JP6503121B1 - 音声制御装置、その方法、そのプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
〈解決手段1〉
環境音を、装置への入力音として、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する変換音として、環境へ放つ出力音として、該出力音を環境音と共に再び入力音として更に変換する、ことが可能な音声制御装置であって、
任意の環境に由来する環境音を入力音として受付ける、入力手段と、
該入力音を、正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子又は三角波発振子に近似する周波数成分を含む任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である変換音に変換する、変換手段と、
該変換音を出力音として前記環境に放つ、出力手段と、
を備え、
前記入力手段は前記出力音と環境音との合成音を再び入力音として受付け、前記変換手段は該入力音を更に変換音に変換する、
音声制御装置。
減算合成型の音声制御装置であって、
前記入力音の振幅を増幅又は低減する増幅器1と、
該増幅器1に由来する音の任意の周波数成分を共鳴させるフィルタ器と、
該フィルタ器に由来する音の、ダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するダイナミクス制御器と、
前記変換音のマスター出力レベルを調節する増幅器2と、
を前記変換手段として備える、
解決手段1に記載の音声制御装置。
加算合成型の音声制御装置であって、
前記入力音を複製し、任意の数の要素を有する入力音配列とする配列器と、
該入力音配列の各要素の振幅を増幅又は低減する増幅器1と、
該増幅器1を経た入力音配列の各要素の、任意の周波数成分を共鳴させるフィルタ器と、
該フィルタ器を経た入力音配列の各要素の、ダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するダイナミクス制御器と、
該ダイナミクス制御器を経た入力音配列の各要素の、振幅を増幅又は低減する増幅器3と、
該増幅器3を経た入力音配列の全要素の振幅をスケーリングする増幅器4と、
該増幅器4を経た入力音配列の全要素を加算合成する加算合成器と、
前記変換音のマスター出力レベルを調節する増幅器2と、
を前記変換手段として備える、
解決手段1に記載の音声制御装置。
〈解決手段4〉
環境音を、装置への入力音として、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する変換音として、環境へ放つ出力音として、該出力音を環境音と共に再び入力音として更に変換する、ことが可能な音声制御方法であって、
任意の環境に由来する環境音を入力音として受付ける入力ステップと、
該入力音を、正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子及び三角波発振子に近似する周波数成分を含む任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である変換音に変換する変換ステップと、
該変換音を、出力音として前記環境に放つ出力ステップと、
を含み、
前記出力音と環境音との合成音を再び入力音として受付け、該合成音を更に変換音に変換する、
方法。
減算合成型の音声制御装方法であって、
前記入力音の振幅を増幅又は低減するステップと、
任意の周波数成分を共鳴させるステップと、
ダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するステップと、
マスター出力レベルを調節するステップと、
を前記変換ステップとして含む、
解決手段4に記載の音声制御方法。
加算合成型の音声制御装方法であって、
前記入力音を複製し、任意の数の要素を有する入力音配列とするステップと、
該入力音配列の各要素の振幅を増幅又は低減するステップと、
前記各要素の任意の周波数成分を共鳴させるステップと、
前記各要素のダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するステップと、
前記各要素の振幅を増幅又は低減するステップと、
前記入力音配列の全要素の振幅をスケーリングするステップと、
前記入力音配列の全要素を加算合成するステップと、
マスター出力レベルを調節する調節するステップと、
を前記変換ステップとして含む、
解決手段4に記載の音声制御装置の方法。
〈解決手段7〉
環境音を、装置への入力音として、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する変換音として、環境へ放つ出力音として、該出力音を環境音と共に再び入力音として更に変換する、ことが可能な音声制御プログラムであって、
任意の環境に由来する環境音を入力音としてAD変換して受付ける、入力手段と、
該入力音をメモリに記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶した前記入力音を読み出して、
正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子又は三角波発振子に近似する周波数成分を含む任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である変換音に変換する、変換手段と、
該変換音をメモリに記憶する記憶手段と、
該記憶手段で記憶した前記変換音を読み出して、
該変換音を出力音としてDA変換して前記環境に放つ、出力手段と、
として機能させ、
前記入力手段は前記出力音と環境音との合成音を再び入力音として受付け、前記変換手段は該合成音を更に変換音に変換する、
プログラム。
減算合成型の音声制御装置のプログラムであって、
前記記憶手段に記憶した前記入力音を読み出して、
該入力音の振幅を増幅又は低減する増幅器1と、
該増幅器1に由来する音の任意の周波数成分を共鳴させるフィルタ器と、
該フィルタ器に由来する音の、ダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するダイナミクス制御器と、
前記変換音のマスター出力レベルを調節する増幅器2と、
を前記変換手段として備える、
解決手段7に記載の音声制御プログラム。
加算合成型の音声制御装置のプログラムであって、
前記記憶手段に記憶した前記入力音を読み出して、
該入力音を複製し、任意の数の要素を有する入力音配列とする配列器と、
該入力音配列の各要素の振幅を増幅又は低減できる増幅器1と、
該増幅済み入力音配列の各要素の、任意の周波数成分を共鳴させるフィルタ器と、
該フィルタ済み入力音配列の各要素の、ダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するダイナミクス制御器と、
該ダイナミクス制御済み入力音配列の各要素の、振幅を増幅又は低減する増幅器3と、
該増幅器3を経た入力音配列の全要素の振幅をスケーリングできる増幅器4と、
該増幅器4を経た入力音配列の全要素を加算合成する加算合成器と、
前記変換音のマスター出力レベルを調節する増幅器2と、
を前記変換手段として備える、
解決手段7に記載の音声制御装置のプログラム。
〈全体構成〉
以下に、請求項に記載の内容に基づく実施形態を示す。請求項1乃至3の発明に基づく第一乃至五実施形態が、本発明の核心的実施形態である。用語説明又は図面についての追加説明については、文末《用語説明》又は《図面についての追加説明》を参照。
特別に言及がない限り、音声の振幅制御等の値は0.0から1.0までの値で示される。入出力手段であるオーディオインタフェースの標本化周波数は、44.1kHz、分解能は24ビットである。
実施形態リスト(構成要件付)を、装置、方法、プログラムの順で、以下に示す。
《第一:任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、音環制御装置》
《第二:減算合成、任意の制御周波数成分、正弦波音環制御装置》
《第三:減算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、正弦波音環制御装置》
《第四:加算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、音環制御装置》
《第五:加算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、鋸波音環制御装置》
《第六:任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、音環制御方法》
《第七:減算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、正弦波音環制御方法》
《第八:加算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、音環制御方法》
《第九:任意の制御周波数、任意の制御振幅、音環制御プログラム》
《第十:減算合成型、任意の制御周波数、任意の制御振幅、音環制御プログラム》
《第十一:加算合成型、任意の制御周波数、任意の制御振幅、音環制御プログラム》
本発明の原理となる「環境−音声制御装置」間インタラクションの概念図については図1参照。本発明が制御する音声である音環は、概念上、該インタラクションを可能にする「環境−音声制御装置」間インタフェース(図2参照)である。実施形態例については、図7乃至10を参照。正弦波音環、鋸波音環、矩形波音環又は三角波音環を制御する音環制御工程例については図11参照。音環のプロット(スペクトログラム図等)については図18乃至26を参照(音環と顕在的環境音、両者の強度が同時に顕在化しているプロットは図25)。
〈任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、音環制御装置〉
請求項1の発明に基づく実施形態を解説する。該実施形態は、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音環を制御する音声制御装置である。該装置は、例えば、正弦波音環、鋸波音環、矩形波音環又は三角波音環を制御しうるが、不自然な周波数成分を有する音環、雑音に近似する音環等も、制御できる。本装置図及びその流れ図については図12乃至13参照。
本装置は、環境音を、装置への入力音として、続けて任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する変換音として、続けて環境へ放つ出力音として、続けて該出力音と環境音との合成音を再び入力音として更に変換する音声制御装置である。
環境とは、本装置の音源であり、人による振舞を含む自然発振を為す(人の振舞が自然か否かは議論の余地があるが、本稿では、定義上及び便宜上、「自然発振」に含む)。かかる自然発振は、人によって聴取されると環境音等として認識されえて、無指向性コンデンサマイク等の集音器を通じて本発明の入力手段へ受け付けられると入力音となりうる。
環境音は入力手段を経て入力音となる。入力手段は、オーディオインタフェース等でありえて、環境音をAD変換して入力音として受付ける。その際、オーディオインタフェースにはマイク等の集音器を接続できる。集音器の種類及び数は問わない。
入力音は、変換手段でありうる(コンピュータ等の)装置によって、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である変換音に変換される。変換音は、正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子又は三角波発振子に近似する周波数成分を有する音でありうるが、上述の通り、これらの発振子に近似する原理的成分に限らず、不自然な成分、雑音に近似する成分等でもありうる。
変換音は出力手段を通じて出力音となる。出力手段は、入力手段と同様に、オーディオインタフェース等でありえて、前記変換音をDA変換して出力音とする。拡声器等が接続されているならば、出力音を該拡声器等を通じて環境に放つことができる。拡声器の種類及び数は問わない。
環境に放たれた出力音は、その環境において環境音と(厳密には加算合成なのか減算合成なのかは、実施状況や人為的介入等に左右されるが)合成されて合成音となる。そして、本装置は、続けて、前記入力手段によって該合成音を再び入力音として受け付けられる。
本装置は、環境と本装置との間において、上述の、一連のインタラクティブな音声制御処理を繰り返す(「環境−音声制御装置」間インタラクションの概念図について図1参照)。その結果、環境を音源とし任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音は、環境と本装置との間を、任意の期間、循環し続ける。その期間が、打楽器音のような短い期間であるか、ハムノイズのように長い期間であるかは、本発明の利用者次第である。
環境を音源とする音が本装置と環境との間を循環する結果、本装置と環境との間に環状の連続音が顕在化する。該環状の連続音は「音環」と呼ばれる。音環は、換言すると、本装置による制御を通じて環境から創発する任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である。音環は、音階を構成しうる調律音だけでなく、雑音に近似する音等でもありうる。
本装置の意義は、インタラクションデザイン又はインタフェースデザイン等に基づく、つまり環境における事物の変化も考慮する、音環境構成又は音楽環境構成が可能になる点にある(「環境−音声制御装置」間のインタラクション概念図又はインタフェース概念図について図1−2参照)。換言すると、音環を通じて、本装置と環境とが連続する。
応用としては、(正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子又は三角波発振子に近似する周波数成分を有する音環である)正弦波音環、鋸波音環、矩形波音環又は三角波音環等を、発振子のように利用する音楽制御又は音楽構成への応用が期待される(正弦波音環、鋸波音環、矩形波音環又は三角波音環を含む原理音環の概念図について図3−6参照)。又、楽器演奏や身体表現を含む舞台芸術へ応用、フィールド録音を為すように利用されるハンドヘルド型装置の開発等が期待される(かかる実施形態例について図7−10参照)。
〈減算合成、任意の制御周波数成分、正弦波音環制御装置〉
第二実施形態は、請求項2の発明に基づく音声制御装置である。第一実施形態(請求項1)に従属する。本装置図及びその流れ図については図14乃至15参照。
〈減算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、正弦波音環制御装置〉
第三実施形態は、請求項2の発明に基づく音声制御装置である。第一実施形態(請求項1)に従属する。第二実施形態と異なる点は、音環の振幅制御が可能な点である。本装置図及びその流れ図については図14乃至15参照。
〈加算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、音環制御装置〉
第四実施形態は、請求項3の発明に基づく。それは、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する正弦波音環を要素とする配列を加算合成する音声制御装置である。本実施形態を利用すると、 鋸波、矩形波、三角波等の原理的な成分を有する音環の制御に加えて、不自然な周波数成分を有する音環又は雑音に近似する成分を有する音環等、任意の成分の音環を制御できる。第三実施形態と同様に、出力音レベルも制御できる。本装置図及びその流れ図については図16乃至17参照。
該入力音配列の各要素の振幅は、増幅器1によって任意の程度に増幅又は低減できる。(下記のフィルタ器等の器具も、特別の言及がない限り、全要素が備えている。)増幅済み入力音配列の各要素は、フィルタ器によって濾過され且つ任意の周波数成分を共鳴させられる。その後、ダイナミクス制御器によって、各要素のダイナミックレンジの調節及びその振幅レベルの制限を為される。
〈加算合成、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅、鋸波音環制御装置〉
第五実施形態では、請求項3の発明に基づく、第四実施形態の装置を利用して、振幅0.5で基音220Hzの鋸波音環の制御工程を例示する。本装置図及びその流れ図については図16乃至17参照。
請求項4の内容は、請求項1の発明に基づく音環制御方法である。
《第七実施形態》
請求項5の内容は、請求項2の発明に基づく音環制御方法である。
《第八実施形態》
請求項6の内容は、請求項3の発明に基づく音環制御方法である。
請求項7の内容は、請求項1の発明に基づく音環制御プログラムである。
《第十実施形態》
請求項8の内容は、請求項2の発明に基づく音環制御プログラムである。
《第十一実施形態》
請求項9の内容は、請求項3の発明に基づく音環制御プログラムである。
本発明の意義の一部は、「環境−本発明」間のインタラクションとしても解釈されうるという点である。換言すると、音環を利用する音や音楽の構成を為すとき、環境(実際上、物化)の制御について考慮できる、という点である。例えば、創発インタラクションを制御する一因子として、文化性(culturality)を装置設計の一部に含む非特許文献3に記載の音声制御装置を、本発明を応用して、再構築できる。
文化性を一因子として前記「環境−本発明」間インタラクションに組み込むことによって、創発インタラクションの強度を制御しうる(インタラクション強度を制御する設計については、非特許文献1を参照)。インタラクション強度は、エスノグラフィ等による象徴行動の観察だけでなく、プロット図から解釈することもできる。例えば、本発明を利用するインタラクション強度の変化は、図25に掲載の音環のスペクトログラム図及びオシログラム図から解釈されうる。
音環を演奏する場合、録音スタジオのような静的環境においてはアナログ発振子またはデジタル発振子とは異なる繊細な揺らぎを備える音声を響かせることができて、人通りの多い動的環境においてはアナログ発振子またはデジタル発振子とは異なる過激な揺らぎを備える音声を響かせることができる。従って、本発明の実施時、どのような音環境で実施するかも考慮できる。この際、上記の任意の環境に潜在する文化性も、考慮の対象となりうる。具体的には、除夜の鐘の音などの伝統行事音等。除夜の鐘の成分を含む音環のスペクトログラム図、オシログラム図については図22参照。
実施環境が(都市部のような人工空間や室内閉じた空間ではなく)自然環境だと、顕在的制御周波数成分の帯域が狭い変換音と、周波数成分の帯域が広い自然発振に由来する環境音と、を合成できる。例えば、音の文化性を有する音環を制御できる。
「人−人工物」間インタラクションデザイン、「人間−コンピュータ」間のインタラクション(human-computer interaction)、超域文化研究、芸術学、政治学等の研究への貢献の一つとなるかもしれない。
(図1)
環境系は任意の環境にいる人や人工物等を含み、音声制御装置系は本発明に接続する集音器や拡声器等を含む。環境と本発明との間のインタラクションが連続することによって、環境系と音声制御装置系との間に音が循環し、音環が創発する。
任意の環境における環境音が、入力手段、変換手段及び出力手段を経て出力音となって、該出力音と環境音と合成された合成音として前記環境における環境音の一部となって、更に再び入力音となって制御されうる、という音環の流れを円環形の矢印で示す。
左から、キーボード型音環コントローラ奏者、笛型音環コントローラ奏者、歌唱者、身体表現者を表す。音環の制御を、音環コントローラ奏者はコントローラを通じて為し、歌唱者及び身体表現者は自らの発する音や動きによる干渉を通じて為す。
スマートフォンやスマートスピーカのような、音声入出力手段付き小型機器である実施形態。特定の場所に設置することもできるが、(フィールド録音のように)本形態を音環制御現場に持ち運んで音環をフィールド制御できる。
音環制御工程例概要図である(流れ図ではない)。例えば、環境音は、入力音となって、正弦波音環に変換されて、続けて入力音配列化されて、加算合成されて、矩形波変換音に変換されて、環境音と合成されて、再び入力音となる、という音環の流れを示す。便宜上、プラス記号は、出力音と環境音とが合成されることを示すが、人為的介入等によっては加算合成とは限らない。例えば、マイクを手で塞ぐと減算合成にもなりうる。
各図は各々昇順に請求項1、2、3の内容に対応する、発明概要図である(流れ図ではない)。
各図は各々昇順に請求項1、2、3の発明に対応する流れ図である。プラス記号は便宜上「合成」を意味するが用いているが、加算合成とは限らず、(環境の状況によっては)減算合成の場合もある。
正弦波音環のスペクトログラム図(上)とオシロスコープ図(下)である。スペクトログラム図の縦軸は20Hzから22.5kHzまでの周波数成分を、オシロスコープ図の縦軸は振幅を示す。横軸は両図において時間軸(秒)を示す。なお、図の見方は、図19乃至25のスペクトログラム図とオシロスコープ図においても同様。
矩形波音環制御装置のプロトタイプを用いた録音のスペクトログラム図(上)とオシロスコープ図(下)である。周波数成分の制御は為されていないため、20Hzから22.5kHzまでの顕在音を含む。0.8秒辺りから振幅が一時上昇し且つ周波数成分が規則的成分に変化している。これは「除夜の鐘」という文化性の発動に起因する。かかる矩形波音環制御装置のプロトタイプを用いた演奏及びその録音は、初詣文化性の発動に併せて除夜の鐘が午前零時頃から響くことを事前に予測して、平成28年末午後11時過ぎから平成29年午前0時過ぎまでの間、ある寺院敷地において、為された。
不自然な周波数成分及び不自然な振幅を有する音環のスペクトログラム図(図23)と周波数スペクトラム図(図24)である。制御周波数成分は4400Hz、8800Hz及び22000Hzである。なお、22000Hz信号は、見にくいが、図23においては上端に、図24においては右端に表示されている。
図23−24と同じ音環のスペクトログラム図(上)とオシロスコープ図(下)であるが、加えて、左から人の声、人の口笛1、人の口笛2及び人の拍手の音を含む。これらは環境に由来する顕在的成分であり、閾値を下げると潜在的成分も浮かび上がってくる。6秒を過ぎたあたりの拍手音の後に、音環が拍手音との相互作用によって揺らいでいる。
上から正弦波音環、鋸波音環、矩形波音環及び三角波音環のオシロスコープ図である。縦軸が振幅、横軸が時間軸(秒)である。
以下に、本稿(請求項及び明細書を含む出願書類)に記載のキーワードを説明する。特別な言及がない限り、「本発明」は本稿に記載の特許請求の範囲、その実施形態又はその両者を含む。
万物。時間経過を通じて、その変化(本稿において「物化」)に基づく自然発振が観察されうる(人及び人工物等の振舞も自然発振に含む)。本発明の利用開始時は潜在的だが、時間経過後に顕在化する振舞(例えば、初詣の振舞に起因する発振)も含む概念。便宜上、本発明の記述においては本発明系自体は含まない。
具体的には、本発明周囲の場所であり、録音スタジオのような静的環境、雑踏のような動的環境、音楽演奏室、美術展示室等、あらゆる任意の空間でありうる。定義上、宇宙空間のような真空空間でもありうるが、特別の言及がない限り、本稿においては、本発明との間に音波が伝搬しうる空気を含む地球上の環境を意味する。同様に、インターネット等を通じて環境音をストリーミングする遠隔の環境でもありうるが、宇宙空間と同様に、特別に言及がない限り、環境には含まない。
環境における自然発振に起因する空気振動、すなわち音波。通常、揺らいでいる。本発明の利用開始時は潜在的だが時間経過後に顕在化する音(例えば、初詣の振舞に起因する音)も含む。
環境を音源とし且つ任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する、本発明によって制御されている、音。環境と本発明との両者の間で相互作用しながら、該両者の間に創発するインタフェースの一形態。該両者によって制御されながら、該両者の間を循環する。音鏡にように、音によって環境を写す。
音声制御に関わる文脈である場合、原則、周波数成分を意味する。
実施において創発する音環の周波数成分。実質的に、合成音の周波数成分及び振幅。任意の音階を構成しうる調律音に近似する成分、不自然な成分、雑音に近似する成分等でありうる。制御周波数成分と環境周波数成分を加算合成した成分に近似する。物化に応じて変幻する成分を-ある時点において静的であれば静的な揺らぎ成分を、他の時点において動的であれば動的な揺らぎ成分を-有する。録音スタジオのような静かな環境でも、例えば基音22000Hzで正弦波音環として、創発しうる(図23乃至25参照)。
環境の一部。本発明の実施時において、音環の演奏者、制御者、表現者又は遊戯者等として振舞っている(その存在自体が、合成音の反射物として、音環の成分又は振幅に影響を及ぼす)。時間経過にしたがって、更に追加して何らか、文化性発動等、の振舞を為しうる。
環境の自然発振から抽出された音ではなく、それ故に成分及び振幅が非線形で揺らいでもない。「環境−装置」間に、環状の創発インタラクション(連続性)を実現しない。
任意の時点の環境音の周波数成分。
任意の時点の環境音の振幅。
任意の時点の本発明が制御基準とする周波数成分。
任意の時点の本発明が制御基準とする振幅。
二者間相互作用。共働、相用等と換言されうる。
多元的な前記インタラクション。
二者間界面。境界面、接触面、等と換言されうる。
(創発インタラクション)
装置と環境との間に、(理論上想定される振舞というより)実際に生じるインタラクティブな振舞。
観察者の任意の視点にとって、伝統的又は周期的であるかのように、象徴的に映る振舞。創発インタラクションについての解釈。四季、お辞儀、言語等(詳細は、非特許文献3参照)。
文化性分析、文化性合成又は両者を為すこと。「環境−装置」間インタラクション及び類縁領域に関わる(詳細は非特許文献3参照)。
環境音を本発明への信号として変換する手段。その実施形態は、任意のオーディオインタフェース又はAD変換器でありうる。該入力手段に接続する集音器の数又は種類は任意である。
入力手段が受け付けた環境音である。AD変換された音声信号と理解されうる。
入力音-実際上は音環-を1要素とする入力音配列を、準備する器具。
入力音を変換音へと変換する手段である。実施において、コンピュータの形態でありうる(デスクトップ型、ラップトップ型、ハンドヘルド型、イヤホン型、壁埋込型又は花瓶のようなインタリア内臓型等、コンピュータの形態は問はない)。
ここでのコンピュータとは、汎用コンピュータでありえて、信号処理のための記憶器具であるメモリ、ハードディスク等の補助記憶器具、演算用のCPU、インターネット等を利用するための通信インタフェース器具(任意で、利用者によるコンピュータ操作のためのキーボード、マウス、視覚モニタ等のユーザインタフェースも含む)等を含む。要するに、本発明実施におけるコンピュータは、形態を問わず、利用者が困難なく利用可能な器具を含む、コンピュータ系一式である。
制御周波数成分、制御振幅又は両者を有する音に、変換された入力音。変換音の周波数成分は、正弦波、鋸波発、矩形波又は三角波に近似する原理的な周波数成分でありうるが、これに限らない。例えば、平均律であれ純正律であれ任意の音階を構成しうる調律音の成分であったり、雑音に近似する成分でもありうる。
変換音を環境へ放つ音声として変換する手段。その実施形態は、任意のオーディオインタフェース又はDA変換器でありうる。出力手段に接続する拡声器の数又は種類は任意である。
出力音は、出力手段が音声変換した変換音である。例えば、DA変換された変換音と理解されうる。
合成音とは、拡声器から放たれた出力音と音源である環境の環境音とが、前記環境において、合成された音である。該合成音は、多くの場合、加算合成された音である考えられるが、人為的介入等によって減算合成される可能性も否定できない。例えば、マイク等の集音器を手で塞ぐと減算合成にもなりうる。
変換手段の一部であり、入力音の振幅を任意の程度に増幅又は低減することができる。
増幅器1の設計上の趣旨は、入力音の音量を増幅することである。例えば、20倍、あるいは更に増幅したり、事前に増幅又は低減の程度をプログラムしたり、自動に増幅又は低減する処理を為すことが考えられる。環境音のレベルが低い時は、その利用及び調節が必須である。
増幅器2の設計上の趣旨は、拡声器によって環境へ放たれる出力音の音量レベル調節である。
増幅器3は、入力音配列の各要素に備わる増幅器であり、各要素の振幅を調節する。その趣旨は、各要素の振幅を調節することである。規則的に調節したり、または不規則に調節したりすることができる。
増幅器4は、入力音配列の各要素に備わる増幅器であり、各要素の振幅を調節する。その趣旨は、全要素の振幅を一律調節(一律拡大又は一律縮小)すること、つまりスケーリングすること、である。
入力音の任意の周波数成分を以外の成分を濾過して、該任意の周波数成分を共鳴させられる器具。設計上の趣旨は、正弦波音環の基音を制御することである。例えばフィルタ器は、共鳴フィルタでありうる。
入力音のダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限する器具。設計上の趣旨は、音の圧縮又は制限、つまりコンプレッサまたはリミッタとしての利用、であるが、利用者の判断によってはそれ以外の利用方法、例えばディストーションとしての利用、もありうる。
前記入力音配列の加算合成器。
・環境音
・マイク
・地面
・音声制御装置
・ケーブル
・スタンド
・スピーカ
・出力音、合成音又は両者
・音環
・笛型音環コントローラを利用して音環制御を為す音環演奏者
・笛型音環コントローラ
・鍵盤型音環コントローラを利用して音環制御を為す音環演奏者
・鍵盤型音環コントローラ
・身体表現による環境音への干渉を通じて音環制御を為す音環演奏者
・概念上の界面(インタフェース)
・音声制御装置系
・環境系
・実施形態例
・歌唱表現による環境音への干渉を通じて音環制御を為す音環演奏者
Claims (5)
- 環境音を、装置への入力音として、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する変換音として、環境へ放つ出力音として、該出力音を環境音と共に再び入力音として更に変換する、ことが可能な音声制御装置であって、
任意の環境に由来する環境音を入力音として受付ける、入力手段と、
該入力音を、正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子又は三角波発振子に近似する周波数成分を含む任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である変換音に変換する、変換手段と、
該変換音を出力音として前記環境に放つ、出力手段と、
を備え、
前記入力手段は前記出力音と環境音との合成音を再び入力音として受付け、前記変換手段は該入力音を更に変換音に変換する、
音声制御装置。 - 前記入力音の振幅を増幅又は低減する増幅器1と、
該増幅器1に由来する音の任意の周波数成分を共鳴させるフィルタ器と、
該フィルタ器に由来する音の、ダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するダイナミクス制御器と、
前記変換音のマスター出力レベルを調節する増幅器2と、
を前記変換手段として備える、
請求項1に記載の音声制御装置。 - 前記入力音を複製し、任意の数の要素を有する入力音配列とする配列器と、
該入力音配列の各要素の振幅を増幅又は低減する増幅器1と、
該増幅器1を経た入力音配列の、各要素の任意の周波数成分を共鳴させるフィルタ器と、
該フィルタ器を経た入力音配列の各要素の、ダイナミックレンジを調節し且つその振幅レベルを制限するダイナミクス制御器と、
該ダイナミクス制御器を経た入力音配列の各要素の、振幅を増幅又は低減する増幅器3と、
該増幅器3を経た入力音配列の全要素の振幅をスケーリングする増幅器4と、
該増幅器4を経た入力音配列の全要素を加算合成する加算合成器と、
前記変換音のマスター出力レベルを調節する増幅器2と、
を前記変換手段として備える、
請求項1に記載の音声制御装置。 - 環境音を、装置への入力音として、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する変換音として、環境へ放つ出力音として、該出力音を環境音と共に再び入力音として更に変換する、ことが可能な音声制御方法であって、
任意の環境に由来する環境音を入力音として受付ける入力ステップと、
該入力音を、正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子及び三角波発振子に近似する周波数成分を含む任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である変換音に変換する変換ステップと、
該変換音を、出力音として前記環境に放つ出力ステップと、
を含み、
前記出力音と環境音との合成音を再び入力音として受付け、該合成音を更に変換音に変換する、
音声制御方法。 - 音声制御装置において、環境音を、装置への入力音として、任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する変換音として、環境へ放つ出力音として、該出力音を環境音と共に再び入力音として更に変換するように機能させることが可能な音声制御プログラムであって、
任意の環境に由来する環境音を入力音としてAD変換して受付ける、入力手段と、
該入力音をメモリに記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶した前記入力音を読み出して、正弦波発振子、鋸波発振子、矩形波発振子又は三角波発振子に近似する周波数成分を含む任意の制御周波数成分、任意の制御振幅又は両者を有する音である変換音に変換する、変換手段と、
該変換音をメモリに記憶する記憶手段と、
該記憶手段で記憶した前記変換音を読み出して、
該変換音を出力音としてDA変換して前記環境に放つ、出力手段と、
として機能させ、
前記入力手段は前記出力音と環境音との合成音を再び入力音として受付け、前記変換手段は該合成音を更に変換音に変換する、
音声制御プログラム。
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