(即ち、ワンタイムID)が用いられる。そして、例えば、PBX100が、ワンタイムIDを管理する。具体的には、例えば、PBX100は、ワンタイムIDを端末装置200に発行する。このようにワンタイムIDが端末装置200に発行されると、端末装置200は当該ワンタイムIDを使用して、APサービスの通信を行うことが可能になる。
発行されたワンタイムIDは、PBX100により、例えば、上記区域内IDと同様に取り扱われる。具体的には、例えば、PBX100は、ワンタイムIDとIPアドレスとを互いに対応させて記憶し、要求に応じて、ワンタイムIDをIPアドレスに変換する。ワンタイムIDは、換言すると、区域90の区域内IDの一種であって、区域90内で提供されるAPサービスの通信のためのIDである。また、当該ワンタイムIDは、所定の条件下で一時的に使用できるものである。
なお、後に詳細に説明するように、ワンタイムIDを発行された端末装置200間での情報の提供及び取得は、制限される。しかしながら、当該情報の提供及び取得は、一律に制限されず、ユーザにとって望ましい場合に認められ得る。
<1−2.端末装置200>
端末装置200は、ユーザ10により使用される通信装置である。端末装置200は、ネットワーク20に有線または無線で接続することができる。端末装置200は、一例として、スマートフォンである。端末装置200は、スマートフォンである場合に、通信事業者のネットワークを介した通信で使用できる、電話番号、メールアドレス等の固定的な識別情報(以下、固定ID)を有してもよい。つまり、当該固定IDは、PSTNで使用される識別情報といえる。なお、端末装置200は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置、補助記憶装置、表示装置、チップセット(Chipset)、ボタンデバイス、電源回路、電池、スピーカーデバイス、マイクデバイス、PSTN通信デバイス、無線LANデバイス、外部接続端子及びそれぞれをつなぐバス(bus)等で構成されてもよい。また、端末装置200は、補助記憶装置で、OS(Operating System)やVM(virtual machine)等のさまざまな電子情報を記憶してもよい。さらに、端末装置200は、カメラデバイスやSIM(Subscriber Identity Module)カードやSIMカードインタフェース等を有してもよい。
図1を参照すると、区域90には、端末装置200のユーザ10が存在する。例えば、ユーザ10A及びユーザ10Bは、顧客であり、端末装置200A及び端末装置200Bは、顧客の端末装置である。また、ユーザ10Cは、スタッフであり、端末装置200Cは、スタッフの端末装置である。
また、本実施形態では、とりわけ、端末装置200は、上記ワンタイムIDを発行される。そして、端末装置200は、ワンタイムIDを使用して、区域90内で提供されるAPサービスの通信を行う。
以上、図1を参照して本発明の実施形態に係る通信システム1の構成の一例を説明した。本実施形態では、上述したように、ワンタイムIDが使用されるので、ユーザの匿名性を保ちつつ端末装置が通信することが可能になる。そして、本実施形態では、さらに、2以上のユーザ10が関係を有する場合に当該2以上のユーザ10の端末装置200間で情報が提供され、取得されることが可能になる。以降、「2−1.第1の実施形態」〜「2−5.第5の実施形態」において、その具体的な内容を説明する。
<<2.各実施形態の詳細な説明>>
<2−1.第1の実施形態>
[2−1−1.PBXの構成]
まず、図2〜図14を参照して、第1の実施形態に係るPBX100の構成の一例を説明する。図2は、本実施形態に係るPBX100の構成の一例を示すブロック図である。図2を参照すると、PBX100は、通信部110、記憶部120及び制御部130を備える。
(2−1−1−1.通信部110)
通信部110は、他の装置と通信する。より具体的には、例えば、通信部110は、制御部130による制御に応じて、他の装置への情報を送信する。また、通信部110は、他の装置により送信される情報を受信し、当該情報を制御部130に提供する。通信部110は、例えば、有線通信のための通信インターフェースを含む。
(2−1−1−2.記憶部120)
記憶部120は、PBX100の動作のためのプログラム及びデータを記憶する。記憶部120は、例えばハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体を含む。記憶部120は、アプリケーションデータベース121(以下、AP DB121と呼ぶ)及びIDデータベース123(以下、ID DB123)を含む。
−AP DB121
AP DB121は、区域90内で提供されるAPサービスのリストを記憶する。より具体的には、AP DB121は、例えば、上記区域内通話サービス、区域内地図サービス、クーポン配布サービス、ポイント付与サービス等の各APサービスを示す情報のリストを記憶する。なお、AP DB121は、各APサービスを提供可能なユーザ10の種類(例えば、顧客、スタッフ等)を併せて記憶してもよい。より具体的には、例えば、AP DB121は、区域内通話サービスを利用可能なユーザ10の種類として、「顧客」及び「スタッフ」を記憶してもよい。また、AP DB121は、クーポン配布サービスを利用可能なユーザ10の種類として、「顧客」を記憶してもよい。
また、AP DB121は、上記APサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアを記憶する。当該ソフトウェアは、例えばアプリケーションソフトウェアである。例えば、AP DB121は、上記区域内通話サービスのアプリケーションソフトウェアを記憶する。なお、このようなアプリケーションソフトウェアは、顧客、スタッフ等のユーザ10の種類毎に作成されていてもよい。より具体的には、例えば、区域内通話サービスのアプリケーションソフトウェアとして、顧客用のソフトウェアとスタッフ用のソフトウェアとが、作成され、記憶されてもよい。また、例えば、クーポン配布サービスのアプリケーションソフトウェアとして、顧客用のソフトウェアが作成され、記憶されてもよい。
−ID DB123
ID DB123は、ワンタイムIDの使用状況を記憶する。当該使用状況は、ワンタイムIDが使用中であるか未使用であるかの判断を可能にする情報である。このようなワンタイムIDの使用状況が記憶されることで、どのワンタイムIDを発行してもよいかを知ることができる。
また、例えば、ID DB123は、ワンタイムIDを発行された端末装置200のユーザ10を識別するためのユーザ識別情報を記憶する。当該ユーザ識別情報は、例えば、ユーザ10のためのハンドルネームである。
また、例えば、ID DB123は、ワンタイムIDを発行された端末装置200についてのリンク設定の状況を示すリンク設定情報を記憶する。リンク設定は、区域90内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、ワンタイムIDを発行された端末装置200からの情報を、別のワンタイムIDを発行された別の端末装置200が取得することを可能にする。当該リンク設定については、後に詳細に説明する。上記リンク設定情報は、例えば、ワンタイムIDが発行された端末装置200のリンク設定の相手である1つ以上の別の端末装置200のユーザ識別情報である。
ID DB123は、例えば、ワンタイムIDの使用状況、ユーザ識別情報及びリンク設定情報を、ID管理テーブルとして記憶する。以下、ID管理テーブルの具体例を、図3を参照して説明する。
図3は、ID DB123に記憶されるID管理テーブルの一例を説明するための説明図である。図3を参照すると、ID管理テーブルが示されている。ID管理テーブルは、各ワンタイムIDについての使用可否フラグ、ユーザ識別情報及びリンク設定情報を含む。この例では、ワンタイムIDは、4桁の数字である。また、使用可否フラグは、ワンタイムIDの使用状況を示す情報であり、0又は1である。使用可否フラグが0である場合には、ワンタイムIDがいずれの端末装置200にも使用されていないことを示す。一方、使用可否フラグが1である場合には、ワンタイムIDがいずれかの端末装置200により使用されていることを示す。また、ユーザ識別情報は、上述したように、ハンドルネームである。また、リンク設定情報は、上述したように、リンク設定の相手である1つ以上の別の端末装置200のユーザ識別情報である。ユーザ識別情報及びリンク設定情報の具体例については、後に説明する。
なお、ID DB123は、ワンタイムIDのその他の属性も併せて記憶してもよい。当該その他の属性は、例えば、ワンタイムIDの使用期限、ワンタイムIDが使用可能である区域90内の範囲(以下、使用範囲)、又はワンタイムIDを発行される端末装置200のユーザの種類を含んでもよい。これらの属性は、ワンタイムIDの使用条件を定める情報要素である。ワンタイムIDは、例えば、このような使用期限、使用範囲、ユーザの種類等の所定の条件下で一時的に使用できるものである。
−その他
以上のように、記憶部120は、AP DB121及びID DB123を含む。なお、記憶部120は、AP DB121及びID DB123に記憶される情報の他に、ゲートキーパ機能を実現するための、区域内ID(例えば、固定的な区域内ID及びワンタイムID)とIPアドレスとの対応関係を記憶する。
(2−1−1−3.制御部130)
制御部130は、PBX100の様々な機能を提供する。例えば、制御部130は、CPU又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサに相当する。そして、制御部130は、記憶部120又は他の記憶媒体に記憶されるプログラムを実行することにより、上記様々な機能を提供する。制御部130は、APサービス管理部131、ID管理部133、リンク要求受付部134、リンク設定部135、APサービス提供部137及び呼制御部139を含む。
(2−1−1−4.管理部131)
−APサービスの検索
APサービス管理部131は、区域90内で提供されるAPサービスを検索する。より具体的には、例えば、APサービス管理部131は、通信部110を介して、端末装置200からのサービス検索要求メッセージを取得すると、記憶部120のAP DB121に記憶されているAPサービスのリストを用いて、APサービスを検索する。そして、APサービス管理部131は、通信部110を介して、検索されたAPサービスに関する情報をAPサービス検索結果として端末装置200に提供する。
−端末装置用のソフトウェアの配布
また、APサービス管理部131は、区域90内で提供されるAPサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアを配布する。より具体的には、例えば、APサービス管理部131は、通信部110を介して、端末装置200からのサービス利用開始要求メッセージを取得すると、記憶部120のAP DB121から、APサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアを取得する。そして、APサービス管理部131は、通信部110を介して、取得した端末装置用のソフトウェアを端末装置200に送信する。ここで、APサービス管理部131が、端末装置用のソフトウェアを配布する際に、端末装置200とPBX100との間でのやりとり(例えば、リンク設定のためのメッセージの送受信)のために用いる通信プロトコル、通信プロトコルのバージョン情報、通信ポート番号、パケット長情報(1パケットの容量情報)、データオフセット(パケットにおけるヘッダ長情報)及びデータ長(パケットにおけるデータ長情報)等を、端末装置200に通知してもよい。
また、APサービス管理部131は、ID管理部133にワンタイムIDの発行を要求する。より具体的には、例えば、APサービス管理部131は、通信部110を介して、端末装置200からのサービス利用開始要求メッセージを取得する。その後、APサービス管理部131は、APサービスの通信のためのワンタイムIDを端末装置200に発行するように、ID管理部133に要求する。
−使用終了条件の判定
APサービス管理部131は、ID管理部133により発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件(以下、ID使用終了条件)が満たされるか否かを継続的に判定する。より具体的に、例えば、APサービス管理部131は、端末装置200から上記ID使用終了条件に関連する情報を随時または定期的に取得する。また、例えば、APサービス管理部131は、APサービス提供部137からのサービス提供停止の通知を随時取得する。そして、APサービス管理部131は、取得結果に基づいて、上記ID使用終了条件が満たされるか否かを随時または定期的に判定する。
また、例えば、APサービス管理部131は、ID使用終了条件が満たされる場合に、APサービスの提供のために配布された端末装置用のソフトウェアを削除するように、当該ワンタイムIDを発行された端末装置200を制御する。より具体的には、例えば、APサービス管理部131は、上記ID使用終了条件が満たされた場合に、通信部110に、APサービスの提供のために配布された端末装置用のソフトウェアの停止及び削除を要求するAP削除要求メッセージを端末装置200へ送信させる。
また、例えば、APサービス管理部131は、ID使用終了条件が満たされる場合に、必要に応じて、当該ワンタイムIDを使用する端末装置200へのAPサービスの提供の停止を、APサービス提供部137に要求する。
また、例えば、APサービス管理部131は、ID使用終了条件が満たされる場合に、ワンタイムIDの使用状況を更新するように、ID管理部133に要求する。
−ワンタイムIDの使用終了の条件
上述したワンタイムIDの使用終了の条件(即ち、ID使用終了条件)として、様々な条件が適用され得る。一例として、ID使用終了条件は、発行されたワンタイムIDが使用可能である区域90内に当該ワンタイムIDを使用する端末装置200が位置しないこと(第1終了条件)を含む。この場合に、一例として、APサービス管理部131は、端末装置200から上記ID使用終了条件に関連する情報を所定時間内に取得しない場合に、区域90内に当該ワンタイムIDを使用する端末装置200が位置しないとみなす。
このようなID使用終了条件によれば、区域90内でワンタイムIDが使用範囲で使用されない場合(ショッピングモールを離れた場合、電源が切れた場合、等)に、ワンタイムIDの使用が停止される。そして、使用が停止されたワンタイムIDの使用状況は、当該ワンタイムIDが使用されていないことを示すように更新される。これにより、特定の場所でのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
なお、上記ID使用終了条件は、発行されたワンタイムIDの使用期限が経過していること(第2終了条件)を含んでもよい。この場合には、ID管理テーブルはワンタイムIDの使用期限の情報を含み、ID使用終了条件は、当該情報に基づいて判定されてもよい。このようなID使用終了条件によれば、特定の期限のみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
また、上記ID使用終了条件は、APサービス提供部137又は端末装置200によりAPサービスの提供の停止が要求されること(第3の終了条件)を含んでもよい。このような使用終了条件によれば、APサービスの提供中のみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
また、上記ID使用終了条件は、APサービス管理部131と端末装置200との間の通信パスにおいて所定時間内に送受信が行われないこと(第4の終了条件)を含んでもよい。このようなID使用終了条件によれば、PBX100と端末装置200との間で通信が可能である場合にのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
また、上記ID使用終了条件は、APサービス提供部137と端末装置200との間の通信パスにおいて所定時間内にワンタイムIDを使用した通信が行われないこと(第5の終了条件)を含んでもよい。このようなID使用終了条件によれば、PBX100と端末装置200との間でワンタイムIDを使用した通信がある場合にのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。換言すると、ワンタイムIDを使用したAPサービスの利用の有無に応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。
また、上記ID使用終了条件は、APサービス提供部137と端末装置200との間の通信パスにおいてワンタイムIDを用いた送受信が所定回数行われたこと(第6終了条件)を含んでもよい。このようなID使用終了条件によれば、所定の通信回数のみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
また、上記ID使用終了条件は、APサービス提供部137と端末装置200との間の通信パスにおいて、通信プロトコルのステータスコードがエラーを示すこと(第7の終了条件)を含んでもよい。このようなID使用終了条件によれば、PBX100と端末装置200との間で通信がエラーでないときのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
また、上記ID使用終了条件は、端末装置200の計算資源(computational resource)が不足すること(第8の終了条件)を含んでもよい。一例として、当該計算資源の不足は、端末装置200から随時又は定期的に取得される計算資源情報に基づいて判定されてもよい。当該計算資源情報は、例えば、CPUの使用率、主記憶装置(物理メモリや仮想メモリ等)の使用率、補助記憶装置(HDD(Hard disk drive)等)の使用率、表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)等)の面積、OSの種類(OS名やバージョン等)、VMの種類(VM名やバージョン等)、プログラムの種類(プログラム名やバージョン等)及び端末状態(カメラ機能無しや電波OFF等)等を含んでもよい。このようなID使用終了条件によれば、端末装置200のリソースが不足しない場合にのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
また、上記ID使用終了条件は、端末装置200が認証された端末でないこと(第9の終了条件)を含んでもよい。より具体的には、例えば、当該認証は、通信事業者による認証であってもよい。一例として、端末装置200が通信事業者により認証された端末でないか否かは、端末装置200についての通信事業者から又は端末装置200から随時又は定期的に取得される認証結果情報に基づいて判定されてもよい。このようなID使用終了条件によれば、端末装置200が認証された装置の場合のみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
また、上記ID使用終了条件は、端末装置200が特定の場所で接続する無線接続エリアが異常であること(第10の終了条件)を含んでもよい。当該無線接続エリアは、アクセスポイントに対応してもよい。そして、一例として、上記無線接続エリアが異常であるか否かは、PBX100によるアクセスポイント(ネットワーク20)についての疎通確認(ping等)の結果に基づいて判定されてもよい。このようなID使用終了条件によれば、端末装置200が特定の場所で接続する無線接続エリアが正常な場合のみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
(2−1−1−5.ID管理部133)
ID管理部133は、ワンタイムIDの管理を行う。
−ワンタイムIDの発行
第1に、ID管理部133は、使用されていないワンタイムIDを端末装置200に発行する。
より具体的には、例えば、APサービス管理部131がワンタイムIDの発行を要求すると、ID管理部133は、記憶部120のID DB123のID管理テーブルを用いて、使用されていないワンタイムIDを検索する。そして、ID管理部133は、通信部110を介して、検索された使用されていないワンタイムIDを端末装置200に通知する。
このように、端末装置200又はそのユーザ10を特定する情報を開示することなく、ワンタイムIDを取得することができる。そして、当該ワンタイムIDにより、端末装置200はAPサービスにおいて一意に特定可能な装置となる。よって、ユーザ10の匿名性を保ちつつ端末装置200がAPサービスの通信を行うことができる。
なお、例えば、ID管理部133は、発行されたワンタイムIDと、当該ワンタイムIDを発行された端末装置200のIPアドレスとの対応関係を、記憶部120に記憶させる。これにより、ワンタイムIDについてのゲートキーパ機能が実現される。
−ID管理テーブルの更新
第2に、ID管理部133は、ワンタイムIDの使用状況の情報を更新する。例えば、ID管理部133は、記憶部120のID DB123のID管理テーブルに記憶されている使用可否フラグを更新する。
例えば、使用されていないワンタイムIDが端末装置200に発行されると、ID管理部133は、当該ワンタイムIDがいずれかの端末装置により使用されていることを示すように、ワンタイムIDの使用状況の情報を更新する。より具体的には、例えば、上記ワンタイムIDが発行されると、ID管理部133は、記憶部120のID DB123のID管理テーブルを更新する。以下、この点について図4及び図5を参照して具体例を説明する。
図4は、ワンタイムIDの発行時のID管理テーブルの更新の第1の例を説明するための説明図である。図4を参照すると、ID管理テーブルが示されている。例えば、図3に示されるID管理テーブルが記憶されている際に、ワンタイムID「1000」が端末装置200に発行される。すると、図4に示されるように、ID管理部133は、ワンタイムID「1000」の使用可否フラグを0から1に更新する。これにより、ID管理テーブルは、ワンタイムID「1000」がいずれかの端末装置200により使用されていることを示す。
図5は、ワンタイムIDの発行時のID管理テーブルの更新の第2の例を説明するための説明図である。図5を参照すると、ID管理テーブルが示されている。例えば、図4に示されるID管理テーブルが記憶されている際に、さらに、ワンタイムID「1001」が別の端末装置200に発行される。すると、図5に示されるように、ID管理部133は、ワンタイムID「1001」の使用可否フラグを0から1に更新する。これにより、ID管理テーブルは、ワンタイムID「1001」がいずれかの端末装置200により使用されていることを示す。
以上のように、使用されていないワンタイムIDが端末装置200に発行されると、ID管理部133は、ワンタイムIDの使用状況の情報を更新する。
また、例えば、発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされると、ID管理部133は、当該ワンタイムIDがいずれの端末装置にも使用されていないことを示すように、ワンタイムIDの使用状況の情報を更新する。より具体的には、例えば、APサービス管理部131が、上記ワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされると判定すると、ID管理部133は、APサービス管理部131により、当該ワンタイムIDについての更新を要求される。すると、ID管理部133は、記憶部120のID DB123のID管理テーブルを更新する。以下、この点について図6を参照して具体例を説明する。
図6は、ワンタイムIDの使用終了時のID管理テーブルの更新の一例を説明するための説明図である。図6を参照すると、ID管理テーブルが示されている。例えば、図5に示されるID管理テーブルが記憶されている際に、ワンタイムID「1000」についての使用終了の条件が満たされる。すると、図6に示されるように、ID管理部133は、ワンタイムID「1000」の使用可否フラグを1から0に更新する。これにより、ID管理テーブルは、ワンタイムID「1000」がいずれの端末装置200にも使用されていないことを示す。即ち、ワンタイムID「1000」は、端末装置200に発行可能な状態になる。
このように、ワンタイムIDの使用状況の情報は、ワンタイムIDが発行されると、当該ワンタイムIDが使用されていることを示し、ワンタイムIDが未だ発行されず、又はワンタイムIDの使用終了の条件が満たされると、当該ワンタイムIDが使用されていないことを示す。その結果、当該ワンタイムIDの使用状況の情報から、使用されていないワンタイムIDを正確に特定することが可能となる。そのため、既に発行された使用されているワンタイムIDが重複して発行されることを回避することが可能になる。即ち、ID管理部133によるワンタイムIDの発行の有効性を担保できる。
なお、例えば、ID管理部133は、ID使用終了条件が満たされたワンタイムIDと、当該ワンタイムIDを発行された端末装置200のIPアドレスとの対応関係を、記憶部120に削除させる。これにより、使用されなくなったワンタイムIDがIPアドレスに変換されることを防ぐことができる。
(2−1−1−6.リンク要求受付部134)
−リンク設定の要求
リンク要求受付部134は、リンク設定の要求を受け付ける。上述したように、当該リンク設定は、区域90内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、ワンタイムIDを発行された端末装置200からの情報を、別のワンタイムIDを発行された別の端末装置200が取得することを可能にする。当該リンク設定については、後に詳細に説明する。
例えば、上記リンク設定は、上記端末装置200及び上記別の端末装置200の少なくとも一方から要求される。一例として、上記端末装置200及び上記別の端末装置200の両方が、リンク設定を要求する。
具体的には、例えば、端末装置200が、リンク設定要求メッセージを送信すると、リンク要求受付部134は、通信部110を介して、当該リンク設定要求メッセージを取得する。そして、リンク要求受付部134は、当該リンク設定要求メッセージをリンク設定部135に提供する。以下、リンク設定要求メッセージの具体例を、図7及び図8を参照して説明する。
図7は、端末装置200により送信されるリンク設定要求メッセージの第1の例を説明するための説明図である。図7を参照すると、リンク設定要求メッセージに含まれる情報が示されている。図7に示されるように、リンク設定要求メッセージは、要求種別情報、ワンタイムID(要求側)、ユーザ識別情報(要求側)及びユーザ識別情報(相手側)を含む。
要求種別情報は、メッセージの要求がリンク設定であるか、リンク設定の解除であるかを示す。この例では、メッセージはリンク設定要求メッセージであるので、要求種別情報は、メッセージの要求がリンク設定であることを示す。
また、ワンタイムID(要求側)は、リンク設定を要求する端末装置200に発行されたワンタイムIDである。
また、ユーザ識別情報(要求側)は、リンク設定を要求する端末装置200のユーザを識別するための情報である。一方、ユーザ識別情報(相手側)は、リンク設定のターゲットとして指定される端末装置200のユーザを識別するための情報である。これらのユーザ識別情報は、一例として、ユーザ10のためのハンドルネームである。
図7に示される例では、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200Aには、ワンタイムID「1000」が発行されている。そして、端末装置200Aが、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200Bをリンク設定のターゲットとして指定して、リンク設定を要求する。この場合に、ワンタイムID(要求側)は、「1000」である。また、ユーザ識別情報(要求側)は「Taro」であり、ユーザ識別情報(相手側)は「Hanako」である。
図8は、端末装置200により送信されるリンク設定要求メッセージの第2の例を説明するための説明図である。図8を参照すると、リンク設定要求メッセージに含まれる情報が示されている。図8に示される例では、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200Bには、ワンタイムID「1001」が発行されている。そして、端末装置200Bが、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200Aをリンク設定のターゲットとして指定して、リンク設定を要求する。この場合に、ワンタイムID(要求側)は、「1001」である。また、ユーザ識別情報(要求側)は「Hanako」であり、ユーザ識別情報(相手側)は「Taro」である。
例えば以上のようなリンク設定要求メッセージが、リンク要求受付部134により取得される。
このように、リンク設定の要求が、端末装置200により送信されれば、端末装置200のユーザ10が、リンク設定を要求することが可能になる。
−リンク設定の解除の要求
また、例えば、リンク要求受付部134は、リンク設定の解除の要求を受け付ける。より具体的には、例えば、端末装置200が、解除要求メッセージを送信すると、リンク要求受付部134は、通信部110を介して、当該解除要求メッセージを取得する。そして、リンク要求受付部134は、当該解除要求メッセージをリンク設定部135に提供する。以下、解除要求メッセージの具体例を、図9を参照して説明する。
図9は、端末装置200により送信される解除要求メッセージの一例を説明するための説明図である。図9を参照すると、解除要求メッセージに含まれる情報が示されている。図9に示されるように、解除要求メッセージは、図7及び図8に示されるリンク設定要求メッセージと同様に、要求種別情報、ワンタイムID(要求側)、ユーザ識別情報(要求側)及びユーザ識別情報(相手側)を含む。即ち、図7〜図9の例では、リンク設定要求メッセージのフォーマットと解除要求メッセージのフォーマットとは同一である。ただし、図9に示されるように、解除要求メッセージに含まれる要求種別情報は、メッセージの要求がリンク設定の解除であることを示す。
図9に示される例では、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200Bには、ワンタイムID「1001」が発行されている。そして、端末装置200Bが、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200Aとのリンク設定の解除を要求する。この場合に、ワンタイムID(要求側)は、「1001」である。また、ユーザ識別情報(要求側)は「Hanako」であり、ユーザ識別情報(相手側)は「Taro」である。
例えば以上のような解除要求メッセージが、リンク要求受付部134により取得される。
(2−1−1−7.リンク設定部135)
−リンク設定
リンク設定部135は、リンク設定を行う。例えば、リンク設定部135は、リンク設定の要求が受け付けられる場合に、リンク設定を行う。より具体的には、例えば、リンク設定部135は、リンク要求受付部134により端末装置200からのリンク設定要求メッセージを提供されると、当該リンク設定要求メッセージに基づいてリンク設定を行う。
さらに具体的には、一例として、リンク設定部135は、ID DB123のID管理テーブルにリンク設定情報を追加することにより、リンク設定を行う。以下、この点について図10を参照して具体例を説明する。
図10は、リンク設定の一例を説明するための説明図である。図10を参照すると、ID管理テーブルが示されている。例えば、図5に示されるID管理テーブルが記憶されている際に、図7に示されるリンク設定要求メッセージが取得される。即ち、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200Aには、ワンタイムID「1000」が発行されている。そして、端末装置200Aが、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200Bをリンク設定のターゲットとして指定して、リンク設定を要求する。すると、図10に示されるように、リンク設定部135は、ワンタイムID「1000」に対応するユーザ識別情報として、ワンタイムID「1000」を発行された端末装置200Aのユーザ10Aのユーザ識別情報「Taro」を追加する。また、リンク設定部135は、ワンタイムID「1000」に対応するリンク設定情報(リンク設定の相手のユーザ識別情報)として、リンク設定のターゲットである端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」を追加する。
また、図8に示されるリンク設定要求メッセージも取得される。即ち、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200Bには、ワンタイムID「1001」が発行されている。そして、端末装置200Bが、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200Aをリンク設定のターゲットとして指定して、リンク設定を要求する。すると、図10に示されるように、リンク設定部135は、ワンタイムID「1001」に対応するユーザ識別情報として、ワンタイムID「1001」を発行された端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」を追加する。また、リンク設定部135は、ワンタイムID「1001」に対応するリンク設定情報(リンク設定の相手のユーザ識別情報)として、リンク設定のターゲットである端末装置200Aのユーザ10Bのユーザ識別情報「Taro」を追加する。
以上のように、ID管理テーブルのユーザ識別情報及びリンク設定情報を追加することにより、リンク設定が行われる。
−リンク設定後の動作
上述したように、リンク設定は、区域90内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、ワンタイムIDを発行された端末装置200からの情報を、別のワンタイムIDを発行された別の端末装置200が取得することを可能にする。また、例えば、上記リンク設定は、区域90内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、上記別の端末装置200からの情報を上記端末装置200が取得することも可能にする。即ち、リンク設定は、アプリケーションサービスにおける双方向での情報の提供及び取得を可能にする。
なお、詳細については後述するが、上記別の端末装置200からの情報を上記端末装置200が取得する場合、例えば、端末装置200A(Taro)が端末装置200B(Hanako)とのリンク設定形成済みの場合に、端末装置200Aが端末装置200Bから情報を取得するためには、ID管理テーブルにおける端末装置200AのワンタイムID「1000」のデータ行で、リンク設定情報に「Hanako」のデータが存在しているだけではなく、取得される側の端末装置200Bに対応するワンタイムID「1001」のデータ行で、リンク設定情報に「Taro」のデータが存在していること、の両方が満たされる必要がある。すなわち、PBX100は、ID管理テーブルにおいて、情報取得側の端末装置200が、別の端末装置200のハンドルネームのリンク設定情報を持つことと、情報提供側の別の端末装置200が、情報取得側の端末装置200のリンク設定情報を持つことの両方が満たされる場合にのみ、両端末装置200間での情報の取得、または、提供の処理を実施する。つまり、ID管理テーブルにおいて、片方の端末装置200のみが相手のリンク設定情報を有するような場合には、PBX100は、両端末装置200間での情報の取得、または、提供の処理を実施しない。かかる構成によれば、情報の公平なやりとりを志向した、アプリケーションサービスにおける双方向通信機能が実現される。
具体例として、図10に示されるように、ワンタイムID「1000」に対応するリンク設定情報(リンク設定の相手のユーザ識別情報)として、「Hanako」が追加される。そして、ユーザ識別情報「Hanako」に対応するワンタイムIDは、「1001」である。よって、ワンタイムID「1000」を発行された端末装置200Aは、ワンタイムID「1001」を発行された端末装置200(即ち、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200B)からの情報を取得することが可能になる。例えば、APサービス提供部137は、APサービスにおいて、端末装置200Bからの情報(例えば、端末装置200Bからのメッセージ、端末装置200Bの位置情報、等)を、端末装置200Aに提供する。一方、ワンタイムID「1000」に対応するこのようなリンク設定情報がない場合には、APサービス提供部137は、APサービスにおいて、端末装置200Bからの情報を、端末装置200Aに提供しない。
また、具体例として、図10に示されるように、ワンタイムID「1001」に対応するリンク設定情報(リンク設定の相手のユーザ識別情報)として、「Taro」が追加される。そして、ユーザ識別情報「Taro」に対応するワンタイムIDは、「1000」である。よって、ワンタイムID「1001」を発行された端末装置200Bは、ワンタイムID「1000」を発行された端末装置200(即ち、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200A)からの情報を取得することが可能になる。例えば、APサービス提供部137は、APサービスにおいて、端末装置200Aからの情報(例えば、端末装置200Aからのメッセージ、端末装置200Aの位置情報、等)を、端末装置200Bに提供する。一方、ワンタイムID「1001」に対応するこのようなリンク設定情報がない場合には、APサービス提供部137は、APサービスにおいて、端末装置200Aからの情報を、端末装置200Bに提供しない。
以上のように、リンク設定は、端末装置200からの情報を別の端末装置200が取得することを可能にする。
このように、ワンタイムIDが用いられる場合に、要求に応じたリンク設定が行われた場合に限り、ワンタイムIDを発行された端末装置200からの情報を、別のワンタイムIDを発行された別の端末装置200が取得することが可能になる。例えば、何らかの関係(例えば、家族関係、友人関係、等)を有する2以上のユーザ10が、端末装置200からリンク設定を要求する。その結果、ユーザ10の匿名性を保ちつつ、上記関係を有する当該2以上のユーザ10の端末装置200間での情報の提供及び取得が可能になる。
また、さらに、例えば、上記リンク設定は、区域90内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、上記端末装置200と上記別の端末装置200とが互いに通信することを可能にする。即ち、リンク設定は、アプリケーションサービスにおける双方向通信を可能にする。
当該双方向通信は、例えば、音声通信(即ち、電話)である。即ち、リンク設定により、装置間の音声通信が可能になる。一例として、リンク設定により、端末装置200A及び端末装置200Bは、音声通信(即ち、電話)を行うことが可能になる。具体的には、例えば、発信メッセージにおいて、発信側のワンタイムIDが「1000」及び「1001」の一方であり、着信側のワンタイムIDが「1000」及び「1001」の他方である場合に、呼制御部139は、呼制御を行う。一方、リンク設定がない(即ち、リンク設定情報がない)には、呼制御部139は、呼制御を行わない。
このようなリンク設定による双方向通信により、通信事業者のネットワークを介することなく、区域90内のAPサービスとして、例えば、何らかの関係を有するユーザ10間での音声通信サービス(即ち、電話サービス)を提供できる。
−リンク設定の解除
上記リンク設定は、当該リンク設定についての所定の解除条件(以下、「リンク設定解除条件」と呼ぶ)が満たされると解除される。例えば、リンク設定部135は、リンク設定解除条件が満たされる場合に、リンク設定を解除する。より具体的には、例えば、リンク設定部135は、ID DB123のID管理テーブルにリンク設定情報を更新することにより、リンク設定を解除する。
このように、リンク設定に加えて、リンク設定の解除が可能であることで、リンク設定を必要に応じて変えることが可能になる。
例えば、上記リンク設定解除条件は、リンク設定に関連するワンタイムIDの使用が終了すること(第1解除条件)を含む。この点について、図11を参照して具体例を説明する。
図11は、リンク設定の解除の第1の例を説明するための説明図である。図11を参照すると、ID管理テーブルが示されている。例えば、図10に示されるID管理テーブルが記憶されている際に、端末装置200BによるワンタイムID「1001」の使用が終了する。この場合に、図11に示されるように、ワンタイムID「1001」に対応する使用可否フラグは、0になる(即ち、ワンタイムIDが使用されていないことを示すようになる)。また、これに伴い、ワンタイムID「1001」に対応するユーザ識別情報及びリンク設定情報も削除される。そして、さらに、ワンタイムID「1001」に対応するユーザ識別情報「Hanako」が、全てのリンク設定情報から削除される。この例では、ワンタイムID「1000」に対応するリンク設定情報から、「Hanako」が削除される。また、ワンタイムID「1000」に対応するリンク設定情報は「Hanako」のみであったので、当該リンク設定情報にはいずれの情報も含まれなくなる。これに伴い、ワンタイムID「1000」に対応するユーザ識別情報「Taro」も削除される。
このような第1解除条件によれば、ワンタイムIDが使用されていないにもかかわらず、リンク設定が残ってしまうことを防ぐことができる。そのため、既に使用されていないワンタイムID宛に情報が提供されてエラーが生じてしまうこともない。また、ワンタイムIDが再度発行された際に、古いリンク設定が残ってしまうこともない。
なお、ID使用終了条件が満たされると、ワンタイムIDの使用が終了するので、上記第1解除条件は、ID使用終了条件(例えば、第1終了条件〜第10終了条件)と同じであってもよい。
また、例えば、上記リンク設定解除条件は、リンク設定に関連する端末装置200によりリンク設定の解除が要求されること(第2解除条件)を含む。この点について、図12を参照して具体例を説明する。
図12は、リンク設定の解除の第2の例を説明するための説明図である。図12を参照すると、ID管理テーブルが示されている。例えば、図10に示されるID管理テーブルが記憶されている際に、図9に示される解除要求メッセージが、リンク要求受付部134により取得され、リンク設定部135に提供される。即ち、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200Bには、ワンタイムID「1001」が発行されている。そして、端末装置200Bが、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200Aとのリンク設定の解除を要求する。すると、図12に示されるように、リンク設定部135は、ワンタイムID「1001」に対応するリンク設定情報から、「Taro」を削除する。また、図10を参照すると、ユーザ識別情報「Taro」に対応するワンタイムIDは「1000」であるので、リンク設定部135は、ワンタイムID「1000」に対応するリンク設定情報から、「Hanako」を削除する。なお、図10に示されるようにワンタイムID「1000」に対応するリンク設定情報は「Hanako」のみであったので、当該「Hanako」の削除に伴い、図12に示されるように、ワンタイムID「1000」に対応するユーザ識別情報「Taro」も削除される。また、図10に示されるようにワンタイムID「1001」に対応するリンク設定情報も「Taro」のみであったので、当該「Taro」の削除に伴い、図12に示されるように、ワンタイムID「1001」に対応するユーザ識別情報「Hanako」も削除される。
このような第2解除条件によれば、端末装置200のユーザ10が、自由にリンク設定を解除することが可能になる。
なお、上記リンク設定解除条件は、リンク設定の持続期限が経過していること(第3解除条件)を含んでもよい。この場合には、ID管理テーブルはリンク設定の持続時間の情報を含み、リンク設定解除条件は、当該情報に基づいて判定されてもよい。このような解除条件によれば、特定の期限のみ有効なリンク設定を実現できる。
また、上記リンク設定解除条件は、リンク設定状況に基づいて端末装置200の情報を別の端末装置200が所定時間内に取得しないこと(第4解除条件)を含んでもよい。このような解除条件によれば、リンク設定が活用されている場合にのみ有効なリンク設定を実現できる。
また、上記リンク設定解除条件は、リンク設定状況に基づいて端末装置200の情報を別の端末装置200が所定回数、所定量又は所定時間取得すること(第5解除条件)を含む。このような解除条件によれば、特定の回数、特定の情報量、特定の時間での情報の取得のみ可能なリンク設定を実現できる。
(2−1−1−8.APサービス提供部137)
−APサービスの提供
APサービス提供部137は、区域90内でAPサービスを提供する。より具体的には、APサービス提供部137は、例えば、APサービスに関する処理を実行し、当該APサービスの提供のために、通信部110を介して端末装置200と通信する。ここで、APサービス提供部137が、APサービスを提供する際に、端末装置200とPBX100との間でのやりとり(例えば、リンク設定のためのメッセージの送受信)のために用いる通信プロトコル、通信プロトコルのバージョン情報、通信ポート番号、パケット長情報(1パケットの容量情報)、データオフセット(パケットにおけるヘッダ長情報)及びデータ長(パケットにおけるデータ長情報)等を通知してもよい。
APサービス提供部137及び端末装置200は、ワンタイムIDを使用して通信する。即ち、APサービス提供部137は、端末装置200からデータを受信する場合に、端末装置200のワンタイムIDを受信し、当該データの送信元を当該ワンタイムIDにより識別する。また、APサービス提供部137は、端末装置200にデータを送信する場合に、呼制御部139にワンタイムIDからIPアドレスへの変換を依頼し、端末装置200のIPアドレスを取得する。そして、APサービス提供部137は、取得したIPアドレスを宛先として端末装置200にデータを送信する。
なお、当然のことながら、ワンタイムIDを使用した通信では、音声、画像、映像、テキスト等の任意のデータを送受信することができる。
−リンク設定に基づく情報の提供
APサービス提供部137は、上記リンク設定状況に基づいて、APサービスにおいて、ワンタイムIDを発行された端末装置200からの情報を、別のワンタイムIDを発行された別の端末装置200が取得することを可能にする。
例えば、再び図10を参照すると、ワンタイムID「1000」を発行された端末装置200AとワンタイムID「1001」を発行された端末装置200Bとの間のリンク設定が行われる。この場合に、APサービス提供部137は、端末装置200Aからの情報(例えば、端末装置200Aからのメッセージ、端末装置200Aの位置情報、等)を、端末装置200Bに提供する。また、APサービス提供部137は、端末装置200Bからの情報(例えば、端末装置200Bからのメッセージ、端末装置200Bの位置情報、等)を、端末装置200Aに提供する。
例えば、再び図4を参照すると、ワンタイムID「1000」を発行された端末装置200AとワンタイムID「1001」を発行された端末装置200Bとの間のリンク設定は行われていない。この場合に、APサービス提供部137は、端末装置200Aからの情報(例えば、端末装置200Aからのメッセージ、端末装置200Aの位置情報、等)を、端末装置200Bに提供しない。また、APサービス提供部137は、端末装置200Bからの情報(例えば、端末装置200Bからのメッセージ、端末装置200Bの位置情報、等)を、端末装置200Aに提供しない。
−リンク設定により取得される情報
上記リンク設定により、APサービスに応じて、端末装置200からの様々な情報を、別の端末装置200が取得し得る。例えば、当該別の端末装置200は、端末装置200からの音声、画像、映像、テキスト等の任意の情報を取得し得る。一例として、APサービスが音声通信サービスである場合には、端末装置200は、別の端末装置200からの音声情報を取得する。
−−状況関連情報
また、例えば、別の端末装置200により取得される端末装置200からの情報は、端末装置200のユーザ10の状況に関連する状況関連情報を含む。
一例として、当該状況関連情報は、端末装置200の位置情報を含む。例えば、APサービスが、区域内地図サービスである場合に、APサービス提供部137は、区域90の地図を端末装置200に提供する。そして、APサービス提供部137は、リンク設定(即ち、ID管理テーブルのリンク設定情報)に基づいて、ある端末装置200の位置情報を別の端末装置200に提供する。例えば、再び図10を参照すると、ワンタイムID「1000」を発行された端末装置200Aと、ワンタイムID「1001」を発行された端末装置200Bとの間のリンク設定が行われる。この場合に、例えば、APサービス提供部137は、端末装置200Aの位置情報を端末装置200Bに提供する。また、APサービス提供部137は、端末装置200Bの位置情報を端末装置200Aに提供する。その結果、端末装置200Aでは、区域90の地図において端末装置200A及び端末装置200Bの位置が示される。また、同様に、端末装置200Bでも、区域90の地図において端末装置200A及び端末装置200Bの位置が示される。以下、この点について図13を参照して具体例を説明する。
図13は、区域内地図サービスにおいて端末装置200Aに表示される画面の一例を説明するための説明図である。図13を参照すると、端末装置200A及び端末装置200Aに表示される画面251が示されている。そして、画面251は、ショッピングモールである区域90の地図を含む。そして、当該地図上には、端末装置200Aの位置が、端末装置200Aのユーザ10Aのユーザ識別情報「Taro」とともに示されている。また、当該地図上には、端末装置200Bの位置が、端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」とともに示されている。このように、区域90の地図において端末装置200A及び端末装置200Bの位置が示される。
このようにある端末装置200の位置情報を別の端末装置200が取得することにより、別の端末装置200のユーザ10は、ある端末装置200のユーザ10が区域90(例えば、ショッピングモール)内どこにいるかを知ることができる。
なお、端末装置200の位置情報は、例えば、端末装置200からPBX100(APサービス提供部137)に随時提供され、PBX100(APサービス提供部137)により別の端末装置200に提供される。この場合に、端末装置200の位置情報は、ID DB123のID管理テーブルの情報として記憶されてもよい。
状況関連情報の一例として位置情報が提供され、取得される例を説明したが、状況関連情報はこの例に限られない。状況関連情報は、例えば、ユーザ10の行動情報を含んでもよい。そして、当該行動情報は、端末装置200のセンサから得られるユーザ10の行動(例えば、歩いている、座っている等)を示す情報であってもよい。また、状況関連情報は、位置情報、行動情報等の履歴であってもよい。
以上のように、例えば、状況関連情報が、端末装置200により提供され、取得される。
このようにある端末装置200の状況関連情報を別の端末装置200が取得することにより、別の端末装置200のユーザ10は、ある端末装置200のユーザ10の状況を知ることができる。そのため、例えば、別の端末装置200のユーザ10は、ある端末装置200のユーザ10の状況を考慮して、ある端末装置200のユーザ10にコンタクトすることができる。
−−取得される情報の態様
なお、上記端末装置200からの上記情報は、端末装置200から提供される情報そのものであってもよく、当該情報に基づいて生成された情報であってもよい。
一例として、端末装置200Aから提供される情報が、端末装置200Aの位置情報である場合に、端末装置200Bは、当該位置情報そのものを取得してもよい。
また、別の例として、端末装置200Aから提供される情報が、端末装置200Aの位置情報である場合に、APサービス提供部137が、当該位置情報から、端末装置200Aの位置を示す地図画像を生成し、端末装置200Bは、当該地図画像を取得してもよい。
−APサービスの停止
また、APサービス提供部137は、例えば、APサービス管理部131からAPサービスの提供の停止を要求される場合に、当該APサービスの提供を停止する。また、APサービス提供部137は、例えば、端末装置200からAPサービスの提供の停止が要求される場合に、APサービスの提供を停止し、APサービスの提供の停止をAPサービス管理部131に通知する。また、APサービス提供部137は、例えば、必要に応じてAPサービス提供の停止を端末装置200に要求し、APサービスの提供を停止し、APサービスの提供の停止をAPサービス管理部131に通知する。
(2−1−1−9.呼制御部139)
呼制御部139は、端末装置200間の呼制御、及び、端末装置200と別の区域に位置する通信装置との間の呼制御を行う。例えば、ショッピングモールのスタッフの端末装置200が、区域内ID(例えば、内線電話番号)を有する別のスタッフの端末装置200への通話を要求する場合に、PBX100は、上記区域内IDをIPアドレスに変換し、これらの端末装置200間のセッションを確立する。
また、呼制御部139は、APサービス提供部137の依頼に応じて、ワンタイムIDをIPアドレスへ変換する。そして、呼制御部139は、当該IPアドレスをAPサービス提供部137に提供する。
−ワンタイムIDについての呼制御
また、呼制御部139は、音声通信を伴うAPサービスの一部として、端末装置200間での呼制御を行う。この場合に、呼制御部139は、リンク設定(即ち、ID管理テーブルのリンク設定情報)に基づいて、当該呼制御を行う。即ち、発信側の端末装置200と着信側の端末装置200との間のリンク設定が行われている場合には、呼制御部139はこれらの端末装置200間の呼制御を行う。一方、発信側の端末装置200と着信側の端末装置200との間のリンク設定が行われていない場合には、呼制御部139はこれらの端末装置200間の呼制御を行わない。以下、この点について図14を参照して具体例を説明する。
図14は、リンク設定に基づく呼制御の例を説明するための説明図である。図14を参照するとIP DB123のID管理テーブルが示されている。当該ID管理テーブルのリンク設定情報に示されるようにリンク設定が行われた場合には、以下のような発信側の端末装置200のワンタイムIDと着信側のワンタイムIDとの組合せであれば、呼制御部139は、これらの端末装置間での呼制御を行う。
また、図14の例では、上述したワンタイムIDの組合せ以外の組合せの場合には、呼制御部139は、端末装置200間での呼制御を行わない。
このように、端末装置200間のリンク設定がある場合に、当該端末装置200間の呼制御が行われ、端末装置200間のリンク設定がない場合には、当該端末装置200間の呼制御は行われない。
−特別な呼制御
PBX100が、公衆網に接続する場合には、呼制御部139は、特別の呼処理(緊急通報呼処理)に対応してもよい。緊急通報とは、警察機関、海上保安機関消防機関等に対する呼である。即ち、ワンタイムIDを発行された端末装置200が、緊急通報先の電話番号への発呼を行う場合に、呼制御部139は、緊急通報呼制御を行う。
緊急通報先の電話番号とは、例えば、電気通信事業法及び電気通信番号規則で規定された緊急通報に関する電気通信番号(警察機関「110」、海上保安機関「118」、消防機関「119」)である。例えば、以下のような発信側の端末装置200のワンタイムIDと着信側の電話番号との組合せであれば、呼制御部139は呼制御を行う。
さらに、PBX100の番号計画において、管理者が緊急通報先の電話番号と定めた電気通信番号(例えば、警備室の電話番号、区域90に近い警察署の電話番号、等)を緊急通報呼処理の対象としてもよい。
なお、PBX100が、緊急通報呼処理に対応する場合には、PBX100が端末装置200に発行可能なワンタイムIDは、緊急通報先の電話番号以外の番号である。
[2−1−2.端末装置の構成]
続いて、図15〜図22を参照して、第1の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明する。図15は、本実施形態に係る端末装置200の構成の一例を示すブロック図である。図15を参照すると、端末装置200は、第1通信部210、第2通信部220、記憶部230、入力部240、表示部250、測定部252及び制御部260を備える。
(2−1−2−1.第1通信部210)
第1通信部210は、装置間通信を行う。例えば、第1通信部210は、別の端末装置200との近距離で無線通信する。より具体的には、例えば、第1通信部210は、手合い距離以内で無線通信する。手合い距離とは、2人の人物が互いに腕及び手を伸ばすと当該2人の人物の指先が触れ合う場合の、当該2人の人物間の距離である。
具体例として、第1通信部210は、NFC(Near Field Communication)又は赤外線通信を行う。上記NFCは、例えば、ISO/IEC 14443、ISO/IEC 18092等の規格に従った無線通信である。また、上記赤外線通信は、例えば、IrDA(Infrared Data Association)規格に従った無線通信である。
(2−1−2−2.第2通信部220)
第2通信部220は、他の装置と通信する。例えば、第1通信部210と比べてより遠距離で無線通信する。より具体的には、例えば、第2通信部220は、アクセスポイント又は基地局を介して、PBX100と通信する。
具体例として、第2通信部220は、無線LAN規格に従った無線通信を行う。無線LAN規格は、例えば、IEEE 802.11シリーズである。
(2−1−2−3.記憶部230)
記憶部230は、端末装置200の動作のためのプログラム及びデータを記憶する。記憶部230は、例えばハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体を含む。
例えば、記憶部230は、端末装置200に発行されたワンタムIDを記憶する。
(2−1−2−4.入力部240)
入力部240は、端末装置200のユーザ10による入力を受け付ける。そして、入力部240は、入力結果を制御部260へ提供する。
例えば、入力部240は、表示画面においてユーザ10により指定される位置を検出する。より具体的には、例えば、入力部240は、タッチパネルのタッチ検出面により実装され、タッチパネルにおけるタッチ位置を検出する。そして、入力部240は、検出されたタッチ位置を制御部260へ提供する。
(2−1−2−5.表示部250)
表示部250は、端末装置200からの出力画像(即ち、画面)を表示する。表示部250は、制御部260による制御に応じて表示画面を表示する。なお、表示部250は、例えば、タッチパネルの表示面により実装される。
(2−1−2−6.測定部252)
測定部252は、例えば、端末装置200に内蔵される音センサ、光センサ、または加速度センサなどから構成される。測定部252は、例えば、端末装置200の周囲の環境における音圧や照度、または端末装置200における加速度などを測定する。
(2−1−2−7.制御部260)
制御部260は、端末装置200の様々な機能を提供する。例えば、制御部260は、CPU又はDSP等のプロセッサに相当する。そして、制御部260は、記憶部230又は他の記憶媒体に記憶されるプログラムを実行することにより、上記様々な機能を提供する。制御部260は、AP管理部261、ID取得部263、リンク設定要求部265及びAP部267を含む。
(2−1−2−8.AP管理部261)
−区域90内で提供されるAPサービスの情報の取得
例えば、AP管理部261は、区域90内で提供されるAPサービスの情報を取得する。当該情報は、例えば、区域90内で提供されるAPサービスの検索結果である。
具体的には、例えば、端末装置200が区域90内に入る場合に、第2通信部220は、ネットワーク20への接続を確立する。そして、当該接続の確立後に、AP管理部261は、表示部250に、APサービスの検索を行うか否かを選択するための画面を表示させる。そして、入力部240が、APサービスの検索を行うこと選択するための入力を受け付けると、AP管理部261は、第2通信部220を介して、APサービス検索要求メッセージをPBX100に送信する。そして、AP管理部261は、第2通信部220を介して、PBX100によるAPサービス検索結果を取得する。
−端末装置用のソフトウェアの取得及び起動
また、例えば、AP管理部261は、APサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアを取得する。そして、AP管理部261は、AP部267に、当該ソフトウェアを起動させる。
具体的には、例えば、AP管理部261は、APサービス検索結果を受信すると、表示部250に、APサービスに関する情報(例えば、APサービス名(区域内通話サービス、区域内地図サービス、クーポン配布サービス、ポイント付与サービス)や、APサービスに対応するアイコン等)を表示させる。そして、入力部240が、APサービスを利用することを選択するための入力、又は複数のAPサービスのうちのいずれかのAPサービスを選択するための入力を受け付けると、AP管理部261は、第2通信部220を介して、選択に応じたAPサービス利用開始要求メッセージをPBX100に送信する。そして、AP管理部261は、第2通信部220を介して、APサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアを取得する。そして、AP管理部261は、当該ソフトウェアを起動させる。その後、当該ソフトウェアのプログラムが実行される。
なお、端末装置200に既に当該端末装置用のソフトウェアが備えられている場合には、当該ソフトウェアはPBX100から取得されなくてもよい。
−ワンタイムIDの使用終了条件に関連する情報の提供
また、例えば、AP管理部261は、例えば、発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件に関連する情報をPBX100(APサービス管理部131)に随時または定期的に提供する。なお、端末装置200が上記使用終了の条件を自ら判定する場合には、AP管理部261は、PBX100(APサービス管理部131)から使用終了の条件に関連する情報を取得してもよい。
−端末装置用のソフトウェアの削除
また、例えば、AP管理部261は、例えば、発行されたワンタイムIDについての使用終了の条件が満たされる場合に、APサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアを削除する。より具体的には、例えば、AP管理部261は、上記端末装置用のソフトウェアの停止及び削除を要求するAP削除要求メッセージをPBX100(APサービス管理部131)から受信すると、当該端末装置用のソフトウェアを停止し、端末装置200から削除する。なお、AP管理部261は、上記使用終了の条件を自ら判定する場合には、判定結果に応じて上記端末装置用のソフトウェアを停止し、端末装置200から削除してもよい。
−ワンタイムIDの使用終了の条件
また、AP管理部261は、例えば以下で述べる第1終了条件〜第9終了条件のうち1以上の条件を含む、使用終了の条件が満たされると判定した場合には、発行されたワンタイムIDを削除することが可能である。
−−第1終了条件
例えば、上記使用終了の条件は、ワンタイムIDの使用期限が経過していることを含む(第1終了条件)。より具体的には、使用期限内である場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、ワンタイムIDを使用し続けるように制御する。また、使用期限外である場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
なお、上記の使用期限は、例えば、端末装置200に予め設定されていてもよいし、起動したアプリケーションに予め設定されていてもよい。または、上記の使用期限は、PBX100が端末装置200へ通知してもよい。または、上記の使用期限は、PBX100がワンタイムIDと共に生成し、そして端末装置200へ通知してもよい。
また、上記の使用期限は、例えば、端末装置200がワンタイムIDを記憶してから1時間以内といったように期間(時間、分間、秒間)で表されてもよいし、例えば22時00分など具体的な日付や時刻(年・月・日・時・分・秒)で表されてもよい。
この第1終了条件によれば、例えば当日の営業時間終了後など、使用期限が超過した場合には、ワンタイムIDの使用が停止される。このため、特定の期限内でのみ使用可能であるワンタイムIDを実現できる。
−−第2終了条件
また、上記使用終了の条件は、ワンタイムIDが使用可能である領域の範囲(使用範囲)に当該ワンタイムIDを使用する端末装置200が位置しないことを含む(第2終了条件)。より具体的には、使用範囲内に位置する場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、ワンタイムIDを使用し続けるように制御する。また、使用範囲外に位置する場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
なお、上記の使用範囲を示す情報(使用範囲情報)は、例えば、端末装置200に予め設定されていてもよいし、起動したアプリケーションに予め設定されていてもよい。または、上記の使用範囲情報は、PBX100が端末装置200へ送信してもよい。または、上記の使用範囲情報は、PBX100がワンタイムIDと共に生成し、そして端末装置200へ通知してもよい。
また、上記の使用範囲情報が示す使用範囲は、例えば、店舗内に設けられた無線アクセスポイントと通信可能な範囲として定められてもよい。例えば、端末装置200は、通信中の無線アクセスポイントから受信される無線アクセスポイントのIDを確認することにより、店舗内に位置するか否かを確認する。
この第2終了条件によれば、例えば使用範囲が店舗内として設定されている場合にユーザ10が店舗から退出した場合など、使用範囲内で使用されない場合には、ワンタイムIDの使用が停止される。このため、特定の範囲内でのみ使用可能であるワンタイムIDを実現できる。
−−第3終了条件
また、上記使用終了の条件は、端末装置200からAPサービスの利用の停止が要求されることを含む(第3終了条件)。より具体的には、端末装置200は、ユーザ10によりAPサービスの利用の停止が要求されたか否かに応じてワンタイムIDの使用を終了するか否かを判断する。例えば、端末装置200は、アプリケーションにおいてAPサービスの利用停止を要求する入力がユーザ10によりなされた場合には、使用終了の条件が満たされたと判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
この第3終了条件によれば、ユーザ10の意思に応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。このため、ユーザ10は、原則として任意のタイミングでワンタイムIDの使用を停止することができるので、APサービスを安心して利用することができる。
−−第4終了条件
また、上記使用終了の条件は、例えば、PBX100と端末装置200との間の通信パスにおいて、端末装置200により所定時間内に受信が行われないことを含む(第4終了条件)。なお、この第4終了条件では、例えば、APサービスにおいてPBX100がメンテナンス情報などの所定の情報を定期的に端末装置200へ送信することを前提とする。
より具体的には、端末装置200は、所定時間内にPBX100から情報が受信される場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、ワンタイムIDを使用し続けるように制御する。また、所定時間内に情報が受信されない場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
なお、端末装置200は、所定時間の周期で上記所定の情報が受信されるか否かを監視してもよい。
また、上記所定時間は、PBX100と端末装置200との間の通信パスで用いられる通信プロトコルにおいてタイムアウトと判断される期間であってもよい。また、上記通信プロトコルが、役割の異なる複数のプロトコルが階層的に繋がって形成されている場合には、いずれかの階層の通信プロトコルにおいてタイムアウトと判断される期間であってもよい。
例えば、端末装置200は、所定時間を5秒と記憶し、5秒の周期で、PBX100から所定の情報が受信されるか否かを監視する。仮に、PBX100が所定の情報を随時または定期的に送信しない場合には、端末装置200は、5秒の間において、PBX100から所定の情報を受信しない。この場合、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
この第4終了条件によれば、所定の情報の内容に関わらず、通信の有無に応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。このため、端末装置200がPBX100から情報を受信可能であるときのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
−−第5終了条件
また、上記使用終了の条件は、例えば、PBX100と端末装置200との間の通信パスにおいて、端末装置200により所定時間内にワンタイムIDを用いた受信が行われないことを含む(第5終了条件)。
より具体的には、端末装置200は、INVITEメッセージを含む接続要求に対する応答がPBX100から所定時間内に受信された場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、ワンタイムIDを使用し続けるように制御する。また、上記接続要求に対する応答がPBX100から所定時間内に受信されない場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
この第5終了条件によれば、所定時間内にワンタイムIDを用いた通信の可否に応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。このため、端末装置200がPBX100からワンタイムIDを用いた受信が可能であるときのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
−−第6終了条件
また、上記使用終了の条件は、例えば、PBX100と端末装置200との間の通信パスにおいて、PBX100へのワンタイムIDを用いた接続要求に対する応答の受信が所定回数行われたことを含む(第6終了条件)。
より具体的には、端末装置200は、例えばPBX100への接続要求に対する応答の受信が成功する度に、使用回数に「1」を加算し、そして、記憶された所定回数と使用回数とを比較する。受信回数が所定回数未満である場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、ワンタイムIDを使用し続けるように制御する。また、受信回数が所定回数に達した場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
なお、上記の所定回数は、例えば、端末装置200に予め設定されていてもよいし、起動したアプリケーションに予め設定されていてもよい。または、上記の所定回数は、PBX100が端末装置200へ通知してもよい。または、上記の所定回数は、PBX100がワンタイムIDと共に生成し、そして端末装置200へ通知してもよい。
この第6終了条件によれば、ワンタイムIDの使用回数に応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。このため、特定の回数以内でのみ使用可能であるワンタイムIDを実現できる。
−−第7終了条件
また、上記使用終了の条件は、例えば、PBX100と端末装置200との間の通信パスにおいて、通信プロトコルのステータスコードがエラーを示すことを含む(第7終了条件)。より具体的には、端末装置200は、PBX100からデータを受信した場合において、受信データにおける通信プロトコルのステータスコードがエラーを示すか否かに応じてワンタイムIDの使用を終了するかを判断する。
なお、上記通信プロトコルが、役割の異なる複数のプロトコルが階層的に繋がって形成されている場合には、上記ステータスコードは、それぞれの階層または所定の階層における通信プロトコルのステータスコードであってもよい。また、上記所定の階層とは、ワンタイムIDを含む通信プロトコルの階層である。
また、端末装置200は、予め通信プロトコルに対応するステータスコードをステータスコードの内容と対応付けて記憶してもよい。例えば、ステータスコードの内容は、ステータスコード100〜199が暫定応答(経過情報)、ステータスコード200〜299が成功応答、ステータスコード300〜399が転送応答、ステータスコード400〜499がリクエストエラー、ステータスコード500〜599がサーバーエラー、ステータスコード600〜699がグローバルエラー、などのように定められていてもよい。なお、この例において、エラーを示すステータスコードの範囲は、ステータスコード400〜699である。
例えば、ステータスコード400を含むデータがPBX100から受信された場合には、端末装置200は、ステータスコードがエラーを示すものと判定し、そして、使用終了の条件が満たされると判定する。そして、端末装置200は、ワンタイムIDを削除する。
この第7終了条件によれば、ワンタイムIDを用いた通信の通信状態に応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。このため、PBX100と端末装置200との間で通信がエラーでないときのみ使用可能であるワンタイムIDを実現できる。
−−第8終了条件
また、上記使用終了の条件は、例えば、端末装置200の計算資源(computational resource)がリソース不足であることを含む(第8終了条件)。より具体的には、端末装置200は、自己の計算資源がリソース不足ではない場合には使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、ワンタイムIDを使用し続けるように制御する。また、自己の計算資源がリソース不足である場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
なお、この第8終了条件では、端末装置200は、自己の計算資源情報を随時または定期的に監視することを前提とする。ここで、計算資源情報とは、例えば、CPUの使用率、主記憶装置(物理メモリや仮想メモリ等)の使用率、補助記憶装置(HDD(Hard disk drive)等)の使用率、表示装置(LCD(Liquid Crystal Display)等)の面積、OSの種類(OS名やバージョン等)、VMの種類(VM名やバージョン等)、プログラムの種類(プログラム名やバージョン等)および端末状態(カメラ機能無しや電波OFF等)等であってもよい。
また、端末装置200は、個々の計算資源情報ごとに対応づけられたリソース不足の境界を示すリソース不足閾値を予め記憶していてもよい。また、端末装置200は、計算資源情報とリソース不足閾値とを随時または定期的に比較し、そして、リソース不足閾値に合致する場合には、リソース不足と判定してもよい。
例えば、上記リソース不足閾値として、CPUの使用率が80%以上であること、OSの種類がバージョン2以下であること、VMの種類がバージョン3以下であること、および端末状態がカメラ機能無しであることがそれぞれ設定されていたとする。この例において、端末装置200が、自己の計算資源情報として、CPUの使用率が80%以上、OSの種類がバージョン2以下、VMの種類がバージョン3以下、または端末状態がカメラ機能無しであることのうち少なくとも1以上を検知した場合には、端末装置200は、計算資源がリソース不足であると判定し、そして、使用終了の条件が満たされると判定する。
この第8終了条件によれば、端末装置200の計算資源の状態に応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。このため、端末装置200がリソースを十分有しているときのみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
−−第9終了条件
また、上記使用終了の条件は、例えば、端末装置200が不正な端末であることを含む(第9終了条件)。より具体的には、端末装置200は、自己が不正な端末ではないと判断した場合には使用終了の条件が満たされないと判定し、そして、ワンタイムIDを使用し続けるように制御する。また、自己が不正な端末であると判断した場合には、端末装置200は、使用終了の条件が満たされると判定し、そして、ワンタイムIDを削除する。
例えば、端末装置200は、SIMカードインタフェースまたはSIMカードを端末装置200が有さない場合には、自己が不正な端末であると判断する。この場合に該当する例としては、SIMカードインタフェースまたはSIMカードが、ユーザ10または他の人物により端末装置200から抜き取られた場合などが挙げられる。なお、SIMカードには、原則として、書き換え不能な固有番号(電話番号を特定するための固有番号)と、通信事業者が定めた電話番号(固定ID)とが記憶されていることを前提とする。また、端末装置200が、上記の書き換え不能な固有番号と通信事業者が定めた電話番号(固定ID)とをSIMカードの代わりに、主記憶装置または補助記憶装置に記憶している場合には、端末装置200は、自己が不正な端末ではないと判断してもよい。
また、端末装置200は、通信事業者により電話サービスの利用開始要求が許可されなかった場合には、自己が不正な端末であると判断する。なお、通信事業者により電話サービスの利用開始要求が許可されない場合の例としては、以下のような場合が挙げられる。
例えば、端末装置200は、PSTN通信デバイスを介してPSTNに固有番号と電話番号とを送信し、電話サービスの利用開始を要求する。そして、通信事業者は、PSTN上で、端末装置200(SIMカード)の固有番号と電話番号とが契約者情報と一致するか否かを確認する。つまり、通信事業者(PSTN上の管理装置)は、固有番号および電話番号を契約者情報と照合して端末装置200を認証する。そして、固有番号および電話番号が契約者情報と一致する(認証成功)場合には、通信事業者は、端末装置200に対して電話サービスの利用開始を許可する。また、固有番号および電話番号が契約者情報と一致しない(認証失敗)場合には、通信事業者は、端末装置200に対して電話サービスの利用開始を許可しない。
この第9終了条件によれば、例えばSIMカードの有無や、通信事業者による端末装置200の認証状態などに応じてワンタイムIDの使用を停止することが可能になる。このため、端末装置200が不正な端末ではない場合のみ使用可能なワンタイムIDを実現できる。
−−変形例
なお、変形例として、端末装置200は、上述した第1終了条件〜第9終了条件のうちいずれか2以上の条件を組み合わせて、上記使用終了の条件として設定してもよい。より具体的には、端末装置200は、第1終了条件〜第9終了条件から選ばれた複数の条件の全てが満たされる場合に限り(AND条件)、上記使用終了の条件が満たされると判定することが可能である。この判定例による効果として、ワンタイムIDの使用が終了される場面がより限定的になるので、ワンタイムIDを使用可能な状況が大きく制限されることを防止できる。また、使用環境が過度に制約されることがないので、ユーザ10は、自由度高くワンタイムIDを使用することができる。
また、端末装置200は、第1終了条件〜第9終了条件から選ばれた複数の条件のうち一つでも満たされる場合には(OR条件)、上記使用終了の条件が満たされると判定することが可能である。この判定例による効果として、ワンタイムIDの使用が終了される場面がより多様になるので、例えば店舗の運営者は、ワンタイムIDの使用をより厳格に管理することができる。
(2−1−2−9.ID取得部263)
ID取得部263は、ワンタイムIDが端末装置200に発行されると、当該ワンタイムIDを取得する。より具体的には、例えば、PBX100は、端末装置200へのワンタイムIDの発行の際に、端末装置200にワンタイムIDを通知する。そして、ID取得部263は、第2通信部220を介して、当該ワンタイムIDを取得する。そして、ID取得部263は、取得したワンタイムIDをAP部267に提供する。
なお、ID取得部263は、APサービスの提供のための端末装置用ソフトウェアの一部として実装され得る。
(2−1−2−10.リンク設定要求部265)
−リンク設定の要求
リンク設定要求部265は、上記リンク設定を要求する。上述したように、当該リンク設定は、区域90内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、ワンタイムIDを発行された端末装置200からの情報を、別のワンタイムIDを発行された別の端末装置200が取得することを可能にする。
例えば、上記リンク設定は、端末装置200及び別の端末装置200の少なくとも一方による承認後に要求される。即ち、リンク設定要求部265は、端末装置200又は別の端末装置200の少なくとも一方による承認後に、上記リンク設定を要求する。一例として、リンク設定要求部265は、端末装置200及び別の端末装置200の両方による承認後に、リンク設定を要求する。後述するように、リンク設定の承認は、AP部267により行われる。
なお、上述したように、PBX100は、情報取得側の端末装置200が、別の端末装置200のユーザ識別情報をリンク設定情報としてID管理テーブル上に持つだけでなく、情報提供側の別の端末装置200が、情報取得側の端末装置200のユーザ識別情報をリンク設定情報としてID管理テーブル上に持つ場合にのみ、両端末装置200間での情報の取得、または、提供する処理を実施する。このため、「少なくとも一方による承認」では、PBX100が有するID管理テーブル上において、承認された側の端末装置200のワンタイムIDのデータ行において相手端末装置200のリンク設定情報は追加されるが、もう一方の未承認側の端末装置200のワンタイムIDのデータ行にはリンク設定情報は追加されない。このため、リンク設定が不完全な状態であり、そのままでは両端末装置200間の情報の取得・提供はできない。つまり、端末装置200及び別の端末装置200の「両方による承認」がなされて初めて完全なリンク設定が形成され、そして、両端末装置200間で情報の取得・提供が実現可能となる。
上記のリンク設定要求部265の機能についてより具体的に説明すると、例えば、端末装置200及び別の端末装置200の両方による承認後に、リンク設定要求部265は、リンク設定要求メッセージを生成し、第2通信部220に、当該リンク設定要求メッセージをPBX100へ送信させる。当該リンク設定要求メッセージの具体例は、図7及び図8を参照して説明したとおりである。なお、端末装置200において、PBX100との間でのやりとりのために用いる通信プロトコル、通信プロトコルのバージョン情報、通信ポート番号、パケット長情報(1パケットの容量情報)、データオフセット(パケットにおけるヘッダ長情報)及びデータ長(パケットにおけるデータ長情報)等が規定されている場合、リンク設定要求部265が規定に従いリンク設定要求メッセージを生成してもよい。例えば、端末装置200において、PBX100との間でやりとりするために用いる通信プロトコルがSIP(Session Initiation Protocol)と規定されている場合、図7及び図8のリンク設定要求メッセージは、SIPのリクエストに対応づけて生成してもよい。具体的には、SIPのプロトコルメッセージが、リクエスト、ヘッダ、空白行及びボディからなる場合、リンク設定要求部265は、SIPのプロトコルメッセージのリクエストにSIPのリクエストのREGISTERを含め、ヘッダにワンタイムID(図7または図8の「ワンタイムID(要求側)」)及びユーザ識別情報(図7または図8の「ユーザ識別情報(要求側)」)を含め、ボディにユーザ識別情報(図7または図8の「ユーザ識別情報(相手側)」)を含めることで、リンク設定要求メッセージを生成する。なお、この場合、伝搬する通信の通信プロトコルがSIPであるから、PBX100はSIPに対応したPBXであるといえる。
このような承認後のリンク設定の要求により、端末装置200のユーザ10がリンク設定を認めた場合にのみ、PBX100がリンク設定を行うことが可能になる。そのため、ユーザ10の意図しないまま、リンク設定が行われることを防ぐことができる。よって、アプリケーションサービスの通信が、ユーザ10にとってより利用しやすくなる。
−リンク設定の解除
また、リンク設定要求部265は、本発明におけるリンク解除要求部の一例である。リンク設定要求部265は、上記リンク設定の解除を要求する。
より具体的には、例えば、以下で述べる端末主導の第1のリンク設定解除条件〜第5のリンク設定解除条件のうち1以上の条件を含む、リンク設定解除条件が満たされると、リンク設定要求部265は、リンク設定の解除を決定する。そして、リンク設定要求部265は、第2通信部220に、解除要求メッセージをPBX100へ送信させる。なお、解除要求メッセージがPBX100により受信されると、上記の第2解除条件が満たされることとなり、端末装置200のリンク設定がPBX100により解除される。
−−第1のリンク設定解除条件
例えば、上記のリンク設定解除条件は、互いにリンク済みの端末装置200同士の間の距離が端末装置200の通信範囲外から端末装置200の通信範囲内に変化することを含む(第1のリンク設定解除条件)。より具体的には、互いにリンク済みの端末装置200同士が、第1通信部210の通信範囲である「手合い距離」以内に再び入ることを含む。
例えば、一度手合い距離内に集結し、リンク設定を形成した端末装置200Aと端末装置200Bとが再び手合い距離内に集結すると、この第1のリンク設定解除条件が満たされる。なお、リンク設定の解除が実行された際には、解除対象の端末装置200の表示画面に、「第1のリンク設定解除条件を満たしたためシステムが自動でリンク解除処理を実施した」旨を説明するダイアログウィンドウを表示させ、ユーザへ通知してもよい。
この第1のリンク設定解除条件によれば、例えばリンク設定の解除要求を端末装置200Bに対して直接手入力する場合と比較して、リンク設定時と同様のユーザ所作を利用すればよいので、ユーザは、より直感的、かつ簡便な方法により、リンク設定の解除要求をPBX100に対して行うことが可能となる。
−−第2のリンク設定解除条件
また、上記のリンク設定解除条件は、例えば、リンクが設定された端末装置200のバッテリー残量が所定の閾値以下に低下することを含む(第2のリンク設定解除条件)。ここで、所定の閾値は、例えば、バッテリーの満充電時に対する10%や5%などの値に設定される。
この第2のリンク設定解除条件によれば、端末装置200のバッテリー残量が僅少になり端末装置200全体の動作が強制的に終了してしまい、ユーザがリンク設定解除の要求入力を行えない事態の発生を防止することができる。また、リンク解除によってリンク通信処理動作が端末装置200により行われなくなるので、僅少になっている端末装置200のバッテリーの消費量を抑制することができる。
−−第3のリンク設定解除条件
また、上記のリンク設定解除条件は、例えば、リンクが設定された端末装置200間のリンク設定に基づくPBX100を介した端末装置200同士のリンク通信におけるデータ通信量が所定の上限値を超えることを含む(第3のリンク設定解除条件)。
ここで、所定の上限値は、例えば、PBX100の管理者により、一般的なユーザにおける通常の通信では想定されないような値やヘビーユーザにおける通信で想定される値などが設定される。例えば、所定の上限値は、リンク設定後のデータ通信量の合計が7GBであったり、または直近3時間以内におけるデータ通信量の合計が1GBなどに設定されてもよい。
この第3のリンク設定解除条件によれば、一部のヘビーユーザがリンクを利用した通信の帯域を占有する行為への抑制対策につながるので、他のユーザにとって、リンク通信帯域の通信速度低下や通信障害等の通信トラフィックに関わる問題の発生が抑止される仕組みが実現される。
−−第4のリンク設定解除条件
また、上記のリンク設定解除条件は、例えば、リンクが設定された端末装置200の内部における現在時刻設定情報が、例えば21:00などの所定の時刻に達することを含む。または、上記のリンク設定解除条件は、当該現在時刻設定情報が、例えばリンクが設定された時から120分が経過した場合など、経過時間の計測開始時から所定の時間が経過したことを含む(第4のリンク設定解除条件)。
この第4のリンク設定解除条件によれば、例えば、当該通信システムの利用場面がショッピングモールである場合には、閉店時刻と同時に店内におけるリンク設定を解除する仕組みを実現することができる。また、遊園地における2時間限定宝探しイベント等において、参加者間でイベント用のリンク設定が適用された場合には、当該イベントの参加者間に設定されたリンクをイベント終了と同時に解除する仕組みを実現することができる。
−−第5のリンク設定解除条件
また、上記のリンク設定解除条件は、例えば、測定部252による測定結果に基づいて、後述する使用状況推測部271により、端末装置200が未使用中であると推測されることを含む(第5のリンク設定解除条件)。
この第5のリンク設定解除条件によれば、端末装置200自体やリンク通信機能がユーザ10により今後も利用されない可能性が高いことを検出することが可能である。このため、無駄なリンク設定をシステムが自動的に検出、管理、または削除する仕組みを実現することが可能となる。
−−変形例
なお、端末装置200は、上述した第1のリンク設定解除条件〜第5のリンク設定解除条件のうちいずれか2以上の条件を組み合わせて、上記のリンク設定解除条件として設定してもよい。より具体的には、端末装置200は、第1のリンク設定解除条件〜第5のリンク設定解除条件から選ばれた複数の条件の全てが満たされる場合に限り(AND条件)、上記リンク設定解除条件が満たされると判定してもよい。
または、端末装置200は、第1のリンク設定解除条件〜第5のリンク設定解除条件から選ばれた複数の条件のうち一つでも満たされる場合には(OR条件)、上記のリンク設定解除条件が満たされると判定してもよい。
−−ユーザによる解除入力
あるいは、別の端末装置200とのリンク設定を解除するためのユーザ10の入力が、入力部240により受け付けられると、リンク設定要求部265は、リンク設定の解除を決定する。そして、リンク設定要求部265は、第2通信部220に、解除要求メッセージをPBX100へ送信させる。当該解除要求メッセージの具体例は、図9を参照して説明したとおりである。なお、端末装置200において、PBX100との間でのやりとりのために用いる通信プロトコル、通信プロトコルのバージョン情報、通信ポート番号、パケット長情報(1パケットの容量情報)、データオフセット(パケットにおけるヘッダ長情報)及びデータ長(パケットにおけるデータ長情報)等が規定されている場合、リンク設定要求部265が規定に従い解除要求メッセージを生成してもよい。例えば、端末装置200において、PBX100との間でのやりとりのために用いる通信プロトコルがSIPと規定されている場合、図9の解除要求メッセージは、SIPのリクエストに対応づけて生成してもよい。具体的には、SIPのプロトコルメッセージが、リクエスト、ヘッダ、空白行及びボディからなる場合、リンク設定要求部265は、SIPのプロトコルメッセージのリクエストにSIPのリクエストのREGISTERを含め、ヘッダにリンク設定の解除の旨、ワンタイムID(図9の「ワンタイムID(要求側)」)及びユーザ識別情報(図9の「ユーザ識別情報(要求側)」)を含め、ボディにユーザ識別情報(図9の「ユーザ識別情報(相手側)」)を含めることで、解除要求メッセージを生成する。
このようなリンク設定の解除の要求により、端末装置200のユーザ10が、自由にリンク設定を解除することが可能になる。
なお、リンク設定要求部265は、APサービスの提供のための端末装置用ソフトウェアの一部として実装され得る。
(2−1−2−11.AP部267)
−端末装置用のソフトウェアの実行
AP部267は、APサービスに関する端末装置側の処理を実行する。また、AP部267は、APサービスを利用するために、必要に応じて、第2通信部220を介してPBX100と通信する。AP部267は、APサービスの提供のための端末装置用ソフトウェアの一部として実装され得る。
また、PBX100により端末装置200にワンタイムIDが発行されるので、AP部267は、当該ワンタイムIDを使用してAPサービスの通信を行う。より具体的には、例えば、AP部267は、APサービスにおいて情報を送信する場合に、当該情報の送信元の識別情報としてワンタイムIDを併せて送信する。
また、AP部267は、別の端末装置200に情報を送信する場合には、データを送信する場合に、PBX100(呼制御部139)に、ワンタイムIDからIPアドレスへの変換を依頼し、別の端末装置200のIPアドレスを取得する。そして、AP部267は、取得したIPアドレスを宛先として上記別の端末装置200に情報を送信する。
また、AP部267は、別の端末装置200から情報を受信する場合に、当該別の端末装置200のワンタイムIDを受信し、当該情報の送信元を当該ワンタイムIDにより識別する。
−APサービスの例
一例として、APサービスは、区域内通話サービスである。また、一例として、区域90は、ショッピングモールである。このようなAPサービスによれば、例えば、ショッピングモールの顧客であるユーザ10は、所望の店員又は別の顧客であるユーザ10と通話することができる。以下、このようなAPサービスにおける端末装置200の画面の例を、図16及び図17を参照して説明する。
図16は、区間内通話サービスにおいて端末装置200に表示される画面の第1の例を説明するための説明図である。図16を参照すると、端末装置200Aと別の端末装置200Bが示されている。そして、端末装置200Aと別の端末装置200Bに表示される画面251も示されている。このように、AP部267は、表示部250に、APサービスについての画面を表示させる。例えば、区域内通話サービスでは、端末装置200の近傍に位置するスタッフが端末装置200に表示される画面251で示される。図16の例では、端末装置200Aと端末装置200Bとが近距離に位置するので、端末装置200Aの画面251Aと端末装置200Bの画面251Bとには、同一のスタッフが示されている。例えば、端末装置200Aの画面251Aと端末装置200Bの画面251Bとには、スタッフであるユーザ10のユーザ識別情報として、「Sato(家電)」、「Suzuki(玩具)」及び「Takahashi(服飾)」が示されている。また、端末装置200とスタッフとの距離も示されている。
図17は、区間内通話サービスにおいて端末装置200に表示される画面の第2の例を説明するための説明図である。図17の例では、端末装置200Bは、図16の例での位置から別の位置へと移動している。そのため、端末装置200Aの画面251Aは、図16の例と同様であるが、端末装置200Bの画面251Bは、図16の例とは異なる。端末装置200Bの画面251Bには、スタッフであるユーザ10のユーザ識別情報として、「Takahashi(服飾)」及び「Ito(服飾)」が示されている。
なお、図16及び図17の例では、端末装置200Aと端末装置200Bとの間のリンク設定は行われていない。
−リンク設定の承認処理
上述したように、例えば、AP部267は、上記リンク設定の承認を行う。
上記承認は、端末装置200と別の端末装置200との間での装置間通信を通じて行われる。より具体的には、当該装置間通信は、近距離での無線通信である。一例として、当該近距離での無線通信は、NFC又は赤外線通信である。
例えば、端末装置200AのAP部267は、端末装置200Aと別の端末装置200Bとの間でのNFCを通じて、リンク設定の承認を行う。以下、リンク設定の承認の具体例を図18〜図20を参照して説明する。
図18は、リンク設定の承認のために端末装置200に表示される第1の画面の例を説明するための説明図である。図18を参照すると、端末装置200Aと別の端末装置200Bが示されている。図18に示されるように、端末装置200Aと端末装置200Bとは近距離に位置する。そして、端末装置200A及び端末装置200Bは、NFCを行う。すると、端末装置200Aには、画面251Aとして、リンク設定を承認するか否かを選択するための画面(以下、「承認用画面」と呼ぶ)が表示される。同様に、端末装置200Bには、画面251Bとして、承認用画面が表示される。
図19は、リンク設定の承認のために端末装置200に表示される第2の画面の例を説明するための説明図である。図19を参照すると、端末装置200Aのユーザ10Aが承認のための入力を行い、当該入力が入力部240により受け付けられる。すると、リンク設定の承認メッセージが、端末装置200A(AP部267)により、端末装置200Bへ送信される。また、端末装置200Aには、画面251Aとして、相手側の承認待ちであることを示す画面(以下、「承認待ち画面」と呼ぶ)が表示される。このように、AP部267は、リンク設定の承認を行う。なお、端末装置200Bには、承認用画面が表示されたままである。ここで、リンク設定の承認メッセージは、リンク設定の申し込みまたは承諾の旨であるが、加えて端末装置200とPBX100との間で(リンク設定のメッセージを)やりとりするために用いる通信プロトコル、通信プロトコルのバージョン情報、通信ポート番号、パケット長情報(1パケットの容量情報)、データオフセット(パケットにおけるヘッダ長情報)及びデータ長(パケットにおけるデータ長情報)等を規定してもよい。
その後、端末装置200Bも、リンク設定の承認を行う。その結果、リンク設定要求メッセージが、PBX100へ送信される。そして、リンク設定が行われる。
図20は、リンク設定の承認後に端末装置200に表示される画面の一例を説明するための説明図である。図20を参照すると、端末装置200Aの画面251Aには、区域内通話の相手の候補として、端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」が示される。また、端末装置200Bの画面251Bには、区域内通話の相手の候補として、端末装置200Aのユーザ10Aのユーザ識別情報「Taro」が示される。
このような、装置間通信を通じた承認により、ユーザ10同士の直接的なコミュニケーションなしにリンク設定が勝手に行われてしまうことを防ぐことができる。また、NFCのような近距離での無線通信が用いられれば、目視を伴う対面でのコミュニケーションが前提となるので、ユーザ10間での合意に基づいて、リンク設定が行われるようになる。これにより、例えば、遠隔でハンドルネーム情報のみに基づいた承認操作が潜在的に有する、非関係者による偽の関係者としてのなりすまし行為問題の発生を防止し、またそのような危険を防止していることがリンク設定を行おうとしているユーザ10に直感的に伝わる承認方法であることで、ユーザ10が安心感を持ってリンク設定行為を行うことができる。また、例えば、誤った操作により、見知らぬユーザ10の端末装置200が相手となるリンク設定が行われてしまうことを、回避することができる。さらに、NFCのような近距離での無線通信が用いられれば、リンク設定の相手側の候補が限定されるので、相手側の候補を探す手間を省くことができる。つまり、リンク設定はユーザにとってより安心なものになり得る。
−リンク設定後の処理
リンク設定後には、端末装置200AのAP部267は、別の端末装置200Bへ情報を提供し、又は別の装置200Bから情報を取得することが可能になる。
例えば、APサービスが区域内通話サービスである場合には、端末装置200AのAP部267は、別の端末装置200Bとの音声通信を行うことが可能(発着信待ち状態)になる。以下、この点について図21を参照して具体例を説明する。
図21は、端末装置200Aと別の端末装置200Bとの間の区域内通話において表示される画面の一例を説明するための説明図である。例えば、図20に示されるように、端末装置200Aの画面251Aが表示されている場合に、「Hanako」が、区域内通話の相手として選択される。すると、図21に示されるように、端末装置200Aには、画面251Aとして、ユーザ識別情報が「Hanako」であるユーザ10Bの端末装置200Bへの発信中であることを示す画面が表示される。また、端末装置200Bには、画面251Bとして、ユーザ識別情報が「Taro」であるユーザ10Aの端末装置200Aからの着信中であることを示す画面が表示される。ここで、端末装置200Bにおいて、選択肢「話す」及び選択肢「切る」のうちの選択肢「話す」が選択されると、端末装置200Aと端末装置200Bとの間の通話が開始する。つまり、リンク設定を要求・承認した端末装置200の間(端末装置200のユーザの間(端末装置200のユーザのユーザ識別情報の間))が通話状態となる。他方、端末装置200Bにおいて、選択肢「切る」が選択されると、端末装置200Aと端末装置200Bとがリンク設定の承認後の画面(端末装置200Aが図20の画面251A、端末装置200Bが図20の画面251B)となる。つまり、リンク設定を要求・承認した端末装置200の間(端末装置200のユーザの間(端末装置200のユーザのユーザ識別情報の間))で発着信待ち状態となる。また、端末装置200において、終話(端末装置200Aと端末装置200Bとの間の音声通信が終了または着信中の端末装置200Bで選択肢「切る」が選択)後、通話履歴表示を行ってもよい。この場合、発信者側の端末装置200Aは、図20の画面251Aの画面にさらに通話の相手として「Hanako」に対する発信実績を示す旨を含めて表示(例えば、図20の画面251Aの「Hanako(家電)」に発信履歴アイコンを付与)し、発信者側の端末装置200Bは、図20の画面251Bの画面にさらに通話の相手として「Taro」からの着信実績を示す旨を含めて表示(例えば、図20の画面251Bの「Taro(家電)」に着信履歴アイコンを付与)してもよい。つまり、リンク設定を要求・承認した端末装置200の間(端末装置200のユーザの間(端末装置200のユーザのユーザ識別情報の間))で通話履歴表示を伴う発着信待ち状態となる。
また、例えば、APサービスが区域内通話サービスである場合には、端末装置200AのAP部267は、画面251Aに含まれる区域90の地図において、端末装置200Aのリンク設定の相手である端末装置200Bの位置を示してもよい。以下、この点について図22を参照して具体例を説明する。
図22は、端末装置200Aと別の端末装置200Bとの間の区域内通話のために表示される画面の一例を説明するための説明図である。図22を参照すると、端末装置200Aが示されている。また、端末装置200Aには、画面251Aが表示されている。画面251Aは、ショッピングモールである区域90の地図を含む。そして、画面251Aには、顧客であるユーザ10Aの端末装置200Aの位置が、ユーザ10Aのユーザ識別情報「Taro」とともに示されている。そして、画面251Aには、顧客であるユーザ10Bの端末装置200Bの位置が、ユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」とともに示されている。また、その他、スタッフであるユーザ10の端末装置200の位置が、当該ユーザ10のユーザ識別情報「Sato」、「Suzuki」及び「Takahashi」とともに示されている。このような画面によれば、通話の相手の候補がどこにいるかを予め知ることができる。
−ユーザ識別情報の表示
また、例えば、端末装置200のユーザ10を識別するためのユーザ識別情報が、別の端末装置200により取得される。そして、当該ユーザ識別情報は、別の端末装置200による端末装置200からの上記情報の取得(即ち、リンク設定に基づく情報の取得)に関連して、別の端末装置200において表示される。
具体的には、例えば、図18の例において、端末装置200A及び端末装置200Bは、例えば、NFCを通じてユーザ識別情報を交換する。そして、承認用画面には、相手側の端末装置200のユーザ10のユーザ識別情報が表示される。例えば、端末装置200Aの画面251Aには、端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」が表示される。また、端末装置200Bの画面251Bには、端末装置200Aのユーザ10Aのユーザ識別情報「Taro」が表示される。
また、例えば、図20の例において、端末装置200Aの画面251Aには、区域内通話の相手の候補として、端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」が表示される。また、端末装置200Bの画面251Bには、区域内通話の相手の候補として、端末装置200Aのユーザ10Aのユーザ識別情報「Taro」が表示される。
また、例えば、図22の例において、端末装置200Aの画面251Aには、区域90内の端末装置200Bの位置とともに、端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」が表示される。
匿名性を保持することを特徴とするワンタイムIDは、いずれのユーザ10にも関連しない情報である。そのため、端末装置200にワンタイムIDがそのまま表示されるだけでは、当該端末装置200のユーザ10は、リンク設定の相手側の端末装置200のユーザ10を特定することは難しい。そこで、以上の例のように、ユーザ識別情報が表示されることにより、匿名性を保持することを特徴とするワンタイムIDを使用しつつも、端末装置200のユーザ10は、リンク設定における相手側の端末装置200のユーザ10を容易に特定することができる。
−ユーザ識別情報の取得
−−手動での取得
ユーザ識別情報は、例えば、ユーザ10による端末装置200(入力部240)への入力により、取得される。具体的には、例えば、APサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアが端末装置200に配布され、さらにワンタイムIDが端末装置200に発行されると、AP部267は、ユーザ識別情報(例えば、ハンドルネーム)の入力を促す画面を表示部250に表示させる。そして、ユーザ10によるユーザ識別情報の入力が入力部240により受け付けられる。例えばこのように、ユーザ識別情報が取得される。
−−自動での取得
なお、ユーザ識別情報は、端末装置200に記憶される情報から、端末装置200の自律的な処理によって取得されてもよい。例えば、端末装置200(記憶部230)に記憶されているアプリケーションソフトウェアに関する情報(以下、アプリケーション情報)の中から、ハンドルネームが抽出され、当該ハンドルネームが、端末装置200のユーザ10のユーザ識別情報として取得されてもよい。上記アプリケーションソフトウェアは、配布された端末装置用のソフトウェアであってもよく、又は端末装置200に備えられる既存のアプリケーションソフトウェアであってもよい。
アプリケーション情報は、アプリケーションソフトウェアのプロセス名、プログラム名、ファイル名等で表される。プロセス名及びプログラム名は、アプリケーションソフトウェアの実行中にOS(Operating System)上で認識される情報である。よって、アプリケーション情報が、プロセス名又はプログラム名で表される場合には、実行中のアプリケーションのアプリケーション情報から、ハンドルネームを検索することが有効である。また、ファイル名は、端末装置200内におけるアプリケーションの自体(実行ファイル等)について認識される情報である。よって、アプリケーション情報が、ファイル名で表される場合には、実行中ではないアプリケーションのアプリケーション情報から、ハンドルネームを検索することが有効である。
第1の例として、アプリケーション情報がプロセス名で表される場合に、AP部267は、アプリケーションソフトウェアに関わるメモリ内の情報からハンドルネームを抽出してもよい。より具体的には、例えば、アプリケーションのプロセスに関わるメモリ領域をメモリダンプし、キーワード「ID」(上記プロセスの処理で用いられる変数)で検索することにより、ハンドルネームを抽出してもよい。
第2の例として、アプリケーション情報がプログラム名で表される場合に、AP部267は、アプリケーションにより管理される領域からハンドルネームを抽出してもよい。より具体的には、例えば、AP部267は、アプリケーションソフトウェアのプログラムのcookie(HTTP(HyperText Transfer Protocol) cookie)の格納領域を、キーワード「URL」(ネットワーク上のサービスと特定する情報)とキーワード「ID」(ネットワーク上のサービスが処理で用いる変数)とで検索することにより、ハンドルネームを抽出してもよい。
第3の例として、アプリケーション情報がファイル名で表される場合に、AP部267は、アプリケーションソフトウェアに関する設定ファイルからハンドルネームを抽出してもよい。より具体的には、例えば、AP部267は、パス(absolute path)「/etc/ccc.conf」を、キーワード「ID」(設定ファイル「/etc/ccc.conf」における設定名)で検索することにより、ハンドルネームを抽出してもよい。
なお、APサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアが端末装置200に配布され、さらにワンタイムIDが端末装置200に発行された後に、ユーザ識別情報の取得が行われてもよい。
以上のように、端末装置200によるユーザ識別情報の自動取得により、端末装置200のユーザ10は、ユーザ識別情報を入力しなくてもよい。よって、APサービスの利用にあたってのユーザ10の手間を軽減することができる。その結果、より多くのユーザ10がAPサービスを利用するようになり得る。また、使い慣れたユーザ識別情報が再利用されるので、ユーザ10にとって好ましいユーザ識別情報が用いられ得る。
また、Telnetサービス、FTP(File Transfer Protocol)サービス、SNS(Social Networking Service)、Blog、電子掲示板サービス、電子メールサービス等のサービスが、ネットワーク上で提供されている。そして、これらサービスでは、多くの場合に、ID及びパスワードによる認証が前提となっている。また、これらのサービスの中には、認証用のIDが、サービス内で利用されるハンドルネームであることもある。また、これらのサービスを利用する端末装置には、サービスに対応するアプリケーションソフトウェアがインストールされて、当該アプリケーションソフトウェアが、サービスについての処理を実行する。そして、上記アプリケーションソフトウェアは、認証用のID及びパスワードを保持する場合もある。このような状況を勘案すると、アプリケーションに関する情報から、ハンドルネームのようなユーザ識別情報が取得され得る。
−APサービスの利用停止
また、例えば、AP部267は、PBX100からAPサービスの提供の停止が要求される場合に、APサービスの利用を停止する。また、例えば、AP部267は、ユーザ10による入力に応じてAPサービスの提供の停止をPBX100に要求し、APサービスの利用を停止する。なお、AP部267は、これらの要求があったことをAP管理部261に通知してもよい。
(2−1−2−11.通信機能制御部269)
通信機能制御部269は、端末装置200の通信機能に関する制御を行う。
例えば、区域90内で提供されるアプリケーションサービスの通信を行うための端末装置200の通信機能は、ワンタイムIDの発行後から上記リンク設定の要求前まで停止されてもよい。例えば、通信機能制御部269は、第2通信部(例えば、無線LAN規格に従った無線通信機能)を、ワンタイムIDの発行後からリンク設定の要求前まで停止させてもよい。
通信機能の停止は、例えば、第2通信部に対応するハードウェアへの電力供給を断つこと、ハードウェアの制御のために用いられるデバイスドライバを解除すること等を含む。また、通信機能の停止は、OSのパケットフィルタ機能により通信を遮断することを含んでもよい。
このようにアプリケーションサービスの通信を行うための通信機能を停止させることにより、ワンタイムIDを取得しつつ、その後リンク設定に基づく通信が必要になるまで、消費電力を抑え、又はトラフィックを軽減することができる。
また、例えば、装置間通信を行うための端末装置200の通信機能は、別の端末装置200との装置間通信の前にリフレッシュされてもよい。例えば、通信機能制御部269は、第1通信部(例えば、NFC規格に従った無線通信機能)を、別の端末装置200との通信の前にリフレッシュされてもよい。
具体的には、例えば、通信機能制御部269は、第1通信部に対応するハードウェアの電源をOFFにした後に、当該電源をONにしてもよい。また、通信機能制御部269は、第1通信部に対応する制御用ソフトウェア(例えば、デバイスドライバ)のアンローディングを行った後に、当該ソフトウェアのローディング及びリハッシュを行ってもよい。さらに、通信機能制御部269は、第1通信部についてのOSからのデタッチを行った後に、第1通信部についてのOSへのアタッチを行ってもよい。例えば、このように、通信機能制御部269は、通信機能をリフレッシュさせてもよい。
一般的に、無線デバイス(例えば、Bluetooth(登録商標)デバイス)は、通信中におけるバッテリの電力の枯渇により停止すると、正常に通信できないことがある。その結果、通信不整合又は通信問題に陥ることがあり得る。その場合に、無線デバイスの電源のOFFにした後にONにすること、デバイスを切り離して再帰属処理を行うことが、推奨されている。とりわけ、無線デバイスについては、フェージング等に起因する受信電力の変動、外界からのノイズ等の問題が想定される。よって、上述したように、リフレッシュが行われることにより、通信不整合又は通信問題から無線デバイスを復活させることができる。
(2−1−2−12.使用状況推測部271)
使用状況推測部271は、測定部252による測定結果に基づいて、端末装置200が未使用中であるか否かを推測する。例えば、直近24時間など、一定時間における等価騒音レベル(LAeq)が30デシベル以下である場合や、瞬間的な騒音レベル(LA)の最大値が40デシベル以下である場合には、端末装置200は、当該期間においてユーザ10に持ち歩かれることもなく、静かな密閉区間に放置されている可能性が高い。このため、使用状況推測部271は、測定部252により上記の測定結果が得られた場合には、端末装置200が未使用中であると推測する。
また、直近24時間における、端末装置200周辺の照度の測定値が継続して所定の値以下である場合には、端末装置200は、照明の無い密閉空間に放置され続けている可能性が高い。このため、使用状況推測部271は、上記の測定結果が得られた場合には、端末装置200が未使用中であると推測する。
また、直近24時間における、加速度の測定値(絶対値)が継続して所定の値以下である場合には、端末装置200は、人間に触れられることなく、放置され続けている可能性が高い。このため、使用状況推測部271は、上記の測定結果が得られた場合には、端末装置200が未使用中であると推測する。
なお、使用状況推測部271は、各種センサによる測定結果を別々に用いる代わりに、各センサによる測定結果を組み合わて、端末装置200が未使用中であるか否かを推測することも可能である。
[2−1−3.処理の流れ]
続いて、図23〜図28を参照して、本実施形態に係る通信制御処理を説明する。
(2−1−3−1.APサービスの開始時の処理)
図23は、本実施形態に係る、APサービスの開始時における通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。
まず、ステップS401で、端末装置200のAP管理部261は、第2通信部220を介して、APサービス検索要求メッセージをPBX100に送信する。
ステップS403で、PBX100のAPサービス管理部131は、通信部110を介して、検索されたAPサービスに関する情報をAPサービス検索結果として端末装置200に提供する。
ステップS405で、端末装置200のAP管理部261は、第2通信部220を介して、APサービス利用開始要求メッセージをPBX100に送信する
ステップS407で、PBX100のAPサービス管理部131は、区域90内で提供されるAPサービスの提供のための端末装置用のソフトウェアを、端末装置200に配布する。
ステップS409で、端末装置200のAP管理部261は、AP部267に、当該ソフトウェアを起動させる。
ステップS411で、PBX100のID管理部133は、ワンタイムIDを端末装置200に発行する。
ステップS413で、PBX100のID管理部133は、ID管理部133は、当該ワンタイムIDがいずれかの端末装置により使用されていることを示すように、ワンタイムIDの使用状況の情報を更新する。その後、ワンタイムIDが使用されて、アプリケーションサービスの通信が行われる。
(2−1−3−2.リンク設定時の処理)
図24は、本実施形態に係る、リンク設定時における通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。当該通信制御処理は、端末装置200A及び端末装置200Bが近づいた際に開始される。
まず、ステップS501で、端末装置200AのAP部267は、第1通信部210を介して、端末装置200Aのユーザ10Aのユーザ識別情報「Taro」を端末装置200Bに提供する。また、ステップS503で、端末装置200BのAP部267も、第1通信部210を介して、端末装置200Bのユーザ10Bのユーザ識別情報「Hanako」を端末装置200Aに提供する。
ステップS505及びステップ507で、端末装置200A及び端末装置200BのAP部267は、表示部250に、リンク設定の承認用画面を表示させる。
ステップS509で、端末装置200Aのユーザ10Aが承認のための入力を行うと、入力部240は、当該入力を受け付ける。
ステップS511で、端末装置200AのAP部267は、リンク設定の承認メッセージ(リンク設定の申し込みの旨)を端末装置200Bへ送信する。
ステップS513で、端末装置200AのAP部267は、表示部250に、承認待ち画面を表示させる。
ステップS515で、端末装置200BのAP部267は、表示部250に、承認用画面を表示させる。当該承認用画面には、端末装置200Aでの承認が行われたことが示される。
ステップS517で、端末装置200Bのユーザ10Bが承認のための入力を行うと、入力部240は、当該入力を受け付ける。
ステップS519で、端末装置200BのAP部267は、リンク設定の承認メッセージ(リンク設定の承諾の旨)を端末装置200Aへ送信する。
ステップS521で、端末装置200Aのリンク設定要求部265は、リンク設定要求メッセージを生成し、第2通信部220に、当該リンク設定要求メッセージをPBX100へ送信させる。すると、PBX100のリンク要求受付部134は、通信部110を介して、当該リンク設定要求メッセージを取得する。
ステップS523で、端末装置200Bのリンク設定要求部265は、リンク設定要求メッセージを生成し、第2通信部220に、当該リンク設定要求メッセージをPBX100へ送信させる。すると、PBX100のリンク要求受付部134は、通信部110を介して、当該リンク設定要求メッセージを取得する。
ステップS525で、PBX100のリンク設定部135は、端末装置200Aと端末装置200Bとの間のリンク設定を行う。
ステップS527で、PBX100のリンク設定部135は、通信部110に、リンク設定完了メッセージを端末装置200A及び端末装置200Bへ送信させる。その後、リンク設定に基づく通信が行われる。
−変形例
なお、上記のS501〜S503の変形例として、以下のような処理の流れも適用可能である。
まず、ステップS501で、端末装置200Aは、ユーザ識別情報(「Taro」)から変換された例えばQRコード(登録商標)のような画像を表示部250に表示する。そして、端末装置200Bは、端末装置200Aに表示された画像を撮像することにより取得し、そして、取得された画像に基づいて、端末装置200Aのユーザ識別情報(つまり「Taro」)を取得する。
あるいは、端末装置200Aのユーザ10Aは、ユーザ10Bから端末装置200Bを直接受け取り、そして、端末装置200Bにおいて自己のユーザ識別情報(「Taro」)を手入力することにより、ユーザ識別情報を提供する。
次に、ステップS503で、端末装置200Bは、同様に、ユーザ識別情報(「Hanako」)から変換された例えばQRコードのような画像を表示部250に表示する。そして、端末装置200Aは、端末装置200Bに表示された画像を撮像することにより取得し、そして、取得された画像に基づいて、端末装置200Bのユーザ識別情報(「Hanako」)を取得する。
あるいは、端末装置200Bのユーザ10Bは、ユーザ10Aから端末装置200Aを直接受け取り、そして、端末装置200Bにおいて自己のユーザ識別情報(「Hanako」)を手入力することにより、ユーザ識別情報を提供する。
次に、端末装置200AのAP部267は、第1通信部210を介して、ユーザ識別情報「Taro」自体、またはS501で提供されたユーザ識別情報の利用権限を端末装置200Bに提供する。また、端末装置200BのAP部267も、第1通信部210を介して、ユーザ識別情報「Hanako」自体、またはS503で提供されたユーザ識別情報の利用権限を端末装置200Aに提供する。
この変形例によれば、相手端末装置200から提供されるユーザ識別情報の信頼性が向上する。このため、例えば馴染みの少ない人物同士でユーザ識別情報を交換する場合などにおいて、各ユーザ10は、通信システムをより安心して利用することができる。
(2−1−3−3.リンク設定の解除時の処理−区域90外への移動)
図25は、本実施形態に係る、リンク設定解除時における通信制御処理の概略的な流れの第1の例を示すシーケンス図である。当該通信制御処理は、端末装置200Aが区域90外に移動してしまった場合の処理である。
まず、ステップS601で、APサービス管理部131は、端末装置200Aに発行されたワンタイムIDについてのID使用終了条件が満たされるか否かを判定する。当該ID使用終了条件は、区域90内に当該ワンタイムIDを使用する端末装置200Aが位置しないこと(第1終了条件)を含む。そのため、APサービス管理部131は、端末装置200Aに発行されたワンタイムIDについてのID使用終了条件が満たされると判定する。
ステップS603で、PBX100のID管理部133は、ID管理部133は、端末装置200Aに発行されたワンタイムIDがいずれの端末装置にも使用されていないことを示すように、ワンタイムIDの使用状況の情報を更新する。
ステップS605で、PBX100のリンク設定部135は、リンク設定解除条件が満たされるので、リンク設定を解除する。即ち、当該リンク設定解除条件は、リンク設定に関連するワンタイムIDの使用が終了すること(第1解除条件)を含む。
ステップS607で、PBX100のリンク設定部135は、通信部110に、リンク設定解除完了メッセージを端末装置200Bへ送信させる。そして、処理は終了する。
(2−1−3−4.リンク設定の解除時の処理−解除要求)
図26は、本実施形態に係る、リンク設定解除時における通信制御処理の概略的な流れの第2の例を示すシーケンス図である。当該通信制御処理は、端末装置200Bのユーザ10Bがリンク設定の解除を求める場合の処理である。
ステップS631で、端末装置200Aと端末装置200Bとの間のリンク設定を解除するためのユーザ10Bの入力が、入力部240により受け付けられると、端末装置200Bのリンク設定要求部265は、リンク設定の解除を決定する。
ステップS633で、端末装置200Bのリンク設定要求部265は、第2通信部220に、解除要求メッセージをPBX100へ送信させる。
ステップS635で、PBX100のリンク設定部135は、リンク設定解除条件が満たされるので、リンク設定を解除する。即ち、当該リンク設定解除条件は、リンク設定に関連する端末装置200によりリンク設定の解除が要求されること(第2解除条件)を含む。
ステップS637及びステップS639で、PBX100のリンク設定部135は、通信部110に、リンク設定解除完了メッセージを端末装置200B及び端末装置200Aへ送信させる。そして、処理は終了する。
(2−1−3−5.リンク設定の解除時の処理−解除要求)
図27は、本実施形態に係る、リンク設定に基づく呼制御を行う際の通信制御処理の概略的な流れの一例を示すフローチャートである。当該通信制御処理は、PBX100により行われる処理である。また、当該通信制御処理は、PBX100が発信メッセージを受信した際に開始される。当該発信メッセージは、例えば、発信側のワンタイムID「1000」と着信側のワンタイムID「1001」を含む。
ステップS701で、呼制御部139は、ID DB123のID管理テーブルにおいて、発信メッセージの中の発信側のワンタイムIDと着信側のワンタイムIDとがID管理テーブルに存在するかを判定する。例えば、ID管理テーブルにワンタイムID「1000」及び「1001」が存在するかが、判定される。これらのワンタイムIDが存在する場合には、処理はステップS703へ進む。そうでなければ、処理は終了する。
ステップS703で、呼制御部139は、ID DB123のID管理テーブルの使用可否フラグに基づいて、発信メッセージの中の発信側のワンタイムIDと着信側のワンタイムIDとが使用されているかを判定する。例えば、ID管理テーブルにおいて、ワンタイムID「1000」及び「1001」に対応する使用可否フラグが「1」であるかが、判定される。これらのワンタイムIDが使用されていれば、処理はステップS705へ進む。そうでなければ、処理は終了する。
ステップS705で、呼制御部139は、ID DB123のID管理テーブルにおいて、発信メッセージの中の発信側のワンタイムIDに対応するユーザ識別情報があるかを判定する。例えば、ワンタイムID「1000」に対応するユーザ識別情報があるかが、判定される。当該ユーザ識別情報があれば、処理はステップS707へ進む。そうでなければ、処理は終了する。
ステップS707で、呼制御部139は、ID DB123のID管理テーブルにおいて、発信メッセージの中の発信側のワンタイムIDに対応するリンク設定情報に、着信側のワンタイムIDに対応するユーザ識別情報が含まれるかを判定する。即ち、ワンタイムID「1000」に対応するリンク設定情報に、ワンタイムID「1001」に対応するユーザ識別情報(例えば、「Hanako」)が存在するかが、判定される。当該ユーザ識別情報が含まれる場合には、処理はステップS709へ進む。そうでなければ、処理は終了する。
ステップS709で、制御部139は、ID DB123のID管理テーブルにおいて、発信メッセージの中の着信側のワンタイムIDに対応するリンク設定情報に、発信側のワンタイムIDに対応するユーザ識別情報が含まれるかを判定する。例えば、ワンタイムID「1001」に対応するリンク設定情報に、ワンタイムID「1000」に対応するユーザ識別情報(例えば、「Taro」)が存在するかが、判定される。当該ユーザ識別情報が含まれる場合には、処理はステップS711へ進む。そうでなければ、処理は終了する。
(2−1−3−6.リンク設定の解除時の処理−解除要求)
図28は、本実施形態に係る、ユーザ識別情報を自律的に取得する際の通信制御処理の概略的な流れの一例を示すフローチャートである。当該通信制御処理は、端末装置200により行われる処理である。
ステップS801で、制御部260は、端末装置200内のアプリケーションソフトウェアの有無を判定する。アプリケーションソフトウェアがある場合には、処理はステップS803へ進む。そうでなければ、処理はステップS809へ進む。
ステップS803で、制御部260は、アプリケーション情報からハンドルネームを抽出する。
ステップS805で、制御部260は、ハンドルネームが抽出されたかを判定する。ハンドルネームが抽出されていれば、処理はステップS807へ進む。そうでなければ、処理はステップS809へ進む。
ステップS807で、制御部260は、抽出されたハンドルネームをユーザ識別情報として取得する。そして、処理は終了する。
ステップS809で、制御部260は、入力部240を介して得られる入力情報を、ユーザ識別情報として取得する。そして、処理は終了する。
<2−2.第2の実施形態>
以上、第1の実施形態について説明した。次に、第2の実施形態について説明する。最初に、第2の実施形態を創作するに至った背景について説明する。
[2−2−1.背景]
図29は、区域90内の地図の一例を示した説明図である。図29に示したように、例えばショッピングモールなどの区域90は、例えば「服飾売場」、「玩具売場」、「通路」など複数のエリアから構成されていることが多い。
ところで、ユーザ10Aおよびユーザ10Bの間でリンク設定が形成された後で、かつ、ユーザ10Aとユーザ10Bとが区域90内で別行動をすることも想定される。このような場合において、いずれかのユーザ10は、プライバシーを意識することも想定される。例えば「服飾売場」における下着販売コーナーや「トイレ」などに位置していることを、離れて行動している相手ユーザ10に知られることを望まないことが想定される。
後述するように、第2の実施形態によれば、区域90内の特定のエリア内にユーザ10が位置する場合には、相手ユーザ10の端末装置200において当該ユーザ10の位置を変更して表示させることができる。
[2−2−2.PBXの構成]
まず、第2の実施形態に係るPBX100の構成の一例を説明する。第2の実施形態によるPBX100が有する構成要素は、第1の実施形態と同様である。以下では、第1の実施形態と異なる機能を有する構成要素についてのみ説明を行う。
(2−2−2−1.記憶部120)
第2の実施形態に係る記憶部120は、例えば図29に示したような地図情報、およびエリアDB125をさらに有する。エリアDB125は、地図情報に含まれる各エリアに関して、プライバシフラグが設定されているか否かが記録されるDBである。ここで、プライバシフラグとは、対象のエリアに位置するユーザ10の(正確な)位置情報を、リンク設定済みの他のユーザ10に秘匿化するためのフラグである。
図30は、エリアDB125の構成例を示した説明図である。図30に示した例では、区域90における「服飾売場」および「トイレ」にプライバシフラグが設定されている例を示している。
[2−2−3.端末装置の構成]
次に、第2の実施形態に係る端末装置200の構成の一例を説明する。第2の実施形態による端末装置200が有する構成要素は、第1の実施形態と同様である。以下では、第1の実施形態と異なる機能を有する構成要素についてのみ説明を行う。
(2−2−3−1.AP部267)
−相手端末装置へ提供する位置情報の変更
第2の実施形態に係るAP部267は、プライバシフラグが設定されたエリアに自端末が位置する場合には、自端末の位置情報を変更し、そして、変更後の位置情報を、リンク設定済みの別の端末装置200へ提供する。ここで、位置情報とは、例えば経度および緯度を含む情報である。
なお、自端末が位置するエリアにプライバシフラグが設定されているか否かについては、AP部267は、PBX100へ問い合わせてもよい。または、端末装置200は、エリアDB125の登録内容を予めPBX100からダウンロードし、記憶部230に記憶しておいてもよい。そして、AP部267は、記憶部230の記憶内容を参照することにより、自端末が位置するエリアにプライバシフラグが設定されているか否かを確認してもよい。
−−第1位置変換方法
ここで、上記のAP部267の機能についてより詳細に説明する。例えば、AP部267は、区域90内のプライバシフラグが設定されたエリアに自端末が位置する場合には、自端末の位置情報をランダムな位置情報に変更し、そして、変更後の位置情報を、リンク設定済みの別の端末装置200へ提供してもよい。
より具体的には、AP部267は、図31または図32に示したように、まず、自端末の実際の位置情報30から所定の範囲内の位置情報をランダムに選択する。あるいは、AP部267は、自端末が位置するエリア内において、実際の位置情報30とは異なる位置情報をランダムに選択する。
そして、AP部267は、選択した位置情報32を、自端末の位置情報として別の端末装置200へ提供する。
−−第2位置変換方法
または、AP部267は、区域90内のプライバシフラグが設定されたエリアに自端末が位置する場合には、自端末が位置するエリアに隣接するエリアのうちいずれかのエリアを選択し、そして、選択したエリア内の位置情報を自端末の位置情報として別の端末装置200へ提供する。
例えば、図33の左図に示したように、自端末の位置30が「服飾売場」内である場合には、AP部267は、まず、「服飾売場」に隣接するエリアのうち最も近いエリア、つまり「通路」を選択する。そして、AP部267は、図33の右図に示したように、「通路」内の位置32の位置情報を、自端末の位置情報として別の端末装置200へ提供する。
または、変形例として、自端末が位置するエリアに隣接するエリアのうち共有部分のエリアが存在する場合には、AP部267は、共有部分のエリアを選択してもよい。例えば、図34に示した例では、自端末が位置する「服飾売場」に隣接するエリアのうち、共有部分のエリアとして「通路」が存在するので、図34の右図に示したように、AP部267は、(変更後の位置情報が属するエリアとして)「通路」を選択する。この場合、エリアDB125は、エリア及びプライバシフラグにエリア属性(共有部分のエリアか否かの情報等)を加えて構成してもよい。
なお、自端末が位置するエリアに隣接するエリアのうち、共有部分のエリアが存在しない場合には、AP部267は、自端末の位置情報に最も近いエリア(図34の左図に示した例では「玩具売場」)を選択してもよい。
−−第3位置変換方法
または、AP部267は、区域90内のプライバシフラグが設定されたエリアに自端末が位置する場合には、自端末の過去の移動履歴に基づいて、自端末の位置情報を変更してもよい。
例えば、AP部267は、図35の左図に示したような、記憶部230に記憶されている移動履歴を用いて、図35の右図に示したような、所定の時間だけ前の時点における位置情報を、変更後の位置情報32として決定する。そして、AP部267は、決定した変更後の位置情報32を、自端末の位置情報として別の端末装置200へ提供する。なお、所定の時間の長さは、ユーザ10が調整可能であってもよい。
または、変形例として、図36に示したように、AP部267は、記憶部230に記憶されている移動履歴を用いて、自端末が現在位置するエリア(つまり、「服飾売場」)の代わりに、図36の右図に示したような、当該移動経路において自端末が直前に位置したエリア(つまり、「通路」)内の位置情報を、変更後の位置情報32として決定してもよい。
これらの変更例によれば、プライバシフラグが設定されているエリア内に自端末が位置する場合には、実際とは異なる位置またはエリア内に自端末が位置しているように、相手端末装置200のユーザ10に通知することができる。
−相手端末装置との間のリンクの解除の表示
また、第2の実施形態に係るAP部267は、リンク設定済みの別の端末装置200Bに関してワンタイムIDの使用終了またはリンクの解除が実施された場合には、リンク設定が解除されたことを表示部250に表示させることも可能である。
例えば、図37の左図に示したように、区域内通話の相手候補が画面251Aに表示されている場合において、リンク設定済みの端末装置200B(ユーザ識別情報「Hanako」)に関してリンク設定が解除された場合には、AP部267は、図37の右図に示したように、端末装置200Bとの間のリンク設定が解除されたことを示すメッセージ2512を画面251Aに表示させる。また、AP部267は、図37の右図に示したように、端末装置200Bのユーザ識別情報2510を画面251Aから消去させる。
また、図38の左図に示したように、区域内通話の相手候補の位置情報を示す地図が画面251Aに表示されている場合において、リンク設定済みの端末装置200Bに関してリンク設定が解除された場合には、AP部267は、図38の右図に示したように、端末装置200Bとの間のリンク設定が解除されたことを示すメッセージ2512を画面251Aに表示させる。また、AP部267は、図38の右図に示したように、端末装置200Bの位置表示2514を画面251Aから消去させる。
なお、変形例として、AP部267は、図39の右図に示したように、メッセージ2512において、リンク設定が解除された理由をさらに含めて、画面251Aに表示させることも可能である。例えば、AP部267は、上述した、PBX100によるワンタイムIDの使用終了の条件(第1終了条件〜第10終了条件)、端末装置200によるワンタイムIDの使用終了の条件(第1終了条件〜第9終了条件)、または、端末主導のリンク設定解除条件(第1のリンク設定解除条件〜第5のリンク設定解除条件)のいずれによりリンク設定が解除されたかを、メッセージ2512に表示させてもよい。
この表示例によれば、端末装置200Aのユーザは、端末装置200Bとの間のリンク設定が解除された理由(例えばユーザ10Bが区域90外へ移動したことや、通信障害の発生など)をおおよそ理解することが可能となる。
<2−3.第3の実施形態>
[2−3−1.背景]
以上、第2の実施形態について説明した。次に、第3の実施形態について説明する。最初に、第3の実施形態を創作するに至った背景について説明する。
上述したように、第1の実施形態または第2の実施形態では、例えばユーザ10が端末装置200と共に所定の区域90内からごく短時間だけ入退場した場合や、端末装置200の一時的な電波環境不調によるユーザの意図しない通信遮断が発生した場合には、設定されたリンクがシステムにより自動的に解除される。そして、リンクが解除された後、ユーザ10が再びリンクを形成することを望む場合には、端末200同士を再度例えば手合い距離内に結集させることが必要となる。
しかしながら、リンク設定を形成していた二人のユーザ10は所定の区域90内で離れて別行動をしていることも想定される。例えば、巨大なショッピングモールでユーザ各自が離散して買い物を楽しんでいるような状況においては、ユーザ10Aにとって、旧リンク設定相手のユーザ10Bを探して再び集合するだけでも少なからぬ労力が求められる。さらに悪いことに、リンク設定が解除されたことに伴い、リンク相手の現在位置情報を取得する機能や、リンク相手への区域内通話サービス機能が利用できなくなるので、旧リンク設定相手のユーザ10Bを探す行為自体が困難になる。
後述するように、第3の実施形態によれば、端末装置200に係る各種リンク設定解除条件に基づいたシステムによる終了・解除判定処理の実施を、端末装置200Aの動作状況、またはユーザAからの入力により、一定の時間無効化し延期させる仕組みを提供することが可能である。
[2−3−2.PBXの構成]
第3の実施形態に係るPBX100は、所定の区域内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、当該通信のための識別情報を発行された端末装置200からの情報を、上記通信のための別の識別情報を発行された別の端末装置200が取得することを可能にする、リンク設定を行うリンク設定部135と、上記リンク設定の要求を受け付けるリンク要求受付部134と、を備え、リンク設定部135は、上記リンク設定を維持するための要求が端末装置200から受信された場合には、上記リンク設定が解除されないように上記リンク設定を維持する。
さらに、リンク設定部135は、上記要求に含まれる上記リンク設定の維持時間の指示に基づいて、上記リンク設定が解除されないように上記リンク設定を維持してもよい。
以下では、第3の実施形態に係るPBX100の構成について、より詳細に説明する。なお、第3の実施形態に係るPBX100が有する構成要素は、第1の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態と異なる機能を有する構成要素についてのみ説明を行う。
(2−3−2−1.APサービス管理部131)
−リンクキープモードの維持時間長の算出
第3の実施形態に係るAPサービス管理部131は、リンクキープモードを維持する時間長の選択候補を算出する。ここで、リンクキープモードとは、端末装置200における以下の2つの処理を行うための「リンク設定の一時保管」機能を利用した状態動作を意味する。第1の処理は、例えば端末装置200Bが区域90外に一時的に移動し、短時間経過後に再び区域90内に戻ってくるような場合に、各種ワンタイムID使用終了条件またはリンク設定削除条件を一定の時間無効化する処理である。当該処理により、端末装置200Bに紐づいたワンタイムID、およびリンク設定を維持保存し続けることが可能となる。第2の処理は、端末装置200Bが「リンク設定の一時保管」機能を利用している状況であることを、端末装置200Bとリンク設定形成済みである端末装置200Aへ通知する処理である。なお、以下では、端末装置200が「リンク設定の一時保管」機能を利用した状態動作に入ることを、「端末装置200がリンクキープモードに入る」と記すことがある。
例えば、APサービス管理部131は、端末装置200の現在位置において、過去にリンクキープモードを利用した端末装置200群およびユーザ10群の統計的情報データに基づいて、「その位置・場所においてユーザ10がリンクキープモードを利用する場合に最も適切である可能性が高い長さであると推定される時間長」の順位上位値を演算し、求める。
図40は、リンクキープモードを維持する時間長の選択候補算出のためにPBX100に収集されている統計的情報データの概念図である。図40に示したグラフの横軸は、リンクキープモードでユーザ10が指定するリンクキープの維持時間長(図40に示した例では、1分間単位)であり、グラフの縦軸は、リンクキープモードで過去の端末装置200群とユーザ10群たちが指定したリンクキープ維持時間長の総回数である。例えば、過去に計1000名のユーザ10がそれぞれ1回ずつリンクキープモードを利用しており、500名が5分間、300名が3分間、200名が10分間を選択していた場合には、5分間の選択累積値は500回、3分間の選択累積値は300回、10分間の選択累積値は200回となる。このため、図40に示した例では、5分間、3分間、10分間の順に時間長の選択累積値が大きく、順位上位値はそれぞれ1位:5分間、2位:3分間、3位:10分間となっている。なお、順位が上位であるほど、リンクキープモードの維持時間長としてユーザ10がその時間長を選択する可能性が高いと推定される。
なお、上記の統計的情報データは、区域90内のエリアごとに別々に生成されることが好適である。この理由は、例えば、ショッピングモールから駐車場の自家用車へ忘れ物を取りに戻るような場合でも、ショッピングモールから出るためのゲートが駐車場から距離が近いゲートであるか、距離が遠いゲートであるかによって駐車場までの移動距離と移動時間が変わるので、選択累積値の分布結果が異なると考えられるからである。また、後述するように、端末装置200の一時的な電波環境不調によるユーザの意図しない通信遮断の場合においても、ショッピングモール内の各場所の構造や素材特性によって、電波環境不調が発生する傾向は異なる可能性がある。よって、場所を細分化し、各場所に応じた統計的情報データを用いることにより、リンクキープモード維持時間長としてより精度の高い、適切な値を推定し、そして、推定した値を選択候補として端末装置200へ提供することが可能になると考えられる。
(2−3−2−2.リンク設定部135)
第3の実施形態によるリンク設定部135は、各端末装置200のリンクキープモードの実行状態をID管理テーブルに登録する。
図41は、第3の実施形態によるID管理テーブルの構成を説明するための説明図である。図41に示したように、第3の実施形態によるID管理テーブルは、図3と比較して、「リンクキープモード」列をさらに含む。
例えば、リンクキープモードへ入る旨とユーザ10Bにより選択入力されたリンクキープモード維持時間長のデータとを含むメッセージが端末装置200Bから受信された場合には、図41に示したように、リンク設定部135は、端末装置200Bに紐づいたワンタイムID「1001」のデータ行のリンクキープモード列に、リンクキープモード維持時間長の情報を含むデータを記録する。さらに、リンク設定部135は、記録されたリンクキープモード維持時間長を、時間経過に伴いカウントダウンしていく。
図41に示した例では、ユーザ10Bにより「5分間」のリンクキープモード維持時間長が選択された後、3秒間が経過しており、残りのリンクキープモード維持時間として「4m57s」というデータが記録されている状態を示している。例えば、この時点から5秒間経過後には、リンク設定部135は、当該データを「4m52s」へ更新する。そして、PBX100は、上記の時間経過に伴い更新されるリンクキープモード維持時間長データを、端末装置200B(ワンタイムID「1001」)のリンク設定相手メンバーである端末装置200A(ワンタイムID「1000」)へ送信する。
なお、リンクキープモード維持時間長の設定値に特に制限はないが、想定される利用シーンが、例えば、ショッピングモールから駐車場の自家用車へ忘れ物を取りに戻るような場合には、30分間や1時間程度を設定の上限値として予めシステムに定めておいてもよい。
また、リンク設定部135は、ユーザ10Bが選択入力したリンクキープモード維持時間長のデータを、統計的情報データの1サンプルデータとしてPBX100内に追加記録することが可能である。なお、1サンプルデータは、時間長の指定者(ここでは、ユーザ10B)が特定不可能なように匿名化されたデータに加工されてからPBX100内に保存されてもよい。
[2−3−3.端末装置の構成]
また、第3の実施形態に係る端末装置200は、所定の区域内で提供されるアプリケーションサービスの通信のために発行された第1の識別情報をPBX100から取得するID取得部263と、上記通信のための第2の識別情報を発行された別の端末装置200との間に設定されたリンクの維持をPBX100へ要求するリンク設定要求部265と、を備える。
さらに、上記リンクの維持の要求は、上記リンクが維持される時間の指示を含んでもよい。
以下では、第3の実施形態に係る端末装置200の構成について、より詳細に説明する。なお、第3の実施形態に係る端末装置200が有する構成要素は、第1の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態と異なる機能を有する構成要素についてのみ説明を行う。
(2−3−3−1.AP部267)
−リンクキープモードへの移行設定
第3の実施形態に係るAP部267は、ユーザ10による、端末装置200のリンクキープモードへの移行用設定操作画面(以下、リンクキープモード設定画面とも称する)の呼び出し入力を受け付ける。なお、リンクキープモード設定画面の呼び出しは、端末装置200Bが区域90外へ移動しようとすることに連動し端末装置200Bにより自律的に行われてもよい。または、端末装置200Bの一時的な電波環境不調による通信遮断の場合には自動的にリンクキープモードに入ってもよい。
図42は、リンクキープモード設定画面の一例を説明するための説明図である。図42に示したように、リンクキープモード設定画面は、端末装置200Bの現在位置(図42に示した例では、ショッピングモールの出入口のひとつである「Yゲート」)、リンクキープモードに入るか否かをユーザ10に尋ねる文章、リンクキープモードに入るための「リンクキープON」ボタン、リンクキープモードに入らないための「いいえ」ボタン、および、リンクキープモードを維持する時間長の選択候補を含む。
ここで、リンクキープモードを維持する時間長の選択候補としては、「Yゲート」における統計的情報データを基にしたリンクキープモード維持時間長の上位選択候補(5分間、3分間、10分間)が示されている。例えば、ユーザ10Bは、第1位の推奨値である「5分間」のリンクキープモード維持時間長を選択し、そして、「リンクキープON」ボタンをタッチ入力することにより、端末装置200Bはリンクキープモードに入ることが可能である。
この表示例によれば、PBX100によって適切だと推奨された時間長候補のうちひとつを選択するだけでよいので、ユーザ10は操作や思考を簡略化でき、利便性が高い。
なお、ユーザ10は、表示された時間長候補の中から選択する代わりに、図42に示した「マニュアル指定」欄において、自身の希望する任意の時間を直接手入力すること(マニュアル指定)も可能である。
−リンクキープモード中の表示
また、AP部267は、端末装置200Bがリンク設定の一時保管機能を利用中である場合には、リンクキープモード中であることを示す画面(以下、リンクキープモード中画面とも称する)を表示部250に表示させる。
図43は、リンク設定の一時保管機能利用中の端末装置200Bとその時に端末装置200Aに表示される画面の一例を説明するための説明図である。図43の左図に示したように、リンクキープモード中画面は、端末装置200Bが現在区域90(Gショッピングモール)外に存在しており、現在リンクキープモードに入っていることの説明、リンクキープモードの残り維持時間(例えば「4分57秒」)、リンクキープモードを終了するための「リンクキープOFF」ボタンなどを含む。
他方、図43の右図に示したように、端末装置200Aの表示部250には、リンク設定済みのメンバーのハンドルネーム(ユーザ識別情報)、相手の状況関連情報(現在位置や推定行動)、等が表示される。
ここでは、一例として、端末装置200Aのリンク設定済みのメンバーとして、端末装置200B(ユーザ識別情報「Hanako」)だけでなく、例えば、端末装置200C(ユーザ識別情報「Kenji」)と、端末装置200D(ユーザ識別情報「Takeo」)と、が存在する場合における表示例を示している。ユーザ識別情報「Kenji」と「Takeo」については、相手の状況関連情報(現在位置や推定行動)が通常通り表示されている。一方、ユーザ識別情報「Hanako」については、現在区域90外に位置し、リンクキープモードに入っていること、また、リンクキープモードが最長でもあと「4分57秒」以内に終了すること、が示されている。
この表示例によれば、端末装置200Aのユーザ10Aは、リンク相手の端末装置200Bが通信を行えない状況であっても、現在リンクキープモードであるという状況関連情報と、どれくらいの時間経過後には再びコミュニケーションが取れそうか、という目安が得られるという効果がある。
−リンクキープモードの利用推奨
また、AP部267は、所定の条件を満たす場合には、リンク設定の一時保管機能の利用を自律的にユーザに推奨する。例えば、端末装置200Bを有するユーザ10Bが区域90から退場しようとする際、リンクキープモードに入る操作をユーザ10Bは忘れてしまう恐れがある。そこで、AP部267は、ユーザ10Bが区域90から退場しようとする行動を推定し、そして、リンクキープモードに入る操作がその際に行われていなかった場合には、図44に示すような警告画面を表示部250に自動的に表示してユーザ10Bに注意喚起を行う。
図44は、警告画面の一例を説明するための説明図である。図44に示したように、警告画面は、端末装置200Bの現在位置(図44に示した例では、ショッピングモールの出入口のひとつである「Zゲート」)、リンクキープモードに入るか否かをユーザ10に尋ねる文章、例えば図42に示したようなリンクキープモード設定画面へ移行するための「設定画面を開く」ボタン、リンクキープモード設定画面へ移行しないための「いいえ」ボタン、を含む。なお、ユーザ10Bが区域90から退場しようとする行動の推定は、区域90内における無線通信電波強度(出入口に近いほど弱い可能性や、出入口付近に備えられた無線通信アクセスポイントへの接続)や、端末装置200Bの位置と移動方向(端末装置200に備えられた加速度センサ等のデータを利用し推定してもよい)のデータ、などを利用して行われてもよい。
この表示例によれば、ユーザ10Bが区域90から退場する際にリンクキープモードに入る操作を忘れてしまうことを抑止できる。
−リンクキープモードへの自動移行
また、AP部267は、所定の条件を満たす場合には、リンク設定の一時保管機能を自律的に実行してもよい。例えば、一時的な電波環境不調による通信遮断の場合には、ユーザが気づかないうちに通信遮断状態になっており、ユーザ10が操作をしようとする際に、ワンタイムIDおよびリンク設定がすでに終了・解除されてしまっていることも想定される。そこで、このような一時的な電波環境不調による通信遮断が発生した場合には、AP部267は、ワンタイムIDおよびリンク設定の終了・解除処理が行われる前に、リンクキープモードに自動的に入るようにしてもよい。
また、このような通信遮断に伴う自動的なリンクキープモードの実行が行われるか否かは、ユーザ10Bが端末装置200Bに対して、自動実行の可否を予め設定する仕様になっていてもよい。なお、このように自動的にリンクキープモードに入るような場合には、AP部267は、リンクキープモード維持時間長を自動的に決定する。例えば、AP部267は、統計的情報データを基にしたリンクキープモード維持時間長の第1位の選択候補や、あるいは、ユーザ10Bが自動実行の可否を設定する際に手動設定した時間を、リンクキープモード維持時間長として決定してもよい。
上記のようにリンクキープモードが自動的に実行される効果として、例えばユーザ10が意図や予想しえない端末装置200の一時的な電波環境不調による通信遮断が発生した場合であっても、ワンタイムIDおよびリンク設定が不本意に終了・解除される問題の発生を抑止できることが挙げられる。例えば、リンクキープモード中に、電波環境の不調が改善し再び通信が可能になったり、または、ユーザ10Bが端末装置200を持って電波環境の良い場所に移動することによって再び通信が可能になり得るので、リンク設定を一定時間維持しておくことは有効である。
さらに、AP部267は、リンク設定の一時保管機能を自律的に実行した場合には、例えば図45に示したような自動移行画面を表示部250に自動的に表示させることも可能である。なお、図45に含まれる表示要素は、図43の左図と概略同様であるので、説明を省略する。
[2−3−4.処理の流れ]
続いて、図46を参照して、第3の実施形態に係る通信制御処理を説明する。図46は、第3の実施形態に係るリンク設定の一時保管時における通信制御処理の概略的な流れを示したシーケンス図である。なお、ここでは、区域90内において、ユーザ10A(ユーザ識別情報「Taro」)が所持する端末装置200A、およびユーザ10B(ユーザ識別情報「Hanako」)が所持する端末装置200Bが、それぞれPBX100からワンタイムIDを配布され、かつ、互いにリンク設定が形成済みであることを前提とする。
まず、ステップS901で、端末装置200BのAP部267は、ユーザ10Bによる、リンクキープモード設定画面の呼び出し入力を受け付ける。
次に、ステップS903で、端末装置200BのAP部267は、(リンクキープモード設定画面において必要となる)リンクキープモード維持時間長の上位選択候補データを要求するメッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。
次に、ステップS905で、PBX100のAPサービス管理部131は、記憶部120に記憶している、端末装置200Bの現在位置における統計的情報データに基づいて、当該位置におけるリンクキープモード維持時間長の上位選択候補データを算出する。
次に、ステップS907で、PBX100のAPサービス管理部131は、算出した、リンクキープモード維持時間長の上位選択候補データを含むメッセージを端末装置200Bへ通信部110に送信させる。
次に、ステップS909で、端末装置200BのAP部267は、受信されたリンクキープモード維持時間長の上位選択候補データを含む、例えば図42に示したような、リンクキープモード設定画面を表示部250に表示させる。さらに、AP部267は、ユーザ10Bによる、リンクキープモードへの移行操作入力を受け付ける。
次に、ステップS911で、端末装置200BのAP部267は、リンクキープモードへ入る旨とユーザ10Bが選択入力したリンクキープモード維持時間長のデータとを含むメッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。
次に、ステップS913で、PBX100のリンク設定部135は、受信されたメッセージに基づいて、ID管理テーブルにおける該当のデータを更新する。
次に、ステップS915で、PBX100のリンク設定部135は、(端末装置200Bに対応する)リンクキープモード維持時間長データを端末装置200Aへ通信部110に送信させる。なお、リンク設定部135は、時間経過に応じて当該リンクキープモード維持時間長データをカウントダウンさせ、かつ、定期的に(カウントダウン後の)リンクキープモード維持時間長データを端末装置200Aへ送信させる。
次に、ステップS917で、端末装置200AのAP部267は、例えば図43の右図に示したように、端末装置200B(ユーザ識別情報「Hanako」)がリンクキープモードへ入った旨と、(PBX100から受信される)カウントダウンされていくリンクキープモード維持時間長データを含む情報を表示部250に表示させる。
次に、ステップS919で、例えばユーザ10Bが区域90内に再入場した際に、端末装置200BのAP部267は、ユーザ10Bによる、リンクキープモードを終了するための「リンクキープOFF」ボタンの操作入力を受け付ける。または、残りのリンクキープモード維持時間がすべて経過した場合には、AP部267は、端末装置200Bのリンクキープモードを解除する処理を行う。
そして、端末装置200Bは通常のワンタイムIDおよびリンク設定サービスを利用するモードに戻る。なお、この時点においてユーザ10Bが区域90内に再入場しておらず、PBX100との通信が行えない状況である等、ワンタイムIDの終了条件およびリンク設定の解除条件をともに満たしている場合には、リンクキープモードの解除とともに、端末装置200Bに紐づいたワンタイムIDが終了され、かつリンク設定が解除される。
次に、ステップS921で、端末装置200BのAP部267は、リンクキープモードの解除処理が行われたことを含むメッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。
次に、ステップS923で、PBX100のリンク設定部135は、受信されたメッセージに基づいて、ID管理テーブルにおける該当のデータを更新する。具体的には、リンク設定部135は、ステップS913で追加されたリンクキープモード維持時間長データをID管理テーブルから削除する。すなわち、ワンタイムID「1001」のデータ行のリンクキープモード列に記録されている維持時間長データ(図41の例では「4m57s」)を「−(データなし)」(すなわち、リンクキープモードではないことを示す状態)に更新する。
次に、ステップS925で、PBX100の制御部130は、端末装置200Bに関してリンクキープモードの解除処理が行われたことを含むメッセージを端末装置200Aへ通信部110に送信させる。
次に、ステップS927で、端末装置200AのAP部267は、端末装置200B(ユーザ識別情報「Hanako」)がリンクキープモードを解除した旨を含む情報を表示部250に表示させる。そして、AP部267は、端末装置200Bに関する情報表示を、通常の(相手の状況関連情報(現在位置や推定行動)を表示する)形式に更新する。
[2−3−5.効果]
(2−3−5−1.効果1)
以上説明したように、第3の実施形態によれば、リンク設定の一時保管機能が利用されることにより、例えばユーザ10が所用により短時間だけ区域90外へ退場後に区域90へ再入場するような場合や、端末装置200の一時的な電波環境不調による通信遮断が発生した場合であっても、ワンタイムIDおよびリンク設定がユーザ10の不本意に終了されたり、解除されることがない。
また、例えば、ショッピングモールが本館と別館から成り立っており、本館と別館の建物間の移動には数分程度の屋外移動行動が必要であるなど、ワンタイムIDやリンク設定を利用できる区域90が複数の領域に分かれている場合であっても、リンク設定の一時保管機能が利用されることにより、ワンタイムIDやリンク設定が削除されずに維持される。このため、本館と別館の間をユーザ10は自由に移動することが可能となる。
(2−3−5−2.効果2)
また、PBX100から受信される統計的情報データに基づいて、端末装置200においてリンクキープモードの維持時間長の設定をユーザ10は簡便に行うことができる。
(2−3−5−3.効果3)
さらに、リンクが設定されている別の端末装置200Bのユーザ10Bは、端末装置200Aがリンクキープモードに入っていること、および、リンクキープモードの継続時間の目安を状況関連情報として知ることができる。このため、ワンタイムIDを利用した遠隔コミュニケーションの利便性がさらに向上する。
[2−3−6.変形例]
なお、例えば、ショッピングモール内の映画館における映画鑑賞中(例えば映画上映中の2時間)など、ワンタイムIDやリンク設定を利用した通話や着信等の通信をユーザ10が一時的に利用を望まない場面も想定される。このため、変形例として、リンク設定を用いた通信は、端末装置200においてオフラインモードに設定可能であってもよく、かつ、オフラインモードに設定されたことをリンク形成済みの相手ユーザに通知可能であってもよい。
例えば、ユーザ10Bにより入力された、現在の位置情報(例えば映画館)、およびオフラインモードの維持時間長(以下、オフライン期間とも称する)を含む情報が端末装置200Bから受信された場合には、PBX100は、設定されたオフライン期間には、リンク形成済みの相手ユーザからの通信要求を端末装置200Bへ送信しないように制御することが可能である。また、PBX100は、時間経過に応じてオフライン期間をカウントダウンしていき、そして、カウントダウンしたオフライン期間を随時、当該相手ユーザへ送信することも可能である。
<2−4.第4の実施形態>
以上、第3の実施形態について説明した。上述したように、第3の実施形態では、リンク設定の一時保管機能を利用することにより、リンク設定の解除を一定時間無効化または延期させる仕組みを提供する。
次に、第4の実施形態について説明する。後述するように、第4の実施形態によれば、リンク設定解除処理が行われてしまった状況において、PBX100が記憶している当該リンクの残余データを利用することにより、以前に形成されたリンク設定を遠隔の端末装置200同士で、かつ、セキュアに復元させる仕組みを提供することが可能である。
[2−4−1.PBXの構成]
第4の実施形態に係るPBX100は、所定の区域内で提供されるアプリケーションサービスの通信において、当該通信のための識別情報を発行された端末装置200からの情報を、上記通信のための別の識別情報を発行された別の端末装置200が取得することを可能にする、リンク設定を行うリンク設定部135と、上記リンク設定の要求を受け付けるリンク要求受付部134と、を備え、リンク要求受付部134は、上記リンク設定が解除された後に、上記リンクの再設定の要求を受け付け、リンク設定部135は、上記リンクの再設定の要求に基づいて、端末装置200と別の端末装置200との間で上記リンクを再設定する。
さらに、PBX100は、設定されたリンクに関する情報を記憶する記憶部120をさらに備え、リンク設定部135は、記憶部120に記憶されている、設定されたリンクに関する情報に基づいて、端末装置200と別の端末装置200との間で上記リンクを再設定してもよい。
以下では、第4の実施形態に係るPBX100の構成について、より詳細に説明する。なお、第4の実施形態に係るPBX100が有する構成要素は、第1の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態と異なる機能を有する構成要素についてのみ説明を行う。
(2−4−1−1.リンク設定部135)
−リンク設定の解除
第4の実施形態に係るリンク設定部135は、第1の実施形態とは異なり、いずれかのワンタイムIDの使用が終了された場合であっても、ID管理テーブルにおいて、当該ワンタイムIDに対応するユーザ識別情報を、他のワンタイムIDの行におけるリンク設定情報から削除しない。
ここで、図47を参照して上記の内容についてより詳細に説明する。リンク設定部135は、ワンタイムID「1001」の使用が終了した場合であっても、(例えば図11に示した第1の実施形態とは異なり)ワンタイムID「1001」に対応するユーザ識別情報(「Hanako」)を、他のワンタイムIDに対応するリンク設定情報から削除しない。つまり、図47に示したように、ワンタイムID「1000」の行においてリンク設定情報から「Hanako」は削除されずに、継続して記憶される。
ただし、ユーザ識別情報として「Hanako」が設定されたワンタイムIDはこの時点ではID管理テーブル上に(当然)存在しないので、端末装置200A(Taro)は、リンク設定情報「Hanako」を利用して別の端末装置200と各種情報のやりとり(情報取得・提供)を行うことはできない。また、端末装置200A(Taro)は、端末装置200間通信においても、リンク設定情報「Hanako」を利用することはできない。
なお、後述するように、この残されたリンク設定情報「Hanako」は、以前に形成されたことのあるリンク設定を復元させる仕組み、を実現するために利用されるデータとなる。
また、図47に示したように、第4の実施形態に係るID管理テーブルは、例えば図11に示した、第1の実施形態に係るID管理テーブルと比べて、「リンク関連情報」列をさらに含んでもよい。この「リンク関連情報」列には、各ワンタイムID行の「リンク設定情報」に含まれるユーザ識別情報の属性を示す情報が記録される。例えば、図47に示したように、リンク設定部135は、ワンタイムID「1001」の使用が終了された場合には、当該ワンタイムIDに対応する端末装置200(ユーザ識別情報「Hanako」)との間のリンク設定が解除された日時や場所などを、ワンタイムID「1000」行の「リンク関連情報」において記録しておくことが可能である。
−リンクの再設定
また、リンク設定部135は、新たにワンタイムIDを発行された端末装置200Bとの間でのリンクの再設定を承認するメッセージが端末装置200Aから受信された場合には、端末装置200Aと端末装置200Bとの間のリンク設定を行う。
ここで、図48を参照して上記の内容についてより詳細に説明する。ワンタイムID「1002」が新たに発行された端末装置200B(「Hanako」)との間でのリンクの再設定を承認するメッセージが端末装置200A(「Taro」)から受信された場合には、リンク設定部135は、図48に示したように、ワンタイムID「1002」の行においてリンク設定情報に「Taro」を追加する。これにより、端末装置200Aと端末装置200Bとの間でリンクが再設定される。
図48に示したように、端末装置200Bと紐づいたユーザ識別情報「Hanako」のデータは、ワンタイムID「1001」からワンタイムID「1002」へと、リンク設定情報が同一のまま移行される。このように、本実施形態に係るリンク設定を復元する機能は、基盤となるワンタイムIDシステムを利用する各ユーザに付与された当初のワンタイムID番号に固有に依存するものではなく、また、各ユーザに対応するワンタイムID番号の自由な変更処理を妨げることはないという特徴を有する。
なお、図48に示したように、リンク設定部135は、リンクを再設定した後には、ワンタイムID「1000」の行における「リンク関連情報」から、ユーザ識別情報「Hanako」との間のリンク設定が解除されたことの記録情報(例えば解除の日時や場所など)を削除してもよい。
[2−4−2.端末装置の構成]
また、第4の実施形態に係る端末装置200は、所定の区域内で提供されるアプリケーションサービスの通信のために発行された第1の識別情報をPBX100から取得するID取得部263と、上記通信のための第2の識別情報を発行された別の端末装置200とのリンクの設定をPBX100へ要求するリンク設定要求部265と、を備え、リンク設定要求部265は、設定されたリンクが解除された後に、上記別の端末装置200が認証された場合には、上記リンクの再設定をPBX100へ要求する。
さらに、上記別の端末装置200には、設定されたリンクが解除された後に、上記通信のための第3の識別情報が発行されていてもよい。
以下では、第4の実施形態に係る端末装置200の構成について、より詳細に説明する。なお、第4の実施形態に係る端末装置200が有する構成要素は、第1の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態と異なる機能を有する構成要素についてのみ説明を行う。
(2−4−2−1.AP部267)
−質問メッセージ送信画面の表示
第4の実施形態に係るAP部267は、以前リンクが形成されていた端末装置200の存在が検出されたことがPBX100により通知された場合には、相手ユーザ10を確認するための質問メッセージ送信画面を表示部250に表示させる。
図49の左図は、質問メッセージ送信画面の一例を説明するための説明図である。図49に示したように、質問メッセージ送信画面は、例えば、以前リンクが形成されていた端末装置200Bの存在が検出された旨を伝達するためのメッセージ通知、端末装置200Bへ送信し、相手ユーザ10Bの人物同一性(真性度)を確認するための質問メッセージの内容、および、当該質問メッセージをPBX100へ送信するか否かを入力するためのタッチパネルボタンを含む。また、メッセージ通知は、相手ユーザ10Bのユーザ識別情報(つまり、「Hanako」)を含む。
ここで、「Hanako」の人物同一性とは、検出されたユーザ識別情報「Hanako」に対応する端末装置200Bが、ユーザ10Aが以前手合い距離内でのリンク形成用操作を行ったユーザ10Bの端末装置200と同一であることを意味する。
ここで、図49に示したような質問メッセージを相手ユーザ10Bへ送信する必要性について説明する。本実施形態によるPBX100は、ユーザ識別情報の設定に関して特別条件を設けていない。このため、別の人物が、ユーザ識別情報「Hanako」を手動設定することにより人物「なりすまし」行為も可能であり、また、たまたま同名のハンドルネーム「Hanako」を利用した他のユーザ10である可能性もある。すなわち、ユーザ識別情報「Hanako」のデータを有する端末装置200Bが、本当に以前のリンク相手であるユーザ10Bの端末装置200B(旧ワンタイムID「1001」)と同一のものであるか否かを、ユーザ10A(「Taro」)が遠隔で、高い確実性を持って確認することはできない。従って、検出された「Hanako」の人物同一性の確認するためには、図49に示したように、ユーザ10Aとユーザ10Bの二人しか知り得ない、秘密の情報を媒介としたコミュニケーションを行うことが有効となる。
図49では、「私たちの結婚記念日はいつですか?」という質問メッセージが使用される例を示している。なお、図49に示したように、回答となる年月日のうち一部(例えば、年である「2011年」)はユーザ10Aが入力しておいてもよい。この入力例によれば、質問メッセージを受け取るユーザ10B(つまり、「Hanako」)も、メッセージを送ってきた「Taro」の人物同一性をある程度確認することができるという利点がある。
また、その他の質問例として、「好きなスポーツのチーム名は?」や「生まれた町名は?」、等が用いられてもよい。また、あらかじめユーザ10Aとユーザ10Bの間で共有されている「合言葉」が質問されてもよい。
また、質問メッセージは、ユーザ10が自由に考案してもよいし、PBX100が代表的な質問定型文のデータを有しており、端末装置200にそのデータを提供しても構わない。
また、図49に示したように、メッセージ通知には、例えば以前に形成していたリンク設定が解除された時間(例えば、「8」分間前)や場所(例えば、ショッピングモールのEゲート)など、相手ユーザ10Bを具体的に特定するための情報をさらに表示することも可能である。この表示例によれば、ユーザ10Aは、これらの情報を参照することにより、「Hanako」の人物同一性をある程度判断することができる。例えば、「Hanakoは無線通信環境の不調による通信不能によって8分前にワンタイムIDが不本意に削除されたことによりリンク設定も併せて削除されてしまったが、無線通信環境が好転したため、ふたたび通信が可能になり、新たなワンタイムIDが発行されて今回検出がなされたのだろう」や、または、「数分前にEゲートにいたのであれば、新たなワンタイムIDのHanakoは、旧ワンタイムIDのHanakoと同一性が高いだろう」等の推測をユーザ10Aが行うことが可能になる。
−回答メッセージ送信画面の表示
また、AP部267は、別の端末装置200による質問メッセージがPBX100から受信された場合には、回答メッセージ送信画面を表示部250に表示させる。
図50の右図は、回答メッセージ送信画面の一例を説明するための説明図である。図50に示したように、回答メッセージ送信画面は、例えば、質問メッセージが届いた旨、質問メッセージの送り手のユーザ識別情報(「Taro」)、質問メッセージの内容、回答メッセージ入力欄、および回答メッセージをPBX100へ送信するか否かを入力するためのタッチパネルボタンを含む。
図50では、回答メッセージ入力欄において、「(2011年)11月11日」と回答メッセージがユーザ20Bにより入力された例を示している。
−承認入力画面の表示
また、AP部267は、別の端末装置200による回答メッセージがPBX100から受信された場合には、承認入力画面を表示部250に表示させる。
図51は、承認入力画面の一例を説明するための説明図である。図51に示したように、承認入力画面は、例えば、回答メッセージが届いた旨、回答メッセージの送り手のユーザ識別情報(「Hanako」)、回答メッセージの内容、および端末装置200Bとリンク設定を形成することを承認するか否かを入力するためのタッチパネルボタンを含む。この承認入力画面において、「承認する」がユーザ10Aにより選択された場合には、AP部267は、端末装置200Bとの間でのリンク設定の形成を要求する再リンク承認メッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。
この表示例によれば、表示された回答メッセージの内容から、ユーザ10Aは、相手ユーザ10Bの人物同一性の程度を確認し、再びリンク設定を形成するかどうかを判断することができる。
[2−4−3.処理の流れ]
続いて、図52を参照して、第4の実施形態に係る通信制御処理を説明する。図52は、第4の実施形態に係る通信制御処理の概略的な流れを示したシーケンス図である。なお、ここでは、端末装置200Bを有するユーザ10Bが区域90外に移動したことにより、端末装置200Bに紐づいたワンタイムID「1001」の使用が終了し、そして、(第1解除条件により)リンク設定が解除された場面を前提とする。
図52に示したように、まず、ステップS1001で、第1の実施形態と同様に、「リンク設定の解除時の処理」(図25におけるS601〜S607)が行われる。
その後、ユーザ10Bが、区域90内へ再び移動したとする。
次に、ステップS1003で、第1の実施形態と同様に、「APサービスの開始時の処理」(図23におけるS401〜S413)が行われる。これにより、端末装置200Bは、PBX100から新たに発行されたワンタイムID(例えば「1002」)、およびユーザ10Bにより再設定されたユーザ識別情報(例えば「Hanako」)を使用可能になる。
次に、ステップS1005で、PBX100のID管理部133は、端末装置200Bへ新たに発行されたワンタイムID「1002」、およびユーザ識別情報「Hanako」に基づいて、ユーザ識別情報「Hanako」と同一のデータが、他の発行済みワンタイムIDデータのリンク設定情報一覧の中に含まれていないかどうかをID DB123において探索を行う。そして、他の発行済みワンタイムIDにそれぞれ対応するリンク設定情報一覧の中にユーザ識別情報「Hanako」と同一のデータが発見された場合は、S1007へ進む。なお、以下の説明では、端末装置200Aに紐づいたワンタイムID「1000」(ユーザ識別情報「Taro」)のデータ行にのみ、リンク設定情報として「Hanako」が登録されていた場合を前提として説明を行う。
次に、ステップS1007で、PBX100の制御部130は、区域90内においてユーザ識別情報「Hanako」に対応する端末装置200Bの存在が新たに検出された旨を伝達するためのメッセージを端末装置200Aへ通信部110に送信させる。
次に、ステップS1009で、端末装置200AのAP部267は、受信されたメッセージに基づいて、図49に示したような質問メッセージ送信画面を表示部250に表示させる。
次に、ステップS1011で、端末装置200Aの入力部240は、ユーザ10Aによる、質問メッセージをPBX100へ送信するための入力を受け付ける。
次に、ステップS1013で、端末装置200AのAP部267は、質問メッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。
次に、ステップS1015で、PBX100の制御部130は、端末装置200Aから受信した質問メッセージを、端末装置200Bへ送信するための呼制御処理を行う。
次に、ステップS1017で、PBX100の制御部130は、質問メッセージを端末装置200Bへ通信部110に送信させる。
次に、ステップS1019で、端末装置200BのAP部267は、受信された質問メッセージに基づいて、図50に示したような回答メッセージ送信画面を表示部250に表示させる。
次に、ステップS1021で、端末装置200Bの入力部240は、ユーザ10Bによる、回答メッセージの入力、および入力された回答メッセージを送信するための入力を受け付ける。
次に、ステップS1023で、端末装置200BのAP部267は、回答メッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。
次に、ステップS1025で、PBX100の制御部130は、端末装置200Bから受信した回答メッセージを、端末装置200Aへ送信するための呼制御処理を行う。
次に、ステップS1027で、PBX100の制御部130は、回答メッセージを端末装置200Aへ通信部110に送信させる。
次に、ステップS1029で、端末装置200AのAP部267は、受信された回答メッセージに基づいて、図51に示したような承認入力画面を表示部250に表示させる。
次に、ステップS1031で、端末装置200Aの入力部240は、ユーザ10Aによる、端末200Bとの間でリンクを再設定することを承認するメッセージ(以下、再リンク承認メッセージと称する)の入力を受け付ける。
次に、ステップS1033で、端末装置200AのAP部267は、再リンク承認メッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。
次に、ステップS1035で、PBX100のリンク設定部135は、端末装置200Aと端末装置200Bとの間のリンク設定を行う。具体的には、PBX100のリンク設定部135は、ワンタイムID「1002」のデータ行において、リンク設定情報として「Taro」を追加する。なお、リンク設定部135は、ワンタイムID「1000」のデータ行に関しては、(リンク設定情報として「Hanako」が元々存在しているので)何も変更しない。
次に、ステップS1037で、PBX100のリンク設定部135は、リンク設定完了メッセージを端末装置200Aへ通信部110に送信させる。なお、この時、端末装置200AのAP部267は、リンク設定完了メッセージを表示部250に表示させてもよい。
次に、ステップS1039で、PBX100のリンク設定部135は、リンク設定完了メッセージを端末装置200Bへ通信部110に送信させる。なお、この時、端末装置200BのAP部267は、リンク設定完了メッセージを表示部250に表示させてもよい。
[2−4−4.効果]
以上説明したように、第4の実施形態によれば、端末装置200Aおよび端末装置200Bを手合い距離内に再結集させることなく、遠隔で、かつ、人物同一性を確認可能なセキュアな再リンク設定を形成することができる。そして、再リンク設定後には、端末装置200Aと端末装置200Bとの間で、リンク設定に基づく通信を再び行うことが可能になる。
[2−4−5.変形例]
なお、第4の実施形態の変形例として、以下のような構成も適用可能である。
(2−4−5−1.変形例1)
例えば、上記の説明では、区域90内に再入場した端末装置200Bとの遠隔再リンクのために、PBX100は、ハンドルネーム「Hanako」の人物同一性(真性度)を確認する例について説明したが、かかる例に限定されず、PBX100は、端末装置200Bの機器同一性を確認するようにしてもよい。
−MAC(Media Access Control address)アドレスを用いた確認
例えば、PBX100は、端末装置200Bを示すリンク設定情報として、端末装置200Bが保有するネットワークアダプタの固有物理アドレスであるMACアドレスを取得し、記憶してもよい。そして、区域90内に再入場した端末装置200Bは、ワンタイムID「1002」配布時にMACアドレスの値を取得され、そして、PBX100は、上記S1005において、ユーザ識別情報の代わりに、MACアドレスデータの探索と照合処理を実行し、上記の検出処理を行ってもよい。
−端末個体識別番号を用いた確認
あるいは、PBX100は、端末装置200Bを示すリンク設定情報として、端末装置200Bのハードウェアに対応した端末個体識別番号(例えば、UDID(Unique Device Identifier))を取得することにより、端末装置200Bの機器同一性を確認してもよい。
−ソフトウェア構成情報を用いた確認
あるいは、PBX100は、端末装置200Bを示すリンク設定情報として、端末装置200Bのソフトウェア構成情報を取得することにより、端末装置200Bの機器同一性を確認してもよい。ここで、ソフトウェア構成情報とは、例えば、インストール済みのプログラムの数や種類、背景壁紙の種類、またはOSツールバーの表示設定、等を含む。
なお、ソフトウェア構成情報は、ユーザ10Bが端末装置200Bを操作することによって変更され得る。このため、PBX100は、例えば、複数のソフトウェア構成情報の組み合わせにより、端末装置200Bの機器同一性を確認してもよい。この方法によれば、ソフトウェア構成情報の変更の影響を小さく抑えることができ、端末装置200Bの機器同一性をより適切に確認することができる。
(2−4−5−2.変形例2)
また、別の変形例として、PBX100は、質問メッセージの代わりに、例えば指紋、音声、顔等の生体認証情報を利用することにより、ハンドルネーム「Hanako」の人物同一性(真性度)を確認するようにしてもよい。例えば、PBX100は、端末装置200Bを示すリンク設定情報として、端末装置200Bが備える各種センサを利用してユーザ10Bの指紋、音声、顔等の生体情報を取得し、記憶してもよい。そして、区域90内に再入場した端末装置200Bは、ワンタイムID「1002」配布時にユーザ10Bの生体情報を提供し、そして、PBX100は、上記S1005において、ユーザ識別情報の代わりに、生体情報データの探索と照合処理を実行し、上記の検出処理を行ってもよい。
(2−4−5−3.変形例3)
また、別の変形例として、PBX100は、端末装置200Bのソフトウェア動作用一時保管データに基づいて、端末装置200Bの機器同一性を確認するようにしてもよい。例えば、PBX100は、端末装置200Bを示すリンク設定情報として、APサービスの提供のために配布された端末装置用のソフトウェアが端末装置200Bの記憶部230内に一時保管したデータを取得し、記憶してもよい。そして、区域90内に再入場した端末装置200Bは、ワンタイムID「1002」配布時に、このソフトウェア動作用一時保管データを取得され、そして、PBX100は、上記S1005において、(ユーザ識別情報の代わりに)ソフトウェア動作用一時保管データの探索と照合処理を実行し、上記の検出処理を行ってもよい。
なお、ソフトウェア動作用一時保管データとは、例えば、ブラウザソフトウェアにおけるキャッシュやクッキーのデータに相当するものである。また、当該データは、端末装置200Bが区域90外へ移動し、APサービスの提供のために配布された端末装置200用のソフトウェアが削除された後も、残存データとして時限的に端末装置200B内に残されてもよい。また、「時限的に」とは、例えば、APサービスの提供のために配布された端末装置用のソフトウェア削除時から24時間だけ保存され、その後に自動削除されることを意味する。
(2−4−5−4.変形例4)
また、変形例1〜変形例3で述べた、リンク設定情報として他のデータを利用する方法は、複数組み合わせて実施してもよい。そして、複数組み合わせて実施することにより、ハンドルネーム「Hanako」の人物同一性や端末装置200Bの機器同一性をより適切に確認できるようになる。また、リンク設定情報として用いられるこれらのデータは、安全のため、ハッシュ化してPBX100に保存されてもよい。
(2−4−5−5.変形例5)
また、上記の説明では、リンク相手ユーザ10BのワンタイムIDおよびユーザ識別情報が削除された後であっても、ユーザ10Bのリンク識別情報は、残された方のユーザ10AのワンタイムIDに対応するリンク設定情報において残存し続ける例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、残された方のユーザ10AのワンタイムIDに対応するリンク設定情報から、ユーザ10B、つまり、削除されたリンク相手ユーザのリンク識別情報は、時限式に削除されてもよい。
より具体的には、ワンタイムID「1001」、およびユーザ識別情報「Hanako」、が削除された後、「24時間」以内に、ユーザ識別情報「Hanako」と紐づいた新たなワンタイムIDがPBX100により区域90内で検出されなかった場合は、PBX100は、ワンタイムID「1000」(ユーザ識別情報「Taro」)のデータ行のリンク設定情報から「Hanako」を削除してもよい。
<2−5.第5の実施形態>
[2−5−1.背景]
以上、第4の実施形態について説明した。次に、第5の実施形態について説明する。最初に、第5の実施形態を創作するに至った背景について説明する。
第4の実施形態では、区域90へ再入場した端末装置200が2以上の別の端末装置200との間で再リンク設定を形成する場合には、第4の実施形態で述べた方法を、相手の端末装置200の台数だけ繰り返して行う必要がある。
上記の内容についてより具体的に説明する。例えば、区域90内に、PBX100からのワンタイムID配布と互いにリンク設定形成済みの3種類のユーザ10(ユーザ10A、ユーザ10B、およびユーザ10C)と、端末装置200(端末装置200A、端末装置200B、および端末装置200C)とが存在するものとする。また、この時の、PBX100におけるID管理テーブルは、図53に示したように登録されているものとする。
ここで、端末装置200Bを有するユーザ10Bが区域90外へ移動した場合には、図54に示したように、PBX100は、端末装置200Bと紐づいたデータ(ワンタイムID「1001」)をID管理テーブルから削除する。
続いて、ユーザ10Bが区域90内へ再入場した場合には、PBX100は、端末装置200Bへ新たにワンタイムID(例えば「1003」とする)を発行する。なお、ユーザ10Bは、ユーザ識別情報として「Hanako」を再設定したものとする。
続いて、端末装置200Aと端末装置200Bとの間で、第4の実施形態におけるステップS1005〜S1035と同様の処理により、遠隔で、再リンク設定が形成されたとすると、PBX100におけるID管理テーブルの状態は、図55に示したようになる。
ここで、仮に端末装置200Bと端末装置200Cとの間においても、第4の実施形態と同様の方法を実施すれば、確かに再リンク設定の形成が可能である。しかしながら、当初リンクが設定されていた相手端末装置200の台数が例えば5台以上など多数であった場合において、全ての相手端末装置200との間でリンクを再設定しようとすると、相手端末装置200の数だけ、第4の実施形態と同様の方法を行う必要がある。このため、端末装置200Bのユーザ10Bに少なからぬ作業負荷がかかることになる。
ところで、今、端末装置200Aと端末装置200Bとの間では再リンク設定の形成処理により人物同一性の確認が完了している。また、端末装置200Aと端末装置200Cとの間においても、既に最初のリンク設定が形成されているので、人物同一性の確認が完了している。よって、端末装置200Aを介することで、端末装置200Bと端末装置200Cは、人物同一性の確認のためのプロセスを省略して再リンク設定を形成したとしても、同一でない人物と誤ってリンク設定を形成してしまう可能性はほとんど無いと考えられる。
後述するように、第5の実施形態によれば、端末装置200Bおよび端末装置200Cとそれぞれリンクが設定されている端末装置200Aを仲介した通信を行うことにより、端末装置200Bは、人物同一性の確認のためのプロセスを省略して、端末装置200Cとの間で再リンクを設定することが可能である。
[2−5−2.処理の流れ]
続いて、図56を参照して、第5の実施形態に係る通信制御処理を説明する。図56は、第5の実施形態に係る通信制御処理の概略的な流れの一例を示すシーケンス図である。
なお、ここでは、端末装置200A、端末装置200B、および端末装置200Cはそれぞれ互いにリンク設定を形成していたが、端末装置200Bの区域90からの退場に伴いリンク設定が解除されたこと、および、その後、端末装置200Aと端末装置200Bとの間でのみ第4の実施形態で述べた方法を用いて再びリンク設定が形成されたことを前提としている。また、図56では、簡略化のためPBX100を図示していないが、後述するステップS1103、S1105、S1111、S1117等の、各端末装置200間のメッセージ送受信を含む通信はすべてPBX100を介して行われるものとする。
図56に示したように、まず、ステップS1101で、端末装置200Cの入力部240は、ユーザ10Cによる、端末装置200Aがリンク設定済みである相手メンバーの中に端末装置200Bが存在しているか否かを問い合わせるメッセージを端末装置200Aへ送信するための入力を受け付ける。
次に、ステップS1103で、端末装置200CのAP部267は、入力されたメッセージをPBX100を介して端末装置200Aへ送信させる。
次に、ステップS1105で、端末装置200Aは、端末装置200Aの現在のリンク設定済みの相手メンバーの中に端末装置200Bが存在しているか否かの情報を含む、リンクメンバー情報メッセージをPBX100を介して端末装置200Cへ送信する。
なお、このリンクメンバー情報メッセージは、端末装置200Aの現在のリンク設定済みの相手メンバーの情報、すなわち、端末装置200Aのリンク設定情報の全てを含んでいてもよいし、または、指定された相手メンバー(つまり、端末装置200B)が端末装置200Aのリンク設定情報の中に含まれるか否かの情報(例えば、「Yes」/「No」のブール値データ)だけを含んでいてもよい。
また、AP部267は、リンクメンバー情報メッセージを送信する前に、リンクメンバー情報メッセージを端末装置200Cへ送信してよいかを確認するメッセージを表示部250に表示させ、そして、承認する旨の入力がユーザ10Aによりなされた場合に限り、リンクメンバー情報メッセージを送信させてもよい。
次に、ステップS1107で、端末装置200CのAP部267は、受信したリンクメンバー情報メッセージの内容を表示部250に表示させる。
次に、ステップS1109で、まず、ユーザ10Cは、表示されたリンクメンバー情報メッセージから、端末装置200Aのリンクメンバーとして端末装置200Bが含まれていることを確認する。そして、端末装置200Cの入力部240は、ユーザ10Cによる、端末装置200B宛の再リンク承認依頼メッセージを中継送信する依頼メッセージを端末装置200Aへ送信するための入力を受け付ける。
次に、ステップS1111で、端末装置200CのAP部267は、端末装置200B宛の再リンク承認依頼メッセージを中継送信する依頼メッセージをPBX100を介して端末装置200Aへ送信させる。
次に、ステップS1113で、端末装置200AのAP部267は、受信された、端末装置200B宛の再リンク承認依頼メッセージを中継送信する依頼メッセージの内容を表示部250に表示させる。
次に、ステップS1115で、まず、ユーザ10Aは、表示された、端末装置200B宛の再リンク承認依頼メッセージを中継送信する依頼メッセージの内容を確認する。そして、端末装置200Aの入力部240は、ユーザ10Aによる、端末装置200B宛の再リンク承認依頼メッセージを端末装置200Bへ送信することを承認する入力を受け付ける。
次に、ステップS1117で、端末装置200AのAP部267は、端末装置200B宛の再リンク承認依頼メッセージと、当該メッセージを端末装置200Aが中継送信することを承認したことを示すメッセージと、を併せてPBX100を介して端末装置200Bへ送信させる。
次に、ステップS1119で、端末装置200BのAP部267は、例えば図57に示したような承認入力画面を表示部250に表示させる。
図57に示したように、承認入力画面は、端末装置200B宛の再リンク承認依頼メッセージ、当該メッセージを端末装置200Aが中継送信することを承認したことを示すメッセージ、および(再リンク承認依頼メッセージの送信元である)端末装置200Cとのリンク設定を再び形成することを承認するか否かを入力するためのタッチパネルボタンを含む。
この承認入力画面において、ユーザ10B(「Hanako」)は、ユーザ10A(「Taro」)(つまり、ユーザ10Bが信頼して現在リンクしているユーザ)が信頼しているユーザ10C(「Kenji」)は、ユーザ10Bにとっても人物同一性の観点で信頼できるユーザ10Cであろう、という考え方に基づいて、遠隔に位置するユーザ10Cとの再リンク承認の可否を判断することができる。
なお、図57において、端末装置200C(ユーザ識別情報「Kenji」)が端末装置200B(ユーザ識別情報「Hanako」)の旧リンクメンバーであったことを示すメッセージが表示されているが、このメッセージは、例えば、ID管理テーブルにおいて端末装置200Cのリンク設定情報にユーザ識別情報「Hanako」のデータが残っていること等によりPBX100が生成することが可能である。
次に、ステップS1121で、端末装置200Bの入力部240は、ユーザ10Bによる、端末装置200Cとの再リンク承認メッセージをPBX100へ送信することを承認する入力を受け付ける。
次に、ステップS1123で、端末装置200BのAP部267は、入力された、再リンク承認メッセージをPBX100へ第2通信部220に送信させる。その後、PBX100のリンク設定部135は、端末装置200Bと端末装置200Cとの間のリンク設定を行う。具体的には、リンク設定部135は、ワンタイムID「1003」のデータ行において、リンク設定情報として「Kenji」を追加する。
図58は、ステップS1123完了時におけるID管理テーブルの状態を示した説明図である。図58に示したように、端末装置200Bと紐づいたユーザ識別情報「Hanako」のデータは、新ワンタイムID「1003」のデータ行において、図53に示した旧ワンタイムID「1001」の状態とリンク設定情報が同一のまま移行されている。つまり、元のリンクが再設定されたことになる。
その後、リンク設定部135は、リンク設定完了メッセージを端末装置200Bまたは端末装置200Cへ通信部110に送信させることも可能である。さらに、端末装置200Bまたは端末装置200CのAP部267は、受信したリンク設定完了メッセージを表示部250に表示させることも可能である。
[2−5−3.効果]
以上説明したように、第5の実施形態によれば、第4の実施形態と比べて、人物同一性の確認のためのプロセスを省略することにより、端末装置200Bと端末装置200Cとの間のリンク再設定をより少ない通信回数、および、より少ないユーザ入力回数で、簡便に実現することが可能となる。
[2−5−4.変形例]
なお、図56に示したシーケンスでは、端末装置200Aを介して端末装置200Cから端末装置200Bへ依頼メッセージを送信する流れについて説明したが、かかる例に限定されない。例えば、逆の流れ、すなわち、一度区域90外へ出た端末装置200Bが端末装置200Aとの間で再リンク形成を行い、そして、端末装置200Aを介して、端末装置200Cへ依頼メッセージを送信する流れに関しても、本実施形態は同様に適用可能である。
<<3.変形例>>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、2つの端末装置間の双方向のリンク設定が行われる例を説明したが、本発明はこれに限られない。一方の端末装置から他方の端末装置へのリンク設定が行われてもよい。この場合に、例えば、一方の端末装置からの情報を他方の端末装置が取得することができてもよく、他方の端末装置からの情報を一方の端末装置が取得することができてもよい。
また、2つの端末装置間のリンク設定が行われる例を説明したが、本発明はこれに限られない。3つ以上の端末装置でのリンク設定が行われてもよい。
また、例えば、ID管理テーブルのリンク設定情報にユーザ識別情報が含まれる例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、ID管理テーブルのリンク設定情報にワンタイムIDが含まれてもよい。この場合に、ID管理テーブルには、ワンタイムIDに対応するユーザ識別情報が含まれなくてもよい。そして、例えば、リンク設定要求メッセージには、ユーザ識別情報が含まれず、要求側のワンタイムIDと相手側のワンタイムIDとが含まれてもよい。また、例えば、端末装置間でユーザ識別情報及びワンタイムIDの組合せを交換され、端末装置はワンタイムIDからユーザ識別情報を特定してもよい。
また、リンク設定要求メッセージが両方の端末装置により送信される例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、リンク設定要求メッセージは、一方の端末装置からのみ送信されてもよい。この場合に、例えば、リンク設定要求メッセージは、要求側のワンタイムIDと相手側のワンタイムIDとを含んでもよい。
また、ワンタイムIDが4桁の数字である例を説明したが、本発明はこれに限られない。ワンタイムIDは一意性を有する任意の識別情報であってもよい。
また、ワンタイムIDがID管理テーブルに予め用意されている例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、ワンタイムIDは、発行される都度生成され、ID管理テーブルに記憶されてもよい。また、ワンタイムIDは、使用終了とともに、ID管理テーブルから削除されてもよい。
また、PBXの呼制御機能として、二者間通話機能の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。PBXの機能は三者間通話機能、割り込み通話機能、転送機能等のいくつかの機能を含んでもよい。この場合に、リンク設定は、アプリケーションサービスにおける双方向通信を可能にするので、リンク設定された端末装置200の間でPBXの機能(三者間通話機能、割り込み通話機能、転送機能等)を利用できる。
また、端末装置がスマートフォンである例を説明したが、本発明はこれに限られない。端末装置は、スマートフォン以外の携帯電話端末、携帯情報端末(Personal Digital Assistant)、電子書籍端末、携帯ゲーム機器、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラを含む、他の装置であってもよい。また、PBXと端末装置とが通信するためのネットワークがLANである例を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、上記ネットワークは、他のネットワークを含んでもよい。例えば、ネットワークは、無線LANアクセスポイントの代わりにまたは追加で、PHS(Personal Handy-phone System)のような別の無線通信方式のアクセスポイントまたは基地局を含んでもよい。また、ネットワークは、WANと複数のLANとを含んでもよい。この場合に、PBXは、各LANに接続可能な区域に位置する通信装置とネットワークを介して通信する交換機であってもよい。また、ネットワークには、端末装置以外に、PC(Personal Computer)、サーバ、プリンタ等の別の通信装置が接続されていてもよい。この場合に、PBXは、これらの通信装置の呼制御、区域内IDからIPアドレスの変換等を行ってもよい。
また、PBXが区域内ID(ワンタイムIDを含む)とIPアドレスとを対応して記憶する例を説明したが、本発明はこれに限られない。区域内ID(ワンタイムIDを含む)とMACアドレス(Media Access Control address)とが対応して記憶されてもよい。この場合、PBXは、区域内IDをMACアドレスに変換し、これらの端末装置200間のセッションを確立するようにしてもよい。
また、端末装置の第1通信部が無線通信を行う例を説明したが、本発明はこれに限られない。第1通信部は、無線通信の代わりに、有線通信を行なってもよい。
また、ネットワーク側の機能がPBXに集約されている例を説明したが、本発明はこれに限られない。PBXに集約されている各機能は、複数の装置に分散されてもよい。例えば、要求受付部及びリンク設定部は、PBXと別の装置(例えば、サーバ)に備えられてもよい。
また、所定の区域がショッピングモールの敷地である例として説明したが、所定の区域はこれに限定されない。例えば、所定の区域は、銀行、病院、空港、家電量販店、イベント会場、遊園地、レストラン等の任意の敷地であってもよい。また、当然のことながら、所定の区域は、顧客がいる場所に限られず、企業の事務所、学校等の敷地であってもよい。
また、APサービスが、区域内通話サービス又は区域内地図サービスである例を説明したが、本開示はこれに限られない。APサービスとして、区域に適合する様々なサービスが採用され得る。
また、本明細書の通信制御処理における処理ステップは、必ずしもフローチャートに記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、通信制御処理における処理ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。
また、通信制御装置(例えば、PBX)及び端末装置に内蔵されるCPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のハードウェアに、上記通信制御装置及び端末装置の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。
また、第1の実施形態による「APサービスの開始時の処理」の変形例として、以下のような構成も適用可能である。例えば、端末装置がAPサービス検索要求メッセージ(S401)を送信する際、端末装置200が最新の送信先(アドレス(ネットワーク20におけるPBX100のネットワーク識別子))を取得した後にAPサービス検索要求メッセージを送信するようにしてもよい。なお、端末装置200が最新の送信先を取得する処理として以下3つの処理の何れかが適用できる。
第1の取得処理は、端末装置200が、通信事業者のネットワークを介した通信(固定IDを使用した通信)で受信する信号に基づきAPサービス検索要求メッセージの送信先を取得し保持する。第2の取得処理は、端末装置200が区域90内に入り、第2通信部220がネットワーク20への接続を確立する際、ネットワーク20から受信する信号に基づきAPサービス検索要求メッセージの送信先を取得し保持する。第3の取得処理は、端末装置200が、第1通信部210を介した通信(NFC又は赤外線通信の無線通信)で受信する信号に基づきAPサービス検索要求メッセージの送信先を取得し保持する。この場合、送信先の情報を記憶しNFC又は赤外線通信の無線通信に対応して送信先の情報を送出する装置(例えば自動取引装置(キオスク(KIOSK)))や、送信先の情報を記憶しNFCで送信先の情報を送出するICチップ等が区域90内やその他の場所に設置され、第1通信部210がそれらと通信し信号を受信する。上述した第1〜3の取得処理の何れかにより最新の送信先を取得できたならば、端末装置200は最新の送信先に対しAPサービス検索要求メッセージ(S401)を送信する。
なお、上述した第3の取得処理のように、端末装置200が第1通信部210を介した通信(NFC又は赤外線通信の無線通信)で受信する信号に基づき取得した情報(アドレス)を用いて第2通信部220を介した通信を行う場合、第1通信部210を介した通信で受信する信号に基づき取得した情報についての正常性判断処理をしてもよい。例えば、端末装置200が正常性判断処理において正常と判断したならば第2通信部220を介した通信を行い、異常と判断したならば第2通信部220を介した通信を行わない。なお、端末装置が行う正常性判断処理として以下2つの処理の何れかが適用できる。
第1の正常性判断処理は、端末装置200が、第1通信部210を介した通信で受信する信号に基づき取得した情報がIPアドレスで指定されたURLであるかどうか識別し、IPアドレスで指定されていたならば正常と判断する。より具体的には、スキーム名とホスト名とパス名とからなるURLについて、ホスト名がIPアドレスで指定されているか識別し、IPアドレスで指定されていたならば正常と判断する。他方、ホスト名がドメイン名(PBX100のIPアドレスに対応したネットワーク20におけるドメイン名(PBX100のローカルホスト名とネットワーク20のドメイン名とからなるホスト名)やネットワーク20以外のネットワークに配されたサーバのドメイン名(サーバのローカルホスト名とサーバが配されるネットワークのドメイン名とからなるホスト名))で指定されていたならば異常と判断する。
第2の正常性判断処理は、端末装置200が、第1通信部210を介した通信で受信する信号に基づき取得した情報がリダイレクト(URL redirection)されるURLであるかどうか識別し、リダイレクトされないURLであったならば正常と判断する。より具体的には、端末装置200は、第1通信部210を介した通信で情報(URL)を取得すると、URLを用いてHTTPリクエストを送出(仮接続)し、HTTPリクエストに対するHTTPレスポンスを受信するとHTTPレスポンスにリダイレクトのステータスコード(300番台)(HTTPレスポンスのStatusフィールドから取得)が含まれているか識別し、含まれない場合に正常と判断する。正常と判断する場合、端末装置200は、再びURLを用いてHTTPリクエストを送出(本接続(S401))する。他方、HTTPレスポンスにリダイレクトのステータスコードが含まれる場合に異常と判断する。異常と判断する場合、端末装置200は、リダイレクトのステータスコードと共に取得したリダイレクト先URL(HTTPレスポンスのLocationフィールドから取得)とリダイレクト先URLへの接続可否操作ボタン(「YES」or「NO」)とを表示部250に表示しユーザ10に選択させるようにしてもよい。さらに、異常と判断する場合、端末装置200は、リダイレクトのステータスコードと共に取得したリダイレクト先URLとステータスコードの概要(ステータスコード301について「恒久的に移動しました。」、ステータスコード303について「他を参照します。」、ステータスコード307について「一時的にリダイレクトされます。」等)とリダイレクト先のURLへの接続可否操作ボタンとを表示部250に表示しユーザ10に選択させるようにしてもよい。