JP6507391B2 - 多層積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エチレンービニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記する)を含有する層を少なくとも有する多層積層フィルムに関し、更に詳しくは、消臭性、防虫性、鮮度保持性などの薬効性に優れ、かつ 柔軟性、貼り付け性、易剥離性などの取扱い性が良好な多層積層フィルムに関するものである。
一般的に、EVOHは、透明性、ガスバリアー性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、食品用フィルム、化学薬品用フィルム、農業用フィルムなどに用いられている。
中でも、危険な化学薬品を外部に揮散、漏洩させることなく、曲面を有し、かつ伸縮性を有する被貼付体に該化学薬品を浸透させ、効率的に薬効を発現させる、貼付・取外しが容易で柔軟なフィルムが望まれており、従来から耐化学薬品性、バリアー性の面で有効なEVOH層の少なくとも片面に、化学薬品を含有した粘着剤層を積層した多層積層フィルムが提案されている。
多量の化学薬品を粘着剤に含有させる方法としては、粘着剤に直接、化学薬品を添加する方法もあるが、粘着剤と化学薬品との相溶性・分散性が悪く、薬効を効率的に発現できない場合が多い。その為、粘着剤と化学薬品との相溶性を付与する為、可塑剤などの相溶化剤を含む添加剤を粘着剤に混合する方法が用いられる。しかし、多量の化学薬品と相溶化剤などを含む該粘着剤層は、EVOH層との接着性が十分に得られない問題がある。
また、耐化学薬品性が良好なEVOH樹脂は剛直な為、EVOH層を含む多層フィルムは、曲面を有し、かつ伸縮性を有する被貼付体への貼付が困難なだけでなく、貼付け中に被貼付体から剥離・脱離し薬効が十分に効率よく得られなかったり、危険な化学薬品が飛散する問題がある。その為、EVOH層を可能な限り薄くする方法も考えられ、柔軟化は可能であるが、逆に柔軟性のために、生産時の工程通過性の悪化、及び 貼付け使用時の取扱い性に問題が生じる。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィン(以降、POと略記する)層/EVOH層/シーラント(溶融粘着材)層で構成される積層体を製袋し、該袋の内面に脱臭剤、揮発性防カビ剤、揮発性抗菌剤など各種機能化学薬品を練り込んだ樹脂膜を貼付け、袋内の雰囲気を改良することで、袋内の物質を消臭したり、カビや菌の発生を防止することが記載されているが、形態が袋状の為、家具、木材、機械など大型設備に採用できない問題がある。
また、特許文献2には、ポリオレフィン系フィルムの表面に、気化性防錆剤を含むEVOH樹脂層を積層した防錆フィルムが記載されている。さらに特許文献3には、揮発性防錆剤の空気中への蒸発・揮散を低減する為、ガスバリアー性の良好なEVOH層を最外層に積層した、EVOH層/PO層/(PO+揮発性防錆剤)層/エチレン・酢酸ビニル共重合体(以降、EVAと記載する)層、で構成される多層積層ストレッチフィルムが大型機械設備の防錆対策としても有効であることが記載されている。しかし、剛直なEVOH層を最外層に積層した場合、該ストレッチ性が大幅に低下し、例えば部品などの小物をラップした場合、シワが多数発生し、外気との遮断性が不良となるので長期保管時の防錆性が悪化するだけでなく、外観上も商品として好ましくない。
さらに、特許文献4には、(EVOH+消臭剤)層/(接着剤+消臭剤)層、を多層積層し、家具、木材などに貼付け、消臭性を付与することが開示されているが、(EVOH+消臭剤)層が剛直な為、該層を薄くする必要があり、それに伴い取扱い性を改善することを目的として、柔軟な基材(PVCなど)を更に積層した、例えば柔軟樹脂(PVCなど)層/接着剤層/(EVOH+消臭剤)層/(接着剤+消臭剤)層、で構成される多層積層体も開示されている。しかし、前記した構成の積層フィルムのように柔軟性を付与して、曲面を有し、かつ伸縮部を有する被貼付体への貼付け性を改善する試みを行うと、かえってフィルムとしての取扱い性が悪化するなど、作業性と柔軟性との両立が達成できない。
特開2003−335376号公報 特公昭52−013988号公報 特開2000−326455号公報 特開平10−29280号公報
消臭性、防虫性、鮮度保持性、防錆などの薬効性が発現する貼付用多層積層フィルムに用いる基本構成としては、支持体層/粘着剤層(化学薬品、添加剤含有)/保護層(粘着剤層を保護し、貼付直前に除去する)であるが、
a)薬効性に大きく影響する、化学薬品、添加剤の飛散防止性、
b)被貼付体への安定貼付性、特に 曲面、伸縮部での安定貼付性(部分剥離、脱離防止性)、
c)該多層フィルムを除去する時の易剥離性、粘着剤糊残り防止性、及び 多層フィルムの層間剥離防止性、
d)該多層フィルムの安定生産性、及び 良取扱い性(包材からの取出し性、被貼付体への貼付操作性、及び 被貼付体からの取外し性など)、
等が技術課題であり、種々の検討がなされているが、未だ十分な解決策を見出せていない。
上記したように、支持体層に用いるフィルムには、化学薬品や添加剤等の飛散防止性を有することが必要であり、この要求性能を満足するフィルムとして、化学薬品、添加剤のバリアー性、耐溶解膨潤性を有するポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)フィルムやEVOHフィルムなどを用いる提案がある。しかし、これらのフィルムは製造面からの制約で薄膜が得られにくく、その結果、剛直性が高くなり、該多層フィルム貼付している時に曲面部、屈曲部で部分剥離や脱離が生じ、それに起因して薬効が低減するなど、大きな問題となっていた。
また、支持体層と粘着剤層との粘着性が低いと、該多層フィルムを被貼付体から剥がす時、支持体層と粘着剤層との層間で剥離が先行し、粘着剤層が被接着物に残存する。その為、粘着剤層を被接着物から除去する場合、粘着剤が指などの肌に付着するなど安全衛生性の面で大きな問題が生じることがある。
支持体層と粘着剤層との接着性を改善する方法として、支持体層を形成するフィルムの界面に、化学変性処理を施す方法(例えば、イソシアネートなどの架橋剤を含むアンカーコートなど)などが提案されているが、イソシアネートなどの架橋剤を使用する場合、該多層フィルムに含有する化学薬品の作用で接着力が大幅に低下する場合があり、また安全衛生上の面でも問題がある。
従って、本発明は化学薬品、添加剤がほとんど飛散せず、被貼付体の曲面、伸縮面の追随性が改善され、かつ安定な薬効が確保でき、さらに剥がす時に粘着剤層の糊残りがなく、薬効を有する、新規な貼付用多層積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者等は、薬効を有する貼付用多層フィルムの構成を種々検討したところ、製造工程通過性、該多層フィルムの包材からの取出し性、保護フィルムの剥がし性、及び被貼付体への貼付性(位置決め性、シワの無い均一貼付性など)などの取扱い性等を付与するにあたっては、支持体層に用いるフィルムは剛直性、形態安定性を有することが必須であることを見出した。
しかし、前記したように、支持体層に用いるフィルムの剛直性の影響で、曲面部、伸縮部への該多層フィルム貼付後の各種順応性(伸縮時の浮き、剥がれなど)が大きく阻害され、薬効の部分的低減や、該多層フィルムを被貼付体から剥離する時に、支持体層に用いるフィルムと粘着剤層との剥離が先行し、被貼付体に粘着剤層の糊残りが残存した状態となり、この粘着剤層の糊残りを剥がす場合、安全衛生面で問題が生じることがある。
そこで、本発明者等は鋭意検討した結果、剛直な支持体層と粘着剤層との間に、特定の組成および剥離強度が高い柔軟バリアー層を積層することで、驚くべきことに、柔軟バリアー層と粘着剤層との接着性が大幅に改善され、多層フィルムを剥がした際に、被貼付体に粘着剤層に含まれる糊などの残存物がほとんど認められないことが判明し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、支持体層(A)に、柔軟バリアー薄層(B)、粘着剤層(C)、及び保護層(D)を順次積層した多層フィルムを含み、
(1)支持体層(A)と柔軟バリアー層(B)との間の剥離強度が10〜200g/15mm巾であり、
(2)支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度が、粘着剤層(C)と保護層(D)との剥離強度より高く、
(3)柔軟バリアー薄層(B)は、厚みが5μm以下のEVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)である、多層積層フィルムであり、好ましくは、柔軟バリアー薄層(B)が、EVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)と、それ以外の樹脂で構成される薄層(B−2)との積層体である上記の多層積層フィルムであり、より好ましくは、柔軟バリアー薄層(B)を構成する薄層(B−1)、及び薄層(B−2)の界面に凹凸処理、および/または化学処理を施すことを特徴とする上記の多層積層フィルムであり、更に好ましくは、前記薄層(B−2)を構成する樹脂がポリウレタン、あるいはそれ以外の熱可塑性エラストマーである上記の多層積層フィルムであり、また更に好ましくは、粘着剤層(C)が接する柔軟バリアー薄層(B)の界面に凹凸処理、および/または化学処理を施すことを特徴とする上記の多層積層フィルムである。
本発明の多層積層フィルムは、曲面部、伸縮部の追随性を大幅に改善し、かつ該多層フィルムを被貼付体から剥がした際に、被貼付体に粘着剤層(C)に含まれる糊などの残存物がほとんど認められない。さらに、本発明の多層積層フィルムは製造時の安定生産性、及び易取扱い性を達成すると共に、多層積層フィルムの保管中に化学薬品、及び添加剤が支持体層(A)を形成するフィルムに吸着、移行することがないので、粘着剤層(C)の粘着性を安定に維持できると共に、消臭性、防虫性、鮮度保持性などの薬効性を安定に発揮することができる。
本発明の多層積層フィルムに用いる剥離可能でかつ硬直性・形態安定性を有する支持体層(A)は、その片面に形成するEVOH系樹脂を含む薄層(B−1)で少なくとも構成される柔軟バリアー薄層(B)の形態を保持させるために必要であり、生産時の工程通過性、安定生産性、及び 易取扱い性に大きく寄与するものである。剥離可能な支持体層(A)に用いられるフィルムの材質としては、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、PET等のポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、エチルセルロース、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、アイオノマー樹脂、金属箔などの単独フィルム又はこれらの複合素材を用いることができ、特に限定するものではないが、剥離可能とするために、或いは 剥離力を調節する為、フィルム表面にコロナ処理、アンカー処理、或いは 離型処理などの表面処理を施していることが望ましい。支持体フィルム層(A)に用いられるフィルムは、市販のフィルム、あるいは樹脂を溶融押出法にて製膜し製造する。樹脂の溶融押出法としては、単層製膜法、単層押出ラミネート法、多層共押出法 及び 多層共押出ラミネート法などが挙げられる。また、柔軟バリアー層(B)がEVOH系樹脂を含む薄層(B−1)で少なくとも構成されている関係上、支持フィルム層(A)にEVOHを用いると剥離不可能となる。また、支持体層(A)を形成するフィルムの厚さは通常300μm以下であり、好ましくは2μm以上100μm以下である。
また本発明では、支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度の制御が重要である。
具体的には、支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度が10〜200g/15mm巾であることが必要である。前記剥離強度が200g/15mm巾より大きいと、支持体層(A)を剥離する際、柔軟バリアー薄層(B)或いは柔軟バリアー薄層(B)/粘着剤層(C)が破壊されるなど、使用上大きな問題となる。一方、10g/15mm巾未満では、該フィルムを製造する工程内で、支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との間で剥離が生じ、生産安定性を阻害する問題を含む。
好ましくは、前記剥離強度が20〜150g/15mm巾であり、より好ましくは、30〜100g/15mm巾である。
さらに本発明は、支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度が、粘着剤層(C)と保護層(D)との剥離強度より高いことが重要である。支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度が、粘着剤層(C)と保護層(D)との剥離強度よりも低いと、多層積層フィルムを製造する際に、支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との間に剥離が発生し、生産収率が大幅に悪化したり、使用時に保護層(D)を剥離する際に支持体層(A)の方が剥離してしまう問題が発生する。
各層間の剥離強度について、<柔軟バリアー薄層(B)/粘着剤層(C)間の剥離強度>を(a)、<粘着剤層(C)/被貼付体間の剥離強度>を(b)、<支持体層(A)/柔軟バリアー薄層(B)間の剥離強度>を(c)、<粘着剤層(C)/保護層(D)間の剥離強度>を(d)とした場合、(a)>(b)>(c)>(d)であることが好ましい。
支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度を制御する方法としては、柔軟バリアー薄層(B)に接する側の支持体層(A)を形成するフィルムの表面を加工することが好ましい。加工方法としては、フィルム表面をコロナ処理、或いはプラズマ処理を行う方法、フィルムの投錨性を付与する為、微粒子を練り込む方法、或いは 微粒子を含有するバインダー液を塗布・乾燥する方法、フィルム表面に機械的、均一に凹凸を付与することを目的としたエンボス処理、ブラスト処理を行う方法、或いはプライマー処理、アンカー処理、場合によっては離型処理など化学的コート方法、及びこれらの組合せが用いられるが、これらの中でもコロナ処理、アンカー処理、及び エンボス処理がより望ましい。
本発明の柔軟バリアー薄膜(B)は少なくともEVOH系樹脂を含む厚さ5μm以下の薄層(B−1)で少なくとも構成される。EVOH系樹脂は、後述する薬剤に対するバリアー性能に優れ、かつ形成する層の厚みを5μm以下とすることで、前記(B)層と粘着剤層(C)との耐剥離性が大幅に改善され、貼付後の対象物への伸縮追随性が優れたものとなる。前記(B−1)層が5μmよりも厚い場合は、(B)層自体が硬くなり過ぎ、貼付後の対象物への伸縮追随性に問題が生じる。前記(B−1)層の厚みは好ましくは4μm以下であり、より好ましくは2μm以下である。EVOH系樹脂としては、耐水性,強度などの点からエチレン含有量20〜55モル%、特に25〜50モル%、酢酸ビニル成分のケン化度90モル%以上、特に95モル%以上で,極限粘度が0.7〜1.5dl/gの範囲にあるものが特に好ましい。エチレン含有量が20モル%未満ではフィルム自体が硬くなって、追従性が低下するようになって、貼付感に劣る傾向を示す。一方、エチレン含有量が55モル%を超えると、疎水性が高まるので、粘着剤層中の油性添加剤を吸着したり、吸収しやすくなる傾向を示すので好ましくない。また、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%未満では化学薬品、及び添加剤の吸着や移行が顕著となり好ましくない。さらに極限粘度が0.7dl/g未満では機械的強度が不足し、極限粘度が1.5dl/gを超えるものは製造上困難となる場合が多い。なお、ここでいう極限粘度とは、水/フェノールの15/85の重量比の混合溶媒中、温度30℃で測定したものをいう。
EVOH系樹脂は、エチレンー酢酸ビニル共重合体のケン化によって得られるが、該EVOH系樹脂は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造することが可能であって、エチレンー酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行うことができる。
また、前記薄層(B−1)には、本発明の趣旨を損なわない範囲で、α−オレフィン、不飽和カルボン酸系化合物、不飽和スルホン酸系化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニルエーテル、ビニルシラン化合物、塩化ビニル、スチレンなどの他のコモノマーで共重合変性されたEVOH系樹脂であっても差し支えなく、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化など後変性されたEVOH系樹脂であっても差し支えない。
本発明においては、支持体層(A)を形成するフィルム表面にEVOH系樹脂を含有する溶液(以下、EVOH溶液と称す)を塗布し乾燥することにより、支持体層(A)上に薄層(B−1)を積層させることが好ましい。EVOH溶液は、EVOH系樹脂を溶剤に溶解して調製する。用いられる溶剤としては、水/アルコールが好ましく、その中でも水/イソプロパノール、水/n−プロバノール,水/n−ブタノール、水/sea−ブタノール、水/イソブタノールが、溶液の安定性や取り扱い性やさらには経済的な面からより好ましい。水/アルコールの溶剤の場合、溶剤における水/アルコールの質量比は、5/95〜80/20であることが溶液の安定性、透明性の点から好ましい。
さらに、上記溶剤中にギ酸、フェノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどを1〜30質量%の割合で混合することで溶液安定性、透明性が改善することから、更に好ましい。
溶液中のEVOH系樹脂の濃度は1〜20質量%の範囲から選択することが望ましい。
上記溶液中のEVOH系樹脂の濃度が1質量%未満では乾燥後の(B−1)層が薄くなりすぎ、表面が白濁し透明性が損なわれる。一方、20質量%を超えると溶液中のEVOH系樹脂の濃度が高すぎるため塗布時の作業性が劣ったり、さらに(B−1)層の乾燥ムラによる光沢ムラが発生しやすくなる。
さらに、伸縮部、屈曲部へ該多層フィルムを貼付する場合においては、柔軟バリアー薄層(B)が、前記したEVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)と、それ以外の柔軟樹脂で少なくとも構成される薄層(B−2)との積層体であることが好ましい。
伸縮部、屈曲部へ該多層フィルムを貼付する場合は、該多層フィルムの浮き・剥がれが生じる、などの問題が生じることがある。特に、浮き・剥がれが生じると、薬効が低下することがある。この対策として、伸縮強度が低く、かつ伸縮伸度が高い素材が求められるが、その場合には、上記したように柔軟バリアー薄層(B)が、EVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)と、それ以外の柔軟樹脂で構成される薄層(B−2)との積層体であることが好ましく、支持体層(A)とEVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)の間に、柔軟樹脂で少なくとも構成される薄層(B−2)が積層されている積層体であることがより好ましい。
柔軟樹脂で少なくとも構成される薄層(B−2)としては、EVOH系樹脂よりも伸縮強度が低く、かつ伸縮伸度が大きい素材であることが好ましく、ポリウレタン(以降、PUと略す)あるいは他の熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらの中でもPUがより好ましい。PUあるいは他の熱可塑性エラストマーを用いることで非常に良好な伸縮性を有すると共に、粘着剤層に含有する化学薬品、及び 添加剤の飛散、低減が大幅に改善される。
PUとしては、熱可塑性PU樹脂、又はPUモノマーと触媒とを含有する溶液を支持体層(A)を形成するフィルムにコーティング、乾燥した後、加熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋を行うことで得られる樹脂であり、伸縮強度が低く、かつ 伸縮伸度が大きい樹脂の中から選ばれる。
PU樹脂としては、高分子ポリオール、有機ポリイソシアネート、鎖伸長剤および架橋剤などの製造原料から得ることができる。
高分子ポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどの高分子ポリオールを挙げることができ、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の低分子ポリオールを低分子ジオールに併用して製造することができる。
有機ポリイソシアネートについても特に制限はなく、通常のポリウレタン水性分散液の製造に従来から使用されている公知の脂肪族、脂環族、芳香族の有機ジイソシアネートのいずれを使用してもよい。例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、P−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらの有機イソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、PU以外の熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系ゴム等のアクリル系樹脂、ジエン系ゴム、シリコーンゴム、ニトリル系ゴム、オレフィン系ゴム、フッ素ゴム、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ハロゲン系エラストマーなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、本発明の柔軟バリアー薄層(B)において、EVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)と柔軟樹脂で少なくとも構成される薄層(B−2)との界面の接着性(投錨性)を向上させるために各種処理を行うことができる。具体的には、層の界面に凹凸処理を施す方法、化学処理を施す方法などが挙げられるが、安全衛生性の観点からは、凹凸処理を用いることが好ましい。
該層の界面に凹凸処理を行う方法としては、公知の方法を用いることができ、例えばナノインプリント処理やサンドブラスト処理、フォトレジスト処理、化学エッチング処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、スパッタエッチング処理、または塗布用溶液に無機微粒子あるいは有機微粒子を添加し、塗布、乾燥するなどの方法、あるいは樹脂に無機微粒子あるいは有機微粒子を溶融状態下で混合・分散し、溶融製膜、押出ラミネートする方法が挙げられ、これらの中でも、樹脂に無機微粒子あるいは有機微粒子を溶融状態下で混合・分散し、溶融製膜、押出ラミネートする方法が好適である。
無機微粒子としては、アルミニウム、チタン、シリカ、カルシウム、及びこれらの複合物の金属酸化物、及び該金属酸化物の表面を有機物でコートし、親水性あるいは疎水性を付与した微粒子であれば、特に限定されるものではない。
また、有機微粒子としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド系樹脂、EVOH系樹脂などが挙げられ、表面を有機物でコートし、親水性あるいは疎水性を付与した微粒子であれば、特に限定されるものではない。
無機微粒子の作製方法に関しては、特に限定されるものではなく、低温下で物理的にする粉砕方法や、溶液から析出する方法、プラズマ蒸発・冷却凝固法、蒸発・化学反応・冷却凝固法などがあるが、これらの中でも溶液から析出する方法、プラズマ蒸発・冷却凝固法、蒸発・化学反応・冷却凝固法が好適に用いられる。
一方、有機微粒子に関しては、乳化剤などで微粒子化したエマルジョン溶液あるいは有機溶剤に有機物を溶解した溶液を凍結乾燥法などで粉体化したもの、あるいは該溶液を乾燥機内でスプレー状に噴霧しながら粉体化したものが好適に用いられる。
樹脂に無機微粒子あるいは有機微粒子を溶融状態下で混合・分散し、溶融製膜、押出ラミネートするための、EVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)における前記微粒子の割合は、樹脂100質量部に対して該微粒子が0.1〜60質量部含有されていることが好ましい。該微粒子の割合が0.1質量部未満の場合、該薄層(B−1)と粘着剤層(C)との接着性が不十分であり、逆に60質量部を超えた場合、外観(濁り、白濁)及び 接着性が悪化し、好ましくない。前記微粒子の平均粒子径は10μm以下であることが好ましく、0.05〜8μmであることがより好ましく、0.1〜6μmであることが更に好ましい。10μmを超えると、外観(濁り、白濁)及び 接着性が悪化する。なお、接着性改善を目的として微粒子の二次凝集の低減し、粒子径分布をシャープにするために、シラン系カップリング剤などで微粒子の表面状態を親水性または疎水性にすることが望ましい。また、コーティング溶液の場合、分散の為の攪拌も重要な因子であり、可能な限り、ホモジナイザーイなどの使用による強攪拌が望ましい。また、溶融樹脂への分散の場合も、二軸押出機で十分混練、分散させることが好適である。
また、柔軟バリアー薄層(B)において、EVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)、及び柔軟樹脂で少なくとも構成される薄層(B−2)の界面に化学処理を施す方法としては、各層の界面の官能基を変性する処理が挙げられ、具体的には下塗り処理層を形成する方法や、コロナ放電処理やプラズマ処理、紫外線照射処理、スパッタエッチング処理などを行う方法を採用することができる。
下塗り処理層を形成する方法としては、例えば、エチレンイミン変性(例えば、エチレンイミンをアクリル系ポリマーにエチレンイミンを開環反応)したアクリル系ポリマーや、ポリエチレンイミンによるプライマー処理を行うことができる。具体的には、エチレンイミンやポリエチレンイミン内の活性アミノ基が粘着剤層(C)と接する界面で、粘着剤層(C)中の官能基、例えばカルボキシル基とイオン結合やアミド結合を形成することによって、界面接着力(投錨力)を向上させることができると推定される。
柔軟バリアー薄層(B)は、EVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)、好ましくは薄層(B−1)とそれら以外の柔軟樹脂薄層(B−2)との積層体であり、該積層体はさらに支持体層(A)に積層される。
積層する方法としては、溶融押出法、溶液コーティング法、あるいは溶融押出法と溶液コーティング法との併用がある。
樹脂の溶融押出法に関しては、単層製膜法、単層押出ラミネート法、多層共押出法 及び 多層共押出ラミネート法がある。一方、溶液コーティング法としては、基材上にコート液を塗布した後、乾燥炉で乾燥、場合によってはエージング加熱処理する方法が用いられる
本発明の多層積層フィルムにおいて、柔軟バリアー薄層(B)の片面に形成する粘着剤層(C)は、化学薬品 及び 添加剤を含有するものであり、良好な接着性の観点からは通常10〜300μm、好ましくは15〜250μmの厚みで形成される。
粘着剤層(C)が接する柔軟バリアー薄層(B)との界面の接着性(投錨性)を向上させるために各種処理を行うことができる。具体的には、層の界面に凹凸処理を施す方法、化学処理を施す方法などが挙げられるが、安全衛生性の観点からは、凹凸処理を用いることが好ましい。
化学薬品は、粘着剤層に添加するが、機能の異なる化学薬品を更に添加する場合、EVOH薄層側に化学薬品を添加することで、機能をより効率良く発揮できる場合がある。
例えば、EVOH薄層側に、酸素吸収剤、あるいは 紫外線防止剤を添加することで、粘着層に添加の化学薬品の酸化や紫外線劣化を防止し、該化学薬品の薬効の低下を抑えるなどの効果が発現する場合がある。
粘着剤層(C)を形成する樹脂としては、例えば常温で感圧性を有するアクリル系、エラストマー系、シリコーン系、ビニルエーテル系等が用いられ、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル系樹脂として、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル(ここで、(メタ)アクリル酸は、メタアクリル酸又はアクリル酸を意味する)を主成分とした単独重合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合性モノマーとの共重合体又は炭素数4〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(共)重合体等が好ましい。 上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸イソブチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸イソオクチルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸イソデシルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル等が挙げられる。
上記共重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸ブチル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノアクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
エラストマー系樹脂としては特に限定されず、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンーブタジエンースチレン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレンーイソプレンースチレン共重合体、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体、合成イソプレンゴム、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ウレタンゴム等のゴムを主体とする従来公知のエラストマー系樹脂が使用できる。
シリコーン系樹脂としては特に限定されず、例えばポリオルガノシロキサン等のシリコーンゴム等が挙げられる。
ビニルエーテル系樹脂としては、例えばビニルエーテル、イソブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル等が挙げられる。
また、粘着剤層(C)において、粘着剤の凝集力が低いと、粘着剤層間(あるいは粘着剤内部)で粘着剤が凝集破壊し、被貼付体に糊などの残存物が残るなどの問題が生じることがある。このような粘着剤の凝集力を高めたり、あるいは添加剤の保持量を増加させるためには、粘着剤層(C)を架橋処理することが好ましい。具体的には、紫外線照射や電子線照射などの放射線照射による物理的架橋や、イソシアネート化合物や有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート、金属キレート、多官能化合物などの外部架橋剤による化学的架橋等が挙げられ、また重合反応によって粘着剤層を形成するためのポリマーを調製する場合は、多官能性単量体を共重合することによって内部架橋されたポリマーを得ることもできる。
上記した各種粘着剤のうち、所望の粘着物性を得るための調整の行いやすさや、化学薬品、及び 添加剤の溶解性(相溶性)向上、多量に含有保持できること、架橋処理が比較的容易であることなどの点からは、アクリル系粘着剤が好ましい。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤としては、浸透促進剤、溶解助剤、充填材、軟化可塑剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、化学薬品分解抑制剤などが挙げられるが、特に限定するものではなく、一種もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤として浸透促進剤を用いる場合、浸透促進剤としては被貼付体への吸収促進作用が認められている化合物のいずれでも良く、例えば、C2−C4アルコール、例えばエタノール及びイソプロパノール、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコール−3−ラウラミド、ジメチルラウラミド、ソルビタントリオレアート、脂肪酸、約10〜約20個の炭素原子を有する脂肪酸のエステル、モノグリセリド又はモノエステルが10〜20個の炭素原子を備えたモノエステルである場合、少なくとも51%の総モノエステル含有率を有する脂肪酸のモノグリセリドの混合物、ならびに脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリ−グリセリドの混合物等が挙げられる。脂肪酸は、これに限定されないがラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリル酸、オレイン酸、リノール酸、及びパルミチン酸を含む。モノグリセリド浸透促進剤は、例えばグリセロールモノオレアート、グリセロールモノラウレート、及びグリセロールモノリノレアート等が好ましい。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤として溶解助剤を用いる場合、溶解助剤としては、粘着剤との相溶性に優れており、化学薬品を充分に溶解し、化学薬品の粘着剤層からの滲み出し(ブリード)が少なく、粘着特性や化学薬品放出性に悪影響を及ぼさないものであればよい。具体的には、オレイン酸、ミリスチン酸、カプリン酸等の脂肪酸、アジピン酸、セバシン酸等のジカルボン酸等の有機酸と、エタノールや2−プロパノール等のアルコール類とのエステル類;グリセリン、プロピレングリコール等の多価アルコールやそれらのジ、トリエステル類;多価アルコールと、トリアセチン等の有機酸とのエステル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリエーテル類、メチルエチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン;その他クロタミトン等が挙げられる。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤として充填材を用いる場合、充填材としては、粘着剤層における粘着剤の凝集力を向上させるものであれば特に限定されないが、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、水酸化アルミニウム、タルク、カオリン、ベントナイト、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の無機微粒子、乳糖、カーボンブラック、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース類、アクリル樹脂等の有機微粒子、更にはポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース類、アクリル樹脂、ガラス等の繊維が挙げられる。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤として軟化可塑剤を用いる場合、軟化可塑剤としては、石油系オイル、スクワラン、スクワレン、植物系オイル、シリコーンオイル、二塩基酸エステル、液状ゴム、液状脂肪酸エステル類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クロタミトン等が挙げられる。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤として粘着付与剤を用いる場合、粘着付与剤としては、例えば、石油系樹脂(例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂)、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、マレイン酸レジン、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂(例えば、スチレン樹脂、α−メチルスチレン樹脂)、水添石油樹脂(例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂)等が挙げられる。中でも、脂環族飽和炭化水素樹脂が化学薬品の保存安定性が良好になるため好適である。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、2種以上を組み合わせて使用する場合には、例えば、樹脂の種類や軟化点の異なる樹脂を組み合わせてもよい。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤として酸化防止剤を用いる場合、酸化防止剤としては、特に限定させるものではないが、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
上記粘着剤層(C)中に含有する添加剤として紫外線吸収剤を用いる場合、紫外線吸収剤としては、特に限定させるものではないが、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が挙げられる。
上記粘着剤層(C)中に含有するこれらの添加剤は、粘着剤層(C)中に0.1〜60重量%、特に1〜50重量%の範囲で含有させることが好ましい。含有量が0.1重量%に満たない場合は、前記したような添加剤を含有することによる効果を充分に発揮できない場合があり、60重量%を超えて含有させた場合は、粘着剤層中に化学薬品、添加剤を安定的に保持できずに、保存中や貼付中に粘着剤層から化学薬品、添加剤が滲出して安定的な効果を発揮できない場合がある。なお、粘着剤層を架橋処理して化学薬品、添加剤を保持しやすくすることもできるが、添加剤の含有量が多すぎると架橋処理によっても保持できる限界を超えることがある。
本発明の多層積層フィルムにおける粘着剤層(C)には、化学薬品を含有させる。このような化学薬品としては特に限定されるものではなく、例えば、酸素吸収剤、抗菌剤、防ダニ剤、脱臭剤、生物忌避剤、防カビ剤、揮発性防カビ剤、防虫剤、動物忌避剤、防錆剤、防食剤、防腐剤、アルデヒド類吸着剤、消臭剤、酸化防止剤、防藻剤、脱酸素剤、鮮度保持成分、界面活性剤、難燃剤、剥離剤、静電防止剤、絶縁剤、着色防止剤、UV吸収剤、IR吸収剤、撥水剤、 吸水剤、及びこれらの揮発性化学薬品、医薬品などの化学薬品を一種もしくは二種以上併用することができる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に防カビ剤を用いる場合、防カビ剤としては、特に限定されるものではないが、揮発性防カビ剤、親水性有機系防カビ剤などが挙げられる。また、好気性の菌の繁殖防止に脱酸素剤も使用可能である。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に揮発性防カビ剤を用いる場合、揮発性防カビ剤としては、特に限定されるものではないが、有機スズ化合物、有機硫黄化合物、塩素系化合物、フェノール系化合物、チモール等が挙げられる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に親水性有機系防カビ剤を用いる場合、親水性有機系防カビ剤としては、特に限定されるものではないが、ベンズチアゾール系、フェノール系、イソチアゾリン系、第4アンモニウム塩系、ホスホニウム塩系、ベンズイミダゾール系、フェノール系、イソチアゾリン系、ピリジン系などの合成系防カビ剤や、キトサン、リゾチーム、プロタミン、ポリリジンなどの天然系防カビ剤が例示される。これらの内、ベンズチアゾール系、フェノール系、イソチアゾリン系が少量での添加で効果があり、好適である。これらの防カビ剤の例としては、2−(4−チアゾリル)ベンズチアゾール2−(4−チオシアノメチル−チオ)ベンズチアゾール、p−クロロ−m−メチルフェノール、O−フェニル−フェノール、5―クロロ2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、などが挙げられる。中でも、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンは、効果のある菌・カビのスペクトルが広く、毒性等も低いので、特に好適である。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に抗菌剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤、揮発性抗菌剤などが挙げられる。無機系抗菌剤としては、特に限定されるものではないが、塩素、臭素、ヨウ素を含有するハロゲン化合物;亜ヒ酸銅、酸化第一銅、硝酸銀、銀や銅を含有するガラス;結晶性ケイ酸アルミニウム(ゼオライト)、非晶質の合成ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸アルミニウム;Ag、Cu、Zn等のイオンを担持したリン酸ジルコニウム;酸化亜鉛系化合物;酸化マグネシウム系化合物;水酸化カルシウム系化合物等が含まれる。
有機系抗菌剤としては、特に限定されるものではないが、アミン、トリアジン等の窒素化合物;ヒ素、銅、水銀、錫、亜鉛の有機金属化合物;イソチアゾロン、ピリチオンチオシアン酸塩等の有機硫黄化合物;アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物等の第四級アンモニウム化合物;塩素化フェノール、ビスフェノール、O−フェニルフェノール等のフェノール化合物等が含まれる。また、ヒノキチオール、ワサオーロ、キチンキトサン等の天然物由来の抗菌剤を用いることもできる。揮発性抗菌剤としては、特に限定されるものではないが、イソチアン酸化合物、ヒノキチオール、タケ抽出オイル、シソ抽出オイル、チアゾリルスルファミド化合物等が挙げられる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に防ダニ剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、揮発性防ダニ剤が好適である。揮発性防ダニ剤としては、特に限定されるものではないが、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、フェノトフラメトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、トラロメスリン、エンペントリン、DDVP、フェニチオン、テメホス、ジフルベンズロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、ハッカ油等が挙げられる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に防虫剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、揮発性防虫剤が好適である。揮発性防虫剤としては、特に限定されるものではないが、クレゾール、o−フェニルフェノール、パラチオン、イミダゾール等が挙げられる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に動物忌避剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、揮発性動物忌避剤が好適である。揮発性動物忌避剤としては、特に限定されるものではないが、ピレトリン、ロテノン、フタルスリン、アレスリン、ペルメトリン、サイバーメトリン、アルファサイバーメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、メントール、ヒノキオイル、スギオイル、ヒバオイル、ジチオカルバモリルスルファイド系化合物、シンナミックアルデヒド、リナロール等が挙げられる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に防腐剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、例えば、有機沃素系化合物、有機窒素硫黄系化合物、有機臭素系化合物、イソチアゾロン系組成物、ブロモニトロアルコール系組成物等がある。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に脱臭剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、シリカゲル、活性アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ゼオライト、活性炭、アモルファスシリカ、シクロデキストリン、セピオライト、セラミックス等があり、活性炭にアミン類等の物質を化学処理したもの、例えば、日本エンバイロケミカルズ社製の粒状白鷺GAAxは好ましい例である。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品にアルデヒド類吸着剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、アミン基をもつ有機化合物としては、例えば、尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素、5−ヒドロキシプロピレン尿素、5−メトキシプロピレン尿素、5−メチルプロピレン尿素、パラバン酸(グリオキザールモノウレイン)、4,5−ジメトキシプロピレン尿素、ヒドラジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ジシアンジアミド、2−ヒドラゾベンゾチアゾール、もしくはその誘導体、等のアミン類、アミド類、イミド類、など挙げられ、中でも、尿素系及びヒドラジン系の有機化合物が、アルデヒド類吸着性能上、好ましい。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に消臭剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ビタミンE、トコフェノール、酸化チタン、ヒドラジン誘導体、アミン化合物(ペンタエチレンヘキサミン、トリエチレンテトラミン、ポリビニルオキサゾリン、等)、無機塩基化合物(酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、等)、フラボノイド防臭剤、ポリフェノール、テレピン油、活性酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、等が挙げられる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に防錆剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、気化性防錆剤、ジンクホスフェート、タンニン酸誘導体、リン酸エステル、塩基性スルホン酸塩、各種防錆顔料等が挙げられる。気化性防錆剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、亜硝酸塩、アンモニウム化合物、尿素系化合物及びこれらの混合物等が挙げられ、加水分解や中和反応を起こし、亜硝酸アンモニウム、アンモニア及び亜硝酸等の気化性の高い防錆剤を生成して、優れた防錆効果を発揮する。
亜硝酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸マグネシウム;アンモニウム化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、安息香酸アンモニウム、フタル酸アンモニウム、ステアリン酸アンモニウム、パルミチン酸アンモニウム、オレイン酸アンモニウム等;尿素系化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、尿素、ウロトロピン、カルバミン酸フェニル等が挙げられる。また、安息香酸ナトリウム、亜硝酸塩類のジイソプロピルアンモニウム・ナイトライト(DIPAN)、ジシクロヘキシルアンモニウム・ナイトライト(DICHAN)、ニトロナフタリンアンモニウム・ナイトライト(NITAN)、二環のベンゾアゾール化合物、単環のイミダゾール、トリアゾール、ロジン、亜硝酸ジイソプロピルアンモニウム、安息香酸、カブリル酸、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウム、炭酸ジシクロアンモニウム、ニトリット等が挙げられる。これらの気化性防錆剤は人体に有害なものが多く、その取り扱いには注意が必要である。
鉄用の気化性の防錆剤としては、アミン類の亜硝酸塩類、アミン類のカルボン酸塩類、アミン類のクロム酸塩類、カルボン酸のエステル類が挙げられる。
銅及び銅合金用としては、複素環状化合物であるトリアゾール環、ピロール環、ピラゾール環、チアゾール環、イミダゾール環やチオ尿素類、メルカプト基を有するもの等がある。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に脱酸素剤を用いる場合、特に限定されるものではないが、鉄系脱酸素剤、非鉄系脱酸素剤、酸素と炭酸ガスを同時に吸収するものなどが挙げられ、鉄、亜鉛等の金属粉、FeO、FeTiO、Fe等の鉄の還元性低位酸化物、有機金属錯体、遷移金属化合物、アスコルビン酸、フェノール系物質亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、シュウ酸塩、ピロガロール、カテコール、ロンガリット、ビタミンC、ナノコンポジットナイロンレジン、ブタンジオールが分子内に分岐されたポリエステル、グルコース等が挙げられる。
粘着剤層(C)に含有させる化学薬品に鮮度保持成分を用いる場合、特に限定されるものではないが、イソチオシアネート化合物、香辛料抽出物、シンナミックアルデヒド、ゲラニオール、オイゲノール、カルバクロール、チモール、ボルネオール、ピネン等が挙げられ、特にイソチオシアネート化合物が有用である。
上記粘着剤層(C)と被貼付体との粘着性および剥離性をより最適化する為、保護層(D)に接する粘着剤層(C)側に、粘着性と剥離性を両立させた、再剥離性粘着層(C´)を積層することができる。
たとえば、被貼付体と接する側の再剥離性粘着剤層(C´)を凹凸状・吸盤状にし、被貼付体との接着面積を低減すると共に、吸盤吸着作用による、接着性と剥離性とを両立させる樹脂組成が選ばれる。例えば、重合度の異なる樹脂をブレンド、架橋剤の添加、発泡剤の添加などによる、凹凸処理を行う方法などが有効である。
本発明の多層積層フィルムは、上記のような構成からなるものであるが、一般的に粘着剤層(C)表面を被覆保護するために公知の保護層(D)を積層したシート状形態として提供される。また、該多層積層フィルムは包装材料(E)にて密封包装することによって、使用するまでの保存安定性を確保できるものである。
保護層(D)に用いられる保護フィルムとしては、貼付剤を使用する時まで前記粘着剤層(C)の表面を被覆して保護するためのフィルムであり、材質としては、特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、EVOH、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミド;ポリアクリロニトリル;セルロース又はその誘導体;アルミニウム等の金属箔等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このようなフィルム及びシートとしては、その離型性を増すために、前記粘着剤層に接する面にあらかじめシリコーン処理やフッ素樹脂処理等が施されたものであってもよい。
包装材料(E)としては、該多層積層フィルムを、使用前まで密封して保存又は運搬する為のものであり、気密性の観点からヒートシール可能なものが望ましい。具体的には、ポリエチレン、アイオノマー樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合体、EVOH、ポリアクリロニトリル系共重合体、ポリビニルアルコール系共重合体等のヒートシール性を有するプラスチックシートを用いた包装材料が適している。特に該多層積層フィルムに含有される化学薬品の外気による汚染や酸化分解を防止するためには、ポリエステルフィルム、EVOHフィルム、及び これらの表面を無機物で蒸着コートしたフィルムや金属箔等のガス不透過性フィルムを積層したものを用いることが好ましい。
本発明の該多層積層フィルムの製造方法としては、例えば、粘着剤、化学薬品、各種添加剤を含む粘着剤組成物をトルエン等の適当な溶媒に溶解し、得られた溶液を保護層(D)を形成するフィルム表面に塗布、乾燥して粘着剤層(C)を形成する第一工程と、剥離可能な支持体層(A)を形成するフィルムの表面に、EVOH溶液を塗布、乾燥し、柔軟バリアー薄層(B)を形成する第二工程があり、両工程から得られた多層フィルムを粘着剤層(C)と柔軟バリアー薄層中のEVOH系樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)とが対面する方向で圧着することにより製造される。圧着する場合、必要な場合、加熱圧着して該多層積層フィルムを製造してもよい。
しかし、上記第一工程において、保護層(D)を形成するフィルム表面の離型剤が粘着剤層(C)に移行し、粘着剤層と被貼付体との接着性が悪化する場合があったり、粘着剤層(C)と前記(B−1)層とが対面する方向で圧着する最後の工程で、エアー噛みなど密着が悪化する場合がある。その対策として、前記第二工程の後、前記(B−1)層側に直接、粘着剤溶液を塗布・乾燥し、その後、保護層(D)を圧着する方法も有効である。
保護層(D)を剥離し、被貼付体に該多層積層フィルムを貼り付けた後、支持体層(A)を剥離する際、被貼付体と粘着剤層(C)との界面が先に剥離するなどの問題がある。その対策として、1)該多層積層フィルム周辺部を、支持体層(A)側に僅かに折り曲げる方法、2)多層積層フィルム周辺部の支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との間を部分的に剥離しておく方法、3)多層積層フィルム周辺部の支持体層(A)を形成するフィルムに予め離型剤を部分的に塗布しておく方法、4)支持体層(A)を局部的にカットしておく方法等が挙げられ、さらには、これら方法を2種類以上組み合わせた方法等があげられる。これらの中でも、2)の方法、または1)の方法と2)の方法の組合せ、或いは1)の方法と3)の方法との組合せがより好ましい。
本発明の多層積層フィルムは、安全衛生性、及び化学薬品、添加剤の飛散による効力低下を軽減する為、化学薬品、添加剤バリアー性を有する包装材料(E)で包装し、安全衛生性、及び長期保存性を確保する。包装方法としては、例えば、1枚あるいは数枚重ねた該多層積層フィルムを包装材料(E)に包装し、その周辺をヒートシールして密封する方法が挙げられる。
本発明の多層積層フィルムは、使用直前に上記包装体(E)を取り外し、保護層(D)を剥がして露出した粘着面を被貼付体に貼付した後、支持体層(A)を剥がして使用することができる。
なお、包装材料(E)の材質としては、PET、アルミニウム(アルミニウム箔、アルミニウム蒸着)、ポリアクリロニトリル、EVOH等が挙げられる。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の記載によって限定されるものではない。
<剥離強度、支持体剥離性、糊残り性>
15mm幅×100mm長さの多層積層フィルムを準備し、該多層積層フィルムから保護フィルム(D)を剥離し、ベークライト板に1kg加重のローラーで貼付け、23℃、50%RH湿度下、1時間放置後、強伸度測定装置(島津製作所社製オートグラフ、AG−1、500N)を用いて、100mm/minの速度で180度剥離を行い、剥離強度、支持体層(A)の剥離性及び粘着剤層(C)由来の糊残りの有無(糊残り性)を目視で観察した。
糊残り性は、目視で糊残りが無い場合を「○」、僅かにある場合を「△」、多い場合を「×」と判定した。
また、支持体層(A)の剥離性は、保護層(D)を剥離する際、支持体層(A)が先に剥離すると目視で判断される場合を「×」と判定し、保護層(D)が先に剥離すると目視で判断される場合を「○」とした。
<引張強度(引張伸度10%時)>
4cm×5cmに切り出した多層積層フィルムをPET/アルミニウム(アルミ蒸着)/ポリアクリロニトリルで構成される包装材料(E)に投入し、熱シールして密封した。その後、23℃、50%RH湿度下で1日放置後、該包装材料(E)を取り除いた後、支持体層(A)、及び保護層(D)を剥離し、15mm巾の試料を23℃、50%RH湿度下で、フィルム強伸度測定装置(島津製作所社製オートグラフ、AG−1、500N)を用い、引張り速度5mm/minで強伸度を測定し、引張伸度10%時の引張強度を求め、柔軟性の目安とした。
<支持体層(A)に用いるフィルム>
(1)EVOHフィルム
(株)クラレ製、エバールフィルム EF−E #15(厚み=15μm、エチレン含有量44%、鹸化度99%)
(2)ポリエステルフィルム
以下の4種類を用いた。
PET−0:東レ社製ルミラー S−10#50(厚み=50μm)
PET−1:ユニチカ社製エンブレットSM‐50(厚み=50μm)
PET−2:東レ社製ルミラーS−10#50、片面コロナ処理品(厚み=50μm)
<EVOH薄層(B−1)>
EVOH樹脂として(株)クラレ製 エバールEP−E105(エチレン含有量44%、鹸化度99%)を用い、該EVOH樹脂と35%含水ノルマルプロパノール溶液を10/90(重量比)の割合で混合し、80℃で加熱、攪拌下で溶解することでEVOH溶液を得た。さらに該溶液を上記支持層(A)を形成するフィルムに塗布し、60℃〜120℃の熱風乾燥炉にて30〜300秒乾燥・熱処理することで薄層(B−1)を形成した。
<(B−1)層を形成するために上記EVOH溶液に添加する微粒子、および該微粒子を含有した塗布用溶液の調製方法>
下記4種類のいずれかの微粒子を上記EVOH溶液に添加し、プライミクス社製ホモミクサーにて、回転速度8000rpm、5分間攪拌して塗布用溶液を調製した。
微粒子としては、下記の4種類を用いた。
(X−1)前記(B−1)層形成に用いたEVOH溶液をスプレードライヤーで乾燥微粉末化した多孔質粒子(平均粒径6μm)
(X−2)EVOH樹脂(エチレン含有量44%、鹸化度99%)を機械的に粉砕、微粉化した無孔質粒子(平均粒径8μm)
(X−3)ユニチカ社製ガラスビーズ、UBS−0010E(平均粒径7μm、無孔質)
(X−4)富士シリシア化学社製サイリシア450(平均粒径8μm、多孔質)
<薄層(B−2)>
ポリウレタンコート用エマルジョン液(三洋化成社製、パーマリンUA−368T)を用いた。該溶液を支持体層(A)を形成するフィルムに塗布し、60℃〜120℃の熱風乾燥炉にて30〜300秒乾燥・熱処理することで薄層(B−2)を形成した。
<粘着剤層(C)>
下記の3種類のいずれかを用いた。
(C−1)以下を混合し均一化
シリコーン系樹脂(東レ・ダウコーニング社製、BIO-PSA 7-4202) 79重量%
シリコーン系オイル(東レ・ダウコーニング社製、Q7-9120 SILICONE FLUID) 5重量%
化学薬品(気化性防錆剤:亜硝酸ジイソプロピルアンモニウム) 5重量%
希釈溶剤(酢酸メチル) 11重量%
(C−2)以下を混合し均一化
高重合度ポリイソブチレン(BASF製オパノールB−100) 9重量%
低重合度ポリイソブチレン(BASF製オパノールB−12) 4重量%
流動パラフィン(カネダ製ハイコールM−72) 11重量%
化学薬品(気化性抗菌剤:ヒノキチオールサリチル酸メチル) 1重量%
希釈溶剤(トルエン) 75重量%
(C−3)以下を混合し均一化
アクリル系樹脂(ヘンケル製DURO−TAK 87−2196) 53重量%
ミリスチン酸イソプロピル(以降IPMと略す) 11重量%
化学薬品(気化性防虫剤:o−フェニルフェノール) 5重量%
希釈溶剤(酢酸メチル) 31重量%
<保護層(D)に用いるフィルム>
以下の2種類を用いた。
(D−1)藤森工業社製SF3(厚み=50μm)
(D−2)東洋紡社製K1504(厚み=50μm)
<粘着剤層(C)/保護層(D)積層体>
保護層(D)の離型コート面側に、上記粘着剤溶液を粘着剤層(C)の厚みが60μmとなるようコーティング・乾燥し、粘着剤層(C)/保護層(D)の積層体を得た。
<実施例1〜9および比較例1〜3>
上記製造方法にて作製した、支持層(A)/柔軟バリアー層(B)で構成される積層体と、粘着剤層(C)/保護層(D)の積層体を、柔軟バリアー層(B)と粘着剤層(C)とが対面する方向でTOLAMI製 DX−700型 テーブルラミネーターにて常温下、ラミネート速度1m/minで積層した上記同条件で積層することで該多層積層フィルムを作製した。多層積層フィルムの構成、性能評価を表1に示す。
表1、表2の結果から明らかなように、支持体層(A)/柔軟バリアー薄層(B)/粘着剤層(C)/保護層(D)を順次積層した多層フィルムで構成され、かつ支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度が粘着剤層(C)と保護層(D)との剥離強度よりも高い実施例1〜9の多層積層フィルムは引張伸度10%時の引張強度が低く柔軟性があり、貼付後の伸縮追随性が優れており、糊残り性が良好であった。一方、柔軟バリアー薄層(B)を有しない比較例1、2は支持体層(A)の剥離性が悪く、かつ引張伸度10%時の引張強度が著しく高く、貼付後の伸縮追随性が劣っていた。さらに(B−1)層の厚みが5μmよりも厚い比較例3は引張伸度10%時の引張強度が高く、貼付後の伸縮追随性が劣っていた。
本発明は、家具、壁紙、衣装ケース、板紙、ダンボール紙、木材、建材、野菜、果物、医療用品などの機能性保護フィルムなどに適用できる。




Claims (5)

  1. 支持体層(A)に、柔軟バリアー薄層(B)、粘着剤層(C)、及び保護層(D)を順次積層した多層フィルムを含み、以下(1)〜(3)を満足することを特徴とする多層積層フィルム。
    (1)支持体層(A)と柔軟バリアー層(B)との間の剥離強度が10〜200g/15mm巾であり、
    (2)支持体層(A)と柔軟バリアー薄層(B)との剥離強度が、粘着剤層(C)と保護層(D)との剥離強度より高く、
    (3)柔軟バリアー薄層(B)は、厚みが5μm以下のエチレンービニルアルコール共重合体樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)である。
  2. 柔軟バリアー薄層(B)が、エチレンービニルアルコール共重合体樹脂で少なくとも構成される薄層(B−1)と、それ以外の樹脂で構成される薄層(B−2)との積層体である、請求項1記載の多層積層フィルム。
  3. 柔軟バリアー薄層(B)を構成する薄層(B−1)、および薄層(B−2)の界面に、凹凸処理、および/または化学処理を施すことを特徴とする請求項1または2記載の多層積層フィルム
  4. 薄層(B−2)を構成する樹脂がポリウレタン、あるいはそれ以外の熱可塑性エラストマーである、請求項1〜3のいずれか記載の多層積層フィルム。
  5. 粘着剤層(C)が接する柔軟バリアー薄層(B)の界面に凹凸処理、および/または化学処理を施すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載の多層積層フィルム。










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