JP6504914B2 - 皮膚毛細血管の観察方法 - Google Patents

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Description

本発明は、皮膚表層の毛細血管を定点観察するための方法に関する。
ヒトの皮膚は、表皮、真皮およびその付属器官(汗腺等)より構成されている。表皮は最表層に位置する厚さ100〜200μm程度の組織であり、体内側より順に、基底層・有棘層・顆粒層・角層の4層より構成されている。最も上層に位置する角層は、外界からの刺激に対する防御の最前線であり、生体の恒常性を維持する上で重要な役割を担っている。また角層は美容的にも重要な部位である。即ち、いわゆる肌荒れや化粧のりといった現象は、角層構造の乱れや角層組成の変化等と密接に関連する。従って健康な肌や、美しい肌を実現するには、角層を良い状態に維持する必要がある。
基底層で作られたケラチノサイトが角化し、有棘層、顆粒層を経て扁平な角層細胞に分化することによって角層は形成される。表皮(基底層・有棘層・顆粒層・角層)には毛細血管が存在しないため、ケラチノサイトの代謝・分化に必要な酸素や栄養素は、表皮下にある真皮の血管系より供給される。具体的には、表皮・真皮境界にある乳頭構造中の毛細血管や、乳頭外にある表皮近傍の毛細血管が、供給の最終段の役割を担っている。
これらの毛細血管には、常に血液が流れているわけではない。皮膚の状況に応じて、毛細血管に流れる血液量は制御されていると考えられている。例えば、表皮代謝が活発な部位では、毛細血管に流れる血液量が大きくなっていると考えられる。
このように表皮近傍の毛細血管における血流挙動は、1)表皮におけるケラチノサイトの代謝や分化に直接的な影響を及ぼす因子であり、2)角層の状態に間接的に寄与する因子であり、3)最終的には、健康で美しい肌の実現に寄与する因子であると考えられている。
従って、皮膚表層における毛細血管での血流状態を把握することは、皮膚の健康状態の把握、肌荒れ等の皮膚トラブルの原因の究明、皮膚の状態を改善する手段の評価等に有用である。例えば、各種のスキンケア技術によって皮膚表層の毛細血管の血流状態が改善したことを計測できれば、当該スキンケア技術間での有用性の比較や、個人間での有効性の比較等を行うことができるようになる。また当該技術が肌状態の改善に寄与したことを、消費者に実感してもらう手段としても活用することができる。
皮膚表層の毛細血管における血流状態は、個々の血管によって大きく異なることが知られている。例えば、血液が定常的に流れている血管、断続的に流れる血管、血行促進処理を行ったときのみに流れ出す血管など、多様な血流特性を持った多様な形状の血管が存在することが、一般に知られている。このような多様な血管群に対して、上述のようにスキンケア技術適用前後の血流改善効果を確認するには、一般には多数の視野での観察を行い、毛細血管群全体での平均的な血流変動を検証することが行われる。しかしながら、このような多数回の測定は、被験者・測定者に対して過大な負担を生じるものである。
このような問題を軽減するには、特定の血管に関して、スキンケア技術適用前後での血流変化を検出することが有用である。このような検証を血管ごとに行い、適用前後における個々の血管での血流変化を一対比較することで、より少ない観察回数でスキンケア技術適用前後の血流改善効果を検証できるものと期待できる。
血流測定法としては、レーザードップラー法やレーザースペックル法によって皮膚上の同一部位の血流変化を観察する方法が知られている(非特許文献1)。しかしながら、これらの手法は、深さ約1mm程度のスポットの平均情報を得るという特性がある。すなわち、皮膚表面から50〜200μm程度の深さに存在する表皮代謝に寄与する毛細血管よりも、はるかに深い領域を含めた、多数の血管の平均情報を取得するものである。したがって、レーザードップラー法やレーザースペックル法では、個々の毛細血管の血流情報を取得できない。
一方、皮膚表層の個々の毛細血管の観察する手法としては、光学顕微鏡観察が知られている。これにより、毛細血管の微細形状や、動的な血液の流れ方を観察することができる。例えば、非特許文献2では、皮膚毛細血管の形状・分布を顕微鏡で直接観察することが記載されているが、視野が数mm程度と狭いため、例えば異なる測定日において、同じ血管を繰り返し観察するのは極めて困難である。
また、生きている人の血管網を広視野で観察する手法としては、MRIによる血管のイメージングが知られているが、空間分解能が2mm程度であり、微細構造の毛細血管の観察は困難である(特許文献1)。
他方、頭部における特定部位の頭髪を、顕微鏡により定点観測する方法が報告されているが(特許文献2)、顕微鏡の視野は限定されており、また毛細血管は微細であることから、当該方法で顕微鏡視野を合わせるには相当の時間を要し、被験者・測定者に負荷を強いることになる。
特表2002−539880号公報 特開平8−308814号公報
本発明は、生きているヒトの皮膚表層の特定の毛細血管の血流状態(静的・動的)を定点観察可能な毛細血管の観察方法を提供することに関する。
本発明者らは、高解像度のスキャナを用い、所定の測定手段を用いてスキャンした場合に、毛細血管、汗腺、毛穴、シミといった皮膚微細構造を、数十mm以上の広視野で画像化することができ、当該画像情報を用いて顕微鏡観察の視野を特定することにより、容易に定点観察できることを見出した。
すなわち、本発明は、顕微鏡を用いて皮膚表層の特定の毛細血管を定点観察する方法であって、スキャナを用いた画像取得システムにより、被験者の身体部位の皮膚表面をスキャンしてスキャン画像を取得し、当該スキャン画像中に再現された皮膚微細構造の画像情報に基づき顕微鏡観察の視野を特定し、当該視野中の毛細血管を観察する、毛細血管の観察方法に係るものである。
本発明の方法によれば、皮膚表層における特定の毛細血管を、顕微鏡により容易に定点観察できる。すなわち、本発明の方法によれば、特定の毛細血管の形状の変化、血管数の変化、血流の変化等を容易に観察することができる。例えば、特定の毛細血管の状態(血管形状、血管数、血流等)を、血行促進剤物質や肌状態改善物質の投与前後で測定することにより、当該物質の作用効果を評価することができる。
スキャナを用いた画像取得装置の全体構成図。 スペーサー部分の断面模式図。 顕微鏡観察装置の全体構成図。 コントラスト調整後のスキャン画像、(a):スキャン画像1、(b):スキャン画像2、(c):(a)の四角枠内の部分拡大画像、(d):(b)の四角枠内の部分拡大画像、黒矢印及び白矢印はそれぞれ同一の汗腺及び毛細血管に対応。 コントラスト調整後の顕微鏡像、(a):顕微鏡像1、(b):顕微鏡像2、(c):(a)の四角枠内の部分拡大像、(d):(b)の四角枠内の部分拡大像。黒矢印および白矢印は、それぞれ図4(c)及び(d)と同一の汗腺及び毛細血管に対応。
本発明の毛細血管の観察方法においては、スキャナを用いた画像取得システムにより、被験者の身体部位の皮膚表面をスキャンしてスキャン画像を取得し、当該スキャン画像中に再現された皮膚微細構造の画像情報に基づき顕微鏡観察の視野を特定し、当該視野中の毛細血管が観察される。
本発明において、身体部位としては、毛細血管の状態を観察する必要のあるヒトの身体外部が挙げられ、具体的には手、足、腕、脚、胴体、顔等が挙げられる。
本発明においては、顕微鏡観察の視野を特定するに当たり、被験者の身体部位の皮膚表面のスキャン画像が取得される。
皮膚表面のスキャン画像の取得は、例えば、図1に示すようなスキャナを用いた画像取得装置を用いることにより行うことができる。
図1において、9は画像を取得するためのスキャナ、7は取得した画像を表示する画像表示部、6は画像取得及び光源の制御や画像データを処理する制御部である。
スキャナは、イメージセンサー及びレンズを組み合わせた画像取得部1と光源(2,3)とを組み合わせたユニットを有し、当該ユニットを被写体配置面(通常ガラス板)に沿って走査しながら、被写体からの反射光を画像として逐次取得する機構、取得した画像データを外部に転送する機構を保有していればよく、読み取り方式は、縮小光学系又は密着光学系の何れでもよい。また、CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサーの何れの撮像素子を採用したものでもよい。
斯かるスキャナとしては、ラインセンサーとこれを囲むように光源を配置したフラットベッド型スキャナが好適に用いられる(図1:1,2,3参照)。
また、スキャナ内部には、内部から被写体を写すための観察ミラー8を取り付けるのが好ましい。これにより、同じ部位を複数回観察するための被写体の位置調整が可能となる。
スキャナは、毛穴や汗腺、シミ等の皮膚微細構造を観察する点から、Gのチャンネルにおいて観察可能な空間周波数が5本/mm以上であるのが好ましく、更に毛細血管を観察することを考慮すると、空間周波数50本/mm以上であるのがより好ましい。すなわち、スキャナの空間周波数は、5本/mm以上であればよいが、好ましくは20本/mm以上、より好ましくは50本/mm以上で、好ましくは500本/mm以下、より好ましくは250本/mm以下である。また、好ましくは5〜500本/mm、より好ましくは50〜250本/mmである。
ここで、空間周波数とは、ミリメートルあたりの線数(本/mm)を意味する。当該空間周波数は、標準試料(テストターゲット)、例えばUSAF1951テストターゲットのような空間分解能のテストターゲットを観察することにより測定される。
USAF 1951テストターゲットには、「グループ」「エレメント」の二つの数で定められるサイズの異なる線(3本)が印刷されている。例えば、グループ5、エレメント5の構造は空間周波数50.8本/mmに相当することから、同サンプルのグループ5、エレメント5の3本の線を識別できれば、観察可能な空間周波数は50本/mm以上である。また、毛細血管は緑色の光をよく吸収することから、カラー画像をR、G、Bの3チャンネルに分割した際、Gのチャンネルにおいて上記の空間分解能を有することが好ましい。
また、スキャナの読み取り解像度は、毛細血管の太さが約10μmである点から、2400dpi(1ピクセル約10μm)以上が好ましく、より好ましくは3600dpi(1ピクセル約7μm)以上、更に好ましくは4800dpi以上(1ピクセル約5μm)である。また、画像の精細さと、扱いやすいデータ容量および被験者負荷の小さいデータ取得時間の両立の点から、2400〜9600dpi、好ましくは2400〜4800dpiである。
また、読み取り階調は、コントラスト強調が可能であり、かつ、周辺組織と血管を色調区別し得る点から、R/G/Bが、それぞれ8bit(256階調)以上であり、R/G/Bがそれぞれ16bit(65536階調)以上であるのが好ましい。
上記のスキャナは、市販のスキャナを、適宜改良して作製すること(例えば、観察ミラーの設置、レンズの改良等)することができる。市販のスキャナとしては、例えば、フラットベッドスキャナ(「4800ppi高解像度イメージスキャナ」、アイメジャー株式会社、最大解像度:4800dpi)等が使用できる。
測定に際しては、測定対象となる被験者の身体部位が、スペーサーを介してスキャナの被写体配置面上(ガラス板:図1,5)に配され、当該身体部位の皮膚表面がガラス板に接触しないようにしてスキャニングが行われる。
図2にスペーサー部分の断面模式図を示す。被験者の身体部位がスペーサーの上部に押し当てられた際、スペーサーの開口部においてスキャナのガラス面に接することなく保持される。
スペーサーは、測定対象となる被験者の身体部位をセットした場合に、測定対象となる皮膚表面がスキャニングされるように開口部を有し、且つ一定の厚さを有する部材である(図1:4)。
ここで、開口部の形状は、矩形でも円形でもよい。すなわち、スペーサーの形状は、円形リング状或いは四角リング状である。開口部のサイズは、観察する視野の大きさ及び皮膚表面の平坦性を勘案して適宜選択することができ、開口部の内部面積が、好ましくは100mm以上、より好ましくは225mm以上で、好ましくは900mm以下、より好ましくは625mm以下である。また、好ましくは100mm〜900mm、より好ましくは225mm〜625mmである。
例えば、矩形とする場合には、その内周は、好ましくは5〜100mm×5〜100mm、より好ましくは10〜50mm×10〜50mm、より好ましくは15〜25mm×15〜25mmが挙げられ、更には15mm×25mm、25mm×25mmが挙げられる。
スペーサーの厚さ(ガラス板に設置した場合のガラス板からの高さ)は、被験者の身体部位を押し当てた際に、スペーサーの開口内で皮膚表面が突出して、スキャナのガラス板に接することがなく、且つスキャナの空間分解能が維持される程度に皮膚表面とスキャナのガラス板との距離が保持されていること、すなわち、皮膚表面がスキャナの被写界深度内にあることが必要である。
この点を考慮すると、スペーサーの厚さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、且つ好ましくは6mm以下、より好ましくは1mm以下である。また、0.1〜6mm、好ましくは0.5〜1mmである。
スペーサーの素材は、皮膚を傷つけないよう適度な柔らかさと、皮膚・ガラス面に密着するよう形状に追随するような適度な弾力を有する素材であるのが好ましい。斯かる素材としては、例えば、シリコンゴム、天然ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられるが、耐水性、耐油性、無臭、無毒性の点から、シリコンゴムを用いるのが好ましい。
また、当該素材は任意の色であり得るが、スペーサー外からの光の遮断を抑える観点から、無色透明又は白色半透明であるのが好ましい。
さらに、明瞭なスキャン画像を得るべく、角層(屈折率約1.5)と空気(屈折率約1.0)の界面における光の反射を低減することが有効である。そのために、皮膚表面とスキャナのガラス面の間を特定の屈折率を有するコンタクト剤で満たすことが有効である。斯かるコンタクト剤としては、無色透明であり、屈折率が約1.3〜1.55であるものが好ましい。
また、皮膚へ追随性の点から、粘度が5.0×10−4〜1.5×10 Pa・sであるのが好ましく、更にはスペーサーから流出しない程度以上の粘性の点から3.0×10−2〜1.2×10 Pa・sであるのがより好ましく、更には気泡の入りにくさ、除去のしやすさの点から3.0×10−2〜40 Pa・sであるのがより好ましい。
ここで、屈折率はJIS K 7142に準拠し23℃においてアッベ屈折計により測定することができ、また文献値(化学便覧(日本化学会編)等)をもとに計算して求めることもできる。
また、粘度は、25℃において、市販のレオメータを用いたフローカーブ測定や、B型(単一円筒型回転式)粘度計を用いた測定により求めることができる。
好適なコンタクト剤としては、例えばグリセリン(屈折率約1.5)、イマージョンオイル(屈折率1.52)、スクワラン(屈折率約1.45)等の油剤、プロゼリー(ジェクス株式会社)等の市販の超音波ゼリー(屈折率約1.3)、水(屈折率約1.3)等が挙げられ、この内、グリセリン、スクワラン、超音波ゼリーがより好ましい。
上記スキャナにより、スペーサー開口部内に呈示された皮膚表面がスキャンされ、スキャン画像が取得される。当該スキャン画像は必要に応じてコントラスト調整を行うことにより、図4に示すように、毛細血管の他、汗腺、毛穴、シミといった数μm〜数十μmの微細構造が鮮明に再現される。したがって、当該画像情報を手掛かりとして顕微鏡観察の視野を特定(決定)することが可能となる。
上記スキャン画像を用いた顕微鏡観察の視野の決定は、例えば、以下の1)〜2)の手順で行うことができる。
1)被験者の身体部位の皮膚表面に一定のマーカーを施し、当該マーカーが含まれるようにスキャンしてスキャン画像を取得する(図4(a)参照)。ここで、マーカーとしては油性マーキングペンでのマーク、テープや絆創膏の貼付等が挙げられるが、皮膚上の特徴的な構造、例えばアザやホクロ等があればマーカーの代わりにそれを目印とすることもできる。
2回目以降の観察を容易にすべく、上記のマーカーは、手首、肘等の身体部位からの相対位置を記録しておくことが好ましい。または、マーカーとその周囲の目、鼻、口、指等との相対位置を写真で記録しておくこともできる。
2)次に、1)でスキャンした領域(スキャン画像域に含まれる領域)の何れかの部位(上記マーカーの近傍)を顕微鏡で観察し、撮像する(図5(a)参照)。
1)で取得したスキャン画像と2)で撮像された顕微鏡像を照合し、マーカーの他、毛細血管、汗腺、毛穴、シミ等の皮膚微細構造の画像情報を目印にして、スキャン画像中における顕微鏡観察視野を決定し、記録する(図4(a)四角枠内、(c)参照))。
定点観察を行う際(2回目以降の観察)には、上記で決定された顕微鏡観察視野を以下の3)によって特定し、4)により観察することができる。
3)1)で設けたマーカーと略同位置にマーカーを設け、1)と同様にしてスキャン画像を取得する(図4(b)参照)。得られたスキャン画像から、1)と同様に、マーカーの他、毛細血管、汗腺、毛穴、シミ等の皮膚微細構造の画像情報を目印にして、2)で決定した顕微鏡観察視野を特定し(図4(b)四角枠内、(d)参照)、当該視野とマーカーとの位置関係を把握する。
4)3)で得られた顕微鏡観察視野の位置情報を基に、顕微鏡のXYステージを用いて、顕微鏡の視野を、3)で特定した視野と同一となる位置に移動し、撮像する(図5(b))。
斯くして、短時間で顕微鏡観察視野が特定され、特定の毛細血管を顕微鏡により容易に定点観察することができ、同一の毛細血管の変化を容易に観察することができる。
上記顕微鏡観察において用いられる顕微鏡は、皮膚表面の毛細血管を撮像できる光学顕微鏡であれば特に限定されないが、光源、イメージセンサー、撮影画像の記録部、リアルタイムで画像を表示するモニター等を備え、動画及び静止画を撮影できるものが好ましい。好ましくは、視野0.5mm〜2.5mm、光学的な分解能1μm〜20μm、好ましくは1μm〜10μm、より好ましくは1μm〜5μm、階調R/G/B各8bit、好ましくはR/G/B各16bitで静止画を取得でき、また、7.5〜30フレーム毎秒のフレームレートで動画を撮影できるものが好ましい。
市販の顕微鏡としては、例えば、EV−4D USB(GOKOカメラ)、B−scan(株式会社 徳)、VL−7ULTRA(株式会社おんでこ)等が挙げられる。
図3に、顕微鏡観察を実施するための一実施形態である装置の全体構成図を示す。
21は顕微鏡、22は顕微鏡をXYZ方向に移動するためのXYZステージ、23は皮膚を固定するための皮膚固定板、24は画像の処理及び記録、顕微鏡を制御する制御部、25は顕微鏡像を表示する表示部である。
皮膚固定板23は、顕微鏡からの観察視野が一定となるように、被験者の身体部位の皮膚を接触させ固定するための板状の部材であり、顕微鏡のレンズに対して皮膚表面を呈示するための開口部を有する。
また、顕微鏡の作動距離が数mm以下と小さく、レンズと皮膚の間に表面張力により水を保持できる場合には、皮膚とレンズを近づけた状態で両者の間に水を吐出し、表面張力により保持するのが好ましい。一方、顕微鏡の作動距離が大きく、レンズと皮膚の距離が離れてしまうために、表面張力による保持が困難な場合には、水を保持する治具をレンズと皮膚の間に設置することができる。
斯くして、本発明の毛細血管の観察方法によれば、特定の毛細血管を容易に定点観察することができ、動画や静止画によって血管形状の変化、血管数の変化、血流の変化等を客観的に知ることができる。また、血行促進剤物質や肌状態改善物質の投与前後で、本発明の方法を用いて毛細血管の状態(血管形状、血管数、血流等)を観察することにより、当該物質の作用効果を評価することができる。
上述した実施形態に関し、本発明においてはさらに以下の態様が開示される。
<1>顕微鏡を用いて皮膚表層の特定の毛細血管を定点観察する方法であって、スキャナを用いた画像取得システムにより、被験者の身体部位の皮膚表面をスキャンしてスキャン画像を取得し、当該スキャン画像中に再現された皮膚微細構造の画像情報に基づき顕微鏡観察の視野を特定し、当該視野中の毛細血管を観察する、毛細血管の観察方法。
<2>スキャン画像中に再現された皮膚微細構造が、毛細血管、汗腺、毛穴及びシミから選ばれる1以上である上記<1>の方法。
<3>スキャン画像の取得において、スキャナが、Gのチャンネルにおいて空間周波数5本/mm以上の構造を観察可能な空間分解能を有するものであり、当該スキャナの被写体配置面には開口部を有するスペーサーが設置され、
前記スペーサーの開口部内をコンタクト剤で満たした後、被験者の身体部位を当該スペーサーの上部に接触させて配し、スペーサー開口部に呈示された皮膚表面をスキャンしてスキャン画像を取得する、上記<1>又は<2>の方法。
<4>コンタクト剤が、屈折率1.3〜1.55の流動性素材である上記<3>の方法。
<5>コンタクト剤の粘度が、5.0×10−4〜1.5×10 Pa・sである上記<4>の方法。
<6>スペーサーの開口部内の面積が100〜900mmである上記<3>〜<5>のいずれかの方法。
<7>スペーサーの厚さが、0.1〜6.0mmである上記<3>〜<6>のいずれかの方法。
<8>顕微鏡が、光源、イメージセンサー、撮影画像の記録部及び画像表示部を備え、視野0.5mm〜2.5mm、光学的な分解能1μm〜20μmである上記<1>〜<7>の方法。
<10>上記<3>において、スキャナのGのチャンネルにおいて観察可能な空間周波数は、好ましくは5本/mm以上、より好ましくは20本/mm以上、より好ましくは50本/mm以上で、好ましくは500本/mm以下、より好ましくは250本/mm以下である。また、好ましくは5〜500本/mm、より好ましくは50〜250本/mmである。
<11>上記<1>〜<3>において、スキャナの読み取り解像度は、2400dpi以上が好ましく、より好ましくは3600dpi以上、更に好ましくは4800dpi以上である。また、好ましくは2400〜9600dpi、より好ましくは2400〜4800dpiである。
<12>上記<3>において、スペーサーの開口部内の面積は、好ましくは100mm以上、より好ましくは225mm以上で、好ましくは900mm以下、より好ましくは625mm以下である。また、好ましくは100mm〜900mm、より好ましくは225mm〜625mmである。
<13>上記<3>において、スペーサーの厚さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、且つ好ましくは6mm以下、より好ましくは1mm以下である。また、0.1〜6mm、好ましくは0.5〜1mmである。
<14>上記<3>において、コンタクト剤の粘度は、好ましくは3.0×10−2〜1.2×10 Pa・s、より好ましくは3.0×10−2〜40 Pa・sである。
<15>上記<3>において、コンタクト剤は、好ましくはグリセリン、スクワラン、又は超音波ゼリーである。
<16>上記<8>において、顕微鏡の光学的な分解能は、好ましくは1μm〜10μm、より好ましくは1μm〜5μmである。
<17>上記<1>において、顕微鏡の階調は、R/G/B各8bit、好ましくはR/G/B各16bitである。
<18>上記<1>において、顕微鏡は、好ましくは7.5〜30フレーム毎秒のフレームレートで動画を撮影可能なものである。
実施例1
1)スキャン画像の取得
被験者(30代健常男性)の前腕内側部の皮膚に、1mm×5mm程度にカットした白色絆創膏をマーカーとして貼り付けた。マーカー位置の記録のため、手首、肘、外側からの相対位置を記録した。
スキャナとして、「4800ppi高解像度イメージスキャナ」(アイメジャー株式会社)を用いて、ガラス板上に、内周15mm×25mm、厚さ1.5mmの矩形の開口を有する、外周25mm×35mmのシリコンゴムのスペーサーを設置した。
スペーサーの開口部に超音波ゼリー(プロゼリー、ジェクス株式会社)を満たした後、前腕内側部をスペーサー上部に置き、解像度4800dpiでスキャンした。得られたスキャン画像(スキャン画像1)を20倍以上に拡大し、毛細血管、毛穴、汗腺等が明瞭に見えるようにコントラスト調整を行った(図4(a))。
2)スキャン画像における顕微鏡観察視野の決定
次に、顕微鏡(EV−4D USB、GOKOカメラ)を用いて、皮膚上の上記マーカーの付近を撮影した。視野は2.4mm×1.9mm、階調はRGB各8bit、毎秒7.5フレームにて2分間の動画を撮影した(顕微鏡像1、図5(a))。
尚、皮膚の固定のため、腕を15mm×25mmの開口を有する金属製の板に、マーカーが開口内部に位置するように置いた。開口部から露出した皮膚に顕微鏡のレンズを近づけ、XYステージを用いて所望の視野を選択した。顕微鏡のレンズと皮膚を1mm程度まで近づけた後、皮膚表面での光の反射による血管像の不明瞭化を低減するため、顕微鏡のレンズと皮膚の間にコンタクト剤として水を注入し、表面張力により保持した。Zステージを用いてピントを調整した後、撮影を行った。
顕微鏡像と1)で取得したスキャナ画像(スキャン画像1)を照合し、マーカー、毛細血管、汗腺、毛穴、シミ等の皮膚微細構造を目印に、スキャナ画像中における顕微鏡観察視野を決定し(図4(a)四角枠内、(c))、記録した。
3)決定された顕微鏡観察視野と同一視野の特定
1)で付したマーカー位置の近傍にマーカーを貼り付けた。スキャナのガラス面上に25mm×25mmの開口を有するシリコンゴムのスペーサーを置き、1)と同様に、開口内をコンタクト剤で満たした後、マーカーを含む領域内をスキャンしてスキャン画像(スキャン画像2)を取得した(図4(b))。得られた画像のコントラストを調整し、毛細血管、毛穴、汗腺等の皮膚微細構造の分布を手掛かりとして、2)で決定された顕微鏡観察と同一の視野を特定した(図4(b)四角枠内、(d))。また、特定した視野と、改めて貼り付けたマーカーの位置関係を把握した。
4)同一視野における観察
3)で得られた情報を基に、XYステージを用いて顕微鏡の視野を3)で特定された視野と同一の部位に移動し、観察を行った(顕微鏡像2、図5(b)、(d))。
図5より、同一の毛細血管を含む同一の視野を観察することが可能であった。また、1)〜4)に要した時間は、マーキング、スキャナ観察、観察視野の対応付け、顕微鏡観察の手順を合わせて15分以内であった。
1 画像取得部
2 光源
3 光源
4 スペーサー
5 被写体配置面(ガラス板)
6 制御部
7 画像表示部
8 観察ミラー
9 スキャナ
11 身体部位
12 コンタクト剤
13 スペーサー
14 被写体配置面(ガラス板)
21 顕微鏡
22 XYZ軸ステージ
23 皮膚固定板
24 制御部
25 顕微鏡像表示部

Claims (8)

  1. 顕微鏡を用いて皮膚表層の特定の毛細血管を定点観察する方法であって、スキャナを用いた画像取得システムにより、被験者の身体部位の皮膚表面をスキャンしてスキャン画像を取得し、当該スキャン画像中に再現された皮膚微細構造の画像情報に基づき顕微鏡観察の視野を特定し、当該視野中の毛細血管を観察する、毛細血管の観察方法。
  2. スキャン画像中に再現された皮膚微細構造が、毛細血管、汗腺、毛穴及びシミから選ばれる1以上である請求項1記載の方法。
  3. スキャン画像の取得において、スキャナが、Gのチャンネルにおいて空間周波数5本/mm以上の構造を観察可能な空間分解能を有するものであり、当該スキャナの被写体配置面には開口部を有するスペーサーが設置され、
    前記スペーサーの開口部内をコンタクト剤で満たした後、被験者の身体部位を当該スペーサーの上部に接触させて配し、スペーサー開口部に呈示された皮膚表面をスキャンしてスキャン画像を取得する、請求項1又は2記載の方法。
  4. コンタクト剤が、屈折率1.3〜1.55の流動性素材である請求項3記載の方法。
  5. コンタクト剤の粘度が、5.0×10−4〜1.5×10 Pa・sである請求項4記載の方法。
  6. スペーサーの開口部内の面積が100〜900mmである請求項3〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. スペーサーの厚さが、0.1〜6.0mmである請求項3〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 顕微鏡が、光源、イメージセンサー、撮影画像の記録部及び画像表示部を備え、視野0.5mm〜2.5mm、光学的な分解能1μm〜20μmである請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
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