JP6518574B2 - 溶接監視装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の技術は、溶接状況をカメラで監視する遠隔監視方法において、溶接部における監視対象である溶融池、アーク、開先の状態を鮮明に撮像するため600〜800nmを中心波長として、100nm以下の範囲の幅の波長を透過する干渉フィルタをCCDカメラの前面に配し、シャッタースピードを選択して切り替えられる制御装置により、前記それぞれの各対象に合わせた最適なシャッタースピードによって撮像したアーク、溶融池の情報と、同様に最適なシャッタースピードによってガスシールドアーク溶接では、電圧が小さい時、ティグ溶接では、電流が小さい時に撮像した溶融池、開先内情報と画像処理装置により設定された画面のマスク位置にそれぞれを合成して、モニタ出力することで鮮明な画像を表示して、開先線倣いを含めた溶接条件制御を行う溶接状況の遠隔監視方法を開示する。
とはいえ、特許文献1のような技術を用いて、溶接状況を撮像した場合、あらかじめ設定した矩形領域ごとに、最適なシャッタースピード(または露光時間)で撮像した画像を合成するので、溶融池とワーク、カメラの位置関係がずれると、矩形領域に入らないケースが出てくる虞がある。また、矩形領域に入る/入らないかで見え方が大きく変わり、溶接作業者が見ると違和感を感じ、正しく溶接状況を映し出しているとは言い難い。例えば、オペレータにとって、溶融池とギャップの境界がきちんと溶けているかどうかが、融合不良などの溶接欠陥を防ぐために重要であるが、それらを正しく観察できない。また、あらかじめ矩形領域を設定する作業も発生し、溶接作業者にとって手間である。
本発明の溶接監視装置は、溶接作業が行われているワーク上に存在する溶接部を撮像部で撮像し、撮像された画像を表示モニタに映し出し、前記表示モニタをオペレータが目視することで、前記溶接部の状況を監視する溶接監視装置において、前記撮像部が、前記溶接部における高輝度領域を撮像するのに適した露光条件で「高輝度画像」を撮像すると共に、前記溶接部における低輝度領域を撮像するのに適した露光条件で「低輝度画像」を撮像するように構成され、前記撮像部が撮像した「高輝度画像」と「低輝度画像」とを、前記表示モニタにそれぞれ交互に表示させる画像合成部を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記画像合成部は、前記「高輝度画像」と「低輝度画像」とが白黒濃淡画像の場合、前記「高輝度画像」と「低輝度画像」との少なくとも一方に色データを付加し、その上で、「低輝度画像」において所定の閾値を超えた輝度データを、「高輝度画像」の輝度データに置換することで、前記合成画像を作成するように構成されているとよい。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本実施形態にかかる溶接監視装置1の概略を示す。
この溶接監視装置1は、溶接対象物(ワークW)に溶接を行う溶接ロボットなどに設けられている。溶接ロボットは、例えば垂直多関節型の6軸の産業用ロボットであり、その先端に溶接トーチ2が設けられている。
撮像部3は、1台の撮像カメラ3から構成される。撮像カメラ3はCCD撮像素子やCMOS撮像素子を内蔵したカメラであり、撮像するためのレンズを備えている。このレンズには、減光フィルタや帯域フィルタ(赤外波長のみを通す干渉フィルタ)を取り付けることが好ましい。これらフィルタにより溶融池を撮影しやすくなり、撮像画像として、主に溶接トーチ2の先端部、ワークW上に形成された溶融池、溶接後のビード部などを含む画像を得ることができる。
本実施形態において、表示モニタ6に映し出された画像(映像)は、アーク光、溶融池のような高輝度の領域のみならず、溶接ワークWや開先などの低輝度の領域までもが鮮明に映し出されたものとなっており、溶接に携わるオペレータがこの表示モニタ6を見ることで、溶接状況を確実に目視確認することができるようになる。
以下、図1,図2をもとに、溶接監視装置1で行われる画像の処理技術、特に画像合成部5での画像処理の詳細について説明する。
さて、溶接状況を適切に撮像しようと考えた場合、溶接条件や撮像カメラ3側の撮像条件によって、最適な露光時間は変わる。例えば、溶接電流200A、溶接電圧25V、レンズ絞りF8のとき、高輝度領域であるアーク光や溶融池を観察する場合は、露光時間50μsec程度が望ましい(撮像条件H)。溶接ワークWや開先部(ギャップ)を観察する場合は、露光時間5000〜10000μsec程度が望ましい(撮像条件L)。
図2の左上側に示される如く、得られた低輝度画像は、溶接部Tにおける低輝度領域(溶接ワークW、ギャップ)を撮像するのに適した露光時間で撮像されたものであり、溶融池、アークは輝度飽和状態で真っ白に映し出される一方で、溶接ワークW、ギャップは適度な輝度で映し出される。
その後、2種類の画像は画像合成部5に転送され、画像合成部5では、高輝度画像と低輝度画像をそのまま交互に切り替えて、表示モニタ6上に表示する。
表示モニタ6に映像を映し出す信号がNTSC信号の場合、例えば、1フレームごと(1/30秒ごと)に、高輝度画像と低輝度画像を交互に表示するようにする。すなわち、nフレーム目に高輝度画像を表示した場合、n+1フレーム目に低輝度画像を表示し、n+2フレーム目に高輝度画像を表示する(以降同じ)。なお、交互に表示させる際の切り替えタイミングや各画像の輝度などは、適宜変更可能である。
一方で、高輝度画像に鮮明に映り込んだ溶融池、アークの領域はオペレータの印象に残りやすい。この印象は、次のフレームへ切り替わったとしても、オペレータの脳内に鮮明な画像として温存され、次のフレームで表示される低輝度画像に加算される形で、オペレータに認識される。次フレームに表示される低輝度画像には、溶接ワークW、ギャップの領域が鮮明に映り込んでいるため、結果的に、高輝度画像と低輝度画像をそのまま交互に切り替えて、表示モニタ6上に表示することで、オペレータには、高輝度領域(溶融池、アークの領域)と、低輝度領域(溶接ワークW、ギャップの領域)の両方が鮮明に映し出された画像が認識されることになる。
[変形例]
以上述べた溶接監視装置1に関し、その変形例について以下説明する。特に画像合成部5における処理の変形例について、説明する。
そこで、本変形例では、高輝度画像と低輝度画像とを画像処理的に合成した合成画像を作成し、作成した合成画像を表示モニタ6へ表示するようにしている。このように、画像処理により合成した合成画像を表示することで、ちらつきもなく目視確認しやすいものとなる。
まず、1つめの方法として(変形例1)、高輝度画像と低輝度画像との輝度の加算平均をとることで、合成画像を作成する方法が採用できる。すなわち、「合成画像の輝度=(高輝度画像の輝度+低輝度画像の輝度)/2」とするとよい。変形例1の方法で作成した合成画像を図3の左側に示す。
なお、今回開示された各実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された各実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 溶接トーチ
3 撮像部(撮像カメラ)
4 画像蓄積部
5 画像合成部
6 表示モニタ
T 溶接部
W ワーク
Claims (5)
- 溶接作業が行われているワーク上に存在する溶接部を撮像部で撮像し、撮像された画像を表示モニタに映し出し、前記表示モニタをオペレータが目視することで、前記溶接部の状況を監視する溶接監視装置において、
前記撮像部が、前記溶接部における高輝度領域を撮像するのに適した露光条件で「高輝度画像」を撮像すると共に、前記溶接部における低輝度領域を撮像するのに適した露光条件で「低輝度画像」を撮像するように構成され、
前記撮像部が撮像した「高輝度画像」と「低輝度画像」とを、前記表示モニタにそれぞれ交互に表示させる画像合成部を備える
ことを特徴とする溶接監視装置。 - 溶接作業が行われているワーク上に存在する溶接部を撮像部で撮像し、撮像された画像を表示モニタに映し出し、前記表示モニタをオペレータが目視することで、前記溶接部の状況を監視する溶接監視装置において、
前記撮像部が、前記溶接部における高輝度領域を撮像するのに適した露光条件で「高輝度画像」を撮像すると共に、前記溶接部における低輝度領域を撮像するのに適した露光条件で「低輝度画像」を撮像するように構成され、
前記撮像部が撮像した「高輝度画像」と「低輝度画像」とを基に合成画像を作成し、作成した合成画像を前記表示モニタに表示させる画像合成部を備えるものであって、
前記画像合成部は、前記撮像部が撮像した「高輝度画像」の輝度と「低輝度画像」の輝度とを加算平均することで、合成画像を作成するように構成されていることを特徴とする溶接監視装置。 - 前記撮像部が、「高輝度画像」と「低輝度画像」とを交互に撮像するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接監視装置。
- 前記画像合成部は、「低輝度画像」において所定の閾値を超えた輝度データを、「高輝度画像」の輝度データに置換することで、前記合成画像を作成するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の溶接監視装置。
- 前記画像合成部は、前記「高輝度画像」と「低輝度画像」とが白黒濃淡画像の場合、前記「高輝度画像」と「低輝度画像」との少なくとも一方に色データを付加し、その上で、「低輝度画像」において所定の閾値を超えた輝度データを、「高輝度画像」の輝度データに置換することで、前記合成画像を作成するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の溶接監視装置。
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