JP6515419B2 - 金属酸化物ナノワイヤーの製造方法およびナノワイヤー - Google Patents

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Description

本発明は、金属酸化物ナノワイヤーの製造方法に関し、より詳細には、合金をアルカリ処理する工程を含む金属酸化物ナノワイヤーの製造方法に関する。また、本発明は、このような方法で得られる、高いBET比表面積を有する金属酸化物ナノワイヤーに関する。
酸化チタン、酸化セリウム、セリアジルコニア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バナジウム、酸化タングステン等の金属酸化物は、色素増感太陽光電池、光触媒、触媒担体、蛍光体、除湿剤、吸着剤、顔料等に広く用いられており、例えば、放射性イオンの吸着にチタン酸塩のナノファイバーを用いることを提案する報告がある(非特許文献1及び2参照)。これらの用途における性能の向上に対して金属酸化物構造物に要求される主な特性の1つは、高い比表面積である。また、排気ガス浄化装置で利用される金属酸化物のように、高温条件下で利用される金属酸化物では、高温条件下でも、高い比表面積が維持されて、高い触媒活性等の活性を発揮し得ることが重要な特性となる。
上述の金属酸化物のナノ構造物の製造方法としては、ゾルゲル法、水熱法、界面活性剤鋳型法、陽極酸化法、炭酸アンモニウムを用いる方法、合金の酸化による方法等、種々の手法が開発されており、高い比表面積を達成するための手段も種々検討されている。
例えば、中山らは、過塩素酸水溶液を含む電解質溶液中で、チタンを主成分とする合金を陽極酸化することで、アスペクト比が20以上、直径が10〜500nm、長さが1〜50μmのナノチューブ形状のチタニアを製造する方法を開示している(特許文献1参照)。
池上らは、セリウム塩水溶液と炭酸アンモニウム水溶液を一定比で混合し、50℃〜85℃の温度範囲で熟成してアンモニウムセリウムカーボネイトを合成し、このカーボネイトを300℃〜500℃の温度範囲で仮焼する、粒子の直径が15nm以下の針状セリウム粒子の製造法を提案している(特許文献2参照)。この方法で得られた針状粒子の比表面積は130m/gであったことが示されている。
Miaoらは、加熱ゾルゲルテンプレート法で、150〜200nmの直径、数μmの長さのTiOナノロッドを得たことを報告している(非特許文献3参照)。この方法で得られたナノロッドは、10nm以下の直径のナノ結晶の凝集物であることが示されている。
Pavasupreeらは、アセチルアセトンを用いて加水分解と縮合反応を遅くしたゾルゲル法で、幅50〜100nm、厚さ数nmであり、直径3〜4nmの孔を有し、BET比表面積が642m/gであり、細孔容積が0.774cm/gの多孔質のTiOナノシートを得たことを報告している(非特許文献4参照)。
Guoらは、前駆体として塩化セリウム8水和物、鋳型として硫酸ドデシルナトリウムを用いる界面活性剤鋳型法により、最大で457m/gの比表面積を有するCeOナノ粒子が得られたことを報告している(非特許文献5参照)。得られたナノ粒子は、200℃〜600℃までの焼成では、BET比表面積が457〜200m/gへと徐々に減少するが、600℃を超えると著しく減少し、700℃で59m/g、800℃で21m/gのBET比表面積になることが報告されている。
Luらは、ポリエチレンオキシド(PEO)−ポリプロピレンオキシド(PPO)−ポリエチレンオキシド(PEO)を界面活性剤として使用し、アンモニアを添加した、セリウムトリクロリド7水和物の分散液を、200℃、16時間加熱し、その後500℃で5時間焼成することで、直径10〜50nmで、長さが数μmで、BET比表面積が134.1m/gのCeOナノワイヤーを得たことを報告している(非特許文献6参照)。
また、Wangらは、ZnOナノロッドアレイをテンプレートとして用い、これを順にNaOH溶液、脱イオン水、及びCe(NO溶液に60℃、20回浸し、500℃、30分加熱処理の後、得られたメソポーラス多結晶のCeOナノシェルで覆われたZnOナノロッドアレイを、HNO処理して、ZnOナノロッドを溶解し、ナノチューブ形状の酸化セリウムを製造する方法を提案している(非特許文献7参照)。この方法で、比表面積109m/gを有するナノチューブが得られたことが報告されている。
水熱法によるナノ構造物の製造方法としては、例えば、春日らが、結晶チタニア原料を18〜55外掛け重量%の水酸化ナトリウムで18〜120℃でアルカリ処理して、直径5〜80nm、肉厚2〜10nmのナノチューブ形状のチタニアを製造する方法を提案している(特許文献3及び4参照)。
また、内田らは、酸化チタンを、5〜25モル/kgの水酸化カリウム溶液で、70〜150℃で10〜30時間水熱処理して、直径が2〜80nm、軸方向の長さが100nm以上、比表面積が200〜1000m/gの繊維状の酸化チタンを得る方法を提案している(特許文献5参照)。但し、実施例で得られた繊維形状の酸化チタンの比表面積等の値は明らかではない。
また、阪本らは、酸化チタンを、5モル/l以上の濃度の水酸化カリウム溶液で、160℃より高い温度で1〜24時間水熱処理して、直径が8〜50nm、長さが0.5μm以上、比表面積が45〜300m/gの板状の酸化チタンを得る方法を提案している(特許文献6参照)。
長尾らは、セリウム塩を、4M以上の濃度の水酸化ナトリウム溶液で、80℃〜130℃の温度で12〜36時間水熱処理して、幅が平均2〜15nmで、長さが平均20〜400nmである角柱形状の酸化セリウムナノロッドが得られたことを報告している(特許文献7参照)。
魏らは、酸化チタンを、10Mの濃度の水酸化ナトリウム溶液で、80℃〜160℃の温度で短時間(1〜24時間)水熱処理して、最長方向の長さが10〜300nmで、比表面積が500m/g以上(実施例では最大588m/gの比表面積を有するシートが得られている)のシート状の酸化チタンが得られたことを報告している(特許文献8参照)。
Luらは、水熱反応によるチタナートナノ構造物の製造において、ナノ構造の変化がどのようにして生じるのかについて総括的な報告をしており、ナノ粒子が凝集し薄層化してナノシートが形成され、ナノシートが巻き上がってナノチューブが形成され、ナノチューブが縦に結合して延長し、ナノチューブが凝集してナノワイヤー及びナノロッドが形成されることを明らかにしている(非特許文献8参照)。
Jitputtiらは、酸化チタンを、10M水酸化ナトリウム溶液で、150℃で72時間水熱処理し、その後300〜1000℃の加熱処理をして酸化チタンナノワイヤーを得たことを報告している(非特許文献9参照)。この報告では、水熱処理後の加熱処理温度によって、結晶構造が変化することを明らかにしており、300〜400℃の温度では、TiO(B)に変換し、500〜800℃の温度ではアナターゼ型に変換し、900〜1000℃ではルチル型に変換すると報告されている。また、加熱処理温度が高いほどBET比表面積は減少し、600℃では31.1、700℃以上では、14.4以下となることが示されている。
Leeらは、α‐Ti及びTi合金を、酸素を制限した条件で酸化するTiOナノワイヤーの成長方法を記載し(非特許文献10参照)、Arafatらは、Ti−6Al−4V粒子上で、熱酸化によりTiOナノワイヤーを成長させる方法を記載している(非特許文献11参照)。
特許第4585212号公報 特開2003−252622号公報 特開平10−152323号公報 特開平2002−241129号公報 特開2006−272329号公報 特開2012−211030号公報 特開2012−223667号公報 特開2005−206426号公報 特開2003−252622号公報
Zhu et al, "Capture of Radioactive Cesium and Iodide Ions from Water by Using Titanate Nanofibers and Nanotubes", Angew. Chem. Int. ed. 2011, 50 10594 Dong Jiang Yang et al., "Titanate Nanofibers as Intelligent Absorbents for the Removal of Radioactive Ions from Water", Advanced Materials 2008, 20, 2777-2781 Lei Miao et al, "Fabrication, characterization and Roman study of anatase TiO2 nanorods by heating-sol-gel template process", Journal of crystal Growth 264 (2004) 246-252 Pavasupree et al, "Synthesis and Dye-Sensitized Solar Cell Performance of Nanorods/Nanoparticles TiO2 from High Surface Area Nanosheet TiO2", J. Nanosci. Nanotech., 6 [12] 3685-3692 (2006). Mei-Na Guo et al, "Nano-sized CeO2 with extra-high surface area and its activity for CO oxidation", Materials Letters 64 (2010), 1638-1640 Lu et al, "The surfactant-assisted synthesis of CeO2 nanowires and catalytic performance for CO oxidation", Powder Technology 239 (2013) 415-421 Wang et al, Microporous and Mesoporous Materials 171 (2013), 196-200 Lu et al, "A systematic study on evolution mechanism of titanate nanostrucrures in the hydrothermal process", Chemical Physics Letters 508 (2011) 258-264 Jitputti et al, Catalysis Communications 9 (2008) 1265-1271 Huyong Lee et al., Journal of Nanomaterials, Volume 2010, Article ID 503186, 7pages Arafat et al., Ceramics International, Volume 39, Issue 6, August 2013, Pages 6517-6526
ナノ構造物の形状を比表面積との関係から見ると、一般には、微細な粒子や中空のナノチューブの形状が有利である。一方、粒子形状のナノ構造物は、その凝集体の電気抵抗が大きいといった欠点や、凝集して粒子径が増大し易く、長期の使用、特に高温での長時間の使用によって比表面積が著しく低減してしまうといった欠点がある。また、中空のナノチューブでも、高温に曝される環境下では、その形状を維持することができず比表面積が著しく低減してしまうといった問題がある。一方、中実のナノワイヤーやナノロッドは、導電性に優れ、高温環境でもその形状を維持することができ、比表面積の減少が少ないといった利点がある。しかし、通常、粒子状やナノチューブ状のナノ構造物ほどに高い比表面積を有することは困難であるし、ナノワイヤーやナノロッドを水熱法で製造する場合には、高温などの厳しい条件が必要になり、工業生産上不利な点を有していた。
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、穏和な条件で実施でき、高い比表面積を有する金属酸化物ナノワイヤーが得られる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、従来の酸化物ナノワイヤーでは達成できない高い比表面積を有し、耐熱性に優れた金属酸化物ナノワイヤーを提供することを目的とする。
本発明者らは、金属酸化物のナノ構造物の製造条件について種々検討を重ねた結果、出発原料について、アルカリで溶出する両性元素と、ナノ構造物を構成するための金属元素及び任意でドーピング剤としての非金属元素とを含む合金に着目し、これにアルカリ処理をしたところ、室温などの極めて穏和な条件で金属酸化物のナノ構造物を得られることを見出した。このナノ構造物の形状等を電子顕微鏡等で確認したところ、得られたナノ構造物は非常に細いワイヤー形状を有し、中には複数のくびれを有するものもあった。また、高温での耐性が高く且つ高い比表面積を有するものであった。本発明はこのような興味深い知見に基づきなされたものである。
従って、本発明に係る金属酸化物ナノワイヤーの製造方法は、少なくとも1種の金属元素(M)と、少なくとも1種の両性金属元素(A)とを含み、任意でドーピング剤としての非金属元素(D)を含む合金を、アルカリ処理する工程を有することを特徴とする。
本発明に関するナノワイヤーは、本発明に係る金属酸化物ナノワイヤーの製造方法によって得られる、金属酸化物及び/又はその塩からなることを特徴とする。本発明に関するナノワイヤーは、複数のくびれを有し、当該くびれ部分の直径が2〜4nmであることが好ましい。本願明細書では、このような形状を有するナノワイヤーを「モーグル型ナノワイヤー」ということがある。
本発明に係るナノワイヤーは、直径が2〜4nmで、BET比表面積が600〜670m/gである酸化チタンナノワイヤー、または、セリアジルコニア固溶体から成り、直径2〜4nmで、600℃〜800℃の何れかの温度での焼成後のBET比表面積が85〜171m /gであることを特徴とする。また、本発明に関するナノワイヤーは、BET比表面積が200〜400m/gである、酸化チタン塩ナノワイヤー、400℃〜800℃の何れかの温度での焼成後BET比表面積が80〜300m/gである酸化セリウムのナノワイヤーであってもよい。
本発明に係る金属酸化物ナノワイヤーの製造方法によれば、非常に穏和な条件で金属酸化物のナノワイヤーを製造することができ、典型的には室温、常圧の条件で製造することができる。
また、得られる金属酸化物は、ナノワイヤー形状を有することから、耐久性、機械的強度、導電性及び耐熱性に優れ、例えば500℃を超える高温下でもワイヤー形状を維持し、温度上昇に伴う比表面積の減少が緩やかであるといった特性を有する。また、ナノチューブとの比較では、触媒担体として利用する際に担持面が総て外を向いていることから、触媒利用効率を高める面で利点を有する。
加えて、得られる金属酸化物のナノワイヤーは、非常に細く、中には従来のナノワイヤーでは見られなかったくびれを有するものがあり、従来のナノワイヤーでは達成できなかった高い比表面積を有する。その値は、従来のナノチューブに匹敵又はこれを超えるものであり、これらと同レベル以上の高い触媒活性、吸着能等の特性を期待することができる。
本明細書において「ナノワイヤー」とは、3つの次元のうち、2つの次元のサイズがあまり違わず、かつナノスケール(およそ1nmから100nmまでの大きさの範囲)であり、残る1つの次元のサイズがそれらより著しく大きいナノ物質を意味する。また、本明細書において「両性元素」とは、少なくともアルカリ(典型的にはアルカリ金属水酸化物水溶液)に溶解する元素を意味する。また、本明細書において「ナノワイヤーを構成する金属元素」とは、アルカリ処理の際に、アルカリによって溶出せずにナノワイヤー形状の金属酸化物を形成する金属元素を意味する。また、本明細書において「非金属元素」とは、ナノワイヤーを構成する金属酸化物の特性を変化させるためのドーピング剤として含有される金属以外の微量成分を意味する。
本明細書において「ナノワイヤーの直径」とは、例えばくびれなどを有しナノワイヤーの位置によって値が異なる場合には、小さな値となる部分の直径を意味するものとする。
本発明の製造方法で用いる合金は、アルカリ処理で溶出する両性元素とアルカリ処理後に金属酸化物を構成する所望の金属元素とを含むものであればよく、適宜目的とするナノワイヤーに応じて種々の組成の合金を選択することができる。
両性元素としては、例えば、Al、Zn、Sn、Pb、Ga、及びHgを挙げることができ、これらの元素の1種又は2種以上を含むことができる。価格が比較的安く、アルカリと速やかに反応し、融点及び沸点が扱い易く合金化が容易である点からは、アルミニウムが好ましい。
ナノワイヤーを構成する金属元素としては、例えば、Ti、Ce、Zr、Pd、La、Fe、Co、V、Mn、Ag、Pt、Y、Mo、Cr、Cu、Ni、Nb、Ru、Rh、Ta、In、Au、Hf、Ir、Ge、Bi、及びWを挙げることができ、これらの元素の1種又は2種以上を含むことができる。これら金属元素は、形成するナノワイヤーに応じて適宜選択すればよく、求める特性に応じて2種以上の元素を適宜組合せることができる。例えば、Ti又はCeと共にZrを含む合金を利用して、高温(例えば600℃を超える温度)に対する耐性が増大したナノワイヤーを得ることができる。また、Ti又はCeと共にNb及び/又はTaを含む合金を利用して、導電性が向上したナノワイヤーを得ることができる。また、Ti又はCeと共にCo及び/又はCuを含む合金を利用して可視光吸収を持ち、可視光応答性の光触媒への応用が期待し得るナノワイヤーを得ることができる。また、酸化タングステンは触媒として有用であり、酸化セリウムは担体として有用であるので、Ceと共にWを含む合金を利用してCeO−WO複合体を形成し、浄化触媒や液相反応触媒へ応用できる。
本発明においては、合金を用いてナノワイヤーを製造することから、上述した両性金属及びナノワイヤーを構成する金属元素と共に、N、Si、B、As、S、Sb、及びP等の非金属元素をドーピング剤として微量含む合金を利用してナノワイヤーを容易に製造することができ、従来の水熱法では困難であった各種特性(耐熱性、比表面積、導電性、可視光吸収能等)をナノワイヤーに付与し得る。例えば、Ti又はCeなどの金属元素にSiをドーピングした合金を利用して、より比表面積が大きなナノワイヤーを得ることができる。また、Ti又はCeなどの金属元素にNやPをドーピングした合金を利用して、可視光を吸収可能なナノワイヤーを得ることができ、光触媒としての利用が期待できる。また、Ti又はCeなどの金属元素にBをドーピングした合金を利用して、電気伝導性が大きなナノワイヤーを得ることができる。
本発明において、金属元素(M)と両性元素(A)との原子数比(M:A)は、所望の直径及び比表面積を有するワイヤー形状とするために目的とするナノワイヤーに応じて調整することが好ましく、細く比表面積の大きなナノワイヤーを形成する点からは、これらの原子数比(M:A)を50:50〜2:98とすることが好ましく、25:75〜2:98とすることがより好ましく、20:80〜3:97とすることが更に好ましく、10:90〜5:95とすることが特に好ましい。
また、複数の金属元素を組合せる場合には、目的とする特性が得られるように適宜組合せる金属元素の原子数比を調整することが好ましい。例えば、Ti、Ceなどのナノワイヤーを構成する主たる(原子数比で総金属元素の50%を超える量含有する)金属元素(M1)にZr(M2)を組合せる場合には、典型的には原子数比(M1:M2)を30:1〜3:1程度とすることが好ましく、1:20〜1:5程度とすることがより好ましい。また、Ti、Ceなどのナノワイヤーを構成する主たる金属元素(M1)にTa、Nb、Co、Cu等の他の金属元素を組合せる場合には、典型的には原子数比(M1:M2)を100:1〜10:1程度にすることが好ましく、50:1〜5:1程度にすることがより好ましい。
非金属元素(D)は、上述の通り、ドーピング剤として、ナノワイヤーを構成する金属元素に対して任意で微量含有されるものである。非金属元素の量も、目的の特性が得られるように、ナノワイヤーを構成する金属元素の種類及び非金属元素の種類に応じて変わり得るが、金属元素(M)と、非金属元素(D)との原子数比(M:D)を100:0〜50:50とすることが好ましく、100:0〜75:25程度とすることがより好ましく、100:0〜95:5程度とすることが更に好ましい。
また、金属元素(M)及び非金属元素(D)と、両性金属元素(A)との原子数比(M+D:A)を、90:10〜1:99とすることが好ましい。
本発明の方法で用いられる合金の例としては、例えばTiaAld(式中、a:dは、好ましくは25〜1:75〜99であり、より好ましくは10〜2:90〜98である)、TiAl(式中、a:c:dは、好ましくは25〜1:2〜5:70〜97であり、より好ましくは10〜2:1〜2:88〜96である)、TiZrAl(式中、a:b:dは、好ましくは25〜1:1〜25:50〜98であり、より好ましくは10〜2:10〜2:80〜96である)、TiSiAl(式中、a:b:dは、好ましくは25〜1:1〜5:70〜98であり、より好ましくは10〜2:1〜2:88〜96である)TiNbAl(式中、a:b:dは、好ましくは25〜1:2〜5:73〜94であり、より好ましくは10〜2:1〜2:88〜96である)、TiAl(式中、a:b:dは、好ましくは25〜1:1〜5:70〜98であり、より好ましくは10〜2:1〜2:88〜96である)、CeAl(式中、a:dは、好ましくは25〜1:75〜99であり、より好ましくは10〜2:90〜98である)、CeSiAl(式中、a:c:dは、好ましくは25〜1:2〜5:70〜97であり、より好ましくは10〜2:1〜2:88〜96である)、CeZrAl(式中、a:b:dは、好ましくは25〜1:1〜25:50〜98であり、より好ましくは10〜2:10〜2:80〜96である)、WAl(式中、a:dは、好ましくは25〜1:75〜99であり、より好ましくは10〜2:90〜98である)、WZrAl(式中、a:b:dは、25〜1:1〜25:50〜98であり、より好ましくは10〜2:10〜2:80〜96である)を挙げることができる。
なお、合金を調製するための各物質は、如何なる原料又は方法で得られたものでもよい。
合金は、市販されているものを用いてもよく、既知の方法を利用して製造してもよい。製造方法としては、例えば、単純に2種類以上の金属及び任意でドーピング物質を溶かして混ぜ合わせる方法や、2種類以上の金属等の原料粉末を混合して融点以下で加熱する焼結法、共沈法等の化学的手法による方法、ボールミル装置を使用して機械的に混合する機械的方法等を挙げることができる。
また、溶融物を固化する際には、急冷により固化することが好ましい。急冷固化によれば微結晶が得られ易いためアルカリ処理での両性金属の溶出が速やかに進み、高比表面積のワイヤーが得られ易い。特にTiを含有する合金(典型的には、合金全体に対するTiの原子百分率が94以上である合金)では微結晶が得られ易く有効である。
急冷方法については特に制限はなく、例えば、メルトスピニング法、回転電極法(REP法)、アトマイズ法(ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心力アトマイズ法、プラズマアトマイズ法を含む)等を挙げることができる。
また、アルカリ物質との接触面積が大きな程アルカリ処理による両性金属の溶出がより短時間で進行し、形成されるナノワイヤーの比表面積が増大することから、合金は、リボン状、微粒子状といった比表面積の大きな形状とすることが好ましい。リボン状の合金は、厚さ約1μm〜1mmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。同様に、微粒子状合金は、直径約0.01〜100μmであることが好ましく、約1〜50μmであることがより好ましい。合金のリボン化は、例えば、メルトスピニング法により行うことができ、微粉化は、例えば、ミリングやアトマイズ法により行うことができる。
メルトスピニング法は、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気下で金属を溶解し、金属などからなるローラーに噴射することで瞬間冷却を行い、金属のリボンを得る手法である。具体的には石英管等の容器に母合金を入れ、例えば、アルゴン雰囲気下で誘導加熱して、溶解温度(例えば、1000℃程度)まで昇温して溶解する。溶解した金属を、好ましくは高速(例えば、約500rpm〜約2200rpm)で回転する銅などの金属材料からなるローラー(ローラー温度は通常100℃以下とする)に噴射することで急冷化し、リボン状の合金を作成する。
本発明においては、上述した合金を、アルカリ処理して、金属酸化物ナノワイヤーを形成する。本発明の合金では、両性金属元素を含んでいるため、アルカリ処理により両性物質が溶出し、それと同時に金属原子が、酸素原子と結合して酸化物を形成し、これらの反応の際にワイヤー状の形態に至る。
なお、現段階では、ワイヤー形状に至る機構は明らかではないが、後述する通り、形成されるナノワイヤーの構造は、水熱法で形成される物とは異なることから、ワイヤー形状に至る機構も異なることが想定される。
アルカリ処理は、種々の様式で行うことができるが、通常は、アルカリ物質をイオン交換水、蒸留水、メタノール、エタノール、又はこれらの2種以上の混合物等の溶媒に溶解したアルカリ溶液に合金を浸漬したり、合金を水に分散した分散液をこれら溶媒の何れかに添加混合したりして行う。溶媒としては、イオン交換水又は蒸留水が好ましい。アルカリ物質としては、両性物質を溶出可能なものであれば足り、例えば、RbOH、CsOH、Ca(OH)、Sr(OH)、NaHCO、KCO、KHCO、NH、NaOH、KOH、LiOH、Ba(OH)、NaCO及びNaOCl等が挙げられるが、NaOH、KOH、LiOH、Ba(OH)、NaCO及びNaOCl等のアルカリ金属水酸化物がアルカリ金属の溶解性に優れ比表面積の大きなナノワイヤーが得られ易い点で好ましく、NaOH又はKOHが特に好ましい。
アルカリ溶液を用いる場合、アルカリ物質の濃度は、比較的低濃度でもよく、例えば0.01M以上の濃度でも可能であるが、0.1M以上にすることが好ましく、1.0M以上がより好ましい。
また、アルカリ物質の合金に対する量は、モル比(アルカリ:合金)で3:1以上であればよいが、5:1〜20:1が好ましく、より好ましくは8:1〜15:1である。
本発明においては、アルカリ処理の温度について特に制限はなく、種々の温度を選択することができる。もっとも、水熱法と違って高温での反応を要さず比較的低温でアルカリ処理を行うことができるのみならず、比表面積の大きなナノワイヤーを形成できると共にナノチューブの併産を回避する点からは、0度以上100度未満の温度で行うことが好ましく、5〜50℃の温度で行うことがより好ましく、10〜40℃の温度で行うことが更に好ましく、室温が特に好ましい。
アルカリ処理は、加圧下で行ってもよいが、本発明においては特段そのような条件で行う必要はなく、常圧で行うことができる。
また、本反応ではアルカリとアルミニウムとの反応で水素ガスが発生するため、発生した水素を反応系から分離して回収することが好ましい。
アルカリ処理の時間についても特に制限はなく、通常は、1時間〜3日程度アルカリ処理を行えばよい。もっとも、合金材料の構造等に応じて変えることが好ましく、例えば、大きめの粒子(200〜400μm程度)では12時間、好ましくは24時間以上のアルカリ処理を行うことが好ましい。一方、メルトスピニング法などで急速冷却を行って固化した合金の場合には、粒径が小さいため3時間以下の時間でアルカリ処理を行うことができる。
本発明の製造方法においては、上記のアルカリ処理によって、ナノワイヤーが形成されるが、アルカリ処理にアルカリ金属溶液を用いる場合には、アルカリ処理後にNa、K、Li等のアルカリ金属が残存し、塩を形成する。このような塩は、後述するイオン吸着剤としての用途には好適である。一方、アルカリ金属を除去すると、より高い比表面積のナノワイヤーが得られやすいために、生産物を洗浄してアルカリ金属を除去してもよい。従って、ナノワイヤーを形成した後の洗浄は、その用途に応じて、種々選択することができる。例えば、洗浄は、蒸留水や酸性溶液で行うことができ、酸及びアルカリ金属を除去する場合には、例えば、蒸留水で洗浄後、酸性溶液で洗浄し、その後水洗するプロセスを実施すればよい。
酸性溶液としては、アルカリ金属イオンとプロトンを交換できるプロトン酸の溶液が好ましく、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、シュウ酸等の一般的な無機酸又は有機酸の水溶液が挙げられ、塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等がより好ましい。これらの酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。
洗浄方法は、生成物を浸漬する方法の他、洗浄液を噴霧したり、洗浄液の流れを利用するものでもよい。
特殊なケースでは、K等のアルカリ金属を意図的に若干残存させて耐熱性を向上させることがあるので、このような場合には、洗浄の程度を調整したり、洗浄工程を省略したりすることもできる。
洗浄後は、乾燥して水分を除くことが好ましく、例えば、アセトン、アルコール等の水溶性揮発性物質で水を置換した後、放置、フリーズドライ法、真空乾燥、加熱乾燥など種々の方法で乾燥すればよい。
上述した本発明の方法によって、ナノワイヤー形状の金属酸化物が得られ、例えば、Ti、Ce、Zr、Pd、La、Fe、Co、V、Mn、Ag、Pt、Y、Mo、Cr、Cu、Ni、Nb、Ru、Rh、Ta、In、Au、Hf、Ir、Ge、Bi、及びWからなる群から選択される少なくとも1種の金属の酸化物又はその塩と、任意でN、Si、B、As、S、Sb、及びPからなる群から選択される少なくとも1種のドーピング物質とを含有するナノワイヤーを提供することができる。金属酸化物の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、セシウム塩、ストロンチウム塩、アンモニウム塩、次亜塩素酸塩等を挙げることができる。
ナノワイヤーを構成する金属元素は、目的とする用途、特性に応じて種々の組成とすることができ、複数の金属元素を組合せることで多様な特性を付与することができる。例えば、Ti、Ceなどのナノワイヤーを構成する主たる(原子数比で総金属元素の50%を超える量含有する)金属元素と共にZrを含有する金属酸化物では高温(例えば600℃を超える温度)での耐性の大きなナノワイヤーとすることができる。また、Ti又はCeなどの主たる金属元素と共にNb及び/又はTaを含有する金属酸化物では導電性が向上したナノワイヤーとすることができる。また、Ti又はCeなどの金属元素と共にCo及び/又はCuを含有する金属酸化物では可視光吸収を持ち、可視光応答性の光触媒への応用が期待し得るナノワイヤーとすることができる。また、酸化タングステンは触媒として有用であり酸化セリウムは担体として有用であるので、これらを組合せたCeO−WO複合体は浄化触媒や液相反応触媒へ応用できる。
Ti、Ceなどのナノワイヤーを構成する主たる金属元素(M1)と共にZr(M2)を含有する金属酸化物では、典型的には原子数比(M1:M2)を30:1〜3:1程度であることが好ましく、1:20〜1:5程度であることがより好ましい。また、Ti、Ceなどのナノワイヤーを構成する主たる金属元素(M1)と共にTa:Nb、Co、Cu、W等の他の金属元素を組合せる場合には、典型的には原子数比(M1:M2)を100:1〜10:1程度にすることが好ましく、50:1〜5:1程度にすることがより好ましい。
非金属元素(D)も、金属酸化物の特性を変化させるためのドーピング剤として、任意で微量含有されるものである。非金属元素の種類も、目的とする特性に応じて選択され、例えば、可視光域での吸収を付与するためにNやPがドーピングされ、比表面性の大きなナノワイヤーを得るためにSiがドーピングされる。
非金属元素の量も、目的の特性が得られるように、ナノワイヤーを構成する金属元素の種類及び非金属元素の種類に応じて適宜調整することが好ましい。例えば、NでTi、Ce等の金属元素をドーピングする場合には、金属元素(M)と、非金属元素(D)との原子数比(M:D)が99:1〜75:25程度であることが好ましく、99:1〜95:5程度であることがより好ましい。また、Siでチタンやセリウム等の金属元素をドーピングする場合にも、金属元素(M)と、非金属元素(D)との原子数比(M:D)が99:1〜75:25程度であることが好ましく、99:1〜95:5程度であることがより好ましい。また、Pでチタンやジルコニウム等の金属元素をドーピングする場合にも、同様に金属元素(M)と、非金属元素(D)との原子数比(M:D)がを99:1〜75:5程度であることが好ましく、99:1〜95:5程度であることがより好ましい。
なお、本発明の製造方法では、室温での酸化反応により金属酸化物を得ることから酸素欠損が生じ易いため、可視光吸収能を有するナノワイヤーが得られることがある。
本発明の方法で得られるナノワイヤーは、非常に細く、構成する金属酸化物の種類によって異なるが、複数の括れを有するものがあり、概して比表面積が大きいという特徴を有する。
具体的な一例では、本発明に係るナノワイヤーは、括れを有し、括れ部分の直径が2〜4nmであり、多くは2〜3nmである。また、括れは、ほぼ等間隔で形成されており、ほぼ3〜5nm毎に1個のくびれを有する。他の一例では、本発明に係るナノワイヤーは、括れを有しないが、それでも直径は、2〜4nmであり、多くは2〜3nmである。本発明者の検討したところによると、酸化チタンナノワイヤーに括れを有するものが多く、その他のナノワイヤーでは括れを有するものが少ない。
各ナノワイヤーの両端を電子顕微鏡で確認することが困難であったため、正確に把握できていないが、酸化チタンのナノワイヤーではアスペクト比(長さ/直径)は、60以上であり、酸化セリウムのではアスペクト比(長さ/直径)は、30以上である。
比表面積については、製造条件を最適化することで、従来の金属酸化物ナノワイヤーでは達成できない比表面積を有する。例えば、本発明に係る酸化チタンナノワイヤーでは、650m/g程度(600〜670m/g又は610〜660m/g)のBET比表面積を有することできる。また、本発明に関する酸化チタン塩ナノワイヤーでは、200〜400m/gのBET比表面積を有することができ、特に好ましくは、380m/g程度(350〜395m/g又は360〜390m/g)のBET比表面積を有することできる。
また、本発明に関する酸化セリウムナノワイヤーでは、200〜260m/gのBET比表面積を有することができ、特に好ましくは、240m/g程度(230〜250m/g又は235〜245m/g)のBET比表面積を有することできる。また、本発明に係る酸化セリウムジルコニアの場合では、150〜200m/gのBET比表面積を有するナノワイヤーを得ることができ、特に好ましい条件で製造することでBET比表面積が180m/g程度(170〜190m/g)のナノワイヤーを得ることできる。
アルカリ処理後の段階で得られるナノワイヤーは、例えば酸化チタンではアモルファス構造を含み、酸化セリウムの場合は蛍石型の結晶構造を主体とし、セリアジルコニア固溶体でも蛍石型の結晶構造を主体とする。また、100℃以下でアルカリ処理した場合では、酸素欠損を比較的多く含み、可視光吸収能を有するナノワイヤーが得られることがある。もっとも、本発明の方法で得られるナノワイヤーは、アルカリ処理後又は更に洗浄処理後に、更に加熱処理、典型的には焼成処理に供してもよく、加熱処理により結晶性が向上して触媒活性が向上し、酸素欠損も減少する。
加熱処理は、例えば、空気雰囲気中で行い、3℃/分程度(例えば1〜5℃/分)の速度で50℃以上、典型的には150℃以上の所定の温度まで上昇させ、2時間程度(約1〜3時間)所望の温度とした後に自然冷却して行うことができる。ナノワイヤーを構成する材料によって異なるが、例えば50℃〜2000℃の範囲から任意の1又は複数の温度まで昇温して処理を行うことができる。また、ナノワイヤーを構成する材料の結晶構造を考慮して温度を選択してもよい。例えば、酸化チタンでは、400℃〜600℃でほぼ均一のアナターゼ型の結晶構造となり、800℃以上でほぼ均一のルチル型の結晶構造となるため、所望の結晶構造に変換される温度を選択することができる。
また、例えば酸化セリウム又はセリアジルコニア固溶体では、焼成後も蛍石型の結晶構造を主体とするが、400〜800℃で焼成することで結晶性を向上させることができる。
本発明の方法で得られるナノワイヤーは、焼成前において非常に大きな比表面積を持ち、且つ中実のワイヤー構造であるため、従来の金属酸化物ナノチューブ、ナノワイヤーといったナノ構造物と比べて、焼結後の比表面積が比較的大きいという特性を有する。例えば、本発明の方法で得られた酸化チタンナノワイヤーでは、400℃で2時間程度焼成した後において(アナターゼ型結晶構造を含む)、直径が5nm程度(観察した範囲では3〜6nm)、BET比表面積は200〜300m/g、典型的には220m/g〜250m/gであり、非特許文献9で得られた酸化チタンナノチューブに比べて、比表面積が大きい。
また、例えば、本発明の方法で得られた酸化セリウムのナノワイヤーでは、400℃〜800℃の何れかの温度で2時間程度焼成した後において(蛍石型結晶構造)、BET比表面積は80〜300m/g、典型的には85〜210m/gであり、本発明の方法で得られたセリアジルコニア固溶体ナノワイヤーでは、400℃〜800℃の何れかの温度で2時間程度焼成した後において(蛍石型結晶構造)、BET比表面積は80〜300m/g、典型的には82〜175m/g程度である。これらナノワイヤーは、非特許文献5に記載する方法で得られたナノチューブに比べて、600℃を超える温度でのBET比表面積が大きい。
本発明の方法で得られるナノワイヤーは、その特性を生かし、金属酸化物の種類に応じて、色素増感太陽光電池、光触媒、浄化触媒、化学合成用触媒、触媒担体、蛍光体、固形酸化燃料電池、除湿剤、吸着剤(脱臭剤)、酸素吸蔵材等に用いることができる。
例えば、色素増感太陽光電池では、本発明の方法で得られるナノワイヤーを含む薄膜を電極として利用することができ、このような色素増感太陽光電池は、本発明の方法で得られる酸化チタン等からなるナノワイヤーを含む組成物を基板上に塗布、乾燥して当該ナノワイヤーを含む薄膜を形成し、この薄膜を負極として用い、これに色素を担持させ、更に対抗電極を設け、両電極間に電解液が満たして作製することができる。
また、光触媒としても本発明の方法で得られるナノワイヤーを含む薄膜を利用することができる。例えば、本発明の方法で得られる酸化チタン等からなるナノワイヤーを含む組成物を対象物に塗布、乾燥して当該ナノワイヤーを含む薄膜を形成することで対象物に光触媒活性を付与することができる。光触媒としての利用態様は種々あり、例えば、抗菌剤、防カビ剤、消臭剤、鏡やガラスのコーティング剤、セルフクリーニング用外壁塗装剤としての利用がある。
触媒の担体としては、白金、ニッケル、銀、ロジウム、パラジウム、金等の触媒を担持する担体を挙げることができる。例えば、酸化チタン、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化コバルト、及び酸化ニオブからなる群から選択される金属酸化物で構成される、本発明の方法で得られたナノワイヤーの分散液と、触媒金属の分散液とを、所定の温度で加熱混合し、分散媒を除去しての触媒を担持させることができる。
蛍光体としては、例えば本発明の方法で得られる酸化セリウムのナノワイヤーを利用することができる。例えば、このようなナノワイヤーを含む組成物を対象物に塗布、乾燥して当該ナノワイヤーを含む薄膜を形成することで紫外線発光蛍光特性を対象物に付与することができる。
吸着剤としては、例えば、本発明によるナノワイヤーを、ストロンチウム、バリウム、セシウム、ラジウム並びにこれらの放射性同位体(イオン)を除去するために利用することができる。従って、本発明によれば、本発明によるナノワイヤーを充填した吸着カラム若しくはペレット、又はこれらを備える上記物質を除去するための装置を提供することができる。また、本発明によれば、本発明によるナノワイヤーを処理対象の水溶液と接触させる工程を含む、上記物質を除去する方法を提供することができる。
吸着剤としては、酸化チタン、又はそのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、セシウム塩、ストロンチウム塩、アンモニウム塩、次亜塩素酸塩等の酸化チタン塩からなるナノワイヤーを含むことが好ましく、酸化チタンナトリウム、又は酸化チタンカリウムからなるナノワイヤーが特に好ましい。吸着処理は、除去対象の物質を含む水溶液とナノワイヤーを接触させれば足りる。溶液の条件についても特に制限は無く、例えば溶液pHは極端な酸性条件以外であれば適用可能である。
酸素吸蔵材としては、例えば、本発明に係る金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により製造された、酸化セリウムから成るナノワイヤーを利用することができる。
本発明によれば、穏和な条件で実施でき、高い比表面積を有する金属酸化物ナノワイヤーが得られる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、従来の酸化物ナノワイヤーでは達成できない高い比表面積を有し、耐熱性に優れた金属酸化物ナノワイヤーを提供することができる。
本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により得られた酸化チタンナノワイヤーの透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により得られた、他の酸化チタンナノワイヤーの(a)透過型電子顕微鏡(TEM)写真、(b)その拡大写真、(c)塩酸洗浄を行う前の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により得られた酸化セリウムナノワイヤーの透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により得られたセリアジルコニア固溶体ナノワイヤーの透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により得られた、他のセリアジルコニア固溶体ナノワイヤーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により得られた、Zrの量が異なるセリアジルコニア固溶体ナノワイヤーの(a)X線回析結果、(b)格子定数とジルコニウム含有量との関係を示すグラフである。 図2(c)に示す酸化チタンナノワイヤーについて、ストロンチウムの吸着能をエネルギー分散型X線分光法による元素分析で調べた(a)塩化ストロンチウム溶液に入れる前の定性データ、(b)塩化ストロンチウム溶液に入れた後の定性データ、(c)塩化ストロンチウム溶液に入れる前後の定量データである。 図2(c)に示す酸化チタンナノワイヤーについて、バリウムの吸着能をエネルギー分散型X線分光法による元素分析で調べた(a)塩化バリウム溶液に入れる前の定性データ、(b)塩化バリウム溶液に入れた後の定性データ、(c)塩化バリウム溶液に入れる前後の定量データである。 図2(c)に示す酸化チタンナノワイヤーについて、セシウムの吸着能をエネルギー分散型X線分光法による元素分析で調べた(a)塩化セシウム溶液に入れる前の定性データ、(b)塩化セシウム溶液に入れた後の定性データ、(c)塩化セシウム溶液に入れる前後の定量データである。 本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により得られた酸化セリウムナノワイヤーの、(a)200℃、(b)150℃、(c)50℃のときの酸素吸蔵能(OSC)を示す重量変化のグラフである。
本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法は、ナノワイヤーを構成する金属元素及び任意でドーピング剤としての非金属元素と、両性元素とからなる合金を、アルカリ処理する工程を含むものである。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[酸化チタンナノワイヤーの製法(1)]
金属チタン及び金属アルミニウムを原子数比6:94(Ti:Al)の割合で混合し、高純度アルゴンで充填され、345Torr(46.0kPa)の圧力を有する雰囲気のアーク炉で、10〜20Vのアーク放電を行うことで、チタンとアルミニウムとの溶融合金を得、冷却水を内部に流した銅板上で自然に冷却してインゴットを得た。
得られたインゴットを、室温の20重量%の水酸化ナトリウム水溶液に入れ、発泡が終わるまで(24時間)室温にて放置した。
アルカリ処理を行った後に、蒸留水で5回洗浄し、その後0.1Mの塩酸水溶液で3回洗浄し、蒸留水で7回洗浄し、アセトンで3回洗浄した。洗浄後、減圧下にて乾燥し、酸化チタンナノワイヤーを得た。
得られたナノワイヤーの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を、図1に示す。
[酸化チタンナノワイヤーの製法(2)]
実施例1の方法において、溶融合金を冷却後に得られたインゴッドに対して、さらにアルゴン雰囲気下でメルトスピニング法を用いて合金の溶湯を急冷してリボン化した。得られたリボン状の合金は、厚さは40μm程度の厚さで数十nm程度の結晶粒からなることが確認された。
得られたリボン状の合金を、室温の20重量%の水酸化ナトリウム水溶液に入れ、発泡が終わるまで(3時間)室温にて放置した。
アルカリ処理を行った後に、蒸留水で5回洗浄し、その後0.1Mの塩酸水溶液で3回洗浄し、蒸留水で7回洗浄し、アセトンで3回洗浄した。洗浄後、減圧下にて乾燥し、酸化チタンナノワイヤーを得た。
得られたナノワイヤーのTEM画像を、図2に示す。
[酸化セリウムナノワイヤーの製法]
金属セリウム及び金属アルミニウムを原子数比6:94(Ce:Al)の割合で混合した以外は、実施例2に記載する条件と同様の条件で、セリウムとアルミニウムとからなる合金のリボンを得た。得られたリボン状の合金を、室温の20重量%水酸化ナトリウム水溶液に入れ、発泡が終わるまで(3時間)室温にて放置した。アルカリ処理後の産物を蒸留水で10回洗浄し、乾燥して、酸化セリウムナノワイヤーを得た。得られたナノワイヤーのTEM画像を、図3に示す。
[セリアジルコニア固溶体ナノワイヤーの製法(1)]
金属セリウム、金属ジルコニウム及び金属アルミニウムを元素比5:1:94(Ce:Zr:Al)の割合で混合した以外は、実施例2に記載する条件と同様の条件で、セリウムとジルコニウムとアルミニウムとからなる合金のリボンを得た。得られたリボン状の合金を、室温の20重量%水酸化ナトリウム水溶液に入れ、発泡が終わるまで(3時間)室温にて放置した。アルカリ処理後の産物を蒸留水で10回洗浄し、乾燥して、セリアジルコニア固溶体ナノワイヤーを得た。得られたナノワイヤーのTEM画像を、図4に示す。
[セリアジルコニア固溶体ナノワイヤーの製法(2)]
金属セリウム、金属ジルコニウム及び金属アルミニウムを元素比9:1:90(Ce:Zr:Al)の割合で混合した以外は、実施例2に記載する条件と同様の条件で、セリウムとジルコニウムとアルミニウムとからなる合金のリボンを得た。得られたリボン状の合金を、室温の20重量%水酸化ナトリウム水溶液に入れ、発泡が終わるまで(3時間)室温にて放置した。アルカリ処理後の産物を蒸留水で10回洗浄し、乾燥して、セリアジルコニア固溶体ナノワイヤーを得た。得られたナノワイヤーは、透過型電子顕微鏡(TEM)画像(図5)に示す通りであり、直径は約2〜5nmであった。
[評価試験]
実施例で得られたナノワイヤーについて以下の評価試験を実施した。
1.比表面積測定
得られたナノ構造物の比表面積を、島津製作所製「ASAP2010」を用いてBET法により測定した。サンプルの前処理として、真空下、200℃にて6時間乾燥し、表面吸着物を除去した後に測定した。
2.直径及び形状
走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した。くびれがあるワイヤーや、太さが一定でないワイヤーは、くびれ部分又は細い部分の直径を測定した。
3.耐熱性試験
得られたナノワイヤーを炉内に入れ、3℃/分の速度で昇温して目的の温度とし、その後2時間目的の温度を維持して焼成した。焼成後の比表面積をBET法により、直径を電子顕微鏡により測定した。
4.X線回析(XRD)
XRD測定は、粉体試料を測定セルに置き、平行ビーム法を用いて行った。
5.吸着能評価
実施例2において塩酸洗浄を行う前のナノワイヤー4mgを、2×10−3mol/lの塩化ストロンチウム溶液、塩化バリウム溶液又は塩化セシウム溶液4mlに入れて6時間撹拌した。その後、ナノワイヤーを蒸留水で5回洗浄し、エネルギー分散型X線分析装置で元素分析を行った。
[評価結果]
1.各酸化チタンナノワイヤーの比表面積及び直径
表1に記載の通り、実施例1の酸化チタンナノワイヤーの比表面積は、450m/gであった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真(図1)から解る通り、直径は、約2〜3nmであった。また、TEM写真の中央部にはモーグル型ナノワイヤーが確認できた。
実施例2の酸化チタンナノワイヤーの比表面積は、表1に記載の通り、650m/gであった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真(図2(b)及び(c))から解る通り、直径は約2〜3nmであり、矢印で示した部分がモーグル形状を有していた。
これに対して、非特許文献9に記載されている従来の酸化チタンナノワイヤーは、150m/gであり、直径は、20〜40nmである。従って、本発明の酸化チタンナノワイヤーが非常に大きな比表面積(3〜4.3倍)を有し、直径も非常に小さい(ほぼ10分の1)ことが示された。また、実施例1の酸化チタンナノワイヤーと、実施例2の酸化チタンナノワイヤーとの比較で、合金の溶湯を急冷固化して得た合金を用いると、比表面積を増大させるのに非常に有効であることが実証された。
2.各酸化チタンナノ構造物の焼成後の比表面積
表2に記載の通り、実施例1の酸化チタンナノワイヤーは、焼成前のみならず、400℃及び600℃で焼成した後でも、非特許文献9に記載されている従来の酸化チタンナノワイヤーより大きな比表面積を有していた(400℃の焼成後では2.6倍)。また、少なくとも400℃までは、直径もほぼ維持されることが確認された。
3.各酸化セリウムナノ構造物の比表面積及び直径
表3に記載の通り、実施例3の酸化セリウムナノワイヤーの比表面積は、237m/gであった。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真(図3)から解る通り、直径は約2〜3nmであった。
これに対して、非特許文献6に記載されている従来の酸化セリウムナノワイヤーの比表面積は、134m/gであり、直径は、10〜50nmである。また、非特許文献7に記載されている従来の酸化セリウムナノチューブの比表面積は、109m/gであり、直径は、10〜50nmである。従って、本発明の酸化セリウムナノワイヤーは、従来の酸化セリウムナノワイヤー及びナノチューブに比べてより大きな比表面積(約2倍)を有し、直径も非常に小さい(25分の1〜約3分の1)ことが示された。また、非特許文献5に記載する酸化セリウムナノ粒子と比べても、直径は約2倍、比表面積でも半分程度であった。
4.各酸化セリウムナノ構造物及びセリアジルコニア固溶体ナノ構造物を焼成した後の比表面積
表4に記載の通り、実施例3の酸化セリアナノワイヤーの比表面積は、焼成前に237m/gであったが、400℃及び600℃で焼成後でもそれぞれ201及び152m/gであり比表面積の低下の割合が小さく、800℃で焼成した後でも86m/gと比較的大きな比表面積を有していた。また、400℃で焼成後の直径は2〜5nmであり、少なくとも400℃までは直径もほぼ維持されることが示された。
これに対して、非特許文献5のセリアナノ粒子では、その形態的特質から、焼成前の比表面積は457m/gと高いが、400℃及び600℃で焼成後ではそれぞれ303及び200m/gであり、700℃及び800℃で焼成後ではそれぞれ59及び21m/gであり、比表面積が急激に低下している。両者の比較から、600℃を超える温度では、実施例3のセリアナノワイヤーの比表面積の方が大きいと推測される。
実施例4のセリアジルコニア固溶体ナノワイヤーの比表面積は、表4に記載の通り、焼成前に178m/gであったが、400℃及び600℃で焼成後でもそれぞれ172及び171m/gであり比表面積の変化がほとんど見られず、800℃で焼成した後でも85m/gと比較的大きな比表面積を有していた。また、透過型電子顕微鏡(TEM)写真(図4)から解る通り、焼成前のナノワイヤーの直径は2〜5nmであり、表4に示す通り400℃で焼成後でも同様の直径を有していた。従って、少なくとも400℃までは直径も維持されることが示された。これらの結果から、焼成処理による比表面積への影響が最も小さな高耐熱性のナノ構造物であることが実証された。
5.セリアジルコニア固溶体ナノワイヤーのX線解析によるドーピングの確認
Zrの量を0%、16%及び50%(%は原子百分率を示す)としたこと以外は実施例3と同様にして得られたセリアジルコニア固溶体ナノワイヤーを、400℃、2時間焼成した後に、X線回析を行い、その結果を図6に示す。図6(a)に示す通り、セリアジルコニア固溶体におけるZrの量が増加するにつれ各XRDピークが右側にシフトしていることが分かる。これを格子定数との関係でプロットすると、図6(b)に示す通り、ベガード則に従って、ジルコニウムの添加に伴い徐々に通常のジルコニウムに近づいていくことが確認できる。従って、セリウムとジルコニウムとが分離すること無く結晶構造を形成していることが裏付けられた。
6.吸着能評価
実施例2の塩酸洗浄を行う前のナノワイヤーについて、エネルギー分散型X線分析装置で元素分析を行った結果を図7〜9並びに表5に示す。
図7に示す通り、ナノワイヤーを塩化ストロンチウム溶液に加えた実験では、約7%含まれていたナトリウムがほぼ全てストロンチウムに置換された。また、ナノワイヤーを加えた溶液中のストロンチウム減少量を元素分析により測定して吸着能を評価したところ、表5に示す通り、ナノワイヤー1g当たり1.2mmolのストロンチウムを吸着できることが示され、非特許文献2のナノワイヤーに比べ、約2倍の吸着能を示した。
同様に、図8に示すように、ナノワイヤーを塩化バリウム溶液に加えた実験では、約7%含まれていたナトリウムがほぼ全てバリウムに置換された。また、ナノワイヤーを加えた溶液中のバリウム減少量を元素分析により測定して吸着能を評価したところ、表5に示す通り、ナノワイヤー1g当たり2.0mmolのバリウムを吸着できることが示され、非特許文献2のナノワイヤーに比べ、1.7倍の吸着能を示した。
また、図9および表5に示すように、ナノワイヤーを塩化セシウム溶液に加えた実験では、非特許文献1で報告されたナノワイヤーの吸着能には若干劣るものの、本発明のナノワイヤーも、セシウムの除去に充分利用するできるレベルであった。
[酸化セリウム(セリア)ナノワイヤーの酸素吸蔵能(OSC)について]
本発明の実施の形態の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法により、70℃でCe6Al94合金からAlを溶出させてセリアナノワイヤーを製造した。このセリアナノワイヤーを熱天秤にセットし、温度を200℃、150℃または50℃に制御して、O2-N2混合ガス(O2 2%)とH2-N2混合ガス(H2 2%)とを、200ml/minで、約30分間隔で交互に流通させた。このときの重量変化から、セリアナノワイヤーの酸素吸蔵能を測定した。各温度での酸素吸蔵能を示す重量変化のグラフを、図10(a)〜(c)に示す。
図10に示すように、本発明のセリアナノワイヤーの酸素吸蔵能は、200℃のとき 116μmol O2/g、150℃のとき 141μmol O2/g、50℃のとき 15μmol O2/gであった。従来の低温OSC材料では、最も高い値で、200℃のとき 32μmol O2/g、150℃のとき 24μmol O2/gであり(Nano Lett., 2011, 11, 361-364参照)、本発明のセリアナノワイヤーの方が3〜6倍高い酸素吸蔵能を有していることが確認された。また、従来のセリア材料では、50℃という極低温では、明確なOSC挙動を示すものはなかったが、本発明のセリアナノワイヤーでは、50℃でもOSC挙動を示すことが確認された。

Claims (11)

  1. 少なくとも1種の金属元素(M)と、少なくとも1種の両性金属元素(A)とを含み、任意でドーピング剤としての非金属元素(D)を含む合金を、アルカリ処理する工程を有することを特徴とする金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  2. 前記金属元素(M)及び前記非金属元素(D)と、前記両性金属元素(A)との原子数比(M+D:A)が、90:10〜1:99であることを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  3. 前記金属元素(M)と、前記非金属元素(D)との原子数比(M:D)が、100:0〜50:50であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  4. 前記アルカリ処理を、100℃未満の温度で行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  5. 前記両性金属元素(A)は、Al、Zn、Sn、Pb、Ga、及びHgからなる群から選択される少なくとも1種であり、
    前記金属元素(M)は、Ti、Ce、Zr、Pd、La、Fe、Co、V、Mn、Ag、Pt、Y、Mo、Cr、Cu、Ni、Nb、Ru、Rh、Ta、In、Au、Hf、Ir、Ge、Bi、及びWからなる群から選択される少なくとも1種であることを
    特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  6. 前記非金属元素(D)は、N、Si、B、As、S、Sb及びPからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  7. 前記アルカリ処理を、NaOH、KOH、LiOH、Ba(OH)、NaCO、NaOCl、RbOH、CsOH、Ca(OH)、Sr(OH)、NaHCO、KCO、KHCO及びNHからなる群から選択されるアルカリの水溶液で行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  8. 前記合金は、前記両性金属元素(A)と、前記金属元素(M)と、任意で前記非金属元素(D)とを含有する溶湯を急冷固化することで得られることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  9. 前記アルカリ処理後、任意に洗浄処理を行った後で、50〜2000℃で加熱処理することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の金属酸化物ナノワイヤーの製造方法。
  10. 直径が2〜4nmで、BET比表面積が600〜670m/gであることを特徴とする酸化チタンナノワイヤー。
  11. セリアジルコニア固溶体から成り、直径2〜4nmで、600℃〜800℃の何れかの温度での焼成後のBET比表面積が85〜171m /gであることを特徴とするナノワイヤー。
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