以下に、本願に係る生成装置、生成方法及び生成プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る生成装置、生成方法及び生成プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
〔1.第1の実施形態に係る判定処理の一例〕
まず、図1を用いて、第1の実施形態に係る判定処理の一例について説明する。図1は、第1の実施形態に係る判定処理の一例を示す図である。図1では、本願に係る生成装置に対応する判定装置100が、ユーザが所有する資産に関する情報を任意に組み合わせた情報である総資産情報を取得し、取得した総資産情報に基づいて、所定のサービスに関するユーザの信用度を判定する処理の一例を示している。
図1に示す判定装置100は、端末から総資産情報を取得し、取得した情報に基づいてユーザに対する信用度を判定するサーバ装置である。また、判定装置100は、判定した信用度に基づいて、所定のコンテンツを配信する処理を行う。
図1に示すユーザ端末10は、ユーザU01によって利用される情報処理端末である。例えば、ユーザ端末10は、スマートフォンやタブレット端末等によって実現される。ユーザ端末10は、ユーザU01による操作に従って、ユーザU01の総資産情報を判定装置100に登録する。また、ユーザ端末10は、判定装置100から配信されるコンテンツを取得し、画面上に表示する。なお、以下の説明では、ユーザ端末10をユーザU01と置き換えて表記する場合がある。
第1の実施形態において、判定装置100は、ユーザU01の資産情報として、ユーザU01が契約している銀行口座に関する情報や、店舗で利用しているサービスポイント(サービスポイントとは、例えば、店舗において現金の代わりに使用可能な仮想通貨などを意味する)に関する情報や、証券口座に関する情報や、契約しているクレジットカード会社に関する情報や、加入している保険に関する情報等を取得する。総資産情報は、このような、ユーザが所有する資産に関する情報を任意に組み合わせた情報であり、ユーザの総合的な資産に関する情報といえる。なお、ユーザが所有する資産には、自動車や絵画などの所有物が含まれてもよい。
そして、判定装置100は、総資産情報に基づいて、ユーザU01に提供されるサービスに関する信用度、言い換えれば、ユーザU01がサービスを利用しようとした場合の所定の行動に関する信用度を判定する。判定装置100は、例えば所定の行動として、ユーザU01が所定の金融サービスを利用しようとする行動(より具体的には、クレジットカードの新規発行をユーザU01が申し込む行動など)に関する信用度を判定する。いわば、判定装置100は、ユーザU01の総資産情報に基づき、所定のサービスがユーザにどれだけ適しているかという適性を判定する。
一般に、金融サービスを提供する事業者は、ユーザU01から受け付けた情報に基づいてユーザU01の信用度を測る。例えば、事業者は、ユーザU01の職業や勤務先、ユーザU01から申告される年収などを受け付け、受け付けた情報に基づいてユーザU01の信用度を測る。しかし、ユーザU01から提供される情報は、あくまでユーザU01の資産の一部の情報に過ぎない。また、ユーザU01から申告される年収は、ユーザU01が副業を有している場合や、ユーザU01が虚偽の申告をしている場合には、確実性のない情報となりうる。
事業者は、ユーザU01の詳細な情報を得ることができれば、ユーザU01の資産に合わせたサービスの提供が可能であるが、一般にはユーザU01の詳細な情報を得ることが困難である。例えば、クレジットカードを発行する会社は、クレジットカードに紐づくユーザU01の銀行口座に関して情報を得る可能性はあるものの、ユーザU01が契約している他の銀行口座や、証券口座に関しては情報を得られない。このため、ユーザU01が比較的多くの資産を有するユーザであったとしても、事業者は、クレジットカードのステータスを上げたり、限度額を引き上げたりといったサービスを提供する機会を逸する場合がある。
ここで、ユーザが有する資産の情報を統合して管理するサービス、いわゆるPFM(Personal Financial Management)と呼ばれるサービスが提供されている。かかるサービスは、ユーザが契約している複数の銀行口座や、証券口座や、店舗ごとに提供されるサービスポイント制度や、保険などを一元的に管理する。このようなサービスにユーザが登録することにより、サービス側は、ユーザの総合的な資産情報である総資産情報を得ることができる。
そこで、判定装置100は、上記のPFMサービスを提供することにより、ユーザの総資産情報を取得する。さらに、判定装置100は、取得した総資産情報に基づいて、ユーザの信用度を判定する。判定装置100は、総資産情報に基づいて信用度を判定するので、例えば、ユーザの自己申告による情報や、一つだけの銀行口座の情報と比べて、ユーザU01の資産を正確に示した情報を基に信用度を判定することができる。そして、判定装置100は、総資産情報に基づいて判定した信用度に応じたコンテンツを配信することで、ユーザに有用な情報を提供することができる。以下、かかる判定処理について、図1を用いて流れに沿って説明する。なお、図1の例では、説明を簡単にするため、判定装置100自身が、PFMのような総資産情報を管理するサービスを提供し、また、判定装置100自身が、コンテンツを配信する配信サーバとしての処理を行うものとする。
まず、判定装置100は、ユーザU01の総資産情報を取得する(ステップS01)。例えば、判定装置100は、ユーザ端末10を介して、ユーザU01が利用する金融機関等の情報について登録を受けることで、ユーザU01の総資産情報を取得する。
図1に示す例では、ユーザU01は、銀行40や、銀行50に銀行口座を有する。また、ユーザU01は、店舗60が発行するポイントカード制度を利用している。また、ユーザU01は、証券会社70に証券口座を有する。また、ユーザU01は、クレジットカード会社80が発行するクレジットカードを利用している。また、ユーザU01は、保険会社90が提供する保険に加入している。これらの情報を、ユーザU01は、総資産情報として判定装置100に登録する。
そして、判定装置100は、総資産情報に基づいて、ユーザU01の所定の行動に関する信用度を判定する(ステップS02)。詳細は後述するが、例えば、判定装置100は、ユーザU01が所定の金融サービスを利用しようとする行動(より具体的には、クレジットカードの新規発行をユーザU01が申し込む行動など)に関して信用度を判定する。
例えば、判定装置100は、総資産情報のうち、銀行40や銀行50の口座における残高や、毎月の収入や支出額を参照する。そして、判定装置100は、銀行40や銀行50の口座における残高の総計が所定の閾値を超える額であるかを判定する。また、判定装置100は、毎月の収入から支出を引いた額が所定の閾値を超える額であるかを判定する。そして、判定装置100は、これらの値が所定の閾値を超える場合に、ユーザU01が所定の金融サービスを利用しようとする行動に関して、ユーザU01の信用度を高く判定する。
また、判定装置100は、店舗60のポイントサービスをユーザU01が毎月利用する額が所定の閾値を超えるか否か、証券口座における残高や毎月の取引額が所定の閾値を超えるか否か、クレジットカードの毎月の利用額が所定の閾値を超えるか否か、保険の毎月の掛け金が所定の閾値を超えるか否かなど、総資産情報における種々の情報に基づいて、ユーザU01が所定の金融サービスを利用しようとする行動に関するユーザの信用度を判定してもよい。
そして、判定装置100は、判定した信用度に応じたターゲティングをユーザU01に設定する(ステップS03)。上記の例では、判定装置100が、ユーザが所定の金融サービスを利用しようとする行動に関するユーザの信用度を判定する例を示したが、判定装置100は、その他の行動に関しても同様にユーザの信用度を判定している。例えば、判定装置100は、ユーザU01が高額商品(例えば、不動産や自動車など)を購入しようとする際の信用度や、ゴルフ会員に申し込む際の信用度や、ユーザU01が転職をする際の信用度を判定する。
そして、判定装置100は、各々の行動に関して、ユーザU01の信用度を判定し、判定した信用度に応じたターゲティングを設定する。例えば、判定装置100は、クレジットカードの新規発行をユーザU01が申し込む行動に対する場合の信用度に応じたコンテンツがユーザU01に配信されるよう、ユーザU01に対するターゲティングを設定する。
例えば、判定装置100が、クレジットカードの新規発行をユーザU01が申し込む行動に対する場合の信用度を比較的高く判定したとする。この場合、ユーザU01にクレジットカードの新規発行の申し込みを促したいという動機がクレジットカード会社に発生する。このため、判定装置100は、コンテンツとして、クレジットカードの申し込みに関する広告がユーザ端末10に配信されるようなターゲティングを設定する。具体的には、判定装置100は、クレジットカードの申し込みに関する広告が属するカテゴリを、ユーザ端末10に配信される広告のカテゴリのうち優先度の高いカテゴリとなるよう設定を調整する。一方、判定装置100は、クレジットカードの新規発行をユーザU01が申し込む行動に対する場合の信用度が比較的低く判定された場合には、クレジットカードの申し込みに関する広告がユーザ端末10に配信されにくいようなターゲティングを設定する。
そして、判定装置100は、所定の配信機会において、ユーザ端末10にターゲティングされた情報(コンテンツ)を配信する(ステップS04)。例えば、判定装置100は、ユーザ端末10に広告枠を含むウェブページが表示される際に、広告枠に表示する広告として、ターゲティングされたコンテンツを配信する。あるいは、判定装置100は、ショッピングサイトのレコメンドや、ウェブページへのアクセスに対するプッシュ通知などの機会を利用して、コンテンツを配信するようにしてもよい。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、ユーザU01の総合的な資産に関する情報である総資産情報を取得する。そして、判定装置100は、取得された総資産情報に基づいて、所定のサービスに関するユーザU01の信用度を判定する。
すなわち、第1の実施形態に係る判定装置100は、ユーザU01から申告された情報や、ある一つの銀行口座の情報などではなく、ユーザU01の総資産情報に基づいて、ユーザU01の信用度を判定する。これにより、判定装置100は、通常では金融機関等の事業者が取得することのない、銀行口座以外の証券口座や店舗ごとのポイントなどの資産情報などを判定要素に含めることができるため、より詳細な資産情報に基づいて、個人の信用度を精度よく判定することができる。
なお、上記の図1の例において、判定装置100は、ユーザ端末10から登録を受けることにより総資産情報を取得する例を示した。しかし、判定装置100は、ユーザ端末10から一度登録を受けた後は、銀行口座等の情報を銀行40や銀行50等の金融機関から取得するようにしてもよい。すなわち、ユーザ端末10は、実際の口座情報等を判定装置100に送信するのではなく、銀行口座にオンラインでログインを行うことのできる情報のみを判定装置100に登録するようにしてもよい。この場合、判定装置100は、例えばPFMのサービスにAPI(Application Programming Interface)を組み込むことで、金融機関ごとに提供される口座情報の取得等の処理を行うことができる。また、判定装置100は、ユーザ端末10にインストールされたプログラム(例えば、スマートフォン専用のアプリ)を介して、総資産情報を継続的に取得するようにしてもよい。
また、図1では、判定装置100が、ユーザU01の所定のサービスに関する信用度を判定する処理の一例を示したが、判定装置100は、総資産情報に基づいて信用度を判定するにあたり、ユーザU01に関する種々の情報を推定する処理を行ってもよい。例えば、判定装置100は、総資産情報に基づいてユーザU01の毎月の収入額(例えば、「給与」や「報酬」といった名目で各口座に振り込まれた合計額)を算出することで、ユーザの年収を推定してもよい。また、判定装置100は、総資産情報の支出に関する情報に基づいて、ユーザU01が年間で払う公金(税金や光熱水道費等)の額を推定してもよい。この場合、判定装置100は、推定した公金の額に基づいて、ユーザU01の年収を推定してもよい。さらに、判定装置100は、推定した年収に基づいて、ユーザU01の可処分所得を推定してもよい。このように、判定装置100は、ユーザU01の総資産情報に基づきユーザU01の資産に関する情報を推定し、推定した情報から信用度を判定するとともに、判定した信用度をターゲティングに利用してもよい。
〔2.判定システムの構成〕
次に、図2を用いて、第1の実施形態に係る判定装置100が含まれる判定システム1の構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る判定システム1の構成例を示す図である。図2に例示するように、第1の実施形態に係る判定システム1には、ユーザ端末10と、金融機関サーバ45と、店舗サーバ65と、判定装置100とが含まれる。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。また、図2に示す判定システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、判定システム1には、複数台のユーザ端末10や、複数台の金融機関サーバ45や、複数台の店舗サーバ65が含まれてもよい。
ユーザ端末10は、上述のように、スマートフォンを含む携帯電話機や、タブレット端末や、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PCや、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理端末である。また、ユーザ端末10には、眼鏡型や時計型の情報処理端末であるウェアラブルデバイス(wearable device)も含まれる。さらに、ユーザ端末10には、総資産情報を判定装置100に登録するための情報処理機能を有する種々のスマート機器が含まれてもよい。例えば、ユーザ端末10には、TV(Television)や冷蔵庫、掃除機などのスマート家電や、自動車などのスマートビークル(Smart vehicle)や、ドローン(drone)、家庭用ロボットなどが含まれてもよい。
金融機関サーバ45は、金融機関に管理されるサーバ装置である。金融機関サーバ45は、金融機関における口座情報等を管理する。例えば、金融機関サーバ45は、銀行40や銀行50によって管理される。
店舗サーバ65は、店舗60に管理されるサーバ装置である。店舗サーバ65は、店舗60におけるポイントカード制度等を管理する。
なお、図2での図示は省略したが、判定システム1には、証券会社によって管理されるサーバや、クレジットカード会社によって管理されるサーバや、保険会社によって管理されるサーバ等、総資産情報に関する情報を提供したり管理したりする種々のサーバが含まれてもよい。また、判定システム1には、各種サービスを提供するウェブサイトが含むサービスページ(ウェブページ)をユーザ端末10に配信するウェブサーバや、ウェブページに広告を配信する広告配信サーバ等が含まれてもよい。
判定装置100は、上述のように、ユーザ端末10の総資産情報に基づいて、所定の行動に関するユーザの信用度を判定するサーバ装置である。
〔3.第1の実施形態に係る判定装置の構成〕
次に、図3を用いて、第1の実施形態に係る判定装置100の構成について説明する。図3は、第1の実施形態に係る判定装置100の構成例を示す図である。図3に示すように、判定装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、判定装置100は、判定装置100を利用する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。かかる通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、ユーザ端末10や金融機関サーバ45や店舗サーバ65との間で情報の送受信を行う。
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、総資産情報記憶部121と、ユーザ情報記憶部122と、コンテンツ記憶部123とを有する。
(総資産情報記憶部121について)
総資産情報記憶部121は、総資産情報に関する情報を記憶する。ここで、図4に、第1の実施形態に係る総資産情報記憶部121の一例を示す。図4は、第1の実施形態に係る総資産情報記憶部121の一例を示す図である。図4に示した例では、総資産情報記憶部121は、「総資産情報ID」、「ユーザID」、「端末ID」、「個別資産情報」、「取引先」、「種別」、「資産データ」といった項目を有する。
「総資産情報ID」は、総資産情報を識別する識別情報を示す。「ユーザID」は、ユーザを識別する識別情報を示す。「端末ID」は、ユーザ端末10を識別する識別情報を示す。なお、実施形態において、識別情報は、説明に用いる参照符号と一致するものとする。例えば、端末ID「10」で識別される端末は、ユーザ端末10を示す。また、ユーザID「U01」で識別されるユーザは、ユーザU01を示す。
「個別資産情報」は、総資産情報を構成する個々の資産情報を示す。「取引先」は、資産の預け先や契約先など、ユーザに対して金融サービスを提供している取引先を示す。「種別」は、資産の種別を示す。
「資産データ」は、個別資産ごとの資産のデータを示す。図4に示した例では、資産データは、「X40」といった概念で示しているが、実際には、資産データには、銀行口座に預けられている残高や、収支に関する情報や、負債や、融資の限度額や、保険の契約内容など、個別資産ごとの種々のデータが含まれる。
すなわち、図4では、総資産情報ID「A01」で識別される総資産情報は、ユーザID「U01」で識別されるユーザU01の総資産情報であり、ユーザU01は、端末ID「10」で識別されるユーザ端末10を利用していることを示している。また、総資産情報を構成する個別資産情報としては、例えば、取引先が「銀行40」であり、種別が「銀行口座」であり、その資産データが「X40」であるような個別資産情報であることを示している。
なお、総資産情報は、必ずしも複数の個別資産情報によって構成されることを要しない。例えば、ユーザが一つの銀行口座のみを利用するユーザであれば、1つの個別資産情報によって構成される総資産情報を有することとなる。
(ユーザ情報記憶部122について)
ユーザ情報記憶部122は、ユーザに関する情報を記憶する。ここで、図5に、第1の実施形態に係るユーザ情報記憶部122の一例を示す。図5は、第1の実施形態に係るユーザ情報記憶部122の一例を示す図である。図5に示すように、ユーザ情報記憶部122は、「ユーザID」、「総資産情報ID」、「年収推定」、「公金支払推定」、「可処分所得推定」、「信用度」、「総合ランク」、「サービス」、「個別ランク」といった項目を有する。
「ユーザID」及び「総資産情報ID」は、図4で示した項目に対応する。「年収推定」は、総資産情報に基づき推定されたユーザの年収を示す。「公金支払推定」は、総資産情報に基づき推定されたユーザの公金支払額を示す。「可処分所得推定」は、総資産情報に基づき推定されたユーザの可処分所得の額を示す。なお、図5に示した例では、年収推定等の項目は、「C01」といった概念で示しているが、実際には、年収推定等の項目には、総資産情報における収入額から推定される実際の金額等が記憶される。
「信用度」は、ユーザの信用度を示す。「総合ランク」は、所定のサービスに関するユーザの総合的なランクを示す。例えば、信用度のランクは、1を最少とし10を最大とする10段階の数値で示される。「サービス」は、判定装置100によって個別のサービスに関して信用度が判定される場合の、各サービスの内容を示す。「個別ランク」は、判定装置100によって個別のサービスに関して信用度が判定される場合の、サービスごとの信用度のランクを示す。
すなわち、図5では、ユーザID「U01」によって示されるユーザU01が、総資産情報ID「A01」で示される総資産情報A01を登録している例を示している。そして、総資産情報A01に基づいて推定される年収は「C01」であり、推定される公金支払額は「D01」であり、推定される可処分所得の額は「E01」であることを示している。また、総資産情報A01に基づいて判定されたユーザU01の信用度の総合ランクは「7」であり、個別のサービスとして、「クレジットカード新規契約」に関するユーザU01の信用度は「8」であり、「不動産契約」に関するユーザU01の信用度は「7」であり、「転職オファー」に関するユーザU01の信用度は「6」であることを示している。
なお、図5に示すように、判定装置100は、ユーザの信用度に関して、所定のサービス全体に関する総合的な信用度を判定してもよいし、個別のサービスに関する個別の信用度を判定してもよい。例えば、判定装置100は、年収が比較的高いユーザに対して、「クレジットカード新規契約」に対する信用度は高く判定するものの、当該ユーザの収入と支出のバランスが悪ければ、「不動産契約」に対する信用度は低く判定するなど、個別のサービスの内容に即して信用度を判定することで、よりユーザに適した信用度を判定することができる場合がある。
(コンテンツ記憶部123について)
コンテンツ記憶部123は、コンテンツに関する情報を記憶する。ここで、図6に、第1の実施形態に係るコンテンツ記憶部123の一例を示す。図6は、第1の実施形態に係るコンテンツ記憶部123の一例を示す図である。図6に示すように、コンテンツ記憶部123は、「コンテンツID」、「サービス」、「ターゲティング情報」、「信用度ランク」、「属性情報」、「配信形態」といった項目を有する。
「コンテンツID」は、コンテンツを識別する識別情報を示す。「サービス」は、コンテンツが宣伝するサービスの内容を示す。
「ターゲティング情報」は、コンテンツに設定されたターゲティングの設定情報を示す。「信用度ランク」は、コンテンツに設定された信用度ランクを示す。例えば、判定装置100は、コンテンツの信用度ランク以上の信用度を有するユーザに対して当該コンテンツを判定するようなターゲティング配信を行う。例えば、同様のサービスを宣伝するコンテンツ同士であっても、設定された信用度ランクに応じて、宣伝する内容が変化する場合もありうる。
「属性情報」は、ターゲティングに関する属性情報の設定を示す。図6の例では、属性情報を「G01」のような概念で示しているが、実際には、属性情報の項目には、コンテンツの配信先となるユーザの年齢や、性別や、居住地などの具体的な属性情報が記憶される。判定装置100は、コンテンツに設定された属性情報にマッチングするユーザを配信先として特定して、当該コンテンツを配信する。
「配信形態」は、コンテンツが配信される形態を示す。例えば、配信形態には、ユーザ端末10がウェブページやアプリを表示した際にともに表示される広告枠に配信される形態や(例えば、ウェブページにおけるバナー広告)、プッシュ通知やメールによる通知として配信される形態や、ショッピングサイトのレコメンドとして配信される形態などが含まれる。
すなわち、図6では、コンテンツID「F01」によって示されるコンテンツF01は、サービスとして「クレジットカード新規契約」を宣伝するコンテンツであることを示している。また、コンテンツF01に設定されたターゲティング情報は、信用度ランクが「7」であり、属性情報が「G01」であり、配信形態が「広告」であることを示している。
(制御部130について)
制御部130は、例えば、コントローラ(controller)であり、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、判定装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(生成プログラムの一例に相当)がRAM(Random Access Memory)を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、判定部132と、決定部133と、配信部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部130が有する各処理部の接続関係は、図3に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
(取得部131について)
取得部131は、各種情報を取得する。例えば、取得部131は、ユーザが所有する資産に関する情報を任意に組み合わせた情報である総資産情報を取得する。すなわち、取得部131は、ユーザの総合的な資産に関する情報である総資産情報を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザ端末10から、ユーザが利用している金融機関に関する情報や、ユーザが利用している店舗に関する情報等の登録を受け付けることにより、ユーザの個別の資産情報を取得するとともに、個別の資産情報と総合した情報である総資産情報を取得する。
なお、取得部131は、ユーザ端末10からは、具体的な資産情報ではなく、金融機関等に対するユーザ識別情報や認証情報(個別の金融機関サービスを利用するためのログインに関する情報等)を取得するようにしてもよい。この場合、取得部131は、ユーザ端末10から取得した認証情報等に基づいて、各金融機関から、資産情報を取得する。取得部131は、取得した情報を総資産情報記憶部121に格納する。
(判定部132について)
判定部132は、取得部131によって取得された総資産情報に基づいて、所定のサービスに関するユーザの信用度を判定する。判定部132は、図5に示したように、サービス全体に関する総合的なユーザの信用度を判定してもよいし、サービスごとに個別にユーザの信用度を判定してもよい。
判定部132は、所定のサービスとして、金融サービスに関する信用度を判定する。具体的には、判定部132は、クレジットカード契約の提案や、融資の提案や、不動産契約の提案や、金融投資の提案等の金融サービスに関するユーザの信用度を判定する。
例えば、判定部132は、クレジットカード会社等が提供するサービスであって、クレジットカードの新規発行や、クレジットカードの切り替え、クレジットカードの限度額の変更等のサービスに関するユーザの信用度を判定する。あるいは、判定部132は、金融機関等が提供するサービスであって、学習ローンの提案や、自動車ローンの提案等のサービスに関するユーザの信用度を判定する。あるいは、判定部132は、金融機関等が提供するサービスであって、不動産購入などの住宅ローンの提案や、不動産売却の提案等のサービスに関するユーザの信用度を判定する。あるいは、判定部132は、証券会社等が提供するサービスであって、株式や投資信託の購入などの金融投資の提案等のサービスに関するユーザの信用度を判定する。
また、判定部132は、所定のサービスとして、購買行動への提案又は求職行動への提案の少なくともいずれかのサービスに関するユーザの信用度を算出する。例えば、判定部132は、店舗が提供するサービスであって、ゴルフ会員権の購入や各種商材の購入を提案するサービスに関するユーザの信用度を判定する。あるいは、判定部132は、人材紹介会社等が提供する、転職へのオファーを行うサービスに関するユーザの信用度を判定する。これらの場合、判定部132が判定する信用度とは、各サービスに対するユーザの適性と言い換えてもよい。例えば、判定部132は、総資産情報に基づいて、転職オファーをユーザが受けるべきか否かといった適性を判定する、と言い換えてもよい。
判定部132は、上記のようなサービスに関する信用度について、例えば、総資産情報に基づいてユーザの年収、公金支払額、可処分所得の額の少なくともいずれかを推定し、推定した情報に基づいて、ユーザの信用度を判定する。
例えば、判定部132は、総資産情報における年間の収入の総計から、ユーザの年収を推定する。判定部132は、総資産情報を参照することで、単独の口座等ではなく、ユーザが関係する全ての口座や証券等についてユーザの収入に関する情報を得ることができるため、給与収入による年収のみならず、より正確なユーザの実際の年収の額を推定することができる。例えば、判定部132は、総資産情報を参照することで、給与のみならず、ユーザの不労所得(株式や不動産投資など)を含めた年収を推定することができる。
また、判定部132は、ユーザの公金支払額を推定してもよい。例えば、判定部132は、総資産情報を構成する各口座の支出であって、公金を示す名目の支出を総計することで、ユーザの公金支払額を推定する。また、判定部132は、推定した公金支払額から、ユーザの年収を推定してもよい。例えば、判定部132は、ユーザに適用される税制に基づいて、ユーザの公金支払額からユーザの大体の年収の額を推定することができる。
また、判定部132は、総資産情報におけるユーザの収入や支出に基づいて、ユーザの可処分所得を推定してもよい。例えば、判定部132は、推定した公金支払額をユーザの収入から差し引くこと等により、ユーザの可処分所得を推定してもよい。これにより、判定装置100は、ユーザの年収のみならず、実際にユーザが利用することのできる額を得ることができるため、ユーザの信用度をより的確に判定することができる。なお、判定部132は、ユーザの毎月の公金支払額を除く支出の額を合計することで、ユーザの大体の可処分所得の額を推定してもよい。
判定部132は、ユーザの信用度を判定するにあたっては、所定の判定基準の設定を予め受け付けておいてもよい。例えば、判定部132は、総資産情報の残高に関する判定基準や、収入から支出を差し引いた額に関する判定基準や、毎月の資金の流出入額や、不労所得に関する判定基準等の設定を受け付ける。そして、判定部132は、設定された判定基準に従い、ユーザの信用度を判定する。かかる判定基準は、例えば金融機関等が提供するサービスごとに設定されてもよい。
また、判定部132は、ユーザの信用度を判定するにあたり、総資産情報の推移に関する情報を利用してもよい。例えば、判定部132は、現時点で残高が比較的少ないユーザであっても、収入額が比較的高かったり、収入の毎年の上昇率が高かったり、収入から支出を差し引いた額が比較的高かったりするユーザに関しては、将来的に充分な資産を形成する可能性の高いユーザであるとして、信用度を高く判定してもよい。また、判定部132は、ユーザの信用度の判定と、総資産情報に示される額との関係性について所定の学習モデルを生成し、当該モデルを用いてユーザの信用度を判定してもよい。
そして、判定部132は、判定した信用度に基づいて、ターゲティング設定をユーザに対して行う。すなわち、判定部132は、ユーザに対して判定した信用度をユーザ情報に付与することにより、予めコンテンツに設定されているターゲティング情報とのマッチングを行うことができるよう、ユーザ情報を更新する。
(決定部133について)
決定部133は、判定部132によって判定された信用度に基づいて、ユーザに配信するコンテンツを決定する。具体的には、判定部132は、ユーザに配信するコンテンツとして、所定の金融サービスに関するコンテンツを決定する。
より具体的には、決定部133は、所定の金融サービスに関するコンテンツとして、クレジットカード契約の提案、融資の提案、不動産契約の提案、または、金融投資の提案の少なくとも1つのサービスに関するコンテンツを、ユーザに配信するコンテンツとして決定する。例えば、決定部133は、図5に示すように、クレジットカード新規契約に関するユーザの信用度が高く判定されている場合、クレジットカード新規契約を宣伝したり、新規契約をユーザに促したりする内容のコンテンツがユーザに配信されるよう、コンテンツを決定する。
なお、決定部133は、信用度のランクに応じて、優先的にユーザに配信するコンテンツを決定してもよい。例えば、決定部133は、ユーザの信用度のランクが「7」であり、同様のサービスに関するコンテンツであって、信用度のランクが「7」と「5」のコンテンツがある場合には、信用度のランクがユーザと一致している「7」のコンテンツを優先的に配信する。これは、信用度のランクが近い方が、ユーザに対して適した内容のコンテンツである可能性が高いことによる。
なお、決定部133は、コンテンツを決定するにあたり、信用度のみならず、例えば、属性情報のマッチング等に基づいて、コンテンツを決定してもよい。また、決定部133は、コンテンツが広告である場合、例えば、広告の配信に関する入札額等に基づいて、コンテンツを決定してもよい。このように、決定部133は、既知のターゲティング手法やコンテンツ配信手法に基づいて、配信するコンテンツを決定するようにしてもよい。
(配信部134について)
配信部134は、各種コンテンツを配信する。例えば、配信部134は、決定部133によって決定されたコンテンツをユーザ端末10に配信する。この場合、配信部134は、予めコンテンツに設定された配信形態に適合する配信機会が生じた場合に、決定部133によって決定されたコンテンツをユーザ端末10に配信する。例えば、配信部134は、ユーザ端末10がウェブページを表示し、ウェブページに含まれる広告枠への広告配信機会が生じた場合には、ウェブページに含まれる広告枠に対応する配信形態を有するコンテンツを配信する。
なお、配信部134は、判定装置100からユーザ端末10に直接的にコンテンツを配信せずに、所定の配信サーバを介して、コンテンツを配信してもよい。この場合、配信部134は、所定の配信サーバを制御することにより、ユーザ端末10へコンテンツの配信を実行させる。また、配信部134が配信するコンテンツのデータは、必ずしもコンテンツ記憶部123に格納されていることを要さず、外部のストレージサーバに格納されていてもよい。この場合、配信部134は、コンテンツIDに基づいてユーザ端末10に配信するコンテンツを特定し、当該コンテンツのデータをストレージサーバから取得し、取得したデータをユーザ端末10に配信してもよい。
また、配信部134は、ウェブページのバナー広告や、メール広告や、プッシュ通知や、ウェブページに表示されるレコメンドなど、種々の配信形態に対応させてコンテンツを配信する。
〔4.第1の実施形態に係る処理手順〕
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係る判定装置100による処理の手順について説明する。図7は、第1の実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、取得部131は、ユーザ端末10から総資産情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。取得部131は、総資産情報を取得していない場合(ステップS101;No)、取得するまで待機する。
一方、総資産情報を取得した場合(ステップS101;Yes)、判定部132は、総資産情報に基づいてユーザの信用度を判定する(ステップS102)。
その後、判定部132は、信用度に基づいてユーザのターゲティング設定を行う(ステップS103)。そして、コンテンツの配信機会が生じた場合には、ターゲティングに基づいて決定部133がコンテンツを決定することで、配信部134は、ユーザに即したコンテンツをユーザ端末10に配信する(ステップS104)。
〔5.第1の実施形態の効果〕
上述してきたように、第1の実施形態に係る判定装置100は、取得部131と、判定部132とを有する。取得部131は、ユーザが所有する資産に関する情報を任意に組み合わせた情報である総資産情報を取得する。判定部132は、取得部131によって取得された総資産情報に基づいて、所定のサービスに関するユーザの信用度を判定する。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、ユーザから申告された情報や、ある一つの銀行口座の情報などではなく、ユーザの総資産情報に基づいて、ユーザの信用度を判定する。これにより、判定装置100は、通常では金融機関等の事業者が取得することのない、銀行口座以外の証券口座や店舗ごとのポイントなどの資産情報などを判定要素に含めることができるため、より詳細な資産情報に基づいて、個人の信用度を精度よく判定することができる。
また、判定部132は、所定のサービスごとに、個別にユーザの信用度を判定する。すなわち、第1の実施形態に係る判定装置100は、サービスごとに異なる判定要素を用いて信用度を判定するため、精度よくユーザに対する信用度を判定することができる。
また、判定部132は、所定のサービスとして、金融サービスに関するユーザの信用度を算出する。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、ネットワークを介して提供される種々のサービスのうち、金融に関するサービスに対する信用度を判定する。これにより、判定装置100は、精度よくユーザの信用度を判定することができる。
また、判定部132は、金融サービスとして、クレジットカード契約の提案、融資の提案、不動産契約の提案、又は、金融投資の提案の少なくともいずれか一つのサービスに関するユーザの信用度を算出する。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、種々のサービスに関する信用度を判定する。これにより、判定装置100は、サービスごとに適した信用度を詳細に判定することができる。
また、判定部132は、所定のサービスとして、購買行動への提案又は求職行動への提案の少なくともいずれかのサービスに関するユーザの信用度を算出する。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、金融サービスに限られず、購買に関するサービスや求職に関するサービスに対する信用度を判定してもよい。これにより、判定装置100は、ユーザに即して提供されるサービスの幅を広げることができる。
また、判定部132は、総資産情報に基づいてユーザの年収、公金支払額、可処分所得の額の少なくともいずれか一つを推定し、推定した情報に基づいて、ユーザの信用度を判定する。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、総資産情報から推定される情報を用いてユーザの信用度を判定する。これにより、判定装置100は、通常では得られないユーザの年収等の情報に基づいて信用度を判定できるため、判定処理の精度を向上させることができる。
また、第1の実施形態に係る判定装置100は、判定部132によって判定された信用度に基づいて、ユーザに配信するコンテンツを決定する決定部133をさらに備える。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、判定した信用度を利用してコンテンツの決定処理を行ってもよい。これにより、判定装置100は、ユーザに即したコンテンツを提供することができる。
また、決定部133は、ユーザに配信するコンテンツとして、所定の金融サービスに関するコンテンツを決定する。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、信用度に応じて、例えば、新たな金融サービスを宣伝するようなコンテンツをユーザに配信することを決定する。これにより、判定装置100は、よりユーザに適したコンテンツを配信することができる。
また、決定部133は、所定の金融サービスに関するコンテンツとして、クレジットカード契約の提案、融資の提案、不動産契約の提案、又は、金融投資の提案の少なくともいずれか一つのサービスに関するコンテンツを決定する。
このように、第1の実施形態に係る判定装置100は、種々のコンテンツの中から、ユーザの信用度に応じたコンテンツを決定することができる。このため、判定装置100は、ユーザにとって有用なコンテンツを決定する精度を向上させることができる。
〔6.第2の実施形態〕
上記第1の実施形態では、ユーザ端末10の総資産情報に基づいて、所定の金融サービスに関するユーザの信用度を判定する処理が行われる例を示した。ここで、本願に係る判定装置は、総資産情報を取得していないユーザに対しても、所定の推定処理を行うことによって信用度を判定してもよい。この点について、第2の実施形態として説明する。なお、第1の実施形態と共通する事項については、説明を省略する。
〔7.第2の実施形態に係る判定処理の一例〕
図8を用いて、第2の実施形態に係る判定処理の一例について説明する。図8は、第2の実施形態に係る判定処理の一例を示す図である。図8では、本願に係る生成装置に対応する装置である、第2の実施形態に係る判定装置200によって、総資産情報を取得していないユーザの信用度を推定するためのモデルが生成される処理の一例について説明する。
図8に示す例において、ユーザU01は、第1の実施形態で示したユーザU01に対応するユーザであり、判定装置200に総資産情報を提供する(登録する)ユーザであるものとする。また、ユーザU02は、判定装置200に総資産情報を提供しないユーザであるものとする。なお、ユーザU02は、ユーザ端末11を所有するものとする。
判定装置200は、ユーザU01から総資産情報を取得する(ステップS11)。また、判定装置200は、ユーザ端末10から検出される情報(以下、「端末情報」と表記する場合がある)を取得する(ステップS12)。
端末情報とは、ユーザU01がユーザ端末10を利用するにあたってユーザ端末10に蓄積される情報であり、例えば、ユーザU01がユーザ端末10を操作した履歴である。すなわち、端末情報には、ユーザU01のネットワーク上の行動履歴が含まれる。
より具体的には、端末情報には、ユーザU01が閲覧したウェブサイトの履歴や、ユーザU01が検索サービスに投稿した検索クエリや、ユーザU01がSNS(Social Networking Service)に投稿した記事に関する履歴や、ユーザU01のショッピングサイトやオークションサイトにおける購買行動の履歴等が含まれる。なお、端末情報には、総資産情報の一部に該当する情報が含まれてもよい。例えば、端末情報には、オンラインで決済した光熱水道費の支払い履歴や、支払い額等が含まれてもよい。判定装置200は、取得した端末情報を端末情報記憶部124に格納する。
なお、図示は省略するが、判定装置200は、ユーザU01のみならず、総資産情報を得たユーザの端末情報を適宜取得するものとする。すなわち、判定装置200は、後述するモデルを生成するために充分な量の端末情報を取得するものとする。例えば、判定装置200は、予め設定されたサンプル数(例えば2000ユーザの端末情報など)を閾値として、少なくとも閾値を超える端末情報が取得されるまで、端末情報の取得を継続する。
そして、判定装置200は、ユーザU01を正例として、総資産情報に関する機械学習を行う(ステップS13)。言い換えれば、判定装置200は、ユーザU01を正例とする総資産情報に関するモデルを生成する。判定装置200は、生成したモデルをモデル記憶部125に登録する。
判定装置200が生成するモデルは、例えば、入力を端末情報とし、出力を総資産情報に対応する情報(例えば、総資産情報を指標値として示した値)とする。すなわち、判定装置200が生成するモデルは、ユーザU01の総資産情報に対して、ユーザU01の端末情報がどのような関係性を示すかという、総資産情報と端末情報との関係性を示すモデルとなる。例えば、判定装置200が生成するモデルにユーザU01の端末情報と類似する端末情報が新たに入力された場合には、当該端末情報を有するユーザは、ユーザU01と類似する総資産情報を有すると推定されるような値が出力されることとなる。なお、モデルの生成処理の詳細については後述する。
続いて、判定装置200は、ユーザU02が利用するユーザ端末11から検出される情報を取得する(ステップS14)。すなわち、判定装置200は、ユーザ端末11の端末情報を取得する。
例えば、判定装置200は、ユーザU02に対してコンテンツの配信機会が生じた場合に、ユーザ端末11の端末情報を取得する。具体的には、判定装置200は、ユーザ端末11が広告枠を含む所定のウェブページを表示しようとしたことを契機として、広告配信の要求を判定装置200に送信したタイミングで、ユーザ端末11の端末情報を取得する。
そして、判定装置200は、ステップS13で生成したモデルに、ユーザ端末11の端末情報を入力する。これにより、判定装置200は、モデルを利用することにより、ユーザU02からは取得できていない、ユーザU02の総資産情報を推定するための指標値を出力する。判定装置200は、かかる指標値を利用することで、ユーザU02の総資産情報、さらに、第1の実施形態で説明したような総資産情報から判定されるユーザU02の信用度を推測することができる。
そして、判定装置200は、モデルに基づいて推測される信用度に応じたコンテンツを決定する(ステップS15)。続いて、判定装置200は、信用度に応じて決定されたコンテンツをユーザU02に配信する(ステップS16)。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、ユーザU01が所有する資産に関する情報を任意に組み合わせた情報である総資産情報と、ユーザU01のネットワーク上の行動履歴とを取得する。そして、判定装置200は、取得されたユーザU01の総資産情報とネットワーク上の行動履歴とに基づいて、ユーザU02の総資産情報を推定するモデルを生成する。さらに、判定装置200は、生成されたモデルを用いて、所定のサービスに関するユーザU02の信用度を判定する。
すなわち、第2の実施形態に係る判定装置200は、総資産情報を取得したユーザU01の信用度を判定するのみならず、総資産情報を取得していないユーザU02に対しても、ユーザU01のような正例に基づいて生成したモデルを用いることで、信用度を判定することができる。これにより、判定装置200は、必ずしも全てのユーザから総資産情報を取得しなくとも、個人の信用度を精度よく判定することができる。
〔8.第2の実施形態に係る判定装置の構成〕
次に、図9を用いて、第2の実施形態に係る判定装置200の構成について説明する。図9は、第2の実施形態に係る判定装置200の構成例を示す図である。図9に示すように、判定装置200は、第1の実施形態に係る判定装置100に加えて、生成部135をさらに有する。なお、第1の実施形態で既に説明した各処理部の記載は、第2の実施形態では省略するが、第2の実施形態に係る各処理部は、第1の実施形態で記載した処理についても適宜実行してもよい。また、以下では、ユーザ端末10又はユーザ端末11を区別する必要のないときは、ユーザ端末10とのみ記載する場合がある。
(端末情報記憶部124について)
図10に、第2の実施形態に係る端末情報記憶部124の一例を示す。図10は、第2の実施形態に係る端末情報記憶部124の一例を示す図である。図10に示すように、端末情報記憶部124は、「端末ID」、「ユーザID」、「総資産情報ID」、「行動履歴」、「属性情報」、「公金支払情報」といった項目を有する。
「端末ID」、「ユーザID」、「総資産情報ID」は、図4又は図5で示した項目と同様である。なお、図10に示すように、総資産情報を取得していないユーザU02に関する総資産情報IDの項目は空欄となる。
「行動履歴」は、端末情報の一例であり、ユーザのネットワーク上の行動履歴を示す。図10の例では、行動履歴を「H01」のような概念で示しているが、実際には、行動履歴の項目には、ウェブサイトの閲覧履歴や、検索サーバに対する検索クエリの送信履歴や、SNSの利用履歴や、ショッピングサイトの購買履歴や、オークションサイトの取引履歴等、ユーザがネットワークを介して実行したあらゆる履歴が記憶される。
「属性情報」は、端末情報の一例であり、端末の属性情報を示す。図10の例では、属性情報を「J01」のような概念で示しているが、実際には、属性情報の項目には、端末の製造情報(端末の製造年月日や発売開始日等)や、端末の機種情報(端末のメーカ、ブランド等)や、端末を利用するユーザの年齢や性別や居住地などのユーザ属性等が記憶される。
「公金支払情報」は、端末情報の一例であり、ネットワークを介して支払われた公金の情報を示す。図10の例では、公金支払情報を「K01」のような概念で示しているが、実際には、公金支払情報の項目には、支払いが行われた年月日や、公金の種類(例えば、地方税や、光熱水道費の種別等)や、支払われた額等が記憶される。
すなわち、図10では、ユーザ端末10を利用するユーザU01は、総資産情報A01を判定装置200に登録している例を示している。また、ユーザ端末10の端末情報は、行動履歴が「H01」であり、属性情報が「J01」であり、公金支払情報が「K01」であることを示している。また、ユーザ端末11を利用するユーザU02は、総資産情報を判定装置200に登録していないことを示している。また、ユーザ端末11の端末情報は、行動履歴が「H02」であり、属性情報が「J02」であり、公金支払情報が「K02」であることを示している。
(モデル記憶部125について)
図11に、第2の実施形態に係るモデル記憶部125の一例を示す。図11は、第2の実施形態に係るモデル記憶部125の一例を示す図である。図11に示すように、モデル記憶部125は、「モデルID」、「学習データ」といった項目を有する。
「モデルID」は、モデルを識別する識別情報を示す。「学習データ」は、モデルの生成に用いられたサンプルデータを示す。図11の例では、学習データを「N01」のような概念で示しているが、実際には、学習データの項目には、正例となるユーザ(例えば、ユーザU01)の総資産情報や、端末情報が記憶される。なお、学習データは、正例となるデータを判定装置200が取得する度に更新されてもよい。
すなわち、図11では、モデルID「M01」によって識別されるモデルM01は、学習データ「N01」に基づいて生成された(学習された)モデルであることを示している。
(取得部131について)
第2の実施形態に係る取得部131は、ユーザが所有する資産に関する情報を任意に組み合わせた情報である総資産情報と、ユーザ端末10の端末情報とを取得する。具体的には、取得部131は、端末情報として、ユーザ端末10を利用するユーザのネットワーク上の行動履歴を取得する。
例えば、取得部131は、ユーザのネットワーク上の行動履歴として、所定のサービスページをユーザが閲覧した履歴を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザが閲覧したウェブサイトの履歴を取得する。この場合、取得部131は、ウェブサイトのカテゴリ(例えば、ニュースサイトや、ショッピングサイトや、株式情報サイトなど)別に履歴を取得し、ユーザがどのようなカテゴリのサイトを頻繁に閲覧するかといった傾向を示す情報を取得してもよい。言い換えれば、取得部131は、ウェブサイトの閲覧履歴から、ユーザの興味関心に関する情報を取得する。
また、取得部131は、ユーザのネットワーク上の行動履歴として、所定のサービスページにユーザから送信された情報を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザが検索サービスに送信した検索クエリに関する情報を取得する。例えば、取得部131は、送信した検索クエリが示す辞書的情報の類似性や、送信する検索クエリの頻度等に基づいて、ユーザがどのような意味の検索クエリを頻繁に送信するかといった傾向を示す情報を取得してもよい。言い換えれば、取得部131は、検索クエリの送信履歴から、ユーザの興味関心に関する情報を取得する。
また、取得部131は、ユーザが利用するSNSに関する情報を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザからSNSに投稿された最新記事の内容(いわゆるタイムラインに表示される記事の内容)、ユーザからSNSに投稿された画像数、SNS上において関係性を有するユーザ数の少なくともいずれかを取得する。
例えば、取得部131は、ユーザからSNSに投稿された最新記事のテキストデータに含まれる単語の傾向を取得する。これにより、取得部131は、ユーザが興味関心を有する事象に関する情報を取得する。あるいは、取得部131は、SNSに投稿された画像数や、SNS上において関係性を有するユーザ、すなわち、SNS上においてつながりを有するユーザ数(例えば、友人の数やフォロワーの数)を取得することで、どのような資産を有するユーザが、ネットワーク上においてどのような社会的関係を構築しているか、といったことを推測する要素となる情報を取得する。
また、取得部131は、ユーザがネットワークを介して支払った公金に関する情報を取得する。具体的には、取得部131は、ユーザがネットワークを介して支払った税金や、光熱水道費の額を取得する。例えば、判定装置200は、公金に関する情報と総資産情報との関係性から、総資産情報を有していないユーザに対する信用度の判定処理について、信用度を推定するための要素、すなわち、モデル生成のための素性を得ることができる。取得部131は、取得した情報を、適宜、端末情報記憶部124に格納する。
(生成部135について)
生成部135は、取得部131によって取得された第1のユーザ(図8の例では、ユーザU01)の総資産情報とネットワーク上の行動履歴とに基づいて、第2のユーザ(図8の例では、ユーザU02)の資産に関する情報を推定するモデルを生成する。例えば、生成部135は、第2のユーザの総資産情報を推定するモデルを生成する。
すなわち、生成部135は、第2のユーザの端末情報を入力とし、第2のユーザの総資産情報を示す指標値を出力するモデルを生成する。なお、モデルが出力する情報は、総資産情報を示す指標値に限定されず、例えば生成部135は、第2のユーザの端末情報を入力とし、第2のユーザの信用度を出力するモデルを生成してもよい。また、モデルの算出式についても、既知の様々な算出式が用いられてもよい。
例えば、生成部135は、総資産情報を示す所定の指標値を機械学習における目的変数とし、端末情報を構成する各情報を機械学習における説明変数とする。そして、生成部135は、目的変数と説明変数とを用いて、総資産情報と端末情報の関係性を示すモデルを生成する。
生成部135は、種々の説明変数を用いてモデルを生成する。例えば、生成部135は、第1のユーザが送信した検索クエリに関する情報と、第2のユーザが送信した検索クエリに関する情報との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成する。
すなわち、生成部135は、第1のユーザが所定期間内に数回以上送信するクエリのカテゴリ等に基づいて、第1のユーザが送信する検索クエリの傾向を捉える。検索クエリは、第1のユーザが興味関心を有する事象を示す要素となりうる。そして、検索クエリに関して第1のユーザに類似する傾向にある第2のユーザについても、第1のユーザと同じような事象に興味関心を有するユーザであり、収入や支出についても、第1のユーザと同じような傾向を示すと想定される。このことから、生成部135は、第1のユーザが送信した検索クエリに関する情報と、第2のユーザが送信した検索クエリに関する情報との関係性に基づいて、第2のユーザに関する総資産情報を推定するモデル、言い換えれば、第2のユーザの信用度を推定するモデルを生成することができる。このことは、ウェブサイトの閲覧履歴や、後述するSNSに関する情報等についても、同様のことがいえる。
また、生成部135は、第1のユーザが利用するSNSに関する情報と、第2のユーザが利用するSNSに関する情報との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成する。
具体的には、生成部135は、第1のユーザのSNSにおける最新記事の内容、画像数、関係性を有するユーザ数と、第2のユーザのSNSにおける最新記事の内容、画像数、関係性を有するユーザ数との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成する。また、生成部135は、第1のユーザの総資産情報に基づく公金の支払に関する情報と、第2のユーザが支払った公金に関する情報との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成してもよい。生成部135は、第1のユーザが利用する端末及び第2のユーザが利用する端末から取得可能な端末情報を、適宜組み合わせて、最適化されたモデルを生成するようにしてもよい。
下記に、生成部135が生成するモデルの一例を説明する。なお、生成部135が生成するモデルに関する学習手法は、下記の例に限らず、種々の既知の機械学習の手法が採用されてもよい。
例えば、生成部135は、第1のユーザの総資産情報を示す指標値(あるいは、第1のユーザの信用度)と、端末情報との関係を示す式を生成する。さらに、生成部135は、ユーザ端末10の端末情報から抽出される個々の特徴情報が、第1のユーザの総資産情報に対して、どのような重みを有するかを算出する。これにより、生成部135は、総資産情報に対して、個々の特徴情報がどのくらい寄与するのかといった情報を得ることができる。例えば、生成部135は、下記式(1)を作成する。
y(A01) = ω1・x1 + ω2・x2 + ω3・x3 ・・・+ ωN・xN ・・・(1)(Nは任意の数)
上記式(1)は、例えば、総資産情報A01に対応して作成される式である。上記式(1)において、「y(A01)」は、総資産情報を示す指標値を示す。
また、上記式(1)において、「x」は、総資産情報A01を有するユーザ(図8の例では、ユーザU01)の端末情報の各説明変数に対応する。例えば、上記式(1)における「x1、x2、x3、・・・、xN」という説明変数は、ウェブサイトの閲覧履歴や、検索クエリの送信履歴や、SNSに関する情報や、購買履歴等が該当する。すなわち、上記式(1)の右辺は、ユーザ端末10の端末情報から抽出された特徴情報に対応する。
また、上記式(1)において、「ω」は、「x」の係数であり、所定の重み値を示す。具体的には、「ω1」は、「x1」の重み値であり、「ω2」は、「x2」の重み値であり、「ω3」は、「x3」の重み値である。このように、上記式(1)は、端末情報から抽出された特徴情報に対応する説明変数「x」と、所定の重み値「ω」とを含む変数(例えば、「ω1・x1」)を組合せることにより作成される。
例えば、上記式(1)において、仮に、「x1」が「ウェブサイトの閲覧履歴」に対応し、「x2」が「検索クエリの送信履歴」に対応し、「x3」が「SNSに関する情報」に対応する説明変数であるとする。この場合、ユーザU01に対応する上記式(1)は、以下の式(2)のように表すことができる。
y(A01、U01)(= 1) = ω1・(ウェブサイトの閲覧履歴) + ω2・(検索クエリの送信履歴) + ω3・(SNSに関する情報) + ωN・xN ・・・(2)
上記式(2)のような式を利用して、生成部135は、ユーザU01のみならず、モデル生成に充分な量の端末情報と総資産情報との関係式を作成し、機械学習を行うことにより、端末情報と総資産情報との関係性を示すモデルを生成する。例えば、上記の学習を経て、検索クエリの送信履歴と、総資産情報との関連性について重み値が大きくなる場合には、ウェブサイトの閲覧履歴や、SNSに関する情報に比べて、検索クエリの送信履歴が類似するユーザ同士ほど、総資産情報に類似性を有するユーザ同士であると判定される。
なお、生成部135は、モデル生成のための式に代入可能なように総資産情報を正規化して指標値として表すなど、既知の様々な手法を用いてモデルを生成するようにしてもよい。また、生成部135は、モデルを生成した後に、取得部131が新たな端末情報を取得した場合には、随時、モデルを更新してもよい。また、生成部135は、第2のユーザの資産に関する情報として、総資産情報のみならず、総資産情報を構成する第2のユーザの個々の資産情報を推定するモデルを生成してもよい。また、生成部135は、上記と同様の手法に従い、第2のユーザの資産に関する情報として、資産情報のみならず、第2のユーザの信用度を推定する(判定する)ためのモデルを生成してもよい。
(判定部132について)
第2の実施形態に係る判定部132は、生成部135によって生成されたモデルを用いて、所定のサービスに関する第2のユーザの信用度を判定する。すなわち、判定部132は、総資産情報を取得していない第2のユーザに対しても、総資産情報を取得している第1のユーザと同様に、信用度を判定することができる。
〔9.第2の実施形態に係る処理手順〕
次に、図12を用いて、第2の実施形態に係る判定装置200による処理の手順について説明する。図12は、第2の実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(1)である。
図12に示すように、取得部131は、ユーザ端末10から端末情報を取得したか否かを判定する(ステップS201)。取得部131は、端末情報を取得していない場合(ステップS201;No)、取得するまで待機する。
一方、端末情報を取得した場合(ステップS201;Yes)、取得部131は、取得した端末情報を端末情報記憶部124に格納し、蓄積する(ステップS202)。
生成部135は、モデル生成のために充分なデータ量が蓄積されたか否かを判定する(ステップS203)。充分なデータ量が蓄積されていない場合(ステップS203;No)、取得部131は、端末情報を取得する処理を継続する。
一方、充分なデータ量が蓄積された場合(ステップS203;Yes)、生成部135は、総資産情報と端末情報とに基づいてモデルを生成する(ステップS204)。そして、生成部135は、生成したモデルをモデル記憶部125に登録する(ステップS205)。
次に、図13を用いて、第2の実施形態に係る判定装置200が、モデルを用いた判定処理を行う手順について説明する。図13は、第2の実施形態に係る処理手順を示すフローチャート(2)である。
図13に示すように、取得部131は、ユーザ端末10から新たな端末情報を取得したか否かを判定する(ステップS301)。取得部131は、端末情報を取得していない場合(ステップS301;No)、取得するまで待機する。
一方、端末情報を取得した場合(ステップS301;Yes)、判定部132は、端末情報を生成部135が生成したモデルに入力する(ステップS302)。そして、判定部132は、出力される値に基づいて、新たなユーザの信用度を判定する(ステップS303)。
続いて、決定部133は、判定された信用度に基づいてコンテンツを決定する(ステップS304)。そして、配信部134は、決定したコンテンツをユーザ端末10に配信する(ステップS305)。
〔10.第2の実施形態の効果〕
上述してきたように、第2の実施形態に係る判定装置200(本願に係る生成装置に対応する)は、取得部131と、生成部135とを有する。取得部131は、第1のユーザが所有する資産に関する情報を任意に組み合わせた情報である総資産情報と、第1のユーザのネットワーク上の行動履歴とを取得する。生成部135は、取得部131によって取得された第1のユーザの総資産情報とネットワーク上の行動履歴とに基づいて、第2のユーザの資産に関する情報を推定するモデルを生成する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、第1のユーザの行動履歴と総資産情報との関係性に基づいてモデルを生成する。これにより、判定装置200は、行動履歴を取得しさえすれば、総資産情報を取得していなくとも、第2のユーザの資産に関する情報を推定することができる。このため、判定装置200は、個人の信用度を精度よく判定することができる。
また、生成部135は、第2のユーザのネットワーク上の行動履歴を入力することで、第2のユーザの総資産情報を推定するモデルを生成する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、資産に関する情報として、総資産情報を推定するモデルを生成する。これにより、判定装置200は、資産情報が明らかでない第2のユーザに対しても、総資産情報を推定することができる。
また、第2の実施形態に係る判定装置200は、生成部135によって生成されたモデルを用いて、所定のサービスに関する第2のユーザの信用度を判定する判定部133をさらに備える。
すなわち、第2の実施形態に係る判定装置200は、総資産情報を取得していない第2のユーザに対しても、第1のユーザのような正例に基づいて生成したモデルを用いることで、信用度を判定することができる。これにより、判定装置200は、必ずしも全てのユーザから総資産情報を取得しなくとも、個人の信用度を精度よく判定することができる。
また、取得部131は、ネットワーク上の行動履歴として、所定のサービスページの閲覧履歴を取得する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、所定のサービスページ(例えば、ウェブページや、ニュースアプリや情報提供アプリが提供するページなど)をユーザが閲覧した履歴に基づいてモデルを生成してもよい。一般に、ネットワーク上におけるサービスページの閲覧履歴は、そのユーザの興味関心を表し、また、ユーザの興味関心は、そのユーザが有する資産によって一定の類似する傾向を持つ。このため、判定装置200は、サービスページの閲覧履歴を要素として取得することにより、総資産情報が類似するユーザを精度よく抽出できるモデルを生成することができる。
また、取得部131は、ネットワーク上の行動履歴として、所定のサービスページに第1のユーザ又は第2のユーザから送信された情報を取得する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、所定のサービスページの閲覧履歴のみならず、ユーザがサービスページに対して送信した情報を取得してもよい。ユーザがサービスページに対して送信した情報も、そのユーザの興味関心を示す情報となりうる。このような情報を取得することにより、判定装置200は、総資産情報が類似するユーザを精度よく抽出できるモデルを生成することができる。
また、取得部131は、第1のユーザ又は第2のユーザが検索サービスに送信した検索クエリに関する情報を取得する。生成部135は、第1のユーザが送信した検索クエリに関する情報と、第2のユーザが送信した検索クエリに関する情報との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、ユーザが送信した検索クエリに関する情報を取得する。上述のように、ユーザが送信する検索クエリは、そのユーザの興味関心をより具体的に表現するものといえる。そして、判定装置200は、検索クエリをモデル生成の要素に用いることにより、総資産情報が類似するユーザをより高い精度で抽出するモデルを生成できる。
また、取得部131は、第1のユーザ又は第2のユーザが利用するSNSに関する情報を取得する。生成部135は、第1のユーザが利用するSNSに関する情報と、第2のユーザが利用するSNSに関する情報との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、ユーザが利用するSNSに関する情報を取得してもよい。SNSには、ユーザが日々の生活の中で興味を持ったり、自身が行動したりした結果を記録としてアップロードされるため、SNSに保持される情報は、そのユーザの特徴を示す情報となりうる。そして、生活や行動に類似性を有するユーザ同士は、収入や支出が類似する傾向にある可能性が高いと想定される。このため、判定装置200は、SNSに関する情報をモデルの素性として利用することで、総資産情報が類似するユーザをより高い精度で抽出するモデルを生成できる。
また、取得部131は、第1のユーザ又は第2のユーザからSNSに投稿された最新記事の内容、SNSに投稿された画像数、SNS上において関係性を有するユーザ数の少なくともいずれかを取得する。生成部135は、第1のユーザのSNSにおける最新記事の内容、画像数、関係性を有するユーザ数と、第2のユーザのSNSにおける最新記事の内容、画像数、関係性を有するユーザ数との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、より具体的なSNSに関する情報を取得してもよい。判定装置200は、具体的な情報同士をモデルの素性とすることにより、より高い精度を有するモデルを生成することができる。
また、取得部131は、第1のユーザ又は第2のユーザがネットワークを介して支払った公金に関する情報を取得する。生成部135は、第1のユーザの総資産情報に基づく公金の支払に関する情報と、第2のユーザが支払った公金に関する情報との関係性に基づいて、第2のユーザに関する信用度を推定するモデルを生成する。
このように、第2の実施形態に係る判定装置200は、公金支払の情報が得られる場合には、かかる情報を用いてモデルを生成してもよい。例えば、税金や光熱水道費の支払い額が類似するユーザ同士は、総資産情報に関しても類似する傾向にあると想定される。このため、判定装置200は、このような具体的な数値をモデルの素性とすることにより、より高い精度を有するモデルを生成することができる。
〔11.変形例〕
上述した判定装置100(判定装置200も同様)は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、実施形態の変形例について説明する。
〔11−1.信用度の利用〕
上記実施形態では、判定装置100は、ユーザの信用度に基づいてコンテンツのターゲティングを行い、コンテンツを配信する例を示した。しかし、判定装置100が判定する信用度は、他の用途に利用されてもよい。
例えば、判定装置100は、ユーザに対して判定した信用度を銀行や証券会社やクレジットカード会社等に提供してもよい。そして、銀行や証券会社やクレジットカード会社等は、信用度に基づいて業務を遂行してもよい。例えば、クレジットカード会社は、ユーザの信用度を、カード発行時点の与信判定等に利用してもよい。
〔11−2.正解データの利用〕
上記実施形態では、判定装置100は、総資産情報に基づいて、ユーザの年収や公金支払額や可処分所得を推定する例を示した。この場合、判定装置100は、所定数のユーザに関して年収や公金支払額や可処分所得の正解データが得られるのであれば、正解データを利用したモデルを生成してもよい。
この場合、判定装置100は、正解データに基づいて、総資産情報を入力として、当該総資産情報に対応するユーザの年収や公金支払額や可処分所得を出力するモデルを生成する。このようなモデル(学習処理)を利用することにより、判定装置100は、精度よくユーザの年収や公金支払額や可処分所得を推定することができる。
〔11−3.総資産情報の推定〕
判定装置200は、総資産情報を推定するモデルの生成にあたり、種々の情報を利用してもよい。例えば、判定装置200は、ユーザから送信される検索クエリ等のみならず、例えば、ユーザの性別や年齢や居住地などの属性情報を利用してもよい。
〔12.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る判定装置100(判定装置200も同様)やユーザ端末10は、例えば図14に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、判定装置100を例に挙げて説明する。図14は、判定装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を記憶する。
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を記憶する。通信インターフェイス1500は、通信網500(図2に示したネットワークNに対応)を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網500を介して他の機器へ送信する。
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に記憶されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
例えば、コンピュータ1000が第1の実施形態に係る判定装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部120内のデータが記憶される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から通信網500を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
〔13.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、図3に示した判定部132と、決定部133とは統合されてもよい。また、例えば、記憶部120に記憶される情報は、ネットワークNを介して、外部に備えられた記憶装置に記憶されてもよい。
また、例えば、上記実施形態では、判定装置100が、ユーザ端末10の総資産情報を取得する取得処理と、信用度を判定する判定処理とを行う例を示した。しかし、上述した判定装置100は、取得処理を行う取得装置と、判定処理を行う判定装置とに分離されてもよい。この場合、取得装置は、取得部131を少なくとも有する。判定装置は、判定部132を少なくとも有する。この場合、第1の実施形態に係る判定装置100による処理は、取得装置と、判定装置といった各装置を含む判定システム1によって実現される。
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。