(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る放送システム1の概略ブロック図である。
放送システム1は、送信装置10と、通信装置20と、受信装置30とを含んで構成される放送通信連携システムである。放送システム1では、一般に送信装置10、通信装置20、及び受信装置30が、それぞれ複数個存在しうる。但し、以下では説明を簡潔にするため、送信装置10の個数、通信装置20の個数及び受信装置30の個数が、それぞれ1個である場合を例にする。
放送システム1は、放送番組を構成するコンテンツを示す番組データを所定の多重化・伝送方式を用いて伝送するシステムである。コンテンツとは、音声、映像、などの放送番組の構成要素であり、受信装置30により提示される情報である。番組データには、放送番組のコンテンツとして音声を示す音声データと、映像を示す映像データが含まれる。以下の説明では、多重化・伝送方式として、主にMPEG−Hで規定されたMMT(MPEG Media Transport)・TLV(Type Length Value)によるメディアトランスポート方式が用いられる場合を例にする。
送信装置10は、番組データと放送番組の提示を制御するための制御データをそれぞれ取得し、取得した番組データと制御データを多重化し、多重化データを生成する。取得された番組データは、符号化された音声データ、符号化された映像データを含むデータである。番組データは、映像データや音声データを含んで構成される。映像データや音声データなどの個々の構成要素は、アセットと呼ばれることがある。本実施形態では、放送番組のコンテンツにダイアログ音声が含まれる。ダイアログ音声は、複数のチャンネルの音声(多チャンネル音声)のうち、所定のチャンネルで再生させる音声である。ダイアログ音声は、通常の放送の音声(放送音声)と同一のストリームで送信されることも、別個のストリームで送信されることもある。ダイアログ音声については後述する。
送信装置10は、生成した多重化データを搬送する放送波を受信装置30に放送伝送路40を介して送信する。送信装置10は、例えば、放送事業者の放送設備を構成する送信装置である。
通信装置20は、所定のアプリケーションを受信装置30に送信する。このアプリケーションは、所定の記述言語(例えば、HTML5)で記述され、放送番組の一部を構成する音声データ、映像データ及びテキストデータのいずれかもしくは組み合わせが含まれることがある。このアプリケーションには、通知情報が含まれることや、その通知情報を表示部35に表示させるための命令が記述されることがある。また、通信装置20は、ダイアログ音声のダイアログ専用チャンネルの選択状態を含むチャンネル状態を示すチャンネル状態情報を受信装置30から取得する。そして、通信装置20は、チャンネル状態情報に基づいてダイアログ専用チャンネルの音声の種類や音量を示す制御データを定める。通信装置20は、定めた制御データを受信装置30に送信する。通信装置20は、例えば、放送事業者又はコンテンツ提供者のサーバ装置である。
受信装置30は、送信装置10から放送伝送路40を介して多重化データを受信し、受信した多重化データに含まれる番組データで表される放送番組のコンテンツを提示可能な電子機器である。また、受信装置30は、通信装置20から通信伝送路50を介して受信したアプリケーションが示す命令に応じた処理を行うことで、その放送番組の一部のコンテンツを提示する。受信装置30は、放送番組の音声のうち、所定のチャンネルで再生させるダイアログ音声のダイアログ専用チャンネルの選択状態を含むチャンネル状態を取得し、ダイアログ専用チャンネルの音量と、その他のチャンネルの音量をそれぞれ制御する。受信装置30は、チャンネル状態に応じたダイアログ専用チャンネルの音量の制御データを通信装置20に要求し、通信装置20から受信した制御データに基づいてダイアログ専用チャンネルの音量を設定する。受信装置30は、例えば、テレビジョン受像機、その他テレビジョン放送の受信機能を備える電子機器である。
受信装置30は、送信装置10又は通信装置20から受信した音声データが示す多チャンネル音声がダイアログ音声を含んだ音声データであることを検出する。受信装置30は、複数のチャンネルのうちダイアログ音声を再生するダイアログ専用チャンネルの音量と、その他のチャンネルの音量をそれぞれ制御する。受信装置30は、検出したダイアログ音声に関する通知データ(後述)を通知部(後述)に出力する。通知データが示す通知に接したユーザは、ダイアログ音声の存在に気付くことができる。また、通知データにダイアログ専用チャンネルの音量の調整に関する案内情報を含めることで、ダイアログ音声についてその他のチャンネルと独立に音量が調整可能であることや、その調整方法がユーザに通知される。また、通知データにダイアログ音声に関する解説情報を含めることで、例えば、放送事業者や番組制作者がダイアログ音声を提供した意図や、ダイアログ音声の概要や意義についてユーザに知得させることができる。
放送伝送路40は、各種のデータを同時に複数の受信装置30に対して一方的に伝送することが可能な伝送路である。放送伝送路40は、放送衛星41を含んで構成される。放送衛星41は、送信装置10が送信した放送波を中継し、中継した放送波を受信装置30に送信する中継装置(図示せず)を搭載する。放送伝送路40は、その一部に通信回線、例えば、送信装置10から送信アンテナまでの間を有線又は無線で接続する通信ネットワークを含んでもよい。なお、放送伝送路40を介して各種のデータを伝送(送信、受信)することを「放送で伝送(送信、受信)する」呼ぶ。
通信伝送路50は、通信装置20と受信装置30との間で各種のデータを双方向的に伝送する伝送路である。通信伝送路50は、例えば、インターネット、公衆無線通信網、等の広域通信網を含む。通信伝送路50には、一部に構内通信網(LAN:Local Area Network)や専用のアクセス網が含まれてもよい。なお、通信伝送路50を介して各種のデータを伝送(又は、送信、受信)することを、「通信で伝送(又は、送信、受信)する」と呼ぶことがある。
(ダイアログ音声)
次に、ダイアログ音声について説明する。図2は、ダイアログ音声を説明するための図である。ダイアログ音声とは、複数のチャンネルのうち所定のチャンネルを用いて再生される音声である。ダイアログ音声は、通例2ch(channel)よりも多くのチャンネルを有するサラウンド音声の一部として用いられる。ダイアログとは、本来、ドラマ、映画などの演芸のせりふを意味する語であるが、本実施形態では、ダイアログ音声には、せりふに限らず、主に人間が発話した音声もしくは合成された音声であって、放送番組の内容、要点、意味、背景などの内容を表す音声も含まれる。ダイアログ音声として、例えば、スポーツ放送、演芸番組、ニュース番組などの番組の解説音声、楽曲における特定の歌声が含まれる。また、ダイアログ音声は、外国語で発話された外国語音声やそれらを含む多言語音声として提供されることがある。また、ダイアログ音声は、視覚障害や聴覚障害などの知覚障害を補完するために用いられることがある。視覚障害用の音声として、例えば、映像が表現する情報を表す解説音声が用いられる。聴覚障害用の音声として、例えば、通常の音声よりも発話速度が遅い音声や、通常の音声よりも音量が大きい音声が用いられる。
図2は、受信装置30が多チャンネル音声の再生方式としてサラウンド5.1chを用いる場合を例にする。サラウンド5.1chは、所定の受聴位置Osを基準として前方正面(C:Center)、前方左(L:Left)、前方右(R:Right)、後方左(LS:Left Surround)、後方右(RS:Right Surround)に設置された5個のスピーカと、所定の周波数よりも低い周波数帯域の音声である低域効果音(LFE)専用のスピーカを用いる再生方式である。前方正面(C)、前方左(L)、前方右(R)、後方左(LS)、後方右(RS)、低域効果音(LFE)の各チャンネル又はスピーカは、それぞれFC(Front Center)、FL(Front Left)、FR(Front Right)、SL(Surround Left)、SR(Surround Right)、SW(Sub−woofer)と呼ばれることがある。
ダイアログ音声を再生するチャンネルであるダイアログ専用チャンネルとして、通例、前方正面(C)、前方左(L)、前方右(R)のいずれかのチャンネル又はそれらの組が用いられることが多く、低域効果音(LFE)のチャンネルは用いられない。これは、ユーザに対してダイアログ音声を前方正面に知覚させることで、ダイアログ音声で表されるせりふ、解説音声などの内容を明瞭に把握させるためである。従って、所定の内容を有する音声をダイアログ音声として用いることで、その内容をユーザに容易に把握させることができる。ダイアログ音声は、例えば、ユーザの言語、嗜好等の諸要件に応じてその内容に注目させること、ユーザの聴力を補完すること、残響・騒音などの視聴環境の影響を低減すること、を目的として用いられることがある。上述では、チャンネルとは、主に音声データの入出力、再生の単位を意味する。以下では、音声チャンネルと呼ぶことにより、放送局や放送ネットワーク毎に割り当てられた伝送路(周波数)である放送チャンネルと区別することがある。
(ダイアログ音声の音量調整)
次に、ダイアログ音声の音量調整について説明する。
図3は、ダイアログ音声の音量調整を説明するための図である。
受信装置30は、複数のチャンネルのうちダイアログ音声を再生するダイアログ専用チャンネルの音量と、その他のチャンネルの音量を個々に制御する。図3に示す例では、ダイアログ専用チャンネルの音量は、その他のチャンネルの音量(主音量)との差分である相対レベルによって指定される。縦軸、横軸は、それぞれ音量のレベル、相対レベルを示す。図3は、左から右に順に相対レベルが+10dB、+7dB、0dB、−3dBである場合におけるダイアログ専用チャンネル、その他のチャンネルの音量レベルをそれぞれ示す。ダイアログ専用チャンネルの音量レベル、その他のチャンネルの音量レベルは、それぞれ塗りつぶし、白抜きの棒グラフで表される。
図3に示す例では、全チャンネル共通の音量レベルの基準値は0dBであり、相対レベルに関わらず音量レベルが基準値を超えないように制御される。0dBより高い相対レベルではダイアログ専用チャンネルの音量レベルが基準値に固定され、相対レベルが高いほどその他のチャンネルの音量が低くなる。0dB未満の相対レベルではその他のチャンネルの音量が基準値に固定され、相対レベルが低いほどダイアログ専用チャンネルの音量が低い。例えば、相対レベルが+10dBである場合、ダイアログ専用チャンネル、その他のチャンネルそれぞれの音量レベルは、それぞれ0dB、−10dBである。相対レベルが−3dBである場合、ダイアログ専用チャンネル、その他のチャンネルそれぞれの音量レベルは、それぞれ−3dB、0dBである。以下、ダイアログ専用チャンネルの音声の音量レベルをダイアログ音量と呼び、その他のチャンネルの音量レベルを他チャンネル音量と呼び、全チャンネル共通の音量レベルをチャンネル共通音量と呼ぶ。
再生モード、つまり、1つのアセットを構成する音声チャンネルの数は、制御データで指定される。例えば、制御データが、MMT−SI(MMT−System Information)で表される場合、MPT(MMT Package Table)のアセット毎の記述子領域で指定される。記述子領域において、再生モードは、種類が音声であるアセットについてMH−音声コンポーネント記述子のコンポーネント種別(component−type)において最下位の5ビットで表される。例えば、サラウンド5.1ch(3/2.1モード)、サラウンド7.1ch(5/2.1モード)、サラウンド22.2ch(3/3/3・5/2/3・3/0/0.2モード)、通常のステレオ2ch(2/0モード)は、それぞれ「01001」、「01100」、「10001」、「00011」と表される。
音声データには、ダイアログ音声のチャンネルやデフォルトの相対レベルを示すダイアログ制御情報が付加されることがある。ダイアログ制御情報の有無は、MH−音声コンポーネント記述子のコンポーネント種別において最上位の1ビットで表される。例えば、「1」、「0」は、それぞれ音声ストリーム(音声データ)がダイアログ制御情報を含むこと、含まないことを示す。音声データがLATM/LOAS(Low−overhead MPEG−4 Audio Transport Multiplex/Low Overhead Audio Stream)ストリーム形式は、LOAS、LATMヘッダ、SCE1(Single Channel Element 1)、CPE1(Channel Pair Element 1)、CPE2、LFE、PCE(Program Configuration Element)、DSE(Data Stream Element)、TERM(Terminator)の各領域を有する。ダイアログ制御情報は、DSEに記述される。また、SCE1、CPE1、CPE2及びLFEと各チャンネルの対応関係とダイアログ制御情報の有無を示すエレメント構成情報が、PCEに格納されることがある。
(送信装置の構成)
次に、本実施形態に係る送信装置10の構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る送信装置10の構成を示すブロック図である。送信装置10は、番組データ取得部11と、制御データ取得部12と、多重化部13と、変調部14と、送信部15と、を含んで構成される。
番組データ取得部11は、放送番組を構成する映像を示す映像データと音声を示す音声データを取得する。番組データ取得部11は、所定の映像符号化方式で符号化された映像データを取得する。所定の映像符号化方式は、例えば、ISO/IEC 23008 HEVC(International Organization for Standardization/International Electronical Commision 23008 Part2 High Efficiency Video Coding、単にHEVCとも呼ばれる)で規格化された方式である。
また、番組データ取得部11は、所定の音声符号化方式で符号化された音声データを取得する。所定の音声符号化方式は、例えば、ISO/IEC 14496 Part3(MPEG−4オーディオとも呼ばれる)で規定された音声符号化方式である。番組データ取得部11は、1つの番組において同時に複数の再生モードの音声データを取得することがある。番組データ取得部11は、取得した映像データと音声データから所定の形式の番組データを生成し、生成した番組データを多重化部13に出力する。所定の形式の番組データは、例えば、ISO/IEC 23008 Part1 MMTで規定されたMMTP(MMT Protocol)パケットである。各MMTPパケットには、映像や音声の復号処理を行うことができる単位の映像データ又は音声データが含まれる。番組データ取得部11は、音声データに関しては、番組を構成する1又は複数の単位(アセットまたはコンポーネント)の音声データを取得する音声データ取得部として機能する。
制御データ取得部12には、放送番組や放送に伴って提供されるサービスを制御するための制御データを取得する。制御データとして、メディアトランスポート方式の1つであるMMTに関するMMT−SIが含まれる。MMT−SIは、構成情報として放送番組を構成するアセットを示すMPTと、制御情報として当該放送番組に関するMH−AIT(MH−Application Information Table:アプリケーション情報テーブル)とを含む。MH−AITは、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションと呼ぶ)に関する制御情報と実行に要する付加情報を示すデータである。より具体的には、MH−AITには、アプリケーションやその他の制御データの取得先情報として通信装置20のURL(Uniform Resource Locator)や、アプリケーションの起動、停止、等の実行を制御するための情報が含まれる。制御データ取得部12は、取得した制御データを多重化部13に出力する。
多重化部13は、番組データ取得部11から入力された番組データと制御データ取得部12から入力された制御データを細分化したMMTPパケットからなるMMTPパケット列を多重化データとして変調部14に出力する。
変調部14は、多重化部13から入力された多重化データを所定の変調方式(例えば、QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)を用いて変調し、ベースバンド信号を生成する。変調部14は、生成したベースバンド信号を送信部15に出力する。
送信部15は、変調部14から入力されたベースバンド信号で所定の搬送周波数を有する搬送波を変調して、搬送周波数に対応した放送チャンネル帯域の放送信号を生成する。送信部15は、生成した放送信号を、アンテナ(図示せず)を介して電波(放送波)として放射する。
(通信装置の構成)
次に、本実施形態に係る通信装置20の構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る通信装置20の構成を示すブロック図である。通信装置20は、データ入力部21と、通信部22と、記憶部23と、制御部24と、を含んで構成される。制御部24は、通信装置20の機能を実現するための処理を行う。制御部24は、プログラム取得部241と、ダイアログ設定部242と、を含んで構成される。制御部24は、各種の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)などの制御デバイスを含んで構成される。制御部24は、予め記憶部23に記憶しておいた制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに記述される指令で指示される処理を実行してもよい。この実行により、プログラム取得部241及びダイアログ設定部242の機能が実現される。
データ入力部21は、通信装置20の外部から入力される各種のデータを制御部24に出力する。入力されるデータには、アプリケーション、相対レベルテーブル(後述)などがある。データの入力は、番組や番組を構成するセグメントの切替、その他、イベントの開始時、切替時などデータの差し替えを要する場合になされる。データ入力部21は、例えば、データ入出力インタフェースである。
通信部22は、通信伝送路50を介して接続された受信装置30との間で各種のデータを送受信する。通信部22は、例えば、通信インタフェースである。
記憶部23は、各種のデータを記憶する記憶媒体を含んで構成される。記憶部23に記憶されるデータには、制御部24における処理に要するデータ、制御部24が取得したデータが含まれる。かかるデータは、具体的には、上述のアプリケーションや相対レベルテーブル(後述)を含む。記憶部23には、番組の属性、例えば、ジャンルに応じて互いに異なる相対レベルが設定された相対レベルテーブルが記憶されてもよい。番組の属性を特定するための情報として、記憶部23には、MH−イベント情報テーブル(MH−EIT:MH−Event Information Table)がさらに記憶されてもよい。MH−EITは、選局情報と、番組の属性の情報とが対応付けて形成された情報テーブルである。なお、MH−EITは、送信装置10から送信されるMMT−SIに含まれる。記憶部23は、例えば、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard−disk Drive)を含んで構成される。
プログラム取得部241は、データ入力部21から入力されたアプリケーションを記憶部23に記憶する。プログラム取得部241は、受信装置30から通信部22を介して受信したアプリケーション要求信号で指定されるアプリケーションを記憶部23から読み出す。プログラム取得部241は、受信したアプリケーション要求信号に対する応答として読み出したアプリケーションを受信装置30に通信部22を介して送信する。
ダイアログ設定部242は、受信装置30から通信部22を介して音声制御データ要求信号を受信するとき、音声制御データ要求信号に含まれるチャンネル状態情報(後述)に基づいて音声制御データを定める。ダイアログ設定部242は、定めた音声制御データを受信装置30に通信部22を介して送信する。ダイアログ設定部242は、チャンネル状態取得部243と、音声制御データ設定部244と、を含んで構成される。
チャンネル状態取得部243は、受信装置30から通信部22を介して音声制御データ要求信号を受信する。音声制御データ要求信号には、チャンネル状態情報が含まれる。チャンネル状態情報は、機器ID(Identifier)、受信チャンネル情報、音声チャンネル情報及び選局情報を含んで構成される。機器IDは、個々の受信装置30を識別するための識別情報である。受信チャンネル情報は、受信装置30において放送波を受信する周波数に対応する放送チャンネルを示す。音声チャンネル情報は、受信装置30において選択された音声チャンネルがダイアログ専用チャンネルであるか否かを示す情報である。放送されている番組において複数のダイアログ専用チャンネルが設定されている場合には、音声チャンネル情報には、設定されたダイアログ専用チャンネルのいずれかを特定する情報が含まれてもよい。選局情報には、イベント識別(event_id)とサービス識別(service_id)が含まれる。イベント識別は、1つの情報サービスで提供される個々のイベント、即ち、番組を識別する識別情報である。サービス識別は、TLVストリーム、即ち上述した放送波で伝送される送信信号が示す個々の情報サービスを識別する識別情報である。従って、選局情報は、その時点において受信されている番組を示す。
音声制御データ設定部244は、音声チャンネル情報がダイアログ専用チャンネルを示すとき、記憶部23に予め記憶されたMH−EITを参照してチャンネル状態情報に含まれる選局情報が示す番組の属性を定める。音声制御データ設定部244は、定めた番組の属性に対応する相対レベルテーブルを判定し、判定した相対レベルテーブルを参照してチャンネル状態情報に含まれるダイアログ専用チャンネルに対応する相対レベルを定める。音声制御データ設定部244は、当該ダイアログ専用チャンネルについて定めた相対レベルを示す音声制御データを生成する。なお、属性によっては、相対レベルテーブルが設定されていない属性がある。そのような属性については、音声制御データ設定部244は、音声制御データとしてユーザ設定を示す音声制御データを生成する。音声制御データ設定部244は、生成した音声制御データを受信装置30に通信部22を介して送信する。
なお、番組、番組の一部であるコーナ(セグメントとも呼ばれる)などのイベントの切替により、通信装置20に提供され記憶部23に記憶される種々のデータが更新されることがある。更新されるデータには、少なくとも相対レベルテーブルが含まれる。その場合、音声制御データ設定部244は、更新された相対レベルテーブルを参照し、その時点までにチャンネル状態取得部243が取得した最新のチャンネル状態情報に含まれるダイアログ専用チャンネルに対応する相対レベルを定める。音声制御データ設定部244は、定めたダイアログ専用チャンネルに係る相対レベルを示す音声制御データを生成し、生成した音声制御データを受信装置30に通信部22を介して送信する。
(相対レベルテーブル)
次に、相対レベルテーブルの例について説明する。図6は、相対レベルテーブルの例を示す図である。相対レベルテーブルは、番組の属性毎に生成され、音声チャンネル毎の相対レベルを示すデータである。この例では、1ch、2ch、3chは、図2に示す前方正面(C)、前方左(L)、前方右(R)の各チャネルを示す。図6(a)は、番組の属性が通常(スタンダード)の音楽番組に係る相対レベルテーブルである。図6(a)に示す例では、1ch、2ch、3chの相対レベルは、それぞれ0.0dB、+1.0dB、−1.0dBである。従って、受信装置30は、通信装置20から受信した音声制御データが示す相対レベルを、その時点において選択されたダイアログ専用チャンネルの相対レベルとして定める。
図6(b)は、番組の属性がライブの音楽番組に係る相対レベルテーブルである。図6(b)に示す例では、1ch、2ch、3chの相対レベルは、それぞれ0.0dB、+1.5dB、−1.5dBである。図6(a)に示す例よりも、チャンネル間における相対レベルの差が大きい。その他の属性に係る音楽番組については、相対レベルテーブルは設定されていない。その場合には、受信装置30は、通信装置20からユーザ設定を示す音声制御データを受信し、その時点において設定されている相対レベルが用いられる。
(受信装置の構成)
次に、本実施形態に係る受信装置30の構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る受信装置30の構成を示すブロック図である。受信装置30は、放送受信部31と、通信部32と、拡声部33と、入力部34と、表示部35と、記憶部36と、制御部37と、を含んで構成される。制御部37は、受信装置30の機能を実現する処理を行う。
放送受信部31は、放送伝送路40を介して送信装置10からの多重化データを搬送する放送波を受信する。放送受信部31は、例えば、チューナである。放送受信部31は、放送伝送路40を介して受信した放送波による放送チャンネル帯域の放送信号を、選局される放送チャンネルに対応する搬送周波数でダウンコンバートして、ベースバンド信号を生成する。放送チャンネルは、入力部34から入力される操作信号で指示される。放送受信部31は、生成したベースバンド信号を制御部37に出力する。
通信部32は、通信伝送路50を介して接続された通信装置20との間で各種のデータを送受信する。通信部32は、例えば、通信インタフェースである。
拡声部33は、制御部37から入力される音声信号に基づく音声を再生する。拡声部33は、例えば、複数のスピーカを含んで構成される。個々のスピーカは、各チャンネルの音声を再生するために用いられる。拡声部33は、6個のスピーカを備えることで5.1chサラウンドの音声を再生することができる。
入力部34は、ユーザの操作入力に応じた操作信号を取得し、取得した操作信号を制御部37に出力する。他の機器から無線又は有線で伝送された操作信号が入力され、入力された操作信号を制御部37に出力する入出力インタフェース又は通信インタフェースを含んで構成されてもよい。他の機器は、例えば、専用の遠隔制御機器(リモートコントローラ)、汎用の携帯電話機(いわゆるスマートフォンを含む)などの電子機器である。入力部34は、スイッチ、ボタン、つまみなどの物理的な部材を含んで構成されてよいし、マウス、タッチセンサなどの汎用の部材を含んで構成されてもよい。
表示部35は、制御部37から取得した表示データ(映像信号)が示す映像を表示する。表示部35は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro−luminescence)ディスプレイなどのディスプレイである。
記憶部36は、RAM、ROMなどの記憶媒体を含んで構成される。記憶媒体として、その他に不揮発メモリ、HDDなどを含んでもよい。記憶部36は、各種のデータを記憶する記憶媒体を含んで構成される。記憶部36に記憶されるデータには、制御部37が行う処理に要するデータ、制御部37により取得されたデータが含まれる。
制御部37は、復調部371と、分離部372と、音声処理部373と、通知処理部374と、映像処理部375と、ダイアログ処理部376と、を含んで構成される。制御部37は、各種の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)などの制御デバイスを含んで構成される。制御部37は、予め記憶部36に記憶しておいた制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムに記述される指令で指示される処理を実行してもよい。この実行により、復調部371、分離部372、音声処理部373、通知処理部374、映像処理部375及びダイアログ処理部376の機能が実現される。例えば、通知処理部374、ダイアログ処理部376のチャンネル状態取得部3763、音声設定部3764の機能は、音声状態変更通知リスナAPI(Application Interface)、音声情報取得API、音声設定APIを介して利用可能である。
復調部371は、放送受信部31から入力されたベースバンド信号について所定の復調方式を用いて復調する。復調部371において用いられる復調方式は、送信装置10で用いられた変調方式に対応する復調方式である。復調部371は、復調により得られた多重化データを分離部372に出力する。
分離部372には、放送で伝送された多重化データが復調部371から入力される。分離部372は、放送で伝送された多重化データから制御データと番組データを抽出する。分離部372は、制御データに含まれる放送番組の構成情報としてMPTに基づいて番組データの要素である音声データと映像データに分離する。分離部372は、分離した音声データについてMPTで指定される再生モードについてチャンネル毎の音声データを音声処理部373とダイアログ処理部376に出力し、映像データを映像処理部375に出力する。分離部372は、制御データに含まれるMPTとMH−EITをダイアログ処理部376に出力する。また、分離部372は、制御データに含まれる制御情報としてMH−AITを抽出し、抽出したMH−AITをダイアログ処理部376に出力する。
音声処理部373は、拡声部33に再生させる音声を示す音声信号を取得する。音声処理部373は、音声復号部3731と、音量制御部3732と、を含んで構成される。
音声復号部3731は、分離部372から入力されたチャンネル毎の音声データについて、それぞれ所定の音声復号方式を用いて復号し、復号により得られた各チャンネルの音声信号を音量制御部3732に出力する。所定の音声復号方式は、音声データの生成に用いられた音声符号化方式に対応する音声復号方式である。
音量制御部3732は、音声復号部3731から入力された各チャンネルの音声信号に係る音量を制御する。入力部34から入力される操作信号に基づいてダイアログ専用チャンネルの音量(以下、ダイアログ音量)と他チャンネルの音量を個々に制御する。具体的には、音量制御部3732は、図3を参照して説明したように操作信号で指定される相対レベルと共通チャンネル音量に基づいてダイアログ音量と他チャンネル音量を定める。具体的には、定められた相対レベルが0dB以上である場合には、音量制御部3732は、ダイアログ音量を所定の基準値(例えば、0dB)と定め、他チャンネル音量を所定の基準値から相対レベルを減算して得られる値に定める。読み取った相対レベルが0dB未満である場合には、音量制御部3732は、ダイアログ音量を所定の基準値に相対レベルを加算した値に定め、他チャンネル音量を所定の基準値に定める。そして、音量制御部3732は、ダイアログ専用チャンネルの音声信号の信号値にダイアログ音量に対応する増幅率を乗算し、その他のチャンネル音声信号の信号値に他チャンネル音量に対応する増幅率を乗算する。音量制御部3732は、音量を制御した各チャンネルの音声信号を拡声部33に出力することにより、各チャンネルの音声を再生させる。
なお、複数のダイアログ専用チャンネルが検出される場合には、操作信号によりダイアログ音量の制御対象のダイアログ専用チャンネルが指定されることがある。その場合には、音量制御部3732は、指定されたダイアログ専用チャンネルについてダイアログ音量を定め、その他のダイアログ専用チャンネルのダイアログ音量として、他チャンネル音量に定める。
本実施形態では、ダイアログ処理部376のダイアログ検出部3762においてダイアログ音声があると判定され、かつ、ダイアログ専用チャンネルの相対レベルが、ダイアログ処理部376の音声設定部3764から入力される音声制御データで指示される場合がある。その場合には、音量制御部3732は、音声制御データで指示される相対レベルを、ダイアログ音量と他チャンネル音量を定める際に用いる。音声制御データでユーザ設定が指示される場合には、音量制御部3732は、入力部34から入力される操作信号で指示される相対レベルを、ダイアログ音量と他チャンネル音量を定めるために用いる。なお、入力される操作信号で相対レベルが指示されない場合には、音量制御部3732は、音声データの付加情報に含まれるダイアログ制御情報が示すデフォルトの相対レベルを、ダイアログ音量と他チャンネル音量を定める際に用いる。
なお、ダイアログ音声の有無に関わらず、音量制御部3732は、操作信号が示す共通チャンネル音量に基づいて全チャンネルの音量を一斉に制御する。ダイアログ音声がないと判定される場合には、音量制御部3732は、相対レベルに基づく音量の制御を行わない。
通知処理部374は、ダイアログ検出部3762においてダイアログ音声が検出されるとき、ダイアログ音声に関する通知情報を表示部35に表示させる。通知処理部374は、例えば、記憶部36に予め記憶しておいた通知画面データを読み取り、読み取った通知画面データを映像処理部375の表示合成部3752に出力することにより、通知画面データが示す通知画面を表示部35に表示させる。通知画面には、ダイアログ音声に関する通知情報として、例えば、放送番組におけるダイアログ音声の提供、ダイアログ音量の調節に係る操作方法の案内、ダイアログ音声に関する解説が含まれてもよい。また、ダイアログ検出部3762から番組の属性を示す属性情報が入力されるとき、通知処理部374は、属性情報に対応づけられた通知情報もしくは属性情報が付加された通知情報を表示部35に表示させてもよい。属性情報には、ダイアログ音声の属性として、例えば、ダイアログ音声の種類やダイアログ音声の言語が含まれてもよい。これらの属性情報は、分離部372からの音声データにダイアログ制御情報が付加されている場合、ダイアログ検出部3762において当該ダイアログ制御情報から抽出されてもよい。
映像処理部375は、表示部35に表示させる映像を示す表示データを取得する。映像処理部375は、映像復号部3751と、表示合成部3752と、を含んで構成される。
映像復号部3751は、分離部372から入力される映像データのストリームから映像データを抽出する。映像復号部3751は、抽出した映像データを所定の映像復号方式を用いて復号し、復号した映像データを生成する。映像復号方式は、映像データの生成に用いられた映像符号化方式に対応する映像復号方式である。復号した映像データは、各時刻における映像(フレーム画像)を形成する信号値を示すデータである。映像復号部3751は、復号した映像データを表示合成部3752に出力する。
表示合成部3752は、映像復号部3751から入力された映像データが示す映像と、通知処理部374から入力された通知画面データ又はその他の画面データが示す画面とを合成する。表示合成部3752は、合成により得られた合成映像を示す表示データを表示部35に出力する。
ダイアログ処理部376は、分離部372から入力された音声データについてダイアログ音声を検出し、検出したダイアログ音声を再生するための処理を行う。ダイアログ処理部376は、プログラム処理部3761、ダイアログ検出部3762、チャンネル状態取得部3763及び音声設定部3764を含んで構成される。
プログラム処理部3761は、分離部372からMH−AITを取得し、取得したMH−AITに基づいてアプリケーションを取得し、取得したアプリケーションに記述された命令で指示される処理を制御する。なお、以下の説明ではアプリケーションに記述された命令で指示される処理を行わせることを、「アプリケーションを実行する」と呼ぶ。
プログラム処理部3761は、MH−AITで指示されたアプリケーションを取得するためのアプリケーション要求信号を生成する。プログラム処理部3761は、取得先情報としてMH−AITが示すURLで表される通信装置20に生成したアプリケーション要求信号を、通信部32を介して送信する。プログラム処理部3761は、その応答として通信装置20から通信部32を介してアプリケーションを受信する。プログラム処理部3761は、MH−AITに基づいて受信したアプリケーションの実行を開始させ、その実行を停止させる。
プログラム処理部3761は、例えば、放送番組の一部を構成する番組データを当該アプリケーションから抽出する。また、プログラム処理部3761は、当該アプリケーションで指定された取得先から通信部32を介して番組データを取得することがある。プログラム処理部3761は、取得した番組データを分離部372に出力する。分離部372は、プログラム処理部3761から入力された番組データから音声データと映像データを分離し、分離した音声データを音声処理部373に出力し、分離した映像データを映像処理部375に出力する。よって、当該アプリケーションにより指定されたコンテンツが提示される。音声データには、1または複数チャンネルのダイアログ音声の音声データが含まれることがある。
ダイアログ検出部3762は、分離部372から入力されたMPTに基づいてダイアログ音声の有無を検出する。例えば、MPTが示す音声データについてMH−音声コンポーネント記述子のコンポーネント種別において最上位の1ビットが「1」であるとき、ダイアログ検出部3762は、ダイアログ制御情報があると判定する。このとき、ダイアログ検出部3762は、当該音声データにダイアログ音声に係る音声データが含まれていると判定する。MH−音声コンポーネント記述子のコンポーネント種別において最上位の1ビットが「1」であるとき、ダイアログ検出部3762は、ダイアログ制御情報があると判定する。このとき、ダイアログ検出部3762は、分離部372から入力される音声データにダイアログ音声に係る音声データが含まれていると判定する。ダイアログ検出部3762は、音声データに付加されたダイアログ制御情報を音量制御部3732及び通知処理部374に出力する。
チャンネル状態取得部3763は、その時点におけるチャンネル状態情報を取得する。具体的には、チャンネル状態取得部3763は、記憶部36から自装置の予め記憶された機器IDを読み出す。チャンネル状態取得部3763には、入力部34から放送チャンネルを示す操作信号が入力される。チャンネル状態取得部3763には、入力部34からダイアログ専用チャンネルを示す操作信号が入力される。一度に複数のダイアログ専用チャンネルが提供される場合には、いずれかのダイアログ専用チャンネルを示す操作信号が入力されることがある。チャンネル状態取得部3763は、その時点で受信している番組を識別する選局情報を入力部34から入力されるMH−EITから抽出する。チャンネル状態取得部3763は、機器ID、放送波を受信する放送チャンネルを示す放送チャンネル情報、選択されるダイアログ専用チャンネルを示す音声チャンネル情報及び選局情報を含むチャンネル状態情報を生成する。チャンネル状態取得部3763は、生成したチャンネル状態情報を音声設定部3764に出力する。
音声設定部3764は、チャンネル状態取得部3763から入力されたチャンネル状態情報を含む音声制御データ要求信号を通信装置20に通信部32を介して送信する。音声設定部3764が音声制御データ要求信号を送信するタイミングは、例えば、電源投入による起動直後、アプリケーションの受信直後など初期のタイミングである。その他、音声設定部3764が音声制御データ要求信号を送信するタイミングは、チャンネル状態情報の一部又は全部の構成要素、例えば、音声チャンネル情報、時間経過もしくはチャンネルの切替によるダイアログ音声を含む番組に切替えられる時点である。
音声設定部3764は、通信装置20から通信部32を介して音声制御データを受信する。音声設定部3764は、受信した音声制御データを音量制御部3732に設定する。音量制御部3732は、設定された音声制御データで指示される相対レベルをダイアログ音量と他チャンネル音量を定めるために用いる。音声設定部3764が音声制御データを受信するタイミングは、音声制御データ要求信号の送信直後と、イベントの切替直後である。
(通知画面)
次に、通知画面の例について説明する。
図8は、通知画面の例を示す図である。図8に示す例では、通知画面は、表示部35の表示領域の左下端から所定範囲内の領域に表示される。この領域に表示されることにより、ユーザによる映像の視認が妨げられない。通知画面に含まれるメッセージMg2として「ダイアログ対応放送です。」とのメッセージと、「黄」の文字で囲まれる円と、その円に隣接した「詳細」とのメッセージを含む。「ダイアログ対応放送です。」とのメッセージは、放送番組においてダイアログ音声が提供されることを示すメッセージである。従って、その円に隣接した「詳細」とのメッセージは、リモートコントローラRc(図9)が備える黄ボタンYbtの押下により、提供されるダイアログ音声に関するより詳細な情報が表示されることを表す。ユーザの操作により黄ボタンYbtが押下されるとき、リモートコントローラRcは、詳細情報の表示を示す操作信号を受信装置30の入力部34に送信する。通知処理部374は、入力部34からの操作信号の入力に応じて、当該ダイアログ音声に関する詳細情報を表示合成部3752に出力することにより、表示部35に表示させる。
詳細情報は、記憶部36に予め記憶された情報、ダイアログ検出部3762がダイアログ制御情報から抽出した情報のいずれでもよい。予め記憶された情報は、例えば、受信装置30の取り扱い方法を示す取扱説明書データ(電子マニュアル)である。これにより、ユーザは取扱説明書データに誘導されるので、受信装置30の取り扱いについてより詳細な情報に容易に接することができる。ダイアログ制御情報から抽出した情報は、例えば、ダイアログ音声に関する解説を示すダイアログ解説情報である。これにより、番組制作者や放送事業者が制作した、より詳細なダイアログ音声に関する解説が伝達される。ダイアログ解説情報として、放送番組の構成やダイアログ音声の位置づけに応じた説明が含まれてもよい。例えば、スポーツ番組において、複数の解説者による解説音声がそれぞれダイアログ音声として含まれる場合、それぞれの解説者の略歴、主たる解説対象の選手、チームの解説やそれぞれの選手、チームの立場に立った競技の概要や、それらのダイアログ音声の切り替え方法などの説明が含まれてもよい。
なお、リモートコントローラRcは、ダイアログ音量を調整するためのダイアログボタンDbtを備える。ダイアログボタンDbtは、共通チャンネル音量を調整するための音量ボタンVbtとは別個に設けられる。図9に示す例では、ダイアログボタンDbt、音量ボタンVbtの近傍には、それぞれ「ダイアログ」、「VOL」の文字が付されている。ユーザの操作によりダイアログボタンDbtが押下されるとき、リモートコントローラRcは、相対レベルを示す操作信号を受信装置30の入力部34に無線(例えば、赤外線)で送信する。音量制御部3732、上述したように、入力部34からの操作信号が示す相対レベルに基づいてダイアログ音量を制御する。なお、本実施形態では「押下」とは、物理的なボタンが現実に押下されることの他、画面上に表示されたボタン又はその表示領域が操作信号により指示されることも意味する。
リモートコントローラRcが備える音声切替ボタンAswは、押下により再生対象の音声(再生対象音声)の切り替えを指示するためのボタンである。音声切替ボタンAswが機能するのは、再生対象音声が複数存在する場合である。本実施形態では、例えば、ダイアログ音声の音声データと通常の放送音声の音声データとが並列に伝送される場合、複数のダイアログ音声の音声データが並列に伝送される場合、などがある。音声処理部373は、音声切替ボタンAswが押下される都度、複数の伝送音声のいずれか又はそれらの組み合わせを重ね合わせた音声を再生対象音声として巡回的に選択する。
次に、本実施形態に係る情報処理について説明する。
図10は、本実施形態に係る情報処理を示すシーケンス図である。
(ステップS101)通信装置20のプログラム取得部241は、受信装置30から受信したアプリケーション要求信号で指定されるアプリケーションを記憶部23から読み出し、読み出したアプリケーションを受信装置30に送信する。その後、ステップS102に進む。
(ステップS102)受信装置30のプログラム処理部3761は、分離部372から入力されたMH−AITに基づいて、通信装置20から受信したアプリケーションの実行を開始(起動)する。その後、ステップS103の処理に進む。
(ステップS103)受信装置30のチャンネル状態取得部3763は、自装置の機器ID、放送チャンネル情報、音声チャンネル情報及び選局情報(EventID、ServiceID)を取得し、これらの情報を含むチャンネル状態情報を構成する。音声設定部3764は、チャンネル状態情報を付加した音声制御データ要求信号を通信装置20に送信する。その後、ステップS104の処理に進む。なお、ステップS103の処理は、例えば、getコマンドで指定される。
(ステップS104)通信装置20のチャンネル状態取得部243は、受信装置30から受信した音声制御データ要求信号からチャンネル状態情報を抽出する。音声制御データ設定部244は、チャンネル状態情報に含まれる音声チャンネル情報がダイアログ専用チャンネルを示すとき、MH−EITを参照して選局情報が示す番組の属性を定める。音声制御データ設定部244は、定めた番組の属性に対応する相対レベルテーブルを参照してダイアログ専用チャンネルに対応する相対レベルを定める。音声制御データ設定部244は、当該ダイアログ専用チャンネルについて定めた相対レベルを示す音声制御データを生成し、生成した音声制御データを受信装置30に送信する。その後、ステップS105の処理に進む。ステップS105の処理は、例えば、setコマンドで指定される。
(ステップS105)受信装置30の音声設定部3764は、通信装置20から受信した音声制御データを音量制御部3732に設定する。音量制御部3732は、設定された音声制御データで指定される相対レベルと、その時点までに定められた共通チャンネル音量に基づいてダイアログ音量と他チャンネル音量を定める。その後、ステップS113の処理に進む。
(ステップS113)受信装置30のチャンネル状態取得部3763は、取得したチャンネル状態情報の一部又は全部が変更されたとき、変更されたチャンネル状態情報を含むチャンネル状態情報を構成する。音声設定部3764は、構成したチャンネル状態情報を付加した音声制御データ要求信号を通信装置20に送信する。その後、ステップS104の処理とステップS105の処理が行われる。よって、受信装置30の音声設定部3764は、変更されたチャンネル状態情報に応じた相対レベルを示す音声制御データを音量制御部3732に設定する。その後、ステップS123の処理に進む。
(ステップS123)通信装置20の記憶部23において、イベントの切替により、少なくとも相対レベルテーブルを含むデータが更新される。その後、ステップS124の処理に進む。
(ステップS124)通信装置20の音声制御データ設定部244は、更新された相対レベルテーブルを参照し、その時点までにチャンネル状態取得部243が取得した最新のチャンネル状態情報に含まれるダイアログ専用チャンネルに対応する相対レベルを定める。音声制御データ設定部244は、定めたダイアログ専用チャンネルに係る相対レベルを示す音声制御データを受信装置30に送信する。その後、ステップS105の処理に進む。
以降、ステップS113、S104及びS105の処理と、ステップS123、S124及びS105の処理が繰り返される。ステップS113、S104及びS105の処理と、ステップS123、S124及びS105の処理は、一般に必ずしも順次に行われない。例えば、ステップS123、S124及びS105の処理が、ステップS113、S104及びS105の処理よりも先行することがある。また、ステップS113、S104及びS105の処理が複数回繰り返された後で、ステップS123、S124及びS105の処理が行われることも、ステップS123、S124及びS105の処理が複数回繰り返された後でステップS113、S104及びS105の処理が行われることもある。
また、ステップS113において生成、送信されるチャンネル状態情報は、その直前に取得されるチャンネル状態情報からの差分と機器IDが含まれていれば、その他の要素が省略されてもよい。
以上に説明したように、本実施形態に係る受信装置30は、放送番組において提供される複数のチャンネルの音声のうち、ダイアログ音声を提供するダイアログ専用チャンネルの選択状態を示すチャンネル状態情報を取得するチャンネル状態取得部3763を備える。また、受信装置30は、ダイアログ専用チャンネルの音量と、複数のチャンネルの他のチャンネルの音量をそれぞれ制御する音声処理部373を備える。また、受信装置30は、チャンネル状態情報が示すダイアログ専用チャンネルの音量の制御データを通信装置20に要求し、通信装置20から受信した音声制御データに基づいてダイアログ専用チャンネルの音量を定める音声設定部3764を備える。
この構成により、放送番組の受信中に選択されたダイアログ専用チャンネルに応じた音量が通信装置20から指定される。そのため、ユーザがダイアログ音声の音量を調整する必要がなくなる。また、ダイアログ音声の音量として、放送事業者又は番組制作者の意図に沿った音量が設定される。よって、ダイアログ音声がより有用に提供される。
また、チャンネル状態情報は、受信している放送番組を示す選局情報を示す。この構成により、視聴されている放送番組に応じたダイアログ音声の音量が設定される。
また、音声設定部3764は、チャンネル状態情報が変更されるとき、音声制御データを要求する。この構成により、チャンネル状態の変化に適応したダイアログ音声の音量が設定される。
また、音声設定部3764は、更新されたダイアログ音声の制御データを通信装置20から受信し、当該制御データに基づいてダイアログ専用チャンネルの音量を設定する。この構成により、チャンネル状態の変化の有無に関わらず、放送事業者又は番組制作者の意図に沿って更新されたダイアログ音声の音量が設定される。
また、受信装置30は、受信している放送番組において前記ダイアログ音声が検出されるとき、前記ダイアログ音声の提供を通知部に通知させる通知処理部374を備える。この構成により、ユーザは受信している放送番組においてダイアログ音声が提供されることを容易に認識することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を援用する。
図11は、本実施形態に係る放送システム1aの概略ブロック図である。
放送システム1aは、通信装置20aと、受信装置30aとを含んで構成されるIPTV(Internet Protocol Television)システムである。放送システム1aでは、一般に通信装置20a及び受信装置30aが、それぞれ複数個存在しうるが、通信装置20aの個数及び受信装置30aの個数が、それぞれ1個である場合を例にする。
通信伝送路50aは、通信装置20aと受信装置30aとの間で各種のデータを双方向的に伝送し、これに並行して通信装置20aから受信装置30aへの放送信号を一方的に伝送する伝送路である。通信伝送路50aは、データの伝送において所定の通信プロトコル(例えば、TCP/IP:Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を用いるインターネットを含んで構成される。
通信装置20aは、通信装置20(図5)のデータ入力部21、通信部22、記憶部23及び制御部24と、送信装置10(図4)の番組データ取得部11、制御データ取得部12、多重化部13及び変調部14と、を含んで構成される。通信部22は、変調部14から入力される放送信号を受信装置30に通信伝送路50aを介して送信する。
受信装置30aは、通信部32、拡声部33、入力部34、表示部35、記憶部36及び制御部37を含んで構成される。即ち、受信装置30aでは、受信装置30のうち放送受信部31に相当する構成が省略される。通信部32は、通信装置20aから通信伝送路50aを介して放送信号を受信し、受信した放送信号を復調部371に出力する。
この構成により、放送波を用いず通信網を介して放送番組が提供される場合であっても、放送番組の受信中に選択されたダイアログ専用チャンネルに応じた音量が通信装置20から指定される。また、ダイアログ音声の音量として、放送事業者又は番組制作者の意図に沿った音量が設定される。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的構成を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
上述した実施形態では、主に音声モードが5.1chサラウンドである場合を例にしたが、その他の多チャンネル音声に係る音声モードが用いられてもよい。音声モードは、例えば、7.1chサラウンド、22.2chサラウンドであってもよい。また、上述した実施形態は、5.1ch、7.1ch、22.2chなどの多チャンネルのサラウンド音声をより少ないチャンネルの音声モード(例えば、2.0chステレオ、2.1chステレオ)にダウンミックスする手段を備えた再生システムとして実現されてもよい。このような再生システムについても、ユーザに独立に音量を調整することが可能なダイアログ音声の存在を認知させ、その利用を促すことができる。
また、受信装置30、30aとの間で各種のデータが送受信可能であれば拡声部33、入力部34、及び表示部35のいずれか又はそれらの組み合わせが受信装置30、30aの本体から省略され、別体として構成されてもよい。
上述した実施形態では、多重化・伝送方式としてMMT・TLVによるメディアトランスポート方式が用いられる場合を例にしたが、その他の多重化・伝送方式が用いられてもよい。例えば、MPEG−2システムで規定された方式が用いられてもよい。
また、上述した実施形態における通信装置20、20a、受信装置30、30aの一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、認識データ伝送装置に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
なお、本発明は次の態様でも実施することができる。
(1)放送番組において提供される複数のチャンネルの音声のうち、ダイアログ音声を提供するダイアログ専用チャンネルの選択状態を示すチャンネル状態情報を取得するチャンネル状態取得部と、前記ダイアログ専用チャンネルの音量と、前記複数のチャンネルの他のチャンネルの音量をそれぞれ制御する音声処理部と、前記チャンネル状態情報が示す前記ダイアログ専用チャンネルの音量の制御データを通信装置に要求し、前記通信装置から受信した制御データに基づいて前記ダイアログ専用チャンネルの音量を定める音声設定部と、を備える受信装置。
(2)前記チャンネル状態情報は、受信している放送番組を示す選局情報を含む(1)の受信装置。
(3)前記音声設定部は、前記チャンネル状態情報が変更されるとき、前記制御データを前記通信装置に要求する(1)または(2)の受信装置。
(4)前記音声設定部は、更新された前記ダイアログ音声の制御データを前記通信装置から受信し、当該制御データに基づいて前記ダイアログ専用チャンネルの音量を設定する(1)から(3)のいずれかの受信装置。
(5)受信している放送番組において前記ダイアログ音声が検出されるとき、前記ダイアログ音声の提供を通知部に通知させる通知処理部を、さらに備える(1)から(4)のいずれかの受信装置。
(6)通信装置と受信装置とを備える放送システムであって、前記通信装置は、放送番組において提供される複数のチャンネルの音声のうち、ダイアログ音声を提供するダイアログ専用チャンネルの選択状態を示すチャンネル状態情報を前記受信装置から受信し、前記チャンネル状態情報に基づいて定めた前記ダイアログ専用チャンネルの音量の制御データを前記受信装置に送信し、前記受信装置は、前記チャンネル状態情報を取得するチャンネル状態取得部と、前記ダイアログ専用チャンネルの音量と、前記複数のチャンネルの他のチャンネルの音量をそれぞれ制御する音声処理部と、前記チャンネル状態情報が示す前記ダイアログ専用チャンネルの音量の制御データを前記通信装置に要求し、前記通信装置から受信した制御データに基づいて前記ダイアログ専用チャンネルの音量を定める音声設定部とを備える放送システム。
(7)受信装置における受信方法において、放送番組において提供される複数のチャンネルの音声のうち、ダイアログ音声を提供するダイアログ専用チャンネルの選択状態を示すチャンネル状態情報を取得するチャンネル状態取得ステップと、前記ダイアログ専用チャンネルの音量と、前記複数のチャンネルの他のチャンネルの音量をそれぞれ制御する音声処理ステップと、前記チャンネル状態情報が示す前記ダイアログ専用チャンネルの音量の制御データを通信装置に要求し、前記通信装置から受信した制御データに基づいて前記ダイアログ専用チャンネルの音量を定める音声設定ステップと、を有する受信方法。
(8)受信装置のコンピュータに、放送番組において提供される複数のチャンネルの音声のうち、ダイアログ音声を提供するダイアログ専用チャンネルの選択状態を示すチャンネル状態情報を取得するチャンネル状態取得ステップと、前記ダイアログ専用チャンネルの音量と、前記複数のチャンネルの他のチャンネルの音量をそれぞれ制御する音声処理ステップと、前記チャンネル状態情報が示す前記ダイアログ専用チャンネルの音量の制御データを通信装置に要求し、前記通信装置から受信した制御データに基づいて前記ダイアログ専用チャンネルの音量を定める音声設定ステップと、を実行させるためのプログラム。