JP6509268B2 - 円偏波アンテナ - Google Patents
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Description
従来の円偏波アンテナとしては、縮退分離法を用いたマイクロストリップアンテナがある。この円偏波アンテナは、正方形のマイクロストリップアンテナの2つの角の一部を切り取った形状のアンテナであり、特許文献1の図10に示されている。
また、2点給電方式による円偏波アンテナとして、正方形のマイクロストリップアンテナの直交する2辺に対し、別々に給電することで円偏波とするアンテナがある。この方式では、方形または円形マイクロストリップアンテナを空間的に直交する2つの給電点で位相差がπ/2となるように給電するものである。
一方、2点給電方式の円偏波アンテナでは、2点で給電するための二分配回路などの外部回路が必要であり、給電系が複雑になるという問題がある。
(2)請求項2に記載の発明では、前記第1アンテナと前記第2アンテナの偏波がほぼπ/2の位相差である、ことを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナを提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記破断環状部は、前記地導体板と平行に配設された矩形形状であり、前記地導体板と平行な2辺のうち前記地導体板から離れた側の辺の中央部に破断部が形成されている、ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の円偏波アンテナを提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、 前記1対の延設部は、前記破断環状部の内側に、又は外側に延設されている、ことを特徴とする請求項3に記載の円偏波アンテナを提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、 前記破断環状部と前記1対の延設部は、絶縁層を介してビア接続された複数層に形成され、 前記給電ラインの前記一端は、いずれか1の層の破断環状部に接続されている、ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の円偏波アンテナを提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、前記地導体板は、前記破断環状部の最上層と最下層に対応した2層に形成され、前記地導体板の2層はビア接続されている、ことを特徴とする請求項5に記載の円偏波アンテナを提供する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の円偏波アンテナ1では、地導体板10と、この地導体板10から所定距離だけ離れて配設された破断環状アンテナ20と、この破断環状アンテナ20に一端が接続され他端側が地導体板10まで延びた他端が給電点となる給電ライン30を備えている。
破断環状アンテナ20は第1アンテナとして機能し、給電ライン30は第2アンテナとして機能し、両アンテナはほぼ直交状態に配設されると共に、両アンテナの偏波がほぼπ/2だけ位相がズレていることで、円偏波の送受信が可能となる。
ここで、両アンテナに関し、「直交状態の配置」と「ほぼπ/2の位相差」については、共に厳密な意味での角度、位相差であるπ/2だけでなく、実用の円偏波アンテナとしての良好な使用目安である軸比3dB以下が実現できる角度、位相差の幅を含むものとする。
本実施形態の円偏波アンテナ1は、給電ライン30が地導体板10から露出することで、給電ライン30からの輻射(Eθ成分)と、破断環状アンテナ20からの輻射(Eφ成分)が直交を成しており、円偏波化が実現される。具体的には、軸比≦3dBを満たす角度幅が、Z−Y面(φ=90°)で80°前後、X−Y面(θ=90°)で54°前後となり、良好な円偏波特性を示す。また、共振周波数2.51GHz、効率74.5%である。
図1は、円偏波アンテナ1の全体構成と、その一部である破断環状アンテナ20を表した斜視図である。
図1に示すように本実施形態の円偏波アンテナ1は多層化されている。なお、各層の部材を表す場合には同一数字の符号にa、b、〜を付し、部材全体を表す場合には数字の符号だけで表示するものとする。
円偏波アンテナ1は、図1(a)に示されるように、地導体板10、破断環状アンテナ20、給電ライン30を備えている。本実施形態の地導体板10、破断環状アンテナ20、給電ライン30は、それぞれ銅で形成されているが、他の金属や合金を使用するようにしてもよい。
この絶縁層11は、平面サイズが30mm×50mmで、厚さが0.4mm〜0.6mm(後述する)で、ガラスエポキシ樹脂等の各種樹脂により形成されている。
この絶縁層11上に、絶縁層11の1の辺側に破断環状アンテナ20が形成されている。破断環状アンテナ20は4層に形成され、各層は各絶縁層11a〜11cの間と両外側面に形成されている。破断環状アンテナ20の各層は互いにビア接続されている。
両地導体板10aと地導体板10dとは、図3に示すように、ビア接続12によって互いに接続されている。このビア接続12は、給電ライン30を避けるようにして配設される。
破断環状部22は、その地導体板10と対向している側の反対側に、長手方向の中央に破断部Aが形成されている。破断環状部22は、直線部23〜27の順に、互いに直角方向に連続する4つの直線部で方形状に構成されている。直線部23と直線部27とは、所定幅で破断されて破断部Aを形成することで連続していない。直線部23と直線部27は、方形の絶縁層11の一辺(端部)と一致するように形成される。
破断環状部22cは、他の層と異なり給電ライン30を通すために、直線部25cに破断部251が形成されている。給電ライン30は、この破断部251の間を通り、地導体板10a、10dの間にまで延設されている。給電ライン30の他端は給電点であり、その形状については後述する。
本実施形態の円偏波アンテナ1では、地導体板10と破断環状部22とが所定間隔を開けて離れていることで、給電ライン30が地導体板10から露出し、その結果、給電ライン30からの輻射(Eθ成分)を得ることができる。
図2に示すように破断環状アンテナ20の破断環状部22は、その内側開口部の長手方向の長さが9mm、短手方向の長さが3.5mmであり、各直線部23〜27の幅が0.5mmに形成されている。
図2に示すように破断環状部22の内側サイズは直線部24、26に対応する縦方向が3.5mmで、直線部25に対応する横方向(長手方向)が9mmである。各直線部23〜27の幅は0.5mmに形成されている。
本実施形態では、延設部28、29部分はそれぞれ直線部23、27と連接しているためビア接続されていないが、延設部28、29においても各層をビア接続するようにしてもよい。
なお、本実施形態の延設部28、29は、破断環状部22の内側に延設されているが、破断環状部22の外側に延設するようにしてもよい。この場合においても両延設部28、29の間隔を0.1mm、長さを1.45mmに形成する。
直線部24と給電ライン30との間隔Fは、F=0.20mmである。
給電ライン30は、その幅が0.55mmに形成され、後述する給電点の形式により異なるが13mmより長く形成されている。
なお、給電ライン30と直線部24との間隔Fについて本実施形態ではF=0.20mmとしたが、F=1.0mmまで、好ましくはF=0.68mm程度まで広く設定することも可能である。この場合、実施形態のF=0.20mmにした場合の軸比(後述する)に比べると劣化するが、Fの値を大きくすることで製造が容易になる。
円偏波アンテナ1では、所望の共振周波数となるように、破断環状アンテナ20の形状を選択する。例えば、破断環状部22の内側のサイズで短手方向の長さをq1(本実施形態では3.5mm)、長手方向の長さをq2とした場合、q1/q2が小さい程(すなわち、横長に形成する程)共振周波数は小さくなり、延設部28、29の長さが長いほど共振周波数は小さくなる。
そして、第1アンテナとして機能する破断環状アンテナ20の偏波に対して、直交状態にあり第2アンテナとして機能する給電ライン30の偏波がほぼπ/2の位相差となるように、給電ライン30の長さ(距離Lの長さ)と間隔Fの調整がされる。
なお、点線で示したのが円偏波アンテナ1の外形となる絶縁層11の外形である。
1層目(Layer1)には、図3(a)に示すように、破断環状アンテナ20aと、地導体板10aが配設される。
2層目(Layer2)には、図3(b)に示すように、破断環状アンテナ20bが配設される。
3層目(Layer3)には、図3(c)に示すように、破断環状アンテナ20cと、給電ライン30が配設される。破断環状アンテナ20cの直線部25cには、給電ライン30を通すための破断部251が形成されている。給電ライン30は一端側が破断環状アンテナ20cの直線部23cに接続され、他端側が両地導体板10a、10dの間まで延設されている。
4層目(Layer4)には、図3(d)に示すように、破断環状アンテナ20dと、地導体板10dが配設される。
図4は、給電ライン30の端部に形成される給電点の各種形状を表した断面図である。
図4(a)は、円偏波アンテナ1における1層目の地導体板10a側に給電端子35を形成した場合の第1の例である。
すなわち、給電ライン30の給電点に対応する位置で、絶縁層11a、11bにスルーホール31を形成するとともに、地導体板10aに設けた開口部に給電端子35が形成される。
そして、スルーホール31の内周面がメッキされ、又はスルーホール31内に導電ペーストが充填されることで、給電端子35と給電ライン30の端部(給電点)とがビア接続される。
この例では、給電ライン30の給電点に対応する位置で、絶縁層11cにスルーホール32を形成するとともに、地導体板10dに設けた開口部に給電端子36が形成される。
そして、スルーホール32の内周面がメッキされ、又はスルーホール32内に導電ペーストが充填されることで、給電端子36と給電ライン30の端部(給電点)とがビア接続される。
この場合、給電ライン30の絶縁層11a、11bの端部位置が給電点となり、そこから外側に延設した部分が給電端子37となる。
なお、図4(c)では、絶縁層11cを絶縁層11a、11bよりも大きくしたことにあわせて、地導体板10dも、地導体板10aよりも大きく形成しているが、地導体板10dを絶縁層11cよりも小さく(給電ライン30の長さ方向を短く)することで地導体板10aと同じ大きさに形成するようにしてもよい。
図5(a)は、各層の厚さと材料を表したものである。
破断環状アンテナ20と地導体板10の材料は銅で、その厚さ(所定厚T)は、例えば18μmや35μmが採用されるが、後述する特性解析においては、ほぼゼロとしている。
一方、絶縁層11a〜11cの材料としては、ガラスエポキシ樹脂が使用される。絶縁層11aの厚さが0.4mm、絶縁層11bの厚さが0.6mm、絶縁層11cの厚さが0.4mmである。
なお、円偏波アンテナ1の基板の総厚は、破断環状アンテナ20a〜20d、地導体板10a、10dの厚さをほぼゼロとしているので、全体で1.4mmで特性解析を行っている。
絶縁層11a〜11cの材料であるガラスエポキシ樹脂は、比誘電率εr=4.25、誘電正接(損失)tanδ=1×10{−2}である。なお、記号{}は、中の数字が累乗を示す指数を表すものとし、例えば、x{2}は、xの二乗を表す。
また、特性解析では円偏波アンテナ1の周囲を空気で取り囲むものとし、その比誘電率は1.000517とした。
例えば、給電系を含む市販品完成体の2.4GHz帯の無線LAN円偏波平面アンテナ(導波器付平面アンテナ)のサイズが約110mm×110mm×20mm(アンテナ部)であるのに比べて、十分に小型化することができる。
更に例を挙げると、一点給電パッチアンテナのアンテナ部自身のサイズは、2.45GHzの場合、自由空間波長の半波長が62.5mmとなるので、この62.5mm角(基板が発砲フォーム等の場合)となるのに比較しても本実施形態の円偏波アンテナ1では小型化することができている。
また、2点給電方式の円偏波アンテナが2点で給電するための二分配回路や外部回路が必要であり、給電系が複雑になるのに対し、本実施形態の円偏波アンテナ1では、給電ライン30を第2アンテナとして機能させているので、簡単な構造であって容易に製造することができる。
図6は円偏波アンテナ1のリターンロス特性を、図7は指向性特性を、図8は軸比特性を表したものである。
図6に示されるように、円偏波アンテナ1は2.51GHzの共振周波数である。
また、図示していないが、円偏波アンテナ1の効率=74.5%と高効率が確保されている。
さらに、図8(b)に示すように、X−Y面(θ=90°)において、3dB以下の周波数が、49.0度〜105.3度(BW=56.3度)と、254.0度〜305.4度(BW=51.4度)であり、良好な角度幅が得られていることがわかる。
このように、本実施形態の円偏波アンテナ1では、軸比≦3dBを満たす角度幅は、Z−Y面では80°前後、X−Y面では54°前後となり、良好な円偏波特性を示す。
図9は円偏波アンテナ1のt=0とt=T/4における面電流密度を表し、図10は、t=T/2とt=3T/4における面電流密度を表したもので、それぞれの位相が90度ずれた状態を表している。ここでTは周期を示す。
図面精度の都合で詳細な分布までは表示できていないが、t=0から3T/4まで位相が90度変化する毎の電流密度の分布状態から、破断環状アンテナ20は強、弱、強、弱と面電流密度状態が変化しており、給電ライン30は常に一定レベルの面電流密度を示している。
このように、円偏波アンテナ1では、破断環状アンテナ20(第1アンテナとして機能)と、破断環状アンテナ20に対して直交状態に配置される給電ライン30(第2アンテナとして機能)とが、t=T/2とt=3T/4においてπ/2の位相差を持つことで、円偏波が発生していることが示される。
本実施形態では、図3で説明したように、円偏波アンテナ1を4層で構成し、1層目〜4層目に破断環状アンテナ20a〜20dを配設したのに対し、変形例としては、4層に限られず、単層、2層、3層、5層以上とすることが可能である。
例えば、破断環状アンテナ20を2層とした場合、1層の絶縁層11の一方の側に1層目の破断環状アンテナ20aと地導体板10aを、他方の側に2層目の破断環状アンテナ20bと地導体板10b(実施形態の地導体板10dに対応)を配設する。そして給電ライン30を、1層目又は2層目の何れか一方に配設する。この給電ライン30が配設される側の破断環状アンテナ20は、図3(c)で説明したように、破断環状アンテナ20の直線部25に破断部251を形成する。
なお、破断環状アンテナ20と地導体板10は、それぞれビア接続するのは同じである。
この給電ライン30は、絶縁層の一方の面に形成されることから、実施形態において図4で説明したような給電用のスルーホール31、32は形成されない。
ただし、給電ライン30が形成されている面(層)と反対側の面(層)に給電端子を形成する場合には、図4(b)と同様にスルーホール32及び給電端子36を形成する。
なお、1層の場合にはビア接続される他層が存在しないため、破断環状アンテナ20の直線部25に破断部を形成することができない。このため、直線部25と給電ライン30との交差範囲に絶縁層を配設する。
一方、5層以上とする場合には、図2(b)に示した破断環状アンテナ20bの数と絶縁層を層数にあわせて増加させる。この場合、図2(c)に示した破断環状アンテナ20と給電ライン30が配設された層に対して、上下いずれの側に増加してもよく、6層以上とする場合には上下の両方の側に増加するようにしてもよい。
更に、説明した実施形態及び変形例では、給電ライン30を1層とする場合について説明したが、給電ライン30を多層化するようにしてもよい。この場合、各層の給電ライン30はビア接続する。
これに対する変形例として、絶縁層11を、地導体板10、破断環状アンテナ20、給電ライン30の投影領域以外の領域を切り取った形状としてもよい。
すなわち、地導体板10が配設されていない側の両角部分を切り取った形状にすることも可能である。角部分を切り取る形状としては、斜めに切り取る三角形状の場合と、矩形形状の場合のいずれでもよい。
ただし、絶縁層11は、地導体板10、破断環状アンテナ20、給電ライン30の投影領域から所定距離離れた範囲で残されていることが放射効率上は好ましい。
10 地導体板
11 絶縁層
12 ビア接続(地導体板)
20 破断環状アンテナ
21 ビア接続(破断環状部)
22 破断環状部
23〜27 直線部
28、29 延設部
30 給電ライン
251 破断部
Claims (6)
- 破断部が形成された破断環状部と、
前記破断環状部の破断部を形成する両端部と各々が連続し、所定間隔で平行して延設された1対の延設部と、
前記破断環状部から所定距離だけ隔てて配設された地導体板と、
前記破断環状部の長手方向に対して直交状態に配設され、一端側が前記破断環状部に接続され、前記地導体板まで延びる他端側に給電点を備えた給電ラインと、を具備し、
前記破断環状部と前記1対の延設部は第1アンテナとして機能し、前記給電ラインは第2アンテナとして機能している、
ことを特徴とする円偏波アンテナ。 - 前記第1アンテナと前記第2アンテナの偏波がほぼπ/2の位相差である、
ことを特徴とする請求項1に記載の円偏波アンテナ。 - 前記破断環状部は、前記地導体板と平行に配設された矩形形状であり、前記地導体板と平行な2辺のうち前記地導体板から離れた側の辺の中央部に破断部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の円偏波アンテナ。 - 前記1対の延設部は、前記破断環状部の内側に、又は外側に延設されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の円偏波アンテナ。 - 前記破断環状部と前記1対の延設部は、絶縁層を介してビア接続された複数層に形成され、
前記給電ラインの前記一端は、いずれか1の層の破断環状部に接続されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の円偏波アンテナ。 - 前記地導体板は、前記破断環状部の最上層と最下層に対応した2層に形成され、
前記地導体板の2層はビア接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の円偏波アンテナ。
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