JP6493039B2 - 化合物及びカラーフィルタ - Google Patents

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本発明は、例えば、着色剤として用いた際に、高温での熱履歴を長時間に亘って受けても色相変化の小さい着色物を提供できるトリアリ−ルメタン化合物及び該化合物を含有してなるカラーフィルタに関する。
液晶表示装置等のカラーフィルタは、赤色画素部(R)、緑色画素部(G)及び青色画素部(B)を有する。これらの各画素部は、いずれも有機顔料が分散した合成樹脂の薄膜が基板上に設けられた構造であり、有機顔料としては、赤、緑及び青の各色の有機顔料が用いられている。
これら画素部のうち、青色画素部を形成するための青色有機顔料としては、一般に、ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)が用いられており、必要に応じて調色のために、これに紫色有機顔料のジオキサジンバイオレット顔料(C.I.ピグメントバイオレット23)が少量併用されている。
カラーフィルタを作成する際の有機顔料は、従来の汎用用途とは全く異なる特性、具体的には、液晶表示装置等の表示画面がより明るくなる様にする(高輝度化)等の要求がある。しかしながら、ε型銅フタロシアニン顔料にジオキサジンバイオレット顔料を併用したのでは、高輝度が達成できないことから、特に青色画素部(B)に用いる有機顔料には、高輝度化がとりわけ要求されている。
この様な高輝度化に対応するために、輝度の点においてはε型銅フタロシアニン顔料より優れた、C.I.ピグメントブルー1の様なトリアリールメタン顔料をカラーフィルタの青色画素部に用いることが最近検討されてきている(特許文献1〜3)。
このC.I.ピグメントブルー1としては、以下の化学構造のBASF社のファナルカラー(FANAL BLUE D6340、同D6390)が著名であり、C.I.ピグメントブルー1は、塩基性トリアリールメタン染料であるビクトリアピュアブルーBOを、リンモリブデン酸やリンタングステンモリブデン酸の様なヘテロポリ酸でレーキ化して得られる。こうして得られたC.I.ピグメントブルー1は、カチオンの対イオンAがケギン型PMo12−x40であるとされている。
〔但し、一般式(IX)中、An−は、ケギン型リンタングステンモリブデン酸アニオンまたはリンモリブデン酸アニオンである。nは任意の自然数を表す。〕
また、上記したトリアリールメタン顔料ではなく、トリアリールメタン染料をカラーフィルタの青色画素部に用いることも最近検討されてきている(特許文献4〜5)。これらトリアリールメタン染料は、アニオンとしては、ハロゲン化物アニオン、テトラフェニルホウ素の様なホウ素アニオン、有機カルボン酸アニオン、無機硫酸アニオン、無機リン酸アニオン、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、アントラキノン色素やフタロシアニン色素やインジゴ色素の対応するスルホナトアニオン等を用いることが出来るとされている。
更に、トリアリールメタン染料として、金属フタロシアニンスルホン酸とトリアリールメタンカチオンとの塩からなる染料をカラーフィルタの青色画素部に用いることも検討されている(特許文献6)。
また、特定構造のトリアリールメタンと特定構造のヘテロポリオキソメタレートアニオンにより形成されている塩からなる化合物をカラーフィルタの青色画素部に用いることも検討されている(特許文献7、8)。
さらに、2量化されたトリアリールメタンとアニオンにより形成されている塩からなる化合物も同様にカラーフィルタ青色画素部に用いることも検討されている(特許文献9)。
しかしながら、これら従来のトリアリールメタン顔料やトリアリールメタン染料をカラーフィルタの青色画素部の調製に用いた場合、光線を長時間に亘って受けた場合やカラーフィルタ作製時の熱履歴によって、画素の色相変化は著しく低下してしまい、依然として長時間に亘って満足のいく輝度を維持できず、耐光性、耐熱性の点では不充分であるというのが実態である。
特開2001−81348号公報 特開2010−83912号公報 特開2010−85444号公報 特開2011−68866号公報 特開2011−70171号公報 特開2011−70172号公報 WO/2012/039416号 WO/2012/039417号 特開2013−057054号公報
本発明が解決しようとする課題は、カラーフィルタ作製時の製造工程に要求される200度以上の熱履歴を受けても、色相変化の少ない着色材を提供できる。例えば、カラーフィルタの青色画素部の調製に用いた際に、色相変化の少ない優れた液晶表示が可能となる液晶表示装置等を提供できるトリアリールメタン化合物及びそれを含有してなるカラーフィルタを提供することにある。
本発明者らは、前記実状に鑑みて鋭意検討した結果、特定の構造を有する塩基性多量化トリアリールメタン染料カチオンと特定の対アニオンからなるトリアリールメタン化合物をカラーフィルタの着色材として使用することで、カラーフィルタ作製時の熱履歴を受けても色相変化が少ないことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記一般式(I)で表される化合物を提供する。
(一般式(I)中、Zは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。
c−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。
複数あるR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。aは2以上の整数、b、c、dは1以上の整数を表す。Yは各々独立に、水素原子、または任意の置換基を示す。)
前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、ヘテロポリオキソメタレートアニオンである化合物。
前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、下記一般式(II)で表される、化合物。
(一般式(II)中、R及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。尚、R及びRは、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、下記一般式(III)で表される、化合物。
(一般式(III)中、R〜R10は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。尚、R〜R10は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、スルホン酸アニオンである化合物。
上記記載の化合物から選択される少なくとも一種を含有するカラーフィルタを提供する。
本発明のトリアリールメタン化合物は、特定一般式(I)で表される様な、トリアリールメタン化合物なので、高温での熱履歴を受けても着色物の色相変化が小さく耐熱性を大きく改善でき、特に、液晶表示装置等のカラーフィルタの耐熱性を大きく改善できるという格別顕著な技術的効果を奏する。
さらに、本発明のカラーフィルタは、青色画素部に、特定一般式(I)で表される様な、トリアリールメタン化合物を含有するので、高温での熱履歴を受けても色相変化の少ない長時間に亘りより明るい画像表示が可能な液晶表示装置等を提供できるという格別顕著な技術的効果を奏する。
本発明のトリアリールメタン化合物は、下記一般式(I)で表される化合物である。
(一般式(I)中、Zは、Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。
c−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。
複数あるR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。aは2以上の整数、b、c、dは1以上の整数を表す。Yは各々独立に、水素原子、または任意の置換基を示す。
本発明の一般式(I)の化合物は、水不溶性の色材でありトリアリールメタンカチオン部分とアニオンからなる。
一般式(I)において、R〜Rは同一であっても異なるものであってもよい。従って、−NRR(RRは、R、Rのいずれかの組み合わせを表わす。)基は左右対称であっても、左右非対称であってもよい。
隣接するR(Rは、R〜Rのいずれかを表わす。)が結合して環を形成する場合、これらはヘテロ原子で架橋された環であってもよい。この環の具体例として、例えば以下のものが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。
また、R〜Rは、化学的安定性の点から、各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましい。
Yは、各々独立に、水素原子、または任意の置換基であることが好ましい。
中でも、R〜Rは、各々独立に水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2‐エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基等のアリール基のいずれかであることがより好ましい。
〜RおよびYは、アルキル基又はアリール基を示す場合、該アルキル基又はアリール基は更に任意の置換基を有していてもよい。そのアルキル基又はアリール基が更に有していてもよい任意の置換基としては、例えば、下記[置換基群R]が挙げられる。
[置換基群R]
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2‐エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、チアゾリル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など炭素原子数1〜8のアルコキシ基;アミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、アセチルアミノ基など置換基を有していてもよいアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;等が挙げられる。
〜Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基が更に好ましく、より具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2‐エチルヘキシル基など無置換のアルキル基;2‐メトキシエチル基、2‐エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2‐アセチルオキシエチル基等のアシルオキシ基;2‐シアノエチル基等のシアノアルキル基;2,2,2‐トリフルオロエチル基、4,4,4‐トリフルオロブチル基等のフルオロアルキル基、などが挙げられる。
中でも、R〜Rのうち、少なくとも1つがフッ素原子含有基であることが、一般式(I)の正電荷を帯びたトリアリールメタンカチオンとフッ素原子含有基とが分子間相互作用することで、得られるカラーフィルタの耐熱性が向上する点から特に好ましく、具体的には、フルオロアリール基又はフルオロアルキル基等が挙げられ、より好ましくはフルオロアルキル基である。
つまり、R〜Rのうち、少なくとも一つが水素原子であることが、分子間水素結合を形成することによる耐熱性の向上の点で好ましい。加えて、R〜Rの少なくとも一つが炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基であることが疎水性を有することで、耐熱性が向上する点で好ましく、より好ましくは、R及びR(又は、R及びR)が、炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基であることが好ましい。
尚、前記フルオロアルキル基の炭素原子数は、通常1〜10、好ましくは2〜8、更に好ましくは4〜6である。上記範囲内であると、疎水性が適度であり、耐熱性が向上する点で好ましい。
又、Yとしては、本発明の効果を損なわない限り、任意の基であってもよいが、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2‐エチルヘキシル基など炭素原子数1〜8のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基など炭素原子数1〜8のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基等が挙げられる。
又、上記アルキル基及びアルコキシ基には、更に他の任意置換基を有していてもよい。他の任意置換基は、例えば、アルコキシ基等が挙げられる。尚、隣接するYが結合して更に環構造を形成していてもよい。本発明におけるYは、色純度が高い点で、水素原子であることが最も好ましい。
一般式(I)におけるZは、N(窒素原子)と直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO(酸素原子)、S(硫黄原子)、N(窒素原子)が含まれていてもよいものである。Nと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないため、カチオン性の発色部位が有する色調や透過率等の色特性は、連結基Zや他の発色部位の影響を受けず、単量体と同様の色を保持することができる。
Zにおいて、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基は、Nと直接結合する末端の炭素原子がπ結合を有しなければ、直鎖、分岐又は環状のいずれであってもよく、末端以外の炭素原子が不飽和結合を有していてもよく、置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、O、S、Nが含まれていてもよい。例えば、カルボニル基、カルボキシ基、オキシカルボニル基、アミド基等が含まれていてもよく、水素原子が更にハロゲン原子等に置換されていてもよい。
また、Zにおいて上記脂肪族炭化水素基を有する芳香族基は、少なくともNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基を有する、単環又は多環芳香族基が挙げられ、置換基を有していてもよく、O、S、Nが含まれる複素環であってもよい。中でも、骨格の堅牢性の点から、Zは、環状の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を含むことが好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、中でも、有橋脂環式炭化水素基が、骨格の堅牢性の点から好ましい。有橋脂環式炭化水素基とは、脂肪族環内に橋かけ構造を有し、多環構造を有する多環状脂肪族炭化水素基をいい、例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2,2,2]オクタン、アダマンタン等が挙げられる。有橋脂環式炭化水素基の中でも、ノルボルナンが好ましい。また、芳香族基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環を含む基が挙げられ、中でも、ベンゼン環を含む基が好ましい 原料入手の容易さの観点からZは2価が好ましい。例えば、Zが2価の有機基の場合、炭素数1〜20の直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基や、キシリレン基等の炭素数1〜20のアルキレン基を2個置換した芳香族基等が挙げられる。
次に、アニオン部分について詳細に説明をする。[Bc−]は、1価以上のアニオンである。[Bc−]は1価以上のアニオンであれば特に制限されないが、耐熱性の点から好ましいアニオンは、ヘテロポリオキソメタレートアニオン、下記一般式(II)で表せるアニオン、下記一般式(III)で表せるアニオン、及びスルホン酸アニオンが挙げられる。
(一般式(II)中、R及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。尚、R及びRは、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
(一般式(III)中、R〜R10は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。尚、R〜R10は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
本発明では、ヘテロポリ酸アニオンを、ヘテロポリオキソメタレートアニオンという。
ヘテロポリ酸は、有機構造を含まない比較的大きな分子量の無機酸であり、塩酸や硫酸の様な低分子の無機酸や有機酸に無い、特異な性質を発現させることが出来る。その第一は、カチオンのヘテロポリ酸によるレーキ化で水不溶のトリアリールメタン化合物を生成することである。第二は、レーキ化に用いるヘテロポリ酸を選択することで、得られるトリアリールメタン化合物の耐熱性や耐光性を向上させうる余地があることである。ヘテロポリ酸は、有機構造を含ませない或いは金属を含めた上で分子量も比較的大きく出来るが故に、それを適切に選択することで、高温や光線に曝された場合でも、アニオン構造に由来するトリアリールメタン化合物の変質を大きく抑制することが可能となる。
本発明で、より高い耐熱性を有するトリアリールメタン化合物を得たい場合は、例えば、[Bc−]が、W(タングステン)、O(酸素)を必須元素として、P(リン)とSi(珪素)の少なくとも一種を含有するヘテロポリオキソメタレートアニオンとすることが好ましい。
本発明において、より高い耐熱性を有するトリアリールメタン化合物は、例えば、[Bc−]が、(PMo18−y626−で表され、y=0,1,2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、(SiMo12−z404−で表され、z=0,1,2または3の整数であるヘテロポリオキソメタレートアニオンか、欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンから選ばれる少なくとも一種のアニオンのトリアリールメタン化合物である。
尚、欠損ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアニオンとは、(P176110−である。
ヘテロポリ酸またはそのアルカリ金属塩としては、例えば、H(PMo18−y62)、Na(PMo18−y62)、H(SiMo12−Z40)、Na(SiMo12−Z40)、H10(P1761)及びNa10(P1761)等を用いることが出来る。
(PMo18−y62)といったヘテロポリ酸は、例えば、Inorganic Chemistry, vol47, p3679に記載された方法に従って、容易に得ることが出来る。具体的には、タングステン酸アルカリ金属塩とモリブデン酸アルカリ金属塩とを水に溶解させ、これに燐酸を加え、加熱攪拌しながら5〜10時間加熱還流することで得ることが出来る。
こうして得られたヘテロポリ酸は、アルカリ金属塩化物と反応させることで、上記と同様にして、ドーソン型ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩であるNa(PMo18−y62)とすることが出来る。
モリブデン(Mo)とタングステン(W)の仕込みモル比を変えること、すなわちタングステン酸アルカリ金属塩とモリブデン酸アルカリ金属塩のモル比を調整することで、上記ヘテロポリオキソメタレートアニオンにおけるモリブデン数yを、0〜3の範囲に調製することが出来る。
別法としては、モリブデン酸アルカリ金属塩を水に溶解させ、これに塩酸を加え、次いで、K10(α2型P1761)の様な、α2型の欠損ドーソン型リンタングステ
ン酸アルカリ金属塩を加えて、10〜30℃にて、30分〜2時間攪拌することで得ることが出来る。こうして得られたヘテロポリ酸は、アルカリ金属塩化物と反応させることで、上記と同様にして、ドーソン型ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩とすることが出来る。
例えば、P1862より加水分解反応でα2型P1761を調製して、これにMoを反応させることで、PMoW1762のみを得ることも出来る。こうすることで、yの数値に分布の無い上記したヘテロポリ酸やそのアルカリ金属塩を得ることが出来る。
(SiMoW1140)といったヘテロポリ酸、ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩は、例えばJournal of American Chemical Society, 104(1982), p3194に記載された方法に従って、容易に得ることが出来る。具体的には、硝酸水溶液とモリブデン酸アルカリ金属塩水溶液を混合攪拌し、これにK(α型SiW1139)を加え、2〜6時間攪拌することで得ることが出来る。こうして得られたヘテロポリ酸は、アルカリ金属塩化物と反応させることで、上記と同様にして、ケギン型ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩とすることが出来る。
(P1862)やH10(P1761)といったヘテロポリ酸は、例えば、Inorganic Chemistry, vol47, p3679に記載された方法に従って、容易に得ることが出来る。具体的には、タングステン酸アルカリ金属塩を水に溶解させ、これに塩酸及び燐酸を加えて、加熱攪拌しながら10〜50時間加熱還流することで得ることが出来る。
ヘテロポリ酸は、アルカリ金属塩化物と反応させることで、ドーソン型ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩とすることが出来る。
欠損ドーソン型ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩は、前者のドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩を原料として、例えば、Inorganic Synthesis, vol27, p104に記載された方法に従って、容易に得ることが出来る。具体的には、ドーソン型リンタングステン酸ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩を水に溶解させ、これにアルカリ金属炭酸水素化物を加えて、必要に応じて加熱しながら、攪拌することで得ることが出来る。
前記一般式(II)におけるR及びRは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
該置換基としては、前記(置換基群R)の項で記載したものが挙げられる。
これらの内、特に、R及びRにおけるアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基が有する置換基としては、アニオンの電荷がより非局在化して、色材の耐熱性が向上する点で、フッ素原子を置換基として有することが好ましい。
つまり、R及びRは、アニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する点で、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基が好ましい。
一方、R及びRは、互いに連結して環を形成していてもよい。環を形成している場合、R及びRが連結して形成される基は、特に炭素数2〜12のフルオロアルキレン基であることが好ましい。
前記一般式(III)におけるR〜R10は、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。
該置換基としては、前記(置換基群R)の項で記載したものが挙げられる。
これらの内、特に、R〜R10におけるアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基が有する置換基としては、アニオンの電荷がより非局在化して、色材の耐熱性が向上する点で、フッ素原子を置換基として有することが好ましい。
つまり、R〜R10は、アニオンの電荷が分散されて、アニオンが安定化する点で、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基が好ましい。
一方、R〜R10は、互いに連結して環を形成していてもよい。環を形成している場合、R〜R10が連結して形成される基は、特に炭素数2〜12のフルオロアルキレン基であることが好ましい。
スルホン酸アニオンとしては、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、カンファースルホン酸など置換基を有していてもよい脂肪族スルホン酸アニオン; ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、1‐ナフタレンスルホン酸、2‐ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸など置換基を有していてもよい芳香族スルホン酸アニオン; acid blue 80(C.I.61585)、acid green 25(C.I.61570)、acid blue 45(C.I.63010)、acid blue 43(C.I.63000)、acid blue 25(C.I.62055)、acid blue 40(C.I.65125)等のスルホナト基を有するアントラキノン系色素のアニオン; direct blue 86(C.I.74810)、direct blue 199 (C.I.14190)等のスルホナト基を有するフタロシアニン系色素のアニオン; acid blue 74(C.I.73015)等のスルホナト基を有するインジゴ系色素のアニオン等が挙げられる。
一般式(I)におけるaは、カチオンを構成する発色性カチオン部位の数である。aは2以上の整数である。aの上限は特に限定されないが、製造の容易性の点からは、aが4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
また、一般式(I)におけるbは分子会合体中のカチオンの分子数を、dは分子会合体中のアニオンの分子数を示し、b及びdは1以上の整数を表す。本発明の色材はその結晶乃至凝集体において、b及びdがそれぞれ1の場合に限られず、それぞれ2、3、4…と2以上のいかなる自然数をもとり得る。本発明の色材は、耐熱性の点から、少なくとも一部がb≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。また、本発明の色材は、耐熱性の点から、少なくとも一部がd≧2の分子会合体を形成していることが好ましい。
bが2以上の場合、分子会合体中に複数あるカチオンは、1種単独であっても、2種以
上が組み合わされていてもよい。また、dが2以上の場合、分子会合体中に複数あるアニ
オンは、1種単独であっても、2種以上が組み合わされていてもよい。
本発明のトリアリールメタン化合物は、例えば、上記した対応するカチオン部の塩化物と、上記した対応するヘテロポリ酸またはヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩とを反応させることで容易に製造することが出来る。上記した対応するカチオン部の塩化物を用いかつヘテロポリ酸を用いる場合には、脱塩化水素反応により、上記した対応するカチオン部の塩化物を用いかつヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩を用いる場合には、脱アルカリ金属塩化物反応により、塩置換することで製造することが出来る。
上記ヘテロポリ酸を用いる脱塩化水素反応に比べて、ヘテロポリ酸をいったんヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩としてから脱アルカリ金属塩化物反応を行う方が、塩置換を確実に行うことが出来、より収率高く本発明のトリアリールメタン化合物が得られるばかりでなく、副生成物がより少ない純度の高い本発明のトリアリールメタン化合物が得られるので好ましい。勿論、ヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩は、再結晶等により精製してから用いることも出来る。
反応液からの沈殿が得られ難い場合には、当該反応液を冷却するなどして溶解度を低下させることにより、対応するヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩をより収率高く得ることが出来る。
本発明のカチオンは、2価以上であることから、アニオン源である、ヘテロポリ酸またはヘテロポリオキソメタレートアルカリ金属塩の使用量は、それらのイオン価に応じて、等モル数となる様に仕込んで上記反応を行うことが好ましい。
本発明のトリアリールメタン化合物は、ヘテロポリ酸でレーキ化(水不溶化)する工程を含むので(或いはヘテロポリ酸でレーキ化(水不溶化)されているので)、製造工程中または製造後の何らかの工程で水を用いる場合、より確実な反応を行ったり、得られた化合物のレーキ構造が破壊されないようにするには、例えば、精製水、イオン交換水、純水等のような、金属イオンやハロゲンイオンの含有率が極力少ない水を用いることが好ましい。
本発明のトリアリールメタン化合物は、それ自体公知のカチオン構造と、それ自体公知のアニオン構造とを選択し組み合わせた構造を有することから、上記製造方法に従って得られた生成物について、上記カチオン構造とアニオン構造とがいずれも含まれていることを確認することで、容易に同定することが出来る。生成物の赤外線吸収スペクトルを測定することで、上記反応に用いた原料の構造が残っていることを確認できる。また生成物には、反応に用いた原料の、アニオンやヘテロポリオキソメタレートのカチオンが含まれていないことから、蛍光X線分析による原料に固有のピーク強度の低下やピーク消失により、上記レーキ化反応が行われたことを確認することが出来る。(必要であれば、生成物について元素分析を行うことで、より確実な同定が可能となる。)
本発明のトリアリールメタン化合物は、レーキ構造を有し水不溶性の色材である。こうして得られた本発明のトリアリールメタン化合物は、そのままで、合成樹脂等の着色剤として用いることが出来るが、必要であれば、公知慣用の粉砕や造粒により、粒子径を調整することで、各種の用途に最適な着色剤とすることが出来る。着色剤は、乾燥粉体において、一次粒子の平均粒子径100nm以下であると、より鮮明な青色の着色物を得られやすいので好ましい。
本発明において一次粒子の平均粒子径とは、次の様に測定される。まず、透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で視野内の粒子を撮影する。そして、二次元画像上の、凝集体を構成する一次粒子の50個につき、個々の粒子の内径の最長の長さ(最大長)を求める。個々の粒子の最大長の平均値を一次粒子の平均粒子径とする。
本発明のトリアリールメタン化合物は、公知慣用の各種の用途において、高温での熱履歴を経ても色相変化が小さく、優れた耐熱性を有していることから、カラーフィルタ画素部の製造に用いた場合に、色相変化の少ない優れた画像表示が可能な液晶表示装置のカラーフィルタを得ることができる。
本発明のカラーフィルタにおいては、バックライト光源としては、従来の冷陰極管(CCFL光源)、白色LED(LED;Light Emitting Diode)光源、3色独立LED光源、白色有機EL(EL;Electro Luminescence)光源等をいずれも用いることが出来る。
本発明のトリアリールメタン化合物には、必要に応じて、ε型銅フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料(C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー80等)等や、無金属または金属フタロシアニンのスルホン酸誘導体、無金属または金属フタロシアニンのN−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、無金属または金属フタロシアニンのN−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体、ジオキサジンバイオレットのスルホン酸誘導体、インダンスレンブルーのスルホン酸誘導体、フタロシアニンスルホン酸等の有機顔料誘導体等や、ビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、ディスパービックLPN21116、ディスパービックLPN6919エフカ社のエフカ46、エフカ47、エフカ452、エフカLP4008、エフカ4009、エフカLP4010、エフカLP4050、エフカLP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453、エフカ4540、エフカ4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503、ルーブリゾール社のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース17000、ソルスパース18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000、味の素株式会社のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111等の分散剤や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等の天然ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジン等の変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジンアルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロジン変性フェノール等のロジン誘導体等の、室温で液状かつ水不溶性の合成樹脂を含有させることが出来る。これら分散剤や、樹脂の添加は、フロッキュレーションの低減、分散安定性の向上、分散体の粘度特性を向上にも寄与する。
本発明のトリアリールメタン化合物は、それ自体でカラーフィルタ青色画素部の調製に適した色相を有しているが、必要ならば、その質量換算100部当たりε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6)を0.1〜30部併用することで、色相の最適化を行うことが出来る。
本発明のトリアリールメタン化合物は、それ自体でカラーフィルタ青色画素部の調製に適した耐光性を有しているが、必要ならば、トリアリールメタン化合物100部当たり、酸化防止剤不揮発分0.1〜10部となる様に、中でも、0.5〜8部用いることが出来る。ここで酸化防止剤とは、酸化劣化を防止する添加剤の総称であり、熱による酸化劣化を防止するもの(狭義の酸化防止剤)と、光(主に紫外線)による酸化劣化を防止するもの(狭義には、光安定剤と呼ばれる)とが包含される。
この様な酸化防止剤は、ラジカルを捕捉し自動酸化の防止作用(ラジカル連鎖防止作用)を有するものと、ハイドロパーオキサイド(過酸化物)を無害なものに分解する作用(過酸化物分解作用)を有するものとがあり、前者は一次酸化防止剤、後者は二次酸化防止剤と呼ばれる。これら両方の作用を兼備した、一次二次両用酸化防止剤も知られている。一次酸化防止剤としては、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール系を含む)やアミン系(ヒンダードアミン系を含む)の各酸化防止剤が、二次酸化防止剤としては、例えば、硫黄系やリン系の各酸化防止剤が典型的なものである。
本発明のトリアリールメタン化合物は、それ自体でカラーフィルタ青色画素部の調製に適した耐熱性を有しているが、必要ならば、カチオン性樹脂を併用することで、耐熱性や耐光性をもう一段高めることが出来る。
この様なカチオン性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることが、熱履歴の下でも色相変化が小さく、カラーフィルタの耐熱性を大きく改善できるので好ましい。
本発明では、トリアリールメタン化合物とカチオン性樹脂の不揮発分の質量基準での割合は、特に制限されるものではないが、前者化合物100部当たり、後者樹脂の不揮発分0.1部以上10部未満となる様に、中でも、0.5〜5部、特に1〜3部とすることが好ましい。
トリアリールメタン化合物とカチオン性樹脂とを含有する着色組成物を調製する際に、前記化合物と樹脂とを加熱する場合には、両者を混合した後、密閉系にて、化合物自体に不具合が生じない温度での攪拌下、30分〜5時間の範囲にて行なうことができる。こうして加圧状態が形成されることで、前記した様に、化合物粒子の空隙にまで、カチオン性樹脂が浸透することになり、単に粒子表面だけを被覆するのに比べて、より優れた効果が発現される。
本発明のトリアリールメタン化合物は、従来公知の方法でカラーフィルタ画素部の形成に使用することができる。本発明のトリアリールメタン化合物の分散方法で代表的な方法としては、フォトリソグラフィー法であり、これは、後記する光硬化性組成物を、カラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色、緑色、青色の色ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色、緑色、青色の着色画素部を有するカラーフィルタを製造することができる。本発明のトリアリールメタン化合物からは、青色画素部を形成することができる。尚、赤色画素部および緑色画素部を形成するための光硬化性組成物を調製するには、公知慣用の赤色顔料と緑色顔料を使用することができる。
赤色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド177、同209、同242、同254等が、緑色画素部を形成するための顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、同10、同36、同47、同58等が挙げられる。これら赤色画素部と緑色画素部の形成には、黄色顔料を併用することもできる。その後、必要に応じて、未反応の光硬化性化合物を熱硬化させるために、カラーフィルタ全体を加熱処理(ポストベーク)することもできる。
後記する光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長領域の光線を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、90〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、カラーフィルタが完成する。
カラーフィルタの青色画素部を形成するための光硬化性組成物は、本発明のトリアリールメタン化合物と、分散剤と、光硬化性化合物と、有機溶剤とを必須成分とし、必要に応じて熱可塑性樹脂を用いて、これらを混合することで調製することができる。青色画素部を形成する着色樹脂皮膜に、カラーフィルタの実生産で行われるベーキング等に耐え得る強靱性等が要求される場合には、前記光硬化性組成物を調製するに当たって、光硬化性化合物だけでなく、この熱可塑性樹脂を併用することが不可欠である。熱可塑性樹脂を併用する場合には、有機溶剤としては、それを溶解するものを使用するのが好ましい。
前記光硬化性組成物の製造方法としては、本発明のトリアリールメタン化合物と、有機溶剤と分散剤とを必須成分として使用し、これらを混合し均一となる様に攪拌分散を行って、まずカラーフィルタの画素部を形成するための分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて前記光硬化性組成物とする方法が一般的である。
ここで分散剤、有機溶剤は、前記のものが使用可能である。
光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、チバスペシャルティーケミカルズ社製「イルガキュア(商標名)−184」、「イルガキュア(商標名)−369」、「ダロキュア(商標名)−1173」、BASF社製「ルシリン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアー(商標名)DETX」、「カヤキュアー(商標名)OA」、ストーファー社製「バイキュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー1000」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビイミダゾール」などがある。
また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニトリル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、質量基準で、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
前記した様な各材料を使用して、質量基準で、本発明のトリアリールメタン化合物100部当たり、300〜1000部の有機溶剤と、1〜100部の分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記分散液を得ることができる。次いでこの分散液に、本発明のトリアリールメタン化合物1部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が3〜20部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散してカラーフィルタ画素部を形成するための光硬化性組成物を得ることができる。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ画素部の形成に効果的である。
本発明のトリアリールメタン化合物の分散方法のうち、フォトリソグラフィー法によるカラーフィルタ画素部の製造方法について詳記したが、本発明のトリアリールメタン化合物を使用して調製されたカラーフィタ画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(PhotovoltaicElectrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で青色画素部を形成して、カラーフィルタを製造してもよい。
カラーフィルタは、有機顔料として、赤色顔料、緑色顔料、本発明のトリアリールメタン化合物を使用して得た各色の光硬化性組成物を使用し、平行な一対の透明電極間に液晶材料を封入し、透明電極を不連続な微細区間に分割すると共に、この透明電極上のブラックマトリクスにより格子状に区分けされた微細区間のそれぞれに、赤、緑および青のいずれか1色から選ばれたカラーフィルタ着色画素部を交互にパターン状に設ける方法、あるいは基板上にカラーフィルタ着色画素部を形成した後、透明電極を設ける様にすることで得ることができる。
本発明のトリアリールメタン化合物は、鮮明性と明度に優れる分散体を提供でき、カラーフィルタ用途の他、塗料、プラスチック(樹脂成型品)、印刷インク、ゴム、レザー、捺染、静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用インク、熱転写インキ等の着色にも適用することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、もとより本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」、「%」及び「ppm」はいずれも質量基準である。
<中間体1の合成>
ドライボックス中でカリウムt−ブトキシド(和光純薬株式会社製試薬)18.4部を測りとり、窒素気流下で無水N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製試薬)210mlに溶解したN−メチルアニリン(和光純薬株式会社製試薬)17.3部を攪拌しながら滴下した。次いで、無水N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製試薬)150mlに溶解した4,4’−ジフルオロベンゾフェノン(和光純薬株式会社製試薬)11.7部を30分かけて滴下した。滴下時に発熱するが、温度が40℃を超えないように水浴で温度を制御した。滴下終了後、50℃で3時間攪拌を継続した。反応液を室温に冷却し、1Lの水に注ぎ込んだ。酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。有機層をろ過し、エバポレーターで溶媒を減圧下留去した。残渣にヘキサン58mlを添加して1晩放置し、生成した結晶をろ別して少量のヘキサン/酢酸エチル=4/1で洗浄して粗生成物を得た。得られた粗生成物に酢酸エチル68mlを加えて加熱溶解し、ヘキサン65mlを加えて攪拌しながら室温まで冷却した。更に溶液を冷蔵庫中で冷却し、生じた結晶をろ別・少量のヘキサン/酢酸エチル=4/1で洗浄した。得られた結晶を減圧下で加熱乾燥して中間体1(16.7部、収率80%)を得た。
<中間体2の合成>
4−ジエチルアミノ安息香酸(東京化成工業株式会社製試薬)24.0部とトルエン87.8部の混合物に塩化チオニル(東京化成工業株式会社製試薬)21.4部を加え、80℃で1時間攪拌後、減圧濃縮し、4−ジエチルアミノ安息香酸クロライドを得た。
無水塩化アルミニウム(和光純薬株式会社製試薬)19.8部と1,2−ジクロロエタン(和光純薬株式会社製試薬)126部の混合物を氷浴で冷却し、前記4−ジエチルアミノ安息香酸クロライドを1,2−ジクロロエタン30部に溶かした溶液を80分かけて滴下した。30分攪拌後、N,N−ジエチル−m−トルイジン(和光純薬株式会社製試薬)20.2部を60分かけて滴下し、室温に昇温しながら2時間撹拌した。氷水に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液でpH10以上にして、ろ過で沈殿物を除いた後、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を5%水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15/1から5/1)で精製して、中間体2(9.2部、収率22%)を得た。
<中間体3の合成>
4−ブロモ−2−メチル安息香酸(和光純薬株式会社製試薬)21.5部とクロロホルム28部の混合物に塩化チオニル(東京化成工業株式会社製試薬)17.8部、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製試薬)(2滴)を加え、80℃で2時間撹拌後、減圧濃縮し、4-ブロモ−2−メチル安息香酸クロライドを得た。無水塩化アルミニウム(和光純薬株式会社製試薬)15.8部と1,2−ジクロロエタン(和光純薬株式会社製試薬)50部の混合物を氷浴で冷却し、前記4−ブロモ−2−メチル安息香酸クロライドを1,2−ジクロロエタン30部に溶かした溶液を40分かけて滴下した。15分攪拌後、N,N−ジエチル−m−トルイジン(東京化成工業株式会社製試薬)16.3部を60分かけて滴下し、そのまま1時間撹拌した。室温に昇温しながら、さらに2時間撹拌した。氷水に注ぎ、15%水酸化ナトリウム水溶液でpH10以上にした後、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を5%水酸化ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=15/1から5/1)で精製して、中間物(1)(14.5部、収率40%)を得た。
中間物(1)とトルエン100部の混合物に、ジエチルアミン(和光純薬株式会社製試薬)7.0部、ナトリウムエトキシド(東京化成工業株式会社製試薬)3.8部、酢酸パラジウム(II)(東京化成工業株式会社製試薬)0.1部、トリエチルホスフィン(和光純薬株式会社製試薬)2.2部(トルエン8.8部に溶解して)を加え、100℃で5時間還流した。室温に冷却し、水130部を加え、ろ過で沈殿物を除いた後、ろ液をトルエンで抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル15/1から9/1)で精製して、中間体3(5.3部、収率35%)を得た。
<中間体4の合成>
窒素雰囲気下、60%水素化ナトリウム(和光純薬株式会社製試薬)2.1部をN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製試薬)65mlに懸濁し、氷浴で冷却しながら2−フェニルインドール(和光純薬株式会社製試薬)10部をN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製試薬)100mlに溶解した溶液を滴下した。0℃で30分攪拌後、1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(東京化成工業株式会社製試薬)6.6部を添加した。得られた混合物を室温で2時間攪拌した後、氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を10%塩酸次いで飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層をろ別して減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/ヘキサン=1/2)で精製して中間体4(8.5部、収率70%)を得た。
<中間体5の合成>
窒素雰囲気下、60%水素化ナトリウム(和光純薬株式会社製試薬)2.1部をN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製試薬)65mlに懸濁し、氷浴で冷却しながら2−フェニルインドール(和光純薬株式会社製試薬)10部をN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬株式会社製試薬)100mlに溶解した溶液を滴下した。0℃で30分攪拌後、1,4−ビス(ブロモメチル)シクロヘキサン(cis-trans混合物、Journal of Organic Chemistry, vol60, p7865 (1995)記載の方法で合成)6.8部を添加した。得られた混合物を室温で3.5時間攪拌した後、氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を10%塩酸次いで飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。有機層をろ別して減圧下で溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン/ヘキサン=1/3)で精製して中間体5(7.0部、収率56%)を得た。
<中間体6の合成>
特開2013−057054号公報の段落番号[0085]を参考にして、中間体6(10.3部、収率55%)を得た。
<化合物1の合成>
中間体1、7.8部と中間体4、4.9部をトルエン50mlに混合した後、オキシ塩化リン(関東化学株式会社製試薬)3.3部を加え、4時間還流した。室温に冷却後、1N塩酸を加えて15分攪拌し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=1/0から8/1)で精製して、化合物1(7.2部、収率55%)を得た。
<化合物2の合成>
中間体2、8.2部と中間体4、5.9部をトルエン50mlに混合した後、オキシ塩化リン(関東化学株式会社製試薬)4.0部を加え、4時間還流した。室温に冷却後、1N塩酸を加えて15分攪拌し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=1/0から8/1)で精製して、化合物2(7.3部、収率50%)を得た。
<化合物3の合成>
中間体3、8.0部と中間体5、5.6部をトルエン50mlに混合した後、オキシ塩化リン(関東化学株式会社製試薬)3.8部を加え、4時間還流した。室温に冷却後、1N塩酸を加えて15分攪拌し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=1/0から8/1)で精製して、化合物3(6.5部、収率46%)を得た。
<化合物4の合成>
中間体1、7.8部と中間体6、3.9部をトルエン50mlに混合した後、オキシ塩化リン(関東化学株式会社製試薬)3.3部を加え、4時間還流した。室温に冷却後、1N塩酸を加えて15分攪拌し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=1/0から8/1)で精製して、化合物4(7.4部、収率61%)を得た。
<化合物5の合成>
中間体1、8.0部と1-メチル-2-フェニルインドール(東京化成工業株式会社製試薬)4.2部をトルエン50mlに混合した後、オキシ塩化リン(関東化学株式会社製試薬)4.6部を加え、4時間還流した。室温に冷却後、1N塩酸を加えて15分攪拌し、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=1/0から8/1)で精製して、化合物5(8.0部、収率64%)を得た。
<アニオンK(PMoW1762)の合成>
NaWO・2HO(和光純薬株式会社製試薬)、44.0部、NaMoO・2H O(関東化学株式会社製試薬)、1.90部を精製水230部に溶解した。この溶液に攪拌しながら85%リン酸64.9部を滴下ロートを用いて添加した。得られた溶液を8時間、加熱還流した。反応液を室温に冷却し、臭素水1滴を加え、攪拌しながら塩化カリウム45.0部を添加することで、K(PMoW1762)を得た。更に1時間攪拌後、生じた黄色の沈殿K(PMoW1762)をろ別し、90℃で乾燥し、収量29.4部の乾燥物を得た。
<アニオンK(SiMoW1140)の合成>
13mol/LのHNO水溶液9.8部に1mol/LのNaMoO水溶液16.4部を加えて攪拌した。この溶液に下記文献1に記載の方法で調整したK(SiW1139)・13HOを少量ずつ16.4部添加した。室温で4時間攪拌後、飽和KCl水溶液26部を添加することで、K(SiMoW1140)の沈殿物を得た。この沈殿物をろ別し、飽和KCl水溶液で洗浄した。得られた固体を室温で減圧下乾燥した。収量12.2部の乾燥物を得た。(文献1:Inorganic Synthesis vol.27 p85 を参照。)
<化合物6の合成>
化合物1、2.0部を水/メタノール=1/1混合液500mlに投入し、50℃で30分撹拌させて溶解した。次にK(PMoW1762)2.4部を温水20部に溶解した後、化合物1の溶液にゆっくりと加え、40℃〜45℃で1.5時間撹拌した。冷却後ろ過し、水/メタノール=2/1混合液100mlと水150mlで洗浄した。得られた固体を乾燥して、化合物6(3.1部、収率75%)を得た。
<化合物7の合成>
化合物2、2.0部を水/メタノール=1/1混合液500mlに投入し、50℃で30分撹拌させて溶解した。次にK(SiMoW1140)2.5部を温水20部に溶解した後、化合物2の溶液にゆっくりと加え、40℃〜45℃で1.5時間撹拌した。冷却後ろ過し、水/メタノール=2/1混合液100mlと水150mlで洗浄した。得られた固体を乾燥して、化合物7(2.6部、収率63%)を得た。
<化合物8の合成>
化合物1、3.5部にメタノール90mlを加えて50℃で加熱撹拌して溶解した。この溶液にメタノール30mlに溶解したcesium tris(trifluoromethanesulfonyl) methide(セントラル硝子株式会社製試薬)2.9部を滴下した。50℃で1時間撹拌後、反応液をろ過してエバポレーターで濃縮した。得られた残渣に水/メタノール=2/1混合液90mlを加えて30分撹拌した。固形分をろ過して乾燥し、化合物8(4.0部、収率73%)を得た。
<化合物9の合成>
化合物2、3.5部にメタノール90mlを加えて50℃で加熱撹拌して溶解した。この溶液にメタノール30mlに溶解したpotassium bis(trifluoromethanesulfonyl) imide(和光純薬株式会社製試薬)1.8部を滴下した。50℃で1時間撹拌後、反応液をろ過してエバポレーターで濃縮した。得られた残渣に水/メタノール=2/1混合液90mlを加えて30分撹拌した。固形分をろ過して乾燥し、化合物9(3.8部、収率78%)を得た。
<化合物10の合成>
2,6-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム(東京化成工業株式会社製試薬)1.0部を水/メタノール=1/2混合液60mlに投入し、50℃で撹拌した。ここに化合物3を3.7部加えて、50℃で1時間撹拌後、エバポレーターで濃縮した。得られた残渣に水100mlを加えてろ過し、水で洗浄した。得られた固体を乾燥して、化合物10(3.6部、収率82%)を得た。
<化合物11の合成>
化合物1に代えて化合物4を用いる以外は、化合物6の合成と同様の操作を行い、化合物11(4.3部、収率88%)を得た。
<化合物12の合成>
化合物5、2.2部をイソプロピルアルコール20%水溶液110部に投入し、40℃で攪拌させて溶解した。次に、K(PMoW1762)2.9部を精製水9.1部に溶解した後、化合物5の溶液にゆっくりと加え、そのまま40℃で1時間攪拌した。次いで、内温を80℃に上げ、さらに該温度で1時間攪拌した。冷却後ろ過し、300部の精製水で3回洗浄した。得られた固体を乾燥して、化合物12(3.1部、収率67%)を得た。
市販のジューサーにて粉砕した化合物6、1.80部、BYK―2164(ビックケミー社製分散剤)2.10部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.10部、0.3−0.4mmφのセプルビーズをポリビンに入れ、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、色材分散液を得た。この色材分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP(ユニオンカーバイド社製)13.5部を分散攪拌機で攪拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾過し、カラーレジストを得た。このカラーレジストは50mm×50mm、1mmの厚ガラスに乾燥膜厚が2μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後90℃で20分間予備乾燥して塗膜を形成させ、青色画素部を含むカラーフィルタとした。
化合物6に代えて、化合物7を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、青色画素部を含むカラーフィルタを得た。
化合物6に代えて、化合物8を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、青色画素部を含むカラーフィルタを得た。
化合物6代えて、化合物9を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、青色画素部を含むカラーフィルタを得た。
化合物6に代えて、化合物10を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、青色画素部を含むカラーフィルタを得た。
<比較例1>
化合物6に代えて、化合物11を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、青色画素部を含むカラーフィルタを得た。
<比較例2>
化合物6に代えて、化合物12を用いる以外は、上記実施例1と同様な操作を行い、青色画素部を含むカラーフィルタを得た。
<耐熱性試験評価方法>
上記実施例1〜5及び比較例1、2で得られた青色カラーフィルタを220℃のオーブンに2時間入れて、加熱前後の色度をコニカミノルタ株式会社製分光光度計CM−3500dで測定して、色差△Eabを算出した。この結果を表1に示した。
表1からわかるように、本発明の実施例1〜5と比較例1〜2を比較すると色差△Eabが小さく、220℃の高温の熱履歴を受けても色差が小さく、本発明の化合物の熱安定性が非常に高いことが判明した。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物。
    (一般式(I)中、Zは、一般式(I)に記載されるインドール環のNと直接結合する炭素原子がπ結合を有しないa価の有機基であって、当該有機基は、少なくともインドール環のNと直接結合する末端に飽和脂肪族炭化水素基を有する脂肪族炭化水素基、又は当該脂肪族炭化水素基を有する芳香族基を表し、炭素鎖中にO、S、Nが含まれていてもよい。Bc−はc価のアニオンを表す。R〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、RとR、RとRが結合して環構造を形成してもよい。複数あるR〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。aは2以上の整数、b、c、dは1以上の整数を表す。Yは各々独立に、水素原子、または任意の置換基を示す。)
  2. 前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、ヘテロポリオキソメタレートアニオンである請求項1記載の化合物。
  3. 前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、下記一般式(II)で表される、請求項1記載の化合物。
    (一般式(II)中、R及びRは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。尚、R及びRは、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
  4. 前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、下記一般式(III)で表される、請求項1記載の化合物。
    (一般式(III)中、R〜R10は、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルケニル基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜8のシクロアルキル基を表す。尚、R〜R10は、互いに連結して環を形成していてもよく、該環は置換基を有していてもよい。)
  5. 前記一般式(I)におけるアニオン(Bc−)が、スルホン酸アニオンである請求項1記載の化合物。
  6. 請求項1〜5記載の化合物から選択される少なくとも一種を含有するカラーフィルタ。
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