<実施の形態1>
<構成>
図1は、本実施の形態1におけるマルチディスプレイ装置のブロック図である。本実施の形態1のマルチディスプレイ装置は、映像配信装置1〜nと、映像再生装置4〜9と、制御装置20と、マルチディスプレイ10とを備えている。
映像配信装置1〜nは例えば監視カメラであり、所定のフォーマットの映像データをEthernet(登録商標)などのネットワーク30を介して映像再生装置4〜9に入力する。映像再生装置4〜9は、映像配信装置1〜nから取得した映像データを映像に復元し任意の大きさに拡大縮小し、マルチディスプレイ10の表示画面上の任意の位置に映像ウィンドウとして表示する。
マルチディスプレイ10は、複数の表示装置11〜16が1つの表示画面(ディスプレイ)を形成するように格子状に配置されて構成される。表示装置11〜16は、映像再生装置4〜9で生成された映像を受信し、表示する。表示装置11〜16の解像度を、例えば1920×1200画素とすれば、マルチディスプレイ10全体のスクリーンサイズは5760×2400画素となる。表示装置11〜16と映像再生装置4〜9とは一対一で対応している。例えば映像再生装置4の生成映像は表示装置11で表示され、映像再生装置5の生成映像は表示装置12で表示される。
図2は、映像再生装置4のブロック図である。なお、映像再生装置5〜9の構成は映像再生装置4と同じため、説明を省略する。図2に示すように、映像再生装置4は、システムバス101、映像受信部102、制御部103、通信部104、メモリ105、プログラムデータファイル106、映像復元部107、映像出力部108を備えている。共有バスであるシステムバス101には、制御部103、映像復元部107、映像受信部102、メモリ105、プログラムデータファイル106、映像出力部108が接続されている。
映像受信部102はEthernet(登録商標)などのネットワークを介して映像配信装置1〜nから映像データを受信し、メモリ105に一時的に格納する。
プログラムデータファイル106には、映像データの復元、再生等を行うための制御プログラム等のプログラムが記憶されている。メモリ105には、映像データの他、プログラムデータファイル106の展開したプログラムが一時的に蓄積される。
映像復元部107は、メモリ105に一時的に格納された映像データをプログラムデータファイル106のプログラムに従って映像に復元し、システムバス101を介して映像出力部108へ出力する。なお、映像復元部107は、時分割処理などにより複数の映像データを同時に復元できるように構成されている。
映像出力部108は、制御部103の制御により、マルチディスプレイ10に表示する映像ウィンドウのレイアウトを決定し、それぞれの映像ウィンドウに映像復元部107が復元した映像を配置した上で、表示装置11に表示出力109として映像を出力する。
図1に示す制御装置20は、通信部21、故障検知部22、制御部23を備える。通信部21は、例えばRS−232CやEthernet(登録商標)などの通信インターフェースであり、映像再生装置4〜9及び表示装置11〜16と互いに通信可能な状態に接続されている。
故障検知部22は、通信部21を介して各表示装置11〜16から故障情報を逐次取得して、取得した故障情報から各表示装置11〜16が故障であるか否かを判定する。
制御部23は、表示装置11〜16上の映像ウィンドウの位置や大きさなど状態を示したウィンドウ情報(図3)と、表示装置の位置を示したディスプレイ配置情報(図4)を管理している。また、制御部23はウィンドウ情報、ディスプレイ配置情報、および故障検知部22の判定結果を元に、映像ウィンドウの位置と大きさ、各映像ウィンドウに配置する映像を決定し、通信部21を介して、映像再生装置4〜9を制御する。
制御装置20における故障検知部22、制御部23の各機能は、処理回路により実現される。すなわち、処理回路は、専用のハードウェアであっても、メモリ(図示せず)に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSPともいう)であってもよい。
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。故障検知部22、制御部23の各部の機能それぞれを処理回路で実現してもよいし、各部の機能をまとめて処理回路で実現してもよい。
処理回路がCPUの場合、故障検知部22、制御部23の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路は、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。また、これらのプログラムは、故障検知部22、制御部23の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、メモリとは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
なお、故障検知部22、制御部23の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
図3は、制御部23にて管理されているディスプレイ配置情報を表したディスプレイ配置情報テーブルを示す図である。図3の列Xは表示装置の水平方向の位置を示しており、また行Yは表示装置の垂直方向の位置を示している。例えば表示装置16はX=3、Y=2であり、これは表示装置16の水平方向の位置が左から3番目、垂直方向の位置が上から2番目であることを示している。
図4は、通常表示状態におけるマルチディスプレイ10上に配置された映像ウィンドウと映像の表示例を示す図である。ここで、通常表示状態とは、いずれの表示装置も故障していない状態におけるマルチディスプレイ10の表示のことを指す。一方、縮退表示状態とは、いずれかの表示装置が故障した場合におけるマルチディスプレイ10の表示のことを指す。図4に示すように、表示装置11には、4つの映像ウィンドウ31、32、33、34が配置されている。映像ウィンドウ31、32、33、34にはそれぞれ映像A1、A2,A3,A4が割り当てられている。各表示装置12、13、14,15,16にも同様に、映像ウィンドウ35〜38、映像ウィンドウ39〜42、映像ウィンドウ39〜42、映像ウィンドウ43〜46、映像ウィンドウ47〜50、映像ウィンドウ51〜54が配置されている。映像ウィンドウ35〜38には映像B1〜B4が割り当てられている。映像ウィンドウ39〜42には映像C1〜C4が割り当てられている。映像ウィンドウ43〜46には映像D1〜D4が割り当てられている。映像ウィンドウ47〜50には映像E1〜E4が割り当てられている。映像ウィンドウ51〜54には映像F1〜F4が割り当てられている。
図5は、制御部23で管理されているウィンドウ情報を表したウィンドウ情報テーブルの例を示す図である。なお、図5と図4は対応関係にある。図5において、「ID」はウィンドウを一意に識別するためのID番号を示す。「ウィンドウ名」は各映像ウィンドウの名称を示す。「表示装置名」は映像ウィンドウが配置されている表示装置の名称を示す。「映像再生装置名」は映像ウィンドウに配置されている映像を再生している映像再生装置の名称を示す。「位置」は各映像ウィンドウの、表示装置の画面上における左上隅の水平および垂直の位置を示す。「サイズ」は映像ウィンドウの水平方向及び垂直方向の大きさを示す。「主映像」は映像ウィンドウに元から割り当てられている映像の名称を示す。「主映像数」は各映像ウィンドウに割り当てられている主映像の個数を示す。「退避映像」は縮退表示状態に各映像ウィンドウに割り当てられている映像の名称を示す。「退避映像数」は各映像ウィンドウに割り当てられている退避映像の個数を示す。
ここで、縮退表示状態とは、いずれかの表示装置の異常が検知され、以上が検知された表示装置に表示していた映像を他の表示装置に移動(退避)させて表示する状態を意味する。
<動作>
通常表示状態から縮退表示状態に移行する際のマルチディスプレイ装置の動作を説明する。例として、図1おける表示装置16が故障した場合の動作を説明する。
故障検知部22は、通信部21を介して各表示装置11〜16から定期的に故障情報を取得している。図6は、故障検知部が各表示装置11〜16から取得した故障情報の内容の一例を示す図である。図7は、故障状態の一覧を示す図である。
図6の「電源状態」は各表示装置11〜16の電源のオン、オフの状態を数字で示したものである。0の場合は電源がオンの状態、1の場合は電源がオフの状態であることを示す。例えば図6で表示装置16の電源状態は0であり、これは表示装置16の電源がオンの状態であることを示している。
また、図6の「故障状態」は故障の内容を数字で示したものである。数字と故障内容の対応関係が図7に示されている。図7において「故障無し」は表示装置において異常が検出されないことを意味する。また、「温度異常」は表示装置の温度が予め定めた値を超えていることを意味する。「ファン動作停止」は表示装置においてファンが故障していることを意味する。「光源異常」は表示装置の光源が故障していることを意味する。「電源異常」は表示装置の電源が故障していることを意味する。
図6で例えば表示装置16の故障状態は3である。図7を参照すると、表示装置16の故障状態は、「光源異常」であることがわかる。
故障検知部22は、図6の故障情報において、電源状態と故障状態の両方が0の場合は、その表示装置が正常である、即ち映像の表示が可能であると判定する。一方、電源状態と故障状態のいずれかが0でない場合は、その表示装置が故障である、即ち映像の表示が不可能であると判定する。
図6においては、表示装置11〜15に関して電源状態と故障状態の両方が0である。よって、故障検知部22は、表示装置11〜15が正常であると判定する。一方、表示装置16に関して、電源状態は0であるが、故障状態は3である。よって、故障検知部22は、表示装置16が異常であると判定する。
表示装置の故障が検知されると、制御部23は図5のウィンドウ情報テーブルを参照して、故障と判定された表示装置16に表示されている映像F1、F2、F3、F4を退避すべき映像として抽出する。
次に、制御部23は、抽出した退避すべき映像F1、F2、F3、F4のうち、まず映像F1の退避先ウィンドウを決定する。図8は、退避先ウィンドウを決定する工程を示すフローチャートである。
まず、故障と判定された表示装置16の周囲(即ち、左上、真上、右上、左、右、左下、真下、右下)に位置する表示装置を特定する(ステップS101)。特定は図3のディスプレイ配置情報テーブルを参照して行われる。図3において、表示装置16の位置はX=3、Y=2である。表示装置16の左上すなわちX=2、Y=1の位置には表示装置12が配置されている。すなわち表示装置16の左上に位置する表示装置は、表示装置12と特定される。同様に、表示装置16の真上、左に位置する表示装置はそれぞれ表示装置13、表示装置15であると特定される。また、表示装置16の右上、右、左下、真下、右下に位置する表示装置は存在しないことがわかる。
次に、故障と判定された表示装置16の左上に位置する表示装置12に配置されている複数の映像ウィンドウ35〜38の中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS102)。具体的には、図5を参照して、表示装置12に配置されている映像ウィンドウ35〜38の中から、水平方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウを全て抽出する。このとき、映像ウィンドウ35〜38の水平方向の終了位置はそれぞれ950、1910、950、1910であり、水平方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウとして映像ウィンドウ36,38が抽出される。さらに、その中で垂直方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウを抽出する。映像ウィンドウの水平方向の終了位置は図5における水平位置と水平サイズの和で求められる。映像ウィンドウ36と映像ウィンドウ38の垂直方向の終了位置はそれぞれ590、1190であり、垂直方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウとして映像ウィンドウ38が抽出される。
次に、故障と判定された表示装置16の真上に位置する表示装置13に配置されている複数の映像ウィンドウ39〜42の中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS103)。具体的には、図5を参照して、表示装置13に配置されている映像ウィンドウ39〜42の中から、垂直方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウをすべて抽出する。映像ウィンドウ39〜42の垂直方向の終了位置は590、590、1190、1190であり、垂直方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウとして映像ウィンドウ41,42が抽出される。
次に、故障と判定された表示装置16の右上に位置する表示装置に配置されている複数の映像ウィンドウの中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS104)。具体的には、水平方向の開始位置が最も小さい映像ウィンドウをすべて抽出し、その中で垂直方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウを抽出する。表示装置16の右上に位置する表示装置は存在しないため、このステップS104において映像ウィンドウは抽出されない。
次に、故障と判定された表示装置16の左に位置する表示装置15に配置されている複数の映像ウィンドウ47〜50の中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS105)。具体的には、図5を参照して、表示装置15に配置されている映像ウィンドウ47〜50の中から、水平方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウをすべて抽出する。映像ウィンドウ47〜50の水平方向の終了位置は950、1910、950、1910であり、水平方向の終了位置が最も大きい映像ウィンドウとして映像ウィンドウ48,50が抽出される。
次に、故障と判定された表示装置16の右に位置する表示装置に配置されている複数の映像ウィンドウの中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS106)。具体的には、水平方向の開始位置が最も小さい映像ウィンドウをすべて抽出する。表示装置16の右に位置する表示装置は存在しないため、このステップS106において映像ウィンドウは抽出されない。
次に、故障と判定された表示装置16の左下に位置する表示装置に配置されている複数の映像ウィンドウの中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS107)。具体的には、水平方向の開始位置が最も大きい映像ウィンドウをすべて抽出し、その中で垂直方向の終了位置が最も小さい映像ウィンドウを抽出する。表示装置16の左下に位置する表示装置は存在しないため、このステップS107において映像ウィンドウは抽出されない。
次に、故障と判定された表示装置16の真下に位置する表示装置に配置されている複数の映像ウィンドウの中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS108)。具体的には、垂直方向の開始位置が最も小さい映像ウィンドウをすべて抽出する。表示装置16の真下に位置する表示装置は存在しないため、このステップS108において映像ウィンドウは抽出されない。
次に、故障と判定された表示装置16の右下に位置する表示装置に配置されている複数の映像ウィンドウの中から、最も表示装置16に近い映像ウィンドウを抽出する(ステップS109)。具体的には、水平方向の開始位置が最も小さい映像ウィンドウをすべて抽出し、その中で垂直方向の終了位置が最も小さい映像ウィンドウを抽出する。表示装置16の右下に位置する表示装置は存在しないため、このステップS109において映像ウィンドウは抽出されない。
次に、ステップS102からステップS109で抽出されたすべての映像ウィンドウの中から、図5を参照して、主映像数と退避映像数の和が最も小さい映像ウィンドウを抽出する。さらにその中から、IDの番号が最も小さい映像ウィンドウを退避先ウィンドウとして決定する(ステップS110)。具体的には、ステップS102からステップS109で抽出された映像ウィンドウは、映像ウィンドウ38,41,42,48,50である。図5を参照すると、これらの映像ウィンドウの主映像数と退避映像数の和はいずれも1であるため、主映像数と退避映像数の和が最も小さいものとして映像ウィンドウ38,41,42,48,50が抽出される。次に、図5を参照すると、これら映像ウィンドウの中でIDの番号が最も小さい映像ウィンドウは映像ウィンドウ38である。よって、映像F1の退避先ウィンドウは映像ウィンドウ38と決定される。
制御部23は、この結果をウィンドウ情報テーブルに反映させる。図9は、映像F1の退避先ウィンドウが映像ウィンドウ38に決定された結果を反映したウィンドウ情報テーブルの内容を示す図である。図9に示すように、映像ウィンドウ38の退避映像に新たに映像F1が指定され、退避映像数が1となっている。
次に、制御部23は映像F2の退避先ウィンドウを決定する。映像F2の退避先ウィンドウを決定する手順は、図8を用いて説明した、映像F1の退避先ウィンドウを決定する手順と同様である。
映像F2の退避先ウィンドウを決定する手順の図8のステップS110において、映像F1の退避先ウィンドウを決定した時と同様、ステップS102からステップS109で抽出されたすべての映像ウィンドウの中から、主映像数と退避映像数の和が最も小さいものを抽出し、さらにその中からIDの番号が最も小さい映像ウィンドウを退避先ウィンドウとして決定する。具体的には、ステップS102からステップS109で抽出されたすべての映像ウィンドウは映像ウィンドウ38,41,42,48,50である。図9より、これらの映像ウィンドウの主映像数と退避映像数の和は、映像ウィンドウ38が2、映像ウィンドウ41、42、48、50は何れも1である。よって、主映像数と退避映像数の和が最も小さいものとして映像ウィンドウ41,42,48,50が抽出される。次に、図9を参照すると、これら映像ウィンドウの中でIDの番号が最も小さい映像ウィンドウは映像ウィンドウ41である。よって、映像F2の退避先ウィンドウは映像ウィンドウ41と決定される。この結果はウィンドウ情報テーブルに反映される。
同様の手順で映像F3、映像F4の退避先ウィンドウを順次決定する。図10は、映像F1〜F4の退避先ウィンドウがすべて決定した結果を反映したウィンドウ情報テーブルを示す図である。映像ウィンドウ38,41,42,48に、退避映像として映像F1、F2,F3,F4がそれぞれ割り当てられている。これらの映像ウィンドウ38,41,42,48の退避映像数が1となっている。
制御部23は、ウィンドウ情報テーブルの内容が変更されると、ウィンドウ情報テーブルの内容に従って各映像を各映像ウィンドウに再配置する。その際、まず、制御部23は、ウィンドウ情報テーブルの主映像に指定されている映像を各映像ウィンドウに配置するよう、通信部21を介して各映像再生装置4〜9を制御する。そして、一定時間(例えば10秒)後、制御部23は、ウィンドウ情報テーブルの退避映像に指定されている映像を対応する映像ウィンドウに配置するよう、通信部21を介して各映像再生装置4〜9を制御する。そして、一定時間(例えば10秒)後、制御部23は、ウィンドウ情報テーブルの主映像に指定されている映像を各映像ウィンドウに配置するよう、通信部21を介して各映像再生装置4〜9を制御する。以降、この動作を繰り返す。
具体的には、図10のウィンドウ情報テーブルにおいて、映像ウィンドウ31が配置されている表示装置は表示装置11である。表示装置11に対応する映像再生装置は映像再生装置4である。また、映像ウィンドウ31の主映像の数は1で主映像はA1である。従って、制御部23は、通信部21を介して、映像再生装置4を制御して映像ウィンドウ31に映像A1を表示させる。制御部23は、映像ウィンドウ32〜54についても同様に対応する主映像を表示させる。結果として、各映像ウィンドウ31〜54に図10において主映像に指定された映像が表示される。図11に、この状態におけるマルチディスプレイ10の表示を示す。このとき、表示装置16は故障しているため、表示装置16の画面には映像が表示されていない。
そして、一定時間(例えば10秒)後に、制御部23は、主映像数と退避映像数の和が2以上である映像ウィンドウに関して、映像ウィンドウに配置する映像を切り替える。
具体的には、映像ウィンドウ31〜37,39,40,43〜47,49〜54に関しては、主映像数と退避映像数の和が1である。よって、これらの映像ウィンドウに対しては配置する映像を切り替えない。
一方、映像ウィンドウ38に関しては主映像数と退避映像数の和が2(主映像数が1、退避映像数が1)である。また、主映像が映像B4、退避映像が映像F1である。よって、制御部23は、映像再生装置5を制御して、映像ウィンドウ38に表示する映像を映像B4から映像F1に切り替える。同様に、映像ウィンドウ41,42,48に関しても主映像数と退避映像数の和が2(主映像数が1、退避映像数が1)であるため、同様にして映像を切り替える。
図12は、以上のようにして主映像を退避映像に切り替えた状態におけるマルチディスプレイ10を示す図である。図12に示すように、映像ウィンドウ31〜37,39,40,43〜47,49〜54は主映像を表示しており、映像ウィンドウ38,41,42,48は退避映像を表示している。その後、一定時間(例えば10秒)毎に同様の処理が繰り返される。つまり、図11と図12のマルチディスプレイ10の状態が一定時間毎に交互に繰り返される。
次に、表示装置16が故障状態から正常状態に復帰した場合の動作について説明する。表示装置16が故障状態から正常状態に復帰すると、故障検知部22が通信部21を介して表示装置11〜16から取得する故障情報は、図6に示す状態から図13に示す状態に変化する。つまり、表示装置16の故障状態が3から1に変化し、これにより故障検知部22は表示装置16が故障状態から正常状態に復帰したと判定する。
故障状態から正常状態に復帰した表示装置が有る場合、制御部23はウィンドウ情報テーブルにおける全ての退避映像の中から、復帰した表示装置の映像ウィンドウにおいて主映像に指定されている映像を全て削除する。
例えば、ウィンドウ情報テーブルが図10で示されている状態において、表示装置16が故障状態から正常状態に復帰した場合を考える。この場合、表示装置16の映像ウィンドウ51,52,53,54に割り当てられている主映像は映像F1,F2、F3,F4である。映像F1は退避映像として表示装置12の映像ウィンドウ38に割り当てられている。映像F2,F3は退避映像として表示装置13の映像ウィンドウ41,42にそれぞれ割り当てられている。映像F4は退避映像として表示装置15の映像ウィンドウ48に割り当てられている。よって、制御部23は、映像ウィンドウ38,41,42,48において退避映像F1,F2,F3,F4の割り当てを取り消す。この結果、ウィンドウ情報テーブルは図5に示す状態に変更される。
ウィンドウ情報テーブルの内容が図10から図5に変更されると、制御部23は、上述した、ウィンドウ情報テーブルの内容が図5から図10に変更された場合と同様の動作を行い、各映像ウィンドウの映像表示を制御する。その結果、表示装置16が故障する前の状態、すなわち図4に示すマルチディスプレイ10の状態で映像が表示される。
なお、本実施の形態1では、縦に2個、横に3個の合計6個の表示装置11〜16を組み合わせてマルチディスプレイ10を構成したが、表示装置のレイアウトおよび個数はこれに限定されない。また、各表示装置において、縦横に2個ずつの映像ウィンドウを配置したが、映像ウィンドウのレイアウトおよび個数はこれに限定されない。また、表示装置ごとに映像ウィンドウのレイアウトおよび個数が異なってもよい。
<効果>
本実施の形態1におけるマルチディスプレイ装置は、複数の表示装置11〜16と、複数の表示装置の表示を制御する制御部23と、複数の表示装置11〜16の状態を取得し、故障か否かを判定する故障検知部22と、を備え、故障検知部22が、複数の表示装置11〜16のいずれかが故障であると判定した場合、制御部23は、故障でないと判定された表示装置に表示されている映像の表示領域(即ち、映像ウィンドウ)を選択し、選択した表示領域に対して、故障であると判定された表示装置に表示されていた映像を退避映像として割り当て、表示領域に元から表示されている映像と、退避映像とを交互に切り替えて表示させる。
本実施の形態1のマルチディスプレイ装置は、いずれかの表示装置に故障が発生した場合、故障した表示装置に表示されていた映像を、故障が発生していない表示装置に自動的に割り当てて表示させる。よって、表示装置に故障が発生した際にオペレーターが表示を切り替えるための操作をする必要がない。また、本実施の形態1のマルチディスプレイ装置においては、いずれかの表示装置に故障が発生した場合の表示パターンをあらかじめ登録する必要が無い。よって、マルチディスプレイに表示する映像の数や種類が変わるたびに、いずれかの表示装置に故障が発生した場合の表示パターンを登録する必要が無い。
また、従来は、映像を再配置する際に表示装置上に配置するスペースが無い場合には、他の映像ウィンドウの位置やサイズを変更しなければならず、オペレーターが所望の映像がどこに表示されているのかがわかりにくくなってしまうという問題が有った。本実施の形態1では、退避先の映像ウィンドウにおいて、元から表示されている映像と、退避映像とを交互に切り替えて表示する。従って、退避映像の表示スペースを確保する必要がない。また、退避先の映像ウィンドウにおいては、元から表示されている映像と退避映像とが交互に表示されるため、オペレーターは容易に退避映像を見つけることが可能である。
また、本実施の形態1におけるマルチディスプレイ装置において、故障検知部22が、複数の表示装置のいずれかが故障であると判定した場合、制御部23は、故障であると判定された表示装置の周囲に沿って配置され、かつ故障でないと判定された表示装置に表示されている映像の表示領域(即ち、映像ウィンドウ)の中から、故障であると判定された表示装置からの距離が最も小さい表示領域を選択し、選択した表示領域に対して退避映像を割り当て、表示領域に元から表示されている映像と、退避映像とを交互に切り替えて表示させる。
従来は、退避映像がどこに表示されているかオペレーターが認識し難い問題があった。本実施の形態1においては、退避映像は、故障した表示装置に最も近い映像ウィンドウに表示されるため、オペレーターは退避映像がどこに表示されているか容易に認識することが可能である。
また、本実施の形態1におけるマルチディスプレイ装置において、制御部23は、表示領域(即ち、映像ウィンドウ)を選択する際に候補が複数ある場合、既に割り当てられている退避映像の個数が最も少ない表示領域を選択する。
従って、特定の映像ウィンドウに退避映像が集中して割り当てられることを防止可能である。これにより、オペレーターが退避された映像を探すのが容易になる。
また、本実施の形態1におけるマルチディスプレイ装置において、複数の表示装置のそれぞれの表示画面において複数の映像が各表示画面に含まれる複数の表示領域(即ち、複数の映像ウィンドウ)に表示され、複数の表示領域は表示画面の互いに異なる位置に配置される。
従って、一つの表示装置の表示画面を分割して複数の映像を表示する、電力、交通、プラント等のインフラ分野における監視制御の用途として、本実施形態1のマルチディスプレイ装置を適用可能となる。
また、本実施の形態1におけるマルチディスプレイ装置において、表示装置に対する故障検知部22の判定が、故障であるとする判定から故障でないとする判定に変化した場合、制御部23は、他の表示装置の表示領域(即ち、映像ウィンドウ)に割り当てていた退避映像の割り当てを解除して、判定が変化した表示装置に退避映像を表示させる。
従って、故障と判定された表示装置が故障状態から正常状態に復帰した際、オペレーターの操作によらず、自動的に映像の配置が故障前の状態に戻る。
<実施の形態2>
<構成>
本実施の形態2におけるマルチディスプレイ装置のブロック図および各表示装置のブロック図は実施の形態1(図1、図2)と同じため説明を省略する。本実施の形態2においては、制御部23が管理しているウィンドウ情報テーブルの内容および退避先ウィンドウを決定する手順が実施の形態1とは異なる。
図14は、本実施の形態2におけるウィンドウ情報テーブルの例を示す図である。ID、ウィンドウ名、表示装置名、映像再生装置名、位置、サイズ、主映像、主映像数、退避映像、退避映像数は実施の形態1と同じである。図14に示すように、本実施の形態2においては、ウィンドウ情報テーブルに「グループ」の項目が追加される。「グループ」には各映像ウィンドウが属するグループが予め記載されている。図14に示すように、映像ウィンドウ31〜34,43〜56が同一のグループG1に属している。また、映像ウィンドウ35〜38,47〜50が同一のグループG2に属している。また、映像ウィンドウ39〜42,51〜54が同一のグループG3に属している。
図15は、図14に対したマルチディスプレイ10の表示状態を示す図である。図15に示すように、グループG1に属する映像ウィンドウには屋内カメラの映像が表示され、グループG2に属する映像ウィンドウには野外カメラの映像が表示され、グループG3に属する映像ウィンドウには遠隔地拠点カメラの映像が表示される。
<動作>
例として、表示装置16が故障した場合のマルチディスプレイ装置の動作を説明する。故障検知部22が表示装置11〜16から故障情報を取得し、表示装置16を故障と判定する動作は実施の形態1と同様である。また、制御部23が、退避すべき映像として映像F1〜F4を抽出する動作も実施の形態1と同様である。
制御部23は抽出した退避すべき映像F1〜F4のうち、まず映像F1の退避先ウィンドウを決定する。
図16は、本実施の形態2における退避先ウィンドウを決定する工程を示すフローチャートである。図16のステップS201からステップS209までは、実施の形態1で説明した図8のステップS101からステップS109と同じであるため、説明を省略する。ステップS209が完了した段階において、映像F1の退避先ウィンドウとして映像ウィンドウ38,41,42,48,50が抽出されている。
図16のステップS210では、ステップS202からステップS209で抽出されたすべてのウィンドウの中から、退避する映像F1が主映像として属している映像ウィンドウ51が属するグループと同じグループに属する映像ウィンドウを全て抽出する。
映像ウィンドウ51はグループG3に属する。また、映像ウィンドウ38,41,42,48,50はそれぞれグループG2,G3,G3,G2,G2に属する。従って、映像F1の退避先ウィンドウとして映像ウィンドウ41、42が抽出される。
次に、ステップS210で抽出されたすべての映像ウィンドウの中から、図14を参照して、主映像数と退避映像数の和が最も小さい映像ウィンドウを抽出する。さらにその中から、IDの番号が最も小さい映像ウィンドウを退避先ウィンドウとして決定する(ステップS211)。具体的には、ステップS210で抽出された映像ウィンドウは、映像ウィンドウ41,42である。図14を参照すると、これらの映像ウィンドウの主映像数と退避映像数の和はいずれも1であるため、主映像数と退避映像数の和が最も小さいものとして映像ウィンドウ41,42が抽出される。次に、図14を参照すると、これら映像ウィンドウの中でIDの番号が最も小さい映像ウィンドウは映像ウィンドウ41である。よって、映像F1の退避先ウィンドウは映像ウィンドウ41と決定される。
制御部23は、この結果をウィンドウ情報テーブルに反映させる。図17は、映像F1の退避先ウィンドウが映像ウィンドウ41に決定された結果を反映したウィンドウ情報テーブルを示す図である。図17に示すように、映像ウィンドウ41の退避映像に新たに映像F1が指定され、退避映像数が1となっている。
次に、制御部23は映像F2の退避先ウィンドウを決定する。映像F2の退避先ウィンドウを決定する手順は、図16を用いて説明した、映像F1の退避先ウィンドウを決定する手順と同様である。
映像F2の退避先ウィンドウを決定する手順の図16のステップS211において、映像F1の退避先ウィンドウを決定した時と同様、ステップS210で抽出されたすべての映像ウィンドウの中から、主映像数と退避映像数の和が最も小さいものを抽出し、さらにその中からIDの番号が最も小さい映像ウィンドウを退避先ウィンドウとして決定する。具体的には、ステップS210で抽出されたすべての映像ウィンドウは映像ウィンドウ41,42である。図17より、これらの映像ウィンドウの主映像数と退避映像数の和は、映像ウィンドウ41が2、映像ウィンドウ42は1である。よって、主映像数と退避映像数の和が最も小さいものとして映像ウィンドウ42が抽出される。次に、図17を参照すると、これら映像ウィンドウの中でIDの番号が最も小さい映像ウィンドウは映像ウィンドウ42である。よって、映像F2の退避先ウィンドウは映像ウィンドウ42と決定される。この結果はウィンドウ情報テーブルに反映される。
同様の手順で映像F3、映像F4の退避先ウィンドウを順次決定する。図18は、映像F1〜F4の退避先ウィンドウがすべて決定した結果を反映したウィンドウ情報テーブルを示す図である。映像ウィンドウ41に2つの退避映像(映像F1,F3)が割り当てられている。また、映像ウィンドウ42に2つの退避映像(映像F2,F4)が割り当てられている。
制御部23は、ウィンドウ情報テーブルの内容が変更されると、ウィンドウ情報テーブルの内容に従って各映像を各映像ウィンドウに再配置する。その際、まず、制御部23は、ウィンドウ情報テーブルの主映像に指定されている映像を各映像ウィンドウに配置するよう、通信部21を介して各映像再生装置4〜9を制御する。制御部23は、退避映像が割り当てられている映像ウィンドウに関しては、主映像と退避映像とを交互に切り替えて表示させる。
具体的には、図18のウィンドウ情報テーブルにおいて、映像ウィンドウ31が配置されている表示装置は表示装置11である。表示装置11に対応する映像再生装置は映像再生装置4である。また、映像ウィンドウ31の主映像の数は1で主映像はA1である。従って、制御部23は、通信部21を介して、映像再生装置4を制御して映像ウィンドウ31に映像A1を表示させる。制御部23は、映像ウィンドウ32〜54についても同様に対応する主映像を表示させる。結果として、各映像ウィンドウ31〜54に図10において主映像に指定された映像が表示される。図11に、この状態におけるマルチディスプレイ10の表示を示す。このとき、表示装置16は故障しているため、表示装置16の画面には映像が表示されていない。
そして、一定時間(例えば10秒)後に、制御部23は、主映像数と退避映像数の和が2以上である映像ウィンドウに関して、映像ウィンドウに配置する映像を切り替える。
具体的には、図18を参照すると、映像ウィンドウ31〜40,43〜54に関しては、主映像数と退避映像数の和が1である。よって、これらの映像ウィンドウに対しては配置する映像を切り替えない。
一方、映像ウィンドウ41に関しては主映像数と退避映像数の和が3(主映像数が1、退避映像数が2)である。また、主映像が映像C3、退避映像が映像F1,F3である。よって、制御部23は、映像再生装置8を制御して、映像ウィンドウ41に表示する映像を映像C3から映像F1に切り替える。同様に、映像ウィンドウ42に関しても主映像数と退避映像数の和が3(主映像数が1、退避映像数が2)であるため、映像再生装置8を制御して、映像ウィンドウ42に表示する映像を映像C4から映像F2に切り替える。この結果として、マルチディスプレイ10の表示は図19の状態となる。
さらに一定時間(例えば10秒)後、制御部23は、映像再生装置8を制御して、映像ウィンドウ41に表示する映像を映像F1から映像F3に切り替える。同様に、制御部23は、映像再生装置8を制御して、映像ウィンドウ42に表示する映像を映像F2から映像F4に切り替える。この結果として、マルチディスプレイ10の表示は図20の状態となる。
以降では、一定時間毎に上述した動作が繰り返される。つまり、マルチディスプレイ10の表示が、図11、図19、図20の順に繰り返される。
<効果>
本実施の形態2におけるマルチディスプレイ装置において、複数の表示装置に表示される複数の映像の表示領域(即ち、複数の映像ウィンドウ)は予め複数のグループに分けられており、制御部23は、同一のグループに属する複数の表示領域間において、退避映像の割り当てを行う。
従って、本実施の形態2のマルチディスプレイ装置によれば、あらかじめ設定された同一のグループの中で退避映像の割り当てが行われるため、オペレーターが、退避した映像を他の映像と誤って認識する可能性が低くなる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。