JP6500275B2 - 助手席用エアバッグ装置 - Google Patents

Description

本発明は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置に関する。

従来、助手席用エアバッグ装置としては、エアバッグが、膨張完了時に助手席に着座した乗員の前方を覆う本体部と、本体部の後端側における左右の端部近傍から後方に突出する突出部と、を備える構成のものがあった（例えば、特許文献１，２参照）。

特開平２−３０３９５１号公報 特開平８−３２４３７３号公報

これらの従来の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグが、膨張完了時に、助手席に着座した乗員の前方に加えて、斜め前方も覆い可能とするように、突出部を備える構成であった。しかしながら、これらの助手席用エアバッグ装置では、突出部は、一部を本体部に連通された袋状として、構成されることから、本体部に対して大きな段差を設けて突出するような球状に丸く膨らむこととなり、車両が斜め衝突やオフセット衝突等した際に、斜め前方側に向かって移動する乗員の頭部を、この突出部により局部的に受け止めるような態様となって、乗員の頭部を的確に受け止められない場合があった。

本発明は、上述の課題を解決するものであり、斜め前方に向かって移動する乗員を、膨張を完了させたエアバッグによって円滑に保護可能な助手席用エアバッグ装置を提供することを目的とする。

本発明に係る助手席用エアバッグ装置は、助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置であって、
エアバッグが、膨張完了時の後面を、乗員を保護可能な乗員保護部として構成され、
乗員保護部が、
車両の前突時に前進移動する乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面と、
車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を保護可能に、前突用拘束面の左右の少なくとも一方の側方において、前突用拘束面から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面と、
を備える構成とされるとともに、
前突用拘束面と斜突用拘束面との間に、乗員の頭部を進入させて拘束させるための拘束用凹部を、前方に凹ませるようにして、配設させて構成され、
エアバッグの内部に、膨張完了時に、拘束用凹部を、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部の移動方向に略沿って配置可能に、拘束用凹部の凹みの先端側と、エアバッグの膨張完了時の前縁と、を連結するテザーが、配設され、
エアバッグが、膨張完了時の前縁側からエアバッグの外方に延びて、先端側を、収納部位側に連結させるアウタテザーを、備える構成とされ、
アウタテザーが、エアバッグの前縁側において、テザーの前端近傍となる位置から延びるように、配設されることを特徴とする。

本発明の助手席用エアバッグ装置では、乗員保護部において、前突用拘束面と、前突用拘束面から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面との間に、乗員の頭部を進入させて拘束するための拘束用凹部が、前方に凹んで形成されている。そのため、本発明の助手席用エアバッグ装置では、車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部を、斜突用拘束面にガイドさせつつ、拘束用凹部内に進入させるようにして、拘束することができる。このとき、乗員の頭部の少なくとも一部が、拘束用凹部を左右に押し開きつつ、拘束用凹部内に進入することとなり、拘束用凹部の左右方向側で対向する内側面から構成される広い拘束面によって、乗員の頭部を、前側から、左右両側にかけて、受け止めることができる。また、本発明の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグ内に、拘束用凹部の凹みの先端側と、エアバッグの膨張完了時の前縁と、を連結するテザーが、配設される構成であることから、エアバッグの膨張完了時に、テザーによって、拘束用凹部の凹んだ状態を的確に維持することができ、また、エアバッグの展開膨張時における拘束用凹部の前後移動（前後の揺動）も、防止することができて、迅速に拘束用凹部を所定位置に配置させることができる。また、このテザーによって、拘束用凹部は、エアバッグの膨張完了時に、斜め前方に向かって移動する乗員の頭部の移動方向に略沿うように、配置される構成であることから、乗員の頭部は、拘束用凹部の凹みの方向に略沿うように、拘束用凹部内に進入することとなる。そのため、乗員の頭部が、拘束用凹部の左右の内側面のどちらか一方に大きく干渉することを、抑制され、拘束用凹部は、左右の内側面で略均等に、乗員の頭部を受け止めることが可能となる。その結果、拘束用凹部により、左右方向への回転を抑制して、乗員の頭部を受け止めることができる。

したがって、本発明の助手席用エアバッグ装置では、斜め前方に向かって移動する乗員を、膨張を完了させたエアバッグによって円滑に保護することができる。
また、本発明の助手席用エアバッグ装置では、エアバッグの膨張完了時において、テザーの前端近傍の位置を、アウタテザーによって、収納部位側に牽引させることができることから、エアバッグの展開膨張時に、テザー自体の前後移動を抑制することができて、エアバッグの展開膨張時における拘束用凹部の前後移動（前後の揺動）を、一層的確に抑制することができる。

さらに、本発明の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグの内部に、前突用拘束面の左右方向の略中央と、エアバッグの前端側とを連結して、膨張完了時の前突用拘束面の後方への移動を抑制可能な前後テザーを、膨張完了時に前後方向に略沿うように、配設させる構成とすれば、エアバッグの膨張初期に、内部に配置される前後テザーによって、前突用拘束面を車両後方側に大きく突出させるように展開することを抑制でき、また、この前後テザーは、テザーと協働して、エアバッグ全体の展開膨張時の前後方向側への大きな揺動を抑制することができて、膨張完了形状までエアバッグを迅速に膨張させることが可能となって、好ましい。

本発明の一実施形態である助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態を示す概略縦断面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置を車両に搭載させた状態の概略平面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置で使用されるエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後左上方から見た状態の斜視図である。 図３のエアバッグを単体で膨張させた状態を示す後右上方から見た状態の斜視図である。 図３のエアバッグを単体で膨張させた状態を、図４と角度を変えた上方から見た状態の斜視図である。 図３のエアバッグの概略縦断面図であり、前後テザーの部位での断面図である。 図３のエアバッグの概略縦断面図であり、拘束用凹部の部位での断面図である。 図３のエアバッグの概略縦断面図であり、突出膨張部の部位での断面図である。 図３のエアバッグの概略横断面図である。 図８のＸ−Ｘ部位を示す断面図である。 図７のXI−XI部位を示す端面図である。 図３のエアバッグにおいて、拘束用凹部付近の部位を示す部分拡大斜視図である。 実施形態のエアバッグを構成する基布を示す平面図である。 実施形態のエアバッグを構成する基布の残りを示す平面図である。 実施形態のエアバッグを折り畳む工程を示す概略図である。 実施形態のエアバッグを折り畳む工程を示す概略図であり、図１５の後の工程を示す。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略横断面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、膨張を完了させたエアバッグが、斜め移動する乗員を受け止めた状態を示す概略横断面図である。 実施形態の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグが膨張を完了させた状態を示す概略正面図であり、乗員受止前と乗員受止時との状態を示す。 本発明の助手席用エアバッグ装置において、エアバッグの突出膨張部内に配置される左右テザーの変形例を示す突出膨張部の部位の概略横断面図である。

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍは、図１，２に示すように、車両Ｖにおける助手席ＰＳの前方において、インストルメントパネル（以下「インパネ」と省略する）１の上面２の内部に配置されるトップマウントタイプとされている。なお、実施形態において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Ｖの前後・上下・左右の方向と一致するものである。

実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍは、図１に示すように、折り畳まれたエアバッグ１５と、エアバッグ１５に膨張用ガスを供給するインフレーター８と、エアバッグ１５及びインフレーター８を収納保持する収納部位としてのケース１２と、エアバッグ１５及びインフレーター８をケース１２に取り付けるためのリテーナ９と、折り畳まれたエアバッグ１５を覆うエアバッグカバー６と、を備えて構成されている。

エアバッグカバー６は、合成樹脂製のインパネ１と一体的に形成されて、エアバッグ１５の展開膨張時に、前後二枚の扉部６ａ，６ｂを、エアバッグ１５に押されて開くように、構成されている。また、エアバッグカバー６における扉部６ａ，６ｂの周囲には、ケース１２に連結される連結壁部６ｃが、形成されている。

インフレーター８は、図１に示すように、複数のガス吐出口８ｂを有した略円柱状の本体部８ａと、インフレーター８をケース１２に取り付けるためのフランジ部８ｃと、を備えて構成されている。インフレーター８は、実施形態の場合、車両Ｖの前面衝突と、斜め衝突と、オフセット衝突の際に、作動するように構成されている。

収納部位としてのケース１２は、上端側に長方形状の開口を有した板金製の略直方体形状に形成され、図１に示すように、インフレーター８を下方から挿入させて取り付ける略長方形板状の底壁部１２ａと、底壁部１２ａの外周縁から上方に延びてエアバッグカバー６の連結壁部６ｃを係止する周壁部１２ｂと、を備えて構成されている。実施形態の場合、エアバッグ１５とインフレーター８とは、エアバッグ１５内に配置させたリテーナ９の各ボルト９ａを取付手段として、エアバッグ１５におけるガス流入口２１の周縁、ケース１２の底壁部１２ａ、及び、インフレーター８のフランジ部８ｃを、貫通させて、ナット１０止めすることにより、ケース１２の底壁部１２ａに取り付けられている。また、実施形態では。このリテーナ９を利用して、エアバッグ１５の後述するアウタテザー５６が、先端５８側を、ケース１２の底壁部１２ａに連結される構成である。さらに、ケース１２の底壁部１２ａには、車両Ｖのボディ側に連結される図示しないブラケットが、配設されている。

エアバッグ１５は、実施形態の場合、図３〜１０に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張するバッグ本体１６と、バッグ本体１６内に配置されてバッグ本体１６の膨張完了形状を規制するテザー４１，４５，４６，４７，４８，５１，５３と、バッグ本体１６の膨張完了時の前縁側を収納部位としてのケース１２側に連結させるアウタテザー５６と、を備える構成とされている。

バッグ本体１６は、可撓性を有したシート体から形成される袋状とされるもので、実施形態の場合、図３〜５に示すように、本体膨張部１７と、膨張完了時の本体膨張部１７の後面側から後方に突出するように配置される突出膨張部２９と、を備えている。

本体膨張部１７は、図１の二点鎖線に示すように、膨張完了時に、インパネ１の上面２とインパネ１上方のウィンドシールド４との間を塞ぐように配置可能な構成とされている。具体的には、本体膨張部１７は、図３〜５に示すように、膨張完了時の形状を、軸方向を左右方向に略沿わせた略三角柱状とされるもので、膨張完了時の右前端側に、ケース１２に取り付けられる取付部２０を、備える構成とされている。すなわち、本体膨張部１７は、膨張完了時の右前端側をケース１２に取り付けられて、膨張完了時に、図１７に示すように、運転席ＤＳ側となる左側に大きく張り出すように、配置される構成である。この本体膨張部１７は、膨張完了時に乗員ＭＰ側である後面側に配置される後側壁部２６と、後側壁部２６の周縁から前方に延びるとともに前端側にかけて上下方向の幅寸法を小さくするように収束される先細り形状の周壁部１８と、を備えている。

周壁部１８は、エアバッグ１５の膨張完了時に、主にインパネ１の上面２とインパネ１上方のウィンドシールド４との間を塞ぐように配置される部位であり、上下両側で左右方向に略沿って配置される上壁部１８ａ，下壁部１８ｂと、左右両側で前後方向に略沿って配置される左壁部１８ｃ，右壁部１８ｄと、を備えている。実施形態のエアバッグ１５では、周壁部１８における膨張完了時の右前端側の部位が、エアバッグ１５をケース１２に取り付けるための取付部２０とされている（図３，６〜９参照）。この取付部２０は、エアバッグ１５の膨張完了時には、ケース１２内に配置される部位である。取付部２０における膨張完了時の下面側（下壁部１８ｂ側）には、内部に膨張用ガスを流入可能に略円形に開口して、周縁をケース１２の底壁部１２ａに取り付けられるガス流入口２１が、配設されている。ガス流入口２１の周縁には、リテーナ９のボルト９ａを挿通させて、ガス流入口２１の周縁をケース１２の底壁部１２ａに取り付けるための複数（実施形態の場合、４個）の取付孔２２が、形成されている。実施形態の場合、エアバッグ１５は、ガス流入口２１の中心を、取付中心Ｃ（図９参照）として、この取付中心Ｃを助手席ＰＳの左右方向の中心と一致させるようにして、ケース１２に取り付けられ、車両Ｖに搭載されている（図１７参照）。また、周壁部１８における左壁部１８ｃと右壁部１８ｄとには、内部に流入した余剰の膨張用ガスを排気させるためのベントホール２４，２４が、形成されている。

また、実施形態の本体膨張部１７は、図９に示すように、膨張完了時に、取付中心Ｃを通る前後方向に沿った中心線ＣＬよりも左側に位置する領域を、中心線ＣＬより右側に位置する領域より大きくして、左側（運転席ＤＳ側）に大きく膨出するように構成されるもので、膨張完了時に、運転席ＤＳ側となる周壁部１８の左壁部１８ｃを、運転席ＤＳの前方に配置されるステアリングホイール１００を覆うように膨張する後述するステアリングホイール用のエアバッグ１０４に近接させるように、構成されている（図１７参照）。また、実施形態では、本体膨張部１７は、図９に示すように、前縁側の部位を、前側にかけて左右方向側の幅寸法を狭められるように、先細り形状として、構成されている。すなわち、実施形態では、本体膨張部１７において、膨張完了時に取付部２０の左側に位置する左前縁１７ａと、取付部の右側に位置する右前縁１７ｂと、は、左右の内方側を前側に位置させるように、左右方向に対して傾斜して、形成されている。

後側壁部２６は、エアバッグ１５の膨張完了時に、乗員ＭＰ側となる後面側において、上下方向に略沿うように配置されている。実施形態の場合、後側壁部２６は、図６〜８に示すように、下端側を後方に向けるように上下方向に対して僅かに傾斜して、配置されている。また、この後側壁部２６は、エアバッグ１５の膨張完了時の前後方向に沿った横断面において、左右方向に略沿うように配置されている。また、後側壁部２６における左右の中央（中心線ＣＬ）より左側の領域には、エアバッグ１５の膨張完了時に、後方に突出するように膨張する突出膨張部２９が、配置されている（図９参照）。詳細には、突出膨張部２９は、後側壁部２６において、膨張完了時の左上側の部位に形成されるもので、エアバッグ１５の膨張完了時に、助手席ＰＳに着座した乗員ＭＰの頭部ＭＨの左斜め前方となる位置に、配置されることとなる（図１７，１９のＡ参照）。

突出膨張部２９は、膨張完了時の前端側で、本体膨張部１７と連通されて、この前端側の連通部３０を経て、本体膨張部１７から内部に膨張用ガスを流入させる構成であり（図９参照）、上下両側で略左右方向に沿って配置される上壁部２９ａ，下壁部２９ｂと、左右両側で略前後方向に沿って配置される左壁部２９ｃ，右壁部２９ｄと、後側において略上下方向に沿って配置される後壁部２９ｅと、を備えている。実施形態の場合、左壁部２９ｃは、本体膨張部１７における周壁部１８の左壁部１８ｃから連なるように、構成されている（図９参照）。

突出膨張部２９は、エアバッグ１５の膨張完了時における前後方向に沿った横断面において、取付中心Ｃを通る前後方向に沿った中心線ＣＬよりも左側（運転席ＤＳ側）の領域に、形成されるもので（図９参照）、実施形態の場合、膨張完了時の左右方向側の幅寸法を、本体膨張部１７の膨張完了時の左右方向側の幅寸法の２／５程度に設定されている。また、突出膨張部２９は、膨張完了時の上下方向側の幅寸法を、車両Ｖの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨを的確に保護可能な寸法に、設定されている。具体的には、突出膨張部２９は、上下方向側の幅寸法Ｌ２を、後述する拘束用凹部３５の上下方向側の長さ寸法Ｌ１（図７参照）より大きく設定されるとともに、本体膨張部１７における後側壁部２６近傍の部位の膨張完了時の上下方向側の幅寸法の３／５程度に、設定されている。また、実施形態の場合、この突出膨張部２９は、エアバッグ１５の膨張完了時に、膨張を完了させたステアリングホイール用エアバッグ１０４よりも後方に突出して、配置されることとなる（図２の二点鎖線参照）。

そして、実施形態のエアバッグ１５では、突出膨張部２９と、本体膨張部１７における後側壁部２６と、が、エアバッグ１５の膨張完了時に乗員ＭＰを保護可能な乗員保護部３２を構成している。乗員保護部３２は、車両Ｖの前突時に前進移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨを保護可能な前突用拘束面３３と、車両Ｖの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨを保護可能な斜突用拘束面３４と、を備える構成とされており、また、前突用拘束面３３と斜突用拘束面３４との間には、乗員ＭＰの頭部ＭＨを進入させて拘束させるための拘束用凹部３５が、形成されている。

実施形態の場合、前突用拘束面３３は、後側壁部２６の上側の領域から構成されるもので、膨張完了時のエアバッグ１５において、突出膨張部２９の右側に配置される領域から、構成されている。すなわち、実施形態の場合、前突用拘束面３３は、取付中心Ｃを通る前後方向に沿った中心線ＣＬを超えて左側（運転席ＤＳ側）に延びる領域を備えて、前突時に前進移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨを支障なく保護可能に構成されている。この前突用拘束面３３は、実施形態の場合、エアバッグ１５の膨張完了時に、前後方向に略沿った横断面において、中心線ＣＬ上となる左右の中央付近を前方側に向かって僅かに凹ませるように、構成されている（図９参照）。

斜突用拘束面３４は、突出膨張部２９の右壁部２９ｄから構成されている。すなわち、実施形態のエアバッグ１５では、斜突用拘束面３４は、前突用拘束面３３の運転席ＤＳ側となる左側のみに、配置されている。実施形態の場合、斜突用拘束面３４は、エアバッグ１５の膨張完了時に、前後方向に略沿うように、配置される。また、実施形態のエアバッグ１５において、後側壁部２６における下側の領域は、前突時に前進移動する乗員ＭＰが頭部ＭＨを乗員保護部３２に拘束された際に、主に、乗員ＭＰの胸部を受け止めることとなる。

前突用拘束面３３と斜突用拘束面３４との間に形成される拘束用凹部３５は、乗員ＭＰの頭部ＭＨを進入させて拘束するためのものであり、実施形態の場合、図４，５，１２に示すように、突出膨張部２９の右側の領域と、本体膨張部１７における後側壁部２６と、の境界部位に、上下方向に略沿うように形成されるとともに、図７，９に示すように、後端３５ｂ側を開口させて、ポケット状に前方に凹む構成とされている。換言すれば、拘束用凹部３５は、上下両側を閉塞されて構成されている。詳細には、拘束用凹部３５は、左右方向側から見て、上下に幅広とした略長方形状の左側壁３７と右側壁３８との上縁３７ａ，３８ａ相互、下縁３７ｂ，３８ｂ相互、前縁３７ｃ，３８ｃ相互を、それぞれ、結合（縫着）させることにより、後端３５ｂ側を開口させたポケット状に、構成されている（図７，９参照）。すなわち、拘束用凹部３５は、前端３５ａ側（凹みの先端側）にかけて、幅寸法を一定として、構成されている。そして、この拘束用凹部３５は、上下方向側の長さ寸法（開口３６の開口幅寸法）Ｌ１（図７参照）を、乗員ＭＰの頭部ＭＨを円滑に進入させることが可能な寸法に、設定されている。具体的には、拘束用凹部３５の上下方向側の長さ寸法（開口３６の開口幅寸法）Ｌ１は、突出膨張部２９の前端側（元部側）の部位の上下方向側の幅寸法Ｌ２（図７参照）より小さく設定されて、４００ｍｍ程度に、設定されている。また、拘束用凹部３５の前後方向側の幅寸法（深さ）Ｗ１（図７参照）は、乗員ＭＰの頭部ＭＨの前側の領域を進入可能な寸法に設定されており、具体的には、５０〜１００ｍｍ程度に設定されている。この拘束用凹部３５は、突出膨張部２９と上下の中心を略一致させるようにして、配置されており、換言すれば、突出膨張部２９は、拘束用凹部３５の上縁３５ｃ側と下縁３５ｄ側とに、それぞれ、上下の外方に突出する凹まない縁領域２９ｆ，２９ｇを、有する構成とされている（図７，１２参照）。突出膨張部２９におけるこの縁領域２９ｆ，２９ｇは、拘束用凹部３５の上側と下側とにおいて、本体膨張部１７の後側壁部２６と連結される構成である。すなわち、この縁領域２９ｆ，２９ｇは、拘束用凹部３５の上縁３５ｃ側と下縁３５ｄ側とに形成されて、それぞれ、突出膨張部２９と後側壁部２６と（前突用拘束面３３と斜突用拘束面３４と）を連結する連結部３９，３９を、構成している（図７，１１，１２参照）。

また、実施形態のエアバッグ１５では、内部に、拘束用凹部３５の凹みの先端側（前端３５ａ側）と、本体膨張部１７の前縁側（具体的には、実施形態の場合、左前縁１７ａ側）とを連結する規制テザー４８が、配設されており、拘束用凹部３５は、エアバッグの１５の膨張完了時に、この規制テザー４８によって、斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨの移動方向Ｄ（図１８参照）に略沿って配置される構成である（図９，１７参照）。具体的には、実施形態では、拘束用凹部３５は、前後方向（取付中心Ｃを通る前後方向に沿った中心線ＣＬ）に対する傾斜角度θ（図９参照）を、２０°前後（１５〜２５°程度）として、斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨの移動方向Ｄに略沿うように、前後方向に傾斜して、配置される。また、実施形態の場合、拘束用凹部３５は、図７に示すように、凹みの先端側（前端３５ａ側）の上下の中央付近の部位を、規制テザー４８に連結されるもので、エアバッグ１５の膨張完了時に、規制テザー４８に牽引されて、左側壁３７と右側壁３８とを略全域にわたって接触されるように、後端３５ｂ側の開口３６の口開きを抑制された状態で、突出膨張部２９の右壁部２９ｄから連なって前方に凹むように、配置される。

バッグ本体１６内には、実施形態の場合、図３〜１１に示すように、テザー４１，４５，４６，４７，４８，５１，５３が、配置されている。具体的には、バッグ本体１６内には、本体膨張部１７の領域内に配置される前後テザー４１と、本体膨張部１７の領域内に配置される２つの上下テザー４５，４６と、突出膨張部２９の前端側における連通部３０付近に配置される規制テザー４７と、本体膨張部１７の領域内に配置されて拘束用凹部３５の向きを規制する規制テザー４８と、突出膨張部２９の領域内に配置される２つの左右テザー５１，５３と、が、配置されている。

前後テザー４１は、実施形態の場合、図９に示すように、エアバッグ１５の膨張完了時に、ガス流入口２１の中心（取付中心Ｃ）を通る前後方向に沿った中心線ＣＬ上に位置するように配置されるもので、ガス流入口２１の周縁から延びる前側部位４２と、後側壁部２６側から延びる後側部位４３と、を連結させるようにして、構成されている（図６，９参照）。

前側部位４２は、ガス流入口２１から延びるように配置されるとともに、実施形態の場合、図１３に示す前側部位用素材４４を折って構成されるもので、左右対称形として、バッグ本体１６の膨張完了時における外形形状を、前端側を略左右方向に沿わせ、後端側を略上下方向に沿わせるような略三角錐形状に近似した立体形状とされている。実施形態の場合、前側部位４２は、図６，９，１３に示すように、前端側の領域を、バッグ本体１６への連結部４２ａとして、この連結部４２ａにガス流入口２１及び取付孔２２に対応する開口（図符号省略）を配置させて、ガス流入口２１の周縁部位で、全周にわたって、本体膨張部１７における取付部２０の下面側の部位に縫着されている。そして、前側部位４２において、ガス流入口２１から後方に延びる領域が、本体部４２ｂを構成し、この本体部４２ｂの外形形状を、略三角錐形状に近似した立体形状としている（図６，９参照）。本体部４２ｂは、後側部位４３の前端４３ａ側に縫着される後端４２ｃ側の部位の上下の幅寸法を、後側部位４３における前端４３ａ側の部位の上下の幅寸法と、略一致させるように構成されている。

後側部位４３は、シート状として、実施形態の場合、本体膨張部１７における後側壁部２６を構成する後左パネル７１，後右パネル７５の内周縁（右縁７１ｄ，左縁７５ｃ）から延びて、後左パネル７１，後右パネル７５と一体的に構成される延設部位７１ｅ，７５ｅから、構成されている（図６，９，１３参照）。換言すれば、後側部位４３は、二枚重ね状として、それぞれ、後左パネル７１，後右パネル７５と一体的に構成されている。詳細には、実施形態の場合、後側部位４３は、前側部位４２に連結される前端４３ａ側を狭幅として、後端４３ｂ側にかけて上下に拡開されるような略台形状として、構成されている。

この前後テザー４１は、エアバッグ１５の膨張完了時に、後側壁部２６の左右の略中央のガス流入口２１周縁部位からの離隔距離を規制するもので、換言すれば、前突用拘束面３３の左右方向の略中央と、エアバッグ１５（本体膨張部１７）の前端側とを連結して、膨張完了時の前突用拘束面３３の後方への移動を抑制するために、配置されている。そして、実施形態では、後側壁部２６は、この前後テザー４１に牽引されるようにして、エアバッグ１５の膨張完了時に、取付中心Ｃを通る前後方向に沿った中心線ＣＬ上となる位置を、上下の略全域にわたって、僅かに車両前方側に向かって凹ませて、配設されることとなる（図９参照）。

本体膨張部１７内に配置される２つの上下テザー４５，４６は、実施形態の場合、図９に示すように、前後方向側の位置を一致させるようにして、左右方向側で並設されている。具体的には、上下テザー４５，４６は、本体膨張部１７の前後の略中央よりやや前方となる位置において、間に前後テザー４１を挟むようにして、前後テザー４１の左右両側に、配置されている。各上下テザー４５，４６は、それぞれ、上壁部１８ａと下壁部１８ｂとを連結するように、上下方向に略沿って配置される帯状とされている（図３〜６参照）。また、各上下テザー４５，４６は、それぞれ、上下方向側で並設される２枚のテザー用基布４５ａ，４５ｂ，４６ａ，４６ｂを結合させて構成されている。実施形態の場合、これらの上下テザー４５，４６は、幅方向を左右方向に略沿わせるように配置されるもので、左右方向の幅寸法を略同一として、構成されている。これらの上下テザー４５，４６は、エアバッグ１５の膨張完了時に、本体膨張部１７における上壁部１８ａと下壁部１８ｂとの離隔距離を規制して、本体膨張部１７の膨張完了形状を規制するために、配置されている。

突出膨張部２９の連通部３０の部位に配置される規制テザー４７は、連通部３０の左右の略中央となる位置において、上下方向に略沿って配置されている（図９〜１１参照）。詳細には、規制テザー４７は、突出膨張部２９における上壁部２９ａと下壁部２９ｂとの前縁近傍部位を連結するように配置されるもので、外形形状を略帯状として、実施形態の場合、図８に示すように、上下方向側で並設される２枚のテザー用基布４７ａ，４７ｂを結合させて、構成されている。この規制テザー４７は、突出膨張部２９における本体膨張部１７との境界部位付近（連通部３０付近）の上壁部２９ａと下壁部２９ｂとの離隔距離を規制して、突出膨張部２９の膨張完了形状を規制するために、配置されている。

エアバッグ１５の膨張完了時における拘束用凹部３５の向きを規制する規制テザー４８は、実施形態の場合、図９に示すように、本体膨張部１７の領域内において、拘束用凹部３５から左斜め前方に延びるように、配設されている。この規制テザー４８は、拘束用凹部３５の凹みの先端側（前端３５ａ側）と、本体膨張部１７の左前縁１７ａ側とを連結するようにして、エアバッグ１５の膨張完了時において、拘束用凹部３５から連なって延びるように、斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨの移動方向Ｄに略沿って配置される構成である（図９参照）。具体的には、実施形態では、規制テザー４８及び拘束用凹部３５は、上述したごとく、前後方向（取付中心Ｃを通る前後方向に沿った中心線ＣＬ）に対する傾斜角度θ（図９参照）を、２０°前後（１５〜２５°程度）として、前後方向に対して傾斜して、配置される。実施形態では、規制テザー４８は、帯状の１枚のテザー用基布４９（図１３参照）から構成されている。そして、規制テザー４８は、図５，７，９に示すように、このテザー用基布４９を、中間部位で捩るようにして、エアバッグ１５の膨張完了時に、拘束用凹部３５の前端（先端）３５ａ側に連結される後端４８ｂを上下方向に略沿わせ、本体膨張部１７の左前縁１７ａ側に連結される前端４８ａを左右方向に略沿わせるようにして、配置されることとなる。実施形態の場合、規制テザー４８の前端４８ａは、エアバッグ１５の製造時に、上パネル６５，下パネル６６の前縁６５ａ，６６ａの縫合作業時に、共縫いされて、本体膨張部１７の左前縁１７ａ側に連結されている（図８参照）。

突出膨張部２９内に配置される２つの左右テザー５１，５３は、前後方向側で並設されるもので、図９に示すように、それぞれ、突出膨張部２９における右壁部２９ｄと左壁部２９ｃとを連結するように、左右方向に略沿って配置されている。実施形態の場合、図７，９，１２に示すように、前側に配置される左右テザー５１は、右端５１ｂ側を、突出膨張部２９の右壁部２９ｄの前端側であって拘束用凹部３５の開口３６付近となる部位に、連結させ、左端５１ａ側を、突出膨張部２９の左壁部２９ｃにおける前端付近であって、本体膨張部１７と突出膨張部２９との境界部位付近に、連結させて、エアバッグ１５の膨張完了時に、左端５１ａ側を後方に位置させるように、左右方向に対して僅かに傾斜して配置される（図９参照）。後側に配置される左右テザー５３は、右端５３ｂ側を、突出膨張部２９の右壁部２９ｄにおいて、左右テザー５１の右端５１ｂの後側となる位置であって、右壁部２９ｄにおける前後の略中央となる位置に、連結させ、左端５３ａ側を、左右テザー５１の左端５１ａとともに、本体膨張部１７と突出膨張部２９との境界部位付近に連結させて、エアバッグ１５の膨張完了時に、右端５３ｂ側をやや後方に位置させるように、左右方向に対して僅かに傾斜して配置される（図９参照）。実施形態の場合、各左右テザー５１，５３は、それぞれ、左右方向側で並設される２枚のテザー用基布５２Ｌ，５２Ｒ，５４Ｌ，５４Ｒを結合させて構成されている。これらの左右テザー５１，５３は、幅方向を上下方向に略沿わせるように配置されるとともに、右端５１ｂ，５３ｂを、前後にずらした状態で、それぞれ、突出膨張部２９の右壁部２９ｄに連結させていることから、エアバッグ１５の膨張完了時の右壁部２９ｄにおける前半分程度の領域を、前後上下に広い範囲で規制することができて（図４，１２参照）、エアバッグ１５の膨張完了時に、斜突用拘束面３４を構成する右壁部２９ｄを、前後方向に略沿わせるようにして配置させることができる。

バッグ本体１６の膨張完了時の前縁側をケース１２側に連結させるアウタテザー５６は、実施形態の場合、図９に示すように、本体膨張部１７の左前縁１７ａ側からエアバッグ１５の外方に延びるように、形成されている。このアウタテザー５６は、本体膨張部１７の左前縁１７ａ側から、ケース１２側となる右斜め前方に向かって延びるように、バッグ本体１６の下面側に配置されるもので、先端５８側を、エアバッグ１５をケース１２に取り付けるリテーナ９を利用して、エアバッグ１５の取付部２０とともに、ケース１２側に固定される構成である。詳細には、アウタテザー５６は、バッグ本体１６の前縁側に連結される元部端５７を、本体膨張部１７の左前縁１７ａにおける左端側となる左端縁１７ｃ側に、連結させている。実施形態では、アウタテザー５６の元部端５７は、規制テザー４８の前端４８ａの近傍となる左側、換言すれば、ケース１２から離れた側において、隣接して、配置されている。このアウタテザー５６も、規制テザー４８と同様に、元部端５７を、エアバッグ１５の製造時に、上パネル６５，下パネル６６の前縁６５ａ，６６ａの縫合作業時に、共縫いされて、本体膨張部１７の左端縁１７ｃ側に連結されている。アウタテザー５６の先端５８側には、インフレーター８の本体部８ａを挿通可能に略半円形状に切り欠かれた凹部５８ａと、リテーナ９のボルト９ａを挿通可能な２つの挿通孔５８ｂ，５８ｂと、が、形成されている。このアウタテザー５６は、本体膨張部１７の左前端側となる左端縁１７ｃ側とケース１２とを連結することにより、ケース１２から後左方に向かって大きく突出するように展開するエアバッグ１５（バッグ本体１６）を、後方への過度の突出を抑制して、安定して膨張させるために、配置されている。

バッグ本体１６は、所定形状の基布の周縁相互を結合させて袋状に構成されるもので、実施形態の場合、図１３，１４に示すように、膨張完了時に上側に配置される上パネル６５、膨張完了時に下側に配置される下パネル６６、膨張完了時に左側に配置される左パネル６７、膨張完了時に右側に配置される右パネル７０、膨張完了時に後側に配置される後左パネル７１，後右パネル７５、突出膨張部２９の上側から後側を経て下側にかけての部位を構成する突出部用メインパネル７６、突出膨張部２９の右側の部位を構成する突出部用右パネル８１、の８枚の基布と、バッグ本体１６における取付部２０の部位を補強する２枚の補強布８５，８６と、ガス流入口２１の周縁を補強する１枚の補強布８７と、ガス流入口２１の周縁部位を保護する１枚の保護布８８と、突出膨張部２９と本体膨張部１７との境界部位付近を補強する補強パッチ８９と、から、構成されている。

上パネル６５は、膨張完了時の本体膨張部１７における上壁部１８ａの部位を構成するもので、下パネル６６は、膨張完了時の本体膨張部１７における下壁部１８ｂの部位を構成している。上パネル６５と下パネル６６とは、それぞれ、略四角形状とされている。

左パネル６７は、膨張完了時の本体膨張部１７における左壁部１８ｃから突出膨張部２９の左壁部２９ｃにかけての部位を、構成するもので、図１４に示すように、本体膨張部１７の左壁部１８ｃを構成する略三角形状の本体部６８の後上端側に、突出膨張部２９の左壁部２９ｃを構成する略長方形状の突出部６９を、連結させて構成されている。右パネル７０は、膨張完了時の本体膨張部１７における右壁部１８ｄの部位を構成するもので、外形形状を略三角形状とされている。

後左パネル７１，後右パネル７５は、膨張完了時の本体膨張部１７における後側壁部２６の部位を、左右で分割するように構成されるもので、実施形態の場合、後左パネル７１は、後側壁部２６において、取付中心Ｃを通る前後方向に沿った中心線ＣＬから左側の領域を構成し、後右パネル７５は、後側壁部２６において、中心線ＣＬから右側の領域を構成している。後左パネル７１は、突出膨張部２９を連通させるように、左上側の領域を切り欠かれたような形状とされ、この切欠凹部７２の領域に、拘束用凹部３５の右側壁３８を構成する凹部用部位７３を、配設させて構成されている（図１４参照）。この凹部用部位７３は、外形形状を、長手方向を上下方向に沿わせた略長方形状とされて、平らに展開した状態の後左パネル７１において、切欠凹部７２における右縁７２ｂから左方に突出するように、形成されている。詳細には、この凹部用部位７３は、上下方向側の幅寸法を、切欠凹部７２の上下方向側の幅寸法（右縁７２ｂの長さ寸法）より若干小さく設定されて、上下の中心を、切欠凹部７２の上下の中心より下方に位置させて、下縁７３ｂを、切欠凹部７２の下縁７２ａに近接させるように、構成されている。また、後左パネル７１，後右パネル７５の内周縁（右縁７１ｄ，左縁７５ｃ）側には、前後テザー４１の後側部位４３を構成する延設部７１ｅ，７５ｅが、それぞれ、形成されている。

突出部用メインパネル７６は、膨張完了時の突出膨張部２９において、上壁部２９ａの部位を構成する上壁用部位７７と、後壁部２９ｅの部位を構成する後壁用部位７８と、下壁部２９ｂの部位を構成する下壁用部位７９と、を備える構成であり、この上壁用部位７７，後壁用部位７８，下壁用部位７９を直列的に並べた略帯状として構成されている。詳細には、実施形態の場合、上壁用部位７７と下壁用部位７９とは、後壁用部位７８側（平らに展開した状態における上下方向の中央側であり、エアバッグ１５の膨張完了時の後端側）から、後壁用部位７８から離隔する側（平らに展開した状態における上下方向の端縁側であり、エアバッグ１５の膨張完了時の前端側）にかけて、全体を左方に向けるように、上下方向（前後方向）に対して傾斜して、形成されている（図１４参照）。

突出部用右パネル８１は、膨張完了時の突出膨張部２９における右壁部２９ｄの部位を構成するもので、外形形状を、後縁８１ｃ側にかけて僅かに狭幅とされる略台形状とされている。また、突出部用右パネル８１は、前縁８１ｄ側に、拘束用凹部３５の左側壁３７を構成する凹部用部位８２を、配設させている。凹部用部位８２は、外形形状を、略長方形状として、突出部用右パネル８１の前縁８１ｄから突出するように、形成されるもので、後左パネル７１に形成される凹部用部位７３と、外形形状を略同一とされている（図１４参照）。詳細には、凹部用部位８２は、上下方向側の幅寸法を、突出部用右パネル８１の前縁８１ｄの上下方向側の幅寸法より若干小さく設定されて、上下の中心を、突出部用右パネル８１の上下の中心と略一致させるように構成されている。すなわち、突出部用右パネル８１の前縁８１ｄは、凹部用部位８２の上側と下側とにそれぞれ延びる上側部位８１ｄａと下側部位８１ｄｂとを備える構成である。実施形態では、上側部位８１ｄａは、後左パネル７１における切欠凹部７２の右縁７２ｂに結合されることとなり、下側部位８１ｄｂは、後左パネル７１において、切欠凹部７２の角部の周縁となる角部周縁部７４に、結合されることとなる。この角部周縁部７４は、図７，１２に示すように、略四角形状の別体の補強パッチ８９によって、補強されている。補強パッチ８９は、本体膨張部１７と突出膨張部２９との境界部位付近、詳細には、突出膨張部２９の右前下端側の角部付近を本体膨張部１７に結合させている部位付近を補強するために、配設されている。そして、実施形態のエアバッグ１５では、この突出部用右パネル８１の上側部位８１ｄａ，下側部位８１ｄｂを、後左パネル７１に結合させている結合部位付近（突出膨張部２９における縁領域２９ｆ，２９ｇ付近の部位）が、拘束用凹部３５の上縁３５ｃ側と下縁３５ｄ側とにおいて、前突用拘束面３３と斜突用拘束面３４とを連結する連結部３９Ｕ，３９Ｄを、形成している（図１２参照）。詳細には、下側の連結部３９Ｄは、補強パッチ８９を当てられている領域（角部周縁部７４と補強パッチ８９とを縫着させている縫合部位７４ａ）内に進入するように、形成されている。

バッグ本体１６の取付部２０を補強する補強布８５，８６は、外形形状を、各上パネル６５，下パネル６６の前縁側の領域に対応させた略台形状として、それぞれ、１枚ずつ配置されている（図１３参照）。ガス流入口２１の周縁部位を補強する補強布８７は、外形形状を略円形状とされている。保護布８８は、外形形状を略長方形状として、ガス流入口２１の周縁に配置される縫合部位（具体的には、上パネル６５，下パネル６６の前縁６５ａ，６６ａ相互を縫着させる縫合部位（図符号省略））の内周面側を覆って、この縫合部位を、膨張用ガスから保護可能に、構成されている。

実施形態では、バッグ本体１６を構成する上パネル６５，下パネル６６，左パネル６７，右パネル７０，後左パネル７１，後右パネル７５，突出部用メインパネル７６，突出部用右パネル８１，補強布８５，８６，８７，保護布８８，補強パッチ８９、前後テザー４１の前側部位４２を構成する前側部位用素材４４、上下テザー４５，４６を構成するテザー用基布４５ａ，４５ｂ，４６ａ，４６ｂ、規制テザー４７を構成するテザー用基布４７ａ，４７ｂ、規制テザー４８を構成するテザー用基布４９、左右テザー５１，５３を構成するテザー用基布５２Ｌ，５２Ｒ，５４Ｌ，５４Ｒ、及び、アウタテザー５６は、それぞれ、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる可撓性を有した織布から形成されている。

そして、実施形態のバッグ本体１６は、図３〜１１に示すように、上パネル６５，下パネル６６，左パネル６７，右パネル７０，後左パネル７１，後右パネル７５，突出部用メインパネル７６，突出部用右パネル８１の対応する縁部相互を、縫合糸を用いて縫着（結合）させることにより、袋状とされている。具体的には、上パネル６５の前縁６５ａは、下パネル６６の前縁６６ａと結合され、上パネル６５の後縁６５ｂは、突出部用メインパネル７６における上壁用部位７７の前縁７７ａ、及び、後左パネル７１，後右パネル７５の上縁７１ａ，７５ａと、結合される。上パネル６５の左縁６５ｃは、左パネル６７における本体部６８の上縁６８ａと結合され、上パネル６５の右縁６５ｄは、右パネル７０の上縁７０ａと結合される。下パネル６６の後縁６６ｂは、後左パネル７１，後右パネル７５の下縁７１ｂ，７５ｂと結合され、下パネル６６の左縁６６ｃは、左パネル６７における本体部６８の下縁６８ｂと結合され、下パネル６６の右縁６６ｄは、右パネル７０の下縁７０ｂと結合される。左パネル６７における本体部６８の後縁６８ｃは、後左パネル７１の左縁７１ｃと結合される。左パネル６７における突出部６９の上縁６９ａは、突出部用メインパネル７６における上壁用部位７７の左縁７７ｂと結合され、後縁６９ｃは、後壁用部位７８の左縁７８ａと結合され、下縁６９ｂは、下壁用部位７９の左縁７９ｂと結合される。右パネル７０の後縁７０ｃは、後右パネル７５の右縁７５ｄと結合される。後左パネル７１の右縁（内周縁）７１ｄは、後右パネル７５の左縁（内周縁）７５ｃと結合される。後左パネル７１における切欠凹部７２の下縁７２ａは、突出部用メインパネル７６の下壁用部位７９の前縁７９ａと結合される。後左パネル７１における切欠凹部７２の右縁７２ｂは、突出部用右パネル８１の前縁８１ｄにおける上側部位８１ｄａと結合される。後左パネル７１における凹部用部位７３の上縁７３ａ，下縁７３ｂ，前縁７３ｃは、それぞれ、突出部用右パネル８１における凹部用部位８２の上縁８２ａ，下縁８２ｂ，前縁８２ｃと結合される。突出部用メインパネル７６における上壁用部位７７の右縁７７ｃ，後壁用部位７８の右縁７８ｂ，下壁用部位７９の右縁７９ｃは、それぞれ、突出部用右パネル８１の上縁８１ａ，後縁８１ｃ，下縁８１ｂと結合される。突出部用右パネル８１における前縁８１ｄの下側部位８１ｄｂは、上述したごとく、後左パネル７１において、切欠凹部７２の角部の周縁となる角部周縁部７４に、結合される。

助手席ＰＳの左側の運転席ＤＳの前方に配置されるステアリングホイール１００には、ステアリングホイール用エアバッグ装置１０３が、搭載されている。ステアリングホイール用エアバッグ装置１０３は、ステアリングホイール１００の中央のボス部１０１に折り畳まれて収納されるステアリングホイール用エアバッグ（以下「エアバッグ」と省略する）１０４と、エアバッグ１０４に膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、を備えている。エアバッグ１０４は、可撓性を有したシート体から形成される袋状として、図示しないインフレーターの作動時に、インフレーターからの膨張用ガスを内部に流入させて、ステアリングホイール１００の上面（後面）を全面にわたって覆うように、膨張する構成である（図２の二点鎖線及び図１９参照）。なお、ステアリングホイール用エアバッグ装置１０３の図示しないインフレーターも、助手席用エアバッグ装置Ｍのインフレーター８と同様に、車両Ｖの前面衝突時と、斜め衝突時と、オフセット衝突と、の際に、作動するように構成されている。

次に、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍの車両Ｖへの搭載について説明をする。まず、リテーナ９をエアバッグ１５の内部に収納させ、エアバッグ１５から突出しているリテーナ９のボルト９ａを、アウタテザー５６の挿通孔５８ｂに挿通させる。そして、この状態から、エアバッグ１５をケース１２内に収納可能に折り畳む。具体的には、まず、本体膨張部１７の後側壁部２６を略平らに展開しつつ、後側壁部２６を、ガス流入口２１側に接近させるようにして、周壁部１８の部位に折目を付けて折り畳み、突出膨張部２９を後側壁部２６に重ねるように折り畳んで、予備折りバッグ９２を、形成する（図１５のＡ参照）。その後、予備折りバッグ９２を、ケース１２内に収納可能に左右方向側の幅寸法を縮小可能な左右縮小折りにより、折り畳む。具体的には、実施形態では、予備折りバッグ９２において、ガス流入口２１の左側となる左側部位９３を、左縁９３ａをガス流入口２１から離れた側（後側壁部２９側）に向けるように、前後方向に略沿った折目を付けて折り返し、さらに、この折り返し部位を、後側壁部２９側で前後方向に略沿った折目を付けて２つ折りし、左側部位９３を折り畳む。同時に、ガス流入口２１の右側となる右側部位９４を、右縁９４ａをガス流入口２１から離れた側（後側壁部２９側）に向けるように、前後方向に略沿った折目を付けて折り返せば、図１５のＢに示すように、左右縮小折りバッグ９５を形成することができる。次いで、図１６のＡ，Ｂに示すように、左右縮小折りバッグ９５におけるガス流入口２１より後方側となる後側部位９６を、後縁９６ａ側から、ガス流入口２１側に巻くようにロール折りし、このロール折りにより形成されるロール折り部位９７を、ガス流入口２１上に載せ、図１６のＣに示すように、ガス流入口２１より前方側となる前側部位９８を、ロール折り部位９７上に載せるように折り返せば、エアバッグ１５を、ケース１２内に収納可能に前後左右の幅寸法を縮められた状態で、折り畳むことができる。また、この折り畳まれた状態においても、アウタテザー５６は、挿通孔５８ｂからボルト９ａを突出させた状態を維持されている。

このように折り畳んだエアバッグ１５は、周囲を、折り崩れしないように、破断可能な図示しないラッピングシートによりくるむ。次いで、折り畳んだエアバッグ１５を、ケース１２の底壁部１２ａに載置させる。インフレーター８の本体部８ａを、底壁部１２ａの下方から、ケース１２内に挿入させるとともに、底壁部１２ａから下方に突出している各ボルト９ａを、インフレーター８のフランジ部８ｃに挿通させる。その後、インフレーター８のフランジ部８ｃから突出した各ボルト９ａにナット１０を締結させれば、折り畳んだエアバッグ１５とインフレーター８とを、ケース１２に取り付けることができる。また、このとき、アウタテザー５６の先端５８側も、ケース１２に連結させることができる。

そして、車両Ｖに搭載されたインパネ１におけるエアバッグカバー６の連結壁部６ｃに、ケース１２の周壁部１２ｂを係止させ、ケース１２の図示しないブラケットを、車両Ｖのボディ側に固定させれば、助手席用エアバッグ装置Ｍを車両Ｖに搭載することができる。

実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、車両Ｖに搭載した状態で、車両Ｖの前面衝突時、斜め衝突時、若しくは、オフセット衝突時に、インフレーター８のガス吐出口８ｂから膨張用ガスが吐出されれば、エアバッグ１５が、内部に膨張用ガスを流入させて膨張し、エアバッグカバー６の扉部６ａ，６ｂを押し開かせることとなる。そして、エアバッグ１５は、エアバッグカバー６の扉部６ａ，６ｂを押し開いて形成される開口を経て、ケース１２から上方へ突出するとともに、車両後方側に向かって突出しつつ展開膨張して、図１，２の二点鎖線、及び、図１７，１９に示すように、インパネ１の上面２とインパネ１上方のウィンドシールド４との間を塞ぐように、膨張を完了させることとなる。また、このとき、ステアリングホイール用のエアバッグ１０４も、内部に膨張用ガスを流入させて、ステアリングホイール１００の上面（後面）を覆うように、膨張を完了させることとなる（図１９のＡ参照）。

そして、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、乗員保護部３２において、前突用拘束面３３と、前突用拘束面３３から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面３４との間に、乗員ＭＰの頭部ＭＨを進入させて拘束するための拘束用凹部３５が、前方に凹んで形成されている。そのため、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、車両Ｖの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨを、斜突用拘束面３４にガイドさせつつ、拘束用凹部３５内に進入させるようにして、拘束することができる。このとき、乗員ＭＰの頭部ＭＨは、図１８及び図１９のＡに示すように、拘束用凹部３５を左右に押し開きつつ、少なくとも一部を、拘束用凹部３５内に進入させることとなり、拘束用凹部３５の左右方向側で対向する内側面（左側壁３７，右側壁３８）から構成される広い拘束面によって、乗員ＭＰの頭部ＭＨを、前側から、左右両側にかけて、受け止めることができる。

また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、エアバッグ１５内に、拘束用凹部３５の凹みの先端（前端３５ａ）側と、エアバッグ１５の膨張完了時の前縁側（本体膨張部１７の左前縁１７ａ側）と、を連結する規制テザー（テザー）４８が、配設される構成であることから、エアバッグ１５の膨張完了時に、規制テザー４８によって、拘束用凹部３５の凹んだ状態を的確に維持することができ、また、エアバッグ１５の展開膨張時における拘束用凹部３５の前後移動（前後の揺動）も、防止することができて、迅速に拘束用凹部３５を所定位置に配置させることができる。また、この規制テザー４８によって、拘束用凹部３５は、エアバッグ１５の膨張完了時に、斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰの頭部ＭＨの移動方向Ｄに略沿うように、配置される構成であることから（図１７参照）、乗員ＭＰの頭部ＭＨは、図１８に示すように、拘束用凹部３５の凹みの方向に略沿うように、拘束用凹部３５内に進入することとなる。そのため、乗員ＭＰの頭部ＭＨが、拘束用凹部３５の左右の内側面（左側壁３７，右側壁３８）のどちらか一方に大きく干渉することを、抑制され、拘束用凹部３５は、左右の内側面（左側壁３７，右側壁３８）で略均等に、乗員ＭＰの頭部ＭＨを受け止めることが可能となる。その結果、拘束用凹部３５により、左右方向への回転を抑制して、乗員ＭＰの頭部ＭＨを受け止めることができる。

したがって、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、斜め前方に向かって移動する乗員ＭＰを、膨張を完了させたエアバッグ１５によって円滑に保護することができる。また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、車両Ｖの前突時には、前突用拘束面３３によって、乗員ＭＰの頭部ＭＨを受け止めることとなる。

また、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、エアバッグ１５が、先端５８側を収納部位としてのケース１２側に連結されるアウタテザー５６を、備える構成とされ、このアウタテザー５６を、エアバッグ１５の前縁側（本体膨張部１７の左前縁１７ａ側）において、規制テザー４８の前端４８ａ近傍となる位置から延びるように、配設させている構成である。そのため、エアバッグ１５の膨張完了時において、規制テザー４８の前端４８ａ近傍の位置を、アウタテザー５６によって、ケース１２側に牽引させることができることから、エアバッグ１５の展開膨張時に、規制テザー４８自体の前後移動を抑制することができて、エアバッグ１５の展開膨張時における拘束用凹部３５の前後移動（前後の揺動）を、一層的確に抑制することができる。

さらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、エアバッグ１５の内部に、前突用拘束面３３（後側壁部２６）の左右方向の略中央と、エアバッグ１５の前端側（取付部２０側）とを連結して、膨張完了時の前突用拘束面３３の後方への移動を抑制可能な前後テザー４１を、膨張完了時に前後方向に略沿うように、配設させている。そのため、エアバッグ１５の膨張初期に、内部に配置される前後テザー４１によって、前突用拘束面３３を車両後方側に大きく突出させるように展開することを抑制でき、また、この前後テザー４１は、規制テザー４８と協働して、エアバッグ１５全体の展開膨張時の前後方向側への大きな揺動を抑制することができて、膨張完了形状までエアバッグ１５を迅速に膨張させることが可能となる。

さらにまた、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、拘束用凹部３５の上縁３５ｃ側と下縁３５ｄ側とに、前突用拘束面３３と斜突用拘束面３４とを連結する連結部３９（３９Ｕ，３９Ｄ）を配設させている。換言すれば、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、拘束用凹部３５は、上縁３５ｃ側と下縁３５ｄ側とを閉塞され、後端３５ｂ側のみを開口させたポケット状とされている。そのため、エアバッグ１５の膨張完了時において、拘束用凹部３５が、後端３５ｂ側を口開きされることを抑制できて、乗員ＭＰの頭部ＭＨの受け止め時に、頭部ＭＨの前方移動する運動エネルギーを的確に吸収しつつ、頭部ＭＨを拘束用凹部３５内に進入させるようにして、受け止めることができる。なお、このような点を考慮しなければ、拘束用凹部を、上縁側と下縁側とを開口させるような上下方向に沿った略溝状として、構成してもよい。

さらに、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、拘束用凹部３５が、凹みの先端（前端３５ａ）側を規制テザー４８に接続されて、エアバッグ１５の膨張完了時に前方に凹むように形成されるとともに、斜突用拘束面３４を構成する突出膨張部２９の右壁部２９ｄも、左右テザー５１，５３に規制されて、エアバッグ１５の膨張完了時に、前後方向に略沿うように配置されることとなる。特に、実施形態では、前側の左右テザー５１の右端５１ｂは、拘束用凹部３５の開口３６付近に、連結されている。その上、実施形態のエアバッグ１５では、拘束用凹部３５の左側壁３７は、突出膨張部２９の右壁部２９ｄとともに、突出部用右パネル８１から構成されるもので、換言すれば、右壁部２９ｄから連なって形成される。そのため、実施形態のエアバッグ１５では、エアバッグ１５の膨張完了時に、前後方向に略沿うように配置される突出膨張部２９の右壁部２９ｄ（斜突用拘束面３４）から連なって前方に延びるようにして、拘束用凹部３５が配置されることとなり、エアバッグ１５の膨張完了時に、拘束用凹部３５が、後端３５ｂ側の開口３６を口開きされることを極力抑制できる。その結果、実施形態のエアバッグ１５では、膨張完了時に、拘束用凹部３５を、左側壁３７と右側壁３８とを接触させた状態を維持させやすく、乗員ＭＰの頭部ＭＨを受け止めた際に、左側壁３７と右側壁３８とを押し開くように、開口３６から進入する乗員ＭＰの頭部ＭＨの運動エネルギーを的確に吸収することができて、乗員ＭＰの頭部ＭＨを的確に受け止めることができる。なお、エアバッグの膨張完了時の拘束用凹部の開口側の口開きを確実に抑制するために、拘束用凹部の開口周縁に、乗員の頭部の進入時に破断可能な縫合糸を用いてシーム部を設け、このシーム部によって、開口を閉塞させておく構成としてもよい。

なお、実施形態のエアバッグ１５では、突出膨張部２９内に、左壁部２９ｃと右壁部２９ｄとを連結するように左右方向に略沿って配置される２本の左右テザー５１，５３を、前後方向側で並設させているが、突出膨張部２９内に配置される左右テザー１０７として、図２０に示すように、左端１０７ａを左壁部２９ｃ側に連結させ、右前端１０７ｂと右後端１０７ｃとを右壁部２９ｄ側に連結させるように、三又状（略Ｙ字形状）としたものを、使用してもよい。この左右テザー１０７は、三枚のテザー用基布１０８Ａ，１０８Ｂ，１０８Ｃから構成されるもので、左端１０７ａの左壁部２９ｃへの連結位置は、前述のエアバッグ１５における左右テザー５１，５３の左端５１ａ，５３ａの左壁部２９ｃへの連結位置と略一致した位置であり、右前端１０７ｂの右壁部２９ｄへの連結位置は、前述のエアバッグ１５における左右テザー５１の右端５１ｂの右壁部２９ｄへの連結位置と略一致し、右後端１０７ｃの右壁部２９ｄへの連結位置は、前述のエアバッグ１５における左右テザー５３の右端５３ｂの右壁部２９ｄへの連結位置と略一致している。このようなテザー１０７を使用すれば、前述のテザー５１，５３と比較して、基布の使用量を低減させることができて、かつ、前述のテザー５１，５３と同等の作用を得ることができる。

なお、実施形態の助手席用エアバッグ装置Ｍでは、斜突用拘束面３４と拘束用凹部３５とを、前突用拘束面３３の運転席ＤＳ側に配置させていることから、車両Ｖの斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に、助手席ＰＳに着座した乗員ＭＰが、左右方向の中央側でかつ前方となる斜め前方側に向かって移動する場合に、乗員ＭＰの頭部ＭＨを、的確に保護することができる。なお、実施形態では、エアバッグ１５の乗員保護部３２が、斜突用拘束面３４と拘束用凹部３５とを、前突用拘束面３３の運転席ＤＳ側（左側）のみに配置させている構成とされているが、勿論、上記のような点を考慮しなければ、斜突用拘束面と拘束用凹部とを、運転席側には設けず、前突用拘束面の車外側となる右側のみに配置させる構成としてもよく、さらには、斜突用拘束面と拘束用凹部とを、前突用拘束面の左右両側に配置させる構成としてもよい。

１…インストルメントパネル（インパネ）、４…ウィンドシールド、６…エアバッグカバー、８…インフレーター、１２…ケース（収納部位）、１５…エアバッグ、１６…バッグ本体、１７…本体膨張部、２６…後側壁部、２９…突出膨張部、３２…乗員保護部、３３…前突用拘束面、３４…斜突用拘束面、３５…拘束用凹部、３５ａ…前端（先端）、３５ｂ…後端、３６…開口、３７…左側壁、３８…右側壁、４１…前後テザー、４８…規制テザー（テザー）、５６…アウタテザー、ＭＰ…乗員、ＭＨ…頭部、ＰＳ…助手席、Ｖ…車両、Ｍ…助手席用エアバッグ装置。

Claims (2)

1. 助手席に着座した乗員の前方に配置されたインストルメントパネルに設けられる収納部位に折り畳まれて収納され、内部に膨張用ガスを流入させて車両後方側に向かって突出するように膨張し、前記乗員を保護可能に構成されるエアバッグを、備える助手席用エアバッグ装置であって、
   前記エアバッグが、膨張完了時の後面を、前記乗員を保護可能な乗員保護部として構成され、
   該乗員保護部が、
   車両の前突時に前進移動する前記乗員の頭部を保護可能な前突用拘束面と、
   前記車両の斜め衝突時若しくはオフセット衝突時に斜め前方に向かって移動する前記乗員の頭部を保護可能に、前記前突用拘束面の左右の少なくとも一方の側方において、前記前突用拘束面から後方に向かって突出するように形成される斜突用拘束面と、
   を備える構成とされるとともに、
   前記前突用拘束面と前記斜突用拘束面との間に、前記乗員の頭部を進入させて拘束させるための拘束用凹部を、前方に凹ませるようにして、配設させて構成され、
   前記エアバッグの内部に、膨張完了時に、前記拘束用凹部を、斜め前方に向かって移動する前記乗員の頭部の移動方向に略沿って配置可能に、前記拘束用凹部の凹みの先端側と、前記エアバッグの膨張完了時の前縁と、を連結するテザーが、配設され、
   前記エアバッグが、膨張完了時の前縁側から前記エアバッグの外方に延びて、先端側を、前記収納部位側に連結させるアウタテザーを、備える構成とされ、
   前記アウタテザーが、前記エアバッグの前縁側において、前記テザーの前端近傍となる位置から延びるように、配設されることを特徴とする助手席用エアバッグ装置。
2. 前記エアバッグの内部に、前記前突用拘束面の左右方向の略中央と、前記エアバッグの前端側とを連結して、膨張完了時の前記前突用拘束面の後方への移動を抑制可能な前後テザーが、膨張完了時に前後方向に略沿うように、配設されることを特徴とする請求項１に記載の助手席用エアバッグ装置。

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