JP6519615B2 - 変性シス−1,4−ポリブタジエンの製造方法 - Google Patents
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式(1)において、Yは水素、水酸基、アルケニル基または炭素数1〜10のアルコキシ基、Z1、Z2は水素、水酸基、アルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。
シス−1,4−ポリブタジエンは、遷移金属化合物を含有する重合触媒の存在下、1,3−ブタジエンを重合することにより製造することができる。
重合触媒に用いられる遷移金属化合物としては、コバルト化合物、ニッケル化合物およびチタン化合物などを挙げることができるが、コバルト化合物が好適に用いられる。触媒系としては、コバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物および水からなる触媒系またはコバルト化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、水および有機アルミニウム
化合物からなる触媒系が好ましい。
(R’は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部ハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である)。R’としてはメチル、エチル、プロピル、イソブチル基が挙げられるが、メチル基及びエチル基が好ましい。アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム及びその混合物などが挙げられる。
1,3−ブタジエンの重合は、例えば、次のように行う。まず、内部を窒素置換した耐圧容器に1,3−ブタジエンと溶媒を仕込み、次いで、水、分子量調節剤及びハロゲン含有有機アルミニウム化合物を仕込んで攪拌する。耐圧容器を所定の温度にした後、遷移金属重合触媒を仕込み、重合を開始する。重合は、常圧または10気圧(ゲ−ジ圧)程度までの加圧下に行われる。
重合時間は5分〜12時間の範囲が好ましく、10分〜6時間が特に好ましい。また、
本発明で用いるシス−1,4−ポリブタジエンのムーニー粘度は10〜120、好ましくは15〜100、より好ましくは、20〜90である。ムーニー粘度が上記範囲より大きいと加工が困難であり、上記範囲より小さいと耐摩耗性や低ロス性が低下するので好ましくない。
本発明の変性シス−1,4−ポリブタジエンは、ルイス酸および有機ハロゲン化合物の存在下、シス−1,4−ポリブタジエンと変性剤である下記一般式(1)で表される1〜3価の芳香族化合物を反応させることにより製造することができる。
式(1)において、Yは水酸基、アルケニル基または炭素数1〜10のアルコキシ基、Z1、Z2は水素、水酸基、アルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。
上記変性剤の例として、アニソール、フェネトール、n−プロポキシベンゼン、イソプロポキシベンゼン、n−ブトキシベンゼン、イソブトキシベンゼン、sec−ブトキシベンゼン、n−ペンチルオキシベンゼン、イソペンチルオキシベンゼン、ネオペンチルオキシベンゼン、n−ヘキシルオキシベンゼン、(2−エチルブチルオキシ)ベンゼン、n−オクチルオキシベンゼン、n−デシルオキシベンゼン、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシベンゼン、1,3−ジエトキシベンゼン、1,4−ジエトキシベンゼン、1,2−ジ−n−プロポキシベンゼン、1,3−ジ−n−プロポキシベンゼン、1,4−ジ−n−プロポキシベンゼン、1,2−ジ−n−ブトキシベンゼン、1,3−ジ−n−ブトキシベンゼン、2−エトキシ−メトキシベンゼン、3−エトキシ−メトキシベンゼン、4−エトキシ−メトキシベンゼン、2−プロポキシ−メトキシベンゼン、3−プロポキシ−メトキシベンゼン、4−プロポキシ−メトキシベンゼン、1,4−ジ−n−ブトキシベンゼン、1,2−メチレンジオキシベンゼン、1,2,3−トリメトキシベンゼン、1,2,4−トリメトキシベンゼン、1,3,5−トリメトキシベンゼン、フェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、3−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、2、6−ジメトキシフェノール、3、4−ジメトキシフェノール、3、5−ジメトキシフェノール、カテコール、3−メトキシカテコール、レゾルシノール、2―メトキシレゾルシノール、5―エトキシレゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノンジメチルエーテル、アネトール、サフロール、イソサフロール、オイゲノール、メチルオイゲノール、イソオイゲノール、メチルイソオイゲノール、ピロガロール、ピロガロールトリメチルエーテル、フロログルシノール、フロログルシノールトリメチルエーテルなどの化合物および、アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、フェニル基などを1つ、もしくは2つ有するフェノールやアニソール、前述のアルキル基を有するカテコール、グアヤコール、グエトールなどが挙げられる。この中でもアルコキシベンゼン、カテコール誘導体、レゾルシン誘導体からなる群より選択された1種以上の変性剤を用いることが好ましく、特にアニソール、フェネトール、アネトール、ベラトロール、1,3−ジメトキシベンゼン、1,3−ジエトキシベンゼン、1,2−メチレンジオキシベンゼン、サフロール、イソサフロール、メチルイソオイゲノールが好ましい。また、これらのうち2種類以上を組み合わせて使用しても問題ない。
変性反応に用いられるルイス酸は、一般に知られているものが使用可能である。その代表例は金属または半金属のハロゲン化物であって、例えばBe、B、Al、Si、P、S、Ti、V、Fe、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Nb、Mo、Cd、Sn、Sb、Te、Hf、Ta、W、Hg、Bi、Uなどの元素、またはPO、SeO、SO、SO2、VOなどの酸素−元素結合体のハロゲン化物、もしくは有機ハロゲン化物、またはこれらの錯体などである。さらに具体的には、BF3、BF3・O(C2H5)2、(CH3)2BF、BCl3、AlCl3、AlBr3、(C2H5)AlCl2、POCl3、TiCl4、VCl4、MoCl6、SnCl4、(CH3)SnCl3、SbCl5、TeCl4、TeBr4、FeCl3、WCl6、Sc(OTf)3、Hf(OTf)3、Sb(OTf)3、Bi(OTf)3、およびGa(OTf)3などが挙げられる。中でも好ましいのはアルミニウムのハロゲン化物または有機ハロゲン化物であり、例えば、上記のコバルト系触媒に用いられるハロゲン含有アルミニウム化合物と同じものを用いることができる。
変性反応に用いられる有機ハロゲン化合物は、ルイス酸と反応してカルボカチオンを生成するものであれば特に制限はなく、例えば、下記一般式(2)で表されるハロゲン化アルキルを用いることができる。
式(2)において、R3、R4は水素、クロル、ブロムまたは炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、クロル置換アルキル基、アルコキシ基などであり、R5はクロル、ブロムまたは炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、クロル置換アルキル基、アルコキシ基などであり、Xはクロル、ブロムなどのハロゲンである。R3およびR4が水素である場合は、R5はアリール基であることが好ましい。上記のアルキル基は、飽和あるいは不飽和であってもよく、また、直鎖状、分岐状または環状のものであってもよい。
式(3)において、R6は水素、クロル、ブロムまたは炭素数1〜12のアルキル基、アリール基、クロル置換アルキル基、アルコキシ基などであり、Xはクロル、ブロムなどのハロゲンである。
変性反応は、重合停止後、重合系中に残留している未反応モノマーやその他オレフィンガスを除去した後に行うことが好ましい。重合系にハロゲン含有アルミニウム化合物などのルイス酸成分が含まれている場合は、1,3−ブタジエンの重合に引き続き変性反応を行うのが好適である。
本発明の変性シス−1,4−ポリブタジエンの変性度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を用いる手法により算出する。これについて、図1に基づいて詳細に説明する。
変性度=B/A
内部を充分窒素置換した1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに、1,3−ブタジエンを30.3重量%含有するシクロヘキサン−C4留分混合溶液500mL(シクロヘキサン37.3重量%、シス−2−ブテンを主成分とするC4留分を31.2重量%含有)を仕込み、次に水1.1mmol、ジエチルアルミニウムモノクロライド1.6mmolを加えて攪拌を行ない、シクロオクタジエン7.3mmolを添加した。オートクレーブを昇温し、60℃に内温が到達してから、コバルトオクトエート0.003mmolを加えて、60℃で25分間重合反応を行なった。重合反応後に変性剤1,3−ジメトキシベンゼンを9mmol添加し、オートクレーブ内のガスを3L(除去量3倍)、0.1MPaまで放圧した。次に70℃まで昇温し、t−ブチルクロライド3.2mmolを添加して15分反応した。老化防止剤を添加後、重合体をエタノールで析出させ、80℃で3時間真空乾燥した。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤を1,2−メチレンジオキシベンゼンとした他は、実施例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をサフロールとした他は、実施例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をイソサフロールとした他は、実施例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をアネトールとした他は、実施例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をベラトロールとした他は、実施例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をメチルイソオイゲノール(MIE)とした他は、実施例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
内部を充分窒素置換した1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに、1,3−ブタジエンを30.3重量%含有するシクロヘキサン−C4留分混合溶液500mL(シクロヘキサン37.3重量%、シス−2−ブテンを主成分とするC4留分を31.2重量%含有)を仕込み、次に水1.1mmol、ジエチルアルミニウムモノクロライド1.6mmolを加えて攪拌を行ない、シクロオクタジエン7.3mmolを添加した。オートクレーブを昇温し、60℃に内温が到達してから、コバルトオクトエート0.003mmolを加えて、60℃で25分間重合反応を行なった。重合反応後に変性剤1,3−ジメトキシベンゼンを9mmol添加し、70℃まで昇温した。次いで、t−ブチルクロライド3.2mmolを添加して15分反応した。老化防止剤を添加後、重合体をエタノールで析出させ、80℃で3時間真空乾燥した。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤を1,2−メチレンジオキシベンゼンとした他は、比較例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をサフロールとした他は、比較例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をイソサフロールとした他は、比較例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をアネトールとした他は、比較例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をベラトロールとした他は、比較例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
変性剤をメチルイソオイゲノールとした他は、比較例1と同様に反応を行った。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
内部を充分窒素置換した1.5リットル容量のステンレス製のオートクレーブに、1,3−ブタジエンを30.3重量%含有するシクロヘキサン−C4留分混合溶液500mL(シクロヘキサン37.3重量%、シス−2−ブテンを主成分とするC4留分を31.2重量%含有)を仕込み、次に水1.1mmol、ジエチルアルミニウムモノクロライド1.6mmolを加えて攪拌を行ない、シクロオクタジエン7.3mmolを添加した。オートクレーブを昇温し、60℃に内温が到達してから、コバルトオクトエート0.003mmolを加えて、60℃で25分間重合反応を行なった。老化防止剤を添加して重合を停止させ、重合体をエタノールで析出させた後、80℃で3時間真空乾燥した。得られたシス−1,4−ポリブタジエンの物性を表1に示した。
Claims (4)
- 遷移金属化合物および有機アルミニウム化合物を含有する重合触媒によって1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを製造し、次いで、この重合系内に有機アルミニウム化合物と反応してカルボカチオンを発生させる有機ハロゲン化合物および下記一般式(1)で表される2〜3置換の芳香族化合物を添加して、シス−1,4−ポリブタジエンと下記一般式(1)で表される2〜3置換の芳香族化合物とを反応させることを特徴とする、変性シス−1,4−ポリブタジエンの製造方法において、反応系から未反応のモノマー及びその他オレフィンガスを除去した後、上記2〜3置換の芳香族化合物を用いて変性反応を行う変性シス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
式(1)において、Yは水素、水酸基、アルケニル基または炭素数1〜10のアルコキシ基、Z1、Z2は水素、水酸基、アルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、Y、Z1、Z2は、全てが同時に水素ではなく、官能基を2つ以上有し、少なくとも1つはアルコキシ基を有するものである。 - 請求項1記載のモノマー及びその他オレフィンガスの除去量が容器内の気体の容量に対して、1〜3.5倍であることを特徴とする請求項1記載の変性シス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
- 請求項1記載のモノマー及びその他オレフィンガスが、ブタジエン及びブテンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の変性シス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
- 2〜3置換の芳香族化合物が、フェノール誘導体、カテコール誘導体、レゾルシン誘導体、ヒドロキノン誘導体、2〜3置換の芳香族系アルケニル化合物からなる群より選択された1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変性シス−1,4−ポリブタジエンの製造方法。
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