JP6519022B2 - ベルトコンベアのベルト残厚の評価方法、装置及びプログラム - Google Patents
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Description
ベルトコンベアでは、使用によりベルト摩耗が進み、ベルトの厚さが薄くなる。ベルトコンベアは生産性を維持する上で重要な設備であり、日常的にベルト摩耗量、見方を替えればベルト残厚を管理することが求められる。
例えばベルトコンベアの定期検査で、ベルト残厚を検査することが考えられる。しかしながら、ベルトコンベアを停止して検査するのでは生産性低下を招くことから、稼動中のベルトコンベアのベルト残厚をオンラインで評価する技術が求められている。
また、特許文献2には、1つ又は複数のリブを有するサーペンタイン・ベルトについて、ベルトの画像を撮影して、リブを特徴的外観として検出することによりベルト摩耗を判定する技術が開示されている。
また、特許文献2の技術では、画像を判定材料とするため、ベルトがリブ等の特徴的外観を持つことが必要となり、ベルトの種別が限られてしまう。
また、本発明のベルトコンベアのベルト残厚の評価方法の他の特徴とするところは、前記評価式は、ベルト残厚/ベルト元厚と、走行抵抗/初期走行抵抗との関係として表わされる点にある。
また、本発明のベルトコンベアのベルト残厚の評価方法の他の特徴とするところは、ベルトの厚み方向への食い込みに関して、ベルトコンベアの走行抵抗とベルト残厚との関係を表わす第1の関係式を求め、ベルトの撓みに関して、ベルトコンベアの走行抵抗とベルト残厚との関係を表わす第2の関係式を求め、前記第1の関係式と前記第2の関係式とを用いて前記評価式が設定される点にある。この場合に、前記第1の関係式は、ベルト残厚とローラのベルトに対する接触角との関係、及び、ローラのベルトに対する接触角とベルトコンベアの走行抵抗との関係に基づいて求められ、前記第2の関係式は、ベルト残厚とローラのベルトに対する接触角との関係、及び、ローラのベルトに対する接触角とベルトコンベアの走行抵抗との関係に基づいて求められる。
本発明は、ベルトコンベアのベルト残厚を評価するベルト残厚の評価装置であって、ベルトコンベアの走行抵抗を入力変数としてベルト残厚を求める評価式に基づいて、ベルト残厚を評価する手段を備えたことを特徴とする。
本発明は、ベルトコンベアのベルト残厚を評価するためのプログラムであって、ベルトコンベアの走行抵抗を入力変数としてベルト残厚を求める評価式に基づいて、ベルト残厚を評価する処理をコンピュータに実行させる。
図1に、実施形態に係るベルト残厚の評価装置100の機能構成を示す。ベルト残厚の評価装置100は、稼動中のベルトコンベアを対象として、ベルトコンベアの走行抵抗を入力変数としてベルト残厚を求める評価式に基づいて、ベルト残厚をオンラインで評価する。対象とするベルトコンベアは、複数本のローラが等間隔に配置される構造を有する。
t/t0=a×(Fh/Fh0)b・・・(1)
ベルトの厚み方向への食い込みに関して、走行抵抗とベルト残厚との関係を表わす第1の関係式を求める。第1の関係式は、以下に述べるように、ベルト残厚とローラのベルトに対する接触角(以下、単に接触角と呼ぶ)との関係、及び、接触角と走行抵抗との関係に基づいて求められる。
接触角とは、図2に示すように、ローラ201がベルト202に接触する範囲がなす角度であり(図2では2θ1)、巻き付き角とも呼ばれる。接触角が大きければ走行抵抗は増加し、接触角が小さければ走行抵抗は減少する傾向となる。
Kt=K0/t・・・(2)
dt(θ)=r−r・cos(θ1−θ)=r(1−cos(θ1−θ))・・・(3)
式(5)に基づいて、ベルト残厚/ベルト元厚(t/t0)と、接触角θ1との関係を表わすと、図4の特性線401が得られる。この場合に、ベルト元厚t0を用いて無次元化することにより、垂直力Fvc、弾性係数K0、半径rを考慮しなくてもよくなる。
Fh/Fh0=−0.6404×(t/t0)2+1.558×(t/t0)+0.0429・・・(8)
ベルトの撓みに関して、走行抵抗とベルト残厚との関係を表わす第2の関係式を求める。第2の関係式は、以下に述べるように、ベルト残厚と接触角との関係、及び、接触角と走行抵抗との関係に基づいて求められる。
図6に示すように、ベルト202の横断面においてベルト幅b、ベルトの厚さtとすると、断面二次モーメントIはbt3/12と表わされる。
また、図7に示すように、長さlの点で荷重Pを受けたときのベルト202の撓みwは、ヤング率をEとして、Pl3/3EIで表わされる。
また、傾きをw´とすると、tanw´はw/lで表わされる。図2に点線で示すように、接触範囲の端点でベルト202がローラ201に対して接線方向に延出すると考えると、傾きw´はθ1とみなすことができる。この場合に、実情に合わせるには指数関数として表現するのが良いことから、式(9)のように指数xを導入して、ベルトの厚さtは、式(10)で表わされるものとする。すなわち、ベルト残厚tの増加により角度θ1は減少する。指数xは、実績とのフィッティングにより定める。本実施形態ではx=0.25とした。
式(9)に基づいて、ベルト残厚/ベルト元厚(t/t0)と、接触角θ1との関係を表わすと、図8の特性線801が得られる。この場合に、ベルト元厚t0を用いて無次元化することにより、荷重P、長さl、ヤング率E、ベルト幅bを考慮しなくてもよくなる。
Fh/Fh0=1.0326×(t/t0)-1.484・・・(11)
以上のように、ベルトの厚み方向への食い込み量が与える影響を考慮して、式(8)の第1の関係式が得られる(ここでは第1の関係式を[Fh/Fh0]1と記す)。
また、ベルトの撓みが与える影響を考慮して、式(11)の第2の関係式が得られる(ここでは第2の関係式を[Fh/Fh0]2と記す)。
第1の関係式[Fh/Fh0]1と第2の関係式[Fh/Fh0]2とは独立しているとして、式(12)のように、これらを乗算したものを評価式とする。
Fh/Fh0=[Fh/Fh0]1×[Fh/Fh0]2・・・(12)
図9に、式(12)で得られる、走行抵抗/初期走行抵抗(Fh/Fh0)と、ベルト残厚/ベルト元厚(t/t0)との関係を表わす特性線を示す。横軸が走行抵抗/初期走行抵抗(Fh/Fh0)、縦軸がベルト残厚/ベルト元厚(t/t0)である。
図9の特性線に基づいて、出力変数をベルト残厚/ベルト元厚(t/t0)、入力変数を走行抵抗/初期走行抵抗(Fh/Fh0)とする近似式を求めると、式(1)´が得られ、これを評価式として設定する。
t/t0=1.0237×(Fh/Fh0)-1.235・・・(1)´
式(1)´の評価式を用いたベルト残厚の評価精度を確認した。
対象とするベルトコンベアについて、ベルト元厚t0が15.7mm、初期走行抵抗Fh0が12.7Nと得られている。
走行Fhが20.9Nであったので、式(1)´の評価式より、ベルト残厚/ベルト元厚(t/t0)は0.57となる。
一方、評価時における実際のベルト残厚が9.4mmであったので、ベルト残厚/ベルト元厚の実績値は0.59となる。
このように実績値に対して十分な精度を持つ評価を行えるという結果が得られた。
本発明を適用したベルト残厚の評価装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により実現される。なお、図1では評価装置100を一台の装置として図示したが、例えば複数台の装置により構成される形態でもかまわない。
また、本発明は、本発明の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
101:入力部
102:評価部
103:出力部
201:ローラ
202:ベルト
Claims (6)
- ベルトコンベアのベルト残厚を評価するベルト残厚の評価方法であって、
ベルトコンベアの走行抵抗を入力変数としてベルト残厚を求める評価式に基づいて、ベルト残厚を評価することを特徴とするベルトコンベアのベルト残厚の評価方法。 - 前記評価式は、ベルト残厚/ベルト元厚と、走行抵抗/初期走行抵抗との関係として表わされることを特徴とする請求項1に記載のベルトコンベアのベルト残厚の評価方法。
- ベルトの厚み方向への食い込みに関して、ベルトコンベアの走行抵抗とベルト残厚との関係を表わす第1の関係式を求め、
ベルトの撓みに関して、ベルトコンベアの走行抵抗とベルト残厚との関係を表わす第2の関係式を求め、
前記第1の関係式と前記第2の関係式とを用いて前記評価式が設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトコンベアのベルト残厚の評価方法。 - 前記第1の関係式は、ベルト残厚とローラのベルトに対する接触角との関係、及び、ローラのベルトに対する接触角とベルトコンベアの走行抵抗との関係に基づいて求められ、
前記第2の関係式は、ベルト残厚とローラのベルトに対する接触角との関係、及び、ローラのベルトに対する接触角とベルトコンベアの走行抵抗との関係に基づいて求められることを特徴とする請求項3に記載のベルトコンベアのベルト残厚の評価方法。 - ベルトコンベアのベルト残厚を評価するベルト残厚の評価装置であって、
ベルトコンベアの走行抵抗を入力変数としてベルト残厚を求める評価式に基づいて、ベルト残厚を評価する手段を備えたことを特徴とするベルトコンベアのベルト残厚の評価装置。 - ベルトコンベアのベルト残厚を評価するためのプログラムであって、
ベルトコンベアの走行抵抗を入力変数としてベルト残厚を求める評価式に基づいて、ベルト残厚を評価する処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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