以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機等のその他の遊技機であってもよく、変動表示を行ない、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であれば、どのような遊技機であってもよい。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は当り種別表である。
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取付けられる機構板(図示せず)と、それらに取付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。
ガラス扉枠2の下部表面には遊技媒体としての遊技球が供給される打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4、および、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5等が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取付けられている。遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
余剰球受皿(下皿)4を形成する部材には、たとえば下皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえば下皿の中央部分)等に、スティック形状(棒形状)に構成され、遊技者が把持して複数方向(前後左右)に傾倒する操作が可能なスティックコントローラ122が取付けられている。なお、スティックコントローラ122には、遊技者がスティックコントローラ122の操作桿を操作手(たとえば左手等)で把持した状態において、所定の操作指(たとえば人差し指等)で押引操作すること等により所定の指示操作が可能なトリガボタン125(図3参照)が設けられ、スティックコントローラ122の操作桿の内部には、トリガボタン125に対する押引操作等による所定の指示操作を検知するトリガセンサ121(図3参照)が内蔵されている。また、スティックコントローラ122の下部における下皿の本体内部等には、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット123(図3参照)が設けられている。また、スティックコントローラ122には、スティックコントローラ122を振動動作させるためのバイブレータ用モータ126(図3参照)が内蔵されている。
打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、たとえば上皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえばスティックコントローラ122の上方)等に、遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。プッシュボタン120は、遊技者からの押下操作等による所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン120の設置位置における上皿の本体内部等には、プッシュボタン120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ124(図3参照)が設けられていればよい。図1に示す構成例では、プッシュボタン120とスティックコントローラ122の取付位置が、上皿及び下皿の中央部分において上下の位置関係にある。これに対して、上下の位置関係を保ったまま、プッシュボタン120及びスティックコントローラ122の取付位置を、上皿及び下皿において左右のいずれかに寄せた位置としてもよい。あるいは、プッシュボタン120とスティックコントローラ122との取付位置が上下の位置関係にはなく、たとえば左右の位置関係にあるものとしてもよい。
なお、本実施の形態では、遊技者が操作可能な操作手段の一例として、プッシュボタン120と、トリガボタン125を有するスティックコントローラ122とを設けた例を示した。しかし、これに限らず、操作手段としては、プッシュボタン120とスティックコントローラ122とのいずれか1つのみを設けてもよい。また、操作手段としては、レバースイッチ、および、ジョグダイヤル等のその他の操作手段を設けてもよい。
遊技領域7の中央付近には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄を変動表示(可変表示ともいう)可能な演出表示装置9が設けられている。遊技領域7における演出表示装置9の右側方には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8aと、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器8bとが設けられている。
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、数字および文字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で構成されている。演出表示装置9は、液晶表示装置(LCD)で構成されており、表示画面において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄の変動表示等の各種画像を表示する表示領域が設けられる。このような表示領域には、たとえば「左」、「中」、「右」の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を変動表示する図柄表示領域が形成される。
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、主基板(遊技制御基板)に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータによって制御される。演出表示装置9は、演出制御基板に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行され、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行されるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
第1特別図柄表示器8aに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、または、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときには、演出表示装置9においても、特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄の組合せ)が導出表示される。このように変動表示の表示結果として特定表示結果が表示されたときには、遊技者にとって有利な価値(有利価値)が付与される有利状態としての特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御される。
また、演出表示装置9において、最終停止図柄(たとえば左右中図柄のうち中図柄)となる図柄以外の図柄が、所定時間継続して、大当り図柄(たとえば左中右の図柄が同じ図柄で揃った図柄の組合せ)と一致している状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の図柄が同一図柄で同期して変動したり、表示図柄の位置が入替わっていたりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態(以下、これら状態をリーチ状態という。)で行なわれる演出をリーチ演出という。
ここで、リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄の変動が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。言い換えると、リーチとは、複数の変動表示領域において識別情報が特定表示結果を構成しているが少なくとも一部の変動領域が変動表示中である状態をいう。この実施形態において、リーチ状態は、たとえば、左,右の図柄表示領域で同じ図柄が停止し、中の図柄表示領域で図柄が停止していない状態で形成される。リーチ状態が形成されるときの左,右の図柄表示領域で停止された図柄は、リーチ形成図柄、または、リーチ図柄と呼ばれる。
そして、リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。また、リーチの際に、通常と異なる演出がランプや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(演出図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、演出表示装置9の背景画像の表示態様(たとえば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチ(ノーマルリーチ)に比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別のリーチをスーパーリーチという。また、リーチの中には、特別なスーパーリーチ以外のリーチとして、基本的なリーチであるノーマルリーチが含まれている。ノーマルリーチは、スーパーリーチよりも大当りが発生しにくいように設定されたものである。
この実施の形態において、スーパーリーチにおいては、リーチ図柄が形成された後、所定の動画(たとえば、所定のキャラクタ動画等の動画)を表示した後、表示結果導出表示前の最終的な演出表示において、変動中の中演出図柄をスクロールさせる演出等の遊技者の期待感を向上させるような複雑な演出表示が実行される。また、ノーマルリーチにおいては、リーチ図柄が形成された後、前述の動画を表示せずに背景画像(図柄の背景を構成する画像)の種類をリーチ状態となる前に表示されていた画像とは異ならせるような比較的簡素な演出表示が実行される。このようなノーマルリーチでは、たとえば、中図柄の最終停止図柄の停止表示前のスクロール状態において、たとえば、3図柄前等の任意の図柄数(図柄配列数)前の図柄から変動表示速度を減速する演出が行なわれることにより、表示結果導出表示前の最終的な演出表示が行なわれる。なお、ノーマルリーチでは、その他の演出表示が行なわれる場合もある。
演出表示装置9の右方には、各々を識別可能な識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示部)8aが設けられている。第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字等の特別図柄を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。また、演出表示装置9の右方(第1特別図柄表示器8aの右隣)には、各々を識別可能な識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示部)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字等の特別図柄を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器(変動表示部)と総称することがある。
なお、この実施の形態では、2つの特別図柄表示器8a,8bを備える場合を示しているが、遊技機は、特別図柄表示器を1つのみ備えるものであってもよい。
第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件(第1実行条件)または第2始動条件(第2実行条件)が成立(たとえば、遊技球が始動入賞領域としての第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、変動表示の開始条件(たとえば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲート等の予め入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。また、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14のような始動領域に遊技球が進入したにもかかわらず未だ開始条件が成立していない変動表示について、所定の上限数の範囲内で情報を記憶することが保留記憶と呼ばれる。また、このような保留記憶という用語は、保留記憶された情報を示す(特定する)場合にも用いられる。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。したがって、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、第2始動入賞口14よりも、第1始動入賞口13に遊技球が入賞しやすい。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
第2特別図柄表示器8bの上方には、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器からなる第2特別図柄保留記憶表示器18bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器18bは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
また、第2特別図柄保留記憶表示器18bのさらに上方には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる第1特別図柄保留記憶表示器18aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器18aは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第1特別図柄の変動表示が開始可能となる第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13への入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第2特別図柄の変動表示が開始可能となる第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口14への入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行なう。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当り表示結果として大当りを想起させるような演出図柄の組合せが停止表示される。
また、演出表示装置9の表示画面の下部には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部と、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が開放状態と閉鎖状態とを繰返す繰返し継続制御が行なわれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態が、ラウンドと呼ばれる。これにより、繰返し継続制御は、ラウンド制御とも呼ばれる。本実施の形態では、大当りの種別が複数設けられており、大当りとすることが決定されたときには、いずれかの大当り種別が選択される。
演出表示装置9の左方には、各々を識別可能な普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10が設けられている。この実施の形態では、普通図柄表示器10は、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、普通図柄表示器10は、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、小型の表示器は、たとえば方形状に形成されている。
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の変動表示が開始される。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄。たとえば、図柄「7」。)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ遊技者にとって不利な閉状態から遊技者にとって有利な開状態に変化する。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6の下部には、入賞しなかった打球が取込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部および左右下部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED28が設けられている。
また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、単に「カードユニット」ともいう。)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される(図示せず)。
図2の当り種別表においては、大当りにおける当りの種別ごとに、大当り遊技状態の終了後の大当り確率、大当り遊技状態の終了後のベース、大当り遊技状態終了後の変動時間、大当りにおける開放回数(ラウンド数)、および、各ラウンドの開放時間が示されている。図2に示すように、この実施の形態では、ラウンド数が異なる大当り遊技状態として、15ラウンドの大当り遊技状態と2ラウンドの大当り遊技状態との複数種類の大当り遊技状態が設けられている。
具体的に、15ラウンドの大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、開放状態とされた後、所定の開放状態の終了条件(開放状態において所定期間(たとえば29秒間)が経過したこと、または、所定個数(たとえば10個)の入賞球が発生したという開放終了条件)が成立したことに応じて閉鎖状態とされる。そして、開放終了条件が成立すると、継続権が発生し、特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、大当り遊技状態における開放回数が予め定められた上限値となる15ラウンド(最終ラウンド)に達するまで繰返される。
また、2ラウンドの大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、開放状態とされた後、所定の開放状態の終了条件(開放状態において所定期間(たとえば0.5秒間)が経過したこと、または、所定個数(たとえば10個)の入賞球が発生したという開放終了条件)が成立したことに応じて閉鎖状態とされる。そして、開放終了条件が成立すると、継続権が発生し、特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、大当り遊技状態における開放回数が予め定められた上限値となる2ラウンド(最終ラウンド)に達するまで繰返される。
このように、2ラウンドの大当りは、大入賞口の開放回数が15ラウンドよりも少ない回数(この実施の形態では2回)まで許容されるが、大入賞口の開放時間が短い(たとえば、0.5秒間)大当り種類(種別)である。また、本実施の形態の場合は、2ラウンドの大当りとして、大入賞口の開放時間が極めて短く(0.5秒間)、実質的に大入賞口に入賞することが不可能であり、実質的に賞球(入賞に対して払出される景品球)が得られない当りが設けられている。
なお、2ラウンドの大当りとしては、実質的に賞球が得られない当りのみを設けてもよく、賞球を得ることができる当りのみを設けてもよく、実質的に賞球が得られない当りと賞球を得ることができる当りとの両方を設けてもよい。
「大当り」のうち、15ラウンドまたは2ラウンドの大当り遊技状態に制御された後、特別遊技状態として、通常状態(確変状態でない通常の遊技状態)に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態(確率変動状態の略語であり、高確率状態ともいう)に移行する大当りの種類(種別)は、「確変大当り」と呼ばれる。本実施の形態では、15ラウンドの確変大当りを「確変大当り」と呼び、2ラウンドの確変大当りを後述するような理由で「突確大当り」と呼ぶ。また、本実施の形態では、特別遊技状態としては、確変状態に付随して、特別図柄や演出図柄の変動時間(変動表示期間)が非時短状態よりも短縮される時短状態に制御される場合がある。なお、特別遊技状態としては、確変状態とは独立して時短状態に制御される場合があるようにしてもよい。
このように、時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、時短状態となったときには、有効な始動入賞が発生しやすくなり大当り遊技が行なわれる可能性が高まる。
なお、「大当り」のうち、15ラウンドの大当り遊技状態に制御された後、確変状態に移行しない大当りの種類(種別)は、「通常大当り」と呼ばれる。
また、特別遊技状態としては、確変状態または時短状態に付随して、可変入賞球装置15が開状態になる頻度を高くすることにより可変入賞球装置15に遊技球が進入する頻度を高くして可変入賞球装置15への入賞を容易化(高進入化、高頻度化)する電チューサポート制御状態に制御される場合がある。電チューサポート制御状態は、後述するように高ベース状態であるので、以下の説明においては、主として高ベース状態と呼ぶ。
ここで、電チューサポート制御について説明する。電チューサポート制御としては、普通図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御(普通図柄短縮制御)、普通図柄の停止図柄が当り図柄になる確率を高める制御(普通図柄確変制御)、可変入賞球装置15の開放時間を長くする制御(開放時間延長制御)、および、可変入賞球装置15の開放回数を増加させる制御(開放回数増加制御)が行なわれる。このような制御が行なわれると、当該制御が行なわれていないときと比べて、可変入賞球装置15が開状態となっている時間比率が高くなるので、第2始動入賞口14への入賞頻度が高まり、遊技球が始動入賞しやすくなる(特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における変動表示の実行条件が成立しやすくなる)。また、このような制御によって第2始動入賞口14への入賞頻度が高まることにより、第2始動条件の成立頻度および/または第2特別図柄の変動表示の実行頻度が高まる遊技状態となる。
このような電チューサポート制御により第2始動入賞口14への入賞頻度が高められた状態(高頻度状態)は、発射球数に対して入賞に応じて賞球として払出される遊技球数の割合である「ベース」が、当該制御が行なわれないときと比べて、高い状態であるので、「高ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御が行なわれないときは、「低ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御は、可変入賞球装置15、すなわち、電動チューリップにより入賞をサポートすることにより可変入賞球装置15への入賞を容易化する制御であり、「電チューサポート制御」と呼ばれる。
この実施の形態においては、大当り確率の状態を示す用語として、「高確率状態(確変状態)」と、「低確率状態(非確変状態)」とを用い、ベースの状態の組合せを示す用語として、「高ベース状態(電チューサポート制御状態)」と、「低ベース状態(非電チューサポート制御状態)」とを用いる。
また、この実施の形態においては、大当り確率の状態およびベースの状態の組合せを示す用語として、「低確低ベース状態」、および、「高確高ベース状態」を用いる。「低確低ベース状態」とは、大当り確率の状態が低確率状態で、かつ、ベースの状態が低ベース状態であることを示す状態である。「高確高ベース状態」とは、大当り確率の状態が高確率状態で、かつ、ベースの状態が高ベース状態であることを示す状態である。
この実施の形態においては、高確率状態に制御されたときに、時短状態および高ベース状態に制御されるが、時短状態および高ベース状態は、制御の開始条件および終了条件が同じであるので、時短状態および高ベースに制御されている状態を、時短状態という用語で代表して示す場合があり、高ベース状態という用語で代表して示す場合がある。
図2に示すように、15ラウンドの大当りとしては、通常大当りと確変大当りとの複数種類の大当りが設けられている。また、2ラウンドの大当りとしては、突然確変大当り(以下、突確大当りという略称で呼ぶ)が設けられている。
通常大当りは、15ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、非確変状態、非時短状態、および、低ベース状態(低確低ベース状態)に制御される大当りである。
確変大当りは、15ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、確変状態、時短状態、および、高ベース状態(高確高ベース状態)に移行する制御が行なわれる大当りである。確変大当りにおいては、このような高確高ベース状態が、変動表示が100回という所定回数実行されるまでという条件と、次回の大当りが発生するまでという条件とのいずれか早い方の条件が成立するまでの期間継続する。
突確大当りは、2ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、確変状態、時短状態、および、高ベース状態(高確高ベース状態)に移行する制御が行なわれる大当りである。確変大当りにおいては、このような高確高ベース状態が、変動表示が100回という所定回数実行されるまでという条件と、次回の大当りが発生するまでという条件とのいずれか早い方の条件が成立するまでの期間継続する。
突確大当りは、ラウンド数が少なく(2回)、大入賞口の開放時間が極めて短い態様(0.5秒間開放)で大入賞口が開放されることにより、大当り遊技状態の終了後に確変状態となったことを報知する場合に、遊技者に対して突然に確変状態となったかのように見せることが可能なものであり、「突然確変大当り」と呼ばれる。また、「突然確変大当り」は、「突確」という略称で呼ばれる場合もある。突確大当りは、大当り遊技状態において、0.5秒間の開放が2回しか行なわれないため、実質的に第入賞口への入賞が得られず賞球が得られない当りである。また、突確大当りの代わりに、実質的に賞球が得られる開放パターンで大入賞口が開放される2ラウンドの確変大当りを設けてもよい。
なお、大当りの他に、突確大当りと同様の開放回数および開放時間による開放パターンで大入賞口を開放する小当りを設けてもよい。小当りとなったときには、小当り遊技状態終了後に、大当り確率とベースとがともに、小当り遊技状態の開始前に対して変更されないようにする。このような小当りを設ければ、突確大当りと小当りとのそれぞれの当り遊技状態の終了後に確変状態となっているか否かを報知しないときには、開放パターンを見て突確大当りと小当りとのいずれが実行されたことが遊技者に認識されてしまったときでも、同じ開放パターンとなる当りが2種類あるので、確変状態となっているか否かが遊技者にとって把握しにくいものとなるため、実際には確変状態となっていないときでも遊技者の確変状態に対する期待感を高めることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3は、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ROM54およびRAM55が内蔵された1チップマイクロコンピュータである。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行なう)ということは、具体的には、CPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路503は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(たとえば、0)と上限値(たとえば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数回路503が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18bおよび普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう。
演出制御基板80は、演出制御用マイクロコンピュータ100、ROM102、RAM103、VDP109、および、I/Oポート部105等を搭載している。ROM102は、表示制御等の演出制御用のプログラムおよびデータ等を記憶する。RAM103は、ワークメモリとして使用される。ROM102およびRAM103は、演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されてもよい。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行なう。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、主基板31から演出制御基板80の方向への一方向にのみ信号を通過させる中継基板77を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出表示装置9の変動表示制御を行なう他、ランプドライバ基板35を介して、枠側に設けられている枠LED28の表示制御を行なうとともに、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行なう等、各種の演出制御を行なう。
また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122のトリガボタン125に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、トリガセンサ121から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、プッシュボタン120に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、プッシュセンサ124から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122の操作桿に対する技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、傾倒方向センサユニット123から、入力ポート106を介して入力する。また、演出制御用CPU101は、出力ポート105を介してバイブレータ用モータ126に駆動信号を出力することにより、スティックコントローラ122を振動動作させる。
図4は、各乱数を示す説明図である。図4においては、乱数の種別、更新範囲、用途、および、加算条件が示されている。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダムR:大当りにするか否かを判定する当り判定用のランダムカウンタである。ランダムRは、10MHzで1ずつ更新され、0から加算更新されてその上限である65535まで加算更新された後再度0から加算更新される。(2)ランダム1(MR1):大当りの種類(種別、通常大当り、確変大当り、および、突確大当りのいずれかの種別)および大当り図柄を決定する(大当り種別判定用、大当り図柄決定用)。(3)ランダム2(MR2):変動パターンの種類(種別)を決定する(変動パターン種別判定用)。(4)ランダム3(MR3):変動パターン(変動時間)を決定する(変動パターン判定用)。(5)ランダム4(MR4):普通図柄に基づく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用)。(6)ランダム5(MR5):ランダム4の初期値を決定する(ランダム4初期値決定用)。
この実施の形態では、特定遊技状態である大当りとして、通常大当り、確変大当り、および、突確大当りという複数の種別が含まれている。したがって、大当り判定用乱数(ランダムR)の値に基づいて、大当りとする決定がされたときには、大当り種別判定用乱数(ランダム1)の値に基づいて、大当りの種別が、これらいずれかの大当り種別に決定される。さらに、大当りの種別が決定されるときに、同時に大当り種別判定用乱数(ランダム1)の値に基づいて、大当り図柄も決定される。したがって、ランダム1は、大当り図柄決定用乱数でもある。
また、変動パターンは、まず、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターン種別を決定し、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を用いて、決定した変動パターン種別に含まれるいずれかの変動パターンに決定する。そのように、この実施の形態では、2段階の抽選処理によって変動パターンが決定される。変動パターン種別とは、複数の変動パターンをその変動態様の特徴にしたがってグループ化したものである。変動パターン種別には、1または複数の変動パターンが属している。
この実施の形態では、変動パターンが、リーチを伴なわない変動パターン種別である通常変動パターン種別と、リーチを伴なう変動パターン種別であるリーチ変動パターン種別とに種別分けされている。
このような変動パターン種別は、表示結果がはずれとなる場合に、時短状態であるときと、時短状態でないときとで、変動パターン種別の選択割合が異なるように設定されていることにより、時短状態であるときには、時短状態でないときと比べて、変動時間が短縮される。たとえば、時短状態では、時短状態でないときと比べて、変動時間の平均時間を短くするために、変動パターン種別のうち最も変動時間が短い変動パターン種別が選択される割合が高くなり、リーチ種別が選択されるときでも変動パターン種別のうち最も変動時間が短いノーマルリーチの変動パターンが選択される割合が高くなるように設定されることで、時短状態でないときと比べて、変動時間の平均時間が短くなる。
なお、このような変動パターン種別は、変動表示をする特別図柄の保留記憶数(第1特別図柄と第2特別図柄との合算保留記憶数)が所定数以上であるときと、所定数未満であるときとで選択割合が異なるように設定されることにより、変動表示をする各特別図柄の保留記憶数が所定数以上であるときには、各特別図柄の保留記憶数が所定数未満であるときと比べて、変動時間が短縮される保留数短縮制御が実行される。たとえば、保留数短縮制御状態では、保留数短縮制御状態でないときと比べて、通常変動パターン種別のような変動時間が短い変動パターン種別が選択される割合が高くなり、リーチ種別が選択されるときでもノーマルリーチのような変動時間が短いリーチの変動パターンが選択される割合が高くなるように設定されることで、保留数短縮制御状態でないときと比べて、変動時間の平均時間が短くなる。
図5は、大当り判定テーブルおよび大当り種別判定テーブルを示す説明図である。図5(A)は、大当り判定テーブルを示す説明図である。大当り判定テーブルとは、ROM54に記憶されているデータの集まりであって、ランダムRと比較される大当り判定値が設定されているテーブルである。大当り判定テーブルには、通常状態(確変状態でない遊技状態、すなわち非確変状態)において用いられる通常時(非確変時)大当り判定テーブルと、確変状態において用いられる確変時大当り判定テーブルとがある。
通常時大当り判定テーブルには、図5(A)の左欄に記載されている各数値が大当り判定値として設定され、確変時大当り判定テーブルには、図5(A)の右欄に記載されている各数値が大当り判定値として設定されている。確変時大当り判定テーブルに設定された大当り判定値は、通常時大当り判定テーブルに設定された大当り判定値と共通の大当り判定値(通常時大当り判定値または第1大当り判定値という)に、確変時固有の大当り判定値が加えられたことにより、確変時大当り判定テーブルよりも多い個数(10倍の個数)の大当り判定値(確変時大当り判定値または第2大当り判定値という)が設定されている。これにより、確変状態には、通常状態よりも高い確率で大当りとする判定がなされる。
CPU56は、所定の時期に、乱数回路503のカウント値を抽出して抽出値を大当り判定用乱数(ランダムR)の値と比較するのであるが、大当り判定用乱数値が図5(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当り(通常大当り、または、確変大当り)にすることに決定する。なお、図5(A)に示す「確率」は、大当りになる確率(割合)を示す。
図5(B),(C)は、ROM54に記憶されている大当り種別判定テーブルを示す説明図である。図5(B)は、遊技球が第1始動入賞口13に入賞したことに基づく保留記憶(第1保留記憶ともいう)を用いて大当り種別を決定する場合(第1特別図柄の変動表示が行なわれるとき)に用いる第1特別図柄大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)である。図5(C)は、遊技球が第2始動入賞口14に入賞したことに基づく保留記憶(第2保留記憶ともいう)を用いて大当り種別を決定する場合(第2特別図柄の変動表示が行なわれるとき)に用いる第2特別図柄大当り種別判定テーブルである。
図5(B)、および、図5(C)の特別図柄大当り種別判定テーブルのそれぞれは、変動表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別判定用の乱数(ランダム1)に基づいて、大当りの種別を「通常大当り」、「確変大当り」、「突確大当り」のうちのいずれかに決定するとともに、大当り図柄を決定するために参照される。
図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルには、ランダム1の値と比較される数値であって、「通常大当り」、「確変大当り」、「突確大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルには、ランダム1の値と比較される数値であって、「通常大当り」、「確変大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。
また、図5(B),(C)に示すように、大当り種別判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄を決定する判定値(大当り図柄判定値)としても用いられる。「通常大当り」に対応した判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の「3」に対応した判定値としても設定されている。「確変大当り」に対応した判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の「7」に対応した判定値としても設定されている。「突確大当り」に対応した判定値は、第2特別図柄の大当り図柄の「5」に対応した判定値としても設定されている。
このような大当り種別大当り種別判定テーブルを用いて、CPU56は、大当り種別として、ランダム1の値が一致した大当り種別判定値に対応する種別を決定するともに、大当り図柄として、ランダム1の値が一致した大当り図柄を決定する。これにより、大当り種別と、大当り種別に対応する大当り図柄とが同時に決定される。
図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルと、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルとでは、高確率状態となる大当りに決定される割合が同じであるが、第2特別図柄大当り種別判定テーブルの方が、第1特別図柄大当り種別判定テーブルよりも、大当り遊技状態におけるラウンド数が多い大当り(15ラウンドの大当り)が選択される割合が高く、また、大当り遊技状態における実質的な入賞可能数が多い大当り(15ラウンドの大当り)が選択される割合が高い。したがって、第2特別図柄の方が第1特別図柄よりも、大当りとなったときに、大入賞口への入賞に関して遊技者にとって有利度合いが高い(たとえば、実質的に入賞可能なラウンド数が多い、実質的な入賞可能数が多い等)有利状態としての大当り遊技状態に制御される。
なお、この実施の形態では、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルにおいて、突確大当りが選択されない例を示した。しかし、これに限らず、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルにおいては、突確大当りが選択可能であるが、図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルよりも突確大当りの選択割合が高くなるようにデータを設定してもよい。
図6は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が送信する演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。図6においては、演出制御コマンドについて具体的なコマンドデータと、コマンドの名称およびコマンドの指定内容との関係が示されている。演出制御コマンドの遊技制御用マイクロコンピュータ560においては、図6に示すように、遊技制御状態に応じて、各種の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100へ送信する。
図6のうち、主なコマンドを説明する。コマンド80XX(H)は、特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9において変動表示される演出図柄の変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)である(それぞれ変動パターンXXに対応)。複数の変動パターンのそれぞれに対して一意な番号を付した場合に、その番号で特定される変動パターンのそれぞれに対応する変動パターンコマンドがある。「(H)」は16進数であることを示す。また、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。したがって、演出制御用CPU101は、コマンド80XX(H)を受信すると、演出表示装置において演出図柄の変動表示を開始するように制御する。
コマンド8C01(H)〜8C04(H)は、大当りとするか否か、および大当り種別を示す表示結果指定コマンドである。
コマンド8D01(H)は、第1特別図柄の変動表示を開始することを示す第1図柄変動指定コマンドである。コマンド8D02(H)は、第2特別図柄の変動表示を開始することを示す第2図柄変動指定コマンドである。コマンド8F00(H)は、第1,第2特別図柄の変動を終了することを指定する図柄確定指定コマンドである。
コマンドA001〜A003(H)は、大当りの種別(通常大当り、確変大当り、突確大当り)ごとに大当り遊技状態の開始を指定する大当り開始指定コマンドである。
コマンドA1XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口開放中の表示を示す大入賞口開放中指定コマンドである。A2XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口開放後(閉鎖)を示す大入賞口開放後指定コマンドである。
コマンドA301〜A303(H)は、大当りの種別(通常大当り、確変大当り、突確大当り)ごとに大当り遊技状態の終了を指定する大当り終了指定コマンドである。
コマンドA401(H)は、第1始動入賞があったことを指定する第1始動入賞指定コマンドである。コマンドA402(H)は、第2始動入賞があったことを指定する第2始動入賞指定コマンドである。
コマンドB000(H)は、遊技状態が通常状態(低確率/低ベース状態)であることを指定する通常状態指定コマンドである。コマンドB001(H)は、遊技状態が時短状態(高ベース状態)であることを指定する時短状態指定コマンドである。コマンドB002(H)は、遊技状態が確変状態(高確率状態)であることを指定する確変状態指定コマンドである。
コマンドC0XX(H)は、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計数(合算保留記憶数)を指定する合算保留記憶数指定コマンドである。コマンドC0XX(H)における「XX」が、合算保留記憶数を示す。コマンドC100(H)は、合算保留記憶数を1減算することを指定する演出制御コマンド(合算保留記憶数減算指定コマンド)である。なお、この実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、合算保留記憶数を減算する場合には合算保留記憶数減算指定コマンドを送信するが、合算保留記憶数減算指定コマンドを使用せず、合算保留記憶数を減算するときに、減算後の合算保留記憶数を指定する合算保留記憶数指定コマンドを送信するようにしてもよい。
なお、この実施の形態では、保留記憶数を指定するコマンドとして、合算保留記憶数を指定する合算保留記憶数指定コマンドを送信する場合を示しているが、第1保留記憶と第2保留記憶とのうち増加した方の保留記憶数を指定するコマンドを送信するように構成してもよい。具体的には、第1保留記憶が増加した場合に第1保留記憶数を指定する第1保留記憶数指定コマンドを送信し、第2保留記憶が増加した場合に第2保留記憶数を指定する第2保留記憶数指定コマンドを送信するようにしてもよい。
また、この実施の形態では、保留記憶情報として、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とのいずれに始動入賞したかを指定する始動入賞指定コマンドを送信するとともに、合算保留記憶数を指定する合算保留記憶数指定コマンドを送信する場合を示しているが、保留記憶情報として送信する演出制御コマンドは、この実施の形態で示したものに限られない。たとえば、保留記憶数が増加したときに、第1保留記憶数または第2保留記憶数が増加したことを示す保留記憶数加算指定コマンド(第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算指定コマンド)を送信する一方、保留記憶数が減少したときに、第1保留記憶数または第2保留記憶数が減少したことを示す保留記憶数減算指定コマンド(第1保留記憶数減算指定コマンドまたは第2保留記憶数減算指定コマンド)を送信するようにしてもよい。
コマンドC2XX(H)およびコマンドC3XX(H)は、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への始動入賞時における大当り判定、大当り種別判定、変動パターン種別判定等の入賞時判定結果の内容を示す演出制御コマンドである。このうち、コマンドC2XX(H)は、入賞時判定結果のうち、大当りとなるか否か、および、大当りの種別の判定結果を示す図柄指定コマンドである。また、コマンドC3XX(H)は、入賞時判定結果のうち、変動パターン種別判定用乱数の値がいずれの判定値の範囲となるかの判定結果(変動パターン種別の判定結果)を示す変動種別コマンドである。
この実施の形態では、後述する入賞時演出処理(図11参照)において、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、始動入賞時に、大当りとなるか否か、大当りの種別、変動パターン種別判定用乱数の値がいずれの判定値の範囲となるかを判定する。そして、図柄指定コマンドのEXTデータに、大当りとなることを指定する値、および、大当りの種別を指定する値を設定し、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう。また、変動種別コマンドのEXTデータに変動パターン種別の判定結果としての判定値の範囲を指定する値を設定し、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100が、図柄指定コマンドに設定されている値に基づいて、表示結果が大当りとなるか否か、大当りの種別を認識できるとともに、変動種別コマンドに基づいて、変動パターン種別を認識できる。
図7は、遊技制御用マイクロコンピュータ560における保留記憶バッファの構成例を示す説明図である。
図7(A)は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)の構成例を示す説明図である。保留特定領域は、RAM55に形成(RAM55内の領域である)され、図7(A)に示すように、合算保留記憶数を計数する合計保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されている。図7(A)には、合計保留記憶数カウンタの値が5である場合の例が示されている。
図7(A)に示すように、保留特定領域には、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への入賞に基づいて入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。したがって、保留特定領域には、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞順を特定可能なデータが記憶される。なお、保留特定領域は、RAM55に形成されている。
図7(B)は、保留記憶に対応する乱数等を保存する保存領域(保留記憶バッファ)の構成例を示す説明図である。図7(B)に示すように、第1保留記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。また、第2保留記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファは、RAM55に形成されている。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファには、ハードウェア乱数である大当り判定用乱数(ランダムR)、および、ソフトウェア乱数である大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が記憶される。
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への入賞に基づいて、CPU56は、乱数回路503およびソフトウェア乱数を生成するためのランダムカウンタからこのような乱数値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。具体的に、第1始動入賞口13への入賞に基づいて、これら乱数値が抽出されて第1保留記憶バッファに保存される。また、第2始動入賞口14への入賞に基づいて、これら乱数値が抽出されて第2保留記憶バッファに保存される。
このように第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに前述のような始動入賞に関する情報が記憶されることを「保留記憶される」と示す場合がある。なお、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)は、始動入賞時において抽出して保存領域に予め格納しておくのではなく、後述する変動パターン設定処理(特別図柄の変動開始時)に抽出するようにしてもよい。
このように保留特定領域および保存領域に記憶されたデータは、後述するように、始動入賞時に読出されて先読み予告演出のために用いられるとともに、変動表示開始時に読出されて変動表示のために用いられる。
この実施の形態において、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示に対応して行なわれる演出図柄の演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、演出図柄の変動表示動作、リーチ演出等における演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出動作というような、様々な演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。また、予告演出制御パターンは、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータ等から構成されている。
次に、パチンコ遊技機1の動作について説明する。パチンコ遊技機1においては、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が予め定められたメイン処理を実行すると、所定時間(たとえば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかりタイマ割込処理が実行されることにより、各種の遊技制御が実行可能となる。
メイン処理においては、たとえば、必要な初期設定処理、通常時の初期化処理、通常時以外の遊技状態復旧処理、乱数回路設定処理(乱数回路503を初期設定)、表示用乱数更新処理(変動パターンの種別決定、変動パターン決定等の各種乱数の更新処理)、および、初期値用乱数更新処理(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタのカウント値の初期値の更新処理)等が実行される。
図8は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込が発生すると、CPU56は、図8に示すステップS(以下、単に「S」と示す)20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(S20)。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号を入力し、それらの状態判定を行なう(スイッチ処理:S21)。
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう表示制御処理を実行する(S22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、S32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数(ランダム4)および大当り種別判定用乱数(ランダム1)等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行なう(判定用乱数更新処理:S23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数(ランダム4初期値決定用乱数等)、および、表示用乱数(ランダム2,3)を生成するためのランダムカウンタのカウント値を更新する処理を行なう(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:S24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行なう(S26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、および、大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行なう(S27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行なう(演出制御コマンド制御処理:S28)。さらに、CPU56は、たとえばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行なう(S29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号に基づく賞球個数の設定等を行なう賞球処理を実行する(S30)。具体的には、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23のいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(S31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行なうための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行なう(S32)。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行なうための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行なう(S33)。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、S22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(S34)、処理を終了する。以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は所定時間毎に起動されることになる。
図9は、特別図柄プロセス処理(S26)を示すフローチャートである。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理においては、始動口スイッチ通過処理を実行する(S311)。そして、内部状態に応じて、S300〜S307のうちのいずれかの処理を行なう。
遊技制御用マイクロコンピュータ560において、RAM55には、第1始動入賞口13への始動入賞に基づいて得られる大当り判定用乱数等の保留記憶データ(第1保留記憶データ)が記憶される第1保留記憶バッファと、第2始動入賞口14への始動入賞に基づいて得られる大当り判定用乱数等の保留記憶データ(第2保留記憶データ)が記憶される第2保留記憶バッファとが設けられている。これら各保留記憶バッファには、各保留記憶の記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。
始動口スイッチ通過処理では、第1始動口スイッチ13aがオンしていれば、第1保留記憶数が上限値(たとえば、4)に達していないことを条件として、第1保留記憶データの記憶数を計数する第1保留記憶数カウンタの値を1増やし、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから数値データ(たとえば、大当り判定用乱数、変動パターン種別判定用乱数、および、変動パターン判定用乱数)を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。一方、第2始動口スイッチ14aがオンしていれば、第2保留記憶数が上限値(たとえば、4)に達していないことを条件として、第2保留記憶データの記憶数を計数する第2保留記憶数カウンタの値を1増やし、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから数値データ(たとえば、大当り判定用乱数、変動パターン種別判定用乱数、および、変動パターン判定用乱数)を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。
以下の保留記憶に関する説明に関しては、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに前述のような始動入賞に関する情報が記憶されることを「保留記憶される」と示す場合がある。また、第1保留記憶バッファに記憶される数値データを第1保留記憶情報と呼び、第2保留記憶バッファに記憶される数値データを第2保留記憶情報と呼ぶ場合がある。
S300〜S307の処理は、以下のような処理である。特別図柄通常処理(S300)は、変動表示の表示結果を大当りとするか否かの決定、および、大当りとする場合の大当り種別の決定等を行なう処理である。変動パターン設定処理(S301)は、変動パターンの決定(変動パターン種別判定用乱数および変動パターン判定用乱数を用いた変動パターンの決定)、および、決定された変動パターンに応じて変動時間を計時するための変動時間タイマの計時開始等の制御を行なう処理である。
表示結果指定コマンド送信処理(S302)は、演出制御用マイクロコンピュータ100に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行なう処理である。特別図柄変動中処理(S303)は、変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過すると特別図柄停止処理にプロセスを進める処理である。特別図柄停止処理(S304)は、決定された変動パターンに対応する変動時間の経過が変動時間タイマにより計時されたときに第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける変動表示を停止して停止図柄を導出表示させる処理である。
大入賞口開放前処理(S305)は、大当りの種別に応じて、特別可変入賞球装置20において大入賞口を開放する制御等を行なう処理である。大入賞口開放中処理(S306)は、大当り遊技状態中のラウンド表示演出用の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御、および、大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行なう処理である。大入賞口の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、大入賞口開放前処理(S305)に移行する。また、全てのラウンドを終えた場合には、大当り終了処理(S307)に移行する。大当り終了処理(S307)は、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ100に行なわせるための制御等を行なう処理である。
図10は、S311の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。
始動入賞判定処理において、CPU56は、まず、第1始動口スイッチ13aがオン状態であるか否かを確認する(S1211)。第1始動口スイッチ13aがオン状態でなければ、S1222に移行する。第1始動口スイッチ13aがオン状態であれば、CPU56は、第1保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が4であるか否か)を確認する(S1212)。第1保留記憶数が上限値に達していれば、S1222に移行する。
第1保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第1保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1213)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1214)。また、CPU56は、図7で説明した第1始動入賞口13および第1始動入賞口14への入賞順を記憶するための保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第1」を示すデータをセットする(S1215)。
この実施の形態では、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口13に遊技球が始動入賞した場合)には「第1」を示すデータをセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口14に遊技球が始動入賞した場合)には「第2」を示すデータをセットする。たとえば、CPU56は、図7に示す保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合には「第1」を示すデータとして01(H)をセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合には「第2」を示すデータとして02(H)をセットする。なお、この場合、対応する保留記憶がない場合には、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、00(H)がセットされている。
図7(A)に示すように、保留特定領域には、合算保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されており、第1始動入賞口13または第1始動入賞口14への入賞に基づき入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。したがって、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、第1始動入賞口13および第1始動入賞口14への入賞順番が記憶される。
次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(図7(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(S1216)。S1216の処理では、大当り判定用乱数(ランダムR)、大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。
次いで、CPU56は、検出した始動入賞に基づく変動がその後実行されたときの変動表示結果や変動パターン種別を始動入賞時に予め判定する入賞時演出処理を実行する(S1217)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果に基づいて、図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1218)とともに、変動種別コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1219)。また、CPU56は、第1始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1220)とともに、合算保留記憶数カウンタの値をEXTデータに設定して合算保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1221)。
S1218,S1219の処理を実行することによって、この実施の形態では、遊技状態(高確率状態、低確率状態、高ベース状態、低ベース状態、大当り遊技状態等の遊技状態)にかかわらず、第1始動入賞口13に始動入賞するごとに、必ず図柄指定コマンドおよび変動種別コマンドの両方が、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信される。
また、この実施の形態では、S1218〜S1221の処理が実行されることによって、第1始動入賞口13への始動入賞が発生したときに、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、第1始動入賞指定コマンドおよび合算保留記憶数指定コマンドの4つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
次いで、CPU56は、第2始動口スイッチ14aがオン状態であるか否かを確認する(S1222)。第2始動口スイッチ14aがオン状態でなければ、そのまま処理を終了する。第2始動口スイッチ14aがオン状態であれば、CPU56は、第2保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が4でるか否か)を確認する(S1223)。第2保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
第2保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第2保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1224)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1225)。また、CPU56は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第2」を示すデータをセットする(S1226)。
次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファ(図7(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(S1227)。なお、S1227の処理では、大当り判定用乱数(ランダムR)、大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。
次いで、CPU56は、入賞時演出処理を実行する(S1228)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果に基づいて図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1229)とともに、変動種別コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1230)。また、CPU56は、第2始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1231)とともに、合算保留記憶数カウンタの値をEXTデータに設定して合算保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1232)。
S1229,S1230の処理を実行することによって、この実施の形態では、遊技状態(高確率状態、低確率状態、高ベース状態、低ベース状態、大当り遊技状態等の遊技状態)CPU56は、第2始動入賞口14に始動入賞するごとに、必ず図柄指定コマンドおよび変動種別コマンドの両方を演出制御用マイクロコンピュータ100に対して送信する。
また、この実施の形態では、S1229〜S1232の処理が実行されることによって、第1始動入賞口14への始動入賞が発生したときに、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、第2始動入賞指定コマンドおよび合算保留記憶数指定コマンドの4つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
図11は、S1217,S1228の入賞時演出処理を示すフローチャートである。入賞時演出処理では、CPU56は、まず、S1216,S1227で抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図5(A)の左欄に示す通常時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認する(S220)。この実施の形態では、特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで、特別図柄通常処理において大当りとするか否か、および大当り種別を決定したり、変動パターン設定処理において変動パターン(変動パターン種別の決定も含む)を決定したりするのであるが、それとは別に、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14に始動入賞したタイミングで、その始動入賞に基づく変動表示が開始される前に、入賞時演出処理を実行することによって、予め大当りとなるか否か、および、大当りの種別、変動パターンを先読み判定する。そのようにすることによって、演出図柄の変動表示が実行されるより前に予め変動表示結果を予測し、後述するように、入賞時の判定結果に基づいて、演出制御用CPU101によって演出図柄の変動表示中に大当りとなること(大当りとなる可能性)を予告する先読み予告を実行する。
なお、この実施の形態では、第1特別図柄の変動表示および第2特別図柄の変動表示の両方を対象として先読み予告を実行する例を説明するが、低ベース状態中は第1特別図柄のみを対象として先読み予告を実行可能とし、高ベース状態中は第2特別図柄のみを対象として先読み予告を実行可能とするようにしてもよい。
大当り判定用乱数(ランダムR)が通常時の大当り判定値と一致しなければ(S220のN)、CPU56は、遊技状態が確変状態(高確率状態)であることを示す確変フラグがセットされているか否かを確認する(S221)。確変フラグがセットされていれば、CPU56は、S1216,S1227で抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図5(A)の右欄に示す確変時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認する(S222)。なお、始動入賞時にS221で確変状態であるか否かを確認してから、実際にその始動入賞に基づく変動表示が開始されるまでの間には、複数の変動表示が実行される可能性がある。そのため、始動入賞時にS221で確変状態であるか否かを確認してから、実際にその始動入賞に基づく変動表示が開始されるまでの間に遊技状態が変化している(たとえば、変動回数により遊技状態が変わる場合に、確変状態開始後の変動回数が100回までと100回より後とで確変状態から通常状態へと遊技状態が変化している。)場合がある。そのため、始動入賞時にS221で判定する遊技状態と変動開始時に判定する遊技状態(後述するS61参照)とは、必ずしも一致するとは限らない。なお、そのような不一致を防止するため、現在記憶している保留記憶内の遊技状態の変更を伴うものを特定して遊技状態が変更されるか否かを判断し、変更後の遊技状態に基づいて始動入賞時の判定を行なうようにしてもよい。
大当り判定用乱数(ランダムR)が確変時の大当り判定値とも一致しなければ(S222のN)、CPU56は、「はずれ」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう(S223)。これにより、「はずれ」となることを示す図柄指定コマンドが始動入賞時に出力されることとなる。
S220またはS222で大当り判定用乱数(ランダムR)が大当り判定値と一致した場合には、CPU56は、S1216,S1227で抽出した大当り種別決定用乱数(ランダム1)に基づいて大当りの種別を判定する(S224)。この場合、CPU56は、第1始動入賞口13への始動入賞があった場合(S1217の入賞時演出処理を実行する場合)には、図5(B)に示す大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)を用いて大当り種別が「通常大当り」、「確変大当り」、または、「突確大当り」のいずれとなるかを判定する。また、第2始動入賞口14への始動入賞があった場合(S1228の入賞時演出処理を実行する場合)には、図5(C)に示す大当り種別判定テーブル(第2特別図柄用)を用いて大当り種別が「通常大当り」、または、「確変大当り」のいずれとなるかを判定する。
次に、CPU56は、大当り種別の判定結果に応じたEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう(S225)。たとえば、「通常大当り」となると判定した場合に、CPU56は、「通常大当り」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう。また、「確変大当り」となると判定した場合に、CPU56は、「確変大当り」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう。また、「突確大当り」となると判定した場合に、CPU56は、「突確大当り」となることを示すEXTデータを図柄指定コマンドに設定する処理を行なう。これにより、大当りとなるときは、始動入賞時に、「通常大当り」、「確変大当り」、または、「突確大当り」となることを示す図柄指定コマンドが出力されることとなる。
次に、CPU56は、S1216,S1227で抽出した変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて、S223、S225で設定された各表示結果、および、遊技状態に応じた変動パターンを判定する(S226)。たとえば、この実施形態では、大当りとなるか否か、および、時短状態であるか否かに応じて、変動パターン種別を決定するために用いるテーブルが異なっているので、S226では、変動パターンの判定対象となる保留記憶データについて、時短フラグ(時短状態に制御されるときにセットされるフラグ)のような遊技状態を示すデータに基づいて、当該保留記憶データに基づく変動表示が実行されるときの遊技状態を認識し、当該保留記憶データに基づく変動表示の表示結果等に基づいて、前記した変動パターンの決定に用いるテーブルを選択し、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターンを判定する。
そして、CPU56は、決定結果に応じたEXTデータを変動種別コマンドに設定する処理を行なう(S227)。これにより、始動入賞時には、変動種別を示す変動種別コマンドが出力されることとなる。
なお、始動入賞時にS221により確変状態であるか否かを確認してから、実際にその始動入賞に基づく変動表示が開始されるまでの間には、複数回の変動表示が実行される可能性がある。そのため、S221で確変状態であるか否かを確認してから、実際にその始動入賞に基づく変動表示が開始されるまでの間に遊技状態が変化している(たとえば、変動回数により遊技状態が変わる場合に、変動回数が100回までと100回より後とで確変状態から通常状態へと遊技状態が変化している。)場合がある。そのため、始動入賞時にS222で判定する遊技状態と変動開始時に判定する遊技状態とは、必ずしも一致するとは限らない。そのような不一致を防止するため、現在記憶している保留記憶内の遊技状態の変更を伴うものを特定して、変更後の遊技状態に基づいて始動入賞時の判定を行なうようにしてもよい。また、大当りの判定対象となる保留記憶データについて、確変回数カウンタ、および、時短回数カウンタのような遊技状態を示すデータに基づいて、当該保留記憶データに基づく変動表示が実行されるときの遊技状態を認識して、当該保留記憶データに基づく変動表示の表示結果等に基づいて、前記した変動パターンの決定に用いるテーブルを選択し、大当り種別判定用乱数(ランダムR)を用いて大当り判定をするようにしてもよい。
また、始動入賞時にS226により時短状態であるか否かを確認してから、実際にその始動入賞に基づく変動表示が開始されるまでの間には、複数回の変動表示が実行される可能性がある。そのため、S226で時短状態であるか否かを確認してから、実際にその始動入賞に基づく変動表示が開始されるまでの間に遊技状態が変化している(たとえば、変動回数により遊技状態が変わる場合に、変動回数が100回までと100回より後とで時短状態から通常状態へと遊技状態が変化している。)場合がある。そのため、始動入賞時にS226で判定する遊技状態と変動開始時に判定する遊技状態とは、必ずしも一致するとは限らない。そのような不一致を防止するため、現在記憶している保留記憶内の遊技状態の変更を伴うものを特定して、変更後の遊技状態に基づいて始動入賞時の判定を行なうようにしてもよい。また、変動パターンの判定対象となる保留記憶データについて、時短回数カウンタのような遊技状態を示すデータに基づいて、当該保留記憶データに基づく変動表示が実行されるときの遊技状態を認識して、当該保留記憶データに基づく変動表示の表示結果等に基づいて、前記した変動パターンの決定に用いるテーブルを選択し、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターン種別を判定するようにしてもよい。
図12は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(S300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、CPU56は、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに保留記憶データがあるかどうかを確認する(S51)。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファのどちらにも保留記憶データがない場合には、処理を終了する。
第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに保留記憶データがあるときには、CPU56は、保留特定領域(図7(A)参照)に設定されているデータのうち1番目のデータが「第1」を示すデータであるか否か確認する(S52)。保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータでない(すなわち、「第2」を示すデータである)場合(S52のN)、CPU56は、特別図柄ポインタ(第1特別図柄について特別図柄プロセス処理を行なっているのか第2特別図柄について特別図柄プロセス処理を行なっているのかを示すフラグ)に「第2」を示すデータを設定する(S54)。保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータである場合(S52のY)、CPU103は、特別図柄ポインタに「第1」を示すデータを設定する(S53)。
この実施の形態では、以下、特別図柄ポインタに「第1」を示すデータが設定されたか「第2」を示すデータが設定されたかに応じて、第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示とを、共通の処理ルーチンを用いて実行する。特別図柄ポインタに「第1」を示すデータが設定されたときには、第1保留記憶バッファに記憶された保留記憶データに基づいて、第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示が行なわれる。一方、特別図柄ポインタに「第2」を示すデータが設定されたときには、第2保留記憶バッファに記憶された保留記憶データに基づいて、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示が行なわれる。
S52〜S54の処理が実行されることによって、この実施の形態では、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とに遊技球が入賞した始動入賞順にしたがって、第1特別図柄の変動表示または第2特別図柄の変動表示が実行される。
次いで、CPU56は、RAM55において、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値をRAM55の乱数バッファに格納する(S55)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶バッファにおける第1保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、第2保留記憶バッファにおける第2保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する。
そして、CPU56は、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、各保存領域の内容をシフトする(S56)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、第1保留記憶バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。また、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合に、第2保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、第2保留記憶バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。
すなわち、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合に、RAM55の第1保留記憶バッファにおいて第1保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第1保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、特別図柄ポインタが「第2」を示す場合に、RAM55の第2保留記憶バッファにおいて第2保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第2保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、CPU56は、保留特定領域において合算保留記憶数=m(m=2〜8)に対応する保存領域に格納されている値(「第1」または「第2」を示す値)を、合算保留記憶数=m−1に対応する保存領域に格納する。
よって、各第1保留記憶数(または、各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、第1保留記憶数(または、第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。また、各合算保留記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各値が抽出された順番は、常に、合算保留記憶数=1〜8の順番と一致するようになっている。
RAM55に形成され合算保留記憶数を計数する合計保留記憶数カウンタのカウント値を1減算する(S57)。なお、CPU56は、カウント値が1減算される前の合算保留記憶数カウンタの値をRAM55の所定の領域に保存する。
特別図柄通常処理では、最初に、第1始動入賞口13を対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータすなわち第1特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータ、または第2始動入賞口14を対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータすなわち第2特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータが、特別図柄ポインタに設定される。そして、特別図柄プロセス処理における以降の処理では、特別図柄ポインタに設定されているデータに応じた処理が実行される。よって、S300〜S307の処理を、第1特別図柄を対象とする場合と第2特別図柄を対象とする場合とで共通化することができる。
次いで、CPU56は、保留記憶バッファからランダムR(大当り判定用乱数)を読出し、大当り判定モジュールを実行する(S61)。なお、この場合、CPU56は、始動口スイッチ通過処理のS1216や始動口スイッチ通過処理のS1227で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに予め格納した大当り判定用乱数を読出し、大当り判定を行なう。大当り判定モジュールは、予め決められている大当り判定値(図5参照)と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち、大当り判定の処理を実行するプログラムである。
大当り判定の処理では、遊技状態が確変状態(高確率状態)の場合は、遊技状態が非確変状態(通常遊技状態)の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている。具体的には、予め大当り判定値の数が多く設定されている確変時大当り判定テーブル(ROM54における図5(A)の右側の数値が設定されているテーブル)と、大当り判定値の数が確変時大当り判定テーブルよりも少なく設定されている通常時大当り判定テーブル(ROM54における図5(A)の左側の数値が設定されているテーブル)とが設けられている。そして、CPU56は、遊技状態が確変状態であるか否かを確認し、遊技状態が確変状態であるときは、確変時大当り判定テーブルを使用して大当り判定の処理を行ない、遊技状態が通常遊態や時短状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当り判定の処理を行なう。すなわち、CPU56は、大当り判定用乱数(ランダムR)の値が図5(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りとすることに決定する。大当りとすることに決定した場合には(S61のY)、S71に移行する。なお、大当りとするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、特別図柄表示器における停止図柄を大当り図柄とするか否か決定するということでもある。
なお、現在の遊技状態が確変状態であるか否かの確認は、確変フラグがセットされているか否かにより行なわれる。確変フラグは、遊技状態を確変状態に移行するときにセットされ、確変状態を終了するときにリセットされる。具体的に、確変フラグは、確変大当りまたは突確大当りとなったときに、大当り終了処理(図10のS307)においてセットされ、その後、次回の大当りが決定されたという条件、または、はずれ表示結果となる変動表示が所定回数(たとえば100回)が実行されたという条件が成立したときに、特別図柄の変動表示を終了して停止図柄を停止表示するタイミングでリセットされる。
大当り判定用乱数(ランダムR)の値がいずれの大当り判定値にも一致しなければ(S61のN)、後述するS75に進む。
S61において大当り判定用乱数(ランダムR)の値がいずれかの大当り判定値に一致すればCPU56は、大当りであることを示す大当りフラグをセットする(S71)。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。そして、大当り種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定用テーブルおよび図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定用テーブルのうち、いずれかのテーブルを選択する(S72)。具体的に、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、図5(B)に示す第1特別図柄大当り種別判定用テーブルを選択する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合において、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定用テーブルを選択する。
次いで、CPU56は、始動口スイッチ通過処理で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに予め格納した大当り種別判定用乱数を読出し、S72で選択した大当り種別判定テーブルを用いて、保留記憶バッファに格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した大当り種別および大当り図柄を決定する(S73)。
図5(B),(C)に示すように、第1特別図柄および第2特別図柄については、大当り種別ごとに大当り図柄が異なるように大当り種別と大当り図柄との関係が設定されており、大当り種別と大当り図柄とが同時に決定されるので、大当り図柄と、大当り種別に応じた遊技制御との対応関係が単純化するため、遊技制御の複雑化を防ぐことができる。
また、CPU56は、決定した大当りの種別を示す大当り種別データをRAM55における大当り種別バッファに設定する(S74)。たとえば、大当り種別が「通常大当り」の場合には、大当り種別データとして「01」が設定される。大当り種別が「確変大当り」の場合には、大当り種別データとして「02」が設定される。大当り種別が「突確大当り」の場合には、大当り種別データとして「03」が設定される。
次いで、CPU56は、特別図柄の停止図柄を設定する(S75)。具体的には、大当りフラグがセットされていない場合には、はずれ図柄となる「−」を特別図柄の停止図柄として設定する。大当りフラグがセットされている場合には、大当り種別の決定結果に応じて、S73により決定された大当り図柄を特別図柄の停止図柄に設定する。すなわち、大当り種別が「確変大当り」に決定されたときには「7」を特別図柄の停止図柄に設定する。大当り種別が「通常大当り」に決定した場合には「3」を特別図柄の停止図柄に決定する。大当り種別が「突確大当り」に決定した場合には「5」を特別図柄の停止図柄に決定する。
そして、特別図柄プロセスフラグの値を変動パターン設定処理(S301)に対応した値に更新する(S76)。
次に、演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100の動作を説明する。
図13は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。
演出制御用CPU101は、電源が投入されると、演出制御メイン処理の実行を開始する。演出制御メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(たとえば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行なうための初期化処理を行なう(S701)。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視(S702)を行なうループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。演出制御メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(S703)、以下の演出制御処理を実行する。
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドに応じたフラグをセットする処理等を行なう(コマンド解析処理:S704)。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行なう(S705)。演出制御プロセス処理では、S704で解析した演出制御コマンドの内容にしたがって演出表示装置9での演出図柄の変動表示等の各種演出を行なうために、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出制御を実行する。
次いで、演出図柄の大当り図柄決定用乱数および各種演出内容の選択決定用乱数等の各種乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行する(S706)。また、演出表示装置9での保留記憶表示の表示状態(保留表示の移動、消去等)の制御を行なう保留記憶表示制御処理を実行する(S707)。その後、S702に移行する。
このような演出制御メイン処理が実行されることにより、演出制御用マイクロコンピュータ100では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信され、受信した演出制御コマンドに応じて、演出表示装置9、各種ランプ、および、スピーカ27等の演出装置を制御することにより、遊技状態に応じた各種の演出制御が行なわれる。
たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ100においては、受信した変動パターンコマンドを受信したときに、演出図柄の変動表示を開始させ、図柄確定指定コマンドを受信したときに、演出図柄の変動表示を停止させる。変動パターンコマンドは、変動時間の長さ、リーチ演出の有無、リーチ演出を実行するときのリーチ種別(ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の種別)、および、変動表示結果(大当り、はずれ、大当りの種別)等の変動表示態様を指定するために必要な情報が特定なデータよりなるコマンドである。変動表示は、各変動パターンコマンドに対応する変動時間で実行されるように制御される。また、演出図柄の停止図柄は、表示結果指定コマンドに基づいて、はずれとなるか、大当りとなるかの判別、および、大当りとなるときの大当り種別の判別を行なうことに基づいて決定する。
図14は、演出制御基板80側のデータ保持エリアおよび始動入賞時受信コマンドバッファを示す説明図である。
図3に示す演出制御基板80に搭載されたRAM103には、演出動作を制御するために用いられる各種データを保持する領域として、たとえば図14(A)に示すような演出制御用データ保持エリア190が設けられている。図14(A)に示す演出制御用データ保持エリア190は、演出制御フラグ設定部191と、演出制御タイマ設定部192と、演出制御カウンタ設定部193と、演出制御バッファ設定部194とを備えている。
演出制御フラグ設定部191には、たとえば演出表示装置9の画面上における演出画像の表示状態等というような演出動作状態や主基板31から伝送された演出制御コマンド等に応じて状態を更新可能な複数種類のフラグが設けられている。たとえば、演出制御フラグ設定部191には、複数種類のフラグそれぞれについて、フラグの値を示すデータや、オン状態あるいはオフ状態を示すデータが記憶される。
演出制御タイマ設定部192には、たとえば演出表示装置9の画面上における演出画像の表示動作等というような各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のタイマが設けられている。たとえば、演出制御タイマ設定部192には、複数種類のタイマそれぞれにおけるタイマ値を示すデータが記憶される。
演出制御カウンタ設定部193には、各種演出動作の進行を制御するために用いられる複数種類のカウンタが設けられている。たとえば、演出制御カウンタ設定部193には、複数種類のカウンタそれぞれにおけるカウント値を示すデータが記憶される。
演出制御バッファ設定部194には、各種演出動作の進行を制御するために用いられるデータを一時的に記憶する各種のバッファが設けられている。たとえば、演出制御バッファ設定部194には、複数種類のバッファのそれぞれにおけるバッファ値を示すデータが記憶される。
この実施の形態では、図14(B)に示すような始動入賞時受信コマンドバッファを構成するデータが、演出制御バッファ設定部194の所定領域に記憶される。始動入賞時受信コマンドバッファには、合計保留記憶数の最大値(たとえば「8」)に対応した格納領域(バッファ番号「1」〜「8」に対応した領域)が設けられている。
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への始動入賞があったときには、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド(第1または第2始動入賞指定コマンド)、および、合算保留記憶数指定コマンドという4つのコマンドを1セットとして、主基板31から演出制御基板80へと送信される。始動入賞時受信コマンドバッファには、これら図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド、および、合算保留記憶数指定コマンドを対応付けて格納できるように記憶領域(シフトデータ領域)が確保されている。
演出制御用CPU101は、始動入賞時に受信した順番でコマンドを特定するデータを始動入賞時受信コマンドバッファの空き領域における先頭から格納していく。始動入賞時受信コマンドバッファの空き領域、すなわち、データが格納されていない領域のデータは、「0000(H)」である。始動入賞時には、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド、および、合算保留記憶数指定コマンドの順にコマンド送信が行なわれる。したがって、コマンド受信が正常に行なわれれば、図14(B)に示すように、バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに対応する格納領域に、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、始動入賞指定コマンド、および、合算保留記憶数指定コマンドの順に格納されていくことになる。図14(B)では、バッファ番号「1」〜「6」に対応する格納領域においてコマンドが格納されている例が示されている。
また、始動入賞時受信コマンドバッファには、バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに対応する格納領域として、バッファ番号「1」〜「8」のそれぞれに格納された保留記憶に関するデータに対応して、次に示すような先読み判定済情報、保留表示色情報、変化パターン情報、変化タイミング情報、および、E保留演出フラグ情報を格納するための記憶領域が設けられている。
始動入賞時受信コマンドバッファに格納された図柄指定情報等の所定のデータに基づいて、大当り表示結果になるか否かについての先読み判定が行なわれて、大当り表示結果になるか否かに応じて表示当初の保留表示の表示態様(以下、保留表示色と記載する)と、表示後の表示態様の変化パターンと、表示態様の変化タイミングとが決定される。先読み判定が行なわれたときに、先読み判定済情報において「1」がセットされる。そして、決定された保留表示色、変化パターンおよび変化タイミングに応じた情報が各情報を格納するための記憶領域に記憶される。
本実施の形態において保留表示色は、複数種類の保留表示色を含む。複数種類の保留表示色は、たとえば、「通常(白色)」と、「点滅発光」と、「青色」と、「緑色」と、「赤色」と、「Eマーク」とを含む。本実施の形態においては、「通常(白色)」<「点滅発光」<「青色」<「緑色」<「赤色」<「Eマーク」の関係になるように大当り表示結果となる期待度が設定される。すなわち、「通常(白色)」は、上述の複数種類の表示態様のうちの期待度が最も低い表示態様である。「Eマーク」は、上述の複数種類の表示態様のうちの期待度が最も高い表示態様である。各保留表示色には、所定の番号が割り当てられる。たとえば、「通常(白色)」には、「2000(H)」が割り当てられる。「点滅発光」には、「2001(H)」が割り当てられる。「青色」には、「2002(H)」が割り当てられる。「緑色」には、「2003(H)」が割り当てられる。「赤色」には、「2004(H)」が割り当てられる。「Eマーク」には、「2005(H)」が割り当てられる。
本実施の形態において変化パターンは、複数種類の変化パターンを含む。複数種類の変化パターンは、たとえば、表示態様を変化させない「変化なし」と、「点滅発光」に変化させる変化パターンと、「青色」に変化させる変化パターンと、「緑色」に変化させる変化パターンと、「赤色」に変化させる変化パターンとを含む。各変化パターンには、所定の番号が割り当てられる。たとえば、「変化なし」には、「3000(H)」が割り当てられる。「点滅発光」に変化する変化パターンには、「3001(H)」が割り当てられる。「青色」に変化する変化パターンには、「3002(H)」が割り当てられる。「緑色」に変化する変化パターンには、「3003(H)」が割り当てられる。「赤色」に変化する変化パターンには、「3004(H)」が割り当てられる。
本実施の形態において変化タイミングとしては、バッファ番号「1」〜「4」が「4001(H)」〜「4004(H)」のそれぞれに割り当てられる。
さらに、保留表示色として「Eマーク」が決定される場合には(後述するE保留演出の実行が決定される場合には)、各バッファ番号のE保留演出フラグにおいて「5001(H)」がセットされる。そして、E保留演出が決定されてからE保留演出が実行されるまでの間に始動入賞し、始動入賞時コマンドバッファに追加される保留記憶におけるE保留演出フラグについても「5001(H)」がセットされる。
以上に説明したような始動入賞時受信コマンドバッファにおけるデータの格納状態の一例として、図14(B)では、6個の保留記憶情報が発生した後の状態(バッファ番号「6」の合算保留記憶数指定情報が「C106(H)」)が示されている。そのため、バッファ番号「1」〜「6」に対応する6個の保留記憶が存在している。そして、図14(B)の例では、バッファ番号「1」〜「6」に対応した保留記憶情報について先読み処理が行なわれ、バッファ番号「1」〜「6」のうちのバッファ番号「2」の保留記憶については、保留表示色として「2001(H)」が設定され、変化パターンとして「3003(H)」が設定され、かつ、変化タイミングとして「4001(H)」が設定されている。すなわち、現在バッファ番号「2」の保留記憶の表示当初の表示色が「点滅発光」であり、バッファ番号「1」にシフトしたときに「点滅発光」から「緑色」に変化することが示される。また、その他の保留記憶(バッファ番号「1」および「3」〜「6」)については、保留表示色として「2000(H)」が設定され、変化パターンとして「3000(H)」が設定され、変化タイミングとして「4000(H)」が設定されている。すなわち、これらの保留記憶の保留表示色が「通常(白色)」であり、消去(消化)されるまでの間に表示態様が変化しないことが示される。
図14(B)に示す始動入賞時受信コマンドバッファに格納されているコマンドに関するデータ、先読み判定に関するデータおよび保留表示の表示態様に関するデータは、演出図柄の変動表示を開始する毎に、1つ目の格納領域(バッファ番号「1」に対応した領域)に格納されているものから削除され、以降の記憶内容がシフトされる。たとえば図14(B)に示す格納状態において新たな演出図柄の変動表示が開始された場合には、バッファ番号「1」に格納されている各データが削除され、バッファ番号「2」に対応した領域において格納されている各データがバッファ番号「1」に対応した領域にシフトされ、バッファ番号「3」〜「6」のそれぞれに対応した領域において格納されている各データが、バッファ番号「2」〜「5」に対応した領域にシフトされる。
また、図14においては、保留表示色情報、変化パターン情報、変化タイミング情報およびE保留演出フラグ情報を始動入賞時受信コマンドバッファに格納する例を示した。しかし、これに限らず、始動入賞時受信コマンドバッファとは別に、各始動入賞記憶情報に対応して保留表示色情報、変化パターン情報、変化タイミング情報およびE保留演出フラグ情報を格納する領域を演出制御用データ保持エリア190に設け、当該領域に格納された情報を用いて、保留表示の表示態様を変化させる演出を実行するようにしてもよい。
図15は、図13に示された演出制御メイン処理における演出制御プロセス処理(S705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU101は、S600の処理を行なった後、演出制御プロセスフラグの値に応じてS800〜S807のうちのいずれかの処理を行なう。各処理において、以下のような処理を実行する。演出制御プロセス処理では、演出表示装置9の表示状態が制御され、演出図柄の変動表示が実現されるが、第1特別図柄の変動に同期した演出図柄の変動表示に関する制御も、第2特別図柄の変動に同期した演出図柄の変動表示に関する制御も、一つの演出制御プロセス処理において実行される。
先読み処理(S600):先読み判定結果に基づく保留表示変化演出を実行するか否かの判定や、保留表示変化演出の演出態様の決定等の処理を行なう。S600の具体的な処理内容については、図19を用いて後述する。
変動パターンコマンド受信待ち処理(S800):遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターンコマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターンコマンドを受信していれば、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動開始処理(S801)に対応した値に変更する。
演出図柄変動開始処理(S801):演出図柄(飾り図柄)の変動表示が開始されるように制御する。また、演出図柄の停止図柄(表示結果)を演出図柄の停止図柄決定用の乱数に基づいて決定する。受信した変動パターンコマンドに対応して、演出図柄の変動表示時の演出パターンを選択し、実行する変動表示の変動時間を計時する変動時間タイマの計時をスタートさせる。そして、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(S802)に対応した値に更新する。
演出図柄変動中処理(S802):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替えタイミング等を制御するとともに、変動時間タイマにより計時される変動時間が終了したか否かを監視する。そして、変動時間が終了したか、または、全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)を受信したことに基づいて、変動表示を終了させるために、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(S803)に対応した値に更新する。
演出図柄変動停止処理(S803):演出図柄(飾り図柄)の変動表示を停止し、変動表示の表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行なう。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り表示処理(S804)または変動パターンコマンド受信待ち処理(S800)に対応した値に更新する。
大当り表示処理(S804):変動時間の終了後、演出表示装置9に大当りの発生を報知するための大当り表示等の演出としてのファンファーレ演出を行なう制御等の表示制御を行なう。そして、演出制御プロセスフラグの値を大当り遊技中処理(S805)に対応した値に更新する。
ラウンド中処理(S805):ラウンド中の表示制御を行なう。そして、ラウンド終了条件が成立したら、最終ラウンドが終了していなければ、演出制御プロセスフラグの値をラウンド後処理(S806)に対応した値に更新する。最終ラウンドが終了していれば、演出制御プロセスフラグの値を大当り終了処理(S807)に対応した値に更新する。
ラウンド後処理(S806):ラウンド間の表示制御を行なう。そして、ラウンド開始条件が成立したら、演出制御プロセスフラグの値をラウンド中処理(S805)に対応した値に更新する。
大当り終了演出処理(S807):演出表示装置9において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行なう。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターンコマンド受信待ち処理(S800)に対応した値に更新する。
演出制御用CPU101は、たとえば、受信した変動パターンコマンド、および、表示結果指定コマンドに基づいて、実行される変動表示について、指定された変動パターン、および、表示結果を認識し、次のように演出図柄の停止図柄を決定する。演出図柄変動開始処理(S801)においては、表示結果に応じて、演出図柄の停止図柄決定用の乱数SR1−1〜SR1−3のうちから各種表示結果を決定するために必要な種類の乱数値を抽出し、これらと、演出図柄を示すデータと数値とが対応付けられている停止図柄決定テーブルとを用いて、演出図柄の停止図柄を決定する。この実施の形態では、演出制御基板80の側において、左演出図柄(左図柄)決定用の乱数値SR1−1、中演出図柄(中図柄)決定用の乱数値SR1−2、右演出図柄(右図柄)決定用の乱数値SR1−3、および、後述する先読み予告判定用の乱数値SR2等のそれぞれを示す数値データがカウント可能に制御される。なお、演出効果を高めるために、これら以外の乱数値が用いられてもよい。
このような乱数SR1−1〜SR3,SR2等のそれぞれは、演出制御用マイクロコンピュータ100においてソフトウェアによりカウント値を更新するランダムカウンタのカウントにより生成されるものであり、所定の数値範囲内でそれぞれ巡回更新され、それぞれについて定められたタイミングで抽出されることにより乱数として用いられる。すなわち、抽出した乱数値と同じ数値に対応する演出図柄の組合せを示すデータを選択することによって停止図柄を決定する。そして、演出制御用CPU101は、演出図柄の変動表示を停止するときに、このように決定された停止図柄で演出図柄を停止させる。演出図柄についても、大当りを想起させるような停止図柄を大当り図柄という。そして、はずれを想起させるような停止図柄をはずれ図柄という。
具体的に、演出図柄の停止図柄は、たとえば、次のように決定する。非リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合においては、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、ROM102に記憶されたはずれ図柄決定用データテーブル(乱数値とはずれ図柄になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用い、抽出した乱数に対応する図柄がそれぞれ左,中,右の演出図柄の変動表示結果となる停止図柄の組合せとして決定される。また、このように非リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合において、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然大当り図柄の組合せと一致する場合には、はずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。また、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然リーチ図柄となってしまう場合には、非リーチはずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。このように決定された非リーチはずれ図柄の組合せが、変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合においては、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、ROM102に記憶されたはずれ図柄決定用データテーブルを用い、SR1−1から抽出された乱数に対応する図柄が、リーチ状態を形成する各演出図柄(左,右演出図柄)の停止図柄として決定され、SR1−2から抽出された乱数に対応する図柄が、最後に停止する演出図柄(中演出図柄)の停止図柄として決定される。このように決定されたリーチはずれ図柄の組合せが、変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、大当りの図柄の組合せを決定する場合においては、大当りの種別に応じて大当り図柄の組合せを決定する。たとえば、確変大当りとなるときには、確変大当りを想起させるような確変大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右演出図柄が「7,7,7」というようないずれかの奇数図柄が揃った図柄の組合せ)を選択決定する。また、通常大当りとなるときには、通常大当りを想起させるような通常大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右演出図柄が「2,2,2」というようないずれかの偶数図柄が揃った図柄の組合せ)を選択決定する。また、突確大当りとなるときは、チャンス目図柄の組合せ(たとえば、左,中,右が「1,2,3」というような特定のはずれ図柄の組合せ)を選択決定する。
確変大当りにすることに決定されているときには、ROM102に記憶された確変大当り図柄決定用テーブル(乱数値と確変大当り図柄になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用いて、左,中,右演出図柄がいずれかの奇数図柄で揃った組合せを選択決定する。確変大当り図柄決定用テーブルは、予め定められた複数種類の奇数図柄のそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。確変大当り図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、確変大当り図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄が、確変大当り図柄の組合せを構成する左,中,右演出図柄の停止図柄の組合せとして決定される。このように決定された確変大当り図柄の組合せが、変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、通常大当りにすることに決定されているときには、ROM102に記憶された通常大当り図柄決定用テーブル(乱数値と通常大当り図柄になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用いて、左,中,右演出図柄がいずれかの偶数図柄で揃った組合せを選択決定する。通常大当り図柄決定用テーブルは、予め定められた複数種類の偶数図柄のそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。通常大当り図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、通常大当り図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄が、通常大当り図柄の組合せを構成する左,中,右演出図柄の停止図柄の組合せとして決定される。このように決定された通常大当り図柄の組合せが変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、突確大当りにすることに決定されているときには、ROM102に記憶されたチャンス目図柄決定用テーブル(乱数値とチャンス目になる左,中,右の演出図柄との関係を示すデータテーブル)を用いて、チャンス目図柄の組合せを選択決定する。チャンス目図柄決定用テーブルは、複数種類のチャンス目図柄の組合せのそれぞれに、SR1−1のそれぞれの数値データが対応付けられている。チャンス目図柄の組合せを決定するときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、チャンス目図柄決定用テーブルを用い、抽出した乱数に対応する図柄が、チャンス目図柄の組合せを構成する左,中,右演出図柄の停止図柄の組合せとして決定される。このように決定された突確大当り図柄の組合せが変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
また、変動パターンコマンドにおいてノーマルリーチが指定されたときには、各ノーマルリーチの種類に対応したリーチ演出が行なわれる。さらに、変動パターンコマンドにおいてスーパーリーチが指定されたときには、各スーパーリーチの種類に対応したリーチ演出が行なわれる。
そして、演出制御用マイクロコンピュータ100においては、確変状態指定コマンドに基づいて確変状態であることを認識でき、時短状態指定コマンドに基づいて時短状態であることを認識できるので、演出表示装置9等の演出装置により、確変状態および時短状態に応じて特有の演出を行なうことができる。
たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ100においては、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信されてくる通常状態指定コマンド、時短状態指定コマンド、確変状態指定コマンド等に基づいて、遊技状態がどのような状態にあるかを特定するデータを記憶し、その記憶データに基づいて、遊技状態を常に認識する。そして、このように認識している遊技状態と、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信されてくる変動パターンコマンドとに基づいて、演出制御用マイクロコンピュータ100は、現在の遊技状態に応じた演出態様で演出図柄の変動表示を実行させることが可能である。
なお、変動パターンコマンドにより、変動パターンに加えて、大当りとするか否か、および、大当りの種別を特定可能とする場合には、変動パターンコマンドにより特定される大当りとするか否かの情報、および、大当りの種別の情報に基づいて、演出図柄の停止図柄の組合せを決定するようにしてもよい。
以下の説明においては、図14(B)に示される状態とは異なり、バッファ番号「1」〜「4」にデータが格納された場合を一例としている。この例においては、バッファ番号「1」〜「4」の保留記憶を「第1保留」〜「第4保留」と呼ぶ。したがって、「第1保留」は、始動入賞時受信コマンドバッファに記憶されている保留記憶情報のうち、最も古いデータであり、最初に変動表示が実行される保留記憶である。そして、「第4保留」は、始動入賞時受信コマンドバッファに記憶されている保留記憶情報のうち、最も新しいデータであり、最後に変動表示が実行される保留記憶である。
図16は、演出実行例を示す図である。具体的には、演出表示装置9におけるE保留演出の実行例を示す表示画面図である。本実施の形態において、E保留演出は、演出表示装置9内に表示されるすべての保留表示を所定態様(「Eマーク」)に変更する演出である。図16(A)には、E保留演出が実行される前の保留表示の表示状態が示されている。図16(B)には、E保留演出が実行された後の保留表示の表示状態が示されている。
図16(A)に示されるように、第1保留〜第4保留にそれぞれ対応する保留表示81〜84は、左演出図柄が変動表示される左演出図柄表示領域91、中演出図柄が変動表示される中演出図柄表示領域92、右演出図柄が変動表示される右演出図柄表示領域93の下方の保留表示領域86に表示される。
アクティブ表示部80は、保留表示領域86の左側であって、演出表示装置9の表示領域の左下の領域に設けられる。アクティブ表示部80は、実行中の変動表示に対応して、保留表示と同一の演出画像または保留表示と異なる演出画像を表示する。アクティブ表示部80における表示は、アクティブ表示(変動表示対応表示、あるいは単に、対応表示などともいう)と称する。
アクティブ表示部80は、保留表示領域86にて消去(消化)された保留表示に応じたアクティブ表示が行なわれる。保留表示とアクティブ表示とでは、色彩や模様が共通するものであればよく、例えばアクティブ表示は保留表示よりも大きく表示されるものであってもよい。
図16においては、演出表示装置9の表示領域の左下の位置にアクティブ表示部80が配置されている例を示した。これに対して、アクティブ表示部80は、演出表示装置9の表示領域の左下の位置にアクティブ表示部80が配置されるものに限定されず、演出表示装置9の表示領域における任意の位置に配置されていればよい。また、保留表示領域86の配置も任意に変更可能であり、例えば、左演出図柄表示領域91の左側の位置に縦方向に配置したものでもよいし、右演出図柄表示領域93よりも右側の位置に縦方向に配置したものでもよいし、左演出図柄表示領域91、中演出図柄表示領域92および右演出図柄表示領域93よりも上方の位置に横方向に配置したものでもよい。
図16(A)においては、第1保留〜第4保留にそれぞれ対応する保留表示81〜84が、「通常(白色)」の表示態様(白色無地の丸枠)で表示されている。
たとえば、第4保留の始動入賞時において、先読み処理が行なわれた結果、E保留演出の実行が決定された場合を想定する。このとき、第4保留は、「通常(白色)」の表示態様の保留表示84として表示されることとなる。この場合、変動中の変動表示が終了すると、保留表示領域86内の第1保留に対応する保留表示81が消去され、第2保留〜第4保留に対応する保留表示82〜84のぞれぞれが左側にバッファ番号「1」〜「3」に対応する位置に移動する。そして、次の変動(第1保留に対応する変動)が開始する場合に、E保留演出が実行される。
E保留演出が実行されることによって、図16(B)に示すように、第2保留〜第4保留にそれぞれ対応する保留表示82〜84の表示態様が「Eマーク」に変更される。具体的には、保留表示82〜84のすべてが矩形状の枠の中央に「E」の文字が付加された表示態様に変更される。
なお、「Eマーク」は、少なくとも他の表示態様の保留表示よりも面積の大きい形状を有し、「Eマーク」によって変更前の表示態様の保留表示を隠すような演出が可能な形状を有する。
また、図16(B)の演出実行例では、アクティブ表示部80において表示される対応表示の表示態様についても同様に「Eマーク」に変更される。アクティブ表示部80において表示される「Eマーク」も同様に少なくとも他の表示態様のアクティブ表示よりも面積の大きい形状を有し、「Eマーク」によって変更前の表示態様のアクティブ表示を隠すような演出が可能な形状を有する。アクティブ表示部80における「Eマーク」への変更と、保留領域内における「Eマーク」への変更とは、同時に行なわれるようにしてもよいし、タイミングをずらして行なわれるようにしてもよい。E保留演出は、他の保留表示変化演出よりも大当り表示結果となる期待度が高い保留表示変化演出である。
以上のように説明したE保留演出が実行された後に、E保留演出と異なる演出であって、かつ、保留表示の表示態様を変化させる演出(以下、通常保留表示変化演出と記載する)が実行される場合には、E保留演出によって変化された保留表示の表示態様(「Eマーク」)が別の表示態様に上書きされる虞がある。E保留演出により、保留表示領域86内に表示される全ての保留表示の表示態様を所定態様(「Eマーク」)に変更することで一体感を生じさせる演出効果が一部の保留表示の表示態様の変更により低下する場合がある。なお、本実施の形態では、通常保留表示変化演出とは、たとえば、保留表示領域86内に表示される複数の保留表示のうちのいずれかの保留表示色を変化させる演出である。
本実施の形態においては、E保留演出が実行されたことにより変化した保留表示の表示態様が通常保留表示変化演出により変化することを制限するものである。
以下に、E保留演出および通常保留表示変化演出を実行する場合において、E保留演出による変更された保留表示の表示態様が通常保留表示変化演出によって変化されない例を説明する。
図17は、表示色および変化パターンの決定テーブルを表形式で示す図である。図17(A)には、はずれ時の保留表示色および変化パターンの決定テーブル(第1決定テーブル)が示されている。図17(B)には、大当り時の保留表示色および変化パターンの決定テーブル(第2決定テーブル)が示されている。
第1決定テーブルは、はずれ時の保留表示色を決定するための表示色決定テーブル部分と、はずれ時の保留表示の表示態様の変化パターンを決定するためのパターン決定テーブル部分とを含む。第2決定テーブルは、大当り時の保留表示色を決定するための表示色決定テーブル部分と、大当り時の保留表示の表示態様の変化パターンを決定するためのパターン決定テーブル部分とを含む。
図17(A),(B)においては、複数種類の保留表示色と、複数種類の保留表示色のそれぞれに割り振られた判定用の乱数値の個数(計100個)との関係がはずれ時および大当り時の表示色決定テーブル部分において設定されている。
また、図17(A),(B)においては、複数種類の変化パターンと、複数種類の変化パターンのそれぞれに割り振られた判定用の乱数値の個数(計100個)との関係がはずれ時および大当り時の変化パターン決定テーブル部分において設定されている。変化パターンの判定用の乱数は、選択された保留表示色に対応して複数種類の変化パターンが選択できるように、保留表示色の種類ごとに計100個の乱数値が割り振られている。
図17(A)においては、複数種類の保留表示色として、「通常(白色)」と、「点滅発光」と、「青色」と、「緑色」と、「赤色」とが選択可能に設けられている。一方、図17(B)においては、複数種類の保留表示色として、上述の種類に加えて、「E」が選択可能に設けられている。
また、図17(A),(B)においては、表示色として「通常(白色)」が選択されたときには、変化パターンとして「変化なし」と「白色→点滅発光」と「白色→青色」と「白色→緑色」と「白色→赤色」とのいずれかが選択されるように、データが設定されている。
また、図17(A),(B)においては、表示色として「点滅発光」が選択された時には、変化パターンとして「変化なし」と「点滅発光→青色」と「点滅発光→緑色」と「点滅発光→赤色」とのいずれが選択されるように、データが設定されている。
さらに、図17(A),(B)においては、表示色として「青色」が選択された時には、変化パターンとして「変化なし」と「青色→緑色」と「青色→赤色」とのいずれかが選択されるように、データが設定されている。
さらに、図17(A),(B)においては、表示色として「緑色」が選択された時には、変化パターンとして「変化なし」と「緑色→赤色」とのいずれかが選択されるように、データが設定されている。なお、図17(A),(B)において、表示色として「赤色」あるいは「E」が選択された時には、変化パターンとして「変化なし」が選択されるようにデータが設定されている。
図17(A)において、各保留表示色の選択割合は、大当り表示結果となる期待度が高い保留表示色であるほど選択される割合が低くなるように設定される。さらに、図17(A)においては、変化パターンの選択割合は、保留表示色が「赤色」である場合を除き、大当り表示結果となる期待度の高い保留表示色に変化する変化パターンであるほど選択される割合が低くなるように設定される。なお、図17(A)においては、保留表示色として「赤色」が選択される場合には、変化パターンとして「変化なし」が選択されるように変化パターンの選択割合が設定される。
図17(B)において、各保留表示色の選択割合は、大当り表示結果となる期待度が高い保留表示色であるほど選択される割合が高くなるように設定される。さらに、図17(B)においては、変化パターンの選択割合は、保留表示色が「赤色」および「Eマーク」のいずれかである場合を除き、大当り表示結果となる期待度の高い保留表示色に変化する変化パターンであるほど選択される割合が高くなるように設定される。なお、図17(B)においては、保留表示色として「赤色」または「Eマーク」が選択される場合には、変化パターンとして「変化なし」が選択されるように変化パターンの選択割合が設定される。
また、図17(A),(B)において、保留記憶の先読み判定結果が大当り表示結果となるときには、はずれ表示結果となるときに比べて「緑色」、「赤色」および「Eマーク」が選択される割合がそれぞれ高くなるようにデータが設定されている。これにより、保留表示色が「緑色」、「赤色」および「Eマーク」のいずれかである場合には、遊技者の大当りへの期待感を盛り上げることができる。
また、図17(A),(B)において、保留記憶の先読み判定結果が大当り表示結果となるときには、はずれ表示結果となるときに比べて大当り表示結果となる期待度の高い保留表示色(赤色)に変化する変化パターンが選択される割合が高くなるようにデータが設定されている。
一方、図17(A),(B)において、保留記憶の先読み判定結果がはずれ表示結果となるときには、大当り表示結果となるときに比べて変化パターンとして「変化なし」が選択される割合が高くなるようにデータが設定されている。これにより、保留表示が表示当初の保留表示色から変化したときには、遊技者の大当りへの期待感をより一層盛り上げることができる。
図18は、変化タイミング決定テーブルを表形式で示す図である。変化タイミング決定テーブルにおいては、入賞時に情報が格納されるバッファ番号(以下、保留番号と記載する)と、複数種類の変化タイミングと、複数種類の変化タイミングのそれぞれに割り振られた判定用の乱数値(計100個)との関係が設定される。
たとえば、先読み処理の判定対象の保留番号が「4」〜「8」である場合には、変化タイミングとして、保留番号が「3」になるとき(古い方から3つめの保留表示となるとき)と、保留番号が「2」になるとき(古い方から2つめの保留表示となるとき)と、保留番号が「1」になるとき(古い方から1つめの保留表示となるとき)とのいずれかが所定の割合(たとえば、40:30:30の割合)で選択される。
一方、先読み処理の判定対象の保留番号が「3」である場合には、変化タイミングとして、保留番号が「2」になるときと、保留番号が「1」になるときとのいずれかが所定の割合(たとえば、50:50の割合)で選択される。なお、先読み処理の判定対象の保留番号が「2」である場合には、保留番号「1」になるときが変化タイミングとして選択される。
次に、演出制御用マイクロコンピュータ100が実行する先読み処理(S600)の具体的な処理内容を説明する。図19は、先読み処理を示すフローチャートである。
先読み処理においては、まず、図14(B)に示す始動入賞時受信コマンドバッファにおける先読み判定済情報を確認することに基づいて、先読み判定をしていない保留記憶があるか否かを判定する(S601)。S601で先読み判定をしていない保留記憶がないときは、処理を終了する。一方、S601で先読み判定をしていない保留記憶があるときは、当該保留記憶の先読み判定済み情報に、先読み判定済を示すデータ「1」をセットする(S602)。そして、判定対象よりも前の保留番号の保留記憶のE保留演出フラグがオン状態であるか否かを判定する(S603)。
判定対象よりも前の保留番号の保留記憶のE保留演出フラグがオン状態の場合には、当該保留記憶の保留表示色として、通常の表示態様である「通常(白色)」が選択されるとともに、変化パターンとしては「変化なし」が選択される(S607)。そして、判定対象である当該保留記憶のE保留演出フラグがオンにセットされる(S608)。これにより、E保留演出の実行が決定されてから次変動にてE保留演出が実行されるまでの間に入賞する保留表示についてもE保留演出の実行対象にすることができる。
判定対象よりも前の保留記憶のE保留演出フラグがオフ状態の場合には、先読み判定結果が大当り表示結果になるか否かを判定する(S604)。
はずれ表示結果の場合には第1決定テーブルを用いて保留表示色および変化パターンを決定する(S606)。一方、大当り表示結果の場合には、第2決定テーブルを用いて保留表示色および変化パターンを決定し(S605)、その後にE保留演出の実行が決定されたか否かを判定する(S609)。
E保留演出の実行が決定された場合には、判定対象を含む判定対象以前の保留記憶のE保留演出フラグをオン状態にした後に(すなわち、「5001(H)」をセットし)(S610)、保留記憶情報を更新する。具体的には、判定対象以前の変化パターンを「変化なし」(すなわち、「3000(H)」)に変更する。
これにより、E保留演出が実行される前に保留表示色が変更される演出が実行されることを制限することができる。また、E保留演出の実行が決定された場合には、判定対象の保留表示色を「通常(白色)」とし、変化パターンを「変化なし」に決定する。また、S607およびS611の処理によってE保留演出の実行が決定された保留記憶以外のE保留演出の実行対象となる保留記憶において通常保留表示変化演出が実行されることが制限される。
S606の処理後、S608の処理後、S609にて、E保留演出が決定されなかった場合、あるいは、S611の処理後、変化パターンとして「変化なし」が決定された場合を除き、図18の変化タイミング決定テーブルを用いて変化タイミングが決定される(S612)。
そして、S613では、S605,S606,またはS607で決定した保留表示色で新たな保留画像を出現させる表示をし、処理を終了する。このように先読み処理においては、新たな始動入賞に応じて新たに保留記憶情報が生じたときに、保留表示色、変化パターンおよび変化タイミングを選択決定し、決定した保留表示色で新たに保留画像を出現させる表示を実行する。このように表示された保留画像は、変動表示が実行されるごとに、図13のS707の保留記憶表示制御処理により保留シフト動作が実行され、表示位置がシフト(移動)させられることとなる。このような保留シフト動作による保留画像の表示位置の変化表示は、「保留シフト」と呼ばれる。
なお、変動表示中の通常保留表示変化演出またはE保留演出は、たとえば、図15の演出図柄変動開始処理(S801)および演出図柄変動中処理(S802)において実行される。具体的には、変動表示が開始される際に、図15の演出図柄変動開始処理(S801)において先読み処理において決定された保留表示色、変化パターン、変化タイミングおよびE保留演出フラグに従って、今回の変動表示中に実行する演出態様(通常保留表示変化演出またはE保留演出)を設定し、図15の演出図柄変動中処理(S802)において設定されたこのような演出態様が実行されることとなる。
たとえば、図14(B)に示す始動入賞時受信コマンドバッファに格納されている今回の変動表示に対応するコマンドに関するデータ、先読み判定に関するデータおよび保留表示の表示態様に関するデータについて、演出図柄の変動表示を開始する際に記憶内容がシフトされた結果、変化タイミングの値と保留番号とが対応する場合、決定された変化パターンに従って保留表示の表示色を変化させる演出態様での演出が演出図柄変動開始処理(S801)において設定され、演出図柄変動中処理(S802)において設定された演出態様が実行されることとなる。なお、保留表示色の変更は、たとえば、所定の演出とともに行なわれてもよい。所定の演出は、たとえば、保留表示が割れて中から表示色が変更された保留表示が登場する演出であってもよいし、キャラクタ等が変更対象の保留表示に作用することによって保留表示色が変更する演出であってもよい。
一方、E保留演出の実行が決定されていた場合には、E保留演出フラグとして「5001(H)」がセットされるため、演出図柄の変動表示を開始する際に今回の変動表示に対応するデータにおいてE保留演出フラグとして「5001(H)」がセットされている場合には、E保留演出を実行するための演出態様が演出図柄変動開始処理(S801)において設定され、演出図柄変動中処理(S802)において設定された演出態様が実行されることとなる。
本実施の形態においては、変動表示が開始された時点以降にE保留演出が実行されるようにE保留演出の開始タイミングが設定される。より具体的には、変動表示が開始される時点から所定時間経過後にE保留演出が実行される。E保留演出が実行されると、図16(B)を用いて説明したように、保留表示領域86内のすべての保留表示の表示態様が「Eマーク」に変更される。さらに、アクティブ表示部80に表示されるアクティブ表示についても表示態様が「Eマーク」に変更される。E保留演出の実行後(表示態様が「Eマーク」に変更された後)においては、各保留番号のE保留演出フラグはオフ状態(すなわち、「5000(H)」)にセットされる。
図20は、E保留演出の実行が決定された場合とE保留演出の実行が決定されない場合とにおける保留表示変化演出の実行例を示している。
図20(A)に示すように、保留表示領域86において保留番号「1」〜「3」に対応した位置において保留表示81,82、83が表示されるとともに、アクティブ表示部80において今回の変動表示に対応するアクティブ表示が行なわれている。
なお、保留表示領域86内に表示される保留表示のうち保留表示83は、図19に示すステップS606の処理にて、保留表示色が「通常(白色)」であり、保留番号「1」の変化タイミングで、変化パターンとして「青色」に変化することが決定されたものとする。
図20(B−1)に示すように、その後に新たな始動入賞がなく、E保留演出の実行が決定されない場合には、保留表示81,82の各々に対応する変動表示が終了することによって保留表示81,82が消去され、保留表示83が保留番号「1」に対応する位置に2回シフトする。保留表示83が保留番号「1」に対応する位置に移動したタイミングで、通常保留変化演出が実行される。これにより、図20(C−1)に示すように、保留表示83の表示態様が青色表示に変更される。
一方、保留表示81に対応する変動表示が終了することによって保留表示81が消去されると、図20(B−2)に示すように、保留表示82,83が保留番号「1」および「2」に対応する位置にそれぞれシフトする。
このとき、図20(C−2)に示すように、新たな始動入賞によって新たな保留表示84が保留表示領域86内の保留番号「3」に対応する位置に表示されることとなる。この場合において、保留表示84に対応する保留記憶の先読み判定結果が大当り表示結果であって、かつ、E保留演出の実行が決定された場合には、保留表示83において決定されていた保留番号「1」の変化タイミングで、青色表示に変化する通常保留表示変化演出が制限される。具体的には、保留表示83に対応する入賞時コマンドバッファにおける変化パターン情報が「青色」を示す「2」から「変化なし」を示す「0」に変更される。さらに、保留番号「1」〜「3」の各々におけるE保留演出フラグがオン状態(すなわち、「1」)にセットされる。
図20(D)に示すように、E保留演出の実行が決定された後であって、次変動が開始する時点よりも前の期間において新たな始動入賞が生じる場合には、保留表示85が保留表示領域86内の保留番号「4」に対応する位置に表示されることとなる。この場合において、判定対象よりも前の保留記憶のE保留演出フラグがオン状態であるため、保留表示85に対しては、表示色は「通常(白色)」が選択され、かつ、「変化なし」の変化パターンが選択されるとともに、保留表示85に対応する保留記憶のE保留演出フラグもオン状態となる。
そして、次変動が開始されると、保留表示82が消去され、保留表示83〜85が保留番号「1」〜「3」にそれぞれ対応する位置にシフトされる。そして、次変動の開始時点から所定時間経過後にE保留演出が実行される。そのため、図20の(E)に示すように、保留表示領域86内の保留表示83〜85の表示態様が「Eマーク」に変更されるとともに、アクティブ表示部80内のアクティブ表示の表示態様についても同様に「Eマーク」に変更されることとなる。
保留表示83の変化パターンが「変化なし」に変更されるため、保留表示83が保留番号「1」に対応する位置にシフトした場合においても保留表示83の表示態様が変更されることはない。
〔特定表示態様の保留表示演出および変化関連演出例〕
次に、前述した「Eマーク」の保留表示のような特定表示態様に変化した保留表示演出に対応して、その変化後の保留表示に関連した変化関連演出を、保留表示を特定表示態様に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示が実行されるときまで実行する演出制御例を説明する。
図21は、特定表示態様に変化した保留表示に対応する変化関連演出の演出例を示す演出表示装置9の表示画面図である。図21(A)〜(F)において、演出制御用マイクロコンピュータ100の演出制御に従って演出表示装置9で表示される変化関連演出の一例が時間経過に従って示されている。
図21の演出例においては、保留表示の変化演出に関して、保留表示の特定表示態様として、投げ矢遊びである「ダーツ」のゲームに用いる「矢」の形状の表示態様(以下、「ダーツ矢」と呼ぶ)が用いられる。新たに発生した保留記憶情報に対応する保留表示を特定表示態様である「ダーツ矢」にする決定がされたときは、その保留表示以前に表示されている保留表示について、特定表示態様としての「ダーツ矢」に変化させる演出である「ダーツ矢保留演出」が実行される。そして、「ダーツ矢保留演出」が実行されるときには、「ダーツ矢」に変化後の保留表示に対応する変化関連演出として、「ダーツ矢」に変化後の各保留表示の消化時(変動表示時)に、その「ダーツ矢」を用いて的当てをする「ダーツゲーム」を表示する演出が実行される。このような「ダーツゲーム」を表示する変化関連演出は、保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示が実行されるときまで、連続的に実行される。
「ダーツ矢」の保留表示は、前述した「Eマーク」の保留表示と同様に、対応する保留記憶情報について、先読み判定により変動表示結果が大当り表示結果となる判定がされたときに、先読み判定により変動表示結果がはずれ表示結果となる判定がされたときよりも高い割合で選択される。したがって、「ダーツ矢」の保留表示が現れたときには、遊技者における大当りへの期待感を向上させることができる。
「ダーツ矢」の保留表示は、たとえば、前述した「Eマーク」の保留表示と同様に、図17に示すような保留表示の表示態様および変化パターンを決定するための決定テーブルにおいて、所定割合で選択されるようにデータが設定されている。「ダーツ矢」の保留表示は、たとえば図19に示すような先読み処理のような先読み判定をする処理により変動表示結果が大当り表示結果となる判定がされたときに、先読み判定により変動表示結果がはずれ表示結果となる判定がされたときよりも高い割合で選択されるように、保留表示の表示態様および変化パターンを決定するための決定テーブルにデータが設定される。以下の説明は、「ダーツ矢」の保留表示が、先読み判定により変動表示結果が大当り表示結果となるときと、はずれ表示結果となるとの両方で選択可能であり、大当り表示結果となるときの方がはずれ表示結果となるときよりも「ダーツ矢」の保留表示の選択割合が高く設定されている例を説明する。
なお、「ダーツ矢」の保留表示は、大当り表示結果となるときにのみ選択されてもよい。また、「ダーツ矢」の保留表示の選択割合は、変動パターンの種類類に基づいて、選択割合が異なるように設定してもよい。たとえば、スーパーリーチの変動パターンのように大当りとなる期待度が高い変動パターンは、それ以外の変動パターンよりも、「ダーツ矢」の保留表示の選択割合が高くなるように設定してもよい。
「ダーツ矢」の保留表示は、「Eマーク」の保留表示に代えて実行されるものであってもよく、「Eマーク」の保留表示とは別に設けられ、「Eマーク」の保留表示とは別の保留表示として表示されるものであってもよい。「ダーツ矢」の保留表示は、「Eマーク」の保留表示と比べて、大当りへの期待度が同様の保留表示であってもよく、大当りへの期待度が高い保留表示、または、大当りへの期待度が低い保留表示であってもよい。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、前述の先読み判定において、前述した保留表示の表示態様および変化パターンの決定テーブルを用いて「ダーツ矢」の保留表示を表示することが決定されたときに、当該決定がされた保留記憶情報を含み複数(2以上)の保留記憶情報があるという条件が成立したときに、「ダーツ矢保留演出」を実行することを決定する。このように、保留表示の表示個数が所定個数(2つ等)以上であるときに、保留表示を「ダーツ矢」の表示態様に変化可能であるので、保留表示が「ダーツ矢」の表示態様に変化する演出の面白みを向上させることができる。
なお、「ダーツ矢」の保留表示を表示することが決定されたときに、当該決定がされた保留記憶情報を含み複数(2以上)の保留記憶情報がないとき、演出制御用マイクロコンピュータ100は、その保留表示以前に表示されている保留表示を変化させる「ダーツ矢保留演出」が実行できないので、その保留表示のみを「ダーツ矢」の保留表示として表示してもよく、その保留表示は、「ダーツ矢」以外の保留表示態様を選択するようにしてもよい。
図21(A)に示すように、たとえば、保留表示領域86において3個の保留表示81,82,83が通常の保留表示態様(白色の〇形状)で表示され、アクティブ表示部80において、左,中,右演出図柄表示領域91,92,93で実行中の変動表示に対応するアクティブ表示が通常のアクティブ表示態様(白色の〇形状)で表示されている。
その後、図21(B)に示すように、新たな始動入賞の発生に応じて4個目の保留表示84が保留表示領域86において表示される。その4個目の保留表示84について、先読み判定に基づいて「ダーツ矢保留演出」を実行する決定がされたときに、演出制御用マイクロコンピュータ100は、図21(C)に示すように、4個目の保留表示84が表示された後における1回目の保留シフト表示後の変動表示開始時において、「ダーツ矢保留演出」を実行する決定がされた保留表示84以前に保留表示領域86において表示されている保留表示82,83を「ダーツ矢」の画像に変化させ、さらに、アクティブ表示部80に表示されるアクティブ表示についても「ダーツ矢」の画像に変化させる「ダーツ矢保留演出」が実行される。なお、「ダーツ矢保留演出」により、「ダーツ矢保留演出」を実行する決定がされた保留表示以前に表示されている保留表示を「ダーツ矢」の画像に変化させるその他の例としては、次回の変動表示の開始時において、次回の変動表示に対応する保留表示が消化される前(アクティブ表示に移行する前)のタイミングで、「ダーツ矢保留演出」を実行してもよい。
このように、「ダーツ矢保留演出」を実行する決定がされた特定保留表示については、出現表示時には通常の保留表示態様(白色の〇形状)で表示され、その後の1回目の保留シフト表示後の変動表示開始時において、「ダーツ矢」の画像に変化させられ、その「ダーツ矢」の画像への変化に伴なって、その保留表示以前に表示されているすべての保留表示を「ダーツ矢」の画像に変化させる「ダーツ矢保留演出」が実行されることとなる。なお、「ダーツ矢保留演出」を実行する決定がされた特定保留表示については、2回目以降の保留シフト表示後の変動表示開始時に「ダーツ矢保留演出」が実行されるようにしてもよく、また、保留表示の出現表示時において、その保留表示以前に表示されているすべての保留表示を「ダーツ矢」の画像に変化させる「ダーツ矢保留演出」が実行されるようにしてもよい。
図21(C)に示すような「ダーツ矢保留演出」を実行することが決定されたときには、「ダーツ矢保留演出」に対応する「変化関連演出」が、「ダーツ矢」に変化した複数の保留表示に対応する複数回の変動表示に亘って連続的に実行される。
具体的に、「ダーツ矢保留演出」に対応する「変化関連演出」としては、図21(D)に示すように、演出図柄91,92,93の変動表示中において、所定領域にダーツの「的」94を示す画像が表示される。そして、図21(E)に示すように、「ダーツ矢」に変化した複数の保留表示が1個消化(変動表示による消化)されるごとに、消化される保留表示に対応するアクティブ表示としてアクティブ表示部80に表示されている「ダーツ矢」画像が、「的」94に向けて飛んで「的」94に命中する(刺さる)表示態様で示される、所謂「的当て」の演出画像(動画像)が表示される。
「変化関連演出」における「ダーツ矢」画像が「的」94に向けて飛んで命中する演出画像は、保留表示が消化されるごとに、変動表示の開始時に実行される。たとえば、「ダーツ矢保留演出」を実行する決定がされたときに保留記憶情報が4つあったときには、その4つの保留記憶情報数(保留表示数)分の「ダーツ矢」画像が「的」94に向けて、変動表示が実行されるごとに、順番に飛ぶダーツゲームを示す「変化関連演出」が4回の変動表示に亘り連続的に実行されることとなる。
「変化関連演出」におけるダーツゲームでは、「的」94が複数の領域に分けられ、各領域について「ダーツ矢」が命中したときの得点が設定されている。その得点は複数の領域ごとに異なるように設定されている(たとえば、第1領域は10点、第2領域は20点、第3領域は30点…等)。
このようなダーツゲームを表示する「変化関連演出」においては、「ダーツ矢」に変化した複数の保留表示に基づく複数回の「的当て」により得られる得点の総合計(総得点)のレベルの高低により、大当りとなる期待度が示唆される。たとえば、図21(E)に示すように、総合計が50点に達すると「チャンス」、総合計が80点に達すると「大チャンス」、総合計が100点に達すると「激熱」というような、大当りの期待度を特定可能な案内表示が変化関連演出において実行される。ここで、大当りとなる期待度は、演出制御用マイクロコンピュータ100において、「チャンス」<「大チャンス」<「激熱」となるように設定がされている。
「変化関連演出」におけるダーツゲームの得点は、たとえば、次のように決定される。「的当て」の各回の得点を決定するためのデータテーブルとして、演出結果決定テーブルがROM103に記憶されている。演出結果決定テーブルは、「的当て」の各得点(10点、20点、30点…等)に、演出制御用のランダムカウンタのうちの演出結果決定用のランダムカウンタのカウント値(乱数値)が割振られたデータテーブルである。演出制御用マイクロコンピュータ100は、「的当て」を実行する各回の変動表示の開始時に演出結果決定用のランダムカウンタからカウント値(乱数値)を抽出し、その抽出値に対応する得点を、各回の「的当て」の結果の得点として決定する。そして、ダーツゲームの途中の回での合計得点、および、ダーツゲーム終了回での総合計得点等の合計得点は、各回の「的当て」の結果の得点を合算していくことにより求め、ダーツゲームの終了回において表示する。
演出結果決定テーブルは、保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示結果が大当り表示結果となるときに用いられる大当り用テーブルと、その変動表示結果がはずれ表示結果となるときに用いられるはずれ用テーブルとを含む。大当り用テーブルは、はずれ用テーブルと比べて、高得点が選択される割合が高くなるようにデータが設定されている。
保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示結果が大当り表示結果となるときには、大当り用テーブルを用いて各回の「的当て」の結果が選択決定され、その表示結果がはずれ表示結果となるときには、はずれ用テーブルを用いて各回の「的当て」の結果が選択決定される。これにより、保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示結果が大当り表示結果となるときには、その表示結果がはずれ表示結果となるときよりも、各回の「的当て」の結果の得点が高くなる割合が高くなり、結果的に総合計の得点が高くなる。これにより、「変化関連演出」において、ダーツゲームの総合計の得点により、保留留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示について、大当りの期待度を示唆することが可能となる。
なお、「変化関連演出」におけるダーツゲームの得点の決定方法は、次のように複数種類の得点取得シナリオから選択するようにしてもよい。たとえば、「1回目が20点、2回目が10点、3回目が30点、4回目が40点で総合計の得点が100点」という得点経過のシナリオを設定した得点取得シナリオとして、得点経過が異なる複数種類の得点取得シナリオを実行可能とし、演出結果決定テーブルにより、複数種類の得点取得シナリオのうちから「変化関連演出」において実行する得点取得シナリオを選択するようにしてもよい(前述のように演出結果決定用のランダムカウンタを用いて選択する)。その場合には、演出結果決定テーブルとして、前述のような大当り用テーブルと、はずれ用テーブルとを設け、大当り用テーブルが、はずれ用テーブルと比べて、総合計の得点が高い得点取得シナリオを取得する割合が高くなくなるようにデータが設定されればよい。これにより、「変化関連演出」において、ダーツゲームの総合計の得点により、保留留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示について、大当りの期待度を示唆することが可能となる。
このように、「変化関連演出」におけるダーツゲームの得点の決定方法は、最終的に大当りの期待度に対応した演出結果を決定する方法であれば、どのような決定方法を用いてもよい。
このように、各回の「的当て」の結果の得点が決定されると、演出制御用マイクロコンピュータ100は、図21(E)に示すように、各回の「的当て」において、決定されている得点が得られる領域に「ダーツ矢」を飛ばせて命中させる演出画像を表示する。また、ダーツゲームの演出画像では、図21(E)に示すように、今回の「的当て」の結果の得点と、その時点での合計得点とが表示される。これにより、遊技者が現状の得点状態を認識することができ、演出の面白みを向上させることができる。
このような「変化関連演出」におけるダーツゲームの演出画像は、「変化関連演出」が実行される最終変動として、保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した特定保留表示に対応する変動表示の実行開始時に最後の「ダーツ矢」の「的当て」演出画像が表示された後、「変化関連演出」のダーツゲームの演出結果として、図21(F)に示すように、得点の総合計が表示され、さらに、表示された総合計に対応する大当りへの期待度を示唆する表示(この表示例では「激熱」)がされる。このような「変化関連演出」の演出結果として、得点の総合計、および、大当りに対する期待度が表示されることにより、遊技者の大当りへの期待感を高めることが可能となる。なお、「変化関連演出」の演出結果として、得点の総合計のみを表示してもよく、大当りに対する期待度(「激熱」等)のみを表示してもよい。つまり、「変化関連演出」の演出結果としては、大当りに対する期待度が何らかの態様で特定可能なものであればよい。
図21に示したような「ダーツ矢保留演出」、および、「変化関連演出」が実行されることにより、特定表示態様に変化させる変化条件が成立した特定保留表示以前に表示されている保留表示が特定表示態様(ダーツ矢)に変化し、特定表示態様に変化した後の保留表示に関連した変化関連演出(ダーツゲーム演出)が特定保留表示に対応する変動表示が実行されるときまで実行することが可能であり、特定保留表示に対応する変動表示に基づいて大当り遊技状態に制御されるか否かに応じて、変化関連演出の演出結果(ダーツゲームの総合計得点)の種類の選択割合が異なる。これにより、特定保留表示以前に表示されている保留表示が特定表示態様に変化することに加えて、特定保留表示に対応する変動表示に基づいて大当り遊技状態に制御されるか否かに応じて演出結果の種類の選択割合が異なる変化関連演出が行なわれることにより、演出の面白みを向上させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、「変化関連演出」では、保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した保留表示に対応する変動表示が実行されるときまでの複数回の変動表示に亘り、ダーツゲームを表示する演出画像が連続的に実行されるので、複数回の変動表示に亘り連続的に遊技の興趣を向上させることができる。
また、「ダーツ矢保留演出」では、図21(C)のように、表示される全ての保留表示の表示態様を「ダーツ矢」に変更する演出が実行されることにより、表示される複数の保留表示を用いた一体感のある演出を実行することができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
「変化関連演出」は、たとえば「ダーツ矢」のような「特定表示態様」に変化した後の保留表示に関連した演出であるが、次のように定義されてもよい。「変化関連演出」は、保留表示の態様と類似または同一のものを使用した(用いた)演出である。また、「変化関連演出」は、保留表示から連想される(連想できる)演出である。
〔特定表示態様の保留表示演出および変化関連演出の変形例1〕
以上に説明した「ダーツ矢保留演出」および「変化関連演出」については、前述した「Eマーク」の保留表示に変化する「E保留演出」の演出に関連して実行する各種制御を実行してもよい。その代表例を挙げれば次のとおりである。
(1) 図20(C−1)および図20(E)に示すように、通常保留表示変化演出の実行が決定されている場合においてE保留演出の実行が決定されない場合に、決定された変化パターンおよび変化タイミングで保留表示83の表示態様が変更されるのに対して、E保留演出の実行が決定された場合には、変化パターンが「変化なし」に決定されることにより、「Eマーク」に変更された保留表示83がさらに変更されることを制限する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行してもよい。さらに、E保留演出の実行が決定された場合には、その後E保留演出が実行されるまでの始動入賞によって生じた保留表示85の表示態様が変化することを抑制する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行してもよい。
(2) 図19のS611,S607等のように、E保留演出が実行された場合に、通常保留変化演出の実行を禁止する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行してもよい。
(3) E保留演出の実行が決定された場合に次変動が開始する際にE保留演出を実行する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行してもよい。
〔特定表示態様の保留表示演出および変化関連演出の変形例2〕
(1) 「ダーツ矢保留演出」としては、新たに発生した保留記憶情報に対応する保留表示を特定表示態様である「ダーツ矢」にする変化させる条件が成立した特定保留表示以前に表示されている保留表示を対象として、「ダーツ矢」に変化させる演出を実行する例を示した。しかし、これに限らず、その特定保留表示以後に表示される保留表示も対象として、「ダーツ矢保留演出」を実行してもよい。たとえば、その特定保留表示以後の所定個数(たとえば、4個等)の保留表示についても、「ダーツ矢保留演出」を実行し、合わせて「変化関連演出」を実行してもよい。
(2) 特定表示態様の保留表示演出の一例として「ダーツ矢保留演出」を用いる例を説明したが、これに限らず、特定表示態様の保留表示として、その他の表示態様の保留表示を用いてもよい。たとえば、特定表示態様の保留表示として「銃」の形状を特定可能な保留表示をし、変化関連演出として、「銃」の形状の保留表示に基づくアクティブ表示から標的画像を射撃する演出画像を表示し、標的画像に弾が何発命中したかにより、大当りへの期待度を示唆するような演出を実行してもよい。また、「人」の形状の保留表示に基づくアクティブ表示が、くじ引き機械画像に向かっていき、くじ引きをする演出画像を表示し、何人が当りを引いたかにより、大当りへの期待度を示唆するような演出を実行してもよい。また、「人の手」の形状の保留表示に基づくアクティブ表示が、トランプカード群画像に向かっていき、カードを選択して1枚引く演出画像を表示し、ポーカーゲームの役のような予め定められた役が揃ったか否かにより、大当りへの期待度を示唆するような演出を実行してもよい。このように、特定表示態様の保留表示演出と、変化関連演出との関係は、特定表示態様の保留表示演出と関連性がある変化関連演出において、演出の過程が示されるものであれば、どのような演出を実行してもよい。さらに、変化関連演出については、演出の過程が明確に目視できるような演出が実行されることが望ましい。
(3) 「ダーツ矢保留演出」としては、「ダーツ矢」の表示態様に変化した保留表示が、アクティブ表示を経由して、アクティブ表示として飛び出す演出画像を説明したが、これに限らず、アクティブ表示を用いない演出表示をするときには、「ダーツ矢」の表示態様に変化した保留表示が、直接的に保留表示として飛び出す演出画像を表示するようにしてもよい。
(4) 「ダーツ矢保留演出」が実行されるときには、「変化関連演出」が必ず実行される演出制御をしてもよく、「ダーツ矢保留演出」が実行されるときには、所定割合で「変化関連演出」が実行されない演出制御をしてもよい。
(5) 「ダーツ矢保留演出」のような保留変化演出としては、保留表示を「ダーツ矢」のような特定表示態様に変化させる変化条件が成立した特定保留表示以前に表示されている保留表示のうち少なくとも1つの保留表示を、「ダーツ矢」のような特定表示態様に変化させ、「ダーツゲーム」のような「変化関連演出」に用いてもよい(繰返し用いてもよい)。たとえば、保留表示を「ダーツ矢」の表示態様に変化させる変化条件が成立した特定保留表示以前に表示されている保留表示のうち少なくとも1つの保留表示を、複数の「ダーツ矢」(ダーツ矢群)の表示態様に変化させ、特定保留表示に対応する変動表示が実行されるまで、その「ダーツ矢」を「変化関連演出」としての「ダーツゲーム」に複数回繰返し使用してもよい(保留表示の段階で「ダーツ矢」を複数回繰替えし的当てに用いてもよく、保留表示の段階およびアクティブ表示の段階で「ダーツ矢」を複数回繰替えし的当てに用いてもよい。
次に、前述した実施の形態により得られる主な効果を説明する。
(1) 図20(C−1)および図20(E)に示すように、通常保留表示変化演出の実行が決定されている場合においてE保留演出の実行が決定されない場合に、決定された変化パターンおよび変化タイミングで保留表示83の表示態様が変更されるのに対して、E保留演出の実行が決定された場合には、変化パターンが「変化なし」に決定されることにより、「Eマーク」に変更された保留表示83がさらに変更されることを制限する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行し、さらに、E保留演出の実行が決定された場合には、その後E保留演出が実行されるまでの始動入賞によって生じた保留表示85の表示態様が変化することを抑制する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行する場合には、その後「ダーツ矢保留演出」が実行されるまでの始動入賞によって生じた保留表示85の表示態様が変化することが抑制される。したがって、表示されるすべての保留表示を用いた一体感のあるE保留演出の演出効果が低下することを防止することができる。
(2) 図19のS611,S607等のように、E保留演出が実行された場合に、通常保留変化演出の実行を禁止する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行する場合には、通常保留変化演出の実行が禁止されるため、表示されるすべての保留表示を用いた一体感のある「ダーツ矢保留演出」の演出効果が低下することを防止することができる。そのため、遊技者の遊技興趣を向上させることができる。
(3) E保留演出の実行が決定された場合に次変動が開始する際にE保留演出を実行する制御を、「ダーツ矢保留演出」の保留表示を対象として実行する場合には、「ダーツ矢保留演出」の実行が決定された保留記憶よりも後に始動入賞した保留記憶に対応する保留表示についても「ダーツ矢保留演出」の実行対象とすることができるため、より多くの保留表示を変化させることにより演出効果を向上させることができる。
(4) 「変化関連演出」では、図21(C)のように、保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した保留表示に対応する変動表示が実行されるときまでの複数回の変動表示に亘り、ダーツゲームを表示する演出画像が連続的に実行されるので、複数回の変動表示に亘り連続的に遊技の興趣を向上させることができる。
(5) 保留表示の表示個数が所定個数(2つ等)以上であるときに、保留表示を「ダーツ矢」の表示態様に変化可能であるので、保留表示が「ダーツ矢」の表示態様に変化する演出の面白みを向上させることができる。
(6) 「変化関連演出」では、保留表示を「ダーツ矢」に変化させる変化条件が成立した保留表示に対応する変動表示が実行されるときまでの複数回の変動表示に亘り、ダーツゲームを表示する演出画像が連続的に実行されるので、複数回の変動表示に亘り連続的に遊技の興趣を向上させることができる。
(7) 「ダーツ矢保留演出」を行なう場合には、複数の保留表示に加えてアクティブ表示の表示態様についても「ダーツ矢」に変化させることにより、遊技者の興趣を向上させることができる。
(8) 図20(C−1)および図20(E)に示すように、通常保留表示変化演出の実行が決定されている場合においては、E保留演出の実行が決定されない場合には、決定された変化パターンおよび変化タイミングで保留表示83の表示態様が変更されるのに対して、E保留演出の実行が決定された場合には、変化パターンが「変化なし」に決定されるため、「Eマーク」に変更された保留表示83がさらに変更されることが制限される。さらに、E保留演出の実行が決定された場合には、その後E保留演出が実行されるまでの始動入賞によって生じた保留表示85の表示態様が変化することが抑制される。したがって、表示されるすべての保留表示を用いた一体感のあるE保留演出の演出効果が低下することを防止することができる。
(9) E保留演出が実行された場合には、通常保留変化演出の実行が禁止されるため、表示されるすべての保留表示を用いた一体感のあるE保留演出の演出効果が低下することを防止することができる。そのため、遊技者の遊技興趣を向上させることができる。
(10) E保留演出の実行が決定された場合に次変動が開始する際にE保留演出を実行することにより、E保留演出の実行が決定された保留記憶よりも後に始動入賞した保留記憶に対応する保留表示についてもE保留演出の実行対象とすることができるため、より多くの保留表示を変化させることにより演出効果を向上させることができる。
(11) E保留演出を行なう場合には、複数の保留表示に加えてアクティブ表示の表示態様についても「Eマーク」に変化させることにより、遊技者の興趣を向上させることができる。
次に、以上に説明した実施の形態の変形例や特徴点等を以下に列挙する。
(1) 上記の実施の形態では、「Eマーク」を大当り表示結果となる期待度が最も高い表示態様であることを前提として、E保留演出の実行が決定された場合には、通常保留表示変化演出による保留表示の表示態様の変化を制限するものとして説明したが、「Eマーク」よりも大当り表示結果となる期待度が最も高い表示態様がある場合には(たとえば、「赤色」が「Eマーク」よりも大当り表示結果となる期待度が高い表示態様として設定される場合)、常に通常保留表示変化演出の実行が制限されることに限定されるものではない。
たとえば、E保留演出を実行するか否かを決定するときに、既に表示されている保留表示の中にすでに「赤色」に表示態様が変化している保留表示がある場合、あるいは、将来的に「赤色」に表示態様が変化することが決定されている保留表示がある場合には、E保留演出の実行を制限してもよい。
たとえば、S600の先読み処理において始動入賞時受信コマンドバッファに格納されるいずれかの保留記憶の情報の中に、保留表示の変化パターンが「赤色」に変化する変化パターンとなる保留記憶が存在する場合(すなわち、変化パターンの情報に「4」が設定されている保留記憶が存在する場合)には、保留表示色の決定の際に、「Eマーク」を選択肢として除いた保留表示色および変化パターンの決定テーブルを用いて保留表示色および変化パターンを決定してもよい。あるいは、E保留演出の実行された後、次変動が開始されるまでに始動入賞した保留記憶の先読み判定結果が大当り表示結果となる場合、E保留演出の実行を制限し、「赤色」に変化する変化パターンの保留表示変化演出を実行してもよい。
このようにすると、大当り表示結果となる期待度が高い表示態様(「赤色」)に変化するはずだった保留表示の表示態様の変化がE保留演出の実行によって制限されることを防止できるとともに、すでに大当り表示結果となる期待度が高い表示態様に変化した後の保留表示の表示態様が表示中の表示態様よりも期待度の低い表示態様に変化することを防止することができる。
(2) 上記の実施の形態では、E保留演出の実行が決定された場合には、通常保留表示変化演出を実行しないものとして説明したが、遊技者に保留表示の変化が視覚的に認識できない状態で通常保留表示変化演出の制御が実行されてもよい。
たとえば、演出表示装置9の保留表示領域86において通常保留表示変化演出は行なわれているが、レイヤーの表示優先度の関係で映像に反映されていないようにしてもよい。すなわち、E保留演出における「Eマーク」の画像を演出表示装置9の保留表示領域86内に既に表示されている保留表示の画像よりも表示優先度が高い画像に設定しておくようにしてもよい。このようにすると、通常保留表示変化演出が行なわれても保留表示の変化は、「Eマーク」の画像によって認識できない状態になるため、E保留演出の演出効果の低下を抑制することができる。
なお、この場合の通常保留変化演出としては、「Eマーク」の画像の範囲内で保留表示自身が自分で変化するような演出(たとえば、保留表示が割れる等)であることが望ましいが、少なくとも保留表示の表示態様の変化が遊技者に認識できない状態であればよく、たとえば、保留表示が外的要因(たとえば、物体が飛んで来る場合やキャラクタがビームを打つ等)により変化するものであってもよい。
(3) 上記の実施の形態では、E保留演出の実行によって保留表示領域86内に表示される保留表示が全て同じ所定態様である「Eマーク」に変更されるものとして説明したが、保留表示の全てが同じ表示態様に変更されるものに限定されない。たとえば、保留表示領域86内の複数の保留表示の各々の表示態様が異なっていたとしても、関連性のある表示態様に変更されればよく、また、表示態様が変更されることで表示態様が変更された複数の保留表示に一体感を持たせた表示態様に変更されればよい。したがって、たとえば、保留表示領域86内の複数の保留表示のうちの一部が同じ表示態様であり、その他が異なる表示態様となるように表示態様が変更されてもよいし、全てが互いに異なる表示態様(たとえば、E以外のアルファベットを用いた画像)に変更されてもよい。
(4) 上記の実施の形態では、E保留演出は、次変動が開始されてから所定時間が経過した後に実行されるものとして説明したが、E保留演出の開始タイミングとしては、たとえば、次変動の開始と同時であってもよいし、E保留演出の実行が決定されるタイミングであってもよい。
(5) 上記の実施の形態では、E保留演出を実行する場合には、アクティブ表示の表示態様も「Eマーク」に変更するものとして説明したが、アクティブ表示の表示態様については変更しなくてもよい。このようにすると、アクティブ表示に対応する変動表示が、大当り表示結果となる期待度が高い変動表示であると遊技者が誤認することを防止できる。
(6) 上記の実施の形態では、E保留演出は、大当り表示結果となる場合にのみ実行されるものとして説明したが、たとえば、変動表示の表示結果が特定結果となるときに実行されればよく、たとえば、はずれ表示結果となる場合に一定の割合でE保留演出が実行されるようにしてもよい。
(7) 上記の実施の形態では、保留表示色は、大当り表示結果となる期待度の高い表示色にのみ変化可能として説明したが、たとえば、大当り表示結果となる期待度の低い表示色に変化可能としてもよい。
(8) 上記の実施の形態では、保留表示色の種類、変化パターンの種類および変化タイミングの種類は、図17〜図18に示されるものを一例として説明したが、特に図17〜図18に示される保留表示色の種類、変化パターンの種類および変化タイミングの種類に限定されない。
(9) 上記の実施の形態では、E保留演出は、保留表示領域86内に表示される全ての保留表示を表示態様の変化対象として説明したが、少なくとも通常保留演出よりも変化対象となる保留表示の数が多い演出であればよく、特に保留表示領域86内に表示される全ての保留表示を表示態様の変化対象とすることに限定されるものではない。また、上記の実施の形態では、通常保留演出は、保留表示領域86内に表示される保留表示のうちの1つを変化対象として説明したが、少なくともE保留演出よりも変化対象となる保留表示の数が少ない演出であればよく、保留表示領域86内に表示される複数の保留表示のうちの1つ以上を変化対象としてもよい。
(10) 上記の実施の形態では、E保留演出の実行が決定された場合には、E保留演出の実行が決定された保留記憶よりも前の保留記憶の保留表示の変化パターンを「変化なし」に変更することにより通常保留変化演出の実行を制限するものとして説明したが、たとえば、E保留演出フラグがオン状態であることを条件として、変化パターンに従った保留表示の変化を禁止するようにしてもよい。
(11) 上記の実施の形態では、E保留演出により保留表示の変化態様が「Eマーク」に変更されるものとして説明したが、E保留演出の実行後においては、E保留演出の実行が決定された保留記憶が消化されたときに「Eマーク」をその他の表示態様(たとえば、「Eマーク」に変更される直前の表示態様)に変更されるようにしてもよいし、あるいは、「Eマーク」の表示態様が維持されてもよい。
(12) 上記の実施の形態では、保留表示の表示態様の変化パターンと変化タイミングとを独立して決定するものとして説明したが、たとえば、変化パターンと変化タイミングとの組み合わせを複数種類設定しておき、複数種類の組み合わせと選択割合との関係が設定された決定テーブルに基づいて変化パターンと変化タイミングとを決定してもよい。
(13) 上記の実施の形態では、遊技者にとって有利な有利状態として、可変表示結果が「大当り」となったことに基づいて大当り遊技状態に制御されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、確変状態などの特別遊技状態を有利状態としてもよいし、複数の大当り遊技状態のうちで実行可能なラウンドの上限回数が第2ラウンド数(例えば「7」)よりも多い第1ラウンド数(例えば「15」)となる大当り遊技状態を有利状態としてもよい。あるいは、複数の時短状態のうちで実行可能な可変表示の上限回数が第2回数(例えば「50」)よりも多い第1回数(例えば「100」)となる時短状態を有利状態としてもよいし、複数の確変状態のうち大当り確率が第2確率(例えば1/50)よりも高い第1確率(例えば1/20)となる確変状態を有利状態としてもよい。その他、遊技者にとって有利な任意の遊技状態を有利状態としたものであればよい。
(14) 上記の実施の形態において、各種の決定が行われる「割合」や「確率」は、例えば70:30といった、各決定結果となる可能性が0%(決定されることがない)や100%(必ず決定される)にはならないように設定されてもよいし、少なくともいずれかの決定結果となる可能性が0%(決定されることがない)や100%(必ず決定される)となるように設定されてもよい。例えば、各種の決定を行う場合において、複数の決定結果のうちいずれか1の決定結果とする割合が、他の決定結果とする割合よりも高くなることには、1の決定結果とする割合が100%となることが含まれてもよいし、他の決定結果とする割合が0%となることが含まれてもよい。1の決定結果とする割合が100%となるときには、他の決定結果とする割合が0%となる。また、他の決定結果とする割合が0%となるときには、1の決定結果とする割合が100%以外でも0%でない所定割合であれば、1の決定結果とする割合が、他の決定結果とする割合よりも高くなる。
(15) 上記の実施の形態では、可変表示時間や飾り図柄の可変表示態様などを示す変動パターンを演出制御基板12の側に通知するために、可変表示を開始するときに1つの変動パターン指定コマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御基板12の側に通知してもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103は、1つ目のコマンドでは擬似連変動の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には、いわゆる第2停止の前)の可変表示時間や可変表示態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には、いわゆる第2停止の後)の可変表示時間や可変表示態様を示すコマンドを送信してもよい。この場合、演出制御基板12では、例えば演出制御用CPU120が2つのコマンドの組合せから導かれる可変表示時間に基づいて可変表示における演出制御を行うようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ100の方では2つのコマンドのそれぞれにより可変表示時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な可変表示態様については演出制御用CPU120の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信してもよいし、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信してもよい。なお、それぞれのコマンドで示される可変表示態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知することで、変動パターン指定コマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
(16) その他にも、遊技機の装置構成やデータ構成、フローチャートで示した処理、画像表示装置における画像表示動作やスピーカにおける音声出力動作さらには発光体ユニットや遊技効果ランプおよび装飾用LEDにおける点灯動作を含めた各種の演出動作などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更および修正が可能である。
(17) 上記の実施の形態では、演出装置を制御する回路が搭載された基板として、演出制御基板12、音声制御基板13およびランプ制御基板14が設けられているが、演出装置を制御する回路を1つの基板に搭載してもよい。さらに、画像表示装置5等を制御する回路が搭載された第1の演出制御基板(表示制御基板)と、その他の演出装置(遊技効果ランプ9、スピーカ8L,8R7等)を制御する回路が搭載された第2の演出制御基板との2つの基板を設けるようにしてもよい。
(18) 上記の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ100は、演出制御用CPU120に対して直接コマンドを送信していたが、遊技制御用マイクロコンピュータ100が他の基板(たとえば、図2に示す音声制御基板13やランプ制御基板14等、または音声制御基板13に搭載されている回路による機能とランプ制御基板14に搭載されている回路による機能とを備えた音/ランプ基板)に演出制御コマンドを送信し、他の基板を経由して演出制御基板12における演出制御用CPU120に送信されるようにしてもよい。その場合、他の基板においてコマンドが単に通過するようにしてもよいし、音声制御基板13、ランプ制御基板14、音/ランプ基板にマイクロコンピュータ等の制御手段を搭載し、制御手段がコマンドを受信したことに応じて音声制御やランプ制御に関わる制御を実行し、さらに、受信したコマンドを、そのまま、またはたとえば簡略化したコマンドに変更して、画像表示装置5を制御する演出制御用CPU120に送信するようにしてもよい。その場合でも、演出制御用CPU120は、上記の実施の形態における遊技制御用マイクロコンピュータ100から直接受信した演出制御コマンドに応じて表示制御を行なうのと同様に、音声制御基板13、ランプ制御基板14または音/ランプ基板から受信したコマンドに応じて表示制御を行なうことができる。このような構成の場合には、前述した実施の形態で演出制御用CPU120が行なっていた各種決定については、同様に演出制御用CPU120が行なうようにしてもよく、または、音声制御基板13、ランプ制御基板14、または、音/ランプ基板に搭載したマイクロコンピュータ等の制御手段が行なうようにしてもよい。
(19) 上記の実施の形態は、入賞球の検出に応答して所定数の賞球を払い出す払出式遊技機に限定されるものではなく、次のように遊技球を封入し入賞球の検出に応答して得点を付与する封入式遊技機にも適用することができる。具体的に、上記の実施の形態の遊技機は、遊技者に景品として遊技球が払出され、遊技者が払出された遊技球(貸し球の場合もある)を遊技領域に発射して遊技が行なわれる遊技機であったが、プリペイドカードや会員カード等の遊技用記録媒体の記録情報により特定される大きさの遊技価値である度数を使用して、遊技に使用するための遊技得点を付与するとともに、付与された遊技得点または遊技による入賞により付与された遊技得点を使用して遊技機内に封入された遊技球を遊技領域に打込んで遊技者が遊技を行なう遊技機にも本発明を適用することができる。すなわち、始動領域を遊技媒体(遊技球)が通過した後に、変動表示の開始を許容する開始条件の成立に基づいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行ない、表示結果を導出表示する変動表示装置を備え、該変動表示装置に特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に移行させる遊技機であるが、遊技得点が0でないときに遊技得点を使用して遊技機内に封入された遊技球を遊技領域に打込んで遊技が行なわれ、遊技球の打込みに応じて遊技得点を減算し、遊技領域に設けられた入賞領域に遊技球が入賞することに応じて遊技得点を加算する遊技機にも本発明を適用することができる。そのような遊技機は、遊技得点の加算に使用可能な遊技用価値の大きさを特定可能な情報が記録された遊技用記録媒体を挿入するための遊技用記録媒体挿入口と、遊技用記録媒体挿入口に挿入された遊技用記録媒体に記録されている記録情報の読出しを行なう遊技用記録媒体処理手段とを備えていてもよい。
(20) 上記の実施の形態は、パチンコ遊技機1の動作をシミュレーションするゲーム機などの装置にも適用することができる。前述した実施の形態を実現するためのプログラム及びデータは、コンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。そして、ゲームの実施形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行なうことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
(21) 上記の実施の形態では、変動表示の表示結果を確変大当りとすることが決定されたときの変動表示結果が導出表示された後、大当り遊技状態の終了後に、無条件で確変状態に制御される確変状態制御例を示した。しかし、これに限らず、特別可変入賞球装置7における大入賞口内に設けられた特定領域を遊技球が通過したことが検出手段により検出されたときに、確変状態に制御される、確変判定装置タイプの確変状態制御が実行されるようにしてもよい。
(22) 上記の実施の形態では、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号、あるいは数字や記号に限定されない各セグメントの点灯パターン等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する例を示した。しかし、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される可変表示結果や可変表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されない。例えば、特別図柄の可変表示中の点灯パターンには、LEDを全て消灯したパターンが含まれてもよく、全て消灯したパターンと少なくとも一部のLEDを点灯させた1つのパターン(例えば、ハズレ図柄)とを交互に繰り返すものも特別図柄の可変表示に含まれる(この場合、前記1つのパターン(例えばハズレ図柄)が点滅して見える)。また、可変表示中に表示される特別図柄と、可変表示結果として表示される特別図柄とは、異なるものであってもよい。特別図柄の可変表示として、例えば「−」を点滅させる表示を行ない、可変表示結果として、それ以外の特別図柄(「大当り」であれば「7」、「ハズレ」であれば「1」など)を表示することも特別図柄の可変表示に含まれる。また、一種類の飾り図柄を点滅表示又はスクロール表示することなども飾り図柄の可変表示に含まれる。普通図柄の可変表示中の点灯パターンには、LEDを全て消灯したパターンが含まれてもよく、全て消灯したパターンと少なくとも一部のLEDを点灯させた1つのパターン(例えば、ハズレ図柄)とを交互に繰り返すことなども普通図柄の可変表示に含まれる。また、可変表示中に表示される飾り図柄や普通図柄と、可変表示結果として表示される飾り図柄や普通図柄とは、異なるものであってもよい。
(23) なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。