JP6489210B2 - (メタ)アクリル系樹脂組成物、樹脂成形体、樹脂積層体及び(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2016年3月24日に、日本出願された特願2016−059809号、2016年3月31日に、日本出願された特願2016−070516号、2016年4月18日に、日本出願された特願2016−082736号、2016年4月19日に、日本出願された特願2016−083664号、2017年2月2日に、日本出願された特願2017−017218号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
通常、(メタ)アクリル系樹脂に難燃性を付与するために難燃剤を添加すると、透明性や耐熱性が低下するという問題があった。そこで、これを損なわずに、難燃性を付与する検討が行われてきた。
例えば、特許文献1には、脂環式炭化水素基を側鎖に有する単量体を含有したメタクリル樹脂とハロゲン化リン酸エステルからなる難燃性メタクリル樹脂板が提案されており、実施例には脂環式炭化水素基を側鎖に有する単量体としてジシクロペンタニルメタクリレートが開示されている。
また、特許文献2及び特許文献3には、メチルメタクリレートとイソボルニル(メタ)アクリレートを含有する(メタ)アクリル系重合体と、難燃剤としてリン系化合物を含有する難燃性メタクリル樹脂板が提案されている。
特許文献2に記載のメタクリル樹脂板では、難燃性が向上するものの、樹脂板の耐熱性は十分ではない。
さらに、特許文献3に記載のメタクリル樹脂板では、難燃性と耐熱性を両立することが可能であったが、ある特定の製造方法において難燃剤として用いたリン系化合物が、メタクリル樹脂板中で凝集する場合があり、そのために、難燃性に優れた樹脂板を安定に製造できないことがあった。
このような状況において、(メタ)アクリル系樹脂の特徴である耐熱性を損なわずに、高い難燃性を有する樹脂成形体、及び前記樹脂成形体を製造するための(メタ)アクリル系樹脂組成物、前記(メタ)アクリル系樹脂組成物を安定に製造する技術が求められていた。
また、自動車用部品、照明用品、各種パネル等の用途では、高い難燃性に加え、耐衝撃性や耐擦傷性を求められることがあった。
本発明の第二の目的は、上記の(メタ)アクリル系樹脂組成物を安定に製造する方法を提供することにある。
本発明の第三の目的は、高い難燃性を有し、さらに高い耐衝撃性を有する樹脂成形体及び前記樹脂成形体を製造するための(メタ)アクリル系樹脂組成物を提供することにある。
本発明の第四の目的は、高い難燃性を有し、さらに高い耐擦傷性を有する樹脂成形体及び前記樹脂成形体を製造するための(メタ)アクリル系樹脂組成物を提供することにある。
[1] (メタ)アクリル系重合体(P)、リン系難燃剤(C)及び両親媒性化合物(E)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、
前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位を含む重合体であり、
前記(メタ)アクリル系樹脂組成物中における、前記リン系難燃剤(C)の分散粒子径が0.8μm以下であり、
前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、前記リン系難燃剤(C)を、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、5.0質量部以上35.0質量部以下を含有し、且つ、JIS K 6911−1995の耐燃性試験A法において3分以内で自消する難燃性を有し、前記リン系難燃性剤(C)が、リン酸エステル及びホスホン酸エステルから選ばれる少なくとも1種であり、前記両親媒性化合物(E)が、陰イオン系界面活性剤である、(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[2] 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、両親媒性化合物(E)0.01質量部超2.0質量部以下を含有する、[1]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[3] 前記陰イオン系界面活性剤が、アルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩である、[2]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[4] 前記アルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩が、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである、[3]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[5] 前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、(メタ)アクリル系重合体(P)の総質量に対し、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位19.95質量%以上84.95質量%以下と、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位3.6質量%以上80.0質量%以下を含む重合体である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[6] 前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位として、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するメタクリル酸エステル(M1)由来の繰り返し単位と、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するアクリル酸エステル(M2)由来の繰り返し単位とを含み、且つ、
前記メタクリル酸エステル(M1)由来の繰り返し単位10.0質量%以上79.5質量%以下、及び、
前記アクリル酸エステル(M2)由来の繰り返し単位0.50質量%以上20.0質量%以下を含む、[5]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[7] 前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、(メタ)アクリル系重合体(P)の総質量に対し、分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体(B)由来の構造単位0.05質量%以上0.40質量%以下を含む重合体である、[5]または[6]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[8] 下記の測定方法1で測定した、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物のピークの半値幅が26℃以下である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
<測定方法1>
発生ガス分析測定装置(EGA−MS)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物2mgを、ヘリウム雰囲気下(流速20ml/分)、昇温速度10℃/分にて、分解生成物の発生気体の質量分析を行ない、得られた温度−クロマトグラム曲線における、分解生成物のピークの半値幅を求める。
[9] 下記の測定方法2で得られた前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度及び前記リン系難燃剤(C)の分解生成物の発生温度が、下記式(1)をみたす、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
|Tm−Tc|≦40 ・・・(1)
Tc:リン系難燃剤(C)分解生成物の発生温度(単位:℃)
Tm:(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度(単位:℃)
<測定方法2>
発生ガス分析測定装置(EGA−MS)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物2mgを、ヘリウム雰囲気下(流速20ml/分)、昇温速度10℃/分にて、分解生成物の発生気体の質量分析を行ない、得られた温度−クロマトグラム曲線における、分解生成物の発生温度を求める。
[10] 前記測定方法2で得られた前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度及び前記メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度が、下記式(2)をみたす、[9]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
100≦Ta−Tm ・・・(2)
Ta:メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度(単位:℃)
[11] 前記半値幅が21℃以下である、[8]〜[10]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[12] 固体NMR測定装置でスピンロック交差分極法により観測した緩和スペクトルのMC(τ)とMP(τ)を用いて下記式(a)より計算される値D1(%)について、スピンロック時間τ=30msecにおける値D1(%)が6.0(%)以下である、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
D1(%)=|MC(τ)−MP(τ)|/MC(τ)×100・・・(a)
MC(τ):下記(A)及び(B)の値の平均値
(A)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
(B)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
MP(τ):スピンロック時間τsecにおける31P核緩和スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける31P核スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積で除した値。
[13] 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物において前記式(a)より計算される値D1(%)について、スピンロック時間τ=16msec、20msec、25msec、30msecにおける各々の値D1(%)の平均値D2(%)が7.0%以下である、[12]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[14] 前記リン酸エステル及びホスホン酸エステルの重量平均分子量が200以上500以下である、[12]又は[13]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[15] 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、下記に記載の多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又はアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類の耐衝撃向上剤(D)を含む、[1]〜[14]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
多重構造アクリル系共重合体粒子(D1):架橋構造を有するゴム状共重合体を含むエラストマー粒子(d1−1)の表面に、硬質樹脂層(d1−2)が形成された構造を有する多重構造アクリル系共重合体粒子。
アクリル系ブロック共重合体(D2):メタクリル酸エステル重合ブロック(d2−1)10質量%以上60質量%以下とアクリル酸エステル重合ブロック(d2−2)40質量%以上90質量%以下とを有するブロック共重合体。
[16] 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、前記耐衝撃向上剤(D)を2.0質量部以上50質量部以下含む、[15]記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[17] 前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)において、前記エラストマー粒子(d1−1)を構成するゴム状共重合体がアクリル酸アルキルエステルを主成分とする(共)重合体からなり、前記硬質樹脂層(d1−2)がメタクリル酸エステルを主成分とする(共)重合体を含む、[16]記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
[18] [1]〜[17]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる、樹脂成形体。
[19] [18]に記載の樹脂成形体の少なくとも一方の表面に硬化被膜(F)を備えた、シート状の樹脂積層体であって、
前記硬化被膜(F)が、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体(F1)と、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体(F2)を含有する硬化性組成物(f)の硬化物からなる、樹脂積層体。
[20] 前記硬化性組成物(f)が前記多官能単量体(F1)50質量%以上80質量%以下と、前記多官能単量体(F2)20質量%以上50質量%以下を含有する、[19]に記載の樹脂積層体。
[21] [1]〜[14]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、下記の工程1と工程2を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
工程1:芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル(M)単量体を含む単量体組成物(X1)と両親媒性化合物(E)を含有する混合物(X2)に、リン系難燃剤(C)を添加して重合性組成物(X3)を得る工程。
工程2:前記重合性組成物(X3)を重合する工程。
[22] [21]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、前記工程1において、前記混合物(X2)が、両親媒性化合物(E)と、多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又はアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類の耐衝撃向上剤(D)を含有する、(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
多重構造アクリル系共重合体粒子(D1):架橋構造を有するゴム状共重合体を含むエラストマー粒子(d1−1)の表面に、硬質樹脂層(d1−2)が形成された構造を有する多重構造アクリル系共重合体粒子。
アクリル系ブロック共重合体(D2):メタクリル酸エステル重合ブロック(d2−1)10質量%以上60質量%以下とアクリル酸エステル重合ブロック(d2−2)40質量%以上90質量%以下とを有するブロック共重合体。
[23] 前記単量体組成物(X1)が、単量体組成物(X1)の総質量に対し、メタクリル酸メチル単量体19.95質量%以上84.95質量%以下と、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)3.6質量%以上80.0質量%以下を含む、[21]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
[24] 前記単量体組成物(X1)が、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)として、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するメタクリル酸エステル(M1)と、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するアクリル酸エステル(M2)とを含み、且つ、
前記メタクリル酸エステル(M1)が10.0質量%以上79.5質量%以下、
前記アクリル酸エステル(M2)が0.50質量%以上20.0質量%以下である、[23]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
[25] 前記単量体組成物(X1)が、分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体(B)0.05質量%以上0.40質量%以下を含む、[23]または[24]に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
[26] 前記単量体組成物(X1)が、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位を含む重合体(P1)を予め含む、[21]〜[25]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
[27] 前記重合性組成物(X3)が、前記単量体組成物(X1)を100質量部として、前記リン系難燃剤(C)を5.0質量部以上35.0質量部以下と、前記両親媒性化合物(E)0.01質量部以上2.0質量部以下を含有する、[21]〜[26]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
また、本発明により、高い難燃性と高い耐衝撃性を有する(メタ)アクリル系樹脂組成物、及び前記(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体を安定に提供することができる。
また、本発明により、高い難燃性と高い耐擦傷性を有する(メタ)アクリル系樹脂組成物、及び前記(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる樹脂成形体を安定に提供することができる。このような樹脂成形体は、看板等の高い難燃性が要求される用途に好適である。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の実施態様の一例として、後述する(メタ)アクリル系重合体(P)と後述するリン系難燃剤(C)及び後述する両親媒性化合物(E)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、(メタ)アクリル系樹脂組成物が、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、リン系難燃剤(C)を5.0質量部以上35.0質量部以下と、後述する両親媒性化合物(E)を0.01質量部以上2.0質量部以下とを含有し、且つ、JIS K 6911−1995の耐燃性試験A法において3分以内で自消する難燃性を有する(メタ)アクリル系樹脂組成物である。
前記(メタ)アクリル系重合体(P)は、後述する(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位を含む重合体とすることができる。
本発明では、樹脂成形体の難燃性を高めるために、(メタ)アクリル系樹脂組成物がリン系難燃剤を構成成分の一つとして含むことが好ましい。
リン系難燃剤の分散粒子径の上限は、特に制限されるものではないが、樹脂成形体の難燃性が良好となることから0.8μm以下とすることが好ましく、0.1μm以下がより好ましく、0.05μm以下がさらに好ましい。分散粒子径の下限は、特に制限されるものではなく、分散粒子径は小さいほど好ましい。
リン系難燃剤(C)の分散粒子径を制御する方法としては、例えば、前記両親媒性化合物の種類又は含有量、若しくは前記(メタ)アクリル酸エステル(M)の種類、並びに後述する(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法において記載する両親媒性化合物(E)とリン系難燃剤(C)を添加するタイミングを調整することが挙げられる。
なお、前記分散粒子径は、後述する分散粒子径の測定方法により得ることができる。
モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、メチルアッシドホスフェート、エチルアッシドホスフェート、ブチルアッシドホスフェート、ジブチルホスフェート、トリメチルフォスフェート(TMP)、トリエチルフォスフェート(TEP)、トリフェニルフォスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)等の芳香族リン酸エステル、およびそれらの誘導体化合物や、それらの縮合物。
オキシ塩化リンと二価のフェノール系化合物、及びフェノール(またはアルキルフェノール)との反応生成物。例えばレゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステル、およびそれらの誘導体化合物や、それらの縮合物。
難燃性向上効果を有するリン系難燃剤(C)と、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位及び後述する単量体(B)由来の構造単位との相乗効果により、樹脂成形体の難燃性を向上できる。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂組成物は、両親媒性化合物(E)を構成成分の1つとして含む。両親媒性化合物(E)を含むことにより、リン系難燃剤(C)の凝集粒子は抑制され、難燃性に優れた(メタ)アクリル系樹脂組成物を得ることができる。
ここで両親媒性化合物とは、1つの分子内に「親水基」と「疎水基(親油基)」の両方を持つ化合物のことをいう。ここで、「親水基」とは、後述する(メタ)アクリル系重合体(P)よりもリン系難燃剤(C)に対して高い親和性を有する部位のことをいい、「疎水基(親油基)」とはリン系難燃剤(C)よりも前記(メタ)アクリル系重合体(P)に対して高い親和性を有する部位のことをいう。
両親媒性化合物を含むことにより、樹脂成形体の難燃性が優れたものとなる理由は定かでないが、両親媒性化合物の親水基の部位がリン系難燃剤(C)に配位しやく、疎水基(親油基)の部位が(メタ)アクリル系重合体(P)に配位しやすいため、リン系難燃剤(C)が凝集粒子を形成せず、樹脂組成物に均一に微分散又は溶解しやすくなるためと推察される。
両親媒性化合物(E)の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、リン系難燃剤(C)が凝集粒子を形成せず、樹脂成形体の難燃性が良好となることから、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上がさらに好ましい。両親媒性化合物(E)の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、樹脂成形体の難燃性を良好に維持できることから、2.0質量部以下が好ましく、0.6質量部以下がより好ましく、0.3質量部以下がさらに好ましい。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂組成物は、下記の(メタ)アクリル系重合体(P)を構成成分の1つとして含む。前記(メタ)アクリル系重合体(P)を構成成分の1つとして含むことにより、後述する他の構成成分との相乗効果により、耐熱性と難燃性に優れた(メタ)アクリル系樹脂成形体を得ることが可能となる。
(メタ)アクリル系重合体(P)が(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位を含むことにより、樹脂成形体の難燃性が向上するとともに、上述した両親媒性物質(E)の作用により、リン系難燃剤(C)が凝集粒子を形成することを抑制できる。
(メタ)アクリル系重合体(P)がメタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を含むことで、樹脂成形体の耐熱性及び耐侯性に優れ、且つ、機械的強度、熱的性質、成形加工性をより優れたものとできる。
(メタ)アクリル系重合体(P)が、単量体(B)由来の構造単位を含むことで、樹脂成形体の難燃性、耐熱性、機械的特性をより優れたものとできる。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル(M)とは、芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有する単官能の(メタ)アクリル酸エステルである。(メタ)アクリル酸エステル(M)を含有することにより、樹脂成形体の難燃性は良好となる。
発生ガス分析測定装置(EGA−MS)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物2mgを、ヘリウム雰囲気下(流速20ml/分)、昇温速度10℃/分にて、分解生成物の発生気体の質量分析を行ない、得られた温度−クロマトグラム曲線における、分解生成物のピークの半値幅を求める。
|Tm−Tc|の上限は40以下であれば樹脂成形体の難燃性が良好となることから好ましく、20以下とすることがより好ましく、10以下とすることがさらに好ましい。|Tm−Tc|の下限は特に制限されるものではないが、0を超えていればよい。
|Tm−Tc|≦40 ・・・(1)
Tc:リン系難燃剤(C)分解生成物の発生温度(単位:℃)
Tm:(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度(単位:℃)
発生ガス分析測定装置(EGA−MS)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物2mgを、ヘリウム雰囲気下(流速20ml/分)、昇温速度10℃/分にて、分解物の発生気体の質量分析を行ない、得られた温度−クロマトグラム曲線における、分解生成物の発生温度を求める。
「Ta−Tm」の下限は、特に制限されるものではないが、100以上であれば樹脂成形体の難燃性が良好となることから好ましく、110以上がより好ましく、115以上がさらに好ましい。「Ta−Tm」の上限は、特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の側鎖が分解、脱離する温度が低温化して難燃性が不十分となることを防ぐことから200以下が好ましい。
100≦Ta−Tm ・・・(2)
Ta:メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度(単位:℃)
単量体(m2)の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、1.0質量%以上とすることで、樹脂成形体の難燃性と耐候性をより良好にできることから好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。一方、含有量の上限は特に限定されるものではないが、含有量が4.99質量%以下であれば、樹脂成形体の耐熱性をより向上できることから好ましく、4.0質量%以下がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
単量体(B)はビニル基を2個以上有する単量体であり、本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物の構成成分の一つである。(メタ)アクリル系樹脂組成物に単量体(B)を含有させることにより、樹脂成形体の難燃性を、より向上することができる。
(メタ)アクリル系重合体(P)が、単量体(B)由来の構造単位を含むことで、樹脂成形体の難燃性、耐熱性、機械的特性をより優れたものとできる。
本発明においては、必要に応じて、メタクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エステル(M)と共重合可能な単量体を、(メタ)アクリル系重合体(P)100質量%に対して、0質量%以上12質量%以下、好ましくは0.8質量%以上9.0質量%以下の範囲で、アクリル重合体(P)に含有させることができる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物は、下記式(a)より計算される値D1(%)について、スピンロック時間τ=30msecにおいて値D1(%)を6%以下とすることができる。下記式(a)において、MC(τ)とMP(τ)は固体NMR測定装置でスピンロック交差分極法を用いて観測した緩和スペクトルの強度であり、後述する方法により測定できる。
D1(%)=|MC(τ)−MP(τ)|/MC(τ) ・・・(a)
MC(τ):下記(A)及び(B)の値の平均値
(A)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
(B)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
MP(τ):スピンロック時間τsecにおける31P核緩和スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける31P核スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積で除した値。
また、リン系難燃剤(C)のリン原子とは、リン系難燃剤(C)がリン酸エステルのときはリン酸基のリン原子、ホスホン酸エステルのときはホスホン酸基のリン原子である。
前記リン酸エステル及びホスホン酸エステルの重量平均分子量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物中にリン系難燃剤(C)が局在化することなく、均一に溶解又は微分散することから、200以上500以下が好ましい。
本発明者らは、(メタ)アクリル系樹脂組成物中のリン系難燃剤(C)の溶解状態又は微分散状態を規定する指標として、上記式(a)であらわされるD1(%)が、6%以下のときに、リン系難燃剤(C)は局在化することなく均一に溶解又は微分散して、リン系難燃剤(C)の難燃性向上効果が顕著に発現するので、(メタ)アクリル系樹脂組成物の難燃性が顕著に優れるという効果が発現することを見出した。この効果は、前記式(a)より計算される値D1(%)について、スピンロック時間τ=16msec、20msec、25msec、30msecにおける各々の値Dの平均値D2(%)が7%以下のときにより優れたものになる。
本発明では、樹脂成形体の耐衝撃性を高めるために、(メタ)アクリル系樹脂組成物に耐衝撃向上剤(D)として、後述する多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又は後述するアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類の化合物を構成成分の一つとして含むことができる。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物においては、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、前記耐衝撃向上剤(D)を2.0質量部以上50.0質量部以下含むことができる。(メタ)アクリル重合体100質量部に対する耐衝撃向上剤(D)の含有量の下限は2.0質量部以上であれば、樹脂成形体の耐衝撃性が良好となるので好ましく、5.0質量部以上がより好ましい。また、(メタ)アクリル重合体100質量部に対する耐衝撃向上剤(D)の含有量の上限は50.0質量部以下であれば、樹脂成形体の難燃性及び耐候性は良好となるので好ましく、30.0質量部以下がより好ましく、20.0質量部以下がさらに好ましい。
本発明に用いる前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)は、少なくとも一層が架橋構造を有するゴム状共重合体層からなるエラストマー粒子(d1−1)を含む。架橋構造を有するゴム状共重合体層を有するものであれば、多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)の各層の組成、粒径は限定を受けない。
前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−1)としては、架橋構造を有するゴム状共重合体からなるエラストマー粒子(d1−1)の表面に、硬質樹脂成分をグラフト重合して、硬質樹脂層(d1−2)を形成した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−1)を用いることができる。
前記エラストマー粒子(d1−1)を構成するゴム状共重合体としては、アクリル酸アルキルエステル由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を挙げることができる。
前記エラストマー粒子(d1−1)の質量平均粒子径は、特に制限されるものではないが、一般的には100〜300nmである。
前記硬質樹脂層(d1−2)を形成する硬質樹脂成分は、メタクリル酸エステル由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を含むことができる。
具体的には、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位50質量%以上100質量%以下、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位0質量%以上50質量%以下、およびその他の共重合可能な単量体由来の繰り返し単位0質量%以上20質量%以下を含む(共)重合体である。
本発明に用いる前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)は、前記エラストマー粒子(d1−1)の内側に、架橋構造を有する硬質樹脂層(d1−3)を形成した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−2)を用いることができる。
前記硬質樹脂層(d1−3)を形成する硬質樹脂成分としては、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を挙げることができる。
本発明に用いる前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)は、上述した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−1)又は(D1−2)の硬質樹脂層(d1−2)の外側に、さらに硬質樹脂層(d1−4)を形成した多重構造アクリル系共重合体粒子(D1−3)を用いることができる。
前記硬質樹脂層(d1−4)を形成する硬質樹脂成分としては、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位を主成分とする(共)重合体を挙げることができる。
本発明に用いる前記アクリル系ブロック共重合体(D2)は、メタクリル酸エステル重合ブロック(d2−1)とアクリル酸エステル重合ブロック(d2−2)とを有するアクリル系ブロック共重合体からなる。具体的には、メタクリル酸エステル重合体ブロック(d2−1)10質量%以上60質量%以下とアクリル酸エステル重合体ブロック(d2−1)40質量%以上90質量%以下とを有するアクリル系ブロック共重合体を挙げることができる。
さらに、前記アクリル酸エステル重合体ブロック(d2−2)がアクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸芳香族エステルとからなる場合、前記アクリル酸エステル重合体ブロック(d2−2)はアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位50〜90質量%と(メタ)アクリル酸芳香族エステルに由来する構造単位50〜10質量%とを含むことが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物を得る方法としては、後述する重合性組成物(X3)を重合する方法が挙げられる。
前記重合性組成物(X3)を重合して(メタ)アクリル系樹脂組成物を得る際に使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物及びベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。必要に応じて、ラジカル重合開始剤と共にアミン、メルカプタン等の促進剤を併用することができる。
重合性組成物(X3)は、(メタ)アクリル系樹脂組成物を得るための原料の一実施態様であり、後述する単量体組成物(X1)、前記リン系難燃剤(C)及び前記両親媒性化合物(E)を含有する組成物である。
上述したシラップを得る方法としては、例えば、単量体組成物(X1)に重合体を溶解させる方法、或いは単量体組成物(X1)に公知のラジカル重合開始剤を添加して、その一部を重合させる方法が挙げられる。
また、多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又はアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類の耐衝撃向上剤(D)とを含有する場合には、耐衝撃向上剤(D)は前記混合物(X2)に添加し、さらに前記リン系難燃剤(C)を後から添加して、前記重合性組成物(X3)を得ることが好ましい。
リン系難燃剤(C)を後から添加することにより、高い難燃性を有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を安定に製造することができる。その理由は定かでないが、前記単量体組成物(X1)に、両親媒性化合物(E)が存在しない状態で、リン系難燃剤(C)を添加すると、リン系難燃剤が凝集粒子を形成するためと推察される。
リン系難燃剤(C)の含有量の下限は5.0質量部以上であれば、樹脂成形体の難燃性が良好となる。また、リン系難燃剤(C)の含有量の上限は35.0質量部以下であれば、樹脂成形体の耐熱性は良好となる。
重合性組成物(X3)の一実施態様として、重合性組成物(X3)がシラップである場合には、下記の重合体(a)と単量体組成物(X1)を含む組成物が挙げられる。
重合体(a):
メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位19.95質量%以上84.95質量%以下と前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位3.6質量%以上80.0質量%以下と前記単量体(B)由来の構造単位0.05質量%以上0.40質量%以下を含む重合体。
単量体組成物(X1):
単量体組成物(X1)の総質量に対して、メタクリル酸メチル19.95質量%以上84.95質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル(M)の単量体3.6質量%以上80.0質量%以下、前記単量体(B)0.05質量%以上0.40質量%以下を含む単量体組成物。
単量体組成物(X1)とは、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)を含む組成物である。(メタ)アクリル酸エステル(M)を含むことにより、樹脂成形体の難燃性が向上するとともに、上述した両親媒性物質(E)の作用により、リン系難燃剤(C)が凝集粒子を形成することを抑制できる。
さらに、前記単量体組成物(X1)は、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)を含む場合に、メタクリル酸メチルと前記単量体(B)を含むことができる。
メタクリル酸メチルを含むことにより、樹脂成形体の耐熱性及び耐侯性に優れ、且つ、機械的強度、熱的性質、成形加工性をより優れたものとできる。
前記単量体(B)を含むことにより、難燃性、耐熱性、機械的特性をより優れたものとできる。
単量体組成物(X1)中の(メタ)アクリル酸エステル(M)、メタクリル酸メチル及び単量体(B)の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系重合体(P)が、総質量に対して、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位19.95質量%以上84.95質量%以下と(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位3.6質量%以上80.0質量%以下と単量体(B)由来の構造単位0.05質量%以上0.40質量%以下を含むように、適宜決めることができる。
メタクリル酸エステル(M1)及びアクリル酸エステル(M2)は、リン系難燃剤(C)と相互作用して、リン系難燃剤(C)が有する難燃性向上効果を相乗的に高める効果を有するので、樹脂成形体の難燃性を向上できる。
また、アクリル酸エステル(M2)を含むことにより、重合後の(メタ)アクリル系樹脂組成物中の未反応単量体は低減されるため、得られた樹脂成形体の耐候性は良好となる。
具体的なメタクリル酸エステル(M1)及びアクリル酸エステル(M2)としては、上述した化合物を挙げることができる。
単量体(m2)の含有量の下限は、特に限定されるものではないが、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、1.0質量%以上とすることで、樹脂成形体の難燃性と耐候性をより良好にできることから好ましく、2.0質量%以上がより好ましい。一方、含有量の上限は特に限定されるものではないが、含有量が4.99質量%以下であれば、樹脂成形体の耐熱性をより向上できることから好ましく、4.0質量%以下がより好ましい。上記の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
あるいは、単量体組成物(X1)の別の一実施態様として、例えば、単量体組成物(X1)の総質量に対して、メタクリル酸メチル19.95質量%以上79.1質量%以下、(メタ)アクリル酸エステル(M)の単量体20.5質量%以上80.0質量%以下、前記単量体(B)0.05質量%以上0.40質量%以下を含む組成物が挙げられる。
本発明は、前記単量体組成物(X1)が、分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体(B)0.05質量%以上0.40質量%以下を含む、(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法が挙げられる。
上述した(メタ)アクリル系樹脂組成物を用いて樹脂成形体を製造することにより、高い難燃性を有する樹脂成形体を安定に得ることができる。
樹脂成形体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
(1)前記重合性組成物(X3)を、鋳型に注入して、公知のキャスト重合法を用いて重合させた後に、鋳型から取り出して樹脂成形体を得る方法。
(2)本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物のペレットを、押出成形又は射出成形等の公知の溶融成形法を用いて樹脂成形体を得る方法。
本発明の樹脂積層体は、前述の樹脂成形体を樹脂基材(A)とし、その少なくとも一方の表面に後述する硬化被膜(F)を備えた、シート状の樹脂積層体である。樹脂基材(A)は、樹脂積層体に高い難燃性、耐熱性、耐候性を付与するための層であり、硬化被膜(F)は、樹脂積層体に高い耐擦傷性を付与するための層である。
本発明の樹脂積層体において、前記硬化被膜(F)は、後述する(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体(F1)(以下、「多官能単量体(F1)」と略する。)と、後述する(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体(F2)(以下、「多官能単量体(F2)」と略する。)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(f)(以下、「硬化性組成物(f)」という。)の硬化物からなる硬化被膜である。
本発明の樹脂積層体においては、多官能単量体(F1)由来の繰り返し単位を硬化被膜(F)に含有させることで、高い耐擦傷性を有する樹脂積層体を得ることができる。
具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等、公知の化合物を挙げることができる。
具体的には、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(2)に記載した多価アルコールと多価カルボン酸またはその無水物と(メタ)アクリル酸の縮合物が、硬化性及び得られる硬化被膜の耐擦傷性に優れるため、好ましい。
本発明の樹脂積層体においては、多官能単量体(F2)由来の繰り返し単位を、硬化被膜(F)に含有させることで、硬化被膜(F)の硬化収縮率が小さくなるためクラックが発生しにくくなり、更に硬化被膜(F)と樹脂基材(A)の密着性が良好な樹脂積層体を得ることができる。
前記硬化被膜(F)は、前記多官能単量体(F1)と前記多官能単量体(F2)を含有する硬化性組成物(f)を、公知の方法で硬化させて得ることができる。
前記光重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができる。具体的には、ベンゾインとその誘導体、ベンゾフェノとその誘導体、アセトフェノンとその誘導体、アルキルフェニルグリオキシレート、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド等の硫黄化合物等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性組成物(f)には、必要に応じて従来から使用されている種々の添加剤を添加することができる。具体的には、界面活性剤、レベリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、難燃剤、可塑剤等や機能を付与するための単官能単量体を挙げることができる。
<樹脂積層体の厚み>
本発明の樹脂積層体の全体厚みは、特に制限されるものではないが、樹脂積層体の成形性と難燃性に優れることから、1mm以上30mm以下が好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましい。なお、樹脂積層体の全体の厚さとは、樹脂基材(A)の厚みと、硬化被膜(F)の厚みの合計を意味する。
本発明において、樹脂積層体の製造方法は特に限定されるものではなく、バッチ式や連続式で行われる公知の樹脂積層体の製造方法を用いることができる。
方法(1):樹脂基材(A)の少なくとも一方の表面に前記多官能単量体(F1)と前記多官能単量体(F2)からなる硬化性組成物(f)の層を形成した後、硬化させて、硬化被膜(F)の層を形成する方法。
バッチ式の製造方法の前記方法(1)として、具体的には以下の方法が挙げられる。
前記のバッチ式の製造方法(2)としては、具体的には以下の方法が挙げられる。
まず、型の内面に前記多官能単量体(F1)と前記多官能単量体(F2)を含有する硬化性組成物(f)を塗布し、表面を樹脂フィルムで覆う。次いで、硬化性組成物(f)に、活性エネルギー線を樹脂フィルムを介して照射することにより、前記硬化性組成物(f)を硬化させて、硬化被膜(F)を得る。その後、樹脂フィルムを剥がし、型の内表面に硬化被膜(F)が積層された積層鋳型を得る。得られた積層鋳型に、樹脂基材(A)の原料として、前記の重合性組成物(X3)を注入し、注型重合により、この重合性組成物を硬化させることにより、硬化被膜(F)が積層された樹脂基材(A)を得る。その後、鋳型から剥離し、樹脂積層体を得る。
樹脂フィルムとしては、前述の樹脂フィルムと同様のフィルムを用いることができる。
活性エネルギー線としては、前述の活性エネルギー線と同様のエネルギー線を用いることができ、活性エネルギー線を用いた硬化方法としては、前述と同様の方法で硬化することができる。
MMA:メタクリル酸メチル
IBXMA:メタクリル酸イソボルニル
IBXA:アクリル酸イソボルニル
TBMA:メタクリル酸t−ブチル
BA:アクリル酸n−ブチル
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
CR−570:ハロゲン含有縮合リン酸エステル(商品名、大八化学工業(株)製)
CR−504L:ハロゲン含有縮合リン酸エステル(商品名、大八化学工業(株)製)
SDS:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
SS:ステアリン酸ナトリウム
SLS:ラウリル硫酸ナトリウム
PEH:リン酸2−エチルヘキシル
HPP:t−ヘキシルパーオキシピバレート
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
DCPMA:メタクリル酸ジシクロペンタニル
ADMA:メタクリル酸アダマンチル
p−PPMA:メタクリル酸−p−ビフェニル
PhMA:メタクリル酸フェニル
MA:アクリル酸メチル
ST:スチレン
AMA:メタクリル酸アリル
BDMA:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート
DBP:ジ−t−ブチルパーオキサイド
n−OM:n−オクチルメルカプタン
乳化剤(1):モノ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸40%とジ(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)リン酸60%混合物の水酸化ナトリウム部分中和物
SFS:ソディウムフォルムアルデヒドスルホキシレート
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
ゴムA:多重構造アクリル系共重合体粒子(製造例1)
ゴムB:多重構造アクリル系共重合体粒子(製造例2)
ブロックポリマー:市販のアクリル系ブロック共重合体(商品名:クラリティ、クラレ株式会社製)
ポリアクリレート1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(60質量%以上70質量%以下)とジペンタエリスリトールペンタアクリレート(30質量%以上40質量%以下)の混合物。
ジアクリレート1:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
BEE:ベンゾインエチルエーテル
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
JIS K 6911−1995の耐燃性試験A法に準拠して樹脂成形体の試験片(長さ127mm×幅12.7mm)を作製し、試験片の自消までに要した時間(自消時間)を測定した。
A:試験片の自消時間が1分未満である。
B:試験片の自消時間が1分以上2分未満である。
C:試験片の自消時間が2分以上3分未満である。
D:試験片の自消時間が3分以上である。
E:試験片が自消しない。
UL94垂直燃焼試験法に準拠して樹脂成形体の試験片(長さ125mm×幅13.0mm)の難燃性を評価した。難燃性の判定は以下の表1に示す基準に基づいて行う。
JIS K 7191に準拠して樹脂積層体の試験片(長さ127mm×幅12.7mm)を作製し、試験片の荷重たわみ温度(以下、「HDT」と示す)(℃)を測定して耐熱性を評価した。
光学顕微鏡を用いて樹脂成形体又は(メタ)アクリル系樹脂組成物を倍率1000倍で観察し、観察された任意のリン系難燃剤(C)の分散粒子又は凝集粒子20個について、分散粒子の一次粒子径又は凝集粒子の二次粒子径を測定して、その平均値を分散粒子径とした。分散粒子が観察されないときは「N.D.」とした。なお、分散粒子(一次粒子)が接触して形成された二次粒子を凝集粒子とした。
発生ガス分析測定装置としてガスクロマトグラフ質量分析計(ガスクロマトグラフとしてAgilent社製、製品名:HP6890、加熱炉(パイロライザ)としてフロンティアラボ社製、製品名:PY2020D、質量分析計としてヒューレットパッカード社製、製品名:HP−5973、パイロライザと質量分析計は不活性キャピラリ管(Ultra Alloy DTM 2.5m,0.15mmを用いて直結とした)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物のピークの半値幅を測定した。
本実施例及び比較例で使用した化合物の質量電荷比(m/z)を以下に示す。
MMA:m/z=100、IBXMA:m/z=93、CHMA:m/z=82、DCPMA:m/z=66、ADMA:m/z=135、TBMA:m/z=56、p−PPMA:m/z=170、PhMMA:m/z=94、CR570:m/z=76、CR504L:m/z=125、D1500:m/z=211、D880:m/z=123。
発生ガス分析測定装置としてガスクロマトグラフ質量分析計(ガスクロマトグラフとしてAgilent社製、製品名:HP6890、加熱炉(パイロライザ)としてフロンティアラボ社製、製品名:PY2020D、質量分析計としてヒューレットパッカード社製、製品名:HP−5973、加熱炉(パイロライザ)としてフロンティアラボ社製、製品名:PY2020D、質量分析計としてヒューレットパッカード社製、製品名:HP−5973、パイロライザと質量分析計は不活性キャピラリ管(Ultra Alloy DTM 2.5m,0.15mmを用いて直結とした)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度Tm(℃)、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度Ta(℃)及び前記リン系難燃剤(C)の分解生成物の発生温度Tc(℃)を測定した。
JIS K7111−1/fUに準じ、ノッチなしシャルピー衝撃強度を測定した。
JIS K7350−4に準拠して、サンシャインウェザーメーター(条件:63℃、50%、水噴霧時間 12分/60分)で樹脂成形体を1000時間の暴露試験を行い、試験前後のイエローインデックス(ΔYI)を測定した。
JIS K5600−5−4に準拠して、樹脂積層体の鉛筆硬度を測定し、表面硬度を評価した。
樹脂積層体の厚みを、ノギスを用いて測定した。
樹脂積層体を厚み方向に対して平行方向に、パネルソー等の切断機を用いて切断した。次いで、切断した樹脂積層体の切断面を、端面鏡面仕上げ機を用いて研磨した。デジタルマイクロスコープを用いて、研磨した断面を観察することにより、膜厚を測定した。
(12)重量平均分子量(Mw)
リン系難燃剤(C)の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)を用いて測定した。テトラヒドロフラン(THF、和光純薬工業社製、試薬特級)にリン系難燃剤(C)を2mg/mLの濃度になるよう溶解し、得られた溶液をGPC測定用のサンプルとした。GPC測定は、高速液体クロマトグラフィー測定装置(東ソー(株)製、装置名:HLC−8320型)に、ガードカラム(商品名:TSK−guardcolumn SUPERH−L、東ソー(株)社製)を接続した分離カラム(諸品名:SUPER H4000、6.0mmφ×150mm、東ソー(株)社製)に分離カラム(商品名:SUPER H2000、6.0mmφ×150mm、東ソー(株)社製)を繋いで使用し、検出器には示差屈折計を用いた。分離カラム温度40℃、移動層としてTHF、移動層の流量0.6ml/min、サンプル注入量10μlとして測定を行った。分子量既知のポリスチレン10種類(Mw5,970、〜6,770,000)、Irganox1010(Mw1178)オ及び2,2‘−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)(Mw340)を用いて較正曲線(3次式)を作成し、重量平均分子量(Mw)を求めた。
(13)固体NMRによる緩和スペクトルの測定
樹脂成形体又は(メタ)アクリル系樹脂組成物を粉砕又は切断して5mm角程度の小片を得た。次いで、得られた小片2.5gを、凍結粉砕器(装置名:SPEX9750 FREEZER/MILL、SPEX CertiPrep Ltd社製、:条件 10cpsを2分間×2サイクル)を用いて、凍結粉砕して粉末状サンプルを得た。得られた粉末状サンプルを固体NMR用サンプル管(φ7mm、内径φ6mm)に充填して、これを固体NMR測定用試料とした。次いで、固体NMR測定装置で、プロトンスピンロック交差分極法により、スピンロック時間を可変して、13C核と31P核スペクトルを測定した。
・固体NMR測定装置:AVANCEII 300(ブルカーバイオスピン社製)
・測定温度:室温(22℃)
・観測核:13C (観測周波数75.4MHz)
31P (観測周波数を121MHz)
・コンタクトタイム:2000μs
・パルスシークエンス:図1に記載
・試料回転速度:6kHz
・繰り返し時間:4sec
・積算回数:512回
・スピンロック時間:16、20、25,30msec
13C核スペクトルの基準は、グリシンのカルボニルピークを176.03ppmとした。
31P核スペクトルは、最も強度の大きいピークを0ppmとした。
D1(%)=|MC(τ)−MP(τ)|/MC(τ)×100 ・・・(a)
MC(τ):以下に示す(A)及び(B)の平均値
(A)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
(B)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
MP(τ):スピンロック時間τsecにおける31P核緩和スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける31P核スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積で除した値。
(1)シラップ(A1)の製造
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、MMA68質量部、IBXMA20質量部、IBXA3質量部、TBMA8質量部、BA1質量部からなる単量体組成物を投入した。前記単量体組成物を、室温に維持して、窒素ガスでバブリングしながら撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、前記単量体組成物100質量部に対して、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を添加して、前記単量体組成物を温度100℃まで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。その後、反応器の内温が室温になるまで冷却して、重合体30質量%と単量体組成物70質量%(内訳は、MMA68質量%、IBXMA20質量%、IBXA3質量%、TBMA8質量%、BA1質量%)からなるシラップ(A1)を得た。
(2)注型重合
上記のシラップ(A1)100質量部に対して、単量体(B)としてEDMA0.12質量部を添加し、室温で10分間撹拌しながら溶解させて、単量体組成物(X1)を得た。さらに前記単量体組成物(X1)に両親媒性化合物(E)としてSDS(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)0.2質量部を添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させ、混合物(X2)を得た。その後、リン系難燃剤(C)としてCR−570を10.5質量部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを重合性組成物(X3)とした。
対向して配置した2枚のSUS板の間の周縁部に、2枚のSUS板の空隙間隔が4.1mmとなるように塩化ビニル樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。前記重合性組成物(X3)を調整してから1時間静置した後に、上記の鋳型の中に、重合性組成物(X3)を流し込み、塩化ビニル樹脂製ガスケットで完全に封止した後、直ぐに82℃まで昇温して30分間保持し、次いで130℃まで昇温して30分間保持して、重合性組成物(X3)を重合させた。即ち、リン系難燃剤(C)を添加してから重合を開始するまでの時間は1時間であった。次いで、室温まで冷却した後、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体から切断機を用いて、難燃性評価用の試験片、耐熱性評価用の試験片を切り出した。切り出した試験片の端面をフライス盤で切削した。得られた樹脂成形体の評価結果を表2、4に示す。樹脂成形体の難燃性はJIS K 6911−1995の耐燃性試験A法(以下、「難燃性(JIS)」と略する)において自消時間は1.0分であった。また、得られた樹脂成形体を光学顕微鏡を用いて観察したところ、0.1μmを超える凝集粒子は観察されなかった。また、値D1は2.7%、値D2は5.1%であった。
リン系難燃剤(C)としてCR−570を添加してから重合を開始するまでの時間を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
リン系難燃剤(C)の添加量と、リン系難燃剤(C)としてCR−570を添加してから重合を開始するまでの時間を表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
両親媒性化合物(E)の添加量を表2、4に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
両親媒性化合物(E)としてSS(ステアリン酸ナトリウム)0.2質量部を添加し、リン系難燃剤(C)の添加量を表2、4に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
両親媒性化合物(E)としてSLS(ラウリル硫酸ナトリウム)0.2質量部を添加し、リン系難燃剤(C)の添加量を表2、4記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
両親媒性化合物(E)としてPEH(リン酸2−エチルヘキシル)0.05質量部を添加し、リン系難燃剤(C)の添加量およびリン系難燃剤(C)を添加してから重合を開始するまでの時間を表2記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
リン系難燃剤(C)としてCR−504Lを使用して、添加量を表2、4記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表4に示す。
実施例1で作製したシラップ(A)を用いて、注型重合を行う際に、シラップ100質量部に対して、単量体(B)としてEDMA0.12質量部及びリン系難燃剤(C)としてCR−570を10.5質量部添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させた。CR−570を添加してから1時間後に、両親媒性化合物(E)としてSDS0.2質量部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを重合性組成物(X3)とし、実施例1と同様の方法で直ちに重合を開始して樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表5に示す。
リン系難燃剤(C)の添加量を表3、5記載のとおりに変更した以外は、比較例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表5に示す。
両親媒性化合物(E)の添加量を表3、5記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表5に示す。
(1)シラップ(A2)の製造
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、MMA91質量部、TBMA8質量部、BA1質量部からなる単量体組成物を投入した。前記単量体組成物を、室温に維持して、窒素ガスでバブリングしながら撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、前記単量体組成物100質量部に対して、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を添加して、前記単量体組成物を温度100℃まで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。その後、反応器の内温が室温になるまで冷却して、重合体30質量%と単量体組成物70質量%(内訳は、MMA91質量%、BA1質量%)からなるシラップ(A2)を得た。
(2)注型重合
上記のシラップ(A2)100質量部に対して、単量体(B)としてEDMA0.12質量部を添加し、室温で10分間撹拌しながら溶解させて、単量体組成物(X1)を得た。さらに前記単量体組成物(X1)に両親媒性化合物(E)としてSDS(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)0.2質量部を添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させ、混合物(X2)を得た。その後、リン系難燃剤(C)としてCR−570を10.5質量部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを重合性組成物(X3)とした。
この重合性組成物(X3)を用い、実施例1と同様の方法で重合を開始して樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表5に示す。
リン系難燃剤(C)の添加量を表3、5記載のとおりに変更した以外は、比較例5と同様の方法で樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表5に示す。
実施例4〜6で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS)、UL94垂直燃焼試験法における難燃性(以下、難燃性(UL94)と略する)、耐熱性が良好であった。
実施例7で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、分散粒子径が0.8μmのリン系難燃剤(C)の粒子が観察されたが、難燃性(JIS)及び耐熱性が良好であった。
実施例8で得られた樹脂成形体は、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS)及び耐熱性が良好であった。
実施例9で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS)、耐熱性が良好であった。
実施例10で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS及びUL94)、耐熱性が良好であった。
実施例11で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS)、耐熱性が良好であった。
実施例12で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS及びUL94)、耐熱性が良好であった。
実施例13で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS)、耐熱性が良好であった。
実施例14で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS及びUL94)、耐熱性が良好であった。
実施例15で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されず、難燃性(JIS)、耐熱性が良好であった。
比較例2で得られた樹脂成形体は、樹脂成形体中に分散粒子径が0.8μmを超えるリン系難燃剤(C)の粒子が観察され、樹脂成形体の難燃性(JIS及びUL94)は不十分であった。
比較例3で得られた樹脂成形体は、樹脂成形体中に分散粒子径が0.8μmを超えるリン系難燃剤(C)の粒子が観察され、樹脂成形体の難燃性(JIS)は不十分であった。
比較例4で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されなかったが、SDS(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)量が多いことで難燃性(JIS)が不十分であった。
比較例5で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されなかったが、(メタ)アクリル酸エステル(M)を含まないため、難燃性(JIS)が不十分であった。
比較例6で得られた樹脂成形体は、光学顕微鏡で観察したところ、リン系難燃剤(C)の分散粒子は観察されなかったが、(メタ)アクリル酸エステル(M)を含まないため、難燃性(UL94)が不十分であり、耐熱性も低かった。
(1)シラップ(A3)の製造
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、MMA70質量部、(メタ)アクリル酸エステル(M)としてIBXMA30部の前記単量体組成物を投入した。前記単量体組成物を、室温に維持して、窒素ガスでバブリングしながら撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、前記単量体組成物100質量部に対して、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1質量部を添加して、前記単量体組成物を温度100℃まで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。その後、反応器の内温が室温になるまで冷却して、重合体30質量%と単量体組成物70質量%(内訳は、MMA70質量%、IBXMA30質量%)からなるシラップ(A3)を得た。
(2)注型重合
上記のシラップ(A3)100質量部に対して、単量体(B)としてEDMA0.15質量部を添加し、室温で10分間撹拌しながら溶解させて、単量体組成物(X1)を得た。さらに前記単量体組成物(X1)に両親媒性化合物(E)としてSDS(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)0.2質量部を添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させ、混合物(X2)を得た。その後、リン系難燃剤(C)としてCR−570を19.0質量部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを重合性組成物(X3)とした。
対向して配置した2枚のSUS板の間の周縁部に、2枚のSUS板の空隙間隔が4.1mmとなるように塩化ビニル樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。前記重合性組成物(X3)を調整してから168時間静置した後に、上記の鋳型の中に重合性組成物(X3)を流し込み、塩化ビニル樹脂製ガスケットで完全に封止した後、直ぐに82℃まで昇温して30分間保持し、次いで130℃まで昇温して30分間保持して、重合性組成物(X3)を重合させた。即ち、リン系難燃剤(C)を添加してから重合を開始するまでの時間は168時間であった。次いで、室温まで冷却した後、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。
得られた成型体から2mgを切り取り、分解生成物のピークの半値幅及び分解生成物の発生温度を求めた。なお、メタクリル酸メチルとしてはm/z100を、(メタ)アクリル酸エステル(M)の側鎖脱離物としてはm/z93を、リン系難燃剤(C)としてはm/z76を用いた。
また、得られた樹脂成形体から、切断機を用いて、難燃性評価用の試験片及び耐熱性評価用試験片を切り出した後に、試験片の切り出した面をフライス盤で研磨した。樹脂成形体の評価結果を表7に示す。得られた樹脂成形体は、難燃性(JIS及びUL94)で良好な難燃性を有し、且つ耐熱性81℃と良好であった。
(メタ)アクリル酸エステル(M)の種類を表6記載のとおりとした以外は実施例16と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表7に示す。実施例17、18の樹脂成形体は、難燃性(JIS及びUL94)、耐熱性が良好であった。実施例19〜21の樹脂成形体は、(メタ)アクリル酸エステル(M)分解物の半値幅が26を超えており、(Ta−Tm)が100未満のため、難燃性(JIS)がやや低かった。
表6記載のとおり、(メタ)アクリル酸エステル(M)の種類をメタクリル酸エステル(M1)とアクリル酸エステル(M2)の併用とした以外は実施例16と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表7に示す。実施例22の樹脂成形体は、難燃性(JIS及びUL94)、耐熱性が良好であった。
リン系難燃剤(C)の種類と添加量を表6記載のとおりとした以外は、実施例15と同様にして樹脂成型体を得た。樹脂成形体の評価結果を表7に示す。実施例23及び24の樹脂成形体は、難燃性(JIS)、耐熱性が良好であった。
(メタ)アクリル酸エステル(M)の添加量を表6記載のとおりとした以外は実施例16と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表7に示す。実施例25の樹脂成形体は、難燃性(JIS)、耐熱性が良好であった。
〔製造例1〕多重構造アクリル系共重合体粒子(ゴムA)の製造
1.混合物(a−1)の調製
MMA35部、BA5部、BDMA1部、AMA0.15部、DBP0.08部、乳化剤(1)1.4部を混合して混合物(a−1)を得た。
2.混合物(a−2)の調製
SFS0.2部、脱イオン水5部を混合して混合物(a−2)を得た。
3.混合物(a−3)の調製
ST10部、BA50部、BDMA0.2部、AMA1.2部、CHP0.2部、 乳化剤(1)2.0部を混合して混合物(a−3)を得た。
4.混合物(a−4)の調製
SFS0.2部、脱イオン水5部を混合して混合物(a−4)を得た。
5.混合物(a−5)の調製
MMA57.0部、BA3.0部、DBP0.1部、n−OM0.2部を混合して混合物(a−5)を得た。
6.多重構造アクリル系共重合体粒子(ゴムA)の製造
還流冷却器付き反応容器に、イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほう酸0.9部を加え、撹拌しながら80℃に昇温した後、前記混合物(a−1)42.63部の内2.6部を添加して15分保持し、その後残りの前記混合物(a−1)を5.5部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行った。
次いで、前記混合物(a−2)を5.2部加え、15分保持した後、前記混合物(a−3)63.6部を5.1部/時間の速度で連続的に添加し、その後2.5時間保持して中間層の重合を行った。
次いで、前記混合物(a−4)を5.2部加え、15分保持した後、前記混合物(a−5)60.3部を0.6部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最外層の重合を行い、多重構造アクリル系共重合体ラテックスを得た。
次いで、このラテックスを酢酸カルシウム水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥を行い、多重構造アクリル系共重合体の粒子(ゴムA)を得た。
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)に、MMA71質量部、IBXMA25質量部、IBXA1質量部、TBMA2質量部、BA1質量部からなる単量体組成物を投入した。前記単量体組成物を、室温に維持して、窒素ガスでバブリングしながら撹拌した後、温度60℃まで攪拌しながら昇温した。次いで、前記単量体組成物100質量部に対して、ラジカル重合開始剤として2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02質量部を添加して、前記単量体組成物を温度100℃まで攪拌しながら昇温した後、13分間保持した。その後、反応器の内温が室温になるまで冷却して、重合体5質量%と単量体組成物95質量%からなるシラップ(A4)を得た。
上記のシラップ(A4)に対して、単量体(B)としてEDMA0.15質量部を添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させて、単量体組成物(X1)を得た。さらに前記単量体組成物(X1)に両親媒性化合物(E)としてSDS(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)0.2質量部、及び耐衝撃向上剤(D)としてゴムA7.5質量部を添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させ、混合物(X2)を得た。その後、リン系難燃剤(C)としてCR−570を13.6質量部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを重合性組成物(X3)とした。
対向して配置した2枚のSUS板の間の周縁部に、2枚のSUS板の空隙間隔が4.1mmとなるように樹脂製ガスケットを設置して、鋳型を作製した。前記重合性組成物(X3)を調整してから168時間静置した後に、上記の鋳型の中に、重合性組成物(X3)を流し込み、樹脂製ガスケットで完全に封止した後、直ぐに82℃まで昇温して30分間保持し、次いで130℃まで昇温して30分間保持して、重合性組成物(X3)を重合させた。即ち、リン系難燃剤(C)を添加してから重合を開始するまでの時間は168時間であった。次いで、室温まで冷却した後、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂成形体を得た。
得られた樹脂成形体から切断機を用いて、難燃性評価用の試験片、シャルピー衝撃強さ評価用の試験片及び耐候性評価用の試験片を切り出した。また、難燃性評価用及びシャルピー衝撃強さ評価用の試験片については、端面をフライス盤で切削した。得られた樹脂成形体の評価結果を表9に示す。樹脂成形体は、難燃性(JIS)が良好であり、且つシャルピー衝撃強さは35kJ/m2、耐候性(ΔYI)は5と良好であった。
耐衝撃向上剤(D)の添加量を表8記載のとおりとした以外は実施例26と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表9に示す。実施例27の樹脂成形体は、難燃性(JIS)、耐候性、シャルピー衝撃強度が良好であった。
〔製造例2〕多重構造アクリル系共重合体粒子(ゴムB)の製造
1.混合物(b−1)の調整
MMA23部、ST1部、BA16部、BDMA1部、AMA0.15部、DBP0.08部、乳化剤(1)1.4部を混合して混合物(b−1)を得た。
2.混合物(b−2)の調整
SFS0.2部、脱イオン水5部を混合して混合物(b−2)を得た。
3.混合物(b−3)の調整
ST10部、BA50部、BDMA0.2部、AMA1.2部、CHP0.2部、乳化剤(1)2.0部を混合して混合物(b−3)を得た。
4.混合物(b−4)の調整
SFS0.2部、脱イオン水5部を混合して混合物(b−4)を得た。
5.混合物(b−5)の調整
MMA57.0部、MA3.0部、DBP0.1部、n−OM0.2部を混合して混合物(b−5)を得た。
6.多重構造アクリル系共重合体粒子(ゴムB)の製造
還流冷却器付き反応容器に、イオン交換水300部、炭酸ナトリウム0.09部、ほう酸0.9部を加え、80℃に昇温した後、前記混合物(b−1)41.33部の内2.5部を添加して15分保持し、その後残りの前記混合物(b−1)を5.4質量部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最内層の重合を行った。
次いで、前記混合物(b−2)を5.2部加え、15分保持した後、前記混合物(b−3)63.6部を5.1部/時間の速度で連続的に添加し、その後2.5時間保持して中間層の重合を行った。
次いで、前記混合物(b−4)を5.2部加え、15分保持した後、前記混合物(b−5)61.3部を0.61部/時間の速度で連続的に添加し、その後1時間保持して最外層の重合を行い、多重構造アクリル系共重合体ラテックスを得た。
次いで、このラテックスを酢酸カルシウム水溶液で凝固し、洗浄、脱水、乾燥を行い、多重構造アクリル系共重合体の粒子(ゴムB)を得た。
耐衝撃向上剤(D)としてゴムB7.5部を添加した以外は実施例26と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表9に示す。実施例28の樹脂成形体は、難燃性(JIS)、耐候性、シャルピー衝撃強度が良好であった。
耐衝撃向上剤(D)として市販のアクリル系ブロック共重合体(商品名:クラリティ、クラレ株式会社製)7.5部を添加とした以外は実施例26と同様にして樹脂成形体を得た。樹脂成形体の評価結果を表9に示す。実施例29の樹脂成形体は、難燃性(JIS)、耐候性、シャルピー衝撃強度が良好であった。
(1)硬化被膜(F)の製造
多官能単量体(F1)としてのポリアクリレート1が40質量%、多官能単量体(F2)としてのジアクリレート1が60質量%からなる硬化性組成物(f)に、前記硬化性組成物(f)100質量部として、光重合開始剤としてBEEを1.5質量部添加して混合した(以下、光重合開始剤を添加した後の硬化性組成物も、「硬化性組成物(f)」という。)。
次いで、鏡面状のSUS304板上に、前記硬化性組成物(f)を塗布し、厚さ12μmのPETフィルムを被せ、PETフィルム上に、JIS硬度40°のゴムロールでしごいて、SUS304板上に前記硬化性組成物(f)からなる層を形成した。
次いで、硬化性組成物(f)の層が形成されたSUS304板を、蛍光紫外線ランプ(東芝(株)製、商品名:FL40BL、出力40Wの)の下方20cmの位置を、2m/分間のスピードで通過させながら、蛍光紫外線ランプの光をPETフィルムを介して前記硬化性組成物(f)に照射して、硬化処理した後に、PETフィルムを剥離した。
次いで、硬化処理後の前記硬化性組成物(f)の層が形成されたSUS304板を、高圧水銀灯(出力30W/cm2)の下方20cmの位置を、3m/分間のスピードで通過させながら、高圧水銀灯の紫外線を前記硬化性組成物(f)照射して、さらに硬化処理して、SUS304板上に膜厚20μmの硬化被膜(F)を形成した。同様の作業を繰り返し、硬化被膜(F)が形成された2枚のSUS304板を得た。
硬化被膜(F)が形成された2枚のSUS304板を、硬化被膜(F)が形成された面が内側になるようにして対向させて、2枚のSUS304板の間の周縁部に、空隙間隔が4.1mmとなるように樹脂製ガスケットを設置して、これを鋳型とした。
冷却管、温度計及び攪拌機を備えた反応器(重合釜)にMMA67質量部、IBXMA25質量部、IBXA5質量部、TBMA2質量部及びBA1質量部の混合物を供給し、撹拌しながら、窒素ガスでバブリングした後、加熱を開始した。内温が60℃になった時点で、ラジカル重合開始剤である2,2'−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部を添加し、更に内温100℃まで加熱した後、13分間保持した。次いで、反応器を室温まで冷却して、重合体は30質量%、単量体組成物は70質量%からなるシラップ(A5)を得た。
上記のシラップ(A5)100質量部に、単量体(B)としてEDMA0.15質量部を添加し、室温で10分間撹拌しながら溶解させて、単量体組成物(X1)を得た。さらに前記単量体組成物(X1)に両親媒性化合物(E)としてSDS(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)0.2質量部を添加して、室温で10分間撹拌しながら溶解させ、混合物(X2)を得た。その後、リン系難燃剤(C)としてCR−570を13.6質量部、重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート0.3質量部を添加して、溶解したものを重合性組成物(X3)とした。
次いで、前記重合性組成物(X3)を調整してから168時間静置した後に、上記の鋳型の中に、重合性組成物(X3)を流し込み、樹脂製ガスケットで完全に封止した後、82℃で30分、次いで130℃で30分加熱して、重合性組成物(X3)を重合させた後、室温まで冷却した。次いで、SUS板を取り除いて厚さ3mmの板状の樹脂積層体を得た。
得られた樹脂積層体から、切断機を用いて、難燃性評価用の試験片及び耐熱性評価用試験片を切り出した後に、試験片の切り出した面をフライス盤で研磨した。樹脂積層体の評価結果を表11に示す。得られた樹脂積層体は、難燃性(JIS)の評価で難燃性を有し、且つ耐熱性95℃、耐候性(ΔYI)は3、また鉛筆硬度は4Hと良好であった。
リン系難燃剤(C)の添加量を表10記載のとおりに変更した以外は、実施例30と同様の方法で樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表11に示す。得られた樹脂積層体は、難燃性(JIS、UL94)の評価で良好な難燃性を有し、且つ耐熱性82℃、耐候性(ΔYI)は3、また鉛筆硬度は4Hと良好であった。
硬化被膜(F)の硬化性組成物(f)の組成及びリン系難燃剤(C)の添加量を表10に示すとおりとした以外は実施例30と同様にして樹脂積層体を得た。得られた樹脂積層体の評価結果を表11に示す。実施例32で得られた樹脂積層体は、難燃性(JIS)の評価で難燃性を有し、且つ耐熱性95℃、耐候性(ΔYI)は3、また鉛筆硬度は8Hと良好であった。また、実施例33で得られた樹脂積層体は、難燃性(JIS、UL94)の評価で良好な難燃性を有し、且つ耐熱性82℃、耐候性(ΔYI)は3、また鉛筆硬度は8Hと良好であった。
2 樹脂基材
3 樹脂積層体
Claims (27)
- (メタ)アクリル系重合体(P)、リン系難燃剤(C)及び両親媒性化合物(E)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物であって、
前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位を含む重合体であり、
前記(メタ)アクリル系樹脂組成物中における、前記リン系難燃剤(C)の分散粒子径が0.8μm以下であり、
前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、前記リン系難燃剤(C)を、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、5.0質量部以上35.0質量部以下を含有し、且つ、JIS K 6911−1995の耐燃性試験A法において3分以内で自消する難燃性を有し、前記リン系難燃性剤(C)が、リン酸エステル及びホスホン酸エステルから選ばれる少なくとも1種であり、前記両親媒性化合物(E)が、陰イオン系界面活性剤である、(メタ)アクリル系樹脂組成物。 - 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、両親媒性化合物(E)0.01質量部超2.0質量部以下を含有する、請求項1に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記陰イオン系界面活性剤が、アルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩である、請求項2に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記アルキルスルホコハク酸のアルカリ金属塩が、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである、請求項3に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、(メタ)アクリル系重合体(P)の総質量に対し、メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位19.95質量%以上84.95質量%以下と、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位3.6質量%以上80.0質量%以下を含む重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位として、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するメタクリル酸エステル(M1)由来の繰り返し単位と、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するアクリル酸エステル(M2)由来の繰り返し単位とを含み、且つ、
前記メタクリル酸エステル(M1)由来の繰り返し単位10.0質量%以上79.5質量%以下、及び、
前記アクリル酸エステル(M2)由来の繰り返し単位0.50質量%以上20.0質量%以下を含む、請求項5に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。 - 前記(メタ)アクリル系重合体(P)が、(メタ)アクリル系重合体(P)の総質量に対し、分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体(B)由来の構造単位0.05質量%以上0.40質量%以下を含む重合体である、請求項5または6に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 下記の測定方法1で測定した、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物のピークの半値幅が26℃以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
<測定方法1>
発生ガス分析測定装置(EGA−MS)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物2mgを、ヘリウム雰囲気下(流速20ml/分)、昇温速度10℃/分にて、分解生成物の発生気体の質量分析を行ない、得られた温度−クロマトグラム曲線における、分解生成物のピークの半値幅を求める。 - 下記の測定方法2で得られた前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度及び前記リン系難燃剤(C)の分解生成物の発生温度が、下記式(1)をみたす、請求項1〜8のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
|Tm−Tc|≦40 ・・・(1)
Tc:リン系難燃剤(C)分解生成物の発生温度(単位:℃)
Tm:(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度(単位:℃)
<測定方法2>
発生ガス分析測定装置(EGA−MS)を用いて、(メタ)アクリル系樹脂組成物2mgを、ヘリウム雰囲気下(流速20ml/分)、昇温速度10℃/分にて、分解生成物の発生気体の質量分析を行ない、得られた温度−クロマトグラム曲線における、分解生成物の発生温度を求める。 - 前記測定方法2で得られた前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度及び前記メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度が、下記式(2)をみたす、請求項9に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
100≦Ta−Tm ・・・(2)
Ta:メタクリル酸メチル由来の繰り返し単位の分解生成物の発生温度(単位:℃) - 前記半値幅が21℃以下である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 固体NMR測定装置でスピンロック交差分極法により観測した緩和スペクトルのMC(τ)とMP(τ)を用いて下記式(a)より計算される値D1(%)について、スピンロック時間τ=30msecにおける値D1(%)が6.0(%)以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
D1(%)=|MC(τ)−MP(τ)|/MC(τ)×100・・・(a)
MC(τ):下記(A)及び(B)の値の平均値
(A)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの160ppm〜180ppmに観測されるカルボニル基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
(B)スピンロック時間τsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける13C核緩和スペクトルの30ppm〜65ppmに観測されるメチレン基の炭素に対応するスペクトルの面積で除した値。
MP(τ):スピンロック時間τsecにおける31P核緩和スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積を、スピンロック時間10μsecにおける31P核スペクトルの−40〜40ppmに観測されるリン系難燃剤(C)のリン原子に対応するスペクトルの面積で除した値。 - 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物において前記式(a)より計算される値D1(%)について、スピンロック時間τ=16msec、20msec、25msec、30msecにおける各々の値D1(%)の平均値D2(%)が7.0%以下である、請求項12に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記リン酸エステル及びホスホン酸エステルの重量平均分子量が200以上500以下である、請求項12又は13に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、下記に記載の多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又はアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類の耐衝撃向上剤(D)を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
多重構造アクリル系共重合体粒子(D1):架橋構造を有するゴム状共重合体を含むエラストマー粒子(d1−1)の表面に、硬質樹脂層(d1−2)が形成された構造を有する多重構造アクリル系共重合体粒子。
アクリル系ブロック共重合体(D2):メタクリル酸エステル重合ブロック(d2−1)10質量%以上60質量%以下とアクリル酸エステル重合ブロック(d2−2)40質量%以上90質量%以下とを有するブロック共重合体。 - 前記(メタ)アクリル系樹脂組成物が、前記(メタ)アクリル系重合体(P)100質量部に対して、前記耐衝撃向上剤(D)を2.0質量部以上50質量部以下含む、請求項15記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 前記多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)において、前記エラストマー粒子(d1−1)を構成するゴム状共重合体がアクリル酸アルキルエステルを主成分とする(共)重合体からなり、前記硬質樹脂層(d1−2)がメタクリル酸エステルを主成分とする(共)重合体を含む、請求項16記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物。
- 請求項1〜17のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる、樹脂成形体。
- 請求項18に記載の樹脂成形体の少なくとも一方の表面に硬化被膜(F)を備えた、シート状の樹脂積層体であって、
前記硬化被膜(F)が、(メタ)アクリロイル基を3個以上有する多官能単量体(F1)と、(メタ)アクリロイル基を2個有する多官能単量体(F2)を含有する硬化性組成物(f)の硬化物からなる、樹脂積層体。 - 前記硬化性組成物(f)が前記多官能単量体(F1)50質量%以上80質量%以下と、前記多官能単量体(F2)20質量%以上50質量%以下を含有する、請求項19に記載の樹脂積層体。
- 請求項1〜14のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、下記の工程1と工程2を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
工程1:芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有する(メタ)アクリル酸エステル(M)単量体を含む単量体組成物(X1)と両親媒性化合物(E)を含有する混合物(X2)に、リン系難燃剤(C)を添加して重合性組成物(X3)を得る工程。
工程2:前記重合性組成物(X3)を重合する工程。 - 請求項21に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法であって、前記工程1において、前記混合物(X2)が、両親媒性化合物(E)と、多重構造アクリル系共重合体粒子(D1)又はアクリル系ブロック共重合体(D2)から選ばれる少なくとも一種類の耐衝撃向上剤(D)を含有する、(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
多重構造アクリル系共重合体粒子(D1):架橋構造を有するゴム状共重合体を含むエラストマー粒子(d1−1)の表面に、硬質樹脂層(d1−2)が形成された構造を有する多重構造アクリル系共重合体粒子。
アクリル系ブロック共重合体(D2):メタクリル酸エステル重合ブロック(d2−1)10質量%以上60質量%以下とアクリル酸エステル重合ブロック(d2−2)40質量%以上90質量%以下とを有するブロック共重合体。 - 前記単量体組成物(X1)が、単量体組成物(X1)の総質量に対し、メタクリル酸メチル単量体19.95質量%以上84.95質量%以下と、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)3.6質量%以上80.0質量%以下を含む、請求項21に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
- 前記単量体組成物(X1)が、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)として、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するメタクリル酸エステル(M1)と、
芳香族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を側鎖に有するアクリル酸エステル(M2)とを含み、且つ、
前記メタクリル酸エステル(M1)が10.0質量%以上79.5質量%以下、
前記アクリル酸エステル(M2)が0.50質量%以上20.0質量%以下である、請求項23に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。 - 前記単量体組成物(X1)が、分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する単量体(B)0.05質量%以上0.40質量%以下を含む、請求項23または24に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
- 前記単量体組成物(X1)が、前記(メタ)アクリル酸エステル(M)由来の繰り返し単位を含む重合体(P1)を予め含む、請求項21〜25のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
- 前記重合性組成物(X3)が、前記単量体組成物(X1)を100質量部として、前記リン系難燃剤(C)を5.0質量部以上35.0質量部以下と、前記両親媒性化合物(E)0.01質量部以上2.0質量部以下を含有する、請求項21〜26のいずれか一項に記載の(メタ)アクリル系樹脂組成物の製造方法。
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