JP6508716B2 - 膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー及びその使用 - Google Patents

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Description

本発明は、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー及びその使用に関する。より具体的には、ポリペプチドの使用方法、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定薬、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用核酸プローブ、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用プライマー、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤及び膀胱癌治療用キットに関する。
膀胱癌の治療には、抗癌剤であるシスプラチンが使用される。しかしながら、膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有する場合、あるいは、治療の進行に伴って膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を獲得してしまう場合がある(例えば、非特許文献1、2を参照。)。このような場合に、患者にシスプラチンを投与しても治療効果が得られにくく、患者にとっても、医療経済上も不利益である。そこで、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性の指標となるマーカーの開発が望まれている。
Ikeda M., et al., Combination of gemcitabine and paclitaxel is a favorable option for patients with advanced or metastatic urothelial carcinoma previously treated with cisplatin-based chemotherapy, Japanese Journal of Clinical Oncology, 41(10), 1214-1220, 2011. Matsumoto K., et al., Gemcitabine plus nedaplatin as salvage therapy is a favorable option for patients with progressive metastatic urothelial carcinoma after two lines of chemotherapy, Asian Pacfic Journal of Cancer Prevention, 16(6), 2483-2487, 2015.
本発明は、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカーを提供することを目的とする。本発明はまた、ポリペプチドの使用方法、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定薬、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用核酸プローブ、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用プライマー、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤及び膀胱癌治療用キットを提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
(1)膀胱癌細胞のシスプラチン耐性の判定において、下記(a)又は(b)のポリペプチドをシスプラチン耐性マーカーとして使用することを特徴とする、該ポリペプチドの使用方法:
(a)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ(a)と同等の抗体産生能を有するか又は(a)に対する特異的抗体と反応しうるポリペプチド。
(2)シスプラチン耐性マーカーとしての使用が、被検者から得た膀胱癌細胞中に前記ポリペプチドを検出することである、(1)に記載の方法。
(3)前記ポリペプチドの検出が、前記ポリペプチドに対する特異的結合物質を用いた検出である、(2)に記載の方法。
(4)シスプラチン耐性マーカーとしての使用が、膀胱癌細胞中に、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド又はその部分配列を有するヌクレオチド断片を検出することである、(1)に記載の方法。
(5)前記検出が、配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列に基づいて作製したプローブ及び/又はプライマーにより行われる、(4)に記載の方法。
(6)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対する特異的結合物質を含有する、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定薬。
(7)下記(i)、(ii)又は(iii)を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用核酸プローブ:
(i)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、
(ii)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列を含むヌクレオチド断片、
(iii)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ポリヌクレオチド又はヌクレオチド断片。
(8)膀胱癌細胞に含まれるポリヌクレオチドと、(7)に記載の核酸プローブとを接触させることを含む、(4)に記載の方法。
(9)膀胱癌細胞に含まれるポリヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅することを含む、(4)に記載の方法。
(10)配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、及び配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、又は
配列番号7又は8に記載のヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、及び配列番号7又は8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用プライマー。
(11)(7)に記載の核酸プローブを含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット。
(12)(10)に記載のプライマーを含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット。
(13)下記(a)又は(b)のポリペプチドからなる膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー:
(a)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ(a)と同等の抗体産生能を有するか又は(a)に対する特異的抗体と反応しうるポリペプチド。
(14)配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列を有する核酸に対する阻害性核酸を有効成分とする、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤。
(15)配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列を有する核酸に対する阻害性核酸と、シスプラチンとを備える、膀胱癌治療用キット。
(16)下記(a)又は(b)のポリペプチドの発現ベクターを有効成分とする、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤:
(a)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性を有するポリペプチド。
(17)下記(a)又は(b)のポリペプチドの発現ベクターと、シスプラチンとを備える、膀胱癌治療用キット:
(a)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性を有するポリペプチド。
本発明によれば、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカーを提供することができる。また、ポリペプチドの使用方法、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定薬、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用核酸プローブ、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用プライマー、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤及び膀胱癌治療用キットを提供することができる。
(a)及び(b)は、実験例2の結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例3の結果を示す写真である。 (a)及び(b)は、実験例4の結果を示す写真である。
[ポリペプチドの使用方法]
1実施形態において、本発明は、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性の判定において、下記(a)又は(b)のポリペプチドをシスプラチン耐性マーカーとして使用することを特徴とする、該ポリペプチドの使用方法を提供する。
(a)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ(a)と同等の抗体産生能を有するか又は(a)に対する特異的抗体と反応しうるポリペプチド。
ここで、配列番号1はHeterogeneous nuclear ribonucleoprotein A3(HNRNPA3)のアミノ酸配列である。HNRNPA3にはN末端部分のアミノ酸配列が異なるアイソフォームが存在することが知られている。配列番号2はHNRNPA3のアイソフォームのアミノ酸配列である。配列番号3はPhosphoenolpyruvate carboxykinase(ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、PCK2)のアミノ酸配列である。PCK2にもアイソフォームが存在することが知られている。配列番号4はPCK2のアイソフォームのアミノ酸配列である。
後述する実施例において示すように、発明者らは、シスプラチン耐性を獲得した膀胱癌細胞ではHNRNPA3の発現が上昇することを見出した。また、シスプラチン耐性を獲得した膀胱癌細胞ではPCK2の発現が消失することを見出した。したがって、HNRNPA3及びPCK2は、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカーである。
本明細書において、1若しくは複数とは、例えば1〜30個、例えば1〜20個、例えば1〜10個、例えば1〜5個を意味する。
1実施形態において、上記のシスプラチン耐性マーカーとしての使用は、被検者から得た膀胱癌細胞中に上記のポリペプチドを検出することであってもよい。例えば、上記のポリペプチドに対する特異的結合物質を用いた検出が挙げられる。特異的結合物質としては、上記のポリペプチドに対する抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。
抗体は、例えば、上記のポリペプチドを抗原としてマウス等の動物を免疫することによって作製することができる。また、例えば、ファージライブラリ等の抗体ライブラリのスクリーニングにより作製することができる。抗体断片としては、F(ab’)、Fab’、Fab、Fv、scFv等が挙げられる。
アプタマーとは、対象物質に対する特異的結合能を有する物質である。アプタマーとしては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。上記のポリペプチドに特異的結合能を有する核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponential enrichment(SELEX)法等により選別することができる。また、上記のポリペプチドに特異的結合能を有するペプチドアプタマーは、例えば、酵母を用いたTwo−hybrid法等により選別することができる。
例えば、被検者から得た膀胱癌細胞を試料として、ELISA法、ウェスタンブロット法等により、上記のポリペプチドの発現量を測定し、被検者の膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有しているか否かを判断することができる。
より具体的には、対照の膀胱癌細胞と比較して、HNRNPA3の発現量が上昇していた場合には、被検者の膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有していると判断することができる。また、PCK2の発現が消失していた場合には、被検者の膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有していると判断することができる。
ここで、対照の膀胱癌細胞としては、シスプラチンに対する耐性を有していないことが明らかにされている膀胱癌細胞を用いることができる。例えば、膀胱癌細胞株であるT24等を用いることができる。
1実施形態において、上記のシスプラチン耐性マーカーとしての使用は、被検者から得た膀胱癌細胞中に、上記のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド又はその部分配列を有するヌクレオチド断片を検出することであってもよい。例えば、配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列に基づいて作製したプローブ及び/又はプライマーにより行う検出が挙げられる。
ここで、配列番号5及び6はHNRNPA3のヌクレオチド配列であり、配列番号7及び8はPCK2のヌクレオチド配列である。配列番号5のヌクレオチド配列は、上述した配列番号1のアミノ酸配列をコードするものであり、配列番号6のヌクレオチド配列は、上述した配列番号2のアミノ酸配列をコードするものである。また、配列番号7のヌクレオチド配列は、上述した配列番号3のアミノ酸配列をコードするものであり、配列番号8のヌクレオチド配列は、上述した配列番号4のアミノ酸配列をコードするものである。
上記のシスプラチン耐性マーカーとしての使用は、例えば、膀胱癌細胞に含まれるポリヌクレオチドと、上記の核酸プローブとを接触させることを含んでいてもよい。膀胱癌細胞に含まれるポリヌクレオチドとしてはmRNAが好ましい。
具体的には、被検者から得た膀胱癌細胞から抽出したRNAを試料として、上記のヌクレオチド配列に基づいて作製したプローブを用いたノーザンブロッティングにより、HNRNPA3又はPCK2の発現量を測定してもよい。RNAは全RNAであってもよく、mRNAであってもよく、以下同様である。
あるいは、上記のヌクレオチド配列に基づいて作製したプローブが固定された担体に上記のRNAをハイブリダイズさせることにより、HNRNPA3又はPCK2の発現量を測定してもよい。上記の担体としては、例えばマイクロアレイ、ビーズ等が挙げられる。
上記のシスプラチン耐性マーカーとしての使用は、例えば、膀胱癌細胞に含まれるポリヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅することを含んでいてもよい。
具体的には、例えば、被検者から得た膀胱癌細胞から抽出したRNAを試料として、上記のヌクレオチド配列に基づいて作製したプライマーを用いたRT−PCR(逆転写反応−ポリメラーゼ連鎖反応)を行い、HNRNPA3遺伝子又はPCK2遺伝子の増幅量に基づいてこれらの遺伝子の発現量を測定してもよい。
[シスプラチン耐性判定薬]
1実施形態において、本発明は、配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対する特異的結合物質を含有する、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定薬を提供する。上述したように、配列番号1及び2はHNRNPA3のアミノ酸配列であり、配列番号3及び4はPCK2のアミノ酸配列である。また、特異的結合物質については上述した通りである。
本実施形態のシスプラチン耐性判定薬によれば、膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有しているか否かを判定することができる。その結果、膀胱癌患者の治療方法を適切に選択することが可能になる。具体的には、例えば、膀胱癌患者の癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有している場合には、シスプラチン以外の治療薬を選択することができる。
[シスプラチン耐性判定用核酸プローブ及びキット]
1実施形態において、本発明は、下記(i)、(ii)又は(iii)を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用核酸プローブを提供する。
(i)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、
(ii)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列を含むヌクレオチド断片、
(iii)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ポリヌクレオチド又はヌクレオチド断片。
上述したように、配列番号5及び6はHNRNPA3のヌクレオチド配列であり、配列番号7及び8はPCK2のヌクレオチド配列である。
また、本発明は、上記の核酸プローブを含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キットを提供する。
本明細書において、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、一般に知られたものを選択することができ、例えば、50%ホルムアミド、5×SSC(1×SSCの組成は、150mM塩化ナトリウム−15mMクエン酸三ナトリウムである。)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハーツ溶液、10%デキストラン硫酸及び20μg/mLのDNAを含む溶液中、42℃で一晩ハイブリダイゼーションした後、室温で2×SSC−0.1%SDS中で1次洗浄し、次いで約65℃において0.1×SSC−0.1%SDSで2次洗浄する条件が挙げられる。例えば、対象とするヌクレオチド配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得るヌクレオチド配列としては、対象とする塩基配列と90%以上、好ましくは95%以上の同一性を有するヌクレオチド配列が挙げられる。
本実施形態の核酸プローブを、例えば、上述したノーザンブロッティングに使用することにより、HNRNPA3又はPCK2の発現量の測定を行うことができる。あるいは、上述したように、本実施形態の核酸プローブが固定された担体に、被検者から得た膀胱癌細胞から抽出したRNAをハイブリダイズさせることにより、HNRNPA3又はPCK2の発現量の測定を行うことができる。また、上述したように、HNRNPA3又はPCK2の発現量に基づいて、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性を判定することができる。
[シスプラチン耐性判定用プライマー及びキット]
1実施形態において、本発明は、配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、及び配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、又は配列番号7又は8に記載のヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、及び配列番号7又は8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用プライマーを提供する。上述したように、配列番号5及び6はHNRNPA3のヌクレオチド配列であり、配列番号7及び8はPCK2のヌクレオチド配列である。
また、本発明は、上記のプライマーを含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キットを提供する。
本実施形態のプライマーは、例えば、被検者から得た膀胱癌細胞から抽出したRNAを試料としたRT−PCR等に用いることにより、HNRNPA3遺伝子又はPCK2遺伝子の発現量の測定を行うことができる。また、上述したように、HNRNPA3又はPCK2の発現量に基づいて、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性を判定することができる。
[シスプラチン耐性マーカー]
1実施形態において、本発明は、下記(a)又は(b)のポリペプチドからなる膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカーを提供する。
(a)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ(a)と同等の抗体産生能を有するか又は(a)に対する特異的抗体と反応しうるポリペプチド。
上述したように、配列番号1及び2はHNRNPA3のアミノ酸配列であり、配列番号3及び4はPCK2のアミノ酸配列である。
[シスプラチン感受性向上剤及び膀胱癌治療用キット1]
1実施形態において、本発明は、配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列を有する核酸に対する阻害性核酸を有効成分とする、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤を提供する。上述したように、配列番号5及び6はHNRNPA3のヌクレオチド配列である。
後述する実施例において示すように、HNRNPA3の発現量は膀胱癌細胞のシスプラチン耐性が高くなるにつれて増加する。そこで、シスプラチンに対する耐性を有する膀胱癌細胞のHNRNPA3の発現を阻害することにより、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性を向上させることができる。
本実施形態のシスプラチン感受性向上剤によれば、膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有している場合においても、シスプラチンによる膀胱癌の治療効果を高めることができる。
阻害性核酸とは、標的遺伝子の転写産物(mRNA)に結合し、これを切断、分解し、あるいは標的遺伝子の発現調節部位に結合すること等により、標的遺伝子の転写産物又は翻訳産物の発現量や機能を減少させる核酸をいう。阻害性核酸としては、例えば、siRNA、shRNA、リボザイム、アンチセンス核酸等が挙げられる。
siRNA(small interfering RNA)は、RNA干渉による遺伝子サイレンシングのために用いられる21〜23塩基対の低分子2本鎖RNAである。細胞内に導入されたsiRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と結合する。この複合体はsiRNAと相補的な配列を持つmRNAに結合し切断する。これにより、配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。
siRNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖オリゴヌクレオチドをDNA/RNA自動合成機でそれぞれ合成し、例えば、適当なアニーリング緩衝液中、約90〜約95℃で約1分程度変性させた後、約30〜70℃で約1〜8時間アニーリングさせることにより調製することができる。
shRNA(short hairpin RNA)は、RNA干渉による遺伝子サイレンシングのために用いられるヘアピン型のRNA配列である。shRNAは、ベクターによって細胞に導入し、U6プロモーター又はH1プロモーターで発現させてもよいし、shRNA配列を有するオリゴヌクレオチドをDNA/RNA自動合成機で合成し、siRNAと同様の方法によりセルフアニーリングさせることによって調製してもよい。細胞内に導入されたshRNAのヘアピン構造は、siRNAへと切断され、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と結合する。この複合体はsiRNAと相補的な配列を持つmRNAに結合し切断する。これにより、配列特異的に遺伝子の発現を抑制する。
リボザイムは、触媒活性を有するRNAである。リボザイムには種々の活性を有するものがあるが、RNAを切断する酵素としてのリボザイムの研究により、RNAの部位特異的な切断を目的とするリボザイムの設計が可能となっている。リボザイムは、グループIイントロン型、RNasePに含まれるM1RNA等の400ヌクレオチド以上の大きさのものであってもよく、ハンマーヘッド型、ヘアピン型等と呼ばれる40ヌクレオチド程度のものであってもよい。
アンチセンス核酸は、標的配列に相補的な核酸である。アンチセンス核酸は、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造が形成された部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエクソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制等により、標的遺伝子の発現を抑制することができる。
本実施形態において、siRNA、shRNA、リボザイム及びアンチセンス核酸は、安定性や活性を向上させるために、種々の化学修飾を含んでいてもよい。例えば、ヌクレアーゼ等の加水分解酵素による分解を防ぐために、リン酸残基を、例えば、ホスホロチオエート(PS)、メチルホスホネート、ホスホロジチオネート等の化学修飾リン酸残基に置換してもよい。また、少なくとも一部がペプチド核酸(PNA)等の核酸類似体により構成されていてもよい。
また、本発明は、配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列を有する核酸に対する阻害性核酸と、シスプラチンとを備える、膀胱癌治療用キットを提供する。上述したように、配列番号5及び6はHNRNPA3のヌクレオチド配列である。
本実施形態の膀胱癌治療用キットによれば、膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有している場合においても、シスプラチンによる膀胱癌の治療効果を高めることができる。
[シスプラチン感受性向上剤及び膀胱癌治療用キット2]
1実施形態において、本発明は、下記(a)又は(b)のポリペプチドの発現ベクターを有効成分とする、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤を提供する。
(a)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性を有するポリペプチド。
上述したように、配列番号3及び4はPCK2のアミノ酸配列である。後述する実施例において示すように、膀胱癌細胞がシスプラチン耐性を獲得するとPCK2の発現が消失する。そこで、膀胱癌細胞におけるPCK2の発現を増強することにより、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性を向上させることができる。
本実施形態のシスプラチン感受性向上剤によれば、膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有している場合においても、シスプラチンによる治療効果を高めることができる。
発現ベクターとしては特に制限されず、例えば、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13等の大腸菌由来のプラスミド;pUB110、pTP5、pC194等の枯草菌由来のプラスミド;pSH19、pSH15等の酵母由来プラスミド;λファージ等のバクテリオファージ;アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス、レンチウィルス、ワクシニアウィルス等のウィルス;及びこれらを改変したベクター等を用いることができる。
上記の発現ベクターにおいて、ポリペプチド発現用プロモーターとしては特に限定されず、例えば、EF1αプロモーター、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウィルス)プロモーター、HSV−tkプロモーター等の動物細胞を宿主とした発現用のプロモーターを使用することができる。
上記の発現ベクターは、さらに、エンハンサー、ポリA付加シグナル、選択マーカー、複製起点等を有していてもよい。
また、本発明は、下記(a)又は(b)のポリペプチドの発現ベクターと、シスプラチンとを備える、膀胱癌治療用キットを提供する。
(a)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性を有するポリペプチド。
上述したように、配列番号2はPCK2のアミノ酸配列である。本実施形態の膀胱癌治療用キットによれば、膀胱癌細胞がシスプラチンに対する耐性を有している場合においても、シスプラチンによる治療効果を高めることができる。
[その他の実施形態]
1実施形態において、本発明は、下記(a)又は(b)のポリペプチドをシスプラチン耐性マーカーとして使用する工程を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性の判定方法を提供する。
(a)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ(a)と同等の抗体産生能を有するか又は(a)に対する特異的抗体と反応しうるポリペプチド。
1実施形態において、本発明は、膀胱癌細胞に、配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列を有する核酸に対する阻害性核酸を投与する工程を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性を向上させる方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、膀胱癌患者に、配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列を有する核酸に対する阻害性核酸を投与する工程と、シスプラチンを投与する工程と、を含む、膀胱癌の治療方法を提供する。
1実施形態において、本発明は、膀胱癌細胞に、下記(a)又は(b)のポリペプチドの発現ベクターを導入する工程を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性を向上させる方法を提供する。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性を有するポリペプチド。
1実施形態において、本発明は、膀胱癌患者に、下記(a)又は(b)のポリペプチドの発現ベクターを導入する工程と、シスプラチンを投与する工程と、を含む、膀胱癌の治療方法を提供する。
(a)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
(b)配列番号3又は4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ活性を有するポリペプチド。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験例1]
(シスプラチン耐性膀胱癌細胞株の樹立)
ヒト膀胱癌細胞株T24の培地に低濃度のシスプラチンを添加して馴化させた。この手順を繰り返し、T24の培地に添加するシスプラチン濃度を次第に上昇させ、シスプラチン耐性膀胱癌細胞株T24CDDPRを得た。最終的には、40μMのシスプラチンの存在下でも生存できるシスプラチン耐性膀胱癌細胞株が得られた。
[実験例2]
(シスプラチン耐性マーカーの同定)
《膀胱癌細胞》
実験例1で作製したシスプラチン耐性膀胱癌細胞株T24CDDPR及びその親株であるT24を実験に用いた。
《試料の調製》
テフロン(登録商標)ガラスホモジナイザーを用いて各細胞約20mgを、質量の30倍量のタンパク抽出液で処理してタンパク質を抽出した。ホモジナイズ後、直径0.35−0.50mmのガラスビーズ(アズワン社製)の存在下ですばやく攪拌した。このホモジェネートを112,000×g、20分間の超遠心に供して脂質、膜成分を分離し、上清をタンパク質抽出液として使用した。
《アガロース二次元電気泳動》
一次元目の等電点電気泳動(IEF)のゲルは、長さ180mm、直径3.4mmのガラス管を用いて作製した。また、二次元目のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)のゲルは、195×120×1.5mmの大きさのものを作製した。アガロース二次元電気泳動(アガロース2−DE)の特性を活かすために、2種類の濃度のSDS−PAGE用ゲルを目的に応じて作成した。すなわち、低分子量(low molecular mass、LMM)タンパク質の分離を目的とした12%均一ゲルと高分子量(high molecular mass、HMM)タンパク質の分離を目的とした6−10%濃度勾配ゲルである。二次元目のSDS−PAGEはLaemmliの方法によって行った。
100μL、タンパク質1.0mg相当のタンパク質抽出液をIEFゲルのアルカリ側に入れ、4M尿素、1Mチオ尿素溶液をその上から注入した。
一次元目IEFは4℃下で700V、20時間の泳動で行った。一次元目の泳動後、長さ300mm、直径5mmのガラス管にゲルを移し、10%TCA、5%スルホサリチル酸溶液で1時間還流してタンパク質を固定し、1時間蒸留水で洗浄した。固定したIEFゲルは二次元目のSDS−PAGEゲルの上端に設置し1%アガーで隙間を埋めた。
SDS泳動バッファー(2%SDS、10%グリセロール、5%2−メルカプロエタノール、0.02%ブロモフェノールブルー、0.05M Tris−HCl pH6.5)をIEFゲル上に注入し、40mAで1時間、その後80mAで二次元目の泳動を行った。
泳動が終了したゲルはCBB R−350(PhastGel Blue R,GEヘルスケア社)で染色した。
《質量分析解析》
2−DEゲルから切り出したタンパクスポットを、50%v/vアセトニトリルで脱色した後に100%アセトニトリルで脱水、乾燥させた。0.5ng/μLトリプシン(ロシュ社)、50mM NHHCO バッファー(pH8.0)で37℃24時間タンパク質のゲル内消化を行った。この消化産物ペプチドを50mM Tris−HCl(pH9.0)と70%アセトニトリル溶液で溶出させた。ゲル内消化後のペプチド混合物を液体クロマトグラフィー質量分析計[液体クロマトグラフィー:Nanospace SI−2(資生堂ファインケミカル社)、質量分析計:LCQ−DECA(サーモフィニガン社)]により分析した。
《タンパク質の同定》
上記に記した質量分析計によって得られた各トリプシン消化ペプチドのMSスペクトルとタンデムMSスペクトル(MS/MSスペクトル)を質量分析計に装備されているタンパク質同定用プログラム(SEQUEST Search Ver2.0、http://fields.scripps.edu/sequest/index.html)を用いて、Sequence Tag法によりデータベース検索を行った。このプログラムは、測定で得たMSスペクトル、MS/MSスペクトルと、データベース上の各タンパク質を理論的に酵素消化して得られるMSスペクトル、MS/MSスペクトルを比較する。その結果として一致度合いの高いタンパク質を選び出し、可能性に応じて一致度合いの評点(Score)を付ける。本研究では、タンパク質のScoreが70以上のものを同定されたタンパク質とした。また、Scoreが70未満の場合は、信憑性の高いMS/MSスペクトルが2つ以上観測されていることを確認し、同定されていると判断した。この基準は一般的な質量分析計の同定基準以上のものであり、十分に信頼できるものである。
《結果》
その結果、T24細胞株とT24CDDPR細胞株で発現量に違いのあるポリペプチドが26種類同定された。図1(a)及び(b)は、12%均一ゲルを用いたアガロース二次元電気泳動の結果を示す写真である。図1(a)はT24細胞株の結果であり、図1(b)はT24CDDPR細胞株の結果である。図中のスポット番号のうち、07番がPCK2であり、15番がHNRNPA3である。PCK2はT24CDDPR細胞株で発現量が減少していた。また、HNRNPA3はT24CDDPR細胞株で発現量が増加していた。
[実験例3]
(HNRNPA3及びPCK2の発現量の確認1)
T24細胞株及びT24CDDPR細胞株を用いてウエスタンブロッティングを行い、HNRNPA3及びPCK2の発現量を確認した。T24CDDPR細胞株としては、シスプラチン濃度26.6μMに対する耐性を有するものを使用した。MTTアッセイにより、このT24CDDPR細胞株は、シスプラチンによる50%抑制濃度(IC50)が55mM(T24の41倍)であることを確認した。
HNRNPA3の検出には抗ヒトHNRNPA3抗体(Abcam社製)を使用した。PCK2の検出には抗ヒトPCK2抗体(Abgent社製)を使用した。
図2(a)及び(b)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。その結果、HNRNPA3の発現量はT24CDDPR細胞株で増加することが確認された。また、PCK2の発現量はT24CDDPR細胞株で減少することが確認された。
[実験例4]
(HNRNPA3及びPCK2の発現量の確認2)
T24細胞株及びT24CDDPR細胞株を用いてウエスタンブロッティングを行い、HNRNPA3及びPCK2の発現量を確認した。T24CDDPR細胞株としては、シスプラチン濃度13.3μM、26.6μM、40μMに対する耐性を有するものを使用した。HNRNPA3及びPCK2の検出は実験例3と同様に行った。
図3(a)及び(b)はウエスタンブロッティングの結果を示す写真である。その結果、HNRNPA3の発現量はT24細胞のシスプラチン耐性が高くなるにつれて増加することが明らかとなった。また、T24がシスプラチン耐性を獲得すると、シスプラチン耐性の高さとは関係なくPCK2の発現が消失することが明らかとなった。
本発明によれば、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカーを提供することができる。また、ポリペプチドの使用方法、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定薬、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用核酸プローブ、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用プライマー、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー、膀胱癌細胞のシスプラチン感受性向上剤及び膀胱癌治療用キットを提供することができる。

Claims (13)

  1. 膀胱癌細胞のシスプラチン耐性の判定において、下記(a)又は(b)のポリペプチドをシスプラチン耐性マーカーとして使用することを特徴とする、該ポリペプチドの使用方法:
    (a)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    (b)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ(a)に対する特異的抗体と反応しうるポリペプチド。
  2. シスプラチン耐性マーカーとしての使用が、被検者から得た膀胱癌細胞中に前記ポリペプチドを検出することである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリペプチドの検出が、前記ポリペプチドに対する特異的結合物質を用いた検出である、請求項2に記載の方法。
  4. シスプラチン耐性マーカーとしての使用が、膀胱癌細胞中に、前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド又はその部分配列を有するヌクレオチド断片を検出することである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記検出が、配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列に基づいて作製したプローブ及び/又はプライマーにより行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドに対する特異的結合物質を含有する、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定薬。
  7. 下記(i)、(ii)又は(iii)を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用核酸プローブ:
    (i)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、
    (ii)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列を含むヌクレオチド断片、
    (iii)配列番号5若しくは6又は7若しくは8に記載のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、ポリヌクレオチド又はヌクレオチド断片。
  8. 膀胱癌細胞に含まれるポリヌクレオチドと、請求項7に記載の核酸プローブとを接触させることを含む、請求項4に記載の方法。
  9. 膀胱癌細胞に含まれるポリヌクレオチドをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅することを含む、請求項4に記載の方法。
  10. 配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、及び配列番号5又は6に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、又は
    配列番号7又は8に記載のヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、及び配列番号7又は8に記載のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列の部分配列からなるヌクレオチド断片、を含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用プライマー。
  11. 請求項7に記載の核酸プローブを含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット。
  12. 請求項10に記載のプライマーを含む、膀胱癌細胞のシスプラチン耐性判定用キット。
  13. 下記(a)又は(b)のポリペプチドからなる膀胱癌細胞のシスプラチン耐性マーカー:
    (a)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、
    (b)配列番号1若しくは2又は3若しくは4に記載のアミノ酸配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列を有し、かつ(a)に対する特異的抗体と反応しうるポリペプチド。
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