JP6494885B1 - 波面計測装置、波面計測方法及び移動体観測装置、移動体観測方法 - Google Patents
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Abstract
Description
移動体から送信される光束は、大気の屈折率分布のゆらぎが原因で、光の位相が乱されてしまうために、広がってしまうことがある。
したがって、移動体観測装置は、移動体の観測精度を高めるには、光の位相の等しい面である波面を取得する必要がある。
以下の特許文献1には、波面を計測する波面センサが開示されている。
波面センサは、波面のチルト及び焦点のそれぞれを制御するための機構として、高速ステアリングミラー、結像レンズ及びレンズレットアレイにおけるそれぞれの高速移動を実現する制御機構を備えている。
したがって、従来の波面センサは、実装している制御機構の制御精度によっては、波面の計測精度が劣化してしまうことがあるという課題があった。
図1は、実施の形態1による波面計測装置3を含む移動体観測装置を示す構成図である。
図1において、移動体1は、大気の外、あるいは、大気中に存在している物体である。
移動体1に反射された光束又は移動体1から送信された光束は、大気の屈折率分布のゆらぎが原因で、広がってしまった光束2であり、光束2は、波面計測装置3に入射される。
波面計測装置3は、入射された光束2から、波面を計測する装置である。
光束分割部12は、例えば、ビームスプリッタによって実現される。
光束分割部12は、結像光学系11により集光された光束2の光量を2つに分割することで、光束2を2つに分割する。
光束分割部12は、分割後の一方の光束2をフォーカス調整レンズ13に出力し、分割後の他方の光束2をリレー光学系21に出力する。
フォーカス調整レンズ13は、光束分割部12から出力された光束2の光路長を調整して、光路長調整後の光束2をシャッタ14に出力する。
光検出器15は、例えば、イメージセンサによって実現される。
光検出器15は、シャッタ14を通過してきた光束2から、移動体1の像を検出し、移動体1の像を示す強度画像を波面推定部28に出力する。
波面計測装置3は、フォーカス調整レンズ13、シャッタ14及び光検出器15を備えるため、移動体1の像を示す強度画像を得ることができる。しかし、波面計測装置3が、結像光学系11の開口における光束2の波面を推定する上では、フォーカス調整レンズ13、シャッタ14及び光検出器15は、必須の構成要素ではない。
フォーカス調整レンズ22は、リレー光学系21を透過してきた光束2の光路長を調整して、光路長調整後の光束2を空間分割部23に出力する。
空間分割部23は、フォーカス調整レンズ22から出力された光束2を複数の空間領域の光束2aに分割し、複数の空間領域の光束2aを光検出器27の受光面27a(図7又は図8を参照)に集光する。
遮光部24は、フォーカス調整レンズ22から出力された光束2を部分的に遮光することで、光束2を複数の空間領域の光束2aに分割する。
レンズアレイ25は、複数のレンズ25a(図5から図8を参照)を含んでおり、それぞれのレンズ25aがそれぞれの空間領域の光束2aを光検出器27の受光面27aに集光する。
実施の形態1の波面計測装置3では、複数の空間領域は、形状及び大きさのそれぞれが均一の領域であるものとする。
また、実施の形態1の波面計測装置3では、遮光部24により光束2が遮光されない複数の透過領域と、レンズアレイ25に含まれている複数のレンズの開口とが空間的に一致しているものとする。したがって、複数の空間領域は、遮光部24による複数の透過領域と一致し、かつ、複数のレンズの開口と一致している。
光検出器27は、例えば、イメージセンサによって実現される。
光検出器27は、シャッタ26を通過してきた複数の空間領域の光束2aのそれぞれを受光する受光面27aを有している。
光検出器27は、受光面27aで受光されるそれぞれの光束2aから、移動体1の像として、集光スポット像を検出し、それぞれの集光スポット像を示す強度画像を波面推定部28に出力する。
波面推定部28は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像の位置から、結像光学系11の開口における光束2の波面の概算値を算出する。
また、波面推定部28は、概算値を用いて、複数の集光スポット像の点像強度分布を算出し、点像強度分布と複数の集光スポット像から、結像光学系11の開口における波面を推定する処理を実施する。
移動体復元部29は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像と、波面推定部28により算出された点像強度分布とから、移動体1の輝度分布を推定する処理を実施する。
保存装置30は、例えば、記憶処理回路によって実現される。
保存装置30は、波面推定部28により推定された波面及び移動体復元部29により推定された移動体1の輝度分布などを記録する装置である。
また、記憶処理回路は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、あるいは、DVD(Digital Versatile Disc)が該当する。
カウンタ42は、時刻校正部41により校正されたクロックの時刻が或る時刻になると、或る時刻からの経過時間を計測する。
制御装置43は、パーソナルコンピュータなどの計算機によって実現される。
制御装置43は、カウンタ42により計測された経過時間に基づいて、フォーカス調整レンズ13,22、シャッタ14,26、光検出器15,27及び駆動装置44のそれぞれを制御する装置である。
駆動装置44は、制御装置43から出力される制御信号に従って結像光学系11の指向方向を変更する装置である。
図2において、筐体51は、結像光学系11、光束分割部12、フォーカス調整レンズ13,22、シャッタ14,26、光検出器15,27、リレー光学系21及び空間分割部23を実装している。
筐体52は、波面推定部28、移動体復元部29、保存装置30、時刻校正部41、カウンタ42及び制御装置43を実装している。
地球の大気は、酸素、窒素及び水蒸気などの媒質によって構成されており、レンズなどの光学部品と同様に、光が透過する。
酸素等の媒質は、温度の変化及び気圧の変化に伴って屈折率が変動するため、地球の大気を透過する光の位相分布は、温度の変化及び気圧の変化に伴って変化する。光は、電磁波であるため、光の位相分布は、波面として捉えることが可能である。
媒質の屈折率の変化自体は小さいが、光が伝搬される光路が長くなると、屈折率の変化は、光の波長と比較して、無視できない大きさとなるため、波面の推定においては、大気のゆらぎの影響を強く受ける。
また、地上の大気は、太陽からの輻射の影響及び熱輸送の影響を受けるとともに、地球の自転の影響を受けるため、地上と上空の間には、大気の層が形成される。大気の層を透過してくる光の波面は、複雑に乱れる。
図3は、図1に示す移動体観測装置の処理手順を示すフローチャートである。
駆動装置44は、移動体1が波面計測装置3と相対的に移動している場合でも、結像光学系11が、移動体1に反射された光束2又は移動体1から送信された光束2を集光することができるようにするため、結像光学系11の指向方向を変更する。
例えば、移動体1が恒星である場合、移動体1は、日周運動によって、1秒間に15秒角(=15/3600度)ほど、移動する。したがって、移動体1の追尾を可能にするには、駆動装置44が、結像光学系11の指向方向を秒角精度で制御できる必要がある。
カウンタ42は、時刻校正部41により校正されたクロックの時刻が或る時刻になると、或る時刻からの経過時間を計測する。
制御装置43は、カウンタ42により計測された経過時間に基づいて、フォーカス調整レンズ13,22、シャッタ14,26、光検出器15,27及び駆動装置44を制御する。
駆動装置44は、制御装置43から出力される制御信号に従って結像光学系11の指向方向を変更する。
光束分割部12は、結像光学系11により集光された光束2の光量を2つに分割することで、光束2を2つに分割する。
光束分割部12は、分割後の一方の光束2をフォーカス調整レンズ13に出力し、分割後の他方の光束2をリレー光学系21に出力する。
光束分割部12から出力される光束2の光路長は、例えば、温度の変化に伴って変化する。制御装置43は、光束分割部12から出力される光束2の光路長が、或る基準温度での光路長と一致するように、フォーカス調整レンズ13における光路長の調整量を制御する。
光検出器15での光束2の露光時間がコヒーレンス時間よりも長くなると、大気の状態が変わるため、光検出器15により検出される移動体1の像の広がりが大きくなる。コヒーレンス時間は一般に1〜10ms程度である。
移動体1が高速で移動している場合、制御装置43は、光検出器15での光束2の露光時間がコヒーレンス時間よりも短くなるように、シャッタ14における光束2の通過時間を制御する。
制御装置43が、上記のように、シャッタ14における光束2の通過時間を制御する場合、光検出器15により受光される光束2の光量が少なくなってしまうことがある。光束2の光量が少なくなってしまう場合、制御装置43が、シャッタ14において、光束2の通過と遮光が複数回繰り返されるように制御することで、光検出器15が、複数回、移動体1の像を検出できるようにする。
ここで、図4は、光検出器15により検出される移動体1の像を示す説明図である。
図4は、地上と上空の間に3つの大気層がある例を示しており、101は第1の大気層、102は第2の大気層、103は第3の大気層である。
図4では、結像光学系11が、模式的に1枚のレンズとして表記されている。一般的には、結像光学系11の収差を減らすために、結像光学系11が、複数枚のレンズによって構成されることが多い。また、結像光学系11における色収差を低減するために、結像光学系11が、複数枚の反射鏡によって構成されることもある。
光束2が第1の大気層101、第2の大気層102及び第3の大気層103を透過する際に波面が乱されるため、移動体1の像104は、仮に移動体1が点とみなせる物体であっても、広がってしまう。
したがって、結像光学系11の収差を要因とする像104の広がり及び光検出器15の分解能を要因とする像104の広がりを除外すれば、像104の広がりの要因は、大気ゆらぎである。
なお、移動体1が、広がりを有する物体である場合、結像光学系11の収差及び光検出器15の分解能を要因とする広がりを除外すれば、像104の広がりは、物体自体の広がりと、大気ゆらぎによる広がりで表される。数学的には物体自体の広がりが、波面が等しいとみなせる角度範囲及びアイソプラナテック角を満たす場合、像104の広がりは物体自体の広がりと大気揺らぎによる広がりの畳み込みで表される。
フォーカス調整レンズ22は、制御装置43から出力される制御信号に従ってリレー光学系21を透過してきた光束2の光路長を調整し、光路長調整後の光束2を空間分割部23の遮光部24に出力する。
リレー光学系21を透過してくる光束2の光路長は、例えば、温度の変化に伴って変化する。制御装置43は、リレー光学系21を透過してくる光束2の光路長が、或る基準温度での光路長と一致するように、フォーカス調整レンズ22における光路長の調整量を制御する。
即ち、遮光部24は、フォーカス調整レンズ22から光束2を受けると、光束2を部分的に遮光することで、光束2を複数の空間領域の光束2aに分割する。
遮光部24は、複数の空間領域の光束2aをレンズアレイ25に出力する。
レンズアレイ25に含まれているそれぞれのレンズ25aは、遮光部24からそれぞれの空間領域の光束2aを受けると、それぞれの空間領域の光束2aを光検出器27の受光面27aに集光する。
移動体1が高速で移動している場合、光検出器27での光束2aの露光時間がコヒーレンス時間よりも長くなると、光検出器27により検出される移動体1の像の広がりが大きくなる。
移動体1が高速で移動している場合、制御装置43は、光検出器27での光束2aの露光時間がコヒーレンス時間よりも短くなるように、シャッタ26における光束2aの通過時間を制御する。
制御装置43が、上記のように、シャッタ26における光束2aの通過時間を制御する場合、光検出器27により受光される光束2aの光量が少なくなってしまうことがある。光束2aの光量が少なくなってしまう場合、制御装置43が、シャッタ26において、光束2aの通過と遮光が複数回繰り返されるように制御することで、光検出器27が、複数回、移動体1の像を検出できるようにする。
ここで、図5は、光検出器27により検出される移動体1の像を示す説明図である。図5において、図4と同一符号は同一又は相当部分を示している。
図5では、結像光学系11及びリレー光学系21による光束の変化を省略している。
レンズアレイ25に含まれているそれぞれのレンズ25aが、それぞれの空間領域の光束2aを光検出器27の受光面27aに集光することで、光検出器27の受光面27aには、空間領域の個数分だけ、移動体1の像105が形成される。
光検出器27の受光面27aに形成される複数の像105は、大気のゆらぎを要因とする広がりを持っており、波面の推定に用いることができる。
図6は、波面が伝搬経路によって異なる場合の光検出器27により検出される移動体1の像を示す説明図である。図6において、図4及び図5と同一符号は同一又は相当部分を示している。
光束4、光束5及び光束6のそれぞれは、移動体1に反射された光束又は移動体1から送信された光束である。光束4、光束5及び光束6は、途中の大気層の揺らぎの寄与が互いに異なっており、光束4の伝搬経路、光束5の伝搬経路及び光束6の伝搬経路は、互いに異なっている。
レンズアレイ25によって、光検出器27の受光面27aに集光される複数の空間領域の光束2aが、光束4、光束5及び光束6のそれぞれであるとみなすと、受光面27aには、光束4、光束5及び光束6のそれぞれによって移動体1の像106が形成される。
光検出器27の受光面27aに形成される複数の像106は、大気のゆらぎを要因とする広がりを持っており、波面の推定に用いることができる。
図7は、光束2が進行方向に対して広がらずに伝搬されている例を示し、図8は、光束2が進行方向に対して広がりながら伝搬されている例を示している。
図7及び図8において、106aは、光束2が進行方向に対して広がらずに伝搬されている場合の移動体1の像であり、106bは、光束2が進行方向に対して広がりながら伝搬されている場合の移動体1の像である。
光束2が進行方向に対して広がらずに伝搬されている場合、図7に示すように、レンズアレイ25のそれぞれのレンズ25aにより集光される移動体1の像106aの位置は、遮光部24により分割された複数の空間領域のそれぞれの位置と一致している。
光束2が進行方向に対して広がりながら伝搬されている場合、図8に示すように、レンズアレイ25のそれぞれのレンズ25aにより集光される移動体1の像106bの位置は、遮光部24により分割された複数の空間領域のそれぞれの位置とずれている。
波面107aは、移動体1の複数の像106aの位置から求められ、波面107bは、移動体1の複数の像106bの位置から求められる。
図7及び図8では、遮光部24において、光束2が遮光される遮光領域、即ち、光束2を透過する透過領域以外の領域が、黒く塗られている例を示している。しかし、遮光部24において、遮光領域は、不要な光を透過させなければよく、黒以外の色が塗られていてもよい。
また、遮光部24において、遮光領域は、不要な光を吸収する着色又は加工が施されていてもよいし、不要な光を散乱する着色又は加工が施されていてもよい。
図9は、波面推定部28及び移動体復元部29の処理手順を示すフローチャートである。
以下、図9を参照しながら、波面推定部28の処理内容を具体的に説明する。
複数の集光スポット像の位置から、波面の概算値を算出する処理自体は、公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
複数の集光スポット像の位置から波面を推定する方法は、例えば、以下の非特許文献1に開示されている。
[非特許文献1]国立天文台報 vol.2 No.2
そして、波面推定部28は、N枚の強度画像のうち、n(n=1,2,・・・,N)枚目の強度画像が示す複数の集光スポット像の位置から、波面の概算値を算出しているものとする。
なお、移動体1が点像である場合、あるいは、移動体1が点像と近似できる場合、集光スポット像の位置として、点像の重心の位置を求める態様が考えられる。
また、移動体1が広がりのある物体である場合、波面は、複数の集光スポット像の間隔又は複数の集光スポット像の相対位置から求めることができる。したがって、集光スポット像の位置として、複数の集光スポット像の相互相関又は複数の集光スポット像の特徴的な位置の間隔を求める態様が考えられる。
波面推定部28は、以下の式(1)に示すように、結像光学系11の開口における光束2の波面の位相Φn(u,v)の初期値として、位相Φ0,nを用いることで、概算値よりも高精度な波面を推定する。(u,v)は、瞳空間の座標である。
以下、高精度な波面の推定処理を説明する前に、高精度な波面の推定処理の原理及び移動体1の輝度分布推定処理の原理を説明する。
M0(u,v)は、結像光学系11の開口である。
M1(u,v)、M2(u,v)、・・・、MM(u,v)のそれぞれは、複数の空間領域におけるそれぞれの開口である。MM(u,v)における添え字のMは、2以上の整数であり、例えば、m=1,2,・・・,Mである。
波面収差と瞳上の振幅分布で表される瞳関数Gm,n(u,v)は、以下の式(2)に示すように、n枚目の強度画像に対応する、結像光学系11の開口における光束2の波面の位相Φn(u,v)と、開口Mm(u,v)とで表される。
開口Mm(u,v)は、既知であり、位相Φn(u,v)の初期値は、概算値である波面の位相Φ0,nであるため、瞳関数Gm,n(u,v)は、位相Φn(u,v)と開口Mm(u,v)から算出される。
式(4)において、F−1は、逆フーリエ変換を表す記号である。
点像強度分布を示す点広がり関数km,n(x,y)は、以下の式(5)に示すように、振幅広がり関数am,n(u,v)と、振幅広がり関数am,n(u,v)の複素共役との積で表される。(x,y)は、実空間の座標である。
移動体1の輝度分布o(p,q)は、移動体1に反射される光束2の強度又は移動体1から送信される光束2の強度である。
式(6)における畳み込み積分を“*”の記号で表記すると、式(6)は、以下の式(7)で表される。
一般的には、移動体1の像im,n(x,y)は、点広がり関数km,n(x,y)と、移動体1の輝度分布o(p,q)との畳み込み積分で得られるが、式(6)及び式(7)には、光検出器27で生じるノイズem,n(x,y)が付加されている。
式(8)において、点広がり関数km,n(x,y)は、式(2)、式(4)及び式(5)から得られる。したがって、式(8)において、未知の値は、移動体1の輝度分布o(p,q)のみである。
移動体1の輝度分布o(p,q)は、差分の二乗和eが最小になるo(p,q)を探索することで求まる。
したがって、時刻tが変わることで、移動体1の相対位置が変わる。
時刻tが変わる回数と、波面推定部28が得る強度画像の枚数であるフレーム数とは、同じである必要はないが、フレーム数が例えば10であれば、10点の時刻の強度画像が得られることになるため、フレームの番号は、時刻の番号と対応する。
ここでは、移動体1の輝度分布o(p,q)は、フレームに依存しておらず、変化していないものとする。ただし、波面は、フレーム毎に、変化しているものとする。
以下の式(9)は、式(8)がフーリエ変換されたものであり、式(8)に示す差分の二乗和eが、位相空間での差分の二乗和Eになっている。
式(9)において、Im,n(u,v)は、im,n(x,y)のスペクトルであり、以下の式(10)のように表される。
式(9)において、O(u,v)は、o(p,q)のスペクトルであり、以下の式(11)のように表される。
光検出器27で生じるノイズem,n(x,y)があるために、O(u,v)=im,n(u,v)/Km,n(u,v)のように表現することができないので、式(11)のように、表されている。
式(11)において、γは、解の安定化のために導入している係数である。
Km,n(u,v)は、瞳関数Gm,n(u,v)の自己相関であり、以下の式(12)で表される。Km,n(u,v)は、規格化されていないが、光学伝達関数である。
式(13)に示す差分の二乗和Eは、開口Mm(p,q)と、位相Φn(p,q)と、移動体1の像im,n(x,y)のスペクトルIm,n(u,v)とで表されており、未知である移動体1の輝度分布o(p,q)のスペクトルO(u,v)に依存していない。
波面Wn(u,v)は、以下の式(14)に示す差分の二乗和Errが最小になる位相Φn(u,v)を求めれば、式(2)よって推定することができる。
移動体1の輝度分布o(p,q)が実空間で0よりも大きい実数であるという制約を与えるには、実空間における差分の二乗和eを示す式(8)に対して、さらに制約を与えればよい。
以下の式(15)は、実空間における差分rm,n(x,y)を示している。
読み出しノイズは、正規分布に従い、中央値が0で、標準偏差がσであるとする。ショットノイズは、取得したフレームの輝度分布に比例する。
したがって、式(15)をノイズで規格化すると、式(16)のようになる。
ノイズに対する実空間における差分rm,n(x,y)の比が、1よりも大きければ、ずれが大きく、1であれば、ずれがなく、1よりも小さければ、ずれが小さいことを意味する。
式(17)において、dm(x,y)は、差分rm,n(x,y)に与える重みであり、例えば、ずれが大きいフレームは、信頼度が低いので、小さい重みが与えられる。
また、実空間上において、計算する領域の重みを1、計算を省略する領域の重みを0として、計算量を減らすことが可能である。
以上が、波面の推定処理の原理及び移動体1の輝度分布推定処理の原理である。
波面推定部28は、式(2)、式(4)及び式(5)を算出することで、点像強度分布を示す点広がり関数km,n(x,y)を算出する(図9のステップST12)。
波面推定部28は、点広がり関数km,n(x,y)及び移動体1の像im,n(x,y)のそれぞれをフーリエ変換することで、光学伝達関数Km,n(u,v)及び移動体1の像im,n(x,y)のスペクトルIm,n(u,v)を得る(図9のステップST13)。
波面推定部28は、差分の二乗和Errを算出すると、位相の探索処理が収束しているか否かを判定する(図9のステップST15)。
位相の探索処理の収束判定として、例えば、算出した差分の二乗和Errが事前に設定されている第1の許容誤差以下であれば、収束していると判定する方法がある。収束していると判定したときの算出した差分の二乗和Errは、最小の二乗和Errである。第1の許容誤差は、例えば、波面推定部28の内部メモリ又は保存装置30に格納されているものとする。
また、位相の探索処理の収束判定として、例えば、位相Φn(u,v)を変更しながら、事前に設定された回数だけ差分の二乗和Errを算出し、算出した二乗和Errの中で、最小の二乗和Errを特定したら、収束していると判定する方法がある。
波面推定部28は、ステップST12〜ST15の処理を再度実施する。
変更後の位相Φn(u,v)は、未だ式(2)に設定していない位相であれば、どのような位相でもよいが、差分の二乗和Errが小さくなるような位相であることが望ましい。
波面推定部28は、位相の探索処理が収束していれば(図9のステップST15:YESの場合)、位相の探索処理を終了する。
推定された波面Wn(u,v)は、ステップST11で算出された概算値としての波面よりも高精度な波面である。
波面推定部28は、波面Wn(u,v)を保存装置30に出力する。
また、波面推定部28は、最小の二乗和Errが算出された位相Φn(u,v)に対応する点広がり関数km,n(x,y)を移動体復元部29に出力する。
以下、移動体復元部29による移動体1の輝度分布推定処理を具体的に説明する。
また、移動体復元部29は、差分rm,n(x,y)を式(17)に代入して、差分の二乗和eを算出する(図9のステップST18)。
ここでは、式(17)に示す重みdm(x,y)は、事前に設定された値に固定されていることを想定しているが、移動体復元部29によって変更されるようにしてもよい。
移動体1の輝度分布推定処理の収束判定として、例えば、算出した差分の二乗和eが事前に設定されている第2の許容誤差以下であれば、収束していると判定する方法がある。収束していると判定したときの算出した差分の二乗和eは、最小の二乗和eである。第2の許容誤差は、例えば、移動体復元部29の内部メモリ又は保存装置30に格納されているものとする。
また、移動体1の輝度分布推定処理の収束判定として、例えば、移動体1の輝度分布o(p,q)を変更しながら、事前に設定された回数だけ差分の二乗和eを算出し、算出した二乗和eの中で、最小の二乗和eを特定したら、収束していると判定する方法がある。
変更後の輝度分布o(p,q)は、未だ式(16)に設定していない輝度分布であれば、どのような輝度分布でもよいが、差分の二乗和eが小さくなるような輝度分布であることが望ましい。
移動体復元部29は、移動体1の輝度分布推定処理が収束していれば(図9のステップST19:YESの場合)、移動体1の輝度分布推定処理結果として、最小の二乗和eが算出された移動体1の輝度分布o(p,q)を保存装置30に出力する(図9のステップST21)。
しかし、これは一例に過ぎず、波面推定部28は、式(2)、式(4)及び式(5)によって点像強度分布を算出した後、点像強度分布と光検出器15により検出された集光スポット像とから、波面Wn(u,v)を推定するようにしてもよい。
図11は、レンズアレイ25に含まれている複数のレンズの開口と、光束2を透過する透過領域が等しい遮光部24の一例を示す説明図である。
複数の透過領域が、複数のレンズの開口よりも小さい場合、複数の空間領域は、複数の透過領域と一致するが、複数のレンズの開口とは一致しない。
図12及び図13は、レンズアレイ25に含まれている複数のレンズの開口よりも、光束2を透過する透過領域が小さい遮光部24の一例を示す説明図である。
図12及び図13には、レンズアレイ25に含まれている複数のレンズの開口が図示されていないが、図12及び図13に図示されている複数の透過領域は、複数のレンズの開口よりも小さい。
複数の透過領域の中に、光束2が遮光される領域が含まれている場合、複数の空間領域の形状は、リング形状となる。
図14は、複数の透過領域の中に、光束2が遮光される領域が含まれている遮光部24の一例を示す説明図である。
図15及び図16は、形状又は大きさが異なる透過領域が混在している遮光部24の一例を示す説明図である。
形状又は大きさが異なる透過領域が混在している場合、レンズの開口よりも小さい部分開口の透過領域においては、空間領域が、当該透過領域と一致するが、レンズの開口とは一致しない。
実施の形態1の波面計測装置3は、空間分割部23が1つの遮光部24を備えている。
実施の形態2では、空間分割部61が、2つの遮光部として、第1の遮光部24a及び第2の遮光部24bを備えている波面計測装置3について説明する。
空間分割部61は、光スイッチ62、第1の遮光部24a、第2の遮光部24b及びレンズアレイ25を備えている。
空間分割部61は、図1に示す空間分割部23と同様に、フォーカス調整レンズ22から出力された光束2を複数の空間領域の光束2aに分割し、複数の空間領域の光束2aをシャッタ26に出力する。
光スイッチ62は、制御装置63によって、フォーカス調整レンズ22から出力された光束2の出力先が切り替えられ、光束2を第1の遮光部24a又は第2の遮光部24bに出力する。
第2の遮光部24bは、光スイッチ62から出力された光束2を部分的に遮光することで、光束2を複数の第2の空間領域の光束2aに分割する。
第1の遮光部24aにより光束2が遮光されない複数の透過領域における形状又は大きさと、第2の遮光部24bにより光束2が遮光されない複数の透過領域における形状又は大きさとは、異なっている。
例えば、第1の遮光部24aが図12に示す遮光部であり、第2の遮光部24bが図13に示す遮光部である態様が考えられる。
第1の遮光部24aと第2の遮光部24bとにおいて、複数の透過領域における形状又は大きさが異なる場合、複数の第1の空間領域における形状又は大きさと、複数の第2の空間領域における形状又は大きさとは、異なる。
制御装置63は、図1に示す制御装置43と同様に、カウンタ42により計測された経過時間に基づいて、フォーカス調整レンズ13,22、シャッタ14,26、光検出器15,27及び駆動装置44を制御する装置である。
また、制御装置63は、光スイッチ62における光束2の出力先を制御する。
ただし、空間分割部61及び制御装置63以外は、実施の形態1の移動体観測装置と同様であるため、空間分割部61及び制御装置63の動作のみを説明する。
したがって、波面推定部28で実施される波面の推定処理は、空間領域の大きさが小さい場合、空間領域の大きさが大きい場合よりも、早く終了する。
ここでは、説明の便宜上、第1の遮光部24aの透過領域に対応する第1の空間領域の大きさが、第2の遮光部24bの透過領域に対応する第2の空間領域の大きさよりも小さいものとする。
制御装置63は、波面の推定処理が進んで、収束に近づいてきたら、光スイッチ62から光束2が第2の遮光部24bに出力されるように、光スイッチ62における光束2の出力先を制御する。制御装置63によって、光束2の出力先が制御されることで、第2の遮光部24bから出力された光束2aが、レンズアレイ25に与えられる。
例えば、式(14)に示す差分の二乗和Errが、閾値よりも小さければ、制御装置63は、収束に近づいてきていると判断することができる。閾値は、例えば、制御装置63の内部メモリ又は保存装置30に格納されているものとする。閾値>第1の許容誤差である。
制御装置63は、例えば、複数のフレームのうち、奇数フレームでは、光スイッチ62から光束2が第1の遮光部24aに出力されるように制御し、偶数フレームでは、光スイッチ62から光束2が第2の遮光部24bに出力されるように制御してもよい。
制御装置63は、フォーカス調整レンズ22から出力された光束2の出力先が、3つ以上の遮光部のいずれかとなるように、光スイッチ62における光束2の出力先を制御する。
実施の形態3では、空間分割部64が、シャッタ65a,65b,65cを備えている波面計測装置3について説明する。
図18は、実施の形態3による波面計測装置3を含む移動体観測装置を示す構成図である。図18において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
空間分割部64は、遮光部24、シャッタ65a,65b,65c及びレンズアレイ25を備えている。
空間分割部64は、図1に示す空間分割部23と同様に、フォーカス調整レンズ22から出力された光束2を複数の空間領域の光束2aに分割し、複数の空間領域の光束2aをシャッタ26に出力する。
空間分割部64が備える遮光部24は、形状又は大きさが異なる透過領域が混在している。
遮光部24が、例えば、図16に示す遮光部であれば、3種類の透過領域が混在している。
実施の形態3では、説明の便宜上、遮光部24が、図16に示す遮光部であるものとする。
シャッタ65aは、第1の透過領域群に含まれている複数の透過領域を透過してきた光束2aの光量を調整し、光量調整後の光束2aをレンズアレイ25に出力する。
シャッタ65bは、遮光部24における第2の透過領域群と対向するように設置されている。
シャッタ65bは、第2の透過領域群に含まれている複数の透過領域を透過してきた光束2aの光量を調整し、光量調整後の光束2aをレンズアレイ25に出力する。
シャッタ65cは、遮光部24における第3の透過領域群と対向するように設置されている。
シャッタ65bは、第3の透過領域群に含まれている複数の透過領域を透過してきた光束2aの光量を調整し、光量調整後の光束2aをレンズアレイ25に出力する。
空間分割部64は、3つのシャッタ65a,65b,65cを備えている。しかし、これは一例に過ぎず、遮光部24が、例えば、4つの透過領域群を備えていれば、空間分割部64が、4つのシャッタを備えている。
制御装置66は、図1に示す制御装置43と同様に、カウンタ42により計測された経過時間に基づいて、フォーカス調整レンズ13,22、シャッタ14,26、光検出器15,27及び駆動装置44を制御する装置である。
また、制御装置66は、シャッタ65a,65b,65cにおける光量の調整を制御する。
ただし、空間分割部64及び制御装置66以外は、実施の形態1の移動体観測装置と同様であるため、空間分割部64及び制御装置66の動作のみを説明する。
具体的には、制御装置66は、シャッタ65bを通過する光量が、シャッタ65a,65cを通過する光量よりも多くなるように、シャッタ65a,65b,65cにおける光量の調整を制御する。
制御装置66は、波面の推定処理が進んで、収束に近づいてきたら、第2の透過領域群の重みと、第1及び第3の透過領域群の重みとが同じになるように、シャッタ65a,65b,65cにおける光量の調整を制御する。
具体的には、制御装置66は、シャッタ65bを通過する光量が、シャッタ65a,65cを通過する光量と同じになるように、シャッタ65a,65b,65cにおける光量の調整を制御する。
しかし、これは一例に過ぎない。
制御装置66は、複数のフレームのうち、奇数フレームでは、第2の透過領域群の重みが、第1及び第3の透過領域群の重みよりも大きくなるように、シャッタ65a,65b,65cにおける光量の調整を制御する。
一方、制御装置66は、偶数フレームでは、第1及び第3の透過領域群の重みが、第2の透過領域群の重みよりも大きくなるように、シャッタ65a,65b,65cにおける光量の調整を制御するものであってもよい。
実施の形態4では、光検出器15,27の他に、光検出器77を備える波面計測装置3について説明する。
図19は、実施の形態4による波面計測装置3を含む移動体観測装置を示す構成図である。図19において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すので説明を省略する。
光束分割部70は、結像光学系11により集光された光束2の光量を3つに分割することで、光束2を3つに分割する。
光束分割部70は、分割後のそれぞれの光束2をフォーカス調整レンズ13、リレー光学系21及びリレー光学系71に出力する。
リレー光学系71は、レンズアレイ75において、光束分割部70から出力された光束2のピントが合うように、レンズアレイ75を結像光学系11の瞳と光学的に等価とする光学系である。
フォーカス調整レンズ72は、リレー光学系71を透過してきた光束2の光路長を調整して、光路長調整後の光束2を空間分割部73に出力する。
空間分割部73は、フォーカス調整レンズ72から出力された光束2を複数の空間領域の光束2aに分割し、複数の空間領域の光束2aをシャッタ76に出力する。
実施の形態4の波面計測装置3では、空間分割部23が第1の空間分割部であり、空間分割部73が第2の空間分割部である。
レンズアレイ75は、複数のレンズを含んでおり、複数の空間領域の光束2aを光検出器77の受光面に集光する。
遮光部24により光束2が遮光されない複数の透過領域における形状又は大きさと、遮光部74により光束2が遮光されない複数の透過領域における形状又は大きさとは、異なっている。
したがって、空間分割部23により光束が分割される複数の空間領域の形状又は大きさと、空間分割部73により光束が分割される複数の空間領域の形状又は大きさとが異なっている。
実施の形態4では、説明の便宜上、遮光部74の透過領域に対応する空間領域の大きさが、遮光部24の透過領域に対応する空間領域の大きさよりも小さいものとする。
光検出器77は、例えば、イメージセンサによって実現される。
光検出器77は、シャッタ76を通過してきた複数の空間領域の光束2aのそれぞれを受光する受光面を有している。
光検出器77は、受光面で受光されるそれぞれの光束2aから、移動体1の像として、集光スポット像を検出し、それぞれの集光スポット像を示す強度画像を波面推定部78に出力する。
実施の形態4の波面計測装置3では、光検出器27が第1の光検出器であり、光検出器77が第2の光検出器である。
波面推定部78は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像の位置又は光検出器77により検出された複数の集光スポット像の位置から、結像光学系11の開口における光束2の波面の概算値を算出する処理を実施する。
波面推定部78は、波面の概算値を用いて、光検出器27により検出された複数の集光スポット像を算出し、又は、光検出器77により検出された複数の集光スポット像の点像強度分布を算出する処理を実施する。
波面推定部78は、算出した点像強度分布と、光検出器27により検出された集光スポット像又は光検出器77により検出された集光スポット像とから、結像光学系11の開口における光束2の波面を推定する処理を実施する。
移動体復元部79は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像又は光検出器77により検出された複数の集光スポット像と、波面推定部78により推定された点像強度分布とから、移動体1の輝度分布を推定する処理を実施する。
制御装置80は、カウンタ42により計測された経過時間に基づいて、フォーカス調整レンズ13,22,72、シャッタ14,26,76、光検出器15,27,77及び駆動装置44を制御する装置である。
光束分割部70は、結像光学系11により集光された光束2の光量を3つに分割することで、光束2を3つに分割する。
光束分割部70は、分割後のそれぞれの光束2をフォーカス調整レンズ13、リレー光学系21及びリレー光学系71に出力する。
フォーカス調整レンズ72は、制御装置80から出力される制御信号に従ってリレー光学系71を透過してきた光束2の光路長を調整し、光路長調整後の光束2を空間分割部73の遮光部74に出力する。
リレー光学系71を透過してくる光束2の光路長は、例えば、温度の変化に伴って変化する。制御装置80は、リレー光学系71を透過してくる光束2の光路長が、或る基準温度での光路長と一致するように、フォーカス調整レンズ72における光路長の調整量を制御する。
遮光部74は、複数の空間領域の光束2aをレンズアレイ75に出力する。
レンズアレイ75は、遮光部74から複数の空間領域の光束2aを受けると、複数の空間領域の光束2aが光検出器77の受光面に集光されるように、複数の空間領域の光束2aをシャッタ76に出力する。
移動体1が高速で移動している場合、光検出器77での光束2aの露光時間がコヒーレンス時間よりも長くなると、光検出器77により検出される移動体1の像の広がりが大きくなる。
移動体1が高速で移動している場合、制御装置80は、光検出器77での光束2aの露光時間がコヒーレンス時間よりも短くなるように、シャッタ76における光束2aの通過時間を制御する。
制御装置80が、上記のように、シャッタ76における光束2aの通過時間を制御する場合、光検出器77により受光される光束2aの光量が少なくなってしまうことがある。光束2aの光量が少なくなってしまう場合、制御装置80が、シャッタ76において、光束2aの通過と遮光が複数回繰り返されるように制御することで、光検出器77が、複数回、移動体1の像を検出できるようにする。
ただし、波面推定部78は、波面推定処理の実施に用いる集光スポット像が、光検出器27により検出された複数の集光スポット像又は光検出器77により検出された複数の集光スポット像に切り替わる点で、図1に示す波面推定部28と相違している。
制御装置80によって、空間分割部73から出力された光束2が光検出器77の受光面に集光されるように、シャッタ26,76が制御されることで、光検出器77により検出された複数の集光スポット像を示す強度画像が、波面推定部78に与えられる。
制御装置80は、収束に近づいてきたら、空間分割部23から出力された光束2が光検出器27の受光面27aに集光されて、空間分割部73から出力された光束2が光検出器77の受光面に集光されないように、シャッタ26,76を制御する。
制御装置80によって、空間分割部23から出力された光束2が光検出器27の受光面27aに集光されるように、シャッタ26,76が制御されることで、光検出器27により検出された複数の集光スポット像を示す強度画像が、波面推定部78に与えられる。
ただし、移動体復元部79は、輝度分布推定処理の実施に用いる集光スポット像として、光検出器27により検出された複数の集光スポット像又は光検出器77により検出された複数の集光スポット像を用いる点で、図1に示す移動体復元部29と相違している。
実施の形態4の波面計測装置3では、光束分割部70が、結像光学系11により集光された光束2の光量を3つに分割している。
実施の形態5では、光束分割部81が、結像光学系11により集光された光束2を波長別に分割している波面計測装置3について説明する。
光束分割部81は、例えば、ビームスプリッタによって実現される。
光束分割部81は、結像光学系11により集光された光束2を波長別に3つに分割する。
光束分割部81は、分割後のそれぞれの光束2をフォーカス調整レンズ13、リレー光学系21及びリレー光学系71に出力する。
実施の形態5では、光束分割部81からリレー光学系21に出力される光束2が第1の波長の光束であり、光束分割部81からリレー光学系71に出力される光束2が第2の波長の光束であるとする。
したがって、第1の空間分割部である空間分割部23は、第1の波長の光束を複数の空間領域の光束2aに分割し、第2の空間分割部である空間分割部73は、第2の波長の光束を複数の空間領域の光束2aに分割する。
波面推定部82は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像の位置及び光検出器77により検出された複数の集光スポット像の位置から、結像光学系11の開口における光束2の波面の概算値を算出する処理を実施する。
波面推定部82は、波面の概算値を用いて、光検出器27により検出された複数の集光スポット像と、光検出器77により検出された複数の集光スポット像との点像強度分布を算出する処理を実施する。
波面推定部82は、点像強度分布と、光検出器27により検出された複数の集光スポット像及び光検出器77により検出された複数の集光スポット像とから、結像光学系11の開口における光束2の波面を推定する処理を実施する。
移動体復元部83は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像及び光検出器77により検出された複数の集光スポット像と、波面推定部82により推定された点像強度分布とから、移動体1の輝度分布を推定する処理を実施する。
ここでは、移動体復元部83が、移動体1の輝度分布を推定する際、光検出器27により検出された複数の集光スポット像と、光検出器77により検出された複数の集光スポット像とを用いるものとする。しかし、これは一例に過ぎず、移動体復元部83は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像又は光検出器77により検出された複数の集光スポット像を用いるようにしてもよい。
光束分割部81は、結像光学系11により集光された光束2を波長別に3つに分割する。
光束分割部81は、分割後のそれぞれの光束2をフォーカス調整レンズ13、リレー光学系21及びリレー光学系71に出力する。
分割後のそれぞれの光束2のうち、第1の波長の光束2は、光束分割部81によって、リレー光学系21に出力され、第2の波長の光束2は、光束分割部81によって、リレー光学系71に出力される。
第1の光検出器である光検出器27の受光面27aには、空間分割部23から出力された第1の波長の光束2aが集光され、第2の光検出器である光検出器77の受光面には、空間分割部73から出力された第2の波長の光束2aが集光される。
したがって、光検出器27は、第1の波長のそれぞれの光束2aから、移動体1の像として、集光スポット像を検出し、それぞれの集光スポット像を示す強度画像を波面推定部82に出力する。
光検出器77は、第2の波長のそれぞれの光束2aから、移動体1の像として、集光スポット像を検出し、それぞれの集光スポット像を示す強度画像を波面推定部82に出力する。
ただし、波面推定部82は、波面推定処理に用いる集光スポット像が、第1の波長の光束2aから検出された複数の集光スポット像と、第2の波長の光束2aから検出された複数の集光スポット像との双方である点で、図1に示す波面推定部28と相違している。
大気による光束2の散乱は、波長に依存する。例えば、青い光は、散乱しやすく、青い光よりも波長が長い赤い光は、散乱され難いという特徴がある。なお、画像の分解能は、赤い光よりも青い光の方が高い。
したがって、移動体1からの光束2のうち、青色の光束2は、赤色の光束2よりも、広がりが大きくなる。
式(18)において、λjの添え字jは、波長を識別する記号である。j=1の場合のλ1は、第1の波長であり、j=2の場合のλ2は、第2の波長である。
式(18)は、式(3)と同様に、位相Φn(u,v)と、波面Wn(u,v)との関係を示している。
したがって、光検出器27によって第1の波長のそれぞれの光束2aから検出された集光スポット像の点像強度分布は、光検出器77によって第2の波長のそれぞれの光束2aから検出された集光スポット像の点像強度分布と異なる。
即ち、波面推定部82は、第1の波長の光束2aから検出された複数の集光スポット像と、第2の波長の光束2aから検出された複数の集光スポット像との全ての集光スポット像の点像強度分布を示す点広がり関数km,n(x,y)を算出する。
波面推定部82により算出される点広がり関数km,n(x,y)は、複数の集光スポット像の位置の相関だけでなく、波長の相関も考慮されて算出されている。
波面推定部82は、点広がり関数km,n(x,y)を算出すると、点広がり関数km,n(x,y)と、光検出器27により検出された複数の集光スポット像及び光検出器77により検出された複数の集光スポット像とから、波面Wn(u,v)を推定する。
ただし、移動体復元部83は、移動体1の輝度分布推定処理に用いる集光スポット像として、光検出器27により検出された複数の集光スポット像と、光検出器77により検出された複数の集光スポット像とを用いる点で、図1に示す移動体復元部29と相違している。
また、実施の形態5の波面計測装置3は、波面の推定に用いる情報として、波長の情報も利用するため、実施の形態1の波面計測装置3での波面の推定精度よりも向上する。
実施の形態6では、リレー光学系21から出力された光束2の光路長を調整するフォーカス調整レンズ22と、リレー光学系71から出力された光束2の光路長を調整するフォーカス調整レンズ72とを備えている波面計測装置3について説明する。
実施の形態6の波面計測装置3では、フォーカス調整レンズ22が第1のフォーカス調整レンズであり、フォーカス調整レンズ72が第2のフォーカス調整レンズである。
波面推定部84は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像の位置及び光検出器77により検出された複数の集光スポット像の位置から、波面の概算値を算出する処理を実施する。
波面推定部84は、波面の概算値を用いて、光検出器27により検出された複数の集光スポット像と、光検出器77により検出された複数の集光スポット像との点像強度分布を算出する処理を実施する。
波面推定部84は、点像強度分布と、光検出器27により検出された複数の集光スポット像及び光検出器77により検出された複数の集光スポット像とから、波面を推定する処理を実施する。
制御装置80は、リレー光学系21から出力された光束2の光路長と、リレー光学系71から出力された光束2の光路長とが異なるように、フォーカス調整レンズ22及びフォーカス調整レンズ72のそれぞれを制御する。
具体的には、制御装置80は、光検出器27の受光面27aにおいて、光束2aの焦点が合うように、フォーカス調整レンズ22を制御する。以下、焦点が合っている光束2aを「フォーカス状態の光束2a」と称する。
また、制御装置80は、光検出器77の受光面において、光束2aの焦点がずれるように、フォーカス調整レンズ72を制御する。以下、焦点がずれている光束2aを「デフォーカス状態の光束2a」と称する。
光検出器27により検出された複数の集光スポット像に基づいて、波面推定部84により推定された波面には、大気による光束2の位相の揺らぎが付加されても、光束2aの焦点のずれに対応する収差は付加されない。
したがって、光検出器27によって検出された複数の集光スポット像の点像強度分布は、光検出器77によって検出された複数の集光スポット像の点像強度分布と異なる。
即ち、波面推定部84は、フォーカス状態の光束2aから検出された複数の集光スポット像と、デフォーカス状態の光束2aから検出された複数の集光スポット像との点像強度分布を示す点広がり関数km,n(x,y)を算出する。
波面推定部84により算出される点広がり関数km,n(x,y)は、複数の集光スポット像の位置の相関だけでなく、焦点のずれに対応する収差も考慮されて算出されている。
波面推定部84は、点広がり関数km,n(x,y)と、フォーカス状態の光束2aから検出された複数の集光スポット像及びデフォーカス状態の光束2aから検出された複数の集光スポット像とから、波面Wn(u,v)を推定する。
また、実施の形態6の波面計測装置3は、波面の推定に用いる情報として、収差の情報も利用するため、実施の形態1の波面計測装置3での波面の推定精度よりも向上する。
実施の形態5の移動体観測装置では、移動体復元部83が、光検出器27により検出された複数の集光スポット像及び光検出器77により検出された複数の集光スポット像と、波面推定部82により推定された点像強度分布とから、移動体1の輝度分布を推定している。
実施の形態7では、移動体復元部86が、移動体1が存在している領域内の集光スポット像と点像強度分布とから、移動体1の輝度分布を推定する移動体観測装置について説明する。
移動体復元部86は、パーソナルコンピュータなどの計算機、あるいは、波面推定回路などによって実現される。
移動体復元部86は、光検出器27により検出された複数の集光スポット像から、移動体が存在している領域を検出する。
移動体復元部86は、光検出器77により検出された複数の集光スポット像のうち、移動体1が存在している領域内の集光スポット像と点像強度分布とから、移動体1の輝度分布を推定する処理を実施する。
光検出器27は、第1の波長の光束2aから複数の集光スポット像を検出しており、光検出器77は、第2の波長の光束2aから複数の集光スポット像を検出している。
第1の波長の光束2aは、第2の波長の光束2aよりも広がりが小さい光束であり、例えば、赤色の光束であるとする。第2の波長の光束2aは、青色又は緑色などの光束であるとする。第1の波長>第2の波長である。
赤色の光束は、青色又は緑色などの光束よりも、散乱の影響を受け難いが、強度画像の分解能が低い。
以下、移動体復元部86による移動体1の輝度分布推定処理を具体的に説明する。
図23は、移動体復元部86による移動体1の輝度分布推定処理を示す説明図である。
図23において、強度画像111は、光検出器27によって第1の波長の光束2aから検出された複数の集光スポット像を示す強度画像である。
強度画像112は、光検出器77によって第2の波長の光束2aから検出された複数の集光スポット像を示す強度画像である。
強度画像112は、散乱の影響を受け易いため、強度画像112に映っている移動体1の像は、強度画像111に映っている移動体1の像よりも広がりが大きくなっている。ただし、強度画像112は、強度画像111よりも分解能が高い画像である。
移動体復元部86は、抽出した輪郭の内側の領域を移動体1が存在している領域とし、輪郭の外側の領域を移動体1が存在していない領域とする。
次に、移動体復元部86は、図23に示すように、移動体1が存在している領域を包含する領域のみが、移動体1の輝度分布推定処理に用いる処理対象領域である旨を示すマスク画像113を生成する。
処理対象領域は、移動体1が存在している領域を包含する領域であり、処理対象領域は、移動体1が存在している領域と一致する領域であってもよいし、移動体1が存在している領域も大きい領域であってもよい。移動体1が存在している領域も大きい領域としては、移動体1の影に対応するマージンだけ、抽出した移動体1の輪郭よりも大きい領域などが考えられる。マージンとしては、例えば、移動体1が存在している領域の約10%の大きさが考えられる。
移動体復元部86は、処理対象領域に含まれている1つ以上の移動体1の像im,n(x,y)の中から、1つの移動体1の像im,n(x,y)を選択する。
移動体復元部86は、選択した移動体1の像im,n(x,y)と、選択した移動体1の像im,n(x,y)に対応する点広がり関数km,n(x,y)とを式(16)に代入して、差分rm,n(x,y)を算出する。
移動体復元部86は、処理対象領域に含まれている1以上の移動体1の像im,n(x,y)をすべて選択して、差分rm,n(x,y)の算出が終了するまで、上記の処理を繰り返し実施する。
移動体復元部86は、算出した全ての差分rm,n(x,y)を式(17)に代入して、差分の二乗和eを算出する(図9のステップST18)。
式(17)において、処理対象領域内の差分rm,n(x,y)に対応する重みdm(x,y)を1とし、処理対象領域外の差分rm,n(x,y)に対応する重みdm(x,y)を0とする。
移動体復元部86は、移動体1の輝度分布推定処理が収束すると、最小の二乗和eが算出された移動体1の輝度分布o(p,q)を保存装置30に出力する。
また、この発明は、移動体の輝度分布を推定する移動体観測装置に適している。
Claims (10)
- 移動体に反射された光束又は前記移動体から送信された光束を集光する結像光学系と、
前記結像光学系により集光された光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する空間分割部と、
前記空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する光検出器と、
前記光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を算出し、前記概算値を用いて、前記複数の集光スポット像の点像強度分布を算出し、前記点像強度分布と前記複数の集光スポット像とから、前記波面を推定する波面推定部と、
前記光検出器により検出された集光スポット像と、前記波面推定部により算出された点像強度分布とから、前記移動体の輝度分布を推定する移動体復元部と、
前記結像光学系により集光された光束を第1の波長の光束と第2の波長の光束とに分割する光束分割部とを備え、
前記空間分割部として、
前記光束分割部により分割された第1の波長の光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第1の空間分割部と、
前記光束分割部により分割された第2の波長の光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第2の空間分割部とを備えており、
前記光検出器として、
前記第1の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第1の光検出器と、
前記第2の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第2の光検出器とを備えており、
前記移動体復元部は、
前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像から、前記移動体が存在している領域を検出し、前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像のうち、前記移動体が存在している領域内の集光スポット像と、前記波面推定部により算出された点像強度分布とから、前記移動体の輝度分布を推定することを特徴とする移動体観測装置。 - 結像光学系が、移動体に反射された光束又は前記移動体から送信された光束を集光し、
空間分割部が、前記結像光学系により集光された光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光し、
光検出器が、前記空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出し、
波面推定部が、前記光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を算出し、前記概算値を用いて、前記複数の集光スポット像の点像強度分布を算出し、前記点像強度分布と前記複数の集光スポット像とから、前記波面を推定し、
移動体復元部が、前記光検出器により検出された集光スポット像と、前記波面推定部により算出された点像強度分布とから、前記移動体の輝度分布を推定し、
光束分割部が、前記結像光学系により集光された光束を第1の波長の光束と第2の波長の光束とに分割し、
前記空間分割部として、
第1の空間分割部が、前記光束分割部により分割された第1の波長の光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光し、
第2の空間分割部が、前記光束分割部により分割された第2の波長の光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光し、
前記光検出器として、
第1の光検出器が、前記第1の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出し、
第2の光検出器が、前記第2の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出し、
前記移動体復元部が、
前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像から、前記移動体が存在している領域を検出し、前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像のうち、前記移動体が存在している領域内の集光スポット像と、前記波面推定部により算出された点像強度分布とから、前記移動体の輝度分布を推定することを特徴とする移動体観測方法。 - 移動体に反射された光束又は前記移動体から送信された光束を集光する結像光学系と、
前記結像光学系により集光された光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する空間分割部と、
前記空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する光検出器と、
前記光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を算出し、前記概算値を用いて、前記複数の集光スポット像の点像強度分布を算出し、前記点像強度分布と前記複数の集光スポット像とから、前記波面を推定する波面推定部と、
を備え、
前記空間分割部は、
前記結像光学系により集光された光束を部分的に遮光することで、前記結像光学系により集光された光束を複数の空間領域の光束に分割する遮光部と、
前記遮光部により分割された複数の空間領域の光束のそれぞれを前記光検出器の受光面に集光するレンズアレイとを備え、
前記遮光部により分割された複数の空間領域の形状がリング形状となっている波面計測装置。 - 前記複数の空間領域には、形状又は大きさが異なる領域が混在していることを特徴とする請求項3記載の波面計測装置。
- 前記空間分割部は、
前記結像光学系により集光された光束の出力先を切り替える光スイッチと、
前記光スイッチから出力された光束を部分的に遮光することで、前記光スイッチから出力された光束を複数の第1の空間領域の光束に分割する第1の遮光部と、
前記光スイッチから出力された光束を部分的に遮光することで、前記光スイッチから出力された光束を前記複数の第1の空間領域と形状又は大きさが異なる複数の第2の空間領域の光束に分割する第2の遮光部と、
前記第1の遮光部により分割された複数の第1の空間領域の光束又は前記第2の遮光部により分割された複数の第2の空間領域の光束のそれぞれを前記光検出器の受光面に集光するレンズアレイとを備えており、
前記光スイッチにおける光束の出力先を制御して、前記結像光学系により集光された光束を前記第1の遮光部又は前記第2の遮光部に出力させる制御装置を備えたことを特徴とする請求項3記載の波面計測装置。 - 前記空間分割部は、
前記遮光部により分割された複数の空間領域の光束のそれぞれの光量を調整する複数のシャッタを備えており、
前記複数のシャッタにおける光量の調整を制御する制御装置を備えたことを特徴とする請求項4記載の波面計測装置。 - 前記結像光学系により集光された光束を複数の光束に分割し、前記複数の光束を出力する光束分割部を備え、
前記空間分割部として、
前記光束分割部から出力された複数の光束のうち、いずれか1つの光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第1の空間分割部と、
前記光束分割部から出力された複数の光束のうち、前記いずれか1つの光束と異なるいずれか1つの光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第2の空間分割部とを備えており、
前記光検出器として、
前記第1の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第1の光検出器と、
前記第2の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第2の光検出器とを備えており、
前記第1の空間分割部により光束が分割される複数の空間領域の形状又は大きさと、前記第2の空間分割部により光束が分割される複数の空間領域の形状又は大きさとが異なり、
前記波面推定部は、
前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を第1の概算値として算出し、前記第1の概算値を用いて、前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像の点像強度分布を第1の点像強度分布として算出し、又は、前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を第2の概算値として算出し、前記第2の概算値を用いて、前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像の点像強度分布を第2の点像強度分布として算出し、
前記第1の点像強度分布と前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像とから、前記波面を推定し、又は、前記第2の点像強度分布と前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像とから、前記波面を推定することを特徴とする請求項3記載の波面計測装置。 - 前記結像光学系により集光された光束を第1の波長の光束と第2の波長の光束とに分割する光束分割部を備え、
前記空間分割部として、
前記光束分割部により分割された第1の波長の光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第1の空間分割部と、
前記光束分割部により分割された第2の波長の光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第2の空間分割部とを備えており、
前記光検出器として、
前記第1の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第1の光検出器と、
前記第2の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第2の光検出器とを備えており、
前記波面推定部は、
前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置及び前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を算出し、前記概算値を用いて、前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像と前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像との点像強度分布を算出し、
前記点像強度分布と前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像及び前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像とから、前記波面を推定することを特徴とする請求項3記載の波面計測装置。 - 前記結像光学系により集光された光束を複数の光束に分割し、前記複数の光束を出力する光束分割部を備え、
前記光束分割部から出力された複数の光束のうち、いずれか1つの光束の光路長を調整する第1のフォーカス調整レンズと、
前記光束分割部から出力された複数の光束のうち、前記いずれか1つの光束と異なるいずれか1つの光束の光路長を調整する第2のフォーカス調整レンズと備え、
前記空間分割部として、
前記第1のフォーカス調整レンズにより光路長が調整された光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第1の空間分割部と、
前記第2のフォーカス調整レンズにより光路長が調整された光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光する第2の空間分割部とを備えており、
前記光検出器として、
前記第1の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第1の光検出器と、
前記第2の空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出する第2の光検出器とを備えており、
前記波面推定部は、
前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置及び前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を算出し、前記概算値を用いて、前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像と前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像との点像強度分布を算出し、
前記点像強度分布と前記第1の光検出器により検出された複数の集光スポット像及び前記第2の光検出器により検出された複数の集光スポット像とから、前記波面を推定することを特徴とする請求項3記載の波面計測装置。 - 結像光学系が、移動体に反射された光束又は前記移動体から送信された光束を集光し、 空間分割部が、前記結像光学系により集光された光束を複数の空間領域の光束に分割し、前記複数の空間領域の光束のそれぞれを集光し、
光検出器が、前記空間分割部により集光されたそれぞれの光束から、前記移動体の像として、集光スポット像を検出し、
波面推定部が、前記光検出器により検出された複数の集光スポット像の位置から、前記結像光学系の開口における光束の波面の概算値を算出し、前記概算値を用いて、前記複数の集光スポット像の点像強度分布を算出し、前記点像強度分布と前記複数の集光スポット像とから、前記波面を推定し、
前記空間分割部において、
遮光部が、前記結像光学系により集光された光束を部分的に遮光することで、前記結像光学系により集光された光束を複数の空間領域の光束に分割し、
レンズアレイが、前記遮光部により分割された複数の空間領域の光束のそれぞれを前記光検出器の受光面に集光し、
前記遮光部により分割された複数の空間領域の形状がリング形状となっている波面計測方法。
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