JP6504131B2 - 高強度厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、高強度厚鋼板に関し、特に、船舶、海洋構造物、低温貯蔵タンク、建築・土木構造物等の大型構造物に用いられる、大入熱溶接部の靭性および脆性き裂伝播停止特性に優れた高強度厚鋼板に関する。また、本発明は、前記高強度厚鋼板の製造方法に関する。
船舶や海洋構造物、低温貯蔵タンク、建築・土木構造物等の大型構造物においては、脆性破壊に伴う事故が起きると、社会経済や環境などに及ぼす影響が大きい。そのため、安全性の向上が常に求められており、とくに、使用される鋼材に対しては、使用温度における靭性や、脆性き裂伝播停止特性(アレスト特性)が高いレベルで要求されている。
コンテナ船やバルクキャリアーなどの船舶は、その構造上、船体外板に高強度の厚肉材が使用されており、最近では、船体の大型化に伴って一層の高強度厚肉化が進んでいる。一般に、鋼板の脆性き裂伝播停止特性は、高強度あるいは厚肉材になるほど劣化する傾向にあるため、脆性き裂伝播停止特性への要求も一段と高度化している。
鋼材の脆性き裂伝播停止特性を向上させる手段としては、鋼中のNi含有量を増加させる方法が知られている。例えば、液化天然ガス(LNG)の貯槽タンクには、9%Ni鋼が商業規模で使用されている。しかし、鋼中Ni量の増加は、製造コストの大幅な上昇を余儀なくさせるため、LNG貯槽タンク以外の用途には適用が難しい。
他方、LNGのような極低温にまで至らない、例えば、船舶やラインパイプに使用される、板厚が50mm未満の比較的薄手の鋼材においては、TMCP(Thermo-Mechanical Control Process)法により細粒化を図り、低温靭性を向上させることで、優れた脆性き裂伝播停止特性を実現することができる。
また、合金コストを上昇させることなく、脆性き裂伝播停止特性を向上させるために、鋼の組織や集合組織を制御する方法が、様々な観点から提案されている。
しかし、大型構造物に使用される鋼材には、脆性き裂伝播停止特性に優れることのみならず、安全性の観点から、溶接熱影響部の靭性、特にボンド部の靭性に優れることが要求される。
大入熱溶接時の融点直下の高温にさらされるボンド部では、オーステナイト結晶粒が粗大化しやすい。粗大化したオーステナイト結晶粒は、その後の冷却によって脆弱な上部ベイナイト組織に変態し、更に、ウィドマンステッテン組織や島状マルテンサイトが生成して靭性が低下する。
ボンド部の靭性向上に関しては種々の研究がなされており、例えば、TiNの微細分散によるオーステナイトの粗大化抑制やフェライト変態核としての利用のほか、希土類元素(REM)をTiと複合添加することにより、鋼中に微細粒子を分散させてオーステナイトの粒成長を防止し、溶接部の靭性向上を図る方法が提案されている(特許文献1)。
また、Ti酸化物やMg酸化物を利用したり(特許文献2、3)、BNによりフェライト核を生成したり、CaやREMを添加することによって硫化物の形態を制御して、靭性を向上させることが提案されている。
特許文献4では、Ca、O、S量を制御し、CaおよびMnの複合硫化物をフェライト核とし微細に分散させることによって、靭性を向上させる方法が提案されている。
特公平03−053367号公報 特開昭60−245768号公報 特開2000−234139号公報 特許第3733898号 特許第5146198号
しかし、上記したような従来の技術は、いずれも板厚50mm程度の鋼板を対象としたものであり、板厚70mm程度の厚肉材へ適用した場合に、必要な特性が得られるかどうかは不明である。
溶接施工において、板厚50mm以上の厚鋼板を溶接する場合、入熱300kJ/cmを超える大入熱溶接の適用が検討されており、さらなる大入熱化が予想される。しかし、特許文献1に記載されているような、TiNを利用する技術においてはTiNが溶解する温度域に加熱される溶接部でその作用が消失し、また固溶TiおよびNにより組織が脆化して著しく靭性が低下するので、300kJ/cmを越える大入熱溶接部では十分な靭性が得られないことが予想される。
さらに、特許文献2、3に記載されている技術のように、Ti酸化物やMg酸化物を利用してHAZ靭性を改善する場合、これらの酸化物を十分均質に微細分散することは容易でない。また、CaやREMを添加する技術においても、300kJ/cmを超える大入熱溶接では溶接熱影響部の高靭性を確保することは困難であった。
また、特許文献4においては、CaおよびMnの複合硫化物を利用することで400kJ/cmを超える溶接熱影響部靭性を確保しているが、脆性き裂伝播停止性能に関する検討はなされていない。
これに対し、特許文献5においては、溶接熱影響部靱性を確保するとともに脆性き裂伝播停止性能に優れる鋼板が開示されている。しかし、本技術を用いたとしても板厚中心での靱性が十分でない場合があった。
本発明は、上記した問題を有利に解決するもので、板厚が50mmを超える場合においても、板厚中心部の靭性に優れ、かつ、大入熱溶接部の靭性および脆性き裂伝播停止特性に優れた高強度厚鋼板を提供することを目的とする。また、本発明は、工業的に簡易なプロセスで、前記高強度厚鋼板を安定して製造し得る、高強度厚鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記課題を解決するために、大入熱溶接部の靭性および脆性き裂伝播停止特性に優れた高強度厚鋼板および当該鋼板を安定して得る製造方法について鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得た。
(1)オーステナイト域で圧延を完了する場合、圧延時の温度が低温であるほど高い靭性値と集合組織が得られる。しかしながら、板厚が50mmを超えるような厚鋼板においては、変態点付近まで圧延温度を下げてしまうと、図1に示すように鋼板の表面と板厚中央部との温度差が大きくなるため、表層部がフェライト組織に変態し、そのフェライトが圧延されて表層部の靭性が劣化する。
(2)表層部のフェライト生成を抑制するためには圧延温度を上げる必要があるが、圧延温度を上げると、板厚中心の圧延温度を十分に低くすることができない。
(3)板厚中心部の圧延温度が十分に低くないと、板厚中心部の結晶粒径が粗大となり靱性が不十分となる場合や、き裂伝播停止特性に有利な集合組織である(211)面の集積度が不十分となる場合があった。
上記の問題を解決するためさらに検討を重ねた結果、圧延の途中で鋼板の表裏面を加熱することで図2に示したように板厚方向の温度差を低減でき、これまで以上に低い温度で安定的に圧延できることに思い至った。これにより、従来よりも優れた板厚中心部の靱性、高い脆性き裂伝播停止特性を得ることができる。
さらに、上記したような優れた板厚中心部の靱性および脆性き裂伝播停止特性を損なうことなく、大入熱溶接時のボンド部において優れた靱性を得るための方法について検討を行い、以下の知見を得た。
(4)鋼板の溶接ボンド部の靭性は脆化組織に影響され、この脆化組織の靭性は溶接後の冷却時にフェライト変態を促進させる変態核の微細化を行う事で大きく向上する。
(5)下記(1)式で定義されるACRが下記(2)式の条件を満足するように、Ca、S、O量を調節することにより、変態核を微細に分散させることができる。
ACR=([Ca]−(0.18+130×[Ca])×[O])/1.25/[S]…(1)
0.00<ACR<1.00…(2)
すなわち、鋼を溶製する際の凝固段階でCaSを晶出させるにあたり、上記(1)、(2)式を満足するようにCa、Sの添加量および添加時の溶鋼中の溶存酸素量を制御することによって、CaSの晶出後の固溶S量を確保すれば、CaSの表面上にMnSが析出する。MnSは、それ自身がフェライト核生成能を有することに加え、その周囲にMnの希薄帯が形成してフェライト変態を促進する作用を有している。したがって、上記(1)、(2)式の条件を満足することにより、溶接熱影響部靭性を向上させることができる。さらに、MnS上にTiN、BN、AlN等のフェライト生成核が析出することによって、より一層、フェライト変態が促進される。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
1.質量%で、
C :0.03〜0.20%、
Si:0.02〜0.5%、
Mn:1.00〜2.50%、
P :0.02%以下、
S :0.0005〜0.01%、
Ti:0.005〜0.030%、
Al:0.020〜0.080%、
N :0.0025〜0.0075%、
Ca:0.0005〜0.0030%、
B:0.0005〜0.0020%、および
残部のFeおよび不可避的不純物からなり、
かつ下記(1)式で定義されるACRが下記(2)式の条件を満足し、
下記(3)式で定義されるCeqが下記(4)式の条件を満足する成分組成を有し、
板厚1/2位置における圧延面での(211)面X線強度比が1.5以上、鋼板表面における(211)面X線強度比が1.4以上の集合組織を有し、
板厚1/2位置におけるフェライトの面積分率が60%以上、かつ板厚1/2位置におけるフェライトの平均粒径が15μm以下である鋼組織を有する、高強度厚鋼板。

ACR=([Ca]−(0.18+130×[Ca])×[O])/1.25/[S]…(1)
0.00<ACR<1.00…(2)
Ceq=[C]+[Mn]/6+[Cu]/15+[Ni]/15+[Cr]/5+[Mo]/5+[V]/5…(3)
Ceq≧0.30…(4)
ここで、上記(1)、(3)式における[ ]は、前記高強度厚鋼板における該括弧内の元素の含有量(質量%)を表し、該元素が含有されていない場合には0とする。
2.前記成分組成が、質量%で、
Nb:0.005〜0.040%、
Cu:0.01〜0.5%、
Ni:0.01〜1.5%、および
Cr:0.01〜0.5%からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、前記1に記載の高強度厚鋼板。
3.前記成分組成が、質量%で、
Mo:0.01〜0.5%、および
V :0.005〜0.10%のいずれか一方または両方をさらに含有する、前記1または2に記載の高強度厚鋼板。
4.前記1〜3のいずれか一項に記載の構造用高強度厚鋼板の製造方法であって、
前記1〜3のいずれか一項に記載の成分組成を有する鋼を1000〜1200℃の加熱温度に加熱し、
板厚1/2位置がオーステナイト再結晶温度域での熱間圧延を行い、
板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延を、板厚1/2位置の温度がAr〜Ar+30℃の範囲における累積圧下率が40%以上となる条件で行い、
前記板厚1/2位置がオーステナイト再結晶温度域での熱間圧延終了後、前記板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延開始までの間に、前記鋼を表裏の両面から加熱する、高強度厚鋼板の製造方法。
5.前記表裏の両面からの加熱を、前記板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延開始時における前記鋼の表面と板厚1/2位置における温度差が40℃以下となるように行う、前記4に記載の高強度厚鋼板の製造方法。
本発明によれば、板厚方向の各位置に応じて集合組織および靭性値が適切に制御されるので、板厚が50mmを超える場合においても、板厚中心部の靭性に優れ、かつ、大入熱溶接部の靭性および脆性き裂伝播停止特性に優れた高強度厚鋼板を得られる。本発明の高強度厚鋼板は、例えば、造船分野ではコンテナ船、バルクキャリアーの強力甲板部構造においてハッチサイドコーミングに接合される甲板部材へ適用することにより船舶の安全性向上に寄与するところが大で、産業上極めて有用である。
従来の熱間圧延における、鋼板の板厚方向での温度分布を示す模式図である。 本発明の熱間圧延における、鋼板の板厚方向での温度分布を示す模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明の一実施形態における高強度厚鋼板においては、成分組成、集合組織、および組織が上記のように規定される。
[成分組成]
まず、本発明において鋼の成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、成分組成に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.03〜0.20%
Cは、鋼の強度を向上する元素であり、本発明では、所望の強度を確保するためには0.03%以上の含有を必要とする。しかし、C含有量が0.20%を超えると、溶接性が劣化するばかりか靭性にも悪影響がある。このため、C含有量は、0.03〜0.20%とする。なお、C含有量は0.04〜0.15%とすることが好ましく、0.05〜0.12%とすることがより好ましい。
Si:0.02〜0.5%
Siは、脱酸元素として、また、鋼の強化元素として有効であるが、0.02%未満の含有量ではその効果がない。一方、Si含有量が0.5%を超えると、鋼の表面性状を損なうばかりか、靭性が極端に劣化する。従って、Si含有量は0.02〜0.5%とする。Si含有量は0.2%以下とすることが好ましく、0.1%以下とすることがより好ましい。
Mn:1.00〜2.50%
Mnは、強化元素および焼入れ元素として含有される。Mn含有量が1.00%より少ないとその効果が十分でない。一方、Mn含有量が2.50%を超えると溶接性が劣化することに加え、鋼材コストも上昇する。そのため、Mn含有量は、1.00〜2.50%とする。Mn含有量は1.20〜2.30%とすることが好ましく、1.40〜2.10%とすることがより好ましい。
P:0.02%以下
Pは、鋼中の不可避的不純物であり、含有量が多くなると靭性が劣化してしまう。そのため、板厚が50mm超えるような厚鋼板においても良好な靭性を保つために、P含有量を0.02%以下とする。P含有量は0.012%以下とすることが好ましく、0.008%以下とすることがより好ましい。一方、下限については限定されず、0%であってもよいが、工業的には0%超である。
S:0.0005〜0.01%
Sは、鋼中の不可避的不純物であり、含有量が多くなると靭性が劣化してしまう。そのため、S含有量は0.01%以下とする。一方、大入熱溶接継手のボンド部おいて優れた靱性を得るためには0.0005%以上の添加が必要であるため、S含有量を0.0005%以上とする。S含有量は、0.0010〜0.0050%とすることが好ましく、0.0010〜0.0030%とすることがより好ましい。
Ti:0.005〜0.030%
Tiは、微量の含有により、窒化物、炭化物、あるいは炭窒化物を形成し、結晶粒を微細化して母材靭性を向上させる効果を有する。また、Tiは凝固時にTiNとなって析出し、溶接部でのオーステナイトの粗大化を抑制するとともに、フェライト変態核となって高靭性化に寄与する。Ti含有量が0.005%未満ではその効果が少なく、一方、0.030%を超えるとTiN粒子の粗大化によってその効果が得られなくなる。そのため、Ti含有量は0.005〜0.030%とする。Ti含有量は0.008〜0.020%とすることが好ましい。
Al:0.020〜0.080%
Alは、脱酸材として添加される元素である。また、Alは、溶接熱影響部でAlNを形成することで固溶Nを低減し、靱性向上に寄与する。さらに、溶接熱影響部で生成したAlNは、旧γ粒界内でフェライトの核生成サイトとして作用して結晶粒径微細化に寄与し、靱性を向上させる。このような効果を得るためには、0.020%以上の添加が必要である。一方、0.080%を超えて含有すると、靭性を低下させるとともに、溶接した場合に溶接金属部の靭性を低下させる。このため、Al含有量は、0.020〜0.080%とする。なお、Al含有量は、0.025〜0.060%とすることが好ましく、0.030〜0.050%とすることがより好ましい。
N:0.0025〜0.0075%
Nは、TiNの必要量を確保するために必要な元素である。N含有量が0.0025%未満では十分なTiN量が得られず、一方、N含有量が0.0075%を超えると、溶接熱サイクルによってTiNが溶解する領域において固溶N量が増加して靭性が著しく低下する。そのため、N含有量を0.0025〜0.0075%とする。N含有量は0.0035〜0.0060%とすることが好ましい。
Ca:0.0005%〜0.0030%
Caは、Sの固定による靭性改善効果を有する元素である。このような効果を発揮させるには少なくとも0.0005%のCaを含有することが必要であるが、0.0030%を超えて含有しても効果が飽和する。そのため、Ca含有量は0.0005%〜0.0030%とする。Ca含有量は、0.0010〜0.0025%とすることが好ましい。
B:0.0005〜0.0020%
Bは、溶接熱影響部でTiNの溶解により生じたNをBNとして固定し、溶接部靭性の劣化を抑制する。また、Bは、焼入性を向上させ母材の強度確保に有効に寄与する。このような効果は0.0005%以上の添加で発揮されるが、0.0020%よりも多く添加してもその効果は飽和する。そのため、B含有量は0.0005〜0.0020%とする。B含有量は0.0008〜0.0015%とすることが好ましい。
本発明の一実施形態における高強度厚鋼板の成分組成は、上記元素と、残部のFe及び不可避不純物からなる。なお、前記不可避的不純物としては、例えば、Sb、Sn、Zn、Co、Mg、W、REM等が挙げられ、これらの元素の含有量は、Sb:0.01%以下、Sn:0.01%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下、Mg:0.0010%以下、W:0.010%以下、Zr:0.0010%以下、REM:0.0010%以下とすることが好ましい。
また、本発明の他の実施形態においては、さらに特性を向上させるため、上記成分組成に加え、Nb、Cu、Ni、およびCrからなる群より選択される1または2以上を任意に含有することが可能である。
Nb:0.005〜0.040%
Nbは、NbCとしてフェライト変態時あるいは再加熱時に析出し、高強度化に寄与する。また、Nbは、オーステナイト域の圧延において未再結晶域を拡大させる効果を有し、フェライトの細粒化に寄与するので、靭性の改善にも有効である。その効果は0.005%以上の含有により発揮されるが、0.040%を超えて含有すると、粗大なNbCが析出することにより、かえって靭性の低下を招く。そのため、Nbを含有する場合、Nb含有量を0.005〜0.040%とする。Nb含有量は、0.01〜0.030%とすることが好ましい。
Cu:0.01〜0.5%
Cuは、鋼の焼入れ性を高める元素であり、圧延後の強度向上に加え、靭性、高温強度、耐候性などの機能向上に寄与する。これらの効果は、0.01%以上の含有によって発揮されるが、過度の含有は靭性や溶接性をかえって劣化させる。そのため、Cu含有量は0.01〜0.5%とする。
Ni:0.01〜1.5%
Niは、鋼の焼入れ性を高める元素であり、圧延後の強度向上に加え、靭性、高温強度、耐候性などの機能向上に寄与する。これらの効果は、0.01%以上の含有によって発揮される。一方、過度の含有は靭性や溶接性をかえって劣化させることに加え、合金のコスト増加を招く。そのため、Ni含有量は0.01〜1.5%とする。
Cr:0.01〜0.5%
Crは、Cuと同様に、鋼の焼入れ性を高める元素であり、圧延後の強度向上に加え、靭性、高温強度、耐候性などの機能向上に寄与する。これらの効果は、0.01%以上の含有によって発揮されるが、過度の含有は靭性や溶接性をかえって劣化させる。そのため、Cr含有量は0.01〜0.5%とする。
また、本発明の他の実施形態においては、さらに特性を向上させるため、上記成分組成に加え、MoおよびVのいずれか一方または両方を任意に含有することが可能である。
Mo:0.01〜0.5%
Moは、CuやCrと同様に、鋼の焼入れ性を高める元素であり、圧延後の強度向上に加え、靭性、高温強度、耐候性などの機能向上に寄与する。これらの効果は、0.01%以上の含有によって発揮されるが、過度の含有は靭性や溶接性をかえって劣化させる。そのため、Mo含有量は0.01〜0.5%とする。
V:0.005〜0.10%
Vは、V(CN)として析出する析出強化によって、鋼の強度を向上させる元素である。この効果はVを0.005%以上含有させることにより発揮される。一方、Vを0.10%を超えて含有すると、かえって靭性が低下する。このため、Vを含有させる場合には、V含有量を0.005〜0.10%とする。
[ACR]
さらに、上記成分組成は、下記(1)式で定義されるACR(Atomic Concentration Ratio)が下記(2)式の条件を満足するものである。
ACR=([Ca]−(0.18+130×[Ca])×[O])/1.25/[S]…(1)
0.00<ACR<1.00…(2)
ここで、上記(1)式における[ ]は、高強度厚鋼板における該括弧内の元素の含有量(質量%)を表す。
上記(1)、(2)式で規定される条件は、複合硫化物を、CaS上にMnSが析出した形態とするため、鋼中のCa、S、Oの含有量を規定するものである。ACRが0.00より大きく、かつ1.00未満の場合、鋼を溶製する際の凝固段階でCaSが晶出するとともに、CaSの晶出後にも固溶S量が確保されるため、前記CaSの表面上にMnSが析出する。したがって、上記(1)、(2)式の条件を満足することにより、溶接熱影響部靭性を向上させることができる。さらに、MnS上にTiN、BN、AlN等のフェライト生成核が析出することによって、より一層、フェライト変態が促進される。なお、ACRは、0.01〜0.09とすることがより好ましい。さらに好ましくは0.02〜0.08である。
ACRが0.00以下の場合、CaSが晶出せず、SはMnS単独の形態で析出し、溶接熱影響部において複合硫化物を微細分散させることができない。一方、ACRが1.00以上の場合には、SがCaによって完全に固定され、フェライト生成核として作用するMnSがCaS上に析出しないため、溶接熱影響部において複合硫化物を微細分散させることができない。
なお、Oは不可避的不純物として鋼中に含有され、清浄度を低下させる。このため本発明ではできるだけ低減することが望ましい。特に、O含有量が0.0030%を超えるとCaO系介在物が粗大化して母材靭性を低下させてしまうため、O含有量を0.0030%以下とすることが好ましい。
また、本発明では、CaをCaSとして晶出させるために、Caと結合力の強いOの量をCa添加前に低減しておくことが必要であり、製鋼工程におけるCa添加前の残存酸素量を0.0030%以下とすることが好ましい。残存酸素量の低減には、脱ガスを強化する方法や、脱酸剤を投入する方法などを用いることができる。
[Ceq]
さらに、上記成分組成は、下記(3)式で定義される炭素当量Ceqが下記(4)式の条件を満足するものである。
Ceq=[C]+[Mn]/6+[Cu]/15+[Ni]/15+[Cr]/5+[Mo]/5+[V]/5…(3)
Ceq≧0.30…(4)
ここで、上記(3)式における[ ]は、高強度厚鋼板における該括弧内の元素の含有量(質量%)を表し、該元素が含有されていない場合には0とする。
Ceqを0.30以上とすることにより、板厚が50mmを超えるような厚鋼板においても、強度および集合組織強度を保つことができる。Ceqは0.32以上とすることが好ましい。一方、Ceqの上限は特に限定されないが、0.42以下とすることが好ましい。
[集合組織]
本発明では、圧延方向または圧延直角方向など板面に平行な方向に伝播するき裂に対するき裂伝播停止特性を向上させるために、板厚1/2位置および鋼板表面における(211)面X線強度比を規定する。板厚1/2位置および鋼板表面において、(211)面を発達させると、き裂進展に先立ち微視的なクラックが発生してき裂進展の抵抗となる。なお、ここで「板厚1/2位置」とは板厚方向における中央の位置を意味し、「鋼板表面」とは鋼板の表面から0.5mmの深さの位置を意味する。
具体的には、板厚1/2位置における圧延面での(211)面X線強度比が1.5以上、鋼板表面における(211)面X線強度比が1.4以上の集合組織とする。前記条件を満たすように集合組織を制御することにより、最近のコンテナ船やバルクキャリアーなど船体外板に用いられるようになった板厚が50mmを超えるような厚鋼板においても、構造安全性を確保する上で目標とされるKca(−10℃)≧6000N/mm3/2の脆性き裂伝播停止特性を得ることができる。ここで、Kca(−10℃)は、−10℃における脆性き裂伝播停止靭性である。なお、より優れたき裂伝播停止性能が要求される場合には、板厚1/2位置における(211)面X線強度比を1.6以上、鋼板表面における(211)面X線強度比を1.5以上とすることが好ましい。
なお、ここで、(211)面X線強度比とは、対象材の(211)結晶面の集積度を表す数値であり、対象材の(211)反射のX線回折強度(I(211))と、集合組織のないランダムな標準試料の(211)反射のX線回折強度(I0(211))との比(I(211)/I0(211))を指す。板厚1/2位置における圧延面での(211)面X線強度比と鋼板表面における(211)面X線強度比は、それぞれ実施例に記載した方法で測定することができる。なお、面集積度の測定においては、数%の位置誤差は許容される。
[鋼板内部の組織]
鋼板には、基本特性として靭性に優れることが求められることに加え、脆性き裂の進展を抑制するためにも優れた靭性が要求される。そこで本発明では、高強度厚鋼板の板厚1/2位置におけるフェライトの面積分率を60%以上、かつ板厚1/2位置におけるフェライトの平均粒径を15μm以下とする。鋼組織をこのように制御することにより、特に重要である板厚1/2位置におけるvTrs(延性脆性遷移温度)を−40℃以下とすることができる。前記フェライトの面積分率は、65%以上とすることが好ましく、70%以上とすることがより好ましく、75%以上とすることがさらに好ましい。一方、前記フェライトの面積分率の上限は特に限定されないが、通常は95%以下である。なお、フェライト以外の残部は、特に限定されることなく、ベイナイト、マルテンサイト(島状マルテンサイトを含む)など、任意の組織とすることができる。それら残部組織の面積分率の合計は、40%以下であれば許容される。
また、前記フェライトの平均粒径は12μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。一方、フェライトの平均粒径の下限は特に限定されないが、通常は5μm以上である。フェライトの平均粒径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて1500倍で撮影した組織写真を画像処理することによって求めた円相当径の平均値とする。なお、組織の同定に関しては、常法に依ることができる。
[板厚]
本発明の高強度厚鋼板の板厚の下限は特に限定されないが、50mm超の鋼板で効果が顕著であり、60mm以上の鋼板でより効果が顕著であり、70mm超の鋼板ではさらに効果が顕著である。また、板厚の上限についても特に限定されないが、通常は、100mmである。
[製造方法]
次に、本発明の一実施形態における高強度厚鋼板の製造方法を説明する。
本発明の高強度厚鋼板は、上述した成分組成を有する鋼を特定の条件で熱間圧延することによって製造することができる。具体的には、次の(1)〜(3)の工程を順次行う。
(1)1000〜1200℃の加熱温度に加熱する。
(2)板厚1/2位置がオーステナイト再結晶温度域で熱間圧延する。
(3)板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域で、板厚1/2位置の温度がAr〜Ar+30℃の範囲における累積圧下率が40%以上となる条件で熱間圧延する。
そして、前記(2)の工程における熱間圧延が終了した後、前記(3)の工程における熱間圧延を開始するまでの間に、前記鋼を表裏の両面から加熱する。
[加熱工程]
加熱温度:1000〜1200℃
熱間圧延に先立って、上記成分組成を有する鋼を加熱する。その際、加熱温度が1000℃未満では、オーステナイト再結晶温度域における圧延時間を十分に確保することができない。一方、加熱温度が1200℃超では、オーステナイト粒が粗大化し、靭性の低下を招くばかりか、酸化ロスが顕著となって歩留が低下する。そのため、加熱温度は1000〜1200℃とする。なお、鋼板の靭性向上の観点からは、前記加熱温度を1000〜1150℃とすることが好ましく、1030〜1130℃とすることがより好ましい。
なお、前記加熱工程に供される鋼は、特に限定されることなく、任意の方法で製造することができる。例えば、上記成分組成を有する溶鋼を転炉等で溶製し、連続鋳造によって得た鋼片(スラブ)を用いることができる。
[熱間圧延]
次いで、熱間圧延を行う。熱間圧延工程においては、まず、(2)板厚1/2位置がオーステナイト再結晶温度域での熱間圧延を行い、次いで、(3)板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延を行う。この時、前記(2)の工程における熱間圧延が終了した後、前記(3)の工程における熱間圧延を開始するまでの間に、前記鋼を表裏の両面から加熱する。前記加熱により、板厚方向における温度分布を制御し、鋼板表面と内部とにおける温度差を小さくすることができ、その結果、上述した板厚中央部と鋼板表面における集合組織を得ることができる。
前記表裏の両面からの加熱は、前記(3)板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延開始時における前記鋼の表面と板厚1/2位置における温度差が40℃以下となるように行うことが好ましい。これにより、板厚中央をより低い温度で圧延しつつ、表面にフェライトが生成することを抑制することができる。前記温度差は、30℃以下とすることが好ましい。一方、前記温度差は、小さければ小さいほど好ましいため、下限は特に限定されないが、通常は、15℃以上である。
前記熱間圧延工程における加熱は、前記(2)の工程における熱間圧延が終了した後、前記(3)の工程における熱間圧延を開始するまでの間であれば、任意のタイミングで行うことができるが、温度制御の観点からは、該加熱が終了してから30秒以内に、前記(3)の工程における熱間圧延を開始することが好ましい。
前記熱間圧延工程における加熱は、特に限定されることなく、誘導加熱や炉加熱など、任意の方法で行うことができる。
なお、上記(3)の未再結晶域圧延においては、板厚中央の温度がAr〜Ar+30℃の範囲における累積圧下率を40%以上とする。同温度範囲における累積圧下率は50%以上とすることが好ましい。前記温度範囲における累積圧下率の上限は特に限定されないが、圧延負荷の観点から70%以下とすることが好ましい。本発明においては、上述のように未再結晶域圧延前に鋼板を表裏面から加熱するため、板厚中心温度がAr点直上となる条件で圧延しても表層フェライトの生成を抑制することができる。
圧延が終了した鋼板は、任意の条件で冷却することができるが、圧延時に発達させた集合組織の保持という観点からは、前記冷却は、Ar点以上の温度から600℃以下まで、2℃/s以上の冷却速度で行うことが好ましい。
上記熱間圧延および冷却後に、焼戻処理を行うこともできる。焼戻し処理を行う場合、焼戻し温度をAc点以下とすることが好ましい。焼戻温度がAc点より高いと、圧延時に発達させた集合組織が失われる場合があるためである。
なお、以上の説明において、板厚1/2位置の温度は、放射温度計で測定した鋼板表面温度からの伝熱計算、もしくは事前に測定した中心温度に基づく計算により求める。また、圧延後の冷却条件における温度は、板厚1/2位置における温度とする。
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す各成分組成を有する溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。次いで、前記スラブを表2に示した加熱温度に加熱した後、板厚:60〜100mmとなるよう熱間圧延を行った。熱間圧延の条件は、表2に示した通りである。未再結晶域圧延前に加熱を実施したものについては、前記加熱終了後、30秒以内に未再結晶域圧延を開始した。熱間圧延後は、直ちに板厚中心の冷却速度:2〜10℃/sで350〜500℃の範囲まで冷却し、その後、放冷して高強度厚鋼板を得た。
得られた高強度厚鋼板のそれぞれについて、以下の方法により、機械的特性、組織、集合組織、脆性き裂伝播停止特性、および溶接ボンド部における靭性を評価した。評価結果を表3に示す。
[機械的特性]
板厚1/4部より、Φ14のJIS 14A号試験片を採取し、引張試験を行って降伏強度(YS)、引張強さ(TS)を測定した。また、板厚の1/2位置よりJIS 4号衝撃試験片を試験片の長手軸の方向が圧延方向と平行となるように採取し、シャルピー衝撃試験を行って、破面遷移温度vTrsを求めた。
[組織]
板厚1/2位置から採取した試料を鏡面研磨し、ナイタール腐食した面について、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて1500倍で撮影し、組織写真を得た。前記組織写真を画像処理することによってフェライトの面積分率と平均粒径を求めた。なお、平均粒径は、前記組織写真から求めた円相当径の平均値とした。
[集合組織]
鋼板の集合組織を評価するため、板厚1/2位置および鋼板表面における(211)面X線強度比を、以下の方法で測定した。まず、板厚表層下0.5mmおよび板厚1/2位置から板厚1mmのサンプルを採取し、板面に平行な面を機械研磨・電解研磨することにより、X線回折用の試験片を用意した。なお、板厚表層部のサンプルについては、鋼板の表面に近い側の面を研磨した。得られた試験片のそれぞれについて、Mo線源を用いたX線回折装置を使用して、X線回折測定を実施し、(211)面X線強度比を求めた。
[脆性き裂伝播停止特性]
脆性き裂伝播停止特性を評価するため、温度勾配型ESSO試験を行い、−10℃におけるKca値(以下、Kca(−10℃)N/mm3/2とも記す)を求めた。
[溶接ボンド部における靭性]
各高強度厚鋼板から採取した継手用試験板に、V開先を施し、表3に示した入熱量でのエレクトロガスアーク溶接により大入熱溶接継手を作製した。得られた溶接継手から切欠位置をボンド部とするJIS4号衝撃試験片を採取し、試験温度−40℃でシャルピー衝撃試験を実施して、シャルピー吸収エネルギーを測定した。同一条件で実施した試験片3本の吸収エネルギーの平均値を吸収エネルギーvE−40(J)とした。
表3に示した結果から分かるように、本発明の条件を満たす高強度厚鋼板は、板厚1/2位置におけるvTrsが−40℃以下という優れた靱性を有するとともに、Kca(−10℃)が6000N/mm3/2以上という優れた脆性き裂伝播停止特性を有していた。また、本発明の条件を満たす高強度厚鋼板は、さらに溶接継手ボンド部におけるvE−40が40J以上という優れた継手靱性を兼ね備えていた。一方、本発明の条件を満たさない比較例の高強度厚鋼板は、板厚1/2におけるvTrs、Kca(−10℃)、および溶接ボンド部におけるvE−40の少なくとも一つが劣っていた。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.03〜0.20%、
    Si:0.02〜0.5%、
    Mn:1.00〜2.50%、
    P :0.02%以下、
    S :0.0005〜0.01%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    Al:0.020〜0.080%、
    N :0.0025〜0.0075%、
    Ca:0.0005〜0.0030%、
    B:0.0005〜0.0020%、および
    残部のFeおよび不可避的不純物からなり、
    かつ下記(1)式で定義されるACRが下記(2)式の条件を満足し、
    下記(3)式で定義されるCeqが下記(4)式の条件を満足する成分組成を有し、
    板厚1/2位置における圧延面での(211)面X線強度比が1.5以上、鋼板表面における(211)面X線強度比が1.4以上の集合組織を有し、
    板厚1/2位置におけるフェライトの面積分率が60%以上、かつ板厚1/2位置におけるフェライトの平均粒径が15μm以下である鋼組織を有する、高強度厚鋼板。

    ACR=([Ca]−(0.18+130×[Ca])×[O])/1.25/[S]…(1)
    0.00<ACR<1.00…(2)
    Ceq=[C]+[Mn]/6+[Cu]/15+[Ni]/15+[Cr]/5+[Mo]/5+[V]/5…(3)
    Ceq≧0.30…(4)
    ここで、上記(1)、(3)式における[ ]は、前記高強度厚鋼板における該括弧内の元素の含有量(質量%)を表し、該元素が含有されていない場合には0とする。
  2. 前記成分組成が、質量%で、
    Nb:0.005〜0.040%、
    Cu:0.01〜0.5%、
    Ni:0.01〜1.5%、および
    Cr:0.01〜0.5%からなる群より選択される1または2以上をさらに含有する、請求項1に記載の高強度厚鋼板。
  3. 前記成分組成が、質量%で、
    Mo:0.01〜0.5%、および
    V :0.005〜0.10%のいずれか一方または両方をさらに含有する、請求項1または2に記載の高強度厚鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の構造用高強度厚鋼板の製造方法であって、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の成分組成を有する鋼を1000〜1200℃の加熱温度に加熱し、
    板厚1/2位置がオーステナイト再結晶温度域での熱間圧延を行い、
    板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延を、板厚1/2位置の温度がAr〜Ar+30℃の範囲における累積圧下率が40%以上となる条件で行い、
    前記板厚1/2位置がオーステナイト再結晶温度域での熱間圧延終了後、前記板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延開始までの間に、前記鋼を表裏の両面から加熱する、高強度厚鋼板の製造方法。
  5. 前記表裏の両面からの加熱を、前記板厚1/2位置がオーステナイト未再結晶温度域での熱間圧延開始時における前記鋼の表面と板厚1/2位置における温度差が40℃以下となるように行う、請求項4に記載の高強度厚鋼板の製造方法。
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