1.実施形態
まず、本実施形態に係る支援システム100の概要について説明する。支援システム100は、防火対象物である建築物に配設された感知手段が異状を感知すると異状情報を送出する自動警報設備としての自動火災報知設備200と接続された支援装置1を備える。また、支援システム100は、自衛組織としての自衛消防隊の隊員が携帯する複数の端末2を備える。端末2は、複数であることが望ましいが最低限1台は必要である。つまり、自衛消防隊の隊員が携帯する端末2は1以上であればよい。
端末2は、通信回線を介し、前記異状が発生したときは支援装置1と、模擬訓練時は防災サービス提供者が前記建築物毎に提供する模擬訓練の訓練プログラムを実行する訓練装置としての訓練サーバ300と、それぞれ通信する。端末2は、訓練サーバ300と連携して前記模擬訓練プログラムを実行する。そして、訓練サーバ300は、前記模擬訓練の結果に基づいて、自衛消防隊の役割に対する隊員毎の適性情報を取得する。
支援装置1は、この適性情報を訓練サーバ300から取得し記憶する。また、支援装置1は、消防計画等の防災計画に基づいて隊員毎に予め任命された自衛消防隊の役割を任命情報として記憶する。そして、支援装置1は、自動火災報知設備200から異状情報を受信したときに、取得した前記異状情報を端末2に表示させると共に、端末2に自衛消防隊への参加要請を表示させる。この参加要請に応じて参加する旨の応答があった端末2について、支援装置1は、前記任命情報に基づいて隊員毎の役割を決定し、欠員を生ずる役割については前記適性情報に基づいて補充する隊員を決定して自衛消防隊を編成する。そして、支援装置1は、隊員毎に決定された役割を対応する端末2毎に表示させる。
このように、本発明に係る支援システムは、異状時に自衛消防隊を招集する際、固定的な消防計画では不在等の要因で欠員を生ずるような場合であっても、模擬訓練を行って取得した隊員毎の適性情報に基づいて補充する隊員を決定するので、欠員を生ずることなく自動的に自衛消防隊を編成することができる。以下、本実施形態に係る支援システムの詳細について説明する。
1−1.自動火災報知設備の構成と動作
まず、本実施の形態に係る支援システム100が接続される自動警報設備としての自動火災報知設備200(以下、自火報設備200)について、図1、21に基づいて説明する。自火報設備200は公知の自動火災報知設備であり、火災やガス漏れ等の異状を感知する感知手段としての火災感知器5、ガス漏れ検知器6等を有し、これらの感知手段は防火対象物である建築物に配設される。これらの感知手段は、信号線10を介して、あるいは中継手段である中継器8と信号線10とを介して、受信機4へ接続され、異状を感知すると異状感知信号を受信機4へ送出する。
これらの感知手段は、アドレス等の固有の識別子を有し、異状を感知したときはどの感知手段が異状を感知したか判別できるようになっているものがある。また、これらの感知手段が固有の識別子を有しない場合でも、これら感知手段が配設された区画を受信機4が特定できるような区画情報を有しており、感知手段が異状を感知したときはどの区画で異状が感知されたか判別できるようになっている。すなわち、自火報設備200は、感知手段に固有の識別子又は感知手段が配設された区画情報に基づいて異状を感知した場所を示す感知手段位置情報を有する。そして、これらの感知手段が異状を感知すると、自火報設備200は、異状を感知した感知手段からの異状感知信号を受信した受信機4が、異状を感知した感知手段の上記感知手段位置情報を含めた異状情報として異状信号を送出する。このとき異状情報に含まれる感知手段位置情報は、異状を感知した火災感知器5又はガス漏れ検知器6に固有の識別子又は区画番号等である。
また、自火報設備200は、地区音響警報装置としての音声警報装置7を有し、音声警報装置7は防火対象物である建築物に配設される。この地区音響警報装置は、直接に信号線10を介して、又は、中継手段である中継器9と信号線10とを介して、受信機4へ接続される。そして、音声警報装置7は、受信機4からの信号に応じて、後述する火災感知放送、火災放送、非火災放送を出力する。
受信機4は、異状感知信号が火災等に異状に基づく信号であるか否かを状況に応じて判断する図示しない異状確認手段を有する。受信機4は、信号線10を介して異状感知信号を受信するまで待ち受け(S001のNo)、異状感知信号を受信すると(S001のYes)、受信した異状感知信号が人為的な操作に基づく異状感知信号であるか否かを異状確認手段で確認する(S002)。図示しない発信機が作動したとき、又は非常電話が起動したときは、異状を確認した人が操作したものとして、異状を確認したものと判断する(S002のYes)。そして、直ちに、後述する第2段階の警報として、音声警報装置7より所定の音声メッセージによる火災放送を報知する(S009)。この火災放送の音声メッセージは、例えば「火事です。火事です。(○階で)火災発生の通報がありました。落ち着いて避難してください」というようなものであり、火災発生を告げ、避難を促すものである(S009)。一方、上記異状確認手段が、異状感知信号が発信機の作動又は非常電話の起動に基づかないと判断したときは(S002のNo)、異状感知信号を受信した旨を意味する異状発報信号を送出し(S003)、次に説明する異状判断を行う。
受信機4は、蓄積機能等の公知の異状判断手段を有する(図示せず)。すなわち、受信機4が受信した異状感知信号が、発信機の作動又は非常電話の起動に基づくものではないと判断して(S002のNo)異状発報信号を送出すると(S003)、上記異状判断手段は、受信した異状感知信号に基づいて異状か否かを判断する(S004)。例えば、蓄積機能による公知の異状判断手段であれば、受信機4が異状発報信号を受信すると、感知手段を一旦復旧(蓄積復旧)し、所定時間内に再度異状発報信号を受信したとき、この異状発報信号は、ノイズ等による一過性の信号ではなく、異状であると判断する。そして、異状判断手段が異状ではないと判断したとき、すなわち異状感知信号が火災等の異状以外の要因による一過性の信号であると判断すると(S004のNo)、(感知手段をリセットするなどして)再び、異状感知信号を待ち受ける状態に戻る(S001)。一方、異状判断手段が異状であると判断すると(S004のYes)、受信機4は、異状情報として異状信号を送出すると共に、第1段階の警報として音声警報装置7より所定の音声メッセージによる火災感知放送を報知する(S005)。この火災感知放送の音声メッセージは、例えば「ただいま(○階の)火災感知器が作動しました。確認しておりますので、次の放送にご注意ください」というようなものであり、直ちに火災発生を警報して避難を促すものではない。このとき受信機4は、信号線C1を介して接続された支援システム100の支援装置1へ、異状発報信号に基づいて異状を感知した感知手段の位置又は区画を示す感知手段位置情報を含む異状情報として異状信号を送出する。なお、受信機4が異状信号を送出した後、先に異状感知信号を送出した感知手段と区分できる第2の感知手段が異状感知信号を送出したとき、受信機4の上記異状確認手段は火災が拡大したものとして異状を確認したと判断する。また、オペレータが火災等の異状を確認し、受信機4において火災断定等の異状断定操作を行ったときも上記異状確認手段は異状を確認したものと判断する(S006の有り)。そして、異状確認手段が異状を確認したものと判断したとき、第2段階の警報として、音声警報装置7より所定の音声メッセージによる火災放送を報知する(S009)。
なお、受信機4は、上記火災感知放送を出力(S005)した後、上記異状確認手段が異状と確認せず(S006のなし)、所定時間(例えば60秒)が経過したときに(S007のYes)、上記火災放送を報知する(S009)。この火災放送の音声メッセージは、例えば「火事です。火事です。(○階で)火災が発生しました。落ち着いて避難してください」というようなものであり、火災発生を告げ、避難を促すものである。
すなわち、自火報設備200は、異状を感知すると人為的な操作による場合を除いて警報装置から第1段階の警報を報知させると共に異状を感知した感知手段の感知手段位置情報を含む異状情報として異状信号を送出し、所定時間後に前記報知を第2段階の警報へ移行させる自動警報設備である。
上記火災感知放送の後にオペレータが火災ではないと判断したとき、受信機4を操作して音声警報装置7より非火災放送を行うことができる(図示せず)。この非火災放送の音声メッセージは、例えば「さきほどの火災感知器の作動は、確認の結果、異常がありませんでした。ご安心ください」というようなものであり、火災等の異状ではなかったことを告げるものである。
そして、本発明に係る支援システム100に関連して、受信機4は、後述する支援装置1から第2段階の警報への移行を即時実行するように指示する異状確認信号を受信すると(S008の[第2段階の警報への即時移行])、即時、火災放送を行うようにすることができる。すなわち、前記所定時間が経過する前であっても第2段階の警報を行なう(S009)。一方、支援装置1から第2段階の警報への移行を停止するように指示する非火災信号を受信すると(S008の[第2段階の警報への移行を停止])、第2段階の警報への移行を停止するようにすることができる(S010)。このとき、上記非火災放送を行うようにしてもよい。また、支援装置1からの指示が無い場合は(S008の[なし])、S006へ戻って上記動作を繰り返す。
1−2.支援システムの構成
次に、本実施の形態に係る支援システム100の構成について、図1に基づいて説明する。支援システム100は、自衛消防隊の隊員が所持し携帯する複数の端末2と、受信機4と接続された支援装置1と、防災サービス提供者が提供する訓練装置である訓練サーバ300と、で構成される。そして、支援装置1と端末2は、通信回線3を介して互いに通信する。また、訓練サーバ300と、支援装置1又は端末2とは、通信回線11を介して互いに通信する。通信回線3は、少なくとも端末2と無線通信で接続され、無線又は有線で接続される支援装置1と端末2との間で通信を行う通信網である。通信回線11は、少なくとも端末2と無線通信で接続され、無線又は有線で接続される訓練サーバ300と、無線又は有線で接続される支援装置1又は端末2との間で通信を行う通信網である。
通信回線3は、例えばIMT−2000に準拠した無線通信網などであるが、これに限るものではなく、例えばiEEE802.11に準拠する無線LANなどであってもよい。さらに、通信回線3は、防火対象物である建築物に設けられて、この建築物外部からのアクセスを禁止する通信回線であってもよい。
通信回線11は、例えばIMT−2000に準拠した無線通信網などであり、通信回線3と共用することも可能である。すなわち、支援装置1と端末2と訓練サーバ300とは通信回線3、11に相当する共通の通信回線に接続されて互いに通信するようにしてもよい。
1−3.支援装置の構成
次に、支援システム100を構成する支援装置1の構成について、図2に基づいて説明する。支援装置1は、第1の通信部14と、第2の通信部13と、第3の通信部15と、記憶部12と、制御部110とを有する。第1の通信部14は、信号線C1を介して受信機4に接続されて制御情報等を通信するインターフェースである。第2の通信部13は、信号線C2と通信回線3とを介して端末2と制御情報等を通信するインターフェースである。第3の通信部15は、信号線C3を介して訓練サーバ300と制御情報等を通信するインターフェースである。信号線C2に代えて無線通信で通信回線3と接続するようにしてもよく、信号線C3に代えて無線通信で通信回線11と接続するようにしてもよい。記憶部12は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、自衛消防隊隊員の活動を支援するための処理を実行するプログラムを記憶する。制御部110は、記憶部12に記憶されたプログラムに基づいて支援装置1の各部の動作を制御する制御手段である。
[制御部]
制御部110は、図示しないCPU等の演算処理装置を備え、その機能的構成として、特定部111、受付部112、要請部113、通知部116、編成部117、訓練部118を備える。
特定部111は、第1の通信部14を介して受信した異状信号に含まれる感知手段位置情報に基づいて、後述する設置場所データベース121を参照して異状が感知された感知手段位置情報に対応する建物位置情報を異状位置として特定する異状位置特定手段である。
受付部112は、第2の通信部13を介して端末2から受信する応答、要求、端末2の位置を表す端末位置情報(詳しくは後述する)を受け付ける受付手段である。
要請部113は、後述する編成部117の決定に基づき、第2の通信部13を介して端末2に自衛消防隊への参加要請を行う要請画面を表示させる要請手段であり、さらには、参加要請する際に担当する役割も要請し得る要請手段である。要請部113が端末2に要請画面を表示させるとき、第2の通信部13より要請事項に基づいた要請画面を表示するように指令信号を送信する。
通知部116は、第2の通信部13を介して、異状情報、後述する編成部で編成された自衛消防隊の隊員毎の役割、役割毎の作業内容、メンバー情報、等を送信し、端末2に通知画面を表示させる通知手段である。通知部116が端末2に通知画面を表示させるとき、第2の通信部13より通知内容に基づいた通知画面を表示するように指令信号を送信する。
編成部117は、参加要請に対して第2の通信部13および受付部112を介して受信した参加する旨の応答があった端末2の識別子に対応する隊員の属性情報を、後述する隊員データベース122を参照して取得する。そして、その属性情報に含まれる、隊員毎の役割が予め記憶されている任命情報(詳しくは後述する)に基づいて隊員毎の役割を決定する。このとき、参加する旨の応答がない端末2の識別子に対応する隊員の役割、つまり欠員が生ずる役割については、上記属性情報に含まれる自衛消防隊の役割に対する隊員毎の適性情報(詳しくは後述する)に基づいて補充する隊員を決定する。すなわち、編成部117は、参加する旨の応答があった端末について、記憶部12の第1の記憶領域である隊員データベース122を参照して隊員毎の属性情報を取得し、前記属性情報に含まれる前記任命情報に基づいて隊員毎の役割を決定し、欠員を生ずる役割については前記属性情報に含まれる前記適性情報に基づいて補充する隊員を決定する、自衛消防隊の編成手段である。編成部117が自衛消防隊を編成する際には、特定部111が特定した異状位置情報と端末位置情報とに基づいて組織編成するようにしてもよい。編成部117が決定した隊員毎の役割は、後述する役割データベース123に記憶しておく。そして、通知部116、第2の通信部13、通信回線3を介して、隊員毎の役割を該当する端末2毎に表示させる。
[記憶部]
また、記憶部12は、前記プログラムに加えて、第1の記憶領域として隊員データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)122を有する。隊員データベース122は、すべての自衛消防隊の隊員を、各隊員が所持する端末2の識別子と、各隊員の属性情報とを関連付けて記憶する。なお、前記属性情報は、予め消防計画で決定されて隊員毎に任命された役割を示す任命情報と、自衛消防隊の各役割に対する隊員毎の適性を示す適性情報とを含む。この適性情報は、後述する訓練サーバ300を利用した模擬訓練の結果に基づいて決定される。また、隊員が互いに識別可能とする程度の個人情報として、顔写真や氏名およびその読み仮名を記憶しておく。
また、記憶部12は、前記プログラムと隊員データベース122に加えて、第2の記憶領域として設置場所データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)121を有する。設置場所データベース121は、火災感知器5やガス漏れ検知器6といった複数の感知手段について、感知手段に固有の識別子又は感知手段が配設された区画情報に基づく感知手段位置情報と建築物における位置を特定する建物位置情報とを関連付けて記憶する。
設置場所データベース121は、受信機4を介して異状を感知した感知手段位置情報として与えられる火災感知器5又はガス漏れ検知器6に固有の識別子(又は感知手段が配設された区画情報としての区画番号)と、例えば、棟、階、フロアにおける座標(又は区画)で示される建築物における位置情報としての建物位置情報(又は区画)のデータとを関連付けて記憶する。例えば、図28における識別子「AL2」で表される感知器が配設された位置情報としての建物位置情報を、「1棟(建物)・20階(階層)・X1Y2(平面座標)」というように、感知器の設置座標情報として記憶部12に記憶する。また、例えば、図28における感知器「AL2」の建物位置場所を「1棟(建物)・20階(階層)・第1区画(区画)」というように、感知器が配設された区画情報として記憶部12に記憶する。建物位置情報として記憶するデータは上記に限るものではなく、感知手段が配設された位置情報である感知手段位置情報と関連付けて記憶され、後述する複数の端末位置情報と比較し、互いの位置関係を把握できるようなデータであればよい。例えば、異状を感知した感知手段(例えば、火災感知器5)に最も近い端末2を、あるいは、異状を感知した感知手段から所定の範囲内に位置する1以上の端末2を、特定できるようなデータである。
また、記憶部12は、前記プログラムと隊員データベース122と設置場所データベース121に加えて、第3の記憶領域として役割データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)123を有する。役割データベースは、役割毎の作業内容を予め記憶しておき、また、編成部117が決定した隊員毎の役割を記憶し、さらに隊員データベース122を参照して、役割毎に隊員が互いに識別可能とする程度の個人情報(顔写真、氏名およびその読み仮名)を取得してこれを記憶する。
1−4.端末の構成
次に、支援システム100を構成する端末2の構成について、図3および図5〜19に基づいて説明する。図3は端末2の構成を示すブロック図、図5〜19は端末2の外観および表示例を示す図である。特に、図5〜14は訓練サーバ300と通信して模擬訓練を実行しているときの表示例であり、図15〜19は支援装置1と通信して異状発生時に対処しているときの表示例である。
端末2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、操作部24と、表示部25とを有する。端末2は、防火対象物である建築物の各所で任命された自衛消防隊の隊員が携帯する携帯型の端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット端末等である(図5〜19参照)。表示部25が備える画面251に重ねて操作者の指等が触れたことを検出する、操作部24が有するタッチパネル241が設けられる。制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを有し、CPUがROM又は記憶部22に記憶されているプログラムを読み出して実行する。そして端末2の各部、表示部25と操作部24と通信部23と、を制御すると共に、訓練サーバ300と連携して模擬訓練を実行する。
[表示部]
表示部25は、液晶などを利用した画面251を備え、制御部21からの指示に応じてこの画面251に画像が表示される。
(模擬訓練時の表示)
端末2は、通信部23を介して、後述する訓練サーバ300と通信し、前記訓練プログラムを実行した場合、画面251には前記訓練プログラムに基づいた表示がされる。表示部25には、後述する端末2の制御部21が模擬訓練の訓練プログラムを備えた訓練装置である訓練サーバ300と連携して実行する前記模擬訓練に基づいた表示がされる。訓練サーバ300については、詳しくは後述する。端末2は、閲覧ソフトを起動して訓練サーバ300にアクセスし、訓練サーバ300に認証されると模擬訓練の訓練メニュー画面が画面251に表示される。例えば、この訓練メニュー画面には、実行中の訓練内容を表示する訓練画面内容表示2525、仮想訓練選択ボタン2526、リアル訓練選択ボタン2527、訓練を中止する場合に操作するための訓練中止ボタン2528が表示される(図5参照)。
(仮想訓練実行中の表示例)
上述の訓練メニュー画面で仮想訓練選択ボタン2526を操作すると、画面251には仮想訓練メニュー画面が表示される。いわゆる座学での研修に相当する訓練である「仮想訓練」を選択する画面である。このとき、訓練画面内容表示2525に加えて、自衛消防隊としての役割を選択するボタンが表示される。例えば、消火訓練選択ボタン2529、避難誘導訓練選択ボタン2530が表示され、その他の訓練メニューを表示させるための次画面送りボタン2532、前の画面に戻して表示させるための前画面戻りボタン2531、仮想訓練を中止して、模擬訓練の訓練メニュー画面の表示に戻すための仮想訓練中止ボタン2533が表示される。なお、仮想訓練メニュー画面で最初の画面が表示されているときは、戻るべき前画面が無いので、前画面戻りボタン2531は表示されないか、薄い表示となって操作できないものとする(図6参照)。
例えば、仮想訓練メニュー画面で消火訓練選択ボタン2529を操作すると、仮想消火訓練が開始され、画面251には第1の課題を示す設問画面が表示される。例えば、訓練画面内容表示2525に加えて、テキスト表示2514に第1の課題としての設問が表示される。そして、その設問に応じて操作すべき画面がグラフィック表示2515に表示される。その一例を図7に示す。
この場合は、建築物に配設されて自衛消防隊の訓練対象となる設備機器としての消防設備の位置を問う設問であり、異状発生位置に対応する最寄りの消防設備の位置を正しく判断できるか否かが問われる。その一例として、テキスト表示2514に「<消火訓練1>2階廊下で火災発生(○印)。地図上で現場最寄りの消火栓の位置をタッチしてください。」と表示され、グラフィック表示2515には訓練対象の建築物における実際の2階の平面地図が表示され、火災発生位置が地図上に○印で表示されている。ここで、この端末2を操作して訓練を受けている者(以下、訓練者と称する)は、自らの記憶に基づいて、設問で問われた消防設備の位置を表示された地図の該当位置にタッチする。
その回答が間違いであった場合は、不正解であることが表示され、訓練者は自らの過ちを知ることとなる。例えば、図8に示すように、訓練画面内容表示2525に加えて、「不正解!そこには消火栓はありません。」とグラフィック表示2515に表示される。そして、「<消火訓練1>再挑戦しますか?」とテキスト表示2514に表示され、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535が表示される。ここで不同意ボタン2535が操作されると、この訓練は終了し、訓練者の評価は上がらない。ここで同意ボタン2534を操作して訓練に再挑戦すると、元の設問画面(図7参照)が表示され、上記の動作を繰り返す。そして、回答が正解であった場合は、図9に示すように正解であることが表示される。例えば、訓練画面内容表示2525に加えて、「正解!それは一人で操作できる、易操作性1号消火栓です。消火訓練のポイントが、1つ上がって8になりました。」などとグラフィック表示2515に表示する。つまり、訓練者の認識が正しかったことを告げ、該当する消防設備を簡単に解説して知識向上を図り、スキルアップしたことを告げてモチベーションアップを狙うなどする。
さらに、テキスト表示2514に「<消火訓練1>ステップアップして次の訓練に挑戦しますか?」と表示して、訓練者の訓練継続の意思を問い、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535を表示する。ここで不同意ボタン2535が操作されると、この訓練は終了し、訓練者の評価は、それ以上は上がらない。ここで同意ボタン2534を操作して次の訓練に挑戦すると、さらにレベルアップした設問が成される。例えば、図10に示すように、前の設問で簡単に解説された消防設備の操作方法を問う設問が表示される。例えば、「<消火訓練2>2階廊下の消火栓は易操作性1号消火栓といって一人で操作できるタイプです。上記の操作手順は正しいですか?」とテキスト表示2514に表示され、その上方のグラフィック表示2515に「易操作性1号消火栓の操作 1.消火栓の扉を開ける 2.バルブを開ける 3.ノズルを取り出す 4.ノズルの先端を回す 5.ノズルを持ってホースを伸ばす。」等と表示し、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535を表示する。実際、上記の操作手順は誤りである。そして、訓練者が同意ボタン2534を操作すると、図11に示すような不正解画面が表示される。このとき、そのような操作を行うと何が起こるかをグラフィック画面2515に示して正しい操作方法を示唆すると共に、再挑戦を促す画面をテキスト画面2514に表示し、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535を表示する。ここで不同意ボタン2535が操作されると、この訓練は終了し、訓練者の評価は上がらない。ここで同意ボタン2534を操作して訓練に再挑戦すると、例えば図12に示すように、類似する異なった設問(この場合は、操作手順が異なる)が表示される。実際、この操作手順は正しい。そして、訓練者が同意ボタン2534を操作すると、正解画面が表示され、消火訓練のポイントが加算されて表示される。逆に、訓練者が不同意ボタン2535を操作すると、上記同様の不正解画面が表示される。
このように、端末2の表示部25には、訓練サーバ300で実行される模擬訓練の訓練プログラムと連携して順次表示が行われ、表示された上記表示ボタンの操作に応じて、訓練プログラムが進行する。ここでは、訓練プログラムとして「仮想訓練」の例を説明したが、これに限るものではない。例えば、訓練メニューとして表示された上記「リアル訓練」(図5参照)については後述する。
(異状発生時の表示)
端末2は、通信部23を介して支援装置1の要請部113からの要請画面を表示させる旨の指令信号を受信した場合、支援装置1からの前記指令信号(要請)に基づいた制御部21からの指示に応じて、表示部25は画面251に要請画面を表示する。例えば、自衛消防隊への参加要請を行う要請画面には、了解ボタン2518、参加不可ボタン2519、メッセージ表示2514、異状が感知された位置を把握できるような平面地図等を表示するグラフィック表示2515、要請事項表示2517が表示される(図15参照)。メッセージ表示2514には、支援装置1からの要請の内容として、自衛消防隊への参加を要請する旨のメッセージが表示される。メッセージ表示2514の内容は、例えば、「△△階廊下の火災感知器が作動しました。自衛消防隊への参加を要請します。」といったメッセージである。そして、このメッセージに対応して、グラフィック表示2515には異状を感知した位置付近の平面地図が、要請事項表示2517には、例えば、「自衛消防隊招集」といった要請事項が表示される。了解ボタン2518は自衛消防隊への参加要請に対して参加する旨を応答する場合に、参加不可ボタン2519は自衛消防隊への参加要請に対して参加できない旨を応答する場合に、それぞれ操作されるべき位置を操作ボタンの形状で映出する。
また、自衛消防隊へ参加する旨の応答があった端末2に対して、支援装置1は、各端末2を携帯する隊員の役割を決定して自衛消防隊を編成すると、それぞれの端末2に対してその端末2を携帯する隊員の役割を通知する。そして、端末2は、通信部23を介して支援装置1からの通知画面を表示する旨の指令信号を受信した場合、支援装置1からの通知内容に基づいた制御部21からの指示に応じて、表示部25は画面251に通知画面を表示する。
例えば、現地対応要員、特に初期消火の役割を通知する通知画面には、地図表示ボタン2521、メンバー表示ボタン2522、作業内容表示ボタン2524、メッセージ表示2514、異状が感知された位置付近の地図を表示するグラフィック表示2515、通知事項表示2520が表示される(図16参照)。メッセージ表示2514には、支援装置1からの通知の内容として、初期消火を担う消火班の役割を通知するメッセージが表示される。メッセージ表示2514の内容は、例えば、「△△階の現場へ向かい、消火班のメンバーと共に消火栓を使って初期消火を行ってください。」といったメッセージである。そして、このメッセージに対応して、グラフィック表示2515には異状を感知した位置と屋内消火栓や消火器などの消火装置が配置された位置とが把握できるような平面地図が表示される。また、通知事項表示2520には、例えば、「消火班を担当願います」といった通知事項が表示される。メンバー表示ボタン2522は後述するメンバー表示2523を表示する場合に、地図表示ボタン2521はメンバー表示2523から再び地図表示2515を映出する場合に、作業内容表示ボタン2524は通知された役割が行うべき作業内容を表示する作業内容表示(図示せず)を表示する場合に、それぞれ操作されるべき位置を操作ボタンの形状で映出する。なお、メッセージ表示2514、グラフィック表示2515,通知事項表示2520、メンバー表示2523、作業内容表示の表示内容は、支援装置1の通知部116からの指令信号で通知された情報に基づく。
また、例えば、防災センタにおいて所轄消防署への通報等の役割を通知する画面251には、上記と同様に、地図表示ボタン2521、メンバー表示ボタン2522、作業内容表示ボタン2524、メッセージ表示2514、移動すべき防災センタの位置を示す地図を表示するグラフィック表示2515、通知事項表示2520が表示される(図17参照)。メッセージ表示2514には、支援装置1からの通知の内容として、所轄消防署への通報等を担う通報班の役割を通知するメッセージが表示される。メッセージ表示2514の内容は、例えば、「1階防災センタへ向かい、通報班のメンバーと共に、所轄消防署へ火災の通報を行ってください。」といったメッセージである。そして、このメッセージに対応して、グラフィック表示2515には防災センタの位置が把握できるような平面地図が表示される。また、通知事項表示2520には、例えば、「通報班を担当願います」といった通知事項が表示される。メンバー表示ボタン2522は後述するメンバー表示2523を表示する場合に、地図表示ボタン2521はメンバー表示2523から再びグラフィック表示2515を映出する場合に、作業内容表示ボタン2524は通知された役割が行うべき作業内容を表示する作業内容表示(図示せず)を表示する場合に、それぞれ操作されるべき位置を操作ボタンの形状で映出する。なお、メッセージ表示2514、グラフィック表示2515,通知事項表示2520、メンバー表示2523の表示内容は、支援装置1の通知部116からの指令信号で通知された情報に基づく。
次に、上記の通知画面においてメンバー表示ボタン2522を操作すると、グラフィック表示2515がメンバー表示2523に切り替わる(図18参照)。メンバー表示2523には、当該端末2を携帯している隊員と同じ役割に決定された隊員を識別できる程度の個人情報が表示される。例えば、顔写真、氏名およびその読み仮名、班の責任者等が表示される。これにより同じ役割の隊員同士を互いに認識できるので、初対面であっても、班長の指示に従って連携して作業に当たることができる。また、上記の通知画面において作業内容表示ボタン2524を操作すると、通知された役割の隊員が行うべき作業内容が表示される作業内容表示に切り替わる(図示せず)。このようにすることにより、平常時は通常の業務を行っている自衛消防隊の隊員であっても、異状が発生したような非常時に作業内容を随時確認することができ、防災訓練や後述する仮想訓練で学んだことを思い出すこともできるので適切な行動をとることができる。なお、メンバー表示2523および作業内容表示においては、地図表示ボタン2521はそのまま表示されているので、これを操作すると再び元の通知画面に戻ることができる。なお、メンバー表示2523および作業内容表示に表示する情報は、支援装置1の通知部116から役割の通知を受けたときに通信部23を介して受信した指令信号で通知される情報を記憶部22に記憶しておくようにしておく。
[操作部]
操作部24は、タッチパネル241を有する。タッチパネル241は、例えば操作者の指などの指示体によって操作され、表示部25の画面251に重なる領域における位置を指示する操作者の操作を検出する。タッチパネル241は例えば、画面251に重ねられた透明な静電容量方式のタッチパネルである。
そして、模擬訓練画面が表示されている状態では、訓練サーバ300で実行されている訓練プログラムの進行に応じた画面で各種操作ボタンが画面251に表示され、これらの操作ボタンのいずれかが操作されると、タッチパネル241は該当する位置の操作を検出する。この操作ボタンは、例えば、訓練メニュー画面(図5参照)では、仮想訓練選択ボタン2526、リアル訓練選択ボタン2527、訓練中止ボタン2528である。また、仮想訓練メニュー画面(図6参照)では、消火訓練選択ボタン2529、避難誘導訓練選択ボタン2530、前画面戻りボタン2531、次画面送りボタン2532、仮想訓練中止ボタン2533である。また、仮想消火訓練の最初の課題の画面(図7参照)では、火災現場最寄りの消火栓位置を入力するグラフィック表示2515である。また、不正解画面(図8及び11参照)、正解画面(図9参照)、別の課題の画面(図10および12参照)、では、同意ボタン2534、不同意ボタン2535である。これによって、操作者が模擬訓練に求める内容および操作者の回答内容を、制御部21が認識し、通信部23を介して模擬訓練の訓練プログラムを実行している訓練サーバ300が認識する。
また、要請画面が表示されている状態では、画面251に表示された、了解ボタン2518、参加不可ボタン2519のいずれかが操作され、タッチパネル241は該当する位置の操作を検出する。これによって、自衛消防隊への参加要請に対して、参加する旨の応答があったこと、参加できない旨の応答があったこと、のいずれであるかを制御部21が認識する。また、役割が通知されたときに通知画面が表示されている状態では、画面251に表示された、地図表示ボタン2521、メンバー表示ボタン2522、作業内容表示ボタン2524のいずれかが操作されると、タッチパネル241は該当する位置の操作を検出する。これによって、操作者が求める表示内容を制御部21が認識し、記憶部22を参照して該当する情報を読み出して画面251に表示する。
[記憶部]
記憶部22は、フラッシュメモリやSSD(ソリッドステートドライブ)などの不揮発性の記憶手段であり、制御部21のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。そのプログラムには、訓練サーバ300にアクセスして模擬訓練を実行するための閲覧ソフト、例えばWebブラウザのプログラムが含まれる。また端末2に固有の識別子をも記憶する。また、支援装置1から役割が通知されると共に送信されるメンバー情報や作業内容情報を記憶し、操作部の操作に応じて画面251に表示されるようにする。
[通信部]
通信部23は、支援装置1と通信するために無線通信によって通信回線3と接続し、また、訓練サーバ300通信するために無線通信によって通信回線11と接続する、インターフェースである。なお、通信回線3と通信回線11は、共通の通信回線としてもよい。
1−5.訓練サーバの構成と動作
次に、訓練サーバ300について、図4に基づいて説明する。訓練サーバ300は、防災サービス提供者が防火対象物である建築物毎に提供する模擬訓練の訓練プログラムを、端末2と連携して実行する訓練装置であり、例えば、端末2がWebブラウザを介してアクセス可能なWebサーバである。訓練サーバ300は、制御部310と、記憶部320と、通信部330と、を備える。通信部330は、信号線C4と通信回線11とを介して、支援装置1又は端末2と情報通信するインターフェースである。通信回線11は、通信回線3と共用の通信回線としてもよい。記憶部320は、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性の記憶手段であり、上記模擬訓練を実行する訓練プログラムを記憶する。制御部310は、記憶部320に記憶されたプログラムに基づいて訓練サーバ300の各部の動作を制御する制御手段である。
[制御部]
制御部310は、図示しないCPU等の演算処理装置を備え、その機能的構成として、認証部311、受付部312、出題部313、判定部314、通知部315、設定部316を備える。
認証部311は、通信部330を介して受信した端末2からのアクセスに基づいて、後述する会員データベース322(図において「データベース」を「DB」と表記する)を参照して、上記端末2が模擬訓練のサービスを提供する対象であれば該当する建築物の模擬訓練を行う訓練プログラムへのアクセスを許可する認証手段である。模擬訓練のサービスを提供する対象外からのアクセスは拒否する。また、模擬訓練のサービスを提供する対象の端末2からのアクセスであった場合でも、該当する建築物以外の模擬訓練の訓練プログラムへのアクセスは拒否する。このように認証部311は、模擬訓練のサービスを提供する建築物毎に認証を行い、建築物毎に提供する模擬訓練のサービスが、外部に漏洩することを防止するセキュリティ手段でもある。認証部311で実行する認証は、公知のあらゆる認証方法を用いることができる。例えば、端末2が有する固有の識別子で認証してもよいし、IDとパスワードによる認証を行ってもよい。
受付部312は、通信部330を介して端末2での操作を受信して受け付ける受付手段である。出題部313又は通知部315が端末2に表示させた操作ボタン、例えば図5〜12における操作ボタン2526〜2535、に対応する操作者の操作位置を、すなわち操作者が模擬訓練に求める内容および操作者の回答内容を、端末2の制御部21が認識し、端末2の通信部23、通信回線11、通信部330を介して受付部312が受信して認識する。
出題部313は、認証部311が認証した端末2に該当する訓練プログラムを、後述する記憶部320から訓練プログラム321を読み出し、受付部312が受け付けた端末2の操作に応じて、訓練プログラム321に基づいた課題を出題して端末2に表示させる出題手段である(例えば図7、10、12を参照)。出題部313が端末2の画面に課題を表示させるとき、通信部330を介して端末2がアクセス中のWebページに課題を表示するように制御する。
判定部314は、訓練プログラム312に基づいて出題部313が端末2に表示させた課題(例えば図7、10、12を参照)に対して、端末2の回答の正誤を判定する判定手段である。訓練プログラム312は、予め記憶しておいた正しい回答と端末2からの上記応答とを比較し、一致する場合は正しいと判定し、一致しない場合は不正解と判定する。そして、判定結果を後述する通知部315から端末2に表示させると共に、正解の場合は模擬訓練を実行中の自衛消防隊の役割への適性情報を加点し、後述する会員データベースに端末2の識別子と関連付けて記憶している適性情報を、加点された適性情報に更新する。
通知部315は、通信部330を介して、判定部314の判定結果と(例えば図8、9、11、13を参照)、訓練プログラムに予め記憶させておいた簡単な解説と(例えば図8、9を参照)、不正解の場合は再挑戦するか否か(例えば図8、11を参照)、又は、正解の場合は次の訓練に挑戦するか否か(例えば図9参照)、のメッセージと操作ボタンと、を端末2に表示させる通知手段である。
設定部316は、模擬訓練を行った端末2の端末識別子に対応する適性情報が更新された場合に、会員データベース322を参照して、端末識別子に対応する適性情報を支援装置1に記憶させる設定手段である。訓練サーバ300が定期的に支援装置1に記憶させるようにしてもよいし、支援装置1から定期的に適性情報の更新を要求するようにしてもよいし、端末2が模擬訓練を終了する度に訓練サーバ300から支援装置1に記憶させるようにしてもよい。また、支援装置1の記憶している適性情報を更新する際に送信するデータは、すべての端末識別子と対応する適性情報といった、すべての適性情報であってもよいし、適性情報に変化があった端末識別子に対応する適性情報といった差分情報であってもよい。
[記憶部]
不揮発性の記憶手段である記憶部320は、模擬訓練を実行する訓練プログラム321を第1の記憶領域に記憶する。訓練プログラム321は、防火対象物である建築物毎に防災サービス提供者によって提供される。すなわち、建築物毎に制作されて、フロア配置、間取り、建築物に配設されて自衛消防隊の訓練対象となる設備機器である消防設備の種類や配置、等が反映されたオーダーメードの訓練プログラムである。このように、実際の建築物を考慮した模擬訓練を実施することで、模擬訓練を行った者は実際の建築物における自衛消防隊の隊員としての役割を習得することができる。
また、記憶部320は、前記プログラムに加えて、第2の記憶領域として会員データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)322を有する。会員データベース322は、防災サービス提供者が模擬訓練のサービスを提供する対象の建築物毎に、すべての自衛消防隊の隊員が所持する端末2の識別子と、自衛消防隊の役割毎の模擬訓練の結果に基づく適性情報とを関連付けて記憶する。
また、記憶部320は、第3の記憶領域として設備データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)323を有してもよい。設備データベース323は、防災サービス提供者が模擬訓練のサービスを提供する対象の建築物毎に、自衛消防隊の訓練対象となる設備機器である消防設備の種類と位置とを関連付けて記憶する。
[通信部]
通信部330は、支援装置1又は端末2と通信するために、信号線C4を介して通信回線11と接続するインターフェースである。なお、通信回線11は、通信回線3と共通の通信回線としてもよい。
1−6.支援システムの動作
支援システム100の動作について説明する。
[模擬訓練時の動作]
まず、模擬訓練時の支援システム100の動作について、図1〜13、20を参照して説明する。
模擬訓練は、防災サービス提供者が防火対象物である建築物毎に制作されて提供される訓練プログラムを備えた訓練サーバ300と、端末2とで実行される。ここでは、訓練サーバ300は端末2がアクセスして訓練プログラムを実行するWebサーバであり、端末2がWebブラウザを用いて訓練サーバ300にアクセスするものとする。Webブラウザを起動した端末2は、通信部23と通信回線11とを介して訓練サーバ330にアクセスし、訓練サーバ300は通信部330を介して受信した端末2からのアクセスを認証部311が認証することで訓練プログラムが実行可能となる。このとき、認証部311は、会員データベース322を参照して、アクセスした端末2が模擬訓練のサービスを提供する対象であれば該当する建築物の模擬訓練を行う訓練プログラムへのアクセスを許可し、模擬訓練のサービスを提供する対象外からのアクセスは拒否する。認証部311で実行する認証は、公知のあらゆる認証方法を用いることができる。例えば、端末2が有する固有の識別子で認証してもよいし、IDとパスワードによる認証を行ってもよい。そして、端末2には該当する建築物の模擬訓練プログラムだけへのアクセスを許可する。つまり、模擬訓練のサービスを提供する対象の端末2からのアクセスであった場合でも、該当する建築物以外の模擬訓練の訓練プログラムへのアクセスは許可しないようにする。このように認証部311は、模擬訓練のサービスを提供する建築物毎に認証を行い、建築物毎に提供する模擬訓練のサービスが、外部に漏洩することを防止する。
端末2は、訓練サーバ300に認証されると、該当する建築物に対応した訓練プログラムが実行可能となり、まず、模擬訓練の訓練メニュー画面(図5参照)が画面251に表示され、所望の模擬訓練を選択する操作を行う。このような端末2の画面表示251は、Webサーバである訓練サーバ300上のWebページに端末2がアクセスすることによって、端末2の閲覧ソフトであるWebブラウザが画面251に表示する。ここでは仮想訓練選択ボタン2526が操作されて、いわゆる座学に相当する「仮想訓練」を実行するものとして説明する。
訓練サーバ300は、受付部312を介して端末2が仮想訓練を選択したことを検出すると仮想訓練を開始し、端末2の画面251には仮想訓練メニュー画面(図6参照)を表示させる。このとき、訓練画面内容表示2525に加えて、自衛消防隊としての役割を選択するボタンとして、消火訓練選択ボタン2529、避難誘導訓練選択ボタン2530が表示される。また、その他の訓練メニューを表示させるための次画面送りボタン2532、前の画面に戻して表示させるための前画面戻りボタン2531、仮想訓練を中止して、模擬訓練の訓練メニュー画面の表示に戻すための仮想訓練中止ボタン2533が表示される。仮想訓練メニュー画面で最初の画面が表示されているときは、戻るべき前画面が無いので、前画面戻りボタン2531は表示されないか、薄い表示となって操作できないものとする。ここでは、消火訓練選択ボタン2529が操作され、仮想消火訓練が開始されるものとして説明する。
訓練サーバ300は、受付部312を介して端末2が仮想消火訓練を選択したことを検出すると仮想消火訓練を開始し、端末2の画面251に第1の課題を示す設問画面を表示させる(図7参照)。ここでは、訓練画面内容表示2525に加えて、テキスト表示2514に第1の課題としての設問が表示されている。この場合は、建築物に配設されて自衛消防隊の訓練対象となる設備機器としての消防設備の位置を問う設問が「<消火訓練1>2階廊下で火災発生(○印)。地図上で現場最寄りの消火栓の位置をタッチしてください。」と表示されている。すなわち、異状発生位置に対応する最寄りの消防設備の位置を正しく判断できるか否かが問われる。そして、その設問に応じて操作すべき画面がグラフィック表示2515に表示され、訓練対象の建築物における実際の2階の平面地図と、火災発生位置が地図上に○印で表示されている。この端末2を操作して訓練者は、自らの記憶に基づいて、設問で問われた消防設備の位置を表示された地図の該当位置にタッチする。
訓練サーバ300は、受付部312を介して端末2の操作を検出すると、判定部314がその回答の正誤を判定する。そして、その回答が間違いであった場合は、通知部315が端末2に不正解画面を表示させる(図8参照)。ここでは、訓練画面内容表示2525に加えて、「不正解!そこには消火栓はありません。」とグラフィック表示2515に表示され、訓練者は自らの過ちを知ることとなる。そして、「<消火訓練1>再挑戦しますか?」とテキスト表示2514に表示され、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535が表示される。ここで不同意ボタン2535が操作されたことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、訓練サーバ300は訓練者の評価(適性情報)を更新することなく、この訓練を終了させる。ここで訓練者が同意ボタン2534を操作して再挑戦する意志を示したことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、出題部313は元の設問画面(図7参照)を端末2に表示させ、上記の動作を繰り返す。回答が正しかった場合は、通知部315が端末2に正解画面を表示させる(図9参照)。ここでは、訓練画面内容表示2525に加えて、「正解!それは一人で操作できる、易操作性1号消火栓です。消火訓練のポイントが、1つ上がって8になりました。」などとグラフィック表示2515に表示されている。つまり、訓練者の認識が正しかったことを告げ、該当する消防設備を簡単に解説して知識向上を図り、スキルアップしたことを告げてモチベーションアップを狙うなどする。さらに、テキスト表示2514に「<消火訓練1>ステップアップして次の訓練に挑戦しますか?」と表示して、訓練者の訓練継続の意思を問い、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535を表示する。
ここで不同意ボタン2535が操作されたことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、訓練サーバ300は訓練者の評価(適性情報)を更新することなく、この訓練を終了させる。ここで訓練者が同意ボタン2534を操作して次の訓練に挑戦する意志を示したことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、出題部313はレベルアップした次の課題を示す設問画面を端末2に表示させる(図10参照)。ここでは、前の設問で簡単に解説された消防設備の操作方法を問う設問が表示されている。例えば、「<消火訓練2>2階廊下の消火栓は易操作性1号消火栓といって一人で操作できるタイプです。上記の操作手順は正しいですか?」とテキスト表示2514に表示され、その上方のグラフィック表示2515に「易操作性1号消火栓の操作 1.消火栓の扉を開ける 2.バルブを開ける 3.ノズルを取り出す 4.ノズルの先端を回す 5.ノズルを持ってホースを伸ばす。」等と表示され、同意ボタン2534と不同意ボタン2535が表示される。この場合、設問画面に表示された操作手順は誤りである。そして、訓練者が同意ボタン2534を操作したことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、通知部315が端末2に不正解画面を表示させる(図11参照)。ここでは、そのような操作を行うと何が起こるかをグラフィック画面2515に示して正しい操作方法を示唆すると共に、再挑戦を促す画面をテキスト画面2514に表示し、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535を表示している。
ここで訓練者が不同意ボタン2535を操作したことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、訓練サーバ300は訓練者の評価(適性情報)を更新することなく、この訓練を終了させる。ここで訓練者が同意ボタン2534を操作して訓練に再挑戦する意志を示したことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、出題部313は、例えば類似する異なった課題を示す設問画面(この場合は、操作手順が異なる)が表示される(図12参照)。この場合、設問画面に表示された操作手順は正しい。そして、訓練者が同意ボタン2534を操作したことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、判定部314がその回答の正誤を判定し、この場合は正しい回答なので、通知部315が端末2に正解画面を表示させる(図示せず)。この正解画面は、図9のように、訓練者の認識が正しかったことを告げ、該当する消防設備を簡単に解説して知識向上を図り、スキルアップしたことを告げてモチベーションアップを狙うなどする。さらに、訓練者の訓練継続の意思を問い、同意ボタン2534と、不同意ボタン2535を表示する。ここで不同意ボタン2535が操作されたことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、訓練サーバ300は訓練者の評価(適性情報)を更新することなく、この訓練を終了させる。ここで訓練者が同意ボタン2534を操作して次の訓練に挑戦する意志を示したことを訓練サーバ300が受付部312を介して検出すると、出題部313はレベルアップした次の課題を示す設問画面を端末2に表示させる。
このようにして、訓練者は、自らの意志によって仮想訓練を継続し、自らの認識の正しさを理解すると共に自衛消防隊の役割に習熟していく。同時に、仮想訓練を終えたとき、訓練サーバ300の通知部315は訓練成果を端末2に表示させる(図13参照)。ここでは、訓練画面内容表示2525に加えて、仮想消火訓練の成果に基づいて評価された適性情報を示す仮想訓練ポイントがグラフィック表示2515に表示され、訓練者の労を労うと共に再度の訓練参加による更なるレベルアップを求める表示がテキスト表示2514に表示されている。同時に、訓練サーバ300は、記憶部320の会員データベース322に記憶されている、上記訓練に参加した端末2の端末識別子に該当する会員番号の適性情報である仮想訓練ポイントを更新する(図20の仮想訓練ポイント欄を参照)。そして、訓練サーバ300の設定部316は、通信部330を介して更新された適性情報を該当する建築物に設置された支援装置1に送信し、これを第3の通信部15を介して受信した支援装置1の訓練部118は、受信した端末識別子に該当する隊員の適性情報を隊員データベース122に記憶し更新する。なお、以上は模擬訓練の訓練プログラムとして「仮想訓練」を実施した場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、模擬訓練メニュー画面に表示された「リアル訓練」(図5参照)については後述する。
支援装置1の適性情報の更新は、速やかに行われることが望ましいが、情報が陳腐化することを防ぐために、少なくとも1日に1回は行われるべきものである。例えば、訓練サーバ300が定期的に、少なくとも1日1回は支援装置1へ適性情報を送信して記憶を更新させるようにする。また、例えば、支援装置1から定期的に、少なくとも1日1回は適性情報の更新を要求し、それに応じて訓練サーバ300が適性情報を送信するようにしてもよい。また、例えば、端末2が模擬訓練を終了する度に、訓練サーバ300から支援装置1に適性情報を送信して記憶させるようにしてもよい。なお、更新する適性情報の送信するデータは、該当する建築物の支援装置1に対して、すべての端末識別子と対応する適性情報といった、すべての適性情報であってもよいし、適性情報に変化があった端末識別子に対応する適性情報といった差分情報であってもよい。
以上のように、訓練サーバ300を用いて模擬訓練を行うことにより、支援装置1は自衛消防隊の役割に対する隊員の適性情報を得ることができる。また、このような模擬訓練は、平常時は通常の業務を行っている自衛消防隊の隊員が自らの意志で自由な時間に行うことができるので、自衛消防隊全員が参加する通常の消防訓練のように隊員を拘束することがない。したがって、日々、自己啓発によるスキルアップを行うことができ、ひいては自らが担当する自衛消防隊の役割以外の役割についても、ある程度は習熟することも可能となる。
[異常発生時の動作]
次に、異状発生時の支援システム100の動作について、図1〜3、15〜27を参照して説明する。
自火報設備200において、受信機4の図示しない受信手段が感知手段からの異状感知信号を受信するまで待ち受けており(図21のS001のNo)、感知手段である火災感知器5やガス漏れ検知器6が異状を感知すると、これを受信する(図21のS001のYes)。受信機4の図示しない確認手段が、受信した異状感知信号が非常電話の起動又は発信機の操作といった人為的操作に基づかないと判断すると(図21のS002のNo)、受信機4の図示しない異状判断手段が、一過性の異常感知信号であるか否かを判断する(図21のS004)。この異状判断手段は、蓄積機能等の公知の異状判断手段である。そして、異状判断手段は、異状感知信号が異状であると判断できない場合(図21のS004のNo)、感知手段を復旧(例えば、蓄積復旧)するなどして再び異状感知信号を待ち受ける(図21のS001)。そして、異状判断手段が異状であると判断する、例えば判断手段が公知の蓄積機能である場合は、所定時間以内に再び異状感知信号が受信されると異状であると判断する(図21のS004のYes)。このように異状判断手段が異状であると判断すると、音声警報装置7より第1段階の警報として「火災感知放送」を行うと共に異状を感知した感知手段の感知手段位置情報を含む異状情報として異状信号を送出する(図21のS005)。この異状信号は、信号線C1を介して支援装置1の第1通信部14へ送られる(図1、2参照)。
一方、支援装置1は、第1通信部14が異状信号を受信するまで待ち受けている(図22のS101のNo)。そして、受信機4から送出された上記異状信号を受信すると(図22のS101のYes)、支援装置1は、異状位置を特定し、特定した異状位置の情報を異状位置情報として付して端末2へ自衛消防隊への参加要請を行う。すなわち、支援装置1の制御部110の特定部111は、受信した異状信号に含まれる感知器固有の識別子又は区画番号等で与えられる感知手段位置情報に基づいて異状位置情報を取得する。詳しくは、記憶部12が有する設置場所データベース121を参照し、該当する感知手段の設置場所又は異状区画である建物位置情報を特定し、異状位置情報として取得する。そして、制御部110の要請部113は、すべての端末2に向けて、上記異状位置情報を付して要請画面を表示するように第2の通信部13を介して、指令信号を送信する。つまり、自衛消防隊への参加を要請する。このとき同時に、上記要請に対する端末2からの応答を受付部112が締め切るまでの所定の受付時間の計時を開始する(図22のS102)。
他方、端末2は、通信部23が支援装置1からの上記参加要請である指令信号を受信するまで待ち受けており(図23のS201のNo)、支援装置1から上記参加要請の指令信号があれば(図23のS201のYes)、自衛消防隊への参加を要請する要請画面(図15参照)を表示部25の画面251に表示する(図23のS202)。画面251には、了解ボタン2518と、参加不可ボタン2519とが表示される。これらのボタンは、表示された座標に対応する位置に指示体が触れたときに、操作者に操作されたことがタッチパネル241によって検出される。また画面251には、メッセージ表示2514と、地図表示2515と、要請事項表示2517とが表示される。
地図表示2515には、防火対象物である建築物における上記異状位置情報に基づいた異状位置付近の平面地図が表示され、例えば、この地図上に「○」で異状感知信号を送出した感知手段の設置場所が、「×」で当該端末2の位置(図示せず)が、それぞれ表示される。そして、メッセージ表示2514には、例えば「△△階廊下東の火災感知器が作動しました。自衛消防隊への参加を要請します。」といったメッセージが表示される。異状位置が異状区画で与えられるような場合は、地図表示2515上の「○」に代えて、当該異状区画に相当する範囲の色を変えるなどして表示する。当該端末2を携帯する自衛消防隊の隊員は、メッセージ表示2514と地図表示2515とによって異状事態を把握する。そして、参加要請に対して、参加する旨の応答をする場合は(図23のS203のYes)、了解ボタン2518を操作する(図23のS204)。また、自衛すべき建物から離れているような参加できない事情がある場合は(図23のS203のNo)、参加不可ボタン2519を操作する(図23のS205)。そして、端末2の通信部23は、操作された各ボタンに割り当てられた内容の応答信号を支援装置1に向けて送信する(図23のS206)。このとき、地図表示2515には当該端末2の位置は表示されない。また、自衛すべき建物から離れて端末2に通信回線3の電波が届かないような場合は、当該端末2には要請画面自体が表示されないので、当然のこととして当該端末2からの応答は無い。
このとき、支援装置1の受付部112は、所定の受付時間が経過するまで(図22のS104のNo)端末2からの応答を待ち受けており、この間に端末2からの応答を受信すると、これを受け付けて記憶部12に記憶する(図22のS103)。そして、所定の受付時間が経過すると受け付けを締め切る(図22のS104のYes)。その後、制御部110の編成部117は、端末2の識別子と対応する隊員の属性情報とを関連付けて記憶した第1の記憶領域である隊員データベース122を参照して、参加する旨の応答があった端末2に対応する隊員の属性情報を取得する。そして、編成部117は、まず、参加する旨の応答があった隊員の属性情報における任命順位(図20参照)に応じてその役割を決定し、自衛消防隊を編成する(図22のS105)。そして、役割を担うべき隊員が足りない場合、すなわち欠員が生ずるような場合は、編成部117は、参加する旨の応答のあった隊員の属性情報における適性情報としての適性ポイント(図20参照)に応じて補充する隊員を決定する(図示せず)。このとき、編成部117が決定した隊員の役割は、隊員データベース121を参照して読み出した同一の役割に決定された隊員が互いに識別可能な程度の隊員識別情報としてのメンバー情報と共に役割データベース123に記憶される。通知部116は、編成部117が決定した隊員毎の役割とメンバー情報と役割毎の作業内容情報とを役割データベース123から読み出し、当該隊員が携帯する端末2毎に通知して役割を示す通知画面を表示させる。このとき同時に、メンバー情報と作業内容情報とを端末2の記憶部22に記憶させる(図22のS106)。
支援装置1からの自衛消防隊への参加要請に対して応答した端末2は、支援装置1からの通知である通知画面を表示させる指令信号を待ち受けており(図24のS207のNo)、支援装置1からの通知を受信すると(図24のS207のYes)、表示部25の画面251に通知情報を表示する通知画面(図16、17参照)を表示する(図24のS208)。そして、支援装置1からの通知が決定された役割を通知するものであったとき(図24のS209のYes)、このとき、同時に受信した支援装置1からのメンバー情報と作業内容情報とを記憶部22に記憶する。そして、隊員は通知内容に従って初期対応を行う(図24のS216)。支援装置1からの通知が決定された役割を通知するものではないときは(図24のS209のNo)、通知内容に応じた通知情報を表示する通知画面(図示せず)を表示して、次の通知に備える(図24のS207)。例えば、自衛消防隊に参加しない隊員に対しては、情報提供のみとなる。
役割の通知を受け取った端末2では、その役割での作業内容を端末2に表示するときは(図24のS210のYes)、作業表示ボタン2524を操作して(図24のS211)、記憶部22を参照して作業内容表示を表示させる(図24のS212)。また、同じ役割を担うメンバーを端末2に表示するときは(図24S213のYes)、メンバー表示ボタン2522を操作し(図24のS214)、記憶部22を参照してメンバー情報を読み出し、メンバーを互いに識別可能な程度の個人情報を表示する。例えば、メンバーの顔写真、氏名、氏名の読み仮名等のメンバー情報に基づいてメンバー表示2523(図18参照)を表示させる(図24のS215)。なお、図24には図示していないが、元の地図表示2515に戻すときは、地図表示ボタン2521を操作するようにする。
このようにして、携帯する端末2を通じて役割を通知された自衛消防隊の隊員は、各々通知された役割で初期対応を行い(図22のS107)、火災復旧するまで継続する(図22のS108)。なお、図示しないが、火災が拡大して初期消火できる段階を超えてしまうような場合は、装備も無く消防活動の素人である自衛消防隊の隊員を避難させ、十分な装備を有し訓練も受けている公設消防隊に託すべきである。このような場合は、自衛消防隊の指揮者が判断して、支援装置1を手動操作し、隊員が携帯する端末2に避難指示を表示させるように通知部116から避難指示を通知するようにする。
以上のように本発明の支援システム100は、記憶部12の隊員データベース122に隊員毎の属性情報を記憶しておき、防災計画に基づいて隊員毎に予め任命された自衛組織の役割である属性情報に含まれる任命情報に基づいて隊員毎の役割を決定し、欠員を生ずる役割については属性情報に含まれる適性情報に基づいて補充する隊員を決定して、自衛組織を編成する。したがって、固定的な防災計画では不在等の要因で欠員を生ずるような場合であっても、隊員毎の属性情報に基づいて補充する隊員を決定し、欠員を生ずることなく自動的に自衛組織を編成することができる。そして、共同して初期対応せねばならぬ相手の情報を共有することができるので、それ以前に面識が無い者同士が初期対応に当たるときであっても連携して対応することができる。
また、上記のように、訓練サーバ300を用いた模擬訓練は、自衛消防隊の役割に対する隊員の適性を測定し、自衛消防隊を編成する際に欠員を生ずる場合に補充する隊員を決定する根拠となる。また、上記模擬訓練は、現実の防災訓練を補完する目的で、防災サービス提供者が実際の建築物毎に提供するものであり、端末2を用いて行う模擬訓練は一人で自由な時間に行うことができるので、平常時の業務の合間を利用して随時実行することが可能である。なお、上記した模擬訓練はその一例に過ぎず、自衛消防隊の役割や、使用する消防設備、役割のレベル等に応じて様々な訓練メニューが適宜用意される。したがって、この模擬訓練を実行することで、異状発生時に実際に使用する消防設備の場所や操作方法を学習することができる。すなわち、自衛消防隊の隊員としてのスキルアップが期待できる。
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
上記実施形態で説明した模擬訓練は、いわゆる座学研修に相当する「仮想訓練」であったが、端末2を操作しながら表示される指示に従った現実の行動を伴う現実的模擬訓練を行うこともできる。いわゆる実技研修に相当する訓練であり、ここでは仮に「リアル訓練」と称することとする。
この「リアル訓練」を実行するには、端末2を操作して訓練サーバ300にアクセスし、認証されて訓練メニュー画面(図5参照)が表示されるまでは上記実施形態と同様である。そして、訓練メニュー画面において「リアル訓練」を選択する。そして、訓練サーバ300は、受付部312を介して端末2がリアル訓練を選択したことを検出するとリアル訓練を開始し、端末2の画面251にはリアル訓練メニュー画面(図示せず)を表示させる。このとき、「リアル訓練」と表示される訓練画面内容表示2525に加えて、仮想訓練メニュー画面(図6参照)と同様に、自衛消防隊としての役割を選択するボタンとして、消火訓練選択ボタン2529、避難誘導訓練選択ボタン2530が表示される。また、その他の訓練メニューを表示させるための次画面送りボタン2532、前の画面に戻して表示させるための前画面戻りボタン2531、仮想訓練を中止して、模擬訓練の訓練メニュー画面の表示に戻すための仮想訓練中止ボタン2533が表示される。リアル訓練メニュー画面で最初の画面が表示されているときは、戻るべき前画面が無いので、前画面戻りボタン2531は表示されないか、薄い表示となって操作できないものとする。ここでは、消火訓練選択ボタン2529が操作され、リアル消火訓練が開始されるものとして説明する。
訓練サーバ300は、受付部312を介して端末2がリアル消火訓練を選択したことを検出するとリアル消火訓練を開始し、端末2の画面251に第1の課題を示す設問画面を表示させる(図14参照)。ここでは、訓練画面内容表示2525に加えて、テキスト表示2514に第1の課題としての設問が表示されている。この場合は、建築物に配設されて自衛消防隊の訓練対象となる設備機器としての消防設備の位置を問う設問が「<消火訓練>2階廊下で火災発生(○印)。地図を参照して、現場最寄りの消火栓へ向かってください。」と表示されている。すなわち、異状発生位置に対応する最寄りの消防設備の位置へ正しく向かうことができるか否かが問われる。そして、その設問に対応して訓練対象の建築物における実際の2階の平面地図と、火災発生位置が地図上に○印でグラフィック表示2515に表示される。この端末2を操作していた訓練者は、自らの記憶に基づいて、設問で問われた消防設備の位置へ向かう。
一方、この変形例では、端末2は公知の測位システムを利用して自らの位置情報を取得する測位部26を更に備える(図3参照)。測位システムには、屋外又は衛星通信条件が良い屋内においては、例えば衛星による測位システムGPS(Global Positioning System)やGLONASS(GLObal’naya NAvigatsuionnaya Sputnikovaya Sistema)を用いることができる。また、例えば、衛星通信条件が悪い屋内においては、GPSを補完するIMES(Indoor MEssaging System)を用いることができる。また、例えば、モバイル通信網の無線基地局や無線LANのアクセスポイント等に基づく測位システムによって、自己の位置情報である端末位置情報を取得する(測位する)ことができる。
また、一方で、訓練サーバ300の記憶部320は、第3の記憶領域として設備データベース(図において「データベース」を「DB」と表記する)323を備えるようにする。設備データベース323は、防災サービス提供者が模擬訓練のサービスを提供する対象の建築物毎に、自衛消防隊の訓練対象となる設備機器である消防設備とその位置情報とを関連付けて記憶するものである。
端末2は測位部26が取得した位置情報を通信部23および通信回線11を介して訓練サーバ300へ送信し、訓練サーバ300は通信部330を介して受付部312が上記位置情報を受信する。訓練者が設問で指定された位置に到着したと判断した際に、端末2を操作して位置情報を送信するようにしてもよい。そして、判定部314は、設備データベース323を参照して上記位置情報の正誤を判定する。
そして、上記位置情報が正しかった場合、訓練サーバ300の通知部315は、例えば図9に示す仮想訓練の場合の正解画面と同様に、端末2に正解画面を表示させる。そして、訓練サーバ300は、記憶部320の会員データベース322に記憶されている、上記訓練に参加した端末2の端末識別子に該当する会員番号の適性情報であるリアル訓練ポイントを更新する(図20のリアル訓練ポイント欄を参照)。なお、会員データベース322は、仮想訓練ポイントとリアル訓練ポイントに基づいた総合的な適性情報として適性ポイントを算出して記憶する。この値は、仮想訓練ポイントとリアル訓練との和であってもよいし、両者に異なる重みを持たせるようにしてもよい。また、仮想訓練を満了している場合にリアル訓練ポイントを倍増させて加算するような重み付けをしてもよい(図20参照)。そして、訓練サーバ300の設定部316は、通信部330を介して更新された適性情報を該当する建築物に設置された支援装置1に送信し、これを第3の通信部15を介して受信した支援装置1の訓練部118は、受信した端末識別子に該当する隊員の適性情報を隊員データベース122に記憶し更新する。
このように、自衛消防隊が活動すべき建築物で、消防設備の位置を実際に認識していることは、自衛消防隊の役割を果たす上で重要なファクターである。そして、この「リアル訓練」を実施することで、訓練者は消防設備の位置を習得することができる。
2−2.変形例2
上記変形例において、測位システムを用いることに代えて、消防設備毎に標識となる固有の識別子を有する識別手段を設け、その識別手段の識別子を検出可能な設備機器検出手段を端末2に設けることによって、訓練者が設問の位置に到達し、設問の対象である消防設備を認識しているか否かを判断することもできる。例えば、その識別手段は、消防設備の識別子を視覚的に表示した視覚的識別手段としてのQRコード(登録商標)やバーコードである。そして、このように識別手段が視覚的識別手段の場合は、端末2は設備機器検出手段として撮像手段、すなわちカメラを備えるようにする。
この場合、訓練者が設問で指定された位置に到着したと判断した際に、端末2を操作して視覚的識別手段を撮影し、その画像又は画像から読み取れる識別子を訓練サーバ300に送信する。そして、判定部314は、設備データベース323を参照して上記識別子又は受信した画像から読み取れる識別子の正誤を判定するようにすればよい。このようにすることにより、上記変形例よりも精度の高い判定が可能となり、更に、操作すべきバルブの位置など、識別手段を適宜配置することにより、より詳細な設問を行うことも可能となる。
2−3.変形例3
上記変形例の識別手段は、消防設備の識別子を電磁的標識として設けた電磁的識別手段としての公知の無線タグに代えてもよい。例えば、パッシブタグ、アクティブタグ、セミアクティブタグのいずれかである公知のRFID(Radio Frequency IDentification)であり、電磁誘導式であっても電波方式であってもよい。また、Felicaなど公知のNFC規格(Near Field Communication)あるいはそれに準ずる近接型RFIDであってもよい。そして、このように識別手段が電磁的識別手段の場合は、端末2は設備機器検出手段として、対応する電磁的読取手段を備えるようにする。
この場合も、訓練者が設問で指定された位置に到着したと判断した際に、端末2を操作して電磁的読取手段を操作して読み取られた識別子を訓練サーバ300に送信する。そして、判定部314は、設備データベース323を参照して上記識別子の正誤を判定するようにすればよい。このようにすることにより、上記変形例と同様に精度の高い判定が可能となり、操作すべきバルブの位置など、識別手段を適宜配置することにより、より詳細な設問を行うことも可能となることも同様である。
2−4.変形例4
支援装置1は、防災サービス提供者が実施する現実の防災訓練の結果に基づく自衛組織である自衛消防隊の役割に対する隊員毎の適性情報を、隊員データベース122の適性情報として記憶し、これに基づいて欠員を生ずる役割について補充する隊員を決定し、自衛消防隊を編成するようにしてもよい。防災訓練を実施した防災サービス提供者は、防災訓練の結果に基づいて自衛消防隊の役割に対する隊員毎の適性を客観的基準に基づいて評価して、訓練サーバ300の会員データベース322に新たな適性情報の項目としてこれを記憶させる(図示せず)。そして、模擬訓練に基づく適性ポイントである仮想訓練ポイントおよびリアル訓練ポイントよりも重みがある適性ポイントとして、総合的適性情報である適性ポイントを算出するようにしてもよい。そして、訓練サーバ300の設定部316は通信部330と通信回線11とを介してこれを送信し、支援装置1の訓練部118は第3の通信部15を介して受信した上記適性ポイントをさらに取得し、隊員データベース122の適性情報を更新するようにしてもよい。
このようにすることにより、模擬訓練のみの適性情報に限らず、実際の防災訓練の成果を自衛消防隊の編成に活用することができる。
2−5.変形例5
端末2と支援装置1との間で通信する通信回線3と、訓練サーバ300と端末2、および、訓練サーバ300と支援装置1との間で通信する通信回線11とは、共用することが可能であるが、それぞれ独立した通信回線であることが望ましい。
例えば、端末2と支援装置1との間で通信する通信回線3は、防火対象物である建築物に設けられて前記建物外部からのアクセスを禁止する通信回線とすることが望ましい。すなわち、当該建築物専用の通信回線である。このようにすることにより、通信事業者が提供する一般公衆回線と異なり、外部から侵入することは物理的に不可能となりセキュリティが保たれる。また、一般公衆通信回線のような意図せぬ通信トラフィックの増大による通信速度の低下や通信障害を受けることがなく、また大規模災害時の利用制限やシステムダウンの影響を受けることがない。また、専用の予備電源を備えて停電時において一定の動作を維持できるようにしておくことにより、地域的あるいは大規模な停電があっても機能を喪失することがない。
なお、訓練サーバ300と端末2、および、訓練サーバ300と支援装置1との間で通信する通信回線11は、平常時に模擬訓練を実施し、模擬訓練の結果に基づく隊員の適性情報を更新することに用いられるものであるから、異状発生等の緊急時に用いるものではないので、通信事業者が提供する一般公衆通信回線でよい。
2−6.変形例6
訓練サーバ300又は支援装置1から端末2に対して、定期的に模擬訓練の実施を促す通知を送信するようにしてもよい。この通知は、端末2の通信部23を介して端末2に受信させ、これを受信した制御部21が表示部25に受信した通知を表示させるようなものであってもよいし、電子メールによるものであってもよい。すなわち、端末2は、予め定めた頻度又は時間間隔で、訓練サーバ300又は支援装置1から定期的に送信される模擬訓練実施を促す通知を、通信部23を介して受信し、受信した前記通知を表示部25に表示させる制御部21を備えるものである。
このようにすることにより、自衛消防隊の隊員に模擬訓練への参加を促し、模擬訓練を推進することによって、自衛消防隊全員のスキルアップを図ることができる。
2−7.変形例7
上記実施形態および変形例は、訓練サーバ300にて模擬訓練の訓練プログラムを実行するものであり、端末2は訓練サーバ300にアクセスして模擬訓練を実施するものであったが、これに代えて模擬訓練の訓練プログラムを支援装置1で実行するようにしてもよい。この場合、端末2は、支援装置1にアクセスして模擬訓練を実施する。また、防災サービス提供者が防火対象物である建築物毎に提供する、すなわちオーダーメードの模擬訓練の訓練プログラムは、これを配信する訓練サーバ300から支援装置1にダウンロードして実行するようにする。
すなわち、端末2の制御部21は、表示部25と操作部24と通信部23とを制御すると共に模擬訓練時は支援装置1と連携して訓練プログラムを実行する。また、支援装置1は、第3の通信部15を介して、防災サービス提供者が防火対象物である建築物毎に提供する模擬訓練の訓練プログラムを配信する訓練サーバ300からダウンロードして実行する。また、実行した模擬訓練の結果に基づく自衛消防隊の役割に対する隊員毎の適性情報を取得する訓練部118を備える。また、訓練部118が取得した隊員毎の適性情報と、防災計画に基づいて隊員毎に予め任命された自衛組織の役割である任命情報と、から隊員毎の属性情報を成す。そして、その属性情報を対応する端末識別子と関連付けて記憶する第1の記憶領域としての隊員データベース122を備える。支援装置1は、異状発生時に記憶部12の隊員データベース122を参照して任命情報に基づいて隊員毎の役割を決定する。そして、支援装置1は、欠員を生ずる役割については隊員データベース122の適性情報に基づいて補充する隊員を決定して自衛消防隊を編成する編成部117を備える。
2−8.変形例8
上述した実施形態において、特定の役割に優先して決定されるべき属性を有する隊員について、その役割が優先して決定されるようにしてもよい。すなわち、支援装置1の記憶部12は、特定の役割に優先して決定されるべき属性を有する隊員について、前記属性情報に役割決定の優先順位を付して第1の記憶領域である隊員データベース122に記憶する。さらに、支援装置1の制御部110の編成部117は、上記優先順位で役割を決定して自衛消防隊を編成するようにする。このようにすることにより、特定の役割に優先して決定されるべき属性を有する隊員、特に、自衛消防隊の指揮や、消火装置の操作に秀でた者など、希少な能力を有する隊員に対して適切な役割を決定するように自衛組織を編成することができる。
2−9.変形例9
上述した実施形態において、自衛消防隊を編成するには、支援装置1において、制御部110の特定部111、記憶部12の第2の記憶領域である設置場所データベース121を設けなくてもよい。このとき、受信機4からの異状信号を支援装置1が受信したときに要請部113が異状情報と自衛消防隊への参加要請とを含む要請画面を端末2に表示させる際、異状情報と共に端末2に表示させる建物位置情報に代えて感知手段位置情報が表示されるようにしてもよい。例えば、端末2の画面251に表示される地図表示2515に代えて異状を感知した感知手段の識別子や区画番号を表示する。このような表示は、建物位置情報に基づく地図表示2515ほど直感的に状況を把握し易いものではないが、自衛消防隊を編成する上では何ら障害となるものではない。また、上記感知手段位置情報が得られないような場合でも、編成部117は異状位置に基づかないレベルで自衛消防隊の編成は可能である。
2−10.変形例10
上述した実施形態において、自衛消防隊の役割毎に定数を設定し、この定数を満たすように自衛消防隊を編成するようにしてもよい。すなわち、支援装置1の記憶部12の役割データベース123に、自衛消防隊の役割毎の定数をさらに記憶するようにし、その定数を満たすように制御部110の編成部117が自衛消防隊を編成するようにする。このようにすることにより、複数の人数を要するような役割、例えば、ホース先端部のノズルを持って火元に向かって放水する者と消火栓弁を開放する者とを要するような屋内消火栓を使って初期消火を行う役目であっても編成することが可能となる。
さらに、前記定数を満たすように自衛消防隊を速やかに編成できた場合は、所定の受付時間を待つことなく、受付部112は受け付けを締め切るようにしてもよい。このときは、自衛消防隊の役割毎の定数を充足しているので、直ちに初期消火等の対応が可能だからである。そして、このようにすることにより、より早期に初期消火等の対応が可能となる。
また、前記役割において定員充足を必須とする役割について下限定数を設け、この下限定数が設定されている役割については、優先して下限定数を充足するように自衛消防隊を編成するようにしてもよい。すなわち、役割データベース123は、役割毎に最低限必要とされる定員として下限定員をさらに記憶するようにする。そして、この下限定数を優先して充足するように、編成部117は自衛消防隊を編成するようにする。このようにすることにより、複数の人数での作業を必須とするような役割、例えば上述したような屋内消火栓を使って初期消火を行うような役目に欠員を生じないように自衛消防隊を編成することができる。
さらに、上記下限定数を充足するように自衛消防隊を編成できなかったときは、自衛消防隊の隊員を避難させるようにしてもよい。すなわち、そのときに、通知部116は端末2すべてに避難指示を表示させるようにする。初期消火等の作業を行うにあたって必須の人数であるような下限定数が充足されないようでは、自衛消防隊は満足な作業を行えないばかりでなく、公設の消防隊ほどの装備も知識も有していない自衛消防隊の隊員に危険が及ぶ虞がある。そして、指揮者が判断するまでもなく早期に安全圏へ避難させることによって隊員の生命を守ることができる。
また、このように初期消火の役割の隊員に対してまでも避難させるような状況では、もはや初期消火は不可能であり、自動的に所轄消防署に火災発生を通報し、公設消防隊の出動を求めるようにしてもよい。すなわち、このとき支援装置1は通報装置(図示せず)を介して所轄消防署へ火災通報を行うようにする。このようにすることによって、隊員を避難させて安全を確保しながら、速やかに公設消防隊による消火活動を求めることができる。
また、役割データベース123は、隊員データベース122に代えて、特定の役割に優先して決定されるべき属性を有する隊員について、前記役割毎に優先して決定する隊員をさらに記憶するようにしてもよい。
2−11.変形例11
上述した実施形態において、支援装置1は端末2に役割を通知すると共に役割に該当する作業内容情報とメンバー情報とを送信していたが、端末2からの要求に応じて該当する作業内容情報又はメンバー情報を支援装置1が送信するようにしてもよい。すなわち、端末2の作業内容表示ボタン2524又はメンバー表示ボタン2522を隊員が操作したときに通信部23が支援装置1に対して作業内容情報又はメンバー情報の送信要求を行うようにする。そして、支援装置1の受付部112は所定の受付時間が締め切られた後でも、この送信要求を受け付けられるようにしておく、あるいは、端末2からの送信要求を常時受け付けられる第2の受付部(図示せず)を設けるようにする。端末2からの作業内容情報又はメンバー情報の送信要求を受け付けた支援装置1は、送信要求した端末2に該当する作業内容情報又はメンバー情報を役割データベース123から読み取り、通知部116がこれを端末2に表示させるようにする。
このようにすることにより、支援装置1が自衛消防隊を編成して各端末2に役割を通知する際の通信トラフィックを低減し、端末2からの要求に応じて作業内容情報又はメンバー情報を送信するので、通信トラフィックを分散して高速で安定した通信を維持することができる。
2−12.変形例12
上述した実施形態において、隊員が携帯する端末2の位置に応じて各隊員の役割を決定し、自衛消防隊を編成するようにしてもよい。すなわち、端末2は自己の位置を示す情報である端末位置情報を取得する上記測位手段を有し、支援装置1は、端末位置情報に基づいて自衛消防隊を編成する。
測位部26は、端末2が自己の位置を示す情報である端末位置情報を、支援装置1からの参加要請の指令信号を受信しない間に周期的に取得し、これを制御部21が通信部23を介して当該端末2の識別子と共に支援装置1へ送信する(図26のS221〜S224を参照)。
このとき、支援装置1は端末2からの端末位置情報を待ち受けている(図25のS111のNoおよびS113のNo)。そして、通信回線3を介して第2の通信部13で端末位置情報と該当する端末2の識別子とを受信すると(S111のYes)、端末2の位置を記憶部12へ記憶して逐次更新し、1以上の端末2について、その位置情報を最新に保つようにしておく(S112)。
支援装置1は、受信機4からの異状信号を第1の通信部14が受信すると(S113のYes)、制御部110の特定部111は、受信した異状信号に含まれる感知器固有の識別子又は区画番号等で与えられる感知手段位置情報に基づいて、記憶部12が有する第2の記憶領域である設置場所データベース121を取得する。そして、該当する感知手段の設置場所又は異状区画である建物位置情報を特定し、異状位置情報として取得する。そして、支援装置1の編成部117は、異状位置情報と端末位置情報に基づいて異状位置に近い複数の端末2を抽出する。次に、隊員データベース122と役割データベース123とを照合して抽出した端末2を携帯する隊員の属性情報が現地対応要員として適格である場合に現地対応要員の候補として選定し、所定の適格者がみつかるまで上記照合を繰り返す。役割データベース123に現地対応要員の定数や下限定数が設定されている場合は、それを充足するまで上記照合を繰り返す。そして、現地対応要員候補が携帯する端末2が選定されると、現地対応要員候補以外の隊員が携帯する端末2からの参加応答を受け付ける所定の受付時間の計時を開始すると共に、現地対応要員候補が携帯する端末2からの応答を待ち受ける所定時間の計時を開始する(S114)。そして、支援装置1の要請部113は、第2の通信部13と通信回線3とを介して、選定された現地対応要員候補の携帯する端末2に現地対応への参加要請を表示(図示せず)させる(S115)。また、他の端末2に自衛消防隊への参加要請を表示(図15参照)させる(S123)。このとき、現地対応要員候補の携帯する端末2に表示する現地対応への参加を要請する表示は、自衛消防隊への参加要請の表示(図15)におけるメッセージ表示2514と要請事項表示2517の表示内容を現地対応への参加を要請する内容に代えるとよい。例えば、メッセージ表示2514の表示内容を「△△階廊下の火災感知器が作動しました。現地対応への参加を要請します。」、要請事項表示2517の表示内容を「現地対応要請」とすればよい。
そして、上記参加要請に対して当該端末2を携帯する現地対応要員候補が了解ボタン2518を操作すると、自衛消防隊への参加要請を表示させた端末2の場合と同様に、通信回線3と第2の通信部13とを介して支援装置1の受付部112が受信する(図示せず)。このとき、編成部117が現地対応への参加要請の表示に対して了解ボタン2518が操作された端末2を携帯する退院を現地対応要員として確定し、記憶部12に記憶する。そして、受付部112での受け付けを締め切った後、通知部116は当該端末2に現地対応の役割、例えば初期消火の役割を表示させる(図16参照)。
上記測位システムにより、測位部26は端末位置情報を周期的に取得し、これを制御部21が通信部23を介して支援装置1へ送信する。なお、端末位置情報は周期的に所得することに限るものではなく、支援装置1からの要請に応じて行うようにしてもよい。
2−13.変形例13
上記変形例において、現地対応要員に決定した隊員の携帯する端末2に対し、現地対応への参加要請を表示させる前に、所定時間が経過するまでに現場確認への参加要請を表示させるようにしてもよい(図19参照)。この場合の所定時間とは、自火報設備が第1段階の警報を報知してから、火災確認の操作などが無い場合に自動的に第2段階の警報を報知するまでの所定の時間である。そして、この所定時間が経過するまでに支援装置1の要請部113は当該端末2に確認画面を表示して現場確認への参加を要請するようにする(図27のS231)。
従来、火災等の火災を自動的に感知して報知する自火報設備は、実際に火災が発生していなくても火災警報する場合がある。例えば熱や煙など火災に起因する二次的物理現象を検出して火災感知信号を送出する感知手段である感知器は、別の現象に起因して、あるいは、何らかの強力なノイズによって誤作動することがある。そして、感知器が作動して火災感知信号を送出しても実際には火災等の火災が起きていないこともある(これを非火災報と呼ぶ)。
そこで、自火報設備は上記実施形態で説明したように、感知手段が異状感知信号を送出しても直ちに避難を促すような警報を報知するのではなく、自衛消防隊の隊員が現場確認する工程を含めて、警報手段を多段階で報知するように制御する。この変形例では、自衛消防隊員が現場を確認する工程として、支援装置1からの現場確認への参加要請に基づいて、参加要請が表示された端末2を携帯する隊員が現場確認を行うものである。
このため、この変形例では、支援装置1の制御部110は、さらに決定部114、指示部115を備える(図2参照)。決定部114は、第2段階の警報を報知するまでの所定時間が経過するまでに、現場確認の要請に対する端末2からの応答に基づいて異状の有無を決定する決定手段である。指示部115は、前記決定に基づいて第2段階の警報への移行を即時実行又は停止するように第1の通信部14を介して受信機4へ指示する指示手段である。
また、現場確認を要請された端末2に表示される要請画面(図19)には、火災確認ボタン2511、非火災確認ボタン2512、確認不可ボタン2513、メッセージ表示2514、地図表示2515、残り時間表示2516が表示される。メッセージ表示2514には、支援装置1からの要請の内容として、異状位置の異状を確認するよう要請する旨のメッセージが表示される。メッセージ表示2514の表示内容は、例えば、「△△階廊下の火災感知器が作動しました。地図を参照して残り時間までに現場を確認してください。」といったメッセージである。そして、このメッセージに対応して、地図表示2515には異状位置付近の建築物の平面地図が、残り時間表示2516には、第2段階の警報が報知されるまでの所定時間に基づく残り時間が表示される。この残り時間表示2516を、残り時間がカウントダウンされるように表示すると、異状確認を要請された防災要員が残り時間をリアルタイムで確認できるようになる点で望ましい。このようにすることにより、端末2を携帯する隊員は、常に残り時間を把握することができ、異状位置に向かう途中であっても残り時間までに異状の確認ができないと判断したときは、確認不可ボタン2513を操作して支援装置1へ状況を伝えることができる。なお、火災確認ボタン2511は異状位置に異状があることを確認した場合に、非火災確認ボタン2512は異状位置に異状が無いことを確認した場合に、それぞれ操作されるべき位置を画面251に操作ボタンの形状で映出する。また、確認不可ボタン2513は要請された残り時間までに異状位置の異状を確認できない場合に、操作されるべき位置を画面251に操作ボタンの形状で映出する。
上記した要請画面が端末2の画面251に表示されると(図19)、現場確認への参加を要請された端末2を携帯する隊員は、状況に応じて参加するか否かを判断する。そして、残り時間の間に異状位置の異状を確認できないと判断した場合(S232のNo)、「間に合いません」と表示された確認不可ボタン2513を操作する(S239)。確認不可ボタン2513が操作された端末2は、支援装置1に異状確認不可である旨の応答信号を送出する(S240)。また、操作者が残り時間の間に、異状位置の異状を確認できると判断した場合(S232のYes)、異状位置へ急行し、異状の有無を確認する(S233)。
そして、異状位置に到着した隊員が異状を確認した場合は(S234の[異状を確認])、「火災確認」と表示された火災確認ボタン2511を操作し(S236)、端末2は、支援装置1に異状を確認した旨の応答信号を送出する(S240)。逆に、隊員が異状でないことを確認した場合は(S234の[異状のないことを確認])、「違いました」と表示された非火災確認ボタン2512を操作し(S238)、端末2は、支援装置1に異状でないことを確認した旨の応答信号を送出する(S240)。なお、この変形例では、S235、S237は行わない。
支援装置1の決定部114は、所定時間が経過する前であれば(S117のNo)、現場確認の要請画面に対する端末2からの応答信号を受信したか否かを確認する(S118)。そして、応答信号が火災確認ボタン2511又は非火災確認ボタン2512に基づく応答信号であった場合は、第2段階の警報としての「火災放送」を行うか、それとも「火災放送」への移行を停止するかを決定する。そして、指示部115は、その決定に応じて第1の通信部14を介して受信機4へ指示する。すなわち、火災確認ボタン2511に基づく応答信号であった場合は「火災放送」を行い(S121)、非火災確認ボタン2512に基づく応答信号であった場合は「火災放送」への移行を停止する(S120)。なお、非火災確認ボタン2512に基づく応答信号であった場合は、さらに「非火災放送」を行うようにしてもよい(S120)。
なお、現場確認の要請画面に対する端末2からの応答信号が確認不可ボタン2513に基づく応答信号であった場合(S118の[確認不可])、制御部110は、再び編成部117で当該感知手段の設置場所(又は異状区画)の近くに位置する他の端末2を再選択する(S119)。そして、再選択されて当該異状位置に対応付けられた端末2に向けて、要請部113より現場確認の要請画面を表示するように要請する(S115)。
例えば、選択された端末2を所持する防災関係者が所定時間までに異状の確認をできないと判断し、確認不可ボタン2513を操作した場合、例えば図28において異状を感知した感知手段AL2に最も近いP4位置の端末2が選択され、これが確認不可であった場合、探索半径をさらに拡げ、例えば半径R2以内に探し出したP3位置の端末2を再選択する。
また、感知手段AL2が位置する階に端末2がみつからない場合は、別の階から最も近い端末2(例えば、直上階又は直下階の端末2)を再選択する。そして、第2段階の警報として火災放送を開始するまでの所定時間が経過する、又は、要請した当該端末2から火災確認又は非火災確認の応答信号を受け取るまで、同様の動作を繰り返す。
このようにすることにより、最初に選択した端末2が異状の確認をできない場合でも、現場に急行して異状の確認をできる端末2が存在する場合は、それを選択して異状の確認を要請することができる。
以上、説明した通り、支援装置1は、火災感知器5やガス漏れ検知器6といった感知手段が異状を感知した場合に、その近くに位置する端末2に異状の確認を受け付ける残り時間を表示させるので、その端末2を所持する防災関係者は、その時間が経過するまでに現場に向かい、異状の確認をするように試みることができる。
また、端末2を携帯する隊員が、表示された残り時間が経過するまでに異状の確認をできないと判断した場合、支援装置1は、他の端末2を携帯する隊員に異状の確認を促すことができる。
2−14.変形例14
上述した変形例において、感知手段自体が固有の識別子を有し、異状を感知した感知手段を特定できるような多重伝送を行うようなR型システムを例として説明しているが、本発明に係る支援システム100が対象とする自火報設備200はこれに限るものではない。
例えば、P型システムであっても、感知手段自体が固有の識別子を有し、スイッチング式の異状感知信号を送出する際に固有の識別子のデータを重畳させて伝送し、異状を感知した感知手段を特定できるような公知のシステムであればよい(例えば、特許第4058100号を参照)。このように、自火報設備200は、迅速な確認を期待できる点で、異状位置情報は、上記のように異状を感知した感知手段を特定でき、異状を確認すべき範囲が限定されるようなシステムであることが望ましい。
なお、本発明に係る支援システム100が対象とする自火報設備200は、異状を感知した感知手段自体を特定できなくても、異状が感知された区画(以下、異状区画と称する)を特定できるようなシステムを排除するものではない。この場合、支援システム100が隊員の携帯する端末2に対して異状の確認を要請する場所は、異状区画となる。
2−15.変形例15
上述した変形例において、支援装置1は受信機4からの異状信号を受信することによって、所定時間の計時を開始すると共に、異状位置情報と端末位置情報とに基づいて異状の確認を要請する端末2を選択していたが、異状信号に代えて異状発報信号を利用することができる。
すなわち、受信機4が感知手段からの異状感知信号を受信し(S001のYes)、それが発信機、非常電話による人為的な操作に基づくものか否かを異状確認手段が確認する(S002)。次に、異状確認手段が、異状感知信号が上記人為的な操作に基づかないと判断したとき(S002のNo)、送出される異状発報信号(S003)を支援装置1の第1通信部14が受信するようにする。そして、異状信号を受信したか否かを判断する支援装置1の判断ステップ(S113)の前に、異状発報信号を受信したか否かを判断するステップをさらに設ける。なお、異状信号と同様に、異状発報信号には異状感知位置情報が含まれるようにしておく。
一般に、受信機4の異状判断手段が異状発報信号を受信して、異状を感知したと判断するまでに所定の判断時間を要する。例えば、受信機4が公知の蓄積機能を有するような場合、煙感知器からの異状感知信号を異状判断するには40〜50秒程度の判断時間が設けられている。そして、感知手段の種別を特定することができ(例えば、異状感知信号を送出したものが煙感知器であることを識別できる場合)、その煙感知器が受信機から蓄積復旧された後に再発報するまでに要する最小の時間(例えば10秒)が定まると、これを所定の判断時間と定義し、現場確認を要請する際に表示する残り時間である「所定時間」に所定の上記判断時間を加算して「所定時間」と成し、選択した端末2に異状位置の確認を要請することができる。すなわち、上記判断時間の分だけ、異状位置を確認するための残り時間を稼ぐことができる。
なお、上記判断時間が経過するまでに受信機4の異状判断手段が異状と判断した場合(S004のYes)、第1の警報である火災感知放送が行われると共に異状信号が送出される(S005)。そして、これを受信した支援装置1は、現場確認のための所定時間、すなわち残り時間を異状判断した場合の値に変更し(S114)、現場確認を要請した端末2に対して再び現場確認を要請する指令信号を送信して、当該端末2に異状の確認を要請する(S115)。このようにすることにより、端末2の要請画面に表示される残り時間は、第2の警報へ移行するまでの所定時間となり、残り時間を正確に把握することができるようになる。
2−16.変形例16
上述した変形例において、支援装置1は、感知手段が異状を感知してから第2段階の警報が報知されるまでの所定時間が経過するまでに、端末2から異状確認不可の応答を受け取った場合に、現場確認を要請した端末2以外の新たな端末2を再選択していた。しかし、この場合の処理はこれに限るものではなく、例えば、所定時間が経過するまでに端末2から異状確認不可の応答を受け取った場合に、受信機4に対して第2段階の警報への移行を指示するようにしてもよい。防火対象物である建築物の広さに対して、自衛消防隊の隊員数が不足するような場合、新たに現場確認を要請しても間に合わないことが明らかな場合などは、速やかに第2段階の警報を報知して避難を促した方が有効な場合もある。
2−17.変形例17
上述した変形例において、支援装置1は、第2段階の警報を報知する所定時間が経過するまでに端末2から異状を確認した旨の応答を受け取った場合、受信機4に向けて第2段階の警報を報知するよう指示していた。この変形例では、この指示に加えて、当該端末2と双方向に情報を遣り取りする通信回線を確立してもよい。例えば、支援装置1および端末2は、マイクロフォン、スピーカ、アンプなどを有しており、支援装置1は、上述した異状を確認した旨の応答を受け取った場合に、当該端末2との間で通話をするための通信回線を確立する。これにより、支援装置1のオペレータは、確認された異状の詳細を現場にいる当該端末2を携帯する隊員から詳細な情報を直接聞き取ることができる。
2−18.変形例18
上述した変形例において、支援装置1は、受信機4からの異状信号を受信したとき(S113のYes)、又は異状発報信号を受信したとき、異状位置情報と端末位置情報とに基づいて異状位置に最も近い端末2を選択して要請していたが、これを異状位置から所定範囲内に位置する複数の端末2を選択するようにしてもよい。
例えば、図28に示す範囲R2には、3つの端末2がそれぞれ位置するP3、P4、P5が含まれている。支援装置1は、この予め決められた範囲R2に含まれる範囲に位置するすべての端末2を選択して現場確認を含む現地対応を要請するようにしてもよい。
また、変形例における支援装置1の決定部114は、第2段階の警報が報知されるまでの所定時間が経過するまでに、複数の端末2から複数の応答を受け取った場合、応答の内容と数とに基づいて異状の有無を決定するようにしてもよい。
例えば、複数の端末2に対して現場確認を要請した場合、支援装置1は、これらの端末2から火災等の異状を確認した旨の応答を受け取った回数を数え、その回数が決められた数以上になった場合に、受信機4に対して直ちに第2段階の警報を報知するように指示してもよい。また、支援装置1は、これらの端末2から火災等の異状が無いことを確認した旨の応答を受け取った回数を数え、その回数が決められた数以上になった場合に、受信機4に対して第2段階の警報へ移行することを停止するように指示してもよい。例えば、支援装置1は、3人以上の隊員が携帯する端末2から、異状を確認した旨の応答を受け取った場合に、異状が発生していると見なして受信機4に第2段階の警報として火災放送を報知させてもよい。また、例えば、支援装置1は、3人以上の隊員が携帯する端末2から、異状の無いことを確認した旨の応答を受け取った場合に、異状が発生していないと見なして第2段階の警報としての火災放送の報知を停止させてもよい。また、同時に非火災放送を出力させるようにしてもよい。このように複数の隊員による確認を反映するように異状の有無を決定することによって、一部の隊員による勘違いや操作ミスによる誤った応答を排除し、異状有無の決定の信頼性を向上させることができる。
また、複数の端末2に対して現場確認の要請をした場合、支援装置1は、これらの端末2から火災等の異状を確認した旨の応答又は火災等の異状の無いことを確認した旨の応答を受け取って、それらの応答にそれぞれ割り当てられた点数の合計を算出してもよい。この場合、支援装置1において点数の合計を算出する制御部110は、所定時間が経過するまでに端末から火災等の異状を確認した旨の複数の応答を受け取って、その各応答にそれぞれ割り当てられた点数の合計を算出する算出部として機能する。そして、支援装置1は、算出された合計が閾値を超えた場合に、受信機4に対して直ちに第2段階の警報への移行を指示する、あるいは、第2段階の警報への移行を停止するように指示する。
例えば、支援装置1は、異状を感知した感知手段の位置である異状位置と端末2との距離が近いほど、異状を確認した旨の応答に割り当てる点数を高くするように設定しておき、応答を受け取る度に、その応答をした端末2の端末位置情報と異状位置との距離を参照して、その距離に応じた点数をその応答に割り当てる。そして、支援装置1は、各応答に割り当てた点数の合計を算出する。なお、距離を参照するタイミングは、端末2に現場確認の要請画面を表示させたときであってもよいし、その端末2から応答を受け取ったときであってもよい。また、端末2に現場確認の要請画面を表示させたときの位置と、その端末2から応答を受け取ったときの位置との距離に応じて、点数に重み付けをしてもよい。これにより、例えば、現場確認の要請画面を表示してから応答するまでに端末2が全く動いていない場合、端末2を携帯する隊員が現場確認のために移動することを怠ったと推測して、点数を下げるといった調整をすることができる。これにより、支援装置1は、信頼性の高い端末2と信頼性の低い端末2の応答を区別することができる。
また、端末2からの応答に割り当てる点数は、隊員データベース122を参照して、当該端末2を携帯する隊員の属性情報に基づいて割り当てるようにしてもよい。例えば、消火装置による消火訓練を実際に行った経験を有するような隊員の点数を高く評価するようにする。これにより、支援装置1は、信頼性の高い端末2と信頼性の低い端末2の応答を区別することができる。
また、端末2は、応答時に通信部23を介して画像を送出する図示しない撮像手段を有するようにし、火災確認ボタン2511又は非火災確認ボタン2512を操作する前に、異状の有無を確認できる画像を添付して応答するように、現場を撮影するようにしてもよい(S235、S237)。そして、端末2からの応答に現場を撮影した画像が添付されている場合は、画像が添付されていない応答よりも高い点数を割り当てればよい。すなわち、画像が添付されている応答は、画像が添付されていない応答よりも重みを有する情報として異状か否かの決定を行う。
2−19.変形例19
上述した変形例において、端末2と異状を感知した感知手段との近さは、直線距離によって決められていたが、これ以外によってこの近さが決められてもよい。例えば、図28に示すように、異状を感知した感知手段と端末2との間に壁などの障害物がある場合に、その障害物を回避した距離によって、端末2と感知手段との近さが決められてもよい。また、支援装置1は、障害物によって視認できない位置にある端末2、例えば、P3位置やP4位置の端末2、に現場確認を含む現地対応を要請しなくてもよく、図28に示す例では、感知手段AL2との間に壁が無いP5位置の端末2に現場確認を含む現地対応を要請するようにしてもよい。また、支援装置1は、各端末2を携帯する隊員の運動能力を記憶部12の隊員データベース122に記憶し、その運動能力に応じて各端末2を携帯する隊員が異状を感知した感知手段の設置場所やそれを視認できる位置にまで移動する時間を算出し、その時間に応じて、端末2と異状位置との近さを決めてもよい。
2−20.変形例20
上述した変形例において、受信機4からの信号に基づいて警報装置7から音声メッセージを出力して報知していたが、受信機4からの異状信号又は異状発報信号に基づいて音声メッセージを出力して報知する非常放送設備を設けるようにしてもよい。
例えば、自火報設備200と連動して動作する非常放送設備300を設け、受信機4からの異状信号又は異状発報信号を受信した非常放送制御盤15が、警報装置7に代えて防火対象物である建築物に配設されたスピーカ16より音声メッセージを出力して報知するようにしてもよい(図示せず)。このとき、第1段階の警報としての感知器発報放送、所定時間経過した後の第2段階の警報としての火災放送への移行、異状が無かったことを確認した場合の非火災放送は、非常放送制御盤15が制御し、支援装置1は非常放送制御盤15と接続され、異状の確認又は異状でなかったことの確認の信号を出力し、第2段階の警報への移行又は第2段階の警報への移行の停止、さらには非火災放送を指示するようにする。
2−21.変形例21
上述した実施形態において、第1段階の警報および第2段階の警報は、警報装置7より音声メッセージを出力して報知するようにしていたが、警報装置7を従来型のベルとしてもよい。
例えば、図1に示した警報装置7をベルとし、第1段階の警報を出火階および直上階の警報装置7の鳴動、第2の警報を警報装置7の全館鳴動とする。そして火災Fが2階で発生した場合、第1段階の警報として2階および3階のベルが鳴動し、所定時間が経過した後に第2段階の警報として全館の警報装置7が鳴動するようにする。
このようにすることにより、従来からのベルによる警報であっても、異状発生時は局所的に警報し、異状が確認させることによって全館に警報して避難を促すことができる。
2−22.変形例22
上述した変形例において、感知手段が感知する異状とは火災やガス漏れであったが、他の異状を感知するようにしてもよい。例えば、漏電や水漏れなどを感知する感知手段であってもよい。要するに、感知手段は、それが作動した場合に人が現場で状況を確認したり現地対応をしたりする意味がある種類の異状を感知するものであればよい。また、例えば、深夜に不審者を人感センサが感知したり、窓センサが窓ガラスの破壊を感知したりした場合、支援装置1は、端末2を携帯する警備員に対して現場確認を指示したり、警備会社や所轄警察署へ通報するようにしてもよい。
2−23.変形例23
上述した実施形態において、支援装置1は、感知手段5、6の作動や警報装置7、16の動作といった自火報設備の動作状況と、支援装置1の動作状況および現場確認に向かった端末2からの火災確認情報等の応答情報、すなわち支援システムの動作状況と、をイベント情報として、その発生時刻と共に記憶部12へ蓄積するようにしてもよい。そして、支援装置1は、図示しない操作部を操作することによって記憶部12を参照し、前記イベント情報を図示しない複数名で表示内容を認識し得る大画面の表示装置へ任意に表示できるようにする。例えば、出動要請に応じて到着した公設消防隊へ自衛消防隊から事態を引き継ぐ際、従来はホワイトボード等を用いて人手によって経過および現状の情報を伝達していたが、このようにすることによって引き継ぎ作業を迅速かつ正確に行って支援することができる。
2−24.変形例24
上述した実施形態において、支援装置1は上記イベント情報をイベント発生時刻と共に記憶部12へイベントの種類毎に分類して記憶するようにし、目的に応じて必要な情報のみを抽出して出力するようにしてもよい。例えば、所轄消防署へ通報(出動要請)した後、現場へ向かっている公設消防隊へ向けて、記憶部12から火災の発生状況および経過情報等の火災関連情報を抽出して送信する。そして、現場へ急行している公設消防隊は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の図示しない端末でこれを受信し、現場到着前に現場状況の概要を知ることができる。このようにすることにより、公設消防隊は速やかに消火作業等を開始することができる。なお、公設消防隊が有する端末は、上記に限らず、例えば、支援装置1から音声情報で送信してこれを携帯電話等で受信するようなものであってもよい。
2−25.変形例25
上述した変形例において、支援装置1の記憶部12に記憶したイベント情報を、図示しない通信回線を介して施設外の外部装置、例えば防災サービス提供者が設けた装置に送信して蓄積するようにしてもよい。この外部装置は、複数の防火対象物としての建築物のイベント情報を集約して蓄積し、特定のアクセスだけに対して情報を提供できるようにしておく。例えば、特定の消防署に対して所轄地域だけの防火対象物に関するイベント情報を閲覧可能としておき、目的の防火対象物を選択して、その詳細なイベント情報を閲覧できるようにする。そして、支援装置1より所轄消防署へ通報する際に火災現場を特定できるような情報も付加しておく。すなわち、当該イベント情報へのアクセス情報を伝達しておく。通報を受けた所轄消防書は、通報された情報に基づいて通報元となった防火対象物である建築物を特定し、その詳細なイベント情報を外部装置より取得することができるので、現場の状況を詳細に把握することができる。また、現場に向かって移動中の公設消防隊も、外部装置にアクセスして、現場到着前に現場の状況を詳細に把握することができる。
2−26.変形例26
上述した変形例において、支援装置1が通報する際の通報先を、異状内容に応じて自動的に選択するようにしてもよい。例えば、異状内容が火災の場合は所轄消防署、異状内容がガス漏れの場合は所轄消防署と契約先のガス会社、異状内容が不法侵入などといった防犯関係の場合は所轄警察署、契約先の警備会社、等とすればよい。そして、通報する内容は、通報先が必要とするイベント情報を抽出するようにして、無関係なイベント情報を通報して混乱を招くことを避けることができる。なお、上記変形例に記載した外部装置においても、イベント情報にアクセスする組織に応じて、関連するイベント情報のみを抽出して情報提供できるようにするとよい。
2−27.変形例27
上述した実施形態において、支援装置1は、停電時に自己が必要とする電力を供給する電源として図示しない二次電池等による予備電源を備えるようにしてもよい。このようにすることにより、震災等の災害、あるいは火災拡大によって停電したような場合でも、支援装置1は、所定時間は機能を維持することができる。また、図示しない集音手段としてのマイクロフォンおよび拡声手段としてのスピーカを建築物内に配設し、図示しない通話手段としてのマイクロフォンおよびスピーカを備えた支援装置1と接続して通話回路を形成し、火災等の異状発生時のみに通電して通話できるようにしてもよい。このようにすることにより、火災等の異状発生時に支援装置1を設置した防災センタと現場との間でコミュニケーションをとることができる。また、さらにこれらの通電条件を、火災等の異状発生かつ停電時としてもよい。停電時は、通信インフラ自体が機能停止する虞があり、そのような場合であっても、予備電源を備えた支援装置1は、所定時間は機能を維持することができる。火災等の異状発生時かつ停電時を通電条件として、前記集音手段と前記拡声手段と前記通話手段との電力を供給することにより、平常時は予備電源を消費することがなく、単に停電しただけのときも予備電源を消費することがない。そして、端末2との間に介在する通信回線3が機能停止しても、支援装置1を設置した防災センタと現場との間でコミュニケーションをとることができる。さらに、通信回線3を構内無線LANで構成し、支援装置1は、火災等の異状発生かつ通信回線3の電源喪失を検出したときに通信回線3へ電力を供給するようにしてもよい。このようにすることにより、電池で駆動される端末2と予備電源を備える支援装置1との間の通信を確保することができる。
2−28.変形例28
上述した変形例において、建築物に配設するマイクロフォンとスピーカを感知手段又は感知手段を取り付けるための感知手段の取付ベースに内蔵するようにしてもよい。このようにすることにより、天井面に取り付けられた自火報設備の感知手段は所在を確認し易いので、通話可能なポイントが明確になる。なお、感知手段又はその取付ベースに内蔵されたマイクロフォンとスピーカを用いた通話装置は、専用の通信回線を介して支援装置1と接続するようにしてもよいし、自火報設備200の信号線10を共用して受信機4を介して支援装置1と接続するようにしてもよい。自火報設備200、支援装置1のいずれもが所定時間機能を維持する予備電源を備えるので、停電時であっても所定時間は通話機能を維持することができる。
2−29.変形例29
上述した変形例において、支援装置1は現場に配設したマイクロフォンが集音した音を解析し、鳴き声、悲鳴、助けを求める言葉など、救助を要する音声を認識する音声識別手段を備えるようにしてもよい。この場合、支援装置1は通話手段を備えなくともよい。このようにすることにより、身体が不自由である、怪我をして動けない、等の理由で避難できずに取り残されたなど、要救助者の存在を検出し、近くの端末2に救助を要請することができる。また、この要請を支援装置1が自動的に実行するようにしてもよい。