JP6502013B2 - タイル壁面補修構造 - Google Patents

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本願発明は、施工面に固定された金具に係止固定されるネットを介して接着剤により施工面にタイルが張設されるようにしたタイル壁面構造に関するものである。
従来、タイル壁面の形成に関しては種々の工法が知られている。 例えば、タイル壁面の構築に関しては以下のものが知られている。
すなわち、施工コストの低減や施工効率の向上の見地から、ユニットタイルを用いる工法も従来から多数採用されている。 このような従来のユニットタイルは、所定の目地間隔を置いて配列された多数のタイルの裏面側に合成繊維不織布あるいはネットを配設し、該不織布又はネットの全面にポリマー配合のポルトランドセメント等を含浸させて各タイルを連結して構成されている。
そして、このような従来のユニットタイルによる壁面構築の施工は、先ず建物躯体のコンクリート等の壁面に貼付用のモルタル等の接着剤を所定厚みだけ塗布し、この接着剤層に前記ユニットタイルの裏面側を不織布あるいはネットと共に圧着貼着するようになっている。
本願技術に関して、以下のような先行技術文献が存在している。
特開平05−57910号公報 特開平06−248781号公報 特開2000−213181号公報 特開2003−239500号公報 特開2007−92331号公報
しかしながら、従来の技術には、既存タイル壁面の補修には不向きであった。
本願発明は、既存のタイル壁面に新規なタイル壁面を構築するタイル壁面構造であって、既存タイル壁面上に接着剤層を介して貼付される断熱材層と、新規壁面を形成するために前記断熱材層上に接着剤層を介して貼設される新規タイルと、既存壁面のタイルおよび前記断熱材層表面に穿設した溝部と、これらの溝部に嵌合される固定金具と、前記各固定金具を壁面下地に固定するアンカーボルトと、を具えてなり、前記各接着剤層は接着剤を塗布被覆したネットにより構成して、前記断熱材層ならびに前記新規タイルを係合固着するようにしたタイル壁面補修構造を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
本願発明は、上記のような構成を有することにより、貼付されたタイルが容易に剥落することのなく安全な壁面を、高い施工性の下に実現でき、壁面構築における全般的なコストの低減が可能である。 また、本願発明は新規な壁面の構築時のみならず、既存の壁面にも適用が容易で、既設壁面の補修、改修に極めて有効である。
発明を実施するための最良形態
本願発明において、ネットは従来汎用されている公知の合成樹脂繊維による網目状に形成されたもので、特に接着剤の添加に優れる網の結び目部分が全体的に突起状に形成されているものが望ましいが、接着剤層の保持に適して層の骨筋としてタイル等の裏面と貼付施工面とを緊密に貼り付けできるものであれば十分である。 この種のネットとして、2軸ガラス繊維ネット、3軸塩ビ繊維ネットなど各種のタイル張り用商品が存在しており、これらの中から適宜選択することができる。 なお、ネットは合成繊維のみならず、天然繊維はもちろん各種金属材によるものも使用することができる。
接着剤は、有機弾性接着剤が好ましく、下地の変形や下地―タイル間の熱膨張の差による応力を適正に緩和でき接着力も強靭である。この種の接着剤としては、変形シリコン・エポキシ樹脂系接着剤など各種の商品があり、施工条件に応じた適性を具備したものを選
択する。
本願において、タイルの貼付に関しては、コンクリート、モルタル等の下地面への施工はもちろん、既設のタイル壁面、ALCパネル、セメント成形板等による既設の壁面への施工も可能であり、特に既設タイル壁面の改修に有効である。
また、本願発明において、タイルは種々の陶磁器質タイルを用いることになるが、タイル、接着剤およびその組み合わせについては、全国タイル工業組合による品質認定制度の標準指針の内容に準拠することが望ましい。
金具は、断面コ字形状のアルミの押し出し成形材を使用し、施工面に形成される水平方向の溝部に嵌合されるこの金具は、上下方向において約1.5メートル間隔で施工面に取り付けられるが、その際、ネットは溝部と金具に挟持される状態になる。 金具は、アンカーボルトの打ち込みにより施工面に固定されるが、アンカーボルトの先端は施工面のコンクリート下地などに少なくとも20mm以上打ち込むことが望ましい。
下地処理層は、施工面を水平面に形成することによりこの上に張設するタイルの水平面形成を保持するものであるが、この下地処理層はモルタル層あるいは断熱材層などで形成する。 なお、新設の壁面の場合施工面の下地部が適正な水平面を形成している場合は、下地処理層を形成する必要のない場合がある。
次に、図面に基づいて本願発明に係る第1実施例を説明する。 図1は、本願発明に係るタイル壁面構造の一実施例を示す一部断面図である。 図において、1は施工面の下地部であるコンクリート壁面、2はこのコンクリート壁面に張設されるネットであり、このネット2は接着剤層3によりコンクリート壁面1に固定されている。 4はネット2の面上に接着剤層3を介してコンクリート壁面1の表面に張設固着されるタイルで、4aはタイル4の目地部である。
また、図1において、5はコンクリート壁面1に形成された溝部、6は溝部5に嵌合された固定金具で、前記ネット2は溝部5と固定金具6との間で挟持される一方、接着剤層3によりコンクリート壁面1の表面に固着保持されている。 7は固定金具6を固定するためコンクリート壁面1に打ち込まれたアンカーボルトである。 上述のように、 ネット2は張設されたタイル4を保持することになるから、相応の強度でコンクリート壁面に係止固着する必要がある。 そして、ネット2を壁面に保持するのは主として固定金具6である。 したがって、固定金具6は、前記溝部5にアンカーボルト7で固定を強化されているが、その強度を安全に維持するにはアンカーボルト7は先端が少なくとも20mm以上コンクリート壁面1に打ち込む必要がある。
タイル4の張設による壁面構造の施工手順は、まず、コンクリート壁面1の所定位置に溝部5を水平方向に穿設する。 この溝部5は上下方向に複数形成される場合、溝部5相互の間隔はおよそ150cmが望ましい。 次いで、溝部5にネット2の一部を挿入しその上に長手状で断面コ字形状の固定金具6を嵌合した後、アンカーボルト7の打ち込みにより固定金具6をコンクリート壁面に固定する。 そして、ネット2表面に接着剤を塗布して接着剤層3を形成して、この表面にタイル4を敷設してタイル壁面を形成していく。
図2は、第2実施例に係るタイル壁面構造を示す一部断面図である。 この実施例では、コンクリート壁面1の表面に下地処理層が形成され、その上面にタイルが張設されている。 すなわち、図において、8はコンクリート壁面1の表面に接着剤により貼付固定された下地処理層としての機能をも具備する断熱材層である。 そして、前記溝部5はこの断熱材層8に形成されるようになっている。 なお、ネット2、接着剤層3、溝部5、固定金具6、アンカーボルト7、壁面を構成するタイル4等の関連構成は、上記第1実施例と同一であるので、重複説明は省略する。 また、施工手順も、始めにコンクリート壁面1に断熱材を貼付することを除き、上記第1実施例の場合と同様である。
図3は、本願発明の第3実施例に係るタイル壁面構造を示す一部断面図である。この実施例は、既存のタイル壁面上に新たに本願発明に係るタイル壁面構造を構築する例を示している。 すなわち、コンクリート壁面1には既存のタイル壁面が形成されていて、この既存タイル壁面は、コンクリート壁面1表面に形成されたモルタル層81と、このモルタル層81上に接着モルタル21により貼付されたタイル41による壁面からなっている。 そして、該実施例では、この既存タイル壁面が新規なタイル壁面構築の施工面となる。
図3において、21は、既存のタイル41の壁面上に張設されたネットであり、接着剤層31により係止固着されている。 ネット21の表面には下地処理層としてのモルタル層83が形成されている。 そして、2はこのモルタル層83表面に張設されるネットであり、このネット2は接着剤層3によりモルタル層83の表面に固定されている。 4はネット2の表面上に接着剤層3を介してモルタル層83の表面に張設固着されるタイルで、4aはタイル4の目地部である。
また、図3において、5はモルタル層83に形成された溝部、6は溝部5に嵌合された固定金具で、前記ネット2は溝部5と固定金具6との間で挟持される一方、接着剤層3によりモルタル層83の表面に固着保持されている。 7は固定金具6を固定するためコンクリート壁面1に打ち込まれたアンカーボルトである。 上述のように、ネット2は張設されたタイル4を保持することになるから、相応の強度でコンクリート壁面に係止固着する必要がある。 そして、ネット2を壁面に保持するのは主として固定金具6である。 したがって、固定金具6は、前記溝部5にアンカーボルト7で固定を強化されているが、その強度を安全に維持するにはアンカーボルト7は先端が少なくとも20mm以上コンクリート壁面1に打ち込む必要がある。 なお、この実施例に係る施工手順は、既存タイル壁面にモルタル層83を形成して後は、前記第1実施例に述べた内容と同一なので、重複説明は省略する。
図4は、本願発明に係るタイル壁面構造の第4実施例を示す一部断面図である。 この実施例も既存のタイル壁面に新規なタイル壁面を構築する例を示している。図において、84は、下地調整材として既存タイル41による壁面上に貼付された断熱材層で、ネット21、接着剤層31を介して既存タイル壁面に固着されている。 4は壁面を新設するため断熱材層84の表面に張設されるタイルで、ネット2および接着剤層3を介して断熱材層84の表面に貼付されている。 既存タイル41および断熱材層84の表面には溝部5,5が穿設され、それぞれの溝部5,5にはネット21、ネット2を係合した断面コ字状の固定金具6,6が嵌合され、ネット2、21には接着剤層3,31が形成されて断熱材層84を既存タイル41、41に、また新設タイル4を断熱材層84に係止固着している。 なお、固定金具7をアンカーボルト7により固定する構造は上述の各実施例と同様である。 なお、当該実施例では溝部5を断熱材層84、既存タイル41にそれぞれ形成しているが、これら溝部を統合して、断熱材層84から既存タイル41まで貫通する1個の溝部として形成してここに固定金具を設置してネット2,21を係合固着するようにしても良い。
図5は、上記各実施例に示した固定金具6を示す、一部切欠斜視図である。 この固定金具6は、アルミ材等の金属材で押し出し成形加工により断面コ字状に形成されている。 各実施例では長手方向が150cm、溝の深さは5−7mm、溝幅は10mmとなっている。
図6は、上記各実施例における溝部5、固定金具6、ネット2等の関連構成を示す一部切欠断面図である。 図において、5は例えばコンクリート壁面1に穿設された溝部であり、固定金具6はネット2を押し込むようにして溝部6内に嵌合されている。 不図示であるが、固定金具6はアンカーボルトによりコンクリート壁面1に固定される。 ネット2表面に塗布した接着剤によりタイル4はコンクリート壁面1に貼付固定される。このような構成により、タイルはネット、接着剤を介することにより確実強固にコンクリート壁面に貼付され、ネット自体も固定金具、接着剤により確実にコンクリート壁面に係止されることとなり、構築されたタイル壁面におけるタイルの落下、剥落などを容易に防止することが可能である。
本願発明の第1実施例を示す一部切欠断面図である。 本願発明第2実施例を示す一部切欠断面図である。 本願発明第3実施例を示す一部切欠断面図である。 本願発明第4実施例を示す一部切欠断面図である。 固定金具の実施例を示す一部切欠斜視図である。 溝部5、固定金具6、ネット2等の関連構成を示す一部切欠断面図である。
1....コンクリート壁面
2 .... ネット
3.... 接着剤層
4....タイル
5....溝部
6 .... 固定金具
7 .... アンカーボルト

Claims (1)

  1. 既存のタイル壁面に新規なタイル壁面を構築するタイル壁面構造であって、既存タイル壁面上に接着剤層を介して貼付される断熱材層と、新規壁面を形成するために前記断熱材層上に接着剤層を介して貼設される新規タイルと、既存壁面のタイルおよび前記断熱材層表面に穿設した溝部と、これらの溝部に嵌合される固定金具と、前記各固定金具を壁面下地に固定するアンカーボルトと、を具えてなり、前記各接着剤層は接着剤を塗布被覆したネットにより構成して、前記断熱材層ならびに前記新規タイルを係合固着するようにしたタイル壁面補修構造
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