JP6473959B1 - 皮膚たるみ量測定方法および皮膚たるみ量測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】測定しようとする皮膚表面上に、物理座標を与えるための複数の印しを描いた透明性な薄膜を密着させ、デジタル撮影装置で撮影し、デジタル画像に写し出された複数の印しの物理座標の値と各印しの画像ピクセル値から、最小二乗法を用いて回帰式を求め、デジタル画像上から測定したい箇所のピクセル値を前記回帰式に入力し座標変換し皮膚面上の物理座標を求め、皮膚表面の長さや面積を測定するように構成した皮膚たるみ量測定装置を用いて、水平位にて、皮膚表面に閉塞線で描いた図形を印した後、デジタル画像を撮影し、その後垂直位にて重力負荷状態で皮膚のたるみにより変形した前記図形を再度撮影し、得られた水平位と垂直位の2姿勢における図形の面積の比又は差を皮膚のたるみ量として測定する。
【選択図】図4
Description
国民の鍼灸施術に対する受療率が3%台にまでに低迷する中で、美容鍼灸は唯一脚光を浴びている鍼灸施術の領域である。ビューティワールドジャパン2010開催中に行われた美容鍼灸に関するアンケート調査によると、美容鍼灸の認知度は79%と非常に高く、また、美容鍼灸施術に対して期待する効果は、皮膚のたるみの改善が一位となっている。
皮膚は成人で10〜20Kgもある重い臓器であるが、皮膚の真皮網状層結合組織で強い張力と弾力を発生しているため、しっかりと骨格に付着し、張りと弾力がある容姿が保たれている。この結合組織を構成する膠原線維や弾性線維が加齢や光老化などによって劣化し、機能が失われると、皮膚は内部構築から離れてたるみが発生する。特に顔面部においては真皮網状層内に表情筋群が存在し、この真皮網状層が変形し易いように特化されているので、張力が発揮しにくい場所である。従って、加齢や紫外線の暴露による真皮網状層膠原繊維と弾力線維の劣化で、張力や弾力を発生させる機能が低下すると、真っ先に顔面部にたるみが露呈する。
実験装置は、図1の被験者を固定する被験者固定装置と、図2の皮膚たるみ量測定装置から構成される。
被験者固定装置は、仰臥位(水平位)1と、座位(垂直位)2の二姿位に固定できる姿位固定部3と、顔面部を固定するために後頭部・前額部・顎部の3点を支持する顔面固定部4で構成される。さらに、顔面固定部は、体幹軸方向と頬骨軸方向にスライドするレール、顎部の当たり具合を微調整する調整ネジから構成され、簡便に顔面を固定具から開放するための跳ね上げ機構も取り付けている。被験者固定装置は、上下可動式施術用ベッド5に固定して使用する。
まず、被験者を皮膚温程度の温水で洗顔させ、皮膚を擦らないように水分を拭いた後、測定室で15分間安静にさせる。その後、以下の手順で、右頬部皮膚たるみ量と比較用皮溝交点数の測定を行う。
姿位固定部3を水平位(仰臥位)1に設定し被験者を乗せる。顔面部を固定するため、顔面固定具4を調整し、後頭部・前額部・顎部の3点で支持させる。被験者を閉眼させ安静にさせた後、左右外眼角を結ぶ線と左右口角を結ぶ線の高さの1/2の平行線上で、右外眼角から体幹方向に下した垂線との交点付近を中心とした右頬部皮膚表面上に、インクを塗布したスタンプ11を用いて、閉塞線で描いた円形の図形20を印す。図形が乾燥した後、円形の図形全体を覆うよう皮膚表面に、粘着性のある物質(化粧用オリーブオイル)を塗布した、皮膚表面に物理座標を与えるための複数の印し(5mm間隔の格子状パターンの交点22)を印刷した透明樹脂製の薄膜でできたシール21を貼る。照明やストロボの反射が写りこまないように注意して、フリーハンドにて、閉塞線で描いた円形の図形を印した皮膚表面をデジタル撮影装置13で撮影し、その後一旦シール21を剥がす。
得られた回帰式30がシールに描かれた5mm間隔の格子状パターンに一致することを確認する。次に、図7に示すように得られた回帰式に、計測したい皮膚表面上の円形の図形の外周のピクセル値を入力し、座標変換を行うことで、皮膚表面上の円形の図形の外周の物理座標を演算する。さらに、得られた円形の図形の外周の物理座標40から、多角形に近似することで円形の図形の面積41を直接求める。
垂直位(座位)で撮影した図形のデジタル画像についても、同様な座標変換と多角形近似による画像解析方法で、重力負荷状態で皮膚のたるみにより変形した図形の面積を求める。
この画像解析方法により、フリーハンドで瞬時に撮影した一枚の歪んだデジタル画像から皮膚表面上に印した図形の面積を正確に求めることができる。
緊張に伴う発汗や情動に伴う表情筋の収縮による影響を除くため、被験者に閉眼ならびに深呼吸を数回させ、安静にさせる。レプリカ剤を、右頬部の鼻唇溝に沿って塗り、硬化確認後変形しないように剥がす。採取したレプリカの画像を、マイクロスコープを通じてパソコン上に表示させ、右鼻唇溝外方で左右外眼角、ならびに左右口角を結ぶ線の1/2の高さを中心として、上、中、下の3か所を撮影し、その中から、皮丘、皮溝共に最も整った画像を選択する。描画ソフトを用いて、図4に示すように皮膚レプリカ画像の皮溝上に直線を引き、その皮溝交点の合計が3点以上の皮溝交点数を計数する。
対象は20歳以上60歳未満の健常女性とし、かつ、皮膚疾患のある者、体力が低下している者、鬱血しやすい者、最近1ヶ月以内に美容鍼灸の施術を受けた者は除外とした。加えて、3ヶ月以内に基礎化粧品、健康食品、漢方薬等皮膚に影響を与える薬物等の種類や使用量の変更を行った者についても除外とした。
姿位変換前後図形面積比と皮溝交点数とのSpearman順位相関係数は0.54となった。
被験者は、20歳以上60歳未満で皮膚およびそれに関連する医学的異常を認めない健常成人女性とした。健常者において皮膚のたるみの原因は、加齢、紫外線暴露に伴う真皮網状層結合組織の老化や身体生理機能の低下によるものであるとされている。本発明を適切に実施するためには、このような年齢に伴う変化に影響を与えるような疾患を持たないことが重要であり、その点から考えると、目的とする母集団を反映する適切な被験者を対象にできたものと考えられた。
その要因を年齢別に分けて検討してみると、特に20歳代の面積比の値において、最小値98.23から最大値は93.14と、他の年代に比べ数値のばらつきが大きかった。真皮網状層結合組織は、張力を発生させる膠原線維と弾力を発生させる弾力線維は本来独立性を保つことで自在な柔軟性が維持されている。しかし、25歳前後になると、弾力線維の分子が代謝置換されるうちに本来の分子配列が徐々に失われ始める。新たに産生される弾力線維は、膠原線維の間隙に絡み合うことになり、皮膚は自由に収縮できず、その結果たるみが発生すると考えられている。
一方、真皮結合組織は加齢以外に、紫外線により不規則な湾曲を起こし、弾力成分が不規則に沈着する日光性弾力線維症を起こすことも知られている。老化によるたるみは、これらの要因が複合的に起こることで生じるものとされている。先に述べたように、20歳代は老化によるたるみが起こり始めるとともに、紫外線暴露時間を含めた生活習慣についても個人差が大きい年代であることから、測定値のばらつきが生じやすかったものと考えられる。特に本研究においては被験者の4分の1が20歳代であったことから、これらの要因が全体の相関係数にも大きな影響を及ぼしたと考えられた。
以上より、本発明の実施例は、高精度、低コストかつ操作が簡便でもあることから、手技療法を中心とした美容分野の新たな客観的評価となり得ることが判明した。
2 垂直位(座位)の姿勢に固定した被験者
3 姿位固定部
4 顔面固定部
5 上下可動式施術用ベッド
11 閉塞線で描いた円形の図形を印すためのスタンプ
12 皮膚表面に物理座標を与えるための複数の印し(5mm間隔の格子状パターンの交点)を印刷した透明樹脂製の薄膜でできたシール
13 デジタル撮影装置(スマートフォン)
14 画像解析装置がインストールされたコンピュータ(パソコン)
15 粘着性のある物質(化粧用オリーブオイル)
20 測定しようとする皮膚表面に印した閉塞線で描いた円形の図形
21 測定しようとする皮膚表面に密着させたシール12。
22 皮膚表面に物理座標を与えるための複数の印し(5mm間隔の格子状パターンの交点)
30 画像解析ソフト上に写し出された回帰式の曲線
31 皮膚表面に物理座標を与えるための印し(5mm間隔の格子状パターンの交点)
32 皮膚表面に物理座標を与えるための複数の印し(5mm間隔の格子状パターンの交点)の各ピクセル値のx成分
33 皮膚表面に物理座標を与えるための複数の印し(5mm間隔の格子状パターンの交点)の各ピクセル値のy成分
34 皮膚表面に物理座標を与えるための複数の印し(5mm間隔の格子状パターンの交点)の各物理座標の値のX成分
35 皮膚表面に物理座標を与えるための複数の印し(5mm間隔の格子状パターンの交点)の各物理座標の値のY成分
40 撮影されたデジタル画像から、測定しようとする皮膚表面に閉塞線で描いた円形の図形の、外周をプロットした画像
41 皮膚表面に閉塞線で描いた円形の図形を多角形近似することで、図形の外周から直接求めた面積の値
Claims (2)
- 皮膚のたるみ量を測定する方法において、格子状パターンの交点を描いた透明性があり伸縮しない薄膜を、粘着性のある物質を介在させて、測定しようとする皮膚面上に閉曲線で描いた図形に密着させながら、デジタル撮影装置を用いて測定しようとする皮膚表面と薄膜を同時に撮影し、撮影されたデジタル画像に皮膚表面と共に重なって写し出された格子状パターンの交点のX成分とY成分の座標の値と、格子状パターンの交点に対応するピクセルのx成分とy成分の座標の値から、最小二乗法を用いて座標変換のための回帰式を求め、その回帰式にデジタル画像上から前記図形の外周のピクセルのx成分とy成分の座標の値を入力し、座標変換して前記図形の面積を測定し、この測定を水平位と垂直位の2つの姿勢で行うことで、それぞれの面積比または面積差を皮膚のたるみ量として測定する、皮膚たるみ量測定方法。
- 撮影されたデジタル画像に皮膚表面と共に重なって写し出された格子状パターンの交点のX成分とY成分の座標の値と、格子状パターンの交点に対応するピクセルのx成分とy成分の座標の値から、最小二乗法を用いて座標変換のための回帰式を求め、その回帰式と、デジタル画像上から取得した皮膚面上に閉曲線で描いた図形の外周のピクセルのx成分とy成分の座標の値とを用いて、座標変換して前記図形の面積を測定し、この測定を水平位と垂直位の2つの姿勢 で行うことで、それぞれの面積比または面積差を皮膚のたるみ量として測定する装置であって、前記デジタル画像は格子状パターンの交点を描いた透明性があり伸縮しない薄膜を、粘着性のある物質を介在させて、測定しようとする皮膚面上に閉曲線で描いた図形に密着させながら、デジタル撮影装置を用いて測定しようとする皮膚表面と薄膜を同時に撮影した画像である皮膚たるみ量測定装置。
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明治国際医療大学鍼灸学部, 先日行われた卒業式、学位授与式で学位を授与された大学院生の研究を紹介します。, JPN6018030542, 28 March 2018 (2018-03-28) * |
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