JP6491803B1 - 水系インクジェットインクおよびプリント物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

フッ素樹脂と、湿潤剤と、顔料と、硬化剤と、水系溶媒とを含み、フッ素樹脂は、水酸基価が10〜30mgKOH/gであり、湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいない、水系インクジェットインク。

Description

本発明は、水系インクジェットインクおよびプリント物の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、長期の保管安定性が優れ、かつ、耐候性および撥水性の優れたプリント物を得ることができる水系インクジェットインクおよびプリント物の製造方法に関する。
近年、耐候性の優れたプリント物を作製するためのインクとして、フッ素樹脂を含むインクが注目されている。また、安価であり、取り扱い易く、環境に対する負荷が小さいという理由から、媒体(溶媒)として水を含むインクが知られている。たとえば、特許文献1には、フルオロオレフィンに基づく構成単位(A1−1)および架橋性基を有する単量体に基づく構成単位(A1−2)を有する共重合体(A1)、ならびにポリフッ化ビニリデン(A2)のいずれか一方または両方の含フッ素樹脂(A)と、硬化剤(B)と、着色剤(C)と、媒体(D)とを含む、インクジェットプリンタ用記録液組成物が開示されている。
特開2015−86313号公報
特許文献1に記載のインクは、長期保管された場合、沈降物が生じるという問題がある。また、特許文献1に記載のインクは、プリント物の作製時に塗膜中に不純物として副生成物が生じる。その結果、得られるプリント物は、耐候性や撥水性が低下する。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、長期の保管安定性が優れ、かつ、耐候性および撥水性の優れたプリント物を得ることができる水系インクジェットインクおよびプリント物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記沈降物を生じる原因について検討した結果、インク中に溶解している硬化剤と、インク中に配合される硬化剤以外の主たる成分のうち、同じくインク中に溶解している湿潤剤に由来するヒドロキシ基とが長期保管されている間に反応し、沈降物を生じることを見出した。その上で、本発明者は、湿潤剤としてヒドロキシ基を含んでいない湿潤剤を用いることにより、硬化剤と湿潤剤との反応を防ぎ得ることに着目した。また、本発明者は、所定の水酸基価であるフッ素樹脂を用いることにより、水系インクジェットインクの保管安定性がさらに向上し、かつ、得られるプリント物の塗膜の撥水性が優れることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決する本発明の一態様の水系インクジェットインクは、フッ素樹脂と、湿潤剤と、顔料と、硬化剤と、水系溶媒とを含み、前記フッ素樹脂は、水酸基価が10〜30mgKOH/gであり、前記湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいない、水系インクジェットインクである。
また、上記課題を解決する本発明の一態様のプリント物の製造方法は、上記水系インクジェットインクをインクジェット方式により基材に付与する工程を含む、プリント物の製造方法である。
<水系インクジェットインク>
本発明の一実施形態の水系インクジェットインク(以下、インクともいう)は、フッ素樹脂と、湿潤剤と、顔料と、硬化剤と、水系溶媒とを含む。フッ素樹脂は、水酸基価が10〜30mgKOH/gである。湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいない。このようなインクは、沈降物を生じにくく、長期の保管安定性が優れる。また、このようなインクを用いてプリント物を作製する際に、塗膜中に不純物としての副生成物が生じにくい。その結果、得られるプリント物は、耐候性および撥水性が優れる。以下、それぞれについて説明する。
(フッ素樹脂)
フッ素樹脂は、本実施形態のインクを用いて得られるプリント物に耐候性を付与するために配合される。フッ素樹脂は、各種含フッ素モノマーと、ビニルモノマーとの共重合体であることが好ましい。また、フッ素樹脂は、ビニルモノマーの中でも、ビニルエーテルモノマーとの共重合体であることがより好ましい。さらに、得られるプリント物に、より長期の耐候性を付与し得る点から、フッ素樹脂は、後述するフルオロエチレンと、ビニルエーテルモノマーとの共重合体であることがより好ましい。
含フッ素モノマーは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロメチルトリフルオロエチレン等が例示される。これらの中でも、後述するビニルモノマーとの共重合体からなるフッ素樹脂を含むインクが、優れた耐候性を示すプリント物が得られる点から、含フッ素モノマーは、フルオロエチレンであることが好ましく、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンであることがより好ましい。
ビニルモノマーは、非イオン性モノエチレン不飽和モノマー、二官能性ビニルモノマー等が例示される。非イオン性モノエチレン不飽和モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、エチレン、ビニルアセテート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸エステル等が例示される。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が例示される。二官能性ビニルモノマーとしては、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタン−ジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等が例示される。
ビニルエーテルは、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が例示される。
含フッ素モノマーと、ビニルモノマーとの共重合割合は特に限定されない。一例を挙げると、共重合割合は、含フッ素モノマー:ビニルモノマー=3〜1:1〜2(重量比)である。共重合割合がこのような範囲内である場合、このようなフッ素樹脂を含むインクを用いることにより得られるプリント物は、優れた耐候性を示しやすい。なお、重合方法は特に限定されない。一例を挙げると、重合方法は、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等である。
得られるフッ素樹脂は、交互共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。これらの中でも、フッ素樹脂は、フルオロエチレンとビニルモノマーとの交互共重合体であることが好ましい。このようなフッ素樹脂を含むインクによれば、耐候性がさらに優れるプリント物が得られやすい。そのため、インクは、さらに長期にわたり、所望の色彩のプリント物を形成し得る。なお、本実施形態において、「交互共重合体」とは、フルオロエチレン単位と、ビニルモノマー単位との結合が、フルオロエチレン単位とフルオロエチレン単位との結合、および、ビニルモノマー単位とビニルモノマー単位との結合の合計よりも、はるかに多く含まれる共重合体を意味する。具体的には、本実施形態の交互共重合体は、フルオロエチレン単位と、ビニルモノマー単位との結合を、90〜100モル%含むことが好ましい。なお、本実施形態において、交互共重合体は、少数のランダム結合部分やブロック結合部分を含んでいてもよい。また、上記結合は、たとえば1H NMR測定および29Si NMR測定等により区別し得る。また、交互共重合性の分析方法については、たとえば、Journal of Applied Polymer Science, Vol. 106, 1007-1013 (2007)等を参照し得る。
本実施形態のフッ素樹脂は、水酸基価が10mgKOH/g以上であればよく、15mgKOH/g以上であることが好ましい。また、フッ素樹脂は、水酸基価が30mgKOH/g以下であればよく、25mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が10mgKOH/g未満である場合、フッ素樹脂は、硬化剤と反応しにくくなる傾向がある。その結果、得られるプリント物の塗膜は、塗膜強度が劣りやすい。一方、水酸基価が30mgKOH/gを超える場合、インクは、長期の保管安定性が低下しやすい。なお、本実施形態において、水酸基価とは、試料(樹脂の固形分)1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を表し、JIS K 0070に記載の方法に準ずる方法により測定される値である。また、フッ素樹脂が併用される場合、水酸基価は、併用されたフッ素樹脂のそれぞれの水酸基価に基づいて算出され得る。すなわち、たとえば水酸基価の異なる2種のフッ素樹脂が同量使用される場合、得られるフッ素樹脂の水酸基価は、それぞれのフッ素樹脂の水酸基価の平均値と看做し得る。
フッ素樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に限定されない。一例を挙げると、Mwは、5000以上であることが好ましく、8000以上であることがより好ましい。Mwは、200000以下であることが好ましく、150000以下であることがより好ましい。Mwが上記範囲内である場合、フッ素樹脂は、水に分散しやすく安定的に使用することができる。また、得られるプリント物は、画像表面のベタツキが少なく、プリント物同士を重ねた際のブロッキング防止性が優れている。Mwが5000未満である場合、得られるプリント物は、ベタツキが生じやすく、ブロッキング防止性が低下する傾向がある。一方、Mwが200000を超える場合、得られるインクは、インクジェットプリント時における吐出安定性が低下する傾向がある。なお、本実施形態において、Mwは、たとえばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値であり、高速GPC装置(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)を用いて測定し得る。
本実施形態のフッ素樹脂は、得られるインクの保管安定性が優れ、かつ、硬化剤と反応しやすい点から、エマルジョンタイプであることが好ましい。
フッ素樹脂がエマルジョンタイプである場合、フッ素樹脂エマルジョンの粒子径は特に限定されない。粒子径は、100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがより好ましい。また、粒子径は、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましい。粒子径が上記範囲内であることにより、フッ素樹脂は、適度な表面積を有し、硬化剤との反応が起こりにくく、保管安定性が優れる。また、フッ素樹脂は、インクの成膜性が優れ、所望の塗膜を形成しやすい。粒子径が100nm未満である場合、フッ素樹脂は、表面積が大きくなり過ぎて、活性が高くなり、硬化剤と反応しやすい。そのため、インクは、保管安定性が低下しやすい。一方、粒子径が300nmを超える場合、インクは、成膜性が劣りやすく、かつ、粒子がインクジェットプリント時にノズルに詰まりやすい。なお、本実施形態において、粒子径は、平均粒子径である。このような平均粒子径は、たとえば、動的光散乱法による粒子径分析装置(Zetasizer Nano−S、Malvern Instruments Ltd製)を用いて、エマルジョンを純水で希釈して、20℃条件下で測定することで求めることができる。
フッ素樹脂の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、固形分換算で、フッ素樹脂は、インク中、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、フッ素樹脂は、インク中、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。フッ素樹脂の含有量が2質量%以上であることにより、インクは、インクジェットプリント時における吐出安定性が優れる傾向がある。一方、フッ素樹脂の含有量が40質量%を超える場合、インクは、粘度が高くなりやすく、インクジェットプリント時における吐出安定性が低下しやすい。
(湿潤剤)
湿潤剤は、インクジェットプリント時においてヘッド付近でインクが乾燥することによる吐出安定性の低下を防ぐために、配合される。本実施形態で用いられる湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいない。そのため、このような湿潤剤は、インクが長期保管される場合であっても、硬化剤と反応しない。その結果、インクは、沈降物を生じず、長期の保管安定性が優れる。
湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいないものであればよい。このような湿潤剤は、N−メチル−2−ピロリドン、尿素、テトラメチル尿素、ジメチルスルフォキシド、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素等が例示される。これらの中でも、常温で液体であり、安定性が高く、取り扱いが容易であるという点から、湿潤剤は、N−メチル−2−ピロリドンであることがより好ましい。湿潤剤は、併用されてもよい。
湿潤剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、湿潤剤は、インク中、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、湿潤剤は、インク中、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。湿潤剤の含有量が10質量%未満である場合、インクは、乾燥しやすく、吐出安定性が低下しやすい。一方、湿潤剤の含有量が60質量%を超える場合、インクは、乾燥しにくくなり、プリント時に滲みが発生しやすくなる。なお、本実施形態の湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいないため、含有量が多い場合であっても、硬化剤との反応による沈降物の発生には影響しない。
(顔料)
顔料は、各種無機顔料または有機顔料が配合され得る。無機顔料は、酸化物類、複合酸化物類、水酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)、金属粉類等が例示される。有機顔料は、ニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類、ピロロピロール類等が例示される。これらは併用されてもよい。
本実施形態の顔料は、得られるプリント物の耐候性がより優れる点から、無機顔料を含むことが好ましい。
また、無機顔料は、各種分散剤に分散されてもよい。本実施形態の無機顔料は、得られるプリント物の撥水性がより優れる点から、高分子分散剤により分散された無機顔料であることがより好ましい。
高分子分散剤は特に限定されない。一例を挙げると、高分子分散剤は、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーまたはコポリマー、アクリル系ポリマーまたはコポリマー、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー等である。高分子分散剤は、併用されてもよい。
高分子分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上であることが好ましく、15mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、高分子分散剤のアミン価は、15mgKOH/g以上であることが好ましく、25mgKOH/g以上であることがより好ましい。これらの酸価およびアミン価である高分子分散剤は、顔料に対する吸着性が優れる。なお、本実施形態において、酸価は、分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じて、電位差滴定法によって算出し得る。また、アミン価とは、分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1mol/Lの塩酸水溶液を用いて、電位差滴定法によって算出した値を、水酸化カリウムの当量に換算することにより算出し得る。
本実施形態の顔料のジブチルフタレート吸油量(DBP吸油量)は特に限定されない。一例を挙げると、顔料のDBP吸油量は、100cm3/100g以下であることが好ましく、50cm3/100g以下であることがより好ましい。また、DBP吸油量は、1cm3/100g以上であることが好ましく、10cm3/100g以上であることがより好ましい。DBP吸油量が上記範囲内であることにより、インクは、保管安定性が優れる。DBP吸油量が100cm3/100gを超える場合、顔料は、比表面積が大きく、表面自由エネルギーが大きい。そのため、顔料は、インク中において凝集が進行したり、インクが増粘する場合がある。一方、DBP吸油量が1cm3/100g未満である場合、インクは、顔料の初期粒子径が大きく分散が困難になり、インク化が困難になる傾向がある。なお、本実施形態において、DBP吸油量は、たとえば、吸油量測定装置(S−500、株式会社あさひ総研製)を用いて、JIS K 6217−4記載の方法で測定することができる。
顔料の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、顔料の含有量は、インク中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、顔料の含有量は、インク中、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。顔料の含有量が0.01質量%未満である場合、充分な着色が施されない傾向がある。一方、顔料の含有量が30質量%を超える場合、インクの粘度が高くなり、インクジェットプリント時における吐出安定性が低下する傾向がある。
(硬化剤)
硬化剤は、インクを硬化させるために配合され得る。硬化剤は特に限定されない。一例を挙げると、硬化剤は、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。これらは併用されてもよい。これらの中でも、硬化剤は、イソシアネート樹脂を含んでいることが好ましい。これにより、得られるプリント物は、耐候性がより優れる。
イソシアネート樹脂としては、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物であればよく、汎用型、難黄変型、無黄変型等のいずれも使用し得る。汎用型としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、TDIの3量化物であるイソシアヌレート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(ポリメリックMDI)等が例示される。難黄変型としては、キシリレンジアミン(XDI)等が例示される。無黄変型としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDIおよび水添MDI等が例示される。これらの中でも、硬化剤は、無黄変型のブロックイソシアネートを含むことが好ましく、イソシアヌレート構造を有する無黄変型のブロックイソシアネートであることがより好ましい。このような硬化剤が配合されることにより、インクは、より硬化性が優れる。また、このようなインクが用いられることにより、得られるプリント物は、耐候性がさらに優れる。そのため、プリント物は、さらに長期にわたり、所望の色彩を示しやすい。
また、本実施形態の硬化剤は、水分散型ブロックイソシアネートであることが好ましい。ブロックイソシアネートを水分散させる方法は特に限定されない。一例を挙げると、ブロックイソシアネートを水分散させる方法は、ブロックイソシアネートを自己乳化させ、水に分散させる方法(自己乳化型)、機械攪拌等によりブロックイソシアネートを強制的に水と乳化させて分散させる方法(強制乳化型)、ブロックイソシアネートを水に溶解させる方法(水溶液型)等である。硬化剤として水分散型ブロックイソシアネートが用いられることにより、インクは、ブロックイソシアネートとの分離を起こしにくく、長期にわたり保管安定性が優れる。
また、硬化剤がブロックイソシアネートを含む場合において、ブロックイソシアネートのブロック解離温度は特に限定されない。一例を挙げると、ブロック解離温度は、100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。また、ブロック解離温度は、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましい。ブロック解離温度が上記範囲内であることにより、インクは、常温保管時にブロック解離を生じにくく、かつ、樹脂との重合反応が進行しにくい。そのため、インクは、より保管安定性が優れる。ブロック解離温度が100℃未満である場合、インクは、常温保存時にブロック解離を生じやすく、樹脂と反応し、保管安定性が劣りやすい。一方、ブロック解離温度が180℃を超える場合、インクは、ブロック解離しにくく、十分な塗膜強度が得られにくい傾向がある。なお、本実施形態において、ブロック解離温度は、たとえば、赤外線吸収スペクトル法を用いてある温度におけるイソシアネート基の波数領域(2240cm-1)の増加の有無を観測することによって測定し得る。
硬化剤の含有量は、フッ素樹脂の添加量や水酸基価によっても変動するため、一義的には決定されない。一例を挙げると、硬化剤の含有量は、インク中、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、硬化剤の含有量は、インク中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。硬化剤の含有量が0.1質量%未満である場合、フッ素樹脂と充分に反応できず、所望の性能が得られない傾向がある。一方、硬化剤の含有量が20質量%を超える場合、フッ素樹脂に対して過剰添加になるおそれがあり、得られるプリント物の耐候性が逆に低下する傾向がある。
(水系溶媒)
水系溶媒は、インクにおいて、上記各成分を適宜分散または溶解させるための液体成分である。水系溶媒は、通常、水からなる。水は、イオン交換水、蒸留水等である。
水系溶媒は、水以外にも、適宜、本実施形態のインクの効果を阻害しない範囲でインクジェットインクに通常用いられる溶媒が含まれてもよい。すなわち、水系溶媒には、水溶性の任意成分が配合されてもよい。
水系溶媒における水の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、水は、水系溶媒中、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
水系溶媒の含有量は、特に限定されない。一例を挙げると、水系溶媒の含有量は、インク中、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、水系溶媒の含有量は、インク中、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。水系溶媒の含有量が10質量%未満である場合、インクは、粘度が高くなり、インクジェットプリント時における吐出安定性が低下する傾向がある。一方、水系溶媒の含有量が60質量%を超える場合、インクは、添加すべき各成分の割合が低くなり、所望する性能が得られにくくなる傾向がある。
(任意成分)
本実施形態のインクは、上記した各成分のほかに、適宜任意成分が含まれてもよい。任意成分としては、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、硬化触媒等が例示される。
・紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、本実施形態のインクを用いて得られるプリント物の耐候性を向上させるために好適に配合される。これにより、プリント物は、さらに長期にわたり、所望の色彩を示すことができる。
紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン誘導体、サリチル酸誘導体等が例示される。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ−ル、2−{(2’−ヒドロキシ−3’,3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル}ベンゾトリアゾール等が例示される。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等が例示される。トリアジン誘導体としては、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシロキシ−プロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシロキシ−プロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−{4−(オクチル−2−メチルエタノエート)オキシ−2−ヒドロキシフェニル−4,6−{ビス(2,4−ジメチルフェニル)}−1,3,5−トリアジン、トリス[2,4,6−[2−{4−(オクチル−2−メチルエタノエート)オキシ−2−ヒドロキシフェニル}]]−1,3,5−トリアジン等が例示される。サリチル酸誘導体としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニルサリシレート等が例示される。これらは併用されてもよい。
紫外線吸収剤が配合される場合の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、紫外線吸収剤の含有量は、インク中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、紫外線吸収剤の含有量は、インク中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.01質量%未満である場合、紫外線吸収剤としての効果が充分に発揮されない傾向がある。一方、紫外線吸収剤の含有量が10質量%を超える場合、これ以上の効果が得られないうえに、インクとしてコスト高になる傾向がある。また、紫外線吸収剤の含有量が10質量%を超える場合、インクは、紫外線吸収剤がヒドロキシ基を有する場合において、ヒドロキシ基と硬化剤とが反応し、長期保管安定性が低下する可能性がある。
・光安定剤
光安定剤は、本実施形態のインクを用いて得られるプリント物の耐候性を向上させるために好適に配合される。これにより、プリント物は、さらに長期にわたり、所望の色彩を示すことができる。
光安定剤は、ヒンダードアミン系光安定剤等が例示される。ヒンダードアミン系光安定剤としては、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノウンデカン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−デカンジオアート等が例示される。これらは併用されてもよい。
光安定剤が配合される場合の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、光安定剤の含有量は、インク中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、光安定剤の含有量は、インク中、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。光安定剤の含有量が0.01質量%未満である場合、光安定剤としての効果が充分に発揮されない傾向がある。一方、光安定剤の含有量が10質量%を超える場合、これ以上の効果が得られないうえに、インクとしてコスト高になる傾向がある。また、光安定剤の含有量が10質量%を超える場合、インクは、光安定剤がヒドロキシ基を有する場合において、ヒドロキシ基と硬化剤とが反応し、長期保管安定性が低下する可能性がある。
・消泡剤
消泡剤は、プリント時のインクの吐出安定性を向上させるために好適に配合される。消泡剤は、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤等が例示される。消泡剤は、併用されてもよい。これらの中でも、消泡剤は、拡散しやすく、優れた消泡効果を発揮しやすい点から、シリコーン系消泡剤であることが好ましい。
シリコーン系消泡剤は、ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等が例示される。
ポリエーテル系消泡剤は、ジ−t−アミルフェニキシエタノール、3−ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカルビトール等が例示される。
消泡剤が配合される場合の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、消泡剤の含有量は、インク中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、消泡剤の含有量は、インク中、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。消泡剤の含有量が0.01質量%未満である場合、消泡剤としての効果が充分に発揮されない傾向がある。一方、消泡剤の含有量が5質量%を超える場合、インクは、これ以上の効果が得られないうえに、コスト高になる傾向がある。また、消泡剤の含有量が5質量%を超える場合、インクは、消泡剤がヒドロキシ基を有する場合において、ヒドロキシ基と硬化剤とが反応し、長期保管安定性が低下する可能性がある。
・硬化触媒
硬化触媒は、スズ、チタン、ジルコニウム、鉄、アンチモン、ビスマス、マンガン、亜鉛、アルミニウム等の金属の有機酸塩、アルコラートおよびキレート化合物;ヘキシルアミン、ドデシルアミンのようなアミン;酢酸ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミンのようなアミン塩;ベンジルトリメチルアンモニウムアセテートのような第4級アンモニウム塩;酢酸カリウムのようなアルカリ金属の塩等が例示される。より具体的には、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマスなどの有機ビスマス化合物、オクチル酸スズ、トリブチルスズジラウリレート、ジラウリル酸ジブチルスズ、ジオクチル酸ジブチルスズ、ジネオデカン酸ジメチルスズ、スタナスオクトエートなどの有機スズ化合物、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタンなどの有機チタン化合物等が例示される。これらは併用されてもよい。硬化触媒は、スズ系の化合物であることが好ましく、オクチル酸スズであることがより好ましい。硬化触媒としてオクチル酸スズが含まれる場合、得られるインクは、硬化性が優れる。また、得られるインクは、乾燥性が改善されており、インクジェットプリント時における吐出安定性が優れている。
硬化触媒が配合される場合の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、硬化触媒の含有量は、インク中、0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましい。また、硬化触媒の含有量は、インク中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。硬化触媒の含有量が0.001質量%未満である場合、硬化触媒は、性能が充分に発揮されない傾向がある。一方、硬化触媒の含有量が5質量%を超える場合、インクは、硬化性が高くなり過ぎて、インクジェットプリント時における吐出安定性が低下する傾向がある。
インク全体の説明に戻り、インクの粘度は特に限定されない。インクの粘度は、30℃において、5mPa・s以上であることが好ましく、6mPa・s以上であることがより好ましい。また、インクの粘度は、30℃において、30mPa・s以下であることが好ましく、20mPa・s以下であることがより好ましい。粘度が上記範囲内である場合、インクは、吐出安定性が優れる。粘度が5mPa・s未満である場合、インクは、インクジェットプリント時における吐出安定性が低下する傾向がある。一方、粘度が30mPa・sを超える場合、インクは、ヘッドノズルから上手く吐出されず、インクジェットプリント時における吐出安定性が低下する傾向がある。なお、本実施形態において、粘度は、B型粘度計(東機産業(株)製、TVB−20LT)を用いて測定することができる。
なお、粘度を上記範囲内に調整する方法は特に限定されない。一例を挙げると、粘度は、使用するフッ素樹脂の種類や添加量で調整され得る。粘度は、必要に応じて増粘剤等の粘度調整剤を使用して調整されてもよい。
以上、本実施形態のインクは、沈降物を生じにくく、長期の保管安定性が優れる。また、このようなインクを用いてプリント物を作製する際に、塗膜中に不純物としての副生成物が生じにくい。その結果、得られるプリント物は、耐候性および撥水性が優れる。
<プリント物の製造方法>
本発明の一実施形態のプリント物の製造方法は、上記したインクをインクジェット記録装置を用いたインクジェット方式により基材に付与する工程を含む。
インクジェット記録方式によりインクを基材に付与する方式は特に限定されない。このような方式としては、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式、インクミスト方式等の連続方式、ピエゾ方式、パルスジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式、静電吸引方式等のオン・デマンド方式等が例示される。
本実施形態のプリント物の製造方法によれば、上記した水系溶媒と湿潤剤とを含むインクが使用される。そのため、本実施形態では、インクジェットプリント時において、インクジェット記録装置のヘッドは、傷みにくい。また、湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいない。そのため、インクは、硬化剤が湿潤剤と反応せず、沈降物を生じない。また、インクは、所定の水酸基価であるフッ素樹脂を含む。その結果、インクは、長期の保管安定性が優れる。また、このようなインクを用いてプリント物を作製する際に、塗膜中に不純物としての副生成物が生じにくい。これにより、得られるプリント物は、耐候性および撥水性が優れる。
インクが付与される基材は特に限定されない。一例を挙げると、基材は、鋼板、アルミ、ステンレス等の金属板、アクリル、ポリカーボネート、ABS、ポリプロピレン、ポリエステル、塩化ビニル等のプラスチック板またはフィルム、窯業板、コンクリート、木材、ガラス等である。また、基材は、カチオン可染ポリエステル(CDP)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリ乳酸繊維等のポリエステル系繊維やアセテート繊維、トリアセテート繊維、ポリウレタン繊維、ナイロン繊維等またはこれらの複合繊維からなる布帛等であってもよい。これらは、用途に応じて適宜選定され得る。基材が布帛である場合、布帛は、プリント前に、前処理剤により処理されることが好ましい。前処理剤としては、水溶性ポリマー、非水溶性不活性有機化合物、難燃剤、紫外線吸収剤、還元防止剤、酸化防止剤、pH調整剤、ヒドロトロープ剤、消泡剤、浸透剤、ミクロポーラス形成剤等が例示される。これら前処理剤を布帛に付与する方法としては、パッド法、スプレー法、浸漬法、コーティング法、ラミネート法、グラビア法、インクジェット法等が例示される。
インクが付与された基材は、次いで、乾燥される。乾燥条件は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥は、50〜250℃で1〜60分間の熱処理を行われ得る。このような乾燥により、インク中の水系溶媒が取り除かれ得る。乾燥は、インクの滲みを防止するために、インクが基材に付与された同時もしくは直後に行われることが好ましい。
得られるプリント物は、上記したインクが使用されているため、撥水性および耐候性がより優れる。そのため、プリント物は、長期にわたり、所望の色彩を示すことができる。
(1)フッ素樹脂と、湿潤剤と、顔料と、硬化剤と、水系溶媒とを含み、前記フッ素樹脂は、水酸基価が10〜30mgKOH/gであり、前記湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいない、水系インクジェットインク。
このような構成によれば、水系インクジェットインクは、沈降物を生じにくく、長期の保管安定性が優れる。また、このような水系インクジェットインクを用いてプリント物を作製する際に、塗膜中に不純物としての副生成物が生じにくい。その結果、得られるプリント物は、耐候性および撥水性が優れる。
(2)前記顔料は、無機顔料を含む、(1)記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、水系インクジェットインクが用いられることにより得られるプリント物は、耐候性がより優れる。
(3)前記無機顔料は、高分子分散剤により分散されている、(2)記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、水系インクジェットインクが用いられることにより得られるプリント物は、撥水性がより優れる。
(4)前記顔料は、DBP吸油量が100cm3/100g以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、水系インクジェットインクは、より保管安定性が優れる。
(5)前記フッ素樹脂は、フルオロエチレンとビニルモノマーとの共重合体である、(1)〜(4)のいずれかに記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、本発明の水系インクジェットインクが用いられることにより、耐候性がより優れるプリント物が得られる。このようなプリント物は、より長期にわたり、所望の色彩を示すことができる。
(6)前記フッ素樹脂は、エマルジョンタイプである、(1)〜(5)のいずれかに記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、水系インクジェットインクは、保管安定性が優れ、かつ、フッ素樹脂と硬化剤とが反応しやすい。また、水系インクジェットインクは、成膜性が優れる。
(7)前記硬化剤は、ブロックイソシアネートを含み、前記ブロックイソシアネートは、無黄変型ブロックイソシアネートを含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、得られる水系インクジェットインクは、硬化性がより優れる。また、このような水系インクジェットインクが用いられることにより、耐候性がより優れるプリント物が得られる。
(8)前記硬化剤は、ブロックイソシアネートを含み、前記ブロックイソシアネートは、水分散型ブロックイソシアネートを含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、水系インクジェットインクは、ブロックイソシアネートが分離を起こさず、長期の保管安定性が優れる。
(9)前記ブロックイソシアネートのブロック解離温度は、100℃以上である、(7)または(8)記載の水系インクジェットインク。
このような構成によれば、水系インクジェットインクは、常温保管時にブロック解離を生じにくく、かつ、樹脂との重合反応が進行しにくい。そのため、水系インクジェットインクは、より保存安定性が優れる。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の水系インクジェットインクをインクジェット方式により基材に付与する工程を含む、プリント物の製造方法。
このような構成によれば、水系インクジェットインクは、沈降物を生じにくく、長期の保管安定性が優れる。また、このような水系インクジェットインクを用いてプリント物を作製する際に、塗膜中に不純物としての副生成物が生じにくい。その結果、得られるプリント物は、耐候性および撥水性が優れる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
使用した原料を以下に示す。
(フッ素樹脂)
LUMIFLON FE4400:三フッ化エチレン/ビニルエーテル交互共重合体、水酸基価:24.5mgKOH/g、Mw:約100000、平均粒子径:100〜200nm、固形分:50%、旭硝子(株)製
LUMIFLON FE4300:三フッ化エチレン/ビニルエーテル交互共重合体、水酸基価:5mgKOH/g、Mw:約100000、平均粒子径:100〜200nm、固形分:50%、旭硝子(株)製
LUMIFLON FD1000:三フッ化エチレン/ビニルエーテル交互共重合体、水酸基価:34mgKOH/g、Mw:約7000、平均粒子径:50〜100nm、固形分:40%、旭硝子(株)製
(湿潤剤)
・ヒドロキシ基なし
N−メチル−2−ピロリドン
尿素
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
ジメチルプロピレン尿素
テトラメチル尿素
・ヒドロキシ基あり
プロピレングリコール
エチレングリコール
グリセリン
(硬化剤)
SU−268A:無黄変型のブロックイソシアネートの水性分散液、固形分:30%、明成化成工業(株)製
(紫外線吸収剤)
シャインガードTA−22:ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、センカ(株)製
(光安定剤)
シャインガードTL−06:ヒンダードアミン系光安定剤、センカ(株)製
(消泡剤)
FSアンチフォーム80:シリコーン系消泡剤、東レ・ダウコーニング(株)製
<分散体の調製>
分散体の調製方法を以下に示す。
(分散体K)
20質量部の黒色顔料(NIPEX35、DBP吸油量:37〜47cm3/100g、日本ルーブリゾール(株)製)と、10質量部の分散剤(DISPERBYK−102(ポリエーテル系ポリマー)、酸価:101mmKOH/g、ビックケミー・ジャパン(株)製)と、70質量部の蒸留水とをミキサーにて混合、ろ過することにより、分散体Kを調製した。
(分散体C)
50質量部の青色顔料(ダイピロキサイドブルーシャープ9410、DBP吸油量:22〜32cm3/100g、大日精化工業(株)製)と、10質量部の分散剤(DISPERBYK−102(ポリエーテル系ポリマー)、酸価:101mmKOH/g、ビックケミー・ジャパン(株)製)と、40質量部の蒸留水とをミキサーにて混合、ろ過することにより、分散体Cを調製した。
(分散体M)
50質量部の赤色顔料(160ED、DBP吸油量:16〜20cm3/100g、戸田工業(株)製)と、10質量部の分散剤(DISPERBYK−102(ポリエーテル系ポリマー)、酸価:101mmKOH/g、ビックケミー・ジャパン(株)製)と、40質量部の蒸留水とをミキサーにて混合、ろ過することにより、分散体Mを調製した。
(分散体Y)
50質量部の黄色顔料(TSY−1、DBP吸油量:30〜38cm3/100g、戸田工業(株)製)と、10質量部の分散剤(DISPERBYK−102(ポリエーテル系ポリマー)、酸価:101mmKOH/g、ビックケミー・ジャパン(株)製)と、40質量部の蒸留水とをミキサーにて混合、ろ過することにより、分散体Yを調製した。
物性値の測定方法を以下に示す。
(水酸基価)
JIS K 0070に準じ、試料(樹脂の固形分)1gをアセチル化させた際の、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(mg)を、試料の水酸基価とした。
(Mw)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値であり、本実施例においては高速GPC装置(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)を用いて測定した。
(実施例1〜12、比較例1〜5)
以下の表1に示される処方(単位は質量%)に従って、インクを調製した。得られたインクを用いて、以下のインクジェット条件にてインクジェットプリントを行った。得られたインクジェット画像に対し、以下の乾燥条件にて乾燥処理を行い、プリント物を作製した。なお、実施例12は、フッ素樹脂を併用することにより、水酸基価を14.75に調整した点以外は、実施例1と同様です。
Figure 0006491803
<インクジェット条件>
インクジェット記録装置:ピエゾ方式
ノズル径:40μm
駆動電圧:70V
周波数:12kHz
解像度:400×800dpi
基材温度:60℃(加温)
<乾燥条件>
加熱乾燥(150℃環境下、10分間)
実施例1〜12および比較例1〜5により得られたインクおよびプリント物について、以下の評価方法および評価基準に基づいて評価した。結果を表1に示す。
<耐候性>
プリント物に対して、スーパーUVテスター(岩崎電気(株)製、SUV−W161)を用いて、超促進耐候試験として紫外線照射6時間(UV条件100mW/cm2、温度63℃、湿度50%)実施後、次いでシャワー30秒の後、なりゆきで結露2時間実施を1サイクルとし、合計600時間実施した後の光沢保持率を測定した。
(光沢保持率測定方法)
光沢保持率は、プリント物の超促進耐候試験前に対する試験後の光沢度の比率とした。光沢度はグロスチェッカー((株)堀場製作所製、IG−410)を用いて、測定した。
(評価基準)
◎:光沢保持率が50%以上であった。
○:光沢保持率が20%以上、50%未満であった。
△:光沢保持率が10%以上、20%未満であった。
×:光沢保持率が10%未満であった。
<保管安定性>
作製後1週間経過したインク100mLを、600mmHgの減圧雰囲気下で、目開き10μmの濾紙を用いて濾過し、全量濾過に要した時間を計測し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:濾過時間が60秒未満であった。
○:濾過時間が60秒以上、180秒未満であった。
△:濾過時間が180秒以上、300秒未満であった。
×:濾過時間が300秒以上であったか、または、濾過できなかった。
<撥水性>
プリント物に対して、接触角測定機(携帯式接触角計PG-X+、FIBRO system ab社製)を用いて、純水を1滴滴下し、その接触角を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:接触角が60°以上であった。
○:接触角が50°以上、60°未満であった。
△:接触角が40°以上、50°未満であった。
×:接触角が40°未満であった。
<成膜性>
プリント物に対して、JIS K 5600−5−4記載の手法を用いて、2H硬度の鉛筆で引っ掻き試験を行い、試験後の塗膜状態を観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:引っ掻き部分が無傷であった。
○:引っ掻き部分にかすかに傷つきがあった。
△:引っ掻き部分に傷つきがあった。
×:引っ掻き部分を起点に塗膜に割れ・剥がれが生じた。
表1に示されるように、本発明の実施例1〜12において得られたインクによれば、いずれも20%以上の光沢保持率を示すプリント物が得られた。また、これらのインクは、短時間で濾過されたことから、保管中に沈降物が生じていないと考えられた。また、得られたプリント物は、撥水性が優れ、かつ、均一な高硬度の塗膜を形成することができた。
一方、ヒドロキシ基を有する湿潤剤を用いた比較例1〜3のインクは、保管安定性が悪く、沈降物を多く生じたため、濾過が困難であった。このようなインクを用いたプリント物は、塗膜に不純物である副生成物が混ざるため、撥水性が劣った。また、水酸基価の小さいフッ素樹脂を用いた比較例4のインクは、得られたプリント物の成膜性が劣った。さらに、水酸基価の大きいフッ素樹脂を用いた比較例5のインクは、硬化剤との反応が起こり、保管安定性が悪くなり、沈降物を生じたため、濾過が困難であった。

Claims (11)

  1. フッ素樹脂と、湿潤剤と、顔料と、硬化剤と、水系溶媒とを含み、
    前記フッ素樹脂は、
    水酸基価が10〜30mgKOH/gであり、
    含フッ素モノマーとビニルモノマーとの共重合体であり、
    エマルジョンタイプであり、
    前記湿潤剤は、ヒドロキシ基を含んでいない、水系インクジェットインク。
  2. 前記フッ素樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000〜200000である、請求項1記載の水系インクジェットインク。
  3. エマルジョン状態における前記フッ素樹脂の平均粒子径は、100〜300nmである、請求項1または2記載の水系インクジェットインク。
  4. 前記顔料は、無機顔料を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク。
  5. 前記無機顔料は、高分子分散剤により分散されている、請求項記載の水系インクジェットインク。
  6. 前記顔料は、DBP吸油量が100cm3/100g以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク。
  7. 前記フッ素樹脂は、フルオロエチレンとビニルモノマーとの共重合体である、請求項1〜のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク。
  8. 前記硬化剤は、ブロックイソシアネートを含み、
    前記ブロックイソシアネートは、無黄変型ブロックイソシアネートを含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク。
  9. 前記硬化剤は、ブロックイソシアネートを含み、
    前記ブロックイソシアネートは、水分散型ブロックイソシアネートを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水系インクジェットインク。
  10. 前記ブロックイソシアネートのブロック解離温度は、100℃以上である、請求項8または9記載の水系インクジェットインク。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の水系インクジェットインクをインクジェット方式により基材に付与する工程を含む、プリント物の製造方法。
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