JP6490439B2 - 電波反射体 - Google Patents

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Description

本発明は、直進性の高い周波数帯の電波を受けて反射させる反射面を備えた電波反射体に関する。
マイクロ波・ミリ波・テラヘルツ波といった高い周波数の電波を無線通信に用いると、高速で大容量の通信が可能になる。その一方、高い周波数の電波(例えば、1GHz〜10THz)は直進性が強く、送信アンテナと受信アンテナの間に障害物があると、電波が届かないために通信不能になるという欠点がある。このような通信環境や通信エリアを改善するため、入射波を所望の方向へ反射させるリフレクトアレーが知られている。
リフレクトアレーは、入射波、鏡面反射波及び所望方向の反射波が同一平面内になければならず、入射波及び鏡面反射波により規定される面内の方向とは異なる任意の方向に入射波を反射させることはできない。そこで、リフレクトアレーを構成する素子の隣接距離やパッチ形状を制御することで、反射波の位相を二次元的に変化させ、入射波と同一平面に制限されない任意の方向へ反射させる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2014−045378号公報
しかしながら、特許文献1に記載のリフレクトアレーにおいても、制御できる反射波は一方向に限定されるため、多様な方向へ反射させるためには、それぞれの反射方向に対応させたリフレクトアレーを用意しておく必要がある。したがって、入射波を任意の一方向へ反射させただけではカバーできない広範囲に複数の受信対象が分散しているような環境では、特許文献1に記載のリフレクトアレーは有効とはいえない。
そこで、本発明は、直進性の高い電波を多様な方向へ反射させる拡散反射が可能な電波反射体の提供を目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、直進性の高い周波数帯の電波を受けて反射させる反射面を備えた電波反射体であって、前記反射面は、目的とする電波の波長λを直径とした外周縁に連なる曲面を有する拡散起生部を、平坦な反射基準面に複数設けることで、拡散反射構造とし、前記反射面の拡散反射構造は、全ての拡散起生部が隣接する他の拡散起生部との隣接距離Lが等しくなるよう整列配置し、且つ、拡散起生部の特性に基づき定めた隣接距離係数kと波長λとの積で隣接距離Lを求めるようにし、前記反射面に設ける拡散起生部は、目的とする電波λを直径とした半球状の窪みである拡散起生凹部と、目的とする電波λを直径とした半球状の起伏である拡散起生凸部とを含み、前記反射面の拡散反射構造は、前記拡散起生凹部と前記拡散起生凸部とが必ず隣り合うように配置し、前記隣接距離係数kは、0.69<k<0.71の範囲内で設定することを特徴とする
本発明に係る電波反射体によれば、目的とする電波の波長λに対応させた拡散反射構造を反射面に形成することで、対応する周波数の電波が反射面に入射されたときには、これを多様な方向へ反射させることが可能となる。
本発明に係る電波反射体を壁紙状の電波反射シートとした実施形態の構成説明図である。 反射面に設ける拡散反射構造の構成例を示すもので、(a1)は拡散起生凸部と拡散起生凹部とを混在させて拡散反射構造とした第1構成例に係る拡散反射面の斜視図、(a2)は第1構成例に係る拡散反射面の平面図、(b1)は拡散起生凹部のみで拡散反射構造とした第2構成例に係る拡散反射面の斜視図、(b2)は第2構成例に係る拡散反射面の平面図、(c1)は拡散起生凸部のみで拡散反射構造とした第3構成例に係る拡散反射面の斜視図、(c2)は第3構成例に係る拡散反射面の平面図である。 隣接距離係数k=0(隣接距離L=0)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図3(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.1(隣接距離L=0.1λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図4(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.2(隣接距離L=0.2λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図5(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.3(隣接距離L=0.3λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図6(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.4(隣接距離L=0.4λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図7(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.5(隣接距離L=0.5λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図8(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.6(隣接距離L=0.6λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図9(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.68(隣接距離L=0.68λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図10(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.690(隣接距離L=0.69λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図11(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.695(隣接距離L=0.695λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図12(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.700(隣接距離L=0.7λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図13(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.705(隣接距離L=0.705λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図14(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.71(隣接距離L=0.71λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図15(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.72(隣接距離L=0.72λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図16(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.8(隣接距離L=0.8λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図17(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.9(隣接距離L=0.9λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図18(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=1.0(隣接距離L=λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図19(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.4(隣接距離L=0.4λ)とした第2構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図20(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.5(隣接距離L=0.5λ)とした第2構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図21(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.6(隣接距離L=0.6λ)とした第2構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図22(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.7(隣接距離L=0.7λ)とした第2構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図23(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.8(隣接距離L=0.8λ)とした第2構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図24(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.9(隣接距離L=0.9λ)とした第2構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図25(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=1.0(隣接距離L=λ)とした第2構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図26(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.5(隣接距離L=0.5λ)とした第3構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図27(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.6(隣接距離L=0.6λ)とした第3構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図28(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.7(隣接距離L=0.7λ)とした第3構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図29(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.8(隣接距離L=0.8λ)とした第3構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図30(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.9(隣接距離L=0.9λ)とした第3構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図31(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=1.0(隣接距離L=λ)とした第3構成例の拡散反射面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図32(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 拡散反射構造のない金属面における反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図33(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 隣接距離係数k=0.7(隣接距離L=0.7λ)とした第1構成例の拡散反射面における反射特性を多面的に示すもので、(A)は平面図、(B)は図34(A)における矢視B方向からの正面図、(C)は図34(A)における矢視C方向からの右側面図、(D)は図34(A)における矢視D方向からの背面図ある。 (a1)〜(a5)は300GHzの電波を照射した金属平板の表面に流れる電流の瞬時値を位相0°〜180°まで45°毎に示した電流分布特性である。(b1)〜(b5)は300GHzの電波を照射した第1構成例の拡散反射面(k=0.7)の表面に流れる電流の瞬時値を位相0°〜180°まで45°毎に示した電流分布特性である。(c1)〜(c5)は300GHzの電波を照射した第1構成例の拡散反射面(k=1.0)の表面に流れる電流の瞬時値を位相0°〜180°まで45°毎に示した電流分布特性である。 (a)はタイルドディスプレイの外観図である。(b)は本発明に係る電波反射体を用いて構成するタイルドディスプレイの概略構成図である。 (a)は1GHzの電波に対応する拡散反射構造を形成した第1構成例の拡散反射面における反射特性図、(b)は100GHzの電波に対応する拡散反射構造を形成した第1構成例の拡散反射面における反射特性図、(c)は500GHzの電波に対応する拡散反射構造を形成した第1構成例の拡散反射面における反射特性図、(d)は1THzの電波に対応する拡散反射構造を形成した第1構成例の拡散反射面における反射特性図である。 300GHzの電波に対応する拡散反射構造を形成した第1構成例の拡散反射面に300GHz前後の周波数の電波を照射したときの反射特性を示すもので、(1)は298GHzの電波を照射したときの反射特性図、(2)は299GHzの電波を照射したときの反射特性図、(3)は300GHzの電波を照射したときの反射特性図、(4)は301GHzの電波を照射したときの反射特性図、(5)は302GHzの電波を照射したときの反射特性図である。 第1構成例の拡散反射面への電波の入射角をθ=0゜に固定してφを変化させた場合の反射特性を示し、(a)はφ=0゜における反射特性図、(b)はφ=15゜における反射特性図、(c)はφ=30゜における反射特性図、(d)はφ=45゜における反射特性図である。 第1構成例の拡散反射面への電波の入射角をθ=20゜に固定してφを変化させた場合の反射特性を示し、(a)はφ=0゜における反射特性図、(b)はφ=15゜における反射特性図、(c)はφ=30゜における反射特性図、(d)はφ=45゜における反射特性図である。 第1構成例の拡散反射面への電波の入射角をθ=40゜に固定してφを変化させた場合の反射特性を示し、(a)はφ=0゜における反射特性図、(b)はφ=15゜における反射特性図、(c)はφ=30゜における反射特性図、(d)はφ=45゜における反射特性図である。 第1構成例の拡散反射面への電波の入射角をθ=60゜に固定してφを変化させた場合の反射特性を示し、(a)はφ=0゜における反射特性図、(b)はφ=15゜における反射特性図、(c)はφ=30゜における反射特性図、(d)はφ=45゜における反射特性図である。 第1構成例の拡散反射面への電波の入射角をθ=80゜に固定してφを変化させた場合の反射特性を示し、(a)はφ=0゜における反射特性図、(b)はφ=15゜における反射特性図、(c)はφ=30゜における反射特性図、(d)はφ=45゜における反射特性図である。 第1構成例の拡散反射面に設ける拡散反射構造を変えた改変例を示すもので、(a)は拡散反射面の斜視図、(b)は拡散反射面の平面図、(c)は図44(b)におけるC−C矢視方向の概略縦断面図である。 図44に示す改変例の拡散反射面(隣接距離係数k=0.7)へ300GHzの電波をθ=40゜,φ=0゜の向きから照射したときの反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図45(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 図44に示す改変例の拡散反射面(隣接距離係数k=0.7)へ300GHzの電波をθ=60゜,φ=0゜の向きから照射したときの反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図46(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。 図44に示す改変例の拡散反射面(隣接距離係数k=0.7)へ300GHzの電波をθ=80゜,φ=0゜の向きから照射したときの反射特性を示すもので、(a)は平面図、(b)は図47(a)における矢視b方向斜め上からの斜視図である。
次に、添付図面に基づいて、本発明に係る電波反射体の実施形態につき詳細に説明する。図1に示すのは、電波反射体を壁紙状の電波反射シート1としたもので、適宜に巻回された反射シートロール10から引き出して任意のサイズに切断し、拡散反射が望まれる壁面等へ貼り付けて使用するものである。
電波反射シート1は、拡散反射面11が一方の面に形成された適宜な厚さのシート基材12から成り、このシート基材12の他方の面には粘着剤等が塗布された糊面13を形成し、壁体等の表面へ糊面13を貼り付けると、拡散反射面11が壁体の表面となる。従って、平坦な側壁だけでなく、天井や円柱状の支柱も拡散反射面11で覆うことができる。なお、本実施形態で示す電波反射シート1では、拡散反射面11側に反射面保護シート2を設け、拡散反射面11の拡散反射構造(後に詳述)を損なわないように保護する。また、糊面13側には剥離紙3を設けてあり、電波反射シート1を使用するときに剥がして糊面3を露出させる。
上記拡散反射面11は、導電性の薄膜等に拡散反射構造を設けたものである。この拡散反射構造は、平坦な反射基準面111に対して、目的とする電波の波長λを直径とした外周縁に連なる曲面(例えば、真球の半球面、円錐台の斜面、円柱の周面など)を有する拡散起生部112を複数設けたものである。全ての拡散起生部112は、隣接する他の拡散起生部112との隣接距離Lが等しくなるよう整列配置することが重要であり、且つ、その隣接距離Lは、拡散起生部の特性に基づき定めた隣接距離係数kと波長λとの積(L=kλ)で求める。
図2には、拡散反射面11に設ける拡散反射構造の構成例を3種類示す。図2(a1)は第1構成例に係る拡散反射面11Aの斜視図、図2(a2)は第1構成例に係る拡散反射面11Aの平面図、図2(b1)は第2構成例に係る拡散反射面11Bの斜視図、図2(b2)は第2構成例に係る拡散反射面11Bの平面図、図2(c1)は第3構成例に係る拡散反射面11Cの斜視図、図2(c2)は第3構成例に係る拡散反射面11Cの平面図である。
第1構成例である拡散反射面11Aは、目的とする電波の波長λを直径とした半球状の窪みである拡散起生凹部112aと、目的とする電波の波長λを直径とした半球状の起伏である拡散起生凸部112bとが必ず隣り合うように配置したものであり、反射基準面111に対して、拡散起生凹部112aはλ/2窪み、拡散起生凸部112bはλ/2突出することで、拡散反射面11Aは凹凸状となる。この拡散反射面11Aは、鋳型となる凹凸が形成された転写ドラムに可撓性の導電性薄膜を圧着して拡散起生凹部112aおよび拡散起生凸部112bを連続転写することで形成できる。また、導電性樹脂を鋳型に流して硬化させる方法によっても拡散反射面11Aを形成できる。
第2構成例である拡散反射面11Bは、目的とする電波の波長λを直径とした半球状の窪みである拡散起生凹部112aのみを整列配置したものであり、第3構成例である拡散反射面11Cは、目的とする電波の波長λを直径とした半球状の起伏である拡散起生凸部112bのみを整列配置したものである。これら拡散反射面11B,11Cも上記拡散反射面11Aと同様の方法で形成できる。
次に、上記のように構成した第1〜第3構成例の拡散反射面11A〜11Cにおける隣接距離Lを変化させたときの反射特性への影響を説明する。以下の反射特性は、三次元電磁界解析シミュレータFEKO(ファラッド株式会社製)を用いてシミュレーションしたものである。
また、以下の説明においては、便宜上、電波の直進方向をX軸(電波到来側を+、その逆を−)、これに直交するY軸(X軸+側から−側に向って右手を+、その逆を−)、X−Y平面に直交するZ軸(反射基準面111から突出する側を+)を各々設定し、第1構成例の拡散反射面11Aにおいて拡散起生凹部112aが連続して並ぶ向き(拡散起生凸部112bが連続して並ぶ向きと同じ)の一方がX軸となるように電波を照射する。電波が入射する向きは、Z軸+からX軸+に向う入射角θと、X軸+からY軸+に向う方位角φで表す。なお、照射する電波は垂直偏波とし、入射方向にかかわらず電界の向きはX−Y平面に直交する面内にある。
図3〜図19に示すのは、照射する電波の周波数(300GHz)に対応させて、拡散起生凹部112aおよび拡散起生凸部112bの直径λ=1〔mm〕とした拡散反射面11Aにおいて、隣接距離係数kを0〜1の範囲で適宜に変化(隣接距離Lを0〜λの範囲で変化)させたときの反射特性である。なお、電波の入射方向は、何れもθ=40゜,φ=0゜である。
図3は、隣接距離係数k=0(隣接距離L=0)とし、隣接する拡散起生凹部112aと拡散起生凸部112bの外縁が接触した構造での反射特性ある。多様な向きに反射しているものの、後方(入射した側)への反射が大きく、理想的な拡散状態とは言えない。なお、この放射特性は、最も強い反射ビームをメインローブとし、このメインローブの50%以上の強度があるビーム束のみを示し、メインローブの50%に満たないビーム束についての表示は省略した。以下に示す反射特性図も同様である。また、拡散するビームは、X軸に対して左右(Y軸+側と−側とで)対称に現れているが、これは、拡散起生凹部112aもしくは拡散起生凸部112bが連続して並ぶ向きとX軸を一致させたからであると考えられる。
図4は、隣接距離係数k=0.1(隣接距離L=0.1λ=0.1〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合も、後方(入射した側)への反射が大きく、理想的な拡散状態とは言えない。
図5は、隣接距離係数k=0.2(隣接距離L=0.2λ=0.2〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前後の反射に加えて左右両側方へも拡散するが、やはり理想的な拡散状態とは言えない。
図6は、隣接距離係数k=0.3(隣接距離L=0.3λ=0.3〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方(X軸−側)への散乱が消えている。
図7は、隣接距離係数k=0.4(隣接距離L=0.4λ=0.4〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前後方向への反射が主となり、側方への反射は弱い。
図8は、隣接距離係数k=0.5(隣接距離L=0.5λ=0.5〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方への反射のみとなり、拡散反射特性は認められない。
図9は、隣接距離係数k=0.6(隣接距離L=0.6λ=0.6〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合も、前方への反射のみとなり、拡散反射特性は認められない。
図10は、隣接距離係数k=0.68(隣接距離L=0.68λ=0.68〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方への反射に加えて側方への反射も現れているが、後方への反射はない。
図11は、隣接距離係数k=0.690(隣接距離L=0.69λ=0.69〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方と側方への反射に加えて後方への反射も現れており、実用に耐え得る拡散放射に近い特性が得られている。
図12は、隣接距離係数k=0.695(隣接距離L=0.695λ=0.695〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前後左右だけでなく、全周にわたって多様な方向への反射が確認でき、理想に近い拡散放射特性が得られている。
図13は、隣接距離係数k=0.700(隣接距離L=0.7λ=0.7〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、理想的な拡散放射特性が得られている。
図14は、隣接距離係数k=0.705(隣接距離L=0.705λ=0.705〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方への反射がやや大きいものの、全周にわたって多様な方向への反射が確認でき、理想に近い拡散放射特性が得られている。
図15は、隣接距離係数k=0.71(隣接距離L=0.71λ=0.71〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図16は、隣接距離係数k=0.72(隣接距離L=0.72λ=0.72〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合も、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図17は、隣接距離係数k=0.8(隣接距離L=0.8λ=0.8〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図18は、隣接距離係数k=0.9(隣接距離L=0.9λ=0.9〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図19は、隣接距離係数k=1.0(隣接距離L=λ=1.0〔mm〕)とした第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
以上のように、第1構成例の拡散反射面11Aにおいて隣接距離係数kを0〜1の範囲で変化させた場合、k=0.7のときに理想的な拡散反射特性が得られることが分かる。また、前述した特性結果から、十分な拡散放射特性が得られる隣接距離係数kの下限は0.695と0.69の間にあり、十分な拡散放射特性が得られる隣接距離係数kの上限は0.705と0.71の間にあることから、第1構成例の拡散反射面11Aにおいては、0.69<k<0.71の範囲内で隣接距離係数kを設定することにより、拡散反射構造を実現できる。
図20〜図26に示すのは、照射する電波の周波数(300GHz)に対応させて、拡散起生凹部112aの直径λ=1〔mm〕とした第2構成例の拡散反射面11Bにおいて、隣接距離係数kを0.4〜1の範囲で適宜に変化(隣接距離Lを0.4〜λの範囲で変化)させたときの反射特性である。なお、電波の入射方向は、何れもθ=40゜,φ=0゜である。
図20は、隣接距離係数k=0.4(隣接距離L=0.4λ=0.4〔mm〕)とした第2構成例の拡散反射面11Bにおける反射特性である。この場合、前方への反射が強く、側方や後方への反射も若干確認できるが、実用に耐え得るものではない。
図21は、隣接距離係数k=0.5(隣接距離L=0.5λ=0.5〔mm〕)とした第2構成例の拡散反射面11Bにおける反射特性である。この場合、前後左右への拡散が確認でき、理想的とは言えないものの、拡散反射特性が得られている。
図22は、隣接距離係数k=0.6(隣接距離L=0.6λ=0.6〔mm〕)とした第2構成例の拡散反射面11Bにおける反射特性である。この場合、前方への反射に比べて側方や後方への反射が弱く、実用に耐え得るものではない。
図23は、隣接距離係数k=0.7(隣接距離L=0.7λ=0.7〔mm〕)とした第2構成例の拡散反射面11Bにおける反射特性である。この場合も、前方への反射に比べて側方や後方への反射が弱く、実用に耐え得るものではない。
図24は、隣接距離係数k=0.8(隣接距離L=0.8λ=0.8〔mm〕)とした第2構成例の拡散反射面11Bにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図25は、隣接距離係数k=0.9(隣接距離L=0.9λ=0.9〔mm〕)とした第2構成例の拡散反射面11Bにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図26は、隣接距離係数k=1.0(隣接距離L=λ=1.0〔mm〕)とした第2構成例の拡散反射面11Bにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
以上のように、第2構成例の拡散反射面11Bにおいて隣接距離係数kを0.4〜1の範囲で変化させた場合、k=0.5のときに拡散反射特性が得られることが分かる。また、前述した各特性結果から、十分な拡散放射特性が得られる隣接距離係数kの下限は0.5と0.4の間にあり、十分な拡散放射特性が得られる隣接距離係数kの上限は0.5と0.6の間にあることから、第2構成例の拡散反射面11Bにおいては、0.4<k<0.6の範囲内で隣接距離係数kを設定することにより、拡散反射構造を実現できる。
図27〜図32に示すのは、照射する電波の周波数(300GHz)に対応させて、拡散起生凸部112bの直径λ=1〔mm〕とした第3構成例の拡散反射面11Cにおいて、隣接距離係数kを0.5〜1の範囲で適宜に変化(隣接距離Lを0.5〜λの範囲で変化)させたときの反射特性である。なお、電波の入射方向は、何れもθ=40゜,φ=0゜である。
図27は、隣接距離係数k=0.5(隣接距離L=0.5λ=0.5〔mm〕)とした第3構成例の拡散反射面11Cにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的で、多様な方向への拡散反射特性は得られていない。
図28は、隣接距離係数k=0.6(隣接距離L=0.6λ=0.6〔mm〕)とした第3構成例の拡散反射面11Cにおける反射特性である。この場合も、前方への反射が支配的で、多様な方向への拡散反射特性は得られていない。
図29は、隣接距離係数k=0.7(隣接距離L=0.7λ=0.7〔mm〕)とした第3構成例の拡散反射面11Cにおける反射特性である。この場合、前方への反射に加えて側方への反射が得られているものの、実用的な拡散反射特性であるとは言えない。
図30は、隣接距離係数k=0.8(隣接距離L=0.8λ=0.8〔mm〕)とした第3構成例の拡散反射面11Cにおける反射特性である。この場合、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図31は、隣接距離係数k=0.9(隣接距離L=0.9λ=0.9〔mm〕)とした第3構成例の拡散反射面11Cにおける反射特性である。この場合も、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
図32は、隣接距離係数k=1.0(隣接距離L=λ=1.0〔mm〕)とした第3構成例の拡散反射面11Cにおける反射特性である。この場合も、前方への反射が支配的となり、多様な方向への反射が失われている。
以上のように、第3構成例の拡散反射面11Cにおいて隣接距離係数kを0.5〜1の範囲で変化させた場合、k=0.7のときに前方と左右への反射が得られることが分かる。また、前述した各特性結果から、第3構成例の拡散反射面11Cにおいては、0.6<k<0.8の間に、拡散反射特性の得られる隣接距離係数kがあると考えられる。
ここで、本発明のような拡散反射構造を設けていない平坦な金属面に対して、300GHzの電波をθ=40゜,φ=0゜の方向から入射させたときの反射特性を図33に示す。本図より明らかなように、本発明のような拡散反射構造がないと、単に鏡面反射するだけであり、拡散反射構造の有用性が理解できよう。
また、第1〜第3構成例の拡散反射面11A〜11Cの中では、拡散起生凹部112aと拡散起生凸部112bとが必ず隣り合うように配置した第1構成例の拡散反射面11Aにおいて、隣接距離係数kを0.7としたとき、理想的な拡散反射特性が得られた。このときの反射特性の立体形状を図34に示す。図34において、(A)は拡散反射面11Aの平面であり、その矢視方向B(電波の入射側であるX軸の+側)から見た正面の反射特性が図34(B)であり、矢視方向C(Y軸の+側)から見た右側面の反射特性が図34(C)であり、矢視方向D(X軸の−側)から見た背面の反射特性が図34(D)である。なお、左側面の反射特性は右側面の反射特性と対象形状となっているので、図示を省略した。
そして、第1構成例の拡散反射面11Aで隣接距離係数kを0.7としたときに理想的な反射特性が得られるのは、単に凹凸が反射面にあるからではなく、目的とする電波の波長λに適合するサイズの拡散起生凹部112aおよび拡散起生凸部112bを形成することと併せて、目的とする電波の波長λに適合する隣接距離Lに設定することにより、はじめて良好な拡散反射特性が得られるのである。以下、図35に基づいて、拡散反射が生じる原理について考察する。
図35(a1)〜(a5)は、θ=40゜,φ=0゜の方向から300GHzの電波を照射した金属平板の表面に流れる電流の瞬時値を位相0°〜180°まで45°毎に示した電流分布特性である。黒に近いほど電流値が大きく、白に近いほど電流値が小さい状態を表している。凸凹がない平面の場合、強弱の模様が、電波の到来方向(X軸の+側)に直交するY軸に沿って一直線に並んでおり、位相が0゜から180゜まで進むに従って、X軸+側から−側(図35紙面に向って左から右)に流れてゆく。このため、X軸+方向(図の左の方向)から到来した電波は、金属平面で散乱することはなく、X軸−方向(図の右の方向)にだけ反射する鏡面反射を生じる。
図35(b1)〜(b5)はθ=40゜,φ=0゜の方向から300GHzの電波を照射した第1構成例の拡散反射面(λ=1.0〔mm〕、k=0.7、L=0.7〔mm〕)の表面に流れる電流の瞬時値を位相0°〜180°まで45°毎に示した電流分布特性である。このk=0.7の拡散反射面では、電流の強弱分布はY軸方向に整っておらず、位相が0゜から180゜まで進むに従って、X軸+側から−側(図35紙面に向って左から右)への単純な流れとならずに、拡散起生凹部112aと拡散起生凹部112aとの間、拡散起生凸部112bと拡散起生凸部112bとの間、拡散起生凹部112aと拡散起生凸部112bとの間に強い電流が流れる複雑な変化となっており、これが多様な方向への反射要因になっているものと考えられる。
図35(c1)〜(c5)はθ=40゜,φ=0゜の方向から300GHzの電波を照射した第1構成例の拡散反射面(λ=1.0〔mm〕、k=1.0、L=1.0〔mm〕)の表面に流れる電流の瞬時値を位相0°〜180°まで45°毎に示した電流分布特性である。このk=1.0の拡散反射面では、拡散起生凹部112aと拡散起生凸部112bが存在するために、前述した金属平板の場合と多少の違いはあるが、基本的に強弱の模様がY軸方向に揃った電流分布を示しており、X軸−方向に流れていくのが分かる。したがって、k=1.0の拡散反射面においても、X軸+方向(図の左の方向)から到来した電波は、拡散せずに、X軸−方向(図の右の方向)にだけ反射する。
以上のように、目的とする電波の波長λに適合するサイズの拡散起生凹部112aおよび拡散起生凸部112bを形成することと併せて、目的とする電波の波長λに適合する隣接距離Lに設定することにより、拡散起生凹部112aと拡散起生凹部112aとの間、拡散起生凸部112bと拡散起生凸部112bとの間、拡散起生凹部112aと拡散起生凸部112bとの間に共振を起こし、多様な定在波を発生させ、拡散反射を実現できるものと考える。
本発明に係る電波反射体は、直進性の高い波長帯の電波を多様な方向へ振り分けて受信装置へ到達させる用途に有効である。例えば、複数のディスプレイを格子状に配置して一つの高解像度ディスプレイを構築するタイルドディスプレイに適用することができる。
図36(a)は、既存のタイルドディスプレイ5を示し、空港の電子案内板や、各種イベント、大型商業施設で広く用いられている。このようなタイルドディスプレイ5は、適宜な大きさの筐体51の前面側に複数のディスプレイ52,52…をタイル状に配置してあり、筐体51の目立たない側面等には内部へ人が出入りできるドア53が設けてある。
通常、タイルドディスプレイ5は、複数のディスプレイ52に映し出される映像同士の連携を保ちながら使用されるため、単純には、1台のディスプレイ52に対して1台の映像出力用コンピュータが接続されることとなり、さらに、これらの映像出力用コンピュータを束ねる役目の統括コンピュータが必要である。すなわち、n台のディスプレイ12から構成されるタイルドディスプレイ5には、n+1台のコンピュータと映像ケーブルが接続されており、ディスプレイ52の裏面側には、少なくとも、n+1本の配線が混雑している。このため、タイルドディスプレイ5の設置や保守を煩雑になってしまうし、整列配置したディスプレイ52の背面側に必要十分な作業スペース(筐体51の内部空間)を用意しなければならないのである。
そこで、本発明に係る電波反射体をタイルドディスプレイ5の筐体51内部の側壁・天井・床に適用し、各ディスプレイ52への映像データ伝送をワイヤレス化するのである。
例えば、図36(b)に示すように、タイルドディスプレイ5の筐体51の内部作業室の三側壁(ディスプレイ52が配置される前面側を除く)、天井、必要によっては床面に、前述した電波反射シート1を貼設し、映像出力用コンピュータ6a〜6dからの映像データ信号を送信装置7から高周波帯の電波で送信させ、電波反射シート1の拡散反射面11に照射された映像データ信号は拡散し、ディスプレイ52が配置されている前面側へ広範囲に届くので、各映像出力用コンピュータ6a〜6dに対応したディスプレイ52a〜52dは全て送信装置7からの電波を受信することができ、各ディスプレイ52a〜52dは自分用の映像データに基づき、表示動作を行うのである。
このように、本発明の電波反射シート1を用いれば、ケーブルを用いた煩雑な配線を廃して、各映像出力用コンピュータ6aと各ディスプレイ52a〜52dを無線によって接続することができ、ディスプレイ52a〜52dの背面側に作業用の空間を設ける必要が無いので、タイルドディスプレイ5としての奥行を減らすことができ、タイルドディスプレイ5を導入するイベント会場や大型施設で、展示スペースを有効活用することが可能となる。
なお、ディスプレイ52a〜52dの背面側へ反射される電波の分布を電波反射シート1によって必ずしも一様にできるものではないが、各ディスプレイ52a〜52dに取り付けられた各アンテナに必要最低限の受信強度で電波が行き渡るように調整できれば、多重反射波の除去などデジタル処理技術で如何様にも解決できる。また、1本の送信アンテナで全域をカバーできないときは、2本以上の送信アンテナを空間的に隔てて設け、電波反射シート1への照射位置を調整することで、送信対象のアンテナが散在する全域をカバーするようにしても良い。
また、本発明に係る電波反射体は、どこへでも貼り付けて使える壁紙状の電波反射シート1に限定されるものではない。例えば、剛性の高い板材等の表面に拡散反射構造を形成することで電波反射板としたり、既設の構造物の壁体表面に導電性樹脂等を吹き付けた後に拡散反射構造の雌型となるシートを当着して拡散反射構造を転写することで既設の構造物を電波反射体とするようにしても良い。このように、電波反射体の拡散反射構造は、曲面にも適用できるが、その場合、拡散起生部が形成される反射面が、目的とする電波の波長λに対して、平坦と看做し得る程度の曲面であることが望ましい。
次に、本発明の電波反射体を適用可能な周波数帯について説明する。図37(a)は1GHzの電波(入射方向はθ=40゜,φ=0゜)に対応する拡散反射構造(λ=300〔mm〕、L=210〔mm〕)を形成した第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性であり、理想的な拡散反射を実現できていることがわかる。図37(b)は100GHzの電波(入射方向はθ=40゜,φ=0゜)に対応する拡散反射構造(λ=3〔mm〕、L=2.1〔mm〕)を形成した第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性であり、理想的な拡散反射を実現できていることがわかる。図37(c)は500GHzの電波(入射方向はθ=40゜,φ=0゜)に対応する拡散反射構造(λ=0.6〔mm〕、L=0.42〔mm〕)を形成した第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性であり、理想的な拡散反射を実現できていることがわかる。図37(d)は1THzの電波(入射方向はθ=40゜,φ=0゜)に対応する拡散反射構造(λ=0.03〔mm〕、L=0.021〔mm〕)を形成した第1構成例の拡散反射面11Aにおける反射特性であり、理想的な拡散反射を実現できていることがわかる。
このように、本発明の電波反射体は、直進性の高い周波数帯域(例えば、1GHz〜10THz)に対応できることが分かる。これは、電波反射体の拡散反射構造(拡散起生部の外周直径および整列配置の隣接距離)が、目的とする電波の波長λを基準として形成されるものであるからと考えられる。
次に、300GHzの電波(入射方向はθ=40゜,φ=0゜)に対応する拡散反射構造(λ=1〔mm〕、L=0.7〔mm〕)を形成した第1構成例の拡散反射面11Aに対して、目的外の周波数の電波を照射したときの反射特性について説明する。図38(1)は298GHzの電波を照射したときの反射特性であり、ある程度の拡散反射効果は認められるものの、あまり良好な状態ではない。図38(2)は299GHzの電波を照射したときの反射特性であり、理想的とは言いがたいが、十分な拡散反射効果が認められる。図38(3)は300GHzの電波を照射したときの反射特性であり、理想的な反射特性が得られている。図38(4)は301GHzの電波を照射したときの反射特性であり、理想的とは言いがたいが、十分な拡散反射効果が認められる。図38(5)は302GHzの電波を照射したときの反射特性であり、拡散反射効果はほとんど失われている。
このように、本発明の電波反射体は、目的とする電波の周波数に対応させて拡散反射構造を形成することが重要であり、目的外の周波数に対しては、十分な拡散反射効果を得ることができないと考えられる。例えば、300GHzの電波に対応させた拡散反射面11Aでは、300GHz±1GHz程度の範囲で拡散反射効果が見られる程度である。
次に、図39〜図43に基づいて、第1構成例の拡散反射面11Aに対して300GHzの電波を放射する方向を変化させたときの拡散反射特性の変化について説明する。
図39は、第1構成例の拡散反射面11Aへの電波の入射角をθ=0゜に固定して、方位角φを変化させた場合の反射特性を示す。なお、θ=0゜では、拡散反射面11に垂直(Z軸に平行)であるから、方位角φの変化は、入射電波(垂直偏波)の電界の向きの変化を示す。図39(a)はφ=0゜における反射特性、図39(b)はφ=15゜における反射特性、図39(c)はφ=30゜における反射特性、図39(d)はφ=45゜における反射特性を各々示す。何れの場合も、鏡面反射が強く、拡散反射効果が得られているとは言い難い。
図40は、第1構成例の拡散反射面11Aへの電波の入射角をθ=20゜に固定して、方位角φを変化させた場合の反射特性を示す。図40(a)はφ=0゜における反射特性、図40(b)はφ=15゜における反射特性、図40(c)はφ=30゜における反射特性、図40(d)はφ=45゜における反射特性を各々示す。何れの場合も、鏡面反射が強く、拡散反射効果が得られているとは言い難い。
図41は、第1構成例の拡散反射面11Aへの電波の入射角をθ=40゜に固定して、方位角φを変化させた場合の反射特性を示す。図41(a)はφ=0゜における反射特性を示し、理想的な拡散反射効果が得られている。図41(b)はφ=15゜における反射特性、図41(c)はφ=30゜における反射特性、図41(d)はφ=45゜における反射特性を各々示し、これらでは良好な拡散反射効果が得られていない。
図42は、第1構成例の拡散反射面11Aへの電波の入射角をθ=60゜に固定して、方位角φを変化させた場合の反射特性を示す。図42(a)はφ=0゜における反射特性を示し、拡散反射効果は得られているものの、電波入射側への反射が乏しく、理想的とは言い難い。図42(b)はφ=15゜における反射特性を示し、反射方向に偏りはあるものの良好な拡散反射効果が得られている。図42(c)はφ=30゜における反射特性を示し、あまり良好な拡散反射効果が得られているとは言えない。図42(d)はφ=45゜における反射特性を示し、理想的な拡散反射効果が得られている。
図43は、第1構成例の拡散反射面11Aへの電波の入射角をθ=80゜に固定して、方位角φを変化させた場合の反射特性を示す。図43(a)はφ=0゜における反射特性、図43(b)はφ=15゜における反射特性、図43(c)はφ=30゜における反射特性、図43(d)はφ=45゜における反射特性を各々示し、何れの方位角でも、理想的な拡散反射効果を得られている。
以上のように、拡散反射面11Aへの入射方向を変えることによって、拡散反射特性が変化し、良好な拡散反射効果が得られる場合や、拡散反射効果が損なわれる場合もあるので、送信対象のアンテナが散在する範囲をカバーするように送信アンテナの配置を適切に調整することが重要である。また、拡散反射面11Aへ浅い角度で電波が照射される場合(例えば、入射角度が60度以上の場合)に、理想的な拡散反射効果を得られ易いと考えられる。
次に、拡散反射構造の他の例を示す。上述した拡散反射面11Aでは、目的とする電波の波長λを直径とした半球状の窪みである拡散起生凹部112aと、目的とする電波の波長λを直径とした半球状の起伏である拡散起生凸部112bとが必ず隣り合うように配置したものであったが、拡散起生部は、必ずしも半球面の拡散起生凹部112aと拡散起生凸部112bに限定されるものではない。
図44は、拡散反射面11Aに設ける拡散反射構造を変えた改変例である拡散反射面11A′を示す。この拡散反射面11A′においては、円錐台の窪みである拡散起生凹部112a′と円錐台の起伏である拡散起生凸部112b′とが必ず隣り合うように配置したものである。拡散起生凹部112a′および拡散起生凸部112b′を形作る円錐台は、目的とする電波の波長λを直径とする円を下底、0.8λを直径とする円を上底、高さをλ/2とするもので、目的とする電波の波長λを直径とした外周縁に連なる曲面は、下底に連なる斜面に相当する。
図45〜図47に示すのは、照射する電波の周波数(300GHz)に対応させて、拡散起生凹部112a′および拡散起生凸部112b′を形成し、隣接距離係数k=0.7(隣接距離L=0.7〔mm〕)とした拡散反射面11A′において、電波の入射方向を変化させたときの反射特性である。
図45は、拡散反射面11A′へθ=40゜,φ=0゜の向きから電波を照射したときの反射特性である。鏡面反射が強く、拡散反射効果が得られているとは言い難い。
図46は、拡散反射面11A′へθ=60゜,φ=0゜の向きから電波を照射したときの反射特性である。拡散反射効果は得られているものの、電波入射側への反射が乏しく、理想的とは言い難い。
図47は、拡散反射面11A′へθ=80゜,φ=0゜の向きから電波を照射したときの反射特性である。反射方向に偏りはあるものの良好な拡散反射効果が得られている。
このように、拡散反射構造は、半球状の凹凸でなくても実現可能であり、拡散反射面に設ける拡散起生部と拡散起生部との間に共振を起こし、多様な定在波を発生させることができれば、拡散反射を実現できる。
以上、本発明に係る電波反射体を実施形態に基づき説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りにおいて実現可能な全ての電波反射体を権利範囲として包摂するものである。
1 電波反射シート
11 拡散反射面
111 反射基準面
112 拡散起生部
112a 拡散起生凹部
112b 拡散起生凸部
12 シート基材
13 糊面
2 反射面保護シート
3 剥離紙

Claims (1)

  1. 直進性の高い周波数帯の電波を受けて反射させる反射面を備えた電波反射体であって、
    前記反射面は、目的とする電波の波長λを直径とした外周縁に連なる曲面を有する拡散起生部を、平坦な反射基準面に複数設けることで、拡散反射構造とし
    前記反射面の拡散反射構造は、全ての拡散起生部が隣接する他の拡散起生部との隣接距離Lが等しくなるよう整列配置し、且つ、拡散起生部の特性に基づき定めた隣接距離係数kと波長λとの積で隣接距離Lを求めるようにし、
    前記反射面に設ける拡散起生部は、目的とする電波λを直径とした半球状の窪みである拡散起生凹部と、目的とする電波λを直径とした半球状の起伏である拡散起生凸部とを含み、
    前記反射面の拡散反射構造は、前記拡散起生凹部と前記拡散起生凸部とが必ず隣り合うように配置し、
    前記隣接距離係数kは、0.69<k<0.71の範囲内で設定することを特徴とする電波反射体
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