JP6511249B2 - 吸音体の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は吸音体の施工方法に関する。
吸音体による吸音帯域の広帯域化を実現する技術として、非特許文献1には、多孔質吸音材に特殊皮膜を接着した特殊皮膜付吸音材を基本材料とし、当該特殊皮膜付吸音材の音源側に多孔質吸音材を積層した構成が提案されている。
増田潔、関雅英、岸保之、"高性能低周波吸音材の開発"、[online]、[平成26年9月16日検索]、インターネット<URL:http://www.taisei.co.jp/giken/report/2011_44/paper/A044_048w.pdf>
非特許文献1に記載された技術は、特殊皮膜付吸音材の多孔質吸音材と特殊皮膜とが一体的に振動することを前提としており、このためには多孔質吸音材と特殊皮膜とが全面に亘って密着するように接着されている必要がある。しかしながら、現場での施工時に、多孔質吸音材と特殊皮膜とを全面に亘って密着するように接着することは困難であり、所期の吸音性能を得るためには、工場での製造段階で多孔質吸音材と特殊皮膜とを予め接着しておく必要があるので、建材の製造工程を変更する必要が生ずる。
また、吸音体を設置する施工対象の空間の吸音特性は、事前に精度良く推定することは困難であり、例えば施工対象の空間内に石膏ボード等の建材が配設されている場合、施工対象の空間の吸音特性は石膏ボード等の建材の影響を受けて変化する。これに対して非特許文献1に記載の技術は、前述のように、工場での製造段階で多孔質吸音材と特殊皮膜とを予め接着しておく必要があるので、吸音体を設置する施工対象の空間の吸音特性が、事前に推定した吸音特性と相違していたとしても、これに対応して吸音体の吸音特性を調整することは困難である。
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、吸音体を構成する建材の製造工程の変更が不要で、吸音特性を調整することが可能な吸音体の施工方法を得ることが目的である。
請求項記載の発明に係る吸音体の施工方法は、壁体から間隙を空けて室内側に第1の多孔質層を設け、前記第1の多孔質層を設けた室内空間の吸音特性を計測し、計測した吸音特性に基づき、前記第1の多孔質層と前記壁体との間に通気性の無いシート材を追加するか否かを判定し、前記シート材を追加すると判定した場合に、計測した前記吸音特性に基づき前記シート材の面積を算出し、算出した面積の前記シート材を、前記第1の多孔質層と前記壁体との間に、前記壁体から一定の間隙を隔てて、前記室内側から到来した音波に対して単独で振動するように設けて吸音体を形成する。
請求項記載の発明では、壁体から間隙を空けて室内側に第1の多孔質層を設け、第1の多孔質層を設けた室内空間の吸音特性を計測し、計測した吸音特性に基づき、第1の多孔質層と壁体との間に通気性の無いシート材を追加するか否かを判定し、シート材を追加すると判定した場合に、計測した吸音特性に基づきシート材の面積を算出する。そして、シート材を追加すると判定した場合に、算出した面積のシート材を、第1の多孔質層と壁体との間に、壁体から一定の間隙を隔てて、室内側から到来した音波に対して単独で振動するように設けて吸音体を形成する。
なお、第1の多孔質層としては、例えばグラスウールマットを適用することができ、シート材としては、例えばポリ塩化ビニールシートを適用することができる。吸音体を上記のように形成することで、室内側から到来した音波は、第1多孔質層によって第1の吸音帯域の音波が減衰される。また、シート材を追加することで、シート材及びシート材と壁体との間の空間の共鳴により第2の吸音帯域の音波が減衰される。
請求項記載の発明、第1の多孔質層及びシート材の製造時に、第1の多孔質層(或いは後述する第2の多孔質層)とシート材とを全面に亘って密着するように接着する必要がなく、第1の多孔質層とシート材とを別々に製造することができるので、吸音体を構成する建材の製造工程を変更する必要がない。また、施工対象の空間の吸音特性に応じて、例えば追加するシート材の面積を変更したり、シート材の追加を省略することで、吸音体の吸音特性を調整することができる。
また、請求項1記載の発明において、例えば請求項2に記載したように、前記シート材の面積を、前記シート材と前記壁体とで仕切られた空間の空気をバネ、前記シート材の重さを質量とする質点系の固有周波数fにおける必要吸音力を、前記シート材を追加した場合の固有周波数fでの吸音率で除算することで算出するようにしてもよい。これにより、必要吸音力に見合うシート材の面積を簡単な演算により算出することができる。
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、例えば請求項に記載したように、前記第1の多孔質層を設ける際に、前記第1の多孔質層と前記壁体との間に第2の多孔質層を更に設け、前記シート材を追加すると判定した場合に、前記シート材を前記第1の多孔質層と前記第2の多孔質層との間に設けるようにしてもよい。この場合、第2多孔質層を設けない場合と比較して、室内側から到来した音波のうち第2の吸音帯域の音波の減衰を増加させることができる。
本発明は、吸音体を構成する建材の製造工程の変更が不要で、吸音特性を調整することが可能になる、という効果を有する。
第1実施形態に係る吸音構造の断面図である。 第1実施形態に係る吸音構造の分解斜視図である。 吸音構造の設計方法を説明するための概略図である。 吸音構造の施工手順を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る吸音構造の断面図である。 第2実施形態に係る吸音構造の分解斜視図である。 吸音構造の他の例を示す断面図である。 本願発明者等が実施した実験の結果を示す線図である。 本願発明者等が実施した実験の結果を示す線図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明に支障のない数値を用いて説明するが、本発明は以下に記載した数値に限定されるものではない。
〔第1実施形態〕
図1には第1実施形態に係る吸音構造10の断面図が示されており、図2には吸音構造10の分解斜視図が示されている。なお、図1及び図2に示す吸音構造10は本発明に係る吸音体の一例である。図1に示す剛壁12は、建物のうち吸音構造10が設けられる室内14の壁を形成している。剛壁12は、例えばコンクリート又は乾式壁等で構成される。剛壁12は本発明における壁体の一例である。
吸音構造10は剛壁12の室内14側に設けられている。吸音構造10は、鋼製で長手方向が鉛直方向に沿い(図2も参照)、間隔を空けて剛壁12に接するように配置された複数のスタッド16を備えている。個々のスタッド16の上端部及び下端部はランナー(図示省略)によって互いに連結されている。スタッド16としては、例えば、断面が50(mm)×45(mm)の矩形状で中空の鋼材を適用することができるが、断面形状は矩形状に限らず、正方形や円形等の他の形状であってもよい。
隣り合うスタッド16の間には、隣り合うスタッド16の空間を埋めるように第2グラスウールマット18が配設されている。第2グラスウールマット18としては、例えば、厚さが50(mm)で、密度が32〜48(kg/m3)程度のグラスウールマットを適用することができる。第2グラスウールマット18は本発明における第2の多孔質層の一例である。
スタッド16及び第2グラスウールマット18の室内14側には、通気性の無いシート材20が設けられている。シート材20としては、例えば、厚さが0.5(mm)、面密度が0.7(kg/m2)、密度が1400(kg/m3)のポリ塩化ビニールシートを適用することができる。シート材20は、第2グラスウールマット18に接着されておらず、スタッド16の側面にのみ接着されており、室内14側から到来した音波に対して単独で振動するようにスタッド16に支持されている。シート材20は本発明におけるシート材の一例である。
スタッド16の室内14側には第1グラスウールマット22が配設されている。第1グラスウールマット22に関しても、第2グラスウールマット18と同様に、例えば、厚さが50(mm)で、密度が32〜48(kg/m3)程度のグラスウールマットを適用することができる。第1グラスウールマット22は本発明における第1の多孔質層の一例である。
第1グラスウールマット22の室内14側には、第1グラスウールマット22の表面の一部を覆うリブ24が配設されている。リブ24は、木製かつ角柱状で一定ピッチで配列された複数の木格子26を含んでいる。リブ24としては、例えば、断面が30(mm)×60(mm)の矩形状の複数の木格子26を、幅30(mm)の面が室内14側を各々向くように、60(mm)のピッチで配列した構成を採用することができる。
この場合、第1グラスウールマット22の表面の50%がリブ24によって覆われることになるが、この程度の表面被覆率であれば吸音構造10による吸音がリブ24によって阻害されることはなく、リブ24による第1グラスウールマット22の表面の被覆率は、例えば40〜50%程度とすることができる。
次に本実施形態の作用として、まず本第1実施形態に係る吸音構造10の設計方法について説明する。木質系の意匠で吸音性を持たせた室内仕上げ構造としては、木製のリブの背後にグラスウール等の多孔質の吸音材料を設置する構造が一般的である。多孔質材料では、音波の到来に伴って多孔質材料中の空気粒子が振動し、この振動が摩擦により熱に変換されることで吸音される。
しかしながら、当該構造において、比較的低い周波数帯域(例えば、一般的な室内音響設計で要求される下限周波数である125(Hz)帯域)で十分な吸音性能を確保するためには、吸音材の背後に厚みのある空気層を設ける必要があり、仕上げ寸法(厚さ)が大きくなることで有効に利用可能な室内空間が狭くなるという欠点がある。例えば、125(Hz)帯域で500(Hz)以上の中高音帯域と同等の吸音率を確保するためには、リブの背後の部分の仕上げ寸法(厚さ)として300(mm)以上を確保する必要がある。
一方、本実施形態に係る吸音構造10は、第1グラスウールマット22の背後にシート材20及び第2グラスウールマット18が設けられており、シート材20は、室内14側から到来した音波に対して単独で振動するように支持されている。これにより、到来した音波に共鳴させることで、空気の振動速度が上昇し、この振動が摩擦により熱に変換され易くなることで、到来した音波の一部が吸音される。
シート材20及び第2グラスウールマット18を模擬したモデル30を図3に示す。図3に示すモデル30は、剛壁12の室内側に、第2グラスウールマット18を模擬した多孔質材料32と、シート材20を模擬した膜34が順に設けられている。多孔質材料32の厚さをL(m)、膜34の厚さをd(m)、面密度をρ(kg/m2)とする。図3に示すモデル30において、室内側から到来する音波の波長が多孔質材料32の厚さLに比べて十分小さい場合、膜34と剛壁12とで仕切られた空間の空気がバネ、膜34の重さが質量とみなせる単純な質点系に対し、到来する音波による外力が印加された系とみなすことが可能である。また、膜34と多孔質材料32の内部減衰に依存して、モデル30で反射された音波のエネルギーが減衰するため、現象論的な減衰項を含めて、下記の(1)式で解析できる。
Mx"+Rx'+Sx=F …(1)
なお、上記の(1)式において、xは膜34の面外方向への変位(m)、x'は膜34の面外方向への変位の速度(m/s)、x"は膜34の面外方向への変位の加速度(m/s2)であり、Mは膜34の面密度(kg/m2)、Rは減衰定数、Sは多孔質材料32の部分のバネ定数、Fは膜34の面における到来音波の音圧(N/m2)である。膜34の面密度M、減衰定数R、バネ定数Sの計算式を次の表1に示す。
微分方程式の一般論から、前記質点系の固有周波数f(Hz)は下記の(2)式を用いることで演算できる。
上記の(2)式で求まる固有周波数fは、モデル30に対して音波が垂直に到来したときに、モデル30(膜34及び多孔質材料32)による吸音率が最大となる周波数を意味しており、(2)式より、膜34の比重m及び厚さd、多孔質材料32の厚さLを選択することで、固有周波数fを調整できることが理解できる。例えば、膜34がポリ塩化ビニールで比重m=1.4程度、厚さd=0.5(mm)で、多孔質材料32の厚さL=50(mm)の場合、固有周波数f=320(Hz)となる。もちろん、固有周波数f=125(Hz)に調整することも可能であり、この場合にも、従来の室内仕上げ構造における空気層の厚さに相当する多孔質材料32の厚さLを従来の室内仕上げ構造よりも薄くすることができる(後述する実験結果も参照)。
なお、固有周波数fにおける吸音率の実測値は計算値よりやや低い値となるが、これは膜34周辺の負荷質量があるためである。また、残響室法吸音率はこの値からさらに下がった値になるため、後者を設計目標にする場合には音波が垂直に到来したときの吸音率(垂直入射吸音率)の目標値を倍程度に設定すればよい。
次に、本第1実施形態に係る吸音構造10の施工方法について説明する。吸音構造10の設計方法は上述の通りであるが、吸音構造10を設ける施工対象の室内14の空間の吸音特性を事前に精度良く推定することは困難であり、例えば施工対象の室内14の空間内に石膏ボード等の建材が配設されている場合、施工対象の空間の吸音特性は石膏ボード等の建材の影響を受けて変化し、これに伴い、吸音構造10に求められる吸音特性(吸音力)も変化する。
このため、吸音構造10は、図4に示す施工手順で施工される。まず、吸音構造10を設ける施工対象の室内14の壁面(剛壁12)の前面に、各々長手方向が鉛直方向に沿い(図2も参照)、間隔を空けて剛壁12に接するように複数のスタッド16を配設し、設置した個々のスタッド16の上端部及び下端部はランナー(図示省略)によって互いに連結する(ステップ100)。
次に、設置した隣り合うスタッド16の間隙に、隣り合うスタッド16の空間を埋めるように第2グラスウールマット18を配設する(ステップ102)。なお、この第2グラスウールマット18の配設は、後述するように、本発明において必須ではなく、省略することも可能である。
次に、第2グラスウールマット18の室内14側に、まずはシート材20を設けずに第1グラスウールマット22を配設する(ステップ104)。本実施形態では、吸音構造10を施工する際に、シート材20が第2グラスウールマット18及び第1グラスウールマット22と事前に接着されることなく供給されるので、シート材20を設けずに第1グラスウールマット22を配設することは極めて簡単に実現できる。
続いて、図示しない計測機器を用いて、施工対象の室内14の空間の吸音特性を計測する(ステップ106)。計測対象の吸音特性としては、例えば各周波数帯域毎の吸音率、或いは吸音力(=吸音率×面積)が挙げられる。
次に、上記で計測した施工対象の室内14の空間の吸音特性に基づき、例えば前出の(2)式で求まる固有周波数fやその周辺の周波数帯域における吸音率又は吸音力が不足しているか否かを判定することで、シート材20の追加が必要か否か判定する(ステップ108)。
施工対象の室内14の空間の吸音特性に基づき、固有周波数fやその周辺の周波数帯域における吸音率又は吸音力が不足していないと判定した場合は、ステップ108からステップ118へ移行し、第1グラスウールマット22の室内14側に、第1グラスウールマット22の表面の一部を覆うリブ24を配設し、施工を終了する。この場合は、シート材20の配設を省略した構成の吸音構造で目標の吸音性能を達成できるので、シート材20の配設を省略することで施工費用を節減できる。
一方、施工対象の室内14の空間の吸音特性に基づき、固有周波数fやその周辺の周波数帯域における吸音率又は吸音力が不足していると判定した場合は、ステップ108からステップ110へ移行し、施工対象の室内14の空間の吸音特性に基づき、追加するシート材20の面積を選定する。
追加するシート材20の面積は、具体的には、まず固有周波数fにおける必要な吸音力を求め、求めた必要吸音力を、シート材20を追加した場合の固有周波数fでの吸音率で除算することで算出できる。一例として、必要吸音力=10、シート材20を追加した場合の固有周波数fでの吸音率=0.8とすると、追加するシート材20の面積は、
10÷0.8=12.5(m3)
となる。
次に、先に配設した第1グラスウールマット22を一旦取り外し、第2グラスウールマット18及びスタッド16を露出させる (ステップ112)。そして、スタッド16及び第2グラスウールマット18の室内14側に、先に選定した面積のシート材20を、スタッド16の側面に接着することで配設する(ステップ114)。これにより、シート材20は、室内14側から到来した音波に対して単独で振動するようにスタッド16に支持される。
また、一旦取り外した第1グラスウールマット22を再度配設し(ステップ116)、第1グラスウールマット22の室内14側に、第1グラスウールマット22の表面の一部を覆うリブ24を配設し、施工を終了する(ステップ118)。この場合は、シート材20を含む構成の吸音構造10が形成されることになるが、必要な吸音力が得られるようにシート材20の面積を選定して、選定した面積のシート材20を配設しているので、必要な面積を越える面積のシート材20を無駄に配設することがなく、施工費用の無駄を省くことができる。
このように、本第1実施形態に係る吸音構造10は、吸音構造10を構成する建材である第1グラスウールマット22、第2グラスウールマット18及びシート材20の製造時に、第1グラスウールマット22又は第2グラスウールマット18とシート材20とを全面に亘って密着するように接着する必要がなく、第1グラスウールマット22、第2グラスウールマット18及びシート材20とを別々に製造することができるので、吸音構造10を構成する建材の製造工程を変更する必要がない。また、施工対象の室内14の空間の吸音特性に応じて、シート材20の面積を変更したり、シート材20を省略することで、吸音構造10の吸音特性を調整することも可能である。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。図5には第2実施形態に係る吸音構造40の断面図が示されており、図6には吸音構造40の分解斜視図が示されている。なお、図5及び図6に示す吸音構造40も本発明に係る吸音体の一例である。
本第2実施形態に係る吸音構造40では、剛壁12の室内14側に、剛壁12の全面に亘って第2グラスウールマット18が設けられている。また、第2グラスウールマット18の室内14側にはシート材20が設けられているが、シート材20の端部は、第2グラスウールマット18の側面を回り込んで、第2グラスウールマット18と剛壁12との間に挿入されている。
また、剛壁12の室内14側には、間隔を空けて複数のスピンドル42が立設されており、第2グラスウールマット18及びシート材20は、個々のスピンドル42が貫通されており、個々のスピンドル42の先端部に図示しない留め具が各々取り付けられていることにより、剛壁12に固定されている。本第2実施形態でもシート材20の固定は部分的であるので、室内14側から到来した音波に対してシート材20は単独で振動する。
また、本第2実施形態に係る吸音構造40では、複数のスタッド16がシート材20の室内14側に設けられており、隣り合うスタッド16の間には、隣り合うスタッド16の空間を埋めるように第1グラスウールマット22が配設されている。なお、第1グラスウールマット22の室内14側に、複数の木格子26を含むリブ24が配設されている点は第1実施形態と同様である。
このように、本第2実施形態に係る吸音構造40についても、吸音構造40を構成する建材である第1グラスウールマット22、第2グラスウールマット18及びシート材20の製造時に、第1グラスウールマット22又は第2グラスウールマット18とシート材20とを全面に亘って密着するように接着する必要がなく、第1グラスウールマット22、第2グラスウールマット18及びシート材20とを別々に製造することができるので、吸音構造40を構成する建材の製造工程を変更する必要がない。また、施工対象の室内14の空間の吸音特性に応じて、シート材20の面積を変更したり、シート材20を省略することで、吸音構造40の吸音特性を調整することも可能である。
なお、第2実施形態に係る吸音構造40の設計方法及び施工方法は、第1実施形態で説明した吸音構造10と同様であるので、説明を省略する。
なお、上記では第2グラスウールマット18が設けられた吸音構造10,40を説明したが、第2グラスウールマット18は固有周波数fやその周辺の周波数帯域における音波の減衰率(吸音率)を向上させる目的で設けたものであるので、本発明において必須の構成ではなく、シート材20単独で固有周波数fやその周辺の周波数帯域における音波の減衰率(吸音率)が得られる等の場合には、第2グラスウールマット18を省略することも可能である。一例として、第1実施形態で説明した吸音構造10に対して第2グラスウールマット18を省略した吸音構造46を図7に示す。
また、上記では本発明におけるシート材の一例として、ポリ塩化ビニールシートから成るシート材20を説明したが、これに限定されるものではなく、通気性の無いシート材であれば、ポリ塩化ビニールシート以外のシート材を適用してもよいし、曲げ剛性が小さく薄い板材料を適用してもよい。本発明におけるシート材には、ポリ塩化ビニールシート以外のシート材や、前述の板材料も含まれる。
続いて、本願発明者等が実施した実験の結果について説明する。この実験では、第1実施形態で説明した吸音構造10や、第2実施形態で説明した吸音構造40と同様に、2層のグラスウールの間にシート材としてポリ塩化ビニールシートを設けた本発明に係る吸音構造と、1層のグラスウールの背後に空気層を設けた従来の室内仕上げ構造と、について、複数の周波数(125,250,500,1k,2k,4k(Hz))について吸音率を各々測定し、吸音特性を各々比較した。
なお、従来の室内仕上げ構造として、空気層の厚さを25(mm), 100(mm),400(mm)とした3種類の構造について各々測定を行った。また、リブ厚が吸音特性に及ぼす影響も評価するために、各構造について、リブ厚が30(mm)のものと60(mm)のものを各々用意した(リブによるグラスウールの表面被覆率=50%)。グラスウールとしては厚さが50(mm)、密度が48(kg/m3)のものを用い、ポリ塩化ビニールシートとしては面密度が0.7(kg/m2)程度のもの(厚さが0.5(mm)で密度が1400(kg/m3)程度のもの)を用いた。
リブ厚が30(mm)の場合の実験結果を図8に、リブ厚が60(mm)の場合の実験結果を図9に示す。まず、図8と図9とを比較すると、各構造の吸音特性に殆ど相違が無く、今回の実験条件ではリブ厚の違いは吸音特性に影響を及ぼさないことが明らかとなった。また、空気層の厚さが互いに異なる3種類の従来の室内仕上げ構造について、吸音特性を比較すると、特に125(Hz)及び250(Hz)の低周波数帯域において、空気層の厚さが厚くなるに従って吸音率が向上している。
一方、本発明に係る吸音構造の吸音特性を見てみると、特に125(Hz)及び250(Hz)の低周波数帯域においても、従来の室内仕上げ構造のうち空気層の厚さが最大(=400(mm))の構造と同等の吸音率を示している。従来の室内仕上げ構造のうち最良の吸音特性を示す構造は、グラスウールの厚さが50(mm)、空気層の厚さが400(mm)であるので、厚さが450(mm)である。これに対し、本発明に係る吸音構造は、グラスウールの厚さが50(mm)×2、ポリ塩化ビニールシートの厚さが0.5(mm)であるので、厚さは100.5(mm)であり、従来の室内仕上げ構造の1/4未満の厚さで、同等の吸音性能が得られることが理解できる。
10,40,46 吸音構造
12 剛壁
16 スタッド
18 第2グラスウールマット
20 シート材
22 第1グラスウールマット
24 リブ
42 スピンドル

Claims (3)

  1. 壁体から間隙を空けて室内側に第1の多孔質層を設け、
    前記第1の多孔質層を設けた室内空間の吸音特性を計測し、
    計測した吸音特性に基づき、前記第1の多孔質層と前記壁体との間に通気性の無いシート材を追加するか否かを判定し、
    前記シート材を追加すると判定した場合に、計測した前記吸音特性に基づき前記シート材の面積を算出し、算出した面積の前記シート材を、前記第1の多孔質層と前記壁体との間に、前記壁体から一定の間隙を隔てて、前記室内側から到来した音波に対して単独で振動するように設けて吸音体を形成する吸音体の施工方法。
  2. 前記シート材の面積を、前記シート材と前記壁体とで仕切られた空間の空気をバネ、前記シート材の重さを質量とする質点系の固有周波数fにおける必要吸音力を、前記シート材を追加した場合の固有周波数fでの吸音率で除算することで算出する請求項1記載の吸音体の施工方法。
  3. 前記第1の多孔質層を設ける際に、前記第1の多孔質層と前記壁体との間に第2の多孔質層を更に設け、
    前記シート材を追加すると判定した場合に、前記シート材を前記第1の多孔質層と前記第2の多孔質層との間に設ける請求項1又は請求項2記載の吸音体の施工方法。
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