JP6498657B2 - 水硬性粉体の製造方法 - Google Patents

水硬性粉体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6498657B2
JP6498657B2 JP2016252427A JP2016252427A JP6498657B2 JP 6498657 B2 JP6498657 B2 JP 6498657B2 JP 2016252427 A JP2016252427 A JP 2016252427A JP 2016252427 A JP2016252427 A JP 2016252427A JP 6498657 B2 JP6498657 B2 JP 6498657B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
component
acid
compound
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016252427A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018104235A (ja
Inventor
桂一郎 佐川
桂一郎 佐川
博行 川上
博行 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2016252427A priority Critical patent/JP6498657B2/ja
Publication of JP2018104235A publication Critical patent/JP2018104235A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6498657B2 publication Critical patent/JP6498657B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Disintegrating Or Milling (AREA)

Description

本発明は、粉砕助剤を用いて水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法に関する。
近年、土木建築分野におけるコンクリート構造物の大型化が進み、長大橋梁の橋脚部やアンカー部、高層建築物の基礎、LNGタンクや原子力発電所の底盤など、コンクリートを大量に打設する、いわゆるマスコンクリートの工事が多くなっている。これらマスコクリートは、セメントの水和により発熱する一方、放熱が不十分なため、熱がコンクリート構造物の内部に蓄積され、温度は高くなり、外部との温度差によって温度応力が発生し、それに基づく温度ひび割れが発生する場合がある。
温度ひび割れを防止する方法としては、コンクリートの温度上昇量を低く抑えること、断熱時の温度上昇特性を変化させること、放熱条件を良くすることが考えられる。コンクリートの温度上昇を抑制するため、セメントの水和反応を遅延させるカルボン酸塩やグルコン酸塩あるいはケイフッ化物などの超遅延剤をコンクリート混練物に添加することが行われているが、この方法では、セメントの水和時間を遅延する効果、すなわち凝結時間が伸びる効果が得られるだけで、最終的な温度上昇量や上昇速度は何も添加しないコンクリートと同等か若干小さくなるだけで効果はあまり期待できない。
特許文献1には、グリセリンモノ酢酸エステルと炭素数が3〜8のポリオール(グリセリンモノ酢酸エステルを除く)との存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を経て水硬性粉体を製造することが記載されている。
特許文献2には、多価アルコールと高級脂肪酸のエステル化によって得られる化合物をコンクリート混練物に添加することにより、コンクリートの温度上昇と上昇速度を簡便に抑制するセメント用添加剤が開示されている。
また、特許文献3には、ポリアルキレングリコール、脂肪酸エステル誘導体、アクリル系ポリマー誘導体を配合した水溶性高分子、およびポリカルボン酸塩を含有することを特徴とする高流動コンクリート用混和剤が開示されている。
特開2012−126620号公報 特開平6−171997号公報 特開平10−158046号公報
しかしながら、特許文献2に記載のセメント用添加剤を使用した場合、水和反応が大きく遅延し、凝結および強度発現時間が遅れることによって、工期が長くなるという問題点があることが判明した。
一方、水硬性粉体の製造においても、水硬性化合物の粉砕により得られる水硬性粉体を用いて水硬性組成物を調製する場合、水和発熱上昇速度を、温度ひび割れ防止のために抑制することが望まれる。更に、水硬性粉体の製造において、粉砕により得られる水硬性粉体の同一粉末度を達成する時間を、生産性向上のため、より短縮することが望まれる。
本発明の課題は、水硬性化合物の粉砕性を向上しつつ、水硬性組成物の初期の水和発熱上昇速度、例えば接水から12時間までの水和発熱上昇速度が抑制でき、その後、適切な水和発熱量を生じさせる硬化体を得ることができる水硬性粉体の製造方法を提供することである。
本発明は、下記(A)成分の存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法に関する。
(A)成分:2価以上5価以下の多価アルコールと、炭素数8以上16以下の飽和脂肪酸又は炭素数18の不飽和脂肪酸とのエステル化合物
本発明によれば、水硬性化合物の粉砕性を向上しつつ、水硬性組成物の初期の水和発熱上昇速度、例えば接水から12時間までの水和発熱上昇速度が抑制でき、その後、適切な水和発熱量を生じさせる硬化体を得ることができる水硬性粉体の製造方法が提供される。
温度ひび割れには、水和熱の発生に伴うコンクリート温度の上昇とともに、実構造物においては放熱の影響も加味される。すなわち、水和発熱による温度上昇が緩やかになれば、放熱の影響が相対的に高まり、結果としてコンクリート温度の低減が見込まれることで、温度ひび割れのリスクが低減できる。また水和による発熱量の上昇は、一般に接水から12時間程度までにピークを迎えていることから、この期間の発熱量の上昇を抑制することが、温度ひび割れ低減に重要である。従って、本発明の水硬性粉体の製造方法を用いれば、水硬性組成物の初期の水和発熱上昇速度、例えば接水から12時間までの水和発熱上昇速度が抑制できされるため、水硬性組成物の温度ひび割れを低減できる。
またセメントと水を接触した際、一定期間に限って水和発熱、すなわち水和反応を抑制でき、その後、適切な水和発熱量を生じさせるため、大幅な硬化遅延を起こさない水硬性組成物が提供できる。
<水硬性粉体の製造方法>
本発明の水硬性粉体の製造方法は、(A)成分の存在下において、水硬性化合物を粉砕することに特徴を有し、水硬性化合物の粉砕性を向上しつつ、水硬性組成物の水和発熱上昇速度を抑制する。更に、一定期間に限って水和反応を抑制でき、その後、適切な水和発熱量を生じさせるため、大幅な硬化遅延を起こさない。この機構の詳細は不明であるが、以下の様に推定される。
脂肪酸エステルはセメントペーストの液相中で一部が加水分解し、脂肪酸が生成される。脂肪酸は液相中のカルシウムイオンと反応し、難溶性の脂肪酸カルシウム塩となってセメント粒子表面に析出する。また未分解の脂肪酸エステルは親油性であるため、油性の強い脂肪酸カルシウム塩の表面に配位し、セメント粒子表面に油膜が形成される。この油膜がセメント粒子と水との接触を妨げることによって、セメントの水和発熱が抑制されると考えられる。一方、セメントの水和反応は水和生成物の核生成および核成長によって開始される。本発明の特定の脂肪酸エステル及びそれから得られる加水分解物は核生成・核成長反応を阻害しないため、水和反応を遅延させることなく水和発熱を抑制できるものと推察される。
また、一般的に粉砕効率は、粒子表面に物質を単層吸着させることで得られる性能であるために、添加量が一定の場合、粉砕時に存在させる添加剤は低分子量の物質、かつ粒子表面に拡散しやすい形態が効果的である。(A)成分は、低分子量であり、融点の低い化合物であることから、効率的に粒子表面に単層吸着をすることができると推定される。
本発明の製造方法により得られた粉砕後の水硬性粉体から水硬性組成物を調製した場合、粉砕性が向上するため、同一時間で粉砕した場合、比表面積が向上する。更に、セメント表面に単層吸着することで、12時間後の水硬性組成物の水和発熱量を抑制しつつ、24時間後および72時間後の水和発熱量を維持・向上することができると推定される。すなわち、水硬性組成物の水和発熱上昇速度を抑制することができる。
また(A)成分を粉砕時ではなく混練水に添加する場合、(A)成分が水硬性粉体に作用するためには、水硬性粉体に吸着する必要がある。しかしながら、水−水硬性粉体の吸着平衡が存在するので、水硬性粉体に一定の吸着量を満たすためには必要添加量が多くなる。一方、本発明では、(A)成分を水硬性化合物の粉砕時に存在させることで、上記のような機構により、水硬性化合物に対し非常に少ない量でも水硬性組成物の水和発熱上昇速度の抑制効果が発現するものと推定される。
(A)成分は、2価以上5価以下の多価アルコールと、炭素数8以上16以下の飽和脂肪酸又は炭素数18の不飽和脂肪酸とのエステル化合物である。
2価以上5価以下の多価アルコールとしては、キシリトール(5価)、ソルビタン(4価)、ペンタエリスリトール(4価)、エリスリトール(4価)、ジグリセリン(4価)、グリセリン(3価)、イソソルビド(2価)、エチレングリコール(2価)及びジエチレングリコール(2価)から選ばれる1種以上が挙げられ、加水分解性の観点から、好ましくはソルビタン、グリセリン及びペンタエリスリトールから選ばれる1種以上であり、より好ましくはソルビタン及びグリセリンから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはグリセリンである。
また多価アルコールは、加水分解性およびセメントの反応遅延性の観点から、2価以上、好ましくは3価以上、そして、5価以下、好ましくは4価以下である。
炭素数8以上16以下の飽和脂肪酸又は炭素数18の不飽和脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソラウリン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸から選ばれる1種以上が挙げられ、セメントへの吸着性の観点から、好ましくはカプリル酸、ラウリン酸及びオレイン酸から選ばれる1種以上であり、より好ましくはラウリン酸及びオレイン酸から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはオレイン酸である。
また炭素数8以上16以下の飽和脂肪酸又は炭素数18の不飽和脂肪酸は、セメントへの吸着性の観点から、好ましくは炭素数8以上12以下の飽和脂肪酸又は炭素数18の不飽和脂肪酸であり、より好ましくは炭素数18の不飽和脂肪酸である。
(A)成分であるエステル化合物は、2価以上5価以下の多価アルコールと結合する炭素数8以上16以下の飽和脂肪酸又は炭素数18の不飽和脂肪酸の数が、加水分解性の観点から、1以上、そして、5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。
(A)成分であるエステル化合物は、触媒存在下常法によって得られるが、2価以上5価以下の多価アルコール1モルに対して、炭素数8以上16以下の飽和脂肪酸又は炭素数18の不飽和脂肪酸を、エステル化合物の加水分解性の観点から、好ましくは0.5モル以上、より好ましくは1モル以上、そして、好ましくは5モル以下、より好ましくは3モル以下、更に好ましくは2モル以下でエステル化反応させることによって得られる部分化エステル化合物が好ましい。
また2価以上5価以下の多価アルコールは無水物を用いることが、加水分解時に生成するアルコールのセメントに対する反応遅延性の観点から好ましい。
(A)成分であるエステル化合物のHLBは、セメント表面での油膜形成のしやすさの観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは2.5以上、そして、好ましくは9以下、より好ましくは5以下である。
なお、HLBとは、親水性疎水性バランス(Hydrophile Lipophile Balance)の略であって、化合物が親水性か親油性かを知る指標となるものであり、0〜20の値をとる。HLB値が小さい程、親油性が強いことを示す。本発明において、HLB値の算出はアトラス法の算出法を用いる。アトラス法の算出法は、下記式より算出される。
HLB=20×(1−S/A)
S:エステルのケン化価
A:エステル中の脂肪酸の中和価
(A)成分の存在量は、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物100質量部に対して、水硬性化合物の粉砕性及び水和発熱上昇速度の抑制効果の観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.003質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上、より更に好ましくは0.01質量部以上、そして、水硬性化合物の粉砕性及び粉砕時の添加剤コストの観点から、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、更に好ましくは0.2質量部以下である。
なお(A)成分の存在量は、水硬性化合物を粉砕する工程で存在させる、全量に基づくものであり、具体的には、水硬性化合物の粉砕が終了するまで、更には、後述する目標のブレーン値に到達するまでに存在させる(A)成分の全量に基づくものである。
本発明では、粉砕性向上のため、(A)成分と共に、(B)成分として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、グリセリン、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物、単糖類もしくは二糖類、オキシカルボン酸又はその塩、及び縮合リン酸又はその塩から選ばれる1種以上の化合物を存在させて、水硬性化合物を粉砕することができる。すなわち、(A)成分と(B)成分との存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法が提供される。
(B)成分は、グリセリン、グリセリンのアルキレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール及びトリエタノールアミンから選ばれる1種以上の化合物が好ましく、ジエチレングリコール及びトリエタノールアミンから選ばれる1種以上の化合物がより好ましい。
(B)成分は、2種以上を用いることができ、例えば、2種又は3種を用いることができる。(B)成分を2種以上用いる場合、(B)成分に、少なくともジエチレングリコール又はトリエタノールアミンが含まれていることが好ましい。
ジエチレングリコール又はトリエタノールアミンとしては、市販品を用いることができる。
単糖類としては、ジヒドロキシアセトン、グリセルアルデヒド、エリトルロース、エリトロース、トレオース、リブロース、キシルロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、デオキシリボース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、フコース、フクロース、ラムノース、セドヘプツロースが挙げられる。二糖類としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ツラノース、セロビオースが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、水硬性組成物が硬化するまでの時間を短縮する観点から、スクロース、フルクトース、マルトースが好ましい。単糖類もしくは二糖類は、市販品を用いることができる。
オキシカルボン酸としては、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、没食子酸が挙げられる。これらの中でも、本発明においては、水硬性組成物が硬化するまでの時間を短縮する観点から、グルコン酸、クエン酸が好ましい。オキシカルボン酸の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩が挙げられ、水硬性組成物が硬化するまでの時間を短縮する観点から、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられ、アルカリ土類金属塩としてはカルシウム塩が挙げられ、入手の容易性の観点からナトリウム塩が好ましい。オキシカルボン酸又はその塩は、市販品を用いることができる。
縮合リン酸としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラリン酸、ヘキサメタリン酸が挙げられる。これらの中でも、本発明においては、硬化するまでの時間を短縮する観点から、ヘキサメタリン酸、トリポリリン酸が好ましい。縮合リン酸の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩が挙げられ、水硬性組成物が硬化するまでの時間を短縮する観点から、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩としてはナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられ、アルカリ土類金属塩としてはカルシウム塩が挙げられ、入手の容易性の観点からナトリウム塩が好ましい。縮合リン酸又はその塩は、市販品を用いることができる。
(B)成分の存在量は、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.003質量部以上、更に好ましくは0.005質量部以上、より更に好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下、更に好ましくは0.2質量部以下である。
なお(B)成分の存在量は、水硬性化合物を粉砕する工程で存在させる、全量に基づくものであり、具体的には、水硬性化合物の粉砕が終了するまで、更には、後述する目標のブレーン値に到達するまでに存在させる(B)成分の全量に基づくものである。
(A)成分の存在量と、(B)成分の存在量との質量比((A)成分/(B)成分)は、好ましくは5/95以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは100/0以下、より好ましくは95/5以下、更に好ましくは80/20以下、より更に好ましくは70/30以下である。
(A)成分を存在させて粉砕を行うには、水硬性化合物、例えばクリンカーを含む原料に、(A)成分を添加して行うことが好ましい。添加する方法としては、(A)成分を含有する液状物を、滴下、噴霧等により供給する方法が挙げられる。更に、その他の成分として、前述の(B)成分の他に、消泡剤、水等を用いることができる。(B)成分を用いる場合は、(A)成分と一緒に水硬性化合物に添加することが好ましい。水硬性化合物を含む原料への(A)成分の添加、あるいは、(A)成分とその他の成分、例えば(B)成分の添加は、最終的に使用される全量を一括で添加してもよいし、分割して添加してもよい。また、連続的又は間欠的に添加してもよい。
本発明の水硬性粉体の製造方法では水硬性化合物を粉砕し水硬性粉体を得る。水硬性化合物とは、クリンカーに代表される水と反応して硬化する性質をもつ物質と、フライアッシュや高炉スラグなどに代表される単独では硬化性を有しないが、水やアルカリ物質と反応して硬化する性質をもつ物質と組み合わせると、水を介して相互作用により水和物を形成し硬化する物質の両者をいう。水硬性化合物は、水硬性物質である。水と反応して硬化する性質をもつ物質としては、アルカリ土類金属の酸化物、SiO、Al、Fe、TiO、P、ZnOなどの酸化物が挙げられる。これらは、一般に、常温又は水熱条件下で水和物を形成する。例えば、クリンカーでは、成分として3CaO・SiO(CS:エーライト)、2CaO・SiO(CS:ビーライト)、3CaO・Al(CA:カルシウムアルミネート)、4CaO・Al・Fe(CAF:カルシウムアルミノフェライト)を含んでいる。また、単独では硬化性を有しないが、水やアルカリ物質と反応して硬化する性質をもつ物質と組み合わせると、水を介して相互作用により水和物を形成し硬化する物質としては、例えば、ポゾラン作用のあるもの(フライアッシュ、シリカフューム、火山灰、珪酸白土)や、潜在水硬性のあるもの(高炉スラグ)、CA又はCAFと反応するもの(ライムストーン)などが挙げられる。本発明では、単独では硬化性を有しないが、水やアルカリ物質と反応して硬化する性質をもつ物質と組み合わせると、水を介して相互作用により水和物を形成し硬化する物質を「混合材」と定義する。また、水硬性化合物という場合、単一の水硬性化合物と、複数の異なる水硬性化合物からなる混合物の両方を指すものとする。
水硬性化合物は、水やアルカリ物質と反応して硬化する性質をもつ物質を含有するものが好ましく、更に、水と反応して硬化する性質をもつ物質、なかでもクリンカーと、高炉スラグ、フライアッシュ及びシリカフュームからなる群から選ばれる1種以上の混合材〔以下、混合材(a)という〕とを含有するものが好ましい。混合材(a)の含有量は、短期材齢における強度発現性の観点から、水硬性化合物中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。この含有量の残余は、水と反応して硬化する性質をもつ物質であることが好ましい。従って、前記混合材(a)を含有する水硬性化合物は、クリンカーなどの水と反応して硬化する性質をもつ物質の含有量が、水硬性化合物中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。また、クリンカーなどの水やアルカリ物質と反応して硬化する性質をもつ物質と前記混合材(a)との合計の含有量は、水硬性化合物中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、そして100質量%以下が好ましく、100質量%であってもよい。本発明の製造方法は、混合セメント(例えばJISR 5211〜5213)の製造方法として好適である。
水硬性粉体としてポルトランドセメントを得る場合、例えば、ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、鉄さい等の原料を焼成して得られた水硬性化合物であるクリンカー(セメントクリンカーとも言い、石膏が入っている場合もある。)を、予備粉砕し、適量の石膏を加え、仕上粉砕して、所定の比表面積、例えばブレーン値2500cm/g以上、又はBET比表面積0.8m/g以上の比表面積を有する粉体として製造される。クリンカーと前記混合材とを共に用いて同様に混合材を含有する水硬性粉体を製造することができる。
本発明の水硬性粉体の製造方法では、原料、用途(セメントの強さクラス)等により、適当な粒径の粉体が得られるよう、粉砕の条件を調整すればよい。一般に、水硬性化合物がセメントクリンカーのような水と反応して硬化する性質をもつ物質単独の場合、ブレーン値が、好ましくは2000cm/g以上、より好ましくは2500cm/g以上、更に好ましくは3000cm/g以上、そして、好ましくは5000cm/g以下、より好ましくは4000cm/g以下の粉体となるまで、水硬性化合物の粉砕を行うことが好ましい。また、水硬性化合物がセメントクリンカーのような水と反応して硬化する性質をもつ物質と混合材とを含有する場合、水硬性化合物の密度(比重)が不明でブレーン値の測定が困難となることがある。この場合は、BET比表面積で代用することができる。BET比表面積とは、窒素(N)などの気体粒子を固体粒子に吸着させ、吸着した量から表面積を測定する気体吸着法である。具体的には、圧力Pと吸着量Vとの関係からBET式(Brunauer,Emmet and Teller’s equation)によって、単分子吸着量VMを測定することで、比表面積が求められるものである。セメントクリンカーのような水と反応して硬化する性質をもつ物質と混合材とを含有する水硬性化合物を粉砕する場合、BET比表面積が、好ましくは0.8m/g以上、より好ましくは1.2m/g以上、そして、好ましくは3.0m/g以下、より好ましくは2.5m/g以下の粉体となるまで、水硬性化合物の粉砕を行うことが好ましい。目的の比表面積は、ブレーン値、BET比表面積、何れの場合でも、例えば粉砕時間を調整することにより得ることができる。粉砕時間を長くすると比表面積が大きくなり、短くすると比表面積が小さくなる傾向がある。比表面積に関して、例えば、本発明の製造方法で、粉砕時間を長くして水硬性粉体のブレーン値を大きくすると、水硬性組成物が必要な強度に達するまでの時間をより短縮することができる。
本発明において、水硬性化合物の粉砕に使用される粉砕装置は、特に限定されないが、例えばセメントなどの粉砕で汎用されているボールミルを挙げることができる。該装置の粉砕媒体(粉砕ボール)の材質は、被粉砕物(例えばセメントクリンカーの場合、カルシウムアルミネート)と同等又はそれ以上の硬度を有するものが望ましく、一般に入手可能な市販品では、例えば鋼、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、チタニア、タングステンカーバイド等を挙げることができる。
水硬性組成物中の空気量の増大を抑制する観点から、粉砕時に更に消泡剤を併用することができる。また、消泡剤を、水硬性化合物の粉砕時に存在させることで、得られる水硬性粉体の表面に消泡剤を均一に分布させ、前記抑制効果をより効果的に発現させることもできる。すなわち、(A)成分と消泡剤との存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法により、所望の粒径に到達するまでの時間を短縮することができる。また、(A)成分と、(B)成分と、消泡剤との存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法により、所望の粒径に到達するまでの時間を短縮することができる。すなわち粉砕効率が良く、また、水硬性組成物の空気量の増大を抑制できる。
消泡剤としてはポリアルキレングリコールアルキルエーテル系消泡剤、ポリアルキレングリコールアルキルエステル系消泡剤、ポリアルキレングリコールブロックポリマー系消泡剤、シリコーン系消泡剤が挙げられ、消泡効果の観点から、ポリアルキレングリコールアルキルエステル系消泡剤、又はシリコーン系消泡剤が好ましく、ポリアルキレングリコールアルキルエステル系消泡剤がより好ましい。
消泡剤の存在量は、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物100質量部に対して、消泡性の観点から、好ましくは0.00001質量部以上、より好ましくは0.0001質量部以上、更に好ましくは0.0005質量部以上、より更に好ましくは0.001質量部以上、そして、粉砕性および消泡剤のコストの観点から、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、更に好ましくは1.0質量部以下である。
本発明の水硬性粉体の製造方法において、(A)成分と消泡剤とを混合して添加する場合、(A)成分と消泡剤との質量比((A)成分/消泡剤)は、添加剤コストの観点から、好ましくは70/30以上、より好ましくは80/20以上、更に好ましくは90/10以上、そして、消泡性の観点から、好ましくは99.9999/0.0001以下、より好ましくは99.999/0.001以下、更に好ましくは99.99/0.01以下となるように混合して、水硬性化合物に添加する。
水硬性粉体としては、ポルトランドセメント(JIS R 5210)、高炉セメント(JIS R 5211)、シリカセメント(JISR 5212)、フライアッシュセメント(JIS R 5213)、アルミナセメント等が挙げられ、混合材が一定の割合で混合された、混合セメントが好ましい。
本発明の製造方法により得られた水硬性粉体は、コンクリート構造物やコンクリート製品の材料として用いることができる。本発明の製造方法により得られた水硬性粉体を用いたコンクリートは、接水から一定時間水和発熱速度、すなわち水和反応速度を抑制するので、例えば、本発明の製造方法により得られた水硬性粉体に、接水後の初期材齢強度が低い水硬性粉体(高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、石灰石等)を配合・置換しても、本発明未実施の水硬性粉体を用いた場合と比較して、同等以上の、接水から一定時間水和発熱速度を抑制することが出来る、等の利点を有する。
(A)成分は、水硬性化合物を粉砕して水硬性粉体を製造する際に、液状で又は(A)成分を含む液状物で添加されることが好適である。
(A)成分は、セメント中での拡散のしやすさの観点から、有機溶媒に溶かしてから、水硬性組成物に添加するのが好ましい。
有機溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ブタノール、オクタノール、デカノール、オレイルアルコール、イソプロパノール、イソブタノール、イソペンタノール、2−エチルヘキサノール、イソステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、ブチルトリグリコール、ベンジルアルコール、ジエチルエーテル、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、クロロホルム、アセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン、石油エーテル、パラフィン、植物性脂肪油等が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。有機溶媒は、引火性および(A)成分であるエステル化合物との相溶性の観点から、好ましくはプロピレングリコール、ブチルトリグリコール、パラフィン及び植物性脂肪油から選ばれる1種以上であり、より好ましくはプロピレングリコール、ブチルトリグリコールから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはブチルトリグリコールである。
本発明の水硬性粉体の製造方法において、(A)成分を有機溶媒に溶かして添加する場合、(A)成分と有機溶媒の質量比((A)/有機溶媒)が、有機溶媒と(A)成分であるエステル化合物との相溶性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、そして、(A)成分の溶液粘度の観点から、好ましくは9以下、より好ましくは5以下となるように混合して、水硬性化合物に添加する。
水硬性化合物を粉砕して水硬性粉体を製造する際に、分散剤を水硬性粉体中に均一に混合することにより作業性、あるいは分散剤の効果を向上させる観点から、あらかじめ(A)成分と分散剤とを混合して、添加しても良い。
分散剤は、リグニンスルホン酸系重合体、ポリカルボン酸系重合体、ナフタレン系重合体、メラミン系重合体、及びフェノール系重合体から選ばれる1種以上の分散剤が挙げられ、分散性の観点から、好ましくはリグニンスルホン酸系重合体、ポリカルボン酸系重合体、及びナフタレン系重合体から選ばれる1種以上の分散剤であり、より好ましくはリグニンスルホン酸系重合体、及びポリカルボン酸系重合体から選ばれる1種以上の分散剤である。
ナフタレン系重合体としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(花王株式会社製マイテイ150等)、メラミン系重合体としてはメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物(例えば花王株式会社製マイテイ150−V2)、フェノール系重合体としては、フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(特開昭49−104919号公報に記載の化合物等)、リグニンスルホン酸系重合体としてはリグニンスルホン酸塩(BASF社製ポゾリスNo.70、ボレガード社製ウルトラジンNA、日本製紙ケミカル株式会社製サンエキス、バニレックス、パールレックス等)等を用いることができる。
ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(例えば特開平8−12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。
分散剤の存在量は、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物100質量部に対して、水硬性組成物の作業性の観点から、好ましくは0.00001質量部以上、より好ましくは0.0001質量部以上、更に好ましくは0.0005質量部以上、より更に好ましくは0.001質量部以上、そして、発熱抑制効果と作業性の両立の観点から、好ましくは3.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以下、更に好ましくは1.0質量部以下である。
本発明の水硬性粉体の製造方法において、(A)成分と分散剤とを混合して添加する場合、(A)成分と分散剤との相溶性の観点から、前記有機溶媒と一液化させることが好ましい。
本発明の水硬性粉体の製造方法において、(A)成分と分散剤とを混合して添加する場合、(A)成分と分散剤との質量比((A)成分/分散剤)は、相溶性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、そして、水硬性組成物の作業性の観点から、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7.5以下となるように混合して、水硬性化合物に添加する。
<水硬性化合物の粉砕用添加剤組成物>
また、水硬性化合物の粉砕時の作業性を向上させる観点から、本発明の水硬性粉体の製造方法では、(A)成分を含有する、水硬性化合物の粉砕用添加剤組成物を用いることができる。即ち、本発明は、(A)成分を含有する、水硬性化合物の粉砕用添加剤組成物を提供する。
本発明の水硬性化合物の粉砕用添加剤組成物は、本発明の水硬性粉体の製造方法にて述べた事項を適宜適用することができる。
本発明に係る水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物は、添加操作等の作業性を向上する観点から、形態が液体組成物であることが好ましい。形態を液体組成物とするために、水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物は溶媒を含有することができる。溶媒としては上述した有機溶媒が好ましい。
本発明の水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物中、(A)成分の含有量と有機溶媒の含有量との質量比((A)/有機溶媒)は、有機溶媒と(A)成分であるエステル化合物との相溶性の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、そして、(A)成分の溶液粘度の観点から、好ましくは9以下、より好ましくは5以下である。
本発明の水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物中、(A)成分の含有量は、相溶性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、添加操作等の作業性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
本発明に係る水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物は、(B)成分を含有することができる。
本発明の水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物中、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比((A)成分/(B)成分)は、好ましくは5/95以上、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは100/0以下、より好ましくは95/5以下、更に好ましくは80/20以下、より更に好ましくは70/30以下である。
本発明に係る水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物は、消泡剤を含有することができる。
本発明の水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物中、(A)成分の含有量と消泡剤の含有量との質量比((A)成分/消泡剤)は、添加剤のコストの観点から、好ましくは70/30以上、より好ましくは80/20以上、更に好ましくは90/10以上、そして、消泡性の観点から、好ましくは99.9999/0.0001以下、より好ましくは99.999/0.001以下、更に好ましくは99.99/0.01以下である。
本発明に係る水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物は、分散剤を含有することができる。
本発明の水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物中、(A)成分の含有量と分散剤の含有量との質量比((A)成分/分散剤)は、相溶性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、そして、水硬性組成物の作業性の観点から、好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは7.5以下である。
本発明に係る水硬性粉体の粉砕用添加剤組成物は、水硬性化合物の粉砕時に、(A)成分の量が、前述の存在量になるように水硬性組成物に添加することが好ましい。(B)成分、消泡剤、分散剤を用いる場合も同様である。
<水硬性組成物の製造方法>
本発明の水硬性組成物の製造方法として、以下のものが挙げられる。
本発明の水硬性粉体の製造方法により水硬性粉体を得る工程(1)と、
工程(1)で得られた水硬性粉体と水とを混合して水硬性組成物を得る工程(2)と、
を有する水硬性組成物の製造方法。
この製造方法には、本発明の水硬性粉体の製造方法、水硬性化合物の粉砕用添加剤組成物で述べた事項を、適宜適用することができる。
(1)水硬性化合物
クリンカー、二水石膏を、下記の含有量で混合した水硬性化合物を用いた。
・水硬性化合物:クリンカー95質量%、二水石膏5質量%を混合した。
クリンカー、二水石膏は、下記のものである。
・クリンカー:成分が、CaO:約65%、SiO:約22%、Al:約5%、Fe:約3%、MgO他:約3%(質量基準)となるように、石灰石、粘土、けい石、酸化鉄原料等を組み合わせて焼成したものを、クラッシャー及びグラインダーにより一次粉砕して得た、普通ポルトランドセメント用クリンカー(3.5mmふるい通過物)
・二水石膏:試薬特級、和光純薬工業株式会社製
(2) 添加剤
水硬性化合物を粉砕する際の添加剤として、以下のものを用いた。
(A)成分
・ソルビタンモノオレエート:花王(株)製、HLB4.3、4価の多価アルコールとオレイン酸とのモノエステル化合物
・オレイン酸モノグリセライド:花王(株)製、HLB2.8、3価の多価アルコールとオレイン酸とのモノエステル化合物
(A’)成分((A)成分の比較成分)
・ソルビタンモノステアレート:花王(株)製、HLB4.7、4価の多価アルコールとステアリン酸とのモノエステル化合物
(3) ブレーン値の測定
ブレーン値の測定は、セメントの物理試験方法(JIS R 5201)に定められるブレーン空気透過装置を使用した。この試験での結果の相違は、実機レベルではより大きな差となってあらわれる。ブレーン値が大きいほど粉砕性に優れることを示す。
<実施例及び比較例>
前記水硬性化合物1000gに、表1で示した添加剤を、表1に示した量で添加し、添加剤の存在下で、ボールミルで粉砕して水硬性粉体を製造した。
ボールミルは、株式会社セイワ技研製AXB−15を用い、ステンレスポット容量は18リットル(外径300mm)とし、ステンレスボールは30mmφ(呼び1・3/16)を60個、20mmφ(呼び3/4)を30個の合計90個のボールを使用し、ボールミルの回転数は、40rpmとした。また、30分粉砕後のブレーン値を測定した。結果を表1に示した。表1中、実施例、比較例のブレーン値を、比較例1のブレーン値を基準に、比較例1に対する相対値を示した。比較例1に対する相対値が、100以上の場合、比較例1よりも粉砕効率が高いと言える。
得られた水硬性粉体40gと水20gを1分間混練したセメントペーストを製造し、セメントペースト20gをプラスチックアンプル(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)に入れ、熱流測定装置(TAM Air、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製)にて、20℃条件下におけるセメントの水和発熱量を測定した。
セメントの接水時から12時間後、24時間後、72時間後の発熱量の結果を表1に示した。表2中、比較例1を基準に、各実施例、比較例の発熱量、および比較例1に対する相対値を示した。比較例1に対する相対値が、100以下の場合、比較例1よりも水和に伴う発熱を抑制していると言える。
Figure 0006498657
表1中、比較例1および比較例2に対し、実施例1〜3は、高い粉砕効率を示すことが分かる。更に、実施例3の結果より、実施例1よりも添加量を少なくしても同様の効果が発現することが分かる。
また、比較例1および比較例2に対し、実施例1〜3は、接水時から12時間後までの水和発熱量を抑制するが、接水時から24時間後までの水和発熱量は、比較例1および比較例2と同等になっており、一定期間に限って水和発熱、すなわち水和反応を抑制するため、大幅な硬化遅延を起こさないことが分かる。更に、接水時から72時間後までの水和発熱量では、比較例1および比較例2に対し、実施例1〜3の方が、水和発熱量が増大し、水和反応をより促進していることが分かる。また、実施例3の結果より、実施例1よりも添加量を少なくしても同様の効果が発現することが分かる。

Claims (4)

  1. 下記(A)成分の存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法。
    (A)成分:2価以上5価以下の多価アルコールと、炭素数18の不飽和脂肪酸とのエステル化合物
  2. (A)成分のHLBが1以上9以下である、請求項1に記載の水硬性粉体の製造方法。
  3. (A)成分の存在量が、水硬性化合物100質量部に対して、0.001質量部以上0.5質量部以下である、請求項1又は2に記載の水硬性粉体の製造方法。
  4. 下記(A)成分を含有する、水硬性化合物の粉砕用添加剤組成物。
    (A)成分:2価以上5価以下の多価アルコールと、炭素数18の不飽和脂肪酸とのエステル化合物
JP2016252427A 2016-12-27 2016-12-27 水硬性粉体の製造方法 Active JP6498657B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016252427A JP6498657B2 (ja) 2016-12-27 2016-12-27 水硬性粉体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016252427A JP6498657B2 (ja) 2016-12-27 2016-12-27 水硬性粉体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018104235A JP2018104235A (ja) 2018-07-05
JP6498657B2 true JP6498657B2 (ja) 2019-04-10

Family

ID=62786516

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016252427A Active JP6498657B2 (ja) 2016-12-27 2016-12-27 水硬性粉体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6498657B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59121143A (ja) * 1982-12-28 1984-07-13 住友化学工業株式会社 改質されたセメント組成物
JP2592755B2 (ja) * 1992-11-30 1997-03-19 日本セメント株式会社 発熱温度抑制用セメント添加剤およびコンクリート構造物
JP3850084B2 (ja) * 1996-11-27 2006-11-29 株式会社エヌエムビー 高流動コンクリート用混和剤
JP4314324B2 (ja) * 2004-03-30 2009-08-12 サンノプコ株式会社 粉末界面活性剤
JP5122391B2 (ja) * 2008-07-29 2013-01-16 花王株式会社 水硬性粉体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018104235A (ja) 2018-07-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8506701B2 (en) Method for producing hydraulic powder
JP6371701B2 (ja) 水硬性組成物用添加剤
KR20180009260A (ko) 칼슘 화합물을 포함하는 시멘트 콘크리트용 조강혼합물 및 이의 제조방법
KR101740872B1 (ko) 수경성 조성물
EP2301901A1 (en) Method for producing hydraulic powder
US8821630B2 (en) Carboxylated-carboxylic polyglycerol compositions for use in cementitious compositions
JP5122390B2 (ja) 水硬性粉体の製造方法
JP6498657B2 (ja) 水硬性粉体の製造方法
JP6016686B2 (ja) 水硬性粉体用強度向上剤組成物
JP6371574B2 (ja) 水硬性粉体用強度向上剤組成物
JP5883242B2 (ja) 水硬性粉体の製造方法
JP5811461B2 (ja) プレミックスセメント用粉体状乾燥収縮低減剤
KR20150093938A (ko) 시멘트 클링커 분쇄조제용 조성물
JP5122391B2 (ja) 水硬性粉体の製造方法
JP5883243B2 (ja) 水硬性粉体の製造方法
JP6804289B2 (ja) 水硬性組成物の水和発熱抑制方法
JP5802815B2 (ja) 水硬性粉体の製造方法
JP5666281B2 (ja) 水硬性粉体の製造方法
JP6173155B2 (ja) セメント組成物用収縮低減剤
KR101545475B1 (ko) 시멘트 클링커 분쇄 활성화 화합물을 포함하는 시멘트 클링커 분쇄조제용 조성물
KR102259056B1 (ko) 디아민 화합물과 알루미네이트계 화합물을 포함하는 광물 미분쇄용 분쇄조제 조성물 및 이를 사용한 광물의 미분쇄방법
JP2013234086A (ja) セメント組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181211

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190109

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190313

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6498657

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250