JP6497827B1 - エイコサノイド産生促進剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】マクロファージからのPPARγ活性化物質の産生を促進する医療組成物を提供する。【解決手段】間葉系幹細胞の分泌物を有効成分として含む,マクロファージからのエイコサノイドの産生を促進するためのエイコサノイド産生促進剤であって,エイコサノイドが,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2,及び,15−ハイドロキシエイコサテトラエノイックアシッド(15−HETE)のいずれか又は両方である剤。【選択図】図1A

Description

本発明は,マクロファージからのエイコサノイドの産生を促進する医薬組成物に関する。
マクロファージにおけるPPARγの活性化は,リポポリサッカライド(LPS)やインターフェロンγ(INFγ)処理によるマクロファージの炎症型表現系への変換を抑制する(非特許文献1)。生体防御に必要な一酸化窒素を産生するiNOS遺伝子は,過剰に発現すると炎症反応を悪化させる要因となるが,PPARγの活性化リガンドである15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2)は,iNOS遺伝子の転写レベルと,その遺伝子発現を制御するNFκBの活性化レベルを,顕著に抑制する。
さらに,マクロファージにおけるPPARγの活性化は,筋肉の再生に寄与することが報告されている。PPARγの欠損は骨格筋の再生不良につながり,逆にリガンドで活性化されたPPARγは,トランスフォーミング増殖因子(TGF)ファミリーの増殖分化因子3(GDF3)の遺伝子発現を促進し,GDF3は筋前駆細胞の分裂を促進することにより,筋肉の再生を促進することが報告されている(非特許文献2)。
また,マクロファージにおけるPPARγ欠損動物は,抗炎症型マクロファージ(M2型)への分化が進まず,高脂肪食摂取マウスにおけるグルコース負荷時の耐糖能低下や,インスリン感受性の低下が示されている(非特許文献3)。
特許第3518547号公報(特許文献1)には,免疫抑制剤としてのエイコサノイドが記載されている。
特許第5950428号公報(特許文献2)には,PPARγリガンドの例として,15−デオキシ−Δ12,14−プロスタグランジンJ2,ニトロリノール酸,酸化LDL,長鎖脂肪酸,エイコサノイド,チアゾリジンジオン系薬剤,及び非ステロイド性抗炎症薬が記載されている。
特許第3518547号公報 特許第5950428号公報
Nature. 1998 Jan 1;391(6662):79−82. Immunity. 2016 Nov 15;45(5):1038−1051. Nature. 2007 Jun 28;447(7148):1116−1120.
上記の背景から,マクロファージにおけるPPARγの活性化させることができる医薬組成物が望まれた。
そこで,本発明は,マクロファージからのPPARγ活性化物質の産生を促進する医療組成物を提供することを目的とする。
本発明は,基本的には,間葉系幹細胞の培養上清といった間葉系幹細胞の分泌物を含むものが,マクロファージからのエイコサノイドの産生を促進し,エイコサノイドがPPARγ活性化リガンドであるから,PPARγを活性化させるという知見に基づく。
本明細書の第1の側面は,マクロファージからのエイコサノイドの産生を促進するためのエイコサノイド産生促進剤に関する。この剤は,間葉系幹細胞の分泌物を有効成分として含む。
間葉系幹細胞は皮下脂肪組織または臍帯組織に由来する間葉系幹細胞であることが好ましい。
エイコサノイドが,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2),及び,15−ハイドロキシエイコサテトラエノイックアシッド(15−HETE)のいずれか又は両方であることが好ましい。
間葉系幹細胞の分泌物の例は,間葉系幹細胞の培養上清,又は間葉系幹細胞の培養上清の成分であり,無血清培地を用いた培養上清であることが好ましい。
この剤は,IL−4を含有しないことが好ましい。IL−4を含有しないとは,剤がIL−4を全く含まないものの他,生理活性を発現する量のIL−4を含まないものを含む。
この剤は,動脈硬化,又は糖尿病の治療剤であることが好ましい。
この剤は,関節リウマチの治療剤であることが好ましい。
この剤は,前立腺癌,脳梗塞,又は脳機能障害の予防剤又は治療剤であることが好ましい。
この剤は,疼痛の予防剤又は治療剤であることが好ましい。
本発明によれば,マクロファージからのPPARγ活性化物質の産生を促進する医療組成物を提供できる。
図1Aは,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2の定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。 図1Bは,15−HETEの定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。 図2Aは,培養後の細胞を示す図面に代わる写真である。 図2Bは,定量RT−PCRの結果を示す図面に代わるグラフである。 図3は,CD36染色後の蛍光顕微鏡写真を示す図面に代わる写真である。図中Merge(マージ)は,位相差写真とCD36染色の蛍光写真の重ね合わせた画像を示す。 図4は,IL−4の発現量を示すELISA定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。
本発明は,基本的には,間葉系幹細胞の培養上清といった間葉系幹細胞の分泌物を含むものが,マクロファージからのエイコサノイドの産生を促進し,エイコサノイドがPPARγ活性化リガンドであるから,PPARγを活性化させるという知見に基づく。
PPARγは,リガンド結合により活性化する転写活性化因子であり,脂肪細胞への分化を促進するマスターレギュレーターとしての機能が最も良く知られるところである。一方,マクロファージにおけるPPARγは,医療上重要な作用をもたらす因子としても重要である。
PPARγの内因性活性化リガンドとしては,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2),15−ハイドロキシエイコサテトラエノイックアシッド(15−HETE),プロスタグランジンD2(PGD2),セロトニン代謝物の5−ハイドロキシインドール酢酸(5−HIAA),5−メトキシインドール酢酸(5−MIA)などが存在し,合成活性化リガンドとして,チアゾリジン系のロジグリタゾン,ピオグリタゾン,NSAIDs系のインドメタシンなどが知られる。複数の物質がPPARγを活性化するが,PPARγの結合部位によって,完全な作用を有するフルアゴニストと,部分的な作用を有するパーシャルアゴニストに分類される。
上述のように,特定の脂肪酸代謝物やエイコサノイドを内因性リガンドとするPPARγであるが,プロスタグランジンE2はPPARγのリガンドとして機能しない。
また,糖尿病改善薬として販売されるPPARγ活性化剤であるピオグリタゾン(15mg錠)は,最高血中濃度到達時間(T−max)が2.1±0.9時間,血中濃度半減期(T−half)が5.3±1.6時間であり,血中濃度の低下を補うために,通常,成人にはピオグリタゾンとして15mg を1日1回投与することになる(医薬品インタビューフォーム 日本薬局方 ピオグリタゾン塩酸塩錠)。さらに,ピオグリタゾンは,心不全患者,重篤な腎障害患者,重篤な肝障害患者等に対して,その使用が禁忌とされており,糖尿病の合併症として腎不全を患う患者に対しては,使用が制限される場合もあった。
本明細書の第1の側面は,マクロファージからのエイコサノイドの産生を促進するためのエイコサノイド産生促進剤に関する。
この剤は,間葉系幹細胞の分泌物を有効成分として含む。間葉系幹細胞の分泌物の例は,培養上清,又は培養上清由来の成分である。間葉系幹細胞は皮下脂肪組織または臍帯組織に由来する間葉系幹細胞であることが好ましい。間葉系幹細胞の分泌物の例は,間葉系幹細胞の培養上清,又は間葉系幹細胞の培養上清の成分であり,無血清培地を用いた培養上清であることが好ましい。この剤は,生理活性を発現する量のIL−4を含有しないことが好ましい。
間葉系幹細胞は抗炎症作用を有する細胞集団であり,細胞性医薬品の開発が進んでいる。間葉系幹細胞と炎症反応の中心的役割を担うマクロファージの間には,密接な機能的相関が存在する。間葉系幹細胞はマクロファージをM1型(炎症型)からM2型(抗炎症型)に変化させ,炎症反応を終息させる。その作用は,間葉系幹細胞から分泌されるタンパク質のC−Cモチーフケモカインリガンド 2(CCL2)と,シアル酸受容体タンパク質ファミリーのSiglec−9や(J Neurosci. 2015 Feb 11;35(6):2452−64.),エイコサノイドのプロスタグランジンE2(PGE2)が担う(Luan B. et. al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Dec 22;112(51):15642−7.)。
上述の通り,PPARγの活性化は,臨床上有益な結果をもたらす場合が多い。また,マクロファージにおけるPPARγの機能は特に重要な1つである。これまでに,マクロファージからのPPARγの内因性リガンドの産生を増強するとして,インターロイキン4(IL−4)の利用が報告されている(Nature.1999 Jul 22;400(6742):378−82.)。しかしながら,インターロイキン4はその作用の他に,IgEの産生促進やアトピー性皮膚炎,アレルギー反応の感受性上昇などの副作用のリスクが存在することから,生体内に作用させる剤としては,現実的には選択は難しい。実際に,インターロイキン4/13受容体に対するモノクローナル抗体は,アトピー性皮膚炎の治療薬として承認されている(添付文書
ヒト型抗IL−4/13受容体モノクローナル抗体 サノフィ株式会社)。
本発明においては,間葉系幹細胞が分泌する成分が,偶然にもマクロファージからのPPARγ活性化リガンドの産生を促進する作用を持つことを新規に発見した。より具体的には,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2),及び,15−ハイドロキシエイコサテトラエノイックアシッド(15−HETE)がそれに該当する。
PPARγリガンドの産生を増加させる剤や方法については,ほとんど知られていない。前述のインターロイキン4は,一部の報告で間葉系幹細胞からIL−4が分泌されたことを示すデータが示されているが(PLoS One. 2013 Sep 12;8(9):e73722.),インターロイキン4は主にマスト細胞や活性化T細胞などから産生される因子であり,間葉系幹細胞においてはその発現が認めらないことが通常である。本発明の間葉系幹細胞由来培養上清にもインターロイキン4は含有されなかった。そのため,インターロイキン4を含有しないことを特徴とする,PPARγ活性化リガンド産生促進剤として機能する間葉系幹細胞由来培養上清として,本発明の新規性は存在する。
本発明の医薬組成物は,そこに含有されるインターロイキン4以外の物質によって,間葉系幹細胞の分泌物がPPARγのリガンド産生を増強する作用を有することを確認した。
PPARγのリガンド産生促進作用を有する間葉系幹細胞の分泌物は,通常,間葉系幹細胞の培養上清として得ることができる。間葉系幹細胞は脂肪組織または臍帯組織に由来するものが望ましいが,間葉系幹細胞を分離する組織は限定されるものではなく,歯髄,羊膜,骨髄または臍帯血から分離された間葉系幹細胞,さらには,胚性幹細胞(ES細胞)から分化誘導された間葉系幹細胞,及び人工多能性幹細胞(iPS細胞)から分化誘導された間葉系幹細胞であっても良い。
また,本発明を効果的に実施するための間葉系幹細胞は,ヒト由来であっても動物由来であっても良い。培養に供する組織は微生物の混入を可能な限り排除し,必要に応じて抗菌剤や抗真菌剤等で除菌または静菌処理を実施しても良い。培養においては,微生物の繁殖が無いように無菌操作で培養される必要がある。
間葉系幹細胞の培養には,一般的な細胞生物学実験等で使用されるフラスコや,酵素を任意に選択することができ,好適には,細胞増殖培地及び培養上清回収培地として,無血清培地が選択される。さらに望ましくは,全ての試薬や培地,フラスコ等について,動物またはヒト由来成分を使用しない製品を選択することができ,医薬組成物としての生物学的安全性を確保することができる。
間葉系幹細胞の培養上清を回収するための間葉系幹細胞の細胞分裂回数(PDL)としては,特に限定されるものではないが,非形質転換細胞においては,PDL0から100が望ましく,さらに好適にはPDL5から20が選択される。これらは用いる培地によって最適値が変化する。形質転換細胞においては,細胞の形質が維持される限り,培養上清の回収を継続することができる。
細胞播種数としては,Tフラスコなどの平面培養で培養上清の回収を実施する場合,100から50,000cells/cm2で細胞は播種され,より好ましくは500から15,000cells/cm2で播種され,最も好適には2,000から6,000cells/cm2で播種される。また,本発明のPPARγリガンド産生促進剤としての培養上清回収のタイミングは,平面培養の場合,細胞増殖率がフラスコ面積の約90%となった時点から20日目までの間に回収することができ,より好適には2日目から5日目に回収される。
また,平面培養以外にも,中空糸培養や,マイクロキャリアを用いた培養によって,培養上清を回収しても良く,間葉系幹細胞が良好に培養される環境であれば,培養方法は限定されるものではない。
ただし,生化学的手法により検出される量のインターロイキン4タンパク質が,生理活性を発現する濃度で間葉系幹細胞の培養上清中に分泌されるいかなる培養方法も取り得てはならない。より具体的には,インターロイキン4の濃度は1pg/mL以下であることが好ましい。
その濃度以上にインターロイキン4が培養上清中に含有されていないことを確認する否定試験は,インターロイキン4の抗体を用いたELISA法やウエスタンブロット法が選択される。その場合,抗体が本質的に有する非特異的反応の特性を十分に考慮した上で,培養上清に対するコントロールサンプルの定量も同時に実施し,それとの結果の妥当な比較により,実施者は慎重に判断をする必要があることに留意する。より具体的に説明すると,抗体は非特異的な抗原への反応を示すことが散見され,特に研究用試薬として販売される抗体にはその傾向がある。抗体ベースの否定試験と合わせて,遺伝子発現解析でインターロイキン4の遺伝子発現がないことを補完的に示すことも有効である。
次に,得られた間葉系幹細胞の分泌物を含む培養上清は,多くの物質が安定である4℃以下の冷蔵または凍結状態で保管されることが望ましい。得られた培養上清は,通常0.1から0.2μmのPES素材のフィルターから選択される無菌処理,ウイルスの除去のためのウイルスクリアランスフィルター,成分濃縮のための限外濾過フィルター等に供しても良い。
そのようにして本発明の実施により得られた医薬組成物としての間葉系幹細胞由来分泌物を含む培養上清は,マクロファージに直接作用させることにより,作用されたマクロファージからの,PPARγリガンド産生を促進させることができる。試験管内においては,培養されたマクロファージに直接,間葉系幹細胞由来培養上清を添加すれば良い。一般的には,1日から3日間の処理により,マクロファージからのPPARγリガンド産生が増強され,マクロファージの培養液中にもPPARγリガンドが回収される。なお,当然のように細胞外へ分泌前のPPARγリガンドも,マクロファージの細胞内から回収することができる。
なお,マクロファージは生体中のあらゆる組織に存在し,骨髄及び血管内においては分化程度の低い単球として,その他の組織においては組織マクロファージとして,肺における肺胞マクロファージ,脳におけるグリア細胞,骨における破骨細胞,腸における腸管マクロファージ,肝臓におけるクッパー細胞,脾臓における辺縁帯マクロファージなどがある。生体内で本発明を作用させる場合については,本発明による医薬組成物を,マクロファージからのPPARγリガンド産生を活性化したい組織に効果的に送達することにより,PPARγリガンドの産生を増強させれば良い。より具体的には,例えば肝臓であれば肝門脈から本発明による剤を投与して用いられても良いし,脳においては経鼻から鼻腔粘膜上皮を介して直接脳に送達して用いられても良い。皮下においては注射や塗布をしてもより。もっとも広く全身性に本医薬組成物を作用させるためには,静脈からの注射が選択され得る。また,それらの送達の方法に応じて適切な医薬組成物の組成を構成してもよい。一例を示すと皮下投与剤として本発明を塗布で用いる際には,皮下への浸透を促進する成分である徐放性医薬品基材(乳酸グリコール酸共重合体:PLGA)などと合わせて,本発明の医薬組成物を有効に送達しても良い。
マクロファージからのPPARγリガンド産生が増強されれば,当然のことながら,最も近傍に存在する自身のマクロファージのPPARγも活性化される。その結果として,マクロファージのPPARγが発症に関与する疾病群に対して,治療的効果が発揮されるため,本医薬組成物は,それらの予防剤または治療剤としてなり得る。
間葉系幹細胞の培養上清の例は,遠心分離により培養上清を固液分離して得られる上清成分である培養上清を,凍結乾燥により水分を除去して得られる処理物,エバポレーター等を用いて培養上清を減圧濃縮して得られる処理物,限外ろ過膜等を用いて培養上清を濃縮して得られる処理物,又はフィルターを用いて培養上清を固液分離して得られる処理物,もしくは,上述のような処理をする前の培養上清の原液である。また,例えば,本発明の間葉系幹細胞を培養した上澄みを,遠心分離(例えば,1,000×g,10分)した後,硫安(例えば,65%飽和硫安)で分画し,沈殿物を適切な緩衝液で懸濁した後に透析処理を行い,シリンジフィルター(例えば,0.2μm)で濾過し,無菌的な培養上清を得てもよい。採取した培養上清を,そのまま用いても,また凍結保存しておき使用時に解凍して用いることもできる。また薬剤学的に許容される担体を加えて,取り扱いやすい液量,例えば0.2ml又は0.5ml等となるように滅菌容器に分注してもよい。さらに,感染性病原体リスクの対策として,培養上清をウイルスクリアランスフィルターや紫外線照射により処理してもよい。
培養上清を有効成分として含む剤は,例えば,特開2013−18756号公報,特許第5139294号,及び特許第5526320号公報に開示されるとおり公知である。したがって,本発明の培養上清を含む剤を,公知の方法を用いて製造することができる。
本発明による培養上清の剤型としては,液剤と固形剤の両方を選択できる。タンパク質を主剤とするバイオ医薬品においては,安定性の問題から,保存性に優れる粉体化がしばしば選択される。本発明の培養上清もまた,安定性と保存期間の向上のために,固形剤として製造されることが望ましい。
本発明の剤は,有効成分としての培養上清が,薬学的に許容される担体又は媒体とともに調製されてもよい。薬学的に許容される担体又は媒体は,例えば,賦形剤,安定化剤,溶解補助剤,乳化剤,懸濁化剤,緩衝剤,等張化剤,抗酸化剤,又は保存剤など薬学的に許容される物質があげられる。また,ポリエチレングリコール(PEG)などの高分子材料やシクロデキストリン等の抱合化防物を使用することもできる。賦形剤の例は,デンプンや乳糖などそれ自体が薬理作用を有さないものである。安定化剤の例は,アルブミン,ゼラチン,ソルビトール,マンニトール,乳糖,ショ糖,トレハロース,マルトース,及びグルコースである。これらのうちでは,ショ糖又はトレハロースが好ましい。溶解補助剤の例は,エタノール,グリセリン,プロピレングリコール,及びポリエチレングリコールである。乳化剤の例は,レシチン,ステアリン酸アルミニウム,またはセスキオレイン酸ソルビタンである。懸濁化剤の例は,マクロゴール,ポリビニルピロリドン(PVP),またはカルメロース(CMC)である。等張化剤の例は,塩化ナトリウム,及びグルコースである。緩衝剤の例は,クエン酸塩,酢酸塩,ホウ酸,及びリン酸塩である。培養上清製剤を希釈する水性媒質としては,例えば,浸透圧やpHを生理的な範囲に調整し,塩類濃度等を調整した注射用の水溶液等を適宜用いればよく,例えば,酢酸リンゲル液,糖加酢酸リンゲル液等のリンゲル液その他の輸液,生理食塩水,またはブドウ糖液等を用いることができるが,これらに限定されない。抗酸化剤の例は,アスコルビン酸,亜硫酸水素ナトリウム,及びピロ亜硫酸ナトリウムである。保存剤の例は,フェノール,チメロサール,及び塩化ベンザルコニウムである。
本発明の間葉系幹細胞の培養上清といった間葉系幹細胞の分泌物を含む剤(本発明の剤)は,静脈内投与,動脈内投与,筋肉内投与,皮下投与,腹腔内投与,鼻腔内投与,脊髄管腔内移植,関節内移植,歯肉内注射,塗布などの公知の投与方法を用いて投与することができる。本発明の剤は,患部や対象部位に直接注射してもよく,また外科手術により患部を開口し本発明の剤を投与することも可能である。対象となる疾患によって最適なあらゆる投与方法が可能である。移植法として静脈内注射を選択する場合においては,培養上清を1投与単位として1mL以上1,000mL以下で投与することが好ましく,さらに好ましくは,30mL以上300mL以下で投与される。
この剤は,動脈硬化,又は糖尿病の治療剤であることが好ましい。特許第6250196号公報には,PPARアゴニストが糖尿病の治療剤であることが記載されている。特許第4515026号には,PPARγを活性化することが,糖尿病の治療に有効であることが示されている。特許第6157041号には,PPARγ活性化剤が動脈硬化,及び糖尿病の治療に有効であることが示されている。本発明の剤は,PPARγを活性化するので,動脈硬化,及び糖尿病の治療に有効である。
この剤は,関節リウマチの治療剤であることが好ましい。関節リウマチモデルにおいて,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2が,リウマチ臨床スコア,痛み,及び浮腫を抑制することが知られている(Mediators Inflamm. 2016;2016:9626427. Epub 2016 Oct 31.)。本発明の剤は,マクロファージからのPPARγの活性化剤であるエイコサノイドの産生を促進するものであり,例えば,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2の産生を促進するので,関節リウマチの治療に有効である。
この剤は,前立腺癌,脳梗塞,又は脳機能障害の予防剤又は治療剤であることが好ましい。例えば,Cancer Res. 2001 Jan 15;61(2):497−503.では,15−HETEが,前立腺癌細胞株(PC3)の増殖を抑制することや,複数の癌腫において抑制的な作用が報告されている。また,J Lipid Res. 2015 Mar;56(3):502−14では,15−HETEの投与が,脳梗塞モデルの脳虚血後の脳組織障害レベルや,脳における炎症反応を抑制することが報告されている。本発明の剤は,マクロファージからのPPARγの活性化剤であるエイコサノイドの産生を促進するものであり,例えば15−ハイドロキシエイコサテトラエノイックアシッド(15−HETE)の産生を促進するので,前立腺癌の治療に有効である。特許第5940261号公報には,ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ(PPARγ)活性化剤が,高血圧症,インスリン抵抗性疾患,脳梗塞,アルツハイマー病,神経疾患の少なくともひとつを予防及び改善することが記載されている。本発明の剤は,PPARγを活性化するので,脳梗塞,及び脳機能障害の予防及び治療に有効である。
この剤は,疼痛の予防剤又は治療剤であることが好ましい。例えば,Exp. Ther. Med.2016 Oct;12(4):2644−2650. では,PPARγの活性化剤であるピオグリタゾンの投与が,神経障害性疼痛における活性化ミクログリアを抑制し,その結果,機械刺激に対する疼痛閾値を緩和することが示されている。本発明の剤は,マクロファージからのPPARγの活性化剤であるエイコサノイドの産生を促進するものであり,例えば,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2の産生を促進するので,疼痛の予防又は治療に有効である。
この出願は,マクロファージからのエイコサノイドの産生を促進するためのエイコサノイド産生促進剤を製造するための,間葉系幹細胞の分泌物の使用をも提供する。
この出願は,対象に間葉系幹細胞の分泌物を投与する工程を含む,対象の体内に存在するマクロファージからのエイコサノイドの産生を促進する方法をも提供する。この出願は,対象に間葉系幹細胞の分泌物を投与する工程を含む,動脈硬化,糖尿病,関節リウマチ,前立腺癌,脳梗塞,又は脳機能障害の治療又は予防方法をも提供する。
本発明による医薬組成物は,生体内のマクロファージからの内因性PPARγの活性化リガンドの産生を促進する作用によって,持続的に生体内の内因性PPARγの活性化リガンドの量を増加させることができる。さらには,PPARγの活性化が必要となるマクロファージがこれらを産生することにより,マクロファージ自身が優先的,且つ効果的にPPARγの活性化を受けることができ,治療のために高濃度のPPAR活性化リガンドを投与する必要性がなくなることから,副作用の面でも安全性の高い医薬組成物となることが期待できる。
1.マクロファージ培養上清中のエイコサノイド定量
間葉系幹細胞からの分泌物がマクロファージからのエイコサノイドの分泌量に与える作用を評価するために,ヒトマクロファージ系細胞株THP−1を間葉系幹細胞の培養上清で処理した後,マクロファージからのエイコサノイドの分泌量を定量した。エイコサノイドの定量にはマクロファージの培養上清を測定サンプルに用いた。
1.1 脂肪組織由来間葉系幹細胞からの培養上清の調製
<初代培養(P0)>
脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた再生医療を受ける患者より,投与用細胞の調製に必要な原料となる皮下脂肪組織を分取した後の余剰組織について,研究用利用用途の同意取得の後に皮下脂肪の提供を受け,初代培養に供した。皮下脂肪組織は遠心分離(400×gで5分間)に供し,上層から順に脂質画分,脂肪組織画分,および水性画分の3層に分離した。中層の脂肪組織画分を残して,上層と下層を破棄した。残した脂肪組織画分に対して,組織重量当たり4倍量の0.15%コラゲナーゼ酵素溶液を添加し,37℃で1時間浸透させ,酵素処理を行った。脂肪組織が分散された後, 遠心分離(400×gで5分間)に供し,間葉系幹細胞を含む間質血管細胞画分として,沈殿画分を30 mLのPBS(−)溶液で懸濁した。その後,セルストレーナー(70μm径)に懸濁液を通液し,通液画分を再度遠心分離(400×gで5分間)に供し,セルストレーナーに捕捉された組織残渣等は破棄した。沈殿画分を6 mLの無血清培養液(Procul AD(登録商標); ロート製薬)で懸濁し,T−25フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning)に全量を播種し,インキュベーター内(37℃,5% CO2)に静置して初代培養を開始した。
<継代培養(P0→P1→P2)>
3日に1回の頻度で培地全交換を実施し,上澄みは破棄して,フラスコ底面上で増殖する細胞を選択的に増殖した。セミコンフルエントまで増殖したT−25フラスコの細胞に対して,2 mLの酵素溶液(TrypLE Secelt(登録商標);Thermo Fisher Scientific)を添加し剥離した(37℃,5分間静置)。細胞をPBS(−)で希釈し,遠心分離(400×gで5分間)に供した。沈殿した細胞を培養液で懸濁し,トリパンブルー染色法による細胞数計測を行ない,T−150フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning)に無血清培養液(Procul AD; ロート製薬)で播種し,インキュベーター内(37℃,5% CO2)に静置して継代培養を行った(P0→P1)。その後も同様の手順で継代培養を行い,必要な細胞数を得た(P1→P2)。
<培養上清の調製>
培養上清の調製においても,培地は無血清培養液(Procul AD; ロート製薬)を使用した。同培地で脂肪組織由来間葉系幹細胞をT−150フラスコ1枚当たり4.5×10細胞の数で播種し,セミコンフルエントに到達した3日目に,培養上清を回収した。培養上清は0.2μmのPESシリンジフィルター(25 mm GD/Xシリンジフィルター(PES 0.2 μm 滅菌済);6896−2502;GEヘルスケア・ジャパン)でろ過し,解析に使用するまで−28℃で冷凍保管とした。
1.2 臍帯組織由来間葉系幹細胞からの培養上清の調製
<初代培養(P0)>
通常分娩を行う産婦より同意を得て取得した臍帯組織を,採取の翌日に初代培養に供した。約10 cmの臍帯組織から臍帯血を除去した後,医療用メスで5mm程度に裁断し,0.15 % コラゲナーゼ溶液に浸して37℃で16時間,シェーカーで緩やかに攪拌させながら酵素処理を行った。臍帯組織の分散を目視で確認した後,PBS(−)で10倍希釈を行った後,1,000×g, 5分の遠心分離に供し,沈殿画分を残して上層を破棄した。その後,沈殿画分をPBS(−)で懸濁した後,70μmのフィルターに供し,通液画分をコニカルチューブ2本に等分した後,400×g, 5分の遠心分離に供し,細胞を含む沈殿画分を,24 mLの無血清培養液(Procul AD(登録商標); ロート製薬)培地で懸濁した。その後,T−150フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning)1枚に全量を播種し,インキュベーター内(37℃,5% CO2)に静置して初代培養を開始した。
<継代培養(P0→P1→P2)>
2日に1回の頻度で培地全交換を実施し,上澄みは破棄して,フラスコ底面上で増殖する細胞を選択的に増殖した。セミコンフルエントまで増殖したT−150フラスコの細胞に対して,6mLの酵素溶液(TrypLE Secelt(登録商標);Thermo Fisher Scientific)を添加し剥離した(37℃,5分間静置)。細胞をPBS(−)で希釈し,遠心分離(400×gで5分間)に供した。沈殿した細胞を培養液で懸濁し,トリパンブルー染色法による細胞数計測を行い,T−150フラスコ(CellBIND(登録商標); Corning)に無血清培養液(Procul AD; ロート製薬)で播種し,インキュベーター内(37℃,5% CO2)に静置して継代培養を行った(P0→P1)。2日に1回の頻度で培地全交換を実施し,その後も同様に継代培養を実施し,必要な細胞数を確保した(P1→P2)。
<培養上清の調製>
培養上清の調製においても,培地は無血清培養液(Procul AD(登録商標); ロート製薬)を使用した。同培地で臍帯組織由来間葉系幹細胞をT−150フラスコ1枚当たり9.0×10細胞の数で播種し,セミコンフルエントに到達した3日目に,培養上清を回収した。培養上清は0.2μmのPESシリンジフィルター(25 mm GD/Xシリンジフィルター(PES 0.2 μm 滅菌済);6896−2502;GEヘルスケア・ジャパン)でろ過し,解析に使用するまで−28℃で冷凍保管とした。
1.3 マクロファージの培養上清調製
ヒトのマクロファージ系細胞株THP−1の培養系に対して,上述の通り調製した,脂肪及び臍帯組織由来間葉系幹細胞から得た培養上清を添加した。コントロールとしては,間葉系幹細胞の培養上清調製時の培養に用いた無血清培養液(Procul AD; ロート製薬)を添加した。
具体的な手順は次の通りとした。THP−1をT−25フラスコ(CellBIND;Corning)に1ウェルあたり5.0×105で播種した。培地は10% FBS添加RPMIに対し,THP−1の活性化のために100 nM LPSを添加した。培地量はフラスコ1枚あたり6.0mLとした。その翌日に培地交換を行い,1ウェルあたりにつき,10% FBS添加RPMIを3.6 mLと,被験物を2.4mL加え,最終濃度100 nM のLPSを添加した。被験物としては,脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清,臍帯組織由来間葉系幹細胞の培養上清,または,コントロールとしてProcul AD培地(ロート製薬)の3種類とした。その後2日間培養を行い,THP−1の培養上清を回収した。回収した培養上清は, 0.2μmのPESシリンジフィルター(25 mm GD/Xシリンジフィルター(PES 0.2 μm 滅菌済);6896−2502;GEヘルスケア・ジャパン)でろ過し,解析に使用するまで−80℃で冷凍保管とした。
1.4 エイコサノイド定量
液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS/MS)により,PPARγの活性化アゴニストとなるエイコサノイドの定量を実施した。上述の間葉系幹細胞由来培養上清で処理したTHP−1の培養上清と,間葉系幹細胞の培養上清についても定量を行った。
<標準物質の調製>
測定対象の15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2),及び,15−HETE,そして内部標準物質の重水素標識プロスタグランジンE2(PGE2−d4)をメタノールに溶解後,超純水で2倍希釈して各10 ng/mLの標準溶液を調製した。
<試料の前処理>
THP−1の培養上清900μLに5 ng/mL PGE2−d4メタノール溶液を100 μLを添加して混合後,固相抽出カラムであるEmpore Solid Phase Extraction Cartridge C18 Standard Density, 4 mm/1 mL(3M)でエイコサノイドを含む画分を精製した。より具体的には,樹脂の平衡化にメタノール1 mLと超純水1 mLを供し,試料を供した後,超純水1mLで樹脂を洗浄した。その後9,100×g,1分間の遠心分離により脱水し,溶出にはメタノール 500μLを供した。溶出した画分は,ロータリーエバポレーターにより遠心乾固し,メタノール 50 μLを添加してシェーカーで溶解した(2,500 rpm,5分間)。そこに超純水50 μLを加え混合し,LC−MS/MSの測定サンプルとした。
<分析条件>
LC−MS/MSの分析条件を表1に示す。
Figure 0006497827
<定量解析>
ピークの検出には解析ソフトMassLynx ver.4.1(Waters)を使用した。検出限界はシグナルノイズ比(S/N)= 3とした。検出されたピークの面積値は内部標準物質(PGE2−d4)のピーク面積値で除してノーマライズを行った。10 ng/mL標準溶液と分析試料のノーマライズ後,ピーク面積比及び前処理における濃縮倍率(18倍)から検体試料中の濃度を算出した。定量結果を図1A及び図1Bに示す。図1Aは,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2の定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。図1Bは,15−HETEの定量分析の結果を示す図面に代わるグラフである。
脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清中及び臍帯組織由来間葉系幹細胞の培養上清中には,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2),及び,15−HETEのいずれも検出されなかった(図1A及び図1Bの「AD−CM」及び「UC−CM」)。一方で,THP−1の培養上清中には,いずれのサンプルにおいてもそれらのエイコサノイドが検出された。15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2)について,Prucul AD培地で処理したTHP−1は0.001 ng/mL(図1A及び図1Bの「THP−1 Procul AD」),脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清で処理したTHP−1は0.0014 ng/mL(図1A及び図1Bの「THP−1 AD−CM」),臍帯組織由来間葉系幹細胞の培養上清で処理したTHP−1は0.0018 ng/mL(図1A及び図1Bの「THP−1 UC−CM」)となった。次に15−HETEについて,Prucul AD培地で処理したTHP−1は0.006 ng/mL,脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清で処理したTHP−1は0.01 ng/mL,臍帯組織由来間葉系幹細胞の培養上清で処理したTHP−1は0.013 ng/mLとなった。これにより,間葉系幹細胞の分泌物を含む培養上清をマクロファージに作用させることにより,マクロファージが産生する15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2),及び,15−HETEの量が増加することが明らかとなった。間葉系幹細胞の分泌物は,マクロファージに対する,PPARγ活性化アゴニストの産生促進剤であることを見出した。
2. PPARγ制御因子の遺伝子発現解析
間葉系幹細胞の培養上清を処理したマクロファージ系細胞(THP−1)において,PPARγで制御される代表的な遺伝子であるCD36及びFABP4の発現解析を実施した。両遺伝子は,PPARγの活性化アゴニストで細胞を処理することにより,PPARγ依存的に発現が上昇する主要な遺伝子として知られており,PPARγの活性化状態を知る上で指標とすることができる。
2.1 細胞培養とRNA抽出
THP−1を12ウェルプレート(CellBIND;Corning)に1ウェルあたり1×10cellsで播種した。培地は10% FBS添加RPMIに対し,THP−1の活性化のために100 nM PMAを添加した。培地量は1ウェルあたり800μLとした。その翌日に培地交換を行い, 1ウェルあたり10% FBS添加RPMI培地を600μLと,間葉系幹細胞培養上清またはコントロールの培地を400μL添加した。間葉系幹細胞培養上清としては,「実施例1」でエイコサノイド定量に用いたものと同じロットのサンプルを使用し,脂肪組織由来間葉系幹細胞と臍帯組織由来間葉系幹細胞から調製された培養上清を用いた。コントロールの培地としては,間葉系幹細胞の培養上清を調製する際に細胞培養に用いた無血清培地Procul AD(ロート製薬)と,FBS非添加RPMIとした。
さらに3日後に培地を除去し,細胞をTRI Reagent(Molecular Research Center;TR118)で溶解し,SV Total RNA Isolation System(Promega;Z3100)を用いて,キット付属の説明書に従いトータルRNAの抽出を行った。RNA抽出を行った細胞の写真を図2Aに示す。図2Aは,培養後の細胞を示す図面に代わる写真である。
2.2 定量RT−PCR
各々1μgのトータルRNAから, PrimeScript(登録商標) II 1st strand cDNA Synthesis Kit(タカラバイオ;6210A)により,Oligo dT プライマーによる逆転写反応を行った。得られたcDNAを鋳型に,THUNDERBIRD(登録商標) SYBR qPCR Mix(TOYOBO;QPS−201)を用いて,CD36遺伝子及びFABP4遺伝子の定量PCRを行った。装置はMx3000P(アジレントテクノロジーズ)を使用し,プライマーは下記を用いた。各遺伝子発現量の内部補正には,GAPDH遺伝子を用いた。
「PPARγ プライマー配列」
PPARγ−Fw : gacaggaaagacaacagacaaatc (配列番号1)
PPARγ−Rv : ggggtgatgtgtttgaacttg(配列番号2)
「FABP プライマー配列」
FABP4−Fw : ccaccataaagagaaaacgagag (配列番号3)
FABP4−Rv : gtggaagtgacgcctttcat (配列番号4)
「CD36 プライマー配列」
CD36−Fw : gcagcaacattcaagttaagca(配列番号5)
CD36−Rv : gctgcaggaaagagactgtgt(配列番号6)
「GAPDH プライマー配列」
GAPDH−Fw : ttcaccaccatggagaagg(配列番号7)
GAPDH−Rv : cacacccatcacaaacatgg(配列番号8)
PCR条件は試薬メーカーの手順書に準じて実施した。PCR反応液の組成については表2のaの通りとし,PCR反応条件は表2のbの通り実施した。
Figure 0006497827
Figure 0006497827
定量RT−PCRの結果を図2Bに示す。PPARγの応答遺伝子であるFABP4とCD36は,脂肪組織由来間葉系幹細胞及び臍帯組織由来間葉系幹細胞からの分泌物を含む培養上清を処理したTHP−1において(図2Bにおいて前者を「AD−CM」,後者を「UC−CM」と表記する),コントロールの培地添加群(図2Bにおける「RPMI」及び「Procul AD」)と比較して,各遺伝子発現量の大幅な増加が認められた。「実施例1」でエイコサノイド定量のためにTHP−1に添加したコントロールのサンプルは「Procul AD」であるが,Procul ADを処理したTHP−1と比較して,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2(15−deoxy−δ−12,14−PGJ2),及び,15−HETEの産生増加が検出されたTHP−1において(間葉系幹細胞由来培養上清処理を行ったTHP−1),PPARγの応答遺伝子であるFABP4とCD36の発現上昇が確認された。
2.3 CD36抗体免疫染色
次に,PPARγにより発現誘導を受け,酸化脂質などを細胞内に取り込む機能などを有するスカベンジャーレセプターのCD36について,間葉系幹細胞の分泌成分の作用によるタンパク質発現誘導を評価した。
具体的な手順は次の通りとした。THP−1を6ウェルプレート(CellBIND;Corning)に1ウェルあたり2.5×10で播種した。培地は10% FBS添加RPMIに対し,THP−1の活性化のために100 nM LPSを添加した。培地量は1ウェルあたり3 mLとした。その翌日に培地交換を行い,1ウェルあたりにつき,10% FBS添加RPMIを1.8 mLと,被験物を1.2 mL加え,最終濃度100 nM のLPSを添加した。被験物としては,脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清,RPMI基本培地,またはProcul AD培地(ロート製薬)の3種類とした。その後3日間培養を行い,ヒト抗CD36抗体免疫染色に供した。
4%パラホルムアルデヒド(PFA)で15分間室温において細胞を固定し,PBS(−)で希釈して調製した0.01%トリトンX−100(Tx−100) で3回洗浄した。次に,3%牛血清アルブミン(BSA)を添加した0.01%Tx100/PBS(−) において室温で30分間ブロッキングを行い,続いて,3%BSA/0.01%Tx100/PBS(−)で1,000倍希釈した抗CD36抗体溶液にて細胞を免疫染色した(PE anti−Human CD36 (BioLegend;Cat.336206)。その後,3%BSA/0.01%Tx100/PBS(−)で3回洗浄を行い,直ちに蛍光顕微鏡(キーエンス;BZ−X)でフィコエリスリン(PE)検出条件にてCD36の染色像を観察した。
その結果を図3に示す。コントロールのRPMI基本培地,及びProcul AD培地を処理したTHP−1におけるCD36タンパク質の発現量と比較して,脂肪組織由来間葉系幹細胞の培養上清を処理したTHP−1(図3の「AD−CM」)においては,その発現量が増加したことを示す,強い蛍光シグナルが検出された。これは,図2BにおけるCD36遺伝子発現解析の結果に準じるものであった。これらのことから,間葉系幹細胞の培養上清の作用を受けたマクロファージにおいて,PPARγの活性化により発現が誘導される因子の発現誘導が生じていることを確認した。
3. 間葉系幹細胞培養上清のインターロイキン4(IL−4)タンパク質発現定量
マクロファージからのPPARγリガンド産生を促進する既知の因子として,インターロイキン4(IL−4)が知られている。実施例1で示した作用として,間葉系幹細胞から調製した培養上清を処理したマクロファージ系細胞(THP−1)において,PPARγの産生が増強されたが,それがIL−4の作用によるものであるかを検証するために,間葉系幹細胞の培養上清におけるIL−4タンパク質の分泌量を定量した。
3.1 培養上清の調製
測定に用いた間葉系幹細胞の培養上清は,脂肪組織由来間葉系幹細胞と臍帯組織由来間葉系幹細胞より調製し,前者を「AD−CM」,後者を「UC−CM」とした。それぞれ2つの異なる組織提供者から調製された検体を解析に供し,「実施例1」でTHP−1に処理した培養上清を,「AD−CM−1」及び「UC−CM−1」とした。なお,培養上清「AD−CM−2」と「UC−CM−2」の調製についても,「実施例1」に記載の「AD−CM−1」及び「UC−CM−1」の調製法に準じた。培養上清は0.2μmのPESシリンジフィルター(25 mm GD/Xシリンジフィルター(PES 0.2 μm 滅菌済);6896−2502;GEヘルスケア・ジャパン)でろ過し,解析に使用するまで−28℃で冷凍保管とした。
3.2 ELISA定量
市販のELISAキット(Human IL−4 Quantikine HS ELISA Kit;HS400;R&D SYSTEMS)を用いて,プロトコール記載の方法により,インターロイキン4(IL−4)タンパク質の定量試験を行った。本キットの検出下限値は0.22 pg/mLである。比較のために,基本培地の「RPMI」,RPMIに10% FBSを添加した「RPMI 10% FBS」,間葉系幹細胞の培養上清の調製に用いた無血清培地である「Procul AD」も測定した。上述の通り,Procul AD(ロート製薬)は無血清培地であり動物由来成分不含有である。つまり,Procul ADにインターロイキン4は含有されない。
その結果を図4に示す。「RPMI 10% FBS」はIL−4濃度が0.38(±0.03)pg/mLであり,その他の検体はキットの検出限界以下であった。タンパク質不含有培地の「RPMI」はキットの測定濃度範囲を下回り,「AD−CM−1」,「AD−CM−2」,「UC−CM−1」及び「UC−CM−2」は,検出ノイズによる「RPMI」と同程度の値であった。これにより,本発明の間葉系幹細胞の培養上清において,IL−4は含有されないことを確認し,THP−1におけるPPARγ活性化リガンド産生促進の作用は,IL−4とは異なる別の因子によるものであることを確認した。
本発明は医薬産業において利用されうる。
配列番号1 プライマー
配列番号2 プライマー
配列番号3 プライマー
配列番号4 プライマー
配列番号5 プライマー
配列番号6 プライマー
配列番号7 プライマー
配列番号8 プライマー

Claims (9)

  1. 間葉系幹細胞の分泌物を有効成分として含む,マクロファージからのPPARγ活性化物質であるエイコサノイドの産生を促進するためのエイコサノイド産生促進剤。
  2. 請求項1に記載の剤であって,前記間葉系幹細胞は皮下脂肪組織または臍帯組織に由来する間葉系幹細胞である剤。
  3. 請求項1に記載の剤であって,前記間葉系幹細胞の分泌物が無血清培地を用いた培養上清である,剤。
  4. 請求項1に記載の剤であって,前記PPARγ活性化物質であるエイコサノイドが,15−デオキシ−デルタ−12,14−プロスタグランジンJ2,及び,15−ハイドロキシエイコサテトラエノイックアシッドのいずれか又は両方である剤。
  5. 請求項1に記載の剤であって,IL−4を含有しない,剤。
  6. 請求項1に記載の剤であって,動脈硬化,又は糖尿病の治療剤である剤。
  7. 請求項1に記載の剤であって,関節リウマチの治療剤である剤。
  8. 請求項1に記載の剤であって前立腺癌,脳梗塞,又は脳機能障害の予防剤又は治療剤である,剤。
  9. 請求項1に記載の剤であって疼痛の予防剤又は治療剤である,剤。
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