JP6505430B2 - 光学フィルタ及び撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、カメラ等の光学系に用いられる光学フィルタ及びこの光学フィルタを備えた撮像装置に関する。
撮像装置に搭載される光学フィルタとしては、所定の波長域における光透過を制限するにあたって、光が透過する透過帯域において透過率が安定しない、いわゆるリップル(透過リップル)が発生することが知られている(特許文献1参照)。
特開2008−070827号公報
ここで、透過帯域におけるリップル対策としては、従来から種々提案されているが、透過帯域の透過率を落とすことなく、リップルを効果的に低減することは非常に難しい。
本発明は、光が透過する透過帯域において透過率を落とすことなくリップルを低減できる光学フィルタ及び撮像装置を提供する。
本発明の光学フィルタは、透明基板と、前記透明基板上に第1の薄膜と、前記第1の薄膜よりも屈折率の低い第2の薄膜交互に積層して設けられ、所定の波長域にて光透過域及び光透過制限域を持った光学特性を有する光透過制限構造体と、前記透明基板と前記光透過制限構造体との間に設けられ、前記光透過制限構造体の前記光透過領域におけるリップルを低減するリップル低減層とを備え、前記リップル低減層は、屈折率1.80以上の第3の薄膜の単層、又は、前記第3の薄膜と前記第3の薄膜よりも屈折率の低い第4の薄膜とを交互に積層して設けられた積層体、から構成され、前記第3の薄膜及び前記第4の薄膜の各々はいずれも、前記第1の薄膜及び前記第2の薄膜のいずれよりも薄い厚さを有し、前記リップル低減層は、前記透明基板上に他の薄膜を介することなく設けられ、前記光透過制限構造体は、前記リップル低減層上に他の薄膜を介することなく設けられていることを特徴とする。
かかる本発明の態様によれば、効果的に透過リップルを低減できる
また、本発明の光学フィルタは、透明基板と、前記透明基板上に第1の薄膜と、前記第1の薄膜よりも屈折率の低い第2の薄膜交互に積層して設けられ、所定の波長域にて光透過域及び光透過制限域を持った光学特性を有する光透過制限構造体と、前記透明基板と前記光透過制限構造体との間に設けられ、前記光透過制限構造体の前記光透過領域におけるリップルを低減するリップル低減層とを備え、前記リップル低減層は、前記第1の薄膜と同じ材料の第3の薄膜の単層、又は、前記第3の薄膜と前記第3の薄膜よりも屈折率の低い第4の薄膜とを交互に積層して設けられた積層体、から構成され、前記第3の薄膜及び前記第4の薄膜の各々はいずれも、前記第1の薄膜及び前記第2の薄膜のいずれよりも薄い厚さを有し、前記リップル低減層は、前記透明基板上に他の薄膜を介することなく設けられ、前記光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄い厚さであり前記透明基板と前記光透過制限構造体は、前記リップル低減層上に他の薄膜を介することなく設けられていることを特徴とする。
かかる本発明の態様では、効果的に透過リップルを低減できる
また、上記本発明の光学フィルタは、前記第3の薄膜は、屈折率1.80以上の薄膜であることを特徴とする。
かかる本発明の態様では、効果的に透過リップルを低減できる
また、上記本発明の光学フィルタは、前記光透過制限構造体は、前記透明基板の一方面側に薄膜を積層して設けられた第1光透過制限構造体と、前記透明基板の他方面側に薄膜を積層して設けられた第2光透過制限構造体とを有し、前記リップル低減層は、前記透明基板及び前記第1光透過制限構造体の間に設けられて前記第1光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄い厚さで形成された第1リップル低減層と、前記透明基板及び前記第2光透過制限構造体の間に設けられて前記第2光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄い厚さで形成された第2リップル低減層とを有することを特徴とする。
かかる本発明の態様では、光透過制限構造体を透明基板の両面に分割配置してフィルタ全体の応力負荷を低減して反りの発生を防止し、各光透過制限構造体に対応してリップル低減層を設けることで各光透過制限構造体の光透過帯域におけるリップルを効果的に低減できる。
また、上記本発明の光学フィルタは、前記第1光透過制限構造体を構成する薄膜と、前記第2光透過制限構造体を構成する薄膜とは、それぞれ異なる膜厚で形成され、
前記第1リップル低減層と前記第2リップル低減層とは、それぞれ異なる膜厚で形成されたことを特徴とする。
かかる本発明の態様では、第1光透過制限構造体を構成する薄膜に対応して第1リップル低減層の膜厚を規定し、第2光透過制限構造体を構成する薄膜に対応して第2リップル低減層の膜厚を規定することで、より効果的にリップルを低減できる。
また、上記本発明の光学フィルタは、前記光透過制限構造体上には、反射防止層が設けられ、前記リップル低減層は、前記反射防止層よりも薄い厚さで設けられたことを特徴とする。
かかる本発明の態様では、反射防止層よりも薄くリップル低減層が設けられることで、光透過帯域において透過率を落とすことなく、より効果的にリップルを低減できる。
なお、本発明は、上述した光学フィルタを備えた撮像装置にも広く適用可能である。
かかる本発明の態様では、光透過制限構造体の面上に対してリップル低減層が光透過制限構造体よりも薄い厚さで設けられた光学フィルタを搭載したことで、光透過制限構造体の光透過帯域において透過率を落とすことなくリップルを効果的に低減でき、撮像品質を向上できる。
本発明は、光が透過する透過帯域において透過率を落とすことなくリップルを低減できる光学フィルタ及び撮像装置を実現することができる。
一実施形態における光学フィルタの分光透過特性図。 一実施形態における透過リップルの比較説明の分光特性図。 一実施形態における透過リップルの比較説明の構成図。 一実施形態におけるTiO膜とSiO膜の屈折率の波長分散特性図。 光学フィルタの製造方法の説明図。 一実施形態における薄膜積層構造の説明図。 一実施形態における他の構成の説明図。 一実施形態における光学フィルタの分光透過特性図。 他の実施形態における撮像装置の概略図。 他の実施形態における撮像装置の概略図。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の光学フィルタは、透明基板と、この透明基板上に薄膜を積層して設けられた光透過制限構造体とを備え、光透過制限構造体が設けられた基板上の面側において、透明基板と光透過制限構造体との間のみにリップル低減層を設けた点に特徴がある。このような構成とすることにより、詳細は後述するが、光透過制限構造体の光透過帯域において透過率を落とすことなくリップルを効果的に低減できる。
ここで、本発明におけるリップル低減層は、光透過制限構造体が設けられた基板上の面側において、光透過制限構造体と透明基板との間のみに形成されており、これにより高い透過を実現しつつ、透過リップルを低減する事が可能となる。さらには、このようなリップル低減層の厚さを薄く形成すること、すなわち、光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄くすることで、光透過制限構造体におけるリップルの低減効果をより高める事ができる。
また、リップル低減層を形成する材料は、上述した光透過制限構造体のうちリップル低減層と隣り合う薄膜の材料と同系の材料、例えば、光透過制限構造体の薄膜が酸化膜であればリップル低減層も同系の酸化膜とするのが好ましい。これにより、リップル低減層と光透過制限構造体との密着力を高めることが可能となる。
なお、このようなリップル低減層は、その上に形成される光透過制限構造体を構成する複数の薄膜のうち、最も膜厚が小さい薄膜に基づいて、それよりも厚さを小さくして形成するのが望ましい。また、リップル低減層は、その直上に形成される薄膜の膜厚に対応してそれよりも薄く形成することも有効である。すなわち、リップル低減層は、透明基板と光透過制限構造体との界面において、光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄く形成されるのがよい。
また、リップル低減層は、1層構造でもよいが、多層構造としてもよい。この場合、光透過制限構造体が設けられた基板上の面側において、基板と光透過制限構造体との間の位置のみに、例えば、光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄い厚さでそれぞれ積層された複数の多層膜から構成されるのがよい。これにより、フィルタ透過帯域における透過率の低下を抑えて、実質的にリップルだけを効果的に低減することが可能となる。
ここで、本発明では、透明基板の一方面だけに光透過制限構造体を設ける場合には、上述したように、透明基板と光透過制限構造体との間にリップル低減層を設けた構造となるが、透明基板の両面に光透過制限構造体を設ける場合にも適用可能である。
例えば、透明基板の一方面に第1光透過制限構造体を設け、透明基板の他方面に第2光透過制限構造体を設けてもよい。この場合には、透明基板の一方面と第1光透過制限構造体との間に第1リップル低減層を設け、透明基板の他方面と第2光透過制限構造体との間に第2リップル低減層を設ける。すなわち、第1リップル低減層は、第1光透過制限構造体に対応し、第2リップル低減層は、第2光透過制限構造体に対応する。
このとき、第1リップル低減層は、第1光透過制限構造体を構成する薄膜の膜厚よりも薄く形成し、第2リップル低減層は、第2光透過制限構造体を構成する薄膜の膜厚よりも薄く形成する。
また、本発明では、第1光透過制限構造体を構成する薄膜と、第2光透過制限構造体を構成する薄膜とをそれぞれ異なる膜厚で形成した場合、これに対応して、第1リップル低減層と第2リップル低減層とをそれぞれ異なる膜厚で形成するのがよい。
例えば、第1光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄く第1リップル低減層を設け、第2光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄く第2リップル低減層を設けるのがよい。すなわち、第1光透過制限構造体を構成する薄膜に対応して第1リップル低減層の膜厚を規定し、第2光透過制限構造体を構成する薄膜に対応して第2リップル低減層の膜厚を規定するのがよい。これにより、第1光透過制限構造体及び第2光透過制限構造体の各透過帯域に対応するリップルを個別に低減できる他、フィルタ全体としてのリップルも併せて透過率の低下を招くことなく低減することができる。
なお、上述したように、透明基板の両面に1つの光透過制限構造体を分割配置すれば、
フィルタ全体の応力負荷を低減して反りの発生を防止できる他、個別にリップル低減対策を施すことが可能となる。
ここで、本発明の光学フィルタの形態について、具体的に説明する。本実施形態の光学フィルタは、例えば、近赤外光領域及び紫外光領域の所定の波長領域の光線の透過を制限し、且つ可視光領域の所定の波長領域の光線を透過するバンドパスフィルタであるUVIRカットフィルタ、あるいは、近赤外光領域の所定の光線の透過を制限し、可視光領域の所定の波長領域の光線を透過するエッジフィルタであるIRカットフィルタである。
なお、上記これらのフィルタは、基板上に複数層の薄膜を積層する事により作製され、この薄膜は物理的、若しくは化学的成膜方法で形成してもよいし、スピンコートなどの塗装法で形成してもよい。
このような光学フィルタの場合、ガラス基板を用いることが多いが、近年の光学装置の小型化・軽量化の要求により、光学系においても更なる省スペース化が求められており、更なる薄型化が求められている。
例えば、ガラス基板は、薄くなると機械的強度が極端に低くなり、破損の可能性を著しく高めてしまうおそれがあるため、量産性などに不向きである。そこで、そのような場合には、柔軟性が高いプラスチック基板を用いれば、薄くても基板そのものが割れてしまうのを未然に防止することができる。
ここで、例えば、光学フィルタの基材としてプラスチック基板を用いた場合は、成膜プロセスにおける熱ストレスを考慮することが好ましい。ガラス基板と比較し、ガラス転移温度が極端に低いプラスチック基板を用いること、基板と膜との線膨張係数の差に起因する基板の不規則な反りや、この反りに伴う蒸着膜表面における皺やクラック等の発生が考えられる。
そこで、成膜中に発生する熱への対策を講じることが好ましく、例えば、耐熱温度の高い基板材料を選択したり、成膜中での低温プロセスを行ったりする方法が有効である。プラスチック基板を用いた本実施形態では、例えば、吸熱機構を成膜装置に持たせ、成膜中に基板に発生する熱を強制的に取り除く手法を用いた。この際、成膜プロセスで到達する基板上の最高温度を予め測定し、その温度に耐える事ができる基材を選択することが望ましい。例えば、本実施形態では、成膜プロセスの安定性を考慮し、先に実験した到達最高温度にある程度の許容値を加味し、ガラス転移温度を適性判断のパラメータとし、概ね70℃以上のガラス転移温度を持つ材料を用いた。
また、この場合、成膜中の温度が通常成膜に比べ低くなるため、特に何らかのアシストを付加したり、スパッタなど比較的高エネルギーで成膜され膜密度が高くなるプロセスを選択したりすることがより好ましい。より具体的には、例えば、スパッタ法、IAD法、イオンプレーティング法、IBS法、クラスター蒸着法など、膜厚を比較的正確に制御でき、再現性の高い膜を得る事ができる成膜方法であればよく、必要とされる膜の性質や、基板を含めた各材料の制約条件等から最適な方法を選択すればよい。
以上のように、最終製品の仕様や、その作製プロセスなどを加味し、ガラスやプラスチックなどの中から最適な基材を適宜選択することが望ましい。
ここで、例えば、UVIRカットフィルタやIRカットフィルタは、比較的積層する膜数が多く、膜応力に起因した反りの問題を引き起こし易く、特に薄いガラス基板や樹脂基板の場合には顕著となる。そこで、基板の両面に同じ材料、同じ膜厚で積層した場合が最も膜応力を低減できる。
一方、所望の光学特性を持たせるためには、積層薄膜の構成設計において、基板の片面に設計した場合と同じ積層数となるように膜設計を行うことが難しい場合がある。また、光学特性と膜応力の緩和を同時に満足するためには積層数が増えることとなり、光学フィルタの製作の工数アップの要因となりかねない。そこで、所定の阻止波長領域を有する薄膜積層構造体を基板の両面に分割配置することが望ましく、可能な限り基板両面で実質的に同等の膜厚となるように配置することで、過剰に積層数を増やすことなく、また光学特性を犠牲とすることなく、フィルタの反りを緩和することができる。
ここで、図1〜図3を参照し、UVIRカットフィルタを例に挙げ、薄膜積層構造体について説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光学フィルタの分光透過特性を示す。図2には、本発明の一実施形態に係る光学フィルタの透過リップルの比較説明のための分光特性図を示す。図3は、本発明の一実施形態に係る光学フィルタの透過リップルの比較説明のための概略構成図を示す。
図1に示すような分光透過特性を持つUVIRカットフィルタを、所定の阻止波長領域を有する複数の薄膜積層構造体により形成する場合、可視波長から紫外波長にかけての所望する波長域に第1の阻止域、可視波長から近赤外波長にかけての所望する波長域に第2の阻止域、前記第2の阻止波長域から更に近赤外波長にかけての所望の波長域に第3の阻止域を持つ、3つの阻止波長領域により構成されることになる。
そして、1つの阻止波長領域を構成する薄膜積層構造体を1つのブロックとして考えると、上述した第1〜第3の阻止域を形成する3つのブロックにより形成される。これをそれぞれ第1スタック、第2スタック、第3スタックとする。これら3つのスタックそれぞれは、異なる中心波長を持ち、これをλとした場合、高屈折率材料と低屈折率材料とを、それぞれ交互にλ/4ずつ積層した構成などを基本とし、所望の光学特性を得る為に各層の膜厚に概ね0.7〜1.3倍程度の微調を加え積層する。
また、このような膜厚を表記する方法としてλ/4を1つの単位とし、例えば、2.0×λ/4 の膜厚の場合は2.0qwと表現する方法がある。これより、先の3つのスタックにおける中心波長を1つの基準波長λに置き換えれば、このλを共通に用いてそれぞれのスタックの膜厚を表現することができる。
次に、透過帯でのリップルの低減方法について説明する。
図2(a)は、450nm〜650nmを透過帯とし、750nm〜950nmを阻止帯とし、TiO2膜とSiO2膜とを交互に18層積層することで構成された、同じ設計コンセプトで最適化された4種類のIRカットフィルタの分光透過特性例である。図2(b)は、図2(a)の透過帯を拡大した図である。
ここで、図3で示すように、これらの4種類は、ベースとなる薄膜積層構造体32と最表層に配置される反射低減を目的とした反射防止構造体33に対し、リップルを低減するためのリップル低減層31の挿入位置がそれぞれ異なっており、図3(a)は基板30と薄膜積層構造体32との間に、図3(b)は薄膜積層構造体32と反射防止構造体33との間に、図3(c)は薄膜積層構造体32の中心層付近に、それぞれ挿入された例を示しており、図3(d)はリップル低減層31を挿入しない例である。
これら図3に示す4種類のフィルタは、透過帯の透過の最大化と、阻止域の透過の最小化を優先し、次に透過リップルの低減を優先するコンセプトで最適化された。なお、図4には、本実施形態で用いたTiO2膜とSiO2膜の屈折率の波長分散特性を示す。
ここで、リップル低減層31は薄膜積層構造体32を形成する複数の薄膜や反射防止構造体33と比較し、膜厚が非常に薄い特徴を有している。より具体的に示すと、先の阻止域を構成する図3で示した薄膜積層構造体32の場合、概ね1.5〜2.0qw(λ:500nm)、反射防止構造体33は1.0qw(λ:500nm)前後である。これに対し、リップル低減層31は概ね0.1以下から0.4qw(λ:500nm)の膜厚となる。
このように本実施形態の光学フィルタでは、上述したリップル低減層31が全ての層の中で最も薄い層となる。また、このリップル低減層は2層以上あってもよいが、その場合も、全てのリップル低減層31を構成する各薄膜は、薄膜積層構造体32や反射防止構造体33を形成する層(薄膜)よりも薄くするのがよい。
ここで、図2で示すように、4種類のフィルタの中で、最も透過帯でのリップルが小さいのは図3(a)であった。各条件を数値として比較するため、リップルの評価値として、透過帯での透過率を直線近似し、その近似値と実際の透過率との差の絶対値を1nmピッチで計算し、それを透過帯全域で足し合わせた値を波長領域で割り、透過領域における1nmあたりの透過率近似直線とのズレ量を算出した。求めた値が小さいほど、リップルが小さいと評価できる。図3の例の場合、この評価値が図3(a)は0.227、図3(b)は0.466、図3(c)は0.518、図3(d)は0.417となり、図3(a)が最も小さい値となった。
また、再現性を確認するため、同じ設計コンセプトの基、同様の膜設計を繰り返し行い、同様の方法でリップルの大小を比較したが、収束する最適解を比較すると、図3(a)と同じ位置にリップル低減層31を挿入した設計が常に最もリップルが小さくなり、図3(c)が常に最もリップルが大きくなる結果となった。また、図3(b)と図3(d)は同じような値をとり、場合によってリップルの評価値の順位が入れ替わる結果となった。以上より、リップル低減層31を挿入しない図3(d)よりも、確実に透過リップルが低減されたのは図3(a)の構成のみであった。
これは、積層数を一定とした場合、図3(b)の位置だと、表層に配置された反射防止構造体33への影響が大きくなるため、透過帯の反射の最小化、つまり透過帯の透過の最大化と、リップル低減とを同時に満足することが難しくなってしまう。また図3(c)の位置の場合、薄膜積層構造体32を分割してしまうような配置となり、薄膜積層構造体への影響が大きくなり、結果薄膜積層構造体による阻止域での反射の最大化を阻害してしまう。これらのことから、これと同時にリップルを低減することが難しくなってしまう理由と考えられる。
さらに、図2(a)に示したように、図3(c)のような分割構成の場合のみ、透過の阻止域に大きなリップルが生じる可能性が著しく高まる別の問題もある。これは前述のように、薄膜積層構造体32を分割してしまうような配置構成となり、薄膜積層構造体による透過阻止波長領域での反射の最大化に悪影響を与えてしまう理由からである。従って、仮に図3(a)の位置に調整層を挿入し、さらに図3(c)の位置にも別のリップル低減層31を挿入したとしても、図2(a)における図3(c)の分光透過特性のように悪影響を受けてしまい、阻止域で大きなリップルが生じてしまったり、透過率が低減してしまったり、これに対応するために積層数を大幅に増加させたりするなどの別の不具合が生じてしまう。これは薄膜積層構造体を複数有する場合も同様であり、ある1つの薄膜積層構造体は、その構造体中に、例えば極薄のリップル低減層や別の薄膜積層構造体など、中心波長が大きく異なる単層膜及び複数層を挿入したような構造を取ることは好ましくなく、このような分割配置を取らず、一体的な配置構成とすることが望ましい。以上より、透過リップルを低減するための調整層となるリップル低減層31は、基板30上の薄膜積層構造体が設けられた面側において、基板30と薄膜積層構造体32との間のみに配置されることが必要となり、さらには、リップル低減効果を高めるために薄膜化されることが望ましい。この構成に加え、基板30のもう一方の面側にも他の薄膜積層構造体32を設けた場合も同様であり、基板30上の薄膜積層構造体32が設けられた面側において、基板30と薄膜積層構造体32との間のみにリップルを低減するための調整層となるリップル低減層31が配置されると共に、他の薄膜積層構造体32が設けられた基板30上のもう一方の面側においても、基板30と他の薄膜積層構造体32との間のみにリップルを低減するための他の調整層となるリップル低減層31を配置すれば同様の効果を得ることができる。
ここで、本実施形態における図3(a)でのリップル低減層31のより具体的な膜厚は0.143qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は7.35nmとなった。また、λを600nmとした場合は0.116qw、λを700nmとした場合は0.097qwとなった。
また、この図3(a)と同じ挿入位置の場合、前述した全ての膜設計における収束解で、1層目となる調整層のTiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.233qw以下、λが600nmの時0.189qw以下、λが700nmの時0.159qw以下となり、可視波長(400nm)の3%以下となる、物理膜厚で12nm以下となった。
また同様に、この図3(a)と同じ挿入位置の場合、前述した全ての膜設計における収束解で、1層目となる調整層TiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.078qw以上、λが600nmの時0.063qw以上、λが700nmの時0.053qw以上となり、可視波長(400nm)の1%以上となる、物理膜厚で4nm以上となった。
また、このような構成は、UVIRカットフィルタやIRカットフィルタだけに限らず、透過帯と阻止帯とを有する様々なバンドパスフィルタ、及びエッジフィルタ等に適用する事が可能であり、同様の効果を得ることができる。
さらに、このような本実施例の光学フィルタをビデオカメラ等の撮影装置に使用することにより、透過リップルによる画像劣化が少ない撮像装置とすることができる。また、プラスチック基板を使用した場合は、光学フィルタを装置に組み込むときの破損等も、従来のガラスを使用した光学フィルタよりも少なく、装置の組立が容易となる。
なお、ここでは反射防止構造体は1層の薄膜で構成されたが、これに限らず複数層で形成されてもよいし、可視光波長以下のピッチ有する反射防止効果を持つ微細構造体で形成されてもよく、またこれらの複合体であってもよい。
微細構造体の場合、その構成や形状は反射低減効果を得られるものであれば特に限定されることはなく、例えば、所定のピッチで周期的に設けられた凹凸構造を用いることができる。このような凹凸構造としては、ランダムあるいは規則的に形成された針状体及び柱状体等の突起、階段形状に微細に形成された凹凸構造の突出部または凹部によって、大気や隣接する媒体との屈折率差を低減したもの等を挙げることができ、目的に応じて任意に選択したものを用いることができる。そのような微細構造の具体例としては、例えば高さ400nm、周期250nm釣鐘型のモス・アイ形状のような、多数の突起を二次元状に配置した構造などがある。このような、例えば可視光の波長よりも短い周期で配置された多数の突起や凹凸構造などからなる微細構造体であれば、熱ナノインプリント法や光ナノインプリント法などの方法を用いることで再現性よく、さらには生産性高く作製することができる。また、剛性などの観点から、前述の高さを周期で割ったアスペクト比が、0.8〜2.0の範囲であることが特に望ましい。さらに、突起部の配列に関して、正方配列や三方(六方)配列などが考えられるが、三方配列の方が基板側表面の露出面が少ないことなどの理由から反射低減効果を高めることが可能である。
ここで、微細構造と下地層との密着性を向上させる必要がある場合は、プライマー処理を行い、これらの界面に密着層を設けることも可能である。さらに、下地層に何らかの悪影響を与えない範囲であれば、プライマー液をより均一に塗工する為に、プライマー液塗工前に、UVオゾンなどによる親水化処理を施してもよい。また、このようなプロセスによる塗工を行う際、例えば、マスキングを施したり、プロセスをインクジェット法やグラビア法、マイクロコンタクトプリント法などに変えたりすることで、塗工領域を制限することも可能である。
(実施例1)
UVIRカットフィルタの作製について、以下に詳しく記載する。
UVIRカット膜を形成する基板には厚さZeonor(日本ゼオン製 製品名/登録商標)フィルムを使用し、所望する紫外波長領域と近赤外波長領域の一部の透過を制限し、これらに挟持された波長領域である可視波長領域の一部を透過帯とした図1に示すような分光透過率特性を有するように設計を行った。
Zeonorフィルムはガラス転移温度が100℃以上と比較的高く、基板のうねりを低減できる理由から選択した。本実施例ではノルボルネン系材料であるZeonorを使用したが、この他に、Arton(JSR製、製品名/登録商標)や、ポリイミド系の樹脂フィルムなども好適な基材の1つである。また、これらに限らずPETやPEN、PC、PES、PMMAなどであってもよい。
フィルム1枚は縦横共に100mmの正方形状であり、成膜エリアが図5のようになるようにフィルム上にマスクを施すことで、同一フィルム上の数箇所で縦横ともに10mmの正方形の範囲を成膜し、図5のように成膜後にそれぞれを切り抜いた。これと同様に、外形形状を決めるマスクは用いず、基板全面に成膜した後、膜面を所望の形状に加工する手法でも、同様のフィルタを作製することが可能である。
また、蒸着膜を形成する蒸着材料には、高屈折率材料にはTiOを、低屈折率材料にはSiOを使用し、膜構成は図5で示すようなSiOとTiOの交互層を基板両面に構成し、基板上の両面29層/21層を積層し、両面で50層膜構成とし、比較的剛性の低い樹脂フィルム基板を用いた事から、反りやうねりを低減する目的で、両面で略同じ膜厚となるように29層膜は物理膜厚で約2500nm、21層膜は約2700nmとなるように構成した。また、各面それぞれの基板直上の2層をリップルを低減する為の調整層とした。ここで、本実施例1で用いたTiO膜とSiO膜は図10に示すような屈折率の波長分散特性を有している。
この他に、高屈折率材料としてはNbやZrO、Taなどが使用され、低屈折率材用としてはMgFなどが使用される場合もある。設計上や成膜上の理由から中間屈折率材料であるAlなどを一部の層で使用する場合もあるが、その時々で最適な材料の組合せを選択すればよい。
図1に示した分光透過特性の設計値のように、本実施例で作製するUVIRカットフィルタは、可視波長から紫外波長にかけての約300〜400nmの波長領域に第1の阻止波長領域を有しており、更に可視波長領域から近赤外波長領域にかけての約700〜900nmの波長領域に第2の阻止波長領域を、約900〜1100nmの波長領域に第3の阻止波長領域を有した、3つの阻止波長領域により構成されている。また、第1と第2の阻止波長領域に挟まれた約400〜700nmの可視波長領域の一部である約450〜630nmの波長領域が透過帯となっており、この領域では可能な限り高い透過と、低い透過リップルとなるように構成されている。
本実施例における成膜方法としては、アシストを付加した他の成膜方法と比べ、比較的膜に起因する応力を小さい値に制御できる理由から、DCパルス重畳型のRFのイオンプレーティング法を用いた。
成膜中は成膜開始から成膜終了までの全層において成膜基板裏面を冷却しながら蒸着を行った。冷却冷媒には水を使用し10℃で温度制御をおこなった。
成膜工程においては、まずは基板表面に21層膜を成膜後、Zeonorフィルムの表裏を変え、表面と同様にマスクを施して、裏面に29層膜を形成した。ここで、両面ともに、基板の直上に形成される第一層となる層に、リップルを低減する為の調整層を配置した。21層膜において、反射防止構造体である最表層の反射防止層は約1.0qw程度(λ=500nm)、第3の阻止波長領域を形成する薄膜積層構造体は2.1qw前後(λ=500nm)であるのに対し、調整層は約0.1qw前後(λ=500nm)となった。
より具体的には、本実施例1における21層膜の1層目となるSiO2膜の調整層の膜厚は0.118qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は10.17nmとなった。また、λを600nmとした場合は0.098qw、λを700nmとした場合は0.084qwとなる。同様に、21層膜の2層目となるTiO2膜の調整層の膜厚は0.131qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は6.74nmとなった。また、λが600nmの場合は0.106qw、λが700nmの場合は0.089qwとなった。
また、同様に、29層膜において、反射防止構造体である最表層の反射防止層は約1.0qw程度(λ=500nm)、第1の阻止波長領域を形成する薄膜積層構造体は0.6qw前後(λ=500nm)、第2の阻止波長領域を形成する薄膜積層構造体は1.7qw前後(λ=500nm)、であるのに対し、調整層は約0.1qw(λ=500nm)前後となった。より具体的には、本実施例1における29層膜の1層目となるSiO2膜の調整層の膜厚は0.096qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は8.27nmとなった。また、λを600nmとした場合は0.080qw、λを700nmとした場合は0.068qwとなる。同様に、29層膜の2層目となるTiO2膜の調整層の膜厚は0.125qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は6.43nmとなった。また、λが600nmの場合は0.101qw、λが700nmの場合は0.085qwとなった。このように、全ての層の中で、調整層が最も膜厚が薄い構成とした。
さらに、略同等の光学特性となるように何度も膜設計を行ったが、全ての設計例において、両面ともに1層目となる調整層のSiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.163qw以下、λが600nmの時0.135qw以下、λが700nmの時0.116qw以下となり、物理膜厚で14nm以下となった。同様に両面ともに2層目となる調整層TiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.233qw以下、λが600nmの時0.189qw以下、λが700nmの時0.159qw以下となり、可視波長(400nm)の3%以下となる、物理膜厚で12nm以下となった。
また同様に、全ての設計例において、両面ともに1層目となる調整層のSiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.070qw以上、λが600nmの時0.058qw以上、λが700nmの時0.050qw以上となり、物理膜厚で6nm以上となった。同様に両面ともに2層目となる調整層TiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.078qw以上、λが600nmの時0.063qw以上、λが700nmの時0.051qw以上となり、可視波長(400nm)の1%以上となる、物理膜厚で4nm以上となった。
成膜中の最大温度は両面共に60℃以下であり、概ね50℃弱程度となった。これは基板表面に予め設置しておいた真空中専用のサーモラベルより測定した結果である。基板であるZeonorフィルムの転移温度よりも十分に低い値となった。
また、上記方法により製作された複数のサンプルで高温高湿の環境試験を行った。1000時間後では環境試験開始前と比較しIR側の半値波長での透過率変化はシフト量が平均で0.5nm以下となった。測定器の誤差等を考慮すると、略変化の無い、所謂ノンシフトに近い膜質を得ることができた。
フィルタの外観に関しても良好であり、反りや凹凸、更にシワやクラック等は発生しておらず、環境試験後もシワやクラック等の発生は確認されなかった。
また、同様に作製された別サンプルにおいて、ドライ環境下での高温試験を実施したが、1000時間経過後であってもシワやクラック等の発生は確認されなかった。
さらに、熱衝撃試験を実施したが、1000サイクル経過後であってもシワやクラック等の発生は確認されなかった。
以上のように製作されたUVIRカットフィルタは図1で示した設計値と略同様の分光透過率特性を得ることができた。
ここで、作製されたUVIRカットフィルタについて、前述した計算式を用いて、透過帯のリップルを評価した。本実施例では透過帯450nm〜630nmの波長領域における、1nmあたりの透過領域における透過率近似直線とのズレ量を算出したところ、その値は0.258となり、前述の例と比較しても透過リップルを非常に小さい値に制御する事ができた。
なお、本実施例においては、UVIRカットフィルタとして紫外波長領域と近赤外波長領域の一部を、第1阻止域A〜第3阻止域Cの3つに分割する事で、3つの薄膜積層構造体を用いた構成としたが、薄膜積層構造体を組み入れた構成は、これに限らず様々な構成を取ることが可能である。例えば、図6(a)、図6(b)で示す概略図のように、IR領域のみに3つの阻止域を設ける構成や、UV領域1つとIR領域3つの合計4つの阻止域を構成する事も可能であり、これらを基板両面に適宜分割配置する事ができる。
また、本実施例では基板上の1層目をSiO膜としたが、1層目をTiO2膜とする事も可能であり、その場合、調整層を1層目だけで構成しても、本実施例と同等レベルの透過リップル低減を実現することが可能となる場合がある。これは基板との屈折率差に起因しており、本例のような基板の屈折率が約1.55程度の基板に対し、隣接する極薄の調整層を形成する物質の屈折率との差が大きいほど透過リップルを低減し易く、屈折率が約1.46程度のSiO膜よりも、2.3以上の屈折率を持つTiO膜の方が、より効率的に透過リップルを低減できる。同様の理由から、逆に1層目がSiO膜のまま、調整層を1層目だけで構成した場合は、本実施例と同等レベルに透過リップルを低減することは難しい場合がある。従って、IRカットフィルタやUVIRカットフィルタなどに用いられる屈折率が1.45〜1.65程度の透明基板を用いた場合、透明基板と薄膜積層構造体との間に、概ね1.80以上の屈折率を持つ、例えばZrOやNb2O、Ta、TiOなどを主成分とした高屈折率材料により構成された極薄の調整層を少なくても1層以上配置することで、透過リップルを大幅に低減することが可能となる。
さらには、1層目を基板との屈折率差が小さい薄膜、本実施例であればSiO膜などとした場合、この層を厚膜化し、2層目に基板との屈折率差が大きい薄膜、本実施例であれば、TiO膜などにし、2層目を極薄の調整層とする事で、透過リップルを低減する事も可能であるし、これに加え、3層目以降も調整層として極薄層を配置する事も可能である。このように、基板と、基板に最も近い位置に配置された薄膜積層構造体との間に、基板との屈折率差が大きい、概ね1.80以上の屈折率を持つ極薄の調整層を配置する事で、IRカットフィルタなどにおける、透過リップルを大幅に低減する事が可能となる。
(実施例2)
IRカットフィルタの作製について、以下に詳しく記載する。
IRカット膜を形成する基板には厚さ0.4mmのBK7ガラスを使用し、所望する紫外波長領域と近赤外波長領域の一部の透過を制限し、これらに挟持された波長領域である可視波長領域の一部を透過帯とした図8に示すような分光透過率特性を有するように設計を行った。
また実施例1と同様に、基板上にマスクを施す事で、同一基板上の数箇所で縦横ともに10mmの正方形の範囲を成膜し、図5のように成膜後にそれぞれを切り出した。
蒸着膜を形成する蒸着材料には、高屈折率材料にはTiOを、低屈折率材料にはSiOを使用し、膜構成は図6で示すようなSiOとTiOの交互層を基板両面に構成し、基板上の両面19層/21層を積層し、両面で40層膜構成とし、比較的剛性の高いガラス基板を用いたが、可能な限りで反りやうねりを低減する目的で、両面で出来るだけ同じ膜厚となるように調整し、19層膜は物理膜厚で約2600nm、21層膜は約2000nmとなるように構成した。また、各面それぞれの基板直上の2層をリップルを低減する為の調整層とした。ここで、本実施例2で用いたTiO膜とSiO膜は図4に示すような屈折率の波長分散特性を有している。
図8に示した分光透過特性の設計値のように、本実施例で作製するIRカットフィルタは、可視波長領域から近赤外波長領域にかけての約700〜900nmの波長領域に第1の阻止波長領域を、約900〜1100nmの波長領域に第2の阻止波長領域を有した、2つの阻止波長領域により構成されている。また、第1の阻止波長領域に隣接する約400〜700nmの可視波長領域の一部である約450〜630nmの波長領域が透過帯となっており、この領域では可能な限り高い透過と、低い透過リップルとなるように構成されている。
本実施例における成膜方法としては、DCパルス重畳型のRFのイオンプレーティング法を用いた。
成膜中は成膜開始から成膜終了までの全層において成膜基板裏面を冷却しながら蒸着を行った。冷却冷媒には水を使用し10℃で温度制御をおこなった。
成膜工程においては、まずは基板表面に21層膜を成膜後、基板の表裏を変え、表面と同様にマスクを施して、裏面に19層膜を形成した。ここで、両面ともに、基板の直上に形成される第一層となる層に、リップルを低減する為の調整層を配置した。21層膜において、反射防止構造体である最表層の反射防止層は約1.0qw程度(λ=500nm)、第1の阻止波長領域を形成する薄膜積層構造体は1.7qw前後(λ=500nm)であるのに対し、調整層は約0.1qw前後(λ=500nm)となった。より具体的には、本実施例2のおける21層膜の1層目となるSiO2膜の調整層の膜厚は0.094qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は8.10nmとなった。また、λを600nmとした場合は0.078qw、λを700nmとした場合は0.067qwとなった。同様に、21層膜の2層目となるTiO2膜の調整層の膜厚は0.163qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は8.38nmとなった。また、λが600nmの場合は0.132qw、λが700nmの場合は0.111qwとなった。
また、同様に、19層膜において、反射防止構造体である最表層の反射防止層は約1.0qw程度(λ=500nm)、第2の阻止波長領域を形成する薄膜積層構造体は2.0qw前後(λ=500nm)であるのに対し、調整層は約0.1qw前後(λ=500nm)となった。より具体的には、本実施例2のおける19層膜の1層目となるSiO2膜の調整層の膜厚は0.103qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は8.88nmとなった。また、λを600nmとした場合は0.086qw、λを700nmとした場合は0.073qwとなった。同様に、19層膜の2層目となるTiO2膜の調整層の膜厚は0.157qw(λ:500nm)であり、この時の物理膜厚は8.07nmとなった。また、λが600nmの場合は0.127qw、λが700nmの場合は0.107qwとなった。このように、全ての層の中で、調整層が最も膜厚が薄い構成とした。
さらに、略同等の光学特性となるように何度も膜設計を行ったが、全ての設計例において、両面ともに1層目となる調整層のSiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.163qw以下、λが600nmの時0.135qw以下、λが700nmの時0.116qw以下となり、物理膜厚で14nm以下となった。同様に両面ともに2層目となる調整層TiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.233qw以下、λが600nmの時0.189qw以下、λが700nmの時0.159qw以下となり、可視波長(400nm)の3%以下となる、物理膜厚で12nm以下となった。
また同様に、全ての設計例において、両面ともに1層目となる調整層のSiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.070qw以上、λが600nmの時0.058qw以上、λが700nmの時0.050qw以上となり、物理膜厚で6nm以上となった。同様に両面ともに2層目となる調整層TiO2膜の膜厚はλが500nmの時0.078qw以上、λが600nmの時0.063qw以上、λが700nmの時0.051qw以上となり、可視波長(400nm)の1%以上となる、物理膜厚で4nm以上となった。
成膜中の最大温度は両面共に60℃以下であり、概ね50℃弱程度となった。これは基板表面に予め設置しておいた真空中専用のサーモラベルより測定した結果である。基板であるBK7ガラスのガラス転移温度よりも十分に低い値となった。
また、上記方法により製作された複数のサンプルで高温高湿の環境試験を行った。1000時間後では環境試験開始前と比較しIR側の半値波長での透過率変化はシフト量が平均で0.5nm以下となった。測定器の誤差等を考慮すると、略変化の無い、所謂ノンシフトに近い膜質を得ることができた。
フィルタの外観に関しても良好であり、反りや凹凸、更にシワやクラック等は発生しておらず、環境試験後もシワやクラック等の発生は確認されなかった。
また、同様に作製された別サンプルにおいて、ドライ環境下での高温試験を実施したが、1000時間経過後であってもシワやクラック等の発生は確認されなかった。さらに、熱衝撃試験を実施したが、1000サイクル経過後であってもシワやクラック等の発生は確認されなかった。
以上のように製作されたIRカットフィルタは図8で示した設計値と略同様の分光透過率特性を得ることができた。
ここで、作製されたIRカットフィルタについて、前述した計算式を用いて、透過帯のリップルを評価した。本実施例では透過帯450nm〜630nmの波長領域における、1nmあたりの透過領域における透過率近似直線とのズレ量を算出したところ、その値は0.137となり、前述の例と比較しても透過リップルを非常に小さい値に制御する事ができた。
また、本実施例では基板上の1層目をSiO膜としたが、1層目をTiO膜とする事も可能であり、その場合、調整層を1層目だけで構成しても、本実施例と同等レベルの透過リップル低減を実現する事が可能となる場合がある。
さらには、1層目を基板との屈折率差が小さいSiO膜とした場合、この層を厚膜化し、2層目に基板との屈折率差が大きいTiO膜などにし、2層目を極薄の調整層とする事で、透過リップルを低減する事も可能であるし、同様に2層目以降の複数層を調整層とする事も可能である。
<他の実施形態>
以上本発明を一実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述した一実施形態で作製した光学フィルタを備える光量絞り装置に適用した形態について図9を用いて説明する。図9に光量絞り装置を示す。ビデオカメラあるいはデジタルスチルカメラ等の撮影系に使用するに適した光量絞り装置の絞りは、CCDやCMOSセンサと言った固体撮像素子への入射光量を制御するために設けられているものである。被写界が明るくなるにつれ、絞り羽根80を制御し、より小さく絞り込まれていく構造になっている。このとき、小絞り状態時に発生する像性能の劣化に対する対策として、絞りの近傍にND(Neutral Density)フィルタ83を配置し、被写界の明るさが同一であっても、絞りの開口をより大きくできる構造にしている。入射光がこの光量絞り装置82を通過し、固体撮像素子(不図示)に到達する事で電気的な信号に変換され画像が形成される。
この絞り装置82内に、本実施例1または2で作製されたUVIRカットフィルタ、若しくはIRカットフィルタを配置する。NDフィルタ80の位置に、NDフィルタに替わりこれらの光学フィルタを配置する事も可能であるし、絞り羽根支持板81に固定するように配置する事も可能である。この場合、光学フィルタを配置する位置や、絞り装置82のメカ的な機構にも依存するが、本実施例で作製したフィルタと必要な外形が異なる場合も想定されるが、最適な形状を選択すればよく、本実施例1、2と同様の膜設計、成膜プロセスで、成膜時に使用するマスク冶具の形状を変える事だけで、同様のフィルタを作製することが可能である。
これにより作製された光量絞り装置82を撮像光学系に配置することで、より高精度化を実現できる。
また、本発明は、上述した一実施形態で作製した光学フィルタを備える撮像装置に適用した実施例について図10を用いて説明する。
図10は、ビデオカメラなどの撮像装置で、絞り羽根93などで構成された撮像光学系91を透過した光線を、光学フィルタ90で固体撮像素子92の特性に合わせて制限し、適正な画像を得るようになっている。UVIRカットフィルタやIRカットフィルタを光学フィルタ90部に配置する。
また、これらのフィルタを出し入れ自由に駆動することも可能である。より具体的には撮像光学系91を透過して撮像素子92に結像した光量を判断して、光学フィルタ90を駆動する。入射した光量が通常の撮影に十分な量であるときは、固体撮像素子92にかかるように光学フィルタ90を移動させる。光量が不十分なときは、固体撮像素子92にかからないように光路外に退避させる。光学フィルタ90の有無により、結像する光線に光路差が発生してしまい、画像が劣化してしまう事があるが、このような場合には光学フィルタの基材と同じ材質の基材をダミーとして挿入する事で、画像劣化を十分に低減可能である。
これにより作製された撮像装置は、フィルタの透過リップルに起因した画像劣化などを改善し、より高精度化を実現する事が可能である。
以上本発明は、上述したことに限らず、他の光学装置であっても、一実施形態で作製されたような透過リップルが低減された光学フィルタを用いることで、リップルに起因した画像劣化等の不具合を低減することが可能である。

Claims (7)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板上に第1の薄膜と、前記第1の薄膜よりも屈折率の低い第2の薄膜交互に積層して設けられ、所定の波長域にて光透過域及び光透過制限域を持った光学特性を有する光透過制限構造体と
    前記透明基板と前記光透過制限構造体との間に設けられ、前記光透過制限構造体の前記光透過領域におけるリップルを低減するリップル低減層とを備え、
    前記リップル低減層は、屈折率1.80以上の第3の薄膜の単層、又は、前記第3の薄膜と前記第3の薄膜よりも屈折率の低い第4の薄膜とを交互に積層して設けられた積層体、から構成され、
    前記第3の薄膜及び前記第4の薄膜の各々はいずれも、前記第1の薄膜及び前記第2の薄膜のいずれよりも薄い厚さを有し、
    前記リップル低減層は、前記透明基板上に他の薄膜を介することなく設けられ、前記光透過制限構造体は、前記リップル低減層上に他の薄膜を介することなく設けられていることを特徴とする光学フィルタ。
  2. 透明基板と、
    前記透明基板上に第1の薄膜と、前記第1の薄膜よりも屈折率の低い第2の薄膜交互に積層して設けられ、所定の波長域にて光透過域及び光透過制限域を持った光学特性を有する光透過制限構造体と
    前記透明基板と前記光透過制限構造体との間に設けられ、前記光透過制限構造体の前記光透過領域におけるリップルを低減するリップル低減層とを備え、
    前記リップル低減層は、前記第1の薄膜と同じ材料の第3の薄膜の単層、又は、前記第3の薄膜と前記第3の薄膜よりも屈折率の低い第4の薄膜とを交互に積層して設けられた積層体、から構成され、
    前記第3の薄膜及び前記第4の薄膜の各々はいずれも、前記第1の薄膜及び前記第2の薄膜のいずれよりも薄い厚さを有し、
    前記リップル低減層は、前記透明基板上に他の薄膜を介することなく設けられ、
    前記光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄い厚さであり
    前記透明基板と前記光透過制限構造体は、前記リップル低減層上に他の薄膜を介することなく設けられていることを特徴とする光学フィルタ。
  3. 前記第3の薄膜は、屈折率1.80以上の薄膜であることを特徴とする請求項2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記光透過制限構造体は、前記透明基板の一方面側に薄膜を積層して設けられた第1光透過制限構造体と、前記透明基板の他方面側に薄膜を積層して設けられた第2光透過制限構造体とを有し、
    前記リップル低減層は、前記透明基板及び前記第1光透過制限構造体の間に設けられて前記第1光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄い厚さで形成された第1リップル低減層と、前記透明基板及び前記第2光透過制限構造体の間に設けられて前記第2光透過制限構造体を構成する薄膜よりも薄い厚さで形成された第2リップル低減層とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記第1光透過制限構造体を構成する薄膜と、前記第2光透過制限構造体を構成する薄膜とは、それぞれ異なる膜厚で形成され、
    前記第1リップル低減層と前記第2リップル低減層とは、それぞれ異なる膜厚で形成されたことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルタ。
  6. 前記光透過制限構造体上には、反射防止層が設けられ、
    前記リップル低減層は、前記反射防止層よりも薄い厚さで設けられたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学フィルタを備えたことを特徴とする撮像装置。
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