JP6500708B2 - 医療支援装置 - Google Patents
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Description
この種の医療支援装置の中には、医療行為の1つである歯科インプラントを支援する医療支援装置が存在する。この医療支援装置は、歯科医療に用いるドリルビットを有したドリルユニットと、そのドリルビットの先端を施術位置へと移動させる多関節ロボットとを備えている。施術位置とは、医療行為を受ける患者の部位の実空間上での位置である。
そこで、本発明の一態様は、医療行為における安全性をより向上させつつ、多関節ロボットの体格が大きくなることを抑制可能な技術を提供することを目的とする。
接続機構は、手術ツール(2)を多関節アームの先端部分に取り付ける機構である。接続機構は、多関節アームの先端部分に手術ツールを固定した固定状態と、固定状態を解除した解除状態とを変更可能に構成されている。手術ツールとは、患者への医療行為を実施する道具である。
このような医療支援装置によれば、患者の状態が異常状態であれば、接続機構を解除状態とすることができる。
例えば、患者の体動に追従するように手術ツールを移動させることが多関節ロボットの動作能力から困難であることを、異常状態として想定する。この場合、医療支援装置によれば、患者の状態が異常状態となった場合に、手術ツールが患者の動きに無理に追従されることを防止できる。
さらに、医療支援装置によれば、医療行為における安全性をより高めるために、多関節ロボットの駆動力を発生する電動機の体格、ひいては、多関節ロボットの体格を大きくする必要がない。よって、医療支援装置によれば、術者の行動範囲を確保できる。
なお、「特許請求の範囲」及び「課題を解決するための手段」の欄に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[第1実施形態]
<医療支援システム>
図1に示す医療支援システム1は、医療行為を支援するシステムである。医療支援システム1は、医療支援装置の一例である。
本実施形態における手術ツール2には、歯科医療に用いるドリルユニットを含む。このドリルユニットは、歯科医療に用いる各種のドリルビットと、そのドリルビットを駆動するドリル駆動機構とを有している。なお、ここで言うドリルユニットには、いわゆる歯科用ハンドピースを含む。この歯科用ハンドピースには、ストレート・ギアードアングルハンドピースやコントラハンドピースと称されるものを含む。
ここで言う「歯科インプラントの支援」には、インプラント体を埋入する患者の部位である施術位置への手術ツール2の移動が含まれる。この手術ツール2の移動には、患者の口腔内への手術ツール2の進入や、手術ツール2を交換する交換位置への移動が含まれる。さらに、ここで言う「歯科インプラントの支援」には、手術ツール2としてのドリルユニットによる顎骨への穿孔を含んでもよい。
位置追跡装置12は、ガイドロボット32に規定された基準点と、施術位置との相対的な位置関係を特定する装置である。本実施形態における位置追跡装置12は、アーム14と、アタッチメント16とを備える。
アタッチメント16は、アーム14の先端に固定されるマウスピースであり、患者に取り付けられる。実施形態においては、アタッチメント16には、患者の患部がマーキングされている。すなわち、位置追跡装置12は、アタッチメント16のマーキングされた位置を実空間上での施術位置として、アーム基準点からの相対位置によって特定する周知のトラッキングアームである。
制御部24は、少なくともROM,RAM,CPUを備えた周知のマイクロコンピュータを有した周知の制御装置であり、記憶部22に記憶された処理プログラムに従って処理を実行する。
この計画作成処理では、位置特定情報に基づく患者の顎骨の3次元座標情報に従って、「医療行為の計画」を作成する。この「医療行為の計画」の作成は、インプラント体を埋入する施術位置の特定、インプラント体を埋入する角度の特定、インプラント体を埋入する深さの特定を、プランニング座標系において実施することを含む。なお、施術位置には、インプラント体を埋入する顎骨が上顎骨であるか下顎骨であるか、その顎骨における歯の位置を含む。「医療行為の計画」には、施術位置へ医療行為を実施する際のガイドロボット32の動作時における、患者の口腔内への手術ツール2を進入させるタイミングや、その患者の口腔内への手術ツール2の進入角度を含んでもよい。
以下、「医療行為の計画」を医療計画情報と称す。「医療行為の計画」を作成する方法は周知であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
<ガイドロボット>
ガイドロボット32は、多関節アーム34と、ロボット制御部50とを備えた、周知の垂直多関節ロボットである。
<接続機構>
図3(A),図3(B)に示すように、接続機構60は、ガイドロボット32の多関節アーム34のハンド取付部42に手術ツール2を取り付ける機構である。接続機構60は、多関節アーム34の先端部分に手術ツール2を固定した固定状態と、その固定状態を解除した解除状態とを変更可能に構成されている。
取付部62は、ハンド取付部42に取り付けられる部材である。
すなわち、把持部64は、爪部66によって挟むことで手術ツール2を把持する。さらに、把持部64は、ピン67を有している。ピン67は、手術ツール2の脱落を防止するように、爪部66の先端部分に取り付けられる。
本体部72は、通電することで電磁力を発生するコイル76(図2参照)を有している。この本体部72は、把持部64に固定されている。本体部72の把持部64への固定は、把持部64における取付部62側の端部に埋設することで実現すればよい。
ここで言う固定位置とは、固定状態を維持する位置である。具体的には、固定位置は、棒状部材74における取付部62側の端面(以下、接触面78と称す)が、ハンド取付部42に取り付けられた取付部62の被係合面63を押圧する位置である。
<医療支援処理>
次に、ロボット制御部50が実行する医療支援処理について説明する。
そして、医療支援処理では、制御部52は、位置追跡装置12のアタッチメント16におけるマーキングされた箇所のアーム基準点からの相対位置を位置追跡装置12から取得する(S120)。続いて、医療支援処理では、制御部52は、S120で取得したアタッチメント16のマーキングされた箇所の相対位置に基づいて、実空間の3次元座標系における患者の施術位置の初期位置を登録する(S130)。このS130における施術位置の初期位置の登録は、周知のレジストレーションに従って実行すればよい。レジストレーションは、医療計画装置18にて特定した、プランニング座標系における施術位置を、実空間の3次元座標系における施術位置へと変換して登録する処理である。
続いて、医療支援処理では、制御部52は、位置追跡装置12にて求めた、アタッチメント16におけるマーキングされた箇所のアーム基準点からの相対位置に基づいて、実空間の3次元座標系における施術位置を特定する(S140)。つまり、医療支援処理において繰り返し実行されるS140では、実空間の3次元座標系における施術位置を時間軸に沿って順次特定する。
ところで、S160での判定の結果、患者の状態が異常状態である場合に移行するS210では、制御部52は、接続機構60を解除状態とする。具体的に、本実施形態のS210では、制御部52は、接続機構60における本体部72のコイル76への通電が停止されるように制御する。コイル76への通電が停止された接続機構60では、棒状部材74が解除位置へと移動し、取付部62に対して把持部64が自由に移動可能な状態となる。
その後、制御部52は、本医療支援処理を終了する。
[第1実施形態の効果]
医療支援処理では、患者の状態が異常状態であれば、接続機構60を解除状態とする。
したがって、医療支援システム1によれば、医療行為における安全性をより高めることができる。
また、医療支援処理では、接続機構60を解除状態とした場合、手術ツール2が施術位置から離れるように、ガイドロボット32を駆動している。しかも、ガイドロボット32の駆動は、施術位置から規定された距離以上離れるように実施される。
さらに言えば、医療支援システム1においては、接続担保部68を構成する紐状の部材の長さが、手術ツール2が有するドリルビットのドリル長さよりも長くなるように設定されている。このため、医療支援システム1によれば、解除状態である場合に、ドリルビットのドリル長さ以上の距離、手術ツール2を移動させることができる。よって、医療支援システム1によれば、解除状態における手術ツール2の移動の自由度を高くすることができ、施術位置からドリルを容易に抜き取ることができる。
このため、医療支援システム1によれば、接続機構60が解除状態となった場合であっても、多関節アーム34から手術ツール2が完全に脱落することを抑制できる。
[第1実施形態の変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(1b−3)位置決め機構82は、図9(A)に示すように、断面形状が台形状である係合突起92を複数有する第1係合部84と、第1係合部84と係合する形状に形成された第2係合部86とによって構成されていてもよい。
すなわち、位置決め機構82は、位置決めを容易に実現可能な構造であれば、どのような構造であってもよい。
(1d)上記実施形態の接続機構60における可動部70は、本体部72のコイル76が通電中に棒状部材74が固定位置に位置するように構成されていたが、可動部70の構造は、これに限るものではない。
[第2実施形態]
第2実施形態の医療支援システムは、第1実施形態の医療支援システム1とは、接続機構の構造が異なる。このため、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成及び処理には、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態とは異なる接続機構の構造を中心に説明する。
<接続機構>
図10(A),図10(B)に示すように、接続機構100は、取付部102と、把持部106と、接続担保部109と、可動部110とを備えている。
すなわち、把持部106は、爪部108によって挟むことで手術ツール2を把持する。
本体部112は、手術ツール2に接続される部材である。本実施形態においては、把持部106が本体部112として機能する。
リンク部材116は、3本の棒を有し、1つの棒を互いに平行な2本の棒で挟み込むことで、断面コの字状(若しくはU字状)に形成されている。
ここで言う解除位置とは、解除状態を維持する位置である。具体的には解除位置は、取付部102に設けられた切り欠き104にリンク部材116が入り込まず、取付部102とリンク部材116とが非係合となる位置である。
[第2実施形態の効果]
本実施形態の医療支援システムであっても、第1実施形態における医療支援システム1と同様の効果を得ることができる。
[第2実施形態の変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
[第3実施形態]
第3実施形態の医療支援システムは、第1実施形態の医療支援システム1とは、接続機構の構造が異なる。このため、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成及び処理には、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態とは異なる接続機構の構造を中心に説明する。
<接続機構>
図11(A),図11(B)に示すように、接続機構120は、取付部122と、把持部124と、接続担保部128と、電磁石130と、位置決め機構140とを備えている。
また、把持部124は、手術ツール2を把持する部材である。把持部124は、1つの基部125と、2つの爪部126とを有し、断面コの字状(若しくはU字状)に形成されている。
すなわち、把持部124は、爪部126によって挟むことで手術ツール2を把持する。さらに、把持部124は、ピン127を有していてもよい。ピン127は、手術ツール2の脱落を防止するように、爪部126の先端部分に取り付けられる。
コイル132は、通電すると電磁力を発生する周知のコイルである。コイル132は、取付部122に固定されている。
付勢部材136は、取付部122と把持部124とを離間する付勢力を発揮するように取付部122に設置されている。
第1係合部142は、把持部124に固定された周知の位置決めピンである。
第2係合部144は、取付部122における被係合面63に穿孔された係止孔を有する取付部122の部位である。係止孔は、第1係合部142と係合する形状に穿孔されている。
[第3実施形態の効果]
このような接続機構120によれば、接続機構の構造を簡易なものとすることができる。
[第3実施形態の変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(3b)上記実施形態の電磁石130は、付勢部材136を備えていたが、付勢部材136は省略されていてもよい。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
(6)上記実施形態における医療計画装置18の情報取得部20は、コンピュータ断層撮影装置から位置特定情報を取得していたが、医療計画装置18の情報取得部20は、その他の装置から位置特定情報を取得してもよい。
なお、医療支援処理のS140を実行することで得られる機能が、特定部の一例である。S150及びS160を実行することで得られる機能が、判定部の一例である。S210及びS220を実行することで得られる機能が、接続制御部の一例である。
Claims (6)
- 多関節アーム(34)を有した多関節ロボット(32)と、
患者への医療行為を実施する道具である手術ツール(2)を前記多関節アームの先端部分に取り付ける接続機構(60,100,120)であって、前記多関節アームの先端部分に前記手術ツールを固定した固定状態と、前記固定状態を解除した解除状態とを変更可能に構成された接続機構と、
前記医療行為を受ける患者の部位の実空間上での位置を表す施術位置を特定する特定部(52,S140)と、
前記特定部で特定した施術位置に基づく前記患者の状態が、異常を表すものとして予め規定された異常状態であるか否かを判定する判定部(52,S150,S160)と、
前記判定部での判定の結果、前記患者の状態が前記異常状態であれば、前記接続機構を前記解除状態とする安全制御を実行する接続制御部(52,S210,S220)と、
を備え、
前記接続機構は、
前記解除状態において、前記多関節アームの先端部分と前記手術ツールとの接続を担保する接続担保部(68,109,128)と、
前記固定状態を維持する固定位置と、前記解除状態を維持する解除位置との間を可動する可動部(70,110)と、を備え、
前記接続担保部は、前記多関節アームの先端部分と前記手術ツールとを接続する紐状の部材であり、
前記可動部は、
前記多関節アームの先端部分または前記手術ツールのいずれかに接続される本体部(72)と、
前記本体部から延伸する棒状の部材であり、一方の端部が前記固定位置と前記解除位置との間を直線移動する棒状部材(74)と、を有したソレノイド(70)である、医療支援装置(1)。 - 多関節アーム(34)を有した多関節ロボット(32)と、
患者への医療行為を実施する道具である手術ツール(2)を前記多関節アームの先端部分に取り付ける接続機構(60,100,120)であって、前記多関節アームの先端部分に前記手術ツールを固定した固定状態と、前記固定状態を解除した解除状態とを変更可能に構成された接続機構と、
前記医療行為を受ける患者の部位の実空間上での位置を表す施術位置を特定する特定部(52,S140)と、
前記特定部で特定した施術位置に基づく前記患者の状態が、異常を表すものとして予め規定された異常状態であるか否かを判定する判定部(52,S150,S160)と、
前記判定部での判定の結果、前記患者の状態が前記異常状態であれば、前記接続機構を前記解除状態とする安全制御を実行する接続制御部(52,S210,S220)と、
を備え、
前記接続機構は、
前記解除状態において、前記多関節アームの先端部分と前記手術ツールとの接続を担保する接続担保部(68,109,128)と、
前記固定状態を維持する固定位置と、前記解除状態を維持する解除位置との間を可動する可動部(70,110)と、を備え、
前記接続担保部は、前記多関節アームの先端部分と前記手術ツールとを接続する紐状の部材であり、
前記可動部は、
前記多関節アームの先端部分または前記手術ツールのいずれかに接続される本体部(112)と、
前記本体部に軸支され、前記固定位置と前記解除位置との間を回転移動するリンクであるリンク部(114)と、を備える、医療支援装置(1)。 - 前記接続機構は、
前記固定位置において係合する2つの部位である第1係合部(84)と第2係合部(86)とを有した位置決め機構(82)を備える、請求項1または請求項2に記載の医療支援装置。 - 前記手術ツールは、歯科医療に用いられるハンドピースであって、ドリルビットを有したハンドピースであり、
前記接続担保部は、
前記ハンドピースが有するドリルビットのドリル長さよりも長い、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の医療支援装置。 - 前記判定部は、
前記特定部で特定した施術位置に基づく前記患者の加速度を、前記患者の状態とし、
前記多関節ロボットの動作能力を超える前記患者の加速度を前記異常状態として、
前記患者の状態が前記異常状態であるか否かを判定する、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の医療支援装置。 - 前記接続制御部は、
前記接続機構を前記解除状態とした場合、前記多関節アームの先端部分が前記施術位置から離れるように前記多関節ロボットを駆動することを、前記安全制御として更に実行する、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の医療支援装置。
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