以下、実施形態の自動改札機、および自動改札機システムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、自動改札機10を上方から見た図である。また、必要に応じてXYZ座標系を用いて図示および説明を行う。自動改札機10は、例えば、筐体11と、リーダ12と、上面表示部20と、正面表示部22と、扉部24Aおよび24Bと、通過センサ25−1から25−4と、挿入口26と、排出口28と、制御部50とを備える。なお、自動改札機10は、任意の数の通過センサを備えてよい。また、以下、通過センサ25−1から25−4を、区別しない場合は、ハイフン(−)以下の符号を省略し、単に通過センサ25と表記する。
自動改札機10のリーダ12は、図1のa方向に通過しようとする利用者によって翳された第1の媒体M1に表示された第1の表示オジェクト情報を読み取って、読み取った情報を制御部50に送信する。第1の媒体M1は、例えば、紙の媒体に第1の表示オブジェクトが印刷された紙券である。「第1の表示オブジェクト」とは、例えば、入場用情報がエンコード(符号化)されたコード画像である。第1の表示オブジェクトは、例えばQRコード(登録商標)等の二次元コードであってもよいし、バーコード等の一次元コードであってもよい。「第1の表示オブジェクト」は、機械的に情報を読み取り可能なコード情報であれば、任意のものを使用してよい。「入場用情報」とは、自動改札機10が設置された駅構内への入場を可能とする情報である。
図2は、入場用情報の一例を示す図である。「入場用情報」には、例えば第1の媒体M1の識別情報や、鉄道の利用可能区間を示す情報、第1の媒体M1が発行された日時(発行日時)、第1の媒体M1が発行された駅(発行駅)等の情報が含まれる。また、入場用情報には、第1の表示オブジェクトが表示された第1の媒体M1の有効期間等が含まれてもよい。入場用情報は、利用者が入場しようとする駅において、その駅が利用可能区間に収まっているか否かが判定されることで、利用者の駅構内への入場を許可または禁止するための判断材料として用いられる。
リーダ12は、例えば光学読取部14と、ライト16とを有する。光学読取部14は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を備えたカメラと、画像解析によってデコード処理を行い、エンコードされた情報の内容を読み取る画像解析装置とを備える。また、光学読取部14は、バーコードリーダのように受光素子と増幅器、情報解読部(デコード部)等を備えるものであってもよい。なお、画像解析の機能は、制御部50が備えてもよい。
光学読取部14は、利用者によってリーダ12に表示面を向けて提示された媒体に表示された第1の表示オブジェクトを撮像し、撮像した画像に対してエンコード等の処理を行った結果を、制御部50に出力する。ライト16は、光学読取部14が媒体を撮像する際に、媒体に向けて光を照射する。
上面表示部20は、リーダ12に媒体が翳された場合に、制御部50によって処理された結果を表示する。正面表示部22は、図1のa方向に通過可能であるか否かを示すマークや図形、文字等を表示する。正面表示部22の表示内容または表示の有無は、制御部50によって決定される。なお、自動改札機10は、音声や、光で情報を出力する情報出力部(不図示)を備えてもよい。この場合、制御部50は、情報出力部を制御して、情報出力部に音声や光の点灯等によって情報を出力させる。
通過センサ25は、例えば自動改札機10の通路側側面に複数設けられる。複数の通過センサ25は、自動改札機10により形成された通路内の利用者を検出する。通過センサ25は、例えば赤外線センサや、光センサ等で実現される。通過センサ25は、対向する補機に設けられた通過センサと連携して通路内の利用者を検出するものであってもよい。
挿入口26には、利用者によってリーダ12に翳された第1の媒体M1が挿入される。挿入口26に挿入された第1の媒体M1は、自動改札機10の内部の搬送機構(図3を用いて説明)を搬送されながら蓄積部32に蓄積される。排出口28は、制御部50の制御に従って、発行部46(図3を用いて説明)により発行された第2の媒体M2を排出する。
自動改札機10の制御部50は、自動改札機10が図1のa方向への利用者に対して、扉部24Aおよび対向する補機の扉部24Bを開放状態または閉止状態に制御することで、a方向の利用者の通過を許可または禁止する。また、以下、扉部24Aおよび24Bを、区別しない場合は、AまたはBの符号を省略し、単に扉部24と表記する。
なお、図1では、自動改札機10が紙券専用機であるものとして説明するが、自動改札機10は、ICカード、磁気券、またはこれらの双方と、紙券との双方を処理可能な併用機であってもよい。また、自動改札機10は、利用者の一方向の通過のみ許可するものに限らず、利用者の双方向の通過を許可するものであってもよい。
図3は、図1のマイナスX方向から見た自動改札機10の内部構成を示す図である。自動改札機10には、例えば誘導部30と、蓄積部32と、第1の検知部34Aおよび34Bと、第2の検知部36Aおよび36Bと、発行部46とを備える。
誘導部30は、挿入口26付近に配置される。誘導部30は、第1の媒体M1を自動改札機10の内部に取り込むための搬送機構を有する。誘導部30は、搬送機構を用いて利用者により挿入口26に挿入された第1の媒体M1を取り込んで、蓄積部32に搬送する。図4は、図3の領域Aを拡大した図である。誘導部30は、例えば、入口ローラ40と、搬送ベルト42と、モータ44とを備える。入口ローラ40は、挿入口26付近に設けられ、挿入口26に挿入された第1の媒体M1を自動改札機10の筐体11の内部に取り入れる。搬送ベルト42は、例えば、複数のローラによって駆動され、入口ローラ40から蓄積部32の上方まで第1の媒体M1を搬送する。モータ44は、入口ローラ40、および搬送ベルト42を駆動させる複数のローラを駆動する。
蓄積部32には、誘導部30により搬送された第1の媒体M1が蓄積される。第1の検知部34Aおよび34Bは、例えば誘導部30の搬送ベルト42付近に設けられる。第1の検知部34Aおよび34Bは、例えば搬送ベルト42により搬送される第1の媒体M1をベルト越しに検知する。第1の検知部34Aおよび34Bは、例えば対向配置される発光部と受光部、所定の方向を撮像するように設置されたカメラ、赤外線を用いたセンサ等で実現される。
第2の検知部36Aおよび36Bは、例えば誘導部30と蓄積部32との間において、第1の検知部34Aおよび34Bよりも蓄積部32に近い位置に設けられる。第2の検知部36Aおよび36Bは、搬送ベルト42による搬送が終了し、蓄積部32に向けて落下する第1の媒体M1を検知する。第2の検知部36Aおよび36Bは、例えば対向配置される発光部と受光部、所定の方向を撮像するように設置されたカメラ、赤外線を用いたセンサ等で実現される。
図3の説明に戻る。発行部46は、ロール紙47と、裁断部48と、印刷部49とを備える。ロール紙47は、必要な情報を印刷するための紙媒体である。裁断部48は、発行部46の搬送部により搬送されるロール紙47を、設定された寸法に裁断する。
印刷部49は、搬送されたロール紙47に必要な情報を印刷して排出口28に搬送する。印刷部49は、制御部50の制御に基づいて、例えばロール紙47の所定位置に日付や、入場駅等の情報を印刷し、第2の媒体M2として発行する。
第2の媒体とは、判定部52により利用者が入場可能であると判定され、且つ第1の媒体M1が筐体11内に回収されたことを条件に、第1の媒体M1を提示した利用者に対して発行され、出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトが表示された媒体である。第2の表示オブジェクトは、QRコード等の二次元のコードであってもよいし、一次元のコードであってもよい。「第2の表示オブジェクト」は、機械的に情報を読み取り可能なコード情報であれば任意のものを使用してもよい。「出場用情報」とは、駅構外への出場を許可することを可能にする情報である。出場用情報は、利用者が出場しようとする駅において、その駅が利用可能な区間に収まっているか否かが判定されることで、利用者の駅構外の出場を許可または禁止するための判断材料として用いられる。
図5は、出場用情報の一例を示す図である。「出場用情報」には、例えば媒体の識別情報や、入場した駅、駅への入場日時、鉄道の利用可能区間を示す情報が含まれる。また、「出場用情報」には、入場時に利用した第1の媒体M1の入場券ID、入場時に利用した第1の媒体M1の発行駅、入場時に利用した第1の媒体M1の発行日時等の情報が含まれてもよい。
また、発行部46は、発行部46内のロール紙47の詰まりを検知する検知部を有してもよい。また、発行部46は、ジャーナル用紙に情報を印刷するジャーナルプリンタを有してもよい。また、発行部46は、複数種類の第2の媒体M2を予め印刷し、印刷した第2の媒体M2を準備しておいてもよい。この場合、発行部46は、印刷部49を備えず、複数種類の第2の媒体M2から所望の種類の第2の媒体M2を選択して発行する機構を有する。
図6は、自動改札機10と監視装置100とを含む自動改札機システム1の構成である。自動改札機10の制御部50は、例えば、判定部52と、発行処理部54と、誘導制御部56と、表示制御部57と、扉制御部58とを備える。また、自動改札機10は、通信部60を備える。例えば判定部52と、発行処理部54と、誘導制御部56と、表示制御部57と、扉制御部58とは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することで実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現されてもよい。
判定部52は、リーダ12により読み取られた入場用情報に基づいて、利用者が駅構内に入場可能か否かを判定する。利用者が入場可能であると判定された場合、発行処理部54は、誘導制御部56に取込を指示する取込指示信号を出力する。
発行処理部54は、判定部52により利用者が入場可能であると判定され、且つ第1の媒体M1が筐体11内に回収されたことを条件に、第1の媒体を提示した利用者に対して出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトを発行部46に発行させる。
誘導制御部56は、取込指示信号を判定部52から受信するすると、誘導部30を制御して第1の媒体M1を自動改札機10の筐体11の内部に取り込ませる。表示制御部57は、発行処理部54の指示に基づいて上面表示部20、または正面表示部22を制御する。扉制御部58は、発行処理部54の指示に基づいて扉部24を制御する。通信部60は、監視装置100等と通信するための通信インターフェースである。通信部60は、自動改札機10により実行された処理過程や、処理結果等を監視装置100に送信する。
監視装置100は、駅構内における任意の場所、例えば、自動改札機10の列に隣接し、駅構内と駅構外を接続する空間に設置される。監視装置100は、監視側操作部102と、監視側表示部104と、監視側制御部106とを備える。監視側操作部102は、キーボードや、マウス等の入力デバイスである。監視側表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)等の表示装置である。監視側表示部104は、監視側制御部106の制御に基づいて、画像を表示する。また、監視側操作部102と監視側表示部104とは、表示部と、接触検知機構とが重畳して構成されるタッチパネル式の操作表示部であってもよい。また、監視装置100は、音声や、光で情報を出力する情報出力部を備えてもよい。この場合、監視側制御部106は、情報出力部を制御して、情報出力部に情報を出力させる。
監視側制御部106は、自動改札機10の各部を制御するための制御信号を生成し、自動改札機10に送信する。監視側制御部106は、ネットワークを介して自動改札機10の処理過程や処理状態、異常等を示す情報を取得する。監視側制御部106は、自改札機10から取得した情報を監視側表示部104に表示させる。
例えば駅係員が、監視側表示部104に表示された情報を参照して、監視側操作部102を用いて、自動改札機10の扉部24の開閉や、第2の媒体M2媒体の発行の指示入力をした場合、監視側制御部106は、指示入力に対応する制御信号を生成し、生成した信号を自動改札機10に送信する。自動改札機10は、監視装置100により送信された制御信号を取得し、取得した制御信号に応じた自動改札機10の制御を行う。
図7は、自動改札機10により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、自動改札機10が、利用者により第1の媒体M1がリーダ12に翳されるまで待機する(ステップS100)。利用者により第1の媒体M1がリーダ12に翳されると、判定部52は、リーダ12により読み取られた第1の表示オブジェクトにエンコードされた入場用情報に基づいて、入場許可ができる利用者であるか否かを判定する(ステップS102)。
入場許可ができる利用者でないと判定された場合、発行処理部54が、判定部52により判定された判定結果に基づいて、扉部24を閉止させる(ステップS104)。次に、発行処理部54は、所定時間経過したか否かを判定し(ステップS106)、所定時間経過していない場合はステップS104の処理に戻る。所定時間経過した場合は、ステップ100の処理に戻る。
入場許可ができる利用者であると判定された場合、発行処理部54は、誘導部30を作動させる(ステップS108)。次に、発行処理部54が、第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1が検知されたか否かを判定する(ステップS110)。
第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1が検知されていない場合、発行処理部54は、所定時間経過したか否かを判定し(ステップS112)、所定時間経過していない場合はステップS108の処理に戻る。ステップS112とステップS106との所定時間は異なる時間であってもよいし、同じ時間であってもよい。
所定時間経過した場合は、ステップ100の処理に戻る。この場合、利用者は、第1の媒体M1をリーダ12に翳し、駅構内への入場が許可されたにも関わらず、第1の媒体M1を挿入口26に挿入せずにおり、所定時間が経過している。入場許可判定後、所定の時間が経過した場合は、判定部52は、利用者に第1の媒体M1をリーダ12に翳すことを、再要求する。これにより、第1の媒体M1を翳した利用者と異なる利用者が自動改札機10を通過するのを抑制することができる。
第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1が検知された場合、発行処理部54は、発行部46に出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトが表示された第2の媒体M2を発行させる(ステップS114)。発行処理部54は、第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1が検知された場合に、自動改札機10の筐体11の内部に取り込まれたと判定する。次に、発行処理部54は、扉部24を開放状態にさせる(ステップS116)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
なお、ステップS110で第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1が検知されていない場合、発行処理部54は、通過センサ25の検知結果に基づいて利用者が前進したことを検知したとき、扉部24を閉止状態に制御してもよい。また、発行処理部54は、利用者に対して挿入口26に第1の媒体M1を挿入することを促す情報を上面表示部20に表示させてもよい。
また、ステップS112で所定時間経過した場合、ステップS100の処理に戻るものとして説明したが、ステップS112で所定時間経過した場合、例えば発行処理部54は、利用者に対して挿入口26に第1の媒体M1をリーダ12に再度翳すことを促す情報を上面表示部20に表示させてもよい。また、発行処理部54は、扉部24を閉止状態に制御してもよい。
図8は、S110の処理において、第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1が検知されたときに開始される処理の流れを示すフローチャートである。まず、発行処理部54が、第2の検知部36Aおよび36Bにより第1の媒体M1が検知されたか否かを判定する(ステップS120)。第2の検知部36Aおよび36Bにより第1の媒体M1が検知された場合、自動改札機10は、ステップS100の処理に戻り、次の利用者によりリーダ12に第1の媒体M1が翳されるまで待機する。
第2の検知部36Aおよび36Bにより第1の媒体M1が検知されていない場合、発行処理部54は、所定時間経過したか否かを判定する(ステップS122)。所定時間経過していない場合は、ステップS120の処理に戻る。所定時間経過した場合は、発行処理部54は、誘導制御部56に誘導部30の取込動作を停止させる(ステップS124)。この場合、例えば第1の媒体M1が誘導部30等の自動改札機10の内部に詰まっている可能性が高いためである。次に、発行処理部54は、上面表示部20または正面表示部22に第1の媒体M1が回収されていなことを示す情報を表示させる(ステップS126)。利用者、または駅係員に自動改札機10の内部に第1の媒体M1が詰まっていることを知らせるためである。次に、発行処理部54は、扉制御部58に扉部24を閉止させる(ステップS126)。利用者の利用を禁止するためである。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
上述したように自動改札機10の発行処理部54は、入場用情報がエンコードされた第1の媒体M1を回収し、出場用情報がエンコードされた第2の媒体M2を発行させる。これにより入場時と出場時とで異なる媒体が利用者により利用される。この結果、自動改札機システム1は、出場側の駅において乗車券が適正に使用されるように制御することができる。
以下、図7および図8のフローチャートで示す処理によって実現される自動改札機10の動作について説明する。図9は、第1の媒体M1が自動改札機10の内部で処理される様子を模式的に示す図である。まず、リーダ12が、利用者により翳された第1の媒体M1に表示された第1の表示オブジェクトを読み取る。判定部52により利用者の入場が許可された場合、誘導部30が作動し利用者により挿入された第1の媒体M1を搬送する。このとき、第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1(1)が検知される。前述したように、第1の検知部34Aおよび34Bにより第1の媒体M1が検知された場合、発行処理部54は、第1の媒体M1が自動改札機10の筐体11の内部に回収されたと判定し、扉部24を開放状態に制御すると共に、発行部46に出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトが印刷された第2の媒体M2を発行させる。また、発行処理部54は、上面表示部20や正面表示部22に媒体が回収され、第2の媒体M2が発行されたことを示す情報を表示させる。図10は、媒体が回収され、第2の媒体M2が発行されたことを示す画像IMの一例である。
その後、誘導部30により取り込まれ搬送された第1の媒体M1(2)は、搬送ベルト42を介して、蓄積部32の方向に搬送される。第1の媒体M1(3)が蓄積部32に蓄積される場合、第2の検知部36Aおよび36Bにより第1の媒体M1(3)が検知される。
第1の媒体M1(1)が、第1の検知部34Aおよび34Bにより検知された後、第2の検知部36Aおよび36Bにより検知されない状態が所定時間継続している場合、発行処理部54は、第1の媒体M1が誘導部30に詰まっている(滞留している)と判定する。この場合、発行処理部54は、リーダ12の読み取り動作を停止させる。また、発行処理部54は、上面表示部20や正面表示部22に媒体が詰まっていることを示す情報を表示させる。図11は、第1の媒体M1が誘導部30に詰まっていることを示す画像IM1の一例である。発行処理部54は、例えば利用者に対して、自動改札機10の利用ができないことを示す情報や、第1の媒体M1(1)が詰まっていることを係員に認識させるための情報を上面表示部20や正面表示部22に表示させる。また、発行処理部54は、媒体が自動改札機10の筐体11内に詰まったことを示す紙詰まり情報を、通信部60を介して監視装置100に送信する。
前述したように、第1の検知部34Aおよび34Bが第1の媒体M1を検知したら第2の媒体M2の発行が行われるので、紙詰まりを起こした利用者自身の通過は可能である。これにより自動改札機10が正常に動作するまで利用者を待たせることなく通過させることができるため、利用者の利便性を向上させることができる。
以上説明したように自動改札機10は、リーダ12により読み取られた第1の媒体M1に印刷された第1の表示オブジェクトにエンコードされた入場用情報に基づいて、利用者が入場可能かを判定する判定部52と、判定部52により利用者が入場可能であると判定され且つ第1の媒体M1が筐体11内に蓄積されたことを条件に、第1の媒体M1を提示した利用者に対して出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトを第2の媒体に発行部46に印刷させて発行させる発行処理部54とを持つことにより、乗車券が適正に使用されるように制御することができる。また、自動改札機10は、入場時に利用者により利用された第1の媒体M1を回収するため、再度、第1の媒体M1が利用されたり、不正に用いられたりすることを抑制させることができる。
図12は、監視装置100により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、監視側制御部106は、自動改札機10から第1の媒体M1が、自動改札機10の筐体11内に詰まったことを示す紙詰まり情報を取得したか否かを判定する(ステップS200)。紙詰まり情報を取得した場合、監視側制御部106は、監視側表示部104に自動改札機10の筐体11内に第1の媒体M1が詰まったことを示す情報を表示させる(ステップS202)。図13は、監視側制御部106が監視側表示部104に表示させるインターフェース画像IM2の一例である。インターフェース画像IM2には、例えば駅に設置された複数の自動改札機10−1から10−4のうち、第1の媒体M1が詰まった自動改札機10−2を駅係員に識別可能に表示される。これにより駅係員は、自動改札機10の筐体11の内部に第1の媒体M1が詰まったことを認識することができるため、迅速に第1の媒体M1の詰まりを解消するための対応を行うことができる。紙詰まり情報を取得してない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
次に、監視側制御部106は、監視側操作部102に係員の操作入力がされたか否かを判定する(ステップS204)。例えば駅係員は、監視側操作部102に自動改札機10の扉部24を開放させるための操作や、自動改札機10の作動を停止させるための操作を行う。監視側操作部102に係員の操作入力がされた場合、監視側制御部106は、操作入力に応じた自動改札機10を制御するための制御信号を生成し、制御信号を自動改札機10に送信する(ステップS206)。制御信号を取得した自動改札機10は、制御信号に基づいて自装置を制御する。監視側操作部102に駅係員の操作入力がされていない場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。このように自動改札機10を監視する監視装置100によって自動改札機10を制御することができるため、駅係員の利便性を向上させることができる。
以下、出場駅における自動改札機10Aについて説明する。ここでは、入場駅における自動改札機10との相違点を中心に説明し、自動改札機10と共通する機能等についての説明は省略する。
図14は、自動改札機10Aと監視装置100とを含む自動改札機システム1Aの構成である。自動改札機10Aでは、発行部46は省略されてもよい。自動改札機10Aは、第1の実施形態の制御部50に代えて、制御部50Aを備える。また、自動改札機10Aは、記憶部64を更に備える。
記憶部64は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置により実現される。記憶部64には、各駅間の運賃が記憶された運賃テーブル66が記憶される。
制御部50Aは、判定部52Aと、発行処理部54Aと、誘導制御部56と、表示制御部57と、扉制御部58とを備える。判定部52Aは、運賃テーブル66を参照し、リーダ12により読み取られた出場用情報が当該駅で出場できる条件を満たす情報であるか否かを判定する。当該駅で出場できる条件とは、例えば出場用情報に含まれる利用可能な区間に当該駅が含まれていることである。また、当該駅で出場できる条件とは、利用者が支払った運賃が入場駅から当該駅までの運賃以上であることである。
また、判定部52Aは、出場用情報に含まれる利用可能な区間に当該駅が含まれていることに加え、更に入場駅の情報、入場日時、またはこれらの組み合わせが出場用情報に含まれるか否かを判定してもよい。出場用情報に入場駅の情報、入場日時、またはこれらの組み合わせが含まれる場合、判定部52Aは、利用者の出場を許可する。一方、出場用情報に入場駅の情報、入場日時、またはこれらの組み合わせが含まれない場合、判定部52Aは、利用者の出場を不許可する。このように、判定部52Aが、出場用情報に含まれる利用可能な区間に当該駅が含まれているか否かを判定すると共に、出場用情報に入場駅の情報が含まれているか否かを判定することで、利用者に対する鉄道利用における処理をより正しく行うことができる。
発行処理部54Aは、判定部52Aの判定結果に基づいて、誘導制御部56、表示制御部57、および扉制御部58を制御する。
図15は、自動改札機10Aにより実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、自動改札機10Aが、利用者により第2の媒体M2がリーダ12に翳されるまで待機する(ステップS300)。利用者により第2の媒体M2がリーダ12に翳されると、判定部52Aは、リーダ12により読み取られた第2の表示オブジェクトにエンコードされた出場用情報に基づいて、出場許可ができる利用者であるか否かを判定する(ステップS302)。
出場許可ができる利用者でないと判定された場合、発行処理部54Aが、判定部52Aにより判定された判定結果に基づいて、扉部24を閉止させる(ステップS304)。次に、発行処理部54Aは、所定時間経過したか否かを判定し(ステップS306)、所定時間経過していない場合はステップS304の処理に戻る。所定時間経過した場合は、ステップ300の処理に戻る。
出場許可ができる利用者であると判定された場合、発行処理部54Aは、誘導部30を作動させる(ステップS308)。次に、発行処理部54Aが、第1の検知部34Aおよび34Bにより第2の媒体M2が検知されたか否かを判定する(ステップS310)。
第1の検知部34Aおよび34Bにより第2の媒体M2が検知されていない場合、発行処理部54Aは、所定時間経過したか否かを判定し(ステップS312)、所定時間経過していない場合はステップS308の処理に戻る。所定時間経過した場合は、ステップ300の処理に戻る。この場合、利用者は、第2の媒体M2をリーダ12に翳し、駅構外への出場が許可されたにも関わらず、第2の媒体M2を挿入口26に挿入せずにおり、所定時間が経過している。所定の時間が経過した場合は、判定部52Aは、利用者に媒体をリーダ12に翳すことを、再要求する。これにより、第2の媒体M2を翳した利用者と異なる利用者の自動改札機10の通過を抑制させることができる。
第1の検知部34Aおよび34Bにより第2の媒体M2が検知された場合、発行処理部54Aは、扉表示部58を制御して扉を開放状態にさせ(ステップS314)、利用者の通行を許可する。これにより本フローチャートの処理は終了する。
なお、ステップS310で第1の検知部34Aおよび34Bにより第2の媒体M2が検知されていない場合、発行処理部54Aは、通過センサ25の検知結果に基づいて利用者が前進したことを検知したとき、扉部24を閉止状態に制御してもよい。また、発行処理部54Aは、利用者に対して挿入口26に第2の媒体M2を挿入することを促す情報を上面表示部20に表示させてもよい。
また、ステップS312で所定時間経過した場合、ステップS300の処理に戻るものとして説明したが、ステップS312で所定時間経過した場合、例えば発行処理部54Aは、利用者に対して第2の媒体M2をリーダ12に再度翳すことを促す情報を上面表示部20に表示させてもよい。また、発行処理部54Aは、扉部24を閉止状態に制御してもよい。
以上説明したように自動改札機10Aによれば、判定部52Aは、入場駅で使用された第1の媒体M1とは異なる第2の媒体M2にエンコードされた出場用情報に基づいて、利用者の駅構外への出場の可否を判定することができるため、乗車券が適正に使用されるように制御することができる。また、判定部52Aが、出場用情報に含まれる利用可能な区間に当該駅が含まれていることに加え、更に入場駅の情報、入場日時、またはこれらの組み合わせが出場用情報に含まれるか否かを判定することができるため、乗車券がより適正に使用されるように制御することができる。
また、自動改札機10Aの上位サーバで第2の媒体M2を提示した利用者が入場駅で入場したことを示す情報を集中管理することなく、自動改札機10Aは、出場用情報に基づいて、利用者が入場したことを示す情報を認識することができるため、自動改札機10Aの通信負荷を軽減させることができる。また、発行処理部54Aは、利用者により投入された第2の媒体M2が誘導部30により取り込まれた場合に、利用者の駅構外への出場を許可するため、利用者により利用された第2の媒体M2を回収することができる。この結果、自動改札機10Aは、再度、第2の媒体M2が利用されたり、不正に用いられたりすることを抑制させることができる。
なお、入場用の自動改札機10と、出場用の自動改札機10Aとの双方の機能を有し、スイッチ操作等によっていずれの自動改札機として機能するかを切替可能なものであってもよい。
以上説明した第1の実施形態の自動改札機10によれば、発行処理部54が、リーダ12により読み取られた入場用情報に基づいて、利用者が入場可能であると判定され、且つ第1の媒体M1が筐体11内に蓄積されたことを条件に、第1の媒体M1を提示した利用者に対して出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトが表示された第2の媒体M2を発行することにより、乗車券が適正に使用されるように制御することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態では、誘導部30が、入口ローラ40および搬送ベルト42を有し、第1の媒体M1を搬送する構成について説明したが、第2の実施形態では、自動改札機10Bの誘導部30Bが、第1の媒体M1を蓄積部32の方向に吸引する吸引部31を備え、吸引部31の吸引によって第1の媒体M1を蓄積部32に誘導する。
図16は、第2の実施形態の自動改札機10Bの内部構成を簡略に示す図である。自動改札機10Bの誘導部30Bは、挿入口26と蓄積部32とを連通させる連通路33、および連通路33の出口付近に設けられた吸引部31とを有する。吸引部31は、例えば連通路33の空気を吸引して連通路33に負圧を発生させ、挿入口26から連通路33を介して第1の媒体M1を蓄積部32側に引き寄せる。引き寄せられた第1の媒体M1は、蓄積部32の上方から落下して蓄積部32に蓄積される。誘導制御部56は、発行処理部54の指示に基づいて吸引部31の吸引の開始および停止を制御する。例えば発行処理部54は、判定部52により利用者が入場可能であると判定された場合、誘導制御部56に吸引部31の吸引を開始させるように制御する。
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、乗車券がより適正に使用されるように制御することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態の誘導部30に代えて、第3の実施形態では、自動改札機10Cの誘導部30Cが、第1の媒体M1を蓄積部32に誘導する。
図17は、第3の実施形態の自動改札機10Cの内部構成を簡略に示す図である。自動改札機10Cの誘導部30Cは、孔部39と、蓋部35Aと、蓋駆動部35Bと、第2の検知部36Aおよび36Bを有する。孔部39は、筐体11の外部と、蓄積部32とを連通させる。蓋部35Aは、蓋駆動部35Bの駆動よって開閉する。蓋部35Aが開放状態の場合、孔部39が開孔状態となることで、自動改札機10の筐体11の内部と外部とが連通する。蓋部35Aが閉止状態の場合、孔部39が閉孔状態となることで、自動改札機10の筐体11の内部と外部とが遮断される。蓋駆動部35Bは、誘導制御部56の指示に従って駆動し、蓋部35Aの開閉を制御する。例えば発行処理部54は、判定部52により利用者が入場可能であると判定された場合、誘導制御部56に蓋部35Aを開放させるように制御する。
蓋部35Aは、判定部52Aにより利用者の入場が許可された場合に、開放状態となり、その他の場合は閉止状態となる。利用者がリーダ12に第1の媒体M1を翳し、判定部52Aにより入場を許可する判定がされた場合、蓋部35Aは開放状態に制御される。この場合、リーダ12に翳された第1の媒体M1が利用者により手放されると、第1の媒体M1は落下して孔部39を介して蓄積部32に蓄積される。第2の検知部36Aおよび36Bは、蓄積部32に向けて落下する第1の媒体M1を検知する。
なお、本実施形態では、蓋部35Aおよび蓋駆動部35Bを有するものとして説明したが、蓋部35Aおよび蓋駆動部35Bは省略されてもよい。この場合、利用者が第1の媒体M1をリーダ12に翳した後、第1の媒体M1を手放すと第1の媒体M1は落下し、落下した第1の媒体M1は、孔部39を通過して蓄積部32に蓄積される。
以上説明した第3の実施形態によれば、利用者が第1の媒体M1を、リーダ12に翳した後、第1の媒体M1を手放すことで第1の媒体M1は回収されるため、媒体を挿入するような手間をかけることなく利用者の利便性はより向上する。また、自動改札機10Cは、蓋部35Aの開放により第1の媒体M1を誘導するため、自動改札機10の構成を簡易にすることができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、利用者によって提示された第1の媒体に表示された第1の表示オブジュクトから入場用情報を光学的に読み取る光学読取部と、光学読取部により読み取られた入場用情報に基づいて、利用者が入場可能か否かを判定する判定部と、判定部により利用者が入場可能であると判定され、且つ第1の媒体が筐体内に回収されたことを条件に、第1の媒体を提示した利用者に対して出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトが表示された第2の媒体を発行する発行部とを持つことにより、乗車券が適正に使用されるように制御することができる。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
利用者によって提示された第1の媒体に表示され入場用情報がエンコードされた第1の表示オブジュクトを撮像し、撮像した画像に復号処理を行って情報を読み取る光学読取部と、
前記光学読取部に対して提示された第1の媒体が挿入される挿入孔と、
前記挿入孔に挿入された前記第1の媒体を、前記筐体内に搬送するローラまたは搬送ベルトを有する誘導部と、
前記挿入孔と前記誘導部の出口との間に設けられ、通過する前記第1の媒体を検知する検知部と、
前記第1の媒体とは異なる第2の媒体に出場用情報がエンコードされた第2の表示オブジェクトを印刷する印刷部と、
前記光学読取部により読み取られた入場用情報に基づいて、前記利用者が入場可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部により前記利用者が入場可能であると判定され、且つ前記検知部により前記第1の媒体が検知されたことを条件に、前記第1の媒体を提示した利用者に対して前記第2の媒体を前記印刷部に印刷させる発行部と、
を備える自動改札機。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。