JP6500897B2 - 表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光(spfs)用センサーチップ、spfs測定法、およびspfs用キット - Google Patents

表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光(spfs)用センサーチップ、spfs測定法、およびspfs用キット Download PDF

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Description

本発明は、表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光法(SPFS)に係るセンサーチップおよび測定方法に関する。更に詳しくは、本発明は、測定対象物質を標識する蛍光物質の褪色防止や、センサーチップの表面に固定化されている捕捉物質の劣化防止を目的とする、SPFSに係るセンサーチップおよび測定方法に関する。
ヒトや動物の血液、尿、その他の生体試料中に含まれる腫瘍マーカー、特定のタンパク質や核酸、その他の生体関連物質を検出、定量することは、今日の医療分野における診断や生物、生化学の分野における研究において広く行われている。そして、生体試料中に含まれる微量の生体関連物質を高感度に測定する方法として、表面プラズモン共鳴励起増強蛍光分光(SPFS:Surface Plasmon-field enhanced Fluorescence Spectroscopy)に基づく測定法(以下、「SPFS測定法」と称する。)が知られている。
SPFS測定法では、光源より照射したレーザー光等の励起光が、金属薄膜表面で全反射減衰(ATR;attenuated total reflectance)する条件において、金属薄膜表面に表面プラズモン(粗密波)を発生させる。その結果、光源より照射した励起光が有するフォトン量が数十倍〜数百倍に増加され、表面プラズモン光の電場増強効果が得られる。そして、SPFS測定法では、金属薄膜の表面近傍に捕捉した測定対象化合物と結合した蛍光物質を、この電場増強効果により効率良く励起させ、発生する蛍光発光を観察することによって、極めて微量の測定対象化合物も測定可能となる。
表面プラズモン共鳴励起増強蛍光測定法を実施するための装置(以下、「SPFS装置」と称する。)の概略構成の一例を図1に示す。SPFS装置100は、センサーチップ装填部111を備えており、このセンサーチップ装填部111に、センサーチップ110が装填されるように構成されている。
図1の例では、センサーチップ110は、誘電体部材112と、誘電体部材112の主面112a上に形成された金属薄膜113と、金属薄膜113上の微細流路117の所定位置に形成されたセンサー部116を有している。センサー部116は、測定対象物質を捕捉する物質(以下、捕捉物質ともいう)が固定化された領域である。微細流路117は、薄層部材114と蓋部材115によって、誘電体部材112の主面112aに金属薄膜113を介して形成されている。
SPFS装置100のセンサーチップ装填部111に装填されたセンサーチップ110の誘電体部材112側には、誘電体部材112の入射面112iから入射され、金属薄膜113において全反射減衰(ATR)が生じる所定の入射角θでセンサー部116に向かう励起光121を照射する光源120を備えるとともに、さらに光源120から照射された励起光121が金属薄膜113で反射した反射光122を受光する受光手段123が備えられている。また、センサーチップ110の上方には、センサー部116に捕捉された測定対象物質を標識する蛍光物質が発する蛍光131を受光する光検出手段130が設けられている。
センサーチップ110と光検出手段130との間には、蛍光131を効率良く集光するための集光部材126と、蛍光131以外の光を除去して蛍光131のみを選択的に透過する波長選択機能部材133が設けられている。
このようなSPFS装置100は、使用例は次の通りである。
先ず、センサー部116に微細流路117を通して測定対象物質を含有する検体液(測定試料)を流入させ、測定対象物質をセンサー部116に固定された捕捉物質に捕捉する。次いで、測定対象物質を蛍光標識する物質(例えば、蛍光標識化2次抗体)(以下、蛍光標識物質ともいう)を、同様に微細流路117を通して流入させることで、センサー部116に蛍光物質で標識された測定対象物質が捕捉された状態とする。
そして、この状態で光源120より誘電体部材112を介して、金属薄膜113において全反射減衰が生じる所定の入射角θで励起光121を照射することで、エバネッセント波と金属薄膜113からの表面プラズモンとの共鳴によって増強された電場が発生し、それによりセンサー部116に捕捉された測定対象物質を標識する蛍光物質による蛍光131を効率良く励起させる。この励起された蛍光131を光検出手段130で検出することで、極めて微量の測定対象物質でも検出・定量が可能である。
このようにして実施されるSPFS測定法においては、極めて強い励起光が蛍光物質に照射されることになるが、高強度の励起光を照射すると蛍光物質は劣化する。そのため、励起光の照射を開始してから蛍光の測定を行うまでの比較的短い時間の間にも、蛍光物質の劣化が進行し、蛍光物質で標識された測定対象物質の定量結果に影響を与えるおそれがある。
SPFS測定法とは異なる系に関して、たとえば特許文献1(国際公開WO2013/147081)には、病理切片を免疫染色してその蛍光染色像を観察する際に、染色された病理切片を永久標本にするための封入剤に褪色防止剤を配合することにより、蛍光物質の耐光性能を向上させて褪色を防止する方法が開示されている。しかしながら特許文献1には、センサーチップの表面において捕捉物質の固定、測定対象物質の捕捉、蛍光標識化2次抗体の結合などの処理が行われる、SPFS測定系における蛍光物質の褪色防止方法については記載されていない。
一方、SPFS測定法に関しては、たとえば特許文献2(国際公開WO2011/111764)には、捕捉物質(抗体等)が固定化されたセンサーチップの表面をブロッキング剤(BSA等の非特異的吸着タンパク質)とともに糖類を含有する溶液で処理することにより、その捕捉物質の保存性を高める方法が記載されており、特許文献3(特開2012−168165号公報)には、カルボキシメチルデキストラン等の親水性高分子層に捕捉物質を担持させたセンサーチップの表面を、尿素等の保湿剤を含有する溶液で処理することにより、捕捉物質と測定対象物質の相互作用(抗原抗体反応)を促進し、測定感度(S/N比)を向上させる方法が記載されている。また特許文献4(国際公開WO2013/042603)には、カルボキシメチルデキストランを含有する溶液で検体を希釈することにより、検体中の夾雑物による非特異的吸着を抑制し、SPFS測定法により測定される蛍光に対するノイズを抑制する方法が記載されている。しかしながら、褪色防止を目的としたSPFS用センサーチップの表面処理方法や褪色防止も行えるSPFS測定法はこれまで提案されていなかった。
国際公開WO2013/147081 国際公開WO2011/111764 特開2012−168165号公報 国際公開WO2013/042603
実際の測定対象物質のシグナル測定においては、蛍光物質に励起光を照射し、蛍光物質で標識された測定対象物質のシグナルを測定する前に、センサー部に向かって励起光を照射し、センサーチップ上の金属薄膜において全反射減衰(ATR)が生じる所定の入射角を調べてから、シグナル測定を行っている。つまり、1回の測定において、複数回(少なくとも2回)励起光を照射しており、複数回励起光の照射を行うことで、蛍光物質の劣化が進行し、蛍光物質で標識された測定対象物質のシグナルに影響を与える恐れがあった。
一方、臨床検査などにおいて、検体中のタンパク質やDNAなどの微量の被検出物質を高感度かつ定量的に検出する際には、測定対象物質が存在しないにもかかわらず、検出値が陽性を示すことがある。これは検体中に含まれる測定対象物質以外の物質が、センサーチップに非特異的に吸着され、シグナルとして検出されるためであった。一般的に、測定対象物質との特異的結合による解離速度の大きさは、測定対象物質以外の物質との非特異的吸着による解離速度の大きさとは異なり、時間経過によって後者の解離が速く進むことが知られている。そこで、測定対象物質と蛍光物質を反応させてから、初めにSPFSの測定で得られたシグナルを第1シグナル、ある程度の時間が経過した後に再度測定を行い、得られたシグナルを第2シグナルとし、シグナルの減少率を比較することで、検出された第1シグナル(測定対象物質)を高感度かつ定量的に検出する方法が考えられる。このような場合にも、複数回励起光の照射を行う必要があるので、蛍光物質の劣化が進行しやすく、測定対象物質のシグナルに影響を与える恐れがあった。
本発明は、上記のように励起光を複数回照射するといった過酷な状況下においても、SPFS測定法においてセンサー部に補足された測定対象物質を標識する蛍光物質の褪色を防止することができ、好ましくはさらにセンサー部に固定された捕捉物質の劣化を防止する手段を提供することを課題とする。
本発明者らは、SPFS用のセンサーチップの製造時、またはセンサーチップを用いたSPFSの測定時に、蛍光物質の褪色防止剤を含有する溶液を利用することにより、蛍光強度の測定時に蛍光物質の褪色を防止して測定値を安定化できることを見出した。特に、センサーチップの製造時に褪色防止剤として抗酸化剤を用いた場合、蛍光物質の褪色を防止できるのみならず、センサーチップの表面に固定されている捕捉物質の劣化も防止して、測定対象物質との反応性を向上させることもできることも見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は一つの側面において、誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する、表面プラズモン共鳴励起増強分光に基づく測定法のためのセンサーチップであって、前記捕捉物質が固定された領域に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理が行われている、SPFS用センサーチップを提供する。
また、本発明はもう一つの側面において、誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有するセンサーチップを使用した表面プラズモン共鳴励起増強分光に基づく測定法であって、前記捕捉物質に捕捉された測定対象物質に結合した蛍光標識剤の近傍に、褪色防止剤を存在する状態で励起光を照射して蛍光を測定する工程を含む、SPFS測定法を提供する。
本発明はさらなる側面において、誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する、表面プラズモン共鳴励起増強分光に基づく測定法のためのセンサーチップであって、前記捕捉物質が固定された領域に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理が行われているものを少なくとも含むキットを提供する。さらに、誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する、表面プラズモン共鳴励起増強分光に基づく測定法のためのセンサーチップ、ならびに褪色防止処理液またはそれを調製するための褪色防止剤および溶媒を少なくとも含むキットを提供する。
本発明のセンサーチップ、測定法およびキットを使用することにより、蛍光物質の褪色を防止して蛍光強度の測定値を安定化し、好ましくはセンサー部に固定された捕捉物質の劣化を防止して測定対象物質との結合性を保持することができ、測定対象物質の定量性に対する信頼性を高めることができる。また、そのようなセンサーチップの作製方法や、同等の作用効果が奏されるSPFSの測定方法は、従来のセンサーチップの作製やSPFSの測定と同様のシステムを用いて、効率的に実施することができる。特に、本発明による褪色防止の効果は優れているので、複数回励起光を照射しても、また励起光の出力が高くても、蛍光物質の褪色が生じにくく、蛍光強度の測定値を安定化し、測定対象物質の定量性に対する信頼性を高めることができる。
図1は、表面プラズモン共鳴励起増強蛍光測定装置の一般的な構成を説明するための概略図である。 図2は、センサー部を1個有する本発明のセンサーチップの一実施形態を説明する概略図である。 図3は、センサー部を1個有し、流路が形成された本発明のセンサーチップの一実施形態を説明する概略図である。 図4は、センサー部を3個有する本発明のセンサーチップの一実施形態を説明する概略図である。 図5は、本発明のセンサーチップを作製するための褪色防止処理を行う工程の一実施形態を説明するための概略図である。 図6は、実施例および比較例で測定した、時間の経過に伴うS/N比の変化を表すグラフである。横軸は時間(分)、縦軸は0分のときのS/N比を1としたときの各時間のS/N比の割合である。
− センサーチップ −
本発明のSPFS用センサーチップは、誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域(以下「センサー部」と称する。)とを有する、表面プラズモン共鳴励起増強分光測定に基づく測定法(SPFS測定法)のためのセンサーチップであって、前記捕捉物質が固定された領域を含む領域に褪色防止剤を含有する溶液(以下「褪色防止処理液」と称する。)を接触させることによる褪色防止処理が行われているものである。以下、そのような本発明のセンサーチップについて、本発明の実施形態を例示する図2〜4を参照しながら詳細に説明する。
図2は、センサー部を1個有するセンサーチップの例である。図3は、図2に示したようなセンサー部を1個有するセンサーチップを用いて、その上部に流路を形成した場合の例である。図4は、センサー部を3個有するセンサーチップの例である。なお、図4に示したようなセンサー部を複数有するセンサーチップを用いる場合も、図3と同様に、上部に流路を形成することができる。
図2及び図4に示すように、センサーチップ200は、誘電体部材201と、誘電体部材201の主面201a上に形成された金属薄膜202と、金属薄膜202上に設けられたセンサー部203とを有する。金属薄膜202上の全ての領域をセンサー部にする必要はなく、金属薄膜202上の一部の領域に一個または複数個のセンサー部を形成すればよい。センサー部203を含む領域に対して褪色防止処理液による褪色防止処理が施されていればよく、金属薄膜202上の全ての領域に対して褪色防止処理を行う必要はない。
また、図3に示すように、センサー部203が形成されている金属薄膜202上に薄層部材204を設置し、薄層部材204上に蓋部材205を設置することにより、測定試料等が流れる流路206を形成することができる。測定試料等は、ピペット等を用いて、流入・排出口207から流路206に導入し、導入された測定試料は液溜部208に溜るようになっている。薄層部材204の材質は、例えばアクリル性粘着シートであり、その厚さは目的の流路の高さに応じて決めればよく、例えば20〜1000μmである。蓋部材205の材質は、例えば後述する誘電体部材と同様の樹脂材料である。流入・排出口207及び液溜部208の形状は、流入・排出口207でピペット等により測定試料を数回繰り返し吸引、注入することにより、液溜部208に溜った測定試料が撹拌されやすいように、適宜設定することができる。
なお、センサーチップ200の使用形態は、上記のように薄層部材204と蓋部材205と組み合わせて、流入・排出口207および液溜部208と連通する流路を形成し、その流路の底面にセンサー部203を位置させることに限定されるものではない。例えば、貫通孔を有するプレートと組み合わせて、上端以外に開口のないウェルを形成し、そのウェルの底面にセンサー部203を位置させた上で、そのウェル内に測定試料等を注入し、反応後に吸引するといった使用形態であってもよい。
褪色防止処理(後述する褪色防止処理の第1実施形態および第2実施形態を包含する。)が施されたセンサー部において、褪色防止剤はセンサー部の表面ないし内部に保持されている。たとえば金属薄膜の表面にSAMが結合し、そのSAMに捕捉物質が結合しているセンサー部が形成されている場合、褪色防止剤はSAMなどとの相互作用により固定化されているものと考えられる。
褪色防止処理が施されたSPFS用センサーチップにおいて、センサー部に存在する褪色防止剤の量は特に限定されるものではなく、褪色防止効果を考慮しながら適宜調節することができる。このような範囲の量の褪色防止剤は、後述する褪色防止処理の第1実施形態または第2実施形態における褪色防止剤の使用量や処理時間を適用することで、センサー部に保持させることが可能である。
センサーチップ200は、SPFS装置に装填して使用する。測定に際しては、測定試料等を流入・排出口207から注入する。まず、流入・排出口207からピペット等により測定試料を注入し、所定時間反応させることで、測定対象物質はセンサー部203に固定された捕捉物質に捕捉される。その後、測定試料を流入・排出口207からピペット等により排出する。続いて、洗浄液(例えば界面活性剤が溶解したPBS)を流入・排出口207から注入し、流路206に残存する測定試料や非特異的に吸着した測定対象物質を洗い流した後、それらが溶け込んだ洗浄液を流入・排出口207から吸引する。次に、センサー部203に捕捉された測定対象物質を蛍光物質で標識するため、蛍光物質の溶液を流入・排出口207から注入し、測定試料のときと同様、所定時間反応させた後、流入・排出口207から吸引する。再び、洗浄液を流入・排出口207から注入し、流路206に残存する蛍光物質の溶液や非特異的に吸着した蛍光物質を洗い流した後、それらが溶け込んだ洗浄液を流入・排出口207から吸引する。最後に、測定液(例えばPBS)を流入・排出口207から注入し、流路206を測定液で満たした状態にしてから、センサー部に励起光を照射し、表面プラズモン励起増強蛍光分光法による蛍光物質の励起された蛍光を測定する。
なお、本発明における測定対象物質は、SPFSによって検出または定量される、センサーチップ(センサー部)の表面に固定された捕捉物質と特異的に結合する物質を指し、典型的には、タンパク質、脂質、糖、核酸、細胞、その他の生体関連物質である。また、本発明における測定試料は、測定対象物質を定量するSPFS測定のために本発明のセンサーチップに供される液状の試料を指す。測定試料は、典型的には生体試料、すなわち、ヒトや動物から採取された検体、および生体試料に由来する物質を含んだ試料であるが、そのような生体試料のモデルとして調製された、測定対象物質を含有する溶液も包含される。
・誘電体部材
図2に示す実施形態のセンサーチップ200では、誘電体部材201は、断面が台形状をなした六面体形状に形成されている。その上側の面が主面201aであり、この六面体の側面の一面が、励起光の入射面である入射面201iである。
しかしながら、誘電体部材201の形状は、上記のような六面体形状に限定されない。少なくともセンサー部203が形成される主面201aと、励起光が入射する面である入射面201iを有し、入射面201iから入射した励起光が、誘電体部材201の内部を通過し、全反射条件となる所定の入射角θでセンサー部203を照射するように構成されていればよく、その形状は、例えば円錐形状や、三角錐や四角錐などの角錐形状、或いはかまぼこ状であってもよい。また、誘電体部材201に二面以上の入射面201iを形成することも可能である。
誘電体部材の材質は、少なくとも励起光に関して光学的に透明な材料から形成されていればその材質は特に限定されないが、安価で取り扱い性に優れるセンサーチップを提供する上では、例えば樹脂材料から形成されていることが好ましい。誘電体部材を樹脂材料から形成する場合は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン類、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)などのポリ環状オレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
誘電体部材の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記のような樹脂材料を用いる場合には、射出成形によって形成することができる。
・金属薄膜
金属薄膜202は、一般的なSPFS装置に用いられるセンサーチップを構成する金属薄膜と同様の金属を用いることができる。すなわち、金属薄膜は、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなることが好ましく、その中でも金からなることがより好ましい。これらの金属については、その合金の形態であってもよく、金属を積層したものであってもよい。
金属薄膜を誘電体部材の主面上に形成する方法としては、通常行われている方法を用いればよく、例えば、電子ビーム加熱真空蒸着法、抵抗加熱真空蒸着法、マグネトロンスパッタ法、プラズマ支援スパッタ法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法等の真空成膜法によって、誘電体部材の主面上に金属薄膜を成膜することができる。
金属薄膜の厚さとしては、金は5〜500nm、銀は5〜500nm、アルミニウムは5〜500nm、銅は5〜500nm、白金は5〜500nm、これらの合金は5〜500nmが好ましい。電場増強効果の観点からは、金は20〜70nm、銀は20〜70nm、アルミニウムは10〜50nm、銅は20〜70nm、白金は20〜70nm、これらの合金は10〜70nmがより好ましい。金属薄膜の厚さが上記範囲内であると、表面プラズモンが発生し易いので好適である。
・センサー部
センサー部203は、金属薄膜202上の一部の領域に設けられており、この領域に捕捉物質が固定されている。この場合、センサー部は複数個設けられていてもよく、それぞれのセンサー部には異なる捕捉物質が固定されていてもよい(図4参照)。
捕捉物質は、測定対象物質(タンパク質、脂質、糖、核酸、その他の物質)を特異的に捕捉する物質である。捕捉物質としては、例えば、抗原に対する抗体、基質・補酵素に対する酵素、ホルモンに対するレセプタ、抗体に対するプロテインA・プロテインG、ビオチンに対するアビジン類、カルシウムに対するカルモジュリン、糖に対するレクチン、等が挙げられる。また、測定対象物質が核酸である場合、それと特異的に結合する配列を有する核酸も捕捉物質として使用可能である。
捕捉物質を金属薄膜上に固定する方法としては、通常行われている方法を用いればよく、例えば、金属薄膜の表面に特定の結合を生じる修飾基を導入し、捕捉物質にこの修飾基に対応した反応基を導入し、これらの修飾基と反応基を結合させることにより、捕捉物質を金属薄膜上に固定することができる。
具体的には、例えば、必要に応じて金属薄膜上に誘電体層を形成させた後、金属薄膜の表面を、末端にアミノ基を有するシランカップリング剤で処理してアミノ基で修飾し、続いてNHS(N−ヒドロキシコハク酸イミド)−PEG4−ビオチンで処理して上記アミノ基にビオチンを結合させ、このビオチンにアビジンを反応させた後に、ビオチン化した捕捉物質(例えば抗体)を反応させることにより、金属薄膜上に捕捉物質を固定することができる。あるいは金属薄膜の表面を、末端にカルボキシル基を有するシランカップリング剤で処理してカルボキシル基で修飾し、続いてEDC(1-Ethyl-3-[3-dimethylaminopropyl]carbodiimide hydrochloride)およびNHSで処理してそのカルボキシル基を活性エステル化した後に、アミノ基を有する捕捉物質(例えば抗体)を反応させることによっても、金属薄膜上に捕捉物質を固定することができる。
また、必要に応じて、SAM(Self−Assembled Monolayer;自己組織化単分子膜)を、金属薄膜の表面に形成させ、捕捉物質を金属薄膜上に固定してもよい。SAMは、捕捉物質を金属薄膜上に固定する際の土台としての役割を有する。
このSAMが含む単分子としては、例えば、炭素原子数4〜20程度のカルボキシアルカンチオール(例えば、(株)同仁化学研究所、シグマ アルドリッチ ジャパン(株)などから入手可能)、特に好ましくは10−カルボキシ−1−デカンチオールが用いられる。炭素原子数4〜20のカルボキシアルカンチオールは、それを用いて形成されたSAMの光学的な影響が少ない、すなわち透明性が高く、屈折率が低く、膜厚が薄いなどの性質を有していることから好適である。
SAMの形成方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体例として、金属薄膜を、10−カルボキシ−1−デカンチオール((株)同仁化学研究所製)を含むエタノール溶液に浸漬する方法などが挙げられる。10−カルボキシ−1−デカンチオールが有するチオール基が、金属と結合し固定化され、金薄膜の表面上で自己組織化し、SAMを形成する。形成したSAM上へ捕捉物質を固定する方法も、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、上記のEDC及びNHSで処理する方法を用いることができる。
金属薄膜上に捕捉物質が固定された領域、すなわちセンサー部、の形状及び面積は、特に限定されるものではないが、入射した励起光が照射される照射領域の面積以上であることが好ましい。特に、センサー部で励起された蛍光測定時のS/Nを向上させるためには、センサー部の形状は、励起光が照射される領域と同じ形状であることが好ましい。この場合、金属薄膜上の一部の領域のみに捕捉物質を固定するためには、捕捉物質を固定する領域の形状に応じて、例えば後述する溶液貯留部材のような部材を金属薄膜上の所定の位置に設置して、この部材の中へ上記の捕捉物質を金属薄膜上に固定する方法で用いる試薬等を添加すればよい。
<褪色防止処理>
本発明では、センサー部203を含む領域に対して、蛍光標識物質、特に蛍光物質分子の褪色を防止するための褪色防止処理を行う。
・褪色防止剤(抗酸化剤およびその他の物質)
褪色防止処理に用いる褪色防止剤は、SPFS測定系で用いられる蛍光標識物質の褪色を防止する作用効果を有する物質であれば特に限定されるものではないが、褪色の原因となる活性酸素による蛍光標識物質の酸化を効果的に防止することができる抗酸化剤(酸化防止剤)が好適である。抗酸化剤はさらに、センサー部203に固定化された捕捉物質、例えば抗体、レクチン等のタンパク質またはその他の生体関連物質に対する、保存時または血液等の検体との接触時における酸化を防止することができる点でも好適である。捕捉物質の酸化の防止により、測定対象物質との反応性を維持してSPFSの測定結果の安定性を高めることが可能であり、抗酸化剤は捕捉物質に対する保護剤としても機能するといえる。また、センサー部203に固定されている捕捉物質の機能に障害を与えないよう、センサー部203に接触させる褪色防止処理液は水または緩衝液を溶媒として調製することが好ましいため、抗酸化剤は水溶性のものであることが好ましい。
水溶性の抗酸化剤は、本発明の属する技術分野およびその他の技術分野において用いられる各種の抗酸化剤の中から選択することができる。典型的な抗酸化剤として、フェノール系抗酸化剤、アミン系抗酸化剤、リン系抗酸化剤、硫黄系抗酸化剤および不飽和炭化水素系の抗酸化剤が挙げられる。
フェノール系抗酸化剤としては、天然物由来のフェノール類およびヒンダードフェノール類が挙げられる。
このうち、天然物由来のフェノール類の好適な例として、フェノール性水酸基を有する各種フラボノイド類、具体的には、クエルセチン、ルチン、ミリセチン、ミリシトリン、フィセチン、モリンなど、フェノール性水酸基を有する、フラボノール類及びその配糖体;ヘスペレチン、ヘスペリジン、メチルヘスペリジン、ナリンゲニン、ナリンギンなど、フェノール性水酸基を有する、フラバノン類及びその配糖体;アピゲニン、ルテオリンなど、フェノール性水酸基を有するフラボン類;タキシフォリンなど、フェノール性水酸基を有するフラバノノール類;カテキン、ガロカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピガロカテキンなどのカテキン類;ゲニステイン、ダイゼイン(4',7−ジヒドロキシイソフラボン)などのイソフラボン類;並びに、シアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジンなど、フェノール性水酸基を有するアントシアニジン類などが挙げられる。
また、天然物由来のフェノール類の別の好適な例として、没食子酸、並びに、没食子酸プロピルなどの没食子酸エステル等のポリフェノール類も挙げられる。タンニン、トコフェロール、トコトリエノールなども、フェノール系抗酸化剤として用いることができる。
ヒンダードフェノール類としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、p−フェニルアゾフェノール、4−ニトロアニリン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、N,N'−ジサリチルアル−1,2−プロパンジアミン、トリエチレングリコール-ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール-ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2, 2−チオ-ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート-ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などが挙げられる。
アミン系抗酸化剤としては、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO:登録商標、Air Products & Chemicals, Inc.)等の3級アミン;フェノチアジン、フェニル−α−ナフチルアミン、p,p'−ジオクチルジフェニルアミン、p−フェニレンジアミンなどの芳香族アミン;セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどのヒンダードアミン;並びに、カフェインなどのアルカロイドが挙げられる。本発明においては、好適なアミン系抗酸化剤として芳香族アミンが挙げられ、その中でも特に好適なアミン系抗酸化剤としてフェノチアジンが挙げられる。
リン系抗酸化剤としては、2−メルカプトベンゾイミダゾール、亜リン酸トリフェニル、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP HCl)、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等が挙げられる。
硫黄系抗酸化剤としては、3,3−チオジプロピオン酸ジドデシル、2,2'−チオジエタノール等のスルフィドや、ジベンジルジスルフィド、DL−αリポ酸(チオクト酸)、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール等のジスルフィド、ジチオスレイトールやオクタンジオール等のチオールが挙げられる。
不飽和炭化水素系抗酸化剤としては、ルテイン、リコピン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプサンチン、ミキソキサントフィル、ゼアキサンチン、カロテン、レチノイン酸等のカロテン類やカロテノイド類、キサントフィル類、アスコルビン酸(L−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸(エリソルビン酸)またはそのNa等の塩を含む)、トコトリエノール、不飽和脂肪酸類等が挙げられる。
上記の抗酸化剤のうち、蛍光物質の褪色防止の効果が大きいことから、フェノール系抗酸化剤およびアミン系抗酸化剤、たとえばアミン系抗酸化剤である1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、p−フェニレンジアミンなどが好ましい。また、上記不飽和炭化水素系抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸などもまた好適な抗酸化剤である。ここで、アスコルビン酸は、天然物(自然産物)であるため、測定値に与える(及ぼす)影響が低く、安価であるので、好適である。なお、フェノール系抗酸化剤によっては、フェノール性水酸基に加えてアルコール性水酸基が含まれることもあるが、この場合、フェノール性水酸基とアルコール性水酸基とを合わせて2個以上有することが好ましい。
抗酸化剤は、いずれか一種を単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。また、センサー部を複数個有するセンサーチップを用いる場合は、必要に応じて、センサー部ごとに用いる抗酸化剤を変えてもよい。
抗酸化剤は、蛍光標識物質が発する蛍光強度の測定値に悪影響が無いよう、吸収波長450〜600nmで吸収が無いことが好ましく、発光波長500〜700nmで発光が無いことが好ましい。吸収があると蛍光強度の測定値の低下につながる場合がある。また、発光があると蛍光強度の測定時にノイズが増加する場合がある。抗酸化剤の吸収が無いとは、抗酸化剤の1mg/mL濃度のキシレン溶液を調整し、10mmセルに入れて吸光度測定を行なった際に、450nmおよび600nmにおける吸光度がともに0.5以下であることをいう。
上記の抗酸化剤以外に褪色防止剤として用いることのできる物質としては、たとえば、褪色防止用封入剤として知られている「Slow Fade」(登録商標、サーモフィッシャーサイエンティフィック)、「Perma Fluor」(商標、サーモフィッシャーサイエンティフィック)などの製品が挙げられる。
・褪色防止処理方法
上述したような褪色防止剤を用いた褪色防止処理は、褪色防止剤が溶解している褪色防止処理液を調製し、その処理液を金属薄膜のセンサー部を含む領域に接触させ、所定の時間保持することにより行うことができる。そのような褪色防止処理の実施形態としては、たとえば下記のような実施形態が挙げられる。
・褪色防止処理の第1実施形態
本発明の褪色防止処理の第1実施形態は、センサーチップを製造する際の、金属薄膜上の一部に捕捉物質が固定された領域を形成するための処理に付随して行われるものである。このような実施形態は、たとえば図5に示すように、センサーチップの製造段階で(つまりセンサーチップをSPFS装置に装填する前に)所定の器具を用いて行うことができ、センサー部のみに対して効率的に褪色防止処理をする上で好適である。
図5に示す実施形態では、円形のセンサー部303と同じ寸法の内径を有する円筒形の溶液貯留部材304を、その内周がセンサー部303の円周と重なるように、金属薄膜302の上に設置する。溶液貯留部材304の材質は、ブロッキング剤溶液を貯留できるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの樹脂等である。次に、溶液貯留部材304で囲まれた領域内へ、ピペット等により、センサー部303全体が覆われるように褪色防止処理液305を加え、所定の温度および時間、例えば室温で1時間保持する。
このような実施形態においては、溶液貯留部材304内に入れた褪色防止処理液305が溶液貯留部材304と金属薄膜302との隙間から漏れ出さないように、溶液貯留部材304と金属薄膜302との間をシールしておくことが適切である。このシールは、例えば、溶液貯留部材304の下部に巻いたシール部材306より行われる。シール部材306の材質は、例えばゴムである。シール部材306の効果をより十分にするために、例えば溶液貯留部材304と誘電体部材301を適当な板部材(図示せず)で挟んで力を加える等の方法によって、溶液貯留部材304の上から力を加えてシール部材306を金属薄膜302の表面に密着させることが好ましい。この板部材に貫通孔を設けておけば、そこから溶液貯留部材304で囲まれた領域内に褪色防止処理液305を加えることができる。
上記の工程の後、ピペット等により、溶液貯留部材304から褪色防止処理液を取り除き、溶液貯留部材304を取り外してから、恒温槽にセンサーチップ300を入れて乾燥させる。乾燥させたセンサーチップ300は、好ましくは密封された状態で、SPFS測定に供されるまで保管される。
なお、センサー部の形状は円形に限るものではないことは前述の通りであり、円形以外の形状のセンサー部の場合は、その形状に応じた溶液貯留部材を設置すればよい。また、例えば図4のような複数のセンサー部を有するセンサーチップの場合は、上述したような褪色防止処理を複数のセンサー部のそれぞれに対して行えばよい。
上述したような褪色防止処理の第1実施形態は、センサーチップの製造時に、金属薄膜上の一部に捕捉物質が固定された領域(つまりセンサー部303)を形成するための処理に付随させて行うことができる。例えば、金属薄膜302の表面にカルボキシル基を末端に有するSAMを形成し、続いてEDCおよびNHSで処理して前記カルボキシル基を活性エステル基に変換した後、捕捉物質としての抗体を反応させることで、その抗体のアミノ基を介してセンサー部305に固定することができる。このような工程の最後では通常、抗体が結合しなかった未反応の活性エステル基を、Tris(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)緩衝液を用いて不活性化する処理が行われる。この不活性化処理の際に用いられるTris緩衝液に褪色防止剤を溶解させておくことで、不活性化処理と同時に褪色防止処理を行うことができる。
あるいは、褪色防止剤を含有しないTris緩衝液を用いた不活性化処理を行った後に、センサー部303を含む領域に褪色防止処理液を塗布するというように、捕捉物質の固定化のための工程とは別の工程として褪色防止のための工程を行ってもよい。
褪色防止処理液中の褪色防止剤の濃度は特に限定されるものではなく、褪色防止効果を考慮しながら適宜調節することができるが、一般的に濃度が高いほど褪色防止効果は発揮されやすいので、用いる褪色防止剤に応じた十分に高い濃度とすることが適切である。また、褪色防止処理の時間も特に限定されるものではなく、褪色防止効果を考慮しながら適宜調節することができるが、一般的に処理時間が長いほど褪色防止効果は発揮されやすいので、用いる褪色防止剤に応じた十分に長い時間とすることが適切である。
・褪色防止処理の第2実施形態
本発明の褪色防止処理の第2実施形態は、センサーチップを使用してSPFS測定法を実施する際に、捕捉物質が固定された領域に所定の溶液を供給する工程に付随して行われるものである。このような実施形態は、たとえば、センサーチップに薄層部材および蓋部材を組み合わせて流路を形成した状態、あるいはプレートと組み合わせてウェルを形成した状態で、SPFS装置に装填した後に、SPFS測定のための工程と一体的にないし連続的な工程として行うことができ、効率的に褪色防止処理をすることができるため好適である。
第2実施形態では、従来のSPFSにおいて用いられている所定の溶液、すなわち測定試料(検体希釈液)、蛍光標識溶液、洗浄液、蛍光測定液などの溶液に褪色防止剤を添加して溶解させておく。たとえば、測定試料(検体希釈液)に褪色防止剤を添加した場合、SPFSの最初の工程で、センサー部に固定された捕捉物質と測定試料中の測定対象物質とを反応させるために、流路に測定試料を所定の時間導入する際、センサー部に対する褪色防止処理が同時に行われることになる。蛍光標識溶液、洗浄液または蛍光測定液に褪色防止剤を添加した場合も同様であり、それぞれ蛍光標識工程、洗浄工程または蛍光測定工程においてセンサー部に対する褪色防止処理が同時に行われることになる。アッセイシグナルを測定する蛍光測定工程と同様に、ベースラインシグナル測定工程において退色防止処理を行ってもよい。蛍光測定工程において退色防止処理を行うことは、その後にさらなる送液は行われず、固定化された褪色防止剤が流下してしまうおそれが最も低いため好ましい。
測定試料(検体希釈液)、蛍光標識溶液または洗浄液に対する褪色防止剤の添加量は特に限定されるものではなく、褪色防止効果を考慮しながら適宜調節することができるが、一般的に濃度が高いほど褪色防止効果は発揮されやすいので、用いる褪色防止剤に応じた十分に高い濃度とすることが適切である。また、測定試料反応工程、蛍光標識工程または洗浄工程(すなわち褪色防止処理)の時間も特に限定されるものではなく、通常の測定試料反応工程、蛍光標識工程または洗浄工程の時間と同程度、あるいは必要に応じて褪色防止効果を考慮しながら適宜調節することができるが、一般的に処理時間が長いほど褪色防止効果は発揮されやすいので、用いる褪色防止剤に応じた十分に長い時間とすることが適切である。
<ブロッキング処理および安定化処理>
センサー部203を含む領域に対しては、必要に応じて、測定試料中の夾雑物(測定対象物質以外のタンパク質、脂質、糖、その他)や蛍光標識物質がセンサー部に非特異的に吸着又は結合することを防止するためのブロッキング処理を行ってもよい。
ブロッキング処理に用いるブロッキング剤は特に限定されるものではなく、通常のものを使用すればよい。ブロッキング剤としては、例えば、スキムミルク、フィッシュゼラチン、ウシ血清アルブミン(BSA)、界面活性剤、カゼイン、プロタミン、ポリエチレングリコール、トレハロース、デキストラン等が知られており、測定試料、測定対象物質に応じて適切なものを選べばよい。このうち、ウシ血清アルブミン、カゼイン、ゼラチン、スキムミルクがより一般的によく使用される。ブロッキング剤は、いずれか一種を単独で用いても、複数種を混合して用いてもよい。
また、ブロッキング処理の際に、糖類のような安定化剤による安定化処理をあわせて行ってもよい。安定化処理は、捕捉物質、特に抗体のようなタンパク質の捕捉物質、の構造を安定に保護し、時間経過による測定対象物質が有する捕捉効果の減少を防ぐ効果があるため、特にセンサーチップの製造時に行われる褪色防止処理の第1実施形態と組み合わせることが好ましい。安定化剤として用いることのできる糖類は、単糖(例えば、グルコース、フルクトース等)、二糖(スクロース、マルトース等)、及び3〜10個の単糖から構成されるオリゴ糖(ラフィノース、パノース等)からなる群から選択される少なくとも1種の糖であることが好ましい。
ブロッキング処理および安定化処理は、ブロッキング剤の溶液に安定化剤を添加することにより同時に行うことができる。ブロッキング剤溶液に対する糖類の添加量は、1〜20重量%であることが好ましく、5〜12重量%であることがより好ましい。
上述したようなブロッキング処理は、ブロッキング剤溶液を調製して金属薄膜のセンサー部を含む領域に接触させ、所定の時間保持するようにして行えばよい。たとえば、褪色防止処理工程の前または後に、前述したような褪色防止処理の第1実施形態と同様の溶液貯留部材を用いて、ブロッキング剤および必要に応じて安定化剤(糖類)を含有するブロッキング処理液を、センサー部を含む領域に接触させることができる。
− SPFSに基づく測定法 −
本発明のSPFS測定法は、捕捉物質に捕捉された測定対象物質に結合した蛍光標識剤の近傍に、褪色防止剤を存在する状態で励起光を照射して蛍光を測定する工程を含む測定法である。ここで「近傍」とは、褪色防止剤が蛍光標識剤に含まれる蛍光体の褪色を防止する作用効果が奏される距離であればよく、特に限定されるものではないが、たとえば、センサー部が形成される金属薄膜の表面から蛍光体までの距離、すなわち表面プラズモン共鳴により増強されたエバネッセント波が到達する数百ナノメートル程度の距離に収まる距離が好ましい。そのようなSPFS測定法の実施形態としては、たとえば下記のような実施形態が挙げられる。
・SPFS測定法の第1実施形態
本発明のSPFS測定法の第1実施形態は、捕捉物質が固定された領域(センサー部)に褪色防止剤が存在する状態で励起光を照射して蛍光を測定するものである。
このようなSPFS測定法の第1実施形態は、下記(A)および(B)の両方の場合を包含する:
(A)前述した褪色防止処理の第1実施形態に対応して、褪色防止処理が施されたセンサー部を備えたセンサーチップを使用することにより、捕捉物質が固定された領域に褪色防止剤を存在させるようにする場合;
(B)前述した褪色防止処理の第2実施形態に対応して、センサー部に褪色防止処理が施されていないセンサーチップを使用してSPFS測定法を開始した後、励起光を照射して蛍光を測定する工程よりも前の所定の工程において、褪色防止剤を添加した測定試料(検体希釈液)、洗浄液、蛍光標識溶液などをセンサー部に供給することにより、捕捉物質が固定された領域に褪色防止剤を存在させるようにする場合。
(A)の場合、前記捕捉物質が固定された領域に存在する褪色防止剤は、センサーチップがSPFS測定法のために使用される前にあらかじめ、捕捉物質が固定された領域を含む領域に対して行われていた、褪色防止処理のための溶液に含有されていたものである。
(B)の場合、捕捉物質が固定された領域に存在する褪色防止剤は、SPFS測定法で用いられる試料溶液、洗浄液または蛍光標識溶液に添加されていたものであり、SPFS測定法の第1実施形態は、励起光を照射して蛍光を測定する工程の前に、褪色防止剤が添加された測定試料、洗浄液、蛍光標識溶液などを、捕捉物質が固定された領域に供給する工程を含むことになる。そのような測定試料反応工程、洗浄工程、蛍光標識工程についてはさらに後述する。
・SPFS測定法の第2実施形態
本発明のSPFS測定法の第2実施形態は、褪色防止剤が、SPFS測定法で用いられる蛍光測定液中に存在するものであり、励起光を照射して蛍光を測定する工程において、褪色防止剤が添加された蛍光測定液を捕捉物質に固定された領域に供給するものである。つまり、蛍光標識剤の周囲を満たす蛍光測定液中に褪色防止剤が存在する状態で、励起光を照射して蛍光を測定するようにする。そのような蛍光測定工程についてはさらに後述する。
・SPFS測定法に含まれる工程
SPFS測定法を開始する際、センサーチップは、通常は薄層部材および枠部材と組み合わせて流路を形成した状態で、あるいはプレートと組み合わせてウェルを形成した状態で、SPFS装置に装填される。SPFS装置は従来公知のものを利用することができる。
本発明のSPFS測定法は、褪色防止に関する事項以外は、基本的には従来公知の測定法と同様であり、たとえば以下のような工程に従って実施することができる:
(1)測定試料反応工程:流路またはウェルに測定試料を供給し、それらの底面に当たる金属薄膜上の一部に形成されているセンサー部に測定試料を接触させることで、捕捉物質と測定対象物質とを反応させる工程;
(2)蛍光標識工程:測定試料接触工程を経たセンサー部に、蛍光標識剤を含有する溶液を接触させることで、捕捉物質に捕捉された測定対象物質と蛍光標識剤とを反応させる工程;
(3)蛍光測定工程:流路またはウェルを蛍光測定液で満たした後、蛍光標識工程を経たセンサー部に、蛍光標識剤に含まれる蛍光体に対応した励起光を照射し、SPFSに基づき生じた蛍光の強度(アッセイシグナル)を測定する工程。
なお、蛍光測定工程において測定されるアッセイシグナルとの対比のため、測定試料の代わりにブランク(たとえば緩衝液のみ)を用いること以外は上記と同様にして蛍光の強度(ブランクシグナル)を測定する工程や、測定試料反応工程の後、蛍光標識工程の前に、蛍光測定工程と同様にして蛍光の強度(ベースラインシグナル)を測定する工程を、さらに行ってもよい。
また、測定試料反応工程と蛍光標識工程の間、および蛍光標識工程と蛍光測定工程の間には、必要に応じて、前の工程で用いて後に残存している溶液等を洗い流すための洗浄工程を設けてもよい。
測定試料反応工程、蛍光標識工程、蛍光測定工程、および洗浄工程では、それぞれ測定試料、蛍光標識溶液、蛍光測定液、および洗浄液で流路またはウェルを満たし、各工程を終える際に除去するようにする。なお、蛍光測定液は、蛍光標識剤や洗浄剤などを含まない水、緩衝液その他の溶媒であり、たとえば蛍光標溶液や洗浄液の調製に用いられる緩衝液そのものを蛍光測定液として用いることができる。また、測定試料の調製の際に必要に応じて用いられる検体希釈液としても、同様の緩衝液を用いることができる。
SPFS測定法の第1実施形態においては、測定試料反応工程、蛍光標識工程または洗浄工程で用いる測定試料(検体希釈液)、蛍光標識溶液または洗浄液に褪色防止剤を添加することにより、蛍光測定工程より前に褪色防止処理が施されたセンサー部を形成し、捕捉物質が固定された領域に褪色防止剤を存在させた状態で励起光を照射して蛍光を測定することができる。測定試料(検体希釈液)、蛍光標識溶液または洗浄液に対する褪色防止剤の添加量や、測定試料反応工程、蛍光標識工程または洗浄工程(すなわち褪色防止処理)の時間は、褪色防止処理の第2実施形態との関係で前述したことと同様である。
一方、SPFS測定法の第2実施形態においては、蛍光測定液に褪色防止剤を添加することにより、捕捉物質に捕捉された測定対象物質に結合した蛍光標識剤の周囲の溶液(つまり蛍光測定液)中に褪色防止剤を存在させた状態で、励起光を照射して蛍光を測定することができる。蛍光測定液(緩衝液等)に対する褪色防止剤の添加量も特に限定されるものではなく、前述したように、褪色防止効果を考慮しながら適宜調節することができる。
・測定試料
測定試料は、前述の通り、典型的にはヒトや動物から採取された検体であり、その代表例としては血液(血清、血漿を含む)及び尿が挙げられる。細胞を測定対象物質とする場合も、所定の方法に従って採取または培養された細胞を用いて調製された懸濁液を測定試料とすることもできる。また、採取された検体は、必要に応じて、抗凝固処理、遠心分離、抽出、その他の必要な処理を行い、希釈液(緩衝液等)で適当な濃度に希釈した上で、測定試料としてもよい。
・測定対象物質
測定対象物質は、前述の通り、測定試料から検出又は定量するタンパク質、脂質、糖、核酸、その他の生体関連物質である。測定試料が血液の場合の測定対象物質の例として、心筋マーカーであるトロポニンI、NT−ProBNP、D−Dimer等のタンパク質が挙げられる。
・蛍光標識剤
蛍光標識剤は、測定対象物質と特異的に結合する物質と、所定の励起光を照射することで蛍光を発することのできる蛍光体とを含む複合体である。たとえば、測定対象物質が抗原(タンパク質)である場合は、それと特異的に結合する抗体と蛍光体との複合体(蛍光標識化二次抗体)を蛍光標識剤として用いることができる。このような蛍光標識剤は、公知の手法によって作製することができ、特定の測定対象物質に対する蛍光標識剤は市販もされている。
本発明のSPFS測定法における蛍光標識剤に用いられる蛍光体は、公知のSPFS測定法における蛍光標識剤と同様のものであればよく、公知の各種の蛍光体を用いることができるが、代表的な蛍光体としては蛍光物質が挙げられる。
蛍光物質としては、ローダミン系色素分子、スクアリリウム系色素分子、シアニン系色素分子、芳香環系色素分子、オキサジン系色素分子、カルボピロニン系色素分子、ピロメセン系色素分子などを例示することができる。あるいは、Alexa Fluor(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(登録商標、インビトロジェン社製)系色素分子、Cy(登録商標、GEヘルスケア社製)系色素分子、DY系色素分子(登録商標、DYOMICS社製)、HiLyte(登録商標、アナスペック社製)系色素分子、DyLight(登録商標、サーモサイエンティフィック社製)系色素分子、ATTO(登録商標、ATTO−TEC社製)系色素分子、MFP(登録商標、Mobitec社製)系色素分子などを用いることができる。なお、このような色素分子の総称は、化合物中の主要な構造(骨格)または登録商標に基づき命名されており、それぞれに属する蛍光物質の範囲は当業者であれば過度の試行錯誤を要することなく適切に把握できる。
− キット −
本発明のキットは、前述したような本発明のセンサーチップを作製するため、または前述したような本発明のSPFS測定法を実施するために使用されるものである。そのようなキットの実施形態としては、たとえば下記のような実施形態が挙げられる。
・キットの第1実施形態
本発明のキットの第1実施形態は、前述した褪色防止処理の第1実施形態およびSPFS測定法の第1実施形態の(A)に対応しており、少なくとも、捕捉物質が固定された領域に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理が行われているSPFS用センサーチップを含む。また、このキットは、上記のSPFS用センサーチップを使用して行われるSPFS測定法に適合した試薬類や器具類、たとえば検体希釈液、洗浄液(またはそれを調製するための洗浄剤および溶媒ならびに調製器具)、蛍光標識液(またはそれを調製するための二次抗体、蛍光体、反応試薬および溶媒ならびに調製器具)、蛍光測定液、あるいはこれらの溶液を予め収容して密封された、SPFS装置に装填して使用することのできる試薬収容器を含んでいてもよい。このキットはさらに、褪色防止処理の第1実施形態またはSPFS測定法の第1実施形態の(B)の説明書を含んでいてもよい。
・キットの第2実施形態
本発明のキットの第2実施形態は、前述した褪色防止処理の第2実施形態およびSPFS測定法の第1実施形態の(B)に対応しており、少なくとも、SPFS用センサーチップ(捕捉物質が固定された領域に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理は行われていないもの)と、褪色防止処理液(またはそれを調製するための褪色防止剤および溶媒)を含む。褪色防止処理液は、試料溶液、洗浄液、蛍光標識溶液、または蛍光測定工程の前に行われる工程で用いられるその他の溶液に褪色防止剤を添加したものとして調製される。たとえば、褪色防止剤を添加した試料溶液を褪色防止処理液として利用する場合、褪色防止剤の溶液と検体希釈液を個別に2個のパックにしておくか、あるいは最初から検体希釈液に褪色防止剤を溶解させて1個のパックにしておき、SPFS測定法を実施する際に、そのようなパックの内容物を検体またはその処理物と混合して試料溶液を調製するようにしてもよい。褪色防止剤を添加した洗浄液または褪色防止剤を添加した蛍光標識溶液を褪色防止処理液として利用する場合も同様である。また、このキットは、上記のSPFS用センサーチップを使用して行われるSPFS測定法に適合した試薬類や器具類、たとえば検体希釈液、洗浄液(ないしそれを調製するための洗浄剤および溶媒ならびに調製器具)、蛍光標識液(ないしそれを調製するための二次抗体、蛍光体、反応試薬および溶媒ならびに調製器具)、蛍光測定液、あるいは上記の褪色防止処理液を含めた各種の溶液を予め収容して密封された、SPFS装置に装填して使用することのできる試薬収容器を含んでいてもよい。このキットはさらに、褪色防止処理の第2実施形態またはSPFS測定法の第1実施形態の(B)の説明書を含んでいてもよい。
・キットの第3実施形態
本発明のキットの第3実施形態は、前述したSPFS測定法の第2実施形態に対応しており、少なくとも、SPFS用センサーチップ(捕捉物質が固定された領域に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理は行われていないもの)と、褪色防止処理液(またはそれを調製するための褪色防止剤および溶媒)を含む。ここで、上記のSPFS用センサーチップは、捕捉物質が固定された領域に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理が行われていないものであってもよいし、SPFS測定法の第1実施形態と組み合わせる場合は、そのような褪色防止処理が行われているものであってもよい。褪色防止処理液は、蛍光測定液に褪色防止剤を添加したものとして調製される。たとえば、褪色防止剤の溶液と蛍光測定液を個別に2個のパックにしておいてもよいし、最初から蛍光測定液に褪色防止剤を溶解させて1個のパックにしておいてもよい。また、このキットは、上記のSPFS用センサーチップを使用して行われるSPFS測定法に適合した試薬類や器具類、たとえば検体希釈液、洗浄液(ないしそれを調製するための洗浄剤および溶媒ならびに調製器具)、蛍光標識液(ないしそれを調製するための二次抗体、蛍光体、反応試薬および溶媒ならびに調製器具)、あるいは上記の褪色防止処理液を含めた各種の溶液を予め収容して密封された、SPFS装置に装填して使用することのできる試薬収容器を含んでいてもよい。このキットはさらに、SPFS測定法の第2実施形態の説明書を含んでいてもよい。
[実施例1]
(1)センサーチップの作製
工程(a):誘電体部材の材料としてシクロオレフィンポリマー樹脂(日本ゼオン株式会社)、ZEONEX(登録商標)用いて作成した略台形の断面形状を持つプリズム部材の主面に、まずクロム薄膜をスパッタリング法により形成し、さらにその表面に金薄膜をスパッタリング法により形成した。このクロム薄膜の厚さは1〜3nm、金薄膜の厚さは44〜52nmであった。
工程(b):得られた成膜済みプリズムを、10−カルボキシ−1−デカンチオールを1mM含むエタノール溶液に24時間以上浸漬し、金薄膜の片面にSAM(自己組織化単分子膜)を形成した。プリズムを該溶液から取り出し、エタノールおよびイソプロパノールで洗浄した後、エアガンで乾燥させた。
工程(c):ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)製の外径7mm、内径5mm、長さ15mmの円筒部材の一方の端に、深さ0.5mm、幅1mmの溝を形成し、フッ素ゴム製の太さ1mm、内径6mmのOリング(株式会社ミスミ)を設置した溶液貯留部材を、該工程(b)で得られたプリズムの金属薄膜上に設置した。溶液貯留部材からの漏出を防ぐため、ステンレス製の板材2枚を用いて溶液貯留部材及びプリズムを上下から挟み込み、ビスで固定した(上側のステンレス製の板材には、溶液貯留部材へ試薬等を出し入れするための開口部が設けられている)。
工程(d):N−ヒドロキシコハク酸イミド〔NHS〕を25mg/mLと、水溶性カルボジイミド〔EDC〕を25mg/mLとを含むMES〔2-morpholinoethanesulfonic acid〕緩衝生理食塩水(pH6.0)を0.2mL導入し、20分間反応させた後、反応液を抜き取り、抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体を含むAcetate溶液(pH6.0)0.2mLを導入し、30分間反応させることで、SAM上に1次抗体を固相化した。
工程(e):まず、50mMのTris(pH7.4)0.2mLに褪色防止剤としてL−アスコルビン酸Naを0.1重量%添加した溶液を流路に導入し、15分間反応させることで、未反応の活性化エステル基の不活性化と同時にセンサー部の褪色防止処理を行った。
工程(f):溶液貯留部材を除去し、流路を形成するための貫通孔(7mm×30mm)を形成したPET基材両面テープNo.5610(日東電工株式会社)(薄層部材204)を用いて、流入・排出口207および液溜部208を有する、厚さ10mmのポリメチルメタクリレート製プレート(蓋部材)を接着し、流路206を形成し、センサーチップとした。
(2)センサーチップを用いた測定
測定試料反応工程:(1)によって作製したセンサーチップに、抗原となるトロポニンIを0.1ng/mLと1重量%牛血清アルブミン〔BSA〕を含むPBS緩衝生理食塩水を注入し、固相化された1次抗体と抗原を30分間反応させた。抗原を含む溶液を吸引除去し、Tween20を0.05重量%含むTBSを注入・吸引除去する操作を数回繰り返し、洗浄操作を行った。
ベースラインシグナル測定工程:Tween20を0.05重量%含むTBSで流路を満たした状態で、ブランクとして扱う蛍光(ベースラインシグナル)を、光源としてレーザー光源を用いて、出力1mW以下(0.2〜0.8mW)、波長635nmのレーザー光を、光学フィルター(シグマ光機(株))によりフォトン量を調節し、センサーチップの金属薄膜に照射し、カットフィルターとして蛍光成分以外の波長をカットするカットフィルター、対物レンズ(20倍)を用いてCCDイメージセンサー(テキサスインスツルメント(株)製)により検出した。
蛍光標識工程:Tween20を0.05重量%含むTBSを吸引除去し、Alexa Fluor(商標名)647タンパク質ラベリングキット(インビトロゲン社)を用いて蛍光標識化した抗トロポニンI〔TnI〕モノクローナル抗体(一次抗体とは異なるクローン)を含むPBS緩衝生理食塩水を流路に注入し、15分間反応させ、免疫複合体を形成させた。蛍光標識抗体を含む溶液であるPBS緩衝生理食塩水を吸引除去した後、Tween20を0.05重量%含むTBSを注入・吸引除去する操作を数回繰り返し、洗浄操作を行った。
アッセイシグナル測定工程:Tween20を0.05重量%含むTBSに褪色防止剤としてL−アスコルビン酸Naを0.1重量%加え、褪色防止剤が添加された蛍光測定液とした。この蛍光測定液で流路を満たした状態で、ベースラインシグナル測定と同様に蛍光を測定し、免疫複合体に由来する蛍光シグナルを測定した。レーザー光は、アッセイシグナル測定工程の開始から少なくとも10分間継続して照射し、その間の蛍光シグナルを測定した。
ブランクシグナル測定工程:標識化抗体の非特異的な吸着に由来するブランクシグナルの測定は、上記測定試料反応工程において、抗原となるトロポニンIを含まない1重量%牛血清アルブミン〔BSA〕を含むPBS緩衝生理食塩水を注入すること以外は同様の工程により、別のセンサーチップを用いて行った。
S/Nの算出:上記測定で得られた、ノイズ成分(ベースラインシグナル、ブランクシグナル)と抗原を含む溶液を用いて得られたシグナルから、下記式によりS/Nを算出した。
S/N
=|(アッセイシグナル)|/|(ベースラインシグナル+ブランクシグナル)|
[実施例2]
(1)センサーチップの作製
実施例1と同様にして、褪色防止処理を施したセンサーチップを作製した。
(2)センサーチップを用いた測定
アッセイシグナル測定工程において、褪色防止剤が添加された蛍光測定液の代わりに、褪色防止剤が添加されていないTween20を0.05重量%含むTBS自体を蛍光測定液として用いたこと、つまりアッセイシグナル測定工程において褪色防止処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、ベースラインシグナル、アッセイシグナルおよびブランクシグナルを測定した。
[実施例3]
(1)センサーチップの作製
工程(e)において、50mMのTris(pH7.4)0.2mLに褪色防止剤を添加せず、センサー部の褪色防止処理を行わなかった(未反応の活性化エステル基の不活性化のみ行った)こと以外は実施例1と同様にして、センサーチップを作製した。
(2)センサーチップを用いた測定
実施例1と同様にして、ベースラインシグナル、アッセイシグナルおよびブランクシグナルを測定した。
[実施例4]
(1)センサーチップの作製
工程(e)において、50mMのTris(pH7.4)0.2mLに褪色防止剤を添加せず、センサー部の褪色防止処理を行わなかった(未反応の活性化エステル基の不活性化のみ行った)こと以外は実施例1と同様にして、センサーチップを作製した。
(2)センサーチップを用いた測定
アッセイシグナル測定工程において、褪色防止剤が添加された蛍光測定液の代わりに、褪色防止剤が添加されていないTween20を0.05重量%含むTBS自体を蛍光測定液として用いたこと、逆にベースラインシグナル工程において、上記の褪色防止剤が添加された蛍光測定液を用いたこと、つまりアッセイシグナル測定工程で褪色防止処理を行わないかわりにベースラインシグナル測定工程で褪色防止処理をおこなうようにしたこと以外は実施例1と同様にして、ベースラインシグナル、アッセイシグナルおよびブランクシグナルを測定した。
[実施例5]
(1)センサーチップの作製
工程(e)において、50mMのTris(pH7.4)0.2mLに褪色防止剤を添加せず、センサー部の褪色防止処理を行わなかった(未反応の活性化エステル基の不活性化のみ行った)こと以外は実施例1と同様にして、センサーチップを作製した。
(2)センサーチップを用いた測定
アッセイシグナル測定工程において、(i)Tween20を0.05重量%含むTBSに褪色防止剤としてイソアスコルビン酸Naを0.1重量%加え、褪色防止剤が添加された蛍光測定液として用い、ブランクシグナル測定工程において、上記のイソアスコルビン酸Naの褪色防止剤が添加された蛍光測定液を用いる、つまりアッセイシグナル測定工程およびブランクシグナル測定工程で褪色防止剤として、アスコルビン酸Naのかわりにイソアスコルビン酸Naを使用して褪色防止処理を行い、また(ii)レーザー光の照射を、出力30mW、波長660nmのレーザー光源を用いて、1回あたり数秒間程度の照射を5回繰り返すようにし、それ以外は実施例4と同様にして、ベースラインシグナル、アッセイシグナルおよびブランクシグナルを測定した。
[比較例1]
(1)センサーチップの作製
工程(e)において、50mMのTris(pH7.4)0.2mLに褪色防止剤を添加せず、センサー部の褪色防止処理を行わなかった(未反応の活性化エステル基の不活性化のみ行った)こと以外は実施例1と同様にして、センサーチップを作製した。
(2)センサーチップを用いた測定
実施例1の(1)で作成した、センサー部が褪色防止処理されたセンサーチップの代わりに、比較例の(1)で作製した、センサー部が褪色防止処理されていないセンサーチップを使用したこと以外は実施例1と同様にして、ベースラインシグナル、アッセイシグナルおよびブランクシグナルを測定した。
[比較例2]
(1)センサーチップの作製
工程(e)において、50mMのTris(pH7.4)0.2mLに褪色防止剤を添加せず、センサー部の褪色防止処理を行わなかった(未反応の活性化エステル基の不活性化のみ行った)こと以外は実施例1と同様にして、センサーチップを作製した。
(2)センサーチップを用いた測定
(i)実施例1の(1)で作製した、センサー部が褪色防止処理されたセンサーチップの代わりに、比較例の(1)で作製した、センサー部が褪色防止処理されていないセンサーチップを使用し、また(ii)アッセイシグナル測定工程において、出力30mW、波長660nmのレーザー光源を用いて、1回あたり数秒間程度の照射を5回繰り返すようにし、それ以外は実施例1と同様にして、ベースラインシグナル、アッセイシグナルおよびブランクシグナルを測定した。
<結果>
実施例1〜4および比較例1の結果を表1および図6に示す。S/N比の数値は、それぞれアッセイシグナル測定工程における励起光の照射時間が0分(照射直後)の値を1としたときの、各照射時間(2,4,6,8または10分)の値の割合である。センサーチップ作製段階と測定段階の少なくとも一方で褪色防止処理を行っている実施例1〜4はいずれも、褪色防止処理を行っていない比較例1より、照射時間によるS/N比の低下が緩やかであり、褪色防止効果が示されている。特にセンサーチップ作製段階と測定段階(アッセイシグナル測定工程)の両方で褪色防止処理を行った実施例1が、照射時間によるS/N比の低下が最も緩やかで、最も褪色防止効果に優れている。
また、実施例5および比較例2の結果を表2に示す。S/N比の数値は、実施例5のアッセイシグナル測定工程において、励起光の照射回数が1回のときの値を1としたときの、各照射回数(1〜5回)の値の割合である。測定段階(アッセイシグナル測定工程およびブランクシグナル測定工程)で褪色防止処理を行っている実施例5は、褪色防止処理を行っていない比較例2より、照射回数によるS/N比の低下が緩やかであり、褪色防止効果が示されている。特に、実施例5および比較例2の測定条件において、蛍光物質に照射した励起光の出力は30mWであり、これは実施例1〜4および比較例1で照射した励起光の出力1mW以下(0.2〜0.8mW)に比べ、蛍光物質に照射されただけで、褪色を生じる。実施例5は、実施例1と比較して、より優れた褪色防止効果を持つといえる。
Figure 0006500897
Figure 0006500897
100 SPFS装置
110 センサーチップ
111 センサーチップ装填部
112 誘電体部材
112a 誘電体部材の主面
112i 誘電体部材の入射面
113 金属薄膜
114 薄層部材
115 蓋部材
116 センサー部
117 微細流路
120 光源
121 励起光
122 反射光
123 受光手段
130 光検出手段
131 蛍光
132 集光部材
133 波長選択機能部材
θ 入射角
200 センサーチップ
201 誘電体部材
201a 誘電体部材の主面
201i 誘電体部材の入射面
202 金属薄膜
203 センサー部
204 薄層部材
205 蓋部材
206 流路
207 流入・排出口
208 液溜部
300 センサーチップ
301 誘電体部材
301a 誘電体部材の主面
301i 誘電体部材の入射面
302 金属薄膜
303 センサー部
304 溶液貯留部材
305 ブロッキング剤溶液
306 シール部材

Claims (11)

  1. 誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する、表面プラズモン共鳴励起増強分光に基づく測定法のためのセンサーチップであって、
    前記捕捉物質が固定された領域であるセンサー部に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理が行われている、センサーチップ。
  2. 前記褪色防止剤が抗酸化剤である、請求項1に記載のセンサーチップ。
  3. 前記抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項2に記載のセンサーチップ。
  4. 前記褪色防止処理が、前記センサーチップを製造する際に、前記金属薄膜上の一部に捕捉物質が固定された領域を形成するための処理に付随して行われたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサーチップ。
  5. 前記褪色防止処理が、前記センサーチップを使用して前記測定法を実施する際に、捕捉物質が固定された領域に所定の溶液を供給する工程に付随して行われたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサーチップ。
  6. 誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有するセンサーチップを使用した表面プラズモン共鳴励起増強分光に基づく測定法であって、
    前記捕捉物質に捕捉された測定対象物質に結合した蛍光標識剤の近傍に、褪色防止剤が存在する状態で励起光を照射して蛍光を測定する工程を含み、
    前記褪色防止剤が、前記捕捉物質が固定された領域であるセンサー部に存在し、
    前記捕捉物質が固定された領域に存在する褪色防止剤が、センサーチップが前記測定法のために使用される前にあらかじめ、前記捕捉物質が固定された領域を含む領域に対して行われていた、褪色防止処理のための溶液に含有されていたものである測定法。
  7. 前記褪色防止剤が抗酸化剤である、請求項に記載の測定法。
  8. 前記抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項に記載の測定法。
  9. 誘電体部材と、前記誘電体部材の主面上に形成された金属薄膜と、前記金属薄膜上の一部に形成された、測定対象物質を特異的に捕捉する捕捉物質が固定された領域とを有する、表面プラズモン共鳴励起増強分光に基づく測定法のためのセンサーチップであって、前記捕捉物質が固定された領域であるセンサー部に対して、褪色防止剤を含有する溶液を接触させることによる褪色防止処理が行われているものを少なくとも含むキット。
  10. 前記褪色防止剤が抗酸化剤である、請求項に記載のキット。
  11. 前記抗酸化剤がアスコルビン酸である、請求項10に記載のキット。
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