JP6492839B2 - 光給電システム、光給電システムの異常検出方法 - Google Patents
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Description
本発明の課題は、光電変換部の内部に生じる異常を検出することである。
《構成》
図1は、光給電システムの概略構成図である。
光給電システム11は、車載システム12と、光源システム13と、を備える。
車載システム12は、移動体としての車両14に搭載されるシステムであり、光電変換部21と、充電部22と、報知部23と、車両側通信装置24と、車両側制御部25と、を備える。
図2は、光電変換部を備えた車両の外観である。
光電変換部21は、例えば結晶シリコン系太陽電池や、カルコパイライト系太陽電池等の太陽光パネルからなり、車両14のルーフ面に設けられ、照射された光によって発電を行ない、電力を出力する。光電変換部21は、発光ダイオードと同じPN接合半導体素子からなるため、電圧を印加すると、エレクトロルミネセンスにより発光(以下、EL発光と称す)する。この発光は、赤外線を放出する赤外線発光である。このように、光電変換部21は、光から電力への変換となる発電、及び電力から光への変換となるEL発光が選択的に可能となっている。
車両側通信装置24は、例えばIEEE802.11やBluetooth(登録商標)等の無線通信を利用し、光源側通信装置34を介した光源システム13との通信を行なう。
画像処理装置33は、赤外線カメラ32で撮像した画像データに、所定の画像処理を実行する。
光源側通信装置34は、例えばIEEE802.11やBluetooth(登録商標)等の無線通信を利用し、車両側通信装置24を介した車載システム12との通信を行なう。
図3は、光源側光給電制御処理の一例を示すフローチャートである。
先ずステップS101では、光給電要求があるか否かを判定する。具体的には、ユーザによる予め定めた光給電開始操作の有無に応じて、光給電要求があるか否かを判定する。ここで、ユーザによる光給電開始操作がないときには、光給電要求はないと判断してステップS102に移行する。一方、ユーザによる光給電開始操作があるときには、光給電要求があると判断してステップS103に移行する。
ステップS103では、光給電要求を、車載システム12へ送信する。
続くステップS104では、車載システム12より、充電部22の充電状態(SOC)を受信したか否かを判定する。ここでは、充電部22の充電状態を受信するまで待機し、充電状態を受信したときにステップS105に移行する。
ステップS106では、充電状態が満充電である旨を報知する。例えば、ユーザが視認可能なインジケータを点灯又は点滅させることにより報知する。
続くステップS107では、光給電要求を解除(リセット)してからステップS102に移行する。
ステップS110では、車載システム12より、EL発光信号を受信したか否かを判定する。ここでは、EL発光信号を受信するまで待機し、EL発光信号を受信したときにステップS111に移行する。
ステップS111では、赤外線カメラ32でEL発光した光電変換部21を撮像する。
続くステップS112では、赤外線カメラ32で撮像した画像データに、所定の画像処理を実行する。
ステップS114では、異常部位の有無を判定する。具体的には、EL画像を参照し、光電変換部21を複数の区画に分割し、区画ごとに発光輝度の平均値が閾値以上であるか否かを判定する。ここで、全区画で発光輝度の平均値が閾値以上であるときには、光電変換部21に異常はないと判断してステップS115に移行する。一方、発光輝度の平均値が閾値未満となる区画があるときには、光電変換部21に異常があると判断してステップS117に移行する。光電変換部21の異常とは、例えば表面に付着する鳥糞、花粉、水垢、埃等の汚れや、内部に発生するひびや割れといった内部欠陥を指す。
図4は、光電変換部の断面図である。
光電変換部21は、バックシート41に、エヴァ42及び強化ガラス43を順に積層して構成される。エヴァ42は、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA:Ethylene-Vinyl Acetate)からなり、受光素子となるセル44を封止しており、このセル44に電圧を印加することでEL発光する。ここでは、EL発光を上向きのブロック矢印で図示している。
図中の(b)は、光電変換部21に異常がある状態を示す。すなわち、強化ガラス43の表面に付着した鳥糞、花粉、水垢、埃等の汚れ45によってEL発光を遮る部位や、セル44に発生するひびや割れ等のクラック46によってEL発光しない部位が存在することにより、発光輝度が閾値未満となる区画が生じている。
EL画像において、汚れ45やクラック46が生じている異常部位は、発光輝度が予め定めた閾値未満となり、略黒色となる。したがって、発光輝度が閾値未満となる部位があるときには、その部位が含まれるセル44に、汚れ45やクラック46等の異常部位があると判断する。ここでは、セル44a、44b、44c、及び44dの区画を示し、そのうちセル44a、44b、44cで異常が検出され、セル44dだけに異常部位が検出されていない。なお、夫々の異常部位が、汚れ45に起因するのか、それともクラック46に起因するのかは判別することができない。
図中の(a)は、異常部位のない状態であり、この状態における一区画当たりの発光輝度の平均値を100%とし、例えば80%を閾値として設定する。区画の分割は任意であり、例えば一つのセル44を一区画としてもよい。
図中の(b)は、全面に花粉や埃が付着している状態であり、一区画当たりの発光輝度の平均値が80%未満となるため、異常な区画と判断する。
図中の(d)は、薄い小さな汚れが付着している状態であり、一区画当たりの発光輝度の平均値が80%以上となるため、正常な区画と判断する。
図中の(e)は、濃い大きな汚れが付着している状態であり、一区画当たりの発光輝度の平均値が80%未満となるため、異常な区画と判断する。
図中の(f)は、薄い大きな汚れが付着している状態であり、一区画当たりの発光輝度の平均値が80%以上となるため、正常な区画と判断する。
続くステップS116では、光照射部31を駆動し、光電変換部21に向かってレーザ光を照射することにより、光給電を実行してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS117では、光電変換部21に異常部位がある旨を報知する。例えば、ユーザが視認可能なインジケータを点灯又は点滅させることにより報知する。
続くステップS119では、光給電要求を解除(リセット)する。
続くステップS120では、判定フラグをfj=0にリセットしてからステップS102に移行する。
上記が光源側光給電制御処理である。
図7は、車両側光給電制御処理の一例を示すフローチャートである。
先ずステップS131では、光源システム13より、光給電要求を受信したか否かを判定する。ここで、光給電要求を受信していないときには、そのまま所定のメインプログラムに復帰する。一方、光給電要求を受信しているときにはステップS132に移行する。
ステップS132では、充電部22の充電状態(SOC)を、光源システム13へ送信する。
ステップS135では、光電変換部21をEL発光させる。
続くステップS136では、光電変換部21をEL発光させた旨のEL発光信号を、光源システム13へ送信する。
ステップS138では、光電変換部21のEL発光を停止させる。
続くステップS139では、判定フラグをfj=1にセットする。
ステップS141では、報知部23を駆動し、光電変換部21に異常部位が検出された旨を乗員に知らせてから所定のメインプログラムに復帰する。
上記が車両側光給電制御処理である。
次に、第1実施形態の作用について説明する。
光電変換部21には、内部のセル44にクラック46が生じることがあるが、光電変換部21をそのままカメラで撮像するだけでは、内部のセル44に生じるクラック46等の異常を検出することができない。
また、光電変換部21は黒いため、やはり光電変換部21をそのままカメラで撮像するだけでは、暗色の汚れを検出しにくい。また、光電変換部21に光を照射し、その反射光を撮像することも考えられる。しかしながら、発電効率を高めるために光電変換部21の表面に微小な凹凸を設けたテクスチャ構造にしたり、車両14のルーフ面に沿って光電変換部21を曲面に成形したりすることもある。これらの場合、反射光が戻りにくくなるため、やはり汚れを検出しにくい。
第1実施形態では、異常検出の診断を、光源側制御部35で実行しているが、これに限定されるものではなく、車両側制御部25で実行してもよい。例えば、車両側制御部25が光電変換部21をEL発光させてから、光電変換部21の撮像要求を光源システム13に送信する。光源側制御部35が撮像要求を受信すると、赤外カメラ32で光電変換部21を撮像し、そのEL画像を車載システム12へ送信する。そして、車両側制御部25がEL画像に基づいて異常検出の診断を実行すればよい。
光電変換部21が「光電変換部」に対応する。充電部22が「充電部」に対応する。車両側制御部25で実行するステップS135の処理が「第一の制御部」に対応する。赤外線カメラ32が「撮像部」に対応する。車両側制御部25で実行するステップS114の処理が「異常検出部」に対応する。光照射部31が「光照射部」に対応する。報知部23、及びステップS117、S141の処理が「報知部」に対応する。
次に、第1実施形態における主要部の効果を記す。
(1)第1実施形態に係る光給電システムは、受光によって発電する光電変換部21と、光電変換部21が発電した電力を充電する充電部22と、を備える。そして、光電変換部21に電圧を印加することにより、光電変換部21をEL発光させ、EL発光した光電変換部21を撮像を赤外線カメラ32で撮像し、撮像したEL画像に基づいて光電変換部21の異常を検出する。
このように、EL発光させた光電変換部21を撮像することにより、光電変換部21の内部を可視化することができる。したがって、撮像したEL画像から、光電変換部21の内部に生じる異常を検出することができる。
このように、EL画像の発光輝度を求めることにより、異常部位を容易に検出することができる。
(3)第1実施形態に係る光給電システムは、光電変換部21、及び充電部22は、移動体に搭載され、充電部22に蓄えられた電力は、移動体の駆動に用いられる。
このように、移動体用の光給電システムに適用することができる。したがって、電気自動車(EV)の普及に資する。
このように、EL発光させた光電変換部21を撮像することにより、光電変換部21の内部を可視化することができる。したがって、撮像したEL画像から、光電変換部21の内部に生じる異常を検出することができる。
《構成》
第2実施形態は、レーザ光の照射範囲に含まれる異常部位が最小となるように、レーザ光の照射方向及び照射範囲(集光/拡散)の少なくとも一方を制御するものである。
システム構成につては、前述した第1実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
図8は、第2実施形態の光源側光給電制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS201、S202の処理を追加したことを除いては、前述した第1実施形態と同様の処理を実行するため、共通する部分については、詳細な説明を省略する。
図9は、レーザ光の照射範囲を示す図である。
光電変換部21に汚れ45が付着している場合、その異常部位を回避して、レーザ光を照射することになる。レーザ光の照射範囲36は、破線で示すように、略円形であるものとする。また、照射エネルギーの損失を可及的に低減するために、照射範囲36が光電変換部21からはみ出す量を最小限に抑制することが望ましい。
ステップS202では、照射範囲を制御してからステップS116に移行する。
上記が車両側光給電制御処理である。
次に、第2実施形態の作用について説明する。
光電変換部21の異常部位を検出したときに(ステップS114の判定が“No”)、直ぐに光給電の実行を断念する必要はない。すなわち、レーザ光の照射方向及び照射範囲の少なくとも一方を制御すれば、異常部位を回避することができるからである。但し、ある程度の発電効率は維持する必要があるため、異常部位を回避しても、光電変換部21の受光面積のうち、予め定めた閾値(例えば80%)以上にレーザ光を照射できるかどうかを識別する。
第2実施形態において、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
光照射部31が「光照射部」に対応する。光源側制御部35で実行するステップS202の処理が「第二の制御部」に対応する。
《効果》
次に、第2実施形態における主要部の効果を記す。
(1)第2実施形態に係る光給電システムは、レーザ光の照射範囲に含まれる異常部位が最小となるように、レーザ光の照射方向及び照射範囲の少なくとも一方を制御する。
このように、レーザ光の照射方向及び照射範囲の少なくとも一方を制御することで、発電量の低減を抑制することができる。
《構成》
第3実施形態は、異常部位が予め定めた所定期間にわたって維持されているときに、光電変換部21に異常が生じている旨を報知するものである。
システム構成につては、前述した第1実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
図10は、第3実施形態の車両側光給電制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS301の処理を追加したことを除いては、前述した第1実施形態と同様の処理を実行するため、共通する部分については、詳細な説明を省略する。
図11は、EL画像を時系列で示した図である。
図中の(a)は、第一の時点でのEL画像である。図中の(b)は、第一の時点よりも後の第二の時点でのEL画像である。図中の(c)は、第二の時点よりも後の第三の時点でのEL画像であって、この第三の時点は、第一の時点から予め定めた所定期間を経過した後の状態を示している。
上記が車両側光給電制御処理である。
次に、第3実施形態の作用について説明する。
光電変換部21の異常部位を検出したときに(ステップS114の判定が“No”)、その旨を直ぐに報知しなくともよい。すなわち、光電変換部21の表面に付着した鳥糞、花粉、水垢、埃等の汚れ45であれば、放置していても、風雨に晒されて消えてゆくからである。一方、光電変換部21の内部にクラック46が生じているのであれば、放置しておくと、それが拡大することはあっても、解消されることはない。
第3実施形態において、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
報知部23、及びステップS301、S117、S141の処理が「報知部」に対応する。
《効果》
次に、第3実施形態における主要部の効果を記す。
(1)第3実施形態に係る光給電システムは、検出した異常部位が、予め定めた所定期間にわたって維持されているときに、光電変換部21の異常を報知する。
このように、異常部位が所定期間にわたって維持されているときに、光電変換部21の異常を報知するため、異常部位の原因が、単なる汚れ45であるのか、それとも内部に生じるクラック46であるのかを、容易に、且つ的確に識別することができる。また、原因がクラック46であることが判断できたときだけ報知を行なうため、光電変換部21の修理や交換等のメンテナンスを乗員に促し、異常部位の早期解消を図ることができる。
《構成》
第4実施形態は、異常部位の面積が予め定めた閾値以上であるときに、光電変換部21に異常が生じている旨を報知するものである。
システム構成につては、前述した第1実施形態と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
図12は、第4実施形態の車両側光給電制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、ステップS401の処理を追加したことを除いては、前述した第1実施形態と同様の処理を実行するため、共通する部分については、詳細な説明を省略する。
上記が車両側光給電制御処理である。
次に、第4実施形態の作用について説明する。
光電変換部21の異常部位を検出したときに(ステップS114の判定が“No”)、その旨を直ぐに報知しなくともよい。すなわち、光電変換部21の全受光面積に対して、異常部位の面積が極僅かであるならば、発電効率が著しく低下することはないからである。但し、ある程度の発電効率は維持する必要があるため、光電変換部21における全受光面積の80%以上にレーザ光を照射できるかどうかを識別する。
第4実施形態において、前述した第1実施形態と共通する部分については、同様の作用効果が得られるものとし、詳細な説明は省略する。
報知部23、及びステップS401、S117、S141の処理が「報知部」に対応する。
《効果》
次に、第4実施形態における主要部の効果を記す。
(1)第4実施形態に係る光給電システムは、光電変換部21のうち、異常部位の面積が、予め定めた閾値以上であるときに、光電変換部21の異常を報知する。
このように、異常部位の面積が閾値以上であるときに報知を行なうため、検出された異常のレベルに応じて、適切なタイミングで報知を行なうことができる。また、異常部位の面積が閾値未満であるときには報知をしないので、メンテナンスの期間を延ばすことができる。
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。また、各実施形態は、任意に組み合わせて採用することができる。
12 車載システム
13 光源システム
14 車両
21 光電変換部
22 充電部
23 報知部
24 車両側通信装置
25 車両側制御部
31 光照射部
32 赤外線カメラ
33 画像処理装置
34 光源側通信装置
35 光源側制御部
36 照射範囲
41 バックシート
42 エヴァ
43 強化ガラス
44 セル
45 汚れ
46 クラック
Claims (5)
- 受光によって発電する光電変換部と、
前記光電変換部が発電した電力を充電する充電部と、
前記光電変換部に電圧を印加することにより、前記光電変換部を発光させる第一の制御部と、
前記光電変換部を撮像する撮像部と、
前記第一の制御部が前記光電変換部を発光させているときに前記撮像部が前記光電変換部を撮像した画像に基づいて、前記光電変換部の異常を検出する異常検出部と、
前記光電変換部に光を照射すると共に、光の照射方向及び照射範囲の少なくとも一方を変更可能な光照射部と、
前記光照射部の照射方向及び照射範囲の少なくとも一方を制御する第二の制御部と、を備え、
前記異常検出部は、
前記画像のうち、輝度が予め定めた閾値未満となる部位を、異常部位として検出し、
前記第二の制御部は、
前記光照射部の照射範囲に含まれる前記異常部位が最小となるように、前記光照射部の照射方向及び照射範囲の少なくとも一方を制御することを特徴とする光給電システム。 - 前記異常検出部で検出した前記異常部位が、予め定めた期間にわたって維持されているときに、前記光電変換部の異常を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光給電システム。
- 前記光電変換部のうち、前記異常検出部で検出した前記異常部位の面積が、予め定めた閾値以上であるときに、前記光電変換部の異常を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光給電システム。
- 前記光電変換部、及び前記充電部は、移動体に搭載され、
前記充電部に充電された電力は、前記移動体の駆動に用いられることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の光給電システム。 - 光照射部によって光電変換部に光を照射し、受光によって前記光電変換部が発電した電力を充電する光給電システムにあって、前記光電変換部に電圧を印加することにより、前記光電変換部を発光させ、発光した前記光電変換部を撮像し、撮像した画像のうち、輝度が予め定めた閾値未満となる部位を、前記光電変換部の異常部位として検出し、
前記光照射部の照射範囲に含まれる前記異常部位が最小となるように、前記光照射部の照射方向及び照射範囲の少なくとも一方を制御することを特徴とする光給電システムの異常検出方法。
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